説明

目標走行軌跡演算方法および車両走行制御装置

【課題】最適解からの乖離が比較的小さいと推定される初期解を設定することができ、その結果、演算が収束せず最適解が得られなくなることを防ぐことができ、また、演算が収束しづらくなることを防いで走行中必要な時間までに低燃費を目的とした目標走行軌跡を演算することができる目標走行軌跡演算方法および車両走行制御装置を提供することを課題とする。
【解決手段】車両ECUは、区間距離ならびに初端速度および終端速度に基づいて加速時間帯および減速時間帯を演算し、演算した加速時間帯においては車両が道路区間の中心線上を初端速度から最大速度までの速度で且つ高効率加速度で走行し、演算した減速時間帯においては最大速度から終端速度までの速度で且つ回生上限減速度で走行するものとして、初期解を演算し、演算した初期解を最適化手法に基づく演算で採用するものとして設定し、設定した初期解にて目標走行軌跡を最適化手法に基づいて演算する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、目標走行軌跡演算方法および車両走行制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
非特許文献1には、コーナーを最短時間で通過する際の理想軌跡(目標走行軌跡)を、最適化手法を用いて求める技術が開示されている。具体的には、コーナーを最短時間で通過するために通過時間を評価関数として設定し、最適化手法を用いて理想軌跡を演算する技術が開示されている。
【0003】
ここで、最適化手法を用いた理想軌跡の演算においては初期解の設定が必須であるのだが、最適解から乖離した初期解を設定すると、当該演算が収束しづらくなって最適解が得られるまで時間がかかったり、当該演算中にローカルミニマムに陥って最適解が得られなくなったりする場合がある。具体的には、最適化手法として最急降下法を用いた場合、最適解から離れた初期解を与えると、ローカルミニマムに陥って最適解が得られなくなる場合がある。
【0004】
そのため、最適化手法を用いた理想軌跡の演算において最適解を限られた時間内に(具体的には走行中必要な時間までに)得るには、最適解からの乖離が小さい初期解を設定することが非常に重要である。
【0005】
【非特許文献1】藤岡健彦,江守大昌,「最適時間コーナリング法に関する理論的研究−第4報 状態量不等式拘束を用いた道路条件の導入−」,自動車技術会論文集,Vol.24,No.3,July 1993,p.106−111.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、非特許文献1には初期解の設定に関する記載は無く、また、市場におけるドライバの要求は乗り心地や燃費など様々であるが非特許文献1では“コーナーの最短通過時間”を目的とした目標走行軌跡を求めているので、非特許文献1において、“低燃費”を目的とした目標走行軌跡を求める際の初期解を従来の初期解の設定手法で設定しても、当該初期解は最適解からの乖離が大きいため、演算が収束しづらくなって最適解が得られるまで時間がかかったり演算が収束せず最適解が得られなくなったりする虞があるという問題点があった。
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、最適解からの乖離が比較的小さいと推定される初期解を設定することができ、その結果、演算が収束せず最適解が得られなくなることを防ぐことができ、また、演算が収束しづらくなることを防いで走行中必要な時間までに低燃費を目的とした目標走行軌跡を演算することができる目標走行軌跡演算方法および車両走行制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる目標走行軌跡演算方法は、電子制御装置で実行される、道路を走行する際の車両の目標走行軌跡を燃費を指標として最適化手法に基づいて演算する目標走行軌跡演算ステップを含む目標走行軌跡演算方法であって、前記電子制御装置で実行される、前記最適化手法に基づく演算の対象となる道路区間の距離である区間距離ならびに前記車両が前記道路区間を一方の端から他方の端へ走行する際の当該一方の端での前記車両の速度である初端速度および当該他方の端での前記車両の速度である終端速度に基づいて、前記車両が前記道路区間において加速走行を行う時間帯である加速時間帯および前記車両が前記道路区間において減速走行を行う時間帯である減速時間帯を演算する時間帯演算ステップと、前記時間帯演算ステップで演算した前記加速時間帯においては前記車両が前記道路区間の中心線上を前記初端速度から所定の最大速度までの速度で且つ当該車両特有の最効率加速度または当該最効率加速度を基準とした所定範囲内の加速度で走行し、前記時間帯演算ステップで演算した前記減速時間帯においては前記車両が前記道路区間の中心線上を前記最大速度から前記終端速度までの速度で且つ所定の回生上限減速度で走行するものとして、前記最適化手法に基づく演算の際に設定する初期解を演算する初期解演算ステップと、前記初期解演算ステップで演算した前記初期解を、前記最適化手法に基づく演算で採用するものとして設定する初期解設定ステップと、をさらに含み、前記目標走行軌跡演算ステップは、前記初期解設定ステップで設定した前記初期解にて、前記目標走行軌跡を前記最適化手法に基づいて演算すること、を特徴とする。
