説明

監視映像レコーダ装置及び監視映像表示端末

【課題】記録された監視映像の閲覧を所定の者に限定してプライバシーの侵害を防止し、且つ、エレベーターの保守作業において閲覧の必要がある監視映像については、プライバシーを侵害しないように考慮した上で適切に表示装置に表示させる。
【解決手段】本監視映像レコーダ装置は、記憶装置7に記録された映像データの再生表示方法を設定する再生モード判別部10を備える。この再生モード判別部10は、個人特定情報の入力者がお客様である場合、映像データをディスプレイ4に高精細表示させ、入力者がお客様及び保守員の何れでもない場合、再生表示を禁止する。また、再生モード判別部10は、入力者が保守員である場合、エレベーターが保守中或いは無乗車状態の時に撮影された映像データを再生表示する場合は、ディスプレイ4に高精細表示させ、その他の場合はモザイク表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、カメラによって撮影された映像を記録する監視映像レコーダ装置と、記録された監視映像を再生表示する監視映像表示端末に関するものである。
【背景技術】
【0002】
集合住宅等では、防犯等の目的でエレベーターのかごにカメラを設置し、このカメラによって撮影された映像を記録している場合がある。
例えば、下記特許文献1には、個人特定情報の照合を行う装置を備えることにより、その照合によって正当な権限を有する者が端末を操作していると判断された場合のみ、記録されている監視映像をかご内の表示装置に表示させるものが提案されている。
【0003】
また、下記特許文献2には、集合住宅の居住者等のプライバシーを考慮し、関係者(例えば、管理組合の理事)の合議体のうち、所定の割合以上の人が許可しなければ、記録されている監視映像を表示装置に高精細表示させないものが提案されている。なお、上記割合以上の人の許可が得られない場合は、例えば、モザイク化された映像が表示装置に表示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−284753号公報
【特許文献2】特開2009−278348号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1及び2に記載のものでは、エレベーターの保守員が、記録されている監視映像を必要以上に見ることができてしまうといった問題があった。例えば、特許文献1に記載のものでは、エレベーターの保守員に対して一律に上記権限が与えられると、保守員は、保守作業を行う上で見る必要がない監視映像についても閲覧が可能になってしまう。このため、例えば、集合住宅の居住者の中には、エレベーター保守員にプライバシーを覗かれていると感じる人もいた。
【0006】
また、特許文献2に記載のものでは、エレベーターの保守作業を行うために、記録されている監視映像の高精細表示が必要な場合であっても、保守員は、合議体の許可が得られなければ高精細表示を行うことができず、作業性が著しく低下するといった問題があった。
【0007】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、その目的は、記録された監視映像の閲覧を所定の者に限定してプライバシーの侵害を防止できるとともに、エレベーターの保守作業において閲覧の必要がある監視映像については、プライバシーを侵害しないように考慮した上で適切に表示装置に表示させることができる監視映像レコーダ装置及び監視映像表示端末を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に係る監視映像レコーダ装置は、エレベーターのかご内を撮影するカメラからの映像データを、所定の記憶装置に記録するデータ記録部と、入力された個人特定情報を既登録情報と照合し、個人特定情報の入力者が所定の第一種登録者及び第二種登録者に該当するか否かを判定する認証部と、認証部の判定結果、及び、再生要求された映像データが撮影された時のエレベーター状態に基づいて、記憶装置に記録された映像データの再生表示方法を設定する再生モード判別部と、を備え、再生モード判別部は、個人特定情報の入力者が第一種登録者である場合に、再生要求された映像データを所定の表示装置に高精細表示させ、入力者が第一種登録者及び第二種登録者の何れでもない場合に、映像データの再生表示を禁止し、入力者が第二種登録者である場合に、エレベーターが保守中或いは無乗車状態の時に撮影された映像データを再生要求された場合は、再生要求された映像データを表示装置に高精細表示させ、その他の場合は、再生要求された映像データを表示装置にモザイク表示させるものである。
