発光装置およびその製造方法、ならびに、表示装置および画像形成装置
【課題】偶発的な放電による破壊から回路を保護可能であり、保護回路を持たない発光装置と略同一の作業および時間で製造可能であり、製造時に、偶発的な放電により配線の電位が著しく変動したことを検出することができる発光装置を提供する。
【解決手段】発光装置10を提供する。発光装置10は、データ線16および保護回路141を備える。保護回路141は、複数の層で形成され、陰極が高電位電源線LHに電気的に接続され、陽極がデータ線16に電気的に接続された正保護ダイオードDHと、上記の複数の層で形成され、陽極が低電位電源線LLに電気的に接続され、陰極がデータ線16に電気的に接続された負保護ダイオードDLとを有する。各保護ダイオードは発光ダイオードであり、発光装置10は、上記の複数の層で形成されたOLED素子Pを備える。
【解決手段】発光装置10を提供する。発光装置10は、データ線16および保護回路141を備える。保護回路141は、複数の層で形成され、陰極が高電位電源線LHに電気的に接続され、陽極がデータ線16に電気的に接続された正保護ダイオードDHと、上記の複数の層で形成され、陽極が低電位電源線LLに電気的に接続され、陰極がデータ線16に電気的に接続された負保護ダイオードDLとを有する。各保護ダイオードは発光ダイオードであり、発光装置10は、上記の複数の層で形成されたOLED素子Pを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光ダイオードを偶発的な放電から保護する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
OLED(Organic Light-Emitting Diode)素子等の発光ダイオードを光源として備える発光装置が製造されている。このような発光装置では、偶発的な放電により、発光ダイオードの駆動に用いられる配線の電位が著しく高くなったり低くなったりすると、この配線を含む回路が破壊される虞がある。これと同様のことは、液晶表示装置でも問題となっており、アクティブマトリクス駆動方式の液晶表示装置において、トランジスタ等の能動素子の破壊を避けるために、能動素子でダイオードを構成し、このダイオードを含む保護回路を配線に接続し、この保護回路の働きにより、配線の電位が著しく高くなったり低くなったりする事態を回避する技術が知られている(特許文献1)。
【特許文献1】WO97/13177号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記の技術は、複数の能動素子が配列されるアクティブマトリクス基板の存在を前提としている。したがって、パッシブマトリクス駆動方式の発光装置に適用することはできない。仮に適用したとしても、発光装置の製造工程に保護回路のダイオードを形成する工程が追加する必要がある。製造工程の増加は、製造作業および製造時間の増大に直結し、製造コストの増大を招く。
もし、発光装置の製造時に、偶発的な放電によって静電気が回路に飛び込んだことを検出することができれば、製造時における不良品の早期発見、ひいては発光装置の製造効率の向上に寄与することとなる。しかし、この点について、特許文献1には記載が無い。そもそも、静電気は電荷であるから、その検出は非常に困難である。
本発明は、上述した事情に鑑み、偶発的な放電による破壊から回路を保護可能であり、保護回路を持たない発光装置と略同一の作業および時間で製造可能であり、製造時に、偶発的な放電により配線の電位が著しく変動したことを検出することができる発光装置およびその製造方法、ならびに、表示装置および画像形成装置を提供することを解決課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上述したように、静電気放電に代表される偶発的な放電が発生して配線の電位が著しく高くなったり著しく低くなったりすると、配線が切れたり、配線に接続されている素子が破損したりする虞がある。この問題に対し、本発明では、配線に電気的に接続された保護回路によって配線の電位の絶対値の著しい増大を抑制する、というアプローチを採っている。このアプローチを採った場合に問題となるのが、発光装置の製造工程が増えてしまうことである。この問題は、特にパッシブマトリクス駆動方式の発光装置において顕著である。
【0005】
この問題を解決するために、本発明は、光源からの光を面状の出射領域から出射する発光装置であって、1または複数の配線と、複数の層で形成され、陰極または陽極の一方が電源に電気的に接続され、他方が前記配線に電気的に接続された保護ダイオードを有し、前記配線の電位の絶対値が前記電源の電位の絶対値よりも大きい場合には当該配線の電位の絶対値を小さくするために前記保護ダイオードに電流を流す保護回路と、前記光源として設けられ、前記複数の層で形成され、前記配線により供給される信号を用いて駆動される発光ダイオードとを備える発光装置を提供する。発光ダイオードは、与えられた電気エネルギにより発光する二端子型非線形素子であり、例えば、OLED素子や無機EL(Electro Luminescent)素子、LED(Light Emitting Diode)素子等である。
【0006】
この発光装置によれば、偶発的な放電が発生して配線の電位の絶対値が電源の電位の絶対値よりも大きくなると、保護ダイオードに電流が流れて当該配線の電位の絶対値の増大が抑制される。つまり、この発光装置によれば、配線の電位の絶対値が電源の電位の絶対値以下となるように、配線の電荷を逃がすことができる。よって、配線の電位の絶対値が著しく大きくなる事態が起こり難くなる。以上より、この発光装置によれば、偶発的な放電によって配線の切断や配線に接続されている素子の破壊が引き起こされる可能性を低く抑制することができる。これは、例えば、歩留まりの向上や長寿命化に寄与する。歩留まりの向上は、例えば製造コストの削減に寄与する。
この発光装置の態様としては、正の電荷による放電に対応可能な正の態様と、負の電荷による放電に対応可能な負の態様と、両方の放電に対応可能な正負の態様とがある。これらの態様の各々について、配線の電位の絶対値が著しく大きくなる事態が起こり難くなる理由を説明する。
正の態様では、保護ダイオードの陰極が電源に、陽極が配線の端部に接続される。したがって、配線の電位が上昇して電源の電位を十分に上回ると、配線から保護ダイオードを介して電源へ電流が流れ、配線の電位上昇が抑制される。したがって、配線の電位が著しく高くなる事態が起こり難くなる。
負の態様では、保護ダイオードの陽極が電源に、陰極が配線の端部に接続される。したがって、配線の電位が下降して電源の電位を十分に下回ると、電源から保護ダイオードを介して配線へ電流が流れ、配線の電位下降が抑制される。したがって、配線の電位が著しく低くなる事態が起こり難くなる。
正負の態様では、保護回路が、保護ダイオードとして、陰極が高電位電源に電気的に接続され、陽極が配線に電気的に接続された第1の保護ダイオードと、陽極が低電位電源に電気的に接続され、陰極が配線に電気的に接続された第2の保護ダイオードとを備える。したがって、配線の電位が上昇して高電位電源の電位を十分に上回ると、配線から第1の保護ダイオードを介して高電位電源へ電流が流れ、配線の電位が下降して低電位電源の電位を十分に下回ると、低電位電源から第2の保護ダイオードを介して配線へ電流が流れる。よって、配線の電位の上昇および下降が抑制され、配線の電位が著しく高くなる事態も著しく低くなる事態も起こり難くなる。
なお、「十分に上回る」および「十分に下回る」は、保護ダイオードの閾値電圧を考慮に入れた表現である。
【0007】
前述したように、この発光装置では、光源として設けられ発光ダイオードが、保護ダイオードを形成する複数の層で形成されている。つまり、光源の発光ダイオードを形成する複数の層と、保護ダイオードを形成する複数の層とが共通している。したがって、複数の層を積層して形成するだけで、光源の発光ダイオードと保護ダイオードとを形成することができる。複数の層が形成される範囲は、光源の発光ダイオードのみを形成する場合に比較して広くなるが、複数の層の形成に要する時間は略同一となる。また、発光装置には光源が必須であり、光源として発光ダイオードを用いる発光装置には発光ダイオードを必ず設ける必要がある。つまり、複数の層を積層して発光ダイオードを形成する作業は、保護回路を設けない場合にも必須となる。以上より、本発明は、保護回路を持たない発光装置と略同一の作業および時間で製造可能な発光装置を提供することができる。これは、発光装置の製造コストの削減にも寄与する。
【0008】
また、本発明に係る発光装置では、発光ダイオードを形成する複数の層で保護ダイオードが形成されている。つまり、保護ダイオードも発光ダイオードである。したがって、保護ダイオードは、電流が流れると、すなわち配線の電位の絶対値が電源の電位の絶対値よりも大きくなると、発光する。よって、この発光装置によれば、偶発的な放電により配線の電位が大きく変動したこと、すなわち静電気が配線に飛び込んだことを確実に検出することができる。これは、例えば、製造時における不良品の早期発見や、使用時における故障の原因の早期究明につながる有利な効果である。製造時における不良品の早期発見は、例えば、発光装置の製造効率の向上、ひいては製造コストの削減に寄与する。
【0009】
保護ダイオードが発光ダイオードの場合、発光装置の使用時において、出射領域から出射すべきでない光が出射し、出射光の品質が低下する虞がある。そこで、上記の発光装置において、遮光性の材料から形成された遮光層を備え、前記光源は基板上の発光領域内に形成され、前記保護ダイオードは前記基板上の前記発光領域に重ならない遮光領域内に形成され、前記遮光層は、前記発光領域から前記出射領域へ直進する光を遮ることなく、前記遮光領域から前記出射領域へ直進する光を遮るように設けられている、ようにしてもよい。
この発光装置では、出射領域から出射される光には、保護ダイオードから出射領域へ直進する光は含まれず、光源の発光ダイオードから出射領域へ直進する光が含まれる。つまり、出射領域から、出射すべきでない光が出射し難く、出射すべき光が出射し易くなっている。したがって、出射光の品質の低下を避けることができる。なお、この発光装置であっても、遮光層の形成前であれば、偶発的な放電により配線の電位が大きく変動したことを確実に検出することができる。また、保護ダイオードからの光のうち、確実に遮られるのは、保護ダイオードから出射領域へ直進する光のみであり、それ以外の光は遮られても遮られなくてもよいから、遮光層の形成の態様によっては、遮光層の形成後であっても、偶発的な放電により配線の電位が大きく変動したことを確実に検出することができる。
【0010】
上記の各発光装置において、前記発光ダイオードを含み、複数のデータ線と複数の走査線との交差に対応して前記光源として設けられた複数の発光ダイオードを備え、前記配線は前記データ線または前記走査線である、ようにしてもよい。つまり、マトリクス状に配置された複数の発光ダイオード(光源)をライン毎に順次走査して駆動する線順次駆動方式の発光装置であってもよい。この発光装置では、光源となる複数の発光ダイオードに、保護ダイオードと異なる層で形成された発光ダイオードが含まれていてもよい。そのような発光装置としては、光源として、赤色発光する発光ダイオード、緑色発光する発光ダイオード、および青色発光する発光ダイオードを備え、いずれかの発光ダイオードを形成する複数の層で保護ダイオードが形成された発光装置を例示することができる。
【0011】
線順次駆動方式としては、アクティブマトリクス駆動方式とパッシブマトリクス駆動方式がある。アクティブマトリクス駆動方式の発光装置では、光源の発光ダイオードを駆動するためのトランジスタが当該発光ダイオードとは異なる層に設けられる。この層に保護ダイオードを形成すれば、発光装置の製造に要する作業および時間をほとんど増大させることなく保護回路を設けることができるかに見える。しかし、そのようにすれば、保護ダイオードの陽極または陰極と配線とを接続する作業が繁雑になる虞がある。例えば、光源の発光ダイオードがOLED素子であり、発光層がスピンコート法により形成され、この発光層が保護ダイオードと配線との間に挟まれる場合、保護ダイオードと配線との接続を確保する作業が複雑となる。したがって、保護回路を設けない場合と略同一の作業および時間で保護ダイオードをも形成することができない虞がある。これに対し、本発明に係る線順次駆動方式の発光装置によれば、光源の発光ダイオードを形成する複数の層と、保護ダイオードを形成する複数の層とが共通しているから、上記の不都合は生じない。
【0012】
