説明

真空負荷用電源

【課題】異常放電が発生した際に速やかに消弧し、異常放電が繰り返されないようにする真空負荷用電源を提供することを目的とする。
【解決手段】真空負荷に並列に接続され、真空負荷に直流電圧を印加する直流電源と、真空負荷に並列に接続され、真空負荷に直流逆電圧を印加する異常放電消弧用回路と、真空負荷内の異常放電を検出して異常放電消弧用回路の直流逆電圧を制御する制御回路と、を備える真空負荷用電源であって、異常放電消弧用回路は、符号が逆の直流逆電圧を真空負荷に印加する逆電圧直流電圧源を備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空負荷内における異常放電の発生を、速やかに消弧する異常放電消弧用回路を備える真空負荷用電源に関する。
【背景技術】
【0002】
真空負荷用電源は、例えば、真空中で発生させたプラズマを利用して加工又は処理するスパッタ装置、エッチング装置、電子ビーム蒸着装置、PVD装置、CVD装置などで用いられる真空負荷に直流電圧を印加する。
【0003】
真空負荷内において発生する異常放電は、電極間のインピーダンスの低下、又は短絡などにより発生する。このような異常放電が発生すると、例えばスパッタ装置では基板材料に欠陥を与え、製品の歩留まりの低下を招くことになる。
【0004】
この問題を解決するため、異常放電を防止、又は抑制する異常放電消弧用回路が提案されている。例えば、比較的簡易で、効果的な異常放電消弧用回路として、定期的に、又は異常放電が発生したときに短時間、逆電圧直流電圧源より直流逆電圧を真空負荷に印加する技術も提案されている(例えば、特許文献1参照。)。これは、直流逆電圧を真空負荷に印加することで出力電流を遮断し、異常放電を消弧させるためのものであり、直流逆電圧の値が高いほど放電電流を高速で遮断することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−123772号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、消弧までの時間を短縮するために、逆電圧を高くし出力電流が遮断され異常放電を消弧した後も真空負荷へそのまま高い直流逆電圧を印加し続けると、逆方向に放電電流が流れるなどの異常放電が再発生する可能性がある。
【0007】
そこで、本発明では、異常放電が発生した際に、所定時間だけ高い逆電圧を加えることにより異常放電を速やかに消弧して出力電流の遮断時間を短縮しつつ、異常放電が繰り返されないようにする真空負荷用電源を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本願発明の真空負荷用電源は、異常放電が発生した際に、オーバードライブ用コンデンサに充電された直流逆電圧を逆電圧直流電圧源からの直流逆電圧に重畳して真空負荷に印加する構成とした。
【0009】
具体的には、本願発明の真空負荷用電源は、真空負荷に並列に接続され、直流電圧を前記真空負荷に印加する直流電源と、前記真空負荷に並列に接続され、前記直流電源の直流電圧と符号が逆の直流逆電圧を前記真空負荷に印加する異常放電消弧用回路と、前記真空負荷内の異常放電を検出して前記異常放電消弧用回路の直流逆電圧を制御する制御回路と、を備える真空負荷用電源であって、前記異常放電消弧用回路は、前記直流電源と前記真空負荷との間に直列に接続されたインダクタンスと、前記直流電源から前記真空負荷に印加される直流電圧と符号が逆の直流逆電圧を前記真空負荷に印加する逆電圧直流電圧源と、前記逆電圧直流電圧源からの直流逆電圧と符号が同じ直流逆電圧を重畳して前記真空負荷に印加するオーバードライブ用コンデンサと、前記逆電圧直流電圧源及び前記オーバードライブ用コンデンサから印加される直流逆電圧を前記制御回路の制御によってオン、オフされるスイッチ素子と、を直列に接続して構成されることを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、真空負荷用電源は、速やかに異常放電を消弧し、出力電流の遮断時間を短縮できる。また、異常放電の再発生を抑えることもできる。そして、スイッチ素子がオンしたときに、真空負荷又はスイッチ素子へ流れる電流を制限することができる。
【0011】
また、本願発明の真空負荷用電源において、逆充電を防ぐ転流ダイオード、充電用制御回路の制御によりオン、オフされるオーバードライブ充電用スイッチ素子及び前記逆電圧直流電圧源からのエネルギーを蓄積し、蓄積したエネルギーを前記オーバードライブ用コンデンサに充電する充電用インダクタンスを有し、前記転流ダイオードのアノード側が前記オーバードライブ充電用スイッチ素子の一端及び前記充電用インダクタンスの一端に接続され、前記転流ダイオードのカソード側が前記スイッチ素子と前記オーバードライブ用コンデンサとの接続点に、前記充電用インダクタンスの他端が前記オーバードライブ用コンデンサと前記逆電圧直流電圧源との接続点に、前記オーバードライブ充電用スイッチ素子の他端が前記逆電圧直流電圧源と前記直流電源との接続点にそれぞれ接続されたオーバードライブ用コンデンサ充電器をさらに備えていることを特徴とする。
