説明

発光装置、発光装置の駆動方法、プリントヘッドおよび画像形成装置

【課題】複数の発光素子を並行して点灯しうる発光チップを用いた発光装置の配線数の増加を抑制する。
【解決手段】発光装置65の発光部63は、回路基板62上に、発光チップ群#a(発光チップCa1〜Ca5)、発光チップ群#b(発光チップCb1〜Cb5)、…が主走査方向に二列に千鳥状に配置して構成されている。これらの発光チップCは、発光チップ組#1(発光チップCa1、Cb1、Cc1、Cd1)、発光チップ組#2(発光チップCa2、Cb2、Cc2、Cd2)、…に分けられている。そして、転送信号φ1、φ2、許可信号φEが、発光チップ群(#a〜#d)毎に共通に送信され、書込信号φWは、発光チップ組(#1〜#5)毎に共通に送信され、点灯信号φIは、発光チップC毎に個別に送信される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置、発光装置の駆動方法、プリントヘッドおよび画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式を採用した、プリンタや複写機、ファクシミリ等の画像形成装置では、一様に帯電された感光体上に、画像情報を光記録手段により照射することにより静電潜像を得た後、この静電潜像にトナーを付加して可視化し、記録紙上に転写して定着することによって画像形成が行われる。かかる光記録手段として、レーザを用い、主走査方向にレーザ光を走査させて露光する光走査方式の他、近年では、装置の小型化の要請を受けて発光素子としての発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)を主走査方向に多数、配列してなる発光装置を用いたLEDプリントヘッド(LPH:LED Print Head)が採用されている。
【0003】
特許文献1には、シフト部サイリスタに、接続すべき対応する発光部サイリスタを設けないことにより、複数点灯可能で、途中でデータの書込を中断できる構造の自己走査型発光素子アレイチップが記載されている。
特許文献2には、自己走査型発光素子アレイにおける1個の転送部サイリスタがオンしているときに、この転送部サイリスタに対応する発光部サイリスタのみ発光させるか、または、隣接する2個の転送部サイリスタがオンしているときに、これら転送部サイリスタに対応する隣接する2個の発光部サイリスタを発光させるように駆動する自己走査型発光素子アレイの駆動方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−181741号公報
【特許文献2】特開2002−137445号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、発光チップの複数個の発光素子を並行して点灯すると、LPHにおける発光装置の配線数が増加する。
【0006】
本発明は、複数の発光素子を並行して点灯しうる発光チップを用いた発光装置の配線数の増加を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、それぞれが複数の発光素子と、当該複数の発光素子のそれぞれに対応して設けられ、点灯させる発光素子を記憶する複数の記憶素子とを含み、2以上の発光素子を並行して点灯させうる複数の発光チップと、前記複数の発光チップを、M群(Mは2以上の整数)に分け、前記M群のそれぞれの群に属する発光チップに共通に、前記複数の発光素子から点灯させる発光素子の選択を許可する許可信号を送信する許可信号供給手段と、前記複数の発光チップを、N組(Nは2以上の整数)に分け、それぞれの組に属する発光チップに共通に、前記許可信号により選択が許可された発光チップにおいて、前記複数の発光素子のうち点灯させる発光素子に対応する記憶素子を記憶状態または記憶しない状態のいずれか一方に設定する書込信号を送信する書込信号供給手段と、前記複数の発光チップに対して、前記記憶状態の記憶素子に対応する発光素子に点灯のための点灯信号を送信する点灯信号供給手段とを備えた発光装置である。
請求項2に記載の発明は、前記複数の発光チップのそれぞれは、前記複数の記憶素子のそれぞれに対応して設けられ、前記複数の発光素子を順に点灯させる発光素子としての選択の対象に指定する転送素子をさらに備えるとともに、前記M群のそれぞれの群に属する発光チップに共通に、前記複数の発光素子から点灯させる発光素子を順に選択の対象に指定する転送信号を送信する転送信号供給手段をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の発光装置である。
請求項3に記載の発明は、前記書込信号供給手段は、前記N組のそれぞれの組に属する発光チップに対して、前記M群のそれぞれの群毎に、時系列で書込信号を送信することを特徴とする請求項1または2に記載の発光装置である。
請求項4に記載の発明は、前記点灯信号供給手段、前記転送信号供給手段および前記許可信号供給手段は、前記M群のそれぞれの群に対して、前記点灯信号、前記転送信号および前記許可信号を、群毎に時間軸上でずらして送信することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の発光装置である。
【0008】
請求項5に記載の発明は、それぞれが複数の発光素子と、当該複数の発光素子のそれぞれに対応して設けられ、点灯させる発光素子を記憶する複数の記憶素子とを含み、2以上の発光素子を並行して点灯させうる複数の発光チップを備える発光装置を駆動する方法であって、前記複数の発光チップを、M群(Mは2以上の整数)に分け、前記M群のそれぞれの群に属する発光チップに共通に、前記複数の発光素子から点灯させる発光素子の選択を許可する許可信号を送信するステップと、前記複数の発光チップを、N組(Nは2以上の整数)に分け、それぞれの組に属する発光チップに共通に、前記許可信号により選択が許可された発光チップにおいて、前記複数の発光素子のうち点灯させる発光素子に対応する記憶素子を記憶状態または記憶しない状態のいずれか一方に設定する書込信号を送信するステップと、前記複数の発光チップに対して、前記記憶状態の記憶素子に対応する発光素子に点灯のための点灯信号を送信するステップとを含む発光装置の駆動方法である。
【0009】
請求項6に記載の発明は、それぞれが複数の発光素子と、当該複数の発光素子のそれぞれに対応して設けられ、点灯させる発光素子を記憶する複数の記憶素子とを含み、2以上の発光素子を並行して点灯させうる複数の発光チップと、当該複数の発光チップを、M群(Mは2以上の整数)に分け、当該M群のそれぞれの群に属する発光チップに共通に、前記複数の発光素子から点灯させる発光素子の選択を許可する許可信号を送信する許可信号供給手段と、当該複数の発光チップを、N組(Nは2以上の整数)に分け、それぞれの組に属する発光チップに共通に、当該許可信号により選択が許可された発光チップにおいて、当該複数の発光素子のうち点灯させる発光素子に対応する記憶素子を記憶状態または記憶しない状態のいずれか一方に設定する書込信号を送信する書込信号供給手段と、当該複数の発光チップに対して、当該記憶状態の記憶素子に対応する発光素子に点灯のための点灯信号を送信する点灯信号供給手段とを備え、像保持体を露光して静電潜像を形成する露光手段と、前記露光手段から照射される光を前記像保持体上に結像させる光学手段とを備えるプリントヘッドである。
【0010】
請求項7に記載の発明は、像保持体を帯電する帯電手段と、それぞれが複数の発光素子と、当該複数の発光素子のそれぞれに対応して設けられ、点灯させる発光素子を記憶する複数の記憶素子とを含み、2以上の発光素子を並行して点灯させうる複数の発光チップと、当該複数の発光チップを、M群(Mは2以上の整数)に分け、当該M群のそれぞれの群に属する発光チップに共通に、当該複数の発光素子から点灯させる発光素子の選択を許可する許可信号を送信する許可信号供給手段と、当該複数の発光チップを、N組(Nは2以上の整数)に分け、それぞれの組に属する発光チップに共通に、当該許可信号により選択が許可された発光チップにおいて、当該複数の発光素子のうち点灯させる発光素子に対応する記憶素子を記憶状態または記憶しない状態のいずれか一方に設定する書込信号を送信する書込信号供給手段と、当該複数の発光チップに対して、当該記憶状態の記憶素子に対応する発光素子に点灯のための点灯信号を送信する点灯信号供給手段とを備え、前記像保持体を露光して静電潜像を形成する露光手段と、前記露光手段から照射される光を前記像保持体上に結像させる光学手段と、前記像保持体に形成された前記静電潜像を現像する現像手段と、前記像保持体に現像された画像を被転写体に転写する転写手段とを備える画像形成装置である。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、発光装置の配線数の増加を抑制できる。
請求項2の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、発光装置の配線数の増加をより抑制できる。
請求項3および4の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、発光装置を制御する信号がより容易に構成できる。
請求項5の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、発光装置の制御がより容易にできる。
請求項6の発明によれば、本構成を有しない場合に比較して、大きさがより小さいプリントヘッドが実現できる。
請求項7の発明によれば、本構成を有しない場合に比較して、大きさがより小さい画像形成装置が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第1の実施の形態が適用される画像形成装置の全体構成の一例を示した図である。
【図2】プリントヘッドの構成を示した断面図である。
【図3】第1の実施の形態における発光装置の上面図である。
【図4】発光チップの端子構成を示した図である。
【図5】第1の実施の形態における発光装置の回路基板上の配線構成(左半分)を示した図である。
【図6】第1の実施の形態における発光装置の回路基板上の配線構成(右半分)を示した図である。
【図7】第1の実施の形態における発光装置の発光チップをマトリクスの各要素に配置して示した図である。
【図8】第1の実施の形態における自己走査型発光素子アレイ(SLED)である発光チップの回路構成を説明するための等価回路図である。
【図9】第1の実施の形態における発光チップの平面レイアウト図および断面図である。
【図10】第1の実施の形態における発光装置の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図11】第1の実施の形態を用いない場合の、自己走査型発光素子アレイ(SLED)である発光チップの回路構成を説明するための等価回路図である。
【図12】第1の実施の形態を用いない場合の発光装置において、発光チップをマトリクスの各要素に配置して示した図である。
【図13】点灯信号φIを供給する定電流源の一例を説明する図である。
【図14】第2の実施の形態における自己走査型発光素子アレイ(SLED)である発光チップの回路構成を説明するための等価回路図である。
【図15】第2の実施の形態における発光装置の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図16】第3の実施の形態における自己走査型発光素子アレイ(SLED)である発光チップの回路構成を説明するための等価回路図である。
【図17】第4の実施の形態における自己走査型発光素子アレイ(SLED)である発光チップの回路構成を説明するための等価回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
(第1の実施の形態)
図1は第1の実施の形態が適用される画像形成装置1の全体構成の一例を示した図である。図1に示す画像形成装置1は、一般にタンデム型と呼ばれる画像形成装置である。この画像形成装置1は、各色の画像データに対応して画像形成を行なう画像形成プロセス部10、画像形成プロセス部10を制御する画像出力制御部30、例えばパーソナルコンピュータ(PC)2や画像読取装置3に接続され、これらから受信された画像データに対して予め定められた画像処理を施す画像処理部40を備えている。
【0014】
画像形成プロセス部10は、予め定められた間隔を置いて並列的に配置される複数のエンジンからなる画像形成ユニット11を備えている。この画像形成ユニット11は、4つの画像形成ユニット11Y、11M、11C、11Kから構成されている。画像形成ユニット11Y、11M、11C、11Kは、それぞれ、静電潜像を形成してトナー像を保持する像保持体の一例としての感光体ドラム12、感光体ドラム12の表面を予め定められた電位で帯電する帯電手段の一例としての帯電器13、帯電器13によって帯電された感光体ドラム12を露光するプリントヘッド14、プリントヘッド14によって得られた静電潜像を現像する現像手段の一例としての現像器15を備えている。ここで、各画像形成ユニット11Y、11M、11C、11Kは、現像器15に収納されたトナーを除いて、同様に構成されている。そして、画像形成ユニット11Y、11M、11C、11Kは、それぞれがイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)のトナー像を形成する。
また、画像形成プロセス部10は、各画像形成ユニット11Y、11M、11C、11Kの感光体ドラム12にて形成された各色のトナー像を被転写体の一例としての記録用紙に多重転写させるために、この記録用紙を搬送する用紙搬送ベルト21と、用紙搬送ベルト21を駆動させるロールである駆動ロール22と、感光体ドラム12のトナー像を記録用紙に転写させる転写手段の一例としての転写ロール23と、記録用紙にトナー像を定着させる定着器24とを備えている。
【0015】
この画像形成装置1において、画像形成プロセス部10は、画像出力制御部30から供給される各種の制御信号に基づいて画像形成動作を行う。そして、画像出力制御部30による制御の下で、パーソナルコンピュータ(PC)2や画像読取装置3から受信された画像データは、画像処理部40によって画像処理が施され、画像形成ユニット11に供給される。そして、例えば黒(K)色の画像形成ユニット11Kでは、感光体ドラム12が矢印A方向に回転しながら、帯電器13により予め定められた電位に帯電され、画像処理部40から供給された画像データに基づいて発光するプリントヘッド14により露光される。これにより、感光体ドラム12上には、黒(K)色画像に関する静電潜像が形成される。そして、感光体ドラム12上に形成された静電潜像は現像器15により現像され、感光体ドラム12上には黒(K)色のトナー像が形成される。同様に、画像形成ユニット11Y、11M、11Cにおいても、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各色トナー像が形成される。
【0016】
各画像形成ユニット11で形成された感光体ドラム12上の各色トナー像は、矢印B方向に移動する用紙搬送ベルト21の移動に伴って供給された記録用紙に、転写ロール23に印加された転写電界により、順次静電転写され、記録用紙上に各色トナーが重畳された合成トナー像が形成される。
その後、合成トナー像が静電転写された記録用紙は、定着器24まで搬送される。定着器24に搬送された記録用紙上の合成トナー像は、定着器24によって熱および圧力による定着処理を受けて記録用紙上に定着され、画像形成装置1から排出される。
【0017】
図2は、プリントヘッド14の構成を示した断面図である。このプリントヘッド14は、ハウジング61、感光体ドラム12を露光する複数の発光素子(本実施の形態では発光サイリスタ)からなる発光部63を備えた露光手段の一例としての発光装置65、発光部63から出射された光を感光体ドラム12表面に結像させる光学手段の一例としてのロッドレンズアレイ64を備えている。
発光装置65は、発光部63、発光部63を駆動する信号発生回路100(後述の図3参照)等を搭載する回路基板62を備えている。
【0018】
ハウジング61は、例えば金属で形成され、回路基板62およびロッドレンズアレイ64を支持し、発光部63の発光素子における発光点とロッドレンズアレイ64の焦点面とが一致するように設定されている。また、ロッドレンズアレイ64は、感光体ドラム12の軸方向(主走査方向)に沿って配置されている。
【0019】
図3は、第1の実施の形態における発光装置65の上面図である。
図3に示すように、本実施の形態における発光装置65では、発光部63は、回路基板62上に、5個の発光チップCa1〜Ca5(発光チップ群#a)、同じく5個の発光チップCb1〜Cb5(発光チップ群#b)、同じく5個の発光チップCc1〜Cc5(発光チップ群#c)、5個の発光チップCd1〜Cd5(発光チップ群#d)が主走査方向に二列に千鳥状に配置して構成されている。ここでは、発光チップ群#aの発光チップCa1〜Ca5と、発光チップ群#cの発光チップCc1〜Cc5とが向き合うように千鳥状に配置され、発光チップ群#bの発光チップCb1〜Cb5と発光チップ群#dの発光チップCd1〜Cd5とが向き合うように千鳥状に配置されている。
なお、発光チップCa1〜Ca5、Cb1〜Cb5、Cc1〜Cc5、Cd1〜Cd5の構成は同一であってよい。よって、発光チップCa1〜Ca5、Cb1〜Cb5、Cc1〜Cc5、Cd1〜Cd5をそれぞれ区別しないときは、発光チップCと表記する。
【0020】
本実施の形態では、上述したように、4つの発光チップ群(発光チップ群#a、#b、#c、#d)を備えている。すなわち、発光チップ群#aは5個の発光チップCa1〜Ca5を、発光チップ群#bは5個の発光チップCb1〜Cb5を、発光チップ群#cは5個の発光チップCc1〜Cc5を、発光チップ群#dは5個の発光チップCd1〜Cd5を備えている。
以下の説明において、発光チップ群を群と略すことがある。
【0021】
さらに、本実施の形態では、後述するように、4つの発光チップ群(発光チップ群#a、#b、#c、#d)に属する発光チップCは、5つの発光チップ組(発光チップ組#1、#2、#3、#4、#5)に分けられている(後述する図7参照)。すなわち、発光チップ組#1は、発光チップ群#aの発光チップCa1、発光チップ群#bの発光チップCb1、発光チップ群#cの発光チップCc1、発光チップ群#dの発光チップCd1を備える。
発光チップ組#2は、発光チップ群#aの発光チップCa2、発光チップ群#bの発光チップCb2、発光チップ群#cの発光チップCc2、発光チップ群#dの発光チップCd2を備える。他の発光チップ組(発光チップ組#3、#4、#5)も同様に、発光チップ組の番号と同じ番号の発光チップCから構成されている。
以下の説明において、発光チップ組を組と略すことがある。
【0022】
そして、発光装置65は、前述したように、発光部63を駆動する信号発生回路100を備えている。