【0009】
また、本発明にかかる目標走行軌跡演算方法は、前記に記載の目標走行軌跡演算方法において、前記初期解演算ステップは、前記道路区間の形状が直線の場合であってその一部に曲線区間が含まれるときは、前記加速時間帯においては前記車両が当該道路区間の中心線上を前記初端速度から前記最大速度までの速度で且つ前記最効率加速度または前記所定範囲内の加速度で走行し、前記減速時間帯においては前記車両が当該道路区間の中心線上を前記最大速度から前記終端速度までの速度で且つ前記回生上限減速度で走行するものとして、前記初期解を演算し、前記道路区間の形状が曲線である場合は、前記加速時間帯においては前記車両が当該曲線の前記道路区間と同じ前記区間距離の直線の前記道路区間の中心線上を前記初端速度から前記最大速度までの速度で且つ前記最効率加速度または前記所定範囲内の加速度で走行し、前記減速時間帯においては前記車両が当該曲線の前記道路区間と同じ前記区間距離の直線の前記道路区間の中心線上を前記最大速度から前記終端速度までの速度で且つ前記回生上限減速度で走行するものとして、前記初期解の仮の解を演算する仮解演算ステップと、前記仮解演算ステップで前記直線におけるものとして演算した前記仮の解を、前記曲線の前記道路区間を時間の関数として前記曲線におけるものへ座標変換する仮解座標変換ステップと、をさらに含み、前記初期解設定ステップは、前記初期解演算ステップで演算した前記初期解または前記仮解座標変換ステップで座標変換した後の前記仮の解を、前記最適化手法に基づく演算で採用する前記初期解として設定すること、を特徴とする。
【0010】
また、本発明にかかる車両走行制御装置は、道路を走行する際の車両の目標走行軌跡を燃費を指標として最適化手法に基づいて演算する目標走行軌跡演算手段と、前記目標走行軌跡演算手段で演算した前記目標走行軌跡に基づいて前記車両の走行を制御する車両走行制御手段とを備えた車両走行制御装置であって、前記最適化手法に基づく演算の対象となる道路区間の距離である区間距離ならびに前記車両が前記道路区間を一方の端から他方の端へ走行する際の当該一方の端での前記車両の速度である初端速度および当該他方の端での前記車両の速度である終端速度に基づいて、前記車両が前記道路区間において加速走行を行う時間帯である加速時間帯および前記車両が前記道路区間において減速走行を行う時間帯である減速時間帯を演算する時間帯演算手段と、前記時間帯演算手段で演算した前記加速時間帯においては前記車両が前記道路区間の中心線上を前記初端速度から所定の最大速度までの速度で且つ当該車両特有の最効率加速度または当該最効率加速度を基準とした所定範囲内の加速度で走行し、前記時間帯演算手段で演算した前記減速時間帯においては前記車両が前記道路区間の中心線上を前記最大速度から前記終端速度までの速度で且つ所定の回生上限減速度で走行するものとして、前記最適化手法に基づく演算の際に設定する初期解を演算する初期解演算手段と、前記初期解演算手段で演算した前記初期解を、前記最適化手法に基づく演算で採用するものとして設定する初期解設定手段と、をさらに備え、前記目標走行軌跡演算手段は、前記初期解設定手段で設定した前記初期解にて、前記目標走行軌跡を前記最適化手法に基づいて演算すること、を特徴とする。
【0011】
また、本発明にかかる車両走行制御装置は、前記に記載の車両走行制御装置において、前記初期解演算手段は、前記道路区間の形状が直線の場合であってその一部に曲線区間が含まれるときは、前記加速時間帯においては前記車両が当該道路区間の中心線上を前記初端速度から前記最大速度までの速度で且つ前記最効率加速度または前記所定範囲内の加速度で走行し、前記減速時間帯においては前記車両が当該道路区間の中心線上を前記最大速度から前記終端速度までの速度で且つ前記回生上限減速度で走行するものとして、前記初期解を演算し、前記道路区間の形状が曲線である場合は、前記加速時間帯においては前記車両が当該曲線の前記道路区間と同じ前記区間距離の直線の前記道路区間の中心線上を前記初端速度から前記最大速度までの速度で且つ前記最効率加速度または前記所定範囲内の加速度で走行し、前記減速時間帯においては前記車両が当該曲線の前記道路区間と同じ前記区間距離の直線の前記道路区間の中心線上を前記最大速度から前記終端速度までの速度で且つ前記回生上限減速度で走行するものとして、前記初期解の仮の解を演算する仮解演算手段と、前記仮解演算手段で前記直線におけるものとして演算した前記仮の解を、前記曲線の前記道路区間を時間の関数として前記曲線におけるものへ座標変換する仮解座標変換手段と、をさらに備え、前記初期解設定手段は、前記初期解演算手段で演算した前記初期解または前記仮解座標変換手段で座標変換した後の前記仮の解を、前記最適化手法に基づく演算で採用する