皮膚外用剤
【課題】真皮を構成している線維芽細胞を活性化させ、細胞によるコラーゲンおよびヒアルロン酸の合成を促進させ、また酸化ストレスから皮膚を保護することで、老化に伴うシワ、しみ、くすみ、きめの消失、弾力性の低下などを予防、改善できる抗老化剤、細胞賦活剤、コラーゲン合成促進剤、ヒアルロン酸合成促進剤、抗酸化剤および皮膚外用剤を提供する。
【解決手段】ノニ葉抽出物を有効成分として含む抗老化剤、細胞賦活剤、コラーゲン合成促進剤、ヒアルロン酸合成促進剤、抗酸化剤および皮膚外用剤。
【解決手段】ノニ葉抽出物を有効成分として含む抗老化剤、細胞賦活剤、コラーゲン合成促進剤、ヒアルロン酸合成促進剤、抗酸化剤および皮膚外用剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、アカネ科の小高木の常緑樹であるノニ（Ｍｏｒｉｎｄａ ｃｉｔｒｉｆｏｌｉａ Ｌ．）の葉（以下、ノニ葉という）の抽出物を有効成分として含む抗老化剤、細胞賦活剤、コラーゲン合成促進剤、ヒアルロン酸合成促進剤、抗酸化剤および皮膚外用剤に関する。
【背景技術】
【０００２】
皮膚を構成する真皮は主に線維芽細胞およびマトリックス成分からなっている。線維芽細胞はコラーゲンなどのタンパク質およびヒアルロン酸などのグリコサミノグリカンを産生して、結合組織を形成し、皮膚に重要な役割を果たしている。そのため加齢等により線維芽細胞の機能が低下すると、コラーゲンやヒアルロン酸などが減少、変性し、さらに紫外線等により酸化ストレスを受けることで肌が荒れるなどのダメージを受けて、皮膚が老化し、シワ、しみ、くすみ、きめの消失、弾力性の低下などが起こることになる。
【０００３】
このようなコラーゲンやヒアルロン酸の機能に着目して、従来、ニワトリのトサカなどに含まれるヒアルロン酸が化粧料に配合されている。しかし、ヒアルロン酸は高分子であるため、それを配合した化粧料を皮膚に直接塗布しても吸収されにくいという問題があった。そこで、これまで、線維芽細胞を活性化することで、細胞自らのコラーゲンやヒアルロン酸の合成を促進させることや酸化ストレスから皮膚を保護することができる皮膚外用剤が模索されてきた。
【０００４】
ところで、これまでに多くの植物抽出物が種々の生理作用を有することが知られている。たとえば、ノニの場合、実の抽出物が皮膚の新陳代謝を促進する作用を有することが知られている（特許文献１参照）。しかし、ノニ葉抽出物を皮膚に塗布することで線維芽細胞が活性化され、繊維芽細胞によるコラーゲンやヒアルロン酸の合成が促進されることや、抗酸化効果を有することについては知られていなかった。
【０００５】
【特許文献１】特開２００４−３５４５４号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００６】
本発明は、真皮を構成している線維芽細胞を活性化させ、細胞によるコラーゲンおよびヒアルロン酸の合成を促進させ、また抗酸化効果により酸化ストレスから皮膚を保護することで、老化や紫外線に伴うシワ、しみ、くすみ、きめの消失、弾力性の低下などを予防、改善できる抗老化剤、細胞賦活剤、コラーゲン合成促進剤、ヒアルロン酸合成促進剤、抗酸化剤および皮膚外用剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００７】
本発明者らは、鋭意検討した結果、ノニ葉抽出物を皮膚に塗布することで線維芽細胞を活性化させることができ、その結果、細胞によるコラーゲンおよびヒアルロン酸の合成を促進させることができること、また抗酸化効果により皮膚を酸化ストレスから保護することを見出し、本発明を完成するに至った。
【０００８】
すなわち、本発明は、ノニ葉抽出物を有効成分として含む抗老化剤、細胞賦活剤、コラーゲン合成促進剤、ヒアルロン酸合成促進剤、抗酸化剤および皮膚外用剤に関する。
【発明の効果】
【０００９】
本発明によれば、真皮を構成している線維芽細胞を活性化させ、細胞によるコラーゲンおよびヒアルロン酸の合成を促進させ、また抗酸化効果により皮膚を酸化ストレスから保護することで、老化に伴うシワ、しみ、くすみ、きめの消失、弾力性の低下などを予防、改善できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１０】
本発明は、ノニ葉抽出物を有効成分として含有する抗老化防止剤、細胞賦活剤、コラーゲン合成促進剤、ヒアルロン酸合成促進剤、抗酸化剤、皮膚外用剤に関する。
【００１１】
ノニ（Ｍｏｒｉｎｄａ ｃｉｔｒｉｆｏｌｉａ Ｌ．）は、従来、食用にも供されている安全性の高いアカネ科の小高木の常緑樹である。本発明においては、ノニ葉そのものもしくはその乾燥物からノニ葉抽出物を得ることができる。
【００１２】
抽出に用いる溶媒としては、とくに限定されないが、たとえば、水；メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソプロパノール、イソブタノール、ｎ−ヘキサノール、メチルアミルアルコール、２−エチルブタノール、ｎ−オクチルアルコールなどのアルコール類；グリセリン、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコール、１，３−ブチレングリコール、ヘキシレングリコールなどの多価アルコール；酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、ギ酸メチルなどのエステル類；アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類；エチルエーテル、イソプロピルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類；ヘキサン、トルエン、クロロホルム、塩化メチレンなどの炭化水素系溶媒などがあげられる。これらは単独または２種以上を組み合わせて用いることができる。これらのなかでも、安全性、皮膚外用剤としての利便性という点から水およびアルコール類が好ましく、水およびエタノールがより好ましい。