上記の線順次駆動方式の発光装置において、前記複数の発光ダイオードの各々の陽極および陰極の一方は前記データ線に電気的に接続され、他方は前記走査線に電気的に接続されている、ようにしてもよい。つまり、パッシブマトリクス駆動方式の発光装置としてもよい。パッシブマトリクス駆動方式の発光装置には、光源の発光ダイオードを駆動するためのトランジスタは存在せず、このようなトランジスタを形成するための層が元々存在しない。したがって、一般的な方法によって保護ダイオードを形成しようとすれば、発光装置の製造に要する時間はもちろん、製造の工程数まで増えてしまう。これに対し、本発明に係るパッシブマトリクス駆動方式の発光装置によれば、上記の不都合は生じず、その製造工程を大幅に簡素化することができる。
【0013】
本発明に係る発光装置の駆動方式は線順次駆動方式に限らない。例えば、前述の各発光装置において、前記発光ダイオードを含み、前記光源として設けられ、列をなす複数の電極と1または複数の導電体との間に発光層を有する複数の発光ダイオードと、前記複数の電極に1対1で電気的に接続された複数のデータ線とを備え、前記配線は前記データ線または前記導電体であり、前記複数の層は、前記発光層、前記複数の電極を含む層および前記1または複数の導電体を含む層である、ようにしてもよい。この発光装置は、例えば、電子写真方式の画像形成装置において潜像を形成する露光ヘッドとして使用可能である。この発光装置によれば、本発明に係るパッシブマトリクス駆動方式の発光装置について述べた理由と同様の理由により、その製造工程を大幅に簡素化することができる。
【0014】
本発明は、上記の線順次駆動方式の発光装置または上記のパッシブマトリクス駆動方式の発光装置を備え、画像に応じた信号を前記配線により前記発光ダイオードに供給する、ことを特徴とする表示装置を提供する。この表示装置によれば、発光装置として、低コストで製造可能な長寿命のものを備えるため、製造コストの削減および長寿命化が可能となる。さらに、備える発光装置が前述の遮光層を有する場合には、保護ダイオードの発光光に起因した表示の品質低下を回避することもできる。
【0015】
本発明は、上記の露光ヘッドとして使用可能な発光装置と、前記発光装置の前記出射領域から出射した光が帯電された面に照射される像担持体とを備え、前記帯電された面に形成された潜像に応じた画像を形成する画像形成装置を提供する。この画像形成装置によれば、発光装置として、低コストで製造可能な長寿命のものを備えるため、製造コストやメンテナンスの手間の削減が可能となる。さらに、備える発光装置が前述の遮光層を有する場合には、保護ダイオードの発光光に起因した画像形成の品質低下を回避することもできる。
【0016】
本発明は、光源からの光を出射領域から出射する発光装置であって、1または複数の配線と、陰極または陽極の一方が電源に電気的に接続され、他方が前記配線に電気的に接続された保護ダイオードを有し、前記配線の電位の絶対値が前記電源の電位の絶対値よりも大きい場合には当該配線の電位の絶対値を小さくするために前記保護ダイオードに電流を流す保護回路と、前記光源として設けられ、前記配線により供給される信号を用いて駆動される発光ダイオードとを備える発光装置の製造方法であって、前記発光ダイオードと前記保護ダイオードとに共通する複数の層を積層して形成し、前記複数の層の形成では、前記複数の層の各々について、積層する順に、当該層を形成することによって前記発光ダイオードの一部と前記保護ダイオードの一部とを形成する工程を繰り返し行う、ことを特徴とする発光装置の製造方法を提供する。
この製造方法では、保護ダイオードの形成と、保護ダイオードを形成する複数の層で形成された光源の発光ダイオードの形成とが、同一の工程によって並行して進む。例えば、上記の複数の層が、下層から、A層、B層およびC層の計3層の場合、まずA層を形成することにより光源の発光ダイオードの最初の一部と保護ダイオードの最初の一部とが形成され、次にB層を形成することにより光源の発光ダイオードの次の一部と保護ダイオードの次の一部とが形成され、最後にC層を形成することにより光源の発光ダイオードの全部と保護ダイオードの全部とが形成される。以上より明らかなように、この製造方法により発光装置を製造する場合に必要となる工程の数は、保護回路を持たない発光装置を製造する場合に必要となる工程の数と一致し、各工程の内容は略同一となる。
また、この製造方法により製造された発光装置では、配線の電位の絶対値が著しく大きくなる事態が起こり難くなる一方、保護ダイオードが、偶発的な放電により配線の電位が大きく変動したことを確実に検出するセンサとして機能する。
以上より、この製造方法によれば、保護回路を持たない発光装置と略同一の作業および時間で、偶発的な放電によって配線の切断や配線に接続されている素子の破壊が引き起こされる可能性を低く抑制すること、および偶発的な放電により配線の電位が大きく変動したことを確実に検出することができる発光装置を製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、添付の図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態を説明する。図面においては、各部の寸法の比率は実際のものとは適宜に異ならせてある。
<1:発光装置>
まず、本発明の実施の形態に係る発光装置について説明する。この発光装置は、光源を備え、供給された信号を用いて光源を駆動し、光源からの光を面状の出射領域から出射する。この発光装置には、例えば、画像に応じた信号を受け、この信号を用いて複数の光源を駆動して当該画像を表示する表示装置として用いられる発光装置10や、電子写真方式の画像形成装置の内部で画像に応じた信号を受け、この信号を用いて複数の光源を駆動して当該画像に応じた潜像を像担持体に形成する露光ヘッドとして用いられる発光装置50がある。
【0018】
<1−1:表示装置として用いられる発光装置10>
図1は、本発明の実施の形態に係る発光装置10の外観を示す図であり、図2は、発光装置10の電気的構成を示す図である。発光装置10は、いわゆるボトムエミッション型の表示装置として用いられるものであり、光源からの光は、図1に示されている面の裏面の出射領域ERから出射する。また、発光装置10は、パッシブマトリクス駆動方式の発光装置であり、複数の走査線15および複数のデータ線16を備え、両者の交差に対応してマトリクス状に配置された複数のOLED素子Pを光源として備える。OLED素子は、与えられた電気エネルギにより発光する発光ダイオードであり、有機EL材料で層状に形成され、電界により注入された正孔と電子との再結合により励起して発光する発光部を、陽極と陰極とで挟んで構成されている。この陽極は対応するデータ線16に電気的に接続されており、陰極は走査線15そのものである。
【0019】
走査線15の一端は実装端子121に接続されており、データ線16の一端は実装端子131に接続されている。実装端子121は、図示しない走査線駆動回路をOLB(Outer Lead Bonding)により実装するためのものであり、実装端子131は、図示しないデータ線駆動回路をOLBにより実装するためのものである。走査線駆動回路およびデータ線駆動回路は、走査線15およびデータ線16を介して駆動信号を供給することによってOLED素子Pを駆動する。走査線駆動回路およびデータ線駆動回路の実装方式は、COG(Chip On Grass)であってもよい。
【0020】
全てのOLED素子Pは発光領域11に、全ての実装端子121は端子領域12に、全ての実装端子131は端子領域13に設けられている。発光領域11と端子領域13との間には、保護回路領域14があり、この領域を全てのデータ線16が横切っている。保護回路領域14には、偶発的な放電による破壊から回路を保護する複数の保護回路141が、複数のデータ線16と一対一で対応して設置されている。保護回路141の設置位置は、対応するデータ線16の近傍である。また、保護回路領域14には、一定の高電位(VH[V])に保たれる高電位電源線LHと、一定の低電位(VL[V])に保たれる低電位電源線LLが、全ての保護回路141を横切って設けられている。高電位電源線LHおよび低電位電源線LLは保護回路141の構成要素となっている。
【0021】
保護回路141に保護される回路は、この保護回路141に対応するデータ線16を構成要素とする、この保護回路141外の回路である。このような保護を実現するために、保護回路141は、正の電荷による放電から回路を保護するための正保護ダイオードDHと、負の電荷による放電から回路を保護するための負保護ダイオードDLとを備えている。これらの保護ダイオードの閾値電圧は共にVth[V]である。
【0022】
これらの保護ダイオードは、対応するデータ線16の電位がVH+Vth[V]以下かつVL−Vth[V]以上の適正範囲に収まるように設けられている。つまり、正保護ダイオードDHの陽極および負保護ダイオードDHの陰極が、対応するデータ線16に電気的に接続されており、正保護ダイオードDHの陰極が高電位電源線HLに、負保護ダイオードDHの陽極が低電位電源線LLに電気的に接続されている。VH[V]およびVL[V]は、データ線16の電位がVH+Vth[V]以下かつVL−Vth[V]以上であれば保護対象の回路の損壊を回避できるように定められている。
【0023】
このような構成を採ることにより、発光装置10は静電保護効果を奏する。つまり、偶発的な放電が発生してデータ線16の電位が適正範囲外となると、データ線16の電荷を逃がす保護電流を流すことにより、保護対象の回路を保護することができる。保護電流には、データ線16の電位がVH+Vth[V]を上回ると流れる正保護電流と、VL−Vth[V]を下回ると流れる負保護電流とがある。
【0024】
図3は発光装置10の作用を示す概念図であり、この図には、正保護電流の流路が矢印FPで、負保護電流の流路が矢印FMで示されている。この図に示すように、データ線16の電位がVH[V]を十分に上回ると(VH+Vth[V]を上回ると)、データ線16から正保護ダイオードDHを介して高電位電源線LHへ正保護電流が流れる。これにより、データ線16の電位上昇が抑制され、データ線16の電位が著しく高くなる事態が起こり難くなる。一方、データ線16の電位がVL[V]を十分に下回ると(VL−Vth[V]を下回ると)、低電位電源線LLから負保護ダイオードDLを介してデータ線16へ電流が流れる。これにより、データ線16の電位下降が抑制され、データ線16の電位が著しく低くなる事態が起こり難くなる。
【0025】
発光装置10により得られる効果は、上記の静電保護効果だけではない。発光装置10により得られる静電保護効果以外の効果は、発光装置10の層構成に由来しているため、以下では、発光装置10の層構成について詳述する。ただし、発光装置10の層構成は、その製造方法に依存する。ここでは、まず、OLED素子Pの発光部を含む有機発光層がスピンコーティング法により形成される発光装置10Aについて説明し、次に、有機発光層がインクジェット法により形成される発光装置10Bについて説明する。
【0026】
<1−1−1:スピンコーティング法による発光装置10A>
図4は、発光装置10Aの内部の一部を拡大して示す平面図である。この図は、発光装置10Aの特徴的な構造を示す図であり、他の構造の図示を省略している。図5は、発光装置10AのA−A´断面図である。ただし、この図には、図4に示していない透明基板21も示してある。透明基板21は、ガラスなどの光透過性の高い材料から形成された平板状の基板であり、発光装置10Aは、透明基板21上に複数のOLED素子Pを配置して形成されている。
【0027】
透明基板21上には、アルミニウム等の金属により第1配線層22が形成されている。第1配線層22は、高電位電源線LHおよび低電位電源線LLを含む層である。透明基板21および第1配線層22上には、酸化珪素などの光透過性の高い絶縁材料から第1絶縁層23が形成されている。第1絶縁層23には、高電位電源線LHまで貫通したコンタクトホールCHHと、低電位電源線LLまで貫通したコンタクトホールCHLとが、保護回路141毎に形成されている。
【0028】
第1絶縁層23および第1配線層22上には、アルミニウム等の金属により第2配線層24が選択的に形成されている。第2配線層24は、低電位電源線LLと負保護ダイオードDLの陽極とを電気的に接続する導通部24Lと、高電位電源線LHと正保護ダイオードHLの陽極とを電気的に接続する導通部24Hと、データ線16とを含む層である。導通部24Lは、コンタクトホールCHLを介して低電位電源線LLに接触面LL1で接触している。導通部24HはコンタクトホールCHHを介して高電位電源線LHに接触面LH1で接触している。
【0029】