【0012】
この構成によれば、真空負荷用電源は、異常放電が発生した場合に、いつでも速やかに異常放電消弧用回路を作動させて消弧できる。
【0013】
また、本願発明の真空負荷用電源は、真空負荷に並列に接続され、直流電圧を前記真空負荷に印加する直流電源と、前記真空負荷に並列に接続され、前記直流電源の直流電圧と符号が逆の直流逆電圧を前記真空負荷に印加する異常放電消弧用回路と、前記真空負荷内の異常放電を検出して前記直流電源の直流電圧と、前記異常放電消弧用回路の直流逆電圧を制御する制御回路と、を備える真空負荷用電源であって、前記異常放電消弧用回路は、前記直流電源から前記真空負荷に印加される直流電圧と符号が逆の直流逆電圧を前記真空負荷に印加するオーバードライブ用コンデンサと、前記オーバードライブ用コンデンサから印加される直流逆電圧を前記制御回路の制御によってオン、オフされるスイッチ素子と、を直列に接続して構成されることを特徴とする。
【0014】
この構成によれば、真空負荷用電源は、速やかに異常放電を消弧し、出力電流の遮断時間を短縮できる。また、異常放電の再発生を抑えることもできる。さらに、逆電圧直流電圧源を必要としないため、小型、簡略な回路構成となる。
【0015】
また、本願発明の真空負荷用電源に用いられるオーバードライブ用コンデンサは、前記スイッチ素子がオンとなっている間に、充電した電荷を全て放電する容量を有することが望ましい。
【0016】
この構成によれば、オーバードライブ用コンデンサは、充電した電荷を放電すれば、速やかに異常放電を消弧でき、出力電流の遮断時間を短縮できる。
【0017】
また、本願発明の真空負荷用電源に用いられる制御回路は、前記真空負荷内の電圧変動が所定値以上であることを検出して前記異常放電消弧用回路の直流逆電圧を制御する制御回路でもよい。
【0018】
この構成によれば、制御回路は、真空負荷内の異常放電を真空負荷内の電圧変動値が所定の範囲を超えれば検出することができる。なお、上記構成は、可能な限り組み合わせることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、異常放電が発生した際に、所定時間だけ高い逆電圧を加えることにより異常放電を速やかに消弧して出力電流の遮断時間を短縮しつつ、異常放電が繰り返されないようにする真空負荷用電源を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第一の実施形態に係る真空負荷用電源について示す図である。
【図2】本発明の第一の実施形態に係る真空負荷用電源に備えられるオーバードライブ用コンデンサ充電器の詳細図である。
【図3】本発明の第一の実施形態に係る真空負荷用電源の動作を示す図であり、(a)は真空負荷に印加される出力電圧、(b)は真空負荷に流れる出力電流、(c)はスイッチ素子とオーバードライブ用コンデンサの接続点の電圧、(d)はスイッチ素子のゲート信号をそれぞれ示している。
【図4】本発明の第二の実施形態に係る真空負荷用電源について示す図である。
【図5】本発明の第二の実施形態に係る真空負荷用電源の動作を示す図であり、(a)は真空負荷に印加される出力電圧、(b)は真空負荷に流れる出力電流、(c)はスイッチ素子とオーバードライブ用コンデンサの接続点の電圧、(d)はスイッチ素子のゲート信号をそれぞれ示している。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付の図面を参照して本発明の一態様を説明する。以下に説明する実施形態は本発明の実施例であり、本発明は、以下の実施形態に制限されるものではない。なお、本明細書及び図面において符号が同じ構成要素は、相互に同一のものを示すものとする。
【0022】
(第一の実施形態)
図1は、本発明の第一の実施形態に係る真空負荷用電源について示す図である。本発明の第一の実施形態に係る真空負荷用電源は、真空負荷12に並列に接続され、直流電圧を真空負荷12に印加する直流電源10と、真空負荷12に並列に接続され、直流電源10の直流電圧と符号が逆の直流逆電圧をスイッチ素子20を通して真空負荷12に印加する異常放電消弧用回路24と、真空負荷12内の異常放電を検出して異常放電消弧用回路24のスイッチ素子20を通して直流逆電圧を制御する制御回路42と、を備える真空負荷用電源であって、異常放電消弧用回路24は、直流電源10と真空負荷12との間に直列に接続された電流制限用インダクタンス30と、直流電源10から真空負荷12に印加される直流電圧と符号が逆の直流逆電圧を真空負荷12に印加する逆電圧直流電圧源11と、逆電圧直流電圧源11からの直流逆電圧に符号が同じ直流逆電圧をさらに重畳して真空負荷12に印加するオーバードライブ用コンデンサ22と、逆電圧直流電圧源11及びオーバードライブ用コンデンサ22から印加される直流逆電圧を制御回路42の制御によってオン、オフされるスイッチ素子20と、を直列に接続して構成される。
【0023】
