説明

監視システムおよび監視装置

【課題】効果的な警告を行なえる監視システムを提供する。
【解決手段】監視システムは、監視装置300と、情報通信装置350とを備える。監視装置300は、カメラ314と、通信I/F312と、プロセッサ310と、スイッチ316と、変換データを格納するメモリ318と、スイッチ316を介して送られた音声信号の周波数を変換データに基づいて低周波数に変換するボイスチェンジ回路320と、ボイスチェンジ回路320によって生成された低周波数の音声信号に基づき音声を出力するスピーカ322とを備える。情報通信装置350は、通信I/F362と、ディスプレイ364と、メモリ368と、プロセッサ360と、マイク366とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は遠隔地から監視する技術に関し、特に、遠隔地から警告音声を出力する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
監視カメラが知られている。通常、映像信号は、監視カメラから、当該監視カメラとは別に設置されたモニタに伝送され、監視員がそのモニタに表示される映像を視聴する。
【0003】
映像を用いた監視技術として、たとえば、特開2004−172777号公報(特許文献1)は、監視カメラの監視画面に変化が生じたときに、外部通信端末手段のモニタ画面で室内の現状を確認するだけでなく、室内に設置した電話機能を通じて外部通信端末手段と、室内との間で音声による会話を実現する技術を開示する。
【0004】
特開平8−097936号公報(特許文献2)は、防犯や防災を警備会社や管理事務所に委託する必要がなく、常時異常警報を受けることができるとともに、外出先から任意のときに住居の各機器を制御することができる遠隔監視システムを提供する。
【0005】
特開2000−040196号公報(特許文献3)は、異常が発生した場合に警備業者に依頼していなくても個人が適切な対処を図ることを可能にしたセキュリティシステムを開示する。
【0006】
特開2004−265372号公報(特許文献4)は、不審者が気が付かないようにビデオカメラ等で自動連射撮影するとともに、大音量の電子音や音声などで撃退し、不審者の証拠を得ることができる防犯装置を開示する。
【0007】
特開2003−101612号公報(特許文献5)は、女性であっても留守設定時の音声記憶を促す音声メッセージ対応の可能な通話装置を開示する。
【特許文献1】特開2004−172777号公報
【特許文献2】特開平8−097936号公報
【特許文献3】特開2000−040196号公報
【特許文献4】特開2004−265372号公報
【特許文献5】特開2003−101612号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
遠隔地において異常を検知した使用者がその場で警告を発したい場合もある。その一方で、たとえば、女性あるいは子供などが警告を行なっても、効果的でない場合もある。また、警告を行なおうとしても実際には行なえない場合もある。
【0009】
本発明は、上述のような問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、遠隔地で異常を検知した監視装置の使用者による警告を可能とする監視システムを提供することである。他の目的は、外部から与えられる信号に応じて警告音を出力できる監視装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、この発明のある局面に従う監視システムは、情報通信装置と、通信回線を介して情報通信装置に接続される監視装置とを備える。監視装置は、撮影に基づく画像データを出力するカメラと、画像データに基づいて異常を検知する検知手段と、画像データと、異常を通知する情報とを、情報通信装置に送信する送信手段とを備える。情報通信装置は、監視装置から送信された画像データを受信する画像データ受信手段と、画像データに基づく映像を表示するディスプレイと、情報通信装置に対する発話を受け付けるマイクと、発話に応じた音声信号を監視装置に送信する音声信号送信手段とを備える。監視装置は、情報通信装置から送信された音声信号を受信する音声信号受信手段と、音声信号の周波数を予め定められた周波数以下の周波数に変換するための変換データを格納するメモリと、受信された音声信号の周波数を変換データに基づき変換するプロセッサと、周波数が変換された音声信号に基づき音声を出力するスピーカとを備える。
【0011】
この発明の他の局面に従う監視システムは、情報通信装置と、通信回線を介して情報通信装置に接続される監視装置とを備える。監視装置は、撮影に基づく画像データを出力する撮像手段と、画像データを情報通信装置に送信する送信制御手段とを備える。情報通信装置は、監視装置から送信された画像データを受信する画像データ受信手段と、画像データに基づく映像を表示する表示手段と、情報通信装置に対する入力を受け付ける入力手段と、入力に応じた信号を監視装置に送信する送信手段とを備える。監視装置は、情報通信装置から送信された信号を受信する受信手段と、情報通信装置から受信した信号に対して予め規定された処理を実行することにより、予め定められた周波数以下の周波数の音声信号を出力する信号出力手段と、出力された音声信号に基づき音声を出力する音声出力手段とを備える。
【0012】
好ましくは、入力手段は、発話を受け付けて発話に応じた音声信号を出力する音声入力手段を含む。信号出力手段は、音声信号の周波数を予め定められた周波数以下の周波数に変換するための変換データを格納する記憶手段と、受信手段によって受信された音声信号の周波数を変換データに基づき変換する変換手段とを含む。
【0013】
好ましくは、送信制御手段は、画像データに基づいて異常の有無を判定し、異常を検出したときに、画像データと、異常を表す情報とを、情報通信装置に送信する。
【0014】
好ましくは、送信制御手段は、予め規定された画像処理ルールに従って画像データを解析し、解析の結果に基づいて異常を検出する。
【0015】
好ましくは、信号出力手段は、送信制御手段が異常を検知した場合に、予め規定された処理を実行することにより音声信号を出力する。
【0016】
好ましくは、送信制御手段は、撮像手段からの画像データに基づいて複数の画像の動きの有無を検出し、複数の画像の動きを検出したときに異常を検知する。
