説明

磁気駆動ポンプ

【課題】固定軸の剛性を向上させるためのシールレス磁気駆動ポンプ、より具体的には、耐腐食ケーシング・ライナを有する金属磁気駆動ポンプを提供すること。
【解決手段】本願発明の磁気駆動ポンプは、腐食性流体に関係する製造プロセスにおいて用いられる。ポンプは、特に、強い腐食性かつ(200℃までの)高温の条件下で、フロントサポートの剛性を向上させるために用いられる。固定軸は、ポンプ・ケーシングと一体化された金属フロントサポートをポンプ入口に有して、フルオロポリマで構成された樹脂エンクロージャでカプセル化されている。格納シェルの密封された底側に後部軸座が配置されて、固定軸のための補助的支持を提供している。インペラは、入口流速を低減するための流路を有し、これにより、低NPSHrを提供している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気駆動ポンプに関し、より具体的には、磁気駆動ポンプを摂氏200度(℃)で確実に作動させるとともに、磁気駆動ポンプが流体を輸送する際の高性能要件を満たすため、固定軸と、耐腐食ケーシング・ライナを備えた金属製ポンプ・ケーシングとを有する磁気駆動ポンプに関するものである。さらには、固定軸支持構造および流路構造を備えた一体型ケーシングを改良することで、フルオロポリマ部品構造への温度の影響を低減するように固定軸の支持剛性を向上させ、また、磁気駆動ポンプの性能、信頼性、および寿命を向上させている。
【背景技術】
【0002】
当業者に知られているシールレス磁気駆動ポンプは、一般に腐食防止またはリーク防止を目的として採用される。構造設計では、磁気駆動ポンプは、固定軸または回転軸のいずれかを備える。固定軸の支持手段として、両持ち支持構造または片持ち支持構造を有し、固定軸を有する磁気駆動ポンプの固定軸サポートの材質は、プラスチック材料、または金属による強化プラスチック材料であり、固定軸の前端と後端は、それぞれプラスチック製の三角フロントサポートと格納シェルの密封型後部軸座によって支持されている。格納シェルの底部側を、繊維強化構造が覆っている。
作動温度が上昇すると、プラスチックの剛性が低下し、それによって三角フロントサポートの剛性および後部軸座の剛性も低下して、これにより固定軸が曲がったり動いたりする。固定軸の後端の片持ち支持は、格納シェルの金属強化された底部側によってサポートされ、支持剛性は、片持ち固定軸に作用して格納シェルに広がる径方向の力に根差しており、それによって格納シェルの変形を抑えるとともに、固定軸の取扱いを向上させている。しかし、その剛性は、格納シェルの繊維強化プラスチックの温度によって制限される。以下の従来技術は、磁気駆動ポンプの固定軸に関する問題および潜在的問題についてさらに説明するものである。
【0003】
事例1:
特許文献1:シールド磁気駆動シールレスポンプ,2006年。
この特許は、ドライラン条件のための軸受設計について記載している。発明の図面は、プラスチック磁気駆動ポンプの従来の両持ち固定軸と、入口の内部空間に設けられ、ハブ開口部を通って軸方向に延びる三角フロントサポートと、を確かに示している。三角フロントサポートの後端かつハブ開口部の内側に、固定軸の一端を支持するための前部軸座が配置されている。
この特許は、三角フロントサポートによる流入路の流動抵抗をできる限り低減することを試みている。格納シェルはカップ状シェル構造であって、固定軸の他端を支持するための、貫通孔を持たない後部軸座が、格納シェルの底側に配置されている。三角フロントサポートの剛性と格納シェルの剛性は、温度の上昇によって容易に低下する。図示されているように、三角フロントサポートによる流入路への影響を抑えるため、前部軸座がハブ開口部を通るように、三角フロントサポートの長さを意図的に延長している。
ところが、このような構造は、三角フロントサポートの径方向の強度が低減することがあり、低温で低出力の装置のみで採用されるべきである。
【0004】
事例2:
特許文献2:磁力によって作動する機械駆動システム,2006年。
この特許は、磁気駆動ポンプの外側回転子の構造および設計について記載しており、発明の図面は、磁気駆動ポンプの従来の両持ち固定軸と、入口の内部空間に配置され、射出成形によりポンプ・ケーシングと一体化された三角フロントサポートと、を明確に示している。三角フロントサポートは、インペラの羽根の入口付近に向かって軸方向に延びている。フロント・スラストリングが三角フロントサポートの前部軸座の端面に設けられており、スラスト軸受がハブプレート上に設けられて、インペラの入口に向かって突き出している。
格納シェルは、カップ状シェル構造であって、固定軸の他端を支持するための、貫通孔を持たない後部軸座が、格納シェルの底側に配置されている。三角フロントサポートの前部軸座とスラストリングからの、流入路の流動抵抗を抑えるために、インペラの入口の直径を、ポンプの入口の内径よりも大きくなるように増加させており、これによって流動抵抗を低減することができる。しかしながら、インペラのハブプレートと前部軸座は、滑らかな表面をなしていないので、インペラの前縁において流れを妨げることになり、流動抵抗が低減されるという効果が抑制される。
【0005】
事例3:
特許文献3:磁気駆動の耐腐食性フルオロポリマ・ライナ付きポンプ,2002年。
この特許は、ケーシング・ライナを備えた金属製ポンプ・ケーシングを有する磁気駆動ポンプを開示しており、フルオロポリマで構成されたケーシング・ライナの構造およびその耐腐食のための利用について記載している。
磁気駆動ポンプは、ケーシング・ライナと一体化された軸サポートを有し、そのケーシング・ライナはフルオロポリマで構成されている。フルオロポリマ製の格納シェルはカップ状シェル構造であって、固定軸の他端を支持するための、貫通孔を持たない後部軸座が、格納シェルの底側に配置されている。ところで、この両持ち固定軸のフルオロポリマ製支持構造は弾性変形が可能であり、ポンプが作動しているときの軸の振動を軽減し得ることを、この発明は示している。しかし、この発明は、その構造の剛性および信頼性が、200℃の高温にまで当てはまるのかどうかについて、これ以上記載していない。
【0006】
事例4:
特許文献4:分離可能な多分割インペラ・アセンブリを有する遠心ポンプ,1999年。
この特許は、プラスチックのケーシング・ライナを備えた金属製ポンプ・ケーシングと、両持ち固定軸構造とを有する磁気駆動ポンプを開示している。分離可能な三角フロントサポートが、入口の内側環状面に嵌め込まれた外輪によって、入口の内径空間に設けられている。軸サポートの中心に配置された前部軸座が、固定軸の前端支持を提供するように構成されている。
この特許は、三角フロントサポートが力または振動を受けるときの固定軸の前端支持の耐久性を向上させるために、耐腐食材でカプセル化された補強材を備えた三角フロントサポートを、強調したものである。また、この特許は、三角フロントサポートの前部軸座の外径を小さくすることができるように、固定軸の前端部の直径は固定軸の後端部の直径よりも小さくなければならないことと、流動要件を満たすためにノーズの表面を滑らかな曲面にすることと、をさらに強調している。固定軸の前側がポンプの入口内に設けられる場合に、インペラへの流入抵抗を抑えることができる。
【0007】
事例5:
特許文献5:磁気結合による回転ポンプ,2001年。
この特許は、外側回転子型磁気駆動ポンプを開示している。この特許は、プラスチック・ライナのない金属製の縦型磁気駆動ポンプが、メンテナンスの際に輸送流体を完全に排出できることを強調している。固定軸が、ポンプ入口で、三角フロントサポートと円錐形の前部軸座とからなる片持ち構造によって支持されている。三角フロントサポートと円錐形前部軸座は、金属製ポンプ・ケーシングに形成または固定されている。円錐形前部軸座はポンプ入口の内部空間に配置されており、よって、円錐形前部軸座による妨害に対応して、流路の必須空間を確保するために、ポンプ入口の内径は拡張されなければならない。入口に向かって軸方向に延びるハブ部品の内部空間に、インペラの軸受が設けられて、円錐形前部軸座の後端にあるスリーブおよびスラストリングとかみ合うように構成されている。
この場合、斜め方向に徐々に大きくなる円錐形前部軸座の曲面は、インペラの軸ハブ部品の曲面に滑らかに接続させることができ、そして、インペラの入口には、軸ハブ部品の外径に対応した大内径設計が採用される。よって、この実例は実現可能である。ところが、この構造を、高い耐腐食性を要する用途、例えばフッ化水素酸に適合させる場合には、金属製ポンプ・ケーシングにフルオロポリマ・ライナを施さなければならず、さらには、金属製ポンプ・ケーシングの内部構造面をフルオロポリマでカプセル化しなければならず、また、インペラは金属強化されたフルオロポリマで構成されなければならない。
ライナとカプセルの最小厚さは、少なくとも3ミリメートル(mm)となり、円錐形前部軸座の外径の追加される増加分は3mm要件の2倍になる。同様の増加分が、ライナが施されるか、またはカプセル化されるすべての他の部品にも適用される。フルオロポリマの構造強度を考慮すべき場合には、ライナまたはカプセルをより厚くする必要がある。フルオロポリマ製のインペラのハブプレートには金属強化板がさらに設けられ、また、構造強度およびモーメント伝達を向上させるために、インペラの軸方向に延びる軸ハブ部品を備え、さらには、軸ハブ部品の内部空間に設けられる軸受が、スリーブと同様の厚さを有するセラミック軸受で置き換えられる。
