説明

磁気情報記録媒体用ガラス基板の製造方法

【課題】イオン系コンタミが少なく、かつ乾燥不良が起きず、その結果ヘッド浮上量が微少なハードディスクに搭載してもヘッドクラッシュを起こさない磁気情報記録媒体用ガラス基板の製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】磁気情報記録媒体用ガラス基板を保管ケースに保管する公知を備える磁気情報記録媒体用ガラス基板の製造方法であって、前記保管ケースは、電気抵抗値が10MΩ・cm以下である水溶液を用いてリンスされることを特徴とする磁気情報記録媒体用ガラス基板の製造方法を用いる。前記電気抵抗値が10MΩ・cm以下である水溶液は、水に炭酸ガスを浸透溶解させて調整したものであることが好ましい。また、前記電気抵抗値が10MΩ・cm以下である水溶液は、水に水素ガスを浸透溶解させ、pHを9〜10に調整したものであることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気情報記録媒体用ガラス基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気情報記録装置は、磁気、光及び光磁気等を利用することによって、情報を情報記録媒体に記録させるものである。その代表的なものとしては、例えば、ハードディスクドライブ装置等が挙げられる。ハードディスクドライブ装置は、基板上に記録層を形成した情報記録媒体としての磁気ディスクに対し、磁気ヘッドによって磁気的に情報を記録する装置である。このような情報記録媒体の基材、いわゆるサブストレートとしては、ガラス基板が好適に用いられている。
【0003】
また、ハードディスクドライブ装置は、磁気ヘッドを磁気ディスクに接触することなく、磁気ディスクに対し僅か数nm程度浮上させ、高速回転させながら磁気ディスクに情報を記録させている。さらに、近年においては、ますますハードディスクの記録密度が向上しており、それに伴って磁気ヘッドと磁気ディスクの差(以下、ヘッド浮上量という。)が小さくなってきている。特に、DFH(Dynamic Flying Hight)機構を有するようなハードディスクにおいては、ヘッド浮上量が3nm以下のものが開発されている。しかしながら、DFH機構においては、ヘッド浮上量が極めて小さいために、磁気ヘッドと磁気ディスクとが衝突してヘッドクラッシュが生じるといった問題が頻発していた。
【0004】
また、近年のハードディスクドライブ装置は、その記録密度が向上していることにより、そのハードディスクに使用される基板の表面清浄性の高いものが要求されてきている。さらに、この基板の表面清浄性を高めるために、磁気情報記録媒体用ガラス基板は、微小な付着物が取り除かれたものが強く求められている。
【0005】
前記磁気情報記録媒体用ガラス基板は、通常、プラスチック製の保管ケースに収納されて移送され、次工程へと流れていく。この使用した保管ケースは超音波を伴った洗剤、リンス、乾燥工程による一般的な洗浄方法が用いられてきた。
【0006】
しかし、近年はこれまでの方法で製造した記録媒体を実装試験であるリードライトエラーのテストを行うと欠陥品になることが頻発し、安定して満足のいくスペックのガラス基板を提供できずにいた。
【0007】
欠陥品となったガラス基板を詳細に分析すると微小付着物が検出され、これらの付着物はこれまでは大きな問題とはならなかったが、上述のような記録密度向上やDFH機構に伴って、基板と磁気ヘッド間の浮上量が非常に狭くなってきたことで顕著に発生するようになった。
【0008】
特許文献1には、磁気情報記録媒体用ガラス基板を収納容器に収納する際の雰囲気を、光触媒に対して光を照射して雰囲気中の化合物を分解する処理を施した雰囲気とし、この雰囲気とともに、磁気ディスク用ガラス基板を収納容器に収納する技術が開示されている。
【0009】
しかし、上記の方法では、静電的に空気などからイオン系コンタミが入り込み、ガラス基板にイオン系コンタミが付着してしまう。また、収納容器の内部はガラス基板を収納できるように複雑な形状になっている為に、光が一様に照射できずに、容器内にはコンタミ付着が残存してしまうという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2008−243313号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、前記従来技術に鑑みてなされたものであり、その解決すべき課題は、イオン系コンタミが少なく、かつ乾燥不良が起きず、その結果ヘッド浮上量が微小なハードディスクに搭載してもヘッドクラッシュを起こさない磁気情報記録媒体用ガラス基板の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記課題を解決するために、本発明者らは、磁気情報記録媒体用ガラス基板の製造工程における移送時の収納、及びその収納に用いられるガラス基板保管ケース着目し、鋭意検討を行った。この結果、前述の付着物の発生要因は、ガラス基板の保管ケースであることを突き止めた。