【0017】
好ましくは、入力手段は、情報通信装置に対する操作入力を受け付ける操作手段を含む。信号出力手段は、予め生成された音声データを格納する記憶手段と、音声データを再生する再生手段とを含む。
【0018】
この発明の他の局面に従うと、通信回線を介して情報通信装置に接続される監視装置が提供される。情報通信装置は、通信インターフェイスとディスプレイとマイクとを備える。この監視装置は、撮影に基づく画像データを出力するカメラと、画像データに基づいて異常を検知する検知手段と、画像データと、異常を通知する情報とを、情報通信装置に送信する送信手段と、情報通信装置から送信された音声信号を受信する音声信号受信手段と、音声信号の周波数を予め定められた周波数以下の周波数に変換するための変換データを格納するメモリと、受信された音声信号の周波数を変換データに基づき変換する変換手段と、周波数が変換された音声信号に基づき音声を出力するスピーカとを備える。
【0019】
好ましくは、変換手段は、検知手段が異常を検知した場合に、周波数を変換する処理を実行する。
【0020】
好ましくは、検知手段は、予め規定された画像処理ルールに従って画像データを解析し、解析の結果に基づいて異常を検知する。
【0021】
好ましくは、検知手段は、撮像手段からの画像データに基づいて複数の画像の動きの有無を検出し、複数の画像の動きを検出したときに異常を検知する。
【発明の効果】
【0022】
本発明によると、遠隔地で異常が検知された場合に、監視装置の使用者による警告を可能とすることができる。また、本発明によると、外部から与えられる信号に応じて警告音が出力可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0024】
<第1の実施の形態>
図1を参照して、本発明の第1の実施の形態に係る監視システム10について説明する。図1は、監視システム10の構成を概念的に表わす図である。監視システム10は、監視装置100と情報通信装置150とを備える。監視装置100と情報通信装置150とは、インターネットその他のネットワーク190により相互に接続される。監視装置100は、ある局面において、カメラ314と、スピーカ322とを含む。ネットワーク190には、保安システム180がさらに接続される。
【0025】
監視装置100は、ある局面において、住宅、商業ビルその他の建築物の外壁などに設置される。情報通信装置150は、インターネットその他のネットワーク190に接続可能な端末装置により実現される。情報通信装置150は、音声の入力を受ける装置であればよく、たとえば、携帯電話その他の無線通信端末、コードレス電話などとして実現される。保安システム180は、警備会社、警察その他のセキュリティサービスを提供する主体に設置される。保安システム180は、周知のハードウェア構成を有するコンピュータによって実現される。
【0026】
ある局面において、監視装置100は、カメラ314を作動させて来訪者を撮影し、その来訪者の画像を情報通信装置150に送信する。情報通信装置150は、それが備えるディスプレイ装置あるいは情報通信装置150に接続される表示装置にその来訪者の画像を動画あるいは静止画として表示する。情報通信装置150の使用者(たとえば監視装置100が設置されている家庭の住人あるいは商業施設の管理者など)が表示された画像に基づき、遠隔地から応答することができる。たとえば来訪者が見知らぬ人物である場合には、その利用者は、情報通信装置150が有するマイク(図示しない)に対して声を発する。情報通信装置150は、その発せられた声を音声信号として監視装置100に送信する。監視装置100は、その信号を後述するように予め規定された音声データに変換し、変換後のデータに基づき音声をスピーカ322から発する。
【0027】
また、他の局面において、情報通信装置150の使用者が情報通信装置150に対して上記の動作あるいはキーボードその他の入力装置(図示しない)に対して通報のための操作(たとえば通報のために予め規定されたボタンの押下など)を実行すると、その操作に応じた信号が情報通信装置150によって保安システム180に送られる。保安システム180は、その通報のために予め規定されたデータを受信したことを検知すると、そのデータを解析し、監視装置100が設置されている場所に、監視装置100の利用者が知らない人物が存在していることを検知する。
【0028】
図2を参照して、本実施の形態に係る監視システム10の構成についてさらに説明する。図2は、監視装置100と情報通信装置150とを実現する機能の構成を表わすブロック図である。監視装置100は、撮影部210と、検知部212と、送信部214と、受信部220と、信号出力部230と、音声出力部240とを備える。信号出力部230は、記憶部232と処理部234とを含む。
【0029】
検知部212は、撮影部210から出力される信号に基づいて作動可能なように撮影部210に接続される。送信部214は、検知部212から出力されるデータに基づいて作動可能なように検知部212に接続される。信号出力部230は、受信部220から出力されるデータに基づいて作動可能なように受信部220に接続される。音声出力部240は、信号出力部230から出力されるデータに基づいて作動可能なように信号出力部230に接続される。
【0030】
情報通信装置150は、画像データ受信部250と、表示部260と、入力部270と、送信部280とを備える。入力部270は、音声入力部272と、操作部274とを含む。表示部260は、画像データ受信部250から出力されるデータに基づいて作動可能なように画像データ受信部250に接続される。送信部280は、入力部270から出力されるデータに基づいて作動可能なように入力部270に接続される。
【0031】
監視装置100の送信部214と、情報通信装置150の画像データ受信部250とは、インターネットその他のネットワーク190によって接続される。また、情報通信装置150の送信部280と、監視装置100の受信部220とも、同様にネットワーク190に通信可能なように接続される。
【0032】
