説明

皮膚外用剤

【課題】極めて優れた保湿効果とみずみずしい使用感(保湿効果感)を備えた保湿剤、皮膚外用剤を提供する。
【解決手段】式(I)で示される低級アルキルペンチトールエーテル、および下記式(II)で示される低級アルキルヘキシトールエーテルの中から選ばれる1種または2種以上からなる保湿剤、および該保湿剤を含有する皮膚外用剤。


〔Aは水素原子m個を除いたペンチトール残基、RはC1−4アルキル基(ヒドロキシアルキル基含む)、mはRの平均置換度で1〜5の範囲の数である。〕


〔Bは水素原子n個を除いたヘキシトール残基、RはC1−4アルキル基(ヒドロキシアルキル基含む)、nはRの平均置換度で1〜6の範囲の数である。〕

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は特定のポリオールエーテルからなる新規な保湿剤、および該ポリオールエーテルを含む皮膚外用剤に関する。本発明は安全性が高く、保湿効果に極めて優れ、みずみずしい使用感(保湿効果感)を有する。
【背景技術】
【0002】
健康な皮膚を保つためには水分の保持が不可欠であり、保湿を目的とした皮膚外用剤が数多く開発されている。また、皮膚外用剤の使用感としては、滑らかさがありみずみずしいものが求められている。保湿剤に関する研究は盛んに行われ、例えば化粧水や乳液等、各種化粧品に用いられている保湿剤として、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、キシリトール等のポリオールが挙げられる。これらポリオール保湿剤は分子内に水酸基を多く持ち、優れた保湿性をもつと考えられるが、その多くは極性が高いため、皮膚に浸透し難いという問題があり、保湿効果は十分満足し得るといえない。保湿効果を上げるためには配合量を増やさなければならず、その結果、系が不安定になったり、使用性が悪くなるという問題もある。さらに、ソルビトール、キシリトール等の常温で固体を呈するポリオールは、皮膚外用剤に配合して塗布しても、水分の蒸発に伴い、皮膚上で固化、析出し、水分を保持し得なくなり、十分な保湿効果を発揮できない。加えて最近では、従来にもましてより一層の保湿効果の向上が求められている。
【0003】
本出願人は従前に、ポリオール保湿剤の保湿効果向上を図って、テトリトール(例えばエリスリトール等)に低級アルキル基を結合させた低級アルキルテトリトールエーテルからなる保湿剤、および該低級アルキルテトリトールエーテルを含む皮膚外用剤を提案している(例えば、特許文献1参照)。該特許文献1に記載の低級アルキルテトリトールエーテルは、良好な保湿効果や肌荒れ改善効果を有するが、みずみずしい使用感(保湿効果感)についての検討は特には行っていなかった。
【0004】
【特許文献1】特開平11−35443号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、より一層の保湿効果とみずみずしい使用感(保湿効果感)を備えた保湿剤、皮膚外用剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、ポリオールの中から特にペンチトール、ヘキシトールを選択し、これらに低級アルキル基を結合させたエーテル化合物が、極めて優れた保湿効果を有するとともに、みずみずしい使用感(保湿効果感)を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち本発明は、下記式(I)で示される低級アルキルペンチトールエーテル、および下記式(II)で示される低級アルキルヘキシトールエーテルの中から選ばれる1種または2種以上を含有する皮膚外用剤を提供する。
【0008】

【0009】
〔式(I)中、Aは水素原子m個を除いたペンチトール残基を表し;Rは炭素原子数1〜4のアルキル基を表し(直鎖状、分岐鎖状、環状、飽和、不飽和のいずれでもよく、ヒドロキシアルキル基であってもよい);mはRの平均置換度を表し、1〜5の範囲の数である。〕
【0010】

