説明

硬化性樹脂組成物、表示素子用接着剤及び接着方法

【課題】全光線透過率が高く、ガラス転移温度が一定値以下で、かつ透湿度が低い硬化物を与える硬化性樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】(A)カチオン重合性化合物、(B)ラジカル重合性化合物、(C)エポキシ基又はオキセタン基を有する(メタ)アクリレート、(D)光カチオン重合開始剤及び/又は熱カチオン重合開始剤並びに(E)光ラジカル重合開始剤及び/又は熱ラジカル重合開始剤を含有する硬化性樹脂組成物であって、該樹脂組成物の硬化物が、分光光度計で波長380〜1000nmにおいて測定した全光線透過率:95%以上、ガラス転移温度:100℃以下、及びJIS Z 0208に準拠して、温度60℃、相対湿度90%の条件下で測定した透湿度:100(g/m2・24h/100μm)以下である硬化性樹脂組成物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬化性樹脂組成物、これを含む表示素子用接着剤、この表示素子用接着剤を用いた表示素子における部材の接着方法、及びこの接着方法により得られた表示素子に関する。
【背景技術】
【0002】
有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、有機EL素子と略記することがある。)は、一対の電極の間に少なくとも有機発光層を狭持してなる発光素子であり、陽極から注入された正孔と、陰極から注入された電子が有機発光層内で再結合することによって生じるエネルギーを発光として取り出している。有機EL素子は自発光素子であるため、広視野角、薄型という利点を有しており、近年盛んに開発が行われているが、有機EL素子は、一般的に寿命が短いという問題がある。短寿命である原因の一つとして、有機EL素子が水分(湿気)により急激に劣化しやすいということが挙げられる。
このため、一般に有機EL素子を封止用材料の硬化物で封止することが行われており、封止部分からの水分(湿気)の浸入を防止するために、封止用材料の硬化物は低透湿性であることが要求される。封止用材料の透湿度を低下させる方法として、例えば、硬化性樹脂に平均粒子径が数μm程度の無機充填剤を多量に配合する方法がある。しかしながら、無機充填剤を大量に配合すると硬化性樹脂の透明性が損なわれるため、透明性が要求される用途には適用することができないという問題がある。また、無機充填剤の配合量が少なすぎると、透湿度が十分に低下しないと共に、重合開始剤の選択によっては、硬化過程において黄変などの着色を起こす場合がある。
高透明性と低透湿性を満足する封止用材料として、特許文献1には、光カチオン重合性化合物及び光カチオン重合開始剤を含有し、分光光度計における波長380〜780nmの光の全光線透過率が80%以上で、ガラス転移温度が85℃以上である硬化物となる光硬化性樹脂組成物が開示されている。また、特許文献2には、隔壁を接着剤の内側に設けることにより、大気中の水分による劣化を防止した有機ELパネルが開示されている。しかしながら、特許文献1で開示された光硬化性樹脂組成物及び特許文献2で開示された隔壁は、水分(湿気)の侵入を防止する点において、十分に満足し得るものではなかった。
【0003】
【特許文献1】特開2005−187636号公報
【特許文献2】特開2003−100449号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、全光線透過率が高く、ガラス転移温度が一定値以下で、かつ透湿度が低い硬化物を与える硬化性樹脂組成物を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、(A)カチオン重合性化合物、(B)ラジカル重合性化合物、(C)エポキシ基又はオキセタン基を有する(メタ)アクリレート、(D)光カチオン重合開始剤及び/又は熱カチオン重合開始剤並びに(E)光ラジカル重合開始剤及び/又は熱ラジカル重合開始剤を含有する硬化性樹脂組成物であって、その硬化物が特定の物性を有する硬化性樹脂組成物により上記目的が達成されることを見出した。本発明はかかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち本発明は、以下の硬化性樹脂組成物、表示素子用接着剤、接着方法及びこの接着方法で得られた表示素子を提供するものである。
1. (A)カチオン重合性化合物、(B)ラジカル重合性化合物、(C)エポキシ基又はオキセタン基を有する(メタ)アクリレート、(D)光カチオン重合開始剤及び/又は熱カチオン重合開始剤並びに(E)光ラジカル重合開始剤及び/又は熱ラジカル重合開始剤を含有する硬化性樹脂組成物であって、該樹脂組成物の硬化物が、分光光度計で波長380〜1000nmにおいて測定した全光線透過率:95%以上、ガラス転移温度:100℃以下、及びJIS Z 0208に準拠して、温度60℃、相対湿度90%の条件下で測定した透湿度:100(g/m2・24h/100μm)以下であることを特徴とする硬化性樹脂組成物。
2. (A)成分のカチオン重合性化合物が、カチオン重合性モノマーとカチオン重合性プレポリマーとの組み合わせである上記1に記載の硬化性樹脂組成物。
3. (B)成分のラジカル重合性化合物が、単官能(メタ)アクリレートである上記1又は2に記載の硬化性樹脂組成物。
4. (D)成分における熱カチオン重合開始剤が、反応開始温度が150℃以下のアルミニウムキレート錯体である上記1〜3のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
5. (E)成分における光ラジカル重合開始剤が、下記一般式(1)で表されるα−ヒドロキシケトン、下記一般式(2)で表されるアシルホスフィンオキサイド又はこれらの混合物であって、波長200〜440nmの間に光吸収ピークを有するものである上記1〜4のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
【0006】
【化1】

【0007】
(式中、R1は炭素数6〜15のアリール基、R2及びR3は、それぞれ独立に炭素数1〜4のアルキル基を示し、R2とR3は互いに結合して環状構造を形成していてもよい。)
【0008】
【化2】

【0009】
(式中、R4は炭素数6〜15のアリール基、R5及びR6は、それぞれ独立に炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基又は炭素数6〜15のアリール基を示す。)
6. (E)成分における熱ラジカル重合開始剤が、反応開始温度150℃以下のものである上記1〜5のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
7. (E)成分における熱ラジカル重合開始剤が、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロ)ニトリル、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル又はこれらの混合物である上記6に記載の硬化性樹脂組成物。
8. (D)成分の光カチオン重合開始剤及び/又は熱カチオン重合開始剤の配合量が、(A)成分と(C)成分の合計100質量部に対して0.1〜10質量部であり、(E)成分の光ラジカル重合開始剤及び/又は熱ラジカル重合開始剤の配合量が、(B)成分と(C)成分の合計100質量部に対して0.1〜20質量部である上記1〜7のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
9. さらに、(F)シリコーン化合物及び/又はシリコーンレジンを含有する上記1〜8のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
10. 上記1〜9のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物を用いてなる表示素子用接着剤。
11. 上記10に記載の表示素子用接着剤を用いて、表示素子を構成する部材同士を貼り合わせ、接着するに当たり、該表示素子用接着剤を光照射又は加熱処理により、不完全硬化させた後、この接着剤を介して当該部材同士を貼り合わせ、上記接着剤を完全硬化処理することを特徴とする接着方法。