図1において、真空負荷12と直流電源10との間に電流制限用インダクタンス30と、ケーブルのインピーダンス50とが接続される。直流電源10は、定電力もしくは定電流制御により直流電圧を発生させる負極性出力の直流電源、逆電圧直流電圧源11は、直流逆電圧を発生させる逆電圧の直流電源、真空負荷12は、直流電源10からの直流電圧の印加により、内部を真空状態にして発生させたプラズマを利用して薄膜等を成膜するスパッタ装置などである。オーバードライブ用コンデンサ22は、異常放電を速やかに消弧するための放電を行う。スイッチ素子20は、逆電圧直流電圧源11とオーバードライブ用コンデンサ22との直列回路を真空負荷に接続、又は遮断するためのスイッチである。
【0024】
オーバードライブ用コンデンサ充電器21は、オーバードライブ用コンデンサ22を充電する。バイパスダイオード23は、オーバードライブ用コンデンサ22の逆充電を防止する。電流制限用インダクタンス30は、スイッチ素子20がオンしたときに、直流電源10からスイッチ素子20へ流れる電流を制限する。ケーブルのインピーダンス50は、出力ケーブルを接続すると、出力ケーブルに附随して発生してしまうものであり、図1、図2、図4において、インダクタンスとして示している。制御回路42は、異常放電を検出してスイッチ素子20にゲート信号を送る。異常放電消弧用回路24は、電流制限用インダクタンス30、逆電圧直流電圧源11、スイッチ素子20、オーバードライブ用コンデンサ充電器21、オーバードライブ用コンデンサ22、バイパスダイオード23及び制御回路42から構成される。
【0025】
真空負荷12は、真空状態を維持し、内部に薄膜等を成膜する対象を設置できればよい。真空負荷12内のプラズマを利用した装置として、例えば、スパッタ装置、エッチング装置、電子ビーム蒸着装置、PVD(Physical Vapor Deposition:物理気相成長法)装置、CVD(Chemical Vapor Deposition:化学気相成長法)装置などが挙げられる。
【0026】
スパッタ装置は、高品質の薄膜が要求される半導体、液晶、プラズマディスプレイ、光ディスク用の薄膜を製造する装置であって、真空負荷12内に薄膜としたい金属をターゲットとして設置し、高電圧をかけてイオン化させた希ガス元素(アルゴン等)や窒素を衝突させ、ターゲット表面の原子を弾き飛ばし、基板に到達させて薄膜を成膜する装置である。
【0027】
エッチング装置は、薄膜作製、材料加工などの分野で用いられ、真空負荷12内で発生したプラズマが原子レベルで制御できることを利用し、プラズマを用いて微細な穴を掘るエッチング作業を行う装置である。
【0028】
電子ビーム蒸着装置は蒸着装置の一種で、電子ビームを用いて真空負荷12内で蒸着材料を加熱し、気化もしくは昇華させて、離れた位置に置かれた基板の表面に付着させ、薄膜を成膜する蒸着装置である。
【0029】
PVD装置は、トランジスタ等の立体構造を形成する金属薄膜の成膜法を用いた装置であり、真空中でアルミニウムなどの金属の円盤に高エネルギーの原子、例えばアルゴンやそのイオンをぶつけて金属の原子を吹き飛ばし、その金属の原子を物質表面に層状に付着させて薄膜を成膜する装置である。
【0030】
CVD装置は、例えば太陽電池パネルに用いられる薄膜シリコンを製造する装置であり、化学反応を活性化させる目的で、真空負荷12内を減圧してプラズマを発生させ、加熱した基板物質上に目的とする薄膜の成分を含む原料のガスを供給し、基板表面あるいは気相での化学反応により膜を堆積する装置である。
【0031】
スイッチ素子20は、接続と遮断の機能があれば種類は問わない。例えば、電圧駆動型のIGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)、MOSFET(電界効果トランジスタ)、またはサイリスタなどの半導体素子を用いた半導体スイッチ素子などが適用できる。オーバードライブ用コンデンサ22は、電荷を充電、放電可能であれば種類は問わない。例えば、プラスティックフィルムコンデンサ、セラミックコンデンサ、電解コンデンサなどが適用できる。バイパスダイオード23は、オーバードライブ用コンデンサ22をバイパスして、逆電圧直流電圧源11からスイッチ素子20へ逆電流を流す機能を備えていれば種類を問わない。
【0032】
電流制限用インダクタンス30は、スイッチ素子20がオンしたときに、直流電源10及び逆電圧直流電圧源11からの加算された電圧を受け止め、流れる電流を磁気エネルギーとして吸収し、真空負荷12又はスイッチ素子20へ流れる電流を制限する。電流制限用インダクタンス30は、電線を巻いたコイルでもよい。例えば、空芯コイル、コアコイル、トロイダルコイルなどがある。制御回路42は、出力電圧によって真空負荷12内の異常放電を検出して、予め定められたパルス時間の駆動信号でスイッチ素子20をオン、オフできる構成であればよい。また、制御回路42は、異常放電を真空負荷12の電流増加から検出してもよい。
【0033】