第2配線層24および第1絶縁層23上には、窒化珪素などの光透過性の高い絶縁材料から第2絶縁層25が選択的に形成されている。この形成は、保護回路領域14においては導通部24L、導通部24Hおよびデータ線16の各々の一部が露出し、発光領域11においてはデータ線16の一部が露出するように行われている。第2絶縁層25上には、ITO(Indium Tin Oxide)などの光透過性の高い材料から第3配線層26が選択的に形成されている。第3配線層26は、保護回路領域14にあっては導通部261〜263を、発光領域11にあっては導通部264を含む層である。導通部261は、導通部24Lに接触面24L1で接触し、負保護ダイオードDLの陽極となっている。導通部262は、データ線16に接触面161で接触し、正保護ダイオードDHの陽極となっている。導通部263は、導通部24Hに接触面24H1で接触している。導通部264は、データ線16に接触面162で接触し、OLED素子Pの陽極となっている。
【0030】
第3配線層26上には、酸化珪素などの絶縁材料から第3絶縁層27が選択的に形成されている。保護回路領域14においては第2絶縁層25上にも形成され、発光領域11においては第2絶縁層25、データ線16および第1絶縁層23上にも形成されている。第3絶縁層27および第3配線層26上には、有機EL材料から有機発光層28が形成されている。有機発光層28は、電界により注入された正孔と電子との再結合により励起して発光する発光層のみから構成されてもよいし、発光層以外の層をも含むように構成されてもよい。発光層以外の層としては、正孔を注入し易くするための正孔注入層や、注入された正孔を発光層へ輸送し易くするための正孔輸送層、電子を注入し易くするための電子注入層、注入された電子を発光層へ輸送し易くするための電子輸送層などの、上記の再結合に寄与する層が挙げられる。
【0031】
有機発光層28は、第3絶縁層27により画定された凹部において第3配線層26に接触している。ただし、第3配線層26の露出面26A上の凹部および露出面26B上の凹部には有機発光層28が存在しない。保護回路領域14において有機発光層28が第3配線層26に接触している部分の数は、保護ダイオードの数と同数である。以降、これらの部分のうち、低電位電源線LL側の接触部分を発光部281、高電位電源線LH側の接触部分を発光部282と呼ぶ。発光領域11において有機発光層28が第3配線層26に接触している部分の数は、OLED素子Pと同数である。以降、これらの部分を発光部283と称する。
【0032】
有機発光層28上には、アルミニウム等の金属により陰極層29が選択的に形成されている。陰極層29には、複数の走査線15が含まれている。走査線15は、対応する複数のOLED素子Pに共通の陰極でもあり、発光部283は走査線15に接触している。つまり、OLED素子Pは、データ線16に電気的に接続された導通部264を陽極とし、走査線15を陰極とし、両極間に発光部283を挟んで構成されている。OLED素子Pからの光は、第3配線層26、第1絶縁層23および透明基板21を透過して外部へ出射する。
【0033】
また、陰極層29には、低電位電源線LL側の発光部282に接触している導通部29Lが含まれている。導通部29Lは負保護ダイオードDLの陰極となっている。つまり、負保護ダイオードDLは、低電位電源線LLに電気的に接続された導通部261を陽極とし、導通部29Lを陰極とし、両極間に発光部281を挟んで構成されている。また、陰極層29には、高電位電源線LH側の発光部282に接触している導通部29Hとが含まれている。導通部29Hは正保護ダイオードDHの陰極となっている。つまり、正保護ダイオードDHは、高電位電源線LHに電気的に接続された導通部262を陽極とし、導通部29Hを陰極とし、両極間に発光部282を挟んで構成されている。なお、導通部29Lは露出面26Aで導通部262に接触し、導通部29Hは露出面26Bで導通部263に接触している。
【0034】
上述したことから明らかなように、OLED素子Pの陽極である導通部264、負保護ダイオードDLの陽極である導通部261、および正保護ダイオードDHの陽極である導通部262は、いずれも第3配線層26に含まれている。また、OLED素子Pの発光部283、負保護ダイオードDLの発光部281、および正保護ダイオードDHの発光部282は、いずれも有機発光層28に含まれている。また、OLED素子Pの陰極である走査線15、負保護ダイオードDLの陰極である導通部29L、および正保護ダイオードDHの陽極である導通部29Hは、いずれも陰極層29に含まれている。つまり、発光装置10Aでは、OLED素子Pを構成する複数の層、負保護ダイオードDLを構成する複数の層、および正保護ダイオードDHを構成する複数の層は、互いに共通している。したがって、発光装置10Aによれば、負保護ダイオードDLおよび正保護ダイオードDHの形成を、OLED素子Pの形成と同一の工程で行うことができる。OLED素子Pを形成する工程は、保護回路を設けない場合にも必要となる工程であるから、発光装置10Aによれば、製造工程の数を増やすことなく、保護ダイオードを形成することができる。
【0035】
上述したことから明らかなように、正保護ダイオードDHおよび負保護ダイオードDLは、いずれもOLED素子であり、一般的なダイオードではない。しかし、OLED素子のV−I特性は図6に示す通りであり、一般的なダイオードと同様である。よって、保護ダイオードとしてOLED素子を用いても、一般的なダイオードを用いた場合と同様の静電保護効果を得られるのである。
【0036】
また、OLED素子は電流が流れると発光するから、正保護電流が流れると正保護ダイオードDHが発光し、負保護電流が流れると負保護ダイオードDLが発光する。つまり、正保護ダイオードDHは、放電によってデータ線16に正の電荷が飛び込んだことを検出するセンサとして機能し、負保護ダイオードDLにより、放電によってデータ線16に負の電荷が飛び込んだことを検出するセンサとして機能する。そして、負保護ダイオードDLの発光部281からの光と、正保護ダイオードDHの発光部282からの光は、第3配線層26、第1絶縁層23および透明基板21を透過して外部へ出射する。よって、発光装置10Aによれば、放電によってデータ線16に電荷が飛び込んだことを、OLED素子Pを発光させることなく知らせることができる。これは、発光装置10Aの故障の原因の早期究明につながる有利な効果である。
【0037】
また、発光装置10Aによれば、データ線16には抵抗(R)が分布しており、寄生容量(C)も存在するから、ローパスフィルタが構成され、放電によってデータ線16に飛び込んだ電荷が伝播する速度が遅くなる。このため、データ線16の電位の上昇または下降が急激で、保護ダイオードの動作よりも速い場合であっても、保護回路141による保護が有効に働く。この効果は、データ線16が長いほど顕著となる。なお、遮光領域14に配置されるデータ線16の一部に抵抗素子を形成してもよい。この場合は、ノイズ信号の波形変化をより一層緩やかにすることができ、データ線16やOLED素子Pを確実に保護することが可能となる。
【0038】
発光装置10Aの製造工程の概略は以下の通りである。
まず、透明基板21上に第1配線層22を選択的に形成することにより、低電位電源線LLおよび高電位電源線LHを形成する。次に、第1絶縁層23を形成して低電位電源線LLおよび高電位電源線LHを覆う。次に、保護回路領域14の第1絶縁層23にコンタクトホールCHHおよびCHLを形成する。次に、第2配線層24を選択的に形成する。これにより、コンタクトホールCHLを通じて低電位電源線LLに接触する導通部24Lと、コンタクトホールCHHを通じて高電位電源線LHに接触する導通部24Hとが、保護回路領域14に形成される一方、データ線16が発光領域11および保護回路領域14に形成される。
【0039】
次に、第2絶縁層25を選択的に形成する。次に、第3配線層26を選択的に形成することにより、保護回路領域14には保護回路141と同数の導通部261〜263を、発光領域11にはOLED素子Pと同数の導通部264を形成する。これらの形成により、第2配線層24のうち、導通部261には導通部24Lのみ、導通部262にはデータ線16のみ、導通部263には導通部24Hのみ、導通部264にはデータ線16のみが接触する。第3配線層26の形成は、例えばマスクを用いた蒸着により行われる。
【0040】
次に、第3絶縁層27を選択的に形成する。次に、有機発光層28をスピンコーティング法により形成する。次に、露出面26Aおよび露出面26B上の有機発光層28を除去する。これらの作業により、有機発光層28のうち、発光部281〜283のみが第3配線層26に接触する。次に、陰極層29を選択的に形成することにより、発光部281および導通部262に接触する導通部29Lと、発光部282および導通部263に接触する導通部29Hと、複数の発光部283に接触する走査線15を形成する。陰極層29の形成は、例えばマスクを用いた蒸着により行われる。この後、OLED素子Pを外気から保護するための封止を行う。この封止は、缶封止でもベタ封止でも薄膜封止でもよい。
【0041】
上述したように、有機発光層28はスピンコーティング法により形成されるから、発光部281〜283が一括して形成される。また、第3配線層26の形成は、例えばマスクを用いた蒸着により行われるから、導通部261〜264が一括して形成される。また、陰極層29の形成は、例えばマスクを用いた蒸着により行われるから、導通部29Lおよび29Hと走査線15とが一括して形成される。よって、これら複数の層を形成する工程に要する時間は、保護回路141を設けても設けなくても変わらない。以上より、発光装置10Aを上述の製造工程により製造する場合には、保護回路を持たない発光装置を製造するのと略同一の作業および時間で製造することができる。
【0042】
また、負保護ダイオードDLの発光部281からの光と、正保護ダイオードDHの発光部282からの光は、第3配線層26、第1絶縁層23および透明基板21を透過して外部へ出射するから、上記の製造工程において、陰極層29の形成後であれば、放電によってデータ線16に電荷が飛び込んだことが、負保護ダイオードDLまたは正保護ダイオードDHの発光により知らされる。これは、発光装置10Aの製造時における不良品の早期発見につながる有利な効果である。製造時における不良品の早期発見は、例えば、発光装置10Aの製造効率の向上、ひいては製造コストの削減に寄与する。
【0043】
<1−1−2:インクジェット法による発光装置10B>
図4は、発光装置10Bの内部の一部を拡大して示す平面図でもある。図7は、発光装置10BのA−A´断面図である。図7に示すように、発光装置10Bでは、第3絶縁層27上に、アクリルなどの絶縁材料で発光材料保持層31が形成されている。発光材料保持層31が存在することにより、発光部281〜283が形成される凹部が深く大きくなっている。有機発光層28は、発光部281〜283のみから構成されている。有機発光層28、発光材料保持層31および第3絶縁層27上に形成されている陰極層29には、発光装置10Aにおけるものと同様に、発光部281および露出面26Aに接触する導通部29L、発光部282および露出面26Bに接触する導通部29H、および複数の発光部283に接触する走査線15が含まれている。
【0044】
発光装置10Bの製造工程の概略は以下の通りである。
まず、発光装置10Aと同様の工程により、第3絶縁層27の形成までを行う。次に、第3絶縁層27上に発光材料保持層31を形成する。次に、有機発光層28をインクジェット法により形成することにより、発光部281〜283を形成する。インクジェット法では、有機発光層28の材料が液滴として複数のノズルから一斉に吐出され、発光部281〜283の形成位置に塗られる。上記の複数のノズルの数は、OLED素子P、負保護ダイオードDLおよび正保護ダイオードDHの総数と同数である。次に、陰極層29を選択的に形成する。この形成は、例えばマスクを用いた蒸着により行われる。この後、OLED素子Pを外気から保護するための封止を行う。
【0045】
以上より明らかなように、OLED素子P、負保護ダイオードDLおよび正保護ダイオードDHの構成は、発光装置10Aにおける構成と同様である。また、有機発光層28の形成では発光部281〜283が一括して形成され、第3配線層26および陰極層29の形成では同一の層に含まれる各部が一括して形成される。よって、発光装置10Bによれば、発光装置10Aにより得られる効果と同様の効果を得ることができる。
【0046】
<1−2:露光ヘッドとして用いられる発光装置50>
図8は、本発明の実施の形態に係る発光装置50の外観を示す図であり、図9は発光装置50の内部の一部を拡大して示す図である。この図は、発光装置50の特徴的な構造を示す図であり、他の構造の図示を省略している。また、図5および図7は発光装置50のA−A’断面図でもある。発光装置50は、ボトムエミッション型の露光ヘッドとして用いられるものであり、光源からの光は、図8に示されている面の裏面の出射領域(図示略)から出射する。
【0047】
