説明

発光装置の製造方法

【課題】低コスト化の障害を回避することができるとともに、所望の配光特性をもつ発光装置を得ることができる発光装置の製造方法を提供する。
【解決手段】発光装置1の製造方法は、基板用素材6Aを準備する基板準備工程と、基板用素材6AのLED素子搭載面に枠体集合体6Bを形成する枠形成工程と、LED素子搭載面の枠体集合体6Bの開口内にLED素子3を搭載する素子搭載工程と、枠体集合体6Bの開口内に封止部材4を供給してLED素子3を封止する封止工程と、枠体集合体6Bが分断されるように、枠体集合体6B及び基板用素材6Aを分割し、側壁面5aを備えた複数の発光装置1を得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の発光素子を素子集合搭載基板に搭載して複数の発光素子を封止した後、少なくとも1つの発光素子を含むように素子集合搭載基板及び枠体集合体を分割することにより、複数の発光装置を得る発光装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の発光装置には、素子搭載部を有する素子搭載基板と、素子搭載基板の素子搭載部に搭載された発光素子としての発光ダイオード(Light Emitting Diode:LED)素子と、LED素子を封止する封止部材とを備えたものがある。
【0003】
このような発光装置の製造は、例えば素子集合搭載基板として互いに絶縁された複数の素子搭載部及び複数対のワイヤ接続部を有するリードフレーム(特許文献1参照)を用いて行われる。
【0004】
すなわち、上記したリードフレームを用いた発光装置の製造は、リードフレームにおける複数の素子搭載部に発光素子を搭載し、次いで複数対のワイヤ接続部に発光素子をワイヤで接続し、しかる後発光素子をワイヤと共に封止部材で封止してから、封止部材及びリードフレームを分割することにより行われる。この場合、発光素子及びワイヤを封止部材で封止するにあたり、素子搭載・ワイヤ接続済みのリードフレームを金型内に配置した後、この金型のキャビティ内に封止部材となる未硬化樹脂を注入して固化させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−177329号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に示すリードフレームを用いた発光装置の製造方法によると、素子搭載部に対する高密度な発光素子の搭載を実現することができないばかりか、金型を用いる大掛かりな設備を必要とし、低コスト化の障害となっていた。
【0007】
また、特許文献1に示すリードフレームを用いた発光装置の製造方法によると、リフレクタが形成されず、所望の配光特性をもつ発光装置を得ることができなかった。
【0008】
従って、本発明の目的は、低コスト化の障害を回避することができるとともに、所望の配光特性をもつ発光装置を得ることができる発光装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様は、上記目的を達成するために、(1)〜(5)の発光装置の製造方法を提供する。
【0010】
(1)平板状基板を準備する基板準備工程と、前記平板状基板の発光素子搭載面に格子状枠を形成する枠形成工程と、前記発光素子搭載面の前記格子状枠の開口内に発光素子を搭載する素子搭載工程と、前記格子状枠の開口内に封止部材を供給して前記発光素子を封止する封止工程と、前記格子状枠が分断されるように、前記格子状枠及び平板状基板を分割し、側壁を備えた複数の発光装置を得ることを特徴とする発光装置の製造方法。
【0011】
(2)上記(1)に記載の発光装置の製造方法において、前記枠形成工程は、未硬化樹脂をディスペンス塗布した後、硬化させる。
【0012】
(3)上記(2)に記載の発光装置の製造方法において、前記枠形成工程は、前記格子状枠の縦枠と横枠の交差部へ未硬化樹脂の塗布が重ならないように、該縦枠及び該横枠の少なくとも一方を交差部へ塗布しない。
【0013】
(4)上記(3)に記載の発光装置の製造方法において、前記枠形成工程は、前記格子状枠の縦枠と横枠の交差部へ未硬化樹脂の塗布が重ならないように、該縦枠及び該横枠の両方を交差部へ塗布しない。
【0014】