また、金属強化板、両側樹脂エンクロージャ、およびセラミック軸受の追加によって、軸ハブ部品の内径および外径が大きく増加する。円錐形前部軸座のみを樹脂エンクロージャで覆う場合は、それによって円錐形曲面の外径は増加することになるが、それでもカプセル化されたライナ付きの軸ハブ部品の外径よりは遥かに小さく、この場合、円錐形前部軸座の金属部分の傾斜は、インペラの軸ハブ部品の曲面に滑らかに接続されるように、その外径を大きくすることにより調整されなければならない。すなわち、ポンプ入口の内部空間の円筒内面は、円錐形前部軸座の曲面および軸ハブ部品の外径に応じた、より大きく広がる角度を持つことになる。従って、大口径設計を採用しているインペラの入口は、さらにそのサイズを大きくしなければならず、ポンプの入口において流体は、より短い軸方向距離を通って、より大きく広がる角度で、インペラの入口に流れることになる。これらの制限を考慮すると、低い流動抵抗という特性を持つ金属ポンプは得られないかもしれず、インペラの設計はさらに遥かに難しい。
フルオロポリマ製インペラのもう1つの問題は、インペラの重量が大きく低減されると、回転子とインペラとで形成される回転子系の重心が、磁気回転子側すなわちインペラの後端部に移動するが、軸ハブ部品の内部空間にセラミック軸受が設けられており、つまり、セラミック軸受の長さおよび位置が回転子系の重心と適合せず、このため、回転子系の重量によってセラミック軸受にかかる大きなモーメントが生じることがあり、ポンプの寿命が保証されないことになり得る。
【0008】
事例6:
特許文献6:磁気駆動式液圧調整遠心ポンプ,2001年。
この発明は、磁気駆動ポンプの軸スラスト調整の問題について記載している。発明の図面には、固定軸の直径が固定であって、三角フロントサポートが入口の内部空間に組み付けられる場合に、三角フロントサポートの前部軸座の余分の外径がインペラの流入路に影響して、ポンプの性能を低下させることが明確に示されている。従って、インペラの入口の流動抵抗を抑えるためには、ポンプの流入路の内径を大きくする必要がある。
【0009】
事例7:
特許文献7:磁気駆動ポンプのリアケーシング構造,2007年。
この発明は、両持ちの固定軸、または回転軸を有する磁気駆動ポンプを開示している。この発明は、磁気駆動ポンプの格納シェルの強度は、さらなる関心を持つべき問題であることを示している。外側回転子と内側回転子の隙間は狭く制限され、また、耐腐食性に優れたプラスチック材料は、通常、熱可塑性であって、このため、プラスチック材料の強度は温度の上昇に伴って低下する。
従来技術では、格納シェルの耐腐食層の外面上に、第2の強化層が設けられている。この特許では、非金属の帯状円形補強部材が、側方円筒部分にある2層構造の間または2層構造の外面上に設けられており、これにより、格納シェルの側方柱状胴部の強度を向上させている。この方法は、繊維ストライプを外周に巻回して複数の層にすることを可能にする従来の方法よりも優れている。しかし、この方法は、格納シェルの後部軸座にかかる径方向の力に起因する柱状胴部の曲げ変形を効果的に解消できない場合があり、また、この発明は、固定軸の支持が、格納シェルの柱状胴部の強度による影響を受けることを、さらに間接的に認めている。
【0010】
事例8:
特許文献8:磁気駆動式遠心ポンプの格納部材,2001年。
この特許は、耐腐食ケーシング・ライナを有する金属磁気駆動ポンプに適用されるものであり、磁気駆動ポンプのプラスチック三角フロントサポートの強度、および磁気駆動ポンプの格納シェルの強度は、両方とも、さらなる関心を持つ必要があることを、明確に示している。三角フロントサポートがインペラの流入路に影響することで、ポンプの性能が低減することがよくある。格納シェルの強度は、流体圧力に耐えるためだけのものではなく、固定軸の支持も提供する。
この発明では、格納シェルの底側の内層と外層の構造の間に円盤状の金属補強部材が組み込まれており、片持ち固定軸にかかる径方向の力を格納シェルの柱状胴部に均等に伝達することができ、さらには、格納シェルの強度によって固定軸を片持ち式で支持することができるように、補強部材は、固定軸の取扱いと支持を向上させるための、小さい直径を有して軸方向内向きに延出する延出部を有している。このような、三角フロントサポートを持たない片持ち固定軸は、より低いNPSHr要件を満たすための助けとなり、また、十分な強度を有している。しかしながら、この発明は、補強した後の、固定軸の位置ずれを防ぐための、格納シェルの側方柱状胴部の強度について明確に記載していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第7033146号
【特許文献2】米国特許第7057320号
【特許文献3】中国実用新案第2482597号
【特許文献4】米国特許第5895203号
【特許文献5】米国特許第6280156号
【特許文献6】米国特許第7101158号
【特許文献7】米国特許第7249939号
【特許文献8】米国特許第6293772号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
要約すると、フルオロポリマのみで構成されたポンプ部品またはフルオロポリマ製ライナを備えた部品を有する磁気駆動ポンプについての、構造および固定軸の強度の課題は、つぎのように表される。
1.フルオロポリマ材料の強度の弱さ。
2.固定軸の支持構造の剛性要件。
3.流入路の流動抵抗の問題。
4.インペラの流入路の必要有効吸込ヘッド(NPSHr)の問題。
5.柱状胴部と底部とを有する格納シェルの強度の問題。
【0013】
ところが、上記特許のソリューションの各々は、高剛性の固定軸によって200℃の高温で流体を輸送できるという要件を満たさない可能性がある。上記課題を解決するため、本発明では磁気駆動ポンプを開示している。以下は、本発明の詳細な説明である。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、磁気駆動ポンプに関し、より具体的には、前端と後端で支持された固定軸の強化構造に関する。磁気駆動ポンプの構成部品は、通常、フルオロポリマで構成されたケーシング・ライナまたは樹脂エンクロージャで覆われている。いわゆるフルオロポリマは、高い伸展性および高い圧縮性など、構成部品のいくつかの機械的特性を継承する、パーフルオロアルコキシ(PFA)、エチレン・テトラフルオロエチレン(ETFE)とすることができる。
これらの構成部品には、ポンプ・ケーシング、インペラ、および格納シェルが含まれる。フルオロポリマの融点は300℃を超えているが、フルオロポリマの強度は、温度の上昇とともに徐々に低下する。そこで、本発明は、ポンプが200℃までの温度で高い信頼性で作動することができるように、鋳鉄またはステンレス鋼で構成されたポンプ・ケーシングの構造強度を利用して、フルオロポリマ部品の強度要件を補っている。
高剛性の入口フロントサポートは、固定軸のための十分な支持剛性を提供するものである。固定軸の支持要件を満たすため、固定軸の高い剛性の支持が得られるように、また、フロントサポートによって生じる流入路の流動抵抗を大きく低減するように、フロントサポートと、入口、ボリュート、およびインペラの流路とが一体的に設計されている。ポンプの格納シェルは、リークのない密封、温度耐性、および圧力耐性に適応しており、固定軸の端部の補助的支持を提供している。
【0015】
フロントサポートは、鋳鉄またはステンレス鋼で構成された2つのリブプレートを有し、ポンプ・ケーシングの内側に向かって軸方向に延出している。リブプレートは、ポンプ・ケーシングの入口の内面から内向きに延出して、内径の中心で1つに結合しており、結合により2つのリブプレートは互いに垂直になって直角構造をなしている。以下の段落では、フロントサポートはすべて、直角構造の特徴を有している。
2つのリブプレートが結合するところに、円錐体が形成されており、この円錐体の中心は、内径の中心に対応している。円錐体は、ポンプ・ケーシングの後側に向かって内向きに延出している。フロントサポートの後端に、前部軸座が配置されている。リブプレートは、円錐体の軸方向の長さに沿って軸方向に延びて、リブプレートの幅は、前部軸座の外径と一致するように徐々に減少しており、また、前部軸座はハブ開口部を通って、前部軸座の円弧は、ハブプレートとともに滑らかな曲面を形成している。フロントサポートの外側は、フルオロポリマで完全にカプセル化されて、ポンプ・ケーシングのケーシング・ライナと一体化されている。
【0016】
ボリュートは前側渦構造を有し、これにより、インペラ出力の流心線が、ポンプの出口の中心の内側に位置するようにしている。このため、ポンプ入口からインペラの入口までの流動距離が十分に長く、これによって、インペラの入口でフロントサポートにより生じる流動障害が大きく低減される。
【0017】
インペラ流路の構造の設計によって、シュラウド面はハブプレートに向かって小さな傾斜角を有して固定軸と直交し、ハブプレートはシュラウド面に向かって傾斜角を有して固定軸と直交しており、固定軸の近くでのハブプレートの幾何学的形状は、前部軸座の曲面と調和する凹型設計であって、これにより、インペラの羽根前縁の流入路に十分な流動空間があるようにしている。
【0018】
固定軸は、直径が完全に均一なセラミック柱で構成されている。固定軸の前端は、フロントサポートの前部軸座によって支持されており、固定軸の後端は、格納シェルの後部軸座によって支持されている。ポンプが高出力かつ高温度で作動する場合は、複合固定軸が好ましい。高剛性の複合固定軸は、金属軸とセラミック軸スリーブとが一緒になって構成されている。金属軸は、フロントサポートの金属製の前部軸座に直接固定されて、セラミック軸スリーブに対して高い圧力で強く押し付けられ、これにより、高剛性の複合固定軸を形成している。複合固定軸の後端は、格納シェルの後部軸座によって支持されている。
