説明

皮膚、粘膜および/または毛髪の治療および/またはケアに使用するペプチド、ならびに化粧料または医薬品組成物におけるその使用

一般式(I):R−W−X−AA−AA−AA−AA−Y−Z−R(I)で表されるペプチド、その立体異性体、それらの混合物、および/または化粧料もしくは医薬品として許容されるそれらの塩、製造方法、それらを含有する化粧料もしくは医薬品組成物、ならびに、皮膚、粘膜および/または毛髪の治療および/またはケアにおけるそれらの使用と、Hsp促進により改善または予防される状態、障害および/または疾患の治療および/またはケアにおけるそれらの使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚、粘膜および/または毛髪において熱ショックタンパク質の発現を誘起し得るペプチド、ならびに、これらのペプチドを含有する、皮膚、粘膜および/または毛髪の治療および/またはケア、好ましくは、熱ショックタンパク質の合成を促進することによって改善または予防される皮膚、粘膜および/または毛髪の状態、障害および/または疾患の治療および/またはケアに使用される化粧料または医薬品組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚、粘膜および毛髪は、化学的および物理的性質の両方のストレス要因に絶えず曝されている。太陽の放射、ある種の化学薬品への暴露または高温は、皮膚を構成している細胞に有害な影響を及ぼし、その老化を促進したり、それを不健康に見せたりするおそれがある。紫外線(UV)がこれらの影響を及ぼすメカニズムとしては、特に、活性酸素種の生成、DNAの損傷およびタンパク質の変性が挙げられる。
【0003】
タンパク質の構造の変性または変化は、疎水性残基がタンパク質表面に露出すること、すなわち、タンパク質が凝集体を形成し、その結果、その機能を失いやすくなる状況になることを示していると言える。これは細胞の完全性にとっては危険であり、したがって細胞は前述の状況と戦う特別なメカニズムを有しており、全ての生物は、誤って折り畳まれたタンパク質が蓄積することによって引き起こされる損傷を防止するメカニズムを有している[Ananthan J.,Goldberg A.L.およびVoellmy R.(1986)「Abnormal proteins serve as eukaryotic stress signals and trigger the activation of heat shock genes」,Science,232:522−524]。
【0004】
細胞は、ストレス状況に応答して、所謂、ストレスタンパク質の合成を亢進することが知られている。この応答は、異常に折り畳まれたタンパク質の蓄積を細胞が感知したときに開始され、熱ショック遺伝子の転写の亢進が引き起こされる[Lis J.およびWu C.(1993)「Protein traffic on the heat shock promoter:parking, stalling,and trucking along」、Cell、74:1−4]。これらの遺伝子の生成物は2つの大きなグループ、すなわち熱ショックタンパク質とグルコース調節タンパク質に分類される。用語「熱ショックタンパク質」は、異常な高温で培養した細胞内でこれらのタンパク質合成が亢進するという観察に由来する。これらのタンパク質合成は、細胞が温度の上昇に曝されたときのみならず、UV光暴露、酸化ストレス、浸透圧ショック、炎症、低酸素、重金属などの汚染物質への暴露、栄養失調および水分補給不足などの他のストレス状況に置かれたときにも亢進する[Lindquist S.(1986)「The heat−shock response」、Annu.Rev.Biochem.、55:1151−1191]。
【0005】
熱ショックタンパク質は、分子量により分類されるタンパク質の1つのファミリーであって、全ての細胞で構成的に発現し、かつタンパク質が成熟するいくつかの局面で直接的に関与するという理由から、比較的よく研究されてきたのは、60kDaおよび70kDaのタンパク質である。Hsp70は、主として、2つのタンパク質、構成的発現型のHsp73と、熱ショック転写因子1(HSF1)により転写的に制御される誘導型のHsp72を含む。これらのタンパク質は、最近合成されたタンパク質が、統合された小球様立体構造から最終のコンパクトな構造へ折り畳まれるのを制御して、凝集体を形成し易い立体構造が出現するのを回避し、それ故、それらの正しい機能が確保されるという作用を有するために、分子シャペロンとも呼ばれている。通常の状態では、Hsp70は核および細胞質に存在しており、新しく産生したタンパク質と一時的に相互作用して、それらの折り畳みを助け、Hsp60と協働してゴルジ複合体および小胞体の移行を促進する。しかしながら、ストレス条件では、Hsp70は折り畳まれていないタンパク質または誤って折り畳まれたタンパク質と複合体を形成し、それらが分解および不可逆的損傷を受けるのを阻止するか、あるいは反対に、それらを保護することができない場合には、タンパク質分解の可能性を高める[Hayes S.A.およびDice J.F.(1996)「Roles of molecular chaperones in protein degradation」、J.Cell.Biol.、132:255−258;Gething M.J.およびSambrook J.(1992)「Protein folding in the cell」、Nature、355:33−45]。Hsp70もHsp60も、正しく折り畳まれた最終タンパク質の一部を最終的に形成することはなく、また折り畳みに関する特定の情報を有することもない。それらは、誤った折り畳みの原因になったり、あるいは凝集し、その結果、機能の喪失に繋がったりし得るような、適切でない相互作用が確立されるのを単に防止するだけである。しかしながら、タンパク質がその最終的な立体構造を採るメカニズムについては不明である。
【0006】
不適切に折り畳まれたタンパク質の立体構造を修復するシャペロン機能とともに、UV線または電離放射線によって損傷が引き起こされる場合のDNAの保護および修復プロセスにおけるHsp70の関与についても説明がされている[Bases R.(2006)「Heat shock protein 70 enhanced deoxyribonucleic acid base excision repair in human leukemic cells after ionizing radiation」、Cell Stress Chaperones、11:240−249;Niu P.、Liu L.、Gong Z.、Tan H.、Wang F.、Yuan J.、Feng Y.、Wei Q.、Tanguay R.M.およびWu T.(2006)「Overexpressed heat shock protein 70 protects cells against DNA damage caused by ultraviolet C in a dose−dependent manner」、Cell Stress & Chaperones、11:162−169]。
【0007】
ストレスに対する応答は、普遍的に保存される、細胞の防御メカニズムを構成している。これは、致命的でない熱ショックを受けた細胞が、正常の成長温度における回復期間を経た後、最初であれば致命的であったであろう第2の熱ショックにも生き残ることができる現象、所謂、獲得熱耐性に反映されている[Subjeck J.R.、Sciandra J.J.およびJohnson R.J.(1982)「Heat shock proteins and thermotolerance; a comparison of induction kinetics」、Br.J.Radiol.、55:579−584;Angelidis C.E.、Lazaridis I.およびPagoulatos G.N.(1991)「Constitutive expression of heat−shock protein 70 in mammalian cells confers thermoresistance」、Eur.J.Biochem.、199:35−39;Li G.C.、Li L.G.、Liu Y.K.、Mak J.Y.、Chen L.L.およびLee W.M.(1991)「Thermal response of rat fibroblasts stably transfected with the human 70−kDa heat shock protein−encoding gene」、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、88:1681−1685]。この獲得熱耐性は一時的なものと見られており、成長中の細胞では通常12〜24時間持続するが、ショックタンパク質の発現と蓄積の増加レベルなどの、最初の温度ショックによって誘発された変化に依存する。Hspファミリーの中で、Hsp70は熱耐性の誘導に関わっていることが確認されており、転写およびHsp72の合成の両者を特異的に阻止すると、熱的処理により誘導される保護効果が抑えられる[Trautinger F.、Kindas−Muegge I.、Barlan B.、Neuner P.およびKnobler R.M.ら著、(1995)「72−kD heat shock protein is a mediator of resistance to ultraviolet B light」J.Invest.Dermatol.、105:160−162;Simon M.M.、Reikerstorfer A.、Schwarz A.、Krone C.、Luger T.A.、Jaeaettelae M.およびSchwarz T.(1995)「Heat shock protein 70 overexpression affects the response to ultraviolet light in murine fibroblasts. Evidence for increased cell viability and suppression of cytokine release」J.Clin.Invest.、95:926−33]。
【0008】
ストレス応答を誘導し得る薬剤または処理により、細胞が次にストレスを引き起こす作用因子に曝されたとき、ストレスの起源にかかわらず細胞が保護されることが、その後、確認された[Kampinga H.H.、Brunsting J.F.、Stege G.J.J.、Burgman P.W.J.J.およびKonings A.W.T(1995)「Thermal protein denaturation and protein aggregation in cells made thermotolerant by various chemicals:role of heat shock proteins」、Exp.Cell Res.、219:536−546]。したがって、ショックタンパク質発現の外因的誘導は、細胞タンパク質の損傷を防止し、ひいては細胞の完全性を維持するための戦略として妥当である。
【0009】
表皮水泡症(いくつかのアミノ酸の配列に起きた突然変異により引き起こされるケラチンの誤った折り畳みによって発症する)など、異常なタンパク質の折り畳みにより引き起こされる病気が、文献[Gu L.H.およびCoulombe P.A.(2005)「Defining the properties of the nonhelical tail domain in type II keratin 5:insight from a bullous disease−causing mutation」、Mol Biol Cell、16:1427−1438]に種々記載されている。これらの病気は、熱ショックタンパク質のレベルを増大させる化合物により治療される。
【0010】
同様に、熱ショックタンパク質の発現の増加を誘導する化合物は、創傷の治療および/またはケアに、あるいは治癒および/または再上皮化プロセスにおけるアジュバントとして使用される。創傷の治癒および修復プロセスでは、熱ショックタンパク質の発現が増加することが知られている。特に、皮膚の外傷の場合、Hsp発現の誘導は、皮膚の角化細胞の位置に特異的である。このように、Hsp70はその合成が上皮角化細胞で誘導されることを知っている[Laplante A.F.、Moulin V.、Auger F.A.、Landry J.、Li H.、Morrow G.、Tanguay R.M.およびGermain L.(1998)「Expression of heat shock proteins in mouse skin during wound healing」、J.Histochem.Cytochem.、46:1291−301]。Hsp70タンパク質を外部から送達すると、創傷の治癒が促進されることも観察されている[Kovalchin J.T.、Wang R.、Wagh M.S.、Azoulay J.、Sanders M.およびChandawarkar R.Y.(2006)「In vivo delivery of heat shock protein 70 accelerates wound healing by up−regulating macrophage−mediated phagocytosis」、Wound Repair Regen.、14:129−137]。創傷の治癒および修復機能に障害のある糖尿病患者では皮膚内のHsp70量が減少していることも報告されている[Bitar M.S.、Farook T.、John B.およびFrancis I.M.(1999)「Heat−shock protein 72/73 and impaired wound healing in diabetic and hypercortisolemic states」、Surgery、125:594−601;Atalay M.、Oksala N.、Lappalainen J.、Laaksonen D.E.、Sen C.K.およびRoy S.(2009)「Heat shock proteins in diabetes and wound healing」、Curr.Protein Pept.Sci.、10:85−95;McMurtry A.L.、Cho K.、Young L.J.T.、Nelson C.F.およびGreenhalgh D.G.(1999)「Expression of HSP70 in healing wounds of diabetic and nondiabetic mice」、J.Surg.Res.、86:36−41]。このように、皮膚および/または粘膜の創傷の治療および/またはケア、特に糖尿病による皮膚および/または粘膜の創傷の治癒および再上皮化には、熱ショックタンパク質合成の誘導が有効な戦略になる。
【0011】
毛髪成長の調節にHsp70が関与していることも、先行技術で知られている。具体的には、特許出願MX2007−007622号明細書には、Hsp70の合成を阻害する化合物を使用すると、毛髪の成長が低下することが記載されている。この毛髪の成長調節に対するHsp70の関与からは、脱毛症の治療および/または予防、特に、米国特許公開第2002/0001629号明細書に記載されているように、癌治療の化学療法によって引き起こされた脱毛の治療で、脱毛の遅延、または毛髪の成長誘導のために、Hspの合成を促進し得る化合物を使用することが示唆される。
【0012】
タンパク質の異常な折り畳みはまた、美的観点からも皮膚に影響を及ぼす。エラスチンおよびコラーゲンタンパク質が正しく折り畳まれることは、皮膚の柔軟性、および滑らかで若々しく見える皮膚を維持する基本である。若い成人の皮膚は、タンパク質の合成中にその折り畳みを保護するよう大量のHspを合成することができるため、ストレス状況に素早くかつ有効に応答するよう特によく適応している。しかしながら、年齢とともにHsp合成は減少するため、高齢者ではタンパク質の正しい折り畳みを維持する能力が低下している。これは損傷したタンパク質、または折り畳み不全となったタンパク質の蓄積、および細胞死の調節不全の原因となり、皮膚は老化して見える。[Verbeke P、Fonager J、Clark BF、Rattan SI.(2001)「Heat shock response and ageing:mechanisms and applications」、Cell Biol.Int.、25:845−857]。美的観点からタンパク質の異常な折り畳みが皮膚に及ぼす影響は、皮膚がUV線に曝されることによって悪化し、光老化した皮膚の様相を呈するようになる。UV線は、細胞に不可逆的な損傷を与えることができ、細胞死を引き起こす。しかしながら、高温への暴露は細胞に対し一定の保護効果を有しており、UVBにより引き起こされる細胞死の量を減少させることが実証されている[Trautinger F.、Knobler R.、Hoenigsmann H.、M.Mayr W.およびKindas−Muegge I.(1996)「Increased expression of the 72−kD heat shock protein and reduced sunburn cell formation in human skin after local hyperthermia」、J.Invest.Dermatol.、107:442−443]。高温への暴露はHsp合成を誘導する。これらは、観察されるUV線の有害な影響に対して光防御作用を行う役割を担っている。このように、熱ショックタンパク質の合成を誘導することは、老化および/または光老化の兆候を低減、遅延および/または抑制する目的で行う皮膚および/または毛髪の治療および/またはケアに対する有効な戦略である。
【0013】
化粧料および医薬の両部門では、熱ショックタンパク質の合成を促進することができる化合物の開発において、種々の試験が行われてきた。種々の状態、障害および疾患において熱ショックタンパク質が担う役割は、例えば定期刊行物、なかでもHeat Shock Proteins in Biology and Medicine(Research Signpost、India)またはCell Stress and Chaperones(Springer、Netherlands)に見出すことができるように、先行技術で広く知られている。
【0014】