(5)上記(1)乃至(4)のいずれかに記載の発光装置の製造方法において、前記格子状枠と前記封止部材は樹脂からなり、同時に硬化させる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、低コスト化の障害を回避することができるとともに、所望の配光特性をもつ発光装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る素子集合搭載基板を用いて製造された発光装置を示す断面図。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る素子集合搭載基板を用いて製造された発光装置のLED素子を示す断面図。
【図3】(a)及び(b)は、本発明の第1の実施の形態に係る素子集合搭載基板を説明するために示す平面図と断面図。(a)は平面図を、また(b)は断面図をそれぞれ示す。
【図4】(a)及び(b)は、本発明の第1の実施の形態に係る素子集合搭載基板における枠体集合体の形成例を説明するために示す平面図。(a)は本実施例を、また(b)は他の実施例をそれぞれ示す。
【図5】(a)〜(e)は、本発明の第1の実施の形態に係る素子集合搭載基板を用いた発光装置の製造方法を説明するために示す断面図。(a)はめっき処理工程を、(b)はLED素子の搭載工程を、(c)はワイヤボンディング工程を、(d)は封止工程を、また(e)はダイシング工程をそれぞれ示す。
【図6】(a)及び(b)は、本発明の第2の実施の形態に係る素子集合搭載基板を説明するために示す平面図と断面図。(a)は平面図を、また(b)は断面図をそれぞれ示す。
【図7】(a)〜(d)は、本発明の第2の実施の形態に係る素子集合搭載基板を用いた発光装置の製造方法を説明するために示す断面図。(a)はLED素子の搭載工程を、(b)はワイヤボンディング工程を、(c)は封止工程を、また(d)はダイシング工程をそれぞれ示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[第1の実施の形態]
以下、本発明の第1の実施の形態に係る素子集合搭載基板を用いた発光装置の製造方法について、図面を参照して詳細に説明する。
【0018】
(発光装置の全体構成)
図1は発光装置を示す。図1に示すように、発光装置1は、素子搭載基板2と、素子搭載基板2に搭載されたLED素子3と、LED素子3を封止する封止部材4と、封止部材4及び素子搭載基板2と共にパッケージPを形成する枠体5とから大略構成されている。
【0019】
(素子搭載基板2の構成)
素子搭載基板2は、発光装置1を製造する場合に用いられる素子集合搭載基板6(図3に示す)の一部であり、第1の絶縁部材20及び第2の絶縁部材21によって互いに絶縁された一対の導体部材としての導体パッド22,23を有し、全体が平面矩形状の板部材によって形成されている。素子搭載基板2の厚さは約1.0mm程度の寸法に設定されている。素子集合搭載基板6の詳細については後述する。
【0020】
第1の絶縁部材20は素子搭載基板2の一方側(素子搭載側)に、また第2の絶縁部材21は素子搭載基板2の他方側(素子反搭載側)にそれぞれ配置されている。第1の絶縁部材20及び第2の絶縁部材21の材料としては、光を遮蔽する酸化チタン等の白色顔料を含有させたポリアミド等の熱可塑性樹脂、又はエポキシ樹脂やシリコーン樹脂等の熱硬化性樹脂等の樹脂にあるいはアルミナ等のセラミックスが用いられる。本実施の形態ではシリコーン樹脂が用いられる。
【0021】
一対の導体パッド22,23は、第1の絶縁部材20及び第2の絶縁部材21を介して互いに隣接し、素子搭載基板2の面方向に互いに並列して配置されている。一方の導体パッド22は素子搭載・ワイヤ接続(素子搭載及びワイヤ接続)用のパッドによって、また他方の導体パッド23はワイヤ接続用のパッドによってそれぞれ形成されている。
【0022】
一方の導体パッド22の表裏面には、例えば銀(Ag)等のめっき処理を施すことによりめっき処理部24,25が設けられている。他方の導体パッド23の表裏面には、一方の導体パッド22と同様に、例えばAg等のめっき処理を施すことによりめっき処理部26,27が設けられている。一対の導体パッド22,23の材料としては例えば銅合金又は鉄合金からなる金属が用いられる。
【0023】
(LED素子3の構成)