なお、本実施の形態では、発光チップCの数として、合計20個を用いたが、これに限定されない。また、20個の発光チップCを4つの発光チップ群と5つの発光チップ組とに分けたが、これに限定されない。
【0023】
図4は、発光チップCの端子構成を示した図である。
発光チップCは、矩形の基板80(後述する図9参照)上に、長辺の一方に沿って列状に設けられた複数の発光素子(本実施の形態では発光サイリスタL1、L2、L3、…)からなる発光素子列90を備えている。さらに、発光チップCは、基板80の長辺方向の両端部に、各種の制御信号等を取り込むためのボンディングパッドである複数の入力端子(φ1端子、φ2端子、Vga端子、φW端子、φE端子、φI端子)を備えている。なお、これらの入力端子は、発光素子列90を手前に見て、基板80の左端部からφ1端子、φ2端子、Vga端子の順に設けられ、基板80の右端部からφI端子、φE端子、φW端子の順に設けられている。そして、発光素子列90は、Vga端子とφW端子との間に設けられている。
【0024】
図5および図6は、第1の実施の形態における発光装置65の回路基板62上の配線構成を示した図である。前述したように、発光装置65の回路基板62には、信号発生回路100および発光部63を構成する複数の発光チップC(発光チップCa1〜Ca5、Cb1〜Cb5、Cc1〜Cc5、Cd1〜Cd5)が搭載され、信号発生回路100と発光チップC(発光チップCa1〜Ca5、Cb1〜Cb5、Cc1〜Cc5、Cd1〜Cd5)とを相互に接続する配線が設けられている。
図5は、発光チップC(発光チップCa1〜Ca5、Cc1〜Cc5)の部分(図3に示した発光装置65の左半分)を示し、図6は発光チップC(Cb1〜Cb5、Cd1〜Cd5)の部分(図3に示した発光装置65の右半分)を示す。
なお、図5および図6では、それぞれの図に示された発光チップC(発光チップCa1〜Ca5、Cc1〜Cc5)、発光チップC(Cb1〜Cb5、Cd1〜Cd5)に関連する部分のみを示している。そして、図5および図6には、それぞれに示された発光チップCに関連する配線を示している。さらに、図5および図6には、信号発生回路100を分けて、それぞれに示された発光チップCに関連する部分を、信号発生回路100Lおよび信号発生回路100Rとして示した。ただし、信号発生回路100Lおよび信号発生回路100Rには、後述する書込信号φW1〜φW2を送信する書込信号発生部103およびVga、Vsubが重複して記載されている。なお、以下では、信号発生回路100Lおよび信号発生回路100Rを区別せず、信号発生回路100として説明する。
【0025】
まず、図5および図6により、信号発生回路100の構成について説明する。
信号発生回路100には、図示しないが、画像出力制御部30および画像処理部40(図1参照)より、画像処理された画像データおよび各種の制御信号が入力される。信号発生回路100は、これらの画像データおよび各種の制御信号に基づいて、画像データの並び替えや光量の補正等を行う。
そして、信号発生回路100は、各種の制御信号に基づき、図5に示すように発光チップ群#a(発光チップCa1〜Ca5)に対して、第1転送信号φ1aと第2転送信号φ2aとを送信する転送信号発生部101aと、発光チップ群#c(発光チップCc1〜Cc5)に対して、第1転送信号φ1cと第2転送信号φ2cとを送信する転送信号発生部101cと、図6に示すように発光チップ群#b(発光チップCb1〜Cb5)に対して、第1転送信号φ1bと第2転送信号φ2bとを送信する転送信号発生部101bと、発光チップ群#d(発光チップCd1〜Cd5)に対して、第1転送信号φ1dと第2転送信号φ2dとを送信する転送信号発生部101dとを備えている。
以下の説明において、第1転送信号φ1a、φ1b、φ1c、φ1dをそれぞれ区別しないときは第1転送信号φ1と呼び、第2転送信号φ2a、φ2b、φ2c、φ2dをそれぞれ区別しないときは第2転送信号φ2と表記する。
【0026】
さらに、信号発生回路100は、各種の制御信号に基づき、図5に示すように発光チップ群#a(発光チップCa1〜Ca5)に対して、許可信号φEaを送信する許可信号発生部102aと、発光チップ群#c(発光チップCc1〜Cc5)に対して、許可信号φEcを送信する許可信号発生部102cと、図6に示すように発光チップ群#b(発光チップCb1〜Cb5)に対して、許可信号φEbを送信する許可信号発生部102bと、発光チップ群#d(発光チップCd1〜Cd5)に対して、許可信号φEdを送信する許可信号発生部102dとを備えている。
以下の説明において、許可信号φEa、φEb、φEc、φEdをそれぞれ区別しないときは許可信号φEと表記する。
【0027】
さらにまた、信号発生回路100は、図5に示すように発光チップ群#aの発光チップCa1〜Ca5のそれぞれに対して、点灯信号φIa1〜φIa5をそれぞれ送信する点灯信号発生部104aと、発光チップ群#cの発光チップCc1〜Cc5それぞれに対して、点灯信号φIc1〜φIc5をそれぞれ送信する点灯信号発生部104cと、図6に示すように発光チップ群#bの発光チップCb1〜Cb5のそれぞれに対して、点灯信号φIb1〜φIb5をそれぞれ送信する点灯信号発生部104bと、発光チップ群#dの発光チップCd1〜Cd5のそれぞれに対して、点灯信号φId1〜φId5をそれぞれ送信する点灯信号発生部104dとを備えている。
以下の説明において、点灯信号φIa1〜φIa5をそれぞれ区別しないときは、点灯信号φIaと表記する。他の点灯信号φIb1〜φIb5、φIc1〜φIc5、φId1〜φId5も同様にそれぞれ点灯信号φIb、φIc、φIdと表記する。さらに、点灯信号φIa、φIb、φIc、φIdをそれぞれ区別しないときは点灯信号φIと表記する。
【0028】
そして、信号発生回路100は、各種の制御信号に基づき、図5および図6に示すように、発光チップC(Ca1〜Ca5、Cb1〜Cb5、Cc1〜Cc5、Cd1〜Cd5)に書込信号φW1〜φW5を供給する書込信号供給手段の一例としての書込信号発生部103を備えている。なお、書込信号発生部103は、発光チップ組(#1、#2、#3、#4、#5)毎に共通に、書込信号φW1〜φW5をそれぞれ送信する。すなわち、書込信号発生部103は発光チップ組#1の発光チップCに共通に書込信号φW1を送信し、発光チップ組#2の発光チップCに共通に書込信号φW2を送信する。他の発光チップ組(#3、#4、#5)についても同様である。
ここで、書込信号φW1〜φW5をそれぞれ区別しないときは、書込信号φWと表記する。
【0029】
なお、図5および図6では、転送信号発生部101a、101b、101c、101dを分けて示したが、これらをまとめて転送信号供給手段の一例としての転送信号発生部101と表記する。同様に、許可信号発生部102a、102b、102c、102dを分けて示したが、これらをまとめて許可信号供給手段の一例としての許可信号発生部102と表記する。さらに同様に、点灯信号発生部104a、104b、104c、104dを分けて示したが、これらをまとめて点灯信号供給手段の一例としての点灯信号発生部104と表記する。
【0030】
次に、図5および図6により、信号発生回路100と発光チップC(Ca1〜Ca5、Cb1〜Cb5、Cc1〜Cc5、Cd1〜Cd5)とを相互に接続する配線について説明する。
回路基板62には、発光チップCの裏面に設けられた裏面電極85(後述する図9参照)であるVsub端子(後述の図8および図9参照)に接続され、基準電位Vsubを与える電源ライン200aが設けられている。そして、回路基板62には、発光チップCに設けられたVga端子に接続され、電力供給のための電源電位Vgaを与える電源ライン200bが設けられている。
【0031】
また、図5に示すように、回路基板62には、信号発生回路100の転送信号発生部101aから、発光チップ群#aの発光チップCa1〜Ca5のφ1端子に、第1転送信号φ1aを送信するための第1転送信号ライン201a、および発光チップ群#aの発光チップCa1〜Ca5のφ2端子に、第2転送信号φ2aを送信するための第2転送信号ライン202aが設けられている。第1転送信号φ1aおよび第2転送信号φ2aは、発光チップ群#aの発光チップCa1〜Ca5に共通(並列)に送信される。他の第1転送信号φ1b、φ1c、φ1dおよび第2転送信号φ2b、φ2c、φ2dについても、同様であるので説明を省略する。
一組の第1転送信号φ1と第2転送信号φ2とが、発光チップ群毎に共通に送信される。
なお、図5および図6では、信号ラインは数字と群を示すアルファベットとの組み合わせ(例えば、第1転送信号ラインは201と発光チップ群#aを示すaによる201a)により示している。
【0032】
回路基板62には、信号発生回路100の許可信号発生部102aから、発光チップ群#aの発光チップCa1〜Ca5のφE端子に、許可信号φEaを送信するための許可信号ライン203aが設けられている。許可信号φEaは、発光チップ群#aの発光チップCa1〜Ca5に共通(並列)に送信される。他の許可信号φEb〜φEdも同様であるので説明を省略する。
許可信号φEは、発光チップ群毎に共通に送信される。
【0033】
さらに、回路基板62には、信号発生回路100の点灯信号発生部104aから、発光チップ群#aの発光チップCa1〜Ca5のそれぞれのφI端子に、点灯信号φIa1〜φIa5を送信するための点灯信号ライン204_1a〜204_5aが設けられている。すなわち、点灯信号φIaは、発光チップCa1〜Ca5のそれぞれに個別に送信される。他の点灯信号φIb1〜φIb5、φIc1〜φIc5、φId1〜φId5についても同様であるので説明を省略する。
点灯信号φIは、発光チップCにそれぞれ個別に送信される。
【0034】
さらにまた、回路基板62には、信号発生回路100の書込信号発生部103から、発光チップ組(#1〜#5)毎に共通に書込信号φW(φW1〜φW5)を送信する書込信号ライン205_1〜205_5が設けられている。
例えば、書込信号ライン205_1は、発光チップ組#1に属する発光チップ群#aの発光チップCa1、発光チップ群#bの発光チップCb1、発光チップ群#cの発光チップCc1、発光チップ群#dの発光チップCd1のそれぞれのφW端子に接続され、書き込み信号φW1を送信する。同様にして、書込信号ライン205_2〜205_5は、それぞれ発光チップ組#2〜#5の発光チップCのφW端子に共通に接続され、それぞれ書き込み信号φW2〜φW5を送信する。
【0035】
以上説明したように、回路基板62上のすべての発光チップCには、基準電位Vsubと電源電位Vgaが共通に供給される。
転送信号φ1、φ2、許可信号φEは、発光チップ群(#a〜#d)毎に共通に送信される。
一方、書込信号φWは、発光チップ組(#1〜#5)毎に共通に送信される。
そして、点灯信号φIは、発光チップC毎に個別に送信される。
【0036】
図7は、第1の実施の形態における発光装置65の発光チップCをマトリクスの各要素に配置して示した図である。
図7では、発光チップC(発光チップCa1〜Ca5、Cb1〜Cb5、Cc1〜Cc5、Cd1〜Cd5)を4×5のマトリクスの各要素に配置して、上記した信号発生回路100からそれぞれの発光チップCに送信される信号(転送信号φ1、φ2、許可信号φE、点灯信号φI、書込信号φW)の配線(信号ライン)のみを示している。
上述したように、転送信号φ1、φ2、許可信号φEは、発光チップ群(#a〜#d)毎に共通に送信され、書込信号φWは、発光チップ組(#1〜#5)毎に共通に送信され、点灯信号φIは、発光チップC毎に個別に送信されることが分かる。
【0037】
ここで、20個の発光チップCを用いる本実施の形態における回路基板62上の配線(信号ライン)の本数について説明する。まず、転送信号φ1、φ2用の配線(信号ライン)は、発光チップ群毎に2本であるので、4つの発光チップ群(#a〜#d)で8本である。許可信号φE用の配線(信号ライン)は、発光チップ群毎に1本であるので、4つの発光チップ群(#a〜#d)で4本である。書込信号φW用の配線(信号ライン)は、発光チップ組毎に1本であるので、5つの発光チップ組(#1〜#5)で5本である。点灯信号φI用の配線(信号ライン)は、発光チップC毎に1本であるので、20個の発光チップCに対して20本である。これに、基準電位Vsub用の電源ライン200aおよび電源電位Vga用の電源ライン200bが加わる。よって、本実施の形態における回路基板62上の配線(信号ライン)の本数は39本となる。
【0038】
なお、発光チップCの数がM×N個(M群、N組)であるとすると、転送信号φ1、φ2用の配線(信号ライン)は、発光チップ群毎に2本であるので、M個の発光チップ群で2×M本である。許可信号φE用の配線(信号ライン)は、発光チップ群毎に1本であるので、M個の発光チップ群でM本である。書込信号φW用の配線(信号ライン)は、発光チップ組毎に1本であるので、N個の発光チップ組でN本である。点灯信号φI用の配線(信号ライン)は、発光チップC毎に1本であるので、M×N本である。これに、基準電位Vsub用の電源ライン200aおよび電源電位Vga用の電源ライン200bが加わる。よって、発光チップCの数がM×N個である回路基板62上の配線(信号ライン)の本数は(3×M+N+M×N+2)本となる。
【0039】
図8は、第1の実施の形態における自己走査型発光素子アレイ(SLED)である発光チップCの回路構成を説明するための等価回路図である。なお、図8では、図4と異なり、入力端子(Vga端子、φ1端子、φ2端子、φE端子、φW端子、φI端子)を図中左端に示した。しかし、入力端子(Vga端子、φ1端子、φ2端子、φE端子、φW端子、φI端子)を除いて、以下に説明する各素子は、後述する図9に示すように、発光チップCにおける各素子のレイアウトに基づいて配置されている。
ここでは、発光チップCa1を例にして発光チップCを説明し、発光チップCa1(C)と表記する。なお、他の発光チップC(Ca2〜Ca5、Cb1〜Cb5、Cc1〜Cc5、Cd1〜Cd5)の構成は、発光チップCa1と同じである。
なお、第1転送信号φ1などの信号についても、発光チップCa1に対する信号と、区別しない信号とを組み合わせて、例えば第1転送信号φ1a(φ1)と表記する。
【0040】
発光チップCa1(C)は、前述したように基板80(後述する図9参照)上に列状に配列された発光素子の一例としての発光サイリスタL1、L2、L3、…からなる発光サイリスタ列(図4の発光素子列90)を備えている。
さらに、発光チップCa1(C)は、発光サイリスタ列と同様に列状に配列された転送素子の一例としての転送サイリスタT1、T2、T3、…からなる転送サイリスタ列および同様に列状に配列された記憶素子の一例としての記憶サイリスタM1、M2、M3、…からなる記憶サイリスタ列を備えている。
ここでは、発光サイリスタL1、L2、L3、…、転送サイリスタT1、T2、T3、…、記憶サイリスタM1、M2、M3、…をそれぞれ区別しないときは、それぞれ発光サイリスタL、転送サイリスタT、記憶サイリスタMと表記する。
なお、上記のサイリスタ(発光サイリスタL、転送サイリスタT、記憶サイリスタM)は、アノード端子、カソード端子、ゲート端子の3端子を有する半導体素子である。
【0041】
また、発光チップCa1(C)は、転送サイリスタT1、T2、T3、…を番号順に2つをペアにしてそれぞれの間に結合ダイオードDx1、Dx2、Dx3、…を備えている。そして、転送サイリスタT1、T2、T3、…と記憶サイリスタM1、M2、M3、…との間に接続ダイオードDy1、Dy2、Dy3、…を備えている。
さらに、電源線抵抗Rgx1、Rgx2、Rgx3、…、電源線抵抗Rgy1、Rgy2、Rgy3、…を備えている。
ここで、発光サイリスタLなどと同様に、結合ダイオードDx1、Dx2、Dx3、…、接続ダイオードDy1、Dy2、Dy3、…、電源線抵抗Rgx1、Rgx2、Rgx3、…、電源線抵抗Rgy1、Rgy2、Rgy3、…をそれぞれ区別しないときは、それぞれ結合ダイオードDx、接続ダイオードDy、電源線抵抗Rgx、電源線抵抗Rgyと表記する。
【0042】
そして、発光サイリスタ列の発光サイリスタL1、L2、L3、…、転送サイリスタ列の転送サイリスタT1、T2、T3、…、記憶サイリスタ列の記憶サイリスタM1、M2、M3、…は、図8中において、左側から番号順に配列されている。さらに、結合ダイオードDx1、Dx2、Dx3、…、接続ダイオードDy1、Dy2、Dy3、…、電源線抵抗Rgx1、Rgx2、Rgx3、…、電源線抵抗Rgy1、Rgy2、Rgy3、…も、同様に、図中左側から番号順に配列されている。
そして、発光サイリスタ列、転送サイリスタ列、記憶サイリスタ列は、図8中上から、転送サイリスタ列、記憶サイリスタ列、発光サイリスタ列の順に並べられている。
【0043】
図8は、発光サイリスタL1〜L4、記憶サイリスタM1〜M4、転送サイリスタT1〜T4を中心とした部分を示している。しかし、発光サイリスタ列における発光サイリスタLの数は、予め定められた個数とすればよい。発光サイリスタLの数を例えば128個とすると、転送サイリスタT、記憶サイリスタMのそれぞれの数も128個である。同様に、接続ダイオードDy、電源線抵抗Rgx、電源線抵抗Rgyの数も128個である。しかし、結合ダイオードDxの数は、転送サイリスタTの数より1少ない127個である。
なお、転送サイリスタTおよび記憶サイリスタMのそれぞれの数は、発光サイリスタLの数より多くてもよい。
【0044】
そして、発光チップCa1(C)は、1個のスタートダイオードDx0を備えている。さらに、後述する第1転送信号φ1a(φ1)を送信する第1転送信号線72と第2転送信号φ2a(φ2)を送信する第2転送信号線73とに過剰な電流が流れるのを防止するための電流制限抵抗R1および電流制限抵抗R2を備えている。さらにまた、書込抵抗RW1およびRW2、許可抵抗RE1およびRE2を備えている。
【0045】
では次に、発光チップCa1(C)における各素子の電気的な接続について説明する。
転送サイリスタTのアノード端子、記憶サイリスタMのアノード端子、発光サイリスタLのアノード端子は、発光チップC1の基板80に接続されている(アノードコモン)。
そして、これらのアノード端子は、基板80裏面に設けられた裏面電極85(後述の図9参照)であるVsub端子を介して電源ライン200a(図5および図6参照)に接続されている。この電源ライン200aに、基準電位Vsubが供給される。
【0046】
転送サイリスタTの配列に沿って、奇数番目の転送サイリスタT1、T3、…のカソード端子は第1転送信号線72に接続されている。そして、第1転送信号線72は、電流制限抵抗R1を介して、第1転送信号φ1a(φ1)の入力端子であるφ1端子に接続されている。このφ1端子には、第1転送信号ライン201a(図5参照)が接続され、第1転送信号φ1aが送信される。
【0047】
一方、転送サイリスタTの配列に沿って、偶数番目の転送サイリスタT2、T4、…のカソード端子は第2転送信号線73に接続されている。そして、第2転送信号線73は、電流制限抵抗R2を介して、第2転送信号φ2a(φ2)の入力端子であるφ2端子に接続されている。このφ2端子には、第2転送信号ライン202a(図5参照)が接続され、第2転送信号φ2aが送信される。