発光装置50が光源として備えるOLED素子Pは、複数のデータ線16に対応して2列千鳥状に配列されており、その陽極には対応するデータ線16が電気的に接続されており、その陰極は、OLED素子Pの配列方向に延在する共通陰極部51の一部となっている。全てのOLED素子Pは、その配列方向に延在する発光領域52に設けられている。OLED素子Pの配列方向において発光領域52を挟む位置には、2つの端子領域53が設けられている。各端子領域53には、1つの実装端子121が設けられており、各実装端子121には、共通陰極部51が接続されている。
【0048】
OLED素子Pの配列方向と直交する方向において発光領域52を挟む位置には、2つの端子領域54が設けられている。各端子領域54には、複数の実装端子131が設けられている。複数のデータ線16の半数は一方の端子領域54内の実装端子131に接続され、残りの半数は他方の端子領域54内の実装端子131に接続されている。実装端子121および131は、図示しない駆動回路をOLBにより実装するためのものであり、駆動回路は、共通陰極部51およびデータ線16を介して駆動信号を供給することによってOLED素子Pを駆動する。駆動回路の実装方式は、COGであってもよい。
【0049】
発光領域52と端子領域54との間には、保護回路領域55がある。半数のデータ線16は一方の保護回路領域55を横切り、残りの半数のデータ線16は他方の保護回路領域55を横切っている。保護回路領域55には、複数の保護回路141が、複数のデータ線16と一対一で対応して設置されている。保護回路141の構成は前述の通りである。また、図から明らかなように、発光装置50の層構成および製造工程は、発光装置10のものと同様である。
以上より、発光装置50によれば、発光装置10により得られる全ての効果を得ることができる。
【0050】
<1−3:変形例>
前述したように、発光装置10では、単一の有機発光層が全てのOLED素子Pに共通している。したがって、発光装置10によってフルカラー表示を行う場合には、カラーフィルタまたは色変換層を用いる必要がある。カラーフィルタまたは色変換層を用いることなくフルカラー表示を可能とする発光装置は、発光装置10Bを変形することで得られる。具体的には、全てのOLED素子Pを3種類に分け、これらを規則的に配列し、第1種類のOLED素子Pの発光部を、赤色発光する有機発光層で形成し、第2種類のOLED素子Pの発光部を、緑色発光する有機発光層で形成し、第3種類のOLED素子Pの発光部を、青色発光する有機発光層で形成する。この場合、有機発光層を形成する工程は種類毎に別工程となるが、いずれか1つ又は2つの工程で保護ダイオードの発光部をも形成するようにすれば、発光装置10により得られる全ての効果を得ることができる。
【0051】
発光装置10および50は、いずれもボトムエミッション型の発光装置であるが、これらを変形し、いわゆるトップエミッション型の発光装置としてもよい。また、発光装置10については、いわゆるデュアルエミッション型の発光装置に変形してもよい。また、OLED素子Pの陽極と陰極とを逆転して陰極をデータ線16に接続し、これに応じて保護回路141の構成を変えてもよい。
【0052】
発光装置10では、その駆動方式がパッシブマトリクス駆動方式となっているが、これを変形し、アクティブマトリクス駆動方式の発光装置としてもよい。アクティブマトリクス駆動方式の発光装置において保護回路を設ける方法としては、保護ダイオードを、OLED素子Pの駆動のためのトランジスタと同層で形成する方法もある。しかし、発光装置10Aや発光装置50のように、有機発光層がスピンコーティング法により形成され、この有機発光層が、保護ダイオードと保護回路が接続される配線との間に挟まれる場合、保護ダイオードと配線とを電気的に接続する作業が複雑となる。これに対し、発光装置10を変形した場合には、OLED素子Pを構成する複数の層と保護ダイオードを構成する複数の層とが共通しているから、保護回路が接続される配線がデータ線16であっても走査線15であっても、上記の不都合は生じない。
【0053】
発光装置10では、保護回路141を全てのデータ線16に対応して設けたが、これを変形してもよい。例えば、保護回路141を、一部のデータ線16のみに対応して設けるようにしてもよいし、走査線15のみに対応して設けるようにしてもよいし、データ線16および走査線15に対応して設けるようにしてもよい。これと同様の変形を発光装置50に対して行ってもよい。この場合、共通陰極部51が走査線15に対応する。
【0054】
前述したように、発光装置10および50では、保護ダイオードからの光が出射する。出射領域から出射すべき光はOLED素子Pからの光であり、保護ダイオードからの光は出射領域から出射すべきでない光であるから、保護ダイオードからの光が出射領域から出射すると、出射光の品質が低下してしまう。これを避けるために、保護ダイオードからの光が出射領域から出射する虞がないようにしてもよい。具体的には、保護ダイオードからの光を遮光し、この光が出射しないようにする変形が考えられる。
【0055】
図10は、このような変形を発光装置10に対して行って得られる発光装置の一例を示す図であり、発光装置を光の出射面側から眺めたものである。この発光装置では、透明基板21のOLED素子Pが形成される面とは反対側の面に、保護回路領域14を覆うように、光透過性の低い遮光体61が形成されている。
図11は、上述した変形を発光装置50に対して行って得られる発光装置の一例を示す図であり、発光装置を光の出射面側から眺めたものである。この発光装置では、透明基板21のOLED素子Pが形成される面とは反対側の面に、保護回路領域55を覆うように、光透過性の低い遮光体71が形成されている。
もちろん、遮光の態様は上記の例に限らない。例えば、保護ダイオードの発光部と出射面との間に、これらの発光部を覆うように、光透過性の低い材料で遮光層を形成してもよい。その一例としては、保護ダイオードの電極のうち、出射面側の電極を光透過性の低い材料で形成することが挙げられる。
【0056】
発光装置10および50では、データ線16を第2配線層24で形成するようにしたが、これらの発光装置を変形し、データ線16を第1配線層22で形成するようにしてもよい。また、発光領域11には第1絶縁層23を形成しないようにしてもよい。
発光装置10および50は、負保護ダイオードDLおよび正保護ダイオードDHを有する保護回路141を備えているが、発生する放電が正の電荷によるものに限られる場合や、負の電荷によるものに限られる場合には、これらの発光装置を変形し、いずれか1つの保護ダイオードを有する保護回路を備えるようにしてもよい。
発光装置10および50は、光源としてOLED素子Pを備えているが、これを変形し、OLED素子以外の発光ダイオードを光源として備えるようにしてもよい。
【0057】
<2:応用例>
次に、発光装置10を適用した電子機器について説明する。
図12は、上述した発光装置10を表示装置として採用したモバイル型のパーソナルコンピュータの構成を示す斜視図である。パーソナルコンピュータ2000は、表示装置2003と本体部2010とを備える。本体部2010には、電源スイッチ2001およびキーボード2002が設けられている。表示装置2003はOLED素子を利用しているので、視野角が広く見易い画面を表示できる。
【0058】
図13に、発光装置10を適用した携帯電話機の構成を示す。携帯電話機3000は、複数の操作ボタン3001およびスクロールボタン3002、ならびに表示装置3003としての発光装置10を備える。スクロールボタン3002を操作することによって、表示装置3003に表示される画面がスクロールされる。
【0059】
図14に、発光装置10を適用した携帯情報端末(PDA:Personal Digital Assistants)の構成を示す。情報携帯端末4000は、複数の操作ボタン4001および電源スイッチ4002、ならびに表示装置4003としての発光装置10を備える。電源スイッチ4002を操作すると、住所録やスケジュール帳といった各種の情報が表示装置4003に表示される。
【0060】
なお、本発明に係る発光装置10が適用される電子機器としては、図12から図14に示したもののほか、テレビやビデオカメラ等の映像を表示可能な機器が挙げられる。また、本発明に係る発光装置50が適用される電子機器としては、電子写真方式の画像形成装置が挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の実施の形態に係る発光装置10の外観を示す図である。
【図2】発光装置10の電気的構成を示す図である。
【図3】発光装置10の作用を示す概念図である。
【図4】発光装置10Aの内部の一部を拡大して示す平面図である。
【図5】図4および図9のA−A´断面図である。
【図6】OLED素子のV−I特性を示す図である。
【図7】図4および図9の別のA−A´断面図である。
【図8】本発明の実施の形態に係る発光装置50の外観を示す図である。
【図9】発光装置50の内部の一部を拡大して示す図である。
【図10】発光装置10を変形して得られる発光装置の構成を示す図である。
【図11】発光装置50を変形して得られる発光装置の構成を示す図である。
【図12】発光装置10を表示装置として採用したモバイル型のパーソナルコンピュータの構成を示す図である。
【図13】発光装置10を表示装置として採用した携帯電話機の構成を示す図である。
【図14】発光装置10を表示装置として採用した携帯情報端末の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0062】
10(10A,10B),50……発光装置、15……走査線、16……データ線、51……共通陰極部、DL……負保護ダイオード、DH……正保護ダイオード、LH……高電位電源線、LL……低電位電源線、P……OLED素子。
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光ダイオードを偶発的な放電から保護する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
OLED(Organic Light-Emitting Diode)素子等の発光ダイオードを光源として備える発光装置が製造されている。このような発光装置では、偶発的な放電により、発光ダイオードの駆動に用いられる配線の電位が著しく高くなったり低くなったりすると、この配線を含む回路が破壊される虞がある。これと同様のことは、液晶表示装置でも問題となっており、アクティブマトリクス駆動方式の液晶表示装置において、トランジスタ等の能動素子の破壊を避けるために、能動素子でダイオードを構成し、このダイオードを含む保護回路を配線に接続し、この保護回路の働きにより、配線の電位が著しく高くなったり低くなったりする事態を回避する技術が知られている(特許文献1)。
【特許文献1】WO97/13177号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記の技術は、複数の能動素子が配列されるアクティブマトリクス基板の存在を前提としている。したがって、パッシブマトリクス駆動方式の発光装置に適用することはできない。仮に適用したとしても、発光装置の製造工程に保護回路のダイオードを形成する工程が追加する必要がある。製造工程の増加は、製造作業および製造時間の増大に直結し、製造コストの増大を招く。
もし、発光装置の製造時に、偶発的な放電によって静電気が回路に飛び込んだことを検出することができれば、製造時における不良品の早期発見、ひいては発光装置の製造効率の向上に寄与することとなる。しかし、この点について、特許文献1には記載が無い。そもそも、静電気は電荷であるから、その検出は非常に困難である。
本発明は、上述した事情に鑑み、偶発的な放電による破壊から回路を保護可能であり、保護回路を持たない発光装置と略同一の作業および時間で製造可能であり、製造時に、偶発的な放電により配線の電位が著しく変動したことを検出することができる発光装置およびその製造方法、ならびに、表示装置および画像形成装置を提供することを解決課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上述したように、静電気放電に代表される偶発的な放電が発生して配線の電位が著しく高くなったり著しく低くなったりすると、配線が切れたり、配線に接続されている素子が破損したりする虞がある。この問題に対し、本発明では、配線に電気的に接続された保護回路によって配線の電位の絶対値の著しい増大を抑制する、というアプローチを採っている。このアプローチを採った場合に問題となるのが、発光装置の製造工程が増えてしまうことである。この問題は、特にパッシブマトリクス駆動方式の発光装置において顕著である。
【0005】