【００１３】
たとえば、溶媒として水とエタノールを併用する場合、両者の割合は任意であっても良好にノニ葉抽出物を得ることができるが、なかでも、細胞賦活剤として用いる場合は、抽出溶媒はエタノール濃度が０〜１００容量％であることが好ましく、０〜５０容量％であることがより好ましい。また、ヒアルロン酸合成促進剤として用いる場合は、抽出溶媒はエタノール濃度０〜１００容量％であることが好ましく、５０〜１００容量％であることがより好ましい。また、コラーゲン合成促進剤として用いる場合は、抽出溶媒はエタノール濃度が０〜５０容量％であるのが好ましく、０〜２０容量％であることがより好ましい。さらに、抗酸化剤として用いる場合は、抽出溶媒はエタノール濃度が０〜１００容量％であるのが好ましく、５０〜１００容量％であることがより好ましい。
【００１４】
抽出方法としては、とくに限定されないが、浸漬または加熱還流などの方法があげられる。溶媒の量は、粉砕したノニ葉１００重量部に対して、１００〜１０００００重量部であることが好ましく、５００〜１００００重量部であることがより好ましい。溶媒が１００重量部未満であると、抽出効率が悪くなる傾向があり、また１０００００重量部をこえて添加してもさらなる抽出効率の向上が望めないうえに、濃縮・精製工程に時間がかかり製造効率が劣る傾向がある。また、温度については、浸漬させる場合には、温度は室温で行うこともできるが、０〜９５℃が好ましく、また、１〜７日間浸漬することが好ましい。これらの抽出操作は単回、または２〜数回繰り返すこともできる。
【００１５】
得られた抽出物は、そのまま使用してもよいが、不純物の除去や脱臭、脱色、濃縮などの精製を、ろ過、ゲルろ過、遠心分離、クロマトグラフィー、蒸留、分配法などにより行ってもよい。また、スプレードライ法や凍結乾燥法などにより溶媒を除去して乾固物の形態とすることもでき、さらに精製水などの溶媒に可溶化した形態や乳剤の形態とすることもできる。
【００１６】
本発明の抗老化剤、細胞賦活剤、コラーゲン合成促進剤、ヒアルロン酸合成促進剤、抗酸化剤および皮膚外用剤は、前記ノニ葉抽出物を有効成分として配合することで製造される。ノニ葉抽出物は、それ自体で細胞賦活、コラーゲン合成促進、ヒアルロン酸合成促進抗酸化などの作用を有するので、抽出物を単独で使用することもできるが、たとえば、外用剤基剤に通常用いられる油脂類、ロウ類、炭化水素類、脂肪酸類、低級アルコール類、高級アルコール類、多価アルコール類、エステル類、水溶性高分子、界面活性剤、保湿剤、抗炎症剤、紫外線吸収剤、防腐剤、防カビ剤、香料、顔料、賦形剤、酸化防止剤、美容成分、化粧料安定化剤などを含有させてもよい。また、前記ノニ葉抽出物以外にも、その他の細胞賦活剤、抗老化防止剤、コラーゲン合成促進剤、ヒアルロン酸合成促進剤、抗酸化剤などを併用することができる。
【００１７】
本発明の皮膚外用剤としては、たとえば、シワ予防改善用外用剤、皮膚老化防止用化粧料、日焼け止め化粧料、皮膚保護用化粧料、美白化粧料、ファンデーションやその他の医薬部外品などがあげられる。
【００１８】
本発明において、前記ノニ葉抽出物の配合量は、とくに限定されないが、好ましくは０．０００００５〜１０重量％であり、より好ましくは０．０００００５〜１重量％である。配合量が０．０００００５重量％未満であると、抗老化効果、細胞賦活効果、コラーゲン合成促進効果、ヒアルロン酸合成促進効果、抗酸化効果を充分に発現させることができない傾向があり、また、１０重量％をこえても、それに応じた効果の発現が望めない傾向がある。
【００１９】
本発明の抗老化剤、細胞賦活剤、コラーゲン合成促進剤、ヒアルロン酸合成促進剤、抗酸化剤、および皮膚外用剤は、ローション剤、乳剤、ゲル剤、ゾル剤、クリーム、軟膏、パウダー、スプレーなどの種々の形態とすることができる。また、皮膚外用剤として、とくに化粧料の形態で用いる場合は、化粧水、乳液、クリーム、美容液、パック剤、洗顔料などの皮膚用化粧料、メイクアップベースローション、メイクアップベースクリーム、ファンデーション、リキッドファンデーション、口紅などのメイクアップ化粧料、ハンドクリーム、レッグクリーム、ボディローション、ボディソープ、石鹸などの身体用化粧料、シャンプー、リンス、養毛剤などの頭髪用化粧料とすることができる。
【実施例】
【００２０】
つぎに、実施例にもとづいて、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。
【００２１】
製造例１
乾燥させたノニ葉を適当な大きさに切断した。切断した全草１ｇ（乾燥重量）に対して、抽出溶媒として蒸留水５０ｍｌを加えて、冷蔵庫（４℃）で５日間静置して抽出した。抽出液を１／１０に濃縮し、凍結乾燥させた。乾燥粉末として３７１．１ｍｇのノニ葉抽出物を得た。
【００２２】
製造例２
抽出溶媒として精製水の代わりに５０％エタノールを用いた以外は、製造例１と同様にノニ葉抽出物を得た。乾燥粉末として３１９．５ｍｇのノニ葉抽出物を得た。
【００２３】
製造例３
抽出溶媒として精製水の代わりにエタノール（１００％）を用いた以外は、製造例１と同様にノニ葉抽出物を得た。乾燥粉末として４９．７ｍｇのノニ葉抽出物を得た。
【００２４】
試験例１（細胞賦活作用試験）