図2はLED素子を示す。図2に示すように、LED素子3は、p側電極30及びn側電極31を有し、p側電極30(p側パッド電極30a)をめっき処理部26に、またn側電極31をめっき処理部24にそれぞれワイヤ32(図1に示す)によって接続することにより素子搭載基板2における素子搭載面2a(図1に示す)の略中央部に搭載されている。LED素子3としては例えば平面略正方形状の青色LED素子が用いられる。
【0024】
そして、LED素子3は、サファイア(Al)からなる基板33の表面にIII族窒化物系半導体を例えば700℃の温度でエピタキシャル成長させることにより、バッファ層34,n型半導体層35,発光層としてのMQW(Multiple Quantum Well:重量子井戸)層36,及びp型半導体層37が順次形成され、発光面38からピーク発光波長が例えば435nm〜480nmである青色光を発するように構成されている。
【0025】
p側電極30は、p側パッド電極30aを有し、p型半導体層37の表面に設けられている。n側電極31は、p型半導体層37からMQW層36及びn型半導体層35にわたってその一部にエッチング処理を施すことにより露出した部位(n型半導体層35)に設けられている。p側電極30の材料としては例えばITO(Indium Tin Oxide)等の酸化物からなる透明導電性材が、またp側パッド電極30a及びn側電極31の材料としては例えばNi/Au,Al等の金属がそれぞれ用いられる。
【0026】
(封止部材4の構成)
封止部材4は、枠体5内に収容され、全体が例えばシリコーン系の光透過性樹脂(熱硬化性樹脂)によって形成されている。そして、封止部材4は、素子搭載基板2上でLED素子3及びワイヤ32を封止するように構成されている。封止部材4の材料としては、エポキシ樹脂,変性エポキシ樹脂,シリコーン樹脂,変性シリコーン樹脂,フッ素樹脂等の光透過性樹脂を用いることができる。封止部材4には、LED素子3から発せられる青色光を受けて励起されることにより黄色光を発する蛍光体を含有してもよい。この場合、LED素子3から発せられる青色光とこの青色光で蛍光体が励起されて発する黄色光との混合により白色光が得られる。
【0027】
(枠体5の構成)
枠体5は、例えばシリコーン樹脂により形成され、パッケージPにおける内側の側壁面5aの断面が上に凸の曲面からなり、平面視にて矩形状の素子搭載面2aの外縁を取り囲むように素子搭載側開口部から光取出側開口部に向かって開口部が広がるように形成されている。そして、枠体5は、LED素子3からの光を反射してパッケージP外に取り出すように構成されている。
【0028】
(素子集合搭載基板6の構成)
次に、素子集合搭載基板6につき、図3(a)及び(b)を用いて説明する。図3(a)及び(b)は素子集合搭載基板を示す。図3(a)及び(b)に示すように、素子集合搭載基板6は、全体が平面視にて矩形の平板状の基板用素材6A及び枠体集合体6Bからなり、複数の枠体5を有する複合部材によって形成されている。
【0029】
基板用素材6Aは、基部材60,導体部材61及び絶縁部材62を有し、素子集合搭載基板6の一方側に配置され、全体が平面矩形状の板部材によって形成されている。基板用素材6Aには、上記した特許文献1に示す「樹脂複合リードフレーム」が用いられる。なお、基板用素材6Aの形成は、金属板(銅合金又は鉄合金)にその表面側からエッチング処理を施して第1の凹部を形成し、この第1の凹部にスクリーン印刷によって第1の絶縁部材20を充填した後、金属板にその裏面側からエッチング処理を施して第2の凹部を形成し、この第2の凹部にスクリーン印刷によって第2の絶縁部材21を充填することにより行われる。
【0030】
基部材60は、上記した金属板の一部を構成し、枠体集合体6Bの素子搭載側に配置され、全体が格子状の部材によって形成されている。そして、基部材60は、その素子搭載側に枠体集合体6Bを形成するように構成されている。
【0031】
導体部材61は、基部材60と同様に金属板の一部を構成する複数対(例えば縦方向に14対、横方向に15対)の導体パッド22,23からなり、基部材60の素子搭載側に平面縦横に並列して配置されている。そして、導体部材61は、枠体集合体6Bにおいて基部材60の素子搭載側面に交差する(本実施の形態では直交する)2方向に開口する両開口のうち基部材60側の開口一部を閉塞するように構成されている。各対の導体パッド22,23は、第1の絶縁部材20及び第2の絶縁部材21によって互いに絶縁されている。