図2を再び参照して、監視装置100において、撮影部210は、監視装置100を構成する筐体の外部を撮影可能なように配置される。撮影部210は、その撮影に基づく画像データを出力する。なお、ある局面において、撮影部210から出力される画像データは、送信部214に送られてもよい。撮影部210は、ある局面において、CCD(Charge Coupled Device)カメラ、CMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)素子を有するカメラなどにより実現される。
【0033】
検知部212は、撮影部210から出力される画像データに基づいて監視装置100が設置されている場所における異常を検知する。ある局面において、検知部212は、画像データの解析機能を有する。検知部212は、撮影によって生成された画像データを構成する各フレームを解析する。たとえば、検知部212は、各フレームに含まれる背景画像を抽出し、各背景画像の変化の有無を検知する。同一の背景画像において移動物体が検出されると、検知部212は、監視装置100の近傍に移動物体が存在することを異常として検知する。検知部212は、その検知の結果を表わす信号を送信部214に送信する。また、検知部212は、他の局面において、検知された結果とその結果をもたらした画像データとを関連付けたデータを生成し、その生成したデータを送信部214に送信する。なお、他の局面において、検知部212は監視装置100に含まれなくてもよい。この場合、撮影部210から出力される画像データは、送信部214に送出される。
【0034】
送信部214は、検知部212から送られる画像データを、情報通信装置150に送信する。送信部214は、監視装置100の内部メモリ(図示しない)に予め登録された通信データに従って、当該画像データを送信するためのパケットを生成し、その生成したパケットを情報通信装置150に送信する。ある局面において、送信部214は、SIP(Session Initiation Protocol)に従って、監視装置100と情報通信装置150との間の通信セッションを形成し、そのプロトコルに従ってパケットを送信する。なお、監視装置100と情報通信装置150との通信の態様は、上述のものに限られず、他のプロトコルに従った通信が行なわれてもよい。
【0035】
情報通信装置150において、画像データ受信部250は、監視装置100との間で予め規定されたプロトコル(たとえばSIP)に従って通信セッションを形成する。画像データ受信部250は、監視装置100から送信された画像データを受信する。
【0036】
表示部260は、画像データ受信部250によって受信された画像データに基づく映像を表示する。表示部260は、当該映像を静止画として、あるいは動画として表示する。静止画と動画との切り換えは、たとえば入力部270に対する操作に従って実現される。
【0037】
入力部270は、情報通信装置150に対する入力を受け付ける。より具体的には、音声入力部272は、情報通信装置150に対する音声の入力を受け付ける。音声入力部272は、ある局面において、情報通信装置150に接続されるマイクとして実現される。
【0038】
操作部274は、情報通信装置150に対する命令の入力を受け付ける。操作部274は、たとえばキーボード、マウス、表示部260において実現されるタッチパネルなどとして実現される。
【0039】
送信部280は、入力部270によって受け付けられた入力信号を監視装置100に送信する。送信部280は、ある局面において、監視装置100と情報通信装置150との間の通信を実現するプロトコルに従ったパケットを生成し、その生成したパケットを監視装置100に送信する。当該パケットは、音声入力部272に対して与えられた音声に対応する音声データ、あるいは、操作部274に対する操作に基づいて生成されたデータを含む。これらのデータは、監視装置100においてその内容が解析され、監視装置100の動作を規定する。
【0040】
監視装置100において、受信部220は、情報通信装置150から送信された信号を受信する。受信部220は、その受信した信号からヘッダ部を取り除き、ユーザデータ部を抽出し、そのユーザデータ部を信号出力部230に送出する。
【0041】
信号出力部230は、情報通信装置150から受信した信号に対して予め規定された処理を実行することにより、予め定められた周波数以下の周波数を有する音声信号を出力する。ある局面において、信号出力部230は、音声信号の周波数を予め定められた周波数以下の周波数を有する信号に変換するための変換データを格納するメモリと、受信部220によって受信された音声信号の周波数を当該変換データに基づき変換するプロセッサとして実現される。
【0042】
他の局面において、信号出力部230は、予め生成された音声データを格納するメモリと、そのメモリに格納されている音声データを再生する再生部として実現される。音声データの形式は、たとえばMPEG(Moving Picture Experts Group)−1 Audio Layer 3)データであるが、他の形式に従うデータであってもよい。
【0043】
音声出力部240は、信号出力部230から出力された音声信号に基づき音声を監視装置100の外部に出力する。音声出力部240は、たとえば監視装置100の筐体に設けられるスピーカとして実現される。他の局面において、音声出力部240は、監視装置100に接続される外部スピーカとして実現されてもよい。
【0044】
さらに他の局面において、送信部214は、撮影部210から出力される画像データに基づいて異常の有無を判定し、異常が存在することを検知したときにのみ、画像データと、当該異常を表わす情報とを、情報通信装置150に送信する。この場合、ネットワーク190のトラフィックが抑制されるため、通信の負荷が軽減される。
【0045】
図3を参照して、本実施の形態に係る監視システム10の具体的構成について説明する。図3は、監視システム10を構成する監視装置300および情報通信装置350のハードウェア構成を表わすブロック図である。監視装置300は、カメラ314と、通信I/F(Interface)312と、プロセッサ310と、スイッチ316と、メモリ318と、ボイスチェンジ回路320と、スピーカ322とを備える。監視装置300は、インターネット390に接続される。
【0046】
インターネット390には、PC380と、情報通信装置350とがさらに接続されている。情報通信装置350は、通信I/F362と、ディスプレイ364と、メモリ368と、プロセッサ360と、マイク366とを備える。
【0047】