【0011】
〔式(II)中、Bは水素原子n個を除いたヘキシトール残基を表し;Rは炭素原子数1〜4のアルキル基を表し(直鎖状、分岐鎖状、環状、飽和、不飽和のいずれでもよく、ヒドロキシアルキル基であってもよい);nはRの平均置換度を表し、1〜6の範囲の数である。〕
【0012】
また本発明は、上記式(I)で示される低級アルキルペンチトールエーテル、および上記式(II)で示される低級アルキルヘキシトールエーテルの中から選ばれる1種または2種以上からなる保湿剤を提供する。
【発明の効果】
【0013】
本発明の保湿剤、皮膚外用剤は、極めて優れた保湿効果を有するとともに、みずみずしい使用感(保湿効果感)を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明について詳述する。
【0015】
本発明に用いる低級アルキルペンチトールエーテル、低級アルキルヘキシトールエーテルは、いずれも極めて優れた保湿効果とみずみずしい使用感(保湿効果感)を有する。したがって、保湿剤として皮膚外用剤に用いることができる化合物である。従来、ペンチトール、ヘキシトールの低級アルキルエーテル化合物である低級アルキルペンチトールエーテル、低級アルキルヘキシトールエーテルが化粧料等の皮膚外用剤に配合されたことはなく、これら化合物は、皮膚外用剤の分野においては新規な原料化合物である。
【0016】
[低級アルキルペンチトールエーテル]
本発明に用いる低級アルキルペンチトールエーテルは、下記式(I)で示される。
【0017】

【0018】
上記式(I)中、各置換基の定義は以下のとおりである。
【0019】
Aはペンチトールからm個の水素原子を除いた残基である。ペンチトールは炭素原子数5のペントースの糖アルコールであり、例えばアラビトール、キシリトール、リビトール等が挙げられる。
【0020】
Rは炭素原子数1〜4のアルキル基で、直鎖アルキル基、分岐アルキル基、不飽和アルキル基、シクロアルキル基、ヒドロキシアルキル基のいずれでもよい。具体的には、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、s−ブチル基、t−ブチル基、アリル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、2−メチル2−プロペニル基、2,4−ビシクロプロピル基、シクロブチル基、2−メチルシクロプロピル基、2−ヒドロキシエチル基、3−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシ1−メチルエチル基、4−ヒドロキシブチル基、3−ヒドロキシブチル基、2−ヒドロキシブチル基、3−ヒドロキシ2−メチルプロピル基、2−ヒドロキシ2−メチルプロピル基、2−ヒドロキシ1,1−ジメチルエチル基、2,3−ジヒドロキシプロピル基、ビス(ヒドロキシメチル)メチル基、2,3−ジヒドロキシブチル基、2,4−ジヒドロキシブチル基、3,4−ジヒドロキシブチル基、2,3−ジヒドロキシ2−メチルプロピル基、3−ヒドロキシ2−ヒドロキシメチルプロピル基、1,1−ビス(ヒドロキシメチル)エチル基、トリス(ヒドロキシメチル)メチル基等が挙げられる。
【0021】
ペンチトールの5つの水酸基と低級アルキル基のエーテル結合位置は、任意であり、いずれの位置でもかまわない。エーテル結合数は、水に対する溶解性の点からモノエーテルが好ましいが、ジエーテル、トリエーテル、テトラエーテル、ペンタエーテルのいずれの混合物でもかまわない。また、低級アルキル基がいずれか2種類以上の結合物でもかまわない。平均置換度mは、1〜5の範囲の数であるが、低級アルキルペンチトールエーテル化合物の性状として半固体〜液体、特には液体が望ましく、また保湿能の観点から水酸基を1つ以上有することが望ましいことから、2〜4の範囲の数が好ましい。
【0022】
ペンチトールは常温で固体を呈し、皮膚外用剤に配合して皮膚に塗布した場合、水分の蒸発とともに固化したり析出し、水分保持能が低いという不具合があった。これに対し本発明の低級アルキルペンチトールエーテルは、ペンチトールに比べ融点が低く、上記不具合を防止することができ、低湿度下においても高い水分保持能を有する。
【0023】
かかる低級アルキルペンチトールエーテルは公知の化合物で、その製造方法は特に限定されるものでなく、通常のエーテル製造方法に準じて行うことができる。例として、後掲の実施例にエチルキシリトールエーテルの製造方法を具体的に示す。
【0024】
[低級アルキルヘキシトールエーテル]
低級アルキルヘキシトールエーテルを製造するために用いるヘキシトールとは、炭素原子数6のヘキソースの糖アルコールであり、例えば、ソルビトール、マンニトール、ガラクチトール、イジトール、タリトール、アリトール等が挙げられる。
【0025】
本発明に用いる低級アルキルヘキシトールエーテルは、下記式(II)で示される。
【0026】