【0019】
格納シェルは、フルオロポリマ製ケーシング・ライナ(すなわち内層)と繊維強化層(すなわち外層)とを含む、カップ状2層シェル構造であって、一緒に円筒形のカップ状片持ち構造を形成している。格納シェルの前端でバックアップ・プレートによって補強されたシェルフランジが、ポンプ・ケーシングとブラケットとの間に固定されている。
ゼロリークを保証するため、貫通孔を持たない後部軸座が、格納シェルの底側に配置されている。シェルフランジは、ポンプ・ケーシングのフランジとブラケットのポンプ側フランジとに接続されており、これによって、腐食性流体のリークを防いでいる。後部軸座の2層の間には、高温でのフルオロポリマの変形を防ぐための金属カラーが設けられており、このようにして、金属カラーは、固定軸とリア・スラストリングのための安定した支持を提供している。格納シェルの片持ち構造によって、固定軸の支持剛性を提供することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明により得られる効果について、以下で説明する。
1.フルオロポリマの融解温度は300℃を超えているが、フルオロポリマの強度は、200℃の温度を超えると大きく低減する。鋳鉄またはステンレス鋼で構成されたポンプ・ケーシングの構造強度はフルオロポリマ部品とは独立しており、このためポンプは、200℃の温度まで、高い信頼性で作動することができる。
2.フロントサポートの構造はポンプ・ケーシングと一体化され、また、フロントサポートは、腐食性流体を隔離するためのフルオロポリマで覆われており、これによって、固定軸の支持剛性の大部分はフロントサポートにより提供され、補助的支持剛性は格納シェルの後部軸座により提供される。
3.ポンプ・ケーシングの金属構造は、フロントサポートと一体化されて、その軸方向の長さで延出しており、これによりフロントサポートの前部軸座はハブ開口部に向かって延出して、フロントサポートによる入口の流動抵抗を抑えている。
4.流路構造およびインペラの流入路を改良するため、インペラの入口での流速を低減し、NPSHrを低減するように、流入路の断面積を増加させている。フロントサポートにより生じる流動障害を抑制するように、フロントサポートの断面積を流線に適合させている。
5.格納シェルは、リークを防ぐための密封、高い温度耐性、および圧力耐性にのみ適応したものである。格納シェルの構造は、フルオロポリマで構成された内層構造と、外層強化構造とを含んでいる。内層はカップ状フルオロポリマ構造であって、貫通孔を持たない後部軸座が、内層の円盤状底部側の中心に配置されて、外向きに突出および延出している。外層は、高温でのフルオロポリマの変形を抑えるための、また、流体圧力による変形を抑制し、流れからの衝撃を受けるための、熱硬化性樹脂繊維強化構造になっている。
【0021】
本発明の構造によると、磁気駆動ポンプは、いかなる出力範囲でも200℃まで信頼性をもって作動することが可能であり、また、本発明の構造は、単純固定軸構造にも複合軸構造にも適している。
【0022】
本開示は、本明細書において単に説明を目的として以下で提示する、よって本開示を限定するものではない、詳細な説明によって、より良く理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1A】第1の実施形態による両持ち固定軸の断面図である。
【図1B】第2の実施形態による両持ち複合固定軸の断面図である。
【図2A】第1の実施形態によるポンプ入口の正面図である。
【図2B】第2の実施形態によるポンプ入口の正面図である。
【図3】第1の実施形態によるポンプ・ケーシングの背面斜視図である。
【図4A】第1の実施形態によるポンプ入口の断面図である。
【図4B】第2の実施形態によるポンプ入口の断面図である。
【図5】第1の実施形態による格納シェルの断面図である。
【図6】第1の実施形態により力とモーメントを受ける、格納シェルの断面図である。
【図7】第2の実施形態により力とモーメントを受ける、複合格納シェルの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
第1の実施形態:両持ち固定軸構造を有する磁気駆動ポンプ(図1A)
図1A、3、4A、5、6を参照すると、図1Aは、第1の実施形態による両持ち固定軸の断面図であり、図3は、第1の実施形態によるポンプ・ケーシングの背面斜視図であり、図4Aは、第1の実施形態によるポンプ入口の断面図であり、図5は、第1実施形態による格納シェルの断面図であり、図6は、第1の実施形態により力とモーメントを受ける格納シェルの断面図である。本発明の磁気駆動ポンプは、両持ち固定軸構造を有するものである。磁気駆動ポンプは、ポンプ・ケーシング4と、フロントサポート43と、インペラ5と、格納シェル41と、内側回転子7と、外側回転子92と、固定軸3と、ブラケット91と、を備えている。
【0025】
鋳鉄またはステンレス鋼で構成されたポンプ・ケーシング4は、ポンプ入口44と、出口45と、ボリュート47と、を有している。ポンプ・ケーシング4は、内部にインペラ5を収容するように構成されている。ポンプ入口44には、フロント・スラストリング46が設けられており、これは、ポンプ・ケーシング4の内部にあって、インペラ5の入口でスラスト軸受53と対になって一緒に軸スラスト軸受を形成している。
ポンプ・ケーシング4の内部で流体接触側にはケーシング・ライナ4aが配置されており、このケーシング・ライナ4aは、腐食性流体を隔離するように構成されている。ポンプ入口44には、一体化されたフロントサポート43が配置されている。ポンプ・ケーシング4の後端に(図3に示すように)設けられたケーシング・バックフランジ42は、格納シェル41のシェルフランジ部411とバックアップ・プレート411aを組み付けるように構成されており、ブラケット91のブラケット・フロントフランジ911と結合して、これにより腐食性流体のリークを防ぐようにしている。
【0026】
フロントサポート43は、鋳鉄またはステンレス鋼で構成された2つのリブプレート431を有して、ポンプ・ケーシング4の内側に向かって軸方向に延出している。リブプレート431は、ポンプ・ケーシング4の入口44の内面から内向きに延出して、内径の中心で1つに結合しており、結合により2つのリブプレート431は互いに垂直になって1つの構造部品をなしている。2つのリブプレート431が結合しているところには、円錐体432が形成されており、この円錐体432の中心は内径の中心に対応している。円錐体432は、ポンプ・ケーシング4の後側に向かって内向きに延出している。
フロントサポート43の後端には、固定軸3の一端を支持するための前部軸座433が配置されている。リブプレート431は、円錐体432の軸方向の長さに沿って軸方向に延びて、リブプレート431の幅は、前部軸座433の外径と一致するように徐々に減少しており、また、前部軸座433はハブ開口部54を通って、前部軸座433の円弧は、ハブプレート52とともに滑らかな曲面を形成している。フロントサポート43の外面は、フルオロポリマによって完全にカプセル化されて、ケーシング・ライナ4aと一体化されている。
【0027】
フルオロポリマで構成されたインペラ5は、ポンプ・ケーシング4の中に組み付けられている。ハブ開口部54は、ハブプレート52の中心に位置している。フロントサポート43は、ハブ開口部54を軸方向に通って、固定軸3の一端を支持するように構成されている。ハブプレート52の後端は、内側回転子7の軸方向延出部76と結合するように構成されており、これによって、インペラ5と内側回転子7は一体化されるか、または1つに結合されている。一部の実施形態では、(図6に示すように)板状のインペラ強化プレート56が、ハブプレート52に設けられて、軸動力を輸送流体に伝達するように構成されている。また、インペラ強化プレート56と内側回転子7の内側回転子継鉄72は、一体化されるか、または1つに結合されることが可能である。
【0028】
格納シェル41は、フルオロポリマで構成された格納シェルライナ41aと、強化層41bと、を含む2層シェル構造である。格納シェル41からのリークがないことを確実にするため、貫通孔を持たない後部軸座413が、格納シェル41の底側に配置されている。格納シェル41の前端に設けられているシェルフランジ部411のバックアップ・プレート411aは、(図3を一緒に参照して)ポンプ・ケーシング4のケーシング・バックフランジ42およびブラケット91のブラケット・フロントフランジ911と1つに接続されるように構成されており、一緒になって腐食性流体のリークを防ぐように、円筒形のカップ状片持ち構造を形成している。
バックアップ・プレート411aは、シェルフランジ部411の強度を確保し、その前端を固定するように構成されている。格納シェル41の横方向外側にある(図5に示すような)シェル柱状部412が、外側回転子92の内部空間415を通っており、また、格納シェル41の内部空間415は内側回転子7を収容するように構成されている。格納シェル41は、内側回転子7と外側回転子92を分離するように構成されており、格納シェル41と内側回転子7との間には隙間があり、格納シェル41と外側回転子92との間には別の隙間があって、これにより、腐食性流体のリークにつながり得る格納シェル41と内側回転子7または外側回転子92との摩擦を、防いでいる。