12. 表示素子を構成する少なくとも一つの部材の接着面に表示素子用接着剤からなる層を設け、100℃以下の温度で光照射又は加熱処理して不完全硬化させた後、部材同士を貼り合わせ、150℃以下の温度で加熱して完全硬化処理する上記11に記載の接着方法。
13. 上記10に記載の表示素子用接着剤を用いて、表示素子を構成する部材同士を貼り合わせ、接着するに当たり、表示素子を構成する少なくとも一つの部材の接着面に、該表示素子用接着剤からなる層を設けた後、当該部材同士を貼り合わせ、150℃以下の温度で加熱して完全硬化処理することを特徴とする接着方法。
14. 上記10に記載の表示素子用接着剤を用いて、表示素子を構成する部材同士を貼り合わせ、接着するに当たり、当該部材間に上記表示素子用接着剤を充填した後、150℃以下の温度で加熱して完全硬化処理することを特徴とする接着方法。
15. 上記11〜14のいずれかに記載の接着方法により得られた表示素子。
16. 有機エレクトロルミネッセンス素子である上記15に記載の表示素子。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、全光線透過率が高く、ガラス転移温度が一定値以下で、かつ透湿度が低い硬化物を与え、表示素子用接着剤として好適な硬化性樹脂組成物を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の硬化性樹脂組成物は、(A)カチオン重合性化合物、(B)ラジカル重合性化合物、(C)エポキシ基又はオキセタン基を有する(メタ)アクリレート、(D)光カチオン重合開始剤及び/又は熱カチオン重合開始剤並びに(E)光ラジカル重合開始剤及び/又は熱ラジカル重合開始剤を含有する。なお、エポキシ基又はオキセタン基含有(メタ)アクリレートは、カチオン重合性とラジカル重合性とを兼ね備えた化合物であるので、(A)成分及び(B)成分から外して(C)成分とした。
(A)成分のカチオン重合性化合物としては、分子内に少なくとも1個のカチオン重合性官能基を有する化合物であればよく、例えば、分子内に少なくとも1個のエポキシ基、オキセタン基、ビニルエーテル基、エピスルフィド基、エチレンイミン基などのカチオン重合性官能基を有する化合物が挙げられる。なかでも、熱カチオン重合性が高く、少ない熱量でも効率的に熱硬化が進行することから、分子内に少なくとも1個のエポキシ基を有する化合物(以下、「エポキシ系化合物」と称することもある。)が好適に用いられる。(A)成分のカチオン重合性化合物は、カチオン重合性モノマー及びカチオン重合性プレポリマーのいずれであってもよい。
【0012】
(A)成分のカチオン重合性化合物のうちのカチオン重合性モノマーとしては、例えば、エポキシド類、環状エーテル類、ビニルエーテル類、ビニルアミン類、不飽和炭化水素類、ラクトン類および他の環状エステル類、ラクタム類、環状カーボネート類、環状アセタール類、アルデヒド類、環状アミン類、環状スルフィド類、シクロシロキサン類、シクロトリホスファゼン類及び他のカチオン重合可能な基やモノマーなどの少なくとも1個のカチオン重合可能基を有しているカチオン重合性モノマーが挙げられる。これらのなかで、エポキシドモノマーなどの環状エーテルモノマーやビニル有機モノマーなどが好適に用いられる。これらのカチオン重合性モノマーは、一種を単独で又は二種以上を組み合わせて使用することができる。
【0013】
カチオン重合性モノマーの具体例としては、エチルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、ブタンジオールビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテルなどのビニルエーテル類、フェニルグリシジルエーテル、p−t−ブチルフェニルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、1,2−ブチレンオキサイド、1,3−ブタジエンモノオキサイド、1,2−ドデシレンオキサイド、エピクロロヒドリン、1,2−エポキシデカン、スチレンオキサイドなどのグリシジルエーテル類、3−エチル−3−ヒドロキシエチルオキセタン、1,4−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、3,3−ジメチルオキセタン、3,3−ビス(クロロメチル)オキセタン、2−ヒドロキシメチルオキセタン、3−メチル−3−オキセタンメタノール、3−メチル−3−メトキシメチルオキセタン、3−エチル−3−フェノキシメチルオキセタン、レゾルシノールビス(3−メチル−3−オキセタニルエチル)エーテル、m−キシリレンビス(3−エチル−3−オキセタニルエチルエーテル)などのオキセタン類、シクロヘキセンオキサイド、3−ビニルシクロヘキセンオキサイド、1,13−テトラデカジエンジオキサイド、リモネンジオキサイド、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(3’,4’−エポキシ)シクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペート、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)セバケートなどの脂環式エポキシ類を挙げることができる。
【0014】
(A)成分のカチオン重合性化合物のうちのカチオン重合性プレポリマーとしては、例えば、エポキシ樹脂、オキセタン樹脂及びビニルエーテル樹脂などが挙げられる。
上記エポキシ樹脂は、多価フェノール類をエピクロルヒドリンなどでエポキシ化した化合物であり、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂などのビスフェノール型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂などのノボラック型エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、異節環状型エポキシ樹脂、多官能性エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、例えば水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂などのアルコール型エポキシ樹脂、例えば臭素化エポキシ樹脂などのハロゲン化エポキシ樹脂、ゴム変性エポキシ樹脂、ウレタン変性エポキシ樹脂、エポキシ化ポリブタジエン、エポキシ化スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、エポキシ基含有ポリエステル樹脂、エポキシ基含有ポリウレタン樹脂及びエポキシ基含有アクリル樹脂などが挙げられる。これらのエポキシ樹脂は、一種を単独で又は二種以上を組み合わせて使用することができる。
【0015】
本発明において(A)成分のカチオン重合性化合物としては、カチオン重合性モノマーとカチオン重合性プレポリマーとの組み合わせが好ましく、カチオン重合性モノマーもカチオン重合性プレポリマーもエポキシ系化合物であることがよりこのましい。このような組み合わせとしては、例えば、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(3’,4’−エポキシ)シクロヘキサンカルボキシレートと水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂との組み合わせなどが挙げられる。
本発明の硬化性樹脂組成物において、カチオン重合性化合物としてエポキシ系化合物を用いる場合、硬化物のエポキシ転化率が85%以上であることが好ましい。この転化率が85%以上であると、硬化性樹脂組成物が十分に硬化するので、透湿度が低く、機械的強度などの力学的物性が十分となる。
なお、上記エポキシ転化率は、後述する全光線透過率の測定の場合と同様にして作製した測定用塗膜を所定の大きさに裁断し、酢酸エチル中に浸漬して一晩放置した後、酢酸エチル中に溶出したエポキシ基量を塩酸/ジオキサン混合液で滴定することにより測定することができる。
【0016】
