説明

石英ガラス部材の製造方法及び石英ガラス部材

【課題】表面の損傷がなく、高精度な石英ガラス部材を効率よく製造するとともに製造後の部材の取り扱いを容易にし、加工コストを低減させる。
【解決手段】表面を鏡面加工した石英ガラス基板1をレーザー加工台に貼り付け、基板1の表層又は内部に焦点を結ばせてレーザービームを照射し、焦点を製品の輪郭に沿って移動させて切断加工する。輪郭全周を切断せずに基板1の一部を未切断として製品を基板1につけた状態とする。石英ガラス基板に製品が繋がった状態のまま移送、研磨、洗浄、検査、保管をおこない、必要時に製品を取り出す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外形寸法が数ミリメートル程度の微小形の石英ガラス部材の製造方法、特には光学用部材、光ファイバー用部品、パソコン等の光通信における受信装置に用いるコネクター用部品等として用いられる微小径の透明石英ガラスリングの製造方法及び透明石英ガラスリングに関する。
【背景技術】
【0002】
光学用の石英ガラス部材、例えば光通信用の外径が数ミリメートルの微小な透明石英ガラスリングを製造する方法としては、ガラスロッドを回転砥石、ドリル、超音波加工、ブラスト加工などの機械加工法や電子ビームなどによるエネルギービーム加工、加熱軟化したガラスをカーボン等により穿孔、又は金型によってプレス成形する方法などの孔あけ加工法を用いて中空ロッド又は厚肉パイプを製造し、そして、この中空ロッドや厚肉パイプの内面をワイヤー研磨等で研磨し、次いでパイプをマルチワイヤーソーで輪切りに切断し、両面ラップ盤等で上下面を研磨していた。
特許文献1(特開2000−319026号公報)では、研磨工程と孔あけ工程を成形によって、同時におこなうことを提案している。
【0003】
光ファイバー用コネクターは、光ファイバー同士の軸を一致させて接続するため、こうしたコネクター部品に使用される透明石英ガラスリングの内外径には非常に高い精度が求められている。このため、材料を高精度な加工機による機械加工法によって内外径を仕上げる方法が実施されているが、長時間の作業が要求され、また、作業員にも熟練が要求されるため加工コストが非常にかかっていた。また、ガラス部品が硬く脆い物質であるために、機械加工法によっては単純な形状のみしか加工できず、生産効率が低かった。切断後も微小な石英ガラスリングを1個1個定盤に貼り付け、研磨し、定盤から剥がして更にもう一方の面を同様にして研磨しなければならず、従来の機械加工法による製作方法では工数がかかっていた。
【0004】
一方、レーザー加工機によって金属、皮革、ガラス等の板状の被加工物を所要の形状に切断加工することは周知である。しかしながら、光ファイバー用のコネクター用部品である透明石英ガラスリングのような微細な部品を作成する場合には、内部の加工が必要となり、気にならない程度の表面欠陥や寸法精度が問題となる。従来のレーザー加工においては要求されるミクロンオーダーレベルの寸法精度を達成するには到っていなかった。
【0005】
また、近年のレーザー利用の発展により直径1mm以下といった程度の微細な穴を高精度で抜く技術の進歩は認められるようになってはきているが、外形が2〜3mmのものになってくるとこうした精度は出しにくいといった問題があった。
微小穴のレーザー加工に比べ、輪郭を有する石英ガラス部材の切断加工となるとワークまたはレーザー位置の制御を高精度にする必要があるが、光ファイバー用部品などのように微小な製品を高精度で製造することが要求される場合、強力なレーザーによる切断は、極小バリや狭小カケ等が発生するため問題があった。
【特許文献1】特開2000−319026号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、石英ガラス表面等の損傷を無くし、高精度な石英ガラス部材、特には石英ガラスリングを効率よく製造する方法を提供するものであり、レーザーを利用して一枚の石英ガラス基板から複数の透明石英ガラスリングを高精度で効率よく製造し、更に切断後の微小部品の搬送、保管などの取り扱いを容易にし、加工コストを低減させるものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前記の課題を解決するために、次のような手段が有効であることを見出したものである。
