説明

研磨終点検出方法及び半導体製造装置

【課題】化学機械研磨における終点検出の精度を高めた研磨終点検出方法を提供する。
【解決手段】化学機械研磨における研磨終点検出方法において、前記化学機械研磨がされている基板に光を照射する光照射工程と、前記基板において反射された反射光を受光する受光工程と、前記受光した反射光に基づき光の強度を調節する調節工程と、前記受光した反射光に基づき波長ごとに分光する分光工程と、前記基板に光を照射した場合の基準となる分光特性に対し、前記分光された光の分光特性の比又は差の値を算出する計算工程と、前記算出された値が所定の範囲内にある場合には、前記調節工程において調節された光の分光特性をリファレンスとして用いて終点検出を行うことにより上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、研磨終点検出方法及び半導体製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
積層構造の半導体デバイス等を製造するプロセスにおいて、形成された絶縁膜及び金属膜等の加工または平坦化のために化学機械研磨(CMP:Chemical Mechanical Polishing)装置が用いられている。CMPによる研磨を行う際には、形成された絶縁膜及び金属膜を削りすぎることなく所定の研磨を行う必要があることから、研磨終了時を検出するいわゆる終点検出が行われている。
【0003】
この終点検出は、半導体ウエハの研磨面に光を照射し、研磨面からの反射光を分光することにより、研磨終了時であるか否かを判断するものである。これにより研磨終了時であるものと判断された場合には研磨は終了し、まだ研磨終了時には至っていないものと判断された場合には研磨は続けられる。
【0004】
この終点検出では、通常、比較対象となるリファレンスとなる分光特性を基準として、半導体ウエハの研磨面からの反射光の分光特性の状態を判断することにより、終点であるか否かの判断が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−186918号公報
【特許文献2】特開2000−183001号公報
【特許文献3】特開2008−258217号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述した終点検出は終点検出器により行われるが、CMP装置に用いられる研磨パッドの交換の際や、一定数量のウエハを研磨した後には、研磨パッドの状態が変化しているため終点検出器の校正を行う必要がある。しかしながら、校正されたリファレンスとなる分光特性が、所定の分光特性よりも大きくずれている場合、正確な終点検出を行うことができない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本実施の形態の一観点によれば、化学機械研磨における研磨終点検出方法において、前記化学機械研磨がされている基板に光を照射する光照射工程と、前記基板において反射された反射光を受光する受光工程と、前記受光した反射光に基づき光の強度を調節する調節工程と、前記受光した反射光に基づき波長ごとに分光する分光工程と、前記基板に光を照射した場合の基準となる基準分光特性に対し、前記分光された光の分光特性の比又は差の値を算出する計算工程と、前記算出された値が所定の範囲内にある場合には、前記調節工程において調節された光の分光特性に基づきリファレンスとなる分光特性を算出し、前記リファレンスとなる分光特性に基づき終点検出を行う。
【0008】
また、本実施の形態の他の観点によれば、研磨されている基板に光を照射する光源と、研磨スラリーを供給して前記基板の研磨を行うための研磨パッドと、前記基板の研磨面に照射された光を受光する受光部と、前記受光部において受光された光を波長ごとに分光する分光器と、前記基板に光を照射した場合の基準となる基準分光特性及び前記分光器により分光された光の分光特性を記憶させるメモリと、前記基準となる基準分光特性に対し、前記分光された光の分光特性の比又は差の値を算出する計算部と、前記値が所定の範囲内にあるか否かを判断する判定部と、を有し、前記値が所定の範囲内にあるものと判断された場合には、前記分光された光の分光特性に基づき、リファレンスとなる分光特性を算出し、前記リファレンスとなる分光特性に基づき終点検出を行う。
