説明

直動案内装置の直線案内レールの両面仕上げ研削装置および両面仕上げ研削方法

【課題】直線案内レールの上面と下面の仕上げ研削加工時間を短くする。
【解決手段】 ワークwである直線案内レールの両側面を底部および上部となるように横にしてワークテーブル4上に固定された長尺状下部治具7aとワーク上部治具7bとでチャックし、前記ワークテーブル4を左方向に直線移動させてカップホイール型砥石8wを砥石軸に軸承した砥石ヘッドの一対8,8間を通過させてカップホイール型砥石8wで前記ワークの前面wと後ろ面wを同時に研削加工する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直動案内装置の直線案内レールの上面および下面の両面を一対のカップホイール型砥石を用いて同時に仕上げ研削加工する装置および両面仕上げ研削方法に関する。
【背景技術】
【0002】
直動案内装置は、直線案内レールとこの直線案内レール上を摺動するスライダー本体よりなり、XY―ステージや工作機械のワークテーブルまたはツールテーブルの直線移動案内装置として利用されている。
【0003】
特開平9−150335号公報(特許文献1)は、幅広の基台と、この基台に所定間隔をおいて並列して設けられたボール転動溝を有する軌道レール(直線案内レール)一対と、これら軌道レールに多数のボールを介して摺動自在に支持された無限ボール循環路を形成した摺動台(スライダー本体)と、並列した摺動台間に架設されたテーブル本体を備えた直線案内テーブル装置を特許文献図1に開示する。また、特許文献図5において、平板状の基台部と、この基台部の両側部から上方に突設された並列する軌道レール部一対とを一体に形成し、基台部の下面を研削して基準面を有する基台を形成し、この基台の基準面を基準として並列する軌道レール部一対の両側外面を一対の成形砥石車の外周面を用い、軌道レール部一対の両側内面を一対の成形砥石車の研削面を用い同時研削してボール転動溝を有する軌道レール一対を形成する方法を開示する。
【0004】
また、特開2001−227539号公報(特許文献2)は、側面に軌道溝を有する直線案内レールを当該軌道溝の形状に合わせた凸状加工部を円周部に備えた回転ダイスを用い、レール素材ワークに軌道溝を転造加工した直線案内レールの製造方法に関する。その特許文献の段落0004記載および公知の直線案内レールの製造工程を示す図15(d)において、直線案内レールの上面および下面を仕上げ研削加工することを開示する。ただし、この特許文献2は、直線案内レールの上面および下面を仕上げ研削加工する加工手段を開示していない。
【0005】
直線案内レールの下面を仕上げ研削加工する目的は直線案内レールをテーブル等のベースに据え付ける際の平滑度を精度よくするためであり、直線案内レールの上面を仕上げ研削加工する目的はこの直線案内レール上を摺動するスライダー本体の滑走をスムーズに行うためである。
【0006】
一方、直線案内レールのような長尺状インゴットの両側面仕上げ研削加工装置として、特開2010−263025号公報(特許文献3)は、
上ロータリーテーブルと下ロータリーテーブルが中空筒固定材により一体に結合され、前記中空筒固定材を回転させる回転駆動機構が設けられたインデックス型ロータリーテーブル、
このインデックス型ロータリーテーブルの下ロータリーテーブルにサーボモータによりセンター軸を回転させる主軸台の4台を同一円周上に且つ90度の等間隔に設け、前記中空筒固定材壁に上ロータリーテーブルに向かって上下方向に移動可能な心押台4台を同一円周上に且つ90度の等間隔に前記主軸台のセンター軸の延長上に心押台のセンター軸が在るように設けた四対のクランプ機構を設け、この四対のクランプ機構の位置でインデックス型ロータリーテーブル上のワークピース位置をローディング/仕上げ研削砥石を用いるコーナー部仕上げ研削加工/アンローディングステージ(s)と、一対のカップホイール型砥石を用いる両側面同時平面研削加工ステージ(s)と、粗研削砥石を用いるコ
