説明

皮膚外用剤組成物

【課題】ポリ−γ−L−グルタミン酸を用いた皮膚外用剤組成物であって、肌荒れを防止、改善し、また皮膚に対する美白効果に優れ、安全性の高い皮膚外用剤組成物を提供する。
【解決手段】(a)ポリ−γ−L−グルタミン酸および/またはその塩、(b)ベンザミジンおよびその誘導体、アセタミジンおよびその誘導体、グアニジンおよびその誘導体、ω−アミノ酸類よりなる群から選ばれる一種または二種以上を含有することを特徴とする水中油型乳化皮膚外用剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は皮膚外用剤組成物、更に詳しくは肌荒れを防止、改善し、また皮膚に対する美白効果に優れ、安全性の高い皮膚外用剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
人の皮膚は、角質層によって覆われており、乾燥した大気中においても水分を失うことなく生命活動を維持できるのは、外界と接しているこの角質層が存在しているからであることはよく知られている。角質層は薄く柔軟で且つ体内の水分を保ち、健常な皮膚状態を維持するように調節している。
【0003】
しかしながら、我々は環境要因等(例えば、温度変化、湿度変化、光、水との接触、洗剤の使用等)により、しばしば表皮に何らかの損傷をきたすことがある。ダメージを受けた皮膚は、硬く、弾力性も失われ、カサカサとした肌荒れ状態となる。こうした肌荒れ皮膚は、近年、急増傾向にあるアトピー性皮膚炎との関連性も指摘されており、深刻なスキントラブルを招く恐れもある。
【0004】
荒れ肌には、角質細胞の剥離によるものと、乾燥により皮膚の健康状態が悪化して表皮の硬化や損傷に至るものがある。前者の荒れ肌はコレステロール、セラミド、脂肪酸等の角質細胞間脂質の溶出、および紫外線、洗剤等に起因する角質細胞の変性や表皮細胞の増殖・角化バランスの崩壊による角層透過バリアの形成不全等によって発生する。この荒れ肌を予防または治癒する目的で、角質細胞間脂質成分又はそれに類似する合成の角質細胞間脂質を供給するなどの検討が行われている。この角層細胞間脂質は、有棘層と顆粒層の細胞で生合成された層板顆粒が、角層直下で細胞間に放出され、伸展し、層板(ラメラ)構造をとり、細胞間に広がったものである。層板顆粒はグルコシルセラミド、コレステロール、セラミド、リン脂質等から構成されるが、角層細胞間脂質にはグルコシルセラミドは殆ど含まれていない。すなわち、層板顆粒中のグルコシルセラミドは、β−グルコセレブロシダーゼによって加水分解を受け、セラミドに変換され、このセラミドがラメラ構造をとる結果、角層細胞間脂質として角層透過バリアの形成を改善し、荒れ肌防御のバリアの働きを持つと考えられる。洗浄剤による肌荒れはセラミドの補充が有効であり、肌荒れの改善に高い効果を示すことが報告されている(非特許文献1)。
【0005】
一方、後者の荒れ肌には、皮膚外用剤組成物には皮膚の恒常性維持の他、皮膚からの水分揮散を防止し、皮膚を構成する表皮、角質層に水分を保持させ皮膚に保湿性、柔軟性を保たせみずみずしい肌を保持する等の目的で保湿剤が配合されている。従来より用いられてきた保湿剤としては、オリーブ油、等の植物油やラノリンのような動物由来の脂質に代表される親油性の保湿剤の他に親水性の保湿剤としては、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、ソルビトール等の水溶性多価アルコール、ヒアルロン酸及びキサンタンガムのような多糖類、ポリエチレングリコールなどの水溶性高分子、ピロリドンカルボン酸塩及びアミノ酸に代表される低分子量の天然保湿因子、植物抽出エキス等が知られている。
【0006】
このように様々な種類の親水性、親油性の保湿剤が存在するが、安全性を重要視する風潮などから、昨今では動物由来のものや化学合成品は避けられる傾向にあり、好ましくは天然物や微生物による発酵生産物で、さらには生体のみならず環境にも負荷の少ない生分解性の素材が期待され注目を浴びている。
【0007】
一方で、微生物が生産するバイオポリマーが有望視されている。バイオポリマーの中でも、アミノ酸が縮重合して構成されるポリアミノ酸と呼ばれる一群のバイオポリマーには、様々な機能が見出されており、その潜在能力に注目が集まっている。従来、ポリアミノ酸として、ポリ−γ−グルタミン酸(以下、「PGA」と表記することがある)、ポリ−ε−リジンおよびシアノファイシンの3種類が同定されている。
【0008】
PGAは、グルタミン酸のα−アミノ基とγ−カルボキシル基とがアミド結合したポリアミノ酸である。PGAは、古くから日本人に親しまれている納豆の糸引きの主体物質として知られる、吸水性のポリアミノ酸であるが、このように親しまれてきた背景として、その魅力的な機能性によるところが大きい。PGAの魅力的な機能としては、生分解性及び高吸水性を兼ね備えている点が知られている。これらの機能を利用して、上述した皮膚外用剤組成物をはじめ、医療品、食品等、種々の分野、用途で用いられることが期待されている。
【0009】
最近、ポリアミノ酸の構造的特徴(構成アミノ酸の光学活性や種類、分子サイズ、結合様式など)がその機能性に強く反映されていることが分かってきた。よく知られているところでは、生分解性と高吸水性を兼ね備えている点が挙げられる。それらの機能を利用し、食品、化粧品、医療品などの多くの分野で、種々の用途があるものと期待されている。しかし、現在、製品化されているPGAは、化学的にヘテロなDL−PGAである。具体的には、PGAは、納豆菌やその類縁菌から生産され、D−グルタミン酸及びL−グルタミン酸が不規則に結合しており、その含有比率や、配列は生産菌の培養毎に変動する。一般に、ポリアミノ酸の構造的特徴(構成するアミノ酸の光学活性や種類、分子サイズ、結合様式など)は、その機能に強く影響を与える。上記DL−PGAは、分子毎に構造が異なるため、その性質も分子毎に異なる。これでは、所望の品質を有するDL−PGAを安定して製造することが困難である。
【0010】
ホモポリ−γ−グルタミン酸を生産する菌も報告されている。例えば、炭疸菌Bacillus anthracisはD−グルタミン酸のみからなるポリ−γ−D−グルタミン酸(以下、D−PGAと記載することもある)を生産する事が報告されている(非特許文献2)。しかし、本菌は強い病原性を有する細菌であるため、工業的なPGA生産菌としては不適切であり、生産されるD−PGAの分子量も小さい。また、好アルカリ性細菌Bacillus haloduransは、L−グルタミン酸のみからなるポリ−γ−L−グルタミン酸および/またはその塩(以下L−PGAと記載することもある)を生産する事も報告されている(非特許文献3)。しかし、本菌の生産するL−PGAは分子量が極めて小さく、実用的な性能を得るには不十分である。