【発明の効果】
【0009】
開示の研磨終点検出方法及び半導体製造装置によれば、終点検出における精度を高めることができ、これにより製造される半導体装置の歩留まりを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本実施の形態における化学機械研磨装置の構成図
【図2】本実施の形態における化学機械研磨装置の終点検出器の構成図
【図3】研磨パッドにおける窓部が凹状態である場合の説明図
【図4】本実施の形態における化学機械研磨装置のコンピュータの構成図
【図5】本実施の形態における化学機械研磨装置の終点検出方法のフローチャート
【図6】基準となる分光特性に対する受光された光の分光特性の強度比の周波数特性図
【図7】基準となる分光特性に対する受光された光の分光特性の強度差の周波数特性図
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施するための形態について、以下に説明する。
【0012】
(化学機械研磨装置)
図1に基づき本実施の形態における半導体製造装置について説明する。本実施の形態における半導体製造装置は、化学機械研磨(CMP)装置であり、半導体ウエハ等の上に形成された絶縁膜及び金属膜を研磨することにより、半導体ウエハ等の表面を平坦化するものである。
【0013】
本実施の形態における化学機械研磨装置は、3つの研磨プラテン11、12及び13、アーム支持体20、研磨ヘッド31、32、33及び34を有している。
【0014】
研磨プラテン11、12及び13は半導体ウエハを研磨するため所定の回転数で回転している。また、アーム支持体20は研磨プラテン11、12及び13の上方に設けられており、4本のアーム21、22、23及び24を有している。4本のアーム21、22、23及び24には、研磨ヘッド31、32、33及び34が各々設けられており、アーム支持体の中心を軸として回転可能な構造となっている。研磨ヘッド31、32、33及び34には、研磨される半導体ウエハ等が設置されており、研磨ヘッド31、32及び33に設置された半導体ウエハは、研磨プラテン11、12及び13に設けられた研磨パッド上を移動することが可能である。
【0015】
図2に基づき、より詳しく説明すると、研磨ヘッド31、32、33には研磨される半導体ウエハ等の基板41が設置されており、研磨プラテン11、12、13には半導体ウエハ等の基板41を押しつけることのできる研磨パッド42を有している。研磨プラテン11、12、13の上方には、研磨スラリー43を滴下するためのスラリーノズル44が設置されている。化学機械研磨では、研磨ヘッド31、32、33は半導体ウエハ等の基板41を研磨パッド42に押しつけながら、研磨スラリー43及び研磨パッド42により半導体ウエハ等の基板41の研磨が行われる。
【0016】
研磨プラテン13には終点検出を行うための開口部45が設けられており、開口部45の位置に相当する研磨パッド42には透明または半透明の材料からなる窓部46が設けられている。終点検出を行うための光を発し受光する発光部47及び受光部48は、開口部45に設置されており、窓部46を介し半導体ウエハ等の基板41に光を照射し、また、窓部46を介し半導体ウエハ等の基板41からの反射光を受光する。
【0017】
発光部47及び受光部48は、光源ランプを内蔵した光源ユニット49及び光を波長ごとに分光する分光器50と光ファイバ等により接続されている。
【0018】
分光器50は、受光した光を分光した後、電気信号に変換し、その電気信号をコンピュータ51に出力する。コンピュータ51は、リファレンスとなる分光特性が記憶されており、リファレンスとなる分光特性を基準として、分光器50において分光された光の分光特性の状態により、終点であるか否かが判断される。終点であるものと判断された場合には研磨終点信号を生成して制御部52に伝達し、制御部52において研磨終点信号に応じて、研磨プラテン13及び研磨ヘッド33の動作を停止する。本実施の形態におけるCMP装置では上述した光学的に終点検出が行われる終点検出器を有している。尚、この終点検出器は、発光部47、受光部48、光源ユニット49、分光器50、コンピュータ51及びこれらを接続する光ファイバ等を有している。
【0019】
尚、図2においては、終点検出の制御のためにコンピュータ51を用いているが、同様の機能を有する電子回路及び電子装置を用いることも可能である。