正常ヒト線維芽細胞（ＮＨＤＦ：倉敷紡績（株）製）を１０％ＦＢＳを含むダルベッコ変法イーグル培地で前培養した（細胞培養条件：ＣＯ2インキュベーター ５％ＣＯ2、９５％空気（以下、細胞培養条件はすべて同じ））。培養後、細胞を回収し、１％ＦＢＳを含むダルベッコ変法イーグル培地で細胞数を２．５×１０5個／ｍｌに調整し、３５ｍｍシャーレに２ｍｌずつ播種した。２４時間後、表１に示した濃度の製造例１〜３で得られたノニ葉抽出物を含む、１％ＦＢＳを含むダルベッコ変法培地（２ｍｌ）に交換して、４８時間培養した。培養終了後、２−（４，５−ジメチル−２−チアゾリル）−３，５−ジフェニルテトラゾリウムブロミド（ＭＴＴ）を０．２ｍｇ／ｍｌの濃度で含む１％ＦＢＳを含むダルベッコ変法培地（２ｍｌ）に交換して、２時間培養した。細胞活性の評価は線維芽細胞から産生されるＮＡＤＨによって、ＭＴＴのテトラゾリウム環の開環により生成されるフォルマザン量で評価した。フォルマザン量は２−プロパノール（２ｍｌ）で抽出し、抽出液の吸光度（５５０〜６５０ｎｍ）を測定し、細胞活性量とした。ノニ葉抽出物を含まない培地で培養したときの抽出液の細胞活性量を基準（１００）として、製造例１〜３で得られたノニ葉抽出物を用いて得られた値を指数表示した。結果を表１に示す。表１に示す結果より、製造例１〜３のノニ葉抽出物が細胞賦活作用を有することが確認できた。特に、製造例１のノニ葉抽出物が高い細胞賦活作用を有することが確認できた。
【００２５】
【表１】
【００２６】
試験例２（ヒアルロン酸合成促進作用試験）
正常ヒト線維芽細胞（ＮＨＤＦ：倉敷紡績（株）製）を１０％ＦＢＳを含むダルベッコ変法イーグル培地で前培養した。培養後、細胞を回収し、１％ＦＢＳを含むダルベッコ変法イーグル培地で細胞数を２．５×１０5個／ｍｌに調整し、３５ｍｍシャーレに２ｍｌずつ播種した。２４時間後、表２に示した濃度の製造例１〜３で得られたノニ葉抽出物を含む、１％ＦＢＳを含むダルベッコ変法イーグル培地（２ｍｌ）に交換して、７２時間培養した。線維芽細胞が産生するヒアルロン酸の量の評価は、培養終了後、培養上清中のヒアルロン酸量をヒアルロン酸測定キット（生化学工業（株）製）を用いてＥＬＩＳＡ法にて測定した。ノニ葉抽出物を含まない培地で培養したときの培養上清中のヒアルロン酸量を基準（１００）として、製造例１〜３で得られたノニ葉抽出物を用いて得られた値を指数表示した。結果を表２に示す。表２に示す結果より、製造例１〜３のノニ葉抽出物がヒアルロン酸合成促進作用を有することが確認できた。特に、製造例２および３のノニ葉抽出物が高いヒアルロン酸合成促進作用を有することが確認できた。
【００２７】
【表２】
【００２８】
試験例３（コラーゲン合成促進作用試験）
正常ヒト線維芽細胞（ＮＨＤＦ：倉敷紡績（株）製）を１０％ＦＢＳを含むダルベッコ変法イーグル培地で前培養した。培養後、細胞を回収し、１％ＦＢＳを含むダルベッコ変法イーグル培地で細胞数を２．５×１０5個／ｍｌに調整し、３５ｍｍシャーレに２ｍｌずつ播種した。２４時間後、表２に示した濃度の製造例１〜３で得られたノニ葉抽出物を含む、１％ＦＢＳを含むダルベッコ変法イーグル培地（２ｍｌ）に交換して、７２時間培養した。線維芽細胞が産生するＩ型コラーゲンの量の評価は、培養終了後、培養上清中のＩ型プロコラーゲン量をProcollagen type I C-peptide EIA Kit（タカラバイオ（株）製）を用いてＥＬＩＳＡ法にて測定した。Ｉ型プロコラーゲンは、Ｉ型コラーゲンの前駆体であることから、Ｉ型プロコラーゲン量を測定することによってコラーゲン合成量の生化学的指標とした。ノニ葉抽出物を含まない培地で培養したときの培養上清中のＩ型プロコラーゲン量を基準（１００）として、製造例１〜３で得られたノニ葉抽出物を用いて得られた値を指数表示した。結果を表３に示す。表３に示す結果より、製造例１〜２のノニ葉抽出物がコラーゲン合成促進作用を有することが確認できた。特に、製造例１のノニ葉抽出物が高いコラーゲン合成促進作用を有することが確認できた。
【００２９】
【表３】
【００３０】
試験例４（抗酸化作用確認試験：ＤＰＰＨラジカル消去作用）
０．１ｍＭの１，１−ジフェニル−２−ピクリルヒドラジル（ＤＰＰＨ）エタノール溶液２ｍｌに、製造例１〜３で得られたノニ葉抽出物を各濃度に調整した試料溶液２ｍｌ添加、攪拌した後に、３７度、遮光下に静地した。３０分後、５２０ｎｍの吸光度を測定した。得られた結果から、式（１）に基づいてラジカル消去率を求めた。
式（１）：（１−Ｓ／Ｃ）×１００
Ｓ：試料溶液の波長５２０ｎｍにおける吸光度
Ｃ：コントロール（試料無添加）溶液の波長５２０ｎｍにおける吸光度
【００３１】
試料濃度を段階的に減少させて上記消去率の測定を行い、ラジカルの消去率が５０％になる試料濃度ＩＣ50（μｇ／ｍｌ）を求めた。結果を表４に示す。表４に示す結果より、製造例２および製造例３のノニ葉抽出物がラジカル消去作用を有することが確認できた。なお、製造例３で得られた抽出物は、特に高いラジカル消去作用を有することが確認できた。
【００３２】
【表４】
【００３３】
実施例１（クリーム）
表５に示す成分（Ａ）および（Ｂ）をそれぞれ８５℃に加温溶解し、成分（Ａ）および（Ｂ）を混合、分散させた。そこに、成分（Ｃ）を加えて、撹拌しながら３０℃まで徐冷し、均一なクリームを得た。
【００３４】
【表５】
【００３５】
実施例２（リキッドファンデーション）
表６に示す成分（Ａ）および（Ｂ）をそれぞれ８５℃に加温溶解し、成分（Ａ）および（Ｂ）を混合、分散させた。そこに、成分（Ｃ）を加えて、撹拌しながら３０℃まで徐冷し、均一なリキッドファンデーションを得た。
【００３６】
【表６】
【００３７】
比較例１（クリーム）
製造例２で得られたノニ葉抽出物の代わりに精製水を用いた以外は、実施例１と同様にクリームを得た。
【００３８】
比較例２（リキッドファンデーション）
