説明

直貼り型MRTフィルムフィルタ及びこれを備えたプラズマディスプレイ装置

【課題】直貼り型MRTフィルムフィルタ及びこれを備えたプラズマディスプレイ装置を提供する。
【解決手段】直貼り型MRTフィルムフィルタは、ベースフィルムと、ベースフィルムの上面に配置されるアンチグレア層と、アンチグレア層に含まれるか、またはアンチグレア層の一面に塗布されてスクラッチを防止するハードコーティング材と、ベースフィルムの一面に備えられて電磁波を遮断する導電層と、ベースフィルムの下面に備えられて平板表示装置に付着されるMRTフィルムと、ベースフィルムの下面に配置され、MRTフィルムを固定する付着部と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直貼り型MRTフィルムフィルタ及びこれを備えたプラズマディスプレイ装置に関し、より詳細には、平面ディスプレイ装置の前面基板に付着されて近赤外線及び電磁波を遮蔽する直貼り型MRTフィルムフィルタ及びこれを備えたプラズマディスプレイ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プラズマディスプレイ装置は、その駆動特性上、強い近赤外線光を放出するが、このような近赤外線光は、無線電話機やリモコンなどの作動に影響を及ぼして誤動作を誘発する。
【0003】
また、プラズマディスプレイ装置は、人体や他の電子機器に影響を及ぼす虞がある強い電磁波を発生させる虞がある。
【0004】
したがって、プラズマディスプレイ装置には、このような近赤外線及び電磁波を遮蔽する前面フィルタが備えられる。この前面フィルタは、プラズマディスプレイパネル(PDP)の前面に装着されるために、近赤外線及び電磁波を遮蔽すると同時に透明性も満足する必要がある。
一方、これらの特性を両方とも備えたものとして開発された従来のPDP用の前面フィルタは、金属メッシュ型と透明導電膜型とに区分される。メッシュ型の前面フィルタは、電磁波の遮蔽には優れているが、相対的に透明性を低下させたり画面の歪みを発生させたりするほか、メッシュ自体が高価であるために、全般的な製品のコストが上昇するという問題点がある。
【0005】
したがって、一般的に、表面処理した透明導電膜型が前面フィルタとして使用されている。ここで、ディスプレイ用のフィルムの表面処理技術とは、外光反射によるまぶしさ及び解像度の低下を最小化し、静電気によるショックを防止するために、パネルの前面を多様な方法で処理する技術をいう。
【0006】
既存のプラズマディスプレイ装置では、通常ガラスからなる前面基板と強化ガラスフィルタとの間で、材質の差による屈折現象が発生し、これによって、映像が二重に表示されるという問題がある。
【0007】
また、強化ガラスフィルタは、外部衝撃に耐えるために一定の厚さを有するので、重量が増加してコストが上昇するという不利な点がある。さらに、既存の強化ガラスフィルタの構造は、多様な機能を有する複合的なフィルムからなる非常に複雑な構造であるため、製造工程が煩雑になり、コストが上昇するという問題がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、厚さの小さいフィルムに、強化ガラスフィルタとしてのあらゆる機能を備えた構造のPDP用の直貼り型MRTフィルムフィルタ、及びこれを備えたプラズマディスプレイ装置を提供することを目的とする。
【0009】
また、本発明の他の目的は、既存フィルタの界面特性を向上させて二重映像現象を改善し、乱反射効果によって防眩性を高めて鏡面反射を減らすことにより、明室コントラストを向上させた直貼り型MRTフィルムフィルタ、及びこれを備えるプラズマディスプレイ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の望ましい実施形態による直貼り型MRTフィルムフィルタは、ベースフィルムと、前記ベースフィルムの上面に配置されるアンチグレア層と、前記アンチグレア層に含まれるか、または前記アンチグレア層の一面に塗布されてスクラッチを防止するハードコーティング材と、前記ベースフィルムの一面に備えられて電磁波を遮断する導電層と、前記ベースフィルムの下面に備えられて平板表示装置に付着されるMRTフィルムと、前記ベースフィルムの下面に配置され、前記MRTフィルムを固定する付着部と、を備える。
【0011】
前記ベースフィルムは透明なものが望ましい。