ある種のセリンプロテアーゼ阻害剤は、熱ショックタンパク質の産生を促進することが知られているが、それらの高毒性により治療目的で使用することができない。このため、産業界は、これらの特性を有し、そして、また患者または消費者の健康に危険を及ぼすことなく使用することができる薬剤を見出す必要がある。
【0015】
特に、ライ麦の種の抽出物、オプンチア・フィクス−インディカ(Opuntia ficus−indica)の抽出物、マンギフェリンを含有する抽出物(米国特許公開第2006/0088560号明細書)、または文献、米国特許公開第2004/0228816号明細書、米国特許第7128914号明細書もしくは仏国特許第2834887号明細書に記載のものなど、先行技術には、Hsp合成を促進する種々の天然抽出物が記載されている。品質が均一で、かつ組成および純度が分かっている抽出物を得ることの困難さが、これらの工業的発展を、特に、医薬部門での発展を困難なものにしている。米国特許第5942494号明細書に記載のものなど、Hsp合成を誘導するアルデヒドまたはα−ケトエステル官能基で修飾された種々の合成ペプチドもまた記載されている。しかしながら、アルデヒド官能基は、局所用製剤に一般に使用されている大量の成分と化学的に適合せず、また製剤中で安定性が低いという問題も有しており、化粧料または皮膚薬部門においてその使用が制限されている。
【0016】
熱ショックタンパク質の皮膚、粘膜および/または毛髪に対する作用で得られる恩恵はまた、これらのタンパク質を皮膚、粘膜および/または毛髪に直接塗布した場合にも得ることができるであろう。この意味で、米国特許第5348945号明細書には、ストレス状況に置かれた組織の死亡率を低下させる方法、特に、臓器移植に使用する予定の組織を保存するための方法として、タンパク質Hsp70を外因的に塗布することが記載されている。高分子量タンパク質の局所適用は、それらの皮膚および毛髪への浸透性が低いことから困難であり、したがって、化粧料または皮膚薬部門におけるその発展を困難なものにしている。
【0017】
このことが、多数の化合物および/または抽出物が存在するにもかかわらず、先行技術で知られているものより一層有効でかつ選択的な、熱ショックタンパク質の合成を促進する新規の化合物を特定する必要が今なお存在することの理由である。
【発明の概要】
【0018】
本発明は、上記問題に対する解決策を提案するものである。本発明の出願人は、驚いたことに、アルデヒド官能基を含まない配列を有する合成ペプチドが、Hsp70タンパク質の合成を促進することができ、したがって、ストレス状況への暴露による攻撃に対して、皮膚、粘膜および/または毛髪を保護することができることを見出した。これらのペプチドは、皮膚、粘膜および/または毛髪の治療および/またはケア、好ましくは、熱ショックタンパク質促進によって改善または予防できる、皮膚、粘膜および/または毛髪の状態、障害および/または疾患の治療および/またはケアに使用される。
【0019】
定義
本発明への理解を助けるために、本発明の文脈において使用する場合の、いくつかの用語および表現の意味を記載する。
【0020】
本発明の文脈では、「皮膚」は、最外層、すなわち角質層から、最内層、すなわち皮下組織までの、両者を含めた層であると理解される。これらの層は、角化細胞、線維芽細胞、メラニン細胞および/または脂肪細胞などの種々のタイプの細胞からなる。
【0021】
本発明の文脈では、用語「皮膚」には、頭皮が含まれる。
【0022】
本発明の文脈では、「皮膚、粘膜および/または毛髪のケア」には、皮膚、粘膜および/または毛髪の障害および/または疾患の予防が含まれる。
【0023】
本発明の文脈では、用語「老化」は、年齢(経年老化)により、あるいは太陽(光老化)、またはタバコの煙、厳しい寒さもしくは強風の天候、化学汚染物質または汚染などの環境作用因子への暴露によって皮膚に生じる変化を言い、小皺、細い線状の皺、ひび、凹凸もしくは粗さなどの皮膚における不連続性の進行、毛穴の拡大、弾力性の喪失、保形性の喪失、復元性の喪失、変形からの回復力の喪失、頬のたるみ、目の下のたるみの出現、二重あごの出現などの皮膚のたるみ、しみ、発赤、たるみ、加齢によるしみもしくはそばかすなどの色素過剰部分の出現などの皮膚の色の変化、異常な分化、過剰角質化、弾性線維症、角化症、脱毛、オレンジ皮様の皮膚、コラーゲン構造の喪失、および角質層、真皮、表皮、脈管系(例えば、くも状静脈もしくは末梢血管拡張の出現など)、または皮膚に近い組織の組織学的変化など(これらに限定されない)、目で見ることができ、かつ/または触わって確認することができるものはすべて含まれる。用語「光老化」は、皮膚に早期の老化をもたらす、紫外線への皮膚の長時間の暴露による一連のプロセスであり、弛緩、たるみ、色の変化または異常な色素沈着、異常かつ/または過剰な角質化など(これらに限定されないが、少なくともこれらは含まれる)、老化と同じ物理的特性を示す。
【0024】
本発明の文脈では、「光防御」とは、UV線に曝される前に適用すると、光老化の症状の出現を防止または遅延させることができる化合物または製剤の能力であると理解される。
【0025】
本明細書では、アミノ酸に使用する略語は、Eur.J.Biochem.(1984)、138:9−37、およびJ.Biol.Chem.(1989)、264:633−673に概要が記載されているIUPAC−IUB Joint Commission on Biochemical Nomenclatureのルールにしたがっている。
【0026】
したがって、例えば、Asnは、NH−CH(CHCONH)−COOHを表し、Asn−は、NH−CH(CHCONH)−CO−を表し、−Asnは、−NH−CH(CHCONH)−COOHを表し、そして−Asn−は、−NH−CH(CHCONH)−CO−を表す。したがって、ペプチド結合を表すダッシュが記号の右に位置するときは、アミノ酸(ここではイオン化していない慣用形で表している)の1−カルボキシル基のOHを取り除き、記号の左に位置するときは、アミノ酸の2−アミノ基のHを取り除く。両変更は、同じ記号に適用することができる(表1参照)。

【0027】
略語「Ac−」は、本明細書ではアセチル基(CH−CO−)を表すために使用し、略語「Palm−」はパルミトイル基(CH−CH14−CO−)を表すために使用する。
【0028】
用語「非環状脂肪族基」は、本発明では、例えば線状または分岐状のアルキル基、アルケニル基およびアルキニル基を包含するために使用されるが、これらに限定はされない。
【0029】
用語「アルキル基」は、1〜24個、好ましくは1〜16個、より好ましくは1〜14個、より一層好ましくは1〜12個、さらにより一層好ましくは1、2、3、4、5または6個の炭素原子を有し、かつ単結合によって残りの分子に結合している、飽和した線状または分岐状の基を言い、限定はされないが、例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、ラウリル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、アミル基、2−エチルヘキシル基、2−メチルブチル基、5−メチルヘキシル基などが含まれる。
【0030】
用語「アルケニル基」は、2〜24個、好ましくは2〜16個、より好ましくは2〜14個、より一層好ましくは2〜12個、さらにより一層好ましくは2、3、4、5または6個の炭素原子を有し、共役または非共役の1個以上の炭素−炭素二重結合、好ましくは、1、2、または3個の炭素−炭素二重結合を有し、単結合で残りの分子に結合している、線状または分岐状の基を言い、限定はされないが、例えば、ビニル基、オレイル基、リノレイル基などが含まれる。
【0031】
用語「アルキニル基」は、2〜24個、好ましくは2〜16個、より好ましくは2〜14個、より一層好ましくは2〜12個、さらにより一層好ましくは2、3、4、5または6個の炭素原子を有し、共役または非共役の1個以上の炭素−炭素三重結合、好ましくは、1、2または3個の炭素−炭素三重結合を有し、単結合で残りの分子に結合している、線状または分岐状の基を言い、限定はされないが、例えば、エチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、1−ブチニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、1−ペンチニル基などのペンチニル基などが含まれる。
【0032】
用語「脂環式基」は、本発明では、例えばシクロアルキル基またはシクロアルケニル基またはシクロアルキニル基を包含するために使用されるが、これらに限定はされない。
【0033】
用語「シクロアルキル」は、3〜24個、好ましくは3〜16個、より好ましくは3〜14個、より一層好ましくは3〜12個、さらにより一層好ましくは3、4、5または6個の炭素原子を有し、単結合で残りの分子に結合している、単環または多環の飽和脂肪族基に関し、限定はされないが、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、メチルシクロヘキシル、ジメチルシクロヘキシル、オクタヒドロインデン、デカヒドロナフタレン、ドデカヒドロ−フェナレンなどが含まれる。
【0034】
用語「シクロアルケニル基」は、5〜24個、好ましくは5〜16個、より好ましくは5〜14個、より一層好ましくは5〜12個、さらにより一層好ましくは5個または6個の炭素原子を有し、共役または非共役の1つ以上の炭素−炭素二重結合、好ましくは1つ、2つまたは3つの炭素−炭素二重結合を有し、単結合で残りの分子に結合している、非芳香族の単環または多環の脂肪族基に関し、限定はされないが、例えば、シクロペント−1−エン−1−イル基などが含まれる。
【0035】
用語「シクロアルキニル」は、8〜24個、好ましくは8〜16個、より好ましくは8〜14個、より一層好ましくは8個または12個、さらにより一層好ましくは8個または9個の炭素原子を有し、共役または非共役の1つ以上の炭素−炭素三重結合を、好ましくは1つ、2つまたは3つの炭素−炭素三重結合を有し、単結合で残りの分子に結合している、非芳香族の単環または多環の脂肪族基に関し、限定はされないが、例えば、シクロオクト−2−イン−1−イル基などが含まれる。
【0036】
用語「アリール基」は、6〜30個、好ましくは6〜18個、より好ましくは6〜10個、より一層好ましくは6〜10個の炭素原子を有し、炭素−炭素結合、または縮合した1個、2個、3個または4個の芳香環を有し、単結合で残りの分子に結合している芳香族基に関し、限定はされないが、例えば、フェニル、ナフチル、ジフェニル、インデニル、フェナントリルまたはアントラニルなどが含まれる。
【0037】
用語「アラルキル基」は、芳香族基で置換された、7〜24個の炭素原子を有するアルキル基に関し、限定はされないが、例えば、−(CH1−6−フェニル、−(CH1−6−(1−ナフチル)、−(CH1−6−(2−ナフチル)、−(CH1−6−CH(フェニル)などが含まれる。
【0038】
用語「複素環基」は、1個以上の環原子、好ましくは1個、2個または3個の環原子が、窒素、酸素または硫黄などの炭素とは異なる元素であり、飽和であっても不飽和であってもよい、環員数3〜10個のヘテロサイキル(heterocycyl)基または炭化水素環に関する。本発明の目的のためには、ヘテロシクリル基は、縮合環系を含み得る、環状、単環、2環、または3環の系とすることができ、ヘテロシクリル基中で窒素、炭素または硫黄原子は任意選択により酸化されていてもよく、窒素原子は任意選択により四級化されていてもよく、ヘテロシクリル基は部分的または完全に飽和されていてもよく、あるいは芳香族であってもよい。より好ましくは、用語複素環は5〜6員環に関する。
【0039】
用語「ヘテロアリールアルキル基」は、置換、または置換されていない芳香族ヘテロシクリル基で置換されたアルキル基に関し、アルキル基は1〜6個の炭素原子を有し、芳香族ヘテロシクリル基は2〜24個の炭素原子と1〜3個の炭素以外の原子を有しており、限定はされないが、例えば、−(CH1−6−イミダゾリル、−(CH1−6−トリアゾリル、−(CH1−6−チエニル、−(CH1−6−フリル、−(CH1−6−ピロジニリルなどが含まれる。
【0040】
この技術分野で使用される場合、上で定義した基は一部、置換されていてもよい。したがって、本発明の基は置換されているものがあり得る。本明細書において、本発明の基の中で置換された基に言及する場合、その特定の基が、1種以上の置換基により、1か所以上の可能な位置で、好ましくは1か所、2か所または3か所の位置で、より好ましくは1か所または2か所の位置で、より一層好ましくは1か所の位置で置換され得ることを意味する。これらの置換基には、限定はされないが、例えば、C〜Cのアルキル基;水酸基;C〜Cのアルコキシル基;アミノ基;C〜Cのアミノアルキル基;C〜Cのカルボニルオキシル基;C〜Cのオキシカルボニル基;フッ素、塩素、臭素およびヨウ素などのハロゲン基;シアノ基;ニトロ基;アジド基;C〜Cのアルキルスルホニル基;チオール基;C〜Cのアルキルチオ基、フェノキシル基などのアリールオキシル基;−NR(C=NR)NR(式中、RおよびRは、H、C〜Cのアルキル基、C〜Cのアルケニル基、C〜Cのアルキニル基、C〜C10のシクロアルキル基、C〜C18のアリール基、C〜C17のアラルキル基、3〜10員のヘテロシクリル基、またはアミノ基の保護基からなる群から独立に選択される)が含まれる。
【0041】
本発明の化合物
本発明の化合物は一般式(I)で定義され、
−W−X−AA−AA−AA−AA−Y−Z−R
(I)
それらの立体異性体、それらの混合物、および/またはそれらの化粧料もしくは医薬品として許容される塩であり;
AAは−His−であり;
AAは−His−、−Leu−および−Pro−からなる群から選択され;
AAは−Leu−であり;
AAは−Arg−および−Asn−からなる群から選択され;
W、X、YおよびZはそれらの中から独立に、コード化アミノ酸および非コード化アミノ酸からなる群から選択され;
n、m、pおよびqはそれらの中から独立に選択され、かつ0〜1の値を有し;
n+m+p+qは2以下であり;
は、H、置換または非置換の非環式脂肪族基、置換または非置換のアリシクリル基、置換または非置換のヘテロシクリル基、置換または非置換のヘテロアリールアルキル基、置換または非置換のアリール基、置換または非置換のアラルキル基、およびR−CO−(ここで、Rは、H、置換または非置換の非環式脂肪族基、置換または非置換のアリシクリル基、置換または非置換のアリール基、置換または非置換のアラルキル基、置換または非置換のヘテロシクリル基、および置換または非置換のヘテロアリールアルキル基からなる群から選択される)からなる群から選択され;
は、−NR、−OR3、および−SR(ここで、RおよびRは、H、置換または非置換の非環式脂肪族基、置換または非置換のアリシクリル基、置換または非置換のヘテロシクリル基、置換または非置換のヘテロアリールアルキル基、置換または非置換のアリール基、および置換または非置換のアラルキル基からなる群から独立に選択される)からなる群から選択され;
但し、AAが−Leu−、AAが−Asn−、Yが−Gln−であるとき、Zは−Leu−でなく、
かつAAが−His−、AAが−Arg−、YまたはZが−Tyr−であるとき、p+qは1でない
ことを特徴としている。
【0042】
およびR基は、それぞれペプチド配列のアミノ末端(N−末端)およびカルボキシ末端(C−末端)に結合している。
【0043】
本発明の好ましい実施形態では、Rは、HまたはR−CO−(ここで、Rは、置換または非置換のC〜C24アルキル基、置換または非置換のC〜C24アルケニル基、置換または非置換のC〜C24アルキニル基、置換または非置換のC〜C24シクロアルキル基、置換または非置換のC〜C24のシクロアルケニル基、置換または非置換のC〜C24シクロアルキニル基、置換または非置換のC〜C30アリール基、置換または非置換のC〜C24アラルキル基、置換または非置換の環員数3〜10個のヘテロサイキル(heterocycyl)基、および置換または非置換の、炭素原子2〜24個、炭素以外の原子1〜3個で、アルキル鎖が1〜6個の炭素原子からなるヘテロアリールアルキル基からなる群から選択される)からなる群から選択される。より好ましくは、Rは、H、アセチル基、tert−ブタノイル基、ヘキサノイル基、2−メチルヘキサノイル基、シクロヘキサンカルボキシル基、オクタノイル基、デカノイル基、ラウロイル基、ミリストイル基、パルミトイル基、ステアロイル基、オレオイル基およびリノレオイル基から選択される。より一層好ましくは、Rは、H、アセチル基、ラウロイル基、ミリストイル基またはパルミトイル基である。より一層好ましい実施形態では、Rはアセチル基またはパルミトイル基である。
【0044】
他の好ましい実施形態では、Rは、−NR、−ORまたは−SR(ここで、RおよびRは、H、置換または非置換のC〜C24アルキル基、置換または非置換のC〜C24アルケニル基、置換または非置換のC〜C24アルキニル基、置換または非置換のC〜C24シクロアルキル基、置換または非置換のC〜C24シクロアルケニル基、置換または非置換のC〜C24シクロアルキニル基、置換または非置換のC〜C30アリール基、置換または非置換のC〜C24アラルキル基、置換または非置換の環員数3〜10個のヘテロシクリル基、および置換または非置換の、炭素原子2〜24個、炭素以外の原子1〜3個で、アルキル鎖が1〜6個の炭素原子であるヘテロアリールアルキル基からなる群から独立に選択される)である。任意選択により、RおよびRは、飽和または不飽和の炭素−炭素結合により結合して、窒素原子を含む環を形成していてもよい。より好ましくは、Rは、−NRまたは−ORである。より好ましくはRおよびRは、H、メチル基、エチル基、ヘキシル基、ドデシル基またはヘキサデシル基からなる群から選択される。より一層好ましくは、RはHで、RはH、メチル基、エチル基、ヘキシル基、ドデシル基またはヘキサデシル基からなる群から選択される。より一層好ましい実施形態では、Rは−OHおよび−NHから選択される。
【0045】
本発明の他の実施形態では、Rは、H、アセチル基、ラウロイル基、ミリストイル基またはパルミトイル基からなる群から選択され、AAは−L−Leu−であり、AAは−L−Arg−であり、かつRは−NRまたは−OR(ここで、RおよびRは、H、メチル基、エチル基、ヘキシル基、ドデシル基およびヘキサデシル基から独立に選択される)であり、好ましくは、Rは−OHおよび−NHである。より好ましくは、Rはアセチル基またはパルミトイル基であり、かつRは−OHである。より一層好ましくは、n、m、pおよびqは0である。