【0027】
上記式(II)中、各置換基の定義は以下のとおりである。
【0028】
Bはヘキシトールからn個の水素原子を除いた残基である。ヘキシトールは炭素原子数6のヘキソースの糖アルコールであり、例えばソルビトール、マンニトール、ガラクチトール等が挙げられる。
【0029】
Rは上記式(I)での定義と同義である。
【0030】
ヘキシトールの6つの水酸基と低級アルキル基のエーテル結合位置は、任意であり、いずれの位置でもかまわない。エーテル結合数は、水に対する溶解性の点からモノエーテルが好ましいが、ジエーテル、トリエーテル、テトラエーテル、ペンタエーテル、ヘキサエーテルのいずれの混合物でもかまわない。また、低級アルキル基がいずれか2種類以上の結合物でもかまわない。平均置換度nは、1〜6の範囲の数であるが、低級アルキルヘキシトールエーテル化合物の性状として半固体〜液体、特には液体が望ましく、また保湿能の観点から水酸基を1つ以上有することが望ましいことから、2〜5の範囲の数が好ましい。
【0031】
ヘキシトールは常温で固体を呈し、皮膚外用剤に配合して皮膚に塗布した場合、水分の蒸発とともに固化したり析出し、水分保持能が低いという不具合があった。これに対し本発明の低級アルキルヘキシトールエーテルは、ヘキシトールに比べ融点が低く、上記不具合を防止することができ、低湿度下においても高い水分保持能を有する。
【0032】
かかる低級アルキルヘキシトールエーテルは公知の化合物で、その製造方法は特に限定されるものでなく、通常のエーテル製造方法に準じて行うことができる。例として、後掲の実施例にエチルソルビトールエーテルの製造方法を具体的に示す。
【0033】
〔皮膚外用剤への配合〕
上記低級アルキルペンチトールエーテル、低級アルキルヘキシトールエーテルを皮膚外用剤に配合する場合、その配合量(総量)は0.01〜70質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜20質量%、特には1〜10質量%である。0.01質量%未満では本願発明効果を奏することが難しく、一方、70質量%を超えて配合しても配合量に見合った効果の増加は実質上望めず、また皮膚外用剤への配合も難しくなる傾向がみられる。
【0034】
本発明の皮膚外用剤には、上記した必須成分の他に、本願発明効果を損なわない範囲において、通常化粧品や医薬品等の皮膚外用剤に用いられる成分を任意に配合することができる。このような成分としては、例えば油分、湿潤剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、界面活性剤、防腐剤、他の保湿剤、香料、色料、水、アルコール、増粘剤、高分子、粉末、薬剤、キレート剤、植物抽出物等が例示される。ただしこれら例示に限定されるものでない。
【0035】
本発明の皮膚外用剤の剤型は任意であり、溶液系、可溶化系、乳化系、油液系、ゲル系、粉末分散系、水−油二層系、水−油−粉末三層系等、目的とする製品に応じて本発明の必須成分と上記の任意配合成分とを配合して常法により製造することができる。
【0036】
本発明の皮膚外用剤とは、化粧料、医薬品、医薬部外品として、外皮(頭皮を含む)に適用されるものを指し、例えば、化粧水、乳液、クリーム、パック等のフェーシャル化粧料やファンデーション、口紅、アイシャドー等のメーキャップ化粧料やボディー化粧料、芳香化粧料、頭皮頭髪化粧料、洗浄料、軟膏等に用いることができる。
【実施例】
【0037】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれによってなんら限定されるものではない。配合量は特記しない限りすべて質量%(実分)である。
【0038】
1.低級アルキルペンチトールエーテル、低級アルキルヘキシトールエーテルの製造
(実施例1)
キシリトール25g(0.16モル)、水酸化ナトリウム22.5g(0.56モル)をイオン交換水200mLに溶かし、硫酸ジエチル75g(0.49モル)を滴下し、70℃、4時間反応させた。反応液を減圧濃縮後、アセトン可溶画分をシリカゲルカラムで精製し、得られた抽出物の1H−NMRを測定し、目的とするエチルキシリトールエーテルであることを確認した。なお、得られた化合物の収量はモノエチルキシリトールエーテル4.89g、ジエチルキシリトールエーテル3.09g、トリエチルキシリトールエーテル0.9gであり、いずれも常温で液状であった。キシリトール(出発物質)およびモノエチルキシリトールエーテルの1H−NMRを図1に示す。
【0039】
(実施例2)