ーナー部粗研削加工ステージ(s)と、一対のカップホイール型砥石を用いる両側面同時平面仕上げ研削加工ステージ(s)の四つの研削加工ステージに区分けするクランプ機構、
前記インデックス型ロータリーテーブルのローディング/仕上げ研削砥石を用いるコーナー部仕上げ研削加工/アンローディングステージ(s)位置のクランプ機構に向かって仕上げ研削砥石が向くように砥石軸に回転自在に軸承する研削ヘッドを上下方向に昇降移動可能、左右方向に直線移動可能に設けたR仕上げ研削ヘッド
前記インデックス型ロータリーテーブルの両側面同時平面研削加工ステージ(s)のクランプ機構に向かい合ってカップホイール型砥石を砥石軸に回転自在に軸承する研削ヘッド一対を上下方向に昇降移動可能、左右方向に直線移動可能に設けた平面粗研削ヘッド
前記インデックス型ロータリーテーブルの粗研削砥石を用いるコーナー部粗研削加工ステージ(s)のクランプ機構に向かって粗研削砥石を向けて粗研削砥石を砥石軸に回転自在に軸承する研削ヘッドを上下方向に昇降移動可能、左右方向に直線移動可能に設けたR粗研削ヘッド
および、
前記インデックス型ロータリーテーブルのワークピースの両側面同時平面仕上げ研削加工ステージ(s)のクランプ機構に向かい合って一対のカップホイール型仕上げ砥石を砥石軸に回転自在に軸承する仕上げ研削ヘッド一対を上下方向に昇降移動可能、左右方向に直線移動可能に設けた仕上げ研削ヘッド、
を設けたことを特徴とする縦型の角柱状シリコンインゴットの面取り加工装置を提案する
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平9−150335号公報の図5
【特許文献2】特開2001−227539号公報の図15(d)
【特許文献3】特開2010−263025号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記特許文献2の図15(d)に記載の直線案内レールの上面および下面を仕上げ研削加工する加工手段として特許文献3に開示される一対のカップホイール型砥石を用いて同時に直線案内レールの上面および下面を仕上げ研削加工する方法は、仕上げ研削加工時間を短縮できる利点がある。上記特許文献3の縦型のインゴット面取り加工装置は、ワークである角柱状インゴットを主軸台と心押台とから構成されるクランプ機構を利用するものであり、カップホイール型砥石が上下移動してワーク面取り加工するので、加工装置の高さ寸法が高い。よって、直動案内装置の加工メーカーは、加工装置が現存の工場建屋内に据付できるよう横型の面取り加工装置を希望する。
【0009】
本願発明者等は、フットプリント(据え付け面積)がコンパクトな横型の面取り加工装置に設計変更するには、一対のカップホイール型砥石が上下移動して固定位置のワークの両面の面取り加工する方法よりは、ワークをワークテーブル上に治具を用いて載置し、ワークテーブルの移動によりワークを左右方向に移動させ、一対の回転するカップホイール型砥石間に通過させてワークの前後面を同時に面取り加工させる方法が得策であると想到した。
【0010】
本願発明者等は、ワークである直線案内レールの上面と下面を上記横型の面取り加工装置においてワークの前面と後ろ面に固定できる直線案内レール固定用の治具を検討し本発明に到った。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の請求項1に記載の直線案内レールの両面仕上げ研削装置は、
a)機枠(ベース)上に左右方向に設けられた案内ガイドレール上を左右方向に往復移動できるように設けられたワークテーブル、
b)このワークテーブル上にワークである直線案内レールの側面を底部となるように載置されたワークの前記底部面を支持する頂頭部を有し、その頂頭部の前後幅が前記ワークの高さ寸法より小さい長尺状下部治具、