【0012】
また、前記アンチグレア層は、前記ハードコーティング材を含み、その厚さが2〜7umであり、鉛筆硬度が2〜3Hであり、ヘイズが3〜11%であることが望ましい。
【0013】
また、前記導電層は、ITO、Ag、Au、Cu、Alのうちの少なくとも一つでありうる。
【0014】
一方、前記付着部には、色補正またはネオン光を遮断するように顔料または染料が添加されることが望ましい。
【0015】
また、前記MRTフィルムは、その上面に明室コントラストの向上のためのブラックコーティング部を備え、その下面に可視光を収束するレンズ部をさらに備えることが望ましい。
【0016】
一方、本発明の他の実施形態によるプラズマディスプレイ装置は、前述した直貼り型MRTフィルムフィルタを備える。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、厚さの小さいフィルムに複雑な構造を有する強化ガラスフィルタのあらゆる機能を持たせることにより、既存のフィルタに比べて軽量化及び低コストでの製造が可能となる。
【0018】
また、直貼りフィルムフィルタを適用することによって、既存のフィルタの界面特性が向上して、これにより二重映像現象が改善し、乱反射効果によって防眩性が高められて鏡面反射が低減し、明室コントラストが向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、添付した図面に基づき、本発明を詳細に説明する。
【0020】
図1は、本発明の一実施形態による直貼り型MRTフィルムフィルタを示す図面であって、多積層からなる直貼り型MRTフィルムフィルタが明確に見えるようにいくつかの層を展開させて示しており、図2は、図1のV−V線による直貼り型MRTフィルムフィルタの断面図である。
【0021】
図1及び図2を参照すれば、本発明による直貼り型MRTフィルムフィルタ10は、ベースフィルム3、アンチグレア層1、スクラッチを防止するハードコーティング材2、導電層5、MRT(Micro Replication Technology)フィルム8、及びベースフィルム3をMRTフィルム8に固定する付着部6を備える。さらに、MRTフィルム8を平板表示装置に固定する支持部9を備える。
【0022】
ここで、平板表示装置は、可視光を放出してユーザーに映像を表示できる媒体を言うが、特に、可視光を放出する前面が扁平なものを言う。このような平板表示装置の例として、両電極の間に強い電圧を印加することで電極の間にガス放電を生じさせ、この時に発生する紫外線が蛍光体にぶつかって光を発光する現象を利用したPDP(プラズマディスプレイパネル)、平面に形成されたカソード(電子放出源)から放出された電子が蛍光体にぶつかって発光する現象を利用したFED(電界発光ディスプレイ)、フィラメントに電圧を印加して熱電子を発生させ、グリッドで加速されてアノードに到達した電子が既にパターニングされた蛍光体にぶつかって発光することによって映像を表示するVFD(真空蛍光ディスプレイ)、蛍光または燐光有機物薄膜に電流を流したときに電子と正孔とが有機物層で結合しながら光が発生する現象を利用した自発光型のOLED、液体と固体の中間状態である液晶の電気的性質を表示装置に応用したディスプレイであって、液晶がシャッタの役割を果たして電圧のOn/Offを切り換えることによって可視光を透過または遮断する原理を利用して情報を表示するLCDなどがある。しかし、本発明は、前記例に限定されるものではない。
【0023】
ベースフィルム3は、直貼りフィルムフィルタの基材として使われるが、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリアクリレート(PAR)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリアリレート、ポリイミド、ポリカーボネート(PC)、セルローストリアセテート(TAC)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)からなる群より選択される。望ましくは、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、セルローストリアセテート(TAC)、ポリエチレンナフタレート(PEN)でありうる。
【0024】