格納シェル41の底側の中心に配置されている後部軸座413は、外側回転子92の内側で軸方向外向きに延出して、固定軸3の他端を支持するように構成されている。軸保持穴413aの外側に設けられたリア・スラストリング414は、内側回転子7のセラミック軸受79と対になって一緒に軸スラスト軸受を形成するように構成されている。後部軸座413の軸保持穴413aの外側で、2層構造の間に金属カラー417が設けられて、高温でのフルオロポリマ製格納シェルライナ41aの変形を抑えるように構成されており、このようにして、固定軸3およびリア・スラストリング414のための安定した支持を提供している。格納シェル41は、固定軸3の補助的剛性支持を提供している。
【0029】
内側回転子7は、複数の内側永久磁石71と、内側回転子継鉄72と、軸方向延出部76と、を備える環状構造である。複数の内側永久磁石71は、内側回転子継鉄72の外側環状面に設けられている。耐腐食性エンジニアリングプラスチックで構成された回転子樹脂エンクロージャ74によって、リークを防ぐように内側回転子7はカプセル化されている。セラミック軸受79は、内側回転子7の中心穴に設けられている。内側回転子7の軸方向延出部76は、ハブプレート52と結合するように構成されており、これによって、内側回転子7とインペラ5は、一体化されるか、または1つに結合されている。
【0030】
外側回転子92は、複数の外側永久磁石93と、外側回転子継鉄92bと、軸アダプタ92aと、を備える環状のカップ状構造である。軸アダプタ92aと駆動モータ軸95は、相互に固定される。複数の外側永久磁石93は、外側回転子継鉄92bの内側環状面に設けられている。駆動モータ軸95は、外側回転子92を回転させる。
格納シェル41は、内側永久磁石71を備える内側回転子7と外側永久磁石93を備える外側回転子92との間に設けられ、また、外側回転子92は、内側回転子7の外側の対応した位置に設けられ、外側と内側の双方の磁石は放射状に対向配置されて、互いに磁気的に引き付けられている。外側回転子92が回転すると、外側永久磁石93が内側永久磁石71を引き付けることで、内側回転子7を回転させる。
【0031】
固定軸3は、耐腐食性かつ耐摩耗性のセラミック材料で構成された両持ち構造である。固定軸3の前端は、ポンプ・ケーシング4のフロントサポート43によって支持されており、固定軸3の後端は、格納シェル41の後部軸座413によって支持および固定されている。
固定軸3の中央部分は、回転する内側回転子7のセラミック軸受79とかみ合っている。中央部分の長さは、内側回転子7にかかる合力を支えるため、セラミック軸受79の長さに対応しており、また、内側回転子7の軸方向の自由運動空間が確保されている。フロントサポート43のリブプレート431および前部軸座433は、固定軸3の高剛性支持及び保持長さLを提供し、これにより、温度が上昇するとプラスチックの強度が低下するという問題を解決している。
【0032】
ブラケット91は、両側にフランジを備えた柱状構造である。一方のフランジは、モータ(図示せず)の別のフランジと固定されるように構成されており、ブラケット・フロントフランジ911は、格納シェル41のシェルフランジ部411のバックアップ・プレート411aと、ポンプ・ケーシング4の後端に設けられたケーシング・バックフランジ42とに接続されるように構成されており、これによって腐食性流体のリークを防いでいる。シェルフランジ部411のバックアップ・プレート411aは、剛性強度と固定を確保するように構成されている。
【0033】
ポンプが作動しているときには、流体が流線6に沿ってポンプ入口44に入り、流入流線61に沿ってインペラ5の入口に流れる。インペラ5の流路を(インペラ出口流線62に沿って)通過した後の流体は加圧されており、その後、出口45を通って流出される。同時に、流体の一部分は、折り返し流線63に沿って、インペラ5の後端部を通って格納シェル41の内部空間415に入り、つぎに、内側回転子7の外側と格納シェル41の内径空間との間の隙間を通って、潤滑流線64に沿って格納シェル41の底側に流れる。その後、流体は、固定軸3とセラミック軸受79との間の隙間を通り、続いて終端潤滑流線65に沿ってハブ開口部54を通って流れ、再びインペラ5の入口に戻る。このような流体の循環的な流れは、セラミック軸受79の潤滑を提供するとともに、潤滑によって発生する熱を放散させるようになっている。
【0034】
第2の実施形態:高出力かつ高温で適用される両持ち複合固定軸を有する磁気駆動ポンプ(図1B)
図1B、4B、7を参照すると、図1Bは、第2の実施形態による両持ち複合固定軸の断面図であり、図4Bは、第2の実施形態によるポンプ入口の断面図であり、図7は、第2の実施形態により力とモーメントを受ける複合格納シェルの断面図である。本発明の磁気駆動ポンプは、両持ち複合固定軸を有するものである。磁気駆動ポンプは、ポンプ・ケーシング4と、フロントサポート43と、インペラ5と、格納シェル41と、内側回転子7と、外側回転子92と、複合固定軸3aと、ブラケット91と、を備えている。
【0035】
鋳鉄またはステンレス鋼で構成されたポンプ・ケーシング4は、ポンプ入口44と、出口45と、ボリュート47と、を有している。ポンプ・ケーシング4は、内部にインペラ5を収容するように構成されている。ポンプ入口44には、フロント・スラストリング46が設けられており、これは、ポンプ・ケーシング4の内部にあって、インペラ5の入口でスラスト軸受53と対になって一緒に軸スラスト軸受を形成している。
ポンプ・ケーシング4の内部で流体接触側にはケーシング・ライナ4aが配置されており、このケーシング・ライナ4aは、腐食性流体を隔離するように構成されている。ポンプ入口44には、一体化されたフロントサポート43が配置されている。ポンプ・ケーシング4の後端に(図3に示すように)設けられたケーシング・バックフランジ42は、格納シェル41のシェルフランジ部411とバックアップ・プレート411aを組み付けるように構成されており、ブラケット91のブラケット・フロントフランジ911と結合して、これにより腐食性流体のリークを防ぐようにしている。
【0036】
フロントサポート43は、鋳鉄またはステンレス鋼で構成された2つのリブプレート431を有して、ポンプ・ケーシング4の内側に向かって軸方向に延出している。リブプレート431は、ポンプ・ケーシング4の入口44の内面から内向きに延出して、内径の中心で1つに結合しており、結合により2つのリブプレート431は互いに垂直になって1つの構造部品をなしている。2つのリブプレート431が結合しているところには、円錐体432が形成されており、この円錐体432の中心は内径の中心に対応している。円錐体432は、ポンプ・ケーシング4の後側に向かって内向きに延出している。
フロントサポート43の後端には、固定軸3aの一端を支持するための前部軸座433が配置されている。リブプレート431は、円錐体432の軸方向の長さに沿って軸方向に延びて、リブプレート431の幅は、前部軸座433の外径と一致するように徐々に減少しており、また、前部軸座433はハブ開口部54を通って、前部軸座433の円弧は、ハブプレート52とともに滑らかな曲面を形成している。フロントサポート43の外面は、フルオロポリマによって完全にカプセル化されて、ケーシング・ライナ4aと一体化されている。
【0037】
(図4Bに示す)軸保持部433aは、内部でカプセル化されてはいない。軸保持穴433aは、軸保持穴433aの中心にネジ穴433bを有し、このネジ穴433bは、複合固定軸3aの金属軸32の端部にあるネジ部をしっかりと固定するように構成されている。軸保持穴433aの内径は、金属軸32の外径と遊合で合致している。前部軸座433の表面は、結合面435とシール面43cである2つの環状面に分割されている。結合面435は、複合固定軸3aの支持剛性を確保するように、セラミック軸スリーブ33の表面に強く押し付けられるとともに付着されて、シール面43cにおける樹脂エンクロージャ43aの適正な圧縮率を維持しており、これによって、腐食性流体のリークを防ぐことができる。
【0038】
フルオロポリマで構成されたインペラ5は、ポンプ・ケーシング4の中に組み付けられている。ハブ開口部54は、ハブプレート52の中心に位置している。フロントサポート43は、ハブ開口部54を軸方向に通って、複合固定軸3aの一端を支持するように構成されている。ハブプレート52の後端は、内側回転子7の軸方向延出部76と結合するように構成されており、これによって、インペラ5と内側回転子7は一体化されるか、または1つに結合されている。
一部の実施形態では、(図6に示すように)板状のインペラ強化プレート56が、ハブプレート52に設けられて、軸動力を輸送流体に伝達するように構成されている。また、インペラ強化プレート56と内側回転子7の内側回転子継鉄72は、一体化されるか、または1つに結合されることが可能である。
【0039】
格納シェル41は、フルオロポリマで構成された格納シェルライナ41aと、強化層41bと、を含む2層シェル構造である。格納シェル41からのリークがないことを確実にするため、貫通孔を持たない後部軸座413が、格納シェル41の底側に配置されている。格納シェル41の前端に設けられているシェルフランジ部411のバックアップ・プレート411aは、(図3を一緒に参照して)ポンプ・ケーシング4のケーシング・バックフランジ42およびブラケット91のブラケット・フロントフランジ911と1つに接続されるように構成されており、一緒になって腐食性流体のリークを防ぐように、円筒形のカップ状片持ち構造を形成している。バックアップ・プレート411aは、シェルフランジ部411の強度を確保し、その前端を固定するように構成されている。格納シェル41の横方向外側にある(図5に示すような)シェル柱状部412が、外側回転子92の内部空間415を通っており、また、格納シェル41の内部空間415は内側回転子7を収容するように構成されている。