製造例２で得られたノニ葉抽出物の代わりに精製水を用いた以外は、実施例１と同様にリキッドファンデーションを得た。
【００３９】
試験例５（皮膚化粧料のモニター試験）
無作為に抽出した２０歳代、３０歳代および４０歳代の健常な成人それぞれ２０名（合計６０名）を被験者とし、実施例１および２ならびに比較例１および２の皮膚化粧料を通常の方法で連日２ヵ月使用してもらった。
【００４０】
２ヵ月経過した後、皮膚の状態として乾燥による肌荒れに対する改善効果と、はり、たるみに対する改善効果を以下の基準で評価した。結果を表７に示す。
【００４１】
なお、このモニター試験で皮膚に異常が生じた被験者は１名もいなかった。また、２ヵ月にわたってそれぞれの皮膚化粧料はその状態に変化が生じることなく安定していた。
【００４２】
［肌荒れに対する改善効果］
皮膚状態の変化を目視で観察して、以下の評価基準にもとづいて評価した。
Ａ：非常に改善された。
Ｂ：改善された。
Ｃ：やや改善された。
Ｄ：改善効果がなかった。
Ｅ：悪化した。
【００４３】
［はり、たるみに対する改善効果］
顔全体の皮膚の状態を目視にて観察して、以下の評価基準にもとづいて評価した。
Ａ：非常に改善された。
Ｂ：改善された。
Ｃ：やや改善された。
Ｄ：改善効果がなかった。
Ｅ：悪化した。
【００４４】
【表７】
【００４５】
表７に示す結果より、実施例１および２の皮膚外用剤を用いた場合には、比較例１および２の皮膚外用剤を用いた場合と比較して、肌荒れおよびはり、たるみが改善されたことがわかる。すなわち、本発明により、ノニ葉抽出物を含む皮膚外用剤が保湿効果、肌荒れ改善効果を有し、はりおよびたるみを予防、改善し、総じて老化防止作用を発現することがわかる。
【００４６】
以下、本発明の皮膚外用剤の処方例を示す。なお、含有量は重量％である。
＜処方例１：クリーム＞
ノニ葉抽出物 ０．０５
ヒアルロン酸ナトリウム ０．０１
グリセリルモノステアレート ３．０
ポリオキシエチレン（２０）ソルビタンモノステアレート ３．０
セタノール ２．０
スクワラン ３．０
２−エチルヘキサン酸グリセリル １０．０
グリセリン ７．０
エチルパラベン ０．１
精製水 残部
合計 １００．０
【００４７】
＜処方例２：クリーム＞
ノニ葉抽出物 ０．１
ステアリン酸 １０．０
セタノール ２．０
ラノリン １．０
ミリスチン酸イソプロピル ３．０
モノステアリン酸ポリエチレングリコール １．５
トリエタノールアミン ０．８
ソルビトール（７０％） ４．０
メチルパラベン ０．１
香料 ０．０１
精製水 残部
合計 １００．０
【００４８】
＜処方例３：リキッドファンデーション＞
ノニ葉抽出物 ０．０１
ヒアルロン酸 ０．０１
グリセリルモノステアレート ２．０
ポリオキシエチレン（４）ラウリルエーテルリン酸ナトリウム ０．５
ステアリン酸 ５．０
ベヘニルアルコール １．０
ラノリン ２．０
スクワラン ５．０
２−エチルヘキサン酸グリセリル ４．０
顔料 １０．０
プロピレングリコール ７．０
トリエタノールアミン １．０
エチルパラベン ０．１
精製水 残部
合計 １００．０
【００４９】
＜処方例４：リキッドファンデーション＞
ノニ葉抽出物 ０．０５
ラノリン ２．０
流動パラフィン ５．０
ステアリン酸 ２．０
セタノール １．０
グリセリン ２．０
スクワラン ５．０
２−エチルヘキサン酸グリセリル ４．０
顔料 １０．０
プロピレングリコール ７．０
トリエタノールアミン １．０
エチルパラベン ０．１
香料 ０．０１
精製水 残部
合計 １００．０
【００５０】
＜処方例５：乳液＞
ノニ葉抽出物 ０．０２
ヒアルロン酸 ０．０１
ステアリン酸 ２．０
エタノール ０．５
流動パラフィン １０．０
ラノリン脂肪酸イソプロピル ３．０
ラノリン ４．０
スクワラン ５．０
セスキイソステアリン酸ソルビタン １．０
プロピレングリコール ５．０
トリエタノールアミン ０．６
エチルパラベン ０．１
香料 ０．０１
精製水 残部
合計 １００．０
【００５１】
＜処方例６：乳液＞
ノニ葉抽出物 ０．１
ステアリン酸 ３．５
エタノール ０．５
流動パラフィン ３．０
ラノリン ０．５
スクワラン ２．０
プロピレングリコール ３．０
トリエタノールアミン ０．８
エチルパラベン ０．１
カルボキシビニルポリマー１％液（アルカリ中和） ８．０
香料 ０．０１
精製水 残部
合計 １００．０
【００５２】
＜処方例７：化粧水＞
ノニ葉抽出物 ０．０２
ヒアルロン酸ナトリウム ０．０１
モノラウリン酸ポリオキシエチレン（２０）ソルビタン １．０
１，３−ブチレングリコール ３．０
ソルビトール（７０％） ２．０
ピロリドンカルボン酸ナトリウム液 ３．０
エタノール １５．０
アスコルビン酸 ０．１
メチルパラベン ０．１
香料 ０．０１
精製水 残部
合計 １００．０
【００５３】
＜処方例８：化粧水＞
ノニ葉抽出物 ０．０５
モノラウリン酸ポリオキシエチレン（２０）ソルビタン １．０
１，３−ブチレングリコール ５．０
ソルビトール（７０％） ２．０
ピロリドンカルボン酸ナトリウム液 ３．０
エタノール １５．０
アスコルビン酸 ０．１
メチルパラベン ０．１
色素 ０．０１
香料 ０．０１
精製水 残部
合計 １００．０
【技術分野】
【０００１】
本発明は、アカネ科の小高木の常緑樹であるノニ（Ｍｏｒｉｎｄａ ｃｉｔｒｉｆｏｌｉａ Ｌ．）の葉（以下、ノニ葉という）の抽出物を有効成分として含む抗老化剤、細胞賦活剤、コラーゲン合成促進剤、ヒアルロン酸合成促進剤、抗酸化剤および皮膚外用剤に関する。
【背景技術】
【０００２】