【0013】
そして、電気抵抗値が10MΩ・cm以下である水溶液を用いてガラス基板保管ケースのリンス処理を行い、この保管ケースを用いて収納、移送することでイオン系コンタミが少なく、洗浄度の高い磁気情報記録媒体用ガラス基板を製造し得ることを見出した。さらに、前記磁気情報記録媒体用ガラス基板であれば、ヘッド浮上量が3nm以下と微少なハードディスクに搭載してもヘッドクラッシュを起こしにくいことを見出した。
【0014】
本発明に係る磁気情報記録媒体用ガラス基板の製造方法は、磁気情報記録媒体用ガラス基板を保管ケースに保管する公知を備える磁気情報記録媒体用ガラス基板の製造方法であって、前記保管ケースは、電気抵抗値が10MΩ・cm以下である水溶液を用いてリンスされることを特徴とする。
【0015】
このような構成によれば、イオン系コンタミが少なく、洗浄度の高い磁気情報記録媒体用ガラス基板の製造方法を提供することができる。また、ヘッド浮上量が微少なハードディスクに搭載してもヘッドクラッシュを起こさない磁気情報記録媒体用ガラス基板を提供することができる。
【0016】
また、前記電気抵抗値が10MΩ・cm以下である水溶液は、水に炭酸ガスを浸透溶解させて調整したものであることが好適である。このような構成であれば、収納容器に帯電防止効果を付随させ、静電気による付着を防止することができる。
【0017】
また、前記電気抵抗値が10MΩ・cm以下である水溶液は、水に水素ガスを浸透溶解させ、pHを9〜10に調整したものであることが好適である。このような構成であれば、収納容器に帯電防止効果を付随させ、静電気による付着を防止することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、イオン系コンタミが少なく、洗浄度の高い磁気情報記録媒体用ガラス基板であって、ヘッド浮上量が微少なハードディスクに搭載してもヘッドクラッシュを起こさない磁気情報記録媒体用ガラス基板の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本実施形態に係るリンス処理、及び乾燥処理を説明する図である。
【図2】本実施形態に係る磁気情報記録媒体用ガラス基板の製造方法により製造される磁気情報記録媒体用ガラス基板を示す上面図である。
【図3】本実施形態に係る磁気情報記録媒体用ガラス基板の製造方法における粗研磨工程や精密研磨工程で用いる研磨装置の一例を示す概略断面図である。
【図4】本実施形態に係る磁気情報記録媒体用ガラス基板の製造方法により製造された磁気情報記録媒体用ガラス基板を用いた磁気記録媒体の一例である磁気ディスクを示す一部断面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る実施形態について説明するが、本発明は、これらに限定されるものではない。
【0021】
本実施形態に係る磁気情報記録媒体用ガラス基板の製造方法は、磁気情報記録媒体用ガラス基板を保管ケースに保管する公知を備える磁気情報記録媒体用ガラス基板の製造方法であって、前記保管ケースは、電気抵抗値が10MΩ・cm以下である水溶液を用いてリンスされることを特徴とする。
【0022】
また、本実施形態に係る磁気情報記録媒体用ガラス基板の製造方法は、当該ガラス基板の製造工程の各移送時に前記保管ケースを用いていれば、特に限定されない。具体的には、リンス処理に用いる水溶液として上記のものを用いること以外は、特に限定されず、従来公知の製造方法であればよい。
【0023】
磁気情報記録媒体用ガラス基板の製造方法としては、例えば、ガラス溶融工程、形成工程、熱処理工程、第1ラッピング工程、コアリング加工工程、内・外径加工工程、第2ラッピング工程、端面研磨加工工程、第1ポリッシング工程(粗研磨工程)、化学強化工程、第2ポリッシング工程(精密研磨工程)、洗浄工程、検査工程等を備える方法等が挙げられる。そして、前記各工程を、この順番で行うものであってもよいし、化学強化工程と第2ポリッシング工程との順番が入れ替わったものであってもよい。さらに、これら以外の工程を備える方法であってもよい。
【0024】