【0011】
一方、高分子量のホモポリ−γ−グルタミン酸の生産菌として、好塩性古細菌Natrialba aegyptiacaが分子量10万〜100万程度のL−PGAを生産することが報告されている。しかし、本菌は液体培養条件下では分子量が10万程度と小さい、かつ殆どポリ−γ−L−グルタミン酸および/またはその塩を生産しないため、工業的な生産菌として問題があった(非特許文献4、特許文献1)。
【0012】
上記以外に、L−PGAを生産する生物としては、ヒドラ等が挙げられるが、ヒドラの場合も同様に分子量が極めて小さいという問題がある(非特許文献3)。
【0013】
一方本発明者らは、均一な光学純度でかつ高分子量のポリ−γ−L−グルタミン酸および/またはその塩を液体培養などで大量に調製することを可能とした。より具体的には、数平均分子量が130万以上で、かつ均一な光学純度のポリ−γ−L−グルタミン酸および/またはその塩を、培養液1Lあたり4.99g以上の高い生産性で取得している(特許文献2)。
【0014】
また、ポリ−γ−L−グルタミン酸の架橋方法と架橋体(特許文献3)、並びにポリ−γ−L−グルタミン酸及びポリ−γ−L−グルタミン酸架橋体のうち少なくとも一方を含むことを特徴とする皮膚外用剤(特許文献4)の報告がある。
【0015】
皮膚外用剤組成物には種々の薬効成分が配合されている。その中で肌荒れ防止、肌荒れ改善効果および美白効果も薬効の一つであり、これらを目的とする化粧料等の皮膚外用剤組成物が求められていた。こうした中で従来は、天然物から抽出した各種原料、たとえばタンパク質、多糖、抽出エキス、天然高分子等がその使用効果が特徴的であるため皮膚外用剤に配合されてきた。
【0016】
しかしながら、その効果は必ずしも十分ではなく、より優れた効果のある薬効剤の開発が待望されていた。一方 皮膚の構造および機能の恒常性を保つ上で、皮膚には多くのプロテアーゼの存在が知られており、それらの重要な役割が近年注目を浴びている。プロテアーゼまたは蛋白分解酵素は、ペプチド結合の加水分解を触媒する酵素を総称した名称である。このプロテアーゼは、ペプチダーゼおよびプロテイナーゼに分類される。前者は、蛋白質またはペプチド鎖のアミノ基末端やカルボキシル基末端の外側より、ペプチド結合を切り離していく酵素で、後者のプロテイナーゼはペプチド鎖の内部の特定の結合を切断する酵素である。また、このプロテイナーゼは習慣的に広義の『プロテアーゼ』の名称で呼ばれることが多く、さらにこれらはその活性部位の性質により、1)セリン系、2)チオール(システイン)系、3)カルボキシル系および4)金属系プロテイナーゼの4種類に大別され、それぞれ特異的な阻害剤が存在している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】特表2002−517204号公報
【特許文献2】特開2007−314434号公報
【特許文献3】特開2008−120910号公報
【特許文献4】特開2008−120725号公報
【非特許文献】
【0018】
【非特許文献1】ジャーナル オブ バイオサイエンス アンド バイオエンジニアリング、94,187(2002)
【非特許文献2】Handy, W. E., and H.N. Rydon,Biochem J., 40, 297-309 (1946)
【非特許文献3】生物と化学 Vol.40, No.4, p212-214 (2002)
【非特許文献4】Hezayen, F. F., B. H. A. Rehm, B. J. Tindall and A. Steinbuchel, Int. J. Syst. E., 51, 1133-1142(2001)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明は、ポリ−γ−L−グルタミン酸を用いた皮膚外用剤組成物であって、肌荒れ防止、肌荒れ改善効果により優れ、さらに美白効果をも併せ持った皮膚外用剤を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
斯かる実情において、本発明者らは鋭意研究を行ったところ、プロテアーゼ阻害剤の一種又は二種以上とポリ−γ−L−グルタミン酸を配合することにより、増殖性の表皮肥厚、紅斑を伴う乾燥、落屑性の変化に対して極めて有効であり、さらに色素沈着をも有効に防止、改善することを見出し、本発明を完成した。
【0021】
すなわち、本発明は以下のような構成からなる。
(1)以下の(a)および(b)を含有することを特徴とする皮膚外用剤組成物。
(a)ポリ−γ−L−グルタミン酸および/またはその塩
(b)ベンザミジンおよびその誘導体、アセタミジンおよびその誘導体、グアニジンおよびその誘導体、ω−アミノ酸類よりなる群から選ばれる一種または二種以上
(2)ポリ−γ−L−グルタミン酸が、ポリ−γ−L−グルタミン酸分子同士の架橋構造を有することを特徴とするポリ−γ−L−グルタミン酸架橋体であることを特徴とする(1)の皮膚外用剤組成物。
(3)ポリ−γ−L−グルタミン酸の平均分子量が100万以上であることを特徴とする(1)または(2)の皮膚外用剤組成物。
(4)ポリ−γ−L−グルタミン酸の平均分子量が200万以上であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかの皮膚外用剤組成物。
(5)ポリ−γ−L−グルタミン酸の平均分子量が350万以上であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかの皮膚外用剤組成物。
(6)ポリ−γ−L−グルタミン酸の吸水倍率が10倍以上5000倍以下であることを特徴とする(1)〜(5)のいずれかの皮膚外用剤組成物。
(7)ω−アミノ酸類がトラネキサム酸、あるいはその誘導体およびその塩類であることを特徴とする(1)〜(6)のいずれかの皮膚外用剤組成物。
【発明の効果】
【0022】
本発明の皮膚外用剤組成物は、肌荒れを防止、改善し、また皮膚に対する美白効果に優れ、安全性の高い皮膚外用剤組成物である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の「ポリ−γ−L−グルタミン酸」とは、L−グルタミン酸のみからなるホモポリマ−である。その構造は式(I)にて示される構造である。α−COOHの水素は水素であっても良いし他の金属対イオンでも良い。例えば、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、マンガン、カルシウム、亜鉛及び鉄等一般的なものあれば限定する必要はない。そのなかでも好ましくはナトリウムである。
【0024】
【化1】