【0009】
また、この発明に係る監視映像レコーダ装置は、再生モード判別部によって設定された再生表示方法に基づいて、記憶装置に記録された映像データを画像処理し、表示装置に表示させる画像処理部と、を更に備えたものである。
【0010】
この発明に係る監視映像表示端末は、上記画像処理部を有する監視映像レコーダ装置に、所定のネットワークを介して接続された監視映像表示端末であって、入力された個人特定情報を読み取って監視映像レコーダ装置に送信することにより、認証部に判定を行わせ、画像処理部に、画像処理したデータを返信させる認証情報入力部と、画像処理部によって画像処理されたデータを、所定の第二表示装置に表示させる表示処理部と、を備えたものである。
【0011】
また、この発明に係る監視映像表示端末は、外部記憶装置に記録された映像データを読み込むためのデータ読込部と、入力された個人特定情報を既登録情報と照合し、個人特定情報の入力者が所定の第一種登録者及び第二種登録者に該当するか否かを判定する認証部と、認証部の判定結果に基づいて、外部記憶装置に記録された映像データの再生表示方法を設定する再生モード判別部と、を備え、再生モード判別部は、個人特定情報の入力者が第一種登録者である場合に、再生要求された映像データを所定の表示装置に高精細表示させ、入力者が第一種登録者及び第二種登録者の何れでもない場合に、映像データの再生表示を禁止し、入力者が第二種登録者である場合に、再生要求された映像データを表示装置にモザイク表示させるものである。
【発明の効果】
【0012】
この発明に係る監視映像レコーダ装置及び監視映像表示端末であれば、記録された監視映像の閲覧を所定の者に限定してプライバシーの侵害を防止できるとともに、エレベーターの保守作業において閲覧の必要がある監視映像については、プライバシーを侵害しないように考慮した上で適切に表示装置に表示させることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】この発明の実施の形態1における監視映像レコーダ装置を示す構成図である。
【図2】記憶装置の機能を説明するための図である。
【図3】この発明の実施の形態1における監視映像レコーダ装置の動作を示すフローチャートである。
【図4】ディスプレイの表示内容を示す図である。
【図5】ディスプレイの表示内容を示す図である。
【図6】ディスプレイの表示内容を示す図である。
【図7】この発明の実施の形態2における監視映像表示端末を示す構成図である。
【図8】図1に示す監視映像レコーダ装置を用いたシステム構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
この発明をより詳細に説明するため、添付の図面に従ってこれを説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
【0015】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1における監視映像レコーダ装置を示す構成図、図2は記憶装置の機能を説明するための図である。図1において、レコーダ装置1は、エレベーターの制御盤2、カメラ3、ディスプレイ(表示装置)4に接続されている。
【0016】
制御盤2は、エレベーターのかご(図示せず)の走行制御や戸開閉制御等、エレベーターの運行を制御する機能を有している。レコーダ装置1は、エレベーターの制御盤2から、エレベーターの状態を検出するために必要な種々の制御信号データを取得する。この制御信号データには、例えば、エレベーターの戸開閉状態を示す信号データ、かごの積載重量を示す信号データ(かごはかり値)、所定の保守点検スイッチのON/OFFを示す信号データ等が含まれる。なお、上記保守点検スイッチは、エレベーターの通常運転と保守運転とを切り替えるためのスイッチである。エレベーターの保守員は、保守点検を開始する際に保守点検スイッチをONにし、保守点検が終了すると保守点検スイッチをOFFにする。
【0017】
カメラ3は、防犯等の目的でエレベーターのかごに設置されたものである。カメラ3は、かご内の状態を撮影できるように、その画角等が適切に調整されている。レコーダ装置1は、カメラ3からの映像データを逐一取得する。
ディスプレイ4は、例えば、エレベーターのかご内に設置された液晶ディスプレイ等によって構成される。
【0018】
レコーダ装置1は、カメラ3によって撮影された映像データを記録し、その記録した映像データを、適切な表示方法によってディスプレイ4に再生表示させる機能を有している。具体的に、レコーダ装置1には、下記A乃至Cに示す各機能が備えられている。