特に、洗浄工程については、第1ポリッシング工程の後に行っても、第2ポリッシング工程の後に行ってもよく、さらに第1ポリッシング工程及び第2ポリッシング工程の後にそれぞれ一度ずつ行ってもよい。
【0025】
ここで、本発明の製造方法におけるガラス基板保管ケースの洗浄について詳述する。
【0026】
<ガラス基板保管ケースの洗浄>
ガラス基板保管ケースの洗浄は、具体的に洗浄処理とリンス処理と乾燥処理とを含む以下のような洗浄工程が挙げられる。
【0027】
(洗浄処理)
まず、ガラス基板保管ケースに対して、純水を用いて純水シャワー洗浄を行う。
このシャワー洗浄によって保管ケースに付着しているある程度大きいコンタミを除去することができる。
【0028】
次に、ブラシを用いてブラシ洗浄を用いる。このブラシは、公知のものであれば特に限定されない。この際に、純水をかけながら実施してもよいし、浸漬させた状態でもよい。ブラシ洗浄によって、保管ケースに固着しているコンタミを効率よく除去することができる。
【0029】
次に、超音波による洗剤洗浄を行う。例えば、中性洗剤3質量%の洗浄液に浸漬させて、その洗浄液に80kHzの超音波振動を印加させる。薬品と超音波で効率的にコンタミを分解除去することができる。
【0030】
その後、ガラス素板を取り出す。そして、取り出したガラス素板を中性洗剤液に浸漬させる。その際、その中性洗剤液3質量%に、120kHzの超音波振動を印加させる。前述した超音波とは異なる周波数を用いる理由は、除去したい対象物のサイズによって最適な周波数が存在するためである。一般的に除去対象サイズが小さいほど、超音波の周波数は大きくするのが好ましい。
【0031】
(リンス処理)
続いて、電気抵抗値が10MΩ・cm以下である水溶液を用いて、ガラス基板保管ケースのリンスを行う。ここで、リンスに用いられる水溶液は、電気抵抗値が10MΩ・cm以下である水溶液は、比抵抗が18MΩ・cm以上である超純水に炭酸ガスを浸透溶解させて調整したもの、同じく超純水に水素ガスを浸透溶解させ、pHを9〜10に調整したものであることが好ましい。
【0032】
(乾燥処理)
以上のように、洗浄、リンスを施したガラス基板保管ケースを乾燥させる。乾燥方法としては、例えば、保管ケースの周囲からエアーを供給して水を吹き飛ばして乾燥させるエアーカッターが用いられる。
【0033】
<ガラス溶融工程>
まず、ガラス溶融工程として、ガラス素材を溶融する。ガラス基板の材料としては、例えば、SiO、NaO、CaOを主成分としたソーダライムガラス;SiO、Al、RO(R=K、Na、Li)を主成分としたアルミノシリケートガラス;ボロシリケートガラス;LiO−SiO系ガラス;LiO−Al−SiO系ガラス;R’O−Al−SiO系ガラス(R’=Mg、Ca、Sr、Ba)などを使用することができる。中でも、アルミノシリケートガラスやボロシリケートガラスは、耐衝撃性や耐振動性に優れるため特に好ましい。
【0034】
<成型工程>
次に、成型工程として、溶融したガラスを下型に流し込み、上型によってプレス成形して円板状のガラス基板を得る。なお、円板状のガラス基板は、プレス成形によらず、例えばダウンドロー法やフロート法で形成したシートガラスを研削砥石で切り出して作製してもよい。
【0035】
この成型工程において得たガラス基板の大きさに限定はなく、例えば、外径r1が2.5インチ(約64mm)、1.8インチ(約46mm)、1インチ(約25mm)、0.8インチ(約20mm)等で、厚みが2mm、1mm、0.63mm等の円盤状のガラス素板に加工される。また、外径r1が2.5インチ(約64mm)のときは、内径r2が0.8インチ(約20mm)等に加工される。なお、図2は、本実施形態に係る磁気情報記録媒体用ガラス基板の製造方法により製造される磁気情報記録媒体用ガラス基板を示す上面図である。
【0036】
<熱処理工程>
この熱処理工程は、セッター治具に情報記録媒体用ガラス基板を挟み、熱処理炉にて加熱する工程であり、プレスガラス基板や切り出しガラス基板を耐熱部材のセッターと交互に積層し、高温電気炉工程を通過させて、基板の反りやガラス結晶化を促進させることができる。
【0037】
特にガラス溶融され、プレスにより成形される工程においては、ガラスの冷却温度が均一でないため、ガラス内部に応力歪みを生じる。この応力歪みが原因となり、熱処理工程を行わずに、ラッピングやポリッシングを行うと歪みに応じて微小なクラックが生じる。このクラックの内部に研磨材や異物等が入り込み、高精度の研磨を繰り返しても凸部が発生し、不良品となる。このガラス内部の応力歪みを、円盤加工工程直後に熱処理処理することにより開放することができ、その後にラッピングやポリッシングを行ってもクラックの発生がなく不良品の発生を減少させることができる。