本発明の硬化性樹脂組成物において用いる(B)成分のラジカル重合性化合物としては、単官能(メタ)アクリレート、多官能(メタ)アクリレート、モノアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート及び(メタ)アクリルアミド類などが挙げられる。ここで、(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートを指し、(メタ)アクリルアミドとは、アクリルアミド又はメタクリルアミドを指す。
単官能(メタ)アクリレートとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ミリスチル(メタ)アクリレート、パルミチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチル−2-ヒドロキシエチルフタレート、グリセリン(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン(メタ)アクリレート、ペンタメチルピペリジル(メタ)アクリレート、テトラメチルピペリジル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート及びノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0017】
多官能(メタ)アクリレートとしては、1,2−エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性リン酸ジ(メタ)アクリレート、アリル化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメチロールジ(メタ)アクリレートなどのジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジグリセロールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリットトリ(メタ)アクリレート、トリス((メタ)アクリロキシエチル)イソシアヌレート、トリスヒドロキシエチルイソシアヌレートトリ(メタ)アクリレートなどのトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリットテトラ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート及びカプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0018】
モノアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートとしては、モノメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、モノエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、モノメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート及びモノエチルアミノプロピル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
(メタ)アクリルアミド類としては、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド及びN,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドなどが挙げられる。
これらのラジカル重合性化合物は、一種を単独で又は二種以上を組み合わせて使用することができる。これらのラジカル重合性化合物のうち、本発明においては、単官能(メタ)アクリレートが好ましく、ジシクロペンタニルアクリレートがより好ましい。
【0019】
本発明の硬化性樹脂組成物において、(B)成分のラジカル重合性化合物の配合量は、(A)成分のカチオン重合性化合物100質量部に対して、通常1〜300質量部程度、好ましくは50〜250質量部である。(B)成分の配合量が1質量部以上であると、柔軟性や透明性が良好となる。また、(B)成分の配合量が300質量部以下であると、硬化物の硬度と接着強度が十分なものとなる。
【0020】
本発明の硬化性樹脂組成物において用いる(C)成分のうちのエポキシ基含有(メタ)アクリレートとしては、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、2−(1,2−エポキシ−4,7−メタノペルヒドロインデン−5(6)−イル)オキシエチル(メタ)アクリレート、5,6−エポキシ−4,7−メタノペルヒドロインデン−2−イル−(メタ)アクリレート、1,2−エポキシ−4,7−メタノペルヒドロインデン−5−イル−(メタ)アクリレート等のグリシジルエーテル型エポキシ基を有する(メタ)アクリルモノマー;2,3−エポキシシクロペンテニル(メタ)アクリレート、3,4―エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル化ポリカプロラクトンの(メタ)アクリレート等脂環型エポキシ基を有する(メタ)アクリルモノマー等が挙げられる。
また、オキセタン基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、3−メタクリロキシメチル−3−エチルオキセタン及び3−アクリロキシメチル−3−エチルオキセタンなどが挙げられる。これらのうち、本発明においては、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジルメタクリレート、3,4―エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレートが好ましく、グリシジルメタクリレートがより好ましい。
【0021】
本発明の硬化性樹脂組成物において、(C)成分のエポキシ基又はオキセタン基含有(メタ)アクリレートの配合量は、(A)成分のカチオン重合性化合物と(B)成分のラジカル重合性化合物の合計100質量部に対して、通常1〜800質量部程度、好ましくは20〜500質量部である。(C)成分の配合量が1質量部以上であると、硬化性樹脂組成物の透湿度が低下するという利点がある。また、(C)成分の配合量が800質量部以下であると、硬化性樹脂組成物が柔軟でかつ透明性が良好なものとなる。
【0022】
本発明の硬化性樹脂組成物で用いる(D)成分は、光カチオン重合開始剤及び/又は熱カチオン重合開始剤である。(D)成分のうちの光カチオン重合開始剤は、光照射されることにより活性化(励起)して、上記カチオン重合性化合物を硬化させるものであればよく、特に制限はない。このような光カチオン重合開始剤としては、例えば、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩等のオニウム塩や、鉄− アレン錯体、チタノセン錯体、アリールシラノール−アルミニウム錯体などの有機金属錯体類、ニトロベンジルエステル、スルホン酸誘導体、リン酸エステル、フェノールスルホン酸エステル、ジアゾナフトキノン、N−ヒドロキシイミドスルホナートなどが挙げられる。これらの化合物は単独で使用してもよく、また二種以上を混合して使用してもよい。
【0023】
本発明の硬化性樹脂組成物で用いる(D)成分のうちの熱カチオン重合開始剤としては、例えば、常温では不活性であるが加熱されて臨界温度(反応開始温度)に達すると開裂してカチオンを発生し、カチオン重合を開始させ得る化合物が挙げられる。このような化合物としては、例えば、アルミニウムキレート錯体、鉄−アレン錯体、チタノセン錯体、アリールシラノール−アルミニウム錯体などの有機金属錯体、六フッ化アンチモンイオン(SbF6-)、四フッ化アンチモンイオン(SbF4-)、六フッ化ヒ素イオン(AsF6-)、六フッ化リンイオン(PF6-)などを陰イオン成分とする窒素のオニウム塩、イオウのオニウム塩、リンのオニウム塩及びヨードのオニウム塩、具体的には、4級アンモニウム塩型化合物、スルホニウム塩型化合物、ホスホニウム塩型化合物及びヨードニウム塩型化合物などが挙げられる。これらは、一種を単独で又は二種以上を組み合わせて使用することができる。
【0024】
