説明

監視システムおよび監視方法

【課題】被監視者の監視と不審者との監視の両方を行うことを可能とする。
【解決手段】予め定めれた時間帯外において被監視者が歩くとスリッパ10の有する圧電素子により発電が行われ、スリッパ10が備える送信機から出力された信号が監視装置30で受信される。監視装置30は、信号を受信した回数をカウントする。監視装置30が受信回数を表示すると、表示される数値によって被監視者が部屋内を歩いて生活していることが分かり、被監視者の生存を監視できる。また、屋外に配置された検出器15を不審者が予め定められた時間帯に踏むと検出器15の有する圧電素子により発電が行われ、検出器15が備える送信機から出力された信号が監視装置30で受信される。監視装置30は、信号を受信した回数をカウントし、カウントした回数が閾値を超えると、不審者が被監視者の近くにいることを報知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体の移動を監視する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
人の移動を監視する発明として、例えば特許文献1に開示された発明がある。この特許文献1に開示された発明は、シート状のセンサーを有しており、このセンサーを人が踏むとセンサーから信号が出力される。そして、この信号が受信器で受信されると、受信器から報知音が出力される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−213266号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
さて、特許文献1に開示された発明は、人がセンサーを踏むことにより報知音が出力されるため、住宅で不審者が進入しそうな場所にセンサーを配置すれば、夜間に住宅への侵入を試みる不審者がいることを報知することも可能である。しかしながら、住宅においては、住宅で暮らす住人もセンサーを踏むことがあり、特許文献1に開示された発明では不審者にセンサーが反応したのか、住人にセンサーに反応したのか区別することができない。
【0005】
本発明は、上述した背景の下になされたものであり、被監視者の監視と不審者との監視の両方を行うことを可能とする技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る監視システムは、外部から力が加えられると発電し、生体からの力が加えられる位置に配置される圧電素子と、前記圧電素子の発電により得られた電気エネルギーが供給されると信号を送信する第1送信部とを有する複数の送信機と、前記第1送信部から出力された信号を受信する第1受信部と、前記第1受信部が信号を受信すると、受信した信号を送信する第2送信部とを有する複数の通信装置と、前記第2送信部から送信された信号を受信する第2受信部と、予め定められた時間帯において前記第2送信部から送信された信号が受信されると、警告を報知し、前記第2送信部から送信される信号が前記時間帯外に前記第2受信部において予め定められた期間以上受信されない場合には前記生体に関する情報を報知する報知手段とを有する監視装置とを備える。
本発明によれば、生体によって圧電素子に力が加わると、圧電素子が発電して信号が送信される。この信号が予め定められた時間帯において監視装置に受信されると、警告が報知され、この信号が予め定められた時間帯外に予め定められた期間以上受信されない場合には生体に関する情報が報知されるので、予め定められた時間帯外では被監視者の監視を行い、予め定められた時間帯においては不審者の監視を行うことができる。
【0007】
本発明において、前記第1送信部は、前記圧電素子の発電により得られた電圧の電圧値を検知して該電圧値を示す信号を送信し、前記監視装置は、予め定められた時間帯において前記第2受信部で受信した該信号の示す電圧値が予め定められた範囲外である場合には警告を報知し、該信号が示す電圧値が予め定められた範囲内である場合には警告を報知しなくてもよい。
この構成によれば、予め定められた範囲の大きさの力を圧電素子に加える監視対象の生体が予め定められた時間帯において圧電素子に力を加えても警告が報知されることがないため、監視対象の生体の移動により警告が報知されることがない。
【0008】
本発明において、前記送信機のうちの少なくとも一つは、前記生体と共に移動可能であり、該生体の移動により生じる力で該送信機の圧電素子が発電してもよい。
この構成によれば、監視対象の生体が移動していない時には監視装置で信号が受信されないので、監視対象の生体が移動していないことも監視できる。
【0009】