【0048】
記憶サイリスタMの配列に沿って、奇数番目の記憶サイリスタM1、M3、…のカソード端子は第1書込信号線74aに接続されている。そして、第1書込信号線74aは、書込抵抗RW1を介して、書込信号φW1の入力端子であるφW端子に接続されている。このφW端子には、書込信号ライン205_1(図5参照)が接続され、書込信号φW1(φW)が送信される。
一方、記憶サイリスタMの配列に沿って、偶数番目の記憶サイリスタM2、M4、…のカソード端子は第2書込信号線74bに接続されている。そして、第2書込信号線74bは、書込抵抗RW2を介して、書込信号φW1の入力端子であるφW端子に接続されている。
また、第1書込信号線74aは、記憶サイリスタM1のアノード端子と書込抵抗RW1との間において、許可抵抗RE1を介して、許可信号φEa(φE)の入力端子であるφE端子に接続されている。このφE端子には、許可信号ライン203a(図5参照)が接続され、許可信号φEa(φE)が送信される。
さらに、第2書込信号線74bは、記憶サイリスタM2のアノード端子と書込抵抗RW2との間において、許可抵抗RE2を介して、φE端子に接続されている。
すなわち、第1書込信号線74aおよび第2書込信号線74bは、許可抵抗RE1、RE2と書込抵抗RW1、RW2との作る抵抗ネットワークを介して、φE端子とφW端子とに接続されている。
【0049】
発光サイリスタLのカソード端子は、点灯信号線75に接続されている。そして、点灯信号線75は、点灯信号φIa(φI)の入力端子であるφI端子に接続されている。このφI端子には、点灯信号ライン204_1a(図5参照)が接続され、点灯信号φIa(φI)が送信される。
【0050】
転送サイリスタTのゲート端子Gt1、Gt2、Gt3,…は、同じ番号の記憶サイリスタM1、M2、M3、…のゲート端子Gm1、Gm2、Gm3、…に、1対1で、それぞれ接続ダイオードDy1、Dy2、Dy3、…を介して接続されている。すなわち、接続ダイオードDy1、Dy2、Dy3、…のアノード端子は、転送サイリスタT1、T2、T3、…のゲート端子Gt1、Gt2、Gt3、…に接続され、接続ダイオードDy1、Dy2、Dy3、…のカソード端子は、記憶サイリスタM1、M2、M3、…のゲート端子Gm1、Gm2、Gm3、…に接続されている。すなわち、同じ番号の転送サイリスタTと記憶サイリスタMとが対応して設けられている。
【0051】
一方、記憶サイリスタM1、M2、M3、…のゲート端子Gm1、Gm2、Gm3、…は、同じ番号の発光サイリスタL1、L2、L3、…のゲート端子Gl1、Gl2、Gl3、…に、1対1で接続されている。すなわち、記憶サイリスタM1、M2、M3、…のゲート端子Gm1、Gm2、Gm3、…は、ゲート端子Gl1、Gl2、Gl3、…と同じ電位である。よって、例えばゲート端子Gm1(Gl1)またはゲート端子Gl1(Gm1)と表記する。すなわち、同じ番号の記憶サイリスタMと発光サイリスタLとが対応して設けられている。
本実施の形態では、同じ番号の転送サイリスタTと記憶サイリスタMと発光サイリスタLとが対応して設けられていることになる。
【0052】
ここでも、ゲート端子Gt1、Gt2、Gt3、…、ゲート端子Gm1、Gm2、Gm3、…、ゲート端子Gl1、Gl2、Gl3、…のそれぞれを区別しないときは、ゲート端子Gt、ゲート端子Gm、ゲート端子Glと表記する。
よって、接続ダイオードDyは、転送サイリスタTのゲート端子Gtから、記憶サイリスタMのゲート端子Gmに電流が流れる方向で接続されている。
【0053】
そして、転送サイリスタTのゲート端子Gtは、転送サイリスタTのそれぞれに対応して設けられた電源線抵抗Rgxを介して電源線71に接続されている。そして、電源線71はVga端子に接続されている。Vga端子は電源ライン200b(図5参照)に接続されて、電源電位Vgaが供給される。
そして、記憶サイリスタMのゲート端子Gmは、記憶サイリスタMのそれぞれに対応して設けられた電源線抵抗Rgyを介して電源線71に接続されている。
【0054】
転送サイリスタT1、T2、T3、…のそれぞれのゲート端子Gt1、Gt2、Gt3、…を番号順に2個ずつペアとしたゲート端子Gt間に、結合ダイオードDx1、Dx2、Dx3、…がそれぞれ接続されている。すなわち、結合ダイオードDx1、Dx2、Dx3、…はそれぞれがゲート端子Gt1、Gt2、Gt3、…で順に挟まれるように直列接続されている。そして、結合ダイオードDx1の向きは、ゲート端子Gt1からゲート端子Gt2に向かって電流が流れる方向に接続されている。他の結合ダイオードDx2、Dx3、Dx4、…についても同様である。
【0055】
そして、転送サイリスタ列の一端側の転送サイリスタT1のゲート端子Gt1は、スタートダイオードDx0のカソード端子に接続されている。スタートダイオードDx0のアノード端子は、第2転送信号線73に接続されている。
【0056】
本実施の形態では、奇数番号の記憶サイリスタMのカソード端子と接続された第1書込信号線74aと、偶数番号の記憶サイリスタMのカソード端子と接続された第2書込信号線74bとを備えている。そして、許可抵抗RE1、RE2および書込抵抗RW1、RW2の値を選ぶことにより、φE端子およびφW端子に印加された電位により、第1書込信号線74aおよび第2書込信号線74bの電位を制御する。これにより、後述するように、奇数番号の発光サイリスタLとそれに続く偶数番号の発光サイリスタLとを並行して(同時に)点灯することを可能にしている。
【0057】
図9は、第1の実施の形態における発光チップCの平面レイアウト図および断面図である。ここでも、発光チップCa1を例として説明する。図9(a)は、発光チップCa1(C)の平面レイアウト図であって、発光サイリスタL1〜L4、記憶サイリスタM1〜M4、転送サイリスタT1〜T4を中心とした部分を示している。図9(b)は、図9(a)に示したIXB−IXB線での断面図である。よって、図9(b)の断面図には、図中下より発光サイリスタL1、記憶サイリスタM1、電源線抵抗Rgy1、接続ダイオードDy1、転送サイリスタT1、結合ダイオードDx1の断面が示されている。なお、図9(a)および(b)の図中には、主要な素子や端子を名前により表記している。
なお、図9(a)では、各素子間を接続する配線を、電源線71を除いて、実線で示している。また、図9(b)では、各素子間を接続する配線の記載を省略している。
【0058】
発光チップCa1(C)は、図9(b)に示すように、例えばGaAsやGaAlAsなどの化合物半導体において、p型の基板80上に、p型の第1半導体層81、n型の第2半導体層82、p型の第3半導体層83およびn型の第4半導体層84が順に積層されたのち、周囲のp型の第1半導体層81、n型の第2半導体層82、p型の第3半導体層83、n型の第4半導体層84を連続してエッチングすることで相互に分離された複数の島(アイランド)(第1アイランド141〜第10アイランド150)を備えている。
【0059】
図9(a)に示すように、第1アイランド141には、発光サイリスタL1および記憶サイリスタM1が設けられている。
第2アイランド142は、図9(a)に示すように、図中において、左右に延びた幹部と幹部から分かれた複数の枝部とから構成されている。そして、幹部に電源線71が設けられ、枝部に電源線抵抗Rgx、Rgyが設けられている。
第3アイランド143には、転送サイリスタT1、結合ダイオードDx1、接続ダイオードDy1が設けられている。第4アイランド144には、スタートダイオードDx0が設けられている。第5アイランド145には電流制限抵抗R1、第6アイランド146には電流制限抵抗R2、第7アイランド147には許可抵抗RE2、第8アイランド148には許可抵抗RE1、第9アイランド149には書込抵抗RW1、第10アイランド150には書込抵抗RW2が設けられている。
そして、発光チップCa1(C)には、第1アイランド141、第3アイランド143と同様なアイランドが、並列して形成されている。これらのアイランドには、発光サイリスタL2、L3、L4、…、記憶サイリスタM2、M3、M4、…、転送サイリスタT2、T3、T4、…等が、第1アイランド141および第3アイランド143と同様に設けられている。これらについては、説明を省略する。
そしてまた、基板80の裏面にはVsub端子となる裏面電極85が設けられている。
【0060】
ここで、図9(a)および(b)により、第1アイランド141〜第10アイランド150について詳細に説明する。
第1アイランド141に設けられた発光サイリスタL1は、基板80をアノード端子、n型の第4半導体層84の領域111上に形成されたn型オーミック電極121をカソード端子、n型の第4半導体層84をエッチング除去して露出させたp型の第3半導体層83上に形成されたp型オーミック電極131をゲート端子Gl1とする。そして、n型オーミック電極121が形成された部分を除くn型の第4半導体層84の領域111表面から光を放出する。
第1アイランド141に設けられた記憶サイリスタM1は、基板80をアノード端子、n型の第4半導体層84の領域112に形成されたn型オーミック電極122をカソード端子、n型の第4半導体層84をエッチング除去して露出させたp型の第3半導体層83上のp型オーミック電極131をゲート端子Gm1とする。p型オーミック電極131は、ゲート端子Gl1とゲート端子Gm1とを兼ねている。
【0061】
第2アイランド142に設けられた電源線71は、n型の第4半導体層84をエッチング除去して露出させたp型の第3半導体層83上に形成されたp型オーミック電極132により形成されている。
同じく第2アイランド142に設けられた電源線抵抗Rgx、Rgyは、n型の第4半導体層84をエッチング除去して露出させたp型の第3半導体層83上に形成された2つのp型オーミック電極間に形成されている。そして、2つのp型オーミック電極間のp型の第3半導体層83を抵抗として用いている。例えば、電源線抵抗Rgy1は、p型の第3半導体層83上に設けられたp型オーミック電極132と133との間に形成されている。
【0062】
第3アイランド143に設けられた転送サイリスタT1は、基板80をアノード端子、n型の第4半導体層84の領域114上に形成されたn型オーミック電極124をカソード端子、n型の第4半導体層84をエッチング除去して露出させたp型の第3半導体層83上に形成されたp型オーミック電極134をゲート端子Gt1とする。
同じく第3アイランド143に設けられた接続ダイオードDy1は、n型の第4半導体層84の領域113上に設けられたn型オーミック電極123をカソード端子、p型の第3半導体層83上に形成されたp型オーミック電極134をアノード端子として形成されている。接続ダイオードDy1のアノード端子と転送サイリスタT1のゲート端子Gt1とはp型オーミック電極134で共通である。
さらに、同じく第3アイランド143に設けられた結合ダイオードDx1は、n型の第4半導体層84の領域115上に設けられたn型オーミック電極125をカソード端子、p型の第3半導体層83上に形成されたp型オーミック電極134をアノード端子として形成されている。結合ダイオードDx1のアノード端子と転送サイリスタT1のゲート端子Gt1とはp型オーミック電極134で共通である。
【0063】
第4アイランド144に設けられたスタートダイオードDx0は、n型の第4半導体層84上に設けられたn型オーミック電極(符号なし)をカソード端子、n型の第4半導体層84を除去して露出させたp型の第3半導体層83上に形成されたp型オーミック電極(符号なし)をアノード端子として形成されている。
第5アイランド145に設けられた電流制限抵抗R1、第6アイランド146に設けられた電流制限抵抗R2、第7アイランド147に設けられた許可抵抗RE2、第8アイランド148に設けられた許可抵抗RE1、第9アイランド149に設けられた書込抵抗RW1は、第10アイランド150に設けられた書込抵抗RW2は、電源線抵抗Rgx1、Rgy1と同様に、p型の第3半導体層83上に形成された一組のp型オーミック電極(符号なし)間のp型の第3半導体層83を抵抗としている。
【0064】
図9(a)において、各素子間の接続関係を説明する。
第1アイランド141の発光サイリスタL1のゲート端子Gl1であるp型オーミック電極131は、第2アイランド142の電源線抵抗Rgy1のp型オーミック電極133に接続され、さらに第3アイランド143の接続ダイオードDy1のカソード端子であるn型オーミック電極123に接続されている。発光サイリスタL1のカソード端子であるn型オーミック電極121は点灯信号線75に接続されている。点灯信号線75はφI端子に接続されている。説明を省略するが、発光サイリスタL2、L3、L4、…についても同様である。
【0065】
第1アイランド141の記憶サイリスタM1(奇数番号の記憶サイリスタM)のカソード端子であるn型オーミック電極122は、第1書込信号線74aに接続されている。そして、第1書込信号線74aは第9アイランド149に設けられた書込抵抗RW1を介してφW端子に接続されている。
第1書込信号線74aは、書込抵抗RW1と記憶サイリスタM1のカソード端子であるn型オーミック電極122との間において、第8アイランド148に設けられた許可抵抗RE1の一方の端子に接続されている。許可抵抗RE1の他方の端子はφE端子に接続されている。
【0066】
一方、隣接して設けられた記憶サイリスタM2(偶数番号の記憶サイリスタM)のカソード端子であるn型オーミック電極(符号なし)は、第2書込信号線74bに接続されている。そして、第2書込信号線74bは第10アイランド150に設けられた書込抵抗RW2を介してφW端子に接続されている。
第2書込信号線74bは、書込抵抗RW2と記憶サイリスタM2のカソード端子であるn型オーミック電極(符号なし)との間において、第7アイランド147に設けられた許可抵抗RE2の一方の端子に接続されている。許可抵抗RE2の他方の端子はφE端子に接続されている。
【0067】
第2アイランド142に設けられた電源線71であるp型オーミック電極132は、電源端子Vgaに接続されている。
そして、第2アイランド142に設けられた電源線抵抗Rgx1のp型オーミック電極(符号なし)は、第3アイランド143に設けられた転送サイリスタT1のゲート端子Gt1であるp型オーミック電極134に接続されている。
【0068】
第3アイランド143に設けられた転送サイリスタT1のカソード端子であるn型オーミック電極124は、第1転送信号線72に接続されている。第1転送信号線72は、第5アイランド145に設けられた電流制限抵抗R1を介してφ1端子に接続されている。
そして、第3アイランド143に設けられた結合ダイオードDx1のカソード端子であるn型オーミック電極125は、隣接して設けられている転送サイリスタT2のゲート端子Gt2であるp型オーミック電極(符号なし)に接続されている。
一方、第3アイランド143に設けられた転送サイリスタT1のゲート端子Gt1であるp型オーミック電極134は、第4アイランド144に設けられたスタートダイオードDx0のカソード端子であるn型の第4半導体層84上に形成されたn型オーミック電極(符号なし)に接続されている。
【0069】
第4アイランド144に設けられたスタートダイオードDx0のアノード端子であるp型の第3半導体層83上に形成されたp型オーミック電極(符号なし)は、偶数番号の転送サイリスタTのカソード端子であるn型の第4半導体層84上に形成されたn型オーミック電極(符号なし)と接続されるとともに、第6アイランド146に設けられた電流制限抵抗R2を介してφ2端子に接続されている。
ここでは説明を省略するが、他の発光サイリスタL、転送サイリスタT、記憶サイリスタM、結合ダイオードDx、接続ダイオードDyについても同様である。
このようにして、図8に示した発光チップCa1(C)の回路構成が形成される。
【0070】
次に、発光装置65の動作について説明する。
発光装置65は発光チップ群#a(発光チップCa1〜Ca5)、発光チップ群#b(発光チップCb1〜Cb5)、発光チップ群#c(発光チップCc1〜Cc5)、発光チップ群#d(発光チップCd1〜Cd5)を備えている(図3、5、6、7参照)。
そして、これらの発光チップCは、発光チップ組#1(発光チップCa1、Cb1、Cc1、Cd1)、発光チップ組#2(発光チップCa2、Cb2、Cc2、Cd2)、発光チップ組#3(発光チップCa3、Cb3、Cc3、Cd3)、発光チップ組#4(発光チップCa4、Cb4、Cc4、Cd4)、発光チップ組#5(発光チップCa5、Cb5、Cc5、Cd5)に分けられている。
【0071】
図5および6に示したように、回路基板62上のすべての発光チップCには、基準電位Vsubと電源電位Vgaが共通に供給される。
そして、発光チップ群毎に、一組の転送信号φ1、φ2、許可信号φEが共通に送信される。発光チップ組毎に、書込信号φWが共通に送信される。
【0072】
図10は、第1の実施の形態における発光装置65の動作を説明するためのタイミングチャートである。
図10では、発光チップ群(#a、#b、#c、#d)のそれぞれに送信される一組の転送信号φ1、φ2、許可信号φEを示している。発光チップ組#1に送信される書込信号φW1も示している。さらに、発光チップ組#1に属する発光チップCa1、Cb1、Cc1、Cd1にそれぞれ送信される点灯信号φIa1、φIb1、φIc1、φId1を示している。そして、これらの信号によって、発光チップCa1、Cb1、Cc1、Cd1のそれぞれにおいて点灯する発光サイリスタLを示している。
すなわち、図10は、発光チップ組#1に属する発光チップCa1、Cb1、Cc1、Cd1の動作を説明するタイミングチャートである。
【0073】
なお、発光チップ組#1〜#5はそれぞれ転送信号φ1、φ2、許可信号φEが共通であるので、他の発光チップ組#2〜#5についても、発光チップ組#1と同様に動作する。よって、他の発光チップ組#2〜#5については、説明を省略する。
【0074】
本実施の形態では、奇数番号の発光サイリスタLとそれに続く偶数番号の発光サイリスタLとの最大2個の発光サイリスタLを並行して点灯することを可能にしている。すなわち、2つの発光サイリスタLを共に点灯、一方のみを点灯、共に消灯としうるようになっている。図10のタイミングチャートでは、すべての発光サイリスタLを点灯(発光)させるとした。
なお、以下では、発光サイリスタLの点灯または非点灯とする制御を点灯制御と表記する。
【0075】
図10のタイミングチャートにおいて、時刻aから時刻wへとアルファベット順に時刻が経過するとする。発光チップ組#1の発光チップCa1、Cb1、Cc1、Cd1のそれぞれの発光サイリスタL1およびL2が、時刻bから時刻vの期間T(1)において点灯制御される。そして、発光チップ組#1の発光チップCa1、Cb1、Cc1、Cd1のそれぞれの発光サイリスタL3およびL4が、時刻vから時刻wの期間T(2)において点灯制御される。なお、図10に示すように、発光チップCa1、Cb1、Cc1、Cd1の発光サイリスタL1、L2が点灯(発光)している期間(点灯期間)は、期間T(1)から次の期間T(2)にかけてである。他の発光サイリスタLについても同様である。