異常放電消弧用回路24について詳細を説明する。逆電圧直流電圧源11は、直流電源10と逆極性で、真空負荷12のプラズマ電圧の10%〜25%の直流逆電圧を発生させる。例えば、プラズマ電圧が−400Vとしたとき、+100Vの直流逆電圧を発生する。ここで、プラズマ電圧とは、プラズマ状態における真空負荷12内の電圧である。オーバードライブ用コンデンサ22は、逆電圧直流電圧源11から出力される直流逆電圧と協働して異常放電を速やかに消弧する。制御回路42は、真空負荷12の異常放電を検出してスイッチ素子20を一定パルス時間でオンさせる。スイッチ素子20は、逆電圧直流電圧源11とオーバードライブ用コンデンサ22との直列回路を真空負荷12に並列接続する。オーバードライブ用コンデンサ充電器21は、オーバードライブ用コンデンサ22を設定電圧まで充電する。
【0034】
例えば、真空負荷12のプラズマ電圧が−400V、直流逆電圧が+100Vの場合、オーバードライブ用コンデンサ22を+100Vまで充電する。バイパスダイオード23は、スイッチ素子20がオンし、かつオーバードライブ用コンデンサ22の全電荷を放電したとき、逆電圧直流電圧源11によってオーバードライブ用コンデンサ22を逆充電させない機能を持つ。電流制限用インダクタンス30は、スイッチ素子20がオンしたときに、直流電源10からスイッチ素子20へ流れる電流を制限する。
【0035】
図2は、本発明の第一の実施形態に係る真空負荷用電源に備えられるオーバードライブ用コンデンサ充電器21の詳細図である。転流ダイオード33、充電用制御回路40の制御によりオン、オフされるオーバードライブ充電用スイッチ素子31及び逆電圧直流電圧源11からのエネルギーを蓄積し、蓄積したエネルギーをオーバードライブ用コンデンサ22に充電する充電用インダクタンス32から構成され、転流ダイオード33のアノード側がオーバードライブ充電用スイッチ素子31の一端及び充電用インダクタンス32の一端に接続され、転流ダイオード33のカソード側がスイッチ素子20とオーバードライブ用コンデンサ22との接続点に、充電用インダクタンス32の他端がオーバードライブ用コンデンサ22と逆電圧直流電圧源11との接続点に、オーバードライブ充電用スイッチ素子31の他端が逆電圧直流電圧源11と直流電源10との接続点にそれぞれ接続される。なお、図1において説明した要素については説明を省略する。
【0036】
オーバードライブ充電用スイッチ素子31は、逆電圧直流電圧源11を充電用インダクタンス32に接続する。オーバードライブ充電用スイッチ素子31は、オーバードライブ用コンデンサ22の電圧が設定値より低下した場合に、数kHz〜100kHzでスイッチング制御され、オーバードライブ充電用スイッチ素子31のオン時に充電用インダクタンス32にエネルギーを蓄え、オフ時に転流ダイオード33を通してオーバードライブ用コンデンサ22を充電する。オーバードライブ充電用スイッチ素子31は、接続と遮断の機能があり、数kHz〜100kHz程度のオン、オフ動作が可能であれば種類は問わない。充電用インダクタンス32は、逆電圧直流電圧源11からエネルギーを蓄積し、蓄積したエネルギーを転流ダイオード33を通してオーバードライブ用コンデンサ22に充電する。逆電圧直流電圧源11からの電圧を受け止め、流れる電流を磁気エネルギーとして吸収できればよい。例えば、電線を巻いたコイルでもよい。例えば、空芯コイル、コアコイル、トロイダルコイルなどがある。また、転流ダイオード33は逆電流を防止する機能を備えていれば種類を問わない。例えば、PNダイオードなどが適用できる。
【0037】
転流ダイオード33は、逆電圧直流電圧源11から充電用インダクタンス32を通してオーバードライブ充電用スイッチ素子31へ流れる電流を、オーバードライブ充電用スイッチ素子31がオフしたときにオーバードライブ用コンデンサ22に転流して充電する。充電用制御回路40は、オーバードライブ用コンデンサ22の充電電圧を検出し、オーバードライブ充電用スイッチ素子31を周期的にオン、オフさせてオーバードライブ用コンデンサ22を設定電圧まで充電する。充電電圧が設定電圧に達したときにオン、オフを停止する。
【0038】
(通常動作時)
以下、図1、図2及び図3を用いて、本発明の第一の実施形態に係る真空負荷用電源の通常動作を説明する。図1において、直流電源10は、真空負荷12内にプラズマを発生させるために、負極性の直流電圧を印加する。異常放電消弧用回路24を構成するオーバードライブ用コンデンサ22及び逆電圧直流電圧源11は、異常放電が発生し、制御回路42によって検出されるまでスイッチ素子20によって真空負荷12内とは遮断される。そのため、通常動作時には、真空負荷12には、直流電源10の負極性の直流電圧が印加されている。
【0039】
図2において、異常放電消弧用回路24を構成するオーバードライブ用コンデンサ22及び逆電圧直流電圧源11がスイッチ素子20によって真空負荷12内と遮断されている間は、オーバードライブ用コンデンサ22はオーバードライブ用コンデンサ充電器21によって所定電圧に充電されている。
【0040】
