説明

発光装置およびその製造方法

【課題】フェイスアップ型の発光素子がサブマウントに実装された発光装置において、ワイヤを用いずに位置精度よく実装すること。
【解決手段】発光装置は、III 族窒化物半導体からなるフェイスアップ型の発光素子1と、サブマウント2で構成されている。発光素子1は貫通孔17、18を有し、サブマウント2は2つの棒状電極22を有している。サブマウント2の棒状電極22は、発光素子1の貫通孔17、18にそれぞれ差し込まれている。棒状電極22の先端部22aは発光素子1のnパッド電極14、pパッド電極16表面から突出し、その先端22aは潰されて広がり、発光素子1のnパッド電極14、pパッド電極16に接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サブマウント上に発光素子が実装された発光装置およびその製造方法に関するものであり、特に、ワイヤを用いずに位置精度よく実装された発光装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フェイスアップ型の発光素子では、従来、ワイヤボンディングによってサブマウントに実装している。しかし、ワイヤによって光が遮断されてしまったり、ワイヤを組み付けるのに時間を要したり、位置精度が悪いのが問題である。また、封止樹脂の熱膨張などでワイヤが断線したり外れてしまうなどの不具合が生じる場合もある。
【0003】
ワイヤボンディング以外の方法によってフェイスアップ型の発光素子を実装する方法として、特許文献1の方法がある。特許文献1には、発光素子のn電極およびp電極(両方とも透明電極)を貫く2つの貫通孔を設け、貫通孔の側面を絶縁膜で覆い、貫通孔に導電性の透光性材料を充填し、発光素子側の電極と、貫通孔に充填された透光性材料とをはんだなどによって接続することで、サブマウント上にフェイスアップ型の発光素子を実装することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−287849
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1の方法では、はんだなどを用いて発光素子をサブマウント上に実装しているため、位置合わせを高精度に行う必要があり、短時間で実装することができなかった。また、一度に複数の発光素子を実装することも困難であった。
【0006】
そこで本発明の目的は、サブマウント上にフェイスアップ型の発光素子が実装された発光装置およびその製造方法において、ワイヤを必要とせず、位置合わせを高精度に行う必要なく実装することができる発光装置およびその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、絶縁性の基板上に形成された半導体層と、同一面側に形成されたnパッド電極およびpパッド電極とを有したフェイスアップ型の発光素子を、サブマウント上に実装した発光装置の製造方法において、発光素子に、nパッド電極およびpパッド電極をそれぞれ通って貫通する2つの貫通孔を形成し、貫通孔の側面に露出した半導体層を絶縁膜で覆い、サブマウント上に、発光素子の厚さよりも長く棒状に突出した2つの棒状電極を、発光素子の実装位置であって発光素子の貫通孔に対向する位置に形成し、発光素子の貫通孔に、サブマウントの棒状電極を差し込み、棒状電極の先端を潰して、棒状電極とnパッド電極およびpパッド電極とを接続する、ことを特徴とする発光装置の製造方法である。
【0008】
第2の発明は、サブマウント上に、導電性基板上に形成された半導体層と、半導体層上に形成されたpパッド電極と、導電性基板の半導体層形成側とは反対側の面に形成されたn電極と、を有した発光素子を、n電極側をサブマウント側として実装した発光装置の製造方法において、発光素子に、pパッド電極を通って貫通する貫通孔を形成し、貫通孔の側面に露出した半導体層および導電性基板を絶縁膜で覆い、サブマウント上に、発光素子の厚さよりも長く棒状に突出した棒状電極を、発光素子の実装位置であって発光素子の貫通孔に対向する位置に形成し、発光素子の貫通孔に、サブマウントの棒状電極を差し込み、棒状電極の先端を潰して、棒状電極とpパッド電極とを接続する、ことを特徴とする発光装置の製造方法である。
【0009】
第1、2の発明において、棒状電極の材料は、Ag、Au、Cu、Alや、Ag合金、Au合金、Cu合金、Al合金、などである。棒状電極および貫通孔の断面形状および直径は、棒状電極を貫通孔に差し込める範囲で任意であるが、作製の容易さから断面形状は円形が望ましい。また、棒状電極の先端を潰す方法としては、超音波振動によって融解させる方法などである。
【0010】