これに引き続き、番号が5以上の発光サイリスタLが点灯制御される。
【0076】
本実施の形態では、期間T(1)、T(2)、…は同じ長さの期間とし、それぞれを区別しないときは期間Tと表記する。
なお、以下に説明する信号の相互の関係が維持されるようにすれば、期間Tの長さを可変としてもよい。
【0077】
期間T(1)、T(2)、…における第1転送信号φ1(φ1a、φ1b、φ1c、φ1d)、第2転送信号φ2(φ2a、φ2b、φ2c、φ2d)、許可信号φE(φEa、φEb、φEc、φEd)は、画像データによって変化する書込信号φW1を除いて、同じ波形の繰り返しである。
したがって、以下では、時刻bから時刻vまでの期間T(1)のみを説明する。なお、時刻aから時刻bまでの期間は、発光チップCが動作を開始する期間である。この期間の信号については、動作の説明において説明する。
【0078】
第1転送信号φ1(φ1a、φ1b、φ1c、φ1d)、第2転送信号φ2(φ2a、φ2b、φ2c、φ2d)および許可信号φE(φEa、φEb、φEc、φEd)について説明する。
第1転送信号φ1aは、時刻bでローレベルの電位(以下、「L」と記す。)であって、時刻fで「L」からハイレベルの電位(以下、「H」と記す。)に移行し、時刻iで「H」から「L」に移行し、時刻uにおいて「L」を維持している。
第2転送信号φ2aは、時刻bで「H」であって、時刻eで「H」から「L」に移行し、時刻jで「L」から「H」に移行し、時刻vにおいて「H」を維持している。
許可信号φEaは、時刻bで「H」から「L」に移行し、時刻iで「L」から「H」に移行し、時刻uにおいて「H」を維持している。
【0079】
次に、第1転送信号φ1bは、時刻bで「H」であって、時刻jで「H」から「L」に移行し、時刻nで「L」から「H」に移行し、時刻qで「H」から「L」に移行し、時刻vにおいて「L」を維持している。
第2転送信号φ2bは、時刻bで「H」であって、時刻mで「H」から「L」に移行し、時刻rで「L」から「H」に移行し、時刻vにおいて「H」を維持している。
許可信号φEbは、時刻bで「H」であって、時刻jで「H」から「L」に移行し、時刻qで「L」から「H」に移行し、時刻vにおいて「H」を維持している。
ここで、発光チップ群#aに送信される一組の信号である第1転送信号φ1a、第2転送信号φ2a、許可信号φEaと、発光チップ群#bに送信される一組の信号である第1転送信号φ1b、第2転送信号φ2b、許可信号φEbとを比較すると、時刻jから時刻rまでの期間の第1転送信号φ1b、第2転送信号φ2b、許可信号φEbのそれぞれの波形は、時刻bから時刻jまでの期間の、第1転送信号φ1a、第2転送信号φ2a、許可信号φEaのそれぞれの波形と同じである。
【0080】
すなわち、発光チップ群#bに送信される一組の信号である第1転送信号φ1b、第2転送信号φ2b、許可信号φEbは、発光チップ群#aに送信される一組の信号である第1転送信号φ1a、第2転送信号φ2a、許可信号φEaを時刻bから時刻jまでに相当する期間を時間軸上で後にずらしたものであって、時刻bを時刻jにずらしたものに相当する。
同様に、発光チップ群#cに送信される一組の信号である第1転送信号φ1c、第2転送信号φ2c、許可信号φEcは、発光チップ群#aに送信される一組の信号である第1転送信号φ1a、第2転送信号φ2a、許可信号φEaの時刻bを時刻rにずらしたものに相当する。
さらに同様に、発光チップ群#dに送信される一組の信号である第1転送信号φ1d、第2転送信号φ2d、許可信号φEdは、発光チップ群#aに送信される一組の信号である第1転送信号φ1a、第2転送信号φ2a、許可信号φEaの時刻bを時刻sにずらしたものに相当する。
ここで、時刻bから時刻jを発光チップ群#aに信号を供給する期間Ta(1)、時刻jから時刻rを発光チップ群#bに信号を供給する期間Tb(1)、時刻rから時刻sを発光チップ群#cに信号を供給する期間Tc(1)、時刻sから時刻tを発光チップ群#dに信号を供給する期間Td(1)と表記する。
【0081】
また、第1転送信号φ1aと第2転送信号φ2aとは、時刻aから時刻bの期間を除いて、ともに「H」になる期間を有さない。すなわち、一方が「H」で他方が「L」の期間と、共に「L」の期間とを繰り返している。
そして、許可信号φEaは、第1転送信号φ1aと第2転送信号φ2aとの少なくとも一方が「L」の期間に「L」となっている。
【0082】
次に、書込信号φW1について説明する。
書込信号φW1は、時刻bにおいて「H」であって、時刻cで「H」から「L」に、時刻dで「L」から「H」に、時刻gで「H」から「L」に、時刻hで「L」から「H」に移行し、期間Ta(1)の終了時刻jで「H」を維持する。後に詳述するが、時刻cから時刻dまでの「L」の期間は、発光サイリスタL1を点灯させることを指示する信号であり、時刻gから時刻hまでの「L」の期間は、発光サイリスタL2を点灯させることを指示する信号である。
以下、期間Ta(1)のおける書込信号φW1の波形が、期間Tb(1)、期間Tc(1)、期間Td(1)において繰り返されている。よって、これらの期間については詳細な説明を省略する。そして、書込信号φW1は、期間T(1)の終了時刻vにおいて、「H」を維持する。
【0083】
次に、点灯信号φI(φIa、φIb、φIc、φId)について説明する。点灯信号φIは、後述するように発光サイリスタLに点灯(発光)のための電流を供給する信号である。
点灯信号φIa1は、時刻bにおいて「H」であって、時刻hで「H」から点灯レベルの電位(以下、「Le」と記す。)(−2.8V<「Le」≦−1.4V)に移行し、時刻uで「Le」から「H」に移行し、時刻vで「H」を維持する。
そして、点灯信号φIb1、φIc1、φId1は、第1転送信号φ1、第2転送信号φ2、許可信号φEと同様に、点灯信号φIa1を時間軸上で後にずらしたものである。よって、点灯信号φIb1、φIc1、φId1については、詳細な説明を省略する。他の、点灯信号φIa2〜φIa5、点灯信号φIb2〜φIb5、点灯信号φIc2〜φIc5、点灯信号φId2〜φId5の関係についても同様であるので、説明を省略する。
なお、「Le」の電位の範囲(−2.8V<「Le」≦−1.4V)については、後述する。
【0084】
後述するように、許可信号φEが「L」の期間において、書込信号φWが「L」になることにより、点灯または非点灯の制御対象である(点灯制御する)発光サイリスタLを点灯(発光)可能な状態(しきい電圧が高い状態)に制御する。よって、例えば、許可信号φEaが「L」である時刻bから時刻iにおいて、書込信号φW1が時刻cから時刻dまでの期間で「L」になり、発光チップCa1の発光サイリスタL1を点灯(発光)可能な状態にし、時刻gから時刻hまでの期間で「L」になり、発光サイリスタL2を点灯(発光)可能な状態にしている。同様に、許可信号φEbが「L」である時刻jから時刻qにおいて、書込信号φW1が時刻kから時刻lまでの期間で「L」になり、発光チップCb1の発光サイリスタL1を点灯(発光)可能な状態にし、時刻oから時刻pまでの期間で「L」になり、発光サイリスタL2を点灯(発光)可能な状態にしている。このように、許可信号φEが「L」の期間に、書込信号φW1が2つの「L」の期間を有するのは、2つの発光サイリスタLを並行して点灯可能にするためである。
【0085】
発光チップCの動作を説明する前に、サイリスタ(転送サイリスタT、記憶サイリスタM、発光サイリスタL)の基本的な動作を説明する。サイリスタは、アノード端子、カソード端子、ゲート端子の3端子を有する半導体素子である。
以下では、例として、図8、図9に示した、サイリスタのアノード端子であるVsub端子に供給される基準電位Vsubを0V(「H」)、Vga端子に供給される電源電位Vgaを−3.3V(「L」)とする。そして、サイリスタは、図9に示したように、GaAs、GaAlAs等によるp型半導体層、n型半導体層を積層して構成されているとし、pn接合の拡散電位(順方向電位)Vdを1.4Vとして、以下では数値で説明する。
【0086】
アノード端子とカソード端子との間に電流が流れていないオフ状態のサイリスタは、しきい電圧Vより低い電位(負側に大きい電位)がカソード端子に印加されるとオン状態に移行(ターンオン)する。サイリスタがターンオンすると、アノード端子とカソード端子との間に電流が流れた状態(オン状態)になる。ここで、サイリスタのしきい電圧は、ゲート端子の電位から拡散電位Vdを引いた値である。よって、サイリスタのゲート端子の電位が−1.4Vになると、しきい電圧は−2.8Vとなる。すなわち、−2.8Vより低い電圧がカソード端子に印加されると、サイリスタがターンオンする。
そして、オン状態のサイリスタのゲート端子は、サイリスタのアノード端子の電位に近い電位になる。ここでは、アノード端子を0V(「H」)に設定しているので、ゲート端子の電位は0V(「H」)となるとして説明する。また、オン状態のサイリスタのカソード端子はpn接合の拡散電位Vdになる。ここでは、カソード端子の電位は−1.4Vとなる。
【0087】
サイリスタは、ターンオンすると、カソード端子の電位が、オン状態を維持するために必要な電位より高い電位になるまで、オン状態を維持する。オン状態のサイリスタのカソード端子の電位は−1.4Vであるので、サイリスタは、カソード端子に−1.4Vより高い電位が印加されると、オフ状態に移行(ターンオフ)する。例えば、カソード端子が「H」(0V)になれば、カソード端子がアノード端子と同電位になるので、サイリスタはターンオフする。
一方、サイリスタは、カソード端子に−1.4Vより低い電位(維持電圧)が継続的に印加され、サイリスタのオン状態を維持しうる電流が供給されると、オン状態を維持する。
以上のことから、サイリスタは、オン状態になると電流が流れた状態を維持し、ゲート端子の電位によってはオフ状態に移行しない。すなわち、サイリスタはオン状態を維持(記憶、保持)する機能を有している。
そして、サイリスタのオン状態を維持するためにカソード端子に印加し続ける電位は、サイリスタをターンオンさせるためにカソード端子に印加する電位に比べ高くてよい。
なお、発光サイリスタLは、ターンオンすると点灯(発光)し、ターンオフすると消灯(非点灯)する。オン状態の発光サイリスタLの発光出力(発光量)は、カソード端子とアノード端子間に流す電流によって決められる。
【0088】
次に、許可抵抗RE1、RE2と、書込抵抗RW1、RW2について説明する。
第1書込信号線74aおよび第2書込信号線74bは、許可抵抗RE1、RE2と書込抵抗RW1、RW2との作る抵抗ネットワークを介して、φE端子とφW端子とに接続されている。よって、第1書込信号線74aおよび第2書込信号線74bの電位は、φE端子およびφW端子の電位と、許可抵抗RE1、RE2および書込抵抗RW1、RW2の値とで決まる。
本実施の形態において、例えばRE1=RE2=1kΩ、RW1=RW2=2kΩとする。
表1は、いずれの記憶サイリスタMもオン状態にない場合において、φE端子(許可信号φE)(φEと表記)とφW端子(書込信号φW1)(φWと表記)の電位により設定される第1書込信号線74aおよび第2書込信号線74bの電位を示している。
すなわち、φE端子とφW端子とが共に0V(「H」)であれば、第1書込信号線74aおよび第2書込信号線74bの電位は0V(「H」)となり、φE端子とφW端子とが共に−3.3V(「L」)であれば、第1書込信号線74aおよび第2書込信号線74bの電位は−3.3V(L)となる。一方、φE端子およびφW端子の一方が、0V(「H」)で他方が−3.3V(「L」)であれば、許可抵抗RE1(RE2)と書込抵抗RW1(RW2)とで分割された電位である−2.2Vまたは−1.1Vになる。
なお、奇数番号の記憶サイリスタMがオン状態にあると、第1書込信号線74aの電位は−1.4Vになる。しかし、偶数番号の記憶サイリスタMがオフ状態にあれば、第2書込信号線74bの電位は、オン状態にある奇数番号の記憶サイリスタMの影響を受けず、表1に示した電位となる。
【0089】
【表1】

【0090】
では、図5、6および図8を参照しつつ、図10に示したタイミングチャートにしたがって、発光装置65の動作を説明する。
(1)時刻a
発光装置65に基準電位Vsubおよび電源電位Vgaの供給を開始した時刻aでの状態(初期状態)について説明する。
<発光装置65>
図10に示したタイミングチャートの時刻aにおいて、電源ライン200aは「H」(0V)の基準電位Vsubに設定され、電源ライン200bは「L」(−3.3V)の電源電位Vgaに設定される(図5および図6参照)。よって、すべての発光チップCのそれぞれのVsub端子は「H」に設定され、それぞれのVga端子は「L」に設定される(図8参照)。
【0091】
そして、信号発生回路100の転送信号発生部101a、101b、101c、101dは第1転送信号φ1a、第2転送信号φ2a、第1転送信号φ1b、第2転送信号φ2b、第1転送信号φ1c、第2転送信号φ2c、第1転送信号φ1d、第2転送信号φ2dをそれぞれ「H」に設定する。
すると、第1転送信号ライン201a、201b、201c、201dおよび第2転送信号ライン202a、202b、202c、202dが「H」になる(図5および図6参照)。これにより、発光チップCのそれぞれのφ1端子およびφ2端子が「H」になる。電流制限抵抗R1を介してφ1端子に接続されている第1転送信号線72の電位も「H」になり、電流制限抵抗R2を介してφ1端子に接続されている第2転送信号線73も「H」になる(図8参照)。
【0092】
さらに、信号発生回路100の点灯信号発生部104は点灯信号φI(φIa1〜φIa5、φIb1〜φIb5、φIc1〜φIc5、φId1〜φId5)を「H」に設定する。すると、点灯信号ライン204_1a〜204_5a、204_1b〜204_5b、204_1c〜204_5c、204_1d〜204_5dが「H」になる(図5および6参照)。これにより、発光チップCのφI端子が「H」になる。φI端子に接続されている点灯信号線75も「H」になる(図8参照)。
【0093】
さらにまた、信号発生回路100の許可信号発生部102a、102b、102c、102dは許可信号φEa、φEb、φEc、φEdをそれぞれ「H」に設定する。すると、許可信号ライン203a、203b、203c、203dが「H」になる(図5および6参照)。これにより、発光チップCのφE端子が「H」になる(図8参照)。
そして、信号発生回路100の書込信号発生部103は書込信号φW1〜φW5を「H」に設定する。すると、書込信号ライン205_1〜205_5が「H」になる(図5および6参照)。これにより、発光チップCのφW端子が「H」になる(図8参照)。
【0094】
発光チップCのφW端子は、書込抵抗RW1を介して、第1書込信号線74aに接続され、書込抵抗RW2を介して、第2書込信号線74bに接続されている。発光チップCのφE端子は、許可抵抗RE1を介して、第1書込信号線74aに接続され、許可抵抗RE2を介して、第2書込信号線74bに接続されている。表1で示したように、発光チップCのφW端子およびφE端子はともに「H」(−3.3V)に設定されているので、第1書込信号線74aおよび第2書込信号線74bも「H」(−3.3V)になる(図8参照)。
【0095】
次に、図8を参照しつつ、図10に示したタイミングチャートにしたがって、発光チップCの動作を、発光チップ組#1に属する発光チップCa1、Cb1、Cc1、Cd1について説明する。なお、説明は発光チップCa1を中心に行う。
図10および以下における説明においては、各端子の電位はステップ状に変化するとするが、実際には各端子の電位は徐々に変化する。よって、各端子の電位が変化の途上であっても、下記に示す条件が満たされれば、サイリスタは、ターンオンおよびターンオフなどの状態の変化を生じる。
【0096】
<発光チップCa1>
転送サイリスタT、記憶サイリスタMおよび発光サイリスタLのアノード端子はVsub端子に接続されているので、「H」に設定される。
一方、奇数番号の転送サイリスタT1、T3、…のそれぞれのカソード端子は、第1転送信号線72に接続され、「H」に設定されている。偶数番号の転送サイリスタT2、T4、…のそれぞれのカソード端子は、第2転送信号線73に接続され、「H」に設定されている。よって、転送サイリスタTのアノード端子およびカソード端子はともに「H」となり、転送サイリスタTはオフ状態にある。
【0097】
同様に、奇数番号の記憶サイリスタM1、M3、…のカソード端子は、第1書込信号線74aに接続され、「H」に設定されている。偶数番号の記憶サイリスタM2、M4、…のカソード端子は、第2書込信号線74bに接続され、「H」に設定されている。よって、記憶サイリスタMのアノード端子およびカソード端子はともに「H」となり、記憶サイリスタMはオフ状態にある。
さらに、発光サイリスタLのカソード端子は、点灯信号線75に接続され、「H」に設定されている。よって、発光サイリスタLのアノード端子およびカソード端子はともに「H」となり、発光サイリスタLはオフ状態にある。
【0098】
転送サイリスタTのゲート端子Gtは、電源線抵抗Rgxを介して電源線71に接続されている。電源線71は「L」(−3.3V)の電源電位Vgaに設定されている。よって、後述するゲート端子Gt1およびGt2を除いて、ゲート端子Gtの電位は「L」になっている。
そして、記憶サイリスタMのゲート端子Gmは、電源線抵抗Rgyを介して電源線71に接続されている。よって、後述するゲート端子Gm1を除いて、ゲート端子Gmの電位は「L」になっている。
さらに、発光サイリスタLのゲート端子Glは、ゲート端子Gmと接続されているので、ゲート端子Gl1を除いて、ゲート端子Glの電位は「L」になっている。
以上のことから、後述する転送サイリスタT1、T2、記憶サイリスタM1、発光サイリスタL1を除いて、転送サイリスタT、記憶サイリスタMおよび発光サイリスタLのしきい電圧はそれぞれのゲート端子Gt、Gm、Glの電位(−3.3V)からpn接合の拡散電位Vd(1.4V)を引いた値(−4.7V)となっている。
【0099】
図8中、転送サイリスタ列の一端のゲート端子Gt1は、前述したように、スタートダイオードDx0のカソード端子に接続されている。そして、スタートダイオードDx0のアノード端子は、「H」(0V)に設定された第2転送信号線73に接続されている。一方、スタートダイオードDx0のカソード端子(ゲート端子Gt1と同じ。)は、電源線抵抗Rgx1を介して、「L」(−3.3V)の電源線71に接続されている。よって、スタートダイオードDx0は、順方向に電圧が印加(順バイアス)されている。これにより、スタートダイオードDx0のカソード端子(ゲート端子Gt1)は、スタートダイオードDx0のアノード端子の「H」(0V)からスタートダイオードDx0の拡散電位Vd(1.4V)を引いた値(−1.4V)になる。よって、転送サイリスタT1のしきい電圧は、ゲート端子Gt1の電位(−1.4V)から拡散電位Vd(1.4V)を引いた−2.8Vとなる。
【0100】