本発明に係る監視方法は、外部から力が加えられると発電し、生体からの力が加えられる複数位置に配置された圧電素子の発電により得られた電気エネルギーを用いる送信機が信号を送信する第1送信ステップと、前記第1送信ステップで送信された信号を受信する通信装置が、受信した信号を送信する第2送信ステップと、前記第2送信ステップで送信される信号を受信する監視装置が、記第2送信ステップで送信される信号を予め定められた時間帯において受信すると警告を報知し、前記第2ステップで送信される信号が前記時間帯外において予め定められた期間以上受信されない場合には前記生体に関する情報を報知する報知ステップとを有する。
本発明によれば、生体によって圧電素子に力が加わると、圧電素子が発電して信号が送信される。この信号が予め定められた時間帯において監視装置に受信されると、警告が報知され、この信号が予め定められた時間帯外に予め定められた期間以上受信されない場合には生体に関する情報が報知されるので、予め定められた時間帯外では被監視者の監視を行い、予め定められた時間帯においては不審者の監視を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態に係るシステムの全体構成を示した図。
【図2】送信機100Aのハードウェア構成を示したブロック図。
【図3】送信機100Bのハードウェア構成を示したブロック図。
【図4】通信装置20Aのハードウェア構成を示したブロック図。
【図5】監視装置30のハードウェア構成を示したブロック図。
【図6】監視テーブルのフォーマットを例示した図。
【図7】実施形態の動作を説明するための図。
【図8】実施形態の動作を説明するための図。
【図9】変形例に係る監視テーブルを示した図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[実施形態]
図1は、本発明の一実施形態に係る監視システムの模式図である。図1に示したように、この監視システムは、スリッパ10、検出器15、通信装置20A,20B、監視装置30を有している。
スリッパ10は、人間が室内で履くスリッパである。スリッパ10は、力がかかると発電を行う圧電素子と、圧電素子で得られた電気エネルギーによって電波を用いた信号を出力する送信機とを有している。検出器15は、力がかかると発電を行う圧電素子と、圧電素子で得られた電気エネルギーによって電波を用いた信号を出力する送信機とを有しており、屋外に配置される。
通信装置20Aは、スリッパ10から出力される信号を受信する装置であり、受信した信号を通信回線40を介して監視装置30へ送信する。また、通信装置20Bは、検出器15から出力される信号を受信する装置であり、受信した信号を通信回線40を介して監視装置30へ送信する。
監視装置30は、スリッパ10や検出器15から出力された信号を受け取ることにより、スリッパ10を履く人間の監視や、屋外の不審者の監視を行う装置である。監視装置30は、通信回線40に接続されており、通信装置20A,20Bから出力された信号を受信する。
通信回線40は、インターネットやWAN(Wide Area Network)など信号の伝送路であり、通信装置20A,20Bから送信された信号が伝送される。
【0012】
(スリッパ10の構成)
図2は、スリッパ10が備える送信機100Aのブロック図である。送信機100Aは、予め定められた周波数の電波の信号を出力する装置である。送信機100Aは、圧電素子101を備えており、圧電素子101から電力が供給されると、予め定められた期間の間、図示せぬアンテナを備えた送信部102から信号を出力する。圧電素子101は、力が加えられると発電する素子であり、スリッパ10において人が踵を載せる部分に位置している。圧電素子101は、人がスリッパ10を履いて歩くと、踵からの力がかかって発電し、発電により得た電気エネルギーで送信部102を駆動する。送信部102は、電波を用いて信号を出力する電子回路を有しており、予め定められた期間の間、電波を用いた信号(以下、電波信号と称する)を出力する。なお、本実施形態においては、送信機100は、一足のスリッパの片方にのみ配置されているが、片方だけでなく両方に配置されていてもよい。
【0013】
(検出器15の構成)
図3は、検出器15が備える送信機100Bのブロック図である。送信機100Bは、合成樹脂で形成されたシート状または板状の基板に送信機100Aと同じ圧電素子101と送信部102を備えている。送信機100Bが送信機100Aと異なる点は、複数の圧電素子101を備えている点である。なお、図3においては、3つの圧電素子が図示されているが、圧電素子の数は3つに限定されるものではなく4つ以上であってもよい。また、複数の圧電素子101は、規則的に整列されて配置されていてもよく、各々重ならないようにランダムに配置されていてもよい。この圧電素子101を有する検出器15は、人間に踏まれると圧電素子101に力がかかって発電が行われ、発電により得た電気エネルギーで送信部102が駆動される。