A.お客様(エレベーター所有者側の所定の人)に対しては、記録されている映像データの閲覧に制限を設けない。
B.お客様及びそのエレベーターの保守を担当する保守員以外の第三者に対しては、記録されている映像データの閲覧を禁止する。
C.エレベーターの保守員に対しては、保守作業に必要な最低限の範囲で、記録されている映像データの閲覧を許可する。
【0019】
なお、保守作業に必要な最低限の範囲とは、(D)現地で画角調整・記録映像の品質を確認するために、映像データを必要最低限の区間だけ最高画質で確認すること、(E)ダビングした映像データについて、ダビングが正常に行われたか否かを確認すること、の2点である。
【0020】
このような機能を実現するため、レコーダ装置1には、情報入力部5、認証部6、HDD等の記憶装置7、データ記録部8、再生操作部9、再生モード判別部10、画像処理部11、表示処理部12、ダビング処理部13が備えられている。
【0021】
情報入力部5は、レコーダ装置1の利用者、即ち、カメラ3によって撮影された過去の映像データをディスプレイ4に再生表示させたい者が、個人を特定する情報(個人特定情報)を入力する部分を構成する。情報入力部5は、利用者が入力した個人特定情報を読み取ると、認証部6に送信する。
【0022】
認証部6は、情報入力部5に入力された個人特定情報を既登録情報と照合する機能を有している。記憶装置7には、認証部6において認証を行うための情報が予め登録されている。認証部6は、入力された個人特定情報とその既登録情報との照合を行うことにより、個人特定情報の入力者が、お客様(第一種登録者)か、そのエレベーターの保守を担当する保守員(第二種登録者)か、その何れにも該当しない第三者かを判定する。
【0023】
データ記録部8は、外部機器から受信した各種データを、記憶装置7に記録する機能を有している。例えば、データ記録部8は、カメラ3から映像データを、制御盤2から制御信号データを取得すると、その取得した制御信号データをカメラ3からの映像データに関連付けて、記憶装置7に記録する。なお、この時の関連付けとは、例えば、同一監視対象の映像データと制御信号データとを対にして、また同一時刻の映像データと制御信号データとを同期することである。これにより、映像データから、その映像データが撮影された時に取得された制御信号データが、また、制御信号データから、その制御信号データが取得された時に撮影された映像データが特定可能となる。また、データ記録部8は、カメラ3からの映像データ(及び、制御盤2からの制御信号データ)を記憶装置7に記録する際に、所定のオリジナルマークを付与し、更に、記録開始時間や管理番号を記録する。
【0024】
図2は記憶装置7の内部構成例を示している。記憶装置7には、例えば、記録データ領域、認証データ領域、無乗車テンプレート画像領域が形成されている。
【0025】
データ記録部8は、外部機器から受信した各種データや付加したデータを、カメラ3からの映像データに関連付けて、記憶装置7の記録データ領域に記録する。なお、オリジナルマークは、その映像データがオリジナルである(ダビングされたものではない)ことを特定するための情報である。データ記録部8は、カメラ3から映像データを直接受信して、記憶装置7に記録する。このため、データ記録部8は、映像データを記憶装置7に記録する際に、必ずその映像データにオリジナルマークを付加する。また、管理番号は、レコーダ装置1に付与された固有の番号を示している。
【0026】
認証データ領域には、認証部6が上記判定を行うための認証情報が予め登録されている。具体的に、認証データ領域には、個人特定情報の入力者がお客様であることを特定するためのお客様認証情報や、エレベーター保守員であることを特定するための保守員認証情報が記憶されている。
無乗車テンプレート画像領域には、エレベーターのかご内に乗客が一人もいない状態(無乗車状態)の時に、カメラ3によって撮影された映像データ(無乗車テンプレート画像)が予め登録されている。
【0027】
再生操作部9は、レコーダ装置1の利用者が、再生表示させたい映像データを指定するための部分を構成する。例えば、利用者は、再生操作部9を操作して撮影日時等を指定することにより、映像データの再生要求を行う。
【0028】