そして、転送サイリスタT1に隣接する転送サイリスタT2のゲート端子Gt2は、ゲート端子Gt1に結合ダイオードDx1を介して接続されている。よって、転送サイリスタT2のゲート端子Gt2の電位は、ゲート端子Gt1の電位(−1.4V)から結合ダイオードDx1の拡散電位Vd(1.4V)を引いた−2.8Vになる。よって、転送サイリスタT2のしきい電圧は−4.2Vになる。
なお、番号が3以上の転送サイリスタTのしきい電圧は、前述したように−4.7Vである。
【0101】
一方、記憶サイリスタM1のゲート端子Gm1はゲート端子Gt1に接続ダイオードDy1を介して接続されているため、記憶サイリスタM1のゲート端子Gm1の電位は、ゲート端子Gt1の電位(−1.4V)から接続ダイオードDy1の拡散電位Vd(1.4V)を引いた−2.8Vになる。よって、記憶サイリスタM1のしきい電圧は−4.2Vになる。
なお、番号が2以上の記憶サイリスタMのしきい電圧は、前述したように−4.7Vである。
また、発光サイリスタLのしきい電圧は、前述したように−4.7Vである。
【0102】
<発光チップCb1、Cc1、Cd1>
発光チップCb1、Cc1、Cd1においても、初期状態は発光チップCa1と同じである。よって、詳細な説明は省略する。
【0103】
(2)時刻b
図10に示す時刻bにおいて、発光チップ群#aに送信される第1転送信号φ1aおよび許可信号φEaが、「H」(0V)から「L」(−3.3V)に移行する。これにより発光装置65は動作状態に入る。
<発光チップCa1>
第1転送信号φ1aが「H」(0V)から「L」(−3.3V)に移行すると、しきい電圧が−2.8Vである転送サイリスタT1がターンオンする。しかし、転送サイリスタT3以降の番号の大きい奇数番目の転送サイリスタTは、しきい電圧が−4.7Vであるので、オン状態に移行できない。一方、しきい電圧が−4.2Vである転送サイリスタT2は、第2転送信号φ2aが「H」(0V)であるので、ターンオンできない。
【0104】
転送サイリスタT1がターンオンすると、ゲート端子Gt1の電位は、アノード端子の「H」(0V)になる。そして、転送サイリスタT1のカソード端子(図8の第1転送信号線72)の電位は、転送サイリスタT1のアノード端子の「H」(0V)からpn接合の拡散電位Vd(1.4V)を引いた−1.4Vになる。
結合ダイオードDx1はアノード端子(ゲート端子Gt1)が「H」(0V)になると、カソード端子(ゲート端子Gt2)が−2.8Vであったので、順バイアスとなる。よって、結合ダイオードDx1のカソード端子(ゲート端子Gt2)の電位は、そのアノード端子(ゲート端子Gt1)の「H」(0V)から拡散電位Vd(1.4V)を引いた−1.4Vになる。これにより、転送サイリスタT2のしきい電圧は−2.8Vになる。
そして、−1.4Vのゲート端子Gt2に結合ダイオードDx2を介して接続されたゲート端子Gt3の電位は−2.8Vになる。これにより、転送サイリスタT3のしきい電圧は−4.2Vになる。番号が4以上の転送サイリスタTは、ゲート端子Gtの電位が「L」の電源電位Vgaであるので、しきい電圧は−4.7Vが維持される。
【0105】
一方、転送サイリスタT1がターンオンして、接続ダイオードDy1のアノード端子(ゲート端子Gt1)の電位が「H」(0V)となと、順バイアスであった接続ダイオードDy1のカソード端子(ゲート端子Gm1)の電位は−1.4Vになる。これにより、記憶サイリスタM1および発光サイリスタL1のしきい電圧は−2.8Vになる。
なお、記憶サイリスタM2のゲート端子Gm2の電位は−2.8Vになり、記憶サイリスタM2および発光サイリスタL2のしきい電圧は−4.2Vになる。番号が3以上の記憶サイリスタMは、−4.7Vのしきい電圧が維持される。
しかし、第1書込信号線74aおよび第2書込信号線74bは「H」であるので、いずれの記憶サイリスタMもターンオンせず、点灯信号線75は「H」であるので、いずれの発光サイリスタLもターンオンしない。
【0106】
一方、時刻bにおいては、許可信号φEaも「H」(0V)から「L」(−3.3V)に移行する。このとき、書込信号φW1は「H」(0V)に維持されている。よって、第1書込信号線74aおよび第2書込信号線74bの電位は、表1から、−2.2Vになる。しかし、記憶サイリスタMのしきい電圧は、記憶サイリスタM1が−2.8V、記憶サイリスタM2が−4.2V、番号が3以上の記憶サイリスタMが−4.7Vであるので、いずれの記憶サイリスタMもターンオンしない。
【0107】
すなわち、時刻bにおいて、ターンオンするのは転送サイリスタT1のみである。そして、時刻bの直後(ここでは、時刻bにおける信号の電位の変化によってサイリスタなどの変化が生じた後に定常状態になったときをいう。以下同様である。)において、転送サイリスタT1がオン状態にある。他の転送サイリスタTおよびすべての記憶サイリスタM、発光サイリスタLはオフ状態にある。
以下では、オン状態にあるサイリスタ(転送サイリスタT、記憶サイリスタM、発光サイリスタL)のみを説明し、オフ状態にあるサイリスタ(転送サイリスタT、記憶サイリスタM、発光サイリスタL)の説明を省略する。
なお、時刻bと時刻cとの間であれば、第1転送信号φ1aと許可信号φEaとのいずれを先に「H」から「L」にしてもかまわない。
そして、時刻bにおいて、許可信号φEaの「H」(0V)から「L」(−3.3V)への移行は、点灯させる発光サイリスタL(発光素子)の選択を許可する許可信号φEaを送信するステップである。
【0108】
<発光チップCb1、Cc1、Cd1>
発光チップCb1が属する発光チップ群#b、発光チップCc1が属する発光チップ群#c、発光チップCd1が属する発光チップ群#dに送信される信号は変化しないので、発光チップCb1、Cc1、Cd1は初期状態が維持されている。
【0109】
以上説明したように、サイリスタ(転送サイリスタT、記憶サイリスタM、発光サイリスタL)のゲート端子(ゲート端子Gt、Gm、Gl)はダイオード(結合ダイオードDx、接続ダイオードDy)によって相互に接続されている。よって、ゲート端子の電位が変化すると、電位が変化したゲート端子に、順バイアスのダイオードを介して接続されたゲート端子の電位が変化する。そして、変化したゲート端子を有するサイリスタのしきい電圧が変化する。
【0110】
さらに具体的に説明する。電位が「H」(0V)になったゲート端子と、順バイアスのダイオード1個で接続されたゲート端子の電位は−1.4Vになり、そのゲート端子を有するサイリスタのしきい電圧は−2.8Vになる。このように、しきい電圧が「L」(−3.3V)より高く(絶対値が小さく)なると、サイリスタがターンオンできる状態になる。
一方、電位が「H」(0V)になったゲート端子と、順バイアスのダイオード2個で接続されたゲート端子の電位は−2.8Vになり、そのゲート端子を有するサイリスタのしきい電圧は−4.2Vになる。よって、しきい電圧が「L」(−3.3V)より低いため、サイリスタはターンオンできず、オフ状態を維持することになる。すなわち、電位が「H」(0V)になったゲート端子と、順バイアスのダイオード1個で接続されたサイリスタのみが「L」(−3.3V)によりターンオンする。
以下では、「L」(−3.3V)またはそれより高い電位でターンオンできる状態になったサイリスタ(転送サイリスタT、記憶サイリスタM、発光サイリスタL)を中心に説明し、他の変化については説明を省略する。
【0111】
(3)時刻c
時刻cにおいて、発光チップ組#1に送信される書込信号φW1が「H」(0V)から「L」(−3.3V)に移行する。
<発光チップCa1>
すでに時刻bにおいて、許可信号φEaが「H」から「L」に移行している。よって、表1から、第1書込信号線74aおよび第2書込信号線74bはともに、「L」(−3.3V)になる。すると、第1書込信号線74aにカソード端子が接続された、しきい電圧が−2.8Vである記憶サイリスタM1がターンオンする。そして、第1書込信号線74aの電位が、−1.4Vになる。また、ゲート端子Gm1(ゲート端子Gl1)の電位が「H」(0V)になって、発光サイリスタL1のしきい電圧が−1.4Vになる。このとき、点灯信号φIa1は「H」(0V)であるので、発光サイリスタL1はターンオンしない。
接続ダイオードDy1のカソード端子(ゲート端子Gm1)およびアノード端子(ゲート端子Gt1)は共に「H」(0V)であるので、記憶サイリスタM1のゲート端子Gm1が「H」(0V)となっても、なんの影響もゲート端子Gt1には表れない。
時刻cの直後においては、転送サイリスタT1および記憶サイリスタM1がオン状態になっている。
そして、時刻cにおいて、書込信号φW1の「H」(0V)から「L」(−3.3V)への移行は、記憶サイリスタM(記憶素子)をオン状態(記憶状態)またはオフ状態(記憶しない状態)のいずれか一方に設定する書込信号φW1を送信するステップである。
【0112】
<発光チップCb1、Cc1、Cd1>
書込信号φW1は、発光チップ組#1を構成する発光チップCb1、発光チップCc1、発光チップCd1にも、共通に送信される。しかし、これらの発光チップCb1、発光チップCc1、発光チップCd1にそれぞれ送信されている許可信号φEb、φEc、φEdは「H」であるので、これらの発光チップCb1、発光チップCc1、発光チップCd1の第1書込信号線74aおよび第2書込信号線74bの電位は、表1から、−1.1Vとなる。しかし、これらの発光チップCb1、発光チップCc1、発光チップCd1の記憶サイリスタM1のしきい電圧は−4.2Vであるので、ターンオンしない。
【0113】
(4)時刻d
時刻dにおいて、発光チップ組#1に送信される書込信号φW1が「L」(−3.3V)から「H」(0V)に移行する。
<発光チップCa1>
時刻cにおいて、記憶サイリスタM1がターンオンし、第1書込信号線74aの電位は、記憶サイリスタM1のカソード端子の電位である−1.4Vに維持されている。したがって、許可信号φEaが「L」(−3.3V)であるので、書込信号φW1が「H」になると、表1から、第1書込信号線74aの電位は、「L」(−3.3V)から−2.2Vに向かって変化する。この電位は、オン状態の記憶サイリスタM1のカソード端子の電位−1.4Vより低い電位である。よって、記憶サイリスタM1のオン状態を維持する電流が供給されれば、記憶サイリスタM1はオン状態を維持する。そして、第1書込信号線74aの電位は、−1.4Vに維持される。一方、第2書込信号線74bの電位も、表1から、−2.2Vに向かって変化する。
よって、時刻dの直後においては、転送サイリスタT1および記憶サイリスタM1がオン状態になっている。
【0114】
さて、記憶サイリスタM1がオン状態を維持するための電流を説明する。
記憶サイリスタM1はオン状態になっているので、第1書込信号線74aの電位は−1.4Vになっている。書込信号φW1が「L」(−3.3V)から「H」(0V)に移行すると、2kΩの書込抵抗RW1に流れる電流は、1.5V/2kΩ=0.75mAである。一方、「L」(−3.3V)であるφE端子から1kΩの許可抵抗RE1に流れる電流は、(3.3V−1.5V)/1kΩ=1.8mAである。これらの電流の差である1.05mAが記憶サイリスタM1を流れることになる。よって、記憶サイリスタM1がオン状態を維持するための電流が、この電流(1.8mA)以下であれば、記憶サイリスタM1のオン状態が維持されることになる。
【0115】
<発光チップCb1、Cc1、Cd1>
書込信号φW1が「L」から「H」に移行すると、発光チップCb1、発光チップCc1、発光チップCd1の第1書込信号線74aおよび第2書込信号線74bの電位は、表1から、−1.1Vから「H」(0V)に戻る。
【0116】
(5)時刻e
時刻eにおいて、発光チップ群#aに送信される第2転送信号φ2aが「H」(0V)から「L」(−3.3V)に移行する。
<発光チップCa1>
しきい電圧が−2.8Vになっていた転送サイリスタT2がターンオンする。すると、ゲート端子Gt2が「H」(0V)になる。これにより、順バイアスの結合ダイオードGx1でゲート端子Gt2に接続されているゲート端子Gt3の電位が−1.4Vになり、転送サイリスタT3のしきい電圧が−2.8Vになる。同様に、順バイアスの接続ダイオードDy2でゲート端子Gt2に接続されているゲート端子Gm2の電位が−1.4Vになり、記憶サイリスタM2および発光サイリスタL2のしきい電圧が−2.8Vになる。
このとき、記憶サイリスタM2のカソード端子が接続された第2書込信号線74bの電位は−2.2Vであるので、記憶サイリスタM2はターンオンしない。また、点灯信号φIa1は「H」であるので、発光サイリスタL2もターンオンしない。
よって、時刻eの直後においては、転送サイリスタT1、転送サイリスタT2および記憶サイリスタM1がオン状態になっている。
【0117】
<発光チップCb1、Cc1、Cd1>
発光チップCb1が属する発光チップ群#b、発光チップCc1が属する発光チップ群#c、発光チップCd1が属する発光チップ群#dに送信される信号は変化しないので、発光チップCb1、Cc1、Cd1は時刻dの状態が維持されている。
【0118】
(6)時刻f
時刻fにおいて、発光チップ群#aに送信される第1転送信号φ1aが、「L」から「H」に移行する。
<発光チップCa1>
オン状態にあった転送サイリスタT1は、カソード端子およびアノード端子がともに「H」となるので、ターンオフする。これにより、ゲート端子Gt1が「H」から「L」(−3.3V)に移行し、転送サイリスタT1のしきい電圧が−4.7Vになる。また、カソード端子(ゲート端子Gt2)が「H」である結合ダイオードDx1は、アノード端子(ゲート端子Gt1)が「L」となることで、逆バイアスになる。
同様に、カソード端子(ゲート端子Gm1)が0Vである接続ダイオードDy1も、アノード端子(ゲート端子Gt1)が「L」(−3.3V)となって、逆バイアスになる。よって、ゲート端子Gt1が「L」(−3.3V)になった影響は、ゲート端子Gm1(Gl1)には及ばない。
よって、時刻fの直後においては、転送サイリスタT2および記憶サイリスタM1がオン状態にある。
【0119】
<発光チップCb1、Cc1、Cd1>
発光チップCb1が属する発光チップ群#b、発光チップCc1が属する発光チップ群#c、発光チップCd1が属する発光チップ群#dに送信される信号は変化しないので、発光チップCb1、Cc1、Cd1は時刻dの直後の状態が維持される。
【0120】
(7)時刻g
時刻gにおいて、時刻cにおいてと同様に、発光チップ組#1に送信される書込信号φW1が「H」(0V)から「L」(−3.3V)に移行する。
<発光チップCa1>
すでに時刻bにおいて、許可信号φEaが「H」から「L」に移行している。よって、表1から、第2書込信号線74bは「L」(−3.3V)になる。すると、しきい電圧が−2.8Vである記憶サイリスタM2がターンオンする。
なお、記憶サイリスタM1はオン状態を維持していて、第1書込信号線74aの電位は−1.4Vに維持されている。しかし、第2書込信号線74bの電位は、第1書込信号線74aの電位の影響を受けない。
記憶サイリスタM2がターンオンすると、ゲート端子Gm2の電位が「H」(0V)になり、発光サイリスタL2のしきい電圧が−1.4Vになる。
よって、時刻gの直後においては、転送サイリスタT2、記憶サイリスタM1、M2がオン状態になっている。
<発光チップCb1、Cc1、Cd1>
書込信号φW1は、発光チップ組#1を構成する発光チップCb1、発光チップCc1、発光チップCd1にも、共通に送信される。よって、時刻cでと同様に、発光チップCb1、発光チップCc1、発光チップCd1の第1書込信号線74aおよび第2書込信号線74bの電位が、表1から、−1.1Vとなるが、これらの発光チップCb1、発光チップCc1、発光チップCd1の記憶サイリスタM1のしきい電圧は−4.2V、番号が2以上の記憶サイリスタMのしきい電圧は−4.7Vであるので、これらの記憶サイリスタMはターンオンできない。
【0121】
(8)時刻h
時刻hにおいて、発光チップ組#1に送信される書込信号φW1が「L」(−3.3V)から「H」(0V)に移行するとともに、点灯信号φIa1が「H」(0V)から「Le」(−2.8V<「Le」≦−1.4V)に移行する。
<発光チップCa1>
まず、書込信号φW1の「L」(−3.3V)から「H」(0V)への移行について説明する。
時刻dと同様に、第1書込信号線74aの電位は、「L」(−3.3V)から−2.2Vに向かって変化する。前述したように、この電位は、記憶サイリスタM1のオン状態を維持しうるので、記憶サイリスタM1はオン状態を維持する。同様に、第2書込信号線74bの電位も、「L」(−3.3V)から−2.2Vに向かって変化する。この電位は、記憶サイリスタM2のオン状態を維持しうるので、記憶サイリスタM2はオン状態を維持する。すなわち、書込信号φW1が「L」(−3.3V)から「H」(0V)へ移行しても、記憶サイリスタM1およびM2のオン状態が維持されている。
次に、点灯信号φIa1の「H」(0V)から「Le」(−2.8V<「Le」≦−1.4V)への移行について説明する。なお、書込信号φW1の「L」から「H」への移行の後に、点灯信号φIa1の「H」(0V)から「Le」(−2.8V<「Le」≦−1.4V)への移行を行うとして説明する。
点灯信号φIa1が「H」(0V)から「Le」(−2.8V<「Le」≦−1.4V)へ移行すると、しきい電圧がともに−1.4Vである発光サイリスタL1およびL2がターンオンし、点灯(発光)する。このとき、点灯信号φIa1は、後述する定電流源(後述の図13参照)により電流を供給するので、点灯信号線75をオン状態になった発光サイリスタL1またはL2によりカソード端子の電位である−1.4Vに固定されることを抑制する。よって、発光サイリスタL1および発光サイリスタL2を共にターンオンさせている。なお、点灯信号φIa1を供給する定電流源の電位「Le」(−2.8V<「Le」≦−1.4V)は、発光サイリスタL1、L2のしきい電圧である−1.4Vより低く、後述する−2.8Vより高いことが求められる。
また、定電流源が供給する電流は、画像データにより制御され、並行して点灯させる発光サイリスタLの数に応じて供給される。よって、2個の発光サイリスタLを並行して点灯しても、1個の場合の2倍の電流が供給され、発光量が同じになる。
時刻hの直後においては、転送サイリスタT2、記憶サイリスタM1、M2がオン状態にあるとともに、発光サイリスタL1、L2がオン状態にあって点灯(発光)している。
【0122】
なお、本実施の形態では、書込信号φW1の「L」から「H」への移行と、点灯信号φIa1の「H」(0V)から「L」(−3.3V)への移行とのいずれを先に行ってもよい。上記と異なり、点灯信号φIa1の「H」(0V)から「L」(−3.3V)への移行を、書込信号φW1の「L」から「H」への移行の前に行う場合には、すでにしきい電圧が−1.4Vになっている発光サイリスタL1が、点灯信号φIa1の「H」(0V)から「L」(−3.3V)への移行により、ターンオンして、点灯(発光)する。その後に、書込信号φW1の「L」から「H」への移行により、記憶サイリスタM2がターンオンし、発光サイリスタL2のしきい電圧が−1.4Vになり、すでに「L」になっている点灯信号φW1により、発光サイリスタL2がターンオンして、点灯(発光)することになる。このように、発光サイリスタL1とL2とで、点灯(発光)開始時刻がずれることになる。
