説明

皮膚化粧料

【目的】 抗酸化ストレス作用、引締め効果に優れ、たるみ、しわ等の老化兆候を緩和する皮膚化粧料。
【構成】 ナンノクロロプシス又はその抽出物を含有することを特徴とする皮膚化粧料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は皮膚化粧料に関し、更に詳しくは、抗酸化ストレス作用、皮膚引締め効果に優れ、たるみ、しわ等の老化兆候を緩和する皮膚化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
たるみはしわ、しみとともに代表的な肌の老化兆候であり、特に近年肌の悩みとして多くの女性が感じるようになってきている。たるみの改善方法としては月桃や甘草等の植物エキスによる真皮のコラーゲン産生増加等が提案されているが(特許文献1〜3参照)、その効果が得られるまでに長期間が必要であり、満足のゆくものではなかった。
【特許文献1】特開2001−316275号公報
【特許文献2】特開2003−192526号公報
【特許文献3】特開2000−191498号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ゆえに本発明の目的とするところは、たるみ、しわ等の老化兆候を緩和する皮膚化粧料を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
かかる事情に鑑み、本発明者が、長期間の皮膚のストレス防御を行いながら物理的に老化兆候を緩和させることにより肌の老化予防させることを意図し、探索を鋭意検討した結果、ナンノクロロプシス又はその抽出物が抗酸化ストレス作用、及び優れた皮膚引締め効果を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0005】
すなわち本発明(1)は、ナンノクロロプシス又はその抽出物を含有することを特徴とする皮膚化粧料にある。
【0006】
また本発明(2)は、ナンノクロロプシスが光バイオリアクターで培養されたものである(1)の皮膚化粧料にある。
更に、本発明(3)は、皮膚化粧料用のナンノクロロプシス又はその抽出物にある。
【発明の効果】
【0007】
本発明により、抗酸化ストレス作用、皮膚引締め効果に優れ、たるみ、しわ等の老化兆候等を緩和する皮膚化粧料を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の構成について詳説する。
【0009】
本発明の皮膚化粧料に用いられるナンノクロロプシスは、不等毛植物門、真正眼点藻類に属する海洋生物であり、ナンノクロロプシス・オキュラータ(Nannochloropsis oculata)等を含み、魚類の養殖等に用いられているものである。かつて海産クロレラとも呼ばれたものであるが現在では海産クロレラとはまったく別種であることが同定されている。ナンノクロロプシスとは別種である海産クロレラの化粧料への適用は提案されているが(特開昭61−161208号公報)、これまでにナンノクロロプシスの化粧料への配合は知られてはいない。
【0010】
ナンノクロロプシスは、海水に硫安、過燐酸石灰、尿素、スキムミルク、ペプトン、グルコース等、通常藻類の培養に用いられる窒素源、炭素源、あるいはそれらにニコチン酸又はニコチンアミド等のビタミンや酵母エキス、キレート剤、緩衝液等の添加剤を添加した培地を用いて培養することにより、得ることができ、必要に応じて遠心分離、濾過等により固形物を除去したものや加熱等により殺菌処理を行ったものや乾燥したものも用いることができる。培養においては他の微生物汚染の防止や抗酸化成分の濃縮の観点から光リアクター、光バイオリアクターを用いて閉鎖系で光を過剰照射する方法が望ましい。
【0011】
ナンノクロロプシスの抽出物は、培養等して得られたナンノクロロプシスから水、熱水、メタノール、エタノール等の極性有機溶媒、オリーブ油やスクワラン等の油剤を用いる抽出により得ることができる。好ましくは、水、熱水、エタノールによる抽出、特に好ましくは熱水による抽出である。水や熱水による抽出の際に、各種の塩類等を水や熱水に加えてもよい。また抽出物は、必要に応じて遠心分離、濾過等により固形物を除去したものや加熱等により殺菌処理を行ったものも用いることができる。ナンノクロロプシスの抽出物を、乾燥(例えば、凍結乾燥など)して使用してもよい。
【0012】
本発明の皮膚化粧料へのナンノクロロプシス抽出物の配合量は、皮膚化粧料の総量を基準として、0.01〜20%とするのが好ましく、特に好ましくは0.1〜10%である。
【0013】
本発明の皮膚化粧料の使用形態としては、例えば軟膏、クリーム、ローション、乳液、ジェル、ミスト、化粧下地、クレンジング料、マッサージ料等が挙げられ、薬事法上の医薬品、医薬部外品、化粧品等に適用することができる。
【0014】