再生モード判別部10は、記憶装置7に記録されている映像データ(映像記録データ)をディスプレイ4に再生表示させる時の再生モードを判定する機能を有している。再生モード判別部10は、認証部6による判定結果(認証結果)や、再生操作部9に対する操作内容、再生要求された映像データが撮影された時のエレベーター状態、映像データがオリジナルであるか否か等に基づいて、記憶装置7に記録されている映像データの再生表示方法を設定する。なお、再生モード判別部10は、例えば、記憶装置7に記録されている制御信号データ(制御信号記録データ)や無乗車テンプレート画像等を利用して、映像データが撮影された時のエレベーター状態を検出する。
再生モード判別部10の具体的な機能については、後述する。
【0029】
画像処理部11は、再生モード判別部10によって設定された再生表示方法に基づいて、記憶装置7に記録された映像データを画像処理する機能を有している。そして、表示処理部12は、画像処理部11によって画像処理されたデータを、ディスプレイ4に表示させる。
【0030】
ダビング処理部13は、記憶装置7に記録されている映像データ等の記録内容を、USBメモリ等の外部記憶装置14に記録する機能を有している。なお、ダビング処理部13によって外部記憶装置14に記録された映像データは、オリジナルではない。このため、ダビング処理部13は、映像データ等の記録内容を記憶装置7から外部記憶装置14に記録する際に、その映像データに付加されたオリジナルマークを削除する。
【0031】
ダビング処理部13によって外部記憶装置14に記録される内容は、例えば、図2に示すものからオリジナルマークを削除したもの(或いは、オリジナルマークを、映像データがダビングされたものであることを示すダビングマークに変更したもの)に相当する。
【0032】
次に、図3乃至図6も参照し、上記構成を有する監視映像レコーダ装置の動作について具体的に説明する。図3はこの発明の実施の形態1における監視映像レコーダ装置の動作を示すフローチャート、図4乃至図6はディスプレイの表示内容を示す図である。
【0033】
利用者が情報入力部5から自分の個人特定情報を入力し、再生操作部9でディスプレイ4に再生表示させたい映像データを指定すると、レコーダ装置1では、先ず、認証部6によって利用者の認証処理を開始する。具体的に、認証部6は、情報入力部5から入力された個人特定情報を記憶装置7内のお客様認証情報と照合することにより、個人特定情報を入力した利用者が、映像データの自由な閲覧が許可された特定のお客様であるか否かを判定する(S101)。
【0034】
お客様認証が成功した場合、即ち、入力された個人特定情報が記憶装置7に登録されている何れかのお客様認証情報と一致した場合、再生モード判別部10は、画像処理として高精細出力を設定し、再生要求された映像データをディスプレイ4に高精細表示させる(S102)。なお、高精細表示とは、ディスプレイ4に表示された映像から個人(或いは、個人の顔)を判別できるような画質で行う表示のことである。かかる場合、画像処理部11は、例えば、記憶装置7に記録されている映像データをそのまま表示処理部12に出力する。
図4は、画像処理として高精細出力が設定された時のディスプレイ4の画面例を示している。
【0035】
お客様認証が成功しない場合、認証部6は、次に、個人特定情報を入力した利用者が、そのエレベーターの保守を担当する特定の保守員であるか否かを判定する(S103)。保守員認証が成功しない場合、即ち、入力された個人特定情報が記憶装置7に登録されている保守員認証情報の何れとも一致しない場合、再生モード判別部10は、画像処理として再生禁止を設定し、映像データの再生表示を禁止する(S104)。かかる場合、画像処理部11は、例えば、「再生できません」等の情報を表示するためのデータを表示処理部12に出力する。
図5は、画像処理として再生禁止が設定された時のディスプレイ4の画面例を示している。
【0036】
保守員認証が成功した場合、即ち、入力された個人特定情報が記憶装置7に登録されている何れかの保守員認証情報と一致した場合、再生モード判別部10は、次に、オリジナルマークの有無等に基づき、映像記録データがオリジナルであるか否かを判定する(S105)。ここで、ダビングされた映像データを再生表示させる場合(S105のNo)、再生モード判別部10は、画像処理としてモザイク出力を設定し、再生要求された映像データをディスプレイ4にモザイク表示させる(S106)。なお、モザイク表示とは、ディスプレイ4に表示された映像から個人(或いは、個人の顔)が判別できない程度にモザイク処理がなされた表示を意味する。かかる場合、画像処理部11は、例えば、記憶装置7に記録されている映像データに所定のモザイク処理を施し、表示処理部12に出力する。
【0037】