前記初期解として設定すること、を特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、(1)最適化手法に基づく演算の対象となる道路区間の距離である区間距離ならびに車両が道路区間を一方の端から他方の端へ走行する際の当該一方の端での車両の速度である初端速度および当該他方の端での車両の速度である終端速度に基づいて、車両が道路区間において加速走行を行う時間帯である加速時間帯および車両が道路区間において減速走行を行う時間帯である減速時間帯を演算し、(2)演算した加速時間帯においては車両が道路区間の中心線上を初端速度から所定の最大速度までの速度で且つ当該車両特有の最効率加速度または当該最効率加速度を基準とした所定範囲内の加速度で走行し、演算した減速時間帯においては車両が道路区間の中心線上を最大速度から終端速度までの速度で且つ所定の回生上限減速度で走行するものとして、最適化手法に基づく演算の際に設定する初期解を演算し、(3)演算した初期解を、最適化手法に基づく演算で採用するものとして設定し、(4)設定した初期解にて、目標走行軌跡を最適化手法に基づいて演算する。これにより、最適解からの乖離が比較的小さいと推定される初期解を設定することができ、その結果、演算が収束せず最適解が得られなくなることを防ぐことができ、また、演算が収束しづらくなることを防いで走行中必要な時間までに低燃費を目的とした目標走行軌跡を演算することができるという効果を奏する。
【0013】
また、この発明によれば、道路区間の形状が直線の場合であってその一部に曲線区間が含まれるときは、加速時間帯においては車両が当該道路区間の中心線上を初端速度から最大速度までの速度で且つ最効率加速度または所定範囲内の加速度で走行し、減速時間帯においては車両が当該道路区間の中心線上を最大速度から終端速度までの速度で且つ回生上限減速度で走行するものとして、初期解を演算する。また、この発明によれば、道路区間の形状が曲線である場合は、加速時間帯においては車両が当該曲線の道路区間と同じ区間距離の直線の道路区間の中心線上を初端速度から最大速度までの速度で且つ最効率加速度または所定範囲内の加速度で走行し、減速時間帯においては車両が当該曲線の道路区間と同じ区間距離の直線の道路区間の中心線上を最大速度から終端速度までの速度で且つ回生上限減速度で走行するものとして、初期解の仮の解を演算し、直線におけるものとして演算した仮の解を、曲線の道路区間を時間の関数として曲線におけるものへ座標変換する。そして、この発明によれば、演算した初期解または座標変換した後の仮の解を、最適化手法に基づく演算で採用する初期解として設定する。これにより、曲線区間においても最適解からの乖離が比較的小さいと推定される初期解を設定することができ、その結果、演算が収束せず最適解が得られなくなることを防ぐことができ、また、演算が収束しづらくなることを防いで走行中必要な時間までに低燃費を目的とした目標走行軌跡を演算することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に、本発明にかかる目標走行軌跡演算方法および車両走行制御装置の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0015】
[1.構成]
まず、本発明にかかる目標走行軌跡演算方法を実施するための電子制御装置および本発明にかかる車両走行制御装置を包含する本実施の形態のシステム(以下では本システムと記載する場合がある。)の構成について図1を参照して説明する。図1は、本システムの構成の一例を示すブロック図である。
【0016】
本システムは、道路を走行する際の車両の目標走行軌跡を燃費を指標として最適化手法に基づいて演算し、演算した目標走行軌跡に基づいて車両の走行を制御するためのシステムである。本システムは、概略的に車両ECU100と道路区間情報入力装置200と速度上限情報入力装置300と設定速度情報入力装置400とを通信可能に接続して構成されている。
【0017】
道路区間情報入力装置200は、最適化手法に基づく演算の対象となる道路区間の形状(直線、曲線等)や道路区間の区間距離(区間の長さ)等に関する道路区間情報を車両ECU100に入力する装置である。速度上限情報入力装置300は、道路区間における車両の速度の上限である最大速度や、当該車両特有の最効率加速度(高効率化速度)または当該最効率加速度を基準とした所定範囲内の加速度、車両の回生上限減速度等に関する速度上限情報を車両ECU100に入力する装置である。設定速度情報入力装置400は、車両が道路区間を一方の端(始点)から他方の端(終点)へ走行する際の当該一方の端での車両の速度である初端速度や当該他方の端での車両の速度である終端速度等に関する設定速度情報を車両ECU100に入力する装置である。
【0018】
車両ECU100は電子制御装置であり、概略的に制御部102と記憶部104とを備えている。制御部102および記憶部104は任意の通信路を介して通信可能に接続されている。
【0019】
