説明

移動体に搭載される情報処理装置

【課題】 移動体に搭載される情報処理装置であって、ユーザが操作部や画面を注視しなくても容易に操作を行える情報処理装置を提供する。
【解決手段】 移動体に搭載される情報処理装置1は、モニタ18と、ユーザから位置情報の入力を受け付けるタッチパッド10と、入力位置の移動経路によって規定した操作パターンとその操作パターンに対応する処理とを記憶した操作パターンDB28と、タッチパッド10にて受け付けた入力位置の移動経路が操作パターンDB28に記憶された操作パターンと合致するか判定する操作パターン判定部16と、入力位置の移動経路が操作パターンに合致すると判定されたときに、その操作パターンに対応する処理に従ってモニタの画面制御を行う画面制御部20とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体に搭載される情報処理装置であって、ユーザが容易に操作を行える情報処理装置に関し、特に、ユーザが操作部や画面を注視しなくても操作可能な装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ナビゲーション装置等の情報処理装置において、ユーザが容易に操作を行うことができる様々なインターフェースが提案されている。
【0003】
ナビゲーション装置においては、タッチパネル付きのモニタやリモコンが広く用いられており、ユーザは容易に操作を行うことができる。しかしながら、タッチパネルやリモコンの入力インターフェースでは、操作を行うためにはステアリングから手を離さなければならないため、ドライバが運転中に操作を行うのは危険である。現状では、運転中にナビゲーション装置を操作することは禁止されている。
【0004】
また、ステアリングに操作パネルを設け、ドライバがステアリングから手を離さずに操作可能なナビゲーション装置も提案されている。例えば、特許文献1は、ユーザが意図した操作を違和感なくスムースに行えるようにすることを目的とした情報操作装置を開示している。この情報操作装置では、操作パネルがステアリングに取り付けられている。ドライバがステアリングを掌握した状態で、操作パネルに触れた場合には、最初に触れた位置を中心として、操作パネル上に各選択項目に対応する接触領域を設定する。これにより、ドライバは、最初に触れた位置を中心として、その周辺に触れることにより選択項目を選択することができる。
【特許文献1】特開2005−119540号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された情報操作装置では、ユーザが最初に触れた位置を覚えておくことが必要であり、最初に触れた位置を忘れてしまった場合には、選択項目に適切に触れることができない。特許文献1には、最初に触れた位置を示すために、中心の縦座標と横座標とに対応するインジケータを点灯させることも記載されている。しかし、操作パネルのインジケータから選択項目の表示中心に対応する位置を確認するためには、操作パネルを良く見る必要があり、その間、車両前方から目を離さなくてはならないので問題がある。
【0006】
そこで、本発明は上記背景に鑑み、ユーザが操作部や画面を注視しなくても容易に操作を行える情報処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の情報処理装置は、移動体に搭載される情報処理装置であって、画像出力部と、ユーザから位置情報の入力を連続的に受け付ける操作部と、入力位置の移動経路によって規定した操作パターンとその操作パターンに対応する処理とを記憶した操作パターン記憶部と、前記操作部にて受け付けた入力位置の移動経路が前記操作パターン記憶部に記憶された操作パターンと合致するか判定する操作パターン判定部と、入力位置の移動経路が前記操作パターンに合致すると判定されたときに、その操作パターンに対応する処理に従って前記画像出力部の画面制御を行う画面制御部とを備える。
【0008】
このように入力位置の移動経路によって規定した操作パターンに基づいて画面制御を行うことにより、操作部や画面を注視しなくても操作を行うことが可能である。すなわち、本発明によれば、操作部や画面のどの位置を指示しているかではなく、入力位置の相対的な移動経路のパターンによって処理を決定するので、操作部や画面を注視しなくても操作できる。なお、本発明において、入力位置の移動経路が操作パターンに「合致する」とは、入力位置の移動経路と操作パターンとの類似度が所定の閾値よりも高いことを意味する。操作パターン記憶部に記憶された操作パターンは、移動経路の形状を規定し、大きさを規定していない。従って、例えば、操作パターンが円形である場合には、入力位置の移動経路が半径3cmの円形を描いた場合も5cmの円形を描いた場合も、操作パターンに合致することになる。
【0009】
本発明の情報処理装置は、入力位置の移動経路が前記操作パターンに合致したことを報知する報知音を出力する報知音出力部を備えてもよい。
【0010】
この構成により、報知音によって入力位置の移動経路が操作パターンに合致したことを知ることができるので、報知音が出力されてから初めて画面を見ればよいので、それまでは画面を見なくても操作可能となる。