【0020】
また、本実施の形態では、研磨パット42として、上層には硬質ポリウレタン、下層にはポリウレタンからなる軟質材料が設けられた2層構成のものを用いた。また、研磨スラリー43としてセリア粒子とポリアクリル酸アンモニウムを含む材料と超純水とを1:3の割合で調合したものを使用した。研磨における条件は、研磨ヘッド圧力を210g重/cm、研磨ヘッド回転数を118回転/分、研磨プラテンの回転数を120回転/分、研磨スラリーの供給量を0.2リットル/分とした。また、研磨時間は30秒であり、研磨終了後は、基板41を洗浄し、乾燥させることにより研磨工程が終了する。
【0021】
(終点検出器)
次に、本実施の形態における半導体製造装置である化学機械研磨装置における終点検出器について説明する。
【0022】
最初に、半導体ウエハ等の基板41の研磨面に窓部46を介し、発光部47より光を照射する。ここで、研磨面とは、上述したCMP装置において研磨される半導体基板等の基板41の研磨面を意味するものである。基板41としては、シリコン又はGaAs等の半導体ウエハのみならず、アルミナ・チタンカーバイト等の合金からなる基板、ガラス等からなる絶縁体基板が挙げられる。基板41には、絶縁膜、導電膜が形成されており、具体的には、半導体ウエハに形成された素子分離領域、絶縁膜、導電膜(Cu、Ag、Au等)等が挙げられる。
【0023】
このような基板41の研磨面に照射される光の光源ユニット49における光源としては、白色光源が適している。白色光とは、単色光ではない光を意味しており、380nmから800nmまでの波長の光において、幅の広い波長領域の光を含むものを意味する。具体的には、ハロゲンランプ、メタルハライドランプ、白熱球、ナトリウムランプ、キセノンフラッシュランプ、キセノンショートアークランプ、水銀灯、希ガス蛍光ランプ等の各種光源により得ることが可能である。一般的に、終点検出器における光源としてはハロゲンランプ等が用いられている。
【0024】
次に、窓部46を介し基板41の研磨面に照射された光は、研磨面において反射され、窓部46を介し受光部48において受光される。即ち、光源ユニット49における光源ランプを点灯することにより、その光源ランプより発せられた白色光が、光ファイバ等を介して発光部47に導かれる。この白色光は研磨パット42に設けられた窓部46を介し、研磨されている基板41の研磨面に照射される。研磨面に照射された白色光は、研磨面において反射され、窓部46を介し受光部48において受光される。受光部48で受光された光は、光ファイバ等を介し分光器50に入射し、この入射した光は波長ごとに分光され、さらに光信号に応じた電気信号に変換される。
【0025】
この後、分光器50において電気信号に変換された信号は、コンピュータ51に入力され、この信号に基づき基板41の研磨面において反射された光の分光特性等をコンピュータ51の画面上に表示することも可能である。コンピュータ51では、リファレンスとなる分光特性を基準として、研磨面からの反射光の分光特性により、終点検出アルゴリズムに従って、演算処理をすることにより研磨の終点を判断する。
【0026】
尚、研磨面において反射された光の受光は、連続的に、または、所定の間隔で行われ、その都度、コンピュータ51において研磨の終点が判断される。研磨の終点であると判断された場合には、制御部51を介し研磨は終了する。具体的には、窓部46を介し、基板41面の複数箇所より得られた受光データを平均化処理して終点検出波形を生成し、生成された終点検出波形に対して更に平均化処理したものに基づき終点判定を行っている。研磨を終了する際には、必要に応じて所定の時間経過した後に終了することも可能である。また、研磨の終点ではないものと判断された場合には、基板41の研磨は継続して行われる。
【0027】
(CMP装置の調整方法)
上述した終点検出は、リファレンスとなる分光特性を基準として、研磨における終点であるか否かを判断するものである。しかしながら、リファレンスとなる分光特性が当初に想定していた分光特性と大きく違っていた場合、研磨の終点の検出を正確に行うことはできない。
【0028】