上記アルミニウムキレート錯体としては、アルミニウムエチルアセトアセテート・ジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムアルキルアセトアセテート・ジイソプロピレート、アルミニウムビスエチルアセトアセテート・モノアセチルアセトネート、アルミニウムトリスアセチルアセトネート及びアルミニウムイソプロピレートなどが挙げられる。
上記4級アンモニウム塩型化合物としては、例えば、N,N−ジメチル−N−ベンジルアニリニウム六フッ化アンチモン、N,N−ジエチル−N−ベンジルアニリニウム四フッ化ホウ素、N,N−ジメチル−N−ベンジルピリジニウム六フッ化アンチモン、N,N−ジエチル−N−ベンジルピリジニウムトリフルオロメタンスルホン酸、N,N−ジメチル−N−(4−メトキシベンジル)ピリジニウム六フッ化アンチモン、N,N−ジエチル−N−(4−メトキシベンジル)ピリジニウム六フッ化アンチモン、N,N−ジエチル−N−(4−メトキシベンジル)トルイジニウム六フッ化アンチモン及びN,N−ジメチル−N−(4−メトキシベンジル)トルイジニウム六フッ化アンチモンなどが挙げられる。
【0025】
上記スルホニウム塩型化合物としては、例えば、トリフェニルスルホニウム四フッ化ホウ素、トリフェニルスルホニウム六フッ化アンチモン、トリフェニルスルホニウム六フッ化ヒ素、トリ(4−メトキシフェニル)スルホニウム六フッ化ヒ素及びジフェニル(4−フェニルチオフェニル)スルホニウム六フッ化ヒ素などが挙げられる
上記ホスホニウム塩型化合物としては、例えば、エチルトリフェニルホスホニウム六フッ化アンチモン、テトラブチルホスホニウム六フッ化アンチモン等が挙げられる。
上記ヨードニウム塩型化合物としては、例えば、ジフェニルヨードニウム六フッ化ヒ素、ジ−4−クロロフェニルヨードニウム六フッ化ヒ素、ジ−4−ブロムフェニルヨードニウム六フッ化ヒ素、ジ−p−トリルヨードニウム六フッ化ヒ素、フェニル(4−メトキシフェニル)ヨードニウム六フッ化ヒ素等が挙げられる。
なお、上記化合物の中には、光カチオン重合開始剤の機能と熱カチオン重合開始剤の機能とを兼ね備えているものもある。
【0026】
熱カチオン重合開始剤の反応開始温度は、通常100〜180℃程度である。本発明の硬化性樹脂組成物において、(D)成分のうちの熱カチオン重合開始剤としては、反応開始温度が150℃以下、望ましくは60〜100℃のアルミニウムキレート錯体が好ましく、反応開始温度が150℃以下のアルミニウムキレート錯体としては、アルミニウムエチルアセトアセテート・ジイソプロピレート、アルミニウムトリスアセチルアセトネート、アルミニウムイソプロピレート及びアルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)などが挙げられる。
本発明の硬化性樹脂組成物において、(D)成分の光カチオン重合開始剤及び/又は熱カチオン重合開始剤の配合量は、(A)成分のカチオン重合性化合物と(C)成分のエポキシ基又はオキセタン基を有する(メタ)アクリレートの合計100質量部に対して、通常0.1〜10質量部程度、好ましくは0.2〜7質量部である。(D)成分の配合量が0.1質量部以上であると、カチオン重合開始剤としての効果が得られ、また、10質量部以下であると、効果と経済性のバランスが良好となる。
【0027】
本発明の硬化性樹脂組成物で用いる(E)成分は、光ラジカル重合開始剤及び/又は熱ラジカル重合開始剤である。(E)成分のうちの光ラジカル重合開始剤としては、例えば、下記一般式(1)で表されるα−ヒドロキシケトン、下記一般式(2)で表されるアシルホスフィンオキサイド又はこれらの混合物であって、波長200〜440nmの間、好ましくは220〜400nmの間に光吸収ピークを有するものを用いることができる。
【0028】
【化3】

【0029】
式中、R1は炭素数6〜15のアリール基を示し、このアリール基は、芳香環上に低級アルキル基(例えばメチル基、エチル基など)や低級アルコキシ基(例えばメトキシ基、エトキシ基など)を有していてもよい。R2及びR3は、それぞれ独立に炭素数1〜4のアルキル基を示し、R2とR3は互いに結合して環状構造を形成していてもよい。
1で示される炭素数6〜15のアリール基としては、フェニル基、トリル基、ジメチルフェニル基、トリメチルフェニル基、エチルフェニル基、プロピルフェニル基、イソプロピルフェニル基、ナフチル基、メチルナフチル基及び2−ヒドロキシエトキシフェニル基などが挙げられる。R2及びR3で示される炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基及びt−ブチル基が挙げられる。また、R2とR3が互いに結合して形成された環状構造を有する基としては、シクロヘキシル基などが挙げられる。
【0030】
【化4】

【0031】
式中、R4は炭素数6〜15のアリール基、R5及びR6は、それぞれ独立に炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基又は炭素数6〜15のアリール基を示し、上記アルキル基及びアルコキシ基は、直鎖状、分岐状及び環状のいずれであってもよい。R4で示される炭素数6〜15のアリール基、及びR5、R6のうちの炭素数6〜15のアリール基は、芳香環上に低級アルキル基や低級アルコキシ基を有していてもよい。
4、R5、R6で示される炭素数6〜15のアリール基としては、上記R1において例示したアリール基と同様のものが挙げられる。R5及びR6で示される炭素数1〜6のアルキル基としては、上記R2及びR3において例示したアルキル基に加えて、各種ペンチル基、各種ヘキシル基及びシクロヘキシル基などが挙げられる。R5及びR6で示される炭素数1〜6のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、各種ペントキシ基及び各種ヘキシルオキシ基が挙げられる。
【0032】
上記一般式(1)で表されるα−ヒドロキシケトンとしては、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(4−イソプロピルフェニル)プロパン−1−オンなどが挙げられる。
【0033】
上記一般式(2)で表されるアシルホスフィンオキサイドとしては、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−ホスフィンオキサイド、2,6−ジメチルベンゾイル−ジフェニル−ホスフィンオキサイド、2,6−ジメトキシベンゾイル−ジフェニル−ホスフィンオキサイド、ベンゾイル−ジフェニル−ホスフィンオキサイド;2,4,6−トリメチルベンゾイル−メトキシ−フェニル−ホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−エトキシ−フェニル−ホスフィンオキサイド、2,6−ジメチルベンゾイル−エトキシ−フェニル−ホスフィンオキサイド、2,6−ジメトキシベンゾイル−エトキシ−フェニル−ホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジメトキシ−ホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ビス(4−メトキシフェニル)ホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジシクロヘキシル−ホスフィンオキサイド、2,6−ジメチルベンゾイル−ジシクロヘキシル−ホスフィンオキサイド、2,6−ジメトキシベンゾイル−ジシクロヘキシル−ホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ビス(2−メチルプロピル)ホスフィンオキサイド及び2,4,6−トリメチルベンゾイル−ビス(4−ペンチルオキシフェニル)ホスフィンオキサイドなどが挙げられる。
これらの光ラジカル重合開始剤は、一種を単独で又は二種以上を組み合わせて使用することができる。
【0034】