【0025】
本発明の「分子量」とはプルラン標準物質の分子量換算にて算出した数平均分子量(Mn)のことを指す。
【0026】
本発明のポリ−γ−L−グルタミン酸は、既存の方法で得ることができる。たとえば、特許文献2(特開2007−314434号公報)に記載された方法で、ポリ−γ−L−グルタミン酸を得ることができる。以下に、一例として、特許文献2を参考にしたポリ−γ−L−グルタミン酸の製造方法を述べるがこれに限定されるものではない。
【0027】
たとえば、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センタ−に、ナトリアルバ エジプチアキア(Natrialba aegyptiaca)0830−82株(受託機関名:独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センタ−、受託日:平成18年4月4日、受託番号:FERM BP−20872)、ナトリアルバ エジプチアキア(Natrialba aegyptiaca)0830−243株(受託機関名:独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センタ−、受託日:平成18年4月4日、受託番号:FERM BP−20873)、またはナトリアルバ エジプチアキア(Natrialba aegyptiaca)0831−264株(受託機関名:独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センタ−、受託日:平成18年4月4日、受託番号:FERM BP−20874)として寄託されている菌株をもちいてポリ−γ−L−グルタミン酸を得る場合、液体培養によりポリ−γ−L−グルタミン酸を得ることができる。または、特許文献2(特開2007−314434号公報)に記載された方法で微生物を変異処理し、液体培養によりポリ−γ−L−グルタミン酸を生産できる微生物を作製し、ポリ−γ−L−グルタミン酸を生産することもできる。また、ナトリアルバ エジプチアキア(Natrialba aegyptiaca)を常法により固相培養し、ポリ−γ−L−グルタミン酸を生産することもできる。
【0028】
液体培養する場合には、振とう培養、通気攪拌培養など好気条件などで行うことが望ましい。その際の培養温度は、30〜50℃、好ましくは35〜45℃が適当である。また、培地のpHは、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、塩酸、硫酸またそれらの水溶液などによって調整できるが、pH調整できれば限定されない。培養pH5.0−9.0、好ましくはpH6.0−8.5で培養するのが望ましい。また、培養期間は、通常2〜7日間程度でよい。また、培養時のNaCl濃度は10〜30%、好ましくは15〜25%で培養するのが望ましい。また、Yeast Extract濃度は0.1〜10%、好ましくは0.5〜5.0%濃度で培養するのが望ましい。また、固体培養の場合においても前期液体培養の場合と応用に、培養温度は30〜50℃、好ましくは35〜45℃、培養時のpHは5.0−9.0、好ましくはpH6.0−8.5、培養時のNaCl濃度は10−30%、好ましくは15〜25%、Yeast Extract濃度は0.1−10%、好ましくは0.5−5%濃度が採用される。このようにして培養すると、ポリ−γ−L−グルタミン酸は、主として菌体外に蓄積されて前記した培養物中に含まれる。特に限定はされないが、PGA生産液体培地−1(22.5% NaCl、2% MgSO・7HO、0.2% KCl、3% Trisodium Citrate、1% Yeast Extract、0.75% Casamino acid)を使用してもよく、各添加量は菌株にあわせて適宜調整すればよい。
【0029】
培養液中のポリ−γ−L−グルタミン酸の定量方法としては、ポリ−γ−L−グルタミン酸を含む試料から、硫酸銅やエタノ−ルを用いて沈澱させ、その沈殿物の重量測定およびKijerder法による総窒素の測定を行なうもの(M.Bovarnick,J.Biol.Chem.,145巻、415ペ−ジ、1942年)、塩酸加水分解後のグルタミン酸量を測定する方法(R.D.Housewrigt,C.B.Thorne,J.Bacteriol.,60巻、89ペ−ジ、1950年)及び、塩基性色素との定量的な結合を利用した比色法(M.Bovarnick et al.,J.Biol.Chem.,207巻、593ペ−ジ、1954年)が知られているが好ましくは、塩基性色素との定量的な結合を利用した比色法である。
【0030】
塩基性色素としてはクリスタルバイオレット、アニリンブル−、サフラニンオ−、メチレンブル−、メチルバイオレット、トルイジネブル−、コンゴレッド、アゾカルマイン、チオニン、ヘマトキシリンなどがあげられるが、サフラニンオ−が好ましい。
【0031】
この培養物からポリ−γ−L−グルタミン酸を分離、採取するには、硫酸銅やエタノ−ルを用いて沈澱させるなどの前記の公知の方法を用いればよい。一例を挙げると、例えば、培養液を遠心分離し、菌体を取り除く。続いて、得られた上清液に3倍量の水を加え希釈した後、pHを3.0に調整する。pH調整後、5時間 室温で攪拌した。その後、3倍量のエタノ−ルを加え、ポリ−γ−L−グルタミン酸を沈殿物として回収した。沈殿物を0.1mM Tris−HCl緩衝液(pH8.0)に溶解させ、低分子物質を透析により除去する。透析後、得られた液を核酸除去のため、DNase、RNase処理を行っても良いし、次いでタンパク質除去のために、Proteinase処理を行っても良い。Proteinase処理後、透析により低分子物質を除去しても良い。透析後、凍結乾燥等により、乾燥ポリ−γ−L−グルタミン酸を得ればよい。また、必要により陰イオン交換樹脂を用いた精製を行うことができるが、一般的な条件で精製可能である。
【0032】
本発明に使用するポリ−γ−L−グルタミン酸の分子量は、特に限定されないが、好ましくは50万以上、より好ましくは80万以上、さらに好ましくは100万以上、特に好ましくは130万以上である。
【0033】
L−PGAの分子量の上限値は特に限定されるものではないが、前述のL−PGAの製造方法によれば、例えば、600万、最大で1500万のL−PGAを得ることができる。
【0034】
このポリ−γ−L−グルタミン酸および/またはその塩は、古細菌によって生産されるために、納豆菌によって生産されるポリ−γ−L−グルタミン酸および/またはその塩と比べて特有の臭気が軽減することで、化粧品、医薬部外品、医療用品、衛生用品または医薬品の用途に利用しても品質を損なうことがない。
【0035】
ここで、(a)成分であるポリ−γ−L−グルタミン酸は外相(水相)に配合される。(a)成分の配合量は、本発明化粧料中に0.6〜4.0質量%である。配合量が0.6質量%未満では充分な油分散能と粘性が得られず、一方、4.0質量%を超えると粘度が高くなり、均一溶解が困難になるため、好ましくない。
【0036】
本発明におけるプロテアーゼ阻害剤とは、前記プロテアーゼまたは蛋白分解酵素の加水分解作用を、可逆的もしくは不可逆的に阻害し得る全ての化学物質を意味する。以下に主な物質を挙げる。
【0037】
(1)動物または植物由来の化合物
好ましくはウシ膵塩基性トリブシンインヒビター、アブロチニン、ダイズトリブシンインヒビター、リマ豆プロテアーゼインヒビター、トウモロコシプロテアーゼインヒビター等がある。
(2)微生物由来の化合物
好ましくはアンチバイン、ブラスミノストレプチン、さらには下記の一般式で表わされるロイペプチンと総称される化合物等がある。
【0038】
【化2】