【0046】
本発明の他の実施形態では、Rは、H、アセチル基、ラウロイル基、ミリストイル基またはパルミトイル基からなる群から選択され、AAは−L−Pro−であり、AAは−L−Arg−であり、かつRは−NRまたは−OR(式中、RおよびRは、H、メチル基、エチル基、ヘキシル基、ドデシル基およびヘキサデシル基から独立に選択される)であり、好ましくは、Rは−OHまたは−NHである。より好ましくは、Rはアセチル基またはパルミトイル基であり、かつRは−OHである。より一層好ましくは、n、m、pおよびqは0である。
【0047】
好ましくは、式(I)で表される化合物は、
Palm−His−Leu−Leu−Arg−NH
Palm−His−Leu−Leu−Arg−OH、
Ac−His−Leu−Leu−Arg−NH
Ac−His−Leu−Leu−Arg−OH、
Ac−His−Leu−Leu−Arg−NH−(CH15−CH
Palm−His−Leu−Leu−Asn−NH
Palm−His−Leu−Leu−Asn−OH、
Ac−His−Leu−Leu−Asn−NH
Ac−His−Leu−Leu−Asn−OH、
Ac−His−Leu−Leu−Asn−NH−(CH15−CH
Palm−His−Pro−Leu−Arg−NH
Palm−His−Pro−Leu−Arg−OH、
Ac−His−Pro−Leu−Arg−NH
Ac−His−Pro−Leu−Arg−OH、
Ac−His−Pro−Leu−Arg−NH−(CH15−CH
Palm−His−Pro−Leu−Asn−NH
Palm−His−Pro−Leu−Asn−OH、
Ac−His−Pro−Leu−Asn−NH
Ac−His−Pro−Leu−Asn−OH、
Ac−His−Pro−Leu−Asn−NH−(CH15−CH
Palm−His−His−Leu−Arg−NH
Palm−His−His−Leu−Arg−OH、
Ac−His−His−Leu−Arg−NH
Ac−His−His−Leu−Arg−OH、
Ac−His−His−Leu−Arg−NH−(CH15−CH
Palm−His−His−Leu−Asn−NH
Palm−His−His−Leu−Asn−OH、
Ac−His−His−Leu−Asn−NH
Ac−His−His−Leu−Asn−OH、
Ac−His−His−Leu−Asn−NH−(CH15−CH
Ac−Gly−Gly−His−Pro−Leu−Asn−OH、
Ac−His−His−Leu−Asn−Ala−Leu−OH、
Ac−Gly−His−His−Leu−Asn−Ala−OH、
それらの立体異性体、それらの混合物、および/またはそれらの化粧料もしくは医薬品として許容される塩からなる群から選択される。
【0048】
本発明のペプチドは、立体異性体、または立体異性体の混合物として存在させることができ、例えば、それらを形成するアミノ酸はL型、D型構造を有することができ、あるいは、互いに独立してラセミ体であってもよい。したがって、不斉炭素の数、および、どのような異性体または異性体混合物が存在するかに応じて、異性体混合物だけでなく、ラセミ混合物もしくはジアステレオマー混合物、または純粋なジアステレオマーもしくはエナンチオマーも得ることができる。本発明のペプチドの好ましい構造は、純粋な異性体、すなわちエナンチオマーまたはジアステレオマーである。
【0049】
例えば、AAが−His−であり得るとされたとき、AAは−L−His−、−D−His−、または両者の混合物、ラセミ体もしくは非ラセミ体から選択されると理解される。同様に、AAが−Leu−であり得ると言われたとき、それは−L−Leu−、−D−Leu−、または両者の混合物、ラセミ体もしくは非ラセミ体とすることができると理解される。本明細書に記載の製造方法を使用すれば、当業者であれば、適切な立体構造を有するアミノ酸を選択することにより、当業者は本発明のペプチドの各立体異性体を得ることができる。
【0050】
本発明の文脈では、用語「非コード化アミノ酸」は、遺伝子コードによってコードされていない天然または非天然の、限定はされないが、例えば、シトルリン、オルニチン、サルコシン、デスモシン、ノルバリン、4−アミノ酪酸、2−アミノ酪酸、2−アミノイソ酪酸、6−アミノヘキサン酸、1−ナフチルアラニン、2−ナフチルアラニン、2−アミノ安息香酸、4−アミノ安息香酸、4−クロロフェニルアラニン、2,3−ジアミノプロピオン酸、2,4−ジアミノ酪酸、サイクロセリン、カルニチン、シスチン、ペニシラミン、ピログルタミン酸、チエニルアラニン、ヒドロキシプロリン、アロイソロイシン、アロトレオニン、イソニペコチン酸、イソセリン、フェニルグリシン、アスタチン、β−アラニン、ノルロイシン、N−メチルアミノ酸、β−アミノ酸、またはγ−アミノ酸、およびこれらの誘導体などのアミノ酸に関する。非天然のアミノ酸のリストは、D.C.RobertsおよびF.Vellaccioの論文「Unusual amino acids in peptide synthesis」、The Peptides、第5巻(1983)第VI章、Gross E.およびMeienhofer J.編、Academic Press、New York、USA、または、PolyPeptide Laboratories、Bachem、Novabiochem、Sigma−Aldrich、Peptides International、Advanced ChemTech、Chem−Impex、Maybridge Chemical、Chirotech Technology、Peninsula Laboratories、またはRSP Amino Acid Analoguesなどの、この分野を専門としている会社の商品カタログに見出すことができる。
【0051】
本発明の文脈では、n、m、p、またはqが0とは異なるとき、W、X、Yおよび/またはZは、本発明のペプチドの活性を困難なものにするのではなく、熱ショックタンパク質合成の促進に寄与するか、またはそうした効果を全く示さないかのいずれかであることが明確に理解される。
【0052】
本発明の文脈においては、本発明により、化粧料もしくは医薬品として許容されるペプチドの塩もまた提供される。用語「化粧料もしくは医薬品として許容される塩」とは、動物、より具体的にはヒトへの使用が認められる塩を意味し、限定はされないが、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、マンガン、銅、亜鉛またはアルミニウムの無機物であれ、限定はされないが、例えば、エチルアミン、ジエチルアミン、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、アルギニン、リシン、ヒスチジンまたはピペラジンなどの有機物であれ、塩基添加塩を生成するために使用される塩、または、限定はされないが、例えば、酢酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、マロン酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、フマル酸塩、安息香酸塩、アスパラギンサン酸塩、グルタミン酸塩、コハク酸塩、オレイン酸塩、トリフルオロ酢酸塩、シュウ酸塩、パモ酸塩またはグルコン酸塩の有機物であれ、限定はされないが、例えば、塩化物、硫酸塩、ホウ酸塩または炭酸塩の無機物であれ、酸添加塩を形成するために使用される塩が含まれる。化粧料および医薬品として許容されるものであれば、塩の性質は重要ではない。化粧料および医薬品として許容される本発明のペプチドの塩は、先行技術[Berge S.M.、Bighley L.D.およびMonkhouse D.C.(1977)「Pharmaceutical Salts」、J.Pharm.Sci.、66:1−19]でよく知られている従来の方法により得ることができる。
【0053】
本発明の1つの態様は、皮膚、粘膜および/または毛髪の治療および/またはケアのための、本発明で記載されているような、一般式(I)で表されるペプチド、その立体異性体、それらの混合物、および/または化粧品もしくは医薬品として許容されるその塩に関する。
【0054】
他のある特定の態様では、本発明は、Hspタンパク質の合成、具体的には、分子量が20kDa〜110kDaのHspファミリーのタンパク質、より具体的には、分子量が40kDa〜100kDaの、より一層具体的には分子量が60kDa〜80kDaのHspタンパク質の、そして特には分子量が70kDaのHsp、すなわちHsp70の合成を促進することにより改善または予防できる、状態、障害および/または疾患の治療および/またはケアのための、本発明で記載しているような、一般式(I)で表されるペプチド、その立体異性体、それらの混合物、および/または化粧料もしくは医薬品として許容されるその塩に関する。
【0055】
好ましい実施形態では、熱ショックタンパク質の合成を促進することにより改善または予防できる状態、障害および/または疾患は、表皮水疱症、および脱毛症、例えば、癌の化学療法により引き起こされる脱毛症からなる群から選択される。
【0056】
他のある特定の態様では、本発明は、UV線、熱ストレス、酸化ストレス、浸透圧ショック、炎症、低酸素、汚染物質への暴露、栄養失調、および水分の補給不足によって誘発される細胞の損傷を低減、遅延および/または予防する、皮膚、粘膜および/または毛髪の治療および/またはケアのための、本発明で記載しているような、一般式(I)で表されるペプチド、その立体異性体、それらの混合物、および/または化粧料もしくは医薬品として許容されるその塩に関する。
【0057】
他の態様では、本発明は、老化および/または光老化の兆候を低減および/または予防する、皮膚、粘膜および/または毛髪の治療および/またはケアのための、本発明で記載しているような、一般式(I)で表されるペプチド、その立体異性体、それらの混合物、および/または化粧料もしくは医薬品として許容されるその塩に関する。
【0058】
他の態様では、本発明は、創傷、好ましくは糖尿病により引き起こされた創傷の治癒および/または再上皮化を促進する、皮膚および/または粘膜の治療および/またはケアのための、本発明で記載しているような、一般式(I)で表されるペプチド、その立体異性体、それらの混合物、および/または化粧料もしくは医薬品として許容されるその塩に関する。
【0059】
他のある特定の態様では、本発明は、脱毛を遅延および/または防止、あるいは毛髪の成長を誘導する、皮膚、および/または毛髪の治療および/またはケアのための、本発明で記載しているような、一般式(I)で表されるペプチド、その立体異性体、それらの混合物、および/または化粧料もしくは医薬品として許容されるその塩に関する。
【0060】
製造方法
本発明のペプチド、それらの立体異性体、またはそれらの化粧料もしくは医薬品として許容される塩の合成は、ペプチド固相合成法[Stewart J.M.およびYoung J.D.(1984)「Solid Phase Peptide Synthesis,2nd edition」、Pierce Chemical Company、Rockford、Illinois;Bodanzsky M.およびBodanzsky A.(1984)「The practice of Peptide Synthesis」、Springer Verlag、New Cork;Lloyd−Williams P.、Albericio F.およびGiralt E.(1997)「Chemical Approaches to the Synthesis of Peptides and Proteins」、CRC、Boca Raton、FL、USA]、溶液合成法、固相合成法と溶液合成法の組み合わせ、または酵素合成法[Kullmann W.(1980)「Proteases as catalysts for enzymic syntheses of opioid peptides」、J.Biol.Chem.、255:8234−8238]などの、先行技術で知られている従来の方法によって行うことができる。ペプチドはまた、所望の配列を生成するために遺伝子操作を行った、または行っていない細菌株の醗酵により、動物または植物由来、好ましくは植物由来のタンパク質の制御された加水分解を行って、少なくとも所望の配列を含むペプチドフラグメントを放出させることにより得ることもできる。
【0061】
例えば、本発明の式(I)で表されるペプチドを得る方法は、
− N−末端が保護され、C−末端がフリーなアミノ酸を、N−末端がフリーで、C−末端が保護されるか、または固体支持体に結合されたアミノ酸にカップリングさせる工程;
− N−末端の保護基を除去する工程;
− 所望のペプチド配列が得られるまで、一連のカップリングとN−末端の保護基の除去を繰り返す工程;
− C−末端の保護基を除去するか、または固体支持体から切断する工程
を含む。
【0062】
好ましくは、C−末端を固体支持体に結合し、プロセスは、固相で行い、したがって、N−末端が保護されC−末端がフリーなアミノ酸の、N−末端がフリーでC−末端がポリマー支持体に結合したアミノ酸へのカップリング;N−末端の保護基の除去;および、この手順の、所望の長さのペプチドを得るのに必要な回数の繰り返しを含み、そして最後に元のポリマー支持体から合成したペプチドの切り出しを行う。
【0063】
アミノ酸の側鎖の官能基は、合成の間、一時的または恒久的保護基で適切に保護し、そして、ポリマー支持体からペプチドを切断するプロセスと同時に、または直交的に保護を解除することができる。
【0064】
あるいは、固相合成は、ポリマー支持体、またはポリマー支持体に予め結合させたペプチドまたはアミノ酸に、ペプチドをカップリングさせる収束法により行うことができる。収束合成法は当業者には広く知られており、Lloyd−Williams P.、Albericio F.およびGiralt E.、「Convergent solid−phase peptide synthesis」(1993)、Tetrahedron、49:11065−11133に記載されている。
【0065】
この方法は、先行技術で知られている標準のプロセスおよび条件を使用して、N−末端および/またはC−末端の脱保護、および/またはポリマー支持体からのペプチドの切断を異なる順序で行う追加工程を含むことができる。これら末端の官能基は、その後、修飾することができる。このN−末端および/またはC−末端の任意選択の修飾は、ポリマー支持体に結合した式(I)で表されるペプチドについて、またはそのペプチドがポリマー支持体から切断された時点で行うことができる。
【0066】
任意選択で、Rは、適当な塩基および溶媒の存在下、求核置換反応により、本発明のペプチドのN−末端に化合物R−J(ここで、Rは上記のとおりであり、Jは、限定はされないが、例えば、トシル基、メシル基およびハロゲン基などの離脱基である)を反応させることによって導入してもよい。この反応では、N−C結合の形成に関与しない官能基を有するフラグメントは、一時的または恒久的な保護基で保護することが適切である。
【0067】
任意選択により、および/または追加的に、適当な溶媒と、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(DIEA)もしくはトリエチルアミンなどの塩基、または1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)もしくは1−ヒドロキシアザベンゾトリアゾール(HOAt)などの添加剤、およびカルボジイミド、ウロニウム塩、ホスホニウム塩もしくはアミジニウム塩などの脱水剤の存在下に、化合物HR(ここで、Rは−OR、−NRまたは−SRである)と、Rが−OHである式(I)で表されるペプチドに対応する相補的フラグメントと反応させることにより、あるいは、例えば塩化チオニルを用いてハロゲン化アシルを予め生成しておくことによって、R基を導入することができ、これにより一般式(I)で表される発明のペプチドを得ることができる。この場合、N−C結合の形成に関与しない官能基を有するフラグメントは、一時的または恒久的な保護基で保護することが適切であり、あるいは、ポリマー支持体からのペプチドの切断プロセスと同時に取り込むことによって、他のRラジカルを導入してもよい。
【0068】
当業者であれば、C−末端およびN−末端の脱保護/切断工程と、その後のそれらの誘導体化は、先行技術[Smith M. B.およびMarch J.(1999)「March’s Advanced Organic Chemistry Reactions, Mechanisms and Structure」、第5版、John Wiley & Sons、2001]で知られているプロセスにしたがい、異なる順序で行い得ることは容易に理解するであろう。
【0069】
用語「保護基」は、有機官能基をブロックし、かつ制御された条件で除去することができる基に関する。保護基、それらの相対的反応性、およびそれらが不活性でいる条件は、当業者に知られている。
【0070】
アミノ基に対する代表的な保護基の例としては、酢酸アミド、安息香酸アミド、ピバル酸アミドなどのアミド;ベンジルオキシカルボニル(CbzまたはZ)、2−クロロベンジル(ClZ)、パラ−ニトロベンジルオキシカルボニル(pNZ)、tert−ブチルオキシカルボニル(Boc)、2,2,2−トリクロロエチルオキシカルボニル(Troc)、2−(トリメチルシリル)エチルオキシカルボニル(Teoc)、9−フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)またはアリルオキシカルボニル(Alloc)、トリチル(Trt)、メトキシトリチル(Mtt)、2,4−ジニトロフェニル(Dnp)、N−[1−(4,4−ジメチル−2,6−ジオキソシクロヘクス−1−イリデン)エチル(Dde)、1−(4,4−ジメチル−2,6−ジオキソ−シクロヘキシリデン)−3−メチルブチル(ivDde)、1−(1−アダマンチル)−1−メチルエトキシカルボニル(Adpoc)などのカルバメートがあり、好ましくはBocまたはFmocである。
【0071】