皮膚を構成する真皮は主に線維芽細胞およびマトリックス成分からなっている。線維芽細胞はコラーゲンなどのタンパク質およびヒアルロン酸などのグリコサミノグリカンを産生して、結合組織を形成し、皮膚に重要な役割を果たしている。そのため加齢等により線維芽細胞の機能が低下すると、コラーゲンやヒアルロン酸などが減少、変性し、さらに紫外線等により酸化ストレスを受けることで肌が荒れるなどのダメージを受けて、皮膚が老化し、シワ、しみ、くすみ、きめの消失、弾力性の低下などが起こることになる。
【０００３】
このようなコラーゲンやヒアルロン酸の機能に着目して、従来、ニワトリのトサカなどに含まれるヒアルロン酸が化粧料に配合されている。しかし、ヒアルロン酸は高分子であるため、それを配合した化粧料を皮膚に直接塗布しても吸収されにくいという問題があった。そこで、これまで、線維芽細胞を活性化することで、細胞自らのコラーゲンやヒアルロン酸の合成を促進させることや酸化ストレスから皮膚を保護することができる皮膚外用剤が模索されてきた。
【０００４】
ところで、これまでに多くの植物抽出物が種々の生理作用を有することが知られている。たとえば、ノニの場合、実の抽出物が皮膚の新陳代謝を促進する作用を有することが知られている（特許文献１参照）。しかし、ノニ葉抽出物を皮膚に塗布することで線維芽細胞が活性化され、繊維芽細胞によるコラーゲンやヒアルロン酸の合成が促進されることや、抗酸化効果を有することについては知られていなかった。
【０００５】
【特許文献１】特開２００４−３５４５４号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００６】
本発明は、真皮を構成している線維芽細胞を活性化させ、細胞によるコラーゲンおよびヒアルロン酸の合成を促進させ、また抗酸化効果により酸化ストレスから皮膚を保護することで、老化や紫外線に伴うシワ、しみ、くすみ、きめの消失、弾力性の低下などを予防、改善できる抗老化剤、細胞賦活剤、コラーゲン合成促進剤、ヒアルロン酸合成促進剤、抗酸化剤および皮膚外用剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００７】
本発明者らは、鋭意検討した結果、ノニ葉抽出物を皮膚に塗布することで線維芽細胞を活性化させることができ、その結果、細胞によるコラーゲンおよびヒアルロン酸の合成を促進させることができること、また抗酸化効果により皮膚を酸化ストレスから保護することを見出し、本発明を完成するに至った。
【０００８】
すなわち、本発明は、ノニ葉抽出物を有効成分として含む抗老化剤、細胞賦活剤、コラーゲン合成促進剤、ヒアルロン酸合成促進剤、抗酸化剤および皮膚外用剤に関する。
【発明の効果】
【０００９】
本発明によれば、真皮を構成している線維芽細胞を活性化させ、細胞によるコラーゲンおよびヒアルロン酸の合成を促進させ、また抗酸化効果により皮膚を酸化ストレスから保護することで、老化に伴うシワ、しみ、くすみ、きめの消失、弾力性の低下などを予防、改善できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１０】
本発明は、ノニ葉抽出物を有効成分として含有する抗老化防止剤、細胞賦活剤、コラーゲン合成促進剤、ヒアルロン酸合成促進剤、抗酸化剤、皮膚外用剤に関する。
【００１１】
ノニ（Ｍｏｒｉｎｄａ ｃｉｔｒｉｆｏｌｉａ Ｌ．）は、従来、食用にも供されている安全性の高いアカネ科の小高木の常緑樹である。本発明においては、ノニ葉そのものもしくはその乾燥物からノニ葉抽出物を得ることができる。
【００１２】
抽出に用いる溶媒としては、とくに限定されないが、たとえば、水；メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソプロパノール、イソブタノール、ｎ−ヘキサノール、メチルアミルアルコール、２−エチルブタノール、ｎ−オクチルアルコールなどのアルコール類；グリセリン、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコール、１，３−ブチレングリコール、ヘキシレングリコールなどの多価アルコール；酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、ギ酸メチルなどのエステル類；アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類；エチルエーテル、イソプロピルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類；ヘキサン、トルエン、クロロホルム、塩化メチレンなどの炭化水素系溶媒などがあげられる。これらは単独または２種以上を組み合わせて用いることができる。これらのなかでも、安全性、皮膚外用剤としての利便性という点から水およびアルコール類が好ましく、水およびエタノールがより好ましい。
【００１３】
たとえば、溶媒として水とエタノールを併用する場合、両者の割合は任意であっても良好にノニ葉抽出物を得ることができるが、なかでも、細胞賦活剤として用いる場合は、抽出溶媒はエタノール濃度が０〜１００容量％であることが好ましく、０〜５０容量％であることがより好ましい。また、ヒアルロン酸合成促進剤として用いる場合は、抽出溶媒はエタノール濃度０〜１００容量％であることが好ましく、５０〜１００容量％であることがより好ましい。また、コラーゲン合成促進剤として用いる場合は、抽出溶媒はエタノール濃度が０〜５０容量％であるのが好ましく、０〜２０容量％であることがより好ましい。さらに、抗酸化剤として用いる場合は、抽出溶媒はエタノール濃度が０〜１００容量％であるのが好ましく、５０〜１００容量％であることがより好ましい。
【００１４】