また、ベースフィルム3は、透明でありうるが、これは完全に透明であるという意味ではなく、当業界で一般に透明であるといわれる程度の透過率を有することを意味する。
【0025】
一方、ベースフィルム3の下面には導電層5が配置される。前記導電層5は、プラズマディスプレイ装置で発生する人体に有害な電磁波及び近赤外線の遮蔽のために使われる。特に、近赤外線によって発生する周辺電子機器の誤作動を防止するために近赤外線を遮蔽する機能を果たす。
【0026】
図面では導電層5が単一の層として示されているが、本発明の実施形態では導電層が単一層に形成された場合だけでなく、少なくとも2回以上反復して多層に積層させた構造でもありうる。導電層5が多層に積層されることにより、その表面抵抗値が補正され、可視光線の透過率を制御しうる。
【0027】
前記導電層5には、金属層、金属酸化物、導電性ポリマーなどを採用できる。金属層には、パラジウム、銅、白金、ロジウム、アルミニウム、鉄、コバルト、ニッケル、亜鉛、ルテニウム、スズ、タングステン、インジウム、鉛、銀(Ag)などを単独で、または複合的に採用できる。
【0028】
金属酸化物は、酸化スズ、酸化インジウム、酸化アンチモン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、金属アルコキシド、インジウムスズ酸化物(ITO)、ATOのうち少なくとも一つを含みうる。また、金属と金属酸化物とを組み合わせて利用することもあるが、特に、金属酸化物が付加された場合は、金属層の酸化や劣化を防止できる。
【0029】
なお、導電層5は、ITOもしくはAgが単独でなるか、またはITO及びAgが交互に少なくとも2回以上積層された構造を有しうる。
【0030】
導電層5は、さまざまな方法で形成できるが、スパッタリング法、真空蒸着法、イオンメッキ法、化学気相蒸着法(CVD)、物理気相蒸着法(PVD)、金属や金属酸化物の微粒子塗布法などが望ましい。
【0031】
また、前述した導電層5が近赤外線を遮断するにおいて、後述する付着部6は近赤外線を吸収する化合物を付加的に備えうる。
【0032】
例えば、付着部6は銅原子を含む樹脂、銅化合物やリン化合物を含有する樹脂、銅化合物やチオ尿素誘導体を含む樹脂、タングステン系化合物を含む樹脂からなりうる。
【0033】
さらに、色素(染料または顔料)を利用する例として、染料としてシアン系化合物が使われうる。
【0034】
また、導電層5は、図1に示したものとは違って、ベースフィルム3の上面に構成されたとしても、電磁波及び近赤外線の遮蔽ができる限り、本発明の思想的範囲内に属する。
【0035】
一方、ベースフィルム3の上面にはアンチグレア層1が備えられる。アンチグレアとは、外部入射光を表面で散乱させ、フィルムの周辺環境に向けて反射することを防止することをいう。
【0036】
前記アンチグレア層1は、図示していないがベースフィルム3の上部に微細な凹凸を持って形成されうる。このような凹凸はベースフィルム3の反対方向に突出して形成されるが、そのサイズや凹凸間のピッチは、外光の乱反射を発生することができる不規則な形状である限り、いかなるものでも使用できる。
【0037】
最近、プラズマディスプレイの高視野角化、高速応答化及び高精細化、すなわち高画質に対する要求が非常に高い。この高精細化は、画素サイズの微細化により実現される。ところが、画素サイズが小さくなるにつれて、例えば、133ppi(133pixcels/inch)以上の高精細になると、ユーザーの目に到達する光は輝度偏差が生じて、まぶしく見えるという不便さが生じる。これは、ベースフィルム3の表面に画像を表示する画素より大きい凹凸が存在することによって、単一の画素からの透過光がレンズ効果により集光されるか、隣接するセルからのRGB透過光が混色を起こすことによって発生する現象である。したがって、アンチグレア層1上の微細な凹凸は、画像を表示する画素より小さく形成することが望ましい。
【0038】
アンチグレア層1の形成は、ディップコーティング法、エアナイフ法、カーテンコーティング法、ローラコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、グラビアコーティング法などから選択できる。
【0039】