【0039】
=CHCO,CHCHCO
=L−Lue,L−Ile,L−Val
=L−Lue,L−Ile,L−Val
(Leu:ロイシン Ile:イソロイシン Val:バリン)
【0040】
(3)ベンザミジンおよびその誘導体 本発明で用いられる誘導体はプロテアーゼ阻害活性を有する。標題の化合物として、本発明では、ベンザミジン、メチル m−アミジノベンゾエート、メチル p−アミジノベンゾエート、エチル m−アミジノベンゾエート、エチル p−アミジノベンゾエート、メチル p−アミジノフェニルアセテート、エチル p−アミジノフェニルアセテートを意味する。
【0041】
(4)アセタミジンおよびその誘導体
本発明で用いられる誘導体はプロテアーゼ阻害活性を有する。標題の化合物として、本発明では、アセタミジン、2−フェニルアセタミジン、シクロヘキシルカイオキサミジンを意味する。
【0042】
(5)グアニジンおよびその誘導体
本発明で用いられる誘導体はプロテアーゼ阻害活性を有する。標題の化合物として、本発明では、グアニジン、グアニジノ安息香酸およびそのエステル、フェニルグアニジン、シクロヘキシルグアニジン、ε−グアニジノカプロン酸エステルを意味する。ここで、グアニジノ安息香酸エステルとしては、メチル p−グアニジノベンゾエート、メチル p−グアニジノフェニルアセテート、p−ニトロフェニル−p′−グアニジノベンゾエートが挙げられる。またε−グアニジノカプロン酸エステルとしては、p−カルベトキシフェニル ε−グアニジノカプロエート、ヘキシル ε−グアニジノカプロエート、フェニル ε−グアニジノカプロエート、ベンジル ε−グアニジノカプロエートが挙げられる。
【0043】
(6)ω−アミノ酸類
本発明では、トラネキサム酸、p−アミノメチル安息香酸、4−アミノメチルビシクロ(2.2.2)オクタン−1−カルボン酸、5−〔トランス−4−(アミノメチル)シクロヘキシル〕テトラゾール、3−〔トランス−4−(アミノメチル)シクロヘキシル〕−2−オキソプロピオネート、トランス−4−(アミノメチル)シクロヘキシルグリオキサルモノヒドレート、トランス−4−(アミノメチル)シクロヘキサンヒドロキサミックアシッド、下記一般式(I)で表されるアミノメチルシクロヘキシル酸エステル、下記一般式(II)で表される物質を意味する。
【0044】
【化3】