【0032】
絶縁部材62は、第1の絶縁部材20及び第2の絶縁部材21からなり、これら第1の絶縁部材20及び第2の絶縁部材21が素子集合搭載基板6の厚さ方向に互いに並列して配置されている。そして、絶縁部材62は、複数対の導体パッド22,23をそれぞれ仕切るように構成されている。
【0033】
枠体集合体6Bは、複数の枠体5が集合して形成されている。そして、各々の枠体5は、素子搭載側開口部から光取出側開口部に向かって開口部が広がるように、格子状に連結して形成されている。これにより、素子集合搭載基板6が複数の枠体5を有する部材として機能し、発光装置1の製造時に各枠体5内に封止部材4となる未硬化樹の注入が可能となる。枠体集合体6Bの材料としては、酸化チタン等の白色顔料を含有させて光反射性を持たせたエポキシ樹脂,変性エポキシ樹脂,シリコーン樹脂,変性シリコーン樹脂,フッ素樹脂等の光透過性樹脂が用いられるが、素子集合搭載基板6との密着性の観点から、絶縁部材62の材料と同一の材料(シリコーン樹脂)を用いることが好ましい。
【0034】
枠体集合体6Bの形成は、図4(a)に二点鎖線で示すように枠体5の角部となる部位Aにおいて、未硬化樹脂60B,61B(縦方向の未硬化樹脂60B,横方向の未硬化樹脂61B)を基板用素材6Aの厚さ方向に重ねず、横方向の未硬化樹脂61Bに縦方向の未硬化樹脂60Bを突き合わせるようにして基板用素材6A(基部材60)の素子搭載側面に略格子状にディスペンス塗布することにより行われる。縦方向の未硬化樹脂60B及び横方向の未硬化樹脂61Bの硬化後には、図4(a)に実線で示すように角部Aの隙間が樹脂で埋められ、基板用素材6Aの素子搭載側面で平面視にて縦枠63及び横枠64がそれぞれ並列することにより複数の平面矩形状の開口をもち、かつ交差部と他部との厚みが略均一な枠体集合体6Bが得られる。
【0035】
なお、本実施の形態に示す枠体集合体6Bの形成は、図4(a)に二点鎖線で示すような方法によって未硬化樹脂が重ならないようにして行う場合について説明したが、本発明はこれに限定されず、図4(b)に示すような形成方法によって行ってもよい。この場合、枠体5の角部となる部位Bにおいては、縦方向の未硬化樹脂60B同士を、また横方向の未硬化樹脂61B同士をそれぞれ突き合わせるようにして基板用素材6A(基部材60)の素子搭載側面にディスペンス塗布する。この場合においても、交差部と他部との厚みが略均一な枠体集合体6Bが得られる。
【0036】
(発光装置1の製造方法)
次に、本実施の形態に示す発光装置1の製造方法につき、図5(a)〜(e)を参照して説明する。図5(a)〜(e)は発光装置の製造手順を示す。
【0037】
本実施の形態に示す発光装置の製造方法は、「めっき処理」,「LED素子の搭載」,「ワイヤボンディング」,「LED素子の封止」及び「ダイシング」の各工程が順次実施されるため、これら各工程を順次説明する。
【0038】
「めっき処理」
図5(a)に示すように、素子集合搭載基板6における導体パッド22の表裏面にめっき処理を施すことによりめっき処理部24,25を形成する。同様に、素子集合搭載基板6における導体パッド23の表裏面にめっき処理を施すことによりめっき処理部26,27を形成する。
【0039】
「LED素子の搭載」
図5(b)に示すように、例えばエポキシ樹脂等の絶縁性接着剤(図示せず)を用い、素子集合搭載基板6の導体パッド22上にめっき処理部24を介してLED素子3を接着する。この際、LED素子3の接着は、その光取出側をp側パッド電極30a及びn側電極31(共に図2に示す)が指向するようにして行われる(所謂、フェイスアップ搭載)。これにより、素子集合搭載基板6には複数個(本実施の形態では縦方向に14個×横方向に15個=合計210)のLED素子3が搭載される。
【0040】
「ワイヤボンディング」
図5(c)に示すように、例えば銀粉含有の導電性接着剤を用い、LED素子3を導体パッド22上のめっき処理部24及び導体パッド23上のめっき処理部26にワイヤ32によって接続する。この場合、p側パッド電極30aがめっき処理部26に、またn側電極31がめっき処理部24にそれぞれワイヤ32を介して接続される。