【0011】
本発明の情報処理装置において、前記報知音出力部は、入力位置の移動経路と合致した操作パターンの種類に応じて異なる報知音を出力してもよい。
【0012】
このように報知音の種類を変えることにより、画面を見なくても、どの操作パターンに合致したか知ることができる。
【0013】
本発明の情報処理装置において、前記画面制御部は、以下の制御を行ってもよい。すなわち、前記操作パターン判定部にて入力位置の移動経路が、(1)起動処理に対応する操作パターンに合致したと判定された場合、複数の選択項目を有する画面を表示し、(2)選択処理に対応する操作パターンに合致したと判定された場合、前記画面に表示された選択項目を順次指示し、(3)いずれかの選択項目が指示された状態で確定処理に対応する操作パターンに合致したと判定された場合、指示された選択項目の選択を確定し、(4)キャンセル処理に対応する操作パターンに合致したと判定された場合、前記画面の表示をクリアする。
【0014】
このように、起動処理、選択処理、確定処理およびキャンセル処理のそれぞれに対応する操作パターンを有し、各操作パターンに合致したときに、画面制御部は、上記各処理を実行することにより、操作部および画面を注視していなくても上記各処理を行なえる。
【0015】
前記操作部がタッチパッドの場合には、前記操作パターン記憶部は、確定処理に対応する操作パターンとして、タッチパッドから指が離れる操作、あるいはタッチパッドを所定の閾値以上の圧力で押す操作を記憶しておき、確定処理を検知してもよい。
【0016】
この構成により、指を動かして所定の移動経路を描くことにより処理を選択し、続いて、タッチパッドから指を離す、あるいはタッチパッドを強く押すことにより、確定することができるので、シンプルでかつスムースなインターフェースを実現できる。
【0017】
本発明の情報処理装置において、前記確定処理に対応する操作パターンに合致したと判定された場合、選択項目を順次指示する際に入力された入力位置の移動経路の情報を用いて前記選択処理に対応する操作パターンを更新してもよい。
【0018】
この構成により、選択処理に対応する操作パターンを、それぞれのユーザに合わせて学習することができる。それぞれのユーザに合った操作パターンで処理を決定できるようにすることにより、移動体を運転中のユーザが操作する場合にも迅速かつ適切な操作が可能となり、安全運転に資することができる。
【0019】
本発明の情報処理装置は、所定時間にわたって入力位置の移動経路と前記操作パターンとの合致を検知しなかった場合、前記画面制御部は表示中の画面をペンディング画面として記憶すると共に、前記画面の表示をクリアし、次回の起動処理時に前記ペンディング画面を表示してもよい。
【0020】
この構成により、操作パターンの入力がない場合には、自動的に画面表示をクリアするとともに、次回の起動時に処理を再開することができる。
【0021】
本発明の情報処理装置において、前記操作部は、ユーザが移動体のステアリングを掌握した状態で操作可能な位置に設けられてもよい。
【0022】
この構成により、ステアリングから手を離さずに操作することができる。さらに、画面をメーターの部分に取り付けるか、あるいはヘッドアップディスプレイとすることにより、画面を見るときに前方から目を離さなくてよいので、安全に操作することが可能となる。
【0023】
本発明の情報処理装置は、前記操作部から入力された位置情報を記憶する入力位置履歴記憶部を備え、前記操作パターン判定部は、前記入力位置履歴記憶部から所定期間における位置情報を読み出して当該所定期間における移動経路を形成し、前記移動経路と前記操作パターン記憶部に記憶された操作パターンとを比較する処理を順次行ってもよい。
【0024】
この構成により、順次入力される位置情報と操作パターンとを適切に比較することができる。
【0025】
本発明の情報処理方法は、移動体に搭載される情報処理装置の情報処理方法であって、入力位置の移動経路によって規定した操作パターンとその操作パターンに対応する処理とを記憶した操作パターン記憶部を準備するステップと、操作部によりユーザから位置情報の入力を連続的に受け付けるステップと、前記操作部にて受け付けた入力位置の移動経路が前記操作パターン記憶部に記憶された操作パターンと合致するか判定するステップと、入力位置の移動経路が前記操作パターンに合致すると判定されたときに、その操作パターンに対応する処理に従って画面制御を行うステップとを備える。
【0026】
この構成により、入力位置の移動経路によって規定した操作パターンに基づいて画面制御を行うので、操作部や画面を注視しなくても操作を行うことが可能である。なお、本発明の情報処理装置の各種の構成を本発明の情報処理方法に適用することが可能である。
【0027】
本発明のプログラムは、移動体に搭載される情報処理装置の画面制御を行うためのプログラムであって、コンピュータに、操作部によりユーザから位置情報の入力を連続的に受け付けるステップと、前記操作部にて受け付けた入力位置の移動経路が、入力位置の移動経路によって規定した操作パターンとその操作パターンに対応する処理とを記憶した操作パターン記憶部に記憶された前記操作パターンと合致するか判定するステップと、入力位置の移動経路が前記操作パターンに合致すると判定されたときに、その操作パターンに対応する処理に従って画面制御を行うステップとを実行させる。