図3に基づき具体的に説明すると、化学機械研磨を行うことにより、研磨ヘッド31に設置された基板41は研磨により削られるが、同時に研磨パッド42及び研磨パッド42に設けられた窓部46も削られる。窓部46は透明または半透明の材料により形成されているため、研磨パット42よりも化学機械研磨により削られやすい場合があり、この場合、図3に示すように、窓部46において中心部分がより多く削られ凹状態となる。また、研磨パッド42の製造の際に窓部46が凹状態で製造されてしまう場合がある。このように窓部46の形状が凹状態となると、当初の研磨パッド42と窓部46の表面が均一であった状態と異なり、窓部46と基板41との間に多くの研磨スラリー43が入り込む。一般に研磨スラリー43は着色しており、また屈折率も窓部46を形成する材料とは異なることから、窓部46が凹状態となることにより、発光部47より出射され、基板41の研磨面で反射されて受光部48により受光された光の分光特性は大きく変化してしまう。
【0029】
即ち、窓部46が凹状態となることにより、基板41の研磨面と窓部46との間に研磨スラリー43が多く入り込む。これにより発光部47より出射され、受光部48において受光される光の光路において、より多くの研磨スラリー43が存在することとなる。このため、受光部48において受光した光の分光特性は、当初の窓部46が平坦な場合とは大きく異なってしまい、これにより誤った終点検出がなされてしまう。
【0030】
本実施の形態では、誤った終点検出がなされるのを避けるため、上述したように、窓部46が凹状態となっている場合には、その状態を光学的に検出するものである。これにより窓部46が凹状態となった場合には、表示または警告音を発することにより、研磨パッド42の交換等のメンテナンスを行うものである。
【0031】
次に、本実施の形態におけるCMP装置の終点検出方法について説明する。終点検出においては、研磨パッド42を交換した場合や、所定の基板枚数を研磨した場合には、終点検出器の校正が、その都度行われる。
【0032】
(終点検出方法)
次に、本実施の形態における終点検出方法について説明する。より具体的には、CMP装置における研磨終点検出方法に関するものである。
【0033】
図2に示す本実施の形態におけるCMP装置におけるコンピュータ51内には、図4に示すように、メモリ61、計算部62、判定部63、表示部64、制御部65及びアラーム66等を有している。
【0034】
メモリ61は、終点検出を行う際にリファレンスとなる分光特性、本実施の形態で用いられるシリコンの基準分光特性等が記憶されている。計算部62では、受光部48により受光した反射光に対し所定の計算処理を行う。判定部63では、計算部63における計算処理により得られた結果に基づき反射光の分光特性が所定の範囲内にあるか否かの判断を行う。表示部64では、反射光の分光特性の表示及び、反射光の分光特性が所定の範囲内でない場合に、その旨の表示等を行う。制御部65では、メモリ61、計算部62、判定部63、表示部64の全体の制御を行う。アラーム66は警告等が必要な場合に、必要に応じて警告音を発する。
【0035】
図5に基づき本実施の形態における終点検出方法について説明する。
【0036】
最初に、ステップ102(S102)に示すように、発光部47より光を照射する。具体的には、本実施の形態におけるCMP装置において、電子回路等の形成されていないベアのシリコン基板を化学機械研磨をしている状態で、光源ユニット49において発せられた光を発光部47より照射する。
【0037】
次に、ステップ104(S104)に示すように、シリコン基板の研磨面からの反射光を受光部48において受光する。この後、受光された反射光は分光器50に入射させ、分光器50において、波長ごとに分光されて電気信号に変換し、コンピュータ51に入力させる。
【0038】
次に、ステップ106(S106)に示すように、コンピュータ51の制御部63において反射光の強度が許容範囲の上限となる所定の値よりも高いか否かが判断される。即ち、光の強度を調節するため反射光の強度が上限となる所定の値よりも高い場合には、ステップ108に移行し、反射光の強度が上限となる所定の値よりも低い場合には、ステップ110に移行する。
【0039】
次に、ステップ108(S108)に示すように、制御部63において照射される光の強度を低くする設定がなされ、光源ユニット49に伝達される。光源ユニット49では、この情報に基づき光源ユニット49の光源における光の強度が弱められる。この後、再び、ステップ102に移行する。
【0040】