D−ソルビトール16g(0.088モル)、水酸化ナトリウム8g(0.20モル)をイオン交換水に溶かし、硫酸ジエチル27g(0.18モル)を滴下し、室温にて一晩反応させた。反応液を減圧濃縮後、アセトン可溶画分をシリカゲルカラムで精製し、得られた抽出物の1H−NMRを測定し、目的とするエチルソルビトールエーテルであることを確認した。なお、得られた化合物の収量はモノエチルソルビトールエーテル1.49g、ジエチルソルビトールエーテル2.74g、トリエチルソルビトールエーテル1.29gであり、モノエチルソルビトールエーテルは粘性の高い半固形、他はいずれも常温で液状であった。ソルビトール(出発物質)およびモノエチルソルビトールエーテルの1H−NMRを図2に示す。
【0040】
2.低級アルキルペンチトールエーテル、低級アルキルヘキシトールエーテルの低湿度下での水分保持能評価
ペンチトール、ヘキシトールはいずれも常温で固体の保湿剤であり、皮膚外用剤に配合して塗布しても、水分の蒸発に伴い固化、析出し、水分を保持しなくなり、十分な保湿効果を発揮できない。本発明の低級アルキルペンチトールエーテル、低級アルキルヘキシトールエーテルは常温で液体、あるいは粘性の高い半固体の性状を示すため、通常の外気湿度下でも保湿能が発揮されると考えられたため、湿度52%、湿度65%の低湿度下での水分保持能を評価した。
【0041】
(実施例3)
キシリトール、ジエチルキシリトールエーテル(実施例1で得たものを使用)、ソルビトール、ジエチルソルビトールエーテル(実施例2で得たものを使用)をそれぞれ約1g量り取り、これを飽和硝酸マグネシウム水溶液によって湿度52%、飽和酢酸マグネシウム水溶液によって湿度65%に保ったデシケーター中に静置し、1ヵ月後、平衡状態に達した時点での各化合物中の水分量をカールフィッシャー法で測定した。各化合物一分子あたりの水分子保持数を算出し、最大水分保持能の目安とした。結果を図3に示す。同図中、Xylはキシリトールを、Sorはソルビトールを、XylEtはジエチルキシリトールエーテルを、SorEtはジエチルソルビトールエーテルを、それぞれ示す。
【0042】
図3に示す結果から明らかなように、出発原料であるキシリトール、ソルビトールが固体のままで水分を保持しないのに対し、本発明のジエチルキシリトールエーテル、ジエチルソルビトールエーテルは低湿度下でも優れた水分保持能(保湿能)を発揮することが確認された。
【0043】
3.低級アルキルペンチトールエーテル、低級アルキルヘキシトールエーテルの最大水分保持能評価
(実施例4)
ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、グリセリン、モノエチルエリスリトールエーテル、ジエチルキシリトールエーテル(実施例1で得たものを使用)、ジエチルソルビトールエーテル(実施例2で得たものを使用)をそれぞれ約1g量り取った。これを飽和リン酸二水素アンモニウムによって湿度93%に保ったデシケーター中にそれぞれ静置し、1ヵ月後、平衡状態に達した時点での各化合物中の水分量をカールフィッシャー法で測定した。各化合物一分子あたりの水分子保持数を算出し、最大水分保持能の目安とした。結果を図4に示す。同図中、DPGはジプロピレングリコールを、1,3−BGは1,3−ブチレングリコールを、Glyはグリセリンを、EryEtはモノエチルエリスリトールエーテルを、XylEtはジエチルキシリトールエーテルを、SorEtはジエチルソルビトールエーテルを、それぞれ示す。
【0044】
図4に示す結果から明らかなように、本発明のジエチルキシリトールエーテル、ジエチルソルビトールエーテルは、従来の保湿剤であるジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、グリセリン、従来技術の欄で挙げた特許文献1(=特開平11−35443号公報)に記載のモノエチルエリスリトールエーテルより多くの水分を保持し、優れた保湿能を有することが確認された。
【0045】
4.低級アルキルペンチトールエーテルのみずみずしさの評価
(実施例5)
専門パネラー10名により実使用試験を行って評価した。すなわち下記表1に示す各化合物を皮膚に塗布した後、120分間経過後の保湿効果感の有無を下記基準により評価した。結果を表1に示す。
(評価基準)
◎:専門パネラー8名以上が、みずみずしい(保湿効果感がある)と認めた。
○:専門パネラー6〜7名が、みずみずしい(保湿効果感がある)と認めた。
△:専門パネラー3〜5名が、みずみずしい(保湿効果感がある)と認めた。
×:専門パネラー2名以下が、みずみずしい(保湿効果感がある)と認めた。
【0046】
【表1】