【0041】
「LED素子の封止」
図5(d)に示すように、例えばディスペンサ(図示せず)を用いて封止部材4となる未硬化のシリコーン樹脂を素子集合搭載基板6の枠体集合体6Bにより画定された開口部内に注入して固化させる。これにより、素子集合搭載基板6上における複数個のLED素子3がワイヤ32と共に封止部材4によって封止される。
【0042】
「ダイシング」
図5(e)に示すように、例えば回転型のダイシングブレード(図示せず)を用い、LED素子3,導体パッド22・23及び枠体5を一単位として枠体集合体6B及び基部材60を各縦枠63及び各横枠64が均等に分断されるように各縦枠63及び各横枠64の中央部に沿って切断することにより分割する。これにより、枠体5付きの素子搭載基板2上で封止部材4によってワイヤ32と共に封止されたLED素子3を有する複数個(合計210個)の発光装置1(図5(e)には1個のみ示す)が得られる。
【0043】
[第1の実施の形態の効果]
以上説明した第1の実施の形態によれば、次に示す効果が得られる。
【0044】
(1)素子集合搭載基板6に対する高密度なLED素子3の搭載を実現することができるため、従来必要とした大掛かりな設備が不要となり、低コスト化の障害を回避することができる。
【0045】
(2)枠体5の側壁面5aがリフレクタであるため、所望の配光特性をもつ発光装置1を得ることができる。
【0046】
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2実施の形態に係る素子集合搭載基板、及びこれを用いた発光装置の製造方法につき、図6(a)及び(b)を用いて説明する。図6(a)及び(b)は素子集合搭載基板を示す。図6において、図1〜図3と同一又は同等の部材については同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0047】
図6(a)及び(b)に示すように、本発明の第2の実施の形態に係る素子集合搭載基板9は、基部材90が絶縁部材によって形成されている点に特徴がある。
【0048】
このため、素子集合搭載基板9は、絶縁部材をベースとする基板用素材9A及び枠体集合体9Bからなり、全体が複数の枠体5となる格子状の複合部材によって形成されている。
【0049】
基板用素材9Aは、基部材90及び導体部材91を有し、全体が平面視にて矩形の平板状の板部材によって形成されている。
【0050】
基部材90は、絶縁部材としての例えば酸化アルミニウム(Al)のセラミックシートを積層して形成されている。基部材90の材料としては、窒化アルミニウム(AlN)等のセラミックスを用いてもよい。
【0051】
導体部材91は、基部材90によって互いに絶縁された複数対(例えば縦方向に14対、横方向に15対)の導体パターン910,911からなり、基板用素材9Aに配置されている。各対の導体パターン910,911は、基部材90に平面縦横に並列して配置されている。そして、導体部材91は、枠体集合体9Bにおいて基部材90の素子搭載側面に交差する(本実施の形態では直交する)2方向に開口する両開口のうち基部材90側の開口一部を閉塞するように構成されている。
【0052】
一方の導体パターン910は、素子搭載・ワイヤ接続(素子搭載及びワイヤ接続)用のパッドとして機能し、LED素子3のn側電極31(図1に示す)に接続する表面パターン910a、LED素子3(図1に示す)に対して電源電圧を供給するための裏面パターン910b、及び基部材90を貫通するビアホール90a内に充填されて表面パターン910aと裏面パターン910bとを接続するビアパターン910cによって形成されている。
【0053】
他方の導体パターン911は、ワイヤ接続用のパッドとして機能し、LED素子3のp側パッド電極30a(図1に示す)に接続する表面パターン911a、LED素子3(図1に示す)に対して電源電圧を供給するための裏面パターン911b、及び基部材90を貫通するビアホール90b内に充填されて表面パターン911aと裏面パターン911bとを接続するビアパターン911cによって形成されている。
【0054】
表面パターン910a及び裏面パターン910bはビアパターン910cに、また表面パターン911a及び裏面パターン911bはビアパターン911cにそれぞれ例えばタングステン(W),モリブデン(Mo)等の高融点金属によって一体に形成されている。