次に、ステップ110(S110)に示すように、コンピュータ51の制御部63において反射光の強度が許容範囲の下限となる所定の値よりも低いか否かが判断される。即ち、光の強度を調節するため反射光の強度が下限となる所定の値よりも低い場合には、ステップ112に移行し、反射光の強度が下限となる所定の値よりも高い場合には、ステップ114に移行する。
【0041】
次に、ステップ112(S112)に示すように、制御部63において照射される光の強度を高くする設定がなされ、光源ユニット49に伝達される。光源ユニット49では、この情報に基づき光源ユニット49の光源における光の強度が強められる。この後、再び、ステップ102に移行する。以上のステップ106からステップ112において照射される光の強度が調節される。
【0042】
次に、ステップ114(S114)に示すように、受光部48において受光した反射光の分光特性をメモリ61等に記憶する。
【0043】
次に、ステップ116(S116)に示すように、ステップ114に記憶された反射光の分光特性について計算処理がなされる。具体的には、メモリ61に記憶されている正常な状態におけるシリコンの基準分光特性に対し、ステップ114において記憶された反射光の分光特性の強度比又は強度差が計算部62において算出される。例えば、図6に、基準分光特性に対する反射光の分光特性の強度比を算出した場合の波長と強度比との関係を示す。反射光の分光特性が正常な場合では、実線71に示すように、計測された波長域において強度比は略1に近い値を示す。これに対し、反射光の分光特性が異常な場合、即ち、図3に示すように窓部46が凹状態となっている場合には破線72に示すように、強度比が1よりも大きくなる波長領域が存在する。本実施の形態では、光源ユニット49に白色光源を有しているため、広い波長領域の光を照射することができ、波長ごとの分光特性を得ることができる。
【0044】
次に、ステップ118(S118)に示すように、判定部63において、ステップ116において計算した値が、所定の範囲内の値であるか否か判断される。ステップ116において計算した値が、所定の範囲内であるもの判断された場合には、ステップ122に移行する。一方、ステップ116において計算した値が、所定の範囲内ではないものと判断された場合には、ステップ120に移行する。尚、本実施の形態では、所定の範囲として、ステップ116において求めた強度比が0.6以上、1.4以下、即ち、図6に示す破線73よりも上(0.6以上)、破線74よりも下(1.4以下)に設定した。この範囲であれば、算出されるリファレンスの分光特性により、経験上誤って終点検出が行われる可能性は極めて低い。また、図6に示すように、特に長波長領域において強度比が大きく変化することから、強度比に基づく判断を行う際には、材料等の光学的特性の影響により誤った判断がされることを避けるため、このような領域を避けた波長領域を用いることが好まし。特に、550nm以上、800nm以下の波長領域における波長の光により判断を行うことが好ましい。
【0045】
次に、ステップ120(S120)に示すように、反射光が異常である旨の表示等がなされ、その後、メンテナンスを行う。具体的には、表示部64において、ステップ114においてメモリ61に記憶された反射光の分光特性は所定の範囲内にはない旨の表示がなされる。この場合、研磨パッド42における窓部46が図3に示すように凹状態になっている可能性が高いため、研磨パッド42の交換等のメンテナンスを行う。研磨パッド42にメンテナンスを行った後、ステップ102に移行する。尚、上記において、表示部64において表示する場合について説明したが、アラーム66により警告音を発してもよい。また、アラームはコンピュータ51内以外に設けてもよく、例えば、CMP装置のいずれかに設けてもよい。
【0046】
次に、ステップ122(S122)に示すように、リファレンスとなる分光特性を算出する。具体的には、ステップ114においてメモリ61に記憶された反射光の分光特性に基づきリファレンスとなる分光特性が演算処理により算出する。算出されたリファレンスとなる分光特性はコンピュータ51内におけるメモリ61に記憶される。尚、リファレンスとなる分光特性の算出はコンピュータ51内における制御部65等において行われる。
【0047】