よって、書込信号φW1の「L」から「H」への移行を、点灯信号φIa1の「H」(0V)から「L」(−3.3V)への移行の前に行うことが好ましい。
【0123】
そして、時刻hにおける点灯信号φIa1の「H」(0V)から「Le」(−2.8V<「Le」≦−1.4V)への移行は、オン状態(記憶状態)の記憶サイリスタM(記憶素子)に対応する発光サイリスタL(発光素子)に点灯のための点灯信号φIa1を送信するステップである。
【0124】
<発光チップCb1、Cc1、Cd1>
発光チップCb1が属する発光チップ群#b、発光チップCc1が属する発光チップ群#c、発光チップCd1が属する発光チップ群#dに送信される信号は変化しないので、発光チップCb1、Cc1、Cd1は時刻hの直後の状態が維持される。
【0125】
(9)時刻i
時刻iにおいて、発光チップ群#aに送信される第1転送信号φ1aが、「H」から「L」に移行するとともに、発光チップ群#aに送信される許可信号φEaが、「L」から「H」に移行する。
<発光チップCa1>
まず、第1転送信号φ1aの「H」から「L」への移行について説明する。なお、ここでは、第1転送信号φ1aの「H」から「L」への移行が、許可信号φEaの「L」から「H」への移行より先であるとする。
しきい電圧が−2.8Vであった転送サイリスタT3がターンオンする。そして、ゲート端子Gt3の電位が「H」(0V)になり、順バイアスの結合ダイオードDx3で接続されたゲート端子Gt4の電位が−1.4Vになる。これにより、転送サイリスタT4のしきい電圧が−2.8Vになる。同様に、「H」(0V)になったゲート端子Gt3に、順バイアスの接続ダイオードDy3で接続されたゲート端子Gm3(Gl3)の電位が−1.4Vになり、記憶サイリスタM3および発光サイリスタL3のしきい電圧が共に−2.8Vになる。このとき、第1書込信号線74aは、オン状態の記憶サイリスタM1により、−1.4Vに維持されているので、記憶サイリスタM3はターンオンしない。
また、点灯信号φIa1は、「Le」(−2.8V<「Le」≦−1.4V)であるので、発光サイリスタL3はターンオンせず、点灯(発光)しない。点灯信号φIa1の「Le」は、発光サイリスタL3をターンオンしないように、−2.8Vより高く設定される。
【0126】
次に、許可信号φEaの「L」から「H」への移行について説明する。
すでに時刻gにおいて、書込信号φW1は「L」から「H」に移行している。よって、許可信号φEaの「L」から「H」へ移行すると、表1に示すように、第1書込信号線74aおよび第2書込信号線74bは、ともに「H」(0V)になる。すると、オン状態にあった記憶サイリスタM1およびM2のアノード端子とカソード端子とが共に「H」(0V)になるので、記憶サイリスタM1およびM2が共にターンオフする。しかし、ゲート端子Gm1およびGm2は、オン状態の発光サイリスタL1およびL2により0Vになり、記憶サイリスタM1およびM2のしきい電圧はそれぞれ−1.4Vになっている。
よって、時刻iの直後においては、転送サイリスタT2、T3がオン状態にあるとともに、発光サイリスタL1およびL2がオン状態にあって、点灯(発光)している。
【0127】
なお、第1転送信号φ1aの「H」から「L」への移行と、許可信号φEaの「L」から「H」への移行とのいずれを先に行ってもよい。上記と異なり、許可信号φEaの「L」から「H」への移行を、第1転送信号φ1aの「H」から「L」への移行の前に行う場合は、まず、許可信号φEaの「L」から「H」への移行により、第1書込信号線74aが「H」(0V)になって、記憶サイリスタM1およびM2がターンオフする。その後、第1転送信号φ1aの「H」から「L」への移行により、記憶サイリスタM3のしきい電圧が−2.8Vになる。
【0128】
<発光チップCb1、Cc1、Cd1>
発光チップCb1が属する発光チップ群#b、発光チップCc1が属する発光チップ群#c、発光チップCd1が属する発光チップ群#dに送信される信号は変化しないので、発光チップCb1、Cc1、Cd1は時刻hの直後の状態が維持される。
【0129】
(10)時刻j
時刻jにおいて、発光チップ群#aに送信される第2転送信号φ2aが、「L」から「H」に移行するとともに、発光チップ群#bに送信される第1転送信号φ1bおよび許可信号φEbが、それぞれ「H」(0V)から「L」(−3.3V)に移行する。
<発光チップCa1>
まず、発光チップ群#aに送信される第2転送信号φ2aの「L」から「H」への移行について説明する。
オン状態にあった転送サイリスタT2のカソード端子とアノード端子とが共に「H」(0V)になるので、転送サイリスタT2がターンオフする。
時刻jの直後においては、転送サイリスタT3がオン状態になっているとともに、発光サイリスタL1、L2がオン状態にあって、点灯(発光)している。
発光チップ群#bに送信される第1転送信号φ1bおよび許可信号φEbは、発光チップCa1の属する発光チップ群#aに対する信号でないため、発光チップCa1に対して影響を与えない。
なお、時刻aにおいてと同様にスタートダイオードDx0が順バイアスになって、ゲート端子Gt1が−1.4Vになる。これにより、転送サイリスタT1のしきい電圧が−2.8Vになる。しかし、転送サイリスタT3がオン状態になっていて、第1転送信号線72の電位は−1.5Vであるので、転送サイリスタT1はターンオンしない。このように、スタートダイオードDx0が順バイアスになって、転送サイリスタT1のしきい電圧が−2.8Vになるときは、第1転送信号線72の電位は−1.5Vであるので、転送サイリスタT1はターンオンしない。すなわち、スタートダイオードDx0が順バイアスになって、転送サイリスタT1がターンオンするのは、第1転送信号φ1および第2転送信号φ2が共に「H」(0V)であって、いずれの転送サイリスタTもオン状態にない場合に、第1転送信号φ1が「H」(0V)から「L」(3.3V)に移行する時刻bに限られる。
【0130】
<発光チップCb1>
発光チップ群#bに送信される第1転送信号φ1bおよび許可信号φEbの「H」(0V)から「L」(−3.3V)への移行は、時刻bにおける発光チップCa1と同様である。よって、詳細な説明を省略する。
<発光チップCc1、Cd1>
発光チップCc1が属する発光チップ群#c、発光チップCd1が属する発光チップ群#dに送信される信号は変化しないので、時刻hの直後の状態が維持される。
【0131】
この後、期間Ta(1)における発光チップ群#aと同様に、期間Tb(1)において発光チップ群#b、Tc(1)において発光チップ群#c、Td(1)において発光チップ群#dが順に駆動される。
例えば、発光チップ群#bにおける発光チップCb1についてみると、時刻jにおいて、許可信号φEbが「H」(0V)から「L」(−3.3V)に移行し、第1書込信号線74aと第2書込信号線74bとの電位がともに−2.2Vになる。時刻kで、書込信号φW1が「H」(0V)から「L」(−3.3V)に移行すると、発光チップCb1の記憶サイリスタM1がターンオンする。そして、時刻lで、書込信号φW1が「L」(−3.3V)から「H」(0V)に移行しても、記憶サイリスタM1のオン状態が維持される。そして、時刻oで、書込信号φW1が「H」(0V)から「L」(−3.3V)に移行すると、記憶サイリスタM2がターンオンして、記憶サイリスタM1およびM2がオン状態になる。その後、時刻pで、点灯信号φIb1が「H」(0V)から「Le」(−2.8V<「Le」≦−1.4V)に移行すると、発光サイリスタL1およびL2がターンオンして、点灯(発光)する。すなわち、発光チップCa1に対する期間Ta(1)における動作が、期間Tb(1)において発光チップCb1に対して行われている。期間Tc(1)および期間Td(1)においては、それぞれ発光チップCc1および発光チップCd1に対して同様な動作が行われることになる。
【0132】
そして、時刻uにおいては、発光チップCa1、Cb1、Cc1、Cd1のそれぞれの発光サイリスタL1およびL2がオン状態にあって、点灯(発光)している。なお、他の転送サイリスタT、記憶サイリスタMのオン状態については説明を省略する。
以下では、時刻u以降について説明する。
【0133】
(11)時刻u
時刻uにおいて、発光チップCa1に供給されている点灯信号φIa1が「L」から「H」に移行する。
<発光チップCa1>
点灯信号φIa1が「L」から「H」に移行すると、オン状態にあった発光サイリスタL1およびL2のカソード端子とアノード端子との電位が共に「H」(0V)になって、発光サイリスタL1およびL2がターンオフする。
すると、ゲート端子Gm1(Gl1)およびGm2(Gl2)の電位が、それぞれ電源線抵抗Rgy1およびRgy2を介して「L」(−3.3V)に向かって変化する。そして、記憶サイリスタM1、M2、発光サイリスタL1、L2のしきい電圧が−4.7Vになる。
時刻uの直後においては、転送サイリスタT3がオン状態にある。これにより、ゲート端子Gt3の電位が「H」(0V)になっている。一方、転送サイリスタT2がオフ状態にあることから、ゲート端子Gt2の電位は「L」(−3.3V)になっている。よって、結合ダイオードDx2は逆バイアスになっている。これにより、ゲート端子Gt3が「H」(0V)である影響は、ゲート端子Gt2には及ばない。
以上のことから、時刻uの直後のである時刻vの状態は、オン状態にある転送サイリスタTが転送サイリスタT1(時刻b)と転送サイリスタT3(時刻v)とで異なるが、時刻bと同様な状態となっている。
よって、時刻vから始まる期間T(2)においては、期間T(1)における発光サイリスタL1およびL2と同様に、発光サイリスタL3およびL4が点灯制御される。よって、詳細な説明を省略する。
【0134】
<発光チップCb1、Cc1、Cd1>
発光チップCb1が属する発光チップ群#b、発光チップCc1が属する発光チップ群#c、発光チップCd1が属する発光チップ群#dに送信される信号は変化しないので、時刻uの直前の状態が時刻vまで維持される。
そして、時刻vから始まる期間T(2)においては、期間T(1)における発光サイリスタL1およびL2と同様に、発光チップCb1、Cc1、Cd1におけるそれぞれの発光サイリスタL3およびL4が点灯制御される。
以下同様に、発光チップCのすべての発光サイリスタLの点灯制御が行なわれる。
【0135】
なお、上記においては、発光チップCa1、Cb1、Cc1、Cd1のそれぞれの発光サイリスタL1〜L4をすべて点灯(発光)させるとした。しかし、いずれかの発光サイリスタLを点灯(発光)させない場合は、書込信号φW1が「H」(0V)から「L」(−3.3V)となるタイミングにおいて、「H」(0V)のまま維持すればよい。
例えば、発光チップCa1の発光サイリスタL2を点灯(発光)させない場合は、時刻gから時刻hまでの期間において、書込信号φW1を「H」(0V)のままとする。すると、第2書込信号線74bの電位は−2.2Vが維持されるので、しきい電圧が−2.8Vの記憶サイリスタM2はターンオンしない。よって、発光サイリスタL2のしきい電圧は−2.8Vに維持される。よって、時刻hにおいて、点灯信号φIa1が「H」(0V)から「Le」(−2.8V<「Le」≦−1.4V)に移行すると、オン状態の記憶サイリスタM1によりしきい電圧が−1.4Vとなっている発光サイリスタL1はターンオンして、点灯(発光)するが、発光サイリスタL2はターンオンしない。
【0136】
本実施の形態では、1つの発光チップCにおいて2個の発光サイリスタLを並行して点灯(発光)させうる。点灯(発光)させる発光サイリスタLの個数(2個、1個、0個)は、書込信号φW1により設定する。なお、1個の場合には、2個のうち、いずれの発光サイリスタLを点灯(発光)させるかを書込信号φW1により指定する。
【0137】
以上説明した発光チップCの動作をまとめて説明する。
はじめに転送サイリスタTの動作を説明する。
第1の実施の形態における発光チップCでは、2相の転送信号(第1転送信号φ1および第2転送信号φ2)により、転送サイリスタTのオン状態を順に移していく。
すなわち、2相の転送信号の内の一方の転送信号が「L」(−3.3V)になることにより、この一方の転送信号がカソード端子に送信された転送サイリスタTの内、しきい電圧が「L」(−3.3V)より高い転送サイリスタTがターンオンする。すると、オン状態になった転送サイリスタTのゲート端子Gtが「H」(0V)になり、順バイアスの結合ダイオードDxで接続された転送サイリスタT(隣接する転送サイリスタT)のゲート端子Gtの電位が−1.4Vになる。これにより、隣接する転送サイリスタTのしきい電圧が上昇(本実施の形態では、−4.2Vから−2.8V)し、他方の転送信号が「L」(−3.3V)となるタイミングでオン状態になる。
つまり、2相の転送信号(第1転送信号φ1および第2転送信号φ2)を、「L」(−3.3V)の期間が重なる(図10における時刻eから時刻fの期間)を設けて、送信することにより、転送サイリスタTを順次オン状態に設定していく。
【0138】
そして、転送サイリスタTがオン状態になって、ゲート端子Gtが「H」(0V)になると、ゲート端子Gtに接続ダイオードDyを介して接続された記憶サイリスタMのゲート端子Gmの電位が−1.4Vになり、記憶サイリスタMのしきい電圧が−2.8Vとなる。
すなわち、転送サイリスタTはオン状態になることで、その転送サイリスタTに対応する記憶サイリスタMのしきい電圧を高くする。
【0139】
そして、許可信号φE(φEa、φEb、φEc、φEd)が「L」であって、さらに書込信号φW(φW1〜φW5)が「L」になると、第1書込信号線74aおよび第2書込信号線74bの電位が「L」(−3.3V)になって、しきい電圧が−2.8Vの記憶サイリスタMがターンオンする。
【0140】
記憶サイリスタMがオン状態になると、記憶サイリスタMのゲート端子Gmが「H」(0V)になる。ゲート端子Glはゲート端子Gmに接続されているので、発光サイリスタLのしきい電圧が−1.4Vになる。
この後、点灯信号φI(φIa1〜φIa5、φIb1〜φIb5、φIc1〜φIc5、φId1〜φId5)を「H」(0V)から「Le」(−2.8V<「Le」≦−1.4V)に移行すると、しきい電圧が−1.4Vである発光サイリスタLがターンオンして、点灯(発光)する。
【0141】
なお、発光サイリスタLが点灯(発光)している点灯期間は、点灯信号φI(φIa1〜φIa5、φIb1〜φIb5、φIc1〜φIc5、φId1〜φId5)が「Le」(−2.8V<「Le」≦−1.4V)である期間である。
【0142】
本実施の形態では、発光チップ組(#1〜#5)毎に、書込信号φW(φW1〜φW5)を共通に送信している。しかし、図10に示したように、発光チップ群(#a、#b、#c、#d)毎に、許可信号φE(φEa、φEb、φEc、φEd)が「L」(−3.3V)である期間をずらして送信することで、書込信号φW(φW1〜φW5)にそれぞれの発光チップ群(#a、#b、#c、#d)に対応して、点灯(発光)させる発光サイリスタLを指定する情報を時系列に並べている。そして、書込信号φW(φW1〜φW5)と許可信号φE(φEa、φEb、φEc、φEd)との組み合わせによって、発光チップCの点灯(発光)させる発光サイリスタLの情報を取り出している。
すなわち、図10で示したように、ある発光チップ群に送信された許可信号φE(「L」(−3.3V)の期間)に、その発光チップ群に属する発光チップCへの書込信号φW(「L」(−3.3V)の期間)が設けられていて、他の発光チップ群に属する発光チップCへの書込信号φW(「L」(−3.3V)の期間)が設けられていないようにしている。なお、発光チップ群に送信された許可信号φE(φEa、φEb、φEc、φEd)の「L」(−3.3V)の期間が、時間軸上で重なってもかまわない。このことで、書込信号φW(φW1〜φW5)を発光チップ組(#1〜#5)毎に共通に送信し、許可信号φE(φEa、φEb、φEc、φEd)を発光チップ群(#a、#b、#c、#d)毎に共通に送信するようにしている。
【0143】
一方、書込信号φWが「L」(−3.3V)となっても、許可信号φEが「H」(0V)であると、表1から分かるように、第1書込信号線74aおよび/または第2書込信号線74bの電位は−1.1Vとなり、例え記憶サイリスタMのしきい電圧が−2.8Vになっていてもターンオンしない。同様に、許可信号φEが「L」(−3.3V)となっても、書込信号φWが「H」(0V)であると、第1書込信号線74aおよび/または第2書込信号線74bの電位は−2.2Vとなり、例え記憶サイリスタMのしきい電圧が−2.8Vになっていてもターンオンしない。
すなわち、例え書込信号φWが「L」(−3.3V)となっても、許可信号φEが「L」(−3.3V)でない発光チップCにおける発光サイリスタLは選択されず、許可信号φEが「L」(−3.3V)であっても、書込信号φWが「L」(−3.3V)でない発光チップCにおける発光サイリスタLは選択されないようになっている。
【0144】
なお、オン状態の記憶サイリスタMがある場合は、許可信号φEを「L」(−3.3V)に維持すれば、第1書込信号線74aおよび/または第2書込信号線74bの電位は−2.2Vとなり、オン状態の記憶サイリスタMの維持電圧(カソード端子の電位−1.4V)より低いので、オン状態が維持される。これにより、第1書込信号線74aおよび第2書込信号線74bのそれぞれに接続された各1個の記憶サイリスタMを共にオン状態に維持している。このようにして、本実施の形態では、発光チップC毎に最大2個の発光サイリスタLを並行して点灯(発光)しうるようにしている。
【0145】
以上説明したように、転送サイリスタT(転送素子)は順にオン状態になることにより、転送サイリスタTに対応する発光サイリスタL(転送サイリスタTと同じ番号の発光サイリスタL)(発光素子)を点灯させる発光サイリスタL(発光素子)として選択する対象に指定している。
許可信号φEは、発光チップ群の発光チップCに対して、点灯させる発光サイリスタLの選択を許可するように働く。そして、書込信号φWは、許可信号φEによって許可された発光チップCにおいて、点灯させる発光サイリスタLに対応する記憶サイリスタMを記憶状態または記憶しない状態に設定する。
すなわち、記憶サイリスタMはオン状態になることで、書込信号φWにより選択された点灯(発光)させる発光サイリスタLの位置(番号)を記憶(ラッチ)する。つまり、記憶サイリスタMがオン状態にあることは、点灯させる発光サイリスタLの位置(番号)を記憶した状態(記憶状態)となり、記憶サイリスタMがオフ状態にあることは、発光サイリスタLの位置(番号)を記憶しない状態となることである。
【0146】
図10では、発光チップ組#1に対する書込信号φW1のみを示したが、本実施の形態では、並行して、他の発光チップ組#2〜#5のそれぞれに対する書込信号φW2〜φW5をそれぞれ発光チップ組に送信することで、発光装置65のすべての発光チップC(発光チップCa1〜Ca5、Cb1〜Cb5、Cc1〜Cc5、Cd1〜Cd5)の発光サイリスタLの点灯(発光)を個別に制御している。