c)前記長尺状下部治具の頂頭部上方位置であって、前記ワークである直線案内レールの側面に設けられた転動体移動溝に嵌合する底頭部を有し、その前後幅がワークの高さ寸法より小さい長尺状上部治具を昇降可能に設けたワーク上部治具の複数を前記ワークの左右方向に等間隔に設けたワーク上部治具、
d)前記長尺状下部治具と前記複数のワーク上部治具とで固定された前記ワークの前面および後ろ面を研削するカップホイール型砥石を砥石軸に軸承した砥石ヘッドの一対を、前記ワークを正面側から直角に見る方向であって、そのカップホイール型砥石の環状刃面が相対向するようにワークを挟んで前後に設けられた面取り加工研削ステージ、
e)前記砥石ヘッドの前後移動機構
f)研削液供給機構
および、
g)前記カップホイール型砥石を軸承する砥石軸の回転駆動機構、
を備える直動案内装置の直線案内レールの両面仕上げ研削装置である。
【0012】
本発明の請求項2は、上記両面仕上げ研削装置を用い、次の工程を経て直線案内レールの前面および後ろ面を同時に仕上げ研削加工する方法を提供するものである。
(1)ワークテーブル上に載置された長尺状下部治具の頂頭部にワークである直線案内レールの側面に設けられた転動体移動溝を下面にし、ワークの上面および下面が前後面となるように載置する。
(2)長尺状下部治具の頂頭部に嵌合された前記ワークである直線案内レールの上面に位置する転動体移動溝内に複数のワーク上部治具を下降させてその底頭部を転動体移動溝に当接し、ワークテーブル上でのワークの固定を行う。
(3)カップホイール型砥石を砥石軸に軸承する砥石ヘッドを前記砥石ヘッドの前後移動機構を用いて前記ワーク側へ前進させ、研削加工が開始される開始位置で停止させる。
(4)前記砥石軸の回転駆動機構を用いて砥石軸に軸承されたカップホイール型砥石の一対を同一回転方向に回転させる。また、カップホイール型砥石の環状刃先がワークと摺擦する加工作業面に研削液を供給する。
(5)前記ワークを搭載するワークテーブルを面取り加工研削ステージに設けられた前記砥石ヘッド側へ直線移動させ前記回転する一対のカップホイール型砥石の環状刃先とワークの前後面の摺擦を開始する。
(6)上記ワークを搭載するワークテーブルを面取り加工研削ステージに設けられた前記一対の砥石ヘッド間を直線移動および通過させ前記回転する一対のカップホイール型砥石の環状刃先と上記ワークの前後面の摺擦を継続および終了させる。
(7)前記一対のカップホイール型砥石の環状刃先と上記ワークの前後面の摺擦による面取り仕上げ研削加工が終了後、前記一対のカップホイール型砥石の回転を停止させ、ついで、前記ワークテーブルをワーク取り出し位置まで直線移動させる。
(8)前記複数のワーク上部治具を上昇させてその底頭部をワークの転動体移動溝から離間させる。
(9)上述の仕上げ研削加工されたワークを前記長尺状下部治具の頂頭部より取り外す。
【発明の効果】
【0013】
本発明の直線案内レールの両面仕上げ研削装置は、一対のカップホイール型砥石を用いて直線案内レールの前面および後ろ面を同時に仕上げ研削加工できるので、従来の平砥石
を用いて片面ずつ仕上げ研削加工する方法と比較して仕上げ研削加工時間を半減できる。また、回転するカップホイール型砥石の環状刃先を用いて研削加工するのでワークと砥石の摩擦熱が従来の平砥石を用いる研削加工の摩擦熱より小さく、平滑度の良好な研削加工面を得ることができる。
【0014】
さらに、ワーク治具として長尺状下部治具と複数のワーク上部治具を一緒に用いるので、ワークの素材が鋳造鋼鉄は勿論のこと、アルミニウム、ステンレス、金属粉混入エポキシ樹脂、セラミック、エンジニアリングプラスチック等の非磁性体製であっても仕上げ研削加工できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は案内レールの両面仕上げ研削装置の平面図である。
【図2】図2は案内レールの両面仕上げ研削装置の正面図である。
【図3】図3は案内レールの両面仕上げ研削装置の右側面図である。
【図4】図4は図3におけるワーク治具部分を拡大した右側面図である。
