説明

監視カメラおよび監視カメラシステム

【課題】広い監視範囲でも1台のカメラのみを使用し、複雑な機構を有さず低コストでありながら複数の移動体に対して精度よく追尾してモニターリングでき、かつデータ伝送量の低減が可能な監視カメラシステムを提供することを目的とする。
【解決手段】本発明に係る監視カメラは、撮像対象を撮像しSXVGA全画面映像データを生成するイメージセンサー22、SXVGA全画面映像データから移動体を検知し移動体にテンプレートブロックを設定する移動体追尾処理部24、SXVGA全画面映像データをVGA全画面映像データに変換するとともにテンプレートブロックをSXVGA全画面映像データから所定サイズの画像データとして抜き出す画像データ処理部23、テンプレートブロックの画像データをVGA全画面映像データとの時分割多重、または選択的に切替えて外部に送出するLAN接続部26を備えて構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、監視カメラおよび監視カメラシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
監視エリアを撮像している画像の状態変化を検知して侵入者や施設の異常をモニターリングしたり、画像記録する従来の監視カメラシステムとして、下記の特許文献1に記載のものが知られている。
【0003】
監視カメラシステムでは、移動体(不審者)を監視モニターリングするとともに、その移動体(不審者)が不特定多数の人にも特定できる鮮明画像であることが望まれる。特許文献1の監視カメラシステムは、広角カメラで移動体を検知して、パン/チルト対応の望遠カメラで移動体を追尾する監視カメラシステムであり、広い監視範囲でも侵入者を精度よく監視できるようになっている。
【0004】
【特許文献1】特開平11−103457号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の方法では、広角と望遠の2台のカメラが必要になるとともに、広角カメラで捉えている移動体の位置や移動速度情報で望遠カメラのパン/チルトを追従させるように2台のカメラで同期を取る必要があり、カメラの設置や望遠カメラの追尾制御が難しく、ハイコストなシステムでしか対応できない問題があった。また、複数の移動体が別々の方向に移動した場合、一方が望遠カメラで追尾できない問題があった。それに対し、高精細な画像を撮像することにより、1台のカメラのみであっても複数の移動体に対して高精度な画像を得る方法が考えられるが、情報量が多くなってしまい情報伝達の負荷が大きくなるという問題があった。
【0006】
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、その目的は、広い監視範囲でも1台のカメラのみを使用し、複雑な機構を有さず低コストでありながら複数の移動体に対して精度よく追尾してモニターリングでき、かつデータ伝送量の低減が可能な監視カメラシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る監視カメラは、撮像対象を撮像し第1の全画面映像データを生成する画像データ生成手段、第1の全画面映像データを所定の画素サイズである第2の全画面映像データに変換する画像データ変換手段、第1の全画面映像データから移動体を検知する移動体検知手段、移動体にテンプレートブロックを設定するテンプレートブロック設定手段、テンプレートブロックを第1の全画面映像データから所定サイズの画像データとして抜き出すテンプレートブロック抜き出し手段、テンプレートブロックの画像データを第2の全画面映像データとの時分割多重、または選択的に切替えて外部に送出する画像データ送出手段を備えて構成される。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る監視カメラは、撮像した第1の全画面映像データについて間引き等を行い所定の画素サイズである第2の全画面映像データに変換することにより、データ伝送量の低減を図っている。更に、監視エリア内で移動体を検知すると、移動体を含む特定エリアすなわちテンプレートブロックの画像データのみ、画素サイズの変換を行わず第1の全画面映像データから抜き出すので、送信データを微増させるのみで高精細な移動体を第2の全画面映像データにピクチャー・イン・ピクチャーした多重モニターが可能になる。その結果、固定された監視カメラ1台で複数の移動体に対して高精度な画像を得ることができ、かつデータ伝送量の低減を図ることが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、この発明をその実施の形態を示す図面に基づいて具体的に説明する。