監視装置300において、カメラ314は、プロセッサ310からの命令に従って予め規定された撮影動作を実行する。カメラ314は、その撮影に基づく画像データをプロセッサ310に送出する。プロセッサ310は、その画像データに基づいて、検知部として異常の有無を判定する。プロセッサ310は、その判定の結果に基づいて異常を検出すると、異常を検知したことを表わす情報を生成し、その情報と、異常をもたらした画像とを関連付けて、関連付けが行なわれたデータを通信I/F312に送信する。通信I/F312は、そのデータを情報通信装置350に送信する。
【0048】
情報通信装置350において、通信I/F362は、監視装置300によって送られたデータを受信する。通信I/F362は、そのデータに含まれるユーザデータをプロセッサ360に送出する。プロセッサ360は、そのユーザデータに含まれる画像データをメモリ368において確保した領域に一時的に格納し、表示ドライバとして、そのデータに基づく映像をディスプレイ364に表示させる。画像データが監視装置300から順次送信される場合、プロセッサ360は、ディスプレイ364における表示のために使用されたデータを削除し、新たに受信したデータをその領域あるいはその次の表示のために確保した別の領域に書き込み、その書き込んだデータに基づいてディスプレイ364における表示を継続的に実現する。
【0049】
マイク366は、情報通信装置350に対する発話を受け付ける。マイク366は、その発話に応じた音声信号を出力し、プロセッサ360に送出する。プロセッサ360は、その音声信号(デジタルデータに変換されたもの)を監視装置300に送信する。より具体的には、プロセッサ360は、メモリ368に格納されている監視装置300のIP(Internet Protocol)アドレスを参照し、そのアドレスに従って当該データを送信するように通信I/F362に命令を与える。通信I/F362は、そのデータにヘッダを付与し、生成したパケットを監視装置300に向けて送信する。
【0050】
なお、通信I/F362によってパケットが送られる宛先は、監視装置300に限られず、たとえばPC380を有する他の機関(たとえば警備会社など)に送られてもよい。
【0051】
監視装置300において、通信I/F312は、情報通信装置350から送られたパケットを受信する。通信I/F312は、そのパケットを構成するユーザデータをプロセッサ310に送出する。プロセッサ310は、パケットが情報通信装置350によって送られたことを検知すると、スイッチ316に対して制御信号を送信することにより、通信I/F312とボイスチェンジ回路320との伝送路を接続する。通信I/F312がボイスチェンジ回路320に向けて送るデータは、スイッチ316を介してボイスチェンジ回路320に到達する。
【0052】
さらに、プロセッサ310は、メモリ318を参照し、送られたデータに含まれる音声信号の周波数を予め定められた低周波数に変換するためのデータを読み出し、メモリのワーク領域(図示しない)にロードする。プロセッサ310は、ユーザデータに含まれるその音声データと変換データとに基づいて、音声データの周波数を低周波数に変換するための処理を実行する。より具体的には、プロセッサ310は、ボイスチェンジ回路320に対して制御信号を送信することにより、ボイスチェンジ回路320をアクティブに切り換える。プロセッサ310は、さらに、メモリ318から読み出した変換データをボイスチェンジ回路320に送出する。ボイスチェンジ回路320は、その変換データに基づいて、スイッチ316を介して与えられた音声信号の周波数を低周波数に変換する。
【0053】
ボイスチェンジ回路320は、その変換後の音声信号をスピーカ322に送出する。スピーカ322は、その信号に基づいて音声を出力する。これにより、監視装置300は、情報通信装置350に対して発話された音声の周波数よりも低い周波数を有する音声を発することができる。カメラ314に姿を捉えられた来訪者は、その音声を聞き、警報を受けていることを認識する。
【0054】
なお、本実施の形態においては、プロセッサ310とボイスチェンジ回路320とは、別個に構成されているが、他の局面において、プロセッサ310と、ボイスチェンジ回路320とが1つのプロセッサとして構成されてもよい。
【0055】
図4を参照して、本実施の形態に係る監視装置300のデータ構造について説明する。図4は、メモリ318におけるデータの格納の一態様を概念的に表わす図である。メモリ318は、データを格納するための複数のメモリ領域を含む。
【0056】
通信相手先アドレスは、メモリ領域410に格納される。通信相手先アドレスは、たとえば情報通信装置350のIPアドレスである。そのアドレスに加えて、情報通信装置350を識別するための名称がさらに格納されてもよい。
【0057】
通信タイミングの設定を表わすデータは、メモリ領域420に格納される。通信タイミングは、具体的には、監視装置300から情報通信装置350に画像データを送信するタイミングを規定する。通信タイミングは、たとえば「常時」、「異常検知時」などとして規定される。通信タイミングは「常時」に設定されている場合、監視装置300と情報通信装置350とは、通信セッションを維持し続け、その間、監視装置300は、カメラ314によって生成された画像データを送信し続ける。送信のタイミングは、予め定められた時間ごとであってもよいし、ストリーム配信の形式であってもよい。
【0058】
音声変換モードを規定するデータは、メモリ領域430に格納されている。音声変換モードは、スピーカ322から発せられる音声を与えるためのデータの作成方法を規定する。音声変換モードは、たとえば周波数変換、合成音声出力などを含む。周波数変換は、前述のように、メモリ318に格納されている変換データに基づいてボイスチェンジ回路320が与えられた音声信号の周波数を予め規定された低周波数以下の周波数を有する音声信号に変換する。他の局面において、メモリ318は、予め作成された音声データを格納する。この場合、音声変換モードが「合成音声出力」に設定されている場合、プロセッサ310は、メモリ318に格納されている音声データを読み出してそのデータに基づいて再生した音声信号をスピーカ322に送信する。このようにすると、情報通信装置350の使用者がマイク366に向かって発話することができない場合(たとえば執務中、会議中など)であっても、入力操作を実行することにより、その操作に基づいて合成音声がスピーカ322から出力される。