この問題を解決するために、本発明は、光源からの光を面状の出射領域から出射する発光装置であって、1または複数の配線と、複数の層で形成され、陰極または陽極の一方が電源に電気的に接続され、他方が前記配線に電気的に接続された保護ダイオードを有し、前記配線の電位の絶対値が前記電源の電位の絶対値よりも大きい場合には当該配線の電位の絶対値を小さくするために前記保護ダイオードに電流を流す保護回路と、前記光源として設けられ、前記複数の層で形成され、前記配線により供給される信号を用いて駆動される発光ダイオードとを備える発光装置を提供する。発光ダイオードは、与えられた電気エネルギにより発光する二端子型非線形素子であり、例えば、OLED素子や無機EL(Electro Luminescent)素子、LED(Light Emitting Diode)素子等である。
【0006】
この発光装置によれば、偶発的な放電が発生して配線の電位の絶対値が電源の電位の絶対値よりも大きくなると、保護ダイオードに電流が流れて当該配線の電位の絶対値の増大が抑制される。つまり、この発光装置によれば、配線の電位の絶対値が電源の電位の絶対値以下となるように、配線の電荷を逃がすことができる。よって、配線の電位の絶対値が著しく大きくなる事態が起こり難くなる。以上より、この発光装置によれば、偶発的な放電によって配線の切断や配線に接続されている素子の破壊が引き起こされる可能性を低く抑制することができる。これは、例えば、歩留まりの向上や長寿命化に寄与する。歩留まりの向上は、例えば製造コストの削減に寄与する。
この発光装置の態様としては、正の電荷による放電に対応可能な正の態様と、負の電荷による放電に対応可能な負の態様と、両方の放電に対応可能な正負の態様とがある。これらの態様の各々について、配線の電位の絶対値が著しく大きくなる事態が起こり難くなる理由を説明する。
正の態様では、保護ダイオードの陰極が電源に、陽極が配線の端部に接続される。したがって、配線の電位が上昇して電源の電位を十分に上回ると、配線から保護ダイオードを介して電源へ電流が流れ、配線の電位上昇が抑制される。したがって、配線の電位が著しく高くなる事態が起こり難くなる。
負の態様では、保護ダイオードの陽極が電源に、陰極が配線の端部に接続される。したがって、配線の電位が下降して電源の電位を十分に下回ると、電源から保護ダイオードを介して配線へ電流が流れ、配線の電位下降が抑制される。したがって、配線の電位が著しく低くなる事態が起こり難くなる。
正負の態様では、保護回路が、保護ダイオードとして、陰極が高電位電源に電気的に接続され、陽極が配線に電気的に接続された第1の保護ダイオードと、陽極が低電位電源に電気的に接続され、陰極が配線に電気的に接続された第2の保護ダイオードとを備える。したがって、配線の電位が上昇して高電位電源の電位を十分に上回ると、配線から第1の保護ダイオードを介して高電位電源へ電流が流れ、配線の電位が下降して低電位電源の電位を十分に下回ると、低電位電源から第2の保護ダイオードを介して配線へ電流が流れる。よって、配線の電位の上昇および下降が抑制され、配線の電位が著しく高くなる事態も著しく低くなる事態も起こり難くなる。
なお、「十分に上回る」および「十分に下回る」は、保護ダイオードの閾値電圧を考慮に入れた表現である。
【0007】
前述したように、この発光装置では、光源として設けられ発光ダイオードが、保護ダイオードを形成する複数の層で形成されている。つまり、光源の発光ダイオードを形成する複数の層と、保護ダイオードを形成する複数の層とが共通している。したがって、複数の層を積層して形成するだけで、光源の発光ダイオードと保護ダイオードとを形成することができる。複数の層が形成される範囲は、光源の発光ダイオードのみを形成する場合に比較して広くなるが、複数の層の形成に要する時間は略同一となる。また、発光装置には光源が必須であり、光源として発光ダイオードを用いる発光装置には発光ダイオードを必ず設ける必要がある。つまり、複数の層を積層して発光ダイオードを形成する作業は、保護回路を設けない場合にも必須となる。以上より、本発明は、保護回路を持たない発光装置と略同一の作業および時間で製造可能な発光装置を提供することができる。これは、発光装置の製造コストの削減にも寄与する。
【0008】
また、本発明に係る発光装置では、発光ダイオードを形成する複数の層で保護ダイオードが形成されている。つまり、保護ダイオードも発光ダイオードである。したがって、保護ダイオードは、電流が流れると、すなわち配線の電位の絶対値が電源の電位の絶対値よりも大きくなると、発光する。よって、この発光装置によれば、偶発的な放電により配線の電位が大きく変動したこと、すなわち静電気が配線に飛び込んだことを確実に検出することができる。これは、例えば、製造時における不良品の早期発見や、使用時における故障の原因の早期究明につながる有利な効果である。製造時における不良品の早期発見は、例えば、発光装置の製造効率の向上、ひいては製造コストの削減に寄与する。
【0009】
保護ダイオードが発光ダイオードの場合、発光装置の使用時において、出射領域から出射すべきでない光が出射し、出射光の品質が低下する虞がある。そこで、上記の発光装置において、遮光性の材料から形成された遮光層を備え、前記光源は基板上の発光領域内に形成され、前記保護ダイオードは前記基板上の前記発光領域に重ならない遮光領域内に形成され、前記遮光層は、前記発光領域から前記出射領域へ直進する光を遮ることなく、前記遮光領域から前記出射領域へ直進する光を遮るように設けられている、ようにしてもよい。
この発光装置では、出射領域から出射される光には、保護ダイオードから出射領域へ直進する光は含まれず、光源の発光ダイオードから出射領域へ直進する光が含まれる。つまり、出射領域から、出射すべきでない光が出射し難く、出射すべき光が出射し易くなっている。したがって、出射光の品質の低下を避けることができる。なお、この発光装置であっても、遮光層の形成前であれば、偶発的な放電により配線の電位が大きく変動したことを確実に検出することができる。また、保護ダイオードからの光のうち、確実に遮られるのは、保護ダイオードから出射領域へ直進する光のみであり、それ以外の光は遮られても遮られなくてもよいから、遮光層の形成の態様によっては、遮光層の形成後であっても、偶発的な放電により配線の電位が大きく変動したことを確実に検出することができる。
【0010】
上記の各発光装置において、前記発光ダイオードを含み、複数のデータ線と複数の走査線との交差に対応して前記光源として設けられた複数の発光ダイオードを備え、前記配線は前記データ線または前記走査線である、ようにしてもよい。つまり、マトリクス状に配置された複数の発光ダイオード(光源)をライン毎に順次走査して駆動する線順次駆動方式の発光装置であってもよい。この発光装置では、光源となる複数の発光ダイオードに、保護ダイオードと異なる層で形成された発光ダイオードが含まれていてもよい。そのような発光装置としては、光源として、赤色発光する発光ダイオード、緑色発光する発光ダイオード、および青色発光する発光ダイオードを備え、いずれかの発光ダイオードを形成する複数の層で保護ダイオードが形成された発光装置を例示することができる。
【0011】
線順次駆動方式としては、アクティブマトリクス駆動方式とパッシブマトリクス駆動方式がある。アクティブマトリクス駆動方式の発光装置では、光源の発光ダイオードを駆動するためのトランジスタが当該発光ダイオードとは異なる層に設けられる。この層に保護ダイオードを形成すれば、発光装置の製造に要する作業および時間をほとんど増大させることなく保護回路を設けることができるかに見える。しかし、そのようにすれば、保護ダイオードの陽極または陰極と配線とを接続する作業が繁雑になる虞がある。例えば、光源の発光ダイオードがOLED素子であり、発光層がスピンコート法により形成され、この発光層が保護ダイオードと配線との間に挟まれる場合、保護ダイオードと配線との接続を確保する作業が複雑となる。したがって、保護回路を設けない場合と略同一の作業および時間で保護ダイオードをも形成することができない虞がある。これに対し、本発明に係る線順次駆動方式の発光装置によれば、光源の発光ダイオードを形成する複数の層と、保護ダイオードを形成する複数の層とが共通しているから、上記の不都合は生じない。
【0012】
上記の線順次駆動方式の発光装置において、前記複数の発光ダイオードの各々の陽極および陰極の一方は前記データ線に電気的に接続され、他方は前記走査線に電気的に接続されている、ようにしてもよい。つまり、パッシブマトリクス駆動方式の発光装置としてもよい。パッシブマトリクス駆動方式の発光装置には、光源の発光ダイオードを駆動するためのトランジスタは存在せず、このようなトランジスタを形成するための層が元々存在しない。したがって、一般的な方法によって保護ダイオードを形成しようとすれば、発光装置の製造に要する時間はもちろん、製造の工程数まで増えてしまう。これに対し、本発明に係るパッシブマトリクス駆動方式の発光装置によれば、上記の不都合は生じず、その製造工程を大幅に簡素化することができる。
【0013】
本発明に係る発光装置の駆動方式は線順次駆動方式に限らない。例えば、前述の各発光装置において、前記発光ダイオードを含み、前記光源として設けられ、列をなす複数の電極と1または複数の導電体との間に発光層を有する複数の発光ダイオードと、前記複数の電極に1対1で電気的に接続された複数のデータ線とを備え、前記配線は前記データ線または前記導電体であり、前記複数の層は、前記発光層、前記複数の電極を含む層および前記1または複数の導電体を含む層である、ようにしてもよい。この発光装置は、例えば、電子写真方式の画像形成装置において潜像を形成する露光ヘッドとして使用可能である。この発光装置によれば、本発明に係るパッシブマトリクス駆動方式の発光装置について述べた理由と同様の理由により、その製造工程を大幅に簡素化することができる。
【0014】
本発明は、上記の線順次駆動方式の発光装置または上記のパッシブマトリクス駆動方式の発光装置を備え、画像に応じた信号を前記配線により前記発光ダイオードに供給する、ことを特徴とする表示装置を提供する。この表示装置によれば、発光装置として、低コストで製造可能な長寿命のものを備えるため、製造コストの削減および長寿命化が可能となる。さらに、備える発光装置が前述の遮光層を有する場合には、保護ダイオードの発光光に起因した表示の品質低下を回避することもできる。
【0015】
本発明は、上記の露光ヘッドとして使用可能な発光装置と、前記発光装置の前記出射領域から出射した光が帯電された面に照射される像担持体とを備え、前記帯電された面に形成された潜像に応じた画像を形成する画像形成装置を提供する。この画像形成装置によれば、発光装置として、低コストで製造可能な長寿命のものを備えるため、製造コストやメンテナンスの手間の削減が可能となる。さらに、備える発光装置が前述の遮光層を有する場合には、保護ダイオードの発光光に起因した画像形成の品質低下を回避することもできる。
【0016】
本発明は、光源からの光を出射領域から出射する発光装置であって、1または複数の配線と、陰極または陽極の一方が電源に電気的に接続され、他方が前記配線に電気的に接続された保護ダイオードを有し、前記配線の電位の絶対値が前記電源の電位の絶対値よりも大きい場合には当該配線の電位の絶対値を小さくするために前記保護ダイオードに電流を流す保護回路と、前記光源として設けられ、前記配線により供給される信号を用いて駆動される発光ダイオードとを備える発光装置の製造方法であって、前記発光ダイオードと前記保護ダイオードとに共通する複数の層を積層して形成し、前記複数の層の形成では、前記複数の層の各々について、積層する順に、当該層を形成することによって前記発光ダイオードの一部と前記保護ダイオードの一部とを形成する工程を繰り返し行う、ことを特徴とする発光装置の製造方法を提供する。
この製造方法では、保護ダイオードの形成と、保護ダイオードを形成する複数の層で形成された光源の発光ダイオードの形成とが、同一の工程によって並行して進む。例えば、上記の複数の層が、下層から、A層、B層およびC層の計3層の場合、まずA層を形成することにより光源の発光ダイオードの最初の一部と保護ダイオードの最初の一部とが形成され、次にB層を形成することにより光源の発光ダイオードの次の一部と保護ダイオードの次の一部とが形成され、最後にC層を形成することにより光源の発光ダイオードの全部と保護ダイオードの全部とが形成される。以上より明らかなように、この製造方法により発光装置を製造する場合に必要となる工程の数は、保護回路を持たない発光装置を製造する場合に必要となる工程の数と一致し、各工程の内容は略同一となる。
また、この製造方法により製造された発光装置では、配線の電位の絶対値が著しく大きくなる事態が起こり難くなる一方、保護ダイオードが、偶発的な放電により配線の電位が大きく変動したことを確実に検出するセンサとして機能する。