石英ガラス基板の表層又は内部に焦点を結ばせてレーザービームを照射し、次いで焦点を製品の形状に合わせて移動させて切断加工することによって石英ガラス基板から高精度の石英ガラス部材、特には石英ガラスリングを得られるようにしたものである。
レーザーとして、切断加工用に開発されたレーザーであればその種類には問題がなく、炭酸ガスレーザー、YAGレーザー又はエキシマレーザーを用いることができる。
【0008】
レーザービームと石英ガラス基板とを相対移動させて、石英ガラスリングなどの石英ガラス部材を切り出す切断加工方法であって、石英ガラス基板に連続的に複数の石英ガラス部材の切断加工を施す際に、石英ガラス部材の輪郭の一部が石英ガラス基板から切り出されずに、もしくは、石英ガラス部材の外周を形成する輪郭に焦点深度が一部底部へ達しない部分を設けて完全に切断せず、石英ガラス部材と石英ガラス基板が一部繋がっている状態にして、リングなどの石英ガラス部材が石英ガラス基板から落下しないようにし、できあがった微小な製品の取り扱いを容易とした。
【0009】
レーザービームにより例えば石英ガラス部材であるリングの一部が石英ガラス基板に繋がった状態の複数の石英ガラスリングを、切断残りのある石英ガラス基板の面から研磨することによって、又は針状あるいは薄板状の切断工具を切断空隙から押し当てることによって、あるいは切断残りのある石英ガラスリング部材を上方又は下方から油圧、あるいは空気圧などの外圧をかけて強制的に剥離して、石英ガラス基板とリングを繋いでいた部分を取り去り、リングを石英ガラス基板から離型して複数のリングを効率よく製造するものである。
【0010】
レーザービームの相対移動の始点を製造する石英ガラスリングの内周より内側とし、レーザービームの切断方向をリングの内周の接線に対して45〜135度の角度、好ましくは80〜100度の角度で移動させて内周部まで切断して更に円形に切断することによって、ドロスの発生を抑制するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、透明石英ガラスリングの内径の精度を10μm以下として効率的に量産することができ、また、ドロスや欠けなど表面損傷が殆どなく、従来の製作方法よりも大幅に工数を減らすことができ、歩留まりが高いので製造コストの低減が図れる。
石英ガラス基板に複数の石英ガラスリングがくっ付いた状態で次工程へ移送したり、洗浄、保管できるので取り扱いが容易である。
したがって、石英ガラスリングを用いる光学部品、特に光ファイバー用部品、パソコン等の光通信受入装置に用いるコネクター用部品、耐環境性を有するマイクロマシン、MEMS、NEMS、高精度な分析に用いるマイクロリアクター、μTAS等に応用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
石英ガラス基板は、表面層からレーザービームを集光させて切断していく方式の炭酸ガスレーザーなどのような一般的なレーザーを用いる場合は透明な面でも、砂目や機械加工した状態の不透明な面でもよい。
【0013】
焦点の移動は、レーザービームを石英ガラス基板に対して相対移動させる方法、すなわち光学的に焦点位置を移動させる方法でも、また、レーザービームは移動させずに石英ガラス基板自体を移動させる方法のどちらでもよい。
レーザービームの焦点の移動軌跡をコンピュータプログラムとしておき、コンピュータで焦点位置を制御することによって円柱、円錐形など任意形状のものが得られるようにすると効率的に切断作業を進めることができる。
このようにしてリング以外の形状の微小石英ガラス部材についての切断も任意におこなうことができる。
【0014】
図1に示すように、石英ガラス基板1から任意寸法の複数のリングを切断加工する場合、石英ガラス基板1に対して鉛直方向からレーザービームを照射する。
レーザービームでの切断加工はリングの内周輪郭から始め、その後に外周輪郭を切断加工することが好ましい。
レーザービームの照射開始位置(S)は、図2(1)に示すようにリングの内周輪郭線上から照射を開始するのではなく、リングの内周の内側から照射を開始する。内周の内側から照射を開始する場合、内周輪郭線2に到達する経路は、図2(2)、(3)に示すように内周輪郭線の接線3に対して一定の角度、例えば45度(図2(2))又は90度(図2(3))の直線とする。135度(図示しない)からの直線としてもよい。好ましくは80度〜100度の角度として加工することが好ましい。
【0015】