【0010】
<実施の形態1>
(構成)
以下、図面を参照して本実施の形態に係る監視カメラシステムの構成を説明する。図1は、本実施の形態による監視カメラシステムを示す図である。監視カメラシステム1は、少なくとも監視対象を撮影してネットワーク配信が可能な監視カメラ2と、1または複数台の前記監視カメラ2で撮像された画像データを入力して前記入力画像データの記録や表示処理などを行う機能を備えた監視端末装置3と、監視端末装置3にて処理された画像データを受信し表示を行う表示装置4とから構成される。
【0011】
監視カメラ2は、可視光を集光するレンズユニット21と、集光された可視光を画像データに変換するCCDやCMOSなどで構成されるイメージセンサー(画像データ生成手段)22とを備える。また、イメージセンサー22から入力された画像データのエリア分割や解像度設定処理を行う画像データ処理部(画像データ変換手段)23と、画像データ処理部23から入力された映像データ(23i)より状態変化、及び、移動体を検知して追尾を行なう移動体追尾処理部(移動体検知手段)24とを備える。さらに、画像データ処理部23から入力された画像データを例えばJPEG方式で情報量制御する画像データ圧縮部(画像データ圧縮手段)25と、監視端末装置3との間でデジタルデータの送受信を行うLAN接続部(画像データ送出手段)26と、各機能部を制御するCPU(Central Processing Unit)27とを備える。
【0012】
監視端末装置3は、監視カメラ2の画像データや付加情報等をLAN等の伝送網を介して送受信するLAN接続部31と、CPUやメモリーで構成される制御部32と、取得した圧縮画像データを記録する記憶装置33とを備える。また、圧縮画像データを復号する圧縮データ伸長部34と、表示装置4に画像表示するための表示ドライバー35とを備える。
【0013】
次に各部の詳細な構成と機能について説明する。監視カメラシステム1で使用する監視カメラ2のレンズユニット21は、焦点距離が3〜9mmの固定焦点やバリフォーカル、または、数10mmの望遠レンズなど設置環境に応じて多様であるが、本発明の監視カメラ2は、水平画角が90度程度、垂直画角が70度程度の広角レンズを使用して、図2に示す撮影画像のように監視エリアが広く撮影できるように設置するのが効果的である。
【0014】
イメージセンサー22は、レンズユニット21で集光された可視光を、半導体プロセスで製造されるCCDやCMOS等のセンサーアレーで画素毎の画像データに変換する素子であり、素子に内蔵されたAD変換器でデジタル信号に変換して出力する。尚、変換画素サイズは、水平:640画素、垂直:480ラインのVGA対応が一般的であるが、近年は半導体プロセスの進化と高精細画の要求が相俟って水平:1280画素、垂直:1024ラインのSXVGA対応のみならず、水平:2048画素、垂直:1536ラインの撮像素子も3メガピクルセンサーとして使用されている。本実施の形態では、水平:1280画素、垂直:960ライン、すなわちVGAの4倍密度撮像素子を使用した画像で説明する。
【0015】
画像データ処理部23は、イメージセンサー22から出力された水平:1280画素、垂直:960ラインの少なくとも1フレーム分の画像データを内部に設けたバッファメモリーにて一時的に蓄え、全画面データが出力できる機能を備える。また、移動体追尾処理部24にて移動体が検知されると、移動体追尾処理部24からのテンプレートブロック情報に基づき、テンプレートブロックのデータを抜き出し、各テンプレートブロックに対して画像サイズや解像度の設定を行なう。テンプレートブロックについては後述する。
【0016】
(動作)
次に、監視カメラシステム1の動作の説明を行う。まず、本実施の形態で行われる解像度設定処理の必要性について簡単に説明する。監視カメラシステム1は、図1に示すように複数台の監視カメラ2を監視端末装置3にLANで接続するのが一般的である。その結果、前記LANの実効伝送容量が50Mbps程度の条件では、1台の監視カメラ2と監視端末装置3が直結であれば25Mbps程度に画像圧縮されたメガピクセル画像でも高レートで取得できるが、カメラ台数が多くなると各監視カメラ2の画像を監視端末装置3が正確に取得するために情報量を落とさざるを得ないのは明白であり、解像度及び、もしくはコマ数を落とす必要がある。監視カメラシステムでは、異常発生の瞬間を確実に取得するために極端に少ないコマレートは不適切であり、通常時は解像度をVGAやQVGA(320×240画素)に落とした方が目的に適合したシステムと言える。