【0028】
この構成により、入力位置の移動経路によって規定した操作パターンに基づいて画面制御を行うので、操作部や画面を注視しなくても操作を行うことが可能である。なお、本発明の情報処理装置の各種の構成を本発明のプログラムに適用することが可能である。
【発明の効果】
【0029】
この構成により、入力位置の移動経路によって規定した操作パターンに基づいて画面制御を行うので、操作部や画面を注視しなくても操作を行うことができるという効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明の実施の形態の情報処理装置について図面を参照して説明する。以下では、情報処理装置を搭載する移動体として車両を例として説明するが、本発明の情報処理装置は、車両以外の移動体に搭載することも可能である。
【0031】
図1は、実施の形態の情報処理装置1の構成を示す図である。本実施の形態の情報処理装置1は、車両に搭載され、各種の車両搭載機器30と連携する。情報処理装置1は、ドライバからの入力を受け付けるタッチパッド10と、タッチパッド10から入力された操作内容を解析する操作内容解析部12と、入力された操作内容に応じてドライバに対する出力を行うモニタ18およびスピーカ22と、モニタ18およびスピーカ22をそれぞれ制御する画面制御部20および報知音制御部24を有する。なお、操作内容解析部12、画面制御部20、および報知音制御部24は、情報処理装置1の機能を示しており、実際の装置では、CPUが、ROM等に記憶されたプログラムを実行することにより、これらの機能を実現する。情報処理装置1の機能を実現するためのプログラムも本発明の範囲に含まれる。
【0032】
本実施の形態の情報処理装置1と連携する車両搭載機器30には、ナビゲーション装置32、エアコン34、オーディオ36、電話38が含まれる。なお、図1に記載した車両搭載機器30は例示であり、情報処理装置1と連携可能な車両搭載機器30は、図1に示す例に限定されない。例えば、情報処理装置1は、窓の開閉を制御する機器や、ヘッドライトの点灯を制御する機器と連携することも可能である。
【0033】
図2は、本実施の形態の情報処理装置1が車両に搭載された様子を示す図である。図2に示すように、タッチパッド10は、ステアリング40に取り付けられている。図2では、ステアリング40の右側に取り付けた例を示しているが、取り付け位置は右側に限定されない。モニタ18は、メーター取付部42に取り付けられている。なお、モニタ18は、ナビゲーション装置32のモニタと共通であってもよい。
【0034】
操作内容解析部12は、入力信号受信部14と、操作パターン判定部16とを有している。入力信号受信部14は、タッチパッド10から入力される位置情報を示す信号を受信し、受信した信号から指によって指示された位置情報を入力位置履歴記憶部26に記憶する機能を有する。入力信号受信部14が行う処理を具体的に説明する。入力信号受信部14は、タッチパッド10から物体の検知信号を受信すると、受信した検知信号から物体の接触面積や接触面の形状を求め、接触している物体が人間の指であるか否かを判定する。この判定により、ステアリングを掌握しているドライバの手のひら等が意図せずしてタッチパッド10に触れてしまったことによる誤検出を防止できる。入力信号受信部14は、接触している物体が人間の指であると検知した場合に、指の代表座標を算出する。代表座標としては、接触している部分の中心の座標を用いてもよいし、重心の座標を用いてもよい。
【0035】
操作パターン判定部16は、入力位置履歴記憶部26に記憶されているデータを読み出し、読み出したデータから算出される移動経路と、操作パターンデータベース(以下、「操作パターンDB」という)28に記憶された操作パターンとを比較する。移動経路が操作パターンに合致したか否かの判定は、両者の類似度が所定の閾値以上であるか否かによって判定する。類似度の計算は、例えば、手書き文字認識等に用いられる主成分分析と距離計算を用いて行うことができる。主成分分析によって入力された移動経路の特徴(ベクトル)と、操作パターンDB28に記憶されたパターンの特徴(ベクトル)を抽出し、距離計算によって両特徴(ベクトル)の距離を計算する。そして、この距離が所定の閾値以下である場合に両パターンが類似すると判定する。なお、主成分分析と距離計算については、例えば、松本、中川「オンライン手書き日本語文字認識のための大分類手法の改良」電子情報通信学会技術報告書、PRMU2001-273,2002年3月に記載されている。
【0036】