図6は、画像処理としてモザイク出力が設定された時のディスプレイ4の画面例を示している。なお、映像データをモザイク表示させる場合は、映っている人のプライバシーを考慮し、ディスプレイ4に表示された映像からその人の性別や体型、服装等も判別できない程度に処理を施しても良い。また、映像データをモザイク表示させる場合は、その映像を特定するための情報、例えば、撮影日時やレコーダ装置1の管理番号をオーバレイ表示させても良い。
【0038】
S105において映像データがオリジナルである場合、再生モード判別部10は、次に、再生位置の制御信号記録データを記憶装置7から読み出し、再生要求された映像データが撮影された時のエレベーターの状態を確認する(S107)。
【0039】
具体的に、再生モード判別部10は、先ず、再生要求された映像データが撮影された時のエレベーターが保守中であるか否かを判定する。保守点検スイッチがONである場合(S108のYes)、即ち、再生要求された映像データがエレベーターの保守中に撮影されたものである場合、再生モード判別部10は、画像処理として高精細出力を設定し、再生要求された映像データをディスプレイ4に高精細表示させる(S109)。
【0040】
一方、再生要求された映像データがエレベーターの保守中に撮影されたものではない場合(S108のNo)、再生モード判別部10は、再生要求された映像データが撮影された時のエレベーターが無乗車状態であるか否かを判定する。例えば、再生モード判別部10は、再生位置の映像データと上記無乗車テンプレート画像領域内の映像データとを比較し(S110)、上記判定を行う。そして、再生モード判別部10は、例えば、S110の比較において差が所定のしきい値以下であり、且つ、戸閉状態であることを確認すると(S111のYes)、再生要求された映像データがエレベーターの無乗車状態の時に撮影されたものである旨を判定し、画像処理として高精細出力を設定する(S109)。
【0041】
一方、S108とS111の双方の条件に該当しない場合、即ち、再生要求された映像データがエレベーターの保守中或いは無乗車状態の時に撮影されたものでない場合、再生モード判別部10は、画像処理としてモザイク出力を設定し、再生要求された映像データをディスプレイ4にモザイク表示させる(S112)。
【0042】
そして、再生モード判別部10は、S107乃至S112に示す処理を、所定の表示終了操作が行われるまで繰り返し実施する(S113)。
【0043】
上記構成を有する監視映像レコーダ装置であれば、上記A乃至Cに示す各機能を確実に実現することができる。
即ち、記憶装置7に第一種登録者として予め登録されているお客様が情報入力部5から個人特定情報を入力した場合は、記憶装置7に記録されている映像データが高精細表示でディスプレイ4に表示される。このため、このお客様は、記録されている映像データを制限なく閲覧することができる。
【0044】
また、記憶装置7に第一種登録者或いは第二種登録者として登録されていない第三者が情報入力部5から個人特定情報を入力しても、ディスプレイ4に、記憶装置7に記録されている映像データが表示されることはない。このため、第三者が映像データを閲覧することを確実に防止できる。
【0045】
更に、エレベーターの保守員に対しては、保守作業に必要な最低限の範囲で、記録されている映像データの閲覧を許可できる。
即ち、エレベーターの保守員が情報入力部5から個人特定情報を入力した場合は、エレベーターの保守中或いは無乗車状態の時に撮影された映像データのみ、ディスプレイ4に高精細表示され、その他の場合は、ディスプレイ4にモザイク表示される。このため、保守員が、エレベーターの通常運転時に撮影された映像データを閲覧してかご内の乗客を特定するようなことはできず、乗客のプライバシーを確実に保護することができる。
【0046】
なお、保守員がエレベーターの保守作業を行う場合、画角調整や記録映像の品質の確認は、エレベーターの保守中或いは無乗車状態の時の映像データをディスプレイ4に表示させて行えば良い。また、ダビングが正常に行われたか否かの確認は、モザイク処理された映像からも判断することができるため、例えば、ダビングされた映像データの中に、エレベーターが保守中或いは無乗車状態の時のものが含まれていない場合であっても、特に問題が生じることはない。
【0047】
また、本実施の形態においては、無乗車テンプレート画像領域内の映像データに基づいてエレベーターの無乗車状態を検出しているが、例えば、再生位置のかごはかり値(制御信号記録データ)を参照することにより、画像処理を行わずに無乗車状態の検出を行っても良い。
【0048】
実施の形態2.