【0038】
熱処理工程の温度は、ガラス転移温度(Tg)より20〜50℃低いことが好ましい。上記範囲より低い温度だと、ガラスの内部応力の開放が不十分となり、微小クラックが発生し異物が埋まってしまう。また、上記範囲より高い温度だと、ガラスの転移温度に近くなり、表面に凹凸ムラが生じやすくなる。熱処理温度での保持時間は、20〜120分が好ましい。
【0039】
また、除冷スピードが早く行うと(急冷)、別の反りが発生するため、除冷スピードは遅い方が好ましい。
【0040】
セッター部材の材質としては、ステンレス(オーステナイト系、マルテンサイト系)、鋳物(FC 系、FCD 系)、耐熱合金( Co 系やNi 系)、セラミックス( SiC、SiCN)等を使用することができる。また、押圧部材表面に、硬度が高く酸化しにくいCRメッキ、Ni−P無電解メッキ等の処理を行うこともできる。押圧面の形状は、上下面とも平坦でかつ、上下面が互いに平行なものを使用することが望ましい。セッター面の形状は、温度によって変形するため、使用温度や型材料の膨張特性などを考慮し、ガラス基板主表面を加圧する際に所望の形状になるように配慮して決定される。
【0041】
<第1ラッピング行程>
ラッピング工程は、前記ガラス素板を所定の板厚に加工する工程である。具体的には、ガラス素板の両面を研削(ラッピング)加工する工程等が挙げられる。このように加工することによって、ガラス素板の平行度、平坦度及び厚みを調整することができる。また、このラッピング工程は、1回であってもよいし、2回以上であってもよい。例えば、2回行う場合、1回目のラッピング工程(第1ラッピング工程)で、ガラス素板の平行度、平坦度及び厚みを予備調整し、2回目のラッピング工程(第2ラッピング工程)で、ガラス素板の平行度、平坦度及び厚みを微調整することが可能となる。
【0042】
より具体的には、前記第1ラッピング工程としては、ガラス素板の表面全体が略均一の表面粗さとなるようにする工程等が挙げられる。その際、例えば、ガラス素板の算術平均粗さRaを複数個所測定した際に、得られたRaの最小値と最大値との差が0.01〜0.4μm程度にすることが好ましい。
【0043】
<コアリング加工行程>
次に、コアリング加工工程で、第1ラッピング工程後のガラス基板の中心部に穴を開ける。穴開けは、カッター部にダイヤモンド砥石等を備えたコアドリル等で研削することで得られる。
【0044】
<外・内径加工行程>
次に、内・外径加工工程として、ガラス基板の外周端面および内周端面を、例えば鼓状のダイヤモンド等の研削砥石により研削することで内・外径加工する。
【0045】
<第2ラッピング工程>
また、前記第2ラッピング工程としては、粗面化されたガラス基板の主表面を、さらに固定砥粒研磨パッドを用いて研削する行程等が挙げられる。この第2ラッピング工程においては、例えば、粗面化されたガラス基板をラッピング装置にセットし、ダイヤモンドタイル(Diamond Tile)のような表面模様付きの三次元固定研磨物を用いることで、ガラス基板の表面をラッピングすることができる。
【0046】
前記第2ラッピング行程を施すと、後述する粗研磨行程にて行われる研磨を効率良く行うことができる。また、第2ラッピング行程によって施された研磨工程に用いるガラス素板ガラス素板の表面粗さRaは0.10μm以下であることが好ましく、0.05μm以下であることがより好ましい。
【0047】
<端面研磨加工工程>
端面研磨加工工程は、第2ラッピング工程を終えたガラス基板の外周面及び内周面の研磨加工を、端面研磨機を用いて研磨する工程である。
【0048】
<第1ポリッシング工程(粗研磨工程)>
第1ポリッシング(粗研磨工程)は、前記ラッピング工程が施されたガラス素板の表面に粗研磨を施す工程である。この粗研磨は、上述したラッピング工程で残留した傷や歪みの除去を目的とするもので、下記の研磨方法を用いて実施する。
【0049】
なお、前記粗研磨工程で研磨する表面は、主表面及び/又は端面である。主端面とは、ガラス素板の面方向に平行な面である。端面とは内周端面と外周端面とからなる面のことである。また、内周端面とは、内周側の、ガラス素板の面方向に垂直な面及びガラス素板の面方向に対して傾斜を有する面である。また、外周端面とは、外周側の、ガラス素板の面方向に垂直な面及びガラス素板の面方向に対して傾斜を有する面である。
【0050】
粗研磨工程で用いる研磨装置は、ガラス基板の製造に用いる研磨装置であれば、特に限定されない。具体的には、図3に示すような研磨装置1が挙げられる。なお、図3は、本実施形態に係る磁気情報記録媒体用ガラス基板の製造方法における粗研磨工程や精密研磨工程で用いる研磨装置1の一例を示す概略断面図である。