オーバードライブ用コンデンサ充電器21の動作について説明する。まず、充電用制御回路40が、オーバードライブ充電用スイッチ素子31をオンさせる。オーバードライブ充電用スイッチ素子31がオンとなることで、逆電圧直流電圧源11から充電用インダクタンス32に電流が流れ、磁気エネルギーが充電用インダクタンス32に蓄積される。次に、充電用制御回路40が、オーバードライブ充電用スイッチ素子31をオフさせる。オーバードライブ充電用スイッチ素子31がオフとなることで、充電用インダクタンス32及び転流ダイオード33をオーバードライブ用コンデンサ22に直列に接続し、充電用インダクタンス32に蓄積したエネルギーを転流ダイオード33を通して前記オーバードライブ用コンデンサ22に充電する。
【0041】
充電用インダクタンス32によって行われるエネルギーの蓄積及び蓄積したエネルギーのオーバードライブ用コンデンサ22への充電は、オーバードライブ充電用スイッチ素子31のオン、オフの繰り返しで行われる。オーバードライブ充電用スイッチ素子31のスイッチング制御は、オーバードライブ用コンデンサ22が所定電圧に達するまで継続される。このように、充電用スイッチ33は、充電用制御回路40と連動することで、効率的にオーバードライブ用コンデンサ22を充電できる。
【0042】
図2に示すように、オーバードライブ用コンデンサ充電器21は、逆電圧直流電圧源11の逆電圧を入力電圧とする。すなわち、逆電圧直流電圧源11は異常放電を消弧するための直流逆電圧を真空負荷12へ印加するだけでなく、オーバードライブ用コンデンサ22の充電にも兼用される。これにより、オーバードライブ用コンデンサ22の充電用電源を別に備える必要はない。
【0043】
図3において、本発明の第一の実施形態に係る真空負荷用電源の動作を示す。図3(a)は、真空負荷12に実際に印加される電圧の変化を示し、図3(b)は、真空負荷12に流れる電流の変化を示し、図3(c)は、スイッチ素子20とオーバードライブ用コンデンサ22との接続点の電圧の変化を示し、図3(d)は、スイッチ素子20のゲート信号を示す。t以前の通常動作時には、正常な負極性のプラズマ電圧Vが真空負荷12に発生し(図3(a))、正常なプラズマ電流Iが流れる(図3(b))。ここで、プラズマ電流とは、プラズマ状態における真空負荷12内の電流である。また、スイッチ素子20とオーバードライブ用コンデンサ22との接続点の電圧は、逆電圧直流電圧源11の直流逆電圧Vとオーバードライブ用コンデンサ22との充電電圧Vの和の電圧値であるV+Vである(図3(c))。
【0044】
(異常放電発生時)
以下、図3を用いて、本発明の第一の実施形態に係る真空負荷用電源の異常放電発生時の動作を説明する。t時点で異常放電が発生すると、真空負荷12の電圧は異常放電電圧Vに低下する(図3(a))。異常放電を検出した制御回路42は、ゲート信号をスイッチ素子20に与えてスイッチ素子20をオンさせる(図3(d))。スイッチ素子20がオンすると、逆電圧直流電圧源11からの直流逆電圧Vとオーバードライブ用コンデンサ22の充電電圧Vの和の電圧値V+Vが異常放電消弧回路24の出力に発生する(図3(c))。この和の電圧値V+Vがケーブルのインピーダンス50を通して真空負荷12に加わる。このとき、和の電圧値V+Vと異常放電電圧Vの差電圧がケーブルのインピーダンス50に加わり、ケーブルのインピーダンス50を流れる電流を減少させる(図3(b))。真空負荷12の電流は減少し、t時点でゼロになり、異常放電が消滅する。
【0045】
オーバードライブ用コンデンサ22からの放電が終了すると(図3におけるt時点)、逆電圧直流電圧源11からの直流逆電圧Vのみが数μs間(図3におけるt時点からt時点)バイパスダイオード23を通して印加される。異常放電消滅時間(図3におけるt時点からt時点)は、加えられる逆電圧が大きいほど短くなるが、異常放電消滅後のt時点からt時点まで、高い直流逆電圧を長時間に渡り印加し続けると、異常放電を再発生させることに繋がる。本実施形態では、異常放電の初期には直流逆電圧が逆電圧直流電圧源11からの直流逆電圧Vとオーバードライブ用コンデンサ22との充電電圧Vの和の電圧値V+Vであるが、異常放電の終期にはオーバードライブ用コンデンサ22の充電電圧Vはゼロになる。したがって、t時点からt時点において、逆電圧直流電圧源11からの直流逆電圧のみしか印加されないので、真空負荷12内の異常放電が発生し易い雰囲気が中和され、異常放電の再発生を抑制することができる。
【0046】
以後、制御回路42によりスイッチ素子20はオフとなり、異常放電消弧用回路24は真空負荷12から遮断され、直流電源10の直流電圧が真空負荷12に印加される。この時、真空負荷12に印加される電圧値は、直流電源10からの直流電圧の値となる。オーバードライブ用コンデンサ22は、オーバードライブ用コンデンサ充電器21によって再度、設定電圧まで充電され、次の異常放電を消弧する機会に備える。
【0047】
オーバードライブ用コンデンサ22の容量は、異常放電が消弧され出力電流が遮断されるまでに、全充電量の100%を放電できる容量とするとよい。このようにオーバードライブ用コンデンサ22の容量を調整することにより、長時間に渡って直流逆電圧を真空負荷12に印加し続けることはなくなるため、異常放電が再発生する可能性を抑えることができる。図3では、異常放電が消弧される時刻tでオーバードライブ用コンデンサ22の充電電圧Vがゼロになっているが、オーバードライブ用コンデンサ22の充電電圧Vがゼロになる時刻は、時刻tの前後でもよい。