【0017】
そこで、本実施の形態においては、イメージセンサー22で撮像対象を撮像し生成された、図3に示すような撮像画素数が1280×960画素(SXVGA解像度)であるSXVGA全画面映像データ(第1の全画面映像データ)を、画像データ処理部23のバッファメモリーに蓄える。さらに、画像データ処理部23にて、SXVGA全画面映像データをそのライン方向及び垂直方向ともに奇数値画素のみをサンプルした、図4に示すような640×480画素(VGA解像度)の画素サイズであるVGA画面映像データ(第2の全画面映像データ)に変換し、全画面映像データとして画像データ圧縮部25に出力する。図4で●が有効画素であり、×がリジェクトした画素であることを示す。また、上記説明では、奇数値画素としているが偶数値画素でも良い。更に、左右上下4画素のから求めた平均値で640×480画素を生成すればより高品位な画像になる。
【0018】
次に監視エリアの移動体(不審者)を検知する処理について説明する。本発明では、画像データ処理部23のバッファメモリーに一時保存されている高精細な1フレーム分の画像データすなわちSXVGA全画面映像データを活用し、1台のカメラで、従来の広角とパン/チルト対応望遠カメラの2台で実現していた機能に対応できる監視画像システムを以下の手段で実現している。
【0019】
まず、広い監視エリアの撮影画像中から移動体(不審者)を検出する処理について説明する。画像データ処理部23のバッファメモリーに一時保存されている、現在のSXVGA全画面映像データを移動体追尾処理部24に入力する。移動体追尾処理部24では、現在のSXVGA全画面映像データ(例えば図5)とメモリーに保存しておいた直前のSXVGA全画面映像データ(例えば図2)を比較してその差分を検出するフィールド差分を行う。あるいは、現在のSXVGA全画面映像データ(例えば図5)と移動体が何も無い状態のSXVGA全画面映像データ、又は直前までのSXVGA全画面映像データを時間軸方向に積分して生成した背景画(例えば図2)を比較してその差分を検出する背景差分で状態変化を検出する。そして、ラベリング(変化ドットの繋がり検出)手法で状態変化群を分離し、所定サイズ以上の状態変化有群が検知された画像を状態変化有画像として状態変化検出フラッグに”1”を立てる。
【0020】
移動体追尾処理部24において、所定時間間隔で検出される前記状態変化検出フラッグで”1”が所定回数以上続けば、状態変化有パターンを複数画面で比較し、所定値以上移動(位置変化)していれば現在の画像データの移動体検出フラッグに”1”を立てる。さらに、図5に示すように移動体50として検出した状態変化有群の画像データ位置と重心情報をベースにして、現在の画像データに対して状態変化画像が含まれる範囲、すなわち検出された移動体が含まれる範囲を、テンプレートブロック80として設定する。移動体追尾処理部24は、テンプレートブロック設定手段を含む。
【0021】
尚、前記ラベリング手法で状態変化有群が検知された画像を状態変化有画像と判定する所定サイズは、移動体として追尾させたい被写体を人間とした場合、犬やネコ、小鳥などが省けるサイズに設定することで過剰検出を少なく出来る。また、状態変化や移動体検知の所定時間間隔は、30コマ/秒のフルレートで処理する必要は必ずしもなく、捉えたい移動体が標準的に撮影されている時間やCPUの処理負荷も考慮して数100mSec周期程度までの範囲内で適正値に設定すれば良い。
【0022】
また、検出した移動体が新規の移動体かあるいは追尾中の移動体かを、後述するテンプレートブロックのパターンマッチングにより判定し、新規移動体として検出された場合は、設定したテンプレートブロックの重心や画像データ位置の情報、及びテンプレートブロック内の輝度値といった情報を移動体追尾処理部24内に設けられているバッファメモリー空間上にラベル(記号)を付与して保存する。ここで、バッファメモリーの情報は、移動体をテンプレートブロック毎に独立追尾させるための識別情報として用いるものであり、一度に処理したい移動体抜出し画面分だけメモリー量を確保しておく。
【0023】