透明石英ガラスリングの輪郭となるリング外周の切断線21が複数箇所において石英ガラス基板1の底面11まで達しないようにして一部未切断部22を形成して完全には切断せずに僅かに残すようにする。複数箇所を完全に切断しないで僅かに残すことにより、リング外方側が石英ガラス基板1に繋がっており、製品が石英ガラス基板1から分離して落下するのを防止する。このため微小な製品であるリングが落下して損傷を受けるのを防止するとともに、切断終了時に生じやすいバリ・カケ等の発生を防ぎ、また、レーザー切断の際に発生する火花によって既に切断加工済みの製品が損傷を受けない。
リングの外径をレーザービームで円を描きながら切断していきリング側面を形成する円周上の一部を僅かに残すことで石英ガラス基板とリング側面が一部繋がった状態として加工してもよい。未切断部は目的に応じて大きさを調整したり、更に薄くしたり、複数箇所としたり任意に加工可能である。
【0016】
石英ガラス基板1からリングを切り出す際に設けた未切断部22は、石英ガラス基板1の底面11側から研磨することによってから未切断部22を除去してリングを分離させる。石英ガラス基板1の研磨によって基板からリングを離型させるので、離型時にガラスにクラックが発生する恐れがなく、バリ、カケ、キズといった外観不良要因が生じるのを防ぐことができる。
【0017】
また、リング外側面を形成する外周の一部をレーザー切断残りの未切断部とした場合、切断跡である空隙部に針状あるいは薄板状の切断工具を入れて、切断空隙から未切断部面に押し当てることにより切断残り部分を切断剥離、あるいは切断残りのある石英ガラス部材自体を石英ガラス部材の外形寸法より小さい押し棒を上方又は下方から押し当てて強制的に剥離することでもよい。また押し棒の代わりに、石英ガラス基板上に形成された多数の石英ガラスリングに対応するような凹凸治具を用いて、治具の凸部がリングに接触するようにして油圧、あるいは空気圧などの外圧をかけて多数のリングを同時に強制的に剥離して、石英ガラス基板から石英ガラス部材を離型することができる。
【0018】
炭酸ガスレーザー加工機などでは、レーザービームでガラスを溶断し、アシストガスで溶けたものを飛ばしてやり、レーザー切断を進めていくものであるが、
レーザービームで石英ガラスを溶かして切断するので、図3に示すように溶断箇所周囲に白い異物(ドロス)4が付着する場合がある。このドロス4の付着がバリ、カケ、キズの発生や寸法精度を劣化させる要因にもなる。
炭酸ガスレーザーを利用した一般的なレーザー切断機では、切断速度、量産性の面では適しているが、炭酸ガスレーザーの波長は石英ガラスを透過しないため、材料表面に集光し表面より溶断していく。この場合、表面より溶断が内部へ進行するにしたがって、溶断面のピットによりレーザービームが遮られるので、溶断する厚さに限度があり、10mm程度が限界であり、ドロスも大きくなり、高精度加工が困難であった。
【0019】
このドロスの発生を抑えることが重要であり、レーザー加工条件をレーザービームの相対移動の始点を製造する石英ガラスリングの内周より内側としてレーザービームをリングの内周の接線に対して角度を変えて切断した場合の切断結果を図4に示す。この結果から、45〜135度の角度、好ましくは80〜100度の角度で移動させてリングの内周を切断すると、リングの内径穴の外縁を縁取るドロスの発生を抑制することができることが判明した。
レーザービームの移動始点を輪郭形成線上とするとドロスの発生は大きくなり、リング部材円周のレーザービーム始点付近に大きな剥離跡が残ってしまう。
【0020】
YAGレーザーやエキシマレーザーなどの高エネルギービームは、透明石英ガラスに吸収されにくいので、石英ガラス内部に焦点を結ばせて照射し、透明材料内部から切断を開始し、レーザービーム焦点を移動させながら任意形状に切断していくことができる。
ただ、表面からエネルギーの高い短波長のエキシマレーザーを内部に集光させて切断加工をおこなうと、特定の領域のみが切断加工されるのではなく、切断加工領域が広がり、集光点から上面にかけて広くダメージを受けた状態となるという問題が生じる。
したがって焦点は、最初は石英ガラス基板の深部に合わせ、それから上方に移動させるのが好ましい。最初に石英ガラス基板の上方に焦点を合わせると切断部分によりレーザービームが部分的に切断(遮断)されてしまい、作業効率が悪くなるからである。
【0021】
切断精度をあげるための要因としては前述のようにドロスの発生を抑えることが重要であるが、レーザービームの直径を加工部材に合わせて最適なものに設定するとともに、レーザービームのスピードコントロールも重要となってくる。