図3は、操作パターンDB28に記憶されたデータの例を示す図である。操作パターンDB28には、操作パターンとその操作パターンに対応する処理内容とが記憶されている。図3に示すように、2回半往復する移動経路の操作パターンは、起動処理に対応付けられている。従って、2回半往復する移動経路の操作パターンに合致した場合には、起動処理が入力されたと判定し、その判定結果を画面制御部20に送る。なお、図3では、往復の方向を横向きに記載しているが、タッチパッド10の向きとは関係がない。すなわち、往復の移動経路が縦向きでも斜め向きでも、2回半往復する移動経路は、この操作パターンに合致する。これは、他の操作パターンについても同じである。
【0037】
ここで、操作パターンDB28に記憶された他の操作パターンについても説明する。入力位置が円を描く移動経路の操作パターンは選択処理に対応付けられている。なお、図3では、右回りの円を描く操作パターンを示しているが、左回りの場合も選択処理に対応付けることとしてもよい。また、左回りの場合には、別の処理に対応付けることも可能である。
【0038】
入力位置の移動経路が途切れる、すなわち指を離す操作パターンは確定処理に対応付けられている。入力位置の移動経路が一直線にタッチパネル外に出ている操作パターンはキャンセル処理に対応付けられている。
【0039】
操作パターン判定部16は、あらかじめ定められた所定期間(例えば、1秒間)における入力位置情報を順次読み出し、読み出したデータから算出される移動経路と、操作パターンDB28に記憶されたいずれかのパターンと合致するか否かを順次判定する。
【0040】
図4(a)は、入力位置履歴記憶部26に記憶されたデータの例を示す図である。実際には、入力位置履歴記憶部26は、各時刻における代表座標の形式で入力位置のデータを記憶しているが、図4(a)では、移動経路が分かりやすいように、各時刻における入力位置を平面上に示している。図4(a)に示す例では、時刻t1に最初にタッチを検知し、以下、0.1秒ごとに検知した入力位置を示している。
【0041】
操作パターン判定部16は、例えば、1秒間における入力位置座標情報を順次読み出す。まず、時刻t1〜t10における入力位置座標情報を読み出して、操作パターンに合致するか否かを判定する。次に、時刻t2〜t11における入力位置座標情報を読み出して、操作パターンに合致するか否かを判定する。以下、この処理を繰り返し行う。図4(a)に示す例では、時刻t6〜t15の1秒間における移動経路が「選択」の操作パターンに合致すると判定される。このように、入力位置履歴情報記憶部26から順次データを読み出して判定を行うことにより、指の移動が一段落した時点でパターンの判定を促したり、ドライバがタッチパッド10から指をいったん離したりしなくても操作パターンの判定を行える。これにより、操作パターンの判定を開始するために操作の流れを途切れさせることなく、スムースなユーザーインターフェースを実現できる。
【0042】
図4(b)は、図4(a)と相似の移動経路を示す図である。図4(b)は、図4(a)とタッチパッド10における入力位置は異なるが、図4(a)と同様に、円形の移動経路を有しているので「選択」の操作パターンに合致すると判定される。すなわち、操作パターン判定部16は、タッチパッド10上のどの位置を触れたかということに関わらず、操作パターンを検知する。
【0043】
画面制御部20は、操作パターン判定部16の判定結果に基づいて、モニタ18の画面制御を行う。画面制御部20は、操作パターン判定部16から起動処理の操作パターンが入力されたときに、初期画面あるいは前回操作中にペンディングとなっていたペンディング画面を表示する機能を有する。画面制御部20は、選択処理の操作パターンが入力されたときに選択項目を順次指示する表示を行う。また、画面制御部20は、確定処理の操作パターンが入力されたときには、指示された選択項目の選択を確定し、当該選択項目に対応する処理を行う。例えば、画面制御部20は、選択項目に応じて次の選択画面を表示したり、車両搭載機器30に対して選択項目に示された指示を出す。なお、選択処理が行われていない状態で確定処理が入力された場合には、画面制御部20は、その確定処理の入力を破棄し、次の指示を待つ。これにより、ドライバがうっかりタッチパッド10から指を離してしまった場合に、情報処理装置1が誤動作しないようにしている。
【0044】
報知音制御部24は、操作パターン判定部16にて、入力位置の移動経路と操作パターンとが合致すると判定されたときに、報知音を出力する機能を有する。このように移動経路と操作パターンとの合致を報知音で知らせることにより、ドライバは、モニタ18を注視していなくても、入力位置の移動経路が操作パターンに合致したことを知ることができる。これにより、報知音出力があるまでは、ドライバはモニタ18を見る必要がなく、安全運転に資することができる。なお、報知音制御部24は、操作パターンによらず、同じ報知音を出力してもよいし、操作パターンに応じて異なる報知音を出力してもよい。操作パターンに応じて異なる報知音を出力すれば、ドライバは報知音だけで、合致した操作パターンを知ることができるので便利である。例えば、ドライバが意図しない操作パターンに合致した場合には、ドライバは、モニタ18を見るまでもなく、キャンセルすることも可能である。
【0045】