【0045】
【化4】

【0046】
炭素数1〜7の低級アルキルとして、具体的にはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、アミル、イソアミル、ヘキシル、ヘプチル等が挙げられる。なお、上記一般式(II)において、n=6のものは一般にε−アミノカプロン酸エステルといわれる。これらω−アミノ酸類の中で、トラネキサム酸、p−アミノメチル安息香酸およびアミノメチルシクロヘキシル酸エステルに特に優れた効果が認められる。
【0047】
(7)フルオロリン酸およびその誘導体
好ましくはジイソプロピルフルオロリン酸がある。
【0048】
(8)フルオロスルホン酸およびその誘導体
好ましくはフェニルメタンスルホニルフルオリド、[(p−アミジノフェニル)メタンスルホニルフルオリド等がある。
【0049】
(9)グアニジノ安息香酸およびその誘導体
好ましくはp−ニトロフェニル−p′−グアニジノ安息香酸、3′,6′−ビス(4−グアニジノベンゾイロキシ)−5−(N′−4−カルボキシフェニル)チオウレイドスピロ[イソベンゾフラン−1(3H),9′−(9H)キサンゼン]−3−オン等がある。
【0050】
(10)リジンおよびその誘導体
好ましくは下記一般式で表わされる化合物等がある。本発明は、これらに限定されるものではないが、これらリジンおよびその誘導体の中でR=CHClが特に好ましい。
【0051】
【化5】

【0052】
(11)アルギニンおよびその誘導体 好ましくは下記一般式で表わされる化合物等がある。上記アルギニンおよびその誘導体の中でR=CHClが特に好ましい。
【0053】
【化6】