また、第1、2の発明において、貫通孔はドライエッチングなどによって形成し、一方の表面側から1度に貫通させてもよいし、一方の表面側から第1の孔を形成した後、他方の表面側から第2の孔を形成して第1の孔と連続されることで貫通孔を形成してもよい。
【0011】
また、第1、2の発明において、サブマウントに実装される発光素子は複数であってもよく、複数の発光素子を同時に実装するようにしてもよい。
【0012】
第3の発明は、第1の発明または第2の発明において、複数の発光素子を同時にサブマウント上に実装することを特徴とする発光装置の製造方法である。
【0013】
第4の発明は、第1の発明から第3の発明において、発光素子は、III 族窒化物半導体発光素子であることを特徴とする発光装置の製造方法である。
【0014】
ここでIII 族窒化物半導体とは、一般式Alx Gay Inz N(x+y+z=1、0≦x、y、z≦1)で表される半導体であり、Al、Ga、Inの一部を他の第13族元素であるBやTlで置換したもの、Nの一部を他の第15族元素であるP、As、Sb、Biで置換したものをも含むものとする。より一般的には、Gaを少なくとも含むGaN、InGaN、AlGaN、AlGaInNを示す。n型不純物としてはSi、p型不純物としてはMgが通常用いられる。
【0015】
第5の発明は、絶縁性の基板上に形成された半導体層と、同一面側に形成されたnパッド電極およびpパッド電極とを有したフェイスアップ型の発光素子を、サブマウント上に実装した発光装置において、発光素子は、nパッド電極およびpパッド電極をそれぞれ通って貫通する2つの貫通孔と、貫通孔の側面に露出した半導体層を覆う絶縁膜と、を有し、サブマウントは、発光素子の実装位置であって発光素子の貫通孔に対向する位置に、発光素子の厚さよりも長く棒状に突出した2つの棒状電極を有し、発光素子の貫通孔に、サブマウントの棒状電極が差し込まれ、棒状電極の先端が潰されて棒状電極とnパッド電極およびpパッド電極とが接続されている、ことを特徴とする発光装置である。
【0016】
第6の発明は、サブマウント上に、導電性基板上に形成された半導体層と、半導体層上に形成されたpパッド電極と、導電性基板の半導体層形成側とは反対側の面に形成されたn電極と、を有した発光素子を、n電極側をサブマウント側として実装した発光装置において、発光素子は、pパッド電極を通って貫通する貫通孔と、貫通孔の側面に露出した半導体層を覆う絶縁膜と、を有し、サブマウントは、発光素子の実装位置であって発光素子の貫通孔に対向する位置に、発光素子の厚さよりも長く棒状に突出した棒状電極を有し、発光素子の貫通孔に、サブマウントの棒状電極が差し込まれ、棒状電極の先端が潰されて棒状電極とpパッド電極とが接続されている、ことを特徴とする発光装置である。
【0017】
第7の発明は、第5の発明または第6の発明において、サブマウント上に複数の発光素子が実装され、それらの発光素子が直列接続あるいは並列接続されている、ことを特徴とする発光装置である。
【0018】
第8の発明は、第5の発明から第7の発明において、発光素子はIII 族窒化物半導体発光素子であることを特徴とする発光装置である。
【発明の効果】
【0019】
本発明では、サブマウントに設けた棒状電極を、発光素子に設けた貫通孔に差し込むことで、発光素子をサブマウントに実装している。そのため、簡単に位置合わせを行うことができ、サブマウント上に位置精度よく短時間で確実に発光素子を実装することができる。
【0020】
また、本発明では、複数の発光素子を同時に実装することも容易に可能である。実装の位置精度が高いことから、複数の発光素子を実装する際に、サブマウント上に複数の発光素子を隙間なく効率的に配列することができ、複数の発光素子が直列接続あるいは並列接続されてサブマウント上に実装された大面積の発光装置を容易に実現することができる。
【0021】
また、本発明では、ワイヤを用いずに実装するため、nパッド電極やpパッド電極の面積を小さくすることができ、光取り出し効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】実施例1の発光装置の構成を示した図。
【図2】実施例1の発光装置の製造工程を示した図。
【図3】実施例1の発光装置の製造工程を示した図。
【図4】実施例1の発光装置の製造工程を示した図。
【図5】実施例2の発光装置の構成を示した図。
【図6】実施例3の発光装置の構成を示した図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の具体的な実施例について図を参照に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0024】