抽出方法としては、とくに限定されないが、浸漬または加熱還流などの方法があげられる。溶媒の量は、粉砕したノニ葉１００重量部に対して、１００〜１０００００重量部であることが好ましく、５００〜１００００重量部であることがより好ましい。溶媒が１００重量部未満であると、抽出効率が悪くなる傾向があり、また１０００００重量部をこえて添加してもさらなる抽出効率の向上が望めないうえに、濃縮・精製工程に時間がかかり製造効率が劣る傾向がある。また、温度については、浸漬させる場合には、温度は室温で行うこともできるが、０〜９５℃が好ましく、また、１〜７日間浸漬することが好ましい。これらの抽出操作は単回、または２〜数回繰り返すこともできる。
【００１５】
得られた抽出物は、そのまま使用してもよいが、不純物の除去や脱臭、脱色、濃縮などの精製を、ろ過、ゲルろ過、遠心分離、クロマトグラフィー、蒸留、分配法などにより行ってもよい。また、スプレードライ法や凍結乾燥法などにより溶媒を除去して乾固物の形態とすることもでき、さらに精製水などの溶媒に可溶化した形態や乳剤の形態とすることもできる。
【００１６】
本発明の抗老化剤、細胞賦活剤、コラーゲン合成促進剤、ヒアルロン酸合成促進剤、抗酸化剤および皮膚外用剤は、前記ノニ葉抽出物を有効成分として配合することで製造される。ノニ葉抽出物は、それ自体で細胞賦活、コラーゲン合成促進、ヒアルロン酸合成促進抗酸化などの作用を有するので、抽出物を単独で使用することもできるが、たとえば、外用剤基剤に通常用いられる油脂類、ロウ類、炭化水素類、脂肪酸類、低級アルコール類、高級アルコール類、多価アルコール類、エステル類、水溶性高分子、界面活性剤、保湿剤、抗炎症剤、紫外線吸収剤、防腐剤、防カビ剤、香料、顔料、賦形剤、酸化防止剤、美容成分、化粧料安定化剤などを含有させてもよい。また、前記ノニ葉抽出物以外にも、その他の細胞賦活剤、抗老化防止剤、コラーゲン合成促進剤、ヒアルロン酸合成促進剤、抗酸化剤などを併用することができる。
【００１７】
本発明の皮膚外用剤としては、たとえば、シワ予防改善用外用剤、皮膚老化防止用化粧料、日焼け止め化粧料、皮膚保護用化粧料、美白化粧料、ファンデーションやその他の医薬部外品などがあげられる。
【００１８】
本発明において、前記ノニ葉抽出物の配合量は、とくに限定されないが、好ましくは０．０００００５〜１０重量％であり、より好ましくは０．０００００５〜１重量％である。配合量が０．０００００５重量％未満であると、抗老化効果、細胞賦活効果、コラーゲン合成促進効果、ヒアルロン酸合成促進効果、抗酸化効果を充分に発現させることができない傾向があり、また、１０重量％をこえても、それに応じた効果の発現が望めない傾向がある。
【００１９】
本発明の抗老化剤、細胞賦活剤、コラーゲン合成促進剤、ヒアルロン酸合成促進剤、抗酸化剤、および皮膚外用剤は、ローション剤、乳剤、ゲル剤、ゾル剤、クリーム、軟膏、パウダー、スプレーなどの種々の形態とすることができる。また、皮膚外用剤として、とくに化粧料の形態で用いる場合は、化粧水、乳液、クリーム、美容液、パック剤、洗顔料などの皮膚用化粧料、メイクアップベースローション、メイクアップベースクリーム、ファンデーション、リキッドファンデーション、口紅などのメイクアップ化粧料、ハンドクリーム、レッグクリーム、ボディローション、ボディソープ、石鹸などの身体用化粧料、シャンプー、リンス、養毛剤などの頭髪用化粧料とすることができる。
【実施例】
【００２０】
つぎに、実施例にもとづいて、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。
【００２１】
製造例１
乾燥させたノニ葉を適当な大きさに切断した。切断した全草１ｇ（乾燥重量）に対して、抽出溶媒として蒸留水５０ｍｌを加えて、冷蔵庫（４℃）で５日間静置して抽出した。抽出液を１／１０に濃縮し、凍結乾燥させた。乾燥粉末として３７１．１ｍｇのノニ葉抽出物を得た。
【００２２】
製造例２
抽出溶媒として精製水の代わりに５０％エタノールを用いた以外は、製造例１と同様にノニ葉抽出物を得た。乾燥粉末として３１９．５ｍｇのノニ葉抽出物を得た。
【００２３】
製造例３
抽出溶媒として精製水の代わりにエタノール（１００％）を用いた以外は、製造例１と同様にノニ葉抽出物を得た。乾燥粉末として４９．７ｍｇのノニ葉抽出物を得た。
【００２４】
試験例１（細胞賦活作用試験）
正常ヒト線維芽細胞（ＮＨＤＦ：倉敷紡績（株）製）を１０％ＦＢＳを含むダルベッコ変法イーグル培地で前培養した（細胞培養条件：ＣＯ2インキュベーター ５％ＣＯ2、９５％空気（以下、細胞培養条件はすべて同じ））。培養後、細胞を回収し、１％ＦＢＳを含むダルベッコ変法イーグル培地で細胞数を２．５×１０5個／ｍｌに調整し、３５ｍｍシャーレに２ｍｌずつ播種した。２４時間後、表１に示した濃度の製造例１〜３で得られたノニ葉抽出物を含む、１％ＦＢＳを含むダルベッコ変法培地（２ｍｌ）に交換して、４８時間培養した。培養終了後、２−（４，５−ジメチル−２−チアゾリル）−３，５−ジフェニルテトラゾリウムブロミド（ＭＴＴ）を０．２ｍｇ／ｍｌの濃度で含む１％ＦＢＳを含むダルベッコ変法培地（２ｍｌ）に交換して、２時間培養した。細胞活性の評価は線維芽細胞から産生されるＮＡＤＨによって、ＭＴＴのテトラゾリウム環の開環により生成されるフォルマザン量で評価した。フォルマザン量は２−プロパノール（２ｍｌ）で抽出し、抽出液の吸光度（５５０〜６５０ｎｍ）を測定し、細胞活性量とした。ノニ葉抽出物を含まない培地で培養したときの抽出液の細胞活性量を基準（１００）として、製造例１〜３で得られたノニ葉抽出物を用いて得られた値を指数表示した。結果を表１に示す。表１に示す結果より、製造例１〜３のノニ葉抽出物が細胞賦活作用を有することが確認できた。特に、製造例１のノニ葉抽出物が高い細胞賦活作用を有することが確認できた。
【００２５】