【0048】
オーバードライブ用コンデンサ22からの放電による直流逆電圧は、出力電流又は出力電力に応じて可変とすることで、より効率的に異常放電の出力電流又は出力電力を遮断することができる。例えば、直流電源10のプラズマ注入設定電力、または出力電流、すなわちプラズマ電流に比例した電圧とすることができる。ここで、プラズマ注入設定電力とは、定電力制御で直流電源を動作させるときの出力設定である。なお、印加する直流逆電圧の値は、例えば、直流電源10から真空負荷12に印加される直流電圧の20%程度の値で異常放電を消弧することが可能である。
【0049】
ここで、制御回路42が異常放電を検出する条件として、真空負荷12からの出力電圧の電圧低下率が所定値を超えた場合が考えられる。例えば、真空負荷12に印加する直流電圧の低下変動幅が100V/μs以上の場合である。また別の条件として、出力電圧が所定値以下へ降下した場合が考えられる。例えば、真空負荷12に印加する直流電圧が正常電圧400Vから50V以下へ出力電圧が降下した時などが考えられる。また別の条件として、出力電流の値が所定値を超えた場合などが考えられる。例えば、真空負荷12に印加する出力電流の値が定格の1.1倍以上になった場合である。いずれの条件も、真空負荷12の利用環境に応じた設定を行うのが適切である。
【0050】
具体的な構成要素について説明する。出力電流をI、オーバードライブ用コンデンサ22の充電電圧をE、目標の出力電流の収束時間、即ち異常放電消滅時間をTとすると、オーバードライブ用コンデンサ22の容量Cは次式により算出することができる。
【数1】

【0051】
例えば、出力電流I=200A、目標の出力電流の収束時間、即ち異常放電消滅時間T=10μs、オーバードライブ用コンデンサ22の充電電圧E=200Vとすると、オーバードライブ用コンデンサ22の容量Cは10μFと算出される。
【0052】
本実施形態では、異常放電が発生した際に、オーバードライブ用コンデンサ22からの直流逆電圧を、逆電圧直流電圧源11からの直流逆電圧に重畳することで異常放電を速やかに消弧して出力電流の遮断時間を短縮し、オーバードライブ用コンデンサ22からの放電終了後は、逆電圧直流電圧源11からの直流逆電圧により異常放電の再発生を抑制することができる。
【0053】
(第二の実施形態)
以下、本発明の別の態様を説明する。図4は、本発明の第二の実施形態に係る真空負荷用電源について示す図である。真空負荷12に並列に接続され、直流電圧を真空負荷12に印加する直流電源10と、真空負荷12に並列に接続され、直流電源10の直流電圧と符号が逆の直流逆電圧を真空負荷12に印加する異常放電消弧用回路24と、真空負荷12内の異常放電を検出して直流電源10の直流電圧と、異常放電消弧用回路24の直流逆電圧をスイッチ素子20を通して制御する制御回路42と、を備える真空負荷用電源であって、異常放電消弧用回路24は、直流電源10から真空負荷12に印加される直流電圧と符号が逆の直流逆電圧を真空負荷12に印加するオーバードライブ用コンデンサ22と、オーバードライブ用コンデンサ22から印加される直流逆電圧を制御回路42の制御によってオン、オフされるスイッチ素子20とを直列に接続して構成される。
【0054】
異常放電消弧用回路24は、スイッチ素子20、オーバードライブ用コンデンサ充電器21、オーバードライブ用コンデンサ22、バイパスダイオード23、及び制御回路42から構成されており、第一の実施形態における異常放電消弧用回路24とは、逆電圧直流電圧源11を有しない点が異なる。また、第二の実施形態に係る制御回路42は、真空負荷12の異常放電を検出してスイッチ素子20を一定のパルス時間でオンさせている間、直流電源10をオフさせる点で第一の実施形態と動作が異なる。その他の各構成要素の機能については、第一の実施形態と同様であり、第一の実施形態で説明した要素については説明を省略する。
【0055】
(通常動作時)
以下、図4及び図5を用いて、本発明の第二の実施形態に係る真空負荷用電源の通常動作時の動作を説明する。図4において、直流電源10は、真空負荷12内にプラズマを発生させるために、直流電圧を印加する。異常放電消弧用回路24は、異常放電が発生し、制御回路42によって検出されるまでスイッチ素子20によって真空負荷12内とは遮断されている。また、図5(a)において、t以前の通常動作時、すなわち、スイッチ素子20がオフの時には、真空負荷12には、直流電源10の直流電圧と等しい正常な負極性のプラズマ電圧Vが印加されている。
【0056】
異常放電消弧用回路24を構成するスイッチ素子20がオフであるため、真空負荷12内と遮断されている間は、オーバードライブ用コンデンサ22はオーバードライブ用コンデンサ充電器21によって充電されている。オーバードライブ用コンデンサ充電器21の電源容量は、異常放電の発生が少なければ小容量でよい。異常放電が発生していない時は、オーバードライブ用コンデンサ充電器21の電源容量が小容量でも時間をかけて充電できるからである。