図1は、実施例1の発光装置の構成を示した図である。発光装置は、III 族窒化物半導体からなるフェイスアップ型の発光素子1と、AlNからなるサブマウント2で構成されている。
【0025】
発光素子1は、サファイア基板10を有し、サファイア基板10上にはIII 族窒化物半導体からなるn型層11、発光層12、p型層13が順に形成されている。これらn型層11、発光層12、p型層13の構成は、従来より発光素子の構成として知られている任意の構成でよい。n型層11は、たとえば、サファイア基板10側から順に、GaNからなる高濃度にSiがドープされたn型コンタクト層、GaNからなるnクラッド層、が積層された構造である。発光層12は、たとえば、GaNからなる障壁層とInGaNからなる井戸層が繰り返し積層されたMQW構造である。p型層13は、たとえば、発光層12側から順に、AlGaNからなるMgがドープされたpクラッド層、GaNからなるMgがドープされたpコンタクト層、が積層された構造である。
【0026】
発光層12、p型層13の一部は除去され、n型層11が露出している。露出したn型層11上にはNi/Auからなるnパッド電極14が形成されている。また、p型層13上には、ほぼ全面にITO電極15が形成され、ITO電極15上にはNi/Auからなるpパッド電極16が形成されている。
【0027】
また、発光素子1には、nパッド電極14からサファイア基板10裏面10a(n型層11形成側とは反対側の表面)まで素子面に垂直な方向に貫通した貫通孔17と、pパッド電極16からサファイア基板10裏面10aまで素子面に垂直な方向に貫通した貫通孔18とが設けられている。また、貫通孔17、18の側面のうち、n型層11、発光層12、p型層13が露出した領域には、絶縁膜19が形成されている。絶縁膜19は電流のリーク、ショートを防止するためのものである。なお、絶縁膜19は、貫通孔17、18の側面全体を覆うようにしてもよい。絶縁膜19の材料は、SiO2 などの透光性を有した絶縁体である。この絶縁膜19中にAg、Alなどの高反射な金属からなる反射膜を形成し、光取り出し効率を高めるようにしてもよい。
【0028】
サブマウント2には、2つの貫通孔20が設けられ、この貫通孔20にそれぞれ棒状電極22が挿入され支えられて立設されている。棒状電極22の位置は、発光素子1を実装する領域であって、発光素子1の貫通孔17、18に対向する位置(平面視において貫通孔17、18の位置と一致する位置)である。棒状電極22は、サブマウント2の発光素子1実装側の表面に、発光素子1の厚さよりも長く突出している。また、サブマウント2裏面(発光素子1の実装側とは反対側の面)には配線電極23が形成されており、貫通孔20を通して棒状電極22と配線電極23とが接続されている。サブマウント2のこのような構造により、棒状電極22の立設を容易にするとともに、サブマウント2裏面の配線電極23のレイアウトを容易としている。なお、サブマウント2の発光素子1実装側の表面には、Ag、Alなどの高反射な金属からなる反射膜(図示しない)を形成し、光取り出し効率を向上させるのがよい。
【0029】
棒状電極22の材料は、Ag、Au、Cu、Alや、Ag合金、Au合金、Cu合金、Al合金、などである。棒状電極22の断面形状は任意の形状でよいが、作製の容易さから円形であることが望ましい。また、貫通孔17、18の断面形状も、棒状電極22を差し込み可能な形状、大きさであれば任意でよい。ただし、棒状電極22による光の吸収量を小さくし、光取り出し効率の悪化を抑えるために、棒状電極22の直径は100μm以下とすることが望ましい。また、配線電極23とnパッド電極14、pパッド電極16との接続を良好とするために、棒状電極22の直径は10μm以上とすることが望ましい。よりのぞましい棒状電極22の直径は、30〜60μmである。また、貫通孔17、18に差し込みやすくするために、棒状電極22の形状を先端部22aにいくほど直径が小さくなるようなピン状としてもよい。また、2つの棒状電極22の長さは異なっていてもよい。
【0030】
サブマウント2の棒状電極22は、発光素子1の貫通孔17、18にそれぞれ差し込まれている。棒状電極22は、発光素子1の厚さよりも長く突出しているので、棒状電極22の先端部22aは発光素子1のnパッド電極14、pパッド電極16表面から突出する。その棒状電極22の先端22aは潰されて広がり、発光素子1のnパッド電極14、pパッド電極16に接続されている。
【0031】
このように、実施例1の発光装置は、ワイヤを用いずに、フェイスアップ型の発光素子1をサブマウント2に実装した発光装置である。ワイヤを用いないため、nパッド電極14、pパッド電極16の面積を、従来のワイヤボンディングによる実装の場合よりも小さくすることができ、光取り出し効率が向上している。