【表１】
【００２６】
試験例２（ヒアルロン酸合成促進作用試験）
正常ヒト線維芽細胞（ＮＨＤＦ：倉敷紡績（株）製）を１０％ＦＢＳを含むダルベッコ変法イーグル培地で前培養した。培養後、細胞を回収し、１％ＦＢＳを含むダルベッコ変法イーグル培地で細胞数を２．５×１０5個／ｍｌに調整し、３５ｍｍシャーレに２ｍｌずつ播種した。２４時間後、表２に示した濃度の製造例１〜３で得られたノニ葉抽出物を含む、１％ＦＢＳを含むダルベッコ変法イーグル培地（２ｍｌ）に交換して、７２時間培養した。線維芽細胞が産生するヒアルロン酸の量の評価は、培養終了後、培養上清中のヒアルロン酸量をヒアルロン酸測定キット（生化学工業（株）製）を用いてＥＬＩＳＡ法にて測定した。ノニ葉抽出物を含まない培地で培養したときの培養上清中のヒアルロン酸量を基準（１００）として、製造例１〜３で得られたノニ葉抽出物を用いて得られた値を指数表示した。結果を表２に示す。表２に示す結果より、製造例１〜３のノニ葉抽出物がヒアルロン酸合成促進作用を有することが確認できた。特に、製造例２および３のノニ葉抽出物が高いヒアルロン酸合成促進作用を有することが確認できた。
【００２７】
【表２】
【００２８】
試験例３（コラーゲン合成促進作用試験）
正常ヒト線維芽細胞（ＮＨＤＦ：倉敷紡績（株）製）を１０％ＦＢＳを含むダルベッコ変法イーグル培地で前培養した。培養後、細胞を回収し、１％ＦＢＳを含むダルベッコ変法イーグル培地で細胞数を２．５×１０5個／ｍｌに調整し、３５ｍｍシャーレに２ｍｌずつ播種した。２４時間後、表２に示した濃度の製造例１〜３で得られたノニ葉抽出物を含む、１％ＦＢＳを含むダルベッコ変法イーグル培地（２ｍｌ）に交換して、７２時間培養した。線維芽細胞が産生するＩ型コラーゲンの量の評価は、培養終了後、培養上清中のＩ型プロコラーゲン量をProcollagen type I C-peptide EIA Kit（タカラバイオ（株）製）を用いてＥＬＩＳＡ法にて測定した。Ｉ型プロコラーゲンは、Ｉ型コラーゲンの前駆体であることから、Ｉ型プロコラーゲン量を測定することによってコラーゲン合成量の生化学的指標とした。ノニ葉抽出物を含まない培地で培養したときの培養上清中のＩ型プロコラーゲン量を基準（１００）として、製造例１〜３で得られたノニ葉抽出物を用いて得られた値を指数表示した。結果を表３に示す。表３に示す結果より、製造例１〜２のノニ葉抽出物がコラーゲン合成促進作用を有することが確認できた。特に、製造例１のノニ葉抽出物が高いコラーゲン合成促進作用を有することが確認できた。
【００２９】
【表３】
【００３０】
試験例４（抗酸化作用確認試験：ＤＰＰＨラジカル消去作用）
０．１ｍＭの１，１−ジフェニル−２−ピクリルヒドラジル（ＤＰＰＨ）エタノール溶液２ｍｌに、製造例１〜３で得られたノニ葉抽出物を各濃度に調整した試料溶液２ｍｌ添加、攪拌した後に、３７度、遮光下に静地した。３０分後、５２０ｎｍの吸光度を測定した。得られた結果から、式（１）に基づいてラジカル消去率を求めた。
式（１）：（１−Ｓ／Ｃ）×１００
Ｓ：試料溶液の波長５２０ｎｍにおける吸光度
Ｃ：コントロール（試料無添加）溶液の波長５２０ｎｍにおける吸光度
【００３１】
試料濃度を段階的に減少させて上記消去率の測定を行い、ラジカルの消去率が５０％になる試料濃度ＩＣ50（μｇ／ｍｌ）を求めた。結果を表４に示す。表４に示す結果より、製造例２および製造例３のノニ葉抽出物がラジカル消去作用を有することが確認できた。なお、製造例３で得られた抽出物は、特に高いラジカル消去作用を有することが確認できた。
【００３２】
【表４】
【００３３】
実施例１（クリーム）
表５に示す成分（Ａ）および（Ｂ）をそれぞれ８５℃に加温溶解し、成分（Ａ）および（Ｂ）を混合、分散させた。そこに、成分（Ｃ）を加えて、撹拌しながら３０℃まで徐冷し、均一なクリームを得た。
【００３４】
【表５】
【００３５】
実施例２（リキッドファンデーション）
表６に示す成分（Ａ）および（Ｂ）をそれぞれ８５℃に加温溶解し、成分（Ａ）および（Ｂ）を混合、分散させた。そこに、成分（Ｃ）を加えて、撹拌しながら３０℃まで徐冷し、均一なリキッドファンデーションを得た。
【００３６】
【表６】
【００３７】
比較例１（クリーム）
製造例２で得られたノニ葉抽出物の代わりに精製水を用いた以外は、実施例１と同様にクリームを得た。
【００３８】
比較例２（リキッドファンデーション）
製造例２で得られたノニ葉抽出物の代わりに精製水を用いた以外は、実施例１と同様にリキッドファンデーションを得た。
【００３９】
試験例５（皮膚化粧料のモニター試験）
無作為に抽出した２０歳代、３０歳代および４０歳代の健常な成人それぞれ２０名（合計６０名）を被験者とし、実施例１および２ならびに比較例１および２の皮膚化粧料を通常の方法で連日２ヵ月使用してもらった。
【００４０】
２ヵ月経過した後、皮膚の状態として乾燥による肌荒れに対する改善効果と、はり、たるみに対する改善効果を以下の基準で評価した。結果を表７に示す。
【００４１】
なお、このモニター試験で皮膚に異常が生じた被験者は１名もいなかった。また、２ヵ月にわたってそれぞれの皮膚化粧料はその状態に変化が生じることなく安定していた。
【００４２】
［肌荒れに対する改善効果］
皮膚状態の変化を目視で観察して、以下の評価基準にもとづいて評価した。
Ａ：非常に改善された。
Ｂ：改善された。
Ｃ：やや改善された。
Ｄ：改善効果がなかった。
Ｅ：悪化した。
【００４３】
［はり、たるみに対する改善効果］
顔全体の皮膚の状態を目視にて観察して、以下の評価基準にもとづいて評価した。
Ａ：非常に改善された。
Ｂ：改善された。
Ｃ：やや改善された。
Ｄ：改善効果がなかった。
Ｅ：悪化した。
【００４４】
【表７】
【００４５】