なお、報知音制御部24は、入力位置の移動経路が操作パターンに一致したときのみならず、様々なタイミングで報知音を出力することが可能である。例えば、報知音制御部24は、選択処理を行う際に、項目が選択されたタイミングで選択された項目に応じて異なる報知音を出力することとしてもよい。これにより、報知音によって、どの選択項目が選択されたかを知ることができる。また、報知音制御部24は、選択処理において選択項目が順次指示されている最中に、指示された選択項目に応じて異なる報知音を出力することとしてもよいし、選択処理において指の動きが停止したときに指示されている選択項目に応じて異なる報知音を出力することとしてもよい。この構成により、報知音によって、どの選択項目が指示されているかを知ることができるので、慣れてくれば、モニタ18を見なくても所望の項目を選択することが可能となる。
【0046】
図5は、本実施の形態の情報処理装置1の動作を示すフローチャートである。図5を参照して、情報処理装置1の動作について説明する。情報処理装置1は、タッチパッド10へのタッチを検知すると(S10)、タッチを検知したときの状態が画面起動中であるか否かを判定する(S12)。本実施の形態では、情報処理装置1は、起動中フラグがオンされているか否かを判定する。起動中フラグがオンされていない場合(S12でNO)、すなわち画面起動中ではない場合には、起動処理を行う。
【0047】
図6は、情報処理装置1の起動処理の動作を示すフローチャートである。情報処理装置1は、起動処理に対応する操作パターンが入力されたか否かを判定する(S40)。情報処理装置1は、起動処理に対応する操作パターンが入力されるまで、この判定を繰り返し行う。このように、起動処理に対応する操作パターンの入力を待って画面を起動することにより、情報処理装置1の誤作動を防止することができる。
【0048】
情報処理装置1の操作パターン判定部16は、起動処理に対応する操作パターンを検知すると、検知したことを報知音制御部24および画面制御部20に通知する。報知音制御部24は、報知音を出力して、起動処理に対応する操作パターンを検知したことをドライバに知らせる(S42)。画面制御部20は、ペンディング画面があるか否かを判定する(S44)。ペンディング画面がないと判定された場合(S44でNO)、画面制御部20は、初期画面を表示する(S46)。ペンディング画面があると判定された場合(S44でYES)、画面制御部20は、そのペンディング画面を表示する(S48)。
【0049】
情報処理装置1は、初期画面またはペンディング画面を表示した後、起動フラグをオンにする(S50)。これにより、ドライバが手を離した後に再度タッチパッド10にタッチした場合には、起動フラグがオンされているので、起動処理をスキップする。
【0050】
図5に戻って、起動処理後の情報処理装置1の動作について説明する。起動処理後、情報処理装置1の動作は、図5のフローチャートにおける「B」の位置に復帰する。情報処理装置1の操作パターン判定部16は、操作パターンDB28に記憶された操作パターンを検知する(S14)。操作パターンDB28に記憶されたいずれかのパターンに合致する移動経路を検知したときは、報知音制御部24は報知音を出力し、操作パターンに合致したことを報知する(S16)。
【0051】
次に、操作パターン判定部16は、検知した操作パターンを画面制御部20に送り、画面制御部20は、操作パターンに従って動作を行う。画面制御部20は、操作パターン判定部16から送られたパターンが何であったかを判定する(S18)。ここで、入力位置の移動経度が一直線にタッチパッド10の外に出て、「キャンセル」の操作パターンと合致すると判定された場合には、情報処理装置1は、起動フラグをオフし(S36)、画面制御を終了する。
【0052】
入力位置の移動経路が円を描き、「選択」の操作パターンと合致すると判定された場合には、画面制御部20は、選択項目を順次指示する(S20)。情報処理装置1は、「選択」の操作パターンを検知した後は、次のパターンを検知するステップS14に戻る。
【0053】
タッチパッド10から指が離れ、「確定」の操作パターンと合致すると判定された場合には、情報処理装置1は、操作パターンの学習を行い(S22)、続いて、確定を検出したときに指示している選択項目の選択を確定する(S24)。
【0054】
ここで、操作パターンの学習について説明する。情報処理装置1は、「確定」の操作パターンを検知すると、「選択」の操作パターンを入力したときのドライバの指の移動経路の情報を用いて、操作パターンDB28に記憶された操作パターンの学習を行う。すなわち、本実施の形態では、操作パターンと入力位置の移動経路と類似度が所定の閾値以上であれば両者が合致すると判定しているので、両者が合致していると判定された場合にも、入力位置の移動経路が操作パターンと全く同じ軌跡を辿ったとは限らない。ドライバが実際に入力した移動経路を教師信号として操作パターンの学習を行うことにより、ドライバの癖を加味して適切な操作パターンDB28を生成することができる。例えば、選択処理の操作パターンを入力する際に、楕円形の円を描く癖のあるドライバに対しては、選択処理に対応する操作パターンを楕円形にすることにより、適切に操作パターンを検知できる。本実施の形態のように、情報処理装置1を車両に搭載して用いる場合には、ドライバは指がどのような移動経路となるかを注視しながら操作することはできないので、あらかじめ設定された操作パターンと全く同じ移動経路を辿ることは困難である。従って、操作パターンの学習を行う構成により、それぞれのドライバに合った操作パターンを生成することが望ましい。