本発明の硬化性樹脂組成物において、光ラジカル重合開始剤としては、一般式(1)で表されるα−ヒドロキシケトンと一般式(2)で表されるアシルホスフィンオキサイドとの組み合わせが好ましく、例えば、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オンと2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−ホスフィンオキサイドとの組み合わせ、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(4−イソプロピルフェニル)プロパン−1−オンと2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−ホスフィンオキサイドとの組み合わせなどが挙げられる。
さらに、光ラジカル重合開始剤として、上記のα−ヒドロキシケトン及び/又はアシルホスフィンオキサイドと、以下に示す化合物、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテルのようなベンゾイン類;アセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オンのようなアセトフェノン類、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパノン−1、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、N,N−ジメチルアミノアセトフェノンのようなアミノアセトフェノン類、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−ターシャリーブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノンのようなアントラキノン類、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントンのようなチオキサントン類、アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタールのようなケタール類、ベンゾフェノン、4,4′−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノンのようなベンゾフェノン類又はキサントン類などとを、必要に応じて組み合わせてもよい。
【0035】
(E)成分のうちの熱ラジカル重合開始剤としては、有機過酸化物及びアゾ化合物が挙げられる。有機過酸化物の具体例としては、メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド、メチルアセテートパーオキサイド、アセチルアセテートパーオキサイド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−2−メチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3、3.5−トリメチルシクロヘキサン、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、t−ブチルハイドロパーオキサイド、t−ヘキシルハイドロパーオキサイドなどが挙げられる。
【0036】
アゾ化合物の具体例としては、4−メトキシフェニルアゾ−2−(メチルプロパンジニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロ)ニトリル(ADVN)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、1−[(1−シアノ−1−メチルエチル)アゾ]ホルムアミド、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル)、2−フェニルアゾ−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビス(2−メチル−N−フェニルプロピオンアミジン)ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビス[N−(4−クロロフェニル)−2−メチルプロピオンアミジン]ジヒドロクロリド及び2,2’−アゾビス[N−(4−ヒドロフェニル)−2−メチルプロピオンアミジン]ジヒドロクロリドなどが挙げられる。
これらの熱ラジカル重合開始剤は、一種を単独で又は二種以上を組み合わせて使用することができる。
【0037】
本発明において、熱ラジカル重合開始剤としては、反応開始温度150℃以下のものが好ましく、反応開始温度150以下の熱ラジカル重合開始剤としては、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロ)ニトリル(ADVN)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、4−メトキシフェニルアゾ−2−(メチルプロパンジニトリル)及び2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)などが挙げられる。本発明においては、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロ)ニトリル(ADVN)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)及びこれらの混合物が好適である。
本発明の硬化性樹脂組成物において、(E)成分の光ラジカル重合開始剤及び/又は熱ラジカル重合開始剤の配合量は、(B)成分のラジカル重合性化合物と(C)成分のエポキシ基又はオキセタン基を有する(メタ)アクリレートの合計100質量部に対して、通常0.1〜20質量部程度、好ましくは0.3〜10質量部である。(E)成分の配合量が0.1質量部以上であると、ラジカル重合開始剤としての効果が得られ、また、20質量部以下であると、効果と経済性のバランスが良好となる。
【0038】
本発明の硬化性樹脂組成物には、(F)成分としてシリコーン化合物及び/又はシリコーンレジンを配合することができる。シリコーン化合物及び/又はシリコーンレジンを配合すると、硬化性樹脂組成物の接着性、特にガラス基板などに対する接着性が良好となる。このシリコーン化合物やシリコーンレジンの具体例としては、メトキシ基を含有するメチルフェニル系シリコーン、メトキシ基を含有するメチル系シリコーン、シラノール基を含有するメチルフェニル系シリコーン及びオルト珪酸テトラメチルなどが挙げられる。
【0039】
これらのシリコーン化合物やシリコーンレジンは、一種を単独で又は二種以上を組み合わせて使用することができる。これらのうち、本発明の硬化性樹脂組成物においては、メトキシ基を含有するメチルフェニル系シリコーン及びメトキシ基を含有するメチル系シリコーンが好ましい。
(F)成分のシリコーン化合物及び/又はシリコーンレジンの配合量は、本発明の硬化性樹脂組成物の硬化物に基づき0.1〜10質量%の範囲であることが好ましく、0.5〜3質量%がより好ましい。この配合量を0.1質量%以上とすることにより十分な接着性を発現し、10質量%以下とすることにより、シリコーン化合物及び/又はシリコーンレジンに起因する気泡や白濁の発生を抑制することができるため十分な接着性を発現させることができる。
【0040】
本発明の硬化性樹脂組成物には、光照射による硬化速度を遅延させて、硬化性樹脂組成物に後硬化性を付与するために、硬化制御剤が含有されていることが好ましい。上記硬化制御剤としては、例えば、水酸基を有する脂肪族炭化水素やポリエーテル化合物等が挙げられる。これらの硬化制御剤は、一種を単独で又は二種以上を組み合わせて使用することができる。
上記水酸基を有する脂肪族炭化水素としては、例えば、グリセリンやペンタエリスリトールなどの多官能水酸基含有化合物等が挙げられる。上記ポリエーテル化合物としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコールなどのポリアルキレンオキサイドや、18−クラウン−6、15─クラウン−5、12−クラウン−4などのクラウンエーテル等が挙げられる。
【0041】
上記硬化制御剤のうち、ポリアルキレンオキサイドが好ましく、ポリエチレングリコールやポリプロピレングリコールがより好ましい。
本発明の硬化性樹脂組成物中における上記硬化制御剤の含有量は、(A)成分のカチオン重合性化合物と(B)成分のラジカル重合性化合物と(C)成分のエポキシ基又はオキセタン基含有(メタ)アクリレートの合計100質量部に対して、通常0.1〜20質量部程度である。