格納シェル41は、内側回転子7と外側回転子92を分離するように構成されており、格納シェル41と内側回転子7との間には隙間があり、格納シェル41と外側回転子92との間には別の隙間があって、これにより、腐食性流体のリークにつながり得る格納シェル41と内側回転子7または外側回転子92との摩擦を、防いでいる。格納シェル41の底側の中心に配置されている後部軸座413は、外側回転子92の内側で軸方向外向きに延出して、複合固定軸3aの他端を支持するように構成されている。
軸保持穴413aの外側に設けられたリア・スラストリング414は、内側回転子7のセラミック軸受79と対になって一緒に軸スラスト軸受を形成するように構成されている。後部軸座413の軸保持穴413aの外側で、2層構造の間に金属カラー417が設けられて、高温でのフルオロポリマ製格納シェルライナ41aの変形を抑えるように構成されており、このようにして、複合固定軸3aおよびリア・スラストリング414のための安定した支持を提供している。格納シェル41は、複合固定軸3aの補助的剛性支持を提供している。
【0040】
内側回転子7は、複数の内側永久磁石71と、内側回転子継鉄72と、軸方向延出部76と、を備える環状構造である。複数の内側永久磁石71は、内側回転子継鉄72の外側環状面に設けられている。耐腐食性エンジニアリングプラスチックで構成された回転子樹脂エンクロージャ74によって、リークを防ぐように内側回転子7はカプセル化されている。セラミック軸受79は、内側回転子7の中心穴に設けられている。内側回転子7の軸方向延出部76は、ハブプレート52と結合するように構成されており、これによって、内側回転子7とインペラ5は、一体化されるか、または1つに結合されている。
【0041】
外側回転子92は、複数の外側永久磁石93と、外側回転子継鉄92bと、軸アダプタ92aと、を備える環状のカップ状構造である。軸アダプタ92aと駆動モータ軸95は、相互に固定される。複数の外側永久磁石93は、外側回転子継鉄92bの内側環状面に設けられている。駆動モータ軸95は、外側回転子92を回転させる。格納シェル41は、内側永久磁石71を備える内側回転子7と外側永久磁石93を備える外側回転子92との間に設けられ、また、外側回転子92は、内側回転子7の外側の対応した位置に設けられ、外側と内側の双方の磁石は放射状に対向配置されて、互いに磁気的に引き付けられている。外側回転子92が回転すると、外側永久磁石93が内側永久磁石71を引き付けることで、内側回転子7を回転させる。
【0042】
複合固定軸3aは、両持ち構造である。複合固定軸3aの前端は、ポンプ・ケーシング4のフロントサポート43によって支持されており、複合固定軸3aの後端は、格納シェル41の後部軸座413によって支持されている。複合固定軸3aの中央部分は、回転する内側回転子7のセラミック軸受79とかみ合っている。中央部分の長さは、内側回転子7にかかる合力に耐えるため、セラミック軸受79の長さに対応しており、また、内側回転子7の軸方向の自由運動空間が確保されている。金属フロントサポート43のリブプレート431および前部軸座433は、複合固定軸3aの高剛性支持を提供し、これにより、温度が上昇するとプラスチックの強度が低下するという問題を解決している。
【0043】
複合固定軸3aは、セラミック軸スリーブ33と、金属軸32と、封止ナット323と、を備えている。金属軸32は、その両端にネジ部を有し、セラミック軸スリーブ33のスリーブ中心穴332を通っている。金属軸32のネジ部の一端は、フロントサポート43の前部軸座433の中心に位置するネジ穴433bと固定され、ネジ部の他端は、結合ナット321を利用して(図7を参照)、セラミック軸スリーブ33の後面に押し付けられる。
【0044】
セラミック軸スリーブ33の前面は、フロントサポート43の前部軸座433上に位置する結合面435とシール面43cに対して、強く押し付けられる。セラミック軸スリーブ33の後面は、複合固定軸3aの支持剛性を確保するように、結合ナット321によって強く圧迫されて、シール面43cにおける樹脂エンクロージャ43aの適正な圧縮率を維持しており、これによって、腐食性流体のリークを防ぐことができる。
封止ナット323は、(図7を一緒に参照して)樹脂エンクロージャ322で覆われたカップ状の円筒形金属部品である。封止ナット323のネジ穴は、カプセル化されてはいない。封止ナット323は、複合固定軸3aを完全に密封するように、金属軸32の後端にしっかりと固定される。封止ナット323の開口面は、セラミック軸スリーブ33の後面に強く押し付けられて、封止するように構成されており、これにより、耐腐食の複合固定軸3aが形成される。封止ナット323の円筒形の外径面は、格納シェル41の後部軸座413によって支持されることが可能である。
【0045】
ブラケット91は、両側にフランジを備えた柱状構造である。一方のフランジは、モータ(図示せず)の別のフランジと固定されるように構成されており、ブラケット・フロントフランジ911は、格納シェル41のシェルフランジ部411のバックアップ・プレート411aと、ポンプ・ケーシング4の後端に設けられたケーシング・バックフランジ42とに接続されるように構成されており、これによって腐食性流体のリークを防いでいる。シェルフランジ部411のバックアップ・プレート411aは、剛性強度と固定を確保するように構成されている。
【0046】
ポンプが作動しているときには、流体が流線6に沿ってポンプ入口44に入り、流入流線61に沿ってインペラ5の入口に流れる。インペラ5の流路を(インペラ出口流線62に沿って)通過した後の流体は加圧されており、その後、出口45を通って流出される。同時に、流体の一部分は、折り返し流線63に沿って、インペラ5の後端部を通って格納シェル41の内部空間415に入り、つぎに、内側回転子7の外側と格納シェル41の内径空間との間の隙間を通って、潤滑流線64に沿って格納シェル41の底側に流れる。その後、流体は、固定軸3とセラミック軸受79との間の隙間を通り、続いて終端潤滑流線65に沿ってハブ開口部54を通って流れ、再びインペラ5の入口に戻る。このような流体の循環的な流れは、セラミック軸受79の潤滑を提供するとともに、潤滑によって発生する熱を放散させるようになっている。
【0047】
図2Aおよび2Bを参照すると、図2Aは、第1の実施形態によるポンプ入口44の正面図であり、図2Bは、第2の実施形態によるポンプ入口44の正面図である。フロントサポート43は、ポンプ・ケーシング4の内側に向かって軸方向に延出する2つのリブプレート431を有し、結合により2つのリブプレート431は互いに垂直になって1つの構造部品をなしている。また、2つのリブプレート431が結合しているところには、円錐体432が形成され、この円錐体432の中心は、ポンプ入口44の内径の中心に対応している。
フロントサポート43の後端には、前部軸座433が配置されている。リブプレート431は、円錐体432の軸方向の長さに沿って軸方向に延びて、リブプレート431の幅は、前部軸座433の外径と一致するように徐々に減少している。フロントサポート43の外側は、フルオロポリマによって完全にカプセル化されて、ポンプ・ケーシング4のケーシング・ライナ4aと一体化されている。2つのリブプレート431が、1つに結合されることで、ハブ開口部54を軸方向に通ってポンプ・ケーシング4と一体的に結合する片持ち構造が形成される。
【0048】
リブプレート431と円錐体432の断面積に、樹脂エンクロージャ43aの厚さを加えたものが、流入路の断面積の阻害面積である。流入路の残りの断面積が、流動面積である。阻害面積が増加すると、それに応じて有効流動面積が減少する。流体の流速は流動面積に線形反比例し、流動抵抗は流速の二乗によく比例する。つまり、抵抗は、有効流動面積の増加の逆数に二乗比例する。以下の2つの実施形態は、特にポンプ入口44の内径が増加しない場合について説明している。
図2Aは、第1の実施形態における小口径かつ低出力の仕様を示しており、その阻害面積は、ポンプ入口44の断面積のおよそ28%未満である。例えば、ポンプ入口44の入口直径は50mmである。図2Bは、第2の実施形態における大口径かつ高出力の仕様を示しており、その阻害面積は、ポンプ入口44の断面積のおよそ15%未満である。例えば、ポンプ入口44の入口直径は100mmである。また、流動面積に対する阻害面積の比は、製造方法によっても異なる。
例えば、砂型鋳造により鋳鉄またはステンレス鋼で作られるリブプレート431の厚さは6mm程度であり、樹脂エンクロージャの各側が3mm以上であるので、リブプレートの全体の厚さは12mm程度である。低出力でポンプ入口44の口径が小さく、例えば50mmであるポンプに比べて、阻害面積が比較的大きくなる。従来の鋳鉄製の三角フロントサポートを使用し、ポンプ入口44の直径が50mmである場合、樹脂エンクロージャで覆った後の流動面積に対する阻害面積の比は40%を超えており、これは、流動抵抗を低減するためには好ましくない。これが、本発明において直角構造を導入している理由である。
【0049】
図3を参照すると、これは、第1の実施形態におけるポンプ・ケーシング4およびフロントサポート43を具体的に示している。ポンプ・ケーシング4は、ポンプ入口44と、出口45と、ボリュート47と、を有している。ポンプ・ケーシング4は、(図1Aを一緒に参照して)内部にインペラ5を収容するように構成されている。ケーシング・ライナ4aが、ポンプ・ケーシング4の流体接触側に設けられて、腐食性流体を隔離するように構成されている。ポンプ入口44には、一体化されたフロントサポート43が設けられている。