【0055】
画面制御部20は、指示された項目の選択を確定すると、確定された選択項目に対応する処理を行う。選択した項目が次のメニュー画面を表示する項目である場合には、画面制御部20は次のメニュー画面を表示し、選択した項目が車両搭載機器30に対する制御の項目である場合には、画面制御部20は該当する車両搭載機器30に対して制御指示を送信する。
【0056】
図5のフローチャートを参照して説明する。画面制御部20は、選択された項目を確定した後(S24)、その項目に続く画面があるか否かを判定する(S26)。すなわち、さらにメニュー画面が続いていくのか、メニュー画面が終了して車両搭載機器30に対して指示を出すかを判定する。
【0057】
選択された項目に続く次の画面があると判定された場合には(S26でYES)、画面制御部20は、選択された項目に対応する次の画面を表示し(S28)、画面表示後一定時間以内にタッチパッド10へのタッチがあるか否かを判定する(S30)。一定時間以内にタッチパッド10へのタッチがある場合には(S30でYES)、情報処理装置1は、操作パターンを検知するステップS14に移行する。一定時間以内にタッチパッド10へのタッチがない場合には(S30でNO)、情報処理装置1は、表示中の画面をペンディング画面として記憶し(S32)、起動フラグをオフして(S36)、動作を終了する。これにより、運転状況等により操作を継続できない場合に、情報処理装置1は操作を一旦中断し、次回に起動処理を行ったときには、メインメニューではなく、ペンディング画面から操作を再開することができる。
【0058】
選択された項目に続く次の画面がないと判定された場合には(S26でNO)、画面制御部20は、選択された項目に対応する車両搭載機器30に対して制御指示を出す(S34)。そして、車両搭載機器30への制御指示を出した後、起動フラグをオフして(S36)、情報処理装置1の動作が終了する。なお、図5に示す例では、車両搭載機器30への制御指示をした後、起動フラグをオフして情報処理装置1の動作を終了する例を説明したが、車両搭載機器30への制御指示の後、初期画面に遷移し、続けて別の処理を行う構成としてもよい。
【0059】
図7および図8は、情報処理装置1が上記したフローに従って動作するときに検知されるパターンと画面制御の例を記載した図である。情報処理装置1は、タッチの検知に続いて、2回半往復の移動経路を検知すると、起動処理パターンが入力されたと判定し、操作パターンに合致したことを示す報知音を出力すると共に、初期画面としてメインメニュー50を表示する。メインメニュー50には、オーディオ、ナビゲーション、エアコンの3つの選択項目があり、この中からドライバが所望の項目を選択する。
【0060】
メインメニュー50が表示された状態で、入力位置の移動経路が円を描くと、「選択」の操作パターンに合致すると判定され、操作パターンに合致したことを示す報知音を出力すると共に、選択項目を指示する三角形のマーク52が各選択項目を順次指示する処理を開始する。画面制御部20は、「選択」の操作パターンを検知した後、引き続き、円を描く移動経路を検出すると、その回転速度に応じて速さで選択項目の指示位置を順次変えていく。
【0061】
「選択」の処理が行われた後に、タッチパッド10から指が離れると、「確定」に対応する操作パターンに合致すると判定され、操作パターンに合致したことを示す報知音を出力すると共に、そのときに指示された選択項目、ここでは「ナビゲーション」の選択を確定する。画面制御部20は、選択された「ナビゲーション」のメニュー選択画面54を表示する。
【0062】
図8を参照して説明を続ける。「ナビゲーション」のメニュー選択画面54が表示された状態で一定時間内に再度タッチがなされ、入力位置の移動経路が円を描くと、「選択」の操作パターンに合致すると判定され、操作パターンに合致したことを示す報知音を出力すると共に、選択項目を指示する三角形のマーク52が各選択項目を順次指示する処理を開始する。
【0063】
そして、「選択」の処理が行われた後に、タッチパッド10から指が離れると、「確定」に対応する操作パターンに合致すると判定され、操作パターンに合致したことを示す報知音を出力すると共に、そのときに指示された選択項目、ここでは「地図表示」の選択を確定する。画面制御部20は、「地図表示」の選択に応じて、ナビゲーション装置32のモニタ18に車両周辺の地図46を表示する。なお、ナビゲーション装置32と情報処理装置1のモニタ18が共通である場合には、メーター部に設けられたモニタ18に地図46を表示してもよい。本実施の形態では、タッチパッド10上で指を移動させることにより、表示された地図を移動することができる。
以上、実施の形態の情報処理装置1について説明した。
【0064】