図7はこの発明の実施の形態2における監視映像表示端末を示す構成図である。
図7において、表示端末15は、図1に示す監視映像レコーダ装置から外部記憶装置14にダビングされた(或いは、更に他の外部記憶装置にダビングされた)映像データを、所定のディスプレイ16に再生表示させるためのものである。この表示端末15は、例えば、エレベーターの保守員が携帯する保守作業用の保守端末等によって構成される。
【0049】
具体的に、表示端末15は、情報入力部17、認証部18、再生操作部19、再生モード判別部20、画像処理部21、表示処理部22、データ読込部23により、その要部が構成される。なお、情報入力部17、認証部18、再生操作部19、再生モード判別部20、画像処理部21、表示処理部22については、レコーダ装置1内の対応するものと実質的に同じ機能を有している。
【0050】
データ読込部23は、外部記憶装置14に記録された映像データ等の記録内容を、表示端末15内に読み込む機能を有している。上述した通り、外部記憶装置14には、図2に示すものからオリジナルマークを削除したものに相当する内容が記録されている。認証部18、再生モード判別部20は、データ読込部23によって読み込まれた外部記憶装置14の記録内容に基づいて、必要な各処理を行う。
【0051】
即ち、認証部18は、情報入力部17に入力された個人特定情報と、外部記憶装置14内の既登録情報との照合を行うことにより、個人特定情報の入力者が、お客様(第一種登録者)か、エレベーターの保守員(第二種登録者)か、その何れにも該当しない第三者かを判定する。
【0052】
また、再生モード判別部20は、外部記憶装置14に記録されている映像データ(映像記録データ)の再生表示方法を設定する機能を有している。再生モード判別部20は、認証部18による判定結果(認証結果)や、再生操作部19に対する操作内容、再生要求された映像データが撮影された時のエレベーター状態、映像データがオリジナルであるか否か等に基づいて、上記設定を行う。なお、再生モード判別部20は、例えば、外部記憶装置14に記録されている制御信号データ(制御信号記録データ)や無乗車テンプレート画像等を利用して、映像データが撮影された時のエレベーター状態を検出する。
【0053】
上記構成を有する監視映像表示端末の動作フローは、図3に示すものと同じである。
即ち、利用者が情報入力部17から自分の個人特定情報を入力し、再生操作部19でディスプレイ16に再生表示させたい映像データを指定すると、表示端末15では、先ず、認証部18によって利用者の認証処理を開始する(S101)。
【0054】
そして、再生モード判別部20は、入力された個人特定情報が外部記憶装置14に登録されている何れかのお客様認証情報と一致した場合、画像処理として高精細出力を設定し、再生要求された映像データをディスプレイ16に高精細表示させる(S102)。また、再生モード判別部20は、入力された個人特定情報が外部記憶装置14に登録されているお客様認証情報及び保守員認証情報の何れにも一致しない場合(S101のNo、S103のNo)、画像処理として再生禁止を設定し、映像データの再生表示を禁止する(S104)。
【0055】
一方、保守員認証が成功した場合、再生モード判別部20は、次に、映像記録データがオリジナルであるか否かを判定する(S105)。なお、外部記憶装置14に記録されている映像データは、全てダビングされたものである。このため、表示端末15においては、S105の判定において常にNoの判断がなされ、S106に進む。そして、再生モード判別部20は、画像処理としてモザイク出力を設定し、再生要求された映像データをディスプレイ16にモザイク表示させる。
【0056】
上記構成を有する監視映像表示端末であれば、記録された映像データの閲覧を所定の者に限定することができ、プライバシーの侵害を確実に防止できる。また、エレベーターの保守作業において閲覧の必要がある監視映像については、プライバシーを侵害しないように考慮した上で適切にディスプレイ16に表示させることができる。
【0057】
エレベーターの保守作業においては、ダビングされた映像データを用いて、画角調整や記録映像の品質の確認を行う必要はない。このため、エレベーターの保守員が表示端末15によってディスプレイ16に高精細表示を行うことができなくても、特に問題が生じることはない。
【0058】
なお、実施の形態1におけるレコーダ装置1に上記データ読込部23を設けることにより、監視映像レコーダ装置においても、上記と同様の機能が実現できることは言うまでもない。かかる場合、再生モード判別部10は、外部記憶装置14に記録されている映像データをディスプレイ4に表示させる時は、情報入力部5から入力された個人特定情報が何れかの保守員認証情報と一致すると、画像処理としてモザイク出力を設定し、再生要求された映像データをディスプレイ4にモザイク表示させる(S105のNo、S106)。
【0059】
実施の形態3.