【0051】
図3に示すような研磨装置11は、両面同時研削可能な装置である。また、この研磨装置11は、装置本体部11aと、装置本体部11aに研磨液を供給する研磨液供給部11bとを備えている。
【0052】
装置本体部11aは、円盤状の上定盤12と円盤状の下定盤13とを備えており、それらが互いに平行になるように上下に間隔を隔てて配置されている。そして、円盤状の上定盤12と円盤状の下定盤13とが、互いに逆方向に回転する。
【0053】
この円盤状の上定盤12と円盤状の下定盤13との対向するそれぞれの面にガラス素板10の表裏の両面を研磨するための研磨パッド15が貼り付けられている。この粗研磨工程で使用する研磨パッド15は、粗研磨工程で用いられる研磨パッドであれば、特に限定されない。具体的には、例えば、ポリウレタン製の硬質研磨パッド等が挙げられる。
【0054】
また、円盤状の上定盤12と円盤状の下定盤13との間には、回転可能な複数のキャリア14が設けられている。このキャリア14は、複数の素板保持用孔51が設けられており、この素板保持用孔51にガラス素板10をはめ込んで配置することができる。キャリア14としては、例えば、素板保持用孔51を100個有していて、100枚のガラス素板10をはめ込んで配置できるように構成されていてもよい。そうすると、一回の処理(1バッチ)で100枚のガラス素板10を処理できる。
【0055】
研磨パッドを介して定盤12、13に挟まれているキャリア14は、複数のガラス素板10を保持した状態で、自転しながら定盤12,13の回転中心に対して下定盤13と同じ方向に公転する。なお、円盤状の上定盤12と円盤状の下定盤13とは、別駆動で動作することができる。このように動作している研磨装置11において、研磨スラリー16を上定盤12とガラス素板10との間、及び下定盤13とガラス素板10との間、夫々に供給することでガラス素板10の粗研磨を行うことができる。
【0056】
研磨スラリー供給部11bは、液貯留部110と液回収部120とを備えている。液貯留部110は、液貯留部本体110aと、液貯留部本体110aから装置本体部11aに延ばされた吐出口110eを有する液供給管110bとを備えている。液回収部120は、液回収部本体120aと、液回収部本体120aから装置本体部11aに延ばされた液回収管120bと、液回収部本体120aから研磨スラリー供給部11bに延ばされた液戻し管120cとを備えている。
【0057】
そして、液貯留部本体110aに入れられた研磨スラリー7は、液供給管110bの吐出口110eから装置本体部11aに供給され、装置本体部11aから液回収管120bを介して液回収部本体120aに回収される。また、回収された研磨スラリー16は、液戻し管120cを介して液貯留部110に戻され、再度、装置本体部11aに供給可能とされている。
【0058】
ここで用いる研磨液16は、研磨剤を水に分散させた状態の液体、すなわち、スラリー液である。研磨材としては酸化セリウムを含む研磨剤等が挙げられる。この酸化セリウム砥粒の平均粒子径としては、0.4〜1.6μm程度であることが好ましい。
【0059】
また、ここで用いる研磨パッド15は、ウレタンやポリエステル等の合成樹脂の発泡体に、酸化セリウム研磨剤を含有させたものである。
【0060】
<化学強化工程>
本発明の製造方法における化学強化工程は、公知の方法であれば、特に限定されない。具体的には、例えば、ガラス素板を化学強化処理液に浸漬させる工程等が挙げられる。そうすることによって、ガラス素板の表面、例えば、ガラス素板表面から5μmの領域に化学強化層を形成することができる。そして、化学強化層を形成することで耐衝撃性、耐振動性及び耐熱性等を向上させることができる。
【0061】
より詳しくは、化学強化工程は、加熱された化学強化処理液にガラス素板を浸漬させることによって、ガラス素板に含まれるリチウムイオンやナトリウムイオン等のアルカリ金属イオンをそれよりイオン半径の大きなカリウムイオン等のアルカリ金属イオンに置換するイオン交換法によって行われる。イオン半径の違いによって生じる歪みにより、イオン交換された領域に圧縮応力が発生し、ガラス素板の表面が強化される。
【0062】