【0055】
なお、表面パターン910a,911a及び裏面パターン910b,911bの表面には、ニッケル(Ni),アルミニウム(Al),白金(Pt),チタン(Ti),金(Au),銀(Ag),銅(Cu)などの材料による単数又は複数の金属層が必要に応じて形成される。
【0056】
枠体集合体9Bは、第1の実施の形態と同様に未硬化樹脂をディスペンス塗布した後、硬化させて形成するため、ここでは、その詳細な説明を省略する。
【0057】
(発光装置1の製造方法)
次に、本実施の形態に示す素子集合搭載基板9を用いる発光装置1の製造方法につき、図7(a)〜(d)を参照して説明する。図7(a)〜(d)は発光装置の製造手順を示す。
【0058】
本実施の形態に示す発光装置の製造方法は、「LED素子の搭載」,「ワイヤボンディング」,「LED素子の封止」及び「ダイシング」の各工程が順次実施されるため、これら各工程を順次説明する。
【0059】
「LED素子の搭載」
図7(a)に示すように、例えば銀粉含有の導電性接着剤(図示せず)を用い、素子集合搭載基板9の表面パターン910a上にLED素子3を接着する。この際、LED素子3の接着は、その光取出側をp側パッド電極30a及びn側電極31(共に図2に示す)が指向するようにして行われる。これにより、素子集合搭載基板9には複数個(本実施の形態では縦方向に14個×横方向に15個=合計210)のLED素子3が搭載される。
【0060】
「ワイヤボンディング」
図7(b)に示すように、例えば銀粉含有の導電性接着剤を用い、LED素子3を導体パターン910上の表面パターン910a及び導体パターン911上の表面パターン911aにワイヤ32によって接続する。この場合、p側パッド電極30aが表面パターン911aに、またn側電極31が表面パターン910aにそれぞれワイヤ32を介して接続される。
【0061】
「LED素子の封止」
図7(c)に示すように、例えばディスペンサ(図示せず)を用いて封止部材4となる未硬化のシリコーン樹脂を素子集合搭載基板9の枠体集合体9Bにより画定された開口部内に注入して硬化させる。これにより、素子集合搭載基板9上における複数個のLED素子3がワイヤ32と共に封止部材4によって封止される。
【0062】
「ダイシング」
図7(d)に示すように、例えば回転型のダイシングブレード(図示せず)を用い、LED素子3,導体パターン910・911及び枠体5を一単位として基部材90及び枠体集合体9Bを各縦枠63及び各横枠64が均等に分断されるように各縦枠63及び各横枠64の中央部に沿って切断することにより分割する。これにより、枠体5付きの素子搭載基板2上で封止部材4によってワイヤ32と共に封止されたLED素子3を有する複数個(合計210個)の発光装置1(図7(d)には1個のみ示す)が得られる。
【0063】
[第2の実施の形態の効果]
以上説明した第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態の効果に加えて次に示す効果が得られる。
【0064】
発光装置1の製造には、予め回路パターン(表面パターン910a・911a,裏面パターン910b,911b及びビアパターン910c,911c)が形成された素子集合搭載基板9を用いるため、製造工程数を削減することができ、製造コストの低廉化を図ることができる。
【0065】
以上、本発明の素子集合搭載基板及び発光装置の製造方法を上記の実施の形態に基づいて説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能であり、例えば次に示すような変形も可能である。
【0066】
(1)上記実施の形態では、未硬化樹脂をディスペンス塗布した後、硬化させることにより枠体集合体6Bを形成したが、本発明はこれに限定されず、未硬化樹脂をスクリーン印刷塗布した後、硬化させることにより枠体集合体6Bを形成してもよいし、コンプレッション成形,トランスファー成形により枠体集合体6Bを形成してもよい。
【0067】
(2)上記実施の形態では、素子集合搭載基板2,6に対して、LED素子3を所謂、フェイスアップ搭載し、LED素子3をワイヤにより導電パッド22,23又は導体パターン910,911に接続したが、本発明はこれに限定されず、LED素子3を所謂、フリップチップ搭載し、LED素子3をバンプにより導電パッド22,23又は導体パターン910,911に接続してもよい。