【0014】
(通信装置20A,20Bの構成)
図4は、通信装置20Aのハードウェア構成を示したブロック図である。通信装置20Aは、制御部201、無線通信部202および有線通信部203を有しており、制御部201に無線通信部202と有線通信部203が接続されている。なお、通信装置20Bのハードウェア構成は通信装置20Aのハードウェア構成と同じである。
【0015】
通信装置20Aの無線通信部202は、図示せぬアンテナを備えており、送信機100Aから出力された電波信号を受信する。つまり、送信機100Aからの信号を受信する受信部として機能する。無線通信部202は、送信機100Aからの電波信号を受信すると、受信した信号を電気信号に変換して制御部201へ出力する。なお、通信装置20Bの無線通信部202は、送信機100Aから出力された電波信号を受信し、受信した信号を電気信号に変換して制御部201へ出力する。
【0016】
制御部201は、CPU(Central Processing Unit)201A、ROM(Read Only Memory)201B,RAM(Random Access Memory)201Cなどを備えたマイクロコンピューターである。制御部201は、ROM201Bに記憶されているプログラムにしたがって動作し、無線通信部202から出力された信号を受け取ると、受け取った信号を有線通信部203へ出力する。
有線通信部203は、通信回線40に接続されており、通信回線40を介して監視装置30と通信を行うインターフェースとして機能する。有線通信部203は、制御部201から出力された信号を受け取ると、受け取った信号を通信回線40を介して監視装置30へ送信する。
【0017】
(監視装置30の構成)
図5は、監視装置30のハードウェア構成を示したブロック図である。監視装置30は、制御部301、記憶部305、通信部306、操作部307、表示部308を有しており、制御部301に記憶部305、通信部306、操作部307および表示部308が接続されている。
【0018】
通信部306は、通信回線40を介して通信を行うインターフェースとして機能し、制御部301の制御の下、通信装置20A,20Bから送信された信号を受信する。操作部307は、監視装置30を操作するためのキーボード(図示略)やマウス(図示略)を有している。表示部308は液晶ディスプレイを具備しており、制御部301の制御の下、文字やグラフィック画像、監視装置30を操作するためのメニュー画面などの各種画像を表示する。
【0019】
記憶部305は、ハードディスク装置を有しており、監視装置30にオペレーティングシステムの機能を実現するOSプログラム、屋内でスリッパ10を履く人間の移動や、屋外における人間の移動を監視する機能を実現するアプリケーションプログラム(以下、プログラムAPと略称する)を記憶している。また、記憶部305は、監視装置30が使用する各種データを記憶する。
【0020】
図6は、記憶部305が記憶するデータの一例である監視テーブルのフォーマットを示した図である。監視テーブルは、時間帯フィールドと受信回数フィールドを有している。監視テーブルは日毎に生成され、生成された時点においては受信回数フィールドの全てのセルには「0」が格納される。また、時間帯フィールドには時間帯を示すデータが格納され、受信回数フィールドには、監視装置30が通信装置20A,20Bから送信された信号を受信した回数が格納される。
例えば、図6の監視テーブルは、「2009年1月1日」に関する監視テーブルであり、時間帯が「12:00−13:00」の行に回数として「24回」が格納されているため、2009年1月1日の12:00−13:00時間帯において、通信装置20A,20Bからの信号を24回受信したことを示している。
また、記憶部305は、監視装置30が監視する対象を切り替える時間帯を示す時間帯データを記憶する。例えば屋外の不審者の監視を行う時間帯を「0:00〜6:00」とした場合、時間帯データとして「0:00−6:00」が記憶部305に記憶される。なお、時間帯データが表す時間帯は、この時間帯に限定されるものではなく他の時間帯であってもよい。
【0021】