【0047】
5.低級アルキルヘキシトールエーテルのみずみずしさの評価
(実施例6)
専門パネラー10名により実使用試験を行って評価した。すなわち下記表2に示す各化合物を皮膚に塗布した後、120分間経過後の保湿効果感の有無を下記基準により評価した。結果を表2に示す。
(評価基準)
◎:専門パネラー8名以上が、みずみずしい(保湿効果感がある)と認めた。
○:専門パネラー6〜7名が、みずみずしい(保湿効果感がある)と認めた。
△:専門パネラー3〜5名が、みずみずしい(保湿効果感がある)と認めた。
×:専門パネラー2名以下が、みずみずしい(保湿効果感がある)と認めた。
【0048】
【表2】

【0049】
以下、本発明の皮膚外用剤の処方例(実施例7〜18)を示す。
【0050】
実施例7:クリーム
(配 合 成 分) (質量%)
A.油相
ステアリン酸 10.0
ステアリルアルコール 4.0
ステアリン酸ブチル 8.0
ステアリン酸モノグリセリンエステル 2.0
ビタミンEアセテート 0.5
ビタミンAパルミテート 0.1
マカデミアナッツ油 1.0
茶実油 3.0
香料 0.4
防腐剤 適 量
B.水相
モノエチルキシリトールエーテル 5.0
グリセリン 4.0
1,2ペンタンジオール 3.0
ヒアルロン酸ナトリウム 1.0
水酸化カリウム 2.0
アスコルビン酸リン酸マグネシウム 0.1
L−アルギニン塩酸塩 0.01
エデト酸三ナトリウム 0.05
精製水 残 余
(製法および評価)
Aの油相部とBの水相部をそれぞれ70℃に加熱し完全溶解した。A相をB相に加えて、乳化機で乳化した。乳化物を、熱交換機を用いて冷却してクリームを得た。得られたクリームはみずみずしさに優れ、かつ高い保湿効果が認められた。
【0051】
実施例8:クリーム
(配 合 成 分) (質量%)
A.油相
セタノール 4.0
ワセリン 7.0
イソプロピルミリステート 8.0
スクワラン 15.0
ステアリン酸モノグリセリンエステル 2.2
POE(20)ソルビタンモノステアレート 2.8
ビタミンEニコチネート 2.0
香料 0.3
酸化防止剤 適 量
防腐剤 適 量
B.水相
モノエチルソルビトールエーテル 10.0
グリセリン 10.0
ヒアルロン酸ナトリウム 0.02
ジプロピレングリコール 4.0
ピロリドンカルボン酸ナトリウム 1.0
エデト酸二ナトリウム 0.01
精製水 残 余
(製法および評価)
実施例7に準じてクリームを得た。得られたクリームはみずみずしさに優れ、かつ高い保湿効果が認められた。
【0052】
実施例9:乳液
(配 合 成 分) (質量%)
A.油相
スクワラン 5.0
オレイルオレート 3.0
ワセリン 2.0
ソルビタンセスキオレイン酸エステル 0.8
ポリオキシエチレンオレイルエーテル(20EO) 1.2
月見草油 0.5
香料 0.3
防腐剤 適 量
B.水相
ジエチルキシリトールエーテル 8.0
1,3ブチレングリコール 4.5
エタノール 3.0
カルボキシビニルポリマー 0.2
水酸化カリウム 0.1
L−アルギニンL−アスパラギン酸塩 0.01
エデト酸塩 0.05
精製水 残 余
(製法および評価)
実施例7に準じて乳液を得た。得られた乳液はみずみずしさに優れ、かつ高い保湿効果が認められた。
【0053】
実施例10:ファンデーション
(配 合 成 分) (質量%)
A.油相
セタノール 3.5
脱臭ラノリン 4.0
ホホバ油 5.0
ワセリン 2.0
スクワラン 6.0
ステアリン酸モノグリセリンエステル 2.5
POE(60)硬化ヒマシ油 1.5
POE(20)セチルエーテル 1.0
ピリドキシントリパルミテート 0.1
防腐剤 適 量
香料 0.3
B.水相
ジエチルソルビトールエーテル 2.0
プロピレングリコール 10.0
調合粉末 12.0