カルボキシル基に対する代表的な保護基の例としては、tert−ブチルエステル(tBu)、アリルエステル(All)、トリフェニルメチルエステル(トリチルエステル、Trt)、シクロヘキシルエステル(cHx)、ベンジルエステル(Bzl)、オルト−ニトロベンジルエステル、パラ−ニトロベンジルエステル、パラ−メトキシベンジルエステル、トリメチルシリルエチルエステル、2−フェニルイソプロピルエステル、フルオレニルメチルエステル(Fm)、4−(N−[1−(4,4−ジメチル−2,6−ジオキソシクロヘキシリデン)−3−メチルブチル]アミノ)ベンジルエステル(Dmab)などのエステルがあり、本発明の好ましい保護基は、All、tBu、cHx、BzlおよびTrtエステルである。
【0072】
三価のアミノ酸の側鎖は、合成プロセスの間、N−末端およびC−末端の保護基と直交する一時的または恒久的な保護基により保護することができる。
【0073】
アルギニン側鎖のグアニジン基は、ニトロ基、アリロキシカルボニル(Alloc)、パラ−トルエンスルホニル(tosyl、Tos)、2,2,5,7,8−ペンタメチルクロマン−6−スルホニル(Pmc)、2,2,4,6,7−ペンタメチルジヒドロベンゾフラン−5−スルホニル(Pbf)または4−メトキシ−2,3,6−トリメチルベンゼンスルホニル(Mtr)などで保護することができ、ヒスチジン側鎖のイミダゾリル基は、トシル基(Tos)、tert−ブチロキシカルボニル基(Boc)、トリチル基(Trt)、メトキシトリチル基(Mtt)または2,4−ジニトロフェニル基(Dnp)などで保護することができ、アスパラギン側鎖のアミド基は、トリチル基(Trt)またはキサンチル基(Xan)で保護することができるが、あるいは無保護でも使用される。
【0074】
好ましい実施形態では、保護基に関して使用する戦略は、アミノ基はBocで保護し、カルボキシル基はBzl、cHxまたはAllエステルで保護し、アルギニン側鎖はMtrまたはTosで保護し、アスパラギン側鎖は無保護で使用し、ヒスチジン側鎖はTosまたはDnpで保護する戦略である。
【0075】
他の好ましい実施形態では、保護基に関して使用する戦略は、アミノ基はFmocで保護し、カルボキシル基はtBu、AllまたはTrtエステルで保護し、アルギニン側鎖はPmcまたはPbfで保護し、アスパラギン側鎖はTrtで、ヒスチジン側鎖はTrtまたはMttで保護する戦略である。
【0076】
これらおよび他の追加の保護基、それらの導入および除去の例は、文献[Greene T.W.およびWuts P.G.M.(1999)「Protective groups in organic synthesis」、John Wiley & Sons、New York;Atherton B.およびSheppard R.C.(1989)「Solid Phase Peptide Synthesis: A practical approach」、IRL Oxford University Press]に見出すことができる。用語「保護基」はまた、固相合成法で使用するポリマー支持体も含む。
【0077】
合成の全体または1部が固相上で行われるとき、本発明のプロセスで使用可能な固体支持体は、ポリスチレン支持体、ポリスチレンにグラフトしたポリエチレングリコールなど、例えば、限定はされないが、p−メチルベンズヒドリルアミン(MBHA)樹脂[Matsueda G.R.およびStewart J.M.(1981)「A p−methylbenzhydrylamine resin for improved solid−phase synthesis of peptide amides」、Peptides、2:45−50]、2−クロロトリチル樹脂[Barlos K.、Gatos D.、Kallitsis J.、Papaphotiu G.、Sotiriu P.、Wenqing Y.およびSchaefer W.(1989)「Darstellung geschuetzter Peptid−Fragmente unter Einsatz substituierter Triphenylmethyl−Harze」、Tetrahedron Lett.、30:3943−3946;Barlos K.、Gatos D.、Kapolos S.、Papaphotiu G.、Schaefer W.およびWenqing Y.(1989)「Veresterung von partiell geschuetzten Peptid−Fragmenten mit Harzen. Einsatz von 2−Chlorotritylchlorid zur Synthese von Leu1 −Gastrin I」、Tetrahedron Lett.、30:3947−3951]、TentaGel(登録商標)樹脂(Rapp Polymere GmbH)、ChemMatrix(登録商標)樹脂(Matrix Innovation,Inc)などを含むことができる。これらは、脱保護とポリマー支持体からのペプチドの切断を同時に行えるようにする、5−(4−アミノメチル−3,5−ジメトキシフェノキシ)吉草酸(PAL)[Albericio F.、Kneib−Cordonier N.、Biancalana S.、Gera L.、Masada R.I.、Hudson D.およびBarany G.(1990)「Preparation and application of the 5−(4−(9−fluorenylmethyloxycarbonyl)aminomethyl−3,5−dimethoxy phenoxy)valeric acid(PAL) handle for the solid−phase synthesis of C−terminal peptide amides under mild conditions」、J.Org.Chem.、55:3730−3743]、2−(AM)[Rink H.(1987)「Solid−phase synthesis of protected peptide fragments using a trialkoxy−diphenyl−methylester resin」、Tetrahedron Lett.、28:3787−3790]、Wang[Wang S.S.(1973)「p−Alkoxybenzyl Alcohol Resin and p−Alkoxybenzyloxycarbonylhydrazide Resin for Solid Phase Synthesis of Protected Peptide Fragments」、J.Am.Chem.Soc.、95:1328−1333]などの不安定なリンカーを含んでもよく、含まなくてもよい。
【0078】
化粧料または医薬品組成物
これに関して、本発明の他の態様は、少なくとも1種の化粧料もしくは医薬品として許容されるアジュバントを併用する、少なくとも、一般式(I)で表されるペプチド、その立体異性体、それらの混合物および/もしくは化粧料、または医薬品として受容されるその塩を含む化粧料または医薬品組成物である。これらの組成物は当業者に知られている従来の手段により調製することができる[「Harry’s Cosmeticology」、第8版(2000)、Rieger M.M.編、New York Chemical Pub.、NY、US;「Remington:The Science and Practice of Pharmacy」、第20版(2003)、Genaro A.R.編、Lippincott Williams & Wilkins、Philadelphia、US]。
【0079】
本発明のペプチドは、それらの配列の性質、またはN−末端および/もしくはC−末端に加え得る修飾に応じて、水に対する溶解度が異なる。したがって、本発明のペプチドは、水溶液により組成物に包含させることができ、水に不溶なものは、化粧料もしくは医薬品として許容される従来の溶媒、限定はされないが、例えば、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、プロピレン、グリコール、グリセリン、ブチレングリコールもしくはポリエチレングリコール、またはこれらの任意の組み合わせに溶解させることができる。
【0080】
投与すべき本発明のペプチドの化粧料もしくは医薬品としての有効量、およびその用量は、年齢、患者の症状、治療、ケアおよび/または予防すべき状態、障害および/または疾患の性質または重篤度、投与の経路および頻度、ならびに使用するペプチドの特定の性質などの多くの因子に依存する。
【0081】
「化粧料および医薬品としての有効量」とは、無毒であるが、所望の効果を得ることができるだけの本発明のペプチドまたはペプチド類の量を意味するものであると理解される。本発明のペプチドは、本発明の化粧料または医薬品組成物に、化粧料もしくは医薬品として所望の効果が得られる有効な濃度、好ましい形態では、組成物の全重量に対して、0.00000001%(重量で)〜20%(重量で)、好ましくは0.000001%(重量で)〜20%(重量で)、より好ましくは0.0001%(重量で)〜10%(重量で)、より一層好ましくは0.0001%(重量で)〜5%(重量で)で配合される。
【0082】
本発明のペプチドはまた、化粧料もしくは医薬品の送達システムおよび/または徐放システムに組み込むことができる。
【0083】
用語「送達システム」は、本発明のペプチドが共に投与される希釈剤、アジュバント、賦形剤または担体に関する。これらの化粧料もしくは医薬品の担体は、水、オイルまたは界面活性剤などの液体であってよく、限定はされないが、ピーナッツオイル、大豆油、鉱油、ゴマ油、ヒマシ油、ポリソルベート、ソルビタンエステル、エーテル硫酸塩、硫酸塩、ベタイン、グリコシド、マルトシド、脂肪族アルコール、ノノキシノール、ポリキサマ、ポリオキシエチレン、ポリエチレングリコール、デキストロース、グリセロール、ジギトニンなどの、石油、動物、野菜または合成由来のものが挙げられる。E.W.Martinによる「Remington’s Pharmaceutical Sciences」には、希釈剤、アジュバントまたは賦形剤が、適切な担体として記載されている。
【0084】
用語「徐放」は、化合物を一定期間徐々に、必須ではないが、好ましくは、一定期間、比較的一定の化合物放出レベルで放出する、化合物送達システムに関する従来の意味で使用される。
【0085】
送達システムまたは徐放システムの例としては、リポソーム、混合リポソーム、オレオソーム、ニオソーム、エトソーム、ミリ粒子、マイクロ粒子、ナノ粒子および固体脂質ナノ粒子、ナノ構造脂質担体、スポンジ、シクロデキストリン、ベシクル、ミセル、界面活性剤の混合ミセル、界面活性剤−リン脂質混合ミセル、ミリスフィア、マイクロスフィアおよびナノスフィア、リポスフィア、ミリカプセル、マイクロカプセルおよびナノカプセル、ならびにマイクロエマルションおよびナノエマルションがあり、これらは活性の原則であるより深くまでの浸透を達成し、かつ/または、薬物動態学および薬力学的特性を改善するために加えることができる。好ましい送達または徐放システムは、リポソーム、界面活性剤−リン脂質混合ミセルおよびマイクロエマルションであり、より好ましくは逆ミセルの内部構造を有する油中水型マイクロエマルションである。
【0086】
徐放システムは、先行技術で知られた方法により調製することができ、それらを含有する組成物は、例えば、接着性パッチ、非接着性パッチ、閉塞パッチ、マイクロエレクトリックパッチなどの局所もしくは経皮的投与により、または、限定はされないが、例えば、鼻、直腸もしくは皮下への埋め込みもしくは注入、または特定の身体部位への直接的な埋め込みもしくは注入など、経口的または非経口的な全身投与により、投与することができ、そして、好ましくは、比較的一定量の本発明のペプチドを放出すべきである。徐放システムに含有されるペプチドの量は、例えば、組成物を投与する部位、本発明のペプチドの放出動態および放出持続時間、治療および/またはケアする状態、障害および/または疾患の性質などに依存するであろう。
【0087】
本発明のペプチドはまた、限定はされないが、例えば、タルク、ベントナイト、シリカ、デンプンまたはマルトデキストリンなどの、固体有機ポリマーまたは固体無機物支持体に吸着させることができる。
【0088】
本発明のペプチドを含有する組成物はまた、皮膚に直接接触する布、不織布および医療器具に包含させ、体内の水分、皮膚のpHもしくは体温による布、不織布および医療器具との結合システムの分解、または、それらと身体との摩擦により、本発明のペプチドを放出させることができる。さらに、布および不織布は、身体に直接触れる衣服を作るために使用することができる。本発明のペプチドを含有する布、不織布および医療器具は、好ましくは、Hsp合成を促進することによって改善または予防できる状態、障害および/または疾患の治療および/またはケアに使用される。
【0089】
布、不織布、衣服、医療器具、および、上述した送達システムおよび/または徐放システムが含まれる、ペプチドのそれらへの固定化手段は、文献の中に見出すことができ、先行技術で知られている[Schaab C.K.(1986)「Impregnating Fabrics With Microcapsules」、HAPPI、May、1986;Nelson G.(2002)「Application of microencapsulation in textiles」、Int.J.Pharm.、242:55 62;「Biofunctional Textiles and the Skin」(2006)、Curr.Probl.Dermatol.、第33巻、Hipler U.C.およびElsner P.編、S.Karger AG、Basel、Switzerland;Malcom R.K.、McCullagh S.D.、Woolfson A.D.、Gorman S.P.、Jones D.S.およびCuddy J.(2004)「Controlled release of a model antibacterial drug from a novel self lubricating silicone biomaterial」、J.Cont.Release、97:313−320]。好ましい布、不織布、衣服および医療器具は、包帯、ガーゼ、Tシャツ、靴下、タイツ、下着、ガードル、手袋、おしめ、生理用ナプキン、手当用品、ベッドカバー、拭き取り布、接着性パッチ、非接着性パッチ、閉塞パッチ、マイクロエレクトリックパッチおよび/またはフェイスマスクである。
【0090】
本発明のペプチド、それらの立体異性体、それらの混合物、および/または化粧料もしくは医薬品として許容されるそれらの塩を含む化粧料または医薬品組成物は、種々のタイプの局所または経皮的投与組成物において使用することができ、任意選択で、所望の適用形態に形成するのに必要な、化粧料もしくは医薬品として許容される賦形剤を含む[Fauli i Trillo C.(1993)「Tratado de Farmacia Galenica」、Luzan 5、S.A.、Ediciones、Madrid]。
【0091】
局所または経皮的投与組成物は、限定はされないが、クリーム、限定はされないが、水中油型および/または水中シリコーン型エマルション、油中水型および/またはシリコーン中水型エマルション、水/油/水型または水/シリコーン/水型エマルション、油/水/油型またはシリコーン/水/シリコーン型エマルションなどの多相エマルション、無水組成物、水性分散体、オイル、ミルク、バルサム、フォーム、ローション、ゲル、クリームゲル、含水アルコール溶液、含水グリコール溶液、ヒドロゲル、リニメント剤、美容液、ソープ、シャンプー、コンディショナー、セラム(serum)、ポリサッカライドフィルム、軟膏、ムース、ポマード、パウダー、バー、ペンシル、およびスプレーまたはエアロゾル(スプレー)などの固体、液体または半固体の形態(塗布したままの形態や洗い流せる形態を含む)に製造することができる。これらの局所または経皮的投与剤形は、当業者に知られている手法を使用して、限定はされないが、包帯、ガーゼ、Tシャツ、靴下、タイツ、下着、ガードル、手袋、おしめ、生理用ナプキン、手当用品、ベッドカバー、拭き取り布、接着性パッチ、非接着性パッチ、閉塞パッチ、マイクロエレクトリックパッチまたはフェイスマスクなどの種々のタイプの固体アクセサリーに組み込むことができ、あるいはそれらは、リキッドファンデーションおよびコンパクトファンデーションなどのメーキャップファンデーション、メーキャップ除去ローション、メーキャップ除去ミルク、目の下用コンシーラー、アイシャドー、リップスティック、リッププロテクター、リップグロスおよびパウダーなどの種々のメーキャップ製品に組み込むことができる。
【0092】
本発明の化粧料および医薬品組成物は、本発明のペプチドの経皮吸収を増加させる薬剤、限定はされないが、例えば、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、界面活性剤、アゾン(1−ドデシルアザシクロヘプタン−2−オン)、アルコール、尿素、エトキシジグリコール、アセトン、プロピレングリコールまたはポリエチレングリコールなどの、本発明のペプチドの経皮吸収を増加させる薬剤を含有してもよい。さらに、本発明の化粧料または医薬品組成物は、本発明のペプチドがより深く浸透するように、イオン泳動、ソノフォレーシス、エレクトロポレーション、マイクロエレクトリックパッチ、機械的圧力、浸透圧勾配、密封治療、マイクロインジェクション、または酸素圧力による注入などの圧力による無針注入、あるいはこれらの任意の組み合わせにより、治療する局所領域に適用することができる。適用領域は、治療および/またはケアする状態、障害および/または疾患の性質により決められるであろう。
【0093】
さらに、本発明のペプチド、それらの立体異性体、それらの化粧料もしくは医薬品として許容される塩を含有する化粧料組成物は、種々の経口投与用剤形で、好ましくは、限定はされないが、例えば、ゼラチンカプセル、軟カプセル、硬カプセルなどのカプセル、糖衣錠などの錠剤、粉末、顆粒、チューイングガム、溶液、懸濁液、エマルション、シロップ、ポリサッカライドフィルム、ゼリーまたはゼラチン、当業者に知られている他の任意の形態などの、経口化粧料および医薬品の形態で使用することができる。特に、本発明のペプチドは、限定はされないが、例えば、ダイエットバー、またはコンパクトもしくは非コンパクトパウダーなどの、任意の形態の機能食品または強化食品に組み込むことができる。これらのパウダーは、水、ジュース、ソーダ、乳製品、大豆誘導物に溶解させたり、あるいはダイエットバーに含有させたりすることができる。経口組成物または食品補助栄養剤用には、本発明のペプチドは、限定はされないが、食品産業で通常使用されている脂肪成分、水性成分、湿潤剤、保存料、質感付与剤、フレーバー、香料、酸化防止剤および着色料などの、一般的な賦形剤およびアジュバントと共に処方することができる。