一方、ハードコーティング材は、直貼りフィルムフィルタの最外面に装着される場合が多い。ハードコーティング材は、直貼りフィルムフィルタが特にプラズマディスプレイ装置、テレビやコンピュータ用のモニタ、及び携帯用デジタル機器に使われる場合、使用中に多様な形態の外力を受けうるので、これによるスクラッチの防止のために要求されるものである。ハードコーティング材はアンチグレア層1に含まれるか(この場合は図示されず)、または図1及び図2のように別途のハードコーティング材2として、アンチグレア層1の上部に形成されうるが、後者の場合はバインダとしてポリマーを含む。
【0040】
また、ハードコーティング材は、アクリル系、ウレタン系、エポキシ系、シロキサン系ポリマーを利用でき、オリゴマーのような紫外線硬化樹脂も利用できる。また、硬度の向上のためにシリカ系のフィラーを添加しうる。
【0041】
また、アンチグレア層1は、ハードコーティング材を含み、その光学的特性は、ヘイズが3〜11%、可視光透過率が30〜80%であり、機械的特性は、厚さが2〜7um、鉛筆硬度が2〜3Hであることを特徴とする。ハードコーティング材がアンチグレア層1に含まれる場合には、図面のハードコーティング材2は省略される。
【0042】
なお、図面ではハードコーティング材2はアンチグレア層1の上部に形成されているが、ハードコーティング材2はアンチグレア層1の下部に形成されても良い。
【0043】
一方、ハードコーティング材2、アンチグレア層1、導電層5を備えたベースフィルム3をMRTフィルムに固定するために付着部6を備える。付着部6は、ベースフィルム3とMRTフィルム8とを直接ラミネートするときの両フィルム3、8間の界面と言えるが、当業界で付着、固定のために一般的に使われるベースフィルム3と、平均的な粗度を有するMRTフィルム8であれば別途の付着のための部材なしに付着されうる。
【0044】
また、付着部6には、熱可塑性物質、UV硬化樹脂、または熱可塑性かつUV硬化性の複合型樹脂が利用されうる。例えば、アクリレート系樹脂が利用されうる。また、一般的に用いられるPSA(Pressure Sensitive Adhesive)を使用できるのはもちろんである。
【0045】
付着部6の形成は、スクリーン印刷法、ディップコーティング法、エアナイフ法、カーテンコーティング法、ローラコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、グラビアコーティング法などから選択できる。
【0046】
一方、付着部6は、色補正またはネオン光を遮断するように染料や顔料のような色素を含みうる。色素は、波長が可視光線領域である400〜700nmの範囲内の光を選択的に吸収できるものであれば、特に限定されない。
【0047】
特に、ネオンの励起によって生じる波長が約585nmの不要な光を遮断する必要があるが、シアニン系、スクアリリウム系、アゾメチン系、キサンテン系、オキソノール系、アゾ系などの化合物を利用できる。
【0048】
一方、ベースフィルム3の下面にはMRTフィルム8が備えられ、MRTフィルムの上面には明室コントラスト向上のためのブラックコーティング部12が備えられ、MRTフィルム8の下面には可視光の収束のためのレンズ部14が備えられる。
【0049】
また、MRTフィルム8の下面には、支持部9がさらに備えられうる。この場合、MRTフィルム8を後述する平板表示装置の前面に、別途の付着のための部材なしに付着させ固定できる。
【0050】
MRTフィルム8は、PES、PAR、PEI、PEN、PET、PPS、ポリアクリレート、ポリイミド、PC、TAC、CAPなどからなる群より選択される。望ましくは、PC、PET、TAC、PENでありうる。
【0051】
一方、MRTフィルム8の下面には、後述する平板表示装置に固定するために支持部9を設ける。支持部9は、MRTフィルム8と平板表示装置とを直接ラミネートするときの境界面と言えるが、当業界で付着、固定のために一般に使われるMRTフィルム8と、平均的な粗度を有する平板表示装置であれば別途の付着のための部材なしに付着できる。また、支持部9は、PSAなどの接着材が利用されうる。これにより、MRTフィルム8が平板表示装置に固定される。
【0052】
また、支持部9として、PSAなどの接着材が両面に塗布されたフィルムを使用しても良い。ここで、フィルムは、前述した多様な種類のフィルムのうち選択されうるが、一般にPC、PET、TAC、PENなどが使われうる。これによって、MRTフィルム8が平板表示装置に固定される。
【0053】
一方、MRTフィルム8の上面には、ブラックコーティング部12が構成される。