【0059】
教示データはメモリ領域440に格納されている。教示データは、カメラ314によって生成された画像データに基づいて異常の有無を検出するための基準として使用される。教示データは、たとえば、監視装置300による監視の対象とされない人物(監視装置300の設置場所の住人など)をカメラ314によって撮影し、その撮影によって得られたデータから算出された特徴量である。この場合、特徴量は、たとえば、顔認識技術において使用される特徴量(たとえば両目の間隔など)が用いられるが、その他の物理量が使用されてもよい。
【0060】
周波数変換プログラムは、メモリ領域450に格納される。周波数変換プログラムは、プロセッサ310が与えられた音声信号の周波数を変換するために使用する。図3に示される例では、ボイスチェンジ回路320が周波数変換処理を実行するため、周波数変換プログラムは使用されない。他の局面において、プロセッサ310が音声信号の周波数変換を実行するとき、周波数変換プログラムを実行することにより周波数の変換を実現する。
【0061】
通信制御プログラムは、メモリ領域460に格納されている。通信制御プログラムは、監視装置300と情報通信装置350との通信を実現する。通信制御プログラムは、たとえばSIPに従った処理を実行する。ファームウェアは、メモリ領域470に格納されている。ファームウェア470は、監視装置300の基本的な動作を実現する。周波数変換プログラムと通信制御プログラムとファームウェアとは、監視装置300の製造時に製造事業者によって格納される。他の局面において、これらのプログラムは、たとえば通信I/F312を介して入力され、更新されてもよい。
【0062】
メモリ318は、たとえばフラッシュメモリ、EEPROM(Electronically Erasable Programmable Read-Only Memory)その他の不揮発メモリとして実現される。
【0063】
図5を参照して、本実施の形態に係る監視装置300の制御構造について説明する。図5は、監視装置300が実行する一連の動作の一部を表わすフローチャートである。
【0064】
ステップS510にて、カメラ314は、撮影に基づき画像データを生成する。ステップS512にて、プロセッサ310は、画像データを構成する複数のフレームの各々に基づいて、画像の変化量(R、G、B)を算出する。ステップS514にて、プロセッサ310は、その算出した画像の変化量に基づいて、移動物体の有無を判定する。
【0065】
ステップS520にて、プロセッサ310は、移動物体が検出されたか否かを判定する。プロセッサ310は、移動物体を検出したと判定すると(ステップS520にてYES)、制御をステップS530に切り換える。そうでない場合には(ステップS520にてNO)、プロセッサ310は、制御をステップS540に切り換える。
【0066】
ステップS530にて、プロセッサ310は、その移動物体が登録済みの物体であるか否かを判定する。この判定は、たとえばカメラ314から送られた画像データと、メモリ318に格納されている教示データ(メモリ領域440)とを比較することにより行なわれる。プロセッサ310は、その移動物体が登録済みの物体であると判定すると(ステップS530にてYES)、制御をステップS540に切り換える。そうでない場合には(ステップS530にてNO)、プロセッサ310は、制御をステップS550に切り換える。
【0067】
ステップS540にて、プロセッサ310は、通信I/F312に対して命令を送信することにより、カメラ314から出力された画像データをそのまま情報通信装置350に送信させる。通信I/F312は、その命令に従って、カメラ314から出力された画像データを有するパケットを生成し、その生成したパケットを情報通信装置350に向けて送信する。
【0068】
ステップS550にて、プロセッサ310は、監視装置300に未登録の物体を検出したことを表わすレポートデータを生成する。ステップS552にて、プロセッサ310は、カメラ314から送られた画像データとその生成したレポートデータとを情報通信装置350に送信する。より具体的には、プロセッサ310は、これらのデータの送信命令を通信I/F312に送出する。通信I/F312は、その命令に基づいて、画像データとレポートデータとを有するパケットを生成し、そのパケットを情報通信装置350に向けて送信する。なお、他の局面において、通信I/F312は、画像データを送信するためのパケットと、レポートデータを送信するためのパケットとを別個に生成し、各パケットを順次送信してもよい。
【0069】
ステップS554にて、プロセッサ310は、情報通信装置350から音声信号を受信したことを検知する。プロセッサ310は、その音声信号からユーザデータを抽出し、そのユーザデータに含まれる音声データを取り出す。プロセッサ310は、その取り出した音声データをボイスチェンジ回路320に送信する。あるいはプロセッサ310は、スイッチ316に命令を与えることにより、通信I/F312とボイスチェンジ回路320との接続関係を、データ伝送が可能な状態に切り換える。これにより、ボイスチェンジ回路320には、音声データが入力される。プロセッサ310は、メモリ318から読み出した変換データをボイスチェンジ回路320に送出する。
【0070】
ステップS556にて、ボイスチェンジ回路320は、プロセッサ310から与えられた変換データと、当該音声データとに基づいて、その音声データの周波数を低周波数の音声信号に変換する。
【0071】
ステップS558にて、ボイスチェンジ回路320は、その変換後の音声信号をスピーカ322に送出する。スピーカ322は、その信号に基づいて音声を出力する。
【0072】
図6を参照して、本実施の形態に係る情報通信装置350の制御構造について説明する。図6は、情報通信装置350のプロセッサ360が実行する一連の動作の一部を表わすフローチャートである。
【0073】
ステップS610にて、プロセッサ360は、通信I/F362に命令を送信することにより、監視装置300と情報通信装置350との通信セッションを形成する。
【0074】
ステップS620にて、プロセッサ360は、通信I/F362から出力されるデータに基づいて、監視装置300から送信されたパケットデータを受信したことを検知する。