記憶部104はストレージ手段であり、例えば、RAM・ROM等のメモリ装置や、ハードディスクのような固定ディスク装置、フレキシブルディスク、光ディスク等を用いることができる。記憶部104には、OS(Operating System)と協働してCPUに命令を与え各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録されている。記憶部104は、概略的に道路区間情報ファイル104aと速度上限情報ファイル104bと設定速度情報ファイル104cとを備えている。
【0020】
道路区間情報ファイル104aは、道路区間情報入力装置200から入力された道路区間情報を記憶する道路区間情報記憶手段である。速度上限情報ファイル104bは、速度上限情報入力装置300から入力された速度上限情報を記憶する速度上限情報記憶手段である。設定速度情報ファイル104cは、設定速度情報入力装置400から入力された設定速度情報を記憶する設定速度情報記憶手段である。
【0021】
制御部102は車両ECU100の全体を統括的に制御するCPU等である。制御部102は、OS(Operating System)等の制御プログラムや各種の処理手順等を規定したプログラム、所要データなどを格納するための内部メモリを有し、これらのプログラムに基づいて種々の情報処理を実行する。制御部102は、機能概念的に時間帯演算部102aと初期解演算部102bと初期解設定部102cと目標走行軌跡演算部102dと車両走行制御部102eとを備えている。
【0022】
時間帯演算部102aは、道路区間情報ファイル104aに記憶されている区間距離情報、速度上限情報ファイル104bに記憶されている速度上限情報および設定速度情報ファイル104cに記憶されている設定速度情報に基づいて、車両が道路区間において加速走行を行う時間帯である加速時間帯および車両が道路区間において減速走行を行う時間帯である減速時間帯を演算する時間帯演算手段である。
【0023】
初期解演算部102bは、時間帯演算部102aで演算した加速時間帯においては、車両が道路区間の中心線上を、設定速度情報ファイル104cに記憶されている初端速度から速度上限情報ファイル104bに記憶されている最大速度までの速度で且つ速度上限情報ファイル104bに記憶されている最効率加速度または当該最効率加速度を基準とした所定範囲内の加速度で走行し、時間帯演算部102aで演算した減速時間帯においては、車両が道路区間の中心線上を、速度上限情報ファイル104bに記憶されている最大速度から設定速度情報ファイル104cに記憶されている終端速度までの速度で且つ速度上限情報ファイル104bに記憶されている回生上限減速度で走行するものとして、最適化手法に基づく演算の際に設定する初期解(例えば、時間tの関数とした速度V(t)や距離L(t)の値)を演算する初期解演算手段である。なお、初期解演算部102bは、道路区間の形状が直線の場合であってその一部に曲線区間が含まれるときは、加速時間帯においては車両が当該道路区間の中心線上を初端速度から最大速度までの速度で且つ最効率加速度または所定範囲内の加速度で走行し、減速時間帯においては車両が当該道路区間の中心線上を最大速度から終端速度までの速度で且つ回生上限減速度で走行するものとして、初期解を演算する。
【0024】
ここで、初期解演算部102bは、仮解演算部102bと仮解座標変換部102bとをさらに備えている。仮解演算部102bは、道路区間の形状が曲線である場合は、加速時間帯においては車両が当該曲線の道路区間と同じ区間距離の直線の道路区間の中心線上を初端速度から最大速度までの速度で且つ最効率加速度または所定範囲内の加速度で走行し、減速時間帯においては車両が当該曲線の道路区間と同じ区間距離の直線の道路区間の中心線上を最大速度から終端速度までの速度で且つ回生上限減速度で走行するものとして、初期解の仮の解(例えば、時間tの関数とした速度V(t)や距離L(t)の値)を演算する仮解演算手段である。仮解座標変換部102bは、仮解演算部102bで直線におけるものとして演算した仮の解を、曲線の道路区間を時間の関数として曲線におけるもの(例えば、時間tの関数とした角度θ(t)や位置(X(t),Y(t))の値)へ座標変換する仮解座標変換手段である。
【0025】
初期解設定部102cは、初期解演算部102bで演算した初期解または仮解座標変換部102bで座標変換した後の仮の解を、最適化手法に基づく演算で採用する初期解として設定する初期解設定手段である。
【0026】
目標走行軌跡演算部102dは、初期解設定部102cで設定した初期解にて、目標走行軌跡を最適化手法に基づいて演算する目標走行軌跡演算手段である。具体的には、目標走行軌跡演算部102dは、初期解設定部102cで設定した初期解にて最急降下法等の最適化手法に基づく収束演算を行うことにより、最適解を演算してもよい。
【0027】
車両走行制御部102eは、目標走行軌跡演算部102dで演算した目標走行軌跡に基づいて車両の走行を制御する。
【0028】
[2.処理]