【0054】
ブラックコーティング部12は、後述するレンズ部14で収束された可視光の明室コントラストを向上させ、外光反射を低減させる。前記ブラックコーティング部12は、明室コントラストを向上させ外光反射を低減させる範囲内であれば多様な形状をなしうるが、特に、ストライプ状をなしうる。
【0055】
このようなブラックコーティング部12は、いろいろ方法によって形成できるが、一般的な塗布方式であるスクリーン印刷法、ディップコーティング法、エアナイフ法、カーテンコーティング法、ローラコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、グラビアコーティング法などから選択できる。
【0056】
その他に、CVD法やPVD法、特に、物理蒸着法の一種である真空蒸着法やスパッタリング法なども選択できる。
【0057】
このようなブラックコーティング部12は、明室コントラストを向上させ、外光反射を低減させる範囲内あれば、何れの暗色材料も利用できる。
【0058】
一方、MRTフィルム8の下面には、レンズ部14が形成される。レンズ部14は、後述する平板表示装置から放出された可視光を収束するために使われる。レンズ部14は、MRTフィルム8の下面に備えられ、平板表示装置に向けて突出した複数の突起を備える。
【0059】
一般に、レンズは入射された可視光が通過してきた媒質とレンズとの屈折率の差によって可視光を収束するか(凸レンズ)、可視光を分散する(凹レンズ)役割を担う。本実施形態では、可視光を収束する原理を利用している。支持部9を通過した可視光は、レンズ部14を過ぎながら屈折率の差によって屈折される。
【0060】
一般に、屈折率に関するスネルの法則によって、支持部9の屈折率はレンズ部14の屈折率と等しいか、またはそれよりも大きく構成されうる。
【0061】
また、突出した形状は、特に制限はないが、エンボス状やストライプ状が望ましい(図2及び図3)。エンボス状は、図2に示したように、MRTフィルム8の下面で平板表示装置がある方向に複数突出した形状に構成される。ここで、突出した形状は、図示したように、ラウンドされた半円や半楕円などの形状だけでなく、複数の角を有する形態でもありうる。
【0062】
また、エンボス状の突起のサイズや突起間のピッチは、可視光を収束できる限り、特に制限されない。すなわち、図4に示したように、レンズ部14はMRTフィルム8の下面に備えられ、平板表示装置200(図5)に向けて突出した複数の突起を備えうるが、この場合、突起の形状は、図示したように、半円や半楕円などの丸みを帯びた形状だけでなく、複数の角を有する形態でも良い。また、エンボス状の突起のサイズや突起間のピッチは、可視光を収束できる限り、特に制限されない。
【0063】
図3は、本発明の他の実施形態による直貼り型MRTフィルムフィルタを示す断面図である。図面を参照すれば、ハードコーティング材2、アンチグレア層1、ベースフィルム3、導電層5、付着部6、MRTフィルム8、支持部9、ブラックコーティング部12についての説明は、前述した通りであるので省略する。
【0064】
レンズ部14は、MRTフィルム8の下面に備えられ、平板表示装置200(図5)に向けて突出した複数の突起を備えうる。突起は、図示したように、四角形のストライプ状をなしうるが、特にこれに限定されるものではなく、半円や半楕円などの丸みを帯びた形状や多角形など、可視光を収束できる範囲内のいかなる形状であってもよい。
【0065】
また、ストライプ状の突起のサイズや突起間のピッチは、可視光を収束できる範囲内であれば特に制限する必要はない。
【0066】
一方、支持部9を通過した可視光がレンズ部14で効果的に収束されるように、支持部9とレンズ部14は、屈折率が相異なるように構成する。すなわち、支持部9の屈折率は、レンズ部14の屈折率に等しいか、またはそれより大きくされる。かかる構成によって、支持部9を通過してレンズ部14に入射する可視光は、より効果的に収束される。
【0067】
図5は、本発明の他の実施形態による直貼りフィルムフィルタを備えたプラズマディスプレイ装置を示す分解斜視図である。図5を参照すれば、本発明の望ましい実施形態によるプラズマディスプレイ装置には、直貼り型MRTフィルムフィルタ10、前面基板51、及び後面基板52などが備えられるが、直貼り型MRTフィルムフィルタ10は、前述した実施形態と実質的に同じなので、詳細な説明は省略する。ただし、MRTフィルムフィルタ10をプラズマディスプレイ装置200の前面に付着するにおいて、支持部9(図2)は前面基板に向かって配置される。