【0147】
前述したように、20個の発光チップCを用いる本実施の形態における回路基板62上の配線(信号ライン)の本数は39本である。
【0148】
図11は、第1の実施の形態を用いない場合の、自己走査型発光素子アレイ(SLED)である発光チップCの回路構成を説明するための等価回路図である。なお、図11では、発光チップCa1を例として示している。他の発光チップCa2〜Ca5、Cb1〜Cb5、Cc1〜Cc5、Cd1〜Cd5の構成は、発光チップCa1と同じである。
図11に示す本実施の形態を用いない場合では、図8に示した本実施の形態における書込抵抗RW1、RW2および許可抵抗RE1、RE2を用いない。すなわち、第1書込信号線74aを第1記憶信号φM1(発光チップCa1では第1記憶信号φM1a1)が送信されるφM1端子に接続し、第2書込信号線74bを第2記憶信号φM2(発光チップCa1では第2記憶信号φM2a1)が送信されるφM2端子に接続している。
また、動作においては、図10に示した本実施の形態における許可信号φEおよび書込信号φW1の代わりに、発光チップC毎に送信される第1記憶信号φM1(発光チップCa1では第1記憶信号φM1a1)および第2記憶信号φM2(発光チップCa1では第2記憶信号φM2a1)を用いている。
図10を参照して、本実施の形態を用いない場合の発光チップCの動作を説明する。例えば図10の時刻cにおいて、発光サイリスタL1を点灯(発光)させることを記憶するために記憶サイリスタM1をターンオンさせるときは、第1記憶信号φM1a1を「H」(0V)から「L」(−3.3V)に移行させる。同様に、図10の時刻gにおいて、発光サイリスタL2を点灯(発光)させることを記憶するために記憶サイリスタM2をターンオンさせるときは、第2記憶信号φM2a1を「H」(0V)から「L」(−3.3V)に移行させる。
そして、点灯信号φIa1が「H」(0V)から「L」(−3.3V)に移行するまで、第1記憶信号φM1a1および第2記憶信号φM2a1を「L」(−3.3V)に維持することで、点灯信号φIa1が「H」(0V)から「L」(−3.3V)の移行に伴い、発光サイリスタL1およびL2を点灯(発光)させる。
このように、図11に示す発光チップCを用いる場合には、第1記憶信号φM1および第2記憶信号φM2を発光チップC毎に個別に送信することとなる。
【0149】
図12は、第1の実施の形態を用いない場合の発光装置65において、発光チップCをマトリクスの各要素に配置して示した図である。本実施の形態と同様に、20個の発光チップCを用いている。
本実施の形態を用いない場合の発光装置65では、発光チップCを群および組に分けていない。しかし、発光チップC(発光チップCa1〜Ca5、Cb1〜Cb5、Cc1〜Cc5、Cd1〜Cd5)の符号は、本実施の形態と同じとして説明する。
第1記憶信号φM1(φM1a1〜φM1a5、φM1b1〜φM1b5、φM1c1〜φM1c5、φM1d1〜φM1d5)および第2記憶信号φM2(φM2a1〜φM2a5、φM2b1〜φM2b5、φM2c1〜φM2c5、φM2d1〜φM2d5)を発光チップC毎に個別に送信する。
一方、本実施の形態を用いない場合では、第1転送信号φ1および第2転送信号φ2を、すべての発光チップCで共通にする。これにより、発光チップCのすべてが、並行して動作する。
【0150】
本実施の形態を用いない発光装置65の回路基板62の配線(信号ライン)本数を説明する。まず、発光チップCの数が20個の場合を考える。
転送信号φ1、φ2用の配線(信号ライン)は、発光チップCのすべてに対して共通であるので、2本である。第1記憶信号φM1用および第2記憶信号φM2用の配線(信号ライン)は、発光チップC毎にそれぞれ1本であるので、20個の発光チップCに対して40本である。点灯信号φI用の配線(信号ライン)は、本実施の形態と同じく、発光チップC毎に1本であるので、20個の発光チップCに対して20本である。これに、基準電位Vsub用の電源ライン200aおよび電源電位Vga用の電源ライン200bが加わる。よって、20個の発光チップCを用いる本実施の形態を用いない発光装置65の回路基板62上の配線(信号ライン)の本数は64本となる。
以上説明したように、本実施の形態では、回路基板62上の配線(信号ライン)の本数を64本から39本に抑制している。
【0151】
また、本実施の形態を用いない発光装置65の発光チップCの個数がM×Nである場合では、転送信号φ1、φ2用の配線(信号ライン)は、発光チップCのすべてに対して共通であるので、2本である。第1記憶信号φM1用および第2記憶信号φM2用の配線(信号ライン)は、発光チップC毎にそれぞれ1本であるので、M×N個の発光チップCに対して2×M×N本である。点灯信号φI用の配線(信号ライン)は、発光チップC毎に1本であるので、M×N個の発光チップCに対してM×N本である。これに、基準電位Vsub用の電源ライン200aおよび電源電位Vga用の電源ライン200bが加わる。よって、M×N個の発光チップCを用いる本実施の形態を用いない発光装置65の回路基板62上の配線(信号ライン)の本数は(3×M×N+4)本となる。
すると、本実施の形態では、回路基板62上の配線(信号ライン)の本数を(3×M×N+4)から(3M+N+M×N+2)本になり、(2×M×N−3M−N+2)本抑制している。
【0152】
本実施の形態では、最大2個の発光サイリスタLを並行して点灯(発光)させている。よって、点灯信号φIは、点灯(発光)させる発光サイリスタLの数に応じて、供給する電流が設定される。
信号発生回路100には、画像出力制御部30および画像処理部40(図1参照)より、画像処理された画像データおよび各種の制御信号が入力される。このとき、制御信号として、並行して点灯(発光)させる発光サイリスタLの個数についての点灯数信号DI1、DI2が供給される(後述する図13参照)。
【0153】
図13は、本実施の形態において、点灯信号φIを供給する定電流源300の一例を説明する図である。
定電流源300は、第1電流バッファ回路301、第2電流バッファ回路302、電流制限抵抗RI1、RI2を備えている。
第1電流バッファ回路301は、入力端子が点灯数信号DI1の入力されるDI1端子に接続され、出力端子が電流制限抵抗RI1を介してφI端子(図8参照)に接続されている。そして、第1電流バッファ回路301は、φI端子の電位が点灯レベルの電位である「Le」(−2.8V<「Le」≦−1.4V)となるように、点灯電位VLeが供給されている。
第2電流バッファ回路302は、入力端子に点灯電位VLeが供給され、出力が電流制限抵抗RI2を介してφI端子に接続されている。そして、第2電流バッファ回路302には、点灯数信号DI2が入力される。
表2は、点灯数信号DI1、DI2および第1電流バッファ回路301と第2電流バッファ回路302との出力端子の状態を示す。
【0154】
【表2】

【0155】
表2に示すように、並行して点灯(発光)させる発光サイリスタLの数が0の場合は、点灯数信号DI1、DI2はいずれも「H」である。並行して点灯(発光)させる発光サイリスタLの数が1の場合は、点灯数信号DI1が「L」で、点灯数信号DI2が「H」である。並行して点灯(発光)させる発光サイリスタLの数が2の場合は、点灯数信号DI1、DI2はいずれも「L」である。
そして、並行して点灯(発光)させる発光サイリスタLの数が0の場合は、第1電流バッファ回路301の出力端子は「H」で、第2電流バッファ回路302の出力端子はハイインピーダンス状態(以下、「Z」で表す。)である。よって、φI端子の電位は「H」になる。
次に、並行して点灯(発光)させる発光サイリスタLの数が1の場合は、第1電流バッファ回路301の出力端子は「Le」で、第2電流バッファ回路302の出力端子は「Z」である。よって、φI端子の電位は「Le」になる。なお、第1電流バッファ回路301の出力端子のみが「Le」となっているので、1個の発光サイリスタLに対応する電流がφI端子に供給される(電位が負であるので、φI端子から引き出される)。
そして、並行して点灯(発光)させる発光サイリスタLの数が2の場合は、第1電流バッファ回路301および第2電流バッファ回路302の出力端子がともに「Le」である。よって、φI端子の電位は「Le」になる。なお、第1電流バッファ回路301および第2電流バッファ回路302の出力端子が共に「Le」となっているので、2個の発光サイリスタLに対応する電流がφI端子に供給される(φI端子から引き出される)。
このようにして、点灯(発光)させようとする発光サイリスタLの数に応じて、φI端子に供給する電流を制御している。
なお、本実施の形態で示した定電流源300は一例であって、他の構成であってもよい。
【0156】
なお、本実施の形態では、定電流源300を用いたが、図8の発光サイリスタLのカソード端子と点灯信号線75との間に抵抗を設けて、定電圧源にて複数の発光サイリスタLを並行して点灯させてもよい。
また、本実施の形態では、記憶サイリスタMのゲート端子Gmと発光サイリスタLのゲート端子Glとを直接接続したが、ゲート端子Gmにアノード端子をゲート端子Glにカソード端子を接続したダイオードを設けて、ゲート端子Gmの電位が「H」(0V)になったときの発光サイリスタLのしきい電圧を−2.8Vとして、点灯電位を「Le」から「L」(−3.3V)にしてもよい。
【0157】
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態は、第1の実施の形態において、発光チップCの構成が異なっている。
図14は、第2の実施の形態における自己走査型発光素子アレイ(SLED)である発光チップCの回路構成を説明するための等価回路図である。なお、図14では、発光チップCa1を例に説明し、発光チップCa1(C)と表記する。他の発光チップCa2〜Ca5、Cb1〜Cb5、Cc1〜Cc5、Cd1〜Cd5の構成は、発光チップCa1の構成と同じである。この発光チップCは、最大3個の発光サイリスタLを並行して点灯(発光)させうる。図8に示した発光チップCと同様な構成要素には、同じ符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0158】
本実施の形態の発光チップCa1(C)は、記憶サイリスタMの配列に沿って、3個置きに循環する記憶サイリスタM1、M4、M7(不図示)、…のカソード端子が第1書込信号線74aに接続されている。そして、第1書込信号線74aは、書込抵抗RW1を介して、書込信号φW1の入力端子であるφW端子に接続されている。このφW端子には、書込信号ライン205_1(図6参照)が接続され、書込信号φW1が送信される。
同様に、3個置きに循環する記憶サイリスタM2、M5(不図示)、M8(不図示)、…のカソード端子が第2書込信号線74bに接続されている。そして、第2書込信号線74bは、書込抵抗RW2を介して、書込信号φW1の入力端子であるφW端子に接続されている。
さらに同様に、3個置きに循環する記憶サイリスタM3、M6(不図示)、M9(不図示)、…のカソード端子が第3書込信号線74cに接続されている。そして、第3書込信号線74cは、書込抵抗RW3を介して、書込信号φW1の入力端子であるφW端子に接続されている。
【0159】
また、第1書込信号線74aは、記憶サイリスタM1のアノード端子と書込抵抗RW1との間において、許可抵抗RE1を介して、許可信号φEaの入力端子であるφE端子に接続されている。このφE端子には、許可信号ライン203a(図5参照)が接続され、許可信号φEaが送信される。
さらに、第2書込信号線74bは、記憶サイリスタM2のアノード端子と書込抵抗RW2との間において、許可抵抗RE2を介して、φE端子に接続されている。
そして、第3書込信号線74cは、記憶サイリスタM3のアノード端子と書込抵抗RW3との間において、許可抵抗RE3を介して、φE端子に接続されている。
すなわち、第1書込信号線74a、第2書込信号線74b、第3書込信号線74cは、許可抵抗RE1、RE2、RE3と書込抵抗RW1、RW2、RW3との作る抵抗ネットワークを介して、φE端子とφW端子とに接続されている。
【0160】
本実施の形態においても、例えばRE1=RE2=RE3=1kΩ、RW1=RW2=RW3=2kΩとすれば、前述した表1に示したと同様に、第1書込信号線74a、第2書込信号線74bおよび第3書込信号線74cのそれぞれの電位は、φE端子(許可信号φE)とφW端子(書込信号φW1)の電位により設定される。
【0161】
本実施の形態における発光チップCa1(C)の他の構成は、図8に示した第1の実施の形態における発光チップCと同様である。
本実施の形態における発光チップCa1(C)は、詳細な説明を省略するが、図9に示した第1の実施の形態の発光チップCa1(C)と同様な平面レイアウトおよび断面で構成しうる。
【0162】
本実施の形態における発光チップCを用いた発光装置65の動作を説明する。
図15は、第2の実施の形態における発光装置65の動作を説明するためのタイミングチャートである。
図15においても、第1の実施の形態における図10と同様に、発光チップ群#a、#b、#c、#dのそれぞれに送信される一組の転送信号φ1、φ2、許可信号φEを示している。また、発光チップ組#1に送信される書込信号φW1を示している。さらに、発光チップ組#1に属する発光チップCa1、Cb1、Cc1にそれぞれ送信される点灯信号φIa1、φIb1、φIc1を示している。
すなわち、図12は、発光チップ組#1に属する発光チップCa1、Cb1、Cc1、Cd1の内、発光チップCa1、Cb1、Cc1の動作を説明するタイミングチャートである。なお、発光チップCd1については示していないが、同様である。
また、他の発光チップ組#2〜#5についても、発光チップ組#1と同様に動作する。そして、発光チップ組#1〜#5はそれぞれ転送信号φ1、φ2、許可信号φEが共通であるので、並行して動作する。よって、他の発光チップ組#2〜#5については、説明を省略する。
図15のタイミングチャートでは、すべての発光サイリスタLを点灯させるとした。
【0163】
図10に示した第1の実施の形態におけるタイミングチャートの期間Ta(1)においては、書込信号φW1が「L」(−3.3V)になる期間が2つであった。これに対し、図12に示す本実施の形態におけるタイミングチャートでは、期間Ta(1)において、書込信号φW1が「L」(−3.3V)になる期間を3つ設けている。すなわち、最大3個の発光サイリスタLが平行して点灯(発光)するようになっている。
【0164】
また、図10に示した第1の実施の形態におけるタイミングチャートの期間Ta(1)では、転送サイリスタT1、T2、T3が順にオン状態になった。そして、転送サイリスタT1のみがオン状態にあるタイミング(図10の時刻bから時刻eまで)において、書込信号φW1が「L」(−3.3V)である期間(図10の時刻cから時刻dまで)を設け、記憶サイリスタM1をターンオンさせている。同様に、転送サイリスタT2のみがオン状態にあるタイミング(図10の時刻fから時刻iまで)において、書込信号φW1が「L」(−3.3V)である期間(図10の時刻gから時刻hまで)を設け、記憶サイリスタM2をターンオンさせている。すなわち、記憶サイリスタM1およびM2がオン状態になることで、点灯(発光)させる発光サイリスタL1およびL2を記憶(ラッチ)している。
これに対し、図12に示す本実施の形態におけるタイミングチャートの期間Ta(1)では、転送サイリスタT1、T2、T3、T4を順にオン状態にするようになっている。
そして、転送サイリスタT1、T2、T3がそれぞれ単独でオン状態であるタイミングにおいて、記憶サイリスタM1、M2、M3をそれぞれターンオンさせ、点灯(発光)させる発光サイリスタL1、L2、L3を記憶(ラッチ)している。
他の動作は、図10で説明した第1の実施の形態と同様であるので、詳細な説明を省略する。
すなわち、本実施の形態では、第1の実施の形態における発光装置65において、発光チップCを変更することで、最大3個の発光サイリスタLを並行して点灯(発光)させている。
なお、φI端子に点灯(発光)のための電流を供給する定電流源300については、図13において、第2電流バッファ回路302と同様な構成の電流バッファ回路を追加すればよい。
【0165】
同様にして、並行して点灯(発光)させる発光サイリスタLの数を3を超える数としてもよい。
本実施の形態においても、複数の発光点(発光サイリスタL)を並行して点灯させうる発光チップCを用いた発光装置65において、回路基板62上の配線の本数を抑制しうる。
【0166】
(第3の実施の形態)
第3の実施の形態は、第1の実施の形態において、発光チップCの構成が異なっている。
図16は、第3の実施の形態における自己走査型発光素子アレイ(SLED)である発光チップCの回路構成を説明するための等価回路図である。なお、図16では、発光チップCa1を例に説明し、発光チップCa1(C)と表記する。他の発光チップCa2〜Ca5、Cb1〜Cb5、Cc1〜Cc5、Cd1〜Cd5の構成は、発光チップCa1の構成と同じである。第1の実施の形態と同様に、それぞれの発光チップCは最大2個の発光サイリスタLを並行して点灯させうる構成となっている。図8に示した発光チップCと同様なものには、同じ符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0167】
本実施の形態における発光チップCa1(C)では、第1書込信号線74aおよび第2書込信号線74bとφW端子およびφE端子との間に設けられた抵抗ネットワークの構成が、第1の実施の形態における発光チップCa1(C)と異なっている。
すなわち、第1書込信号線74aは直列接続された記憶抵抗RM1と許可抵抗REとを介してφE端子に接続されている。
第2書込信号線74bは直列接続された記憶抵抗RM2と書込抵抗RWとを介してφW端子に接続されている。
そして、記憶抵抗RM1と許可抵抗REとの接続点と、記憶抵抗RM2と書込抵抗RWとの接続点とが、接続されている(接続点D)。
本実施の形態において、例えばRW=1kΩ、RE=500Ω、RM1=RM2=1kΩとする。
本実施の形態における発光チップCa1(C)は、詳細な説明を省略するが、図9に示した第1の実施の形態の発光チップCa1(C)と同様な平面レイアウトおよび断面で構成しうる。
【0168】
以下では、本実施の形態における発光チップCを用いても、第1の実施の形態と同様に
動作することを説明する。よって、図10のタイミングチャートにしたがって説明する。
表3は、発光チップCa1(C)のすべての記憶サイリスタMがオフ状態であるとした場合において、φE端子(許可信号φEa)とφW端子(書込信号φW1)の電位により設定される接続点Dの電位を示している。なお、発光チップCa1(C)のすべての記憶サイリスタMがオフ状態にあれば、第1書込信号線74aおよび第2書込信号線74bの電位は、表3に示した接続点Dの電位になっている。よって、表3は、発光チップCa1(C)のすべての記憶サイリスタMがオフ状態にあるときの、第1書込信号線74aおよび第2書込信号線74bの電位を示している。表3は、表1と同じである。