次に、上述のように構成された本システムが行う目標走行軌跡演算処理の一例について、以下に図2〜図7を参照して詳細に説明する。
【0029】
[2−1.直線区間における目標走行軌跡演算処理]
まず、直線区間における目標走行軌跡演算処理の詳細について図2〜図4を参照して説明する。図2は、本システムが行う直線区間における目標走行軌跡演算処理の一例を示すフローチャートである。
【0030】
まず、制御部102は、設定速度情報入力装置400から車両ECU100に初端速度Vや終端速度V等に関する設定速度情報が入力されると、入力された設定速度情報を設定速度情報ファイル104cの所定の記憶領域に格納する(ステップSA−1)。ここで、図3は、道路区間の始点(スタート)および終点(ゴール)ならびにその区間距離Lを示す図である。図3に示すように、初端速度Vは、最適化手法に基づく目標走行軌跡の演算の対象となる道路区間の始点(スタート)における車両の速度であり、終端速度Vは、当該道路区間の終点(ゴール)における車両の速度であり、当該道路区間の始点(スタート)から終点(ゴール)までは区間距離Lだけ離れている。
【0031】
つぎに、時間帯演算部102aは、ステップSA−1で設定速度情報ファイル104cに格納した初端速度Vおよび終端速度V、道路区間情報ファイル104aに予め格納されている区間距離L、ならびに速度上限情報ファイル104bに予め格納されている最大速度Vmax、高効率加速度Aaccおよび回生上限減速度Adec(<0)に基づいて、加速時間帯Tおよび減速時間帯Tを演算する(ステップSA−2)。具体的には、以下の数式1および数式2の連立方程式を解くことにより、TおよびTを算出する。ここで、横軸を時間t、縦軸を速度vとした場合の、最大速度Vmax、初端速度V、終端速度V、高効率加速度Aacc、回生上限減速度Adec、加速時間帯Tおよび減速時間帯Tの関係を図4に示す。なお、同図において、時間帯TはT+Tである。
max=V+Aacc・T=V−Adec・T ・・・(数式1)
L=V・T+1/2・Aacc・T+V・T−1/2・Adec・T
・・・(数式2)
【0032】
つぎに、初期解演算部102bは、ステップSA−2で演算した加速時間帯Tにおいては(0≦t≦T)、車両が道路区間の中心線上を初端速度Vから最大速度Vmaxまでの速度で且つ高効率加速度Aaccで走行し、ステップSA−2で演算した減速時間帯Tにおいては(T≦t≦T(=T+T))、車両が道路区間の中心線上を最大速度Vmaxから終端速度Vまでの速度で且つ回生上限減速度Adecで走行するものとして、最適化手法の演算の際に設定する初期解“速度V(t)および距離L(t)”を演算する(ステップSA−3)。具体的には、以下に示すように、時間tの関数である速度V(t)および距離L(t)を求める。
<0≦t≦Tのとき>
(t)=V+Aacc・t
(t)=V・t+1/2・Aacc・t
<T≦t≦T(=T+T)のとき>
(t)=V+Aacc・T+Adec・(t−T
(t)=V・T+1/2・Aacc・T+Vmax・(t−T)+1/2・Adec・(t−T
【0033】
つぎに、初期解設定部102cは、ステップSA−3で演算した初期解“速度V(t)および距離L(t)”を、最適化手法に基づく演算で採用する初期解として設定する(ステップSA−4)。
【0034】
そして、目標走行軌跡演算部102dは、ステップSA−4で設定した初期解にて、目標走行軌跡を最適化手法に基づいて演算する(ステップSA−5)。
【0035】
[2−2.曲線区間における目標走行軌跡演算処理]
次に、曲線区間における目標走行軌跡演算処理の詳細について図5〜図7を参照して説明する。図5は、本システムが行う曲線区間における目標走行軌跡演算処理の一例を示すフローチャートである。
【0036】
まず、制御部102は、道路区間の形状が曲線である場合は、道路区間情報ファイル104aに予め格納されている道路区間情報としての当該曲線区間の半径Rおよび中心角δに基づいて、当該曲線区間の区間距離Lを計算する(ステップSB−1)。具体的には、図6に示すように、制御部102は、半径Rおよび中心角δを関係式“L=Rδ”に代入して区間距離Lを求める。図6は、曲線区間の半径R、中心角δおよび区間距離Lの関係を示す図である。
【0037】
図5に戻り、時間帯演算部102aは、ステップSB−1で算出した曲線区間の区間距離L、設定速度情報ファイル104cに予め格納されている初端速度Vおよび終端速度V、ならびに速度上限情報ファイル104bに予め格納されている最大速度Vmax、高効率加速度Aaccおよび回生上限減速度Adec(<0)に基づいて、上述した直線区間における目標走行軌跡演算処理のステップSA−2と同様のロジックで、加速時間帯Tおよび減速時間帯Tを演算する(ステップSB−2)。すなわち、時間帯演算部102aは、道路区間の形状が曲線である場合、当該道路区間をステップSB−1で計算した区間距離Lの直線区間と見做して、TおよびTを演算する。
【0038】