【0068】
また、直貼り型MRTフィルムフィルタの可視光透過率は、30〜80%であることが望ましい。
【0069】
一方、プラズマディスプレイ装置200は、プラズマディスプレイパネル(PDP)50、シャーシーベース100、及び駆動回路基板40を備える。
【0070】
PDP50は、前面基板51と背面基板52とが相互接合してなる。この基板51、52の内面には、隔壁によって区画された複数のセル空間が形成されており、このセル空間のそれぞれを形成する隔壁の側面には、赤色、緑色または青色を示す蛍光体が塗布されている。
【0071】
また、このセル空間内には、ネオンガスのようなガスが注入されている。この基板51、52の内側には、気体の放電を引き起こす電圧を印加する複数の電極が形成されている。
【0072】
このような構造を有するPDP50は、電極に印加された電圧によるグロー放電時セル空間内のガスが発生する紫外線が、蛍光体を発光させることによって、画像を表示する。
【0073】
PDP50の背面には、シャーシーベース100が付着される。シャーシーベース100は、パネル50を支持するために所定の剛性を有することが望ましい。また、シャーシーベース100は、パネル50から発生した熱を伝達して外部に放出する役割を担うこともある。
【0074】
したがって、シャーシーベース100は、アルミニウムのような材質からなることが望ましい。シャーシーベース100は、PDP50と両面テープのような接着部54により接着される。
【0075】
前記PDP50から発生する熱をシャーシーベース50に円滑に伝達して放熱するために、前記PDP50とシャーシーベース100との間の接着部54が位置していない部分には、放熱シート53が配置されている。また、前記PDP50とシャーシーベース100との付着のために、その間には両面テープのような接着部54が介在しうる。
【0076】
前記シャーシーベース100の背面には、PDP50を駆動させる所定数の駆動回路基板40が配置されている。
【0077】
本発明は、プラズマディスプレイ装置のほかに本発明の技術的思想の範囲内で他の平板表示装置にも適用できるのはもちろんである。
【0078】
本発明は、前記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の思想及び範囲内であれば、当業者により変形及び改良が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明は、プラズマディスプレイ装置関連の技術分野に好適に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明の望ましい実施形態による直貼り型MRTフィルムフィルタの斜視図である。
【図2】図1のV−V線による断面図である。
【図3】本発明の他の実施形態による直貼り型MRTフィルムフィルタの断面図である。
【図4】本発明のさらに他の実施形態による直貼り型MRTフィルムフィルタの断面図である。
【図5】本発明の実施形態による直貼り型MRTフィルムフィルタを備えたプラズマディスプレイ装置の分解斜視図である。
【符号の説明】
【0081】
1 アンチグレア層、
2 ハードコーティング材、
3 ベースフィルム、
5 導電層、
6 付着部、
8 MRTフィルム、
9 支持部、
10 直貼り型MRTフィルムフィルタ、
12 ブラックコーティング部、
14 レンズ部、
40 駆動回路基板、
50 プラズマディスプレイパネル、
51 前面基板、
52 後面基板、
53 放熱シート、
54 接着部、
100 シャーシーベース、
200 プラズマディスプレイ装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースフィルムと、
前記ベースフィルムの上面側に配置されるアンチグレア層と、
前記ベースフィルムの片面側に備えられて電磁波を遮断する導電層と、
前記ベースフィルムの下面側に備えられて平板表示装置に付着されるMRTフィルムと、
前記ベースフィルム及び前記MRTフィルムを固定する付着部と、を備える直貼り型MRTフィルムフィルタ。
【請求項2】
前記ベースフィルムは、透明である請求項1に記載の直貼り型MRTフィルムフィルタ。