【0057】
(異常放電発生時)
以下、図4及び図5を用いて、本発明の第二の実施形態に係る真空負荷用電源の異常放電発生時の動作を説明する。図5(a)は真空負荷12に印加される出力電圧、図5(b)は真空負荷12に流れる出力電流、図5(c)はスイッチ素子20とオーバードライブ用コンデンサ22の接続点の電圧、図5(d)はスイッチ素子20のゲート信号をそれぞれ示している。t時点で異常放電が発生すると、真空負荷12の電圧は異常放電電圧Vに低下する(図5(a))。制御回路42がゲート信号をスイッチ素子20に与える(図5(d))。図4において、ゲート信号はスイッチ素子20をオンさせ、同時にスイッチ素子20がオンしている間、直流電源10をオフさせる。スイッチ素子20がオンすると、オーバードライブ用コンデンサ22の充電電圧Vが出力に発生する(図5(c))。この電圧がケーブルのインピーダンス50を通して真空負荷12に加わる。このとき、オーバードライブ用コンデンサ22の充電電圧Vと異常放電電圧Vの差電圧がケーブルのインピーダンス50に加わり、ケーブルのインピーダンス50を流れる電流を減少させる。そして、真空負荷12の電流は減少し(図5(b))、t時点でゼロになり、異常放電が消滅する。
【0058】
オーバードライブ用コンデンサ22からの放電が終了すると(図5におけるt時点)、数十μs間、真空負荷12に印加される直流逆電圧の値はゼロとなる(図5におけるt時点からt時点)。異常放電消滅後のt時点からt時点まで、高い直流逆電圧を長時間継続して印加し続けると、異常放電を再発生させることに繋がる。しかし、本実施形態の場合、オーバードライブ用コンデンサ22からの放電が終了して異常放電の消弧が完了した後も、直流電源10の出力をオフのままとする(図5におけるt時点からt時点)ため、異常放電の再発生を抑制することができる。
【0059】
以後、制御回路42によりスイッチ素子20はオフとなり、異常放電消弧用回路24は真空負荷12から遮断される。同時に直流電源10はオンとなり直流電圧が真空負荷12に印加される。この時、真空負荷12に印加される電圧値は、直流電源10からの直流電圧の値となる。オーバードライブ用コンデンサ22は、オーバードライブ用コンデンサ充電器21によって充電され、次の異常放電を消弧する機会に備える。
【0060】
オーバードライブ用コンデンサ22は、充電した電荷を放電することで、直流逆電圧を真空負荷12に印加することができる。本実施形態では、異常放電発生時には、直流電源10がオフとなっているため、オーバードライブ用コンデンサ22からの放電のみで、別途逆電圧直流電圧源11を必要とせずに、直流逆電圧を真空負荷12に印加できる。なお、印加する直流逆電圧の値は、例えば、直流電源10から真空負荷12に印加される直流電圧の20%程度の値でも異常放電を消弧できる。また、本実施形態では、別途逆電圧直流電圧源11を必要とせず、及びスイッチ素子20がオンしている間は、直流電源10をオフさせるため、図1における、直流電源10と真空負荷12との間に電流を制限するための電流制限用インダクタンス30を必要としない。
【0061】
オーバードライブ用コンデンサ22の容量は、異常放電が消弧され出力電流が遮断されるまでに、全充電量の100%を放電できる容量とするとよい。ここで、オーバードライブ用コンデンサ22の電圧値は、t時点から放電により徐々に降下し、t時点で放電が終了する。よって、真空負荷12に印加される電圧はゼロとなる。このようにオーバードライブ用コンデンサ22の容量を調整することにより、長時間に渡って直流逆電圧を真空負荷12に印加し続けることはなくなるため、異常放電が再発生する可能性を抑えることができる。オーバードライブ用コンデンサ22の容量は、出力電流、出力ケーブルのインダクタンス50、異常放電消滅時間等の値によって設定され、第一の実施形態と同様な方法で算出することができる。
【0062】
第一の実施形態と同様に、オーバードライブ用コンデンサ22からの放電による直流逆電圧は、出力電流又は出力電力に応じて可変とすることで、より効率的に異常放電の出力電流又は出力電力を遮断することができる。例えば、直流電源10のプラズマ注入設定電力に比例した電圧とするとよい。
【0063】
ここで、制御回路42が異常放電を検出する条件として、真空負荷12からの出力電圧の電圧低下率が所定値を超えた場合が考えられる。例えば、真空負荷12に印加する直流電圧の低下変動幅が100V/μs以上の場合である。また別の条件として、出力電圧が所定値以下へ降下した場合が考えられる。例えば、真空負荷12に印加する直流電圧が正常電圧400Vから50V以下へ出力電圧が降下した時などが考えられる。また別の条件として、出力電流の値が所定値を超えた場合などが考えられる。例えば、真空負荷12に印加する出力電流の値が定格の1.1倍以上になった場合である。いずれの条件も、真空負荷12の利用環境に応じた設定を行うのが適切である。
【0064】