つぎに、仮解演算部102bは、ステップSB−2で演算した加速時間帯Tにおいては(0≦t≦T)、車両が、ステップSB−1で計算した区間距離Lの直線区間と見做した道路区間の中心線上を、初端速度Vから最大速度Vmaxまでの速度で且つ高効率加速度Aaccで走行し、ステップSB−2で演算した減速時間帯Tにおいては(T≦t≦T(T+T))、車両が、ステップSB−1で計算した区間距離Lの直線区間と見做した道路区間の中心線上を、最大速度Vmaxから終端速度Vまでの速度で且つ回生上限減速度Adecで走行するものとして、初期解の仮の解を演算する(ステップSB−3)。すなわち、仮解演算部102bは、道路区間の形状が曲線である場合、当該道路区間をステップSB−1で計算した区間距離Lの直線区間と見做して上述した直線区間における目標走行軌跡演算処理のステップSA−3と同様の処理を行うことで、時間tの関数である速度V(t)および距離L(t)を演算し、それを仮の解とする。
【0039】
つぎに、仮解座標変換部102bは、ステップSB−3で直線におけるものとして演算した仮の解“速度V(t)および距離L(t)”を、曲線の道路区間を時間の関数として曲線におけるもの“角度θ(t)および位置(X(t),Y(t))”へ座標変換する(ステップSB−4)。具体的には、仮解座標変換部102bは、ステップSB−3で演算した距離L(t)および半径Rに基づいて角度θ(t)を求め、求めた角度θ(t)と半径Rに基づいて位置(X(t),Y(t))を求めることで、ステップSB−3で演算した仮の解の座標変換を実行する。ここで、図7は、x座標y座標平面における速度V(t)および距離L(t)ならびに角度θ(t)および位置(X(t),Y(t))の関係を示す図である。
θ(t)=L(t)/R
(t)=Rcos(θ(t)
(t)=Rsin(θ(t)
【0040】
つぎに、初期解設定部102cは、ステップSB−4で座標変換した後の仮の解“角度θ(t)および位置(X(t),Y(t))”を、最適化手法に基づく演算で採用する初期解として設定する(ステップSB−5)。
【0041】
そして、目標走行軌跡演算部102dは、ステップSB−5で設定した初期解にて、目標走行軌跡を最適化手法に基づいて演算する(ステップSB−6)。
【0042】
[3.本実施の形態のまとめ、および他の実施の形態]
本実施の形態によれば、区間距離Lならびに初端速度Vおよび終端速度Vに基づいて、加速時間帯Tおよび減速時間帯Tを演算し、演算した加速時間帯Tにおいては車両が道路区間の中心線上を初端速度Vから最大速度Vmaxまでの速度で且つ高効率加速度Aaccで走行し、演算した減速時間帯Tにおいては最大速度Vmaxから終端速度Vまでの速度で且つ回生上限減速度Adecで走行するものとして初期解(速度V(t)および距離L(t))を演算し、演算した初期解(速度V(t)および距離L(t))にて目標走行軌跡を最適化手法に基づいて演算する。これにより、燃費重視の目標走行軌跡(換言すると低燃費を目的とした目標走行軌跡)の演算において、最適解からの乖離が比較的小さいと推定される初期解(換言すると道路形状ごとに収束解に近い初期解)を設定することができ、その結果、演算が収束せず最適解が得られなくなることを防ぐことができ、また、演算が収束しづらくなることを防いで走行中必要な時間までに低燃費を目的とした目標走行軌跡を演算することができる。
【0043】
また、本実施の形態によれば、道路区間の形状が直線の場合であってその一部に曲線区間が含まれるときは、加速時間帯Tにおいては車両が当該道路区間の中心線上を初端速度Vから最大速度Vmaxまでの速度で且つ高効率加速度Aaccで走行し、減速時間帯Tにおいては車両が当該道路区間の中心線上を最大速度Vmaxから終端速度Vまでの速度で且つ回生上限減速度Adecで走行するものとして、初期解(速度V(t)および距離L(t))を演算する。また、本実施の形態によれば、道路区間の形状が曲線である場合は、加速時間帯Tにおいては、車両が当該曲線の道路区間と同じ区間距離Lの直線の道路区間の中心線上を初端速度Vから最大速度Vmaxまでの速度で且つ高効率加速度Aaccで走行し、減速時間帯Tにおいては、車両が当該曲線の道路区間と同じ区間距離Lの直線の道路区間の中心線上を最大速度Vmaxから終端速度Vまでの速度で且つ回生上限減速度Adecで走行するものとして、初期解の仮の解(速度V(t)および距離L(t))を演算し、直線におけるものとして演算した当該仮の解(速度V(t)および距離L(t))を、曲線の道路区間を時間の関数として曲線におけるもの(角度θ(t)および位置(X(t),Y(t)))へ座標変換する。そして、本実施の形態によれば、演算した初期解(速度V(t)および距離L(t))または座標変換した後の仮の解(角度θ(t)および位置(X(t),Y(t)))を、最適化手法に基づく演算で採用する初期解として設定する。これにより、曲線区間においても最適解からの乖離が比較的小さいと推定される初期解を設定することができ、その結果、演算が収束せず最適解が得られなくなることを防ぐことができ、また、演算が収束しづらくなることを防いで走行中必要な時間までに低燃費を目的とした目標走行軌跡を演算することができる。