本実施形態では、ガラス基板の原料であるガラス素板として、上記のようなガラス組成のものを用いることによって、この化学強化工程により、強化層が好適に形成されると考えられる。具体的には、ガラス素板のアルカリ成分であるLiO、NaO、及びKOのうち、NaOの含有量が多く、このNaOのナトリウムイオンが、化学強化処理液に含まれるカリウムイオンに交換されやすいためと考えられる。さらに、化学強化工程を施す前の研磨工程、ここでは粗研磨工程で用いる研磨剤が、上記のような組成の研磨剤であるので、ガラス素板の表面に付着しているアルカリ土類金属の量が少なく、化学強化が均一になされると考えられる。よって、本実施形態のように、好適な化学強化がなされたガラス素板に、精密研磨工程を行うことによって、耐衝撃性に優れたガラス基板を製造することができる。
【0063】
化学強化処理液としては、磁気情報記録媒体用ガラス基板の製造方法における化学強化工程で用いられる化学強化処理液であれば、特に限定されない。具体的には、例えば、カリウムイオンを含む溶融液、及びカリウムイオンやナトリウムイオンを含む溶融液等が挙げられる。
【0064】
これらの溶融液としては、例えば、硝酸カリウム、硝酸ナトリウム、炭酸カリウム、及び炭酸ナトリウム等を溶融させて得られた溶融液等が挙げられる。この中でも、硝酸カリウムを溶融させて得られた溶融液と硝酸ナトリウムを溶融させて得られた溶融液とを組み合わせて用いることが、融点が低く、ガラス素板の変形を防止する観点から好ましい。その際、硝酸カリウムを溶融させて得られた溶融液と硝酸ナトリウムを溶融させて得られた溶融液とを、ほぼ同量ずつの混合させた混合液であることが好ましい。
【0065】
<第2ポリッシング工程(精密研磨工程)>
精密研磨工程は、前記粗研磨工程で得られた平坦平滑な主表面を維持しつつ、例えば、主表面の表面粗さ(Rmax)が6nm程度以下である平滑な鏡面に仕上げる鏡面研磨処理である、この精密研磨工程は、例えば、上記粗研磨工程で使用したものと同様の研磨装置を用い、研磨パッドを硬質研磨パッドから軟質研磨パッドに取り替えて行われる。なお、前記精密研磨工程で研磨する表面は、前記粗研磨工程で研磨する表面と同様、主表面である。
【0066】
また、精密研磨工程で用いる研磨剤としては、粗研磨工程で用いた研磨剤より、研磨性が低くても、傷の発生がより少なくなる研磨剤が用いられる。具体的には、例えば、粗研磨工程で用いた研磨剤より、粒子径が低いシリカ系の砥粒(コロイダルシリカ)を含む研磨剤等が挙げられる。このシリカ系の砥粒の平均粒子径としては、20nm程度であることが好ましい。そして、前記研磨剤を含む研磨スラリー液をガラス素板に供給し、研磨パッドとガラス素板とを相対的に摺動させて、ガラス素板の表面を鏡面研磨する。
【0067】
<洗浄工程>
次に、第2ポリッシング工程を終えた後に洗浄工程としてスクラブ洗浄を行う。特に、スクラブ洗浄に限定するものではなく、研磨工程後のガラス基板表面を清浄にできる洗浄方法であれば良い。
【0068】
スクラブ洗浄がなされたガラス基板に対して、必要により超音波による洗剤洗浄および乾燥処理が行われる。乾燥処理は、ガラス基板表面に残る洗浄液をIPA等を用いて除去し、基板表面を乾燥させる。例えば、スクラブ洗浄後のガラス基板に、洗剤洗浄を2槽、水リンス洗浄工程を3槽、それぞれ3分間行ない、洗浄液の残渣を除去する。次に、IPA(イソプロピルアルコール)洗浄工程を3分間行い、基板上の水を除去する。最後に、IPA(イソプロピルアルコール)蒸気乾燥工程を3分間行い、基板に付着している液状IPAをIPA蒸気により除去しつつ乾燥させる。基板の乾燥処理としてはこれに限定されるわけではなく、スピン乾燥、エアーナイフ乾燥などガラス基板の乾燥方法として一般的に知られた方法であってももちろん構わない。
【0069】
<検査工程>
検査工程では、目視によるキズ、割れや異物の付着等の検査を行う。
目視では判別できないような異物、付着は、光学表面アナライザ(KLA−TENCOL社製、OSA6100)を用いて検査を行う。
【0070】
検査工程で良品と判断されたガラス基板は、異物等が表面に付着しないように、清浄な環境の中で、ガラス基板保管ケースに収納され、真空パックされた後、情報記録媒体用ガラス基板として出荷される。
【0071】
本発明の製造方法では、上述したように検査工程後に良品を保管するケースが、事前に洗浄されている必要がある。
【0072】
<成膜工程>
図4は、本実施形態に係る磁気情報記録媒体用ガラス基板の製造方法により製造された磁気情報記録媒体用ガラス基板を用いた磁気記録媒体の一例である磁気ディスクを示す一部断面斜視図である。この磁気ディスクDは、円形の磁気情報記録媒体用ガラス基板101の主表面に形成された磁性膜102を備えている。磁性膜102の形成には、公知の常套手段による形成方法が用いられる。例えば、磁性粒子を分散させた熱硬化性樹脂を磁気情報記録媒体用ガラス基板101上にスピンコートすることによって磁性膜102を形成する形成方法(スピンコート法)や、磁気情報記録媒体用ガラス基板101上にスパッタリングによって磁性膜102を形成する形成方法(スパッタリング法)や、磁気情報記録媒体用ガラス基板101上に無電解めっきによって磁性膜102を形成する形成方法(無電解めっき法)等が挙げられる。