【0094】
本発明のペプチド、それらの立体異性体、それらの混合物、および/または化粧料もしくは医薬品として許容されるそれらの塩を含有する化粧料または医薬品組成物はまた、局所的または経皮的経路のほかにも、例えば経口または非経口的経路のような他の適当な経路でも投与することができ、その場合、所望の投与形態の製剤に必要な医薬品として許容される賦形剤を含むであろう。本発明の文脈では、用語「非経口的」は、鼻、耳、目、直腸、尿道、膣、皮下、皮内、静脈内などの血管内注射、筋肉内、眼内、硝子体内、角膜内、髄腔内、脊髄内、頭蓋内、子宮内、脳内、髄膜内、関節内、肝臓内、胸腔内、気管内、髄腔内および腹腔内、ならびに他の類似の注射または注入手法を含む。活性成分投与の種々の製剤形態、およびそれらを得るために必要な賦形剤についてのレビューは、例えば、「Tratado de Farmacia Galenica」、C. Fauli i Trillo、1993、Luzan 5、S.A.Ediciones、Madrid」に見出すことができる。
【0095】
本発明に記載の化粧料または医薬品組成物が含有する、化粧料もしくは医薬品として許容されるアジュバントには、組成物の他の成分、特に本発明の組成物に含まれる一般式(I)で表されるペプチドと物理的および化学的相溶性を有するものであれば、皮膚、粘膜および/または毛髪の治療および/またはケアのための組成物に一般に使用されている成分、限定はされないが、例えば、熱ショックタンパク質、他の熱ショックタンパク質合成促進剤、アセチルコリン受容体凝集阻害剤、筋収縮抑制剤、抗コリン薬、エラスターゼ阻害剤、マトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤、メラニン合成促進または阻害剤、美白または脱色剤、プロピグメント剤、セルフタンニング剤、老化防止剤、NO合成酵素阻害剤、5α−還元酵素阻害剤、リシル−および/またはプロリルヒドロキシラーゼ阻害剤、抗酸化剤、フリーラジカル捕捉剤および/または抗大気汚染薬、活性カルボニル種捕捉剤、抗糖化剤、抗ヒスタミン剤、抗ウイルス剤、駆虫剤、乳化剤、軟化薬、有機溶剤、液体推進剤、保湿剤などのスキンコンディショナー、湿分を保持する物質、アルファヒドロキシ酸、ベータヒドロキシ酸、モイスチャライザー、表皮加水分解酵素、ビタミン、アミノ酸、タンパク質、顔料または着色剤、染料、ゲル化ポリマー、増粘剤、界面活性剤、軟化剤、抗シワ剤、目の下のたるみを低減または治療することができる薬剤、剥離剤、抗微生物薬、抗真菌剤、静真菌剤、殺菌剤、静菌剤、例えばコラーゲン合成促進剤、エラスチン合成促進剤、デコリン合成促進剤、ラミニン合成促進剤、デフェンシン合成促進剤、アクアポリン合成促進剤、ヒアルロン酸合成促進剤、フィブロネクチン合成促進剤、サーチュイン合成促進剤、脂質および角質層成分(セラミド、脂肪酸など)合成促進剤、コラーゲンの分解を抑制する薬剤、エラスチンの分解を抑制する他の薬剤、カテプシンGなどのセリンプロテアーゼを抑制する薬剤、フィブロブラストの増殖を促進する薬剤、角化細胞の増殖を促進する薬剤、脂肪細胞の増殖を促進する薬剤、メラニン形成細胞の増殖を促進する薬剤、角化細胞の分化を促進する薬剤、脂肪細胞の分化を促進する薬剤などの真皮または表皮高分子の合成を促進し、かつ/またはそれらの分解を抑制または防止することができる薬剤、アセチルコリンエステラーゼを阻害する薬剤、皮膚弛緩薬、グリコサミノグリカン合成促進剤、抗角質増殖剤、抗ニキビ薬、抗乾癬薬、DNA修復薬、DNA保護薬、安定剤、抗かゆみ薬、敏感肌の治療および/またはケア用薬剤、保形剤、抗ストレッチマーク剤、結合剤、皮脂産生調節薬、脂肪分解薬または脂肪分解促進剤、抗セルライト薬、制汗剤、治癒促進剤、コアジュバント治癒薬、再上皮化促進剤、コアジュバント再上皮化薬、サイトカイン成長因子、鎮静剤、抗炎症および/または鎮痛剤、麻酔薬、毛細管循環および/または微小循環に作用する薬剤、血管形成促進剤、血管透過を抑制する薬剤、ベノトニック剤(venotonic agent)、細胞代謝に作用する薬剤、真皮−表皮結合を改善する薬剤、毛髪成長を誘導する薬剤、毛髪成長阻害または抑制剤、脱毛抑制剤、保存料、香料、キレート剤、植物抽出物、エッセンシャルオイル、海洋生物抽出物、バイオ醗酵プロセスから得られる薬剤、無機塩、細胞抽出物、および日焼け止め(紫外線Aおよび/またはBに対して活性な有機または無機光保護剤)がさらに含まれる。これらの追加成分は、また、本発明のペプチドの恩恵を容認されないほどに変えるものであってはならない。これらの追加成分は、合成物であっても、野菜抽出物などの天然物であってもよく、また、バイオテクノロジープロセス、または合成プロセスとバイオテクノロジープロセスを組み合わせにより得ることができる。追加の例は、CTFA International Cosmetic Ingredient Dictionary & Handbook、第12版(2008)に見出すことができる。本発明の文脈では、バイオテクノロジープロセスは、有機体内、または有機体内の一部で、活性成分またはその一部を製造する方法であると理解される。
【0096】
本発明のさらなる態様は、一般式(I)で表されるペプチド、その立体異性体、それらの混合物、および/または化粧料もしくは医薬品として許容されるその塩の少なくとも1種を、化粧料もしくは医薬品として有効な量で含み、かつ、また、Hsp合成を促進する、限定はされないが、オプンティア・フィクス・インディカ(Opuntia ficus indica)、サリックス・アルバ(Salix alba)、ルピヌスspp.(Lupinus spp.)、セカレ・セレアレ(Secale cereale)の抽出物、ポルフィラ(Porphyra)属紅藻類の抽出物、アルテミア(Artemia)属甲殻類の抽出物、ホホバ種子油、ブドウ種子抽出物、緑茶抽出物、ゲラニルゲラニルアセトン、セラストロール、亜鉛およびその塩、2−シクロペンテン−1−オン、限定はされないがボルテゾミブなどのプロテアソーム阻害剤;プロスタグランジンおよびその誘導体、ヒドロキシルアミンおよび、限定はされないがビモクロモールなどのその誘導体;カルコンおよびその誘導体、限定はされないが、ソルビトールおよびその誘導体、マンニトールおよびその誘導体、またはグルセロールおよびその誘導体などの高浸透圧剤、イソソルビド、尿素またはサリチル酸およびその誘導体、あるいはこれらの混合物などの抽出物、合成化合物またはバイオ醗酵生成物の少なくとも1種を、化粧料もしくは医薬品として有効な量で含む化粧料または医薬品組成物に関する。
【0097】
本発明のさらなる態様は、一般式(I)で表されるペプチド、その立体異性体、それらの混合物、および/または化粧料もしくは医薬品として許容されるその塩の少なくとも1種を、化粧料もしくは医薬品として有効な量で含み、かつ、また、抗シワ剤および/または老化防止剤である、限定はされないが、ヴィティス・ヴィニフェラ(Vitis vinifera)、ロサ・カニーナ(Rosa canina)、クルクマ・ロンガ(Curcuma longa)、イリス・パリダ(Iris pallida)、テオブロマ・カカオ(Theobroma cacao)、ギンクゴ・ビロバ(Ginkgo biloba)、レオントポディウム・アルピヌム(Leontopodium Alpinum)、またはドゥナリエラ・サリナ(Dunaliella salina)の抽出物などの抽出物の少なくとも1種、あるいは、さらに、抗シワ剤および/または老化防止剤である、限定はされないが、Sedermaから市販されている、Matrixyl(登録商標)[INCI:パルミトイルペンタペプチド−4]、Matrixyl 3000(登録商標)[INCI:パルミトイルペンタペプチド−7、パルミトイルオリゴペプチド]、Essenskin(商標)[INCI:カルシウムヒドロキシメチオニン]、Renovage[INCI:テプレノン]、またはDermaxyl(登録商標)[INCI:パルミトイルオリゴペプチド]、Pentapharm/DSMから市販されているVialox(登録商標)[INCI:ペンタペプチド−3]、Syn(登録商標)Ake(登録商標)[INCI:ジペプチドジアミノブチロイルベンジルアミドジアセテート]、Syn(登録商標)−Coll[INCI:パルミトイルトリペプチド−5]、Phytaluronate[INCI:イナゴマメ(Locust Bean)(ケラトニア・シリクア(Ceratonia Siliqua))ガム]、またはPreregen(登録商標)[INCI:ツルマメ(Glycine Soja)(大豆)タンパク質、オキシドリダクターゼ]、Laboratoires Serobiologiques/Cognisから市販されている、Myoxinol(商標)[INCI:加水分解ヒビスクス・エスクレントゥス(Hibiscus Esculentus)抽出物]、Syniorage(商標)[INCI:アセチルテトラペプチド−11]、Dermican(商標)[INCI:アセチルテトラペプチド−9]、またはDN−AGE(商標)LS[INCI:カッシア・アラタ(Cassia Alata)葉抽出物]、Exsymolから市販されている、Algisum C(登録商標)[INCI:マンヌロン酸メチルシラノール]、またはHydroxyprolisilane CN(登録商標)[INCI:アスパラギン酸メチルシラノールヒドロキシプロリン]、Lipotecから市販されている、Argireline(登録商標)[INCI:アセチルヘキサペプチド−8]、SNAP−7[INCI:アセチルヘプタペプチド−4]、SNAP−8[INCI:アセチルオクタペプチド−3]、Leuphasyl(登録商標)[INCI:ペンタペプチド−18]、Inyline(商標)[INCI提案:アセチルヘキサペプチド−25]、Aldenine(登録商標)[INCI:加水分解小麦タンパク質、加水分解大豆タンパク質、トリペプチド−1]、Preventhelia(商標)[INCI:ジアミノプロピオノイル(Diaminopropionoyl)トリペプチド−33]、Decorinyl(登録商標)[INCI:トリペプチド−10シトルリン]、Trylagen(登録商標)[INCI:シュードアルテロモナス・フェルメント(Pseudoalteromonas Ferment)抽出物、加水分解小麦タンパク質、加水分解大豆タンパク質、トリペプチド−10シトルリン、トリペプチド−1]、Eyeseryl(登録商標)[INCI:アセチルテトラペプチド−5]、Peptide AC29[INCI:アセチルトリペプチド−30シトルリン]、Relistase(商標)[INCI提案:アセチルテトラペプチド−30]、Lipochroman−6[INCI:ジメチルメトキシクロマノール]、Chromabright(商標)[INCI:ジメチルメトキシクロマニルパルミテート]、Antarcticine(登録商標)[INCI:シュードアルテロモナス・フェルメント(Pseudoalteromonas Ferment)抽出物]、またはVilastene(商標)[INCI:リシン HCl、レシチン、トリペプチド−10シトルリン]、Institut Europeen de Biologie Cellulaireから市販されている、Kollaren(登録商標)[INCI:トリペプチド−1、デキストラン]、Vincience/ISPから市販されている、Collaxyl(登録商標)IS[INCI:ヘキサペプチド−9]、Laminixyl IS(商標)[INCI:ヘプタペプチド]、Orsirtine(商標)GL [INCI:オリザ・サティバ(Oryza Sativa)(米)抽出物]]、D’Orientine(商標)IS [INCI:フォエニクス・ダクチリフェラ(Phoenix Dactylifera)(ナツメヤシの実)種子抽出物]、Phytoquintescine(商標)[INCI:ヒトツブコムギ(トリチクム・モノコックム(Triticum Monococcum))抽出物]、またはQuintescine(商標)IS[INCI:ジペプチド−4]、Infinitec Activosから市販されている、BONT−L−Peptide[INCI:パルミトイルヘキサペプチド−19]、Seppicから市販されている、Deepaline(商標)PVB [INCI:パルミトイル加水分解小麦タンパク質]、またはSepilift(登録商標)DPHP[INCI:ジパルミトイルヒドロキシプロリン]、Gattefosseから市販されている、Gatuline(登録商標)Expression[INCI:アクメラ・オレラケア(Acmella oleracea)抽出物]、Gatuline(登録商標)In−Tense[INCI:スピランテス・アクメラ(Spilanthes Acmella)花抽出物]、またはGatuline(登録商標)Age Defense 2[INCI:ユグランス・レギア(Juglans Regia)(クルミ)種子抽出物]、Biotechmarineから市販されている、Thalassine(商標)[INCI:藻類抽出物]、Atrium Innovations/Unipex Groupから市販されている、ChroNOline(商標)[INCI:カプルーイル(Caprooyl)テトラペプチド−3]、またはThymulen−4[INCI:アセチルテトラペプチド−2]、Coletica/Engelhard/BASFから市販されている、EquiStat[INCI:ピルス・マルス(Pyrus Malus)果実抽出物、ツルマメ(Glycine Soja)種子抽出物]、またはJuvenesce[INCI:エトキシジグリコールおよびカプリル酸トリグリセリド、レチノール、ウルソール酸、フィトナジオン、イロマスタット]、Mibelle Biochemistryから市販されている、Ameliox[INCI:カルノシン、トコフェロール、シリブム・マリアヌム(Silybum Marianum)果実抽出物]、またはPhytoCellTec Malus Domestica[INCI:マルス・ドメスティカ(Malus Domestica)果実細胞培養物]、Silabから市販されている、Bioxilift[INCI:ピンピネラ・アニスム(Pimpinella Anisum)抽出物]、またはSMS Anti−Wrinkle(登録商標)[INCI:アノナ スクアモサ(Annona Squamosa)種子抽出物]、限定はされないが、アルベリン、マンガンまたはマグネシウムの塩、ある種の二級または三級アミン、レチノールおよびその誘導体、イデベノンおよびその誘導体、コエンザイムQ10およびその誘導体、ボスウェル酸およびその誘導体、GHK並びにその誘導体および/または塩、カルノシンおよびその誘導体などのCa2+チャンネルのアンタゴニスト、限定はされないが、ホトリアーゼ、T4エンドヌクレアーゼVなどのDNA修復酵素、あるいは塩素チャンネルアゴニストなどの、合成化合物またはバイオ醗酵生成物の少なくとも1種を、化粧料もしくは医薬品として有効な量で含有する化粧料または医薬品組成物に関する。
【0098】
さらに加えて、本発明は、一般式(I)で表されるペプチド、その立体異性体、それらの混合物、および/または化粧料もしくは医薬品として許容されるその塩の、少なくとも1種を、化粧料もしくは医薬品として有効な量で、かつ、さらに、限定はされないが、センテラ・アシアチカ(Centella asiatica)、ロサ・モスチャタ(Rosa moschata)、エキナケア・アングスティフォリア(Echinacea angustifolia)、シンフィツム・オフィキナル(Symphytum officinal)、エクイセツム・アルウェンセ(Equisetum arvense)、ヒペリクム・ペルフォラツム(Hypericum perforatum)、ミモサ・テヌイフローラ(Mimosa tenuiflora、)、アロエ・ウェラ(Aloe vera)の抽出物、Provitalから市販されている、Polyplant(登録商標)Epithelizing[INCI:カレンデュラ オフィキナリス(Calendula officinalis)、ヒペリクム・ペルフォラツム(Hypericum perforatum)、カモミラ・レクチータ(Chamomilla recutita)、ロスマリヌス・オフィキナリス(Rosmarinus officinalis)]、Laboratories Serobiologiques/Cognisから市販されている、Cytokinol(登録商標)LS 9028[INCI:加水分解カゼイン、加水分解酵母タンパク質、リシン HCl]、またはColetica/Engelhard/BASFから市販されている、Deliner(登録商標)[INCI:ゼア・マイス(Zea mays)(トウモロコシ)穀粒抽出物]などの、治癒および/もしくは再上皮化を促進する抽出物もしくは抽出物の組み合わせ、または治癒および/もしくは再上皮化のコアジュバントの少なくとも1種を、化粧料もしくは医薬品として有効な量で、並びに/または、限定はされないが、カドヘリン、インテグリン、セレクチン、ヒアルロン酸受容体、免疫グロブリン、線維芽細胞成長因子、結合組織成長因子、血小板由来成長因子、血管内皮成長因子、表皮成長因子、インスリン様成長因子、ケラチノサイト成長因子、コロニー刺激因子、トランスフォーミング成長因子β、腫瘍壊死因子α、インターフェロン、インターロイキン、マトリックスメタロプロテイナーゼ、タンパク質チロシンホスファターゼ受容体、Lipotecから市販されている、Antarcticine(登録商標)[INCI:シュードアルテロモナス・フェルメント(Pseudoalteromonas Ferment)抽出物、またはDecorinyl(登録商標)[INCI:トリペプチド−10シトルリン]などの、治癒および/または再上皮化を刺激する合成化合物、抽出物またはバイオ醗酵生成物の少なくとも1種またはこれらの混合物などの、治癒および/もしくは再上皮化を促進する合成化合物、抽出物、またはバイオ醗酵生成物の少なくとも1種を、化粧料もしくは医薬品として有効な量で、あるいはこれらの混合物を含む、化粧料もしくは医薬品組成物に関する。
【0099】
