説明

移動通信システム、移動通信方法、移動局及び交換機

【課題】輻輳要因の処理のみを規制することにより、本来規制されるべきではない処理に影響を与えることなく、輻輳を回避する。
【解決手段】本発明に係る移動通信システムにおいて、交換機MSC/SGSNは、交換機MSC/SGSNにおける輻輳発生要因を検出する輻輳要因検出部11と、検出された輻輳発生要因に基づいて、無線回線制御局RNCに対して、交換機MSC/SGSNにおいて規制すべき処理種別を指示する処理別規制指示を送信する規制指示送信部12とを具備し、無線回線制御局RNCは、受信した処理別規制指示を含む報知情報を移動局UEに対して送信する報知情報送信部22とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動通信システム、移動通信方法、移動局及び交換機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の移動通信システムでは、例えば、電車が、位置登録エリアを跨る際には、かかる電車に乗っている全てのユーザの移動局が、一斉に位置登録要求の送信を開始し始めるため、無線容量及び交換機における処理負荷を大きく圧迫してしまうという問題点があった。
【0003】
また、特定のイベント(例えば、テレビ企画等の申し込み)によって、大量の発信処理が行われる場合、かかる発信処理を行うための発信要求の送信によって無線容量及び交換機における処理負荷を大きく圧迫してしまうという問題点もあった。
【0004】
かかる問題点を解決するために、現在の3GPP標準仕様では、「Domain Specific Access Control(以下、DSAC)」が規定されている。かかるDSACでは、ネットワークにおいて輻輳が発生した場合等に、回線交換機における処理とパケット交換機における処理とを分けて規制するように構成されている。
【0005】
なお、DSACが適用されていない場合に、回線交換ネットワーク又はパケット交換ネットワークにおいて輻輳が発生した場合には、回線交換機及びパケット交換機における全ての処理が規制(禁止)されるように構成されている。したがって、移動局は、回線交換機及びパケット交換機のどちらを介しても、発着信処理や位置登録処理を行うことができない。
【0006】
また、DSACが適用されている場合に、回線交換ネットワーク又はパケット交換ネットワークにおいて輻輳が発生した場合には、輻輳が発生したドメイン、すなわち、輻輳が発生したネットワークにおける交換機(回線交換機又はパケット交換機)における全ての処理が禁止されるように構成されている。したがって、移動局は、輻輳が発生したネットワークにおける交換機(回線交換機又はパケット交換機)を介して、発着信処理や位置登録処理を行うことができない。
【0007】
図14乃至図16を参照して、従来のDSACが適用されている移動通信システムにおいて、各交換機における処理を規制する動作について説明する。
【0008】
図14乃至図16に示すように、ステップS1000において、回線交換機MSC又はパケット交換機が、回線交換ネットワーク又はパケット交換ネットワークにおける輻輳の発生を検知する。
【0009】
ステップS1001において、上述の輻輳を検知した交換機(回線交換機MSC又はパケット交換機SGSN)が、無線回線制御局RNCに対して、回線交換機MSC又はパケット交換機SGSNにおける全ての処理を規制するように指示する「CS規制指示」又は「PS規制指示」を送信する。
【0010】
無線回線制御局RNCが、ステップS1002において、受信したCS規制指示又はPS規制指示を含む報知情報を生成して、ステップS1003において、無線基地局BTSを介して、配下の位置登録エリアに対して、かかる報知情報を送信する。
【0011】
その結果、移動局は、輻輳が発生したネットワークにおける交換機(回線交換機又はパケット交換機)を介して、発着信処理や位置登録処理を行うことができなくなる。
【非特許文献1】3GPP TS.24.008 V6.1.2.0(6.c.0)、2006年3月発行
【非特許文献2】3GPP TS.25.331 V6.5.0、2005年3月発行
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
一般的に、ネットワークにおける主たる輻輳要因は、位置登録処理及び発信処理等のような特定の処理であるため、これらの処理のいくつかを規制するだけで十分で、交換機における全ての処理について規制をかける必要がない場合が多い。
【0013】
それにも関らず、上述のような従来のDSACが適用されている移動通信システムでは、特定の位置登録エリアに在圏する全ての移動局に対して、回線交換機又はパケット交換機における全ての処理を規制するように構成されているため、不要な規制によって、本来規制されるべきではない在圏移動局への着信処理や新たに当該特定の位置登録エリアに移動してきた移動局による位置登録処理に影響がでてしまうという問題点があった。
【0014】
そこで、本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、輻輳要因の処理のみを規制することにより、本来規制されるべきではない処理に影響を与えることなく、輻輳を回避することができる移動通信システム、移動通信方法、移動局及び交換機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の第1の特徴は、無線回線制御局と交換機とを具備する移動通信システムであって、前記交換機は、前記交換機における輻輳発生要因を検出するように構成されている輻輳要因検出部と、検出された前記輻輳発生要因に基づいて、前記無線回線制御局に対して、前記交換機において規制すべき処理種別を指示する処理別規制指示を送信するように構成されている規制指示送信部とを具備し、前記無線回線制御局は、受信した前記処理別規制指示を含む報知情報を移動局に対して送信するように構成されている報知情報送信部とを具備することを要旨とする。
【0016】
本発明の第1の特徴において、前記交換機は、回線交換機又はパケット交換機のいずれかであってもよい。
【0017】
本発明の第1の特徴において、前記処理種別として、位置登録処理又は発信処理の少なくとも一方を含んでもよい。
【0018】