【0073】
磁性膜102の膜厚は、スピンコート法による場合では、約0.3〜1.2μm程度であり、スパッタリング法による場合では、約0.04〜0.08μm程度であり、無電解めっき法による場合では、約0.05〜0.1μm程度である。薄膜化および高密度化の観点から、スパッタリング法による膜形成が好ましく、また、無電解めっき法による膜形成が好ましい。
【0074】
磁性膜102に用いる磁性材料は、公知の任意の材料を用いることができ、特に限定されない。磁性材料は、例えば、高い保持力を得るために結晶異方性の高いCoを基本とし、残留磁束密度を調整する目的でNiやCrを加えたCo系合金等が好ましい。より具体的には、Coを主成分とするCoPt、CoCr、CoNi、CoNiCr、CoCrTa、CoPtCr、CoNiPt、CoNiCrPt、CoNiCrTa、CoCrPtTa、CoCrPtB、CoCrPtSiO等が挙げられる。
【0075】
磁性膜102は、ノイズの低減を図るために、非磁性膜(例えば、Cr、CrMo、CrV等)で分割された多層構成(例えば、CoPtCr/CrMo/CoPtCr、CoCrPtTa/CrMo/CoCrPtTa等)であってもよい。磁性膜102に用いる磁性材料は、上記磁性材料の他、フェライト系や鉄−希土類系であってもよく、また、SiO、BN等からなる非磁性膜中にFe、Co、FeCo、CoNiPt等の磁性粒子を分散した構造のグラニュラー等であってもよい。また、磁性膜102への記録には、内面型および垂直型のいずれかの記録形式が用いられてよい。
【0076】
また、磁気ヘッドの滑りをよくするために、磁性膜102の表面には、潤滑剤が薄くコーティングされてもよい。潤滑剤として、例えば液体潤滑剤であるパーフロロポリエーテル(PFPE)をフレオン系などの溶媒で希釈したものが挙げられる。
【0077】
さらに必要により磁性膜102に対し下地層や保護層が設けられてもよい。磁気ディスクDにおける下地層は、磁性膜102に応じて適宜に選択される。下地層の材料として、例えば、Cr、Mo、Ta、Ti、W、V、B、Al、Ni等の非磁性金属から選ばれる少なくとも一種以上の材料が挙げられる。例えば、Coを主成分とする磁性膜102の場合には、下地層の材料は、磁気特性向上等の観点からCr単体やCr合金であることが好ましい。
【0078】
また、下地層は、単層とは限らず、同一または異種の層を積層した複数層構造であってもよい。このような複数層構造の下地層は、例えば、Cr/Cr、Cr/CrMo、Cr/CrV、NiAl/Cr、NiAl/CrMo、NiAl/CrV等の多層下地層が挙げられる。磁性膜102の摩耗や腐食を防止する保護層として、例えば、Cr層、Cr合金層、カーボン層、水素化カーボン層、ジルコニア層、シリカ層等が挙げられる。これら保護層は、下地層および磁性膜102と共にインライン型スパッタ装置で連続して形成することができる。また、これら保護層は、単層としてもよく、あるいは、同一または異種の層からなる複数層構成であってもよい。
【0079】
なお、上記保護層上に、あるいは、上記保護層に代えて、他の保護層が形成されてもよい。例えば、上記保護層に代えて、Cr層の上にSiO層が形成されてもよい。このようなSiO層は、Cr層の上にテトラアルコキシシランをアルコール系の溶媒で希釈した中に、コロイダルシリカ微粒子を分散して塗布し、さらに焼成することによって形成される。
【0080】
このような本実施形態における磁気情報記録媒体用ガラス基板101を基体とした磁気記録媒体は、磁気情報記録媒体用ガラス基板101が上述した組成により形成されるので、情報の記録再生を長期に亘り高い信頼性で行うことができる。
【0081】
なお、上述では、本実施形態における磁気情報記録媒体用ガラス基板101を磁気記録媒体に用いた場合について説明したが、これに限定されるものではなく、本実施形態における磁気情報記録媒体用ガラス基板101は、光磁気ディスクや光ディスク等にも用いることが可能である。
【実施例】
【0082】
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0083】