尚、本発明の皮膚化粧料には上記の他に、タール系色素、酸化鉄等の着色顔料、パラベン、フェノキシエタノール、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム等の防腐剤、グルカン等のポリサッカライド、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、環状シリコン等のシリコン油、パラフィン、ワセリン等の炭化水素類、オリーブスクワラン、米スクワラン、米胚芽油、ホホバ油、ヒマシ油、紅花油、オリーブ油、マカデミアナッツ油、ヒマワリ油等の植物油、ミツロウ、モクロウ、カルナウバロウ等のロウ類、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸セチル、イソステアリン酸イソステアリル、ミリスチン酸イソプロピル等のエステル油、エタノール等の低級アルコール類、セタノール、ベヘニルアルコール、ステアリルアルコール、長鎖分岐脂肪族アルコール等の高級アルコール類、コレステロール、フィトステロール、分岐脂肪酸コレステロールエステル、マカデミアナッツ脂肪酸フィトステリルエステル等のステロール類及びその誘導体、硬化油等の加工油類、ステアリン酸、ミリスチン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、イソ型長鎖脂肪酸、アンテイソ型長鎖脂肪酸等の高級脂肪酸、リモネン、水素添加ビサボロール等のテルペン類、トリカプリル・カプリン酸グリセリル、2−エチルヘキサン酸グリセリル、トリイソ型長鎖脂肪酸グリセリル、トリパルミチン酸グリセリル等のトリグリセリド、セチル硫酸ナトリウム、N−ステアロイル−L−グルタミン酸塩等の陰イオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン多価アルコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、多価アルコール脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、変性シリコン、蔗糖エステル等の非イオン性界面活性剤、テトラアルキルアンモニウム塩等の陽イオン性界面活性剤、ベタイン型、スルホベタイン型、スルホアミノ酸型等の両性界面活性剤、レシチン、リゾフォスファチジルコリン、セラミド、セレブロシド等の天然系界面活性剤、酸化チタン、酸化亜鉛等の顔料、ジブチルヒドロキシトルエン等の抗酸化剤、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、硫酸ナトリウム、硝酸カリウム、硫酸ナトリウム、メタ珪酸ナトリウム、塩化カルシウム等の無機塩類、クエン酸ナトリウム、酢酸カリウム、琥珀酸ナトリウム、アスパラギン酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、ジクロロ酢酸、メバロン酸、グリチルリチン酸等の有機酸及びその塩、塩酸エタノールアミン、硝酸アンモニウム、塩酸アルギニン、ジイソプロピルアミン塩、尿素、デカルボキシカルノシン等の有機アミン類及びその塩、エデト酸等のキレート剤、キサンタンガム、カルボキシビニルポリマー、カラギーナン、ペクチン、アルキル変性カルボキシビニルポリマー、寒天等の増粘剤、水酸化カリウム、ジイソプロパノールアミン、トリエタノールアミン等の中和剤、ヒアルロン酸、コラーゲン、コンドロイチン硫酸等の生体高分子、N−アセチルグルコサミン及びそのオリゴマー、酵母、クリタケ等の培養生成物、カミツレ、アロエ、モモ、カロット、スギナ、クワ、桃の葉、セージ、ビワ葉、キュウカンバー、セイヨウキズタ、ハイビスカス、ウコン、ローズマリー、ピーカンナッツ、甘草、火棘、椿種子、茶の実等の植物エキス、胎盤抽出物、ヒドロキシメトキシベンゾフェノンスルフォン酸塩等の紫外線吸収剤、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、ソルビトール、マルビトール、ジグリセリン、ラフィノース等の多価アルコール、セリン、スレオニン、γ−アミノ酪酸、β−ヒドロキシ−γ−アミノ酪酸等のアミノ酸、N−メチル−L−セリン、ザルコシン等のアミノ酸誘導体、アスコルビン酸、ナイアシン、ビオチン、トコフェロール等のビタミン類及びアスコルビン酸硫酸エステル塩、アスコルビン酸燐酸エステル塩、ニコチン酸トコフェロール等のビタミン誘導体等を添加できるがこれに限定されるものではない。
【実施例】
【0015】
以下、実施例及び試験例により本発明をより詳細に説明する。
【0016】
実施例1
海水1000Lに対し硫安100g、過燐酸石灰15g、尿素5g、鉄EDTA5gを溶解させた後に加熱滅菌して培養液を調製し、同培養液にて前培養したナンノクロロプシスを播種した後10日間培養し、遠心分離にて細胞を回収し、熱水にて抽出して実施例1の組成物とした。
【0017】
試験例1
以下、実施例1の組成物を用いた、抗酸化ストレス試験、及び皮膚引き締め試験について説明する。
【0018】
抗酸化ストレス試験
(1)方法
96穴プレートにヒト線維芽細胞を播種し、72時間後に各濃度の実施例1の組成物の希釈液を加えて24時間培養する。緩衝液にて細胞を洗浄後10分間過酸化水素による酸化ストレスを付与しDCF−assayにより細胞の酸化ストレス量を測定した。実施例1を加えない時の酸化ストレス量を100として、各濃度の実施例1を加えた時の酸化ストレス量の割合を算定し、酸化ストレス残存量とした。
【0019】
(2)結果
結果を表1に示す。表1より明らかなように本発明の組成物(実施例1)に抗酸化ストレス防御効果が認められた。
【0020】
【表1】