次に、ステップ124(S124)に示すように、CMP装置における終点検出が行われる。具体的には、CMP装置において絶縁膜や金属配線等の形成された基板が研磨された状態で終点検出が行われる。この場合、ステップ122において算出されたリファレンスとなる分光特性を基準として、基板からの反射光により終点検出が行われる。
【0048】
以上により、本実施の形態におけるCMP装置における終点検出が行われる。
【0049】
上記説明では、ステップ116において、シリコンの基準分光特性に対する反射光の分光特性の強度比の場合について説明したが、シリコンの基準分光特性に対する反射光の分光特性の強度差の場合においても同様の終点検出を行うことが可能である。具体的には上記のステップ116及び118において、以下の内容を実行することにより、終点検出を行うことができる。
【0050】
ステップ116において、計算部62において、基準分光特性に対する反射光の分光特性の強度差を算出する。図7に、基準分光特性に対する反射光の分光特性の強度差を算出した場合の波長と強度差との関係を示す。反射光の分光特性が正常な場合では、実線81に示すように、計測された波長域において強度差は比較的小さい。これに対し、反射光の分光特性が異常な場合、即ち、図3に示すように窓部46が凹状態となっている場合には破線82に示すように、特に長波長領域における強度差が大きくなる。
【0051】
次に、ステップ118において、基準分光特性に対する反射光の分光特性の強度差が、所定の範囲内の値であるか否か判断される。図7に示すように、基準分光特性に対する反射光の分光特性の強度差により判断を行う場合では、550nmから800nmの波長領域の光において、所定の範囲内にあるか否かの判断を行うことが好ましい。また、点線83に示すように、強度が増加する方向において変化が顕著であることから、強度が増加する方向において、所定の範囲を設定するための基準を設けることが好ましい。
【0052】
以上、実施の形態について詳述したが、特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内において、種々の変形及び変更が可能である。
【0053】
以上の説明に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1)
化学機械研磨における研磨終点検出方法において、
前記化学機械研磨がされている基板に光を照射する光照射工程と、
前記基板において反射された反射光を受光する受光工程と、
前記受光した反射光に基づき光の強度を調節する調節工程と、
前記受光した反射光に基づき波長ごとに分光する分光工程と、
前記基板に光を照射した場合の基準となる基準分光特性に対し、前記分光された光の分光特性の比又は差の値を算出する計算工程と、
前記算出された値が所定の範囲内にある場合には、前記調節工程において調節された光の分光特性に基づきリファレンスとなる分光特性を算出し、前記リファレンスとなる分光特性に基づき終点検出を行うことを特徴とする研磨終点検出方法。
(付記2)
前記算出された値が所定の範囲内には含まれていない場合には、前記化学機械研磨装置における研磨パッドのメンテナンスを行う旨の表示または警告を行うことを特徴とする付記1に記載の研磨終点検出方法。
(付記3)
前記光は白色光であることを特徴とする付記1または2に記載の研磨終点検出方法。
(付記4)
前記計算工程は、前記基板に光を照射した場合の基準となる分光特性に対し、前記分光された光の分光特性の比の値を算出するものであって、前記所定の範囲は、0.6以上、1.4以下であることを特徴とする付記1から3のいずれかに記載の研磨終点検出方法。
(付記5)
前記所定の範囲は、550nm以上、800nm以下の波長における範囲であることを特徴とする付記4に記載の研磨終点検出方法。
(付記6)
研磨されている基板に光を照射する光源と、
研磨スラリーを供給して前記基板の研磨を行うための研磨パッドと、
前記基板の研磨面に照射された光を受光する受光部と、
前記受光部において受光された光を波長ごとに分光する分光器と、
前記基板に光を照射した場合の基準となる基準分光特性及び前記分光器により分光された光の分光特性を記憶させるメモリと、
前記基準となる基準分光特性に対し、前記分光された光の分光特性の比又は差の値を算出する計算部と、
前記値が所定の範囲内にあるか否かを判断する判定部と、