【0169】
【表3】

【0170】
次に、奇数番号の記憶サイリスタMの一つがオン状態にあるときを説明する。奇数番号の記憶サイリスタMの一つがオン状態にあると、第1書込信号線74aの電位はオン状態の記憶サイリスタMのカソード端子の電位である−1.4Vになる。よって、接続点Dの電位は、第1書込信号線74aの電位(−1.4V)の影響を受ける。
表4は、奇数番号の記憶サイリスタMの一つがオン状態にある場合において、φE端子(許可信号φEa)とφW端子(書込信号φW1)の電位により設定される接続点Dの電位を示している。なお、図10から分かるように、奇数番号の記憶サイリスタMの一つがオン状態にある場合には、φE端子の電位は「L」(−3.3V)になっている。よって、書込信号φW1が0Vのとき、接続点Dの電位は−2.0V、書込信号φW1が「L」(−3.3V)のとき、接続点Dの電位は−2.83Vである。そして、偶数番号のいずれの記憶サイリスタMもオン状態にないことから、第2書込信号線74bの電位は接続点Dの電位となっている。
【0171】
【表4】

【0172】
以下では、第1の実施の形態における図10のタイミングチャートおよび表3および表4を参照して、本実施の形態における発光チップCが、第1の実施の形態における発光チップCと同様に動作することを説明する。
まず、時刻bにおいて、許可信号φEaが「H」(0V)から「L」(−3.3V)に移行する。いずれの記憶サイリスタMもオン状態にないため、接続点Dの電位は表3から−2.2Vになる。そして、第1書込信号線74aおよび第2書込信号線74bの電位は、接続点Dの電位(−2.2V)になっている。
時刻bにおいて、第1転送信号φ1aが「H」(0V)から「L」(−3.3V)になって、転送サイリスタT1がターンオンし、記憶サイリスタM1のしきい電圧が−2.8Vになっても、第1書込信号線74aの電位は−2.2Vであるので、記憶サイリスタM1はターンオンしない。
次に、時刻cにおいて、書込信号φW1が「H」(0V)から「L」(−3.3V)に移行すると、表3から分かるように、接続点Dの電位が−3.3Vになるので、第1書込信号線74aの電位も−3.3Vになり、しきい電圧が−2.8Vである記憶サイリスタM1がターンオンし、第1書込信号線74aの電位が−1.4Vになる。すなわち、第1の実施の形態における時刻cの動作と同じとなる。
【0173】
時刻dにおいて、書込信号φW1が「L」(−3.3V)から「H」(0V)に移行すると、表4にしめすように、接続点Dの電位が−2.0Vになる。この電位は、記憶サイリスタMのオン状態を維持する維持電圧(オン状態の記憶サイリスタMのカソード端子の電位−1.4V)より低いので、記憶サイリスタM1のオン状態が維持される。すなわち、第1の実施の形態における時刻dの動作と同じとなる。
【0174】
そして、時刻gにおいて、書込信号φW1が「L」(−3.3V)から「H」(0V)となると、第2書込信号線74bの電位は、表4に示したように、−2.83Vになる。よって、時刻eで転送サイリスタT2がターンオンし、しきい電圧が−2.8Vになっていた記憶サイリスタM2がターンオンする。
【0175】
一方、発光チップCb1においては、時刻cにおいて、書込信号φW1が「H」(0V)から「L」(−3.3V)に移行すると、許可信号φEbが「H」(0V)の状態にあることから、発光チップCb1の第1書込信号線74aの電位は、表3に示すように−1.1Vになる。しかし、しきい電圧は、−4.2Vである記憶サイリスタM1はターンオンしない。すなわち、第1の実施の形態における時刻cの動作と同じとなる。
【0176】
以上説明したように、本実施の形態における発光チップCを用いても、発光装置65等の動作は、第1の実施の形態と同じとなる。
ここでは、最大2個の発光サイリスタLを並行して点灯(発光)させるとしたが、第2の実施の形態において説明したように、3個以上の発光サイリスタLを並行して点灯(発光)させるようにしてもよい。
よって、本実施の形態においても、複数の発光点(発光サイリスタL)を並行して点灯させうる発光チップCを用いた発光装置65において、回路基板62上の配線の本数を抑制しうる。
【0177】
(第4の実施の形態)
第4の実施の形態は、第1の実施の形態における発光チップCの構成が異なっている。
図17は、第4の実施の形態における自己走査型発光素子アレイ(SLED)である発光チップCの回路構成を説明するための等価回路図である。なお、図17では、発光チップCa1を例に説明し、発光チップCa1(C)と表記する。他の発光チップCa2〜Ca5、Cb1〜Cb5、Cc1〜Cc5、Cd1〜Cd5の構成は、発光チップCa1の構成と同じである。第1の実施の形態におけると同様に、それぞれの発光チップCは最大2個の発光サイリスタLを並行して点灯させうる構成となっている。図8に示した発光チップCと同様なものには、同じ符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0178】
本実施の形態における発光チップCa1(C)では、第1書込信号線74aおよび第2書込信号線74bと記憶サイリスタMとの接続の状態および第1書込信号線74aおよび第2書込信号線74bとφE端子およびφW端子との接続の状態が、第1の実施の形態における発光チップCa1(C)と異なっている。
すなわち、第1書込信号線74aは許可信号φEaが供給されるφE端子に接続されている。そして、記憶サイリスタM1、M2、M3、…のカソード端子と、第1書込信号線74aとが、それぞれ許可抵抗Re1、Re2、Re3、…を介して接続されている。
一方、第2書込信号線74bは書込信号φW1が供給されるφW端子に接続されている。そして、記憶サイリスタM1、M2、M3、…のカソード端子と、第2書込信号線74bとが、それぞれ記憶抵抗Rm1、Rm2、Rm3、…を介して接続されている。
なお、許可抵抗Re1、Re2、Re3、…をそれぞれ区別しないときは、許可抵抗Reと、記憶抵抗Rm1、Rm2、Rm3、…をそれぞれ区別しないときは、記憶抵抗Rmと表記する。
本実施の形態において、例えばRm=1kΩ、Re=500Ωとする。
本実施の形態における発光チップCa1(C)は、詳細な説明を省略するが、図9に示した第1の実施の形態の発光チップCa1(C)と同様な平面レイアウトおよび断面で構成しうる。
【0179】
以下では、本実施の形態における発光チップCを用いても、第1の実施の形態と同様に
動作することを説明する。よって、図10のタイミングチャートにしたがって説明する。
表5は、発光チップCa1のすべての記憶サイリスタMがオン状態にないとした場合において、φE端子(許可信号φEa)とφW端子(書込信号φW1)の電位により設定される接続点Eの電位を示している。なお、発光チップCa1のすべての記憶サイリスタMがオン状態になければ、第1書込信号線74aおよび第2書込信号線74bの電位は、表5に示した接続点Eの電位になっている。よって、表5は、発光チップCa1のすべての記憶サイリスタMがオン状態にないときの、第1書込信号線74aおよび第2書込信号線74bの電位を示している。表5は、表1と同じである。
【0180】
【表5】

【0181】
次に、奇数番号の記憶サイリスタMの一つがオン状態にあるときを説明する。奇数番号の記憶サイリスタMの一つがオン状態にあるときは、φE端子の電位は「L」(−3.3V)になっている。よって、第1書込信号線74aの電位は「L」(−3.3V)である。
一方、オン状態の記憶サイリスタMのカソード端子の電位は−1.4Vになる。しかし、第2書込信号線74bはφW端子に接続されているので、第2書込信号線74bの電位はオン状態の記憶サイリスタMの影響を受けず、書込信号φW1にしたがって変化する。よって、奇数番号の記憶サイリスタMの一つがオン状態にある場合においても、φE端子(許可信号φE)とφW端子(書込信号φW1)の電位により設定される接続点Eの電位は、表5に示したと同じである。
【0182】
以上説明したように、本実施の形態における発光チップCを用いても、発光装置65等の動作は、第1の実施の形態と同じとなる。
ここでは、最大2個の発光サイリスタLを並行して点灯(発光)させるとしたが、第2の実施の形態において説明したように、3個以上の発光サイリスタLを並行して点灯(発光)させるようにしてもよい。
よって、本実施の形態においても、複数の発光点(発光サイリスタL)を並行して点灯させうる発光チップCを用いた発光装置65において、回路基板62上の配線の本数を抑制しうる。
【0183】
第1から第4の実施の形態において、転送サイリスタTは、第1転送信号φ1と第2転送信号φ2の2相で駆動した。しかし、転送サイリスタTの3個毎に3相の転送信号を送信して駆動してもよい。同様にして、4相以上の転送信号を送信して駆動してもよい。
また、第1から第4の実施の形態において、隣接する転送サイリスタTのゲート端子Gt間を結合ダイオードDxを介して接続した。しかし、一方の端子の電位変化が他方の端子の電位変化を生じさせる電気的手段であればよく、結合ダイオードDxの代わりに抵抗などを用いてもよい。
さらに、第1から第4の実施の形態において、転送サイリスタTのゲート端子Gtと記憶サイリスタMのゲート端子Gmとを接続ダイオードDyを介して接続した。しかし、電位降下を生じさせて電位をシフトできる電気的手段であればよく、接続ダイオードDyの代わりに抵抗などを用いてもよい。
【0184】
なお、第1から第4の実施の形態において、発光チップCは記憶サイリスタMのゲート端子Gmと発光サイリスタLのゲート端子Glとが接続されていた。しかし、記憶サイリスタMと同様な構成の複数の素子(ここでは保持素子または保持サイリスタと呼ぶ。)を、記憶サイリスタMと発光サイリスタLとの間に、それぞれが対応するように設けてもよい。なお、記憶サイリスタMのゲート端子Gmと保持サイリスタのゲート端子とが、ダイオード等の電気的手段を介して接続され、保持サイリスタのゲート端子と発光サイリスタLのゲート端子Glとが接続されている。そして、保持サイリスタのカソード端子は、新たに設けた1本の信号線(保持信号線)に接続されている。
保持信号線に保持信号を送信することで、オン状態の記憶サイリスタMに対応する保持サイリスタをターンオンさせ、発光サイリスタLの位置(番号)の情報を記憶サイリスタMから保持サイリスタに転送(転写)させる。その後、オン状態の保持サイリスタに対応する発光サイリスタLを点灯(発光)させる。
このように、記憶素子と発光素子との間に、記憶素子から点灯(発光)させる発光素子の位置(番号)の情報を受け継ぐ、バッファとなる素子(保持素子)が1段または複数段介するようにしてもよい。
このような発光チップCを用いた発光装置65においても、回路基板62上の配線の本数を抑制しうる。
【0185】
なお、第1から第4の実施の形態において、発光チップCには、自己走査型発光素子アレイ(SLED)が1個搭載されているとしたが、2個以上搭載されていてもよい。2個以上搭載されている場合には、それぞれの自己走査型発光素子アレイ(SLED)を発光チップCと置き換えればよい。
また、発光チップCの発光素子列90の発光点(発光サイリスタL)の数を128として説明したが、この個数は任意に設定してよい。
【0186】
そして、第1から第4の実施の形態において、発光チップ群を構成する発光チップCの数および発光チップ組を構成する発光チップCをそれぞれ同数としたが、異なっていてもよい。また、発光チップ組を構成する発光チップCは、それぞれが異なる発光チップ群に属しているとしたが、同じ発光チップ群に属する発光チップCを含んでいてもよい。
【0187】
さらに、第1から第4の実施の形態では、サイリスタ(転送サイリスタT、記憶サイリスタM、発光サイリスタL)のアノード端子を基板80にとって共通にしたアノードコモンとして説明した。カソード端子を基板80としたカソードコモンにおいても、回路の極性を変更することによって用いうる。
【符号の説明】
【0188】
1…画像形成装置、10…画像形成プロセス部、11…画像形成ユニット、12…感光体ドラム、14…プリントヘッド、30…画像出力制御部、40…画像処理部、62…回路基板、63…発光部、64…ロッドレンズアレイ、65…発光装置、90…発光素子列、100…信号発生回路、101…転送信号発生部、102…許可信号発生部、103…書込信号発生部、104…点灯信号発生部、φ1(φ1a、φ1b、φ1c、φ1d)…第1転送信号、φ2(φ2a、φ2b、φ2c、φ2d)…第2転送信号、φE(φEa、φEb、φEc、φEd)…許可信号、φW(φW1〜φW5)…書込信号、φI(φIa1〜φIa5、φIb1〜φIb5、φIc1〜φIc5、φId1〜φId5)…点灯信号、C(Ca1〜Ca5、Cb1〜Cb5、Cc1〜Cc5、Cd1〜Cd5)…発光チップ、L(L1、L2、L3…)…発光サイリスタ、T(T1、T2、T3…)…転送サイリスタ、M(M1、M2、M3…)…記憶サイリスタ、Dx(Dx1、Dx2、Dx3…)…結合ダイオード、Dy(Dy1、Dy2、Dy3…)…接続ダイオード、Vga…電源電位、Vsub…基準電位

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれが複数の発光素子と、当該複数の発光素子のそれぞれに対応して設けられ、点灯させる発光素子を記憶する複数の記憶素子とを含み、2以上の発光素子を並行して点灯させうる複数の発光チップと、
前記複数の発光チップを、M群(Mは2以上の整数)に分け、前記M群のそれぞれの群に属する発光チップに共通に、前記複数の発光素子から点灯させる発光素子の選択を許可する許可信号を送信する許可信号供給手段と、
前記複数の発光チップを、N組(Nは2以上の整数)に分け、それぞれの組に属する発光チップに共通に、前記許可信号により選択が許可された発光チップにおいて、前記複数の発光素子のうち点灯させる発光素子に対応する記憶素子を記憶状態または記憶しない状態のいずれか一方に設定する書込信号を送信する書込信号供給手段と、
前記複数の発光チップに対して、前記記憶状態の記憶素子に対応する発光素子に点灯のための点灯信号を送信する点灯信号供給手段と
を備えた発光装置。
【請求項2】
前記複数の発光チップのそれぞれは、前記複数の記憶素子のそれぞれに対応して設けられ、前記複数の発光素子を順に点灯させる発光素子としての選択の対象に指定する転送素子をさらに備えるとともに、
前記M群のそれぞれの群に属する発光チップに共通に、前記複数の発光素子から点灯させる発光素子を順に選択の対象に指定する転送信号を送信する転送信号供給手段を
さらに備えることを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記書込信号供給手段は、前記N組のそれぞれの組に属する発光チップに対して、前記M群のそれぞれの群毎に、時系列で書込信号を送信することを特徴とする請求項1または2に記載の発光装置。
【請求項4】
前記点灯信号供給手段、前記転送信号供給手段および前記許可信号供給手段は、前記M群のそれぞれの群に対して、前記点灯信号、前記転送信号および前記許可信号を、群毎に時間軸上でずらして送信することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項5】
それぞれが複数の発光素子と、当該複数の発光素子のそれぞれに対応して設けられ、点灯させる発光素子を記憶する複数の記憶素子とを含み、2以上の発光素子を並行して点灯させうる複数の発光チップを備える発光装置を駆動する方法であって、
前記複数の発光チップを、M群(Mは2以上の整数)に分け、前記M群のそれぞれの群に属する発光チップに共通に、前記複数の発光素子から点灯させる発光素子の選択を許可する許可信号を送信するステップと、
前記複数の発光チップを、N組(Nは2以上の整数)に分け、それぞれの組に属する発光チップに共通に、前記許可信号により選択が許可された発光チップにおいて、前記複数の発光素子のうち点灯させる発光素子に対応する記憶素子を記憶状態または記憶しない状態のいずれか一方に設定する書込信号を送信するステップと、
前記複数の発光チップに対して、前記記憶状態の記憶素子に対応する発光素子に点灯のための点灯信号を送信するステップと
を含む発光装置の駆動方法。
【請求項6】
それぞれが複数の発光素子と、当該複数の発光素子のそれぞれに対応して設けられ、点灯させる発光素子を記憶する複数の記憶素子とを含み、2以上の発光素子を並行して点灯させうる複数の発光チップと、当該複数の発光チップを、M群(Mは2以上の整数)に分け、当該M群のそれぞれの群に属する発光チップに共通に、当該複数の発光素子から点灯させる発光素子の選択を許可する許可信号を送信する許可信号供給手段と、当該複数の発光チップを、N組(Nは2以上の整数)に分け、それぞれの組に属する発光チップに共通に、当該許可信号により選択が許可された発光チップにおいて、当該複数の発光素子のうち点灯させる発光素子に対応する記憶素子を記憶状態または記憶しない状態のいずれか一方に設定する書込信号を送信する書込信号供給手段と、当該複数の発光チップに対して、当該記憶状態の記憶素子に対応する発光素子に点灯のための点灯信号を送信する点灯信号供給手段とを備え、像保持体を露光して静電潜像を形成する露光手段と、
前記露光手段から照射される光を前記像保持体上に結像させる光学手段と
を備えるプリントヘッド。
【請求項7】
像保持体を帯電する帯電手段と、
それぞれが複数の発光素子と、当該複数の発光素子のそれぞれに対応して設けられ、点灯させる発光素子を記憶する複数の記憶素子とを含み、2以上の発光素子を並行して点灯させうる複数の発光チップと、当該複数の発光チップを、M群(Mは2以上の整数)に分け、当該M群のそれぞれの群に属する発光チップに共通に、当該複数の発光素子から点灯させる発光素子の選択を許可する許可信号を送信する許可信号供給手段と、当該複数の発光チップを、N組(Nは2以上の整数)に分け、それぞれの組に属する発光チップに共通に、当該許可信号により選択が許可された発光チップにおいて、当該複数の発光素子のうち点灯させる発光素子に対応する記憶素子を記憶状態または記憶しない状態のいずれか一方に設定する書込信号を送信する書込信号供給手段と、当該複数の発光チップに対して、当該記憶状態の記憶素子に対応する発光素子に点灯のための点灯信号を送信する点灯信号供給手段とを備え、前記像保持体を露光して静電潜像を形成する露光手段と、
前記露光手段から照射される光を前記像保持体上に結像させる光学手段と、
前記像保持体に形成された前記静電潜像を現像する現像手段と、
前記像保持体に現像された画像を被転写体に転写する転写手段と
を備える画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2011−206943(P2011−206943A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−74551(P2010−74551)
【出願日】平成22年3月29日(2010.3.29)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】