【図5】図5は図4におけるワーク治具部分を更に拡大した右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の案内レールの両面仕上げ研削装置1は、図1、図2および図3に示されるように、機枠(ベース)2上に左右方向に設けられた案内ガイドレール一対3,3上を左右方向に往復移動できるように設けられたワークテーブル4を備える。このワークテーブル4の左右往復移動をサーボモータ5による回転駆動をボールネジ6bが受けて回転し、このボールネジに螺合された固定台6fが左方向または右方向に前進することにより、この固定台表面にワークテーブル4の裏面が固定されているワークテーブル4が左方向または右方向に前進する。ワークテーブル4の左方向または右方向の前進は、サーボモータ5の回転軸が時計廻り方向か、逆時計廻り方向かに依存する構造を採る。
【0017】
ワークの治具7は、このワークテーブル4上に載置されるワークwである直線案内レールを90度横にして固定するもので、転動体移動溝4aを側面に有するワークの前記側面と接触する頂頭部7を有し、その前後幅がワークの高さ寸法より小さい長尺状下部治具7aと、この長尺状下部治具7aの頂頭部7上方位置であって、ワークの左右方向に等間隔にワークである直線案内レールwの側面に設けられた転動体移動溝4bに嵌合する底頭部7を有し、その前後幅がワークの高さ寸法より小さい長尺状上部治具7uをシリンダー機構7cにより昇降可能に設けた複数のワーク上部治具7b,7b,7b,7bとから成る。図2において、ワークの左右長さは720mmで、ワーク上部治具7b,7b,7b,7bは80mm、120mm、200mmの間隔を置いて4基並列されている。4基のワーク上部治具7b,7b,7b,7bを取り付けている固定板7fは治具ハウジング7hの左右壁の内側に設けられた案内ガイドレール7r,7r上を滑走できるように取り付けられており、ワーク上部治具7bのワークに対する距離を微調整可能である。
【0018】
図5にワークwの両側面が長尺状下部治具7aの頂頭部7と長尺状上部治具7uの底頭部7とで固定された状態を示す。
【0019】
前記長尺状下部治具7aと前記複数のワーク上部治具7b,7b,7b,7bとで固定されたワークの前面wおよび後ろ面wを研削するカップホイール型砥石8wを砥石軸8sに軸承した砥石ヘッド8,8の一対を、前記ワークwを正面側から直角に見る方向であって、そのカップホイール型砥石8wの環状刃先8g面が相対向するように前記ワークwを挟んで前後に設けた面取り加工研削ステージ8STを設ける。
【0020】
前記砥石ヘッド8は、モーター9mにより回転駆動されるボールネジ9bの回転駆動を
螺合体9fが受け、この螺合体を底部に有するツールテーブル9tが案内ガイドレール上を前後移動することにより行われる。(図4参照)
【0021】
前記カップホイール型砥石8wを軸承する砥石軸8sの回転駆動は、サーボモータ8mにより行われる。
【0022】
図3および図4に示されるように、カップホイール型砥石の環状刃先8g,8gとワーク前面wおよび後ろ面wとが摺擦する研削加工作業面には、研削液供給ノズル10,10より研削液が供給される。
【0023】
カップホイール型研削砥石8w,8wの環状カップ砥石刃先8gの直径はワークの高さ寸法より大きい。図5では、ワークの高さ寸法23.5mmに対し、環状カップ砥石刃先8gの直径が100mmのカップホイール型研削砥石8wが用いられる。
【0024】
カップホイール型研削砥石の環状カップ砥石刃先8g,8gの砥粒は、ダイヤモンド砥粒、CBN砥粒が好ましく、結合剤(ボンド)はメタルボンド、ビトリファイドボンド、エポキシレジンボンドがよい。カップホイール型研削砥石8wは、例えば特開平9−38866号公報、特開2000―94342号公報や特開2004−167617号公報等に開示される有底筒状砥石台金の下部環状輪に砥石刃の多数を研削液が散逸する隙間間隔で環状に配置したカップホイール型砥石で、台金の内側に供給された研削液が前記隙間から散逸する構造のものが好ましい。このカップホイール型砥石の環状砥石刃8gは、砥番800〜4,000番の砥粒が好ましい。