【0054】
以上の物質については、それぞれがプロテアーゼ阻害作用を有していることが知られているが、肌荒れ防止、改善効果および美白効果をもつことは勿論知られていない。
【0055】
本発明においては、上記プロテアーゼ阻害剤のうち、(3)ベンザミジンおよびその誘導体、(4)アセタミジンおよびその誘導体、(5)グアニジンおよびその誘導体、(6)ω−アミノ酸類の中から選ばれる一種または二種以上と、ポリ−γ−L−グルタミン酸あるいはその塩を併用して用いることで肌荒れ防止、改善効果および美白効果をより向上させることができる。
【0056】
本発明においてプロテアーゼ阻害剤の皮膚外用剤組成物への配合量は、組成物全量中0.0001〜10.0(重量%)が好ましく、0.001〜5.0(重量%)がより好ましい。0.0001(重量%)未満では本発明の効果が十分ではなく、10.0(重量%)を越えると製剤上好ましくなく、かつコスト的にも不利である。また併用するヒアルロン酸あるいはその塩の配合量は0.0001〜10.0(重量%)が好ましく、0.001〜5.0(重量%)がより好ましい。
【0057】
本発明の皮膚外用剤組成物は前記の必須成分に加えて、必要に応じ、本発明の効果を損なわない範囲内で、化粧料、医薬部外品、医薬品等に一般に用いられる各種成分、水性成分、保湿剤、増粘剤、紫外線吸収剤、防腐剤、酸化防止剤、香料、色剤、薬剤、生薬、等を配合することができる。
【0058】
また本発明の皮膚外用剤組成物の剤型は任意であり、例えば、化粧水等の可溶化系、乳液、クリーム等の乳化系あるいは軟膏、粉末分散系、水−油二層系、水−油−粉末三層系等どのような剤型でもかまわない。
【0059】
以下、本発明を実施例に基づき、より詳細に説明する。なお、本発明は、特に実施例に限定されるものではない。また、本明細書中に記載された学術文献および特許文献の全てが、本明細書中において参考として援用される。なお、以下の実施例に示す「%」は全て「重量%」である。
【0060】
〔製造例1;ポリ−γ−L−グルタミン酸の製造〕
Natrialba aegyptica(受託番号:FERM BP−10749)のL乾燥アンプルに、0.4mlのPGA生産用液体培地(22.5% NaCl、2% MgSO・7HO、0.2% KCl、3% Trisodium Citrate、1% Yeast Extract、0.75% Casamino acid)を加えて懸濁液を得た。0.2mlの当該懸濁液を、PGA寒天培地(10% NaCl、2% MgSO・7HO、0.2% KCl、3% Trisodium Citrate、1% Yeast Extract、0.75% Casamino acid、2% Agar)に接種し、37℃で3日間培養して、シングルコロニーを得た。
【0061】
次に、5本の18ml容試験管に、それぞれ、3mlのPGA生産液体培地(22.5% NaCl、2% MgSO・7HO、0.2% KCl、3% Trisodium Citrate、1% Yeast Extract、0.75% Casamino acid、pH7.2)を入れ、さらに、上記シングルコロニーを白金耳で1白金耳掻き取り植菌した。植菌後の試験管を、37℃、300rpmで3日間培養して、さらに、得られた培養液0.5mlを、50ml PGA生産液体培地を入れた500ml容坂口フラスコ10本にそれぞれ植菌し、37℃で5日間培養した。培養後、得られた培養液を遠心し、菌体を取り除いて上清を回収した。
【0062】
次に、回収した上清に3倍量の水を加え希釈した後、1N硫酸でpHを3.0に調整した。pHを調整した後、室温で5時間攪拌した。その後、3倍量のエタノールを加えて遠心分離を行い、沈殿物を回収した。この沈殿物がL−PGAである。
【0063】
回収したL−PGAを0.1mM Tris−HCl緩衝液(pH8.0)に溶解して、これを、低分子物質等の不純物を除去するために透析した。次に、透析後の液体に含まれる核酸を除去するために、当該液体に、MgClが1mM、DNaseI(TAKARA社製)が10U/ml、RNaseI(ニッポンジーン製)が20μg/mlとなるように加えて、37℃で2時間インキュベートした。次いでタンパク質を除去するために、核酸を除去した後の液体にProteinase K(タカラバイオ製)を3U/mlとなるように添加して、37℃で5時間インキュベートしてProteinase K処理を行なった。
【0064】
Proteinase K処理の後、超純水で透析し、低分子物質を除去した。次に、L−PGAを陰イオン交換樹脂(Q sepharose Fast Flow、GE ヘルスケア バイオサイエンス社製)に吸着させ、0.5MのNaCl水溶液で洗浄した後、1MのNaCl水溶液で溶出した。得られた溶液を、さらに超純水で透析し、透析後の溶液を凍結乾燥することにより、L−PGAのナトリウム塩(以下、「L−PGA・Na塩」と表記する)を得た。なお、超純水は、MilliQ(Millipore社製の純水製造装置)で作製した。
【0065】
〔製造例2;ポリ−γ−L−グルタミン酸の分子量分析−1〕
製造例1で得たL−PGA・Na塩の平均分子量を、GPC分析にて測定した。その結果、Mw=7,522,000、Mn=3,704,000、Mw/Mn=2.031であることが確認された(プルラン換算)。
【0066】
なお、GPC分析は、以下の条件で行なった。
装置:HLC−8220GPC(東ソー社製)
カラム:TSKgel α−M(東ソー社製)
流速:0.6ml/min
溶出液:0.15M NaCl水溶液
カラム温度:40℃
注入量:10μl
検出器:示差屈折計
【0067】
〔製造例3;ポリ−γ−L−グルタミン酸の分子量分析−2〕
製造例1において、1.0MのNaCl水溶液溶出した後、さらに、1N HClを用いて、pHを2.0に調製した以外は、製造例1と同様の操作を行なって得たL−PGA・Na塩の平均分子量をGPC分析により測定した。その結果、Mw=2,888,000、Mn=1,327,000、Mw/Mn=2.176であることが確認された(プルラン換算)。なお、本製造例におけるGPC分析は、製造例2と同様の操作で行なった。
【0068】
〔製造例4;ポリ−γ−L−グルタミン酸架橋体の作製〕
製造例1で得たL−PGA・Na塩の5%水溶液を作製した。
【0069】
次に、L−PGA・Na塩水溶液を、窒素を用いて3分間バブリングした後、蓋付き10mlサンプル瓶に、2ml分取して蓋を閉めた。
【0070】
次に、サンプル瓶に、線源をコバルト60とするγ線照射装置を用いてγ線を照射した。照射線量は、5kGyとなるように照射した。γ線照射後に得られた生成物を、サンプル瓶から取り出し、余分な水分を80メッシュの金網で水切りした後、凍結乾燥することで、L−PGA架橋体粉末を得た。なお、上記余分な水分には、未架橋のL−PGAが含まれており、当該水切りは、未架橋のL−PGAを除去することが主たる目的である。
【0071】
次に、本発明において用いた試験法、評価法を説明する。
実使用テスト
本発明に係わる皮膚外用剤組成物の外皮適用による効果を、肌荒れ、カミソリまけおよび色素沈着に対する改善率から評価した。
肌荒れ改善効果
肌荒れあるいは日焼け後の肌のほてりの病状で悩む被験者各60名で実施し、表1に示す組成のローションを顔面に塗布し、2週間後肌状態を目視で判定した。またカミソリまけする男性被験者60名を対象に髭剃り直後に表−1に示す組成のローションを塗布し、カミソリまけに対する効果を判定した。各判定基準は以下の通りとした。
【0072】
【表1】