【0075】
ステップS630にて、プロセッサ360は、そのパケットデータに含まれる画像データに基づいて映像をディスプレイ364に表示させる。より具体的には、プロセッサ360は、通信I/F362から送られたユーザデータから画像データを抽出し、その画像データをメモリ368に一時的に書き込む。プロセッサ360は、表示ドライバとして、メモリ368に書き込んだその画像データをディスプレイ364に出力する。ディスプレイ364は、そのデータに基づいて映像を表示する。
【0076】
ステップS640にて、プロセッサ360は、映像の表示が開始されたことに応答して、マイク366をアクティブな状態に切り換えるための信号をマイク366に送出する。これにより、マイク366に対する発話は受け付けられ、その発話に応じた信号がプロセッサ360に送られる。
【0077】
ステップS650にて、プロセッサ360は、マイク366から出力される音声信号をデジタルデータに変換する。ステップS660にて、プロセッサ360は、そのデジタルデータに基づいてパケットを生成する。
【0078】
ステップS670にて、プロセッサ360は、通信I/F362に対して命令を与えることにより、その生成したパケットを監視装置300に送信させる。より具体的には、プロセッサ360は、メモリ368に格納されている宛先アドレスを読み出し、その宛先アドレスを通信I/F362に送信する。通信I/F362には、そのアドレスとプロセッサ310から与えられたデジタルデータを用いてパケットを生成し、その生成したパケットを監視装置300に送信する。
【0079】
以上のようにして、本発明の第1の実施の形態に係る監視システムによると、監視装置100に入力された音声は、予め準備された変換データに基づいて、予め定められた周波数以下の周波数を有する音声に変換される。したがって、たとえば女性あるいは子供のような高周波数の音声を発しやすい女性あるいは子供が発した音声も、低音の音声に変換される。これにより、監視装置100を使用して不審者を発見した場合であっても、監視装置100に低音の音声を出力させることができる。
【0080】
<変形例>
以下、本発明の実施の形態の変形例について説明する。本変形例に係る監視システムは、画像データとレポートデータとを送信できる機能を有する点で、第1の実施の形態に係る監視システムと異なる。そこで、図7を参照して、本変形例に係る監視システムにおいて伝送されるパケット700について説明する。図7は、パケット700の構成を概念的に表わす図である。パケット700は、ヘッダ710と、ユーザデータ720とを含む。ヘッダ710は、宛先アドレス(たとえば、監視システムの使用者が昼間滞在する職場のパーソナルコンピュータのIPアドレス)と、送信元アドレス(監視装置のIPアドレス)と、送信日時とを含む。ユーザデータ720は、画像データと、生成日時と、レポートデータとを含む。レポートデータは、たとえば、監視装置300が未登録の人物を検出したことを通知するためのデータを含む。このような構成を有するパケット700が監視装置300から情報通信装置350に送られると、情報通信装置350は、ユーザデータ720に含まれるレポートデータに基づいて、情報通信装置350の使用者に操作を促すための動作を実行できる。たとえば、情報通信装置350がパケット700を受信したとき、プロセッサ360は、レポートデータに基づいて予め定められた通知動作を実行してもよい。たとえばプロセッサ360は、表示ドライバとして、そのレポートデータに対応付けられるメッセージを生成し、その生成したメッセージをディスプレイ364に表示させる。
【0081】
他の局面において、プロセッサ360は、レポートデータに基づいて、予め定められた音声を出力してもよい。具体的には、予め規定された複数のレポートデータの各々について、出力される音声データが監視装置300に格納される。プロセッサは、レポートデータを特定し、その特定したレポートデータに関連付けられる音声データを出力する。これにより、複数の状況の各々に応じた音声が出力される。たとえば、不審者に対する警告のみならず、知人の来訪に対して不在を通知することもできる。
【0082】
図8を参照して、本変形例に係る情報通信装置350の制御構造について説明する。なお、本変形例に係る情報通信装置350は、図3に示される構成を有する情報通信装置350によって実現される。したがって、各構成の詳細な説明は繰返さない。
【0083】
ステップS810にて、プロセッサ360は、監視装置300から送られたパケットがレポートデータをさらに含むか否かを判定する。この判定は、たとえばユーザデータ720においてレポートデータが含まれているか否かに基づいて行なわれる。プロセッサ360は、パケットがレポートデータをさらに含むと判定すると(ステップS810にてYES)、制御をステップS640に切り換える。そうでない場合には(ステップS810にてNO)、プロセッサ360は処理を終了する。
【0084】
以上のようにして、本変形例に係る監視システムによると、映像に基づいて特定される状況に応じた音声による対応の選択肢が広がるため、監視システムの適用範囲が拡張される。
【0085】
<第2の実施の形態>
以下、本発明の第2の実施の形態について説明する。本実施の形態に係る監視システムは、情報通信装置350が警告を表わす情報を監視装置300以外に送信できる機能を有する点で前述の各実施の形態に係る情報通信装置と異なる。
【0086】
そこで、図9を参照して、本実施の形態に係る保安システム180について説明する。図9は、保安システム180として機能するコンピュータシステム900のハードウェア構成を表わすブロック図である。コンピュータシステム900は、主たる構成要素として、プログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)910と、コンピュータシステム900の使用者による指示の入力を受け付けるマウス920およびキーボード930と、CPU910がプログラムを実行することにより生成されたデータまたはマウス920もしくはキーボード930を介して入力されたデータを揮発的に格納するRAM(Random Access Memory)940と、データを不揮発的に格納するハードディスク950と、光ディスク駆動装置960と、モニタ980と、通信I/F990とを備える。各構成要素は、データバスによって相互に接続されている。光ディスク駆動装置960には、CD−ROM962その他の光ディスクが装着可能である。