本実施の形態の情報処理装置1は、タッチパッド10に入力した位置の移動経路が所定の操作パターンに合致すると判定されたときに、操作パターンに対応する画面制御ないし車両搭載機器30への指示を行うので、ドライバはタッチパッド10やモニタ18を注視していなくても容易に操作を行うことができる。
【0065】
本実施の形態の情報処理装置1では、タッチパッド10にタッチし、所定の移動経路を形成するように指を動かし、指を離して確定するというシンプルかつスムースな動きで操作を行うことができる。
【0066】
本実施の形態の情報処理装置1では、途中で操作が中断した場合には、そのときに表示中の画面をペンディング画面として記憶し、次回起動時にペンディング画面を表示するので、運転状況等に応じて操作を中断せざるを得ない場合に、途中から操作を行うことができる。
【0067】
以上、本発明の情報処理装置について実施の形態を挙げて詳細に説明したが、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではない。
【0068】
上記した実施の形態で挙げた操作パターンは一例であり、上記した以外の操作パターンも考えられる。実施の形態では、タッチパッド10から指を離す操作を「確定」の操作パターンとする例を挙げたが、例えば、タッチパッド10を所定の閾値以上の圧力で押す操作を「確定」の操作パターンとしてもよい。この場合、タッチパッド10から指を離さずに「確定」処理を行えるので、最初のタッチから最終の確定までの複数のアクションを、タッチパッド10に指を触れたままで行うことができる。
【0069】
上記した実施の形態では、画像出力部として、モニタ18を用いる例について説明したが、モニタ18に代えてヘッドアップディスプレイを用いてもよい。フロントガラスに表示するというヘッドアップディスプレイの性質上、大量の情報を出力することは困難なので、画像出力部としてヘッドアップディスプレイを用いる場合には、例えば、アイコンや色によってメニューを表示することとしてもよい。これにより、文字情報を減らし、ドライバの視野を十分に確保すると共に、表示内容を直感的に理解できるようにすることができる。
【0070】
上記した実施の形態では、入力のデバイスとしてタッチパッド10を例としたが、本発明はタッチパッド10以外の入力デバイスも適用可能である。例えば、十字ボタンやジョイスティックを用いることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明によれば、入力位置の移動経路によって規定した操作パターンに基づいて画面制御を行うので、操作部や画面を注視しなくても操作を行うことができるという効果を有し、例えば、車両に搭載される情報処理装置等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】実施の形態の情報処理装置の構成を示す図である。
【図2】情報処理装置の設置状態を示す図である。
【図3】操作パターンDBに記憶されたデータの例を示す図である。
【図4】(a)入力位置履歴記憶部に記憶されたデータの例を示す図である。(b)入力位置履歴記憶部に記憶されたデータの例を示す図である。
【図5】実施の形態の情報処理装置の動作を示すフローチャートである。
【図6】実施の形態の情報処理装置の起動処理を示すフローチャートである。
【図7】情報処理装置の画面遷移を操作パターンと対比して示す図である。
【図8】情報処理装置の画面遷移を操作パターンと対比して示す図である。
【符号の説明】
【0073】
1 情報処理装置
10 タッチパッド
12 操作内容解析部
14 入力信号受信部
16 操作パターン判定部
18 モニタ
20 画面制御部
22 スピーカ
24 報知音制御部
26 入力位置履歴記憶部
28 操作パターンDB
30 車両搭載機器
32 ナビゲーション装置
34 エアコン
36 オーディオ
38 電話
40 ステアリング
42 メーター取付部
50 メインメニュー
52 マーク
54 メニュー選択画面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体に搭載される情報処理装置であって、
画像出力部と、
ユーザから位置情報の入力を連続的に受け付ける操作部と、
入力位置の移動経路によって規定した操作パターンとその操作パターンに対応する処理とを記憶した操作パターン記憶部と、
前記操作部にて受け付けた入力位置の移動経路が前記操作パターン記憶部に記憶された操作パターンと合致するか判定する操作パターン判定部と、
入力位置の移動経路が前記操作パターンに合致すると判定されたときに、その操作パターンに対応する処理に従って前記画像出力部の画面制御を行う画面制御部と、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
入力位置の移動経路が前記操作パターンに合致したことを報知する報知音を出力する報知音出力部を備える請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記報知音出力部は、入力位置の移動経路と合致した操作パターンの種類に応じて異なる報知音を出力する請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