【0044】
最後に、本発明にかかる目標走行軌跡演算方法および車両走行制御装置は、上述した実施の形態以外にも、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施の形態にて実施されてよいものである。例えば、実施の形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。また、本明細書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各処理の登録データやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。また、車両ECU100に関して、図示の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。また、装置の分散・統合の具体的形態は図示するものに限られず、その全部または一部を、各種の付加等に応じて又は機能負荷に応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。また、上述した実施の形態では車両ECU100がスタンドアローンの形態で処理を行う場合を一例に説明したが、車両ECU100が、当該車両ECU100とは別筐体で構成されるECUからの要求に応じて情報処理を行い、その処理結果を当該ECUに返却するように構成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0045】
以上説明したように、本発明にかかる目標走行軌跡演算方法および車両走行制御装置は、特に自動車製造産業で好適に実施することができ、極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本システムの構成の一例を示すブロック図である。
【図2】本システムが行う直線区間における目標走行軌跡演算処理の一例を示すフローチャートである。
【図3】道路区間の始点(スタート)および終点(ゴール)ならびにその区間距離Lを示す図である。
【図4】横軸を時間t、縦軸を速度vとした場合の、最大速度Vmax、初端速度V、終端速度V、高効率加速度Aacc、回生上限減速度Adec、加速時間帯Tおよび減速時間帯Tの関係の一例を示す図である。
【図5】本システムが行う曲線区間における目標走行軌跡演算処理の一例を示すフローチャートである。
【図6】曲線区間の半径R、中心角δおよび区間距離Lの関係を示す図である。
【図7】x座標y座標平面における速度V(t)および距離L(t)ならびに角度θ(t)および位置(X(t),Y(t))の関係を示す図である。
【符号の説明】
【0047】
100 車両ECU
102 制御部
102a 時間帯演算部
102b 初期解演算部
102b 仮解演算部
102b 仮解座標変換部
102c 初期解設定部
102d 目標走行軌跡演算部
102e 車両走行制御部
104 記憶部
104a 道路区間情報ファイル
104b 速度上限情報ファイル
104c 設定速度情報ファイル
200 道路区間情報入力装置
300 速度上限情報入力装置
400 設定速度情報入力装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子制御装置で実行される、道路を走行する際の車両の目標走行軌跡を燃費を指標として最適化手法に基づいて演算する目標走行軌跡演算ステップを含む目標走行軌跡演算方法であって、
前記電子制御装置で実行される、
前記最適化手法に基づく演算の対象となる道路区間の距離である区間距離ならびに前記車両が前記道路区間を一方の端から他方の端へ走行する際の当該一方の端での前記車両の速度である初端速度および当該他方の端での前記車両の速度である終端速度に基づいて、前記車両が前記道路区間において加速走行を行う時間帯である加速時間帯および前記車両が前記道路区間において減速走行を行う時間帯である減速時間帯を演算する時間帯演算ステップと、
前記時間帯演算ステップで演算した前記加速時間帯においては前記車両が前記道路区間の中心線上を前記初端速度から所定の最大速度までの速度で且つ当該車両特有の最効率加速度または当該最効率加速度を基準とした所定範囲内の加速度で走行し、前記時間帯演算ステップで演算した前記減速時間帯においては前記車両が前記道路区間の中心線上を前記最大速度から前記終端速度までの速度で且つ所定の回生上限減速度で走行するものとして、前記最適化手法に基づく演算の際に設定する初期解を演算する初期解演算ステップと、
前記初期解演算ステップで演算した前記初期解を、前記最適化手法に基づく演算で採用するものとして設定する初期解設定ステップと、
をさらに含み、
前記目標走行軌跡演算ステップは、前記初期解設定ステップで設定した前記初期解にて、前記目標走行軌跡を前記最適化手法に基づいて演算すること、
を特徴とする目標走行軌跡演算方法。
【請求項2】
前記初期解演算ステップは、