ポンプ・ケーシング4の後端にあるケーシング・バックフランジ42は、(図1Aを一緒に参照して)ブラケット91と、(図1Aを一緒に参照して)格納シェル41のバックアップ・プレート411aとを1つに結合するように構成されており、これにより腐食性流体のリークを防いでいる。フロントサポート43は、前部軸座433を備えた直角構造を有し、その軸保持穴433aは、固定軸3の一端を支持するように構成されている(図1Aを一緒に参照のこと)。軸保持穴433aの内面には、固定軸3を取り付けるための、互いに平行で対向するペアの切断へりが形成されている。
【0050】
図4Aを参照すると、これは、第1の実施形態におけるフロントサポート43、インペラ5、およびポンプ・ケーシング4を示している。インペラ5は、ポンプ・ケーシング4の中に組み付けられている(図1Aを一緒に参照のこと)。フロントサポート43は、ハブ開口部54を軸方向に通ることができる。内側回転子7は、フルオロポリマで構成された樹脂エンクロージャ74でカプセル化されている。内側回転子7の中心穴に、セラミック軸受79が設けられている。ハブプレート52は、内側回転子7の軸方向延出部76に接続されるように構成されており、これによって、インペラ5と内側回転子7は一体化されるか、または1つに結合されている。
【0051】
図1Aを一緒に参照する。インペラ5を、ポンプ・ケーシング4に関して、軸方向に、ある距離シフトさせることで、インペラ5の流心線513がポンプ出口45の中心線451の内側に位置するようにして、これにより、インペラ5の入口に入る前の流線6の入口流の距離を増加させている。
【0052】
図4Aを参照する。インペラ5は遠心型構造である。シュラウド面514は、ハブプレート52に向かって小さな傾斜角を有して、固定軸3と直交しており、ハブプレート52は、シュラウド面514に向かって傾斜角を有して、固定軸3と直交しており、また、固定軸3付近でのハブプレート52の幾何学的形状は、前部軸座433の曲面と調和する凹型設計であって、これにより、インペラ5の羽根前縁の流入路に十分な流動空間があるようにしている。
そして、インペラ5の入口の羽根前縁511付近でのシュラウド曲面514aは、適切な曲率半径を有している。ハブ凹面515aは、フロントサポート43の円錐体432の円錐曲面432aに対応するハブ表面515の羽根前縁511の近くに位置するように設計されている。このようにして、流入流線61は、フロントサポート43により生じるインペラ5の入口の流動障害が抑制されるように、好ましい曲率半径を有している。
【0053】
流線6と流入流線61とによって、ポンプ入口44からインペラ5の流心線513を通って流れる流体を、滑らかに保つことができる。ポンプ・ケーシング4のポンプ入口44の内径円筒の内面44a、シュラウド曲面514a、およびシュラウド面514は、一緒に滑らかな表面を形成している。円錐体432の前端の直径は、リブプレート431の厚さに等しくなっている。円錐体432は軸方向にインペラ5の入口まで延出して、円錐体432の直径は、円錐面によって、前部軸座433の外径と等しくなるまで増加しており、円錐体432の円錐曲面432aとインペラ5のハブ表面515のハブ凹面515aとによって、一緒に滑らかな曲面を形成している。
【0054】
従って、流体は、流線6に沿って軸方向にポンプ入口44に入った後に、流入流線61と流心線513とによって、流れ方向が変わって径方向になる。このように流れる際に、ポンプ入口44の内部空間では、リブプレート431の厚さのみが流路の阻害面積であり、内側円筒内面44aの内径を調整することによって、流路の断面積の滑らかな変化が得られる。
また、流路の大きな広がり角度は必要なく、さらには、流入流線61の好ましい曲率半径が得られる。流れに影響を与える主な要因は、リブプレート431の厚さと、ノーズ434から円錐体432に軸方向に延びる流路の直径の変化である。つまり、ポンプ入口44に入る流体が、流線6によって(破線で示す)リブプレート431の(破線で示す)プレート前縁431aを通って流れた後に、流体の流速は増加し、最小限の障害が実現される。流線6の流動距離が長くなっているので、流体が(破線で示す)リブプレート431を通って流れた後に、流体は滑らかに流れるように調整されて、さらには、流動抵抗が低減される。
流体が、(破線で示す)リブプレート431の(破線で示す)プレート後縁431bから流れ出て、インペラ5の羽根前縁511に流入しようとしているときに、インペラ5の羽根前縁511と(破線で示す)リブプレート431の(破線で示す)プレート後縁431bとの間には流動空間があり、さらには流入流線61が好ましい曲率半径を有しているので、流動障害が大きく低減し、そこでの低い流動抵抗が維持される。
【0055】
NPSHrのより低い値は、より優れたアンチキャビテーション性能を表している。より低いNPSHrの鍵となるのは、インペラ5の入口での流体の流速が、より低いことである。流体が羽根51の羽根前縁511を通って流れるときに、ポンプが十分な断面積の流路を有することによって、流体は低い流速で流れることが可能である。羽根前縁511付近での流路の断面積が十分であることが、本発明における重要なポイントである。
【0056】
図4Bを参照すると、これは、第2の実施形態におけるインペラ5および内側回転子7を示している。図4Aで、流入路およびインペラ流路について既に詳細に説明しているので、以下では、本設計の利点について図4Bにより説明する。実際には、インペラ5の外径は、ポンプのヘッド出力の実際の要件に応じて、製造プロセスと適合するようにトリミングする必要があるが、フルオロポリマ製インペラ5の製造は費用がかかり、インペラ5の仕様の選択肢が少なすぎる場合がある。そこで、本発明のフロントサポート43は、インペラ5を、最大外径D2よりも20%大きくトリミングすることができるという利点を有している。
図4Bは、高出力要件に従ったポンプを示している。インペラ5の出口の外径D2に対するインペラ5の入口の口径D1の比は、低流量・高ヘッド・低出力のポンプを示す図4Aのインペラ5の比よりも遥かに大きい。インペラ5の外径をトリミングすると、インペラ5の羽根51の羽根後縁512の外径D2が削減される。つまり、インペラ5がトリミングされた後にはD1/D2比が増加し、D1/D2比が大きいほどポンプ効率は低くなるので、これが、トリミングされたインペラ5の作動条件が元の最適な設計から程遠いという理由である。
一方、フロントサポート43が、従来の三角フロントサポートで置き換えられた場合は、ポンプ入口44の内径が増加し、インペラ5の入口の口径D1も大きくなるので、インペラ5の入口の流速が低下することがあり、流動抵抗は低下するが、しかし、インペラ5がトリミングされると、D1/D2比が急激に増加して、インペラ5をトリミングすることにより可能な作動範囲は低減することになる。
【0057】
図5を参照する。格納シェル41は、フルオロポリマで構成された格納シェルライナ41aと、強化層41bと、を含む2層シェル構造である。格納シェル41からのリークがないことを確実にするため、貫通孔を持たない後部軸座413が、格納シェル41の底側に配置されている。格納シェル41の前端に設けられているシェルフランジ部411のバックアップ・プレート411aは、(図3を一緒に参照して)ポンプ・ケーシング4のケーシング・バックフランジ42およびブラケット91のブラケット・フロントフランジ911と1つに接続されるように構成されており、一緒になって腐食性流体のリークを防ぐように、円筒形のカップ状片持ち構造を形成している。バックアップ・プレート411aは、シェルフランジ部411の強度を確保し、その前端を固定するように構成されている。
【0058】
格納シェル41は片持ち構造であり、固定軸3が径方向の力を受ける際に、格納シェル41はシェルフランジ部411によって完全に支持される。格納シェル41の強度は、内部空間415からの流体圧力に耐える繊維強化層41bからの支持に完全に依存しており、また、シェル柱状部412は圧力下において最大変形を示す。軸保持穴413aの周囲には、格納シェル41のフルオロポリマ製格納シェルライナ41aと強化層41bとの間に金属カラー417が設けられて、環状スロット413bに挿入されている。このようにして、高温での格納シェル41のフルオロポリマ製格納シェルライナ41aの変形が軽減され、また、(図1Aを一緒に参照して)固定軸3とリア・スラストリング414の補助的支持が提供される。
【0059】
図2A、2B、6を参照する。本開示によれば、フロントサポート43は、互いに垂直に結合された2つのリブプレート431によって構成される。従来の対称三角フロントサポートは、より優れた構造強度を持つが、その流路の断面積が本発明の要件に適合しない場合がある。本発明で開示している直角構造の流路の断面積は、図4Aに示すように、要件を満たすことができ、直角構造の強度は、以下に説明するように、設計原理を満たすことができる。
【0060】
前部軸座433が固定軸3から径方向の力Pおよびモーメントを受けると、その力とモーメントは、円錐体432を介してリブプレート431に伝達され、そしてポンプ・ケーシング4に伝達される。前部軸座433に作用する径方向の力Pは、異なる値を持つ互いに垂直な2つの成分に分けることができる。互いに垂直な2つのリブプレート431は、力の2つの成分を同時に、さらにはモーメントを、効果的に支えることができる。リブプレート431の構造強度の構成とは、リブプレート431が十分な厚さと幅BLを有し、円錐曲面432aの長さに等しいリブプレート431と前部軸座433の結合した長さが十分な長さであることである。