レーザービームの焦点移動スピードで制御しなければならないのは、XY方向の制御である。XY軸制御で平面方向の精度が保たれる最適スピードを制御する。
【0022】
レーザー移動スピードを切断形状が直胴形状となる最適スピードに設定することで、石英ガラスリング部材の内径精度を要求される10μm以内といった高精度で切断加工することができる。このため、レーザービームの焦点移動スピードを厳密に制御するために通常の移動に使用されるようなボールネジでの制御ではなく、リニアモーターでのXY軸方向の制御が必要であり、これによりミクロン精度での移動制御が可能となる。
【0023】
本発明の石英ガラスリングなどの石英ガラス部材は、最初に石英ガラス基板の両面を研磨しておくことで、切断された石英ガラス部材の両面は既に鏡面状になっており、また、レーザービームによる切断面はワイヤソーなどの機械的切断のような砂目状の面ではなく透明な面であるため、石英ガラス部材の外表面が全て透明な面になるという利点がある。
このため本発明の石英ガラス部材は、容易に全面を透過面とすることができるので、紫外光、可視光、赤外光などを利用する際の光透過用の部材として最適である。石英ガラスの光透過特性を活かして、UV硬化樹脂の硬化などに本発明品が活用できる。
【0024】
本発明では、切断加工した複数の石英ガラス部材が部分的に石英ガラス基板と部分的に繋がっている状態のものとして次工程へ移送したり、研磨、洗浄、検査、保管ができるので効率的であり、取り扱いが容易である。
研磨工程をレーザー加工の後として、必要時に必要な面を石英ガラス部材が繋がったままの石英ガラス基板をそのまま研磨することで、必要な枚数だけ石英ガラス部材を研磨することができる。
また、洗浄工程も石英ガラス部材が繋がったままの石英ガラス基板をそのまま洗浄、乾燥がおこなえるため、個々の石英ガラス部材を洗浄する場合に比較し、石英ガラス製品同士が接触して生成される取扱いキズなどの発生がないなどの利点がある。
【0025】
検査工程においても、複数の石英ガラス製品が石英ガラス基板に繋がった状態のものの中から選択して検査できるので、石英ガラス基板上に製品の加工順序がわかるように記録しておけば、抜き取り検査個数も通常の抜き取り検査のように大量の石英ガラス部材のなかからランダムに選ぶ場合よりは検査する数が少なくてすむという利点も生じる。
保管も、石英ガラス基板にノッチ部を設けるなどしてロット毎に保管が可能なので、管理する上からも有利である。
【0026】
実施例1
炭酸ガスレーザーを用い、石英ガラス基板にレーザービームを照射し、複数の石英ガラスリング部品を切断加工した。
まず、両面を光学研磨した130mm×130mm×2.5mmの石英ガラス基板1をレーザー加工機の加工台上に貼り付け、炭酸ガスレーザーで外径5mm×内径3mm×厚さ2.5mmのリング部品を切断して切り抜いた。
レーザービームの相対移動の始点は、製造する透明石英ガラスリングの内周より内側に位置決めするとともに、切断方向がリング部材の内周の接線に対して90度となるようにして加工した。レーザービームのZ軸方向への移動スピードは切断面が深さ方向にテーパーが生じないように最適スピードに調整、設定して、切断面が垂直になるようにコントロールして加工した。
【0027】
また、厚さ2.5mmの抜き部分が完全に抜いた状態でない部分を形成して未切断部を残ったリングとし、石英ガラス基板から完全に切り離されたものとせず、一部が基板の底部で繋がった状態とした。この操作を繰り返して合計110個のリングを切断加工した。次いで加工台上から石英ガラス基板を剥がし、未切断部のある石英ガラス基板1の底面11側から所定の厚さ研磨して未切断部22を除去して石英ガラス基板1からリングを離型させた。
製造した石英ガラスリングの外観検査をおこなったところ、カケ、キズ等のないことが確認された。
【0028】
続いて石英ガラスリング110個の内、10個を抜き取り、寸法検査をおこなった。ニコン投影機V−12を用いて、50倍の倍率で石英ガラスリングの円周の6点を測定し、データ処理装置により、直径を演算した。結果、リング内径は(3mm+0.01mm)〜(3mm−0mm)の寸法内に全て納まっていた。
また、サブミクロン精度が保証されたФ3mmとФ3.01mmのロッドピンの挿入検査をしたところ、Φ3mmのロッドピンは挿入できたが、Φ3.01mmの挿入はできなかったことからも、リング内径は(3mm+0.01mm)〜(3mm−0mm)の寸法内に納まっていることが判明した。