制御部301は、CPU302、IPL(Initial Program Loader)を記憶したROM303、RAM304を有している。制御部301においては、図示せぬ電源から電気エネルギーが供給されるとROM303に記憶されているIPLがCPU302により実行される。CPU302がIPLを実行すると、記憶部305に記憶されているOSプログラムがCPU302により実行され、操作部307からの入力の受け付けや表示部308への画面出力といった入出力機能や記憶部305の制御など、コンピューター装置としての基本的な機能が実現し、プログラムAPを実行することが可能となる。そして、監視装置30がプログラムAPを実行すると、通信装置20A,20Bから送信される信号を受け取る機能や、時刻や日付を計る機能が実現する。また、制御部301においては、人の移動を監視する機能や、監視テーブルの内容に応じて表示部308に表示を行わせる機能などが実現し、制御部301と表示部308は、情報を表示する表示手段として機能する。
【0022】
(実施形態の動作)
次に、実施形態の動作について説明する。なお、以下の説明においては、一人暮らしの人(以下、被監視者と称する)を監視する場合を想定し、被監視者が暮らす部屋に通信装置20A、この部屋の外に通信装置20Bと検出器15が配置され、被監視者が部屋内でスリッパ10を履いて暮らす場合を例に動作の説明を行う。
【0023】
まず、被監視者が送信機100を備えたスリッパ10を右足に履き、送信機100を備えていないスリッパを左足に履く。そして、被監視者が通信装置20Aの配置された部屋内で右足を踏み出すと、被監視者の体重によってスリッパ10内部の圧電素子101に力が掛かる。すると、圧電素子101が発電し(図7:ステップS101)、発電により得られた電力で送信部102が駆動される。圧電素子101からの電力で駆動された送信部102は、予め定められた期間の間、予め定められた周波数の電波信号を図示せぬアンテナから送信する(ステップS102)。
【0024】
この電波信号が通信装置20Aの無線通信部202にて受信されると、制御部201は、有線通信部203を制御し、受け取った信号を通信回線40を介して監視装置30へ送信する(ステップS103)。そして、この信号が監視装置30の通信部306で受信されると、制御部301は、計っている年月日と時刻を参照し、監視テーブルに格納されているデータを更新する(ステップS104)。例えば、ここで、年月日が「2009年1月1日」であり時刻が「12時5分」である場合、図6の「2009年1月1日」という日付に対応した管理テーブルの受信回数フィールドにおいて、「12:00−13:00」という時間帯の行の値に「1」が加えられる。
【0025】
次に、被監視者が左足を踏み出して右足を浮かせると、圧電素子101においては力が掛からないので発電が行われず、送信部102からは電波信号が出力されない。そして、被監視者が再び右足を踏み出すと、被監視者の体重によってスリッパ10内部の圧電素子101に力が掛かり、発電が行われて(ステップS105)送信部102から電波信号が出力される(ステップS106)。すると、上述した動作と同様にして、電波信号を受信した通信装置20Aが信号を監視装置30へ送信し(ステップS107)、監視装置30の制御部301は、監視テーブルの受信回数フィールドの値を増加させる(ステップS108)。
【0026】
また、被監視者がスリッパ10を脱いで就寝すると、被監視者が就寝している時間帯においては圧電素子101に力が掛からないため、スリッパ10から電波信号が送信されない。また、監視装置30においては、通信装置20Aからの信号が送信されてこないため、監視テーブルの受信回数フィールドの値は更新されず「0」のままとなる。
例えば、2009年1月1日の「21:50」から被監視者が就寝していた場合、図6に示したように2009年1月1日の管理テーブルの、「22:00−23:00」と「23:00−24:00」の行においては、受信回数フィールドの値が「0」となる。
【0027】
このように、被監視者が部屋内を歩くと、監視テーブルの受信回数フィールドの値が増加していき、スリッパ10を履いて部屋内を歩かない場合には、監視テーブルの受信回数フィールドの値が増加せず「0」のままとなる。本実施形態において、監視テーブルの内容を見れば、受信回数フィールド内の数値によって被監視者が部屋内を歩いて生活していることが分かり、被監視者の生存を監視できる。また、被監視者が歩くだけで被監視者の監視ができるので、被監視者に対して監視されているという負担を与えずに被監視者を監視することができる。また、被監視者を監視する際には、部屋には送信機100と通信装置20Aを配置するだけで良いので、容易にこれらの装置の設置を行って被監視者の監視を始めることができる。
【0028】
次に、時刻が経過し、制御部301が計っている時刻が記憶部305に記憶されている時間帯データ「0:00−6:00」が示す時間帯の範囲内である場合、制御部301は、監視対象を切り替える。また、制御部301が計っている時刻が「0:17」である時に不審者が被監視者の部屋に近づき、部屋の外に配置された検出器15を踏むと、不審者の体重によって検出器15の圧電素子101に力が掛かる。すると、圧電素子101が発電し(図8:ステップS201)、発電により得られた電力で送信部102が駆動される。圧電素子101からの電力で駆動された送信部102は、予め定められた期間の間、予め定められた周波数の電波信号を図示せぬアンテナから送信する(ステップS202)。