【0073】
肌荒れに対する改善効果
著効:症状の消失したもの
有効:症状が弱くなったもの
やや有効:症状がやや弱くなったもの
無効:症状に変化を認めないもの
カミソリまけに対する改善効果
著効:カミソリまけの消失したもの
有効:カミソリまけが非常に改善したもの
やや有効:カミソリまけがやや改善したもの
無効:カミソリまけに変化を認めないもの
【0074】
(判定)
◎:被験者が著効、有効およびやや有効を示す割合(有効率)が80%以上
○:被験者が著効、有効およびやや有効を示す割合(有効率)が50%以上〜80%未満
△:被験者が著効、有効およびやや有効を示す割合(有効率)が30%〜50%未満
×:被験者が著効、有効およびやや有効を示す割合(有効率)が30%未満
【0075】
表2から明らかなようにトラネキサム酸とヒアルロン酸を配合する本発明のローションは各比較例のローションより、肌荒れ、カミソリまけに対して優れた改善効果を示した。
【0076】
【表2】

【0077】
[肌荒れ改善効果試験]
実施例1で得たローションと比較例1〜3を用いて人体パネルで肌荒れ改善効果試験を行なった。即ち、女性健常人(顔面)の皮膚表面形態をミリスン樹脂によるレプリカ法を用いて肌のレプリカを取り、顕微鏡(17倍)にて観察する。皮紋の状態及び角層の剥離状態から表3に示す基準に基づいて肌荒れ評価1,2と判断されたもの(肌荒れパネル)60名を用い、顔面左右半々に、実施例1で得たローションと比較例1〜3を1日1回2週間塗布した。2週間後、再び上述のレプリカ法にて肌の状態を観察し、表3の判定基準に従って評価した。
【0078】
【表3】

【0079】
表4より判るように、本発明のローションは各比較例のローションと比較し、顕著な肌荒れ改善効果が認められた。
抗色素沈着効果
<薬理効果試験>
抗色素沈着効果および副作用
8MOP処理光毒性色素沈着Veiser Maple GPを用いて、毛刈りした背部に50μLのテストサンプルを1日1回約4cmの範囲に8週間塗布し、抗色素沈着効果および副作用としてあらわれた色素増強の程度を表5に示した4点評価法(+の評価点は脱色効果、−の評価点は副作用)にて表した。使用サンプルはアスコルビン酸水溶液とトラネキサム酸とヒアルロン酸の混合水溶液を用いた。
【0080】
【表4】