本発明の第2の特徴は、無線回線制御局と交換機と介して移動通信を行う移動通信方法であって、前記交換機が、該交換機における輻輳発生要因を検出する工程と、前記交換機が、前記無線回線制御局に対して、検出された前記輻輳発生要因に基づいて、該交換機において規制すべき処理種別を指示する処理別規制指示を送信する工程と、前記無線回線制御局が、受信した前記処理別規制指示を含む報知情報を移動局に対して送信する工程と、前記移動局が、受信した前記報知情報に含まれる前記処理別規制指示に対応する処理を抑制する工程とを有することを要旨とする。
【0019】
本発明の第3の特徴は、無線回線制御局と交換機とを介して移動通信を行う移動局であって、前記無線回線制御局から送信された報知情報を受信するように構成されている報知情報受信部と、受信した前記報知情報に含まれている処理別規制指示に基づいて、規制すべき特定の交換機における特定の処理を解析するように構成されている解析部と、解析された前記特定の交換機における特定の処理を抑制するように構成されている処理部とを具備することを要旨とする。
【0020】
本発明の第4の特徴は、移動通信システムにおいて用いられる交換機であって、前記交換機における輻輳発生要因を検出するように構成されている輻輳要因検出部と、検出された前記輻輳発生要因に基づいて、前記移動通信システム内の無線回線制御局に対して、前記交換機において規制すべき処理種別を指示する処理別規制指示を送信するように構成されている規制指示送信部とを具備することを要旨とする。
【発明の効果】
【0021】
以上説明したように、本発明によれば、輻輳要因の処理のみを規制することにより、本来規制されるべきではない処理に影響を与えることなく、輻輳を回避することができる移動通信システム、移動通信方法、移動局及び交換機を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
(本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムの構成)
図1乃至図5を参照して、本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムの構成について説明する。
【0023】
図5に示すように、本実施形態に係る移動通信システムは、交換機(回線交換機MSC又はパケット交換機SGSN)と、無線回線制御局RNCと、複数の基地局BS#A、BS#Bと、複数の移動局UE#1、UE#2とを具備している。
【0024】
回線交換機MSCは、回線交換サービスを司る装置であり、移動局UEの回線交換ネットワークに対する位置登録処理及び回線交換ネットワークにおける通信制御を行うように構成されている。
【0025】
また、パケット交換機SGSNは、パケット交換サービスを司る装置であり、移動局UEのパケット交換ネットワークに対する位置登録処理及びパケット交換ネットワークにおける通信制御を行うように構成されている。
【0026】
図1に示すように、交換機MSC又はSGSNは、輻輳要因検出部11と、規制指示送信部12とを具備している。
【0027】
輻輳要因検出部11は、交換機MSC又はSGSNにおける輻輳発生要因を検出するように構成されている。
【0028】
具体的には、輻輳要因検出部11は、交換機MSC又はSGSNにおいて、どの処理が原因で輻輳が発生したのかについて検出するように構成されている。
【0029】
例えば、輻輳要因検出部11は、CPU使用率に基づいて、輻輳の発生を検出するように構成されていてもよい。例えば、輻輳要因検出部11は、所定閾値よりも高いCPU使用率のプロセス(例えば、位置登録プロセスや発信プロセス)を検出した場合に、かかるプロセスが原因で輻輳が発生したと判断する。
【0030】
なお、輻輳要因検出部11は、1つの輻輳要因により輻輳が発生したことを検出するように構成されていてもよいし、複数の輻輳要因により輻輳が発生したことを検出するように構成されていてもよい。
【0031】
規制指示送信部12は、輻輳要因検出部11により検出された輻輳発生要因に基づいて、無線回線制御局RNCに対して、交換機MSC又はSGSNにおいて規制すべき処理種別(例えば、位置登録処理や発信処理)を指示する処理別規制指示を送信するように構成されている。
【0032】
例えば、規制指示送信部12は、所定閾値よりも高いCPU使用率のプロセス(例えば、位置登録プロセスや発信プロセス)を検出した場合に、かかるプロセスに対応する移動局UE側の処理(例えば、位置登録処理や発信処理)を規制するように指示する処理別規制指示(例えば、位置登録規制指示や発信規制指示)を送信するように構成されていてもよい。
【0033】
なお、規制指示送信部12は、1つの処理を規制するための処理別規制指示を送信するように構成されていてもよいし、複数の処理を規制するための処理別規制指示を送信するように構成されていてもよい。
【0034】
無線回線制御局RNCは、移動局UEとの間の無線通信制御の処理を司る装置である。
【0035】
また、無線回線制御局RNCは、移動局UEとの間で、無線回線を介して、所定情報をやり取りするとともに、移動局UEとの間でやり取りした所定情報を交換機MSC/SGSNに通知するように構成されている。
【0036】
図2に示すように、無線回線制御局RNCは、処理別規制指示受信部21と、報知情報送信部22とを具備している。
【0037】
処理別規制指示受信部21は、交換機MSC/SGSNから送信された処理別規制指示を受信するように構成されている。
【0038】
報知情報送信部22は、処理別規制指示受信部21により受信された処理別規制指示を含む報知情報を生成して移動局UEに対して送信するように構成されている。
【0039】
ここで、報知情報送信部22は、回線交換ネットワーク用の報知情報と、パケット交換ネットワーク用の報知情報とを独立に生成して送信するように構成されている。
【0040】
なお、報知情報送信部22は、1つの処理を規制するための報知情報を生成して送信もよいし、複数の処理を規制するための報知情報を生成して送信してもよい。
【0041】
図3に、報知情報送信部22によって生成される報知情報の一例を示す。
【0042】
図3(a)に示すように、従来の移動通信システムで用いられている報知情報は、3GPPによって規定されている「SIB3(System Information Block 3)」に、通常規制指