【0087】
コンピュータシステム900における処理は、各ハードウェアおよびCPU910によって実行されるソフトウェアにより実現される。このようなソフトウェアは、ハードディスク950に予め格納されている場合がある。また当該ソフトウェアは、CD−ROM962その他のデータ記録媒体に格納されて、プログラムプロダクトとして流通している場合もある。あるいは、当該ソフトウェアは、いわゆるインターネットに接続されている情報提供事業者によってダウンロード可能なプログラムプロダクトとして提供される場合もある。このようなソフトウェアは、光ディスク駆動装置960その他のデータ読取装置によってその記録媒体から読み取られて、あるいは通信I/F990を介してダウンロードされた後、ハードディスク950に一旦格納される。そのソフトウェアは、CPU910によってハードディスク950から読み出され、RAM940のワーク領域に、実行可能なプログラムの形式で格納される。CPU910は、そのプログラムを実行する。
【0088】
図9に示されるコンピュータシステム900を構成する各構成要素は、一般的なものである。したがって、本実施の形態に係る保安システム180の本質的な部分は、RAM940、ハードディスク950、CD−ROM962その他の記録媒体に格納されたソフトウェア、あるいは、ネットワークを介してダウンロード可能なソフトウェアであるとも言える。なお、コンピュータシステム900のハードウェアの動作は周知であるので、詳細な説明は繰り返さない。
【0089】
図10を参照して、本実施の形態に係る監視システムを実現する情報通信装置350の制御構造について説明する。図10は、本実施の形態に係る情報通信装置350を実現するプロセッサ360が実行する一連の動作の一部を表わすフローチャートである。なお、前述の動作と同じ動作には同一のステップ番号を付してある。したがって、それらの説明は繰返さない。
【0090】
ステップS1010にて、プロセッサ360は、音声信号の変換によって生成されたデジタルデータに基づいて、監視装置300における監視用パケットと、保安システム180に対する通報用のパケットとを生成する。ステップS1020にて、プロセッサ360は、通信I/F362を介して各パケットを監視装置と保安システム180とにそれぞれ送信する。
【0091】
図11を参照して、情報通信装置350から保安システム180に送られるパケット1100について説明する。図11は、パケット1100の構成を概念的に表わす図である。パケット1100は、ヘッダ1110と、ユーザデータ1120とを含む。ヘッダ1110は、宛先アドレス(保安システム180のIPアドレス)と、送信元アドレスと、送信日時とを含む。ユーザデータ1120は、警告を表わすデータと、登録者を表わすデータとを含む。警告を表わすデータは、たとえば「有効」に設定されている。登録者(Aさんを表わすデータ)は、たとえば情報通信装置350の使用者として予めメモリ368に格納されているデータが使用される。このようなパケット1100が保安システム180によって受信されると、保安システム180として機能するコンピュータシステム900は、監視装置300において不審者が検知されたことを表わすメッセージをモニタ980に表示する。
【0092】
以上のようにして、本発明の第2の実施の携帯に係る監視システムによると、情報通信装置350は、パケット1100を、監視装置100と保安システム180のいずれにも送信する。これにより、保安システム180の使用者も、監視装置100における状況(たとえば不審者の来訪)を速やかに把握することができる。
【0093】
なお、他の局面において、カメラ314が撮影する範囲と、スピーカ322からの音が出力される方向とが対応するように、カメラ314とスピーカ322とが連動して駆動してもよい。このようにすると、カメラ314により姿がとられられた被写体に対する警告音声あるいは通常の応答の音声は、当該被写体に向けて発せられる。したがって、認識した映像に基づく音声の応答が、的確になる。
【0094】
より具体的には、他の局面に従うスピーカ322は、モータ(図示しない)に駆動される。モータが駆動すると、スピーカ322の音声出力部(図示しない)の位置が変化する。モータは、プロセッサ310からの信号に基づいて駆動する。プロセッサ310は、カメラ314によって認識された画像のうち特徴点(たとえば両目の画像に対応する部分)の画像領域全体における座標位置を算出する。その特徴点が画像領域全体の中心に位置する場合には、プロセッサ310は、スピーカ322の中心軸(音声出力部から音が発せられる方向)を、カメラ314 の中心軸に一致させる。
【0095】
一方、被写体が画像領域の片隅(たとえば画面の左下)で認識された場合には、プロセッサ310は、画像領域の中心と、その認識された場所との位置関係(たとえば角度)を算出する。プロセッサ310は、その角度に基づいてモータを駆動して、スピーカ322の位置を変化させる。上記の場合、モータはスピーカ322を初期の位置(たとえば水平方向)から左下に移動させる。これにより、スピーカ322から発せられる音声は、カメラ314によって認識された被写体の位置に向けられる。被写体に対する音声による応答(警告、通常の応答)は、当該被写体の耳に届きやすくなる。
【0096】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る監視システム10の構成を概念的に表わす図である。
【図2】監視装置100と情報通信装置150とを実現する機能の構成を表わすブロック図である。
【図3】監視システム10を構成する監視装置300および情報通信装置350のハードウェア構成を表わすブロック図である。
【図4】監視装置300のメモリ318におけるデータの格納の一態様を概念的に表わす図である。
【図5】監視装置300が実行する一連の動作の一部を表わすフローチャートである。
【図6】情報通信装置350のプロセッサ360が実行する一連の動作の一部を表わすフローチャートである。
【図7】本発明の第1の実施の形態の変形例に係る監視システムにおいて伝送されるパケット700の構成を概念的に表わす図である。
【図8】情報通信装置350のプロセッサが実行する一連の動作の一部を表わすフローチャートである。