エチレンジアミンヒドロキシエチル3酢酸3ナトリウム 1.0
精製水 残 余
(製法および評価)
実施例7に準じてファンデーションを得た。得られたファンデーションはみずみずしさに優れ、かつ高い保湿効果が認められた。
【0054】
実施例11:化粧水
(配 合 成 分) (質量%)
A.アルコール相
エタノール 5.0
POEオレイルアルコールエーテル 2.0
モノメチルアラビトールエーテル 3.0
2−エチルヘキシル−P−ジメチルアミノベンゾエート 0.18
香料 0.05
B.水相
1,3ブチレングリコール 9.5
ピロリドンカルボン酸ナトリウム 0.5
ニコチン酸アミド 0.3
グリセリン 5.0
ジモルホリノピリダジノン 0.5
精製水 残 余
(製法および評価)
Aのアルコール相をBの水相に添加し、可溶化して化粧水を得た。得られた化粧水はみずみずしさに優れ、かつ高い保湿効果が認められた。
【0055】
実施例12:W/O乳化型サンスクリーン剤
(配 合 成 分) (質量%)
(1)エチルセルロース 0.5
(2)エチルアルコール 4.0
(3)モノメチルマンニトールエーテル 2.0
(4)パラメトキシケイ皮酸オクチル 5.0
(5)コハク酸ジ2−エチルヘキシルアルコール 22.0
(6)メチルハイドロジェンポリシロキサン処理二酸化チタン 6.0
(7)カルボキシメチルセルロース 1.0
(8)香料 適 量
(9)防腐剤 適 量
(10)精製水 残 余
(製法および評価)
(1)に(2)〜(3)を加え十分に膨潤させた後、(4)〜(6)を加え加熱混合し十分に分散および溶解した。この分散液を70℃に保ち、(7)、(8)〜(10)を混合した溶液を徐々に加えながらホモミキサーで乳化し、W/O乳化型サンスクリーン剤を得た。得られたW/O乳化型サンスクリーン剤はみずみずしさに優れ、かつ高い保湿効果が認められた。
【0056】
実施例13:W/O乳化型サンスクリーン剤
(配 合 成 分) (質量%)
A成分
オクチルメトキシシンナメート 2.0
デカメチルシクロペンタシロキサン 30.5
トリメチルシロキシシリケイト 2.5
ジメチルシリコン 5.0
POEポリメチルシロキサンコポリマー 1.0
ジメチルステアリルアンモニウムヘクトライト 0.7
デキストリン脂肪酸処理酸化亜鉛(平均粒径60nm) 10.0
B成分
1,3−ブタンジオール 5.0
ジメチルリビトールエーテル 1.0
精製水 残 余
(製法および評価)
A成分をホモミキサーで攪拌しながら、B成分を徐々に添加することによって乳化し、W/O乳化型サンスクリーン剤を得た。得られたW/O乳化型サンスクリーン剤はみずみずしさに優れ、かつ高い保湿効果が認められた。
【0057】
実施例14:O/W乳化型サンスクリーン剤
(配 合 成 分) (質量%)
(1)ベヘニン酸 0.7
(2)イソステアリン酸 0.7
(3)セタノール 1.0
(4)流動パラフィン 6.0
(5)ジメチルポリシロキサン 2.0
(6)グリセリルモノステアレート 2.0
(7)パラメトシキケイ皮酸オクチル 3.0
(8)ポリエチレングリコール1500 5.0
(9)ジプロピレングリコール 5.0
(10)二酸化チタン粉末 2.0
(11)水酸化カリウム 0.1
(12)カルボキシビニルポリマー 1.0
(13)ヘキサメタリン酸ソーダ 0.05
(14)ジメチルマンニトールエーテル 2.0
(15)香料 適 量
(16)防腐剤 適 量
(17)精製水 残 余
(製法および評価)
(1)〜(7)、(15)をそれぞれ混合し80℃に加熱溶解して油相部とした。(8)〜(14)、(16)〜(17)を70〜75℃にて加熱、分散させ水相部とした。油相部を水相部に徐々に添加し、ホモミキサーを用いて乳化した。乳化物を熱交換機を用いて30℃まで冷却し、O/W乳化型サンスクリーン剤を得た。得られたO/W乳化型サンスクリーン剤はみずみずしさに優れ、かつ高い保湿効果が認められた。