【0025】
研削液としては、ワーク素材により異なるが、純水、コロイダルシリカ水分散液、セリア水分散液が使用される。なお、研削液としては、環境を考慮した排水処理の面から純水のみを利用するのが好ましい。
【0026】
上述の直線案内レールの両面仕上げ研削装置1を用い、ワークwである直線案内レールの前面wおよび後ろ面wを同時に仕上げ研削加工する方法は、次の工程を経て行われる。
【0027】
(1)ワークテーブル4上に載置された長尺状下部治具7aの頂頭部7にワークwである直線案内レールの側面を下面にして当接させる。
【0028】
(2)長尺状下部治具の頂頭部7に当接された前記ワークである直線案内レールの上面に位置する転動体移動溝4b内に複数のワーク上部治具7b,7b,7b,7bの長尺状上部治具7uをシリンダー機構7cにより下降させて上部治具7uの底頭部7v,7v,7v,7vを転動体移動溝4bに当接させてワークテーブル4上でのワークwの位置固定を行う。
【0029】
(3)カップホイール型砥石8wを砥石軸8sに軸承する砥石ヘッド8を前記砥石ヘッドの前後移動機構(モーター9m、ボールネジ9b、螺合体9f、ツールテーブル9t)によりツールテーブル9tを案内ガイドレール上で前記ワークw側へ前進させ、研削加工が開始される開始位置で停止させる。
【0030】
(4)前記砥石軸8s,8sの回転駆動機構8m,8mを用いて砥石軸に軸承されたカップホイール型砥石の一対8w,8wを同一回転方向に1,200〜3,000rpmの回転速度で同期制御回転させる。また、カップホイール型砥石の環状刃先8g,8gがワークwと摺擦する研削加工作業面に研削液を研削液供給ノズル10,10より50〜1,000cc/分の量を供給する。
【0031】
(5)前記ワークを搭載するワークテーブル4を面取り加工研削ステージ8STに設けた前記砥石ヘッド8,8側へ直線移動させ前記回転する一対のカップホイール型砥石の環状刃先8g,8gとワークの前後面w,wの摺擦を開始する。ワークテーブル4の移動速度は1〜15mm/分速度で左方向に移動しているワークの前後面w,wを同時に0.005〜0.2mm量の切り込みを行う。
【0032】
(6)上記ワークを搭載するワークテーブル4を面取り加工研削ステージ8STに設けられた前記一対の砥石ヘッド8,8間を左方向に直線移動および通過させ前記回転する一対のカップホイール型砥石の環状刃先8g,8gと上記ワークの前後面w,wの摺擦を継続させ、前記一対の砥石ヘッド8,8間をワーク右端が通過したら面取り仕上げ研削加工を終了させる。
【0033】
(7)前記一対のカップホイール型砥石の環状刃先8g,8gと上記ワークの前後面w,wの摺擦による面取り仕上げ研削加工が終了後、前記一対のカップホイール型砥石8w,8wの回転を停止させ、ついで、前記ワークテーブル4をワーク取り出し位置の右方向に直線移動させる。
【0034】
(8)前記7b,7b,7b,7bの長尺状上部治具7uをシリンダー機構7cにより上昇させて上部治具7uの底頭部7vを転動体移動溝4bから離間させる。
【0035】
(9)上述の仕上げ研削加工されたワークwを長尺状下部治具7aの頂頭部7より取り外す。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明の直線案内レールwの両面仕上げ研削装置1は、一対のカップホイール型砥石8w,8wを用いて直線案内レールの前面wfおよび後ろ面wを同時に仕上げ研削加工できるので、従来の平砥石を用いて片面ずつ仕上げ研削加工する方法と比較して仕上げ研削加工時間を半減できる。
【符号の説明】
【0037】
1 両面仕上げ研削装置
w ワーク
2 機枠
4 ワークテーブル
4a,4b 転動体移動溝
7 治具
7a 長尺状下部治具
7b ワーク上部治具
7u 上部治具
8 砥石ヘッド