【図9】本発明の第2の実施の形態に係る保安システム180として機能するコンピュータシステム900のハードウェア構成を表わすブロック図である。
【図10】本発明の第2の実施の形態に係る情報通信装置350を実現するプロセッサ360が実行する一連の動作の一部を表わすフローチャートである。
【図11】情報通信装置350から保安システム180に送られるパケット1100の構成を概念的に表わす図である。
【符号の説明】
【0098】
10 監視システム、100 監視装置、150 情報通信装置、180 保安システム、190 ネットワーク、210 撮影部、212 検知部、214 送信部、220 受信部、230 信号出力部、232 記憶部、234 処理部、240 音声出力部、300 監視装置、314 カメラ、322 スピーカ、390 インターネット、700,1100 パケット、962 光ディスク。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視システムであって、情報通信装置と、通信回線を介して前記情報通信装置に接続される監視装置とを備え、
前記監視装置は、
撮影に基づく画像データを出力するカメラと、
前記画像データに基づいて異常を検知する検知手段と、
前記画像データと、前記異常を通知する情報とを、前記情報通信装置に送信する送信手段とを備え、
前記情報通信装置は、
前記監視装置から送信された画像データを受信する画像データ受信手段と、
前記画像データに基づく映像を表示するディスプレイと、
前記情報通信装置に対する発話を受け付けるマイクと、
前記発話に応じた音声信号を前記監視装置に送信する音声信号送信手段とを備え、
前記監視装置は、
前記情報通信装置から送信された音声信号を受信する音声信号受信手段と、
音声信号の周波数を予め定められた周波数以下の周波数に変換するための変換データを格納するメモリと、
前記受信された音声信号の周波数を前記変換データに基づき変換するプロセッサと、
周波数が変換された音声信号に基づき音声を出力するスピーカとを備える、監視システム。
【請求項2】
監視システムであって、情報通信装置と、通信回線を介して前記情報通信装置に接続される監視装置とを備え、
前記監視装置は、
撮影に基づく画像データを出力する撮像手段と、
前記画像データを前記情報通信装置に送信する送信制御手段とを備え、
前記情報通信装置は、
前記監視装置から送信された画像データを受信する画像データ受信手段と、
前記画像データに基づく映像を表示する表示手段と、
前記情報通信装置に対する入力を受け付ける入力手段と、
前記入力に応じた信号を前記監視装置に送信する送信手段とを備え、
前記監視装置は、
前記情報通信装置から送信された信号を受信する受信手段と、
前記情報通信装置から受信した信号に対して予め規定された処理を実行することにより、予め定められた周波数以下の周波数の音声信号を出力する信号出力手段と、
前記出力された音声信号に基づき音声を出力する音声出力手段とを備える、監視システム。
【請求項3】
前記入力手段は、発話を受け付けて前記発話に応じた音声信号を出力する音声入力手段を含み、
前記信号出力手段は、
音声信号の周波数を予め定められた周波数以下の周波数に変換するための変換データを格納する記憶手段と、
前記受信手段によって受信された音声信号の周波数を前記変換データに基づき変換する変換手段とを含む、請求項2に記載の監視システム。
【請求項4】
前記送信制御手段は、前記画像データに基づいて異常の有無を判定し、異常を検出したときに、前記画像データと、前記異常を表す情報とを、前記情報通信装置に送信する、請求項2または3に記載の監視システム。
【請求項5】
前記送信制御手段は、
予め規定された画像処理ルールに従って画像データを解析し、前記解析の結果に基づいて異常を検出する、請求項4に記載の監視システム。
【請求項6】
前記信号出力手段は、前記送信制御手段が異常を検知した場合に、前記予め規定された処理を実行することにより音声信号を出力する、請求項5に記載の監視システム。
【請求項7】
前記送信制御手段は、
前記撮像手段からの画像データに基づいて複数の画像の動きの有無を検出し、
前記複数の画像の動きを検出したときに前記異常を検知する、請求項6に記載の監視システム。
【請求項8】
前記入力手段は、前記情報通信装置に対する操作入力を受け付ける操作手段を含み、
前記信号出力手段は、
予め生成された音声データを格納する記憶手段と、
前記音声データを再生する再生手段とを含む、請求項2に記載の監視システム。
【請求項9】
通信回線を介して情報通信装置に接続される監視装置であって、前記情報通信装置は、通信インターフェイスとディスプレイとマイクとを備えており、前記監視装置は、
撮影に基づく画像データを出力するカメラと、
前記画像データに基づいて異常を検知する検知手段と、
前記画像データと、前記異常を通知する情報とを、前記情報通信装置に送信する送信手段と、
前記情報通信装置から送信された音声信号を受信する音声信号受信手段と、
音声信号の周波数を予め定められた周波数以下の周波数に変換するための変換データを格納するメモリと、
前記受信された音声信号の周波数を前記変換データに基づき変換する変換手段と、
周波数が変換された音声信号に基づき音声を出力するスピーカとを備える、監視装置。
【請求項10】
前記変換手段は、前記検知手段が異常を検知した場合に、前記周波数を変換する処理を実行する、請求項9に記載の監視装置。
【請求項11】
前記検知手段は、
予め規定された画像処理ルールに従って画像データを解析し、
前記解析の結果に基づいて異常を検知する、請求項9または10に記載の監視装置。
【請求項12】
前記検知手段は、
前記撮像手段からの画像データに基づいて複数の画像の動きの有無を検出し、
前記複数の画像の動きを検出したときに前記異常を検知する、請求項11に記載の監視装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−289084(P2008−289084A)
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−134456(P2007−134456)
【出願日】平成19年5月21日(2007.5.21)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】