本実施形態は、異常放電が発生した際に、直流電源10をオフとし、オーバードライブ用コンデンサ22からの直流逆電圧を放電することで、異常放電を速やかに消弧して出力電流の遮断時間を短縮し、オーバードライブ用コンデンサ22からの放電終了後は、直流電源10をオフのままとすることで、異常放電の再発生を抑制することができる。また、オーバードライブ用コンデンサ22の充電時間を確保できるように、スイッチ素子20のオン、オフ間隔が長い場合、すなわち異常放電の消弧の機会が少ない場合に適した構成である。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明の真空負荷用電源は、例えば、真空中で発生させたプラズマを利用して加工又は処理するスパッタ装置、エッチング装置、電子ビーム蒸着装置、PVD装置、CVD装置などに適用することができる。
【符号の説明】
【0066】
10:直流電源
11:逆電圧直流電圧源
12:真空負荷
20:スイッチ素子
21:オーバードライブ用コンデンサ充電器
22:オーバードライブ用コンデンサ
23:バイパスダイオード
24:異常放電消弧用回路
30:電流制限用インダクタンス
31:オーバードライブ充電用スイッチ素子
32:充電用インダクタンス
33:転流ダイオード
40:充電用制御回路
42:制御回路
50:ケーブルのインダクタンス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空負荷に並列に接続され、直流電圧を前記真空負荷に印加する直流電源と、
前記真空負荷に並列に接続され、前記直流電源の直流電圧と符号が逆の直流逆電圧を前記真空負荷に印加する異常放電消弧用回路と、
前記真空負荷内の異常放電を検出して前記異常放電消弧用回路の直流逆電圧を制御する制御回路と、
を備える真空負荷用電源であって、
前記異常放電消弧用回路は、
前記直流電源と前記真空負荷との間に直列に接続されたインダクタンスと、
前記直流電源から前記真空負荷に印加される直流電圧と符号が逆の直流逆電圧を前記真空負荷に印加する逆電圧直流電圧源と、
前記逆電圧直流電圧源からの直流逆電圧と符号が同じ直流逆電圧を重畳して前記真空負荷に印加するオーバードライブ用コンデンサと、
前記逆電圧直流電圧源及び前記オーバードライブ用コンデンサから印加される直流逆電圧を前記制御回路の制御によってオン、オフされるスイッチ素子と、
を直列に接続して構成されることを特徴とする真空負荷用電源。
【請求項2】
逆充電を防ぐ転流ダイオード、充電用制御回路の制御によりオン、オフされるオーバードライブ充電用スイッチ素子及び前記逆電圧直流電圧源からのエネルギーを蓄積し、蓄積したエネルギーを前記オーバードライブ用コンデンサに充電する充電用インダクタンスを有し、
前記転流ダイオードのアノード側が前記オーバードライブ充電用スイッチ素子の一端及び前記充電用インダクタンスの一端に接続され、
前記転流ダイオードのカソード側が前記スイッチ素子と前記オーバードライブ用コンデンサとの接続点に、前記充電用インダクタンスの他端が前記オーバードライブ用コンデンサと前記逆電圧直流電圧源との接続点に、前記オーバードライブ充電用スイッチ素子の他端が前記逆電圧直流電圧源と前記直流電源との接続点にそれぞれ接続された
オーバードライブ用コンデンサ充電器をさらに備えていることを特徴とする請求項1に記載の真空負荷用電源。
【請求項3】
真空負荷に並列に接続され、直流電圧を前記真空負荷に印加する直流電源と、
前記真空負荷に並列に接続され、前記直流電源の直流電圧と符号が逆の直流逆電圧を前記真空負荷に印加する異常放電消弧用回路と、
前記真空負荷内の異常放電を検出して前記直流電源の直流電圧と、前記異常放電消弧用回路の直流逆電圧を制御する制御回路と、
を備える真空負荷用電源であって、
前記異常放電消弧用回路は、
前記直流電源から前記真空負荷に印加される直流電圧と符号が逆の直流逆電圧を前記真空負荷に印加するオーバードライブ用コンデンサと、
前記オーバードライブ用コンデンサから印加される直流逆電圧を前記制御回路の制御によってオン、オフされるスイッチ素子と、
を直列に接続して構成されることを特徴とする真空負荷用電源。
【請求項4】
前記オーバードライブ用コンデンサは、前記スイッチ素子がオンとなっている間に、充電した電荷を全て放電する容量を有することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の真空負荷用電源。
【請求項5】
前記制御回路は、前記真空負荷内の電圧変動が所定値以上であることを検出して前記異常放電消弧用回路の直流逆電圧を制御する制御回路であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の真空負荷用電源。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−251161(P2010−251161A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−100364(P2009−100364)
【出願日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【出願人】(000103976)オリジン電気株式会社 (223)
【Fターム(参考)】