次に、検出した移動体を追尾する手段について説明する。移動体追尾処理部24は、第1の全画面映像データを処理して検出された現在の移動体の、各々のテンプレートブロックの重心や画像データの位置に近い所定のエリア内に、直前までにラベルを付与されてバッファメモリーに保存されている幾種類かのテンプレートブロックが存在するか否かを検索する。
【0024】
所定エリア内に既存テンプレートブロックが無ければ、新規な移動体として先程説明した通りラベルを付与してテンプレートブロック関連情報をバッファメモリーに保存する。一方、所定エリア内にバッファメモリーに保存された既存テンプレートブロックが存在していれば、保存されているテンプレートブロックの移動体の輝度値と現在の画像データを処理して検出されたテンプレートブロックの移動体の輝度値を、位置が近い既存テンプレートブロックから、画像位置や大きさを含めたパターンマッチングで順次比較する。その比較結果で所定範囲の相似性があれば、その内から最も相似性の高いテンプレートブロックの追尾ブロックとして、テンプレートブロックの情報を、現在の画像データを処理して検出したテンプレートブロックの重心や画像データ位置の情報、及びテンプレートブロック内の輝度値に更新する。
【0025】
以上、移動体追尾処理部24の処理を状態変化検知の所定時間間隔で繰り返すことにより、例えば高精細カメラで撮像された図6に示すようなSXVGA全画面映像データの上端中央部の移動体50に、テンプレートブロック80としてラベル”A”を付与し、テンプレートブロックの軌跡上をブロックサイズ調整しながら追尾することができる。また、画面の中段右端に現れた移動体51には、第2の移動体のテンプレートブロック81としてラベル”B”を付与し、追尾することができる。尚、一旦移動体として検出されてラベルが付与されたテンプレートブロックは、状態変化検知の所定時間間隔の度に相似性のある移動体の有無をパターンマッチング抽出されるが、移動体の一時停止に伴い確率的な周期で相似性のあるパターンが出現しないこともある。複数周期間連続して相似パターンが検出されずにテンプレートブロックの更新が成されたかった場合は、バッファメモリーから当該ラベルのテンプレートブロック情報は全てクリアされる。
【0026】
次に、移動体追尾処理部24で設定されたテンプレートブロックに従って移動体を追尾表示する手段について説明する。移動体追尾処理部24で移動体を検出すると、移動体の重心や画像データ位置情報に基づき、移動体を抜き出す画像データ位置とサイズ、すなわちテンプレートブロックの座標情報を設定し、画像データ処理部23に送信(23t)する。例えば、本実施の形態で使用している水平:1280画素、垂直:960ラインの高精細なSXVGA全画面映像データにより図4に示す移動体Aを検知した場合、図3で示す画素マップ図に対応させると、移動体を追尾する画像データとして中心を水平:400画素、垂直:90ライン目とし、左上対角の始点を水平:240画素、垂直:10ライン目、右下対角の終点を水平:560画素、垂直:170ライン目とするエリアを設定する。
【0027】
移動体追尾エリアすなわちテンプレートブロックの画像データは、より高解像度であることが望ましく、画像データ処理部23はエリア内の全撮影画素をSXVGA全画面映像データから間引きすることなく抜き出し、画像データ圧縮部25に入力する。画像データ処理部23は、テンプレートブロック抜き出し手段を含む。その結果、本実施の形態では、1280画素×960ラインから縦横1/2に画素間引きしたVGA全画面映像データに対し、テンプレートブロックは画素間引きしていないので、光学4倍ズームとほぼ同等の性能を有した解像度での画像を監視カメラ2から送出することになる。
【0028】
画像データ圧縮部25は、画像データ処理部23から入力されるVGA全画面映像データとテンプレートブロックの画像データを時分割で動画圧縮、または、モーションJPEGなどの静止画圧縮により1/20程度に圧縮符号化する。LAN接続部26は、圧縮符号化されたVGA全画面映像データとテンプレートブロックの画像データを、時分割多重または選択的に切り替えて、外部にある監視端末装置3に送出する。尚、VGA全画面映像データとテンプレートブロックの画像データの圧縮符号化は画面単位で時分割処理し、圧縮率も別々に設定する。
【0029】