図8は図1に示す監視映像レコーダ装置を用いたシステム構成図である。
図8において、表示端末24は、レコーダ装置1の記憶装置7に記録されている映像データを、ディスプレイ25に再生表示させるためのものである。なお、レコーダ装置1には、ダビング処理部13に替えてネットワークインタフェース部26が備えられている。
【0060】
上記表示端末24は、例えば、ネットワークインタフェース部27、情報入力部28、再生操作部29、表示処理部30により、その要部が構成される。
ネットワークインタフェース部27は、表示端末24を、所定のネットワークを介してレコーダ装置1に接続するためのものである。表示端末24とレコーダ装置1との各種データの送受信は、このネットワークインタフェース部27を介して行われる。
【0061】
情報入力部28は、過去の映像データをディスプレイ25に再生表示させたい者が、個人特定情報を入力する部分を構成する。また、再生操作部29は、表示端末24の利用者が、再生表示させたい映像データを指定するための部分を構成する。そして、情報入力部28は、利用者が入力した個人特定情報を読み取ると、再生操作部29から入力された情報とともに、読み取った情報をネットワークを介してレコーダ装置1に送信する。
【0062】
レコーダ装置1では、表示端末24から個人特定情報を受信すると、認証部6によって、受信した個人特定情報と記憶装置7内の既登録情報との照合を行い、個人特定情報の入力者が、お客様(第一種登録者)か、エレベーターの保守員(第二種登録者)か、その何れにも該当しない第三者かを判定する。また、再生モード判別部10は、認証部6の判定結果等に基づいて、映像データの再生表示方法を設定する。即ち、再生モード判別部10は、認証部6の判定結果等に基づいて、図3に示す処理を行う。そして、画像処理部11は、再生モード判別部10によって設定された再生表示方法に基づいて、記憶装置7に記録された映像データの画像処理を行い、その画像処理したデータを表示端末24に送信する。
【0063】
表示端末24では、画像処理部11が画像処理したデータを受信すると、表示処理部30により、その受信したデータをディスプレイ25に表示させる。
【0064】
この発明の実施の形態3によれば、レコーダ装置1に所定のネットワークを介して接続された表示端末24においても、実施の形態2における表示端末15と同様の効果を奏することが可能となる。また、上記構成の表示端末24であれば、エレベーター保守員が、記憶装置7に記録されている映像データをディスプレイ25に高精細表示させることも可能となる。
【符号の説明】
【0065】
1 レコーダ装置
2 制御盤
3 カメラ
4、16、25 ディスプレイ
5、17、28 情報入力部
6、18 認証部
7 記憶装置
8 データ記録部
9、19、29 再生操作部
10、20 再生モード判別部
11、21 画像処理部
12、22、30 表示処理部
13 ダビング処理部
14 外部記憶装置
15、24 表示端末
23 データ読込部
26、27 ネットワークインタフェース部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベーターのかご内を撮影するカメラからの映像データを、所定の記憶装置に記録するデータ記録部と、
入力された個人特定情報を既登録情報と照合し、個人特定情報の入力者が所定の第一種登録者及び第二種登録者に該当するか否かを判定する認証部と、
前記認証部の判定結果、及び、再生要求された映像データが撮影された時のエレベーター状態に基づいて、前記記憶装置に記録された映像データの再生表示方法を設定する再生モード判別部と、
を備え、
前記再生モード判別部は、
個人特定情報の入力者が第一種登録者である場合に、再生要求された映像データを所定の表示装置に高精細表示させ、
入力者が第一種登録者及び第二種登録者の何れでもない場合に、映像データの再生表示を禁止し、