【0058】
実施例15:日焼け止めオイル
(配 合 成 分) (質量%)
(1)パラメトキシケイ皮酸オクチル 3.0
(2)モノメチルキシリトールエーテル 1.5
(3)疎水化処理二酸化チタン 2.0
(4)疎水化処理酸化亜鉛 1.0
(5)セチルオクタノエート 40.0
(6)酸化防止剤 適 量
(7)香料 適 量
(8)流動パラフィン 残 余
(製法および評価)
(1)〜(8)の各成分を加熱攪拌した後、冷却し、日焼け止めサンスクリーンオイルを得た。得られた日焼け止めサンスクリーンオイルはみずみずしさに優れ、かつ高い保湿効果が認められた。
【0059】
実施例16:W/O乳化型サンスクリーン剤
(配 合 成 分) (質量%)
(1)エチルセルロース 0.5
(2)エチルアルコール 4.0
(3)モノメチルソルビトールエーテル 2.0
(4)パラメトキシケイ皮酸オクチル 5.0
(5)コハク酸ジ2−エチルヘキシルアルコール 22.0
(6)疎水化処理微粒子二酸化チタン(平均粒径30nm) 6.0
(7)カルボキシメチルセルロース 1.0
(8)香料 適 量
(9)防腐剤 適 量
(10)精製水 残 余
(製法および評価)
(1)に(2)〜(3)を加え十分に膨潤させた後、(4)〜(6)を加え加熱混合し十分に分散および溶解した。この分散液を70℃に保ち、(7)、(8)〜(10)を混合した溶液を徐々に加えながらホモミキサーで乳化し、W/O乳化型サンスクリーン剤を得た。得られたW/O乳化型サンスクリーンはみずみずしさに優れ、かつ高い保湿効果が認められた。
【0060】
実施例17:ローションマスク
(配 合 成 分) (質量%)
A.アルコール相
エチルアルコール 10.0
PPG−13 デシルテトラデセス−24 0.3
乳酸メンチル 0.004
防腐剤 適 量
香料 適 量
B.水相
グリセリン 2.0
ジメチルキシリトールエーテル 3.0
ジプロピレングリコール 4.0
トレハロース 2.0
苛性カリ 適 量
精製水 残 余
(製法および評価)
Aのアルコール相を、Bの水相に添加し、化粧水を得た。さらにこれを不織布などに含浸させてローションマスクを得た。得られたローションマスクはみずみずしさに優れ、かつ高い保湿効果が認められた。
【0061】
実施例18:乳液
(配 合 成 分) (質量%)
A.油相
スクワラン 7.0
オレイルオレート 2.0
ワセリン 1.0
ソルビタンセスキオレイン酸エステル 0.8
POE(20)オレイルエーテル 1.2
香料 適 量
防腐剤 適 量
B.水相
ジメチルソルビトールエーテル 3.0
1,3−ブチレングリコール 1.0
エタノール 4.0
カルボキシビニルポリマー 0.2
水酸化カリウム 0.1
エデト酸塩 0.05
精製水 残 余
(製法および評価)
実施例7に準じて乳液を得た。得られた乳液はみずみずしさに優れ、かつ高い保湿効果が認められた。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】キシリトールおよびモノエチルキシリトールエーテル(実施例1)の1H−NMRを示す図である。
【図2】ソルビトールおよびモノエチルソルビトールエーテル(実施例2)の1H−NMRを示す図である。
【図3】実施例3における低湿度下(湿度52%、65%)での各化合物の水分保持能を示すグラフである。
【図4】実施例4(湿度93%下)における各化合物の最大水分保持能を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(I)で示される低級アルキルペンチトールエーテル、および下記式(II)で示される低級アルキルヘキシトールエーテルの中から選ばれる1種または2種以上を含有する皮膚外用剤。