を有し、前記値が所定の範囲内にあるものと判断された場合には、前記分光された光の分光特性に基づき、リファレンスとなる分光特性を算出し、前記リファレンスとなる分光特性に基づき終点検出を行うことを特徴とする化学機械研磨装置。
(付記7)
前記判定部において、前記値が所定の範囲内にはないものと判断された場合には、その旨を表示する表示部または警告音を発するアラームを有していることを特徴とする付記6に記載の化学機械研磨装置。
(付記8)
前記光源は白色光源であることを特徴とする付記6または7に記載の化学機械研磨装置。
(付記9)
前記計算部は、前記基板に光を照射した場合の基準となる分光特性に対し、前記分光された光の分光特性の比の値を算出するものであって、前記所定の範囲は、0.6以上、1.4以下であることを特徴とする付記6から8のいずれかに記載の化学機械研磨装置。
(付記10)
前記所定の範囲は、550nm以上、800nm以下の波長における範囲であることを特徴とする付記9に記載の化学機械研磨装置。
【符号の説明】
【0054】
11、12、13 研磨プラテン
20 アーム支持体
21、22、23、24 アーム
31、32、33、34 研磨ヘッド
41 基板
42 研磨パッド
43 研磨スラリー
44 スラリーノズル
45 開口部
46 窓部
47 発光部
48 受光部
49 光源ユニット
50 分光器
51 コンピュータ
52 制御部
61 メモリ
62 計算部
63 判定部
64 表示部
65 制御部
66 アラーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学機械研磨における研磨終点検出方法において、
前記化学機械研磨がされている基板に光を照射する光照射工程と、
前記基板において反射された反射光を受光する受光工程と、
前記受光した反射光に基づき光の強度を調節する調節工程と、
前記受光した反射光に基づき波長ごとに分光する分光工程と、
前記基板に光を照射した場合の基準となる基準分光特性に対し、前記分光された光の分光特性の比又は差の値を算出する計算工程と、
前記算出された値が所定の範囲内にある場合には、前記調節工程において調節された光の分光特性に基づきリファレンスとなる分光特性を算出し、前記リファレンスとなる分光特性に基づき終点検出を行うことを特徴とする研磨終点検出方法。
【請求項2】
前記算出された値が所定の範囲内には含まれていない場合には、前記化学機械研磨装置における研磨パッドのメンテナンスを行う旨の表示または警告を行うことを特徴とする請求項1に記載の研磨終点検出方法。
【請求項3】
前記計算工程は、前記基板に光を照射した場合の基準となる分光特性に対し、前記分光された光の分光特性の比の値を算出するものであって、前記所定の範囲は、0.6以上、1.4以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の研磨終点検出方法。
【請求項4】
研磨されている基板に光を照射する光源と、
研磨スラリーを供給して前記基板の研磨を行うための研磨パッドと、
前記基板の研磨面に照射された光を受光する受光部と、
前記受光部において受光された光を波長ごとに分光する分光器と、
前記基板に光を照射した場合の基準となる基準分光特性及び前記分光器により分光された光の分光特性を記憶させるメモリと、
前記基準となる基準分光特性に対し、前記分光された光の分光特性の比又は差の値を算出する計算部と、
前記値が所定の範囲内にあるか否かを判断する判定部と、
を有し、前記値が所定の範囲内にあるものと判断された場合には、前記分光された光の分光特性に基づき、リファレンスとなる分光特性を算出し、前記リファレンスとなる分光特性に基づき終点検出を行うことを特徴とする化学機械研磨装置。
【請求項5】
前記判定部において、前記値が所定の範囲内にはないものと判断された場合には、その旨を表示する表示部または警告音を発するアラームを有していることを特徴とする請求項4に記載の化学機械研磨装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2011−29505(P2011−29505A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−175574(P2009−175574)
【出願日】平成21年7月28日(2009.7.28)
【出願人】(308014341)富士通セミコンダクター株式会社 (2,507)
【Fターム(参考)】