【0032】
次に、実施例1の発光装置の製造工程について図2〜4を参照に説明する。
【0033】
まず、発光装置を構成する発光素子1の製造工程を図2を用いて説明する。サファイア基板10上に、MOCVD法によって、III 族窒化物半導体からなるn型層11、発光層12、p型層13を順に積層する。そして、p型層13の一部領域上にITO電極15を形成する(図2(a))。
【0034】
次に、ドライエッチングによって発光層12、p型層13の一部領域を除去し、n型層11を露出させ、その露出したn型層11上にnパッド電極14を形成し、ITO電極15上にpパッド電極16を形成する(図2(b))。
【0035】
次に、ドライエッチングによって、nパッド電極14表面からサファイア基板10表面10b(n型層11形成側表面)に達する孔17aと、pパッド電極16からサファイア基板10表面10bに達する孔18aを形成する。そして、孔17a側面、底面に沿って、および孔18a側面、底面に沿って、絶縁膜19を形成する(図2(c))。
【0036】
次に、サファイア基板10裏面10aを研磨してサファイア基板10を薄くし、その後ドライエッチングによって、サファイア基板10裏面10a側から孔17a、孔18aに対向する領域に孔を形成して孔17a、孔18aと連続させ、nパッド電極14表面からサファイア基板10裏面10aまで貫通する孔17、およびpパッド電極16表面からサファイア基板10裏面10aまで貫通する孔18を形成する(図2(d))。以上が発光素子1の製造工程である。
【0037】
次に、図3に示すサブマウント2を用意する。このサブマウント2は、たとえば以下のようにして作製する。まず、発光素子1を実装する位置であって、発光素子1の貫通孔17、18と対向する位置に、2つの貫通孔20を設ける。そして、この貫通孔20に棒状電極22を挿入してはめ込み、サブマウント2の発光素子1実装側に突出するように棒状電極22を立設させる。また、棒状電極22は、発光素子1の厚さよりも長く突出するようにする。その後、サブマウント2の発光素子1実装側とは反対側の面に、蒸着や印刷などによって配線電極23を形成する。
【0038】
次に、サブマウント2への発光素子1の実装工程について、図4を参照に説明する。図4に示すように、まず、サブマウント2の棒状電極22を、発光素子1の貫通孔17、18に通し、サブマウント2表面とサファイア基板10裏面10aが接触するまで差し込む。このとき、棒状電極22は発光素子1の厚さよりも長いため、棒状電極22の先端部22aは、nパッド電極14表面およびpパッド電極16から突出する。この突出した棒状電極22の先端部22aを、超音波振動などによって融解して潰し広げ、棒状電極22とnパッド電極14、および棒状電極22とpパッド電極16とを接合する。以上により、サブマウント2に発光素子1が実装され、実施例1の発光装置が製造される。
【0039】
上記のように、実施例1の発光装置では、発光素子1の貫通孔17、18にサブマウント2の棒状電極22を差し込むことで、発光素子1をサブマウント2上に実装するため、簡単に位置合わせを行うことができ、短時間で確実に、かつ位置精度よく実装することができる。
【実施例2】
【0040】
図5は、実施例2の発光装置の構成を示した図である。実施例2の発光装置は、2つの発光素子1a、1bがサブマウント200上に実装され、その2つの発光素子1a、1bが直列接続された発光装置である。発光素子1a、1bの構成は実施例1の発光素子1と同一の構成である。
【0041】
サブマウント200は、図5に示すように、4つの貫通孔201a〜dが設けられ、貫通孔201a〜dにそれぞれ棒状電極202a〜dが挿入され支えられて立設されている。棒状電極202a、bは、発光素子1aの実装領域であって、発光素子1aのpパッド電極16、nパッド電極14にそれぞれ対向する位置(平面視においてpパッド電極16、nパッド電極14に一致する位置)に設けられ、棒状電極202c、dは、発光素子1bの実装領域であって、発光素子1bのpパッド電極16、nパッド電極14にそれぞれ対向する位置に設けられている。これら棒状電極202a〜dは、サブマウント200の発光素子1a、1b実装側表面に、発光素子1a、1bの厚さよりも長く突出している。サブマウント200裏面には、配線電極203が形成されており、貫通孔201a〜dを通して棒状電極202a〜dと配線電極203とが接続されている。また、この配線電極203を介して、棒状電極202bと棒状電極202cとが接続されている。
【0042】