また、ポンプ・ケーシング4のポンプ入口44の内側から軸方向に延出するリブプレート431は、十分なリブプレート軸方向幅RLを有している。つまり、円錐曲面432aは、流体が滑らかに流れることを可能にするだけではなく、さらには、力とモーメントを受けて伝達する。このように、本発明のフロントサポート43によって、流動抵抗を低減し、必要な支持剛性を得ることができる。
【0061】
図6を参照する。リブプレート431は、まず、ポンプ入口44の内面から軸方向に延出し、ポンプ・ケーシング4のポンプ入口44の内径の中心に向かって、内径の中心で1つに結合している。2つのリブプレート431が結合している位置で、円錐体432が、ポンプ入口44の内側から軸方向に延出しており、この円錐体432の中心はポンプ入口44の中心に対応している。
前部軸座433は、固定軸3の一端を支持するように構成されている。フルオロポリマは、良好な持続的圧縮能力によって、疲労破壊を生じることなく大きな圧迫を受けることができる。固定軸3は、前部軸座433に取り付けられると、適正な圧縮率と適切な保持長さLとによって、径方向の力Pおよびモーメントを受ける。樹脂エンクロージャ43aの変形によって固定軸3の一次的変形および運動が生じるので、十分な圧縮と保持長さLによって、力をフロントサポート43に容易に伝達することが可能である。保持長さLは、固定軸3の直径の少なくとも50%である。
【0062】
図6を参照する。固定軸3とその支持構造は、内側回転子重量W、偏心遠心力X、径方向の力P、およびそれらのモーメントを含む多様な負荷力に耐えるものでなければならない。内側回転子重量Wは、回転子の重量によって生じる力である。偏心遠心力Xは、セラミック軸受79の隙間に起因するものである。径方向の力Pは、ポンプ・ケーシング4内のボリュート47の不均一な流体圧力によってインペラ5に作用する力である。偏心遠心力Xおよび径方向の力Pの向きは、径方向で作動条件に応じて変わる。
【0063】
図6を参照する。多様な力が固定軸3に作用すると、モーメントアームによってモーメントが発生する。前部軸座433の一次変形を例にとると、モーメントアームの基準位置は、前部軸座433に位置する基準線Bが前提となる。重量のモーメントは、内側回転子重量Wに重量アーム長WLを掛けたものに等しい。偏心遠心力のモーメントは、偏心遠心力Xに偏心長XLを掛けたものに等しい。径方向の力のモーメントは、径方向の力Pに径方向力アーム長PLを掛けたものに等しい。上記の力とモーメントの和が、前部軸座433に作用する合成力および合成モーメントとなる。
セラミック軸受79の隙間が大きくなる摩耗から生じる偏心遠心力Xは、固定軸3の負荷の主な変動源である。摩耗が進むほど、偏心遠心力Xは大きくなる。最長のモーメントアームは、セラミック軸受79の中央から前部軸座433の中央までの偏心長XLである。最短のモーメントアームは、径方向の力のアーム長PLである。径方向の力Pは、内側回転子7の軸と固定軸3の軸との間に傾きを生じさせ、これは支持構造の連続的変形につながり、フロントサポート43において変形が生じる。
【0064】
リブプレート431の中央に位置する中心基準点として基準線Aを前提とすると、前部軸座433の合成力は、内側回転子重量Wと、偏心遠心力Xと、径方向の力Pとが一緒になって作用するものであり、それらのモーメントはフロントサポート43によって支えられる。モーメントの値は、前部軸座433の合成力にアーム長ABを掛けたものに等しい。
【0065】
図6を参照すると、(図1Aを一緒に参照して)耐腐食性材料で構成された格納シェル41の強度は温度が上昇すると低下し、変形は圧力の上昇によっても生じる。格納シェル41の後部軸座413の中心基準点として基準線Cを前提とすると、後部軸座413には、合成力のより少ない部分が作用し、合成力は主として前部軸座433に作用する。基準線Bから基準線Cまでの距離であるアーム長BCに、作用する力を掛けたものが、後部軸座413に作用するモーメントの値である。アーム長BCはアーム長ABよりも長く(すなわち、後部軸座413が受けるモーメントと力のほうが小さい)、従って、力とモーメントの大部分は固定軸3を介してフロントサポート43により支えられる。
【0066】
図7を参照すると、これは、第2の実施形態により力とモーメントを受ける複合格納シェル41の断面図である。複合固定軸3aの前端は、ポンプ・ケーシング4のフロントサポート43によって支持され、複合固定軸3aの後端は、格納シェル41の(図1Bを一緒に参照して)後部軸座413によって支持される。
複合固定軸3aは、セラミック軸スリーブ33と、金属軸32と、封止ナット323と、を備えている。金属軸32は、セラミック軸スリーブ33のスリーブ中心穴332を通っている。金属軸32のネジ部の一端は、フロントサポート43の前部軸座433の中心に位置するネジ穴433bと固定されている。ネジ部の他端は、結合ナット321を利用して、セラミック軸スリーブ33の後面に押し付けられる。
このようにして、複合固定軸3aが高剛性で形成されている。封止ナット323は、複合固定軸3aを完全に密封するように、金属軸32の後端にしっかりと固定される。封止ナット323の円筒形の外径は、格納シェル41の後部軸座413によって支持される。
【0067】
複合固定軸3aの中央部分は、それによって回転する内側回転子7のセラミック軸受79とかみ合っている。中央部分の長さはセラミック軸受79の長さに対応しており、これによって、内側回転子7からの合力を支える。
【0068】
金属フロントサポート43のリブプレート431および前部軸座433は、複合固定軸3aのための高剛性支持を提供し、これにより、温度が上昇するとプラスチック材料の強度が低下するという問題を解決している。
【0069】
図7を参照する。径方向の力Pとモーメントが複合固定軸3aに作用すると、その径方向の力Pとモーメントはフロントサポート43にも同様に作用し、フロントサポート43の変形および運動が発生する。
【0070】
図7を参照する。複合固定軸3aの中央部分は、内側回転子7のセラミック軸受79とかみ合って、これにより、複合固定軸3aは、それに沿った内側回転子7の回転を支持している。中央部分の長さは、セラミック軸受79の長さに対応している。複合固定軸3aとその支持構造は、内側回転子重量W、偏心遠心力X、径方向の力P、およびそれらのモーメントを含む多様な力に耐えるものである必要がある。
内側回転子重量Wは、回転子の重量によって生じる力である。偏心遠心力Xは、セラミック軸受79の隙間に起因する回転子の重心の偏心遠心力である。径方向の力Pは、ポンプ・ケーシング4のボリュート47の不均一な流体圧力によってインペラ5に作用する力である。
【0071】
図7を参照する。多様な力は複合固定軸3aに作用し、さらには、モーメントアームによってモーメントが発生する。モーメントアームの基準位置は、フロントサポート43の基準線Aが前提となる。
【0072】
重量のモーメントは、内側回転子重量Wに重量アーム長WLを掛けたものに等しい。偏心遠心力のモーメントは、偏心遠心力Xに偏心長XLを掛けたものに等しい。径方向の力のモーメントは、径方向の力Pに径方向力アーム長PLを掛けたものに等しい。上記の力とモーメントの和が、フロントサポート43に作用する合成力および合成モーメントとなる。
セラミック軸受79の隙間が大きくなる摩耗から生じる偏心遠心力Xは、複合固定軸3aの負荷の主な変動源である。摩耗が進むほど、偏心遠心力Xは大きくなる。最長のモーメントアームは、セラミック軸受79の中央からフロントサポート43の中央までの偏心長XLである。最短のモーメントアームは、径方向の力のアーム長PLである。径方向の力Pは、内側回転子7の軸と複合固定軸3aの軸との間に傾きを生じさせ、これはフロントサポート43の連続的変形につながる。
【0073】
(図1Aを一緒に参照して)耐腐食性材料で構成された格納シェル41の強度は温度が上昇すると低下し、変形は圧力の上昇によっても生じる。格納シェル41の後部軸座413の中心基準点として基準線Cを前提とすると、後部軸座413には、合成力の極めて僅かな部分が作用し、合成力は主としてフロントサポート43に作用する。格納シェル41は、輸送液体の内部圧力に耐えるようにのみ設計されている。
【0074】
本発明の典型的な実施形態についての上記説明は、単に例示および説明を目的として提示したものであって、網羅的なものではなく、または開示した厳密な形態に本発明を限定するものではない。上記教示に照らして、様々な変形および変更が可能である。
【0075】
実施形態は、本発明の原理およびその実際の適用について説明するために選択され、記載されたものであり、これによって、他の当業者が、本発明および様々な実施形態を、予定される特定の用途に合わせた様々な変更を加えて、利用することを促している。本発明が属する技術分野に精通した者には、その趣旨および範囲から逸脱することなく、他の実施形態が明らかになるであろう。従って、本発明の範囲は、上記説明およびそこで記載した例示的実施形態によってではなく、添付の請求項によって規定される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポンプ・ケーシングを備える磁気駆動ポンプであって、
鋳鉄またはステンレス鋼で構成された前記ポンプ・ケーシングは、入口と、ボリュートと、出口と、ケーシング・バックフランジと、ケーシング・ライナと、フロントサポートと、を有し、
前記ポンプ・ケーシングは、インペラを収容するように構成されており、
前記入口は、軸動力を流体動力に変換するための羽根を有する前記インペラの入口に接続されるように構成されており、
加圧された流体は前記ボリュートに入って、その後、前記出口を通って流出し、