【0081】
【表5】

【0082】
表6から明らかなように、アスコルビン酸は長期適用により、副作用として色素沈着が起こるのに対し、トラネキサム酸とヒアルロン酸の混合水溶液は脱色効果が優れるとともに、長期連用による副作用を生じなかった。
【0083】
【表6】

【0084】
<実使用試験>
顔面に色素沈着症を有する被験者100名をパネルとして、各々25名には下記処方の実施例1〜3を、残りの25名には比較例1を1日に2〜3回顔面に使用させ、3ケ月連続使用後、医師により肉眼で淡色化効果の判定を行なった。
【0085】
表7の結果から明らかなように、トラネキサム酸とヒアルロン酸を配合した皮膚外用剤組成物は、雀卵斑、肝斑、老人性色素版等、多種の色素沈着症に著しい効果を有することが示唆された。
【0086】
【表7】

【0087】
実施例2 化粧水
(製法)
精製水に表8における(1)、(2)、(3)、(7)、(8)を溶解する。別にエタノールに(5)、(6)、(9)を溶解し、これを前記の精製水溶液に加えて溶解し、濾過して化粧水を得た。
【0088】
【表8】

【0089】
実施例3 クリーム
表9における(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)、(7)、(8)と(9)を加熱溶解し、75℃に保ったものを、75℃に加温した(10)(11)と(12)に撹拌しながら加える。ホモミキサーで撹拌乳化しながら冷却してクリームを得た。
【0090】
【表9】

【0091】
実施例4 パック
表10における(9)に(3)(4)(6)(7)を加え撹拌溶解する。次に(2)を加え加熱撹拌し、(8)を溶解した(5)および(1)を加え撹拌溶解してパックを得た。
【0092】
【表10】

【0093】
実施例5 固型白粉
(製法)
表11に示す組成を用いた。タルク、顔料をニーダーで十分混合する(粉末部)。トリエタノールアミンを50%相当量の精製水に加え70℃に保つ(水相)。香料を除く他の成分を混合し、加熱溶解して70℃に保つ(油相)。水相に油相を加えホモミキサーで均一に乳化し、これを粉末部に加えニーダーで練り合わせた後、水分を蒸発させ粉砕機で処理する。さらにこれをよくかきまぜながら香料を均一に噴霧し圧縮成形する。
【0094】
【表11】

【0095】
実施例6 口紅
(製法)
表12に示す組成により、常法により乳化組成物を作製した。
【0096】
【表12】

【0097】
実施例7 化粧水
(製法)
表13に示す組成により、水相、アルコール相を調節後可溶化した。
【0098】
【表13】

【産業上の利用可能性】
【0099】
本発明は、ポリ−γ−L−グルタミン酸および/またはその塩およびプロテアーゼ阻害剤を含有することにより、肌荒れを防止、改善し、また皮膚に対する美白効果に優れ、安全性の高い皮膚外用剤組成物を提供することができる。さらに、従来のポリ−γ−L−グルタミン酸よりも、原料コストが安価であり、大量生産可能となり、長期にわたる使用に十分に耐え得ることからも、産業界に大きく寄与することが期待される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の(a)および(b)を含有することを特徴とする皮膚外用剤組成物。
(a)ポリ−γ−L−グルタミン酸および/またはその塩
(b)ベンザミジンおよびその誘導体、アセタミジンおよびその誘導体、グアニジンおよびその誘導体、ω−アミノ酸類よりなる群から選ばれる一種または二種以上
【請求項2】
ポリ−γ−L−グルタミン酸が、ポリ−γ−L−グルタミン酸分子同士の架橋構造を有することを特徴とするポリ−γ−L−グルタミン酸架橋体であることを特徴とする請求項1に記載の皮膚外用剤組成物。
【請求項3】
ポリ−γ−L−グルタミン酸の平均分子量が100万以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の皮膚外用剤組成物。
【請求項4】
ポリ−γ−L−グルタミン酸の平均分子量が200万以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の皮膚外用剤組成物。
【請求項5】
ポリ−γ−L−グルタミン酸の平均分子量が350万以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の皮膚外用剤組成物。
【請求項6】
ポリ−γ−L−グルタミン酸の吸水倍率が10倍以上5000倍以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の皮膚外用剤組成物。
【請求項7】
ω−アミノ酸類がトラネキサム酸、あるいはその誘導体およびその塩類であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の皮膚外用剤組成物。


【公開番号】特開2011−251949(P2011−251949A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−127644(P2010−127644)
【出願日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【出願人】(000003160)東洋紡績株式会社 (3,622)
【Fターム(参考)】