まず、情報記録媒体用ガラス基板の製造に用いられる一般的なガラス基板を用意し、各製造工程(ガラス溶融工程、形成工程、熱処理工程、第1ラッピング工程、コアリング加工工程、内・外径加工工程、第2ラッピング工程、端面研磨加工工程、第1ポリッシング工程(粗研磨工程)、化学強化工程、第2ポリッシング工程(精密研磨工程)、洗浄工程、検査工程)によって得たガラス基板を、下記の実施例1〜4、比較例1の手法で洗浄したガラス基板保管ケースを用いて製造した。
【0084】
(実施例1)
実施例1のガラス基板保管ケースの洗浄は、純水シャワー洗浄、ブラシ洗浄、超音波(80、120kHz)による洗剤洗浄、純水洗浄、および乾燥処理(エアーカッター)の順番で行った。さらに、乾燥前の純水洗浄に使用する純水に約0.001mg/Lの炭酸ガスを溶解せ、純水の純度を維持しながら比抵抗を10MΩ・cmに調整したものを使用した。
【0085】
(実施例2)
実施例1のガラス基板保管ケースの洗浄は、純水シャワー洗浄、ブラシ洗浄、超音波(80、120kHz)による洗剤洗浄、純水洗浄、および乾燥処理(エアーカッター)の順番で行った。さらに、乾燥前の純水洗浄に使用する純水に約0.5mg/Lの炭酸ガスを溶解せ、純水の純度を維持しながら比抵抗を1MΩ・cmに調整したものを使用した。
【0086】
(実施例3)
純水シャワー洗浄、ブラシ洗浄、超音波(80、120kHz)による洗剤洗浄、純水洗浄、および乾燥処理(エアーカッター)の順番で行った。乾燥前の純水洗浄に使用する純水に約1.0mg/Lの水素ガスを溶解させ、アンモニア添加によってpHを9に設定することで、純水の純度を維持しながら比抵抗を0.5MΩ・cmに調整したものを使用した。
【0087】
(実施例4)
純水シャワー洗浄、ブラシ洗浄、超音波(80、120kHz)による洗剤洗浄、純水洗浄、および乾燥処理(エアーカッター)の順番で行った。乾燥前の純水洗浄に使用する純水に約15mg/Lの炭酸ガスを溶解せることで、純水の純度を維持しながら比抵抗を0.2MΩ・cmに調整したものを使用した。
【0088】
(比較例1)
純水シャワー洗浄、ブラシ洗浄、超音波(80、120kHz)による洗剤洗浄、純水洗浄、および乾燥処理(エアーカッター)の順番で行った。乾燥前の純水洗浄に使用する純水は超純水であり比抵抗は18MΩ・cmである。
【0089】
(リードライトエラーのテスト評価)
次に、実施例1〜3と比較例1のそれぞれの手法で洗浄した保管ケースを用いて製造した磁気記録媒体でのリードライトエラーのテスト評価を行った結果を表1に、記録媒体でのリードライトエラーのテスト評価(n=1000測定)を表2に示す。
【0090】
【表1】

【0091】
【表2】

【0092】
表2の評価基準を基にして、表1の結果から、保管ケースは、電気抵抗値が10MΩ・cm以下である水溶液を用いてリンスされた保管ケースによって製造された実施例1〜4の磁気記録媒体は、リードライトエラーの少ないものとなった。特に、比抵抗が最も低い実施例1では、メディア評価は最も優良なものとなった。一方で、比較例1は、電気抵抗値が18MΩ・cmである水溶液を用いてリンスされた保管ケースによって製造されたため、エラー発生数が20以上となり、メディアランクは不可なものとなった。
【符号の説明】
【0093】
10 ガラス基板
11 研磨装置
12 上定盤
13 下定盤
16 ポンプ
101 磁気情報記録媒体用ガラス基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気情報記録媒体用ガラス基板を保管ケースに保管する公知を備える磁気情報記録媒体用ガラス基板の製造方法であって、
前記保管ケースは、電気抵抗値が10MΩ・cm以下である水溶液を用いてリンスされることを特徴とする磁気情報記録媒体用ガラス基板の製造方法。
【請求項2】
前記電気抵抗値が10MΩ・cm以下である水溶液は、水に炭酸ガスを浸透溶解させて調整したものであることを特徴とする請求項1に記載の磁気情報記録媒体用ガラス基板の製造方法。
【請求項3】
前記電気抵抗値が10MΩ・cm以下である水溶液は、水に水素ガスを浸透溶解させ、pHを9〜10に調整したものであることを特徴とする請求項1に記載の磁気情報記録媒体用ガラス基板の製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−203937(P2012−203937A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−65627(P2011−65627)
【出願日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(303000408)コニカミノルタアドバンストレイヤー株式会社 (3,255)
【Fターム(参考)】