移動体追尾処理部24で設定されるテンプレートブロックのサイズは、使用する画像圧縮方式の符号化単位の整数倍(例えばJPEG圧縮方式の場合、DCTブロックサイズ)に設定し、不審者の行動範囲に限定すれば効率的な画像圧縮が実現でき、LANへの送信情報量がより削減できる。更に、移動体が監視カメラ2に接近すると大きな被写体として撮像されるので画素間引きしても移動体を特定するに充分な画像が得られる。よって、テンプレートブロックが所定サイズ以上になると画像データ処理部23にて画素間引きをし、画像データ圧縮部25にて圧縮符号化することによりLANへの送信情報量を適正に制御することができる。すなわち、画像データ処理部23は、テンプレートブロックのデータサイズに応じてテンプレートブロックのデータを間引きするテンプレートブロック間引き手段を含み、テンプレートブロックのデータサイズが大きくなるに従って間引きを多くしてもよい。
【0030】
監視端末装置3は、LANなどの伝送網を介してLAN接続部31より受信した前記監視カメラ2からの圧縮画像データやその付加情報を、CPU(Central Processing Unit)やメモリー等で構成される制御部32にて処理し、受信したVGA全画面映像データとともにテンプレートブロックの圧縮画像データを移動体検知番号などのイベント情報と関連付けて内蔵の記憶装置33に記録を行う。さらに、圧縮データ伸長部34において、監視カメラ2で圧縮符号化されたテンプレートブロックのデータとVGA全画面映像データの復号化処理を行い、表示ドライバー35を介して外部の表示装置4に送出する。表示装置4は、監視端末装置3で処理されたデータを受信し表示を行う。尚、遠方撮影のためにテンプレートブロックの画像データが所定サイズより小さくなる場合は、テンプレートブロックの画像データを縦横補間処理で2倍にして拡大表示する。その結果、画素間引き無し分と補間拡大により、移動体の追尾画像は、16倍ズームになる。
【0031】
(効果)
本実施の形態に係る監視カメラシステムは、広い範囲を1台のカメラで監視していても、高精細カメラを採用し、全画面映像データの間引きや移動体検出、移動体の追尾処理、及び移動体の撮影サイズに応じた適正な画素間引き等を行うことにより、平常で背景画のみの撮影時は、必要最低限の画像データをカメラからLANネットワーク送信しつつ、移動体を検出すると対象物のみ高精細で撮像し、追尾の記録や表示ができる。従って、従来は複数カメラを用いて大規模で高額であった監視カメラシステムについて小型・低コストを実現し、複数の移動体に対して高精度な画像を得ることができ、かつネットワーク網の伝送負荷が軽減できる効果がある。
【0032】
<実施の形態2>
(構成)
本実施の形態に係る監視カメラシステムの構成を、図1を基に説明する。監視カメラ2内の移動体追尾処理部24は、SXVGA全画面映像データの任意の特定エリアに追尾設定エリアを設定することにより、追尾設定エリアを移動体が通過、又は、ある一方向に通過した時のみ前記移動体を検知する機能を備える。また、監視端末装置3には、追尾設定エリアを設定するための例えばマウスなどによる入力デバイス(図示せず)が接続されており、設定された追尾設定エリアはLANを介して監視カメラ2に通知可能な構成となっている。その他の構成は実施の形態1と同様であるため、ここでの詳細な説明は省略する。
【0033】
(動作)
次に、本実施の形態に係る監視カメラシステムの動作について、監視カメラシステムの構成を示す図1と、銀行内に取り付けられた監視カメラ2で撮影されている画像を示す図7を基に説明する。
【0034】
まず、表示装置4で全画面を見ながら監視端末装置3に接続されている入力デバイスを用いて、追尾設定エリアを画像データ上の座標にて設定する。例えば、図7のドットパターンで示された、来客のみが入場する正面入口付近の領域を、追尾設定エリア40として設定したとする。設定された追尾設定エリア40の座標情報は、LANを介して監視カメラ2に通知され、移動体追尾処理部24のテンプレートブロック付与条件として、移動体がこのエリアを入口から通過することが追加される。
【0035】
以上の条件が追加されることにより、移動体追尾処理部24は追尾設定エリア40を入口から通過する移動体、すなわち一般客出入口より入場して移動する来客を示す移動体60〜63のみにテンプレートブロック90〜93を付与し追尾対象とする。従って、従業員出入口41から入場した従業員を示す移動体70〜72の行動は、撮影画面内を移動しても追尾設定エリア40を通過していないので追尾されない。
【0036】
その他の動作は実施の形態1と同様であるため、ここでの詳細な説明は省略する。
【0037】
(効果)