【0029】
この電波信号が通信装置20Bの無線通信部202にて受信されると、制御部201は、有線通信部203を制御し、受け取った信号を通信回線40を介して監視装置30へ送信する(ステップS203)。そして、この信号が監視装置30の通信部306で受信されると、制御部301は、計っている年月日と時刻に基づいて、監視テーブルに格納されているデータを更新する(ステップS204)。すると、「2009年1月2日」という日付に対応した管理テーブルの受信回数フィールドにおいて、「0:00−1:00」という時間帯の行の値に「1」が加えられる。
【0030】
制御部301は、受信回数フィールドの値を増加させると、時間帯データが示す時間帯の受信回数フィールドの値と、予め定められた閾値とを比較し、ここで、受信回数フィールドの値が閾値を超えていない場合には、監視装置30は、通信部306が信号を受け取るのを待つ。
【0031】
そして、不審者が移動して検出器15がさらに踏まれると、不審者の体重によって検出器15内部の圧電素子101に力が掛かり、発電が行われて(ステップS205)送信部102から電波信号が出力される(ステップS206)。すると、上述した動作と同様にして、電波信号を受信した通信装置20Bが信号を監視装置30へ送信し(ステップS207)、制御部301は、監視テーブルの受信回数フィールドの値を増加させる(ステップS208)。
ここで、制御部301は、時間帯データが示す時間帯の受信回数フィールドの値と、予め定められた閾値とを比較し、受信回数フィールドの値が閾値を超えた場合には、被監視者の氏名と、不審者が部屋の近くにいることを通知するメッセージとを表示部308に表示し、不審者が被監視者の近くにいることを報知する。
【0032】
なお、時間帯データが示す時間帯に被監視者がスリッパ10を踏んで通信装置20Aからの信号が監視装置30で受信されても、制御部301は、受信回数フィールドの値を増加させない。また、時間帯データが示す時間帯外に検出器15が踏まれて通信装置20Bからの信号が監視装置30で受信されても、制御部301は、受信回数フィールドの値を増加させない。
【0033】
このように、不審者が部屋の外を歩くと、監視テーブルの受信回数フィールドの値が増加する。本実施形態において、監視テーブルの内容を見れば、受信回数フィールド内の数値によって不審者が部屋の外を移動していることが分かり、不審者を監視できる。また、不審者が検出器15を踏むだけで不審者の監視ができるので、監視カメラを使用する場合などと比較して、不審者に対して監視されているという意識を与えずに不審者を監視することができる。また、不審者を監視する際には、部屋の外には検出器15と通信装置20Bを配置するだけで良いので、容易にこれらの装置の設置を行って不審者の監視を始めることができる。
【0034】
[変形例]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、他の様々な形態で実施可能である。例えば、上述の実施形態を以下のように変形して本発明を実施してもよく、各変形例を組み合わせて実施してもよい。
【0035】
上述した実施形態においては、送信機100は、スリッパ10に設けられているが、送信機100Aが設けられるのはスリッパ10に限定されるものではない。スリッパ10に替えて部屋内で履くことのできる靴でもよく、また、例えば、被監視者が生活する中で被監視者によって力が加えられる物に送信機100Aを配置してもよい。
例えば、ドア枠に送信機100Aを配置し、閉められたドアで送信機100Aの圧電素子101に圧力が加わるようにすれば、圧電素子101が発電して送信機100Aから電波信号が送信され、上述した実施形態と同様に受信回数フィールドの値が更新される。この構成によれば、被監視者がドアの開閉を行って生活をしていることが分かり、被監視者の生存を監視できる。
また、被監視者が座る椅子の脚の下面に圧電素子101を配置してもよく、椅子の座面に圧電素子101を配置してもよい。この構成によれば、被監視者が椅子を使って生活をしていることが分かり、被監視者の生存を監視できる。
また、階段、ベッド、壁に配置された照明のスイッチ、家具、玄関に敷かれるマットや台所に敷かれるマットなど、被監視者が生活するうえで力が高い頻度で加えられる物に圧電素子101を配置してもよい。