棒状電極202a、bは、発光素子1aのpパッド電極16、nパッド電極14にそれぞれ差し込まれ、棒状電極202c、dは、発光素子1bのpパッド電極16、nパッド電極14にそれぞれ差し込まれている。棒状電極202a〜dの先端部はそれぞれ潰されて広がり、棒状電極202aは発光素子1aのpパッド電極16に、棒状電極202bは発光素子1aのnパッド電極14に、棒状電極202cは発光素子1bのpパッド電極16に、棒状電極202dは発光素子1bのnパッド電極14に、それぞれ接続されている。発光素子1aのnパッド電極14と、発光素子1bのpパッド電極16は、棒状電極202b、配線電極203、棒状電極202cを介して接続されている。すなわち、発光素子1aと発光素子1bとが直列に接続される構成となっている。
【0043】
2つの発光素子1a、1bは、それぞれの貫通孔17、18に、棒状電極202a〜dに同時に差し込んで実装することができる。ワイヤを用いずに位置精度よく実装することができるので、2つの発光素子1a、1bを近接して効率的に配置することができる。そのため、発光装置の小面積化を図ることができる。
【0044】
なお、実施例2は、2つの発光素子1を直列接続とした発光装置であったが、本発明はこれに限るものではなく、並列接続する発光装置においても本発明は適用することができる。また、3つ以上の発光素子1を、並列接続と直列接続とを組み合わせて接続した発光装置においても、本発明は適用することができる。
【実施例3】
【0045】
図6は、実施例3の発光装置の構成を示した図である。実施例3の発光装置は、縦型構造の発光素子300とサブマウント400によって構成されている。
【0046】
発光素子300は、GaN基板301を有し、GaN基板301上にIII 族窒化物半導体からなるn型層302、発光層303、p型層304が順に積層されている。p型層304上にはITO電極305が形成され、ITO電極305上にはpパッド電極306が形成されている。
【0047】
発光素子300には、pパッド電極306表面からGaN基板301裏面301a(n型層302形成側とは反対側の表面)まで素子面に垂直な方向に貫通する貫通孔307が設けられている。貫通孔307の側面には、電流のリーク、ショートを防止するために絶縁膜308が形成されている。また、GaN基板301裏面301aの貫通孔307近傍を除く領域には、nパッド電極309が形成されている。
【0048】
サブマウント400には、貫通孔401が設けられ、この貫通孔401に棒状電極402が挿入され支えられて立設されている。棒状電極402は、サブマウント400の発光素子300実装側の表面に、発光素子300の厚さよりも長く突出している。また、サブマウント400裏面には配線電極403が形成されており、貫通孔401を通して棒状電極402と配線電極403とが接続されている。また、サブマウント400には、貫通孔401とは別に貫通孔404が設けられ、貫通孔404の内部は導電材405によって埋められている。
【0049】
発光素子300は、実施例1の場合とほぼ同様にしてサブマウント400に実装されている。すなわち、発光素子300の貫通孔307に、サブマウント400の棒状電極402を差し込み、pパッド電極306表面から突出した棒状電極402の先端部402を潰し広げることで、pパッド電極306と棒状電極402とを接続している。また、棒状電極402を差し込んだ状態で、nパッド電極309が貫通孔404の導電材405と接触するようにすることで、nパッド電極309と配線電極403とを接続している。
【0050】
実施例3の発光装置もまた、実施例1の発光装置と同様に、ワイヤを用いずに発光素子300をサブマウント400に実装しており、pパッド電極306の面積をワイヤボンディング時よりも小さくすることができる。その結果、光取り出し効率が向上している。また、発光素子300の貫通孔307にサブマウント400の棒状電極402を差し込むことで、発光素子300をサブマウント400に実装するため、簡単に位置合わせを行うことができ、短時間で確実に、かつ位置精度よく実装することができる。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明の発光装置は、照明装置などに利用することができる。
【符号の説明】
【0052】
1、300:発光素子
2、200、400:サブマウント
10:サファイア基板
11、302:n型層
12、303:発光層
13、304:p型層
14、309:nパッド電極
15、305:ITO電極
16、306:pパッド電極
17、18、20、201a〜d、307、401:貫通孔
19、308:絶縁膜
22、202a〜d、402:棒状電極
23、203、403:配線電極