入力位置の移動経路が起動処理に対応する操作パターンに合致したと判定された場合、前記画面制御部は、複数の選択項目を有する画面を表示する制御を行う請求項1〜3のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項5】
入力位置の移動経路が選択処理に対応する操作パターンに合致したと判定された場合、前記画面制御部は、前記画面に表示された選択項目を順次指示する制御を行う請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
いずれかの選択項目が指示された状態で入力位置の移動経路が確定処理に対応する操作パターンに合致したと判定された場合、前記画面制御部は、指示された選択項目の選択を確定し、その選択項目に対応する制御を行う請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
入力位置の移動経路が前記確定処理に対応する操作パターンに合致したと判定された場合、選択項目を順次指示する際に入力された入力位置の移動経路の情報を用いて前記選択処理に対応する操作パターンを更新する請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記操作部はタッチパッドであり、
前記操作パターン記憶部は、確定処理に対応する操作パターンとして、タッチパッドから指が離れる操作を記憶している請求項6または7に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記操作部はタッチパッドであり、
前記操作パターン記憶部は、確定処理に対応する操作パターンとして、タッチパッドを所定の閾値以上の圧力で押す操作を記憶している請求項6または7に記載の情報処理装置。
【請求項10】
入力位置の移動経路がキャンセル処理に対応する操作パターンに合致したと判定された場合、前記画面制御部は前記画面の表示をクリアする制御を行う請求項1〜9のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項11】
所定時間にわたって入力位置の移動経路と前記操作パターンとの合致を検知しなかった場合、前記画面制御部は表示中の画面をペンディング画面として記憶すると共に、前記画面の表示をクリアし、次回の起動処理時に前記ペンディング画面を表示する請求項1〜10のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記操作部は、ユーザが移動体のステアリングを掌握した状態で操作可能な位置に設けられる請求項1〜11のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項13】
前記操作部から入力された位置情報を記憶する入力位置履歴記憶部を備え、
前記操作パターン判定部は、前記入力位置履歴記憶部から所定期間における位置情報を読み出して当該所定期間における移動経路を形成し、前記移動経路と前記操作パターン記憶部に記憶された操作パターンとを比較する処理を順次行う請求項1〜12のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項14】
移動体に搭載される情報処理装置の情報処理方法であって、
入力位置の移動経路によって規定した操作パターンとその操作パターンに対応する処理とを記憶した操作パターン記憶部を準備するステップと、
操作部によりユーザから位置情報の入力を連続的に受け付けるステップと、
前記操作部にて受け付けた入力位置の移動経路が前記操作パターン記憶部に記憶された操作パターンと合致するか判定するステップと、
入力位置の移動経路が前記操作パターンに合致すると判定されたときに、その操作パターンに対応する処理に従って画面制御を行うステップと、
を備える情報処理方法。
【請求項15】
移動体に搭載される情報処理装置の画面制御を行うためのプログラムであって、コンピュータに、
操作部によりユーザから位置情報の入力を連続的に受け付けるステップと、
前記操作部にて受け付けた入力位置の移動経路が、入力位置の移動経路によって規定した操作パターンとその操作パターンに対応する処理とを記憶した操作パターン記憶部に記憶された前記操作パターンと合致するか判定するステップと、
入力位置の移動経路が前記操作パターンに合致すると判定されたときに、その操作パターンに対応する処理に従って画面制御を行うステップと、
を実行させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−129171(P2009−129171A)
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−303129(P2007−303129)
【出願日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【出願人】(502324066)株式会社デンソーアイティーラボラトリ (332)
【Fターム(参考)】