【0029】
実施例2
レーザービームの切断方向がリング部材の内周の接線に対して45度として加工した以外は、実施例1に準じて石英ガラスリング部材を製造した。外観、寸法ともに実施例1と同等の結果が得られた。
【0030】
比較例1
レーザービームの相対移動の始点が、製造する石英ガラスリングの内周上となるように位置決めする以外は、実施例1に準じて石英ガラスリング部材を製造した。ドロスが大きく、リング部材の円周のレーザービーム始点付近に剥離跡が残っていた。
【0031】
比較例2
レーザービームの切断方向がリング部材の内周の接線に対して20度となるようにして加工した以外は、実施例1に準じて石英ガラスリング部材を製造した。ドロスが大きく、リング部材の内周内側まで剥離跡が残っていた。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】石英ガラス基板からリングを切り抜く際の説明図。
【図2】レーザービーム照射開始位置と経路の説明図。
【図3】ドロスを説明する断面図。
【図4】経路の角度の影響を示す表。
【符号の説明】
【0033】
1 石英ガラス基板
2 内周輪郭線
21 外周輪郭線
22 未切断部
4 ドロス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
石英ガラス基板の表層又は内部に焦点を結ばせてレーザービームを照射し、焦点を石英ガラス部材の輪郭に沿って移動させて切断加工し、石英ガラス基板から石英ガラス部材を切り出す石英ガラス部材の製造方法。
【請求項2】
レーザービームを石英ガラス基板に対して、もしくは石英ガラス基板をレーザービームに対して相対移動させて石英ガラス部材を切り出す切断加工方法であって、石英ガラス基板から石英ガラス部材を切り出す際に、石英ガラス部材の輪郭の一部が石英ガラス基板から切り出されずに、もしくは、石英ガラス部材の外周の切断線が石英ガラス基板の底面まで達しない部分を形成して、石英ガラス部材が石英ガラス基板と繋がった状態とした石英ガラス部材の製造方法。
【請求項3】
請求項1、請求項2のいずれかにおいて、レーザービームが、炭酸ガスレーザー、YAGレーザー又はエキシマレーザーのいずれかである石英ガラス部材の製造方法。
【請求項4】
請求項2、請求項3のいずれかにおいて、切断残りのある面を研磨により、又は針状あるいは薄板状の切断工具を切断空隙から切断残り面に押し当てることにより、あるいは切断残りのある石英ガラス部材自体を上方又は下方から押し棒により、または、油圧や空気圧などの外圧をかけて強制的に剥離して、石英ガラス基板から石英ガラス部材を離型する石英ガラス部材の製造方法。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかにおいて、石英ガラス基板が少なくとも一面が透明である石英ガラス部材の製造方法。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれかにおいて、石英ガラス部材が石英ガラスリングである石英ガラス部材の製造方法。
【請求項7】
請求項6において、リングの内周より内側を切断加工の始点とし、リングの内周の接線に対して45〜135度の角度でレーザービームを移動させてリング内周を切断する透明石英ガラスリングの製造方法。
【請求項8】
請求項2に記載の方法で製造された複数の石英ガラス部材が部分的に石英ガラス基板と繋がっている状態の石英ガラス基板。
【請求項9】
請求項1〜請求項7のいずれかの方法で製造された光透過用石英ガラス部材。
【請求項10】
請求項1〜請求項7のいずれかの方法で製造された透明石英ガラスリング。
【請求項11】
請求項10において、透明石英ガラスリングの内径の精度が10μm以下である透明石英ガラスリング。
【請求項12】
請求項11において、透明石英ガラスリングが光ファイバー用コネクター用部品である透明石英ガラスリング。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−63207(P2008−63207A)
【公開日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−245449(P2006−245449)
【出願日】平成18年9月11日(2006.9.11)
【出願人】(390005072)東ソー・クォーツ株式会社 (46)
【Fターム(参考)】