入力者が第二種登録者である場合に、エレベーターが保守中或いは無乗車状態の時に撮影された映像データを再生要求された場合は、再生要求された映像データを前記表示装置に高精細表示させ、その他の場合は、再生要求された映像データを前記表示装置にモザイク表示させる
ことを特徴とする監視映像レコーダ装置。
【請求項2】
前記記憶装置に記録された映像データを外部記憶装置に記録するダビング処理部と、
を更に備え、
前記データ記録部は、前記カメラからの映像データに所定のオリジナルマークを付加して前記記憶装置に記録し、
前記ダビング処理部は、映像データを前記外部記憶装置に記録する際に、その映像データに付加されたオリジナルマークを削除する
ことを特徴とする請求項1に記載の監視映像レコーダ装置。
【請求項3】
前記再生モード判別部は、外部記憶装置に記録された映像データを前記表示装置に表示させる時は、
個人特定情報の入力者が第一種登録者である場合に、再生要求された映像データを前記表示装置に高精細表示させ、
入力者が第一種登録者及び第二種登録者の何れでもない場合に、映像データの再生表示を禁止し、
入力者が第二種登録者である場合に、再生要求された映像データを前記表示装置にモザイク表示させる
ことを特徴とする請求項2に記載の監視映像レコーダ装置。
【請求項4】
前記データ記録部は、エレベーターの制御盤から、エレベーターの状態を検出するために必要な所定の制御信号データを取得し、取得した制御信号データを前記カメラからの映像データに関連付けて前記記憶装置に記録し、
前記再生モード判別部は、前記認証部の判定結果、及び、前記記憶装置に記録された制御信号データに基づいて、前記記憶装置に記録された映像データの再生表示方法を設定する
ことを特徴とする請求項1から請求項3の何れかに記載の監視映像レコーダ装置。
【請求項5】
前記再生モード判別部によって設定された再生表示方法に基づいて、前記記憶装置に記録された映像データを画像処理し、前記表示装置に表示させる画像処理部と、
を更に備えたことを特徴とする請求項1から請求項4の何れかに記載の監視映像レコーダ装置。
【請求項6】
請求項5に記載の監視映像レコーダ装置に、所定のネットワークを介して接続された監視映像表示端末であって、
入力された個人特定情報を読み取って前記監視映像レコーダ装置に送信することにより、前記認証部に前記判定を行わせ、前記画像処理部に、画像処理したデータを返信させる認証情報入力部と、
前記画像処理部によって画像処理されたデータを、所定の第二表示装置に表示させる表示処理部と、
を備えたことを特徴とする監視映像表示端末。
【請求項7】
外部記憶装置に記録された映像データを読み込むためのデータ読込部と、
入力された個人特定情報を既登録情報と照合し、個人特定情報の入力者が所定の第一種登録者及び第二種登録者に該当するか否かを判定する認証部と、
前記認証部の判定結果に基づいて、前記外部記憶装置に記録された映像データの再生表示方法を設定する再生モード判別部と、
を備え、
前記再生モード判別部は、
個人特定情報の入力者が第一種登録者である場合に、再生要求された映像データを所定の表示装置に高精細表示させ、
入力者が第一種登録者及び第二種登録者の何れでもない場合に、映像データの再生表示を禁止し、
入力者が第二種登録者である場合に、再生要求された映像データを前記表示装置にモザイク表示させる
ことを特徴とする監視映像表示端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−17193(P2012−17193A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−156400(P2010−156400)
【出願日】平成22年7月9日(2010.7.9)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【出願人】(000236056)三菱電機ビルテクノサービス株式会社 (1,792)
【Fターム(参考)】