【0021】
皮膚引き締め試験
(1)方法
健常な女性15名、男性5名に実施例1の組成物の5%水溶液(固形残分1%)と1%ポリアクリル酸ナトリウム(東亜合成社製、アロンA20P)水溶液をそれぞれ片側の前腕内側部に1日1回、3日間塗布させ、アンケートにより塗布直後及び30分後の実引締め効果をアンケートにより確認した。片方により強い引締め効果があった場合2点、同等であった場合双方に1点、どちらにも引締め効果が無いと判断された場合は双方0点とした。その結果実施例1の5%水溶液のスコアは84点、対照のポリアクリル酸ナトリウムゲルは38点となり、実施例1の組成物に皮膚引締め効果が確認された。
【0022】
以下、本発明の化粧料の実施例を示す。
【0023】
実施例2〜3(スキンクリーム)
実施例1の組成物を表2の組成でそれぞれを配合しスキンクリームを調製した(実施例2〜3)。
【0024】
(1)組成
【表2】

【0025】
(2)調製法
(A)成分及び(B)成分を各々80℃に加熱溶解した後混合して、攪拌しつつ冷却し、30℃まで冷却して、スキンクリームを調製した。
【0026】
実施例4〜6(ローション)
実施例1の組成物を表3の組成で配合し、ローションを調製した(実施例4〜6)。
【0027】
(1)組成
【表3】

【0028】
(2)調製法
各成分をそれぞれ混合溶解し、攪拌して、ローションを調製した。
【0029】
実施例7〜9(ジェル)
実施例1の組成物を表4の組成でそれぞれを配合しジェルを調製した(実施例7〜9)。
【0030】
(1)組成
【表4】

【0031】
(2)調製法
(A)成分及び(B)成分を各々60℃に加熱溶解した後混合して、攪拌しつつ冷却し、30℃まで冷却して、ジェルを調製した。
【0032】
実施例10〜12(親油クリーム)
実施例1の組成物を表5の組成で配合し、親油クリームを調製した(実施例10〜12)。
【0033】
(1)組成
【表5】

【0034】
(2)調製法
(A)成分及び(B)成分を各々60℃に加熱溶解した後混合して、攪拌しつつ冷却し、30℃まで冷却して、親油クリームを調製した。
【0035】
実施例13〜15(サンスクリーン)
実施例1の組成物を表6の組成でそれぞれを配合しサンスクリーンを調製した(実施例13〜15)。
【0036】
(1)組成
【表6】

【0037】
(2)調製法
(A)成分及び(B)成分を各々80℃に加熱溶解した後混合して、攪拌しつつ冷却し、30℃まで冷却して、サンスクリーンを調製した。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は、抗酸化ストレス作用、皮膚引締め効果に優れ、たるみ、しわ等の老化兆候等を緩和できるので、医薬品、医薬部外品、化粧品等に適用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナンノクロロプシス又はその抽出物を含有することを特徴とする皮膚化粧料。
【請求項2】
ナンノクロロプシスが光バイオリアクターで培養されたものである請求項1記載の皮膚化粧料。
【請求項3】
皮膚化粧料用のナンノクロロプシス又はその抽出物。

【公開番号】特開2006−232766(P2006−232766A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−52504(P2005−52504)
【出願日】平成17年2月28日(2005.2.28)
【出願人】(502084908)ペンタファルム・リミテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】PENTAPHARM LTD.
【Fターム(参考)】