なお、圧電素子101を送信部102から離れた位置に配置できるように圧電素子101と送信部102とをケーブルで接続し、圧電素子101のみを力が加わる部分に配置してもよい。この場合、圧電素子101は、薄いシート状であってもよい。
【0036】
上述した実施形態において制御部301は、受信回数フィールドの値を監視し、時間帯データが示す時間帯以外の時間帯において全ての受信回数フィールドの値が「0」となっている日付の監視テーブルがある場合、被監視者の氏名と、被監視者に異常があったことを被監視者に関する情報として表示部308に表示して報知するようにしてもよい。
また、制御部301は、時間帯データが示す時間帯以外の時間帯において通信部306が一定期間の間、通信装置20Aからの信号を受信しなかった場合、被監視者に異常があったと判断し、表示部308に、被監視者に異常があったことを示すメッセージを表示して報知するようにしてもよい。また、これらの報知を行う際には、表示に替えて音声で報知を行ってもよく、表示と音声の両方で報知を行ってもよい。
また、被監視者に関係のある者の電子メールアドレスを記憶部305に記憶し、制御部301は、被監視者に異常があったことを報知する場合、この記憶した電子メールアドレスを宛先とし、被監視者に異常があったことを知らせる内容の電子メールを送信してもよい。
【0037】
上述した実施形態では、一足のスリッパの片方のみが送信機100Aを備えているが、一足のスリッパの両方に送信機100Aを備えている場合、足を踏み出す毎に電波信号が出力されるため、受信回数フィールドの値は歩数としてカウントすることができる。
このため、制御部301は、一の管理テーブル毎に受信回数フィールドの値を全て加算し、一日に部屋内を歩いた歩数として加算結果を表示部308に表示すれば、監視装置30は歩数計としても機能する。
【0038】
上記変形例では、スリッパ10以外に送信機100Aを配置してもよいことを述べたが、例えば、スリッパ10とドア枠というように、複数の位置に送信機100Aを配置してもよい。
また、複数の位置に送信機100Aを配置する場合、送信機100A毎に送信機100Aを一意に識別する識別子を記憶させ、電波信号を送信する際には記憶している識別子を示す信号を送信機100Aが送信し、この信号を受信した通信装置20Aは、受信した信号を監視装置30へ転送してもよい。
この場合、監視装置30は、識別子毎に監視テーブルを生成し、識別子を示す信号を受信すると、受信した識別子に対応した監視テーブルの受信回数フィールドを更新するようにしてもよい。
【0039】
具体的には、例えば、スリッパ10の送信機100Aの識別子を「001」、部屋外へ出るためのドアのドア枠の送信機100Aの識別子を「002」とした場合、監視装置30においては、図9に示したように、識別子「001」に対応した監視テーブルTB1と、識別子「002」に対応した監視テーブルTB2が生成される。
そして、監視装置30が、識別子「001」を示す信号を「2009年1月1日」の「12時5分」に受信した場合、制御部301は、監視テーブルTB1の受信回数フィールドにおいて「12:00−13:00」という時間帯の行の値を更新する。また、被監視者が「2009年1月1日」の「12時57分」に部屋外へ外出し、ドアが閉められてドア枠の送信機100Aの圧電素子101に力がかかると、監視装置30が識別子「002」を示す信号を受信し、制御部301は、監視テーブルTB2の受信回数フィールドにおいて「12:00−13:00」という時間帯の行の値を更新する。
この構成によれば、歩くという行動だけでなく被監視者が行う様々な行動を監視することが可能であり、例えば、スリッパ10について監視テーブルTB1の受信回数フィールドの値が更新されているものの、部屋外へ出るためのドアについて監視テーブルTB2の受信回数フィールドの値が更新されていない場合、被監視者は部屋の外へ外出していないことが分かる。
【0040】
上述した変形例では、一つの部屋で識別子の異なる複数の送信機100を配置した場合を説明したが、複数のスリッパ10について、送信機100の識別子を各々異ならせ、各スリッパ10を各々異なる部屋に置き、複数の部屋毎に通信回線40に接続された通信装置20Aを配置してもよい。
例えば、第1の被監視者が生活する第1部屋において識別子が「001」の送信機100Aを有するスリッパ10を被監視者が履き、第1の被監視者とは異なる第2の被監視者が生活する第2の部屋において識別子が「002」の送信機100Aを有するスリッパ10を被監視者が履く場合、第1の被監視者が第1部屋で歩くと識別子が「001」の監視テーブルTB1の受信回数フィールドが更新され、第1の被監視者が生存していることを確認できる。また、第2の被監視者が第2部屋で歩くと識別子が「002」の監視テーブルTB2の受信回数フィールドが更新され、第2の被監視者が生存していることを確認できる。つまり、この構成によれば、一台の監視装置30で複数の被監視者を監視することができる。