本発明のさらなる態様は、一般式(I)で表されるペプチド、その立体異性体、それらの混合物、および/または化粧料もしくは医薬品として許容されるその塩の少なくとも1種を、化粧料もしくは医薬品として有効な量で、かつ、さらに、限定はされないが、ツシラゴ・ファルファラ(Tussilago farfara)またはアキレア・ミレフォリウム(Achillea millefolium)の抽出物などの、脱毛を遅延するか、または毛髪の成長を誘導する抽出物または抽出物の組み合わせの少なくとも1種を、化粧料もしくは医薬品として有効な量で、並びに/または、限定はされないが、ニコチン酸メチルもしくはニコチン酸ヘキシルなどのC〜Cアルキルニコチン酸エステル、ニコチン酸ベンジル、またはニコチン酸トコフェロールなどのニコチン酸エステル;限定はされないが、ヒドロコルチゾン、その塩および誘導体、またはニフルム酸などの、ステロイドもしくは非ステロイド系抗炎症剤;限定はされないが、オールトランスレチノイン酸、すなわちトレチノイン、イソトレチノイン、レチノール、またはビタミンA、およびアセテート、パルミテート、プロピオネート、モトレチニド、エトレチネート、およびトランスレチノイン酸亜鉛などのその誘導体などのレチノイド;限定はされないが、マクロライド、ピラノシドおよびテトラサイクリン、エリトロマイシンなどの抗微生物薬;限定はされないが、シナリジン、およびジルチアゼムなどのカルシウムチャンネル拮抗薬;限定はされないが、エストリオール、その類似体、またはチロシン、その類似体および/もしくはその塩などのホルモン;限定はされないが、オキセンドロン、スピロノラクトンまたはジエチルスチルベストロールなどの抗アンドロゲン剤;限定はされないが、ジメチルスルホキシドなどの抗ラジカル剤;限定はされないが、文献、欧州特許第0211610号明細書および欧州特許第0064012号明細書に記載されているものなどのエステル化オリゴ糖;限定はされないが、グルコース糖酸、または文献、欧州特許第0375388号明細書に記載されているものなどの六糖酸誘導体;限定はされないが、D−グルカロ−1,5−ラクタム、または文献、欧州特許第0334586号明細書に記載されているものなどのグルコシダーゼ阻害剤;限定はされないが、L−ガラクトノ−1,4−ラクトン、または文献、欧州特許第0277428号明細書に記載されているものなどのグリコサミノグリカンおよびプロテオグリカン阻害剤;限定はされないが、1−アミド−1−シアノ(3,4−ジヒドロキシフェニル)エチレン、または文献、欧州特許第0403238号明細書に記載されているものなどのチロシンキナーゼ阻害剤、限定はされないが、7−(アセチルチオ)−4’、5’−ジヒドロスピロ[アンドロスト−4−エン−17,2’−(3H)フラン]−3−オン、3−メチル−7−クロロ[2H]−1,2,4−ベンゾチアジアジン、またはスピロキサゾン1,1−ジオキシドなどのジアゾキシド、限定はされないが、レシチンなどのリン脂質;サリチル酸およびその誘導体、ヒドロキシルカルボン酸、またはケトカルボン酸、およびそれらのエステル、ラクトンおよびそれらの塩;アントラリン、エイコサ−5,8,11−トリエン酸およびそれらのエステルもしくはアミド、またはミノキシジルおよびそれらの誘導体などの、脱毛を遅延するか、または毛髪の成長を誘導する化合物の少なくとも1種を、化粧料もしくは医薬品として有効な量で、あるいはこれらの混合物を含む、化粧料もしくは医薬品組成物に関する。
【0100】
本発明のさらなる態様は、一般式(I)で表されるペプチド、その立体異性体、それらの混合物、および/または化粧料もしくは医薬品として許容されるその塩の少なくとも1種を、化粧料もしくは医薬品として有効な量で、かつ、さらに、限定はされないが、アントラニレート、シンナメート、サリチレート、ジベンゾイルメタン誘導体、樟脳誘導体、トリアジン誘導体、ベンゾフェノン誘導体、β,β’−ジフェニルアクリレート誘導体、ベンゾトリアゾール誘導体、ベンジルマロネート誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、イミダゾリン、ベンゾアリル誘導体、p−アミノ安息香酸誘導体、ポリマーおよびシリコーン誘導体、アルキルスチレン誘導体、限定はされないが、酸化チタン、酸化亜鉛などの金属酸化物のナノ顔料、またはカーボンナノチューブをベースとするフィルターなどの日焼け止めの少なくとも1種を、化粧料もしくは医薬品として有効な量で、あるいはこれらの混合物を含む、化粧料もしくは医薬品組成物に関する。
【0101】
本発明のさらなる態様は、一般式(I)で表されるペプチド、その立体異性体、それらの混合物、および/または化粧料もしくは医薬品として許容されるその塩の少なくとも1種を、化粧料もしくは医薬品として有効な量で、かつ、さらに、限定はされないが、Hsp72およびHsp73などのHsp70、Hsp60、Hsp27、またはHsp90などの、Hspファミリーのタンパク質の少なくとも1種を、化粧料もしくは医薬品として有効な量で含む、化粧料もしくは医薬品組成物に関する。
【0102】
適用
本発明の1つの態様は、皮膚、粘膜および/または毛髪の治療および/またはケアのための化粧料もしくは医薬品組成物の製造における、一般式(I)で表されるペプチド、その立体異性体、それらの混合物、および/または化粧料もしくは医薬品として許容されるその塩の、少なくとも1種の使用に関する。
【0103】
本発明の他の態様は、Hspタンパク質、特に分子量が20kDa〜110kDaのHspファミリーのタンパク質、特に分子量が40kDa〜100kDaの、より一層特には分子量が60kDa〜80kDaのHspタンパク質、特に分子量が70kDaのHsp、すなわちHsp70の合成を促進することによって改善または予防される状態、障害および/または疾患を治療および/またはケアするための化粧料もしくは医薬品組成物の製造における、一般式(I)で表されるペプチド、その立体異性体、それらの混合物、および/または化粧料もしくは医薬品として許容されるその塩の、少なくとも1種の使用に関する。
【0104】
好ましい実施形態では、熱ショックタンパク質促進を促進することによって改善または予防される状態、障害および/または疾患は、表皮水疱症、および癌の化学療法により引き起こされる脱毛症などの脱毛症からなる群から選択される。
【0105】
好ましい実施形態においては、本発明は、UV線、熱ストレス、酸化ストレス、浸透圧ショック、炎症、低酸素、汚染物質への暴露、栄養失調および水分補給不足によって誘発される細胞の損傷を軽減、遅延および/または予防する、皮膚、粘膜および/または毛髪の治療および/またはケアのための化粧料もしくは医薬品組成物の製造における、式(I)で表されるペプチド、その立体異性体、それらの混合物、および/または化粧料もしくは医薬品として許容されるその塩の使用に関する。
【0106】
好ましい実施形態においては、本発明は、老化および/または光老化の兆候を低減、遅延または予防する、皮膚および/または毛髪の治療および/またはケアのための化粧料もしくは医薬品組成物の製造における、式(I)で表されるペプチド、その立体異性体、それらの混合物、および/または化粧料もしくは医薬品として許容されるその塩の使用に関する。
【0107】
同様に、本発明は、創傷、好ましくは糖尿病により引き起こされた創傷の治癒および/または再上皮化を促進する、皮膚、粘膜および/または毛髪の治療および/またはケアのための化粧料もしくは医薬品組成物の製造における、式(I)で表されるペプチド、その立体異性体、それらの混合物、および/または化粧料もしくは医薬品として許容されるその塩の少なくとも1種の使用に関する。
【0108】
好ましい実施形態においては、本発明は、脱毛を遅延および/または予防する、あるいは毛髪の成長を誘導する、皮膚および/または毛髪の治療および/またはケアのための化粧料もしくは医薬品組成物の製造における、式(I)で表されるペプチド、その立体異性体、それらの混合物、および/または化粧料もしくは医薬品として許容されるその塩の使用に関する。
【0109】
皮膚、粘膜および/または毛髪の治療および/またはケアのための化粧料もしくは医薬品組成物の例としては、クリーム、限定はされないが、水中油型および/または水中シリコーン型エマルション、油中水型および/またはシリコーン中水型エマルション、水/油/水型または水/シリコーン/水型エマルション、油/水/油型またはシリコーン/水/シリコーン型エマルションなどの多相エマルション、無水組成物、水性分散体、オイル、ミルク、バルサム、フォーム、ローション、ゲル、クリームゲル、含水アルコール溶液、含水グリコール溶液、ヒドロゲル、リニメント剤、美容液、ソープ、シャンプー、コンディショナー、セラム、ポリサッカライドフィルム、軟膏、ムース、ポマード、パウダー、バー、ペンシル、およびスプレーまたはエアロゾル(スプレー)(塗布したままの製剤、および洗い流せる製剤を含む)、包帯、ガーゼ、Tシャツ、ソックス、タイツ、下着、ガードル、手袋、おしめ、生理用ナプキン、手当用品、ベッドカバー、拭き取り布、接着性パッチ、非接着性パッチ、閉塞パッチ、マイクロエレクトリックパッチまたはフェイスマスク、リキッドファンデーションおよびコンパクトファンデーションなどのメーキャップファンデーション、メーキャップ除去ローション、メーキャップ除去ミルク、目の下用コンシーラー、アイシャドー、リップスティック、リッププロテクター、リップグロスおよびパウダーなどのメーキャップ製品などが挙げられる。
【0110】
本発明のペプチドを含有する組成物は、状態、障害および/または疾患の治療および/またはケアの必要に応じて、皮膚に塗布したり、あるいは経口または非経口で投与したりすることができる。
【0111】
本発明に関係する化粧料もしくは医薬品組成物は、本発明のペプチドをより深く浸透させるために、イオン泳動、ソノフォレーシス、エレクトロポレーション、マイクロエレクトリックパッチ、機械的圧力、浸透圧勾配、密封治療、マイクロインジェクション、または酸素圧力による注入などの圧力による無針注射、あるいはこれらの任意の組み合わせにより、皮膚に適用することができる。
【0112】
本発明のさらなる態様は、一般式(I)で表されるペプチド、その立体異性体、それらの混合物、および/または化粧料もしくは医薬品として許容されるその塩の少なくとも1種を、好ましくはそれらを含む化粧料もしくは医薬品組成物の形態で、化粧料もしくは医薬品として有効な量投与することを含む、皮膚、粘膜および/または毛髪の治療および/またはケアの方法に関する。
【0113】
本発明のさらなる態様は、熱ショックタンパク質、好ましくはHsp70の合成を促進することにより改善または予防される、哺乳動物、好ましくはヒトの状態、障害および/または疾患の治療および/またはケアの方法であって、一般式(I)で表されるペプチド、その立体異性体、それらの混合物、および/または化粧料もしくは医薬品として許容されるその塩の少なくとも1種の有効量を、好ましくはそれらを含有する化粧料もしくは医薬品組成物の形態で投与することを含む方法に関する。
【0114】
好ましい実施形態では、熱ショックタンパク質合成の促進により改善または予防される状態、障害および/または疾患は、表皮水疱症、および癌の化学療法により引き起こされた脱毛症などの脱毛症からなる群から選択される。
【0115】
本発明のさらに他の態様は、UV線、熱ストレス、酸化ストレス、浸透圧ショック、炎症、低酸素、汚染物質への暴露、栄養失調および水分補給不足によって誘発される細胞の損傷を軽減、遅延および/または予防する、皮膚、粘膜および/または毛髪の治療および/またはケアの方法であって、一般式(I)で表されるペプチド、その立体異性体、それらの混合物、および/または化粧料もしくは医薬品として許容されるその塩の少なくとも1種の有効量を、好ましくはそれらを含有する化粧料もしくは医薬品組成物の形態で投与することを含む方法に関する。
【0116】
さらなる態様においては、本発明は、老化および/または光老化の兆候を低減、遅延、および/または予防する治療および/またはケアに関し、それは、一般式(I)で表されるペプチド、その立体異性体、それらの混合物、および/または化粧料もしくは医薬品として許容されるその塩の少なくとも1種の有効量を、好ましくはそれらを含有する化粧料もしくは医薬品組成物の形態で投与することを含む。
【0117】
本発明のさらに他の態様は、創傷、好ましくは糖尿病による創傷の治癒および/または再上皮化を促進する、皮膚および/または粘膜の治療および/またはケアの方法に関し、それは、一般式(I)で表されるペプチド、その立体異性体、それらの混合物、および/または化粧料もしくは医薬品として許容されるその塩の少なくとも1種の有効量を、好ましくはそれらを含有する化粧料もしくは医薬品組成物の形態で投与することを含む。
【0118】
本発明のさらに他の態様は、脱毛を遅延および/または予防するか、あるいは毛髪の成長を誘導する、皮膚および/または毛髪の治療および/またはケアの方法であって、一般式(I)で表されるペプチド、その立体異性体、それらの混合物、および/または化粧料もしくは医薬品として許容されるその塩の少なくとも1種の有効量を、好ましくはそれらを含有する化粧料もしくは医薬品組成物の形態で投与することを含む方法に関する。
【0119】
より特別な態様では、本発明の治療および/またはケアは、局所または経皮的投与により行われ、局所または経皮的投与は、好ましくは、イオン泳動、ソノフォレーシス、エレクトロポレーション、機械的圧力、浸透圧勾配、密封治療、マイクロインジェクション、圧力による無針注射、マイクロエレクトリックパッチにより、またはこれらの任意の組み合わせにより行われる。
【0120】
他の特別な態様では、治療および/またはケアは、経口投与により行われる。
【0121】
他の特別な態様では、治療および/またはケアは、非経口的投与により行われる。
【0122】
適用ないし投与の頻度は、それぞれの患者の必要度や、治療またはケアする状態、障害または疾患の重篤度に応じて、大きく変えることができるが、推奨される適用ないし投与の範囲は、月に1回から日に10回、好ましくは週に1回から日に4回、より好ましくは週に3回から日に3回、より一層好ましくは日に1回または2回である。
【0123】
本明細書で次に提示する具体的実施例は、本発明の本質を説明するものである。これらの実施例は単に説明を目的に記載するものであって、本明細書に記載する本発明を限定するものではない。
【実施例】
【0124】
一般的方法
試薬および溶媒はすべて、合成物品質であり、追加の処理を行わずに使用する。
【0125】
略語
アミノ酸に対し使用する略語は、Eur.J.Biochem.(1984)、138:9−37およびJ.Biol.Chem.(1989)、264:633−673に概説されているIUPAC−IUB Joint Commission on Biochemical Nomenclatureのルールにしたがう。
【0126】
(登録商標)は樹脂;Acはアセチル;DNAはデオキシリボ核酸;Adpocは1−(1−アダマンチル)−1−メチルエトキシ−カルボニル;Allはアリル;Allocはアリロキシカルボニル;AMは2−[4−アミノメチル−(2,4−ジメトキシフェニル)]フェノキシ酢酸;Argはアルギニン;Asnはアスパラギン、Bocはtert−ブチルオキシカルボニル;2−BrZは2−ブロモベンジルオキシカルボニル;Bzlはベンジル;Cbzはカルボキシベンジル;cHxはシクロヘキシル;ClTrt−(登録商標)は2−クロロトリチル樹脂;ClZは2−クロロベンジル;cpsはセンチポアズ;C−terminalはカルボキシ末端;DCMはジクロロメタン;DdeはN−[1−(4,4−ジメチル−2,6−ジオキソシクロヘクス−1−イリデン)エチル;2,6−diClZは2,6−ジクロロベンジル;DIEAはN,N−ジイソプロピルエチルアミン;DIPCDIはN,N’−ジイソプロピルカルボジイミド;Dmabは4−(N−[1−(4,4−ジメチル−2,6−ジオキソシクロヘキシリデン)−3−メチルブチル]アミノ)ベンジル;DMEMはダルベッコ改変イーグル培地;DMFはN,N−ジメチルホルムアミド;DMSOはジメチルスルホキシド;Dnpは2,4−ジニトロフェノール;DPPCはジパルミトイルホスファチジルコリン;EDTAはエチレンジアミンテトラ酢酸;ELISAは酵素結合免疫吸着法;equivは当量;ESI−MSはエレクトロスプレーイオン化質量分析法;Fmはフルオレニルメチル;Fmocは9−フルオレニルメチルオキシカルボニル;Glnはグルタミン;grpはグルコース調節タンパク質、Hisはヒスチジン;HOAtは1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾール;HOBtは1−ヒドロキシベンゾトリアゾール;HPLCは高性能液体クロマトグラフィー;Hspは熱ショックタンパク質;INCIはInternational Nomenclature of Cosmetic Ingredients;ivDdeは1−(4,4−ジメチル−2,6−ジオキソシクロヘキシリデン)−3−メチルブチル;kDaはキロダルトン;Leuはロイシン;MBHAはp−メチルベンズヒドリルアミン;MeCNはアセトニトリル;MeOHはメタノール;MLVは多層ベシクル;MPDは最小着色量;Mttはメトキシトリチルまたはメチルトリチル;MTTは臭化3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−2,5−ジフェニルテトラゾリウム;N−末端はアミノ−末端;PALは5−(4−アミノメチル−3,5−ジメトキシフェノキシ)吉草酸;Palmはパルミトイル;PBSはリン酸緩衝生理食塩水;pNZはp−ニトロベンジルオキシカルボニル;Proはプロリン;rpmは1分間当たりの回転数;qsは十分な量;q.s.p.は、〜に対して十分な量;tBuはtert−ブチル;Teocは2−(トリメチルシリル)エチルオキシカルボニル;TFAはトリフルオロ酢酸;THFはテトラヒドロフラン;TISはトリイソプロピルシラン;Trocは2,2,2−トリクロロエチルオキシカルボニル;Trtはトリフェニルメチルまたはトリチル;Trtはトリチル;Tyrはチロシン;ULVは単層ベシクル;UVは紫外線(ultravioleta);Zはベンジルオキシカルボニル。
【0127】
化学合成