本発明の硬化性樹脂組成物には、必要に応じて、例えば、粘接着性ポリマー、粘接着性付与剤、粘度調整剤、揺変性付与剤、力学的物性を改善するための物性調整剤、乾燥剤、補強剤、増量剤、軟化剤、タレ防止剤、酸化防止剤、熱安定剤、難燃剤、帯電防止剤及び有機溶剤などの公知の各種添加剤を添加してもよい。
【0042】
本発明の硬化性樹脂組成物の調製方法については特に制限はないが、例えば、(A)〜(E)成分、及び必要に応じて配合される(F)成分や各種添加剤を適宜配合して、万能ミキサー、バンバリーミキサー、ニーダー、2本ロール、3本ロール又は押出機等の公知の各種混練機で均一に混練することにより、調製することができる。
本発明の硬化性樹脂組成物は、光と熱あるいは熱により硬化させることができる。例えば、本発明硬化性樹脂組成物が、(D)成分として熱カチオン重合開始剤を含み、かつ(E)成分として光ラジカル重合開始剤を含む場合は、光と熱により硬化させることができる。この場合,熱カチオン重合開始剤と光ラジカル重合開始剤の添加時期については特に制限はなく、状況に応じて、当該組成物に最初から両重合開始剤を含有させてもよいし、それぞれの重合開始剤を、時期をずらして加えてもよい。
具体的には、まず、(A)成分のカチオン重合性化合物と(B)成分のラジカル重合性化合物と(C)成分のエポキシ基又はオキセタン基含有(メタ)アクリレートと(E)成分の光ラジカル重合開始剤を含む光硬化樹脂組成物を調製し、これに好ましくは100℃以下、より好ましくは40〜80℃の温度にて光を照射して不完全硬化させる。次いで、この不完全硬化物に(D)成分の熱カチオン重合開始剤を加えた後、好ましくは150℃以下、より好ましくは60〜100℃の温度で加熱して完全硬化させる方法などを用いることができる。
【0043】
また、本発明硬化性樹脂組成物が、(D)成分として熱カチオン重合開始剤を含み、かつ(E)成分として熱ラジカル重合開始剤を含む場合は、熱のみにより硬化させることができる。この場合,熱カチオン重合開始剤と熱ラジカル重合開始剤の添加時期については特に制限はなく、状況に応じて、当該組成物に最初から両重合開始剤を含有させてもよいし、それぞれの重合開始剤を、時期をずらして加えてもよい。
具体的には、まず、(A)成分のカチオン重合性化合物と(B)成分ラジカル重合性化合物と(C)成分のエポキシ基又はオキセタン基含有(メタ)アクリレートと(D)成分の熱カチオン重合開始剤と(E)成分の熱ラジカル重合開始剤を含む熱硬化樹脂組成物を調製し、好ましくは150℃以下、より好ましくは60〜100℃の温度で加熱して、一段で完全硬化させる方法、あるいは(A)成分のカチオン重合性化合物と(B)成分のラジカル重合性化合物と(C)成分のエポキシ基又はオキセタン基含有(メタ)アクリレートと(D)成分の熱カチオン重合開始剤を含む熱硬化樹脂組成物を調製し、好ましくは100℃以下、より好ましくは40〜80℃の温度で加熱して不完全硬化させた後、これに(E)成分の熱ラジカル重合開始剤を加え、このものを好ましくは150℃以下、より好ましくは60〜100℃の温度で加熱して完全硬化させる方法などを用いることができる。熱源としては、乾燥炉、ホットプレートなどを用いることができる。
【0044】
上記光を照射するための光源としては、通常、は波長200〜440nm程度、好ましくは波長220〜400nmの光を含む光を照射し得るものであればどのような光源であってもよい。このような光源としては、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、エキシマレーザー、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、マイクロウェーブ励起水銀灯、メタルハライドランプ、ナトリウムランプ、ハロゲンランプ、キセノンランプ、蛍光灯及び太陽光などが挙げられる。これらは単独で用いても二種以上を併用してもよい。これらの光源の使用に際しては、例えば光カットフィルター等を用いて波長200nm未満の光を除去することが好ましい。
【0045】
このようにして得られた硬化性樹脂組成物の硬化物は、分光光度計で波長380〜1000nmにおいて測定した全光線透過率が95%以上、ガラス転移温度が100℃以下、かつJIS Z 0208に準拠して、温度60℃、相対湿度90%の条件下で測定した透湿度が100(g/m2・24h/100μm)以下であることを要する。ガラス転移温度の下限は、0℃程度である。
本発明の硬化性樹脂組成物は、例えば、接着剤、封止剤、片面テープ、両面テープ、封止フィルム等の種々の用途に用いることができる。また、これらを介して、特に、表示素子のような透明又は半透明の構造体に好適に用いることができる。
本発明の表示素子用接着剤は、上述した本発明の硬化性樹脂組成物を用いてなる。本発明の表示素子用接着剤は、良好な作業性を得る観点から、後硬化性を有していることが好ましい。
【0046】
本発明はまた、上記本発明の硬化性樹脂鎖生物を用いてなる表示素子用接着剤、及び接着方法をも提供する。
本発明の接着方法には、以下に示す接着方法1、接着方法2及び接着方法3の3つの態様がある。
[接着方法1]
接着方法1は、本発明の表示素子用接着剤を用いて、表示素子を構成する部材同士を貼り合わせ、接着するに当たり、該表示素子用接着剤を光照射又は加熱処理により、不完全硬化させた後、この接着剤を介して当該部材同士を貼り合わせ、上記接着剤を完全硬化処理することを特徴とする接着方法である。
具体的には、表示素子を構成する少なくとも一つの部材の接着面に表示素子用接着剤からなる層を設け、100℃以下の温度、好ましくは40〜80℃の温度で光照射又は加熱処理して不完全硬化させた後、部材同士を貼り合わせ、150℃以下、好ましくは60〜100℃の温度で加熱して完全硬化処理し、接着させる方法を挙げることができる。
[接着方法2]
接着方法2は、本発明の表示素子用接着剤を用いて、表示素子を構成する部材同士を貼り合わせ、接着するに当たり、表示素子を構成する少なくとも一つの部材の接着面に、該表示素子用接着剤からなる層を設けた後、当該部材同士を貼り合わせ、150℃以下、好ましくは60〜100℃の温度で加熱して完全硬化処理することを特徴とする接着方法である。
[接着方法3]
接着方法3は、本発明の表示素子用接着剤を用いて、表示素子を構成する部材同士を貼り合わせ、接着するに当たり、当該部材間に上記表示素子用接着剤を充填した後、150℃以下、好ましくは60〜100℃の温度で加熱して完全硬化処理することを特徴とする接着方法である。
【0047】
上記接着方法1及び2の場合、被着体としては、例えば、表示素子の基板と封止板との組み合わせが挙げられる。上記接着方法3の場合、被着体としては、例えば、表示素子の基板と封止板との組み合わせ、表示素子とガラス管又は金属管組み合わせが挙げられる。後者の場合、表示素子とガラス管又は金属管との間に充填された表示素子用接着剤により、表示素子の外面とガラス管又は金属管の内面とが接着される。
本発明は、上記接着方法により得られた表示素子をも提供する。表示素子としては、有機EL素子などが挙げられる。
本発明の表示素子用接着剤は、表示素子における部材同士の接着(封止など)以外に、例えば、集積回路、大規模集積回路、トランジスタ、サイリスタ、ダイオードなどの半導体電子部品や他の電子部品等の封止用材料としても好適である。
【実施例】
【0048】
次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。なお、各例で得られた樹脂組成物は、下記の方法により評価した。
1.冷凍保管後の粘度
E型粘度計(商品名「VM−150III」、東洋産業(株)製)を用いて25℃における粘度を測定した。
2.最低全光線透過率
ガラス板(厚み0.7mm)に樹脂組成物を硬化塗膜の厚みが100μmとなるように塗工し、100℃に調整した乾燥炉内で1時間かけて硬化させた。次いで、分光光度計(商品名「JASCO V−570、UV/VIS/NIR spectrophotometer」、日本分光(株)製)を用いて、波長380〜1000nmの光の全透過率(%)を測定した。
3.ガラス転移温度
アルミニウム製カップに樹脂組成物を入れ、100℃に調整した乾燥炉内で1時間かけて硬化させ、この硬化物を用いてガラス転移温度(Tg)を測定した。測定には、熱・応用・歪測定装置(商品名「EXSTAR6000 TMA/SS600」、セイコーインスツルメンツ(株)製)を用いた。