以上より、この製造方法によれば、保護回路を持たない発光装置と略同一の作業および時間で、偶発的な放電によって配線の切断や配線に接続されている素子の破壊が引き起こされる可能性を低く抑制すること、および偶発的な放電により配線の電位が大きく変動したことを確実に検出することができる発光装置を製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、添付の図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態を説明する。図面においては、各部の寸法の比率は実際のものとは適宜に異ならせてある。
<1:発光装置>
まず、本発明の実施の形態に係る発光装置について説明する。この発光装置は、光源を備え、供給された信号を用いて光源を駆動し、光源からの光を面状の出射領域から出射する。この発光装置には、例えば、画像に応じた信号を受け、この信号を用いて複数の光源を駆動して当該画像を表示する表示装置として用いられる発光装置10や、電子写真方式の画像形成装置の内部で画像に応じた信号を受け、この信号を用いて複数の光源を駆動して当該画像に応じた潜像を像担持体に形成する露光ヘッドとして用いられる発光装置50がある。
【0018】
<1−1:表示装置として用いられる発光装置10>
図1は、本発明の実施の形態に係る発光装置10の外観を示す図であり、図2は、発光装置10の電気的構成を示す図である。発光装置10は、いわゆるボトムエミッション型の表示装置として用いられるものであり、光源からの光は、図1に示されている面の裏面の出射領域ERから出射する。また、発光装置10は、パッシブマトリクス駆動方式の発光装置であり、複数の走査線15および複数のデータ線16を備え、両者の交差に対応してマトリクス状に配置された複数のOLED素子Pを光源として備える。OLED素子は、与えられた電気エネルギにより発光する発光ダイオードであり、有機EL材料で層状に形成され、電界により注入された正孔と電子との再結合により励起して発光する発光部を、陽極と陰極とで挟んで構成されている。この陽極は対応するデータ線16に電気的に接続されており、陰極は走査線15そのものである。
【0019】
走査線15の一端は実装端子121に接続されており、データ線16の一端は実装端子131に接続されている。実装端子121は、図示しない走査線駆動回路をOLB(Outer Lead Bonding)により実装するためのものであり、実装端子131は、図示しないデータ線駆動回路をOLBにより実装するためのものである。走査線駆動回路およびデータ線駆動回路は、走査線15およびデータ線16を介して駆動信号を供給することによってOLED素子Pを駆動する。走査線駆動回路およびデータ線駆動回路の実装方式は、COG(Chip On Grass)であってもよい。
【0020】
全てのOLED素子Pは発光領域11に、全ての実装端子121は端子領域12に、全ての実装端子131は端子領域13に設けられている。発光領域11と端子領域13との間には、保護回路領域14があり、この領域を全てのデータ線16が横切っている。保護回路領域14には、偶発的な放電による破壊から回路を保護する複数の保護回路141が、複数のデータ線16と一対一で対応して設置されている。保護回路141の設置位置は、対応するデータ線16の近傍である。また、保護回路領域14には、一定の高電位(VH[V])に保たれる高電位電源線LHと、一定の低電位(VL[V])に保たれる低電位電源線LLが、全ての保護回路141を横切って設けられている。高電位電源線LHおよび低電位電源線LLは保護回路141の構成要素となっている。
【0021】
保護回路141に保護される回路は、この保護回路141に対応するデータ線16を構成要素とする、この保護回路141外の回路である。このような保護を実現するために、保護回路141は、正の電荷による放電から回路を保護するための正保護ダイオードDHと、負の電荷による放電から回路を保護するための負保護ダイオードDLとを備えている。これらの保護ダイオードの閾値電圧は共にVth[V]である。
【0022】
これらの保護ダイオードは、対応するデータ線16の電位がVH+Vth[V]以下かつVL−Vth[V]以上の適正範囲に収まるように設けられている。つまり、正保護ダイオードDHの陽極および負保護ダイオードDHの陰極が、対応するデータ線16に電気的に接続されており、正保護ダイオードDHの陰極が高電位電源線HLに、負保護ダイオードDHの陽極が低電位電源線LLに電気的に接続されている。VH[V]およびVL[V]は、データ線16の電位がVH+Vth[V]以下かつVL−Vth[V]以上であれば保護対象の回路の損壊を回避できるように定められている。
【0023】
このような構成を採ることにより、発光装置10は静電保護効果を奏する。つまり、偶発的な放電が発生してデータ線16の電位が適正範囲外となると、データ線16の電荷を逃がす保護電流を流すことにより、保護対象の回路を保護することができる。保護電流には、データ線16の電位がVH+Vth[V]を上回ると流れる正保護電流と、VL−Vth[V]を下回ると流れる負保護電流とがある。
【0024】
図3は発光装置10の作用を示す概念図であり、この図には、正保護電流の流路が矢印FPで、負保護電流の流路が矢印FMで示されている。この図に示すように、データ線16の電位がVH[V]を十分に上回ると(VH+Vth[V]を上回ると)、データ線16から正保護ダイオードDHを介して高電位電源線LHへ正保護電流が流れる。これにより、データ線16の電位上昇が抑制され、データ線16の電位が著しく高くなる事態が起こり難くなる。一方、データ線16の電位がVL[V]を十分に下回ると(VL−Vth[V]を下回ると)、低電位電源線LLから負保護ダイオードDLを介してデータ線16へ電流が流れる。これにより、データ線16の電位下降が抑制され、データ線16の電位が著しく低くなる事態が起こり難くなる。
【0025】
発光装置10により得られる効果は、上記の静電保護効果だけではない。発光装置10により得られる静電保護効果以外の効果は、発光装置10の層構成に由来しているため、以下では、発光装置10の層構成について詳述する。ただし、発光装置10の層構成は、その製造方法に依存する。ここでは、まず、OLED素子Pの発光部を含む有機発光層がスピンコーティング法により形成される発光装置10Aについて説明し、次に、有機発光層がインクジェット法により形成される発光装置10Bについて説明する。
【0026】
<1−1−1:スピンコーティング法による発光装置10A>
図4は、発光装置10Aの内部の一部を拡大して示す平面図である。この図は、発光装置10Aの特徴的な構造を示す図であり、他の構造の図示を省略している。図5は、発光装置10AのA−A´断面図である。ただし、この図には、図4に示していない透明基板21も示してある。透明基板21は、ガラスなどの光透過性の高い材料から形成された平板状の基板であり、発光装置10Aは、透明基板21上に複数のOLED素子Pを配置して形成されている。
【0027】
透明基板21上には、アルミニウム等の金属により第1配線層22が形成されている。第1配線層22は、高電位電源線LHおよび低電位電源線LLを含む層である。透明基板21および第1配線層22上には、酸化珪素などの光透過性の高い絶縁材料から第1絶縁層23が形成されている。第1絶縁層23には、高電位電源線LHまで貫通したコンタクトホールCHHと、低電位電源線LLまで貫通したコンタクトホールCHLとが、保護回路141毎に形成されている。
【0028】
第1絶縁層23および第1配線層22上には、アルミニウム等の金属により第2配線層24が選択的に形成されている。第2配線層24は、低電位電源線LLと負保護ダイオードDLの陽極とを電気的に接続する導通部24Lと、高電位電源線LHと正保護ダイオードHLの陽極とを電気的に接続する導通部24Hと、データ線16とを含む層である。導通部24Lは、コンタクトホールCHLを介して低電位電源線LLに接触面LL1で接触している。導通部24HはコンタクトホールCHHを介して高電位電源線LHに接触面LH1で接触している。
【0029】
第2配線層24および第1絶縁層23上には、窒化珪素などの光透過性の高い絶縁材料から第2絶縁層25が選択的に形成されている。この形成は、保護回路領域14においては導通部24L、導通部24Hおよびデータ線16の各々の一部が露出し、発光領域11においてはデータ線16の一部が露出するように行われている。第2絶縁層25上には、ITO(Indium Tin Oxide)などの光透過性の高い材料から第3配線層26が選択的に形成されている。第3配線層26は、保護回路領域14にあっては導通部261〜263を、発光領域11にあっては導通部264を含む層である。導通部261は、導通部24Lに接触面24L1で接触し、負保護ダイオードDLの陽極となっている。導通部262は、データ線16に接触面161で接触し、正保護ダイオードDHの陽極となっている。導通部263は、導通部24Hに接触面24H1で接触している。導通部264は、データ線16に接触面162で接触し、OLED素子Pの陽極となっている。
【0030】
第3配線層26上には、酸化珪素などの絶縁材料から第3絶縁層27が選択的に形成されている。保護回路領域14においては第2絶縁層25上にも形成され、発光領域11においては第2絶縁層25、データ線16および第1絶縁層23上にも形成されている。第3絶縁層27および第3配線層26上には、有機EL材料から有機発光層28が形成されている。有機発光層28は、電界により注入された正孔と電子との再結合により励起して発光する発光層のみから構成されてもよいし、発光層以外の層をも含むように構成されてもよい。発光層以外の層としては、正孔を注入し易くするための正孔注入層や、注入された正孔を発光層へ輸送し易くするための正孔輸送層、電子を注入し易くするための電子注入層、注入された電子を発光層へ輸送し易くするための電子輸送層などの、上記の再結合に寄与する層が挙げられる。
【0031】
有機発光層28は、第3絶縁層27により画定された凹部において第3配線層26に接触している。ただし、第3配線層26の露出面26A上の凹部および露出面26B上の凹部には有機発光層28が存在しない。保護回路領域14において有機発光層28が第3配線層26に接触している部分の数は、保護ダイオードの数と同数である。以降、これらの部分のうち、低電位電源線LL側の接触部分を発光部281、高電位電源線LH側の接触部分を発光部282と呼ぶ。発光領域11において有機発光層28が第3配線層26に接触している部分の数は、OLED素子Pと同数である。以降、これらの部分を発光部283と称する。
【0032】
有機発光層28上には、アルミニウム等の金属により陰極層29が選択的に形成されている。陰極層29には、複数の走査線15が含まれている。走査線15は、対応する複数のOLED素子Pに共通の陰極でもあり、発光部283は走査線15に接触している。つまり、OLED素子Pは、データ線16に電気的に接続された導通部264を陽極とし、走査線15を陰極とし、両極間に発光部283を挟んで構成されている。OLED素子Pからの光は、第3配線層26、第1絶縁層23および透明基板21を透過して外部へ出射する。
【0033】
また、陰極層29には、低電位電源線LL側の発光部282に接触している導通部29Lが含まれている。導通部29Lは負保護ダイオードDLの陰極となっている。つまり、負保護ダイオードDLは、低電位電源線LLに電気的に接続された導通部261を陽極とし、導通部29Lを陰極とし、両極間に発光部281を挟んで構成されている。また、陰極層29には、高電位電源線LH側の発光部282に接触している導通部29Hとが含まれている。導通部29Hは正保護ダイオードDHの陰極となっている。つまり、正保護ダイオードDHは、高電位電源線LHに電気的に接続された導通部262を陽極とし、導通部29Hを陰極とし、両極間に発光部282を挟んで構成されている。なお、導通部29Lは露出面26Aで導通部262に接触し、導通部29Hは露出面26Bで導通部263に接触している。
【0034】
上述したことから明らかなように、OLED素子Pの陽極である導通部264、負保護ダイオードDLの陽極である導通部261、および正保護ダイオードDHの陽極である導通部262は、いずれも第3配線層26に含まれている。また、OLED素子Pの発光部283、負保護ダイオードDLの発光部281、および正保護ダイオードDHの発光部282は、いずれも有機発光層28に含まれている。また、OLED素子Pの陰極である走査線15、負保護ダイオードDLの陰極である導通部29L、および正保護ダイオードDHの陽極である導通部29Hは、いずれも陰極層29に含まれている。つまり、発光装置10Aでは、OLED素子Pを構成する複数の層、負保護ダイオードDLを構成する複数の層、および正保護ダイオードDHを構成する複数の層は、互いに共通している。したがって、発光装置10Aによれば、負保護ダイオードDLおよび正保護ダイオードDHの形成を、OLED素子Pの形成と同一の工程で行うことができる。OLED素子Pを形成する工程は、保護回路を設けない場合にも必要となる工程であるから、発光装置10Aによれば、製造工程の数を増やすことなく、保護ダイオードを形成することができる。