【0041】
なお、上記変形例では、送信機100Aが送信機を一意に識別する識別子を記憶しているが、識別子を送信機100Aが記憶するのではなく、複数の通信装置20A毎に、通信装置を一意に識別する識別子を記憶させてもよい。
そして、送信機100からの電波信号を通信装置20Aが受信すると、通信装置20Aは、記憶している識別子を示す信号を通信回線40を介して監視装置30に送信してもよい。
例えば、第1の被監視者が生活する第1部屋において識別子が「001」の通信装置20Aが配置され、第1の被監視者とは異なる第2の被監視者が生活する第2の部屋において識別子が「002」の通信装置20Aが配置されている場合、第1の被監視者が第1部屋で歩くと識別子が「001」の監視テーブルTB1の受信回数フィールドが更新され、第1の被監視者が生存していることを確認できる。また、第2の被監視者が第2部屋で歩くと識別子が「002」の監視テーブルTB2の受信回数フィールドが更新され、第2監視者が生存していることを確認できる。つまり、この構成でも、一台の監視装置30で複数の被監視者を監視することができる。
また、この構成の場合、一人の被監視者が第1部屋と第2部屋を使用してもよい。この場合、第1部屋で被監視者が歩くと、識別子が「001」の監視テーブルTB1の受信回数フィールドが更新され、第2部屋で被監視者が歩くと、識別子が「002」の監視テーブルTB2の受信回数フィールドが更新されるので、被監視者が、どの時間帯にいずれの部屋で生活しているのかを監視することができる。
【0042】
なお、上述した実施形態において通信装置20Aの識別子を「001」とし、通信装置20Bの識別子を「002」としてもよい。この場合、時間帯データが示す時間帯に被監視者がスリッパ10を踏んで通信装置20Aからの信号が監視装置30で受信されると、制御部301は、識別子が「001」の監視テーブルの受信回数フィールドの値を増加させ、また、時間帯データが示す時間帯外に検出器15が踏まれて通信装置20Bからの信号が監視装置30で受信されると、制御部301は、識別子が「002」の監視テーブルの受信回数フィールドの値を増加させてもよい。
また、監視装置30は、時間帯データが示す時間帯で識別子が「002」の信号を受信した場合、受信すると直ぐに不審者が被監視者の近くにいることを報知するようにしてもよい。
【0043】
上述した実施形態では、通信装置20A,20Bが送信機100A,100Bから出力された電波信号を受信しているが、電波信号を受信するのは、通信装置20A,20Bに限定されるものではない。例えば、電池で駆動されて携帯が容易な大きさ及び重量であり、電波信号を受信する通信機を被監視者が携帯し、この通信機で電波信号を受信してもよい。また、この通信機は、電波信号を受信すると信号を受け取ったことを示す電波信号を出力し、この電波信号を通信装置20A,20Bが受信し、通信装置20A,20Bが、送信機100A,100Bからの信号を受け取ったことを示す信号を監視装置30へ送信する構成としてもよい。この構成においては、被監視者が携帯する通信機で電波信号を受信した回数をカウントして表示すれば、通信機は歩数計としても機能する。
【0044】
また、この構成において通信機は、電波信号を受信する毎に通信装置20A,20Bへ信号を送るのではなく、電波信号を受信した回数をカウントし、カウントした回数を予め定められた周期で通信装置20A,20Bを介して監視装置30へ送り、監視装置30は、送られた回数を記憶するようにしてもよい。この構成によれば、圧電素子101に力が加わる毎に監視装置30が信号を受信する構成と比較して、信号を受信する回数が減るため、通信回線40におけるトラヒックを抑えることができる。
【0045】
上述した実施形態では、通信装置20A,20Bは、通信回線40を介して監視装置30へ信号を送っているが、通信装置20A,20Bは、電波を用いた通信により信号を監視装置30へ送ってもよい。
また、送信機100Bは、通信ケーブルで通信装置20Bと接続され、通信ケーブルで通信装置20Bと接続された送信機100Bは、電波ではなく通信ケーブルを介して電気信号を通信装置20Bへ送信するようにしてもよい。
また、上述した実施形態では、監視テーブルの時間帯は一時間毎となっているが、時間帯は一時間毎に限定されるものではなく、2時間や3時間など他の時間帯であってもよい。
【0046】
通信装置20Aを部屋内で屋外に近い位置に配置し、一つの通信装置20Aで、スリッパ10と検出器15からの信号を受信するようにしてもよい。