〔式(I)中、Aは水素原子m個を除いたペンチトール残基を表し;Rは炭素原子数1〜4のアルキル基を表し(直鎖状、分岐鎖状、環状、飽和、不飽和のいずれでもよく、ヒドロキシアルキル基であってもよい);mはRの平均置換度を表し、1〜5の範囲の数である。〕

〔式(II)中、Bは水素原子n個を除いたヘキシトール残基を表し;Rは炭素原子数1〜4のアルキル基を表し(直鎖状、分岐鎖状、環状、飽和、不飽和のいずれでもよく、ヒドロキシアルキル基であってもよい);nはRの平均置換度を表し、1〜6の範囲の数である。〕
【請求項2】
下記式(I)で示される低級アルキルペンチトールエーテル、および下記式(II)で示される低級アルキルヘキシトールエーテルの中から選ばれる1種または2種以上からなる保湿剤。

〔式(I)中、Aは水素原子m個を除いたペンチトール残基を表し;Rは炭素原子数1〜4のアルキル基を表し(直鎖状、分岐鎖状、環状、飽和、不飽和のいずれでもよく、ヒドロキシアルキル基であってもよい);mはRの平均置換度を表し、1〜5の範囲の数である。〕

〔式(II)中、Bは水素原子n個を除いたヘキシトール残基を表し;Rは炭素原子数1〜4のアルキル基を表し(直鎖状、分岐鎖状、環状、飽和、不飽和のいずれでもよく、ヒドロキシアルキル基であってもよい);nはRの平均置換度を表し、1〜6の範囲の数である。〕

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−120527(P2009−120527A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−295837(P2007−295837)
【出願日】平成19年11月14日(2007.11.14)
【出願人】(000001959)株式会社資生堂 (1,748)
【Fターム(参考)】