【0035】
上述したことから明らかなように、正保護ダイオードDHおよび負保護ダイオードDLは、いずれもOLED素子であり、一般的なダイオードではない。しかし、OLED素子のV−I特性は図6に示す通りであり、一般的なダイオードと同様である。よって、保護ダイオードとしてOLED素子を用いても、一般的なダイオードを用いた場合と同様の静電保護効果を得られるのである。
【0036】
また、OLED素子は電流が流れると発光するから、正保護電流が流れると正保護ダイオードDHが発光し、負保護電流が流れると負保護ダイオードDLが発光する。つまり、正保護ダイオードDHは、放電によってデータ線16に正の電荷が飛び込んだことを検出するセンサとして機能し、負保護ダイオードDLにより、放電によってデータ線16に負の電荷が飛び込んだことを検出するセンサとして機能する。そして、負保護ダイオードDLの発光部281からの光と、正保護ダイオードDHの発光部282からの光は、第3配線層26、第1絶縁層23および透明基板21を透過して外部へ出射する。よって、発光装置10Aによれば、放電によってデータ線16に電荷が飛び込んだことを、OLED素子Pを発光させることなく知らせることができる。これは、発光装置10Aの故障の原因の早期究明につながる有利な効果である。
【0037】
また、発光装置10Aによれば、データ線16には抵抗(R)が分布しており、寄生容量(C)も存在するから、ローパスフィルタが構成され、放電によってデータ線16に飛び込んだ電荷が伝播する速度が遅くなる。このため、データ線16の電位の上昇または下降が急激で、保護ダイオードの動作よりも速い場合であっても、保護回路141による保護が有効に働く。この効果は、データ線16が長いほど顕著となる。なお、遮光領域14に配置されるデータ線16の一部に抵抗素子を形成してもよい。この場合は、ノイズ信号の波形変化をより一層緩やかにすることができ、データ線16やOLED素子Pを確実に保護することが可能となる。
【0038】
発光装置10Aの製造工程の概略は以下の通りである。
まず、透明基板21上に第1配線層22を選択的に形成することにより、低電位電源線LLおよび高電位電源線LHを形成する。次に、第1絶縁層23を形成して低電位電源線LLおよび高電位電源線LHを覆う。次に、保護回路領域14の第1絶縁層23にコンタクトホールCHHおよびCHLを形成する。次に、第2配線層24を選択的に形成する。これにより、コンタクトホールCHLを通じて低電位電源線LLに接触する導通部24Lと、コンタクトホールCHHを通じて高電位電源線LHに接触する導通部24Hとが、保護回路領域14に形成される一方、データ線16が発光領域11および保護回路領域14に形成される。
【0039】
次に、第2絶縁層25を選択的に形成する。次に、第3配線層26を選択的に形成することにより、保護回路領域14には保護回路141と同数の導通部261〜263を、発光領域11にはOLED素子Pと同数の導通部264を形成する。これらの形成により、第2配線層24のうち、導通部261には導通部24Lのみ、導通部262にはデータ線16のみ、導通部263には導通部24Hのみ、導通部264にはデータ線16のみが接触する。第3配線層26の形成は、例えばマスクを用いた蒸着により行われる。
【0040】
次に、第3絶縁層27を選択的に形成する。次に、有機発光層28をスピンコーティング法により形成する。次に、露出面26Aおよび露出面26B上の有機発光層28を除去する。これらの作業により、有機発光層28のうち、発光部281〜283のみが第3配線層26に接触する。次に、陰極層29を選択的に形成することにより、発光部281および導通部262に接触する導通部29Lと、発光部282および導通部263に接触する導通部29Hと、複数の発光部283に接触する走査線15を形成する。陰極層29の形成は、例えばマスクを用いた蒸着により行われる。この後、OLED素子Pを外気から保護するための封止を行う。この封止は、缶封止でもベタ封止でも薄膜封止でもよい。
【0041】
上述したように、有機発光層28はスピンコーティング法により形成されるから、発光部281〜283が一括して形成される。また、第3配線層26の形成は、例えばマスクを用いた蒸着により行われるから、導通部261〜264が一括して形成される。また、陰極層29の形成は、例えばマスクを用いた蒸着により行われるから、導通部29Lおよび29Hと走査線15とが一括して形成される。よって、これら複数の層を形成する工程に要する時間は、保護回路141を設けても設けなくても変わらない。以上より、発光装置10Aを上述の製造工程により製造する場合には、保護回路を持たない発光装置を製造するのと略同一の作業および時間で製造することができる。
【0042】
また、負保護ダイオードDLの発光部281からの光と、正保護ダイオードDHの発光部282からの光は、第3配線層26、第1絶縁層23および透明基板21を透過して外部へ出射するから、上記の製造工程において、陰極層29の形成後であれば、放電によってデータ線16に電荷が飛び込んだことが、負保護ダイオードDLまたは正保護ダイオードDHの発光により知らされる。これは、発光装置10Aの製造時における不良品の早期発見につながる有利な効果である。製造時における不良品の早期発見は、例えば、発光装置10Aの製造効率の向上、ひいては製造コストの削減に寄与する。
【0043】
<1−1−2:インクジェット法による発光装置10B>
図4は、発光装置10Bの内部の一部を拡大して示す平面図でもある。図7は、発光装置10BのA−A´断面図である。図7に示すように、発光装置10Bでは、第3絶縁層27上に、アクリルなどの絶縁材料で発光材料保持層31が形成されている。発光材料保持層31が存在することにより、発光部281〜283が形成される凹部が深く大きくなっている。有機発光層28は、発光部281〜283のみから構成されている。有機発光層28、発光材料保持層31および第3絶縁層27上に形成されている陰極層29には、発光装置10Aにおけるものと同様に、発光部281および露出面26Aに接触する導通部29L、発光部282および露出面26Bに接触する導通部29H、および複数の発光部283に接触する走査線15が含まれている。
【0044】
発光装置10Bの製造工程の概略は以下の通りである。
まず、発光装置10Aと同様の工程により、第3絶縁層27の形成までを行う。次に、第3絶縁層27上に発光材料保持層31を形成する。次に、有機発光層28をインクジェット法により形成することにより、発光部281〜283を形成する。インクジェット法では、有機発光層28の材料が液滴として複数のノズルから一斉に吐出され、発光部281〜283の形成位置に塗られる。上記の複数のノズルの数は、OLED素子P、負保護ダイオードDLおよび正保護ダイオードDHの総数と同数である。次に、陰極層29を選択的に形成する。この形成は、例えばマスクを用いた蒸着により行われる。この後、OLED素子Pを外気から保護するための封止を行う。
【0045】
以上より明らかなように、OLED素子P、負保護ダイオードDLおよび正保護ダイオードDHの構成は、発光装置10Aにおける構成と同様である。また、有機発光層28の形成では発光部281〜283が一括して形成され、第3配線層26および陰極層29の形成では同一の層に含まれる各部が一括して形成される。よって、発光装置10Bによれば、発光装置10Aにより得られる効果と同様の効果を得ることができる。
【0046】
<1−2:露光ヘッドとして用いられる発光装置50>
図8は、本発明の実施の形態に係る発光装置50の外観を示す図であり、図9は発光装置50の内部の一部を拡大して示す図である。この図は、発光装置50の特徴的な構造を示す図であり、他の構造の図示を省略している。また、図5および図7は発光装置50のA−A’断面図でもある。発光装置50は、ボトムエミッション型の露光ヘッドとして用いられるものであり、光源からの光は、図8に示されている面の裏面の出射領域(図示略)から出射する。
【0047】
発光装置50が光源として備えるOLED素子Pは、複数のデータ線16に対応して2列千鳥状に配列されており、その陽極には対応するデータ線16が電気的に接続されており、その陰極は、OLED素子Pの配列方向に延在する共通陰極部51の一部となっている。全てのOLED素子Pは、その配列方向に延在する発光領域52に設けられている。OLED素子Pの配列方向において発光領域52を挟む位置には、2つの端子領域53が設けられている。各端子領域53には、1つの実装端子121が設けられており、各実装端子121には、共通陰極部51が接続されている。
【0048】
OLED素子Pの配列方向と直交する方向において発光領域52を挟む位置には、2つの端子領域54が設けられている。各端子領域54には、複数の実装端子131が設けられている。複数のデータ線16の半数は一方の端子領域54内の実装端子131に接続され、残りの半数は他方の端子領域54内の実装端子131に接続されている。実装端子121および131は、図示しない駆動回路をOLBにより実装するためのものであり、駆動回路は、共通陰極部51およびデータ線16を介して駆動信号を供給することによってOLED素子Pを駆動する。駆動回路の実装方式は、COGであってもよい。
【0049】
発光領域52と端子領域54との間には、保護回路領域55がある。半数のデータ線16は一方の保護回路領域55を横切り、残りの半数のデータ線16は他方の保護回路領域55を横切っている。保護回路領域55には、複数の保護回路141が、複数のデータ線16と一対一で対応して設置されている。保護回路141の構成は前述の通りである。また、図から明らかなように、発光装置50の層構成および製造工程は、発光装置10のものと同様である。
以上より、発光装置50によれば、発光装置10により得られる全ての効果を得ることができる。
【0050】
<1−3:変形例>
前述したように、発光装置10では、単一の有機発光層が全てのOLED素子Pに共通している。したがって、発光装置10によってフルカラー表示を行う場合には、カラーフィルタまたは色変換層を用いる必要がある。カラーフィルタまたは色変換層を用いることなくフルカラー表示を可能とする発光装置は、発光装置10Bを変形することで得られる。具体的には、全てのOLED素子Pを3種類に分け、これらを規則的に配列し、第1種類のOLED素子Pの発光部を、赤色発光する有機発光層で形成し、第2種類のOLED素子Pの発光部を、緑色発光する有機発光層で形成し、第3種類のOLED素子Pの発光部を、青色発光する有機発光層で形成する。この場合、有機発光層を形成する工程は種類毎に別工程となるが、いずれか1つ又は2つの工程で保護ダイオードの発光部をも形成するようにすれば、発光装置10により得られる全ての効果を得ることができる。
【0051】
発光装置10および50は、いずれもボトムエミッション型の発光装置であるが、これらを変形し、いわゆるトップエミッション型の発光装置としてもよい。また、発光装置10については、いわゆるデュアルエミッション型の発光装置に変形してもよい。また、OLED素子Pの陽極と陰極とを逆転して陰極をデータ線16に接続し、これに応じて保護回路141の構成を変えてもよい。
【0052】
発光装置10では、その駆動方式がパッシブマトリクス駆動方式となっているが、これを変形し、アクティブマトリクス駆動方式の発光装置としてもよい。アクティブマトリクス駆動方式の発光装置において保護回路を設ける方法としては、保護ダイオードを、OLED素子Pの駆動のためのトランジスタと同層で形成する方法もある。しかし、発光装置10Aや発光装置50のように、有機発光層がスピンコーティング法により形成され、この有機発光層が、保護ダイオードと保護回路が接続される配線との間に挟まれる場合、保護ダイオードと配線とを電気的に接続する作業が複雑となる。これに対し、発光装置10を変形した場合には、OLED素子Pを構成する複数の層と保護ダイオードを構成する複数の層とが共通しているから、保護回路が接続される配線がデータ線16であっても走査線15であっても、上記の不都合は生じない。
【0053】
発光装置10では、保護回路141を全てのデータ線16に対応して設けたが、これを変形してもよい。例えば、保護回路141を、一部のデータ線16のみに対応して設けるようにしてもよいし、走査線15のみに対応して設けるようにしてもよいし、データ線16および走査線15に対応して設けるようにしてもよい。これと同様の変形を発光装置50に対して行ってもよい。この場合、共通陰極部51が走査線15に対応する。
【0054】