4.透湿度
最低全光線透過率の場合と同様にして得られた硬化塗膜を直径6cmの円形に裁断し、これを、塩化カルシウムが入れられたJIS Z 0208に規定の透湿カップの上に載置し、硬化塗膜の周辺を蝋で固定した。次いで、温度60℃、相対湿度90%の雰囲気下に24時間放置した後、塩化カルシウムの質量変化を測定して、透湿度(g/m2・24h/100μm)を求めた。
5. ガラスに対する接着強度
スライトガラスの接着面積を0.78cm2に調整した後、オートグラフ(商品名「AG−1000D」、(株)島津製作所製)を使用して引張り試験を行い、接着部が剥離するまでの引張り強度を測定し。
【0049】
実施例1
熱カチオン重合性化合物として、カチオン重合性モノマー(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(3’,4’−エポキシ)シクロヘキサンカルボキシレート、商品名「セロキサイド2021P」、ダイセル化学工業(株)製)10質量部とカチオン重合性プレポリマー(水添ビスフェノールA、商品名「EP−4080E」、旭電化工業(株)製)20質量部、ラジカル重合性化合物として、グリシジルメタクリレート(和光純薬工業(株)製)30質量部と単官能アクリレート(ジシクロペンタニルアクリレート、商品名「FA−513A」、日立化成工業(株)製)25質量部、熱カチオン重合開始剤(アルミニウムエチルアセトアセテート・ジイソプロピレート、商品名「ALCH」、川研ファインケミカル(株)製)0.5質量部、シリコーンレジン(メトキシ基含有メチルフェニル系シリコーン、商品名「KR213」、信越化学工業(株)製)2.25質量部及び熱ラジカル重合開始剤(2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロ)ニトリル、商品名「ADVN」、和光純薬工業(株)製)1質量部を混合し、均一に攪拌・混練して、液状の樹脂組成物を調製し、脱泡して冷凍保管した。冷凍保管後の粘度は40mPa・sであった。上記の方法により測定した硬化物の全光線透過率は99%、透湿度は50(g/m2・24h/100μm)であった。これらを、他の評価結果と共に表1に示す。
【0050】
実施例2
熱カチオン重合性化合物として、カチオン重合性モノマー(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(3’,4’−エポキシ)シクロヘキサンカルボキシレート、商品名「セロキサイド2021P」、ダイセル化学工業(株)製)13質量部とカチオン重合性プレポリマー(水添ビスフェノールA、商品名「EP−4080E」、旭電化工業(株)製)15質量部、ラジカル重合性化合物として、グリシジルメタクリレート(和光純薬工業(株)製)25質量部と単官能アクリレート(ジシクロペンタニルアクリレート、商品名「FA−513A」、日立化成工業(株)製)40質量部、熱カチオン重合開始剤(アルミニウムエチルアセトアセテート・ジイソプロピレート、商品名「ALCH」、川研ファインケミカル(株)製)0.5質量部及びシリコーンレジン(メトキシ基含有メチルフェニル系シリコーン、商品名「KR213」、信越化学工業(株)製)2.25質量部を混合し、均一に攪拌・混練した後、80℃で1時間加熱し、約30℃に冷却した後、熱ラジカル重合開始剤(2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロ)ニトリル、商品名「ADVN」、和光純薬工業(株)製)1質量部を混合し、均一に攪拌して、液状の樹脂組成物を調製し、脱泡して冷凍保管した。冷凍保管後の粘度は5000mPa・sであった。上記の方法により測定した硬化物の全光線透過率は99%、透湿度は40(g/m2・24h/100μm)であった。これらを、他の評価結果と共に表2に示す。
【0051】
実施例3
熱カチオン重合性化合物として、カチオン重合性モノマー(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(3’,4’−エポキシ)シクロヘキサンカルボキシレート、商品名「セロキサイド2021P」、ダイセル化学工業(株)製)20質量部とカチオン重合性プレポリマー(水添ビスフェノールA、商品名「EP−4080E」、旭電化工業(株)製)10質量部、ラジカル重合性化合物として、グリシジルメタクリレート(和光純薬工業(株)製)10質量部と単官能アクリレート(ジシクロペンタニルアクリレート、商品名「FA−513A」、日立化成工業(株)製)35質量部及び光ラジカル重合開始剤(一般式(1)で表されるα−ヒドロキシケトンと一般式(2)で表されるアシルホスフィンオキサイドを含む混合物、商品名「KTO46」、日本シイベルヘグナー(株)製)1質量部を混合して均一に攪拌・混練し、次いで、5000mJ/cm2(λ=365nm)の紫外線を照射した後、熱カチオン重合開始剤(アルミニウムエチルアセトアセテート・ジイソプロピレート、商品名「ALCH」、川研ファインケミカル(株)製)0.5質量部及びシリコーンレジン(メトキシ基含有メチルフェニル系シリコーン、商品名「KR213」、信越化学工業(株)製)2.25質量部を混合して液状の樹脂組成物を調製し、脱泡して冷凍保管した。冷凍保管後の粘度は10000mPa・sであった。上記の方法により測定した硬化物の全光線透過率は99%、透湿度は100(g/m2・24h/100μm)であった。これらを、他の評価結果と共に表2に示す。
【0052】
実施例4
熱カチオン重合性化合物として、カチオン重合性モノマー(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(3’,4’−エポキシ)シクロヘキサンカルボキシレート、商品名「セロキサイド2021P」、ダイセル化学工業(株)製)20質量部とカチオン重合性プレポリマー(水添ビスフェノールA、商品名「EP−4080E」、旭電化工業(株)製)20質量部、ラジカル重合性化合物として、グリシジルメタクリレート(和光純薬工業(株)製)10質量部と単官能アクリレート(ジシクロペンタニルアクリレート、商品名「FA−513A」、日立化成工業(株)製)10質量部、熱ラジカル重合開始剤(2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロ)ニトリル、商品名「ADVN」、和光純薬工業(株)製)0.5質量部及び光ラジカル重合開始剤(一般式(1)で表されるα−ヒドロキシケトンと一般式(2)で表されるアシルホスフィンオキサイドを含む混合物、商品名「KTO46」、日本シイベルヘグナー(株)製)1質量部を混合して均一に攪拌・混練し、次いで、5000mJ/cm2(λ=365nm)の紫外線を照射した後、熱カチオン重合開始剤(アルミニウムエチルアセトアセテート・ジイソプロピレート、商品名「ALCH」、川研ファインケミカル(株)製)0.5質量部及びシリコーンレジン(メトキシ基含有メチルフェニル系シリコーン、商品名「KR213」、信越化学工業(株)製)2.25質量部を混合して液状の樹脂組成物を調製し、脱泡して冷凍保管した。冷凍保管後の粘度は80000mPa・sであった。上記の方法により測定した硬化物の全光線透過率は97%、透湿度は30(g/m2・24h/100μm)であった。これらを、他の評価結果と共に表2に示す。
【0053】
実施例5
表1に示す配合成分を用い、実施例3と同様にして液状の樹脂組成物を調製し、脱泡して冷凍保管した。冷凍保管後の粘度は20000mPa・sであった。上記の方法により測定した硬化物の全光線透過率は96%、透湿度は50(g/m2・24h/100μm)であった。これらを、他の評価結果と共に表2に示す。
【0054】
実施例6
表1に示す配合成分を用い、実施例4と同様にして液状の樹脂組成物を調製し、脱泡して冷凍保管した。冷凍保管後の粘度は60000mPa・sであった。上記の方法により測定した硬化物の全光線透過率は99%、透湿度は50(g/m2・24h/100μm)であった。これらを、他の評価結果と共に表2に示す。
【0055】
比較例1