合成プロセスはすべて、多孔質のポリプロピレンディスクを装着したポリエチレンシリンジ、または多孔質板を装着したPyrex(登録商標)反応器中で実施した。溶媒および可溶性試薬は吸引により除去した。Fmoc基はピペリジン−DMF(2:8、容積/容積)(1×1分、1×5分、5mL/g−樹脂)で除去した[Lloyd−Williams P.、Albericio F.およびGiralt E.(1997)「Chemical Approaches to the Synthesis of Peptides and Proteins」、CRC、Boca Raton、FL、USA]。脱保護、カップリングおよび再度の脱保護の工程中に行う洗浄は、DMF(3×1分)により、毎回、10mL−溶媒/g−樹脂で行った。カップリング反応は3mL−溶媒/g−樹脂で行った。カップリングの制御は、ニンヒドリン試験[Kaiser E.、Colescott R.L.、Bossinger C.D.およびCook P.I.(1970)「Color test for detection of free terminal amino groups in the solid phase synthesis of peptides」、Anal.Biochem.、34:595−598]、またはクロラニル試験[Christensen T.(1979)「A qualitative test for monitoring coupling completeness in solid−phase peptide synthesis using chloranil」、Acta Chem.Scand.、33B:763−766]を実施することにより行った。合成反応および洗浄はすべて室温で行った。
【0128】
HPLCクロマトグラフ分析は、島津製作所(京都、日本)の装置により、30℃の恒温で逆相カラム(250×4.0mm、Kromasil C、5μm、Akzo Nobel、Sweden)を使用して行った。溶離は、アセトニトリル(+0.07%TFA)−水(+0.1%TFA)勾配を使用し、流量1mL/minで行い、220nmで検出した。
【0129】
実施例1
Fmoc−W−X−AA−AA−AA−AA−Y−Z−O−2−ClTrt−(登録商標)(ここで、AAは−L−His−;AAは−L−His−、−L−Leu−または−L−Pro−;AAは−L−Leu−;AAは−L−Arg−または−L−Asn−であり;かつn、m、pおよびqは0である)の製造。
【0130】
1.3mLのDIEA(7.6mmol;0.86equiv)を添加した55mLのDCMに溶解した5.71gのFmoc−L−Arg(Pbf)−OHまたは5.25gのFmoc−L−Asn(Trt)−OH(8.8mmol;1equiv)を、乾燥2−クロロトリチル樹脂(5.5g;8.8mmol)にカップリングさせた。これを5分間撹拌し、その後、2.5mLのDIEAを加えた(14.6mmol;1.66equiv)。この混合物を40分間反応させた。4.4mLのMeOHによる処理で、残留塩素基をブロックした。
【0131】
N末端Fmoc基を、一般的方法で記載のようにして脱保護し、DIPCDI(3.39mL、22mmol、2.5equiv)およびHOBt(3.37g、22mmol、2.5equiv)の存在下、7.77gのFmoc−L−Leu−OH(22mmol;2.5equiv)を、DMFを溶媒に使用し、1時間かけてペプチジル樹脂にカップリングさせた。その後、一般的方法で記載のようにして樹脂を洗浄し、Fmoc基の脱保護処理を繰り返して、次のアミノ酸をカップリングさせた。記載した手順にしたがい、次に、13.63gのFmoc−L−His(Trt)−OH、7.77gのFmoc−L−Leu−OH、または7.42gのFmoc−L−Pro−OH(22mmol;2.5equiv)をカップリングさせ、続いて、13.63gのFmoc−L−His(Trt)−OH(22mmol;2.5equiv)をカップリングさせた。各カップリングは、3.37gのHOBt(22mmol;2.5equiv)および3.39mLのDIPCDI(22mmol;2.5equiv)の存在下に行った。
【0132】
合成後、ペプチジル樹脂をDCM(5×3分)で洗浄し、窒素気流により乾燥させた。
【0133】
実施例2
Fmoc−W−X−AA−AA−AA−AA−Y−Z−AM−MBHA−(登録商標)(ここで、AAは−L−His−;AAは−L−His−、−L−Leu−または−L−Pro−;AAは−L−Leu−;AAは−L−Arg−または−L−Asn−であり;かつn、m、pおよびqは0である)の製造。
【0134】
Fmoc基を除去するために、官能基量0.73mmol/g(5mmol)のFmoc−AM−MBHA樹脂6.85gを、記載した一般的手順にしたがい、ピペリジン−DMFで処理した。16.22gのFmoc−L−Arg(Pbf)−OH、または14.92gのFmoc−L−Asn(Trt)−OH(25mmol;5equiv)を、DIPCDI(3.85mL;25mmol;5equiv)およびHOBt(3.85g;25mmol;5equiv)の存在下、DMFを溶媒として使用して、脱保護した樹脂上に1時間かけて導入した。
【0135】
その後、一般的方法で記載したようにして樹脂を洗浄し、Fmoc基の脱保護処理を繰り返し、次のアミノ酸をカップリングさせた。前述の手順にしたがい、8.84gのFmoc−L−Leu−OH(25mmol;5equiv)、15.49gのFmoc−L−His(Trt)−OH、8.84gのFmoc−L−Leu−OH、または8.44gのFmoc−L−Pro−OH(25mmol;5equiv)、続いて、15.49gのFmoc−L−His(Trt)−OH(25mmol;5equiv)を、順次カップリングさせた。各カップリングは、3.85gのHOBt(25mmol;5equiv)および3.85mLのDIPCDI(25mmol;5equiv)の存在下に行った。
【0136】
合成後、ペプチジル樹脂をDCM(5×3分)で洗浄し、窒素気流により乾燥させた。
【0137】
実施例3
N末端保護基Fmoc除去の一般的プロセス。
一般的方法で記載のようにして、実施例1および2で得られたペプチジル樹脂のN末端Fmoc基を脱保護した(DMF中にピペリジン20%、1×5分+1×20分)。ペプチジル樹脂を、DMF(5×1分)、DCM(4×1分)、ジエチルエーテル(4×1分)で洗浄し、真空中で乾燥させた。
【0138】
実施例4
実施例3で得られたペプチジル樹脂にパルミトイル基Rを導入するプロセス。
DMF(1mL)に予め溶解させた2.56gのパルミチン酸(10mmol;10equiv)を、1.53gのHOBt(10mmol;10equiv)および1.54mLのDIPCDI(10mmol;10equiv)の存在下、実施例3で得られた1mmolのペプチジル樹脂上に加えた。それらを15時間反応させ、その後、樹脂を、THF(5×1分)、DCM(5×1分)、DMF(5×1分)、MeOH(5×1分)、DMF(5×1分)THF(5×1分)、DMF(5×1分)、DCM(4×1分)、エーテル(3×1分)で洗浄し、真空中で乾燥させた。
【0139】
実施例5
実施例3で得られたペプチジル樹脂にアセチル基Rを導入するプロセス。
5mLのDMFを溶媒に使用し、25equivのDIEAの存在下、実施例3で得られた1mmolのペプチジル樹脂を、25equivの無水酢酸で処理した。これらを30分間反応させ、その後、ペプチジル樹脂を、DMF(5×1分)、DCM(4×1分)、ジエチルエーテル(4×1分)で洗浄し、真空中で乾燥させた。
【0140】
実施例6
実施例3、4および5で得られたペプチジル樹脂をポリマー支持体から切断するプロセス。
実施例3、4および5で得られた乾燥ペプチジル樹脂200mgを、室温で2時間撹拌しながら5mLのTFA:TIS:HO(90:5:5)で処理した。濾液を50mLの冷ジエチルエーテルに捕集し、多孔質のポリエチレンディスクを装着したポリプロピレンシリンジを通して濾過し、50mLのジエチルエーテルで5回洗浄した。最終の沈殿物は真空中で乾燥させた。
【0141】
得られたペプチドをMeCN(+0.07%TFA)−HO(+0.1%TFA)勾配HPLC分析したところ、全ての場合に純度が80%を超えた。得られたペプチドの同定を、ESI−MSにより確認した。
【0142】
実施例7
ポリマー支持体の切断プロセスおよび置換Rアミンによる官能化:Ac−W−X−AA−AA−AA−AA−Y−Z−NH−(CH15−CH(ここで、AAは−L−His−;AAは−L−His−;−L−Leu−または−L−Pro−;AAは−L−Leu−;AAは−L−Arg−または−L−Asn−であり;かつn、m、pおよびqは0である)の製造。
予めKOHの存在下に真空中で乾燥させた実施例5のペプチジル樹脂、Ac−W−X−AA−AA−AA−AA−Y−Z−O−2−ClTrt−(登録商標)150mgを、TFAの3%DCM溶液3mLで5分間処理することにより、側鎖が完全に保護されたペプチド、Ac−W−X−AA−AA−AA−AA−Y−Z−OHを得た。濾液を50mLの冷ジエチルエーテルに捕集し、この処理を3回繰り返した。減圧下、室温でこのエーテル溶液を蒸発乾固させ、析出物を50%MeCN水溶液に溶解させ、凍結乾燥させた。得られた粗ペプチド10mgを秤量してフラスコに入れ、3equivのヘキサデシルアミンおよび25mLの無水DMFを加えた。2equivのDIPCDIを加え、マグネチックスターラーにより撹拌しながら47℃で反応させた。初期の生成物が消失するまで、HPLCにより反応を監視したところ、反応は24〜48時間後に完了した。溶媒を蒸発させて乾燥させ、DCMとの共蒸発を2回行った。得られた残留物[側鎖が完全に保護されたAc−W−X−AA−AA−AA−AA−Y−Z−NH−(CH15−CH]をTFA−DCM−アニソール(49:49:2)混合物25mLに再溶解させ、室温でさらに30分間反応させた。250mLの冷ジチルエーテルを加え、溶媒を減圧下で蒸発させ、エーテルとの追加の共蒸発を2回行った。残留物を50%MeCN水溶液混合物に溶解させ、凍結乾燥させた。
【0143】
得られたペプチドをMeCN(+0.07%TFA)−HO(+0.1%TFA)勾配HPLC分析したところ、全ての場合に純度が65%を超えた。得られたペプチドの同定を、ESI−MSにより確認した。
【0144】
実施例8
Hsp70合成促進試験
本発明のペプチドの存在下、ヒト角化細胞系でHsp70の合成促進を評価した。細胞を播種し(細胞10個/6ウエルプレート)、DMEM中で24時間インキュベートし、その後、200μMとなるように培地にペプチドを加え、さらに16〜24時間インキュベートした。10μMのプロテアソーム阻害薬MG−132を陽性対照として使用し、媒体(培地)を陰性対照として使用した。インキュベーション時間終了後、細胞をPBSで洗浄し、溶解させて、4℃で10分間、12,000rpmで遠心分離を行った。上澄み液を回収し、市販キット(DuoSet IC human/mouse total HSP70 ELISA kit、R&D Systems Inc.)の手順にしたがって競合ELISA測定を行い、Hsp70レベルを測定した。
【0145】
表2に、Hsp70促進レベル値が15%を超えたペプチドの詳細を示す。Hsp70レベルを平均基底値に関して正規化した。

【0146】
実施例9
ヒト角化細胞培養物中におけるAc−L−His−L−Pro−L−Leu−L−Arg−OHおよびAc−L−His−L−Leu−L−Leu−L−Arg−OHの光防御効率の測定
単層を形成するため、96ウエルプレートでヒト角化細胞を24時間培養し、細胞を、0.1mMのAc−L−His−L−Pro−L−Leu−L−Arg−OH、Ac−L−His−L−Leu−L−Leu−L−Arg−OHを加えた培地、または媒体(培地)と共に、37℃の暗所で2時間予備インキュベートした。続いて、細胞に800J/mのエネルギーのUVBを照射した。媒体を入れた対照プレートは、照射せずに、暗所に室温で同じ時間保管した。照射時間後、細胞の培地を新しい培地に置き換え、細胞をさらに24時間インキュベートした。細胞生存率を、MTT法により、すなわち、各ウェルにMTT溶液5mg/mLを加え、プレートを37℃で4時間インキュベートし、その後、培地を除去し、DMSOを100μL加え、プレートを室温で15分間撹拌して求めた。各ウェルの光密度を分光光度計により570nmで測定した。
【0147】
Ac−L−His−L−Pro−L−Leu−L−Arg−OHまたはAc−L−His−L−Leu−L−Leu−L−Arg−OHで処理した細胞から得られた生存率を、照射および未照射の対照細胞の応答と関連して比較することにより、光防御効率を算出した。

【0148】
実施例10
Palm−L−His−L−Pro−L−Leu−L−Asn−NHを含有する化粧料組成物の製造

【0149】
A相を適当な反応器内で溶解した。別の反応器内で、Sepigel(登録商標)305[INCI:アクア(水)、ポリアクリルアミド、C13−C14イソパラフィン;ラウレス−7]、Myritol(登録商標)308[INCI:カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド]およびエチルヘキシルココエートから形成されたB相を混合し、均質化したなら、撹拌しながらA相へ徐々に加えた。その後、C相を撹拌しながら加え、次いで、35℃でF相を加えた。D相によりpHを5.5〜7.0に調節し、そしてE相を加えた。
【0150】
実施例11
Ac−L−His−L−Leu−L−Leu−L−Arg−OHを含有するリポソームの製造

【0151】
ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)を秤量し、クロロホルムに溶解させた。薄いリン脂質の層が得られるまで溶媒を真空中で蒸発させ、この層を、所望の濃度のペプチド(Phenonip(登録商標)を含有))水溶液と共に、55℃の処理で加水分解し、MLVリポソームを得た。MLVリポソームを、5分間隔で2分間、55℃の超音波浴に浸漬させるサイクルを、8回行ってULVリポソームを得た。ULVリポソームを高圧押出システムに通すことによって、サイズを減少させた。
【0152】
実施例12
Ac−L−His−L−Leu−L−Leu−L−Arg−OHを含有するリポソームゲル形態の組成物の製造
実施例11のリポソームを保存料(EDTA、イミダゾリジニル尿素およびPhenonip(登録商標))と共に、軽く撹拌しながら水中に分散させた。Hispagel(登録商標)200[INCI:アクア(水)、グリセリン、グリセリルポリアクリレート]を加え、均質な混合物が得られるまで軽く撹拌した。

【0153】
実施例13
Ac−L−His−L−Pro−L−Leu−L−Arg−OHを含有する顔用クリーム組成物

【0154】
製造
− A相の成分を混合し、70℃に加熱する。
− B相の成分を混合し、70℃に加熱する。
− C相をB相に加え、ホモジナイザー(Silverson)で5分間撹拌する。
− ホモジナイザーを使用しながらB相とC相の混合物にA相を少しずつ加え、15分間均質化を行う。
− 冷却を開始し、軽く撹拌しながら30〜35℃まで続ける。50℃でD相を加える。撹拌を継続する。35〜38℃で、予め可溶化しておいたE相およびF相を加える。
【0155】
実施例14
Ac−L−His−L−Leu−L−Leu−L−Arg−OHを含有する混合ミセル組成物の製造
全サンプルを入れるのに適した容器内で、A相の成分を秤量し、保存料のいくらかを溶解しやすくするために、約30℃まで僅かに加熱した。次に、B相の成分を加え、適度に撹拌して均質化した。
【0156】
その後、連続的に撹拌しながらC相を加え、その後、発泡を避けるためにゆっくりと撹拌しながら、D相(Oramix(登録商標)CG110[INCI:アクア(水)、カプリル酸/カプリン酸グルコシド]を加えた。
【0157】
pHを5.5〜6.5に調節した。

【0158】
実施例15
Palm−L−His−L−Pro−L−Leu−L−Asn−NHを含有するマイクロエマルション組成物。
全サンプルを入れるのに適した容器内でB相の成分を秤量した。次に、B相にD相を加え、連続撹拌して均質化した。その後、この混合物にA相を加えた。最後に、C相を加えた。

【0159】
実施例16
Ac−L−His−L−Leu−L−Leu−L−Arg−OHを含有するキャピラリーローション組成物。
撹拌しながらA相の成分をゆっくりと混合する。撹拌しながらA相にB相をゆっくりと加え、均質化が完了するまで撹拌を続ける。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)
−W−X−AA−AA−AA−AA−Y−Z−R
(I)
で表されるペプチド、その立体異性体、それらの混合物、および/または化粧料もしくは医薬品として許容されるその塩であって、
AAは−His−であり;
AAは−His−、−Leu−および−Pro−からなる群から選択され;
AAは−Leu−であり;
AAは−Arg−および−Asn−からなる群から選択され;
W、X,YおよびZはそれらの中から独立に、コード化アミノ酸および非コード化アミノ酸からなる群から選択され;
n、m、pおよびqはそれらの中から独立に選択され、かつ0〜1の値を有し;
n+m+p+qは2以下であり;
は、H、置換または非置換の非環式脂肪族基、置換または非置換のアリシクリル基、置換または非置換のヘテロシクリル基、置換または非置換のヘテロアリールアルキル基、置換または非置換のアリール基、置換または非置換のアラルキル基、およびR−CO−(ここで、Rは、H、置換または非置換の非環式脂肪族基、置換または非置換のアリシクリル基、置換または非置換のアリール基、置換または非置換のアラルキル基、置換または非置換のヘテロシクリル基、および置換または非置換のヘテロアリールアルキル基からなる群から選択される)からなる群から選択され;
は、−NR、−OR3、および−SR(ここで、RおよびRは、H、置換または非置換の非環式脂肪族基、置換または非置換のアリシクリル基、置換または非置換のヘテロシクリル基、置換または非置換のヘテロアリールアルキル基、置換または非置換のアリール基、および置換または非置換のアラルキル基からなる群から独立に選択される)からなる群から選択され;
但し、AAが−Leu−、AAが−Asn−、Yが−Gln−であるとき、Zは−Leu−でなく、
かつAAが−His−、AAが−Arg−、YまたはZが−Tyr−であるとき、p+qは1でない
ことを特徴とするペプチド。
【請求項2】