前記ケーシング・ライナは、腐食性流体を隔離するために、前記ポンプ・ケーシングの内部で流体接触側に設けられており、
前記ケーシング・バックフランジは、ブラケットと格納シェルとを組み付けるために、前記ポンプ・ケーシングの後端に配置されており、
前記フロントサポートは、前記入口の内部空間に形成され、互いに結合されて一体化されており、また、内側回転子とかみ合って前記インペラを駆動する固定軸を組み付けるための片持ち構造をなすように軸方向に延出し、
前記フロントサポートは、2つのリブプレートと、円錐体と、前部軸座とを有し、
前記フロントサポートは、前記ポンプ・ケーシングの内側に向かって軸方向に延出しており、
前記リブプレートは、前記ポンプ・ケーシングの前記入口の内面から内向きに延出して、内径の中心で1つに結合しており、結合により前記2つのリブプレートは互いに垂直になって直角構造をなしており、
前記円錐体は、前記2つのリブプレートが結合するところに形成されて、
前記円錐体の中心は前記ポンプ・ケーシングの前記入口の内径の中心に対応しており、
前記円錐体は、前記ポンプ・ケーシングの後側に向かって内向きに延出しており、
前記前部軸座は、前記フロントサポートの後端に位置しており、
前記リブプレートは、前記円錐体の軸方向の長さに沿って軸方向に延びて、前記リブプレートの幅は、前記前部軸座の外径と一致するように徐々に減少しており、
前記前部軸座は前記インペラのハブ開口部を通っており、
前記固定軸は、前記前部軸座の軸保持穴に組み付けられて、前記軸保持穴は、前記固定軸の剛性を高めるための保持長さを提供しており、
前記固定軸にかかる力およびモーメントは、前記フロントサポートを介して前記ポンプ・ケーシングに伝達されることが可能であり、
前記フロントサポートの外面は、耐腐食性プラスチックで完全にカプセル化されて、前記ポンプ・ケーシングの前記ケーシング・ライナと一体化されていることを特徴とする、
磁気駆動ポンプ。
【請求項2】
前記保持長さは、前記固定軸の直径の少なくとも50%であることを特徴とする、請求項1に記載の磁気駆動ポンプ。
【請求項3】
前記耐腐食性プラスチックは、テトラフルオロエチレンとパーフルオロアルコキシエチレンの共重合体(PFA)、およびエチレン・テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)といったフルオロポリマであることを特徴とする、請求項1に記載の磁気駆動ポンプ。
【請求項4】
前記円錐体の円錐曲面は、前記インペラのハブ凹面とともに滑らかな曲面を形成していることを特徴とする、請求項1に記載の磁気駆動ポンプ。
【請求項5】
ポンプ・ケーシングを備える磁気駆動ポンプであって、
鋳鉄またはステンレス鋼で構成された前記ポンプ・ケーシングは、フロントサポートと、入口と、ボリュートと、出口と、ケーシング・バックフランジと、ケーシング・ライナと、複合固定軸と、を有し、
前記ポンプ・ケーシングは、インペラを収容するように構成されており、
前記入口は、軸動力を流体動力に変換するための羽根を有する前記インペラの入口に接続されるように構成されており、
加圧された流体は前記ボリュートに入って、その後、前記出口を通って流出し、
前記ケーシング・ライナは、腐食性流体を隔離するために、前記ポンプ・ケーシングの内部で流体接触側に設けられており、
前記ケーシング・バックフランジは、ブラケットと格納シェルとを組み付けるために、前記ポンプ・ケーシングの後端に配置されており、
前記フロントサポートは、前記入口の内部空間に形成され、互いに結合されて一体化されており、
前記フロントサポートは、内側回転子とかみ合って前記インペラを駆動する前記複合固定軸を組み付けるための片持ち構造をなすように軸方向に延出し、
前記フロントサポートは、2つのリブプレートと、円錐体と、前部軸座とを有し、
前記フロントサポートは、前記ポンプ・ケーシングの内側に向かって軸方向に延出しており、
前記リブプレートは、前記ポンプ・ケーシングの前記入口の内面から内向きに延出して、内径の中心で1つに結合しており、結合により前記2つのリブプレートは互いに垂直になって直角構造をなしており、
前記円錐体は、前記2つのリブプレートが結合するところに形成されて、
前記円錐体の中心は前記ポンプ・ケーシングの前記入口の内径の中心に対応しており、
前記円錐体は、前記ポンプ・ケーシングの後側に向かって内向きに延出しており、
前記前部軸座は、前記フロントサポートの後端に位置しており、
前記リブプレートは、前記円錐体の軸方向の長さに沿って軸方向に延びて、
前記リブプレートの幅は、前記前部軸座の外径と一致するように徐々に減少しており、
前記前部軸座は前記インペラのハブ開口部を通っており、
前記フロントサポートの外面は、耐腐食性プラスチックで完全にカプセル化されて、前記ポンプ・ケーシングの前記ケーシング・ライナと一体化されており、
ネジ穴を有する前記前部軸座の軸保持部は、内部でカプセル化されておらず、
前記ネジ穴は、前記複合固定軸の金属軸の端部にあるネジ部をしっかりと固定するように構成されており、
前記前部軸座の表面は、結合面とシール面である2つの環状面に分割されており、
前記結合面は、前記複合固定軸の支持剛性を確保するように、セラミック軸スリーブの表面に強く押し付けられるとともに付着されて、前記シール面における樹脂エンクロージャの適正な圧縮率を維持しており、
前記複合固定軸は、両持ち構造であって、
前記複合固定軸の前端は、前記ポンプ・ケーシングの前記フロントサポートによって支持され、
前記複合固定軸の後端は、前記格納シェルの後部軸座によって支持されており、
前記複合固定軸は、前記セラミック軸スリーブと、前記金属軸と、封止ナットと、を有し、
前記金属軸は、その両端にネジ部を有して、前記セラミック軸スリーブのスリーブ中心穴を通っており、
前記金属軸のネジ部の一端は、前記フロントサポートの前記前部軸座の中心に位置するネジ穴と固定され、ネジ部の他端は、結合ナットを利用して、前記セラミック軸スリーブの後面に押し付けられており、
前記セラミック軸スリーブの前端面は、前記フロントサポートの前記前部軸座の前記結合面と前記シール面に対して強く押し付けられて、これにより、前記複合固定軸を高剛性で形成しており、
前記セラミックスリーブは、前記結合面に対して強く押し付けられる前面を有し、
前記シール面は、前記フロントサポートの前記前部軸座に対して強く押し付けられて、これにより、前記シール面における前記樹脂エンクロージャの適正な圧縮率を維持しており、
前記セラミック軸スリーブの後面は、前記結合ナットによって強く圧迫されて、これにより、前記複合固定軸の支持剛性を確保しており、
前記封止ナットは、樹脂エンクロージャで覆われたカップ状の円筒形金属部品であって、
前記封止ナットは、前記複合固定軸を完全に密封するように、前記金属軸の後端にしっかりと固定されており、
前記封止ナットの開口面は、前記セラミック軸スリーブの後面に強く押し付けられていることを特徴とする、
磁気駆動ポンプ。
【請求項6】
前記耐腐食性プラスチックは、テトラフルオロエチレンとパーフルオロアルコキシエチレンの共重合体(PFA)、およびエチレン・テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)といったフルオロポリマであることを特徴とする、請求項5に記載の磁気駆動ポンプ。
【請求項7】
前記円錐体の円錐曲面は、前記インペラのハブ凹面とともに滑らかな曲面を形成していることを特徴とする、請求項5に記載の磁気駆動ポンプ。
【請求項8】
前記前部軸座の前記結合面はカプセル化されておらず、前記前部軸座の前記シール面は耐腐食性プラスチックによってカプセル化されていることを特徴とする、請求項5に記載の磁気駆動ポンプ。
【請求項9】
低流動抵抗構造を有する磁気駆動ポンプであって、
ポンプ・ケーシングの入口と、フロントサポートと、インペラと、前記ポンプ・ケーシングのボリュートと、を備え、
前記インペラを、前記ポンプ・ケーシングに関して、軸方向にある距離シフトさせることで、前記インペラの出口の流心線がポンプ出口の前記ボリュートの中心線の内側に位置するようにして、これにより、前記ポンプ・ケーシングの入口と前記インペラの入口との間の流動距離をより長くしており、
前記インペラの入口の羽根前縁付近でのシュラウド曲面の幾何学的形状は、適切な曲率半径を有し、
固定軸の近くかつ羽根前縁付近でのハブプレートは、前部軸座の円錐体の曲面と調和する凹型設計であり、
前記ポンプ・ケーシングのポンプ入口の内径円筒形内面と、シュラウド曲面と、シュラウド面とで、前記インペラの滑らかな表面を形成しており、
前記円錐体は、円錐面によって、前記インペラの入口まで軸方向に延出しており、円錐曲面と、前記インペラのハブ表面のハブ凹面とで、同じく滑らかな曲面を形成しており、
前記ポンプ入口の内部空間では、断面積が滑らかに変化しており、流体は前記ポンプ入口に入って、リブプレートのプレート前縁を通り、より長い前記流動距離によって、流体の流速が増加するとともに、最小限の障害が実現され、流れは前記リブプレートによって調整されることを特徴とする、
磁気駆動ポンプ。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−96406(P2013−96406A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−232806(P2012−232806)
【出願日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【出願人】(510109198)協磁股▲ふん▼有限公司 (4)
【Fターム(参考)】