熱カチオン重合性化合物として、カチオン重合性モノマー(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(3’,4’−エポキシ)シクロヘキサンカルボキシレート、商品名「セロキサイド2021P」、ダイセル化学工業(株)製)20質量部、熱カチオン重合開始剤(アルミニウムエチルアセトアセテート・ジイソプロピレート、商品名「ALCH」、川研ファインケミカル(株)製)0.25質量部及びシリコーンレジン(メトキシ基含有メチルフェニル系シリコーン、商品名「KR213」、信越化学工業(株)製)1.25質量部を混合して液状の樹脂組成物を調製し、脱泡して冷凍保管した。冷凍保管後の粘度は400mPa・sであった。上記の方法により測定した硬化物の全光線透過率は99%、透湿度は500(g/m2・24h/100μm)であった。これらを、他の評価結果と共に表2に示す。
【0056】
比較例2
熱カチオン重合性化合物として、カチオン重合性プレポリマー(水添ビスフェノールA、商品名「EP−4080E」、旭電化工業(株)製)20質量部、ラジカル重合性化合物として、単官能アクリレート(ジシクロペンタニルアクリレート、商品名「FA−513A」、日立化成工業(株)製)25質量部、熱カチオン重合開始剤(アルミニウムエチルアセトアセテート・ジイソプロピレート、商品名「ALCH」、川研ファインケミカル(株)製)0.25質量部、シリコーンレジン(メトキシ基含有メチルフェニル系シリコーン、商品名「KR213」、信越化学工業(株)製)1.25質量部及び熱ラジカル重合開始剤(2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロ)ニトリル、商品名「ADVN」、和光純薬工業(株)製)1質量部を混合し、均一に攪拌・混練して、液状の樹脂組成物を調製し、脱泡して冷凍保管した。冷凍保管後の粘度は50mPa・sであった。上記の方法により測定した硬化物の全光線透過率は99%、透湿度は800(g/m2・24h/100μm)であった。これらを、他の評価結果と共に表2に示す。
【0057】
【表1】

【0058】
【表2】

【0059】
表2から明らかなように、実施例1〜6の樹脂組成物の硬化物は、波長380〜1000nmの光の全光線透過率が95%以上、ガラス転移温度が100℃以下、及び透湿度が100(g/m2・24h/100μm)以下の要件を満たし、かつガラスに対する接着強度が十分なものであった。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明の硬化性樹脂組成物は、全光線透過率が高く、ガラス転移温度が一定値以下で、かつ透湿度が低い硬化物を与え、有機EL素子等の表示素子用接着剤として好適である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)カチオン重合性化合物、(B)ラジカル重合性化合物、(C)エポキシ基又はオキセタン基を有する(メタ)アクリレート、(D)光カチオン重合開始剤及び/又は熱カチオン重合開始剤並びに(E)光ラジカル重合開始剤及び/又は熱ラジカル重合開始剤を含有する硬化性樹脂組成物であって、該樹脂組成物の硬化物が、分光光度計で波長380〜1000nmにおいて測定した全光線透過率:95%以上、ガラス転移温度:100℃以下、及びJIS Z 0208に準拠して、温度60℃、相対湿度90%の条件下で測定した透湿度:100(g/m2・24h/100μm)以下であることを特徴とする硬化性樹脂組成物。
【請求項2】
(A)成分のカチオン重合性化合物が、カチオン重合性モノマーとカチオン重合性プレポリマーとの組み合わせである請求項1に記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項3】
(B)成分のラジカル重合性化合物が、単官能(メタ)アクリレートである請求項1又は2に記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項4】
(D)成分における熱カチオン重合開始剤が、反応開始温度が150℃以下のアルミニウムキレート錯体である請求項1〜3のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項5】
(E)成分における光ラジカル重合開始剤が、下記一般式(1)で表されるα−ヒドロキシケトン、下記一般式(2)で表されるアシルホスフィンオキサイド又はこれらの混合物であって、波長200〜440nmの間に光吸収ピークを有するものである請求項1〜4のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
【化1】

(式中、R1は炭素数6〜15のアリール基、R2及びR3は、それぞれ独立に炭素数1〜4のアルキル基を示し、R2とR3は互いに結合して環状構造を形成していてもよい。)
【化2】

(式中、R4は炭素数6〜15のアリール基、R5及びR6は、それぞれ独立に炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基又は炭素数6〜15のアリール基を示す。)
【請求項6】
(E)成分における熱ラジカル重合開始剤が、反応開始温度150℃以下のものである請求項1〜5のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項7】
(E)成分における熱ラジカル重合開始剤が、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロ)ニトリル、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル又はこれらの混合物である請求項6に記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項8】
(D)成分の光カチオン重合開始剤及び/又は熱カチオン重合開始剤の配合量が、(A)成分と(C)成分の合計100質量部に対して0.1〜10質量部であり、(E)成分の光ラジカル重合開始剤及び/又は熱ラジカル重合開始剤の配合量が、(B)成分と(C)成分の合計100質量部に対して0.1〜20質量部である請求項1〜7のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項9】
さらに、(F)シリコーン化合物及び/又はシリコーンレジンを含有する請求項1〜8のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物を用いてなる表示素子用接着剤。
【請求項11】
請求項10に記載の表示素子用接着剤を用いて、表示素子を構成する部材同士を貼り合わせ、接着するに当たり、該表示素子用接着剤を光照射又は加熱処理により、不完全硬化させた後、この接着剤を介して当該部材同士を貼り合わせ、上記接着剤を完全硬化処理することを特徴とする接着方法。
【請求項12】
表示素子を構成する少なくとも一つの部材の接着面に表示素子用接着剤からなる層を設け、100℃以下の温度で光照射又は加熱処理して不完全硬化させた後、部材同士を貼り合わせ、150℃以下の温度で加熱して完全硬化処理する請求項11に記載の接着方法。
【請求項13】
請求項10に記載の表示素子用接着剤を用いて、表示素子を構成する部材同士を貼り合わせ、接着するに当たり、表示素子を構成する少なくとも一つの部材の接着面に、該表示素子用接着剤からなる層を設けた後、当該部材同士を貼り合わせ、150℃以下の温度で加熱して完全硬化処理することを特徴とする接着方法。
【請求項14】
請求項10に記載の表示素子用接着剤を用いて、表示素子を構成する部材同士を貼り合わせ、接着するに当たり、当該部材間に上記表示素子用接着剤を充填した後、150℃以下の温度で加熱して完全硬化処理することを特徴とする接着方法。
【請求項15】
請求項11〜14のいずれかに記載の接着方法により得られた表示素子。
【請求項16】
有機エレクトロルミネッセンス素子である請求項15に記載の表示素子。

【公開番号】特開2008−13721(P2008−13721A)
【公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−188979(P2006−188979)
【出願日】平成18年7月10日(2006.7.10)
【出願人】(390022415)京セラケミカル株式会社 (424)
【Fターム(参考)】