請求項1に記載のペプチドにおいて、Rは、HおよびR−CO−(ここで、Rは、置換または非置換のC〜C24アルキル基、置換または非置換のC〜C24アルケニル基、置換または非置換のC〜C24アルキニル基、置換または非置換のC〜C24シクロアルキル基、置換または非置換のC〜C24のシクロアルケニル基、置換または非置換のC〜C24シクロアルキニル基、置換または非置換のC〜C30アリール基、置換または非置換のC〜C24アラルキル基、置換または非置換の環員数3〜10個のヘテロサイキル(heterocycyl)基、および置換または非置換の、炭素原子2〜24個、炭素以外の原子1〜3個で、アルキル鎖が1〜6個の炭素原子からなるヘテロアリールアルキル基からなる群から選択される)からなる群から選択されることを特徴とするペプチド。
【請求項3】
請求項2に記載のペプチドにおいて、Rは、H、アセチル基、tert−ブタノイル基、ヘキサノイル基、2−メチルヘキサノイル基、シクロヘキサンカルボキシル基、オクタノイル基、デカノイル基、ラウロイル基、ミリストイル基、パルミトイル基、ステアロイル基、オレオイル基およびリノレオイル基からなる群から選択されることを特徴とするペプチド。
【請求項4】
請求項1に記載のペプチドにおいて、Rは、−NRまたは−OR(ここで、RおよびRは、H、置換または非置換のC〜C24アルキル基、置換または非置換のC〜C24アルケニル基、置換または非置換のC〜C24アルキニル基、置換または非置換のC〜C24シクロアルキル基、置換または非置換のC〜C24シクロアルケニル基、置換または非置換のC〜C24シクロアルキニル基、置換または非置換のC〜C30アリール基、置換または非置換のC〜C24アラルキル基、置換または非置換の環員数3〜10個のヘテロサイキル(heterocycyl)基、および置換または非置換の、炭素原子2〜24個、炭素以外の原子1〜3個で、アルキル鎖が1〜6個の炭素原子であるヘテロアリールアルキル基からなる群から独立に選択される)であることを特徴とするペプチド。
【請求項5】
請求項4に記載のペプチドにおいて、RおよびRは、H、メチル基、エチル基、ヘキシル基、ドデシル基およびヘキサデシル基からなる群から選択されることを特徴とするペプチド。
【請求項6】
請求項1に記載のペプチドにおいて、Rは、H、アセチル基、ラウロイル基、ミリストイル基およびパルミトイル基からなる群から選択され、AAは−L−Leu−であり、AAは−L−Arg−であり、かつRは、−NRまたは−OR(ここで、RおよびRは、H、メチル基、エチル基、ヘキシル基、ドデシル基およびヘキサデシル基から独立に選択される)であることを特徴とするペプチド。
【請求項7】
請求項1に記載のペプチドにおいて、Rは、H、アセチル基、ラウロイル基、ミリストイル基およびパルミトイル基からなる群から選択され、AAは−L−Pro−であり、AAは−L−Arg−であり、かつRは−NRまたは−OR(ここで、RおよびRは、H、メチル基、エチル基、ヘキシル基、ドデシル基およびヘキサデシル基から独立に選択される)であることを特徴とするペプチド。
【請求項8】
請求項1に記載のペプチドにおいて、n、m、pおよびsが0であることを特徴とするペプチド。
【請求項9】
請求項1乃至8の何れか1項に記載のペプチドにおいて、皮膚、粘膜および/または毛髪の治療および/またはケア用であることを特徴とするペプチド。
【請求項10】
請求項9に記載のペプチドにおいて、少なくとも1種の熱ショックタンパク質の合成を促進することにより改善または予防できる皮膚、粘膜および/または毛髪の状態、障害および/または疾患の治療および/またはケア用であることを特徴とするペプチド。
【請求項11】
請求項10に記載のペプチドにおいて、前記熱ショックタンパク質は、分子量が20kDa〜110kDaであることを特徴とするペプチド。
【請求項12】
請求項11に記載のペプチドにおいて、前記熱ショックタンパク質は、Hsp70であることを特徴とするペプチド。
【請求項13】
請求項9乃至12の何れか1項に記載のペプチドにおいて、前記治療および/またはケアは、UV線、熱ストレス、酸化ストレス、浸透圧ショック、炎症、低酸素、汚染物質への暴露、栄養失調、および水分の補給不足による細胞の損傷を低減、遅延および/または予防することを特徴とするペプチド。
【請求項14】
請求項9乃至13の何れか1項に記載のペプチドにおいて、前記治療および/またはケアは、老化および/または光老化の兆候を低減、遅延および/または予防することを特徴とするペプチド。
【請求項15】
請求項9乃至14の何れか1項に記載のペプチドにおいて、前記治療および/またはケアは、脱毛を遅延および/または防止するか、あるいは毛髪の成長を誘導することを特徴とするペプチド。
【請求項16】
請求項9乃至13の何れか1項に記載のペプチドにおいて、前記治療および/またはケアは、創傷の治癒および/または再上皮化を促進することを特徴とするペプチド。
【請求項17】
請求項16に記載のペプチドにおいて、前記創傷は、糖尿病により引き起こされたものであることを特徴とするペプチド。
【請求項18】
請求項10乃至16の何れか1項に記載のペプチドにおいて、前記障害および/または疾患は、表皮水疱症および脱毛症からなる群から選択されることを特徴とするペプチド。
【請求項19】
請求項18に記載のペプチドにおいて、脱毛症は、癌の化学療法により引き起こされたものであることを特徴とするペプチド。
【請求項20】
請求項9乃至19の何れか1項に記載のペプチドにおいて、前記治療および/またはケアは、このペプチドの局所的、経皮的、経口的または非経口的投与により行われることを特徴とするペプチド。
【請求項21】
請求項20に記載のペプチドにおいて、局所的または経皮的投与は、イオン泳動、ソノフォレーシス、エレクトロポレーション、機械的圧力、浸透圧勾配、密封治療、マイクロインジェクション、圧力による無針注射、マイクロエレクトリックパッチ、またはこれらの任意の組み合わせにより行われることを特徴とするペプチド。
【請求項22】
請求項1乃至8の何れか1項に記載の、一般式(I)で表されるペプチド、その立体異性体、それらの混合物、および/または化粧料もしくは医薬品として許容されるその塩の製造方法であって、固相または溶液で行われることを特徴とする方法。
【請求項23】
請求項1乃至8の何れか1項に記載の、一般式(I)で表されるペプチド、その立体異性体、それらの混合物、および/または化粧料もしくは医薬品として許容されるその塩の製造方法であって、遊離アミノ基の保護基が、Boc、Fmoc、Trt、Troc、Teoc、Alloc、Mtt、Z、ClZ、Dnp、Dde、ivDdeおよびAdpocからなる群から選択され、遊離カルボキシル基の保護基が、tBu、Bzl、cHx、All、Dmab、2−フェニルイソプロピル、FmおよびTrtからなる群から選択され、アルギニン側鎖が、Tos、Mtr、PbfおよびPmcからなる群から選択される保護基で保護され、ヒスチジン側鎖が、Tos、Dnp、TrtおよびMttからなる群から選択される保護基で保護され、かつアスパラギン側鎖が、Trt基により保護されるか、または無保護で使用されることを特徴とする方法。
【請求項24】
請求項1乃至9の何れか1項に記載の化粧料もしくは医薬品組成物であって、一般式(I)で表されるペプチド、その立体異性体、それらの混合物、および/または化粧料もしくは医薬品として許容されるその塩の少なくとも1種と、少なくとも1種の化粧料または医薬品として許容される賦形剤またはアジュバントとを、化粧料もしくは医薬品として有効な量で含むことを特徴とする化粧料もしくは医薬品組成物。
【請求項25】
請求項24に記載の組成物において、一般式(I)で表されるペプチド、その立体異性体、それらの混合物、および/または化粧料もしくは医薬品として許容されるその塩が、組成物の全重量に対して、0.000001重量%〜20重量%で含まれていることを特徴とする組成物。
【請求項26】
請求項25に記載の組成物において、一般式(I)で表されるペプチド、その立体異性体、それらの混合物、および/または化粧料もしくは医薬品として許容されるその塩が、組成物の全重量に対して、0.0001重量%〜5重量%で含まれていることを特徴とする組成物。
【請求項27】
請求項24乃至26の何れか1項に記載の組成物において、一般式(I)で表されるペプチド、その立体異性体、それらの混合物、および/または化粧料もしくは医薬品として許容されるその塩が、リポソーム、混合リポソーム、オレオソーム、ニオソーム、エトソーム、ミリカプセル、マイクロカプセル、ナノカプセル、スポンジ、シクロデキストリン、ベシクル、ミセル、界面活性剤の混合ミセル、界面活性剤−リン脂質混合ミセル、ミリスフィア、マイクロスフィア、ナノスフィア、リポスフィア、マイクロエマルション、ナノエマルション、ミニ粒子、ミリ粒子、マイクロ粒子、ナノ粒子、固体脂質ナノ粒子およびナノ構造脂質担体からなる群から選択される化粧料もしくは医薬品の送達システムまたは徐放システムに組み込まれることを特徴とする組成物。
【請求項28】
請求項27に記載の組成物において、前記マイクロエマルションが、逆ミセルの内部構造を有する油中水型マイクロエマルションであることを特徴とする組成物。
【請求項29】
請求項24乃至28の何れか1項に記載の組成物において、一般式(I)で表されるペプチド、その立体異性体、それらの混合物、および/または化粧料もしくは医薬品として許容されるその塩が、タルク、ベントナイト、シリカ、デンプンおよびマルトデキストリンからなる群から選択される固体有機ポリマーまたは固体無機物支持体に吸着されていることを特徴とする組成物。
【請求項30】
請求項24乃至29の何れか1項に記載の組成物において、前記組成物は、クリーム、多相エマルション、無水組成物、水性分散体、オイル、ミルク、バルサム、フォーム、ローション、ゲル、クリームゲル、含水アルコール溶液、含水グリコール溶液、ヒドロゲル、リニメント剤、美容液、ソープ、シャンプー、コンディショナー、セラム(serum)、軟膏、ムース、ポマード、パウダー、バー、ペンシル、スプレー、エアロゾル、カプセル、ゼラチンカプセル、軟カプセル、硬カプセル、錠剤、糖衣錠、顆粒、チューイングガム、溶液、懸濁液、エマルション、シロップ、ポリサッカライドフィルム、ゼリーおよびゼラチンからなる群から選択される剤形で提供されることを特徴とする組成物。
【請求項31】
請求項24乃至30の何れか1項に記載の組成物において、前記組成物は、目の下用コンシーラー、メーキャップファンデーション、メーキャップ除去ローション、メーキャップ除去ミルク、アイシャドー、リップスティック、リップグロス、リッププロテクターおよびパウダーからなる群から選択される製品に組み込まれることを特徴とする組成物。
【請求項32】
請求項24乃至30の何れか1項に記載の組成物において、一般式(I)で表されるペプチド、その立体異性体、それらの混合物、および/または化粧料もしくは医薬品として許容されるその塩は、布、不織布または医療器具に組み込まれることを特徴とする組成物。
【請求項33】
請求項32に記載の組成物において、前記布、不織布または医療器具は、包帯、ガーゼ、Tシャツ、タイツ、靴下、下着、ガードル、手袋、おしめ、生理用ナプキン、手当用品、ベッドカバー、拭き取り布、接着性パッチ、非接着性パッチ、閉塞パッチ、マイクロエレクトリックパッチおよび/またはフェイスマスクからなる群から選択されることを特徴とする組成物。
【請求項34】
請求項24乃至33の何れか1項に記載の組成物において、前記組成物は、さらに、化粧料もしくは医薬品として有効な量の、熱ショックタンパク質、他の熱ショックタンパク質合成促進剤、アセチルコリン受容体凝集阻害剤、筋収縮抑制剤、抗コリン薬、エラスターゼ阻害剤、マトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤、メラニン合成促進または阻害剤、美白または脱色剤、プロピグメント剤、セルフタンニング剤、老化防止剤、NO合成酵素阻害剤、5α−還元酵素阻害剤、リシル−および/またはプロリルヒドロキシラーゼ阻害剤、抗酸化剤、フリーラジカル捕捉剤および/または抗大気汚染薬、活性カルボニル種捕捉剤、抗糖化剤、抗ヒスタミン剤、抗ウイルス剤、駆虫剤、乳化剤、軟化薬、有機溶剤、液体推進剤、スキンコンディショナー、保湿剤、湿分を保持する物質、アルファヒドロキシ酸、ベータヒドロキシ酸、モイスチャライザー、表皮加水分解酵素、ビタミン、アミノ酸、タンパク質、顔料または着色剤、染料、ゲル化ポリマー、増粘剤、界面活性剤、軟化剤、抗シワ剤、目の下のたるみを低減または治療することができる薬剤、剥離剤、抗微生物薬、抗真菌剤、静真菌剤、殺菌剤、静菌剤、真皮もしくは表皮高分子の合成を促進し、かつ/またはそれらの分解を抑制もしくは防止することができる薬剤、コラーゲン合成促進剤、エラスチン合成促進剤、デコリン合成促進剤、ラミニン合成促進剤、デフェンシン合成促進剤、アクアポリン合成促進剤、ヒアルロン酸合成促進剤、フィブロネクチン合成促進剤、サーチュイン合成促進剤、脂質および角質層成分、セラミド、脂肪酸の合成促進剤、コラーゲンの分解を抑制する薬剤、エラスチンの分解を抑制する他の薬剤、カテプシンGなどのセリンプロテアーゼを抑制する薬剤、フィブロブラストの増殖を促進する薬剤、角化細胞の増殖を促進する薬剤、脂肪細胞の増殖を促進する薬剤、メラニン形成細胞の増殖を促進する薬剤、角化細胞の分化を促進する薬剤、脂肪細胞の分化を促進する薬剤、アセチルコリンエステラーゼを阻害する薬剤、皮膚弛緩薬、グリコサミノグリカン合成促進剤、抗角質増殖剤、抗ニキビ薬、抗乾癬薬、DNA修復薬、DNA保護薬、安定剤、抗かゆみ薬、敏感肌の治療および/またはケア用薬剤、保形剤、抗ストレッチマーク剤、結合剤、皮脂産生調節薬、脂肪分解薬または脂肪分解促進剤、抗セルライト薬、制汗剤、治癒促進剤、コアジュバント治癒薬、再上皮化促進剤、コアジュバント再上皮化薬、サイトカイン成長因子、鎮静剤、抗炎症および/または鎮痛剤、麻酔薬、毛細管循環および/または微小循環に作用する薬剤、血管形成促進剤、血管透過を抑制する薬剤、ベノトニック剤(venotonic agent)、細胞代謝に作用する薬剤、真皮−表皮結合を改善する薬剤、毛髪成長を誘導する薬剤、毛髪成長阻害または抑制剤、脱毛抑制剤、保存料、香料、キレート剤、植物抽出物、エッセンシャルオイル、海洋生物抽出物、バイオ醗酵プロセスから得られる薬剤、無機塩、細胞抽出物および日焼け止め、有機または無機光保護剤、紫外線Aおよび/またはBに対して活性な有機または無機光保護剤、あるいはこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種のアジュバントを含むことを特徴とする組成物。
【請求項35】
請求項34に記載の組成物において、前記アジュバントは、合成由来のものであるか、または野菜抽出物であるか、あるいはバイオテクノロジープロセス、または合成プロセスとバイオテクノロジープロセスの組み合わせにより得られることを特徴とする組成物。
【請求項36】
請求項34または35に記載の組成物において、前記アジュバントは、熱ショックタンパク質合成を促進する薬剤からなる群から選択されることを特徴とする組成物。
【請求項37】
請求項34または35に記載の組成物において、前記アジュバントは、抗シワ剤および/または老化防止剤からなる群から選択されることを特徴とする組成物。
【請求項38】
請求項37に記載の組成物において、前記抗シワ剤および/または老化防止剤は、アセチルヘキサペプチド−8、アセチルヘプタペプチド−4、アセチルオクタペプチド−3、ペンタペプチド−18、アセチルヘキサペプチド−25、ジアミノプロピオノイル(Diaminopropionoyl)トリペプチド−33、トリペプチド−10シトルリン、アセチルテトラペプチド−5、アセチルトリペプチド−30シトルリン、アセチルテトラペプチド−30、ジメチルメトキシクロマノール、ジメチルメトキシクロマニルパルミテート、シュードアルテロモナス・フェルメント(Pseudoalteromonas Ferment)抽出物、Ca2+チャンネルのアンタゴニスト、レチノールおよびその誘導体、イデベノンおよびその誘導体、コエンザイムQ10およびその誘導体、ボスウェル酸およびその誘導体、GHK並びにその誘導体および/または塩、カルノシンおよびその誘導体、DNA修復酵素、塩素チャンネルアゴニスト、加水分解小麦タンパク質と加水分解大豆タンパク質とトリペプチド−1との混合物、リシンHClとレシチンとトリペプチド−10シトルリンとの混合物、ならびに、シュードアルテロモナス・フェルメント(Pseudoalteromonas Ferment)抽出物、加水分解小麦タンパク質、加水分解大豆タンパク質、トリペプチド−10シトルリンおよびトリペプチド−1の混合物からなる群から選択されることを特徴とする組成物。
【請求項39】
請求項34または35に記載の組成物において、前記アジュバントは、治癒および/再上皮化を促進する薬剤、ならびに治癒および/もしくは再上皮化薬剤のコアジュバントからなる群から選択されることを特徴とする組成物。
【請求項40】
請求項39に記載の組成物において、前記治癒および/もしくは再上皮化を促進する薬剤、または治癒および/もしくは再上皮化薬剤のコアジュバントは、シュードアルテロモナス・フェルメント(Pseudoalteromonas Ferment)抽出物およびトリペプチド−10シトルリンからなる群から選択されることを特徴とする組成物。
【請求項41】
請求項34または35に記載の組成物において、前記アジュバントは、脱毛遅延剤、または毛髪の成長を誘導する薬剤からなる群から選択されることを特徴とする組成物。
【請求項42】
請求項34または35に記載の組成物において、前記アジュバントは、日焼け止めからなる群から選択されることを特徴とする組成物。
【請求項43】
請求項34または35に記載の組成物において、前記アジュバントは、熱ショックタンパク質からなる群から選択されることを特徴とする組成物。
【請求項44】
請求項43に記載の組成物において、前記(siad)熱ショックタンパク質は、Hsp70であることを特徴とする組成物。

【公表番号】特表2013−508322(P2013−508322A)
【公表日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−534581(P2012−534581)
【出願日】平成22年10月22日(2010.10.22)
【国際出願番号】PCT/EP2010/006454
【国際公開番号】WO2011/047868
【国際公開日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(510230218)
【氏名又は名称原語表記】LIPOTEC,S.A.
【出願人】(511020221)
【氏名又は名称原語表記】BCN PEPTIDES,S.A.
【Fターム(参考)】