前記道路区間の形状が直線の場合であってその一部に曲線区間が含まれるときは、前記加速時間帯においては前記車両が当該道路区間の中心線上を前記初端速度から前記最大速度までの速度で且つ前記最効率加速度または前記所定範囲内の加速度で走行し、前記減速時間帯においては前記車両が当該道路区間の中心線上を前記最大速度から前記終端速度までの速度で且つ前記回生上限減速度で走行するものとして、前記初期解を演算し、
前記道路区間の形状が曲線である場合は、前記加速時間帯においては前記車両が当該曲線の前記道路区間と同じ前記区間距離の直線の前記道路区間の中心線上を前記初端速度から前記最大速度までの速度で且つ前記最効率加速度または前記所定範囲内の加速度で走行し、前記減速時間帯においては前記車両が当該曲線の前記道路区間と同じ前記区間距離の直線の前記道路区間の中心線上を前記最大速度から前記終端速度までの速度で且つ前記回生上限減速度で走行するものとして、前記初期解の仮の解を演算する仮解演算ステップと、前記仮解演算ステップで前記直線におけるものとして演算した前記仮の解を、前記曲線の前記道路区間を時間の関数として前記曲線におけるものへ座標変換する仮解座標変換ステップと、をさらに含み、
前記初期解設定ステップは、前記初期解演算ステップで演算した前記初期解または前記仮解座標変換ステップで座標変換した後の前記仮の解を、前記最適化手法に基づく演算で採用する前記初期解として設定すること、
を特徴とする請求項1に記載の目標走行軌跡演算方法。
【請求項3】
道路を走行する際の車両の目標走行軌跡を燃費を指標として最適化手法に基づいて演算する目標走行軌跡演算手段と、前記目標走行軌跡演算手段で演算した前記目標走行軌跡に基づいて前記車両の走行を制御する車両走行制御手段とを備えた車両走行制御装置であって、
前記最適化手法に基づく演算の対象となる道路区間の距離である区間距離ならびに前記車両が前記道路区間を一方の端から他方の端へ走行する際の当該一方の端での前記車両の速度である初端速度および当該他方の端での前記車両の速度である終端速度に基づいて、前記車両が前記道路区間において加速走行を行う時間帯である加速時間帯および前記車両が前記道路区間において減速走行を行う時間帯である減速時間帯を演算する時間帯演算手段と、
前記時間帯演算手段で演算した前記加速時間帯においては前記車両が前記道路区間の中心線上を前記初端速度から所定の最大速度までの速度で且つ当該車両特有の最効率加速度または当該最効率加速度を基準とした所定範囲内の加速度で走行し、前記時間帯演算手段で演算した前記減速時間帯においては前記車両が前記道路区間の中心線上を前記最大速度から前記終端速度までの速度で且つ所定の回生上限減速度で走行するものとして、前記最適化手法に基づく演算の際に設定する初期解を演算する初期解演算手段と、
前記初期解演算手段で演算した前記初期解を、前記最適化手法に基づく演算で採用するものとして設定する初期解設定手段と、
をさらに備え、
前記目標走行軌跡演算手段は、前記初期解設定手段で設定した前記初期解にて、前記目標走行軌跡を前記最適化手法に基づいて演算すること、
を特徴とする車両走行制御装置。
【請求項4】
前記初期解演算手段は、
前記道路区間の形状が直線の場合であってその一部に曲線区間が含まれるときは、前記加速時間帯においては前記車両が当該道路区間の中心線上を前記初端速度から前記最大速度までの速度で且つ前記最効率加速度または前記所定範囲内の加速度で走行し、前記減速時間帯においては前記車両が当該道路区間の中心線上を前記最大速度から前記終端速度までの速度で且つ前記回生上限減速度で走行するものとして、前記初期解を演算し、
前記道路区間の形状が曲線である場合は、前記加速時間帯においては前記車両が当該曲線の前記道路区間と同じ前記区間距離の直線の前記道路区間の中心線上を前記初端速度から前記最大速度までの速度で且つ前記最効率加速度または前記所定範囲内の加速度で走行し、前記減速時間帯においては前記車両が当該曲線の前記道路区間と同じ前記区間距離の直線の前記道路区間の中心線上を前記最大速度から前記終端速度までの速度で且つ前記回生上限減速度で走行するものとして、前記初期解の仮の解を演算する仮解演算手段と、前記仮解演算手段で前記直線におけるものとして演算した前記仮の解を、前記曲線の前記道路区間を時間の関数として前記曲線におけるものへ座標変換する仮解座標変換手段と、をさらに備え、
前記初期解設定手段は、前記初期解演算手段で演算した前記初期解または前記仮解座標変換手段で座標変換した後の前記仮の解を、前記最適化手法に基づく演算で採用する前記初期解として設定すること、
を特徴とする請求項3に記載の車両走行制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−38662(P2010−38662A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−200220(P2008−200220)
【出願日】平成20年8月1日(2008.8.1)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】