前述したように、発光装置10および50では、保護ダイオードからの光が出射する。出射領域から出射すべき光はOLED素子Pからの光であり、保護ダイオードからの光は出射領域から出射すべきでない光であるから、保護ダイオードからの光が出射領域から出射すると、出射光の品質が低下してしまう。これを避けるために、保護ダイオードからの光が出射領域から出射する虞がないようにしてもよい。具体的には、保護ダイオードからの光を遮光し、この光が出射しないようにする変形が考えられる。
【0055】
図10は、このような変形を発光装置10に対して行って得られる発光装置の一例を示す図であり、発光装置を光の出射面側から眺めたものである。この発光装置では、透明基板21のOLED素子Pが形成される面とは反対側の面に、保護回路領域14を覆うように、光透過性の低い遮光体61が形成されている。
図11は、上述した変形を発光装置50に対して行って得られる発光装置の一例を示す図であり、発光装置を光の出射面側から眺めたものである。この発光装置では、透明基板21のOLED素子Pが形成される面とは反対側の面に、保護回路領域55を覆うように、光透過性の低い遮光体71が形成されている。
もちろん、遮光の態様は上記の例に限らない。例えば、保護ダイオードの発光部と出射面との間に、これらの発光部を覆うように、光透過性の低い材料で遮光層を形成してもよい。その一例としては、保護ダイオードの電極のうち、出射面側の電極を光透過性の低い材料で形成することが挙げられる。
【0056】
発光装置10および50では、データ線16を第2配線層24で形成するようにしたが、これらの発光装置を変形し、データ線16を第1配線層22で形成するようにしてもよい。また、発光領域11には第1絶縁層23を形成しないようにしてもよい。
発光装置10および50は、負保護ダイオードDLおよび正保護ダイオードDHを有する保護回路141を備えているが、発生する放電が正の電荷によるものに限られる場合や、負の電荷によるものに限られる場合には、これらの発光装置を変形し、いずれか1つの保護ダイオードを有する保護回路を備えるようにしてもよい。
発光装置10および50は、光源としてOLED素子Pを備えているが、これを変形し、OLED素子以外の発光ダイオードを光源として備えるようにしてもよい。
【0057】
<2:応用例>
次に、発光装置10を適用した電子機器について説明する。
図12は、上述した発光装置10を表示装置として採用したモバイル型のパーソナルコンピュータの構成を示す斜視図である。パーソナルコンピュータ2000は、表示装置2003と本体部2010とを備える。本体部2010には、電源スイッチ2001およびキーボード2002が設けられている。表示装置2003はOLED素子を利用しているので、視野角が広く見易い画面を表示できる。
【0058】
図13に、発光装置10を適用した携帯電話機の構成を示す。携帯電話機3000は、複数の操作ボタン3001およびスクロールボタン3002、ならびに表示装置3003としての発光装置10を備える。スクロールボタン3002を操作することによって、表示装置3003に表示される画面がスクロールされる。
【0059】
図14に、発光装置10を適用した携帯情報端末(PDA:Personal Digital Assistants)の構成を示す。情報携帯端末4000は、複数の操作ボタン4001および電源スイッチ4002、ならびに表示装置4003としての発光装置10を備える。電源スイッチ4002を操作すると、住所録やスケジュール帳といった各種の情報が表示装置4003に表示される。
【0060】
なお、本発明に係る発光装置10が適用される電子機器としては、図12から図14に示したもののほか、テレビやビデオカメラ等の映像を表示可能な機器が挙げられる。また、本発明に係る発光装置50が適用される電子機器としては、電子写真方式の画像形成装置が挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の実施の形態に係る発光装置10の外観を示す図である。
【図2】発光装置10の電気的構成を示す図である。
【図3】発光装置10の作用を示す概念図である。
【図4】発光装置10Aの内部の一部を拡大して示す平面図である。
【図5】図4および図9のA−A´断面図である。
【図6】OLED素子のV−I特性を示す図である。
【図7】図4および図9の別のA−A´断面図である。
【図8】本発明の実施の形態に係る発光装置50の外観を示す図である。
【図9】発光装置50の内部の一部を拡大して示す図である。
【図10】発光装置10を変形して得られる発光装置の構成を示す図である。
【図11】発光装置50を変形して得られる発光装置の構成を示す図である。
【図12】発光装置10を表示装置として採用したモバイル型のパーソナルコンピュータの構成を示す図である。
【図13】発光装置10を表示装置として採用した携帯電話機の構成を示す図である。
【図14】発光装置10を表示装置として採用した携帯情報端末の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0062】
10(10A,10B),50……発光装置、15……走査線、16……データ線、51……共通陰極部、DL……負保護ダイオード、DH……正保護ダイオード、LH……高電位電源線、LL……低電位電源線、P……OLED素子。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源からの光を面状の出射領域から出射する発光装置であって、
1または複数の配線と、
複数の層で形成され、陰極または陽極の一方が電源に電気的に接続され、他方が前記配線に電気的に接続された保護ダイオードを有し、前記配線の電位の絶対値が前記電源の電位の絶対値よりも大きい場合には当該配線の電位の絶対値を小さくするために前記保護ダイオードに電流を流す保護回路と、
前記光源として設けられ、前記複数の層で形成され、前記配線により供給される信号を用いて駆動される発光ダイオードと
を備える発光装置。
【請求項2】
遮光性の材料から形成された遮光層を備え、
前記光源は基板上の発光領域内に形成され、
前記保護ダイオードは前記基板上の前記発光領域に重ならない遮光領域内に形成され、
前記遮光層は、前記発光領域から前記出射領域へ直進する光を遮ることなく、前記遮光領域から前記出射領域へ直進する光を遮るように設けられている、
ことを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記発光ダイオードを含み、複数のデータ線と複数の走査線との交差に対応して前記光源として設けられた複数の発光ダイオードを備え、
前記配線は前記データ線または前記走査線である、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の発光装置。
【請求項4】
前記複数の発光ダイオードの各々の陽極および陰極の一方は前記データ線に電気的に接続され、他方は前記走査線に電気的に接続されている、
ことを特徴とする請求項3に記載の発光装置。
【請求項5】
前記発光ダイオードを含み、前記光源として設けられ、列をなす複数の電極と1または複数の導電体との間に発光層を有する複数の発光ダイオードと、
前記複数の電極に1対1で電気的に接続された複数のデータ線とを備え、
前記配線は前記データ線または前記導電体であり、
前記複数の層は、前記発光層、前記複数の電極を含む層および前記1または複数の導電体を含む層である、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の発光装置。
【請求項6】
請求項3または4に記載の発光装置を備え、
画像に応じた信号を前記配線により前記発光ダイオードに供給する、
ことを特徴とする表示装置。
【請求項7】
請求項5に記載の発光装置と、
前記発光装置の前記出射領域から出射した光が帯電された面に照射される像担持体とを備え、
前記帯電された面に形成された潜像に応じた画像を形成する画像形成装置。
【請求項8】
光源からの光を出射領域から出射する発光装置であって、1または複数の配線と、陰極または陽極の一方が電源に電気的に接続され、他方が前記配線に電気的に接続された保護ダイオードを有し、前記配線の電位の絶対値が前記電源の電位の絶対値よりも大きい場合には当該配線の電位の絶対値を小さくするために前記保護ダイオードに電流を流す保護回路と、前記光源として設けられ、前記配線により供給される信号を用いて駆動される発光ダイオードとを備える発光装置の製造方法であって、
前記発光ダイオードと前記保護ダイオードとに共通する複数の層を積層して形成し、
前記複数の層の形成では、前記複数の層の各々について、積層する順に、当該層を形成することによって前記発光ダイオードの一部と前記保護ダイオードの一部とを形成する工程を繰り返し行う、
ことを特徴とする発光装置の製造方法。
【請求項1】
光源からの光を面状の出射領域から出射する発光装置であって、
1または複数の配線と、
複数の層で形成され、陰極または陽極の一方が電源に電気的に接続され、他方が前記配線に電気的に接続された保護ダイオードを有し、前記配線の電位の絶対値が前記電源の電位の絶対値よりも大きい場合には当該配線の電位の絶対値を小さくするために前記保護ダイオードに電流を流す保護回路と、
前記光源として設けられ、前記複数の層で形成され、前記配線により供給される信号を用いて駆動される発光ダイオードと
を備える発光装置。
【請求項2】
遮光性の材料から形成された遮光層を備え、
前記光源は基板上の発光領域内に形成され、
前記保護ダイオードは前記基板上の前記発光領域に重ならない遮光領域内に形成され、
前記遮光層は、前記発光領域から前記出射領域へ直進する光を遮ることなく、前記遮光領域から前記出射領域へ直進する光を遮るように設けられている、
ことを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記発光ダイオードを含み、複数のデータ線と複数の走査線との交差に対応して前記光源として設けられた複数の発光ダイオードを備え、
前記配線は前記データ線または前記走査線である、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の発光装置。
【請求項4】
前記複数の発光ダイオードの各々の陽極および陰極の一方は前記データ線に電気的に接続され、他方は前記走査線に電気的に接続されている、
ことを特徴とする請求項3に記載の発光装置。
【請求項5】
前記発光ダイオードを含み、前記光源として設けられ、列をなす複数の電極と1または複数の導電体との間に発光層を有する複数の発光ダイオードと、
前記複数の電極に1対1で電気的に接続された複数のデータ線とを備え、
前記配線は前記データ線または前記導電体であり、
前記複数の層は、前記発光層、前記複数の電極を含む層および前記1または複数の導電体を含む層である、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の発光装置。
【請求項6】
請求項3または4に記載の発光装置を備え、
画像に応じた信号を前記配線により前記発光ダイオードに供給する、
ことを特徴とする表示装置。
【請求項7】
請求項5に記載の発光装置と、
前記発光装置の前記出射領域から出射した光が帯電された面に照射される像担持体とを備え、
前記帯電された面に形成された潜像に応じた画像を形成する画像形成装置。
【請求項8】
光源からの光を出射領域から出射する発光装置であって、1または複数の配線と、陰極または陽極の一方が電源に電気的に接続され、他方が前記配線に電気的に接続された保護ダイオードを有し、前記配線の電位の絶対値が前記電源の電位の絶対値よりも大きい場合には当該配線の電位の絶対値を小さくするために前記保護ダイオードに電流を流す保護回路と、前記光源として設けられ、前記配線により供給される信号を用いて駆動される発光ダイオードとを備える発光装置の製造方法であって、
前記発光ダイオードと前記保護ダイオードとに共通する複数の層を積層して形成し、
前記複数の層の形成では、前記複数の層の各々について、積層する順に、当該層を形成することによって前記発光ダイオードの一部と前記保護ダイオードの一部とを形成する工程を繰り返し行う、
ことを特徴とする発光装置の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2007−165748(P2007−165748A)
【公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−362860(P2005−362860)
【出願日】平成17年12月16日(2005.12.16)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年12月16日(2005.12.16)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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