また、検出器15が配置されるのは、屋外に限定されるものでなく、部屋のドアの近くや窓の近くなど部屋内であってもよい。検出器15を屋外に配置する場合、検出器15は、猫や犬などの動物により踏まれることもある。そこで、検出器15の圧電素子101は、猫や犬などの小動物の体重では発電せず、人間の体重が掛かった時に発電するように構成してもよい。
また、検出器15においては、圧電素子101の発電により得られた電圧の電圧値を送信部102が検知し、この検知した電圧値を示す信号を監視装置30へ送信してもよい。この構成においては、監視装置30は、被監視者からの力が圧電素子101に掛かった時に送信される電圧値の範囲を記憶部305に記憶しておき、受信した信号が示す電圧値が記憶した範囲内にある場合、被監視者が移動していると判断し、この範囲外の電圧値を示す信号を受信した際には、不審者が移動していると判断してもよい。
【0047】
監視装置30は、計っている時刻が時間帯データが示す時間帯の範囲内である場合、通信部306が信号を受信した回数をカウントし、この回数が予め定められた閾値を超えた場合には、不審者が部屋に近づいたことを報知してもよい。
【0048】
上述した実施形態においては、通信装置20A,20Bに音や光を出力する報知手段を設けてもよい。また、監視装置30は、時間帯データが示す時間帯においては受信回数フィールドに格納されている数が閾値を超えた場合、音や光を用いた報知を行うように指示する信号を通信装置20A,20Bへ出力し、この信号を受け取った通信装置20A,20Bは、音や光を出力するようにしてもよい。この構成によれば、不審者が部屋に近づいたことを被監視者も知ることができる。
【符号の説明】
【0049】
10・・・スリッパ、15・・・検出器、20A,20B・・・通信装置、30・・・監視装置、40・・・通信回線、100・・・送信機、101・・・圧電素子、201・・・制御部、202・・・無線通信部、203・・・有線通信部、301・・・制御部、302・・・CPU、303・・・ROM、304・・・RAM、305・・・記憶部、306・・・通信部、307・・・操作部、308・・・表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から力が加えられると発電し、生体からの力が加えられる位置に配置される圧電素子と、
前記圧電素子の発電により得られた電気エネルギーが供給されると信号を送信する第1送信部と
を有する複数の送信機と、
前記第1送信部から出力された信号を受信する第1受信部と、
前記第1受信部が信号を受信すると、受信した信号を送信する第2送信部と
を有する複数の通信装置と、
前記第2送信部から送信された信号を受信する第2受信部と、
予め定められた時間帯において前記第2送信部から送信された信号が受信されると、警告を報知し、前記第2送信部から送信される信号が前記時間帯外に前記第2受信部において予め定められた期間以上受信されない場合には前記生体に関する情報を報知する報知手段と
を有する監視装置と
を備える監視システム。
【請求項2】
前記第1送信部は、前記圧電素子の発電により得られた電圧の電圧値を検知して該電圧値を示す信号を送信し、
前記監視装置は、予め定められた時間帯において前記第2受信部で受信した該信号の示す電圧値が予め定められた範囲外である場合には警告を報知し、該信号が示す電圧値が予め定められた範囲内である場合には警告を報知しないこと
を特徴とする請求項1に記載の監視システム。
【請求項3】
前記送信機のうちの少なくとも一つは、前記生体と共に移動可能であり、該生体の移動により生じる力で該送信機の圧電素子が発電すること
を特徴とする請求項1または請求項2に記載の監視システム。
【請求項4】
外部から力が加えられると発電し、生体からの力が加えられる複数位置に配置された圧電素子の発電により得られた電気エネルギーを用いる送信機が信号を送信する第1送信ステップと、
前記第1送信ステップで送信された信号を受信する通信装置が、受信した信号を送信する第2送信ステップと、
前記第2送信ステップで送信される信号を受信する監視装置が、
前記第2送信ステップで送信される信号を予め定められた時間帯において受信すると警告を報知し、
前記第2ステップで送信される信号が前記時間帯外において予め定められた期間以上受信されない場合には前記生体に関する情報を報知する報知ステップと
を有する監視方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−244136(P2010−244136A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−89435(P2009−89435)
【出願日】平成21年4月1日(2009.4.1)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】