表７に示す結果より、実施例１および２の皮膚外用剤を用いた場合には、比較例１および２の皮膚外用剤を用いた場合と比較して、肌荒れおよびはり、たるみが改善されたことがわかる。すなわち、本発明により、ノニ葉抽出物を含む皮膚外用剤が保湿効果、肌荒れ改善効果を有し、はりおよびたるみを予防、改善し、総じて老化防止作用を発現することがわかる。
【００４６】
以下、本発明の皮膚外用剤の処方例を示す。なお、含有量は重量％である。
＜処方例１：クリーム＞
ノニ葉抽出物 ０．０５
ヒアルロン酸ナトリウム ０．０１
グリセリルモノステアレート ３．０
ポリオキシエチレン（２０）ソルビタンモノステアレート ３．０
セタノール ２．０
スクワラン ３．０
２−エチルヘキサン酸グリセリル １０．０
グリセリン ７．０
エチルパラベン ０．１
精製水 残部
合計 １００．０
【００４７】
＜処方例２：クリーム＞
ノニ葉抽出物 ０．１
ステアリン酸 １０．０
セタノール ２．０
ラノリン １．０
ミリスチン酸イソプロピル ３．０
モノステアリン酸ポリエチレングリコール １．５
トリエタノールアミン ０．８
ソルビトール（７０％） ４．０
メチルパラベン ０．１
香料 ０．０１
精製水 残部
合計 １００．０
【００４８】
＜処方例３：リキッドファンデーション＞
ノニ葉抽出物 ０．０１
ヒアルロン酸 ０．０１
グリセリルモノステアレート ２．０
ポリオキシエチレン（４）ラウリルエーテルリン酸ナトリウム ０．５
ステアリン酸 ５．０
ベヘニルアルコール １．０
ラノリン ２．０
スクワラン ５．０
２−エチルヘキサン酸グリセリル ４．０
顔料 １０．０
プロピレングリコール ７．０
トリエタノールアミン １．０
エチルパラベン ０．１
精製水 残部
合計 １００．０
【００４９】
＜処方例４：リキッドファンデーション＞
ノニ葉抽出物 ０．０５
ラノリン ２．０
流動パラフィン ５．０
ステアリン酸 ２．０
セタノール １．０
グリセリン ２．０
スクワラン ５．０
２−エチルヘキサン酸グリセリル ４．０
顔料 １０．０
プロピレングリコール ７．０
トリエタノールアミン １．０
エチルパラベン ０．１
香料 ０．０１
精製水 残部
合計 １００．０
【００５０】
＜処方例５：乳液＞
ノニ葉抽出物 ０．０２
ヒアルロン酸 ０．０１
ステアリン酸 ２．０
エタノール ０．５
流動パラフィン １０．０
ラノリン脂肪酸イソプロピル ３．０
ラノリン ４．０
スクワラン ５．０
セスキイソステアリン酸ソルビタン １．０
プロピレングリコール ５．０
トリエタノールアミン ０．６
エチルパラベン ０．１
香料 ０．０１
精製水 残部
合計 １００．０
【００５１】
＜処方例６：乳液＞
ノニ葉抽出物 ０．１
ステアリン酸 ３．５
エタノール ０．５
流動パラフィン ３．０
ラノリン ０．５
スクワラン ２．０
プロピレングリコール ３．０
トリエタノールアミン ０．８
エチルパラベン ０．１
カルボキシビニルポリマー１％液（アルカリ中和） ８．０
香料 ０．０１
精製水 残部
合計 １００．０
【００５２】
＜処方例７：化粧水＞
ノニ葉抽出物 ０．０２
ヒアルロン酸ナトリウム ０．０１
モノラウリン酸ポリオキシエチレン（２０）ソルビタン １．０
１，３−ブチレングリコール ３．０
ソルビトール（７０％） ２．０
ピロリドンカルボン酸ナトリウム液 ３．０
エタノール １５．０
アスコルビン酸 ０．１
メチルパラベン ０．１
香料 ０．０１
精製水 残部
合計 １００．０
【００５３】
＜処方例８：化粧水＞
ノニ葉抽出物 ０．０５
モノラウリン酸ポリオキシエチレン（２０）ソルビタン １．０
１，３−ブチレングリコール ５．０
ソルビトール（７０％） ２．０
ピロリドンカルボン酸ナトリウム液 ３．０
エタノール １５．０
アスコルビン酸 ０．１
メチルパラベン ０．１
色素 ０．０１
香料 ０．０１
精製水 残部
合計 １００．０
【特許請求の範囲】
【請求項１】
ノニ葉抽出物を有効成分として含む抗老化剤。
【請求項２】
ノニ葉抽出物を有効成分として含む細胞賦活剤。
【請求項３】
ノニ葉抽出物を有効成分として含むヒアルロン酸合成促進剤。
【請求項４】
ノニ葉抽出物を有効成分として含むコラーゲン合成促進剤。
【請求項５】
ノニ葉抽出物を有効成分として含む抗酸化剤。
【請求項６】
ノニ葉抽出物を有効成分として含む皮膚外用剤。
【請求項１】
ノニ葉抽出物を有効成分として含む抗老化剤。
【請求項２】
ノニ葉抽出物を有効成分として含む細胞賦活剤。
【請求項３】
ノニ葉抽出物を有効成分として含むヒアルロン酸合成促進剤。
【請求項４】
ノニ葉抽出物を有効成分として含むコラーゲン合成促進剤。
【請求項５】
ノニ葉抽出物を有効成分として含む抗酸化剤。
【請求項６】
ノニ葉抽出物を有効成分として含む皮膚外用剤。
【公開番号】特開２００９−１４９５６２（Ｐ２００９−１４９５６２Ａ）
【公開日】平成２１年７月９日（２００９．７．９）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００７−３２８８８４（Ｐ２００７−３２８８８４）
【出願日】平成１９年１２月２０日（２００７．１２．２０）
【出願人】（３００００６０８７）オッペン化粧品株式会社 (7)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２１年７月９日（２００９．７．９）
【国際特許分類】
【出願日】平成１９年１２月２０日（２００７．１２．２０）
【出願人】（３００００６０８７）オッペン化粧品株式会社 (7)
【Ｆターム（参考）】
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