【0068】
(3)上記実施の形態では、枠体5に一個のLED素子3を搭載したが、多数のLED素子3を搭載してもよい。この場合、複数のLED素子3のピーク発光波長が略同等(同じ青色発光)でもよいし、異なるピーク波長(例えば、青色発光と赤色発光,青色発光と緑色発光と赤色発光)でもよい。
【0069】
(4)上記実施の形態では、枠体5を一単位として発光装置1を分割したが、本発明これに限定されず、複数の枠体を含むものを一単位として発光装置を分割してもよい。
【0070】
(5)上記実施の形態では、枠体集合体6Bを形成した後、素子集合搭載基板2,6にLED素子3を搭載したが、本発明はこれに限定されず、LED素子3を搭載した後、枠体集合体6Bを形成してもよい。
【0071】
(6)上記実施の形態では、枠体集合体6Bを未硬化樹脂を塗布して硬化させた後、枠集合体6Bの開口部内に未硬化の封止部材4を注入して硬化させたが、枠体集合体6Bと封止部材4とを同時に硬化させてもよい。
【0072】
(7)上記実施の形態では、LED素子3への未硬化樹脂の供給をディスペンス塗布により行ったが、本発明はこれに限定されず、スクリーン印刷塗布等により行ってもよい。
【符号の説明】
【0073】
1…発光装置、2…素子搭載基板、2a…素子搭載面、20…第1の絶縁部材、21…第2の絶縁部材、22,23…導体パッド、24〜27…めっき処理部、3…LED素子、30…p側電極、30a…p側パッド電極、31…n側電極、32…ワイヤ、33…基板、34…バッファ層、35…n型半導体層、36…MQW層、37…p型半導体層、38…発光面、4…封止部材、5…枠体、5a…側壁面、6…素子集合搭載基板、6A…基板用素材、6B…枠体集合体、60…基部材、60B…縦方向の未硬化樹脂、61B…横方向の未硬化樹脂、63…縦枠、64…横枠、61…導体部材、62…絶縁部材、9…素子集合搭載基板、9A…基板用素材、9B…枠体集合体、90…基部材、90a,90b…ビアホール、91…導体部材、910,911…導体パターン、910a,911a…表面パターン、910b,911b…裏面パターン、910c,911c…ビアパターン、P…パッケージ、A,B…部位

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平板状基板を準備する基板準備工程と、
前記平板状基板の発光素子搭載面に格子状枠を形成する枠形成工程と、
前記発光素子搭載面の前記格子状枠の開口内に発光素子を搭載する素子搭載工程と、
前記格子状枠の開口内に封止部材を供給して前記発光素子を封止する封止工程と、
前記格子状枠が分断されるように、前記格子状枠及び平板状基板を分割し、側壁を備えた複数の発光装置を得る
ことを特徴とする発光装置の製造方法。
【請求項2】
前記枠形成工程は、未硬化樹脂をディスペンス塗布した後、硬化させることを特徴とする請求項1に記載の発光装置の製造方法。
【請求項3】
前記枠形成工程は、前記格子状枠の縦枠と横枠の交差部へ未硬化樹脂の塗布が重ならないように、該縦枠及び該横枠の少なくとも一方を交差部へ塗布しないことを特徴とする請求項2に記載の発光装置の製造方法。
【請求項4】
前記枠形成工程は、前記格子状枠の縦枠と横枠の交差部へ未硬化樹脂の塗布が重ならないように、該縦枠及び該横枠の両方を交差部へ塗布しないことを特徴とする請求項3に記載の発光装置の製造方法。
【請求項5】
前記格子状枠と前記封止部材は樹脂からなり、同時に硬化させることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の発光装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−21259(P2013−21259A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−155622(P2011−155622)
【出願日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【出願人】(000241463)豊田合成株式会社 (3,467)
【Fターム(参考)】