8ST 研削ステージ
8s 砥石軸
8w カップホイール型研削砥石
8g カップホイール型砥石の環状刃先
9 砥石ヘッドの前後移動機構
10 研削液供給ノズル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)機枠(ベース)上に左右方向に設けられた案内ガイドレール上を左右方向に往復移動できるように設けられたワークテーブル、
b)このワークテーブル上にワークである直線案内レールの側面を底部となるように載置されたワークの前記底部面を支持する頂頭部を有し、その頂頭部の前後幅が前記ワークの高さ寸法より小さい長尺状下部治具、
c)前記長尺状下部治具の頂頭部上方位置であって、前記ワークである直線案内レールの側面に設けられた転動体移動溝に嵌合する底頭部を有し、その前後幅がワークの高さ寸法より小さい長尺状上部治具を昇降可能に設けたワーク上部治具の複数を前記ワークの左右方向に等間隔に設けたワーク上部治具、
d)前記長尺状下部治具と前記複数のワーク上部治具とで固定された前記ワークの前面および後ろ面を研削するカップホイール型砥石を砥石軸に軸承した砥石ヘッドの一対を、前記ワークを正面側から直角に見る方向であって、そのカップホイール型砥石の環状刃面が相対向するようにワークを挟んで前後に設けられた面取り加工研削ステージ、
e)前記砥石ヘッドの前後移動機構
f)研削液供給機構
および、
g)前記カップホイール型砥石を軸承する砥石軸の回転駆動機構、
を備える直動案内装置の直線案内レールの両面仕上げ研削装置。
【請求項2】
請求項1記載の両面仕上げ研削装置を用い、次の工程を経て直線案内レールの前面および後ろ面を同時に仕上げ研削加工する方法。
(1)ワークテーブル上に載置された長尺状下部治具の頂頭部にワークである直線案内レールの側面に設けられた転動体移動溝を下面にし、ワークの上面および下面が前後面となるように載置する。
(2)長尺状下部治具の頂頭部に嵌合された前記ワークである直線案内レールの上面に位置する転動体移動溝内に複数のワーク上部治具を下降させてその底頭部を転動体移動溝に当接し、ワークテーブル上でのワークの固定を行う。
(3)カップホイール型砥石を砥石軸に軸承する砥石ヘッドを前記砥石ヘッドの前後移動機構を用いて前記ワーク側へ前進させ、研削加工が開始される開始位置で停止させる。
(4)前記砥石軸の回転駆動機構を用いて砥石軸に軸承されたカップホイール型砥石の一対を同一回転方向に回転させる。また、カップホイール型砥石の環状刃先がワークと摺擦する加工作業面に研削液を供給する。
(5)前記ワークを搭載するワークテーブルを面取り加工研削ステージに設けられた前記砥石ヘッド側へ直線移動させ前記回転する一対のカップホイール型砥石の環状刃先とワークの前後面の摺擦を開始する。
(6)上記ワークを搭載するワークテーブルを面取り加工研削ステージに設けられた前記一対の砥石ヘッド間を直線移動および通過させ前記回転する一対のカップホイール型砥石の環状刃先と上記ワークの前後面の摺擦を継続および終了させる。
(7)前記一対のカップホイール型砥石の環状刃先と上記ワークの前後面の摺擦による面取り仕上げ研削加工が終了後、前記一対のカップホイール型砥石の回転を停止させ、ついで、前記ワークテーブルをワーク取り出し位置まで直線移動させる。
(8)前記複数のワーク上部治具を上昇させてその底頭部をワークの転動体移動溝から離間させる。
(9)上述の仕上げ研削加工されたワークを前記長尺状下部治具の頂頭部より取り外す。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−250332(P2012−250332A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−125983(P2011−125983)
【出願日】平成23年6月6日(2011.6.6)
【出願人】(391011102)株式会社岡本工作機械製作所 (161)
【Fターム(参考)】