301:GaN基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁性の基板上に形成された半導体層と、同一面側に形成されたnパッド電極およびpパッド電極とを有したフェイスアップ型の発光素子を、サブマウント上に実装した発光装置の製造方法において、
前記発光素子に、前記nパッド電極および前記pパッド電極をそれぞれ通って貫通する2つの貫通孔を形成し、
前記貫通孔の側面に露出した前記半導体層を絶縁膜で覆い、
前記サブマウント上に、前記発光素子の厚さよりも長く棒状に突出した2つの棒状電極を、前記発光素子の実装位置であって前記発光素子の前記貫通孔に対向する位置に形成し、
前記発光素子の前記貫通孔に、前記サブマウントの前記棒状電極を差し込み、前記棒状電極の先端を潰して、前記棒状電極と前記nパッド電極および前記pパッド電極とを接続する、
ことを特徴とする発光装置の製造方法。
【請求項2】
サブマウント上に、導電性基板上に形成された半導体層と、半導体層上に形成されたpパッド電極と、前記導電性基板の前記半導体層形成側とは反対側の面に形成されたn電極と、を有した発光素子を、前記n電極側を前記サブマウント側として実装した発光装置の製造方法において、
前記発光素子に、前記pパッド電極を通って貫通する貫通孔を形成し、
前記貫通孔の側面に露出した前記半導体層および前記導電性基板を絶縁膜で覆い、
前記サブマウント上に、前記発光素子の厚さよりも長く棒状に突出した棒状電極を、前記発光素子の実装位置であって前記発光素子の前記貫通孔に対向する位置に形成し、
前記発光素子の前記貫通孔に、前記サブマウントの前記棒状電極を差し込み、前記棒状電極の先端を潰して、前記棒状電極と前記pパッド電極とを接続する、
ことを特徴とする発光装置の製造方法。
【請求項3】
複数の前記発光素子を同時に前記サブマウント上に実装することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の発光装置の製造方法。
【請求項4】
前記発光素子は、III 族窒化物半導体発光素子であることを特徴とする請求項1ないし請求項のいずれか1項に記載の発光装置の製造方法。
【請求項5】
絶縁性の基板上に形成された半導体層と、同一面側に形成されたnパッド電極およびpパッド電極とを有したフェイスアップ型の発光素子を、サブマウント上に実装した発光装置において、
前記発光素子は、
前記nパッド電極および前記pパッド電極をそれぞれ通って貫通する2つの貫通孔と、
前記貫通孔の側面に露出した前記半導体層を覆う絶縁膜と、を有し、
前記サブマウントは、
前記発光素子の実装位置であって前記発光素子の前記貫通孔に対向する位置に、前記発光素子の厚さよりも長く棒状に突出した2つの棒状電極を有し、
前記発光素子の前記貫通孔に、前記サブマウントの前記棒状電極が差し込まれ、前記棒状電極の先端が潰されて前記棒状電極と前記nパッド電極および前記pパッド電極とが接続されている、
ことを特徴とする発光装置。
【請求項6】
サブマウント上に、導電性基板上に形成された半導体層と、半導体層上に形成されたpパッド電極と、前記導電性基板の前記半導体層形成側とは反対側の面に形成されたn電極と、を有した発光素子を、前記n電極側を前記サブマウント側として実装した発光装置において、
前記発光素子は、
前記pパッド電極を通って貫通する貫通孔と、
前記貫通孔の側面に露出した前記半導体層を覆う絶縁膜と、を有し、
前記サブマウントは、
前記発光素子の実装位置であって前記発光素子の前記貫通孔に対向する位置に、前記発光素子の厚さよりも長く棒状に突出した棒状電極を有し、
前記発光素子の前記貫通孔に、前記サブマウントの前記棒状電極が差し込まれ、前記棒状電極の先端が潰されて前記棒状電極と前記pパッド電極とが接続されている、
ことを特徴とする発光装置。
【請求項7】
前記サブマウント上に複数の発光素子が実装され、それらの発光素子が直列接続あるいは並列接続されている、ことを特徴とする請求項5または請求項6に記載の発光装置。
【請求項8】
前記発光素子は、III 族窒化物半導体発光素子であることを特徴とする請求項5ないし請求項7のいずれか1項に記載の発光装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−119428(P2012−119428A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−266527(P2010−266527)
【出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【出願人】(000241463)豊田合成株式会社 (3,467)
【出願人】(504034585)有限会社 ナプラ (55)
【Fターム(参考)】