【請求項3】
前記アンチグレア層は、ハードコーティング材を含む請求項1に記載の直貼り型MRTフィルムフィルタ。
【請求項4】
前記アンチグレア層の上面には、ハードコーティング材が積層された請求項1に記載の直貼り型MRTフィルムフィルタ。
【請求項5】
前記アンチグレア層は、前記ハードコーティング材を含み、厚さが2〜7umであり、鉛筆硬度が2〜3Hであり、ヘイズが3〜11%である請求項3に記載の直貼り型MRTフィルムフィルタ。
【請求項6】
前記導電層は、ITO、Ag、Au、Cu、Alのうち少なくとも一つを含む請求項1に記載の直貼り型MRTフィルムフィルタ。
【請求項7】
前記付着部には、色補正またはネオン光を遮断するように顔料または染料が添加される請求項1に記載の直貼り型MRTフィルムフィルタ。
【請求項8】
前記MRTフィルムの下面には、平板表示装置との固定のために形成された支持部がさらに備えられる請求項1に記載の直貼り型MRTフィルムフィルタ。
【請求項9】
前記MRTフィルムの上面には、明室コントラストの向上のためのブラックコーティング部がさらに備えられ、
前記MRTフィルム下面には、可視光を収束するレンズ部がさらに備えられる請求項1に記載の直貼り型MRTフィルムフィルタ。
【請求項10】
前記レンズ部は、前記MRTフィルムの反対方向に突出した請求項9に記載の直貼り型MRTフィルムフィルタ。
【請求項11】
前記レンズ部は、エンボス状である請求項10に記載の直貼り型MRTフィルムフィルタ。
【請求項12】
前記レンズ部は、ストライプ状である請求項10に記載の直貼り型MRTフィルムフィルタ。
【請求項13】
前記MRTフィルムの下面には、平板表示装置との固定のために形成された支持部がさらに備えられ、
前記レンズ部の屈折率は、前記支持部の屈折率とは異なる請求項9に記載の直貼り型MRTフィルムフィルタ。
【請求項14】
複数の電極と、
前記複数の電極の間に発生した放電による可視光線が通過するときに画像を表示する前面基板を備えるプラズマディスプレイパネルと、
前記前面基板の上面に付着された直貼り型MRTフィルムフィルタと、を備え、
前記直貼り型MRTフィルムフィルタは、
ベースフィルムと、
前記ベースフィルムの上面側に配置されるアンチグレア層と、
前記ベースフィルムの片面側に備えられて電磁波を遮断する導電層と、
前記ベースフィルムの下面側に備えられて平板表示装置に付着されるMRTフィルムと、
前記ベースフィルムの下面側に配置されて、前記MRTフィルムを固定する付着部と、を備えるプラズマディスプレイ装置。
【請求項15】
前記アンチグレア層は、ハードコーティング材を含み、
前記アンチグレア層は、厚さが2〜7umであり、鉛筆硬度が2〜3Hであり、ヘイズが3〜11%である請求項14に記載のプラズマディスプレイ装置。
【請求項16】
前記アンチグレア層の上面には、ハードコーティング材が積層された請求項14に記載のプラズマディスプレイ装置。
【請求項17】
前記導電層は、ITO、Ag、Au、Cu、Alのうち少なくとも一つを含む請求項14に記載のプラズマディスプレイ装置。
【請求項18】
前記付着部には、色補正またはネオン光を遮断するように顔料または染料が添加される請求項14に記載のプラズマディスプレイ装置。
【請求項19】
前記MRTフィルムの上面には、明室コントラストの向上のためのブラックコーティング部がさらに備えられ、
前記MRTフィルム下面には、可視光を収束するレンズ部がさらに備えられる請求項14に記載のプラズマディスプレイ装置。
【請求項20】
前記レンズ部は、前記MRTフィルムの反対方向に突出した請求項19に記載のプラズマディスプレイ装置。
【請求項21】
前記MRTフィルムフィルタは、前記MRTフィルムの下面に平板表示装置との固定のために形成された支持部をさらに備え、
前記レンズ部は、その屈折率が前記支持部の屈折率とは異なる請求項14に記載のプラズマディスプレイ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−350324(P2006−350324A)
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−141638(P2006−141638)
【出願日】平成18年5月22日(2006.5.22)
【出願人】(590002817)三星エスディアイ株式会社 (2,784)
【Fターム(参考)】