本実施の形態に係る監視カメラシステム1は、実施の形態1と同様に監視カメラシステムの小型・低コストを実現しつつ、複数の移動体に対して高精度な画像を得ることができ、かつネットワーク網の伝送負荷が軽減できる効果がある。更に、追尾設定エリアを撮影画面内の特定エリアに設けることで追尾対象物の絞り込みができ、監視効率が改善できる効果がある。すなわち、移動体追尾処理部24の処理負荷やネットワーク網の伝送負荷の軽減が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】実施の形態1に係る監視カメラシステムの構成図である。
【図2】実施の形態1に係る撮影画像を示す図である。
【図3】実施の形態1に係る画像データの画素配置を示す図である。
【図4】実施の形態1に係る画像データの画素配置を示す図である。
【図5】実施の形態1に係る移動体追尾処理部の動作を説明するための図である。
【図6】実施の形態1に係る移動体追尾処理部の動作を説明するための図である。
【図7】実施の形態2に係る撮影画像を示す図である。
【符号の説明】
【0039】
1 監視カメラシステム、2 監視カメラ、3 監視端末装置、4 表示装置、21 レンズユニット、22 イメージセンサー、23 画像データ処理部、24 移動体追尾処理部、25 画像データ圧縮部、26 LAN接続部、27 CPU、31 LAN接続部、32 制御部、33 記憶装置、34 圧縮データ伸長部、35 表示ドライバー、40 追尾設定エリア、41 従業員出入口、50,51,60〜63,70〜72 移動体、80,81,90〜93 テンプレートブロック。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像対象を撮像し第1の全画面映像データを生成する画像データ生成手段と、
前記第1の全画面映像データを所定の画素サイズである第2の全画面映像データに変換する画像データ変換手段と、
前記第1の全画面映像データから移動体を検知する移動体検知手段と、
前記移動体にテンプレートブロックを設定するテンプレートブロック設定手段と、
前記テンプレートブロックを前記第1の全画面映像データから所定サイズの画像データとして抜き出すテンプレートブロック抜き出し手段と、
前記テンプレートブロックの画像データと前記第2の全画面映像データを時分割多重または選択的に切替えて外部に送出する画像データ送出手段と、を備える、
監視カメラ。
【請求項2】
前記テンプレートブロックのデータサイズに応じて前記テンプレートブロックのデータを間引きするテンプレートブロック間引き手段をさらに備える、
請求項1に記載の監視カメラ。
【請求項3】
前記テンプレートブロック間引き手段は、前記テンプレートブロックのデータサイズが大きくなるに従って間引きを多くする、
請求項2に記載の監視カメラ。
【請求項4】
前記移動体検知手段は、前記第1の全画面映像データの任意の特定エリアに追尾設定エリアを設定することにより、前記追尾設定エリアを移動体が通過、又は、ある一方向に通過した時のみ前記移動体を検知する、
請求項1から請求項3のいずれかに記載の監視カメラ。
【請求項5】
前記第1の全画面映像データの撮像画素数は1Mピクセル以上であり、前記第2の全画面映像データの撮像画素数はVGA(630×480画素)以下である、
請求項1から請求項4のいずれかに記載の監視カメラ。
【請求項6】
前記テンプレートブロックのデータと前記第2の全画面映像データを圧縮符号化する画像データ圧縮手段をさらに備え、
前記画像データ送出手段は前記圧縮符号化された前記テンプレートブロックのデータと前記第2の全画面映像データを外部に送出する、
請求項1から請求項5のいずれかに記載の監視カメラ。
【請求項7】
請求項6に記載の監視カメラと、
前記圧縮符号化された前記テンプレートブロックのデータと前記第2の全画面映像データを受信し復号化して外部に送出する監視端末装置と、
前記監視端末装置で処理されたデータを受信し表示を行う表示装置と、を備える、
監視カメラシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−147479(P2009−147479A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−320342(P2007−320342)
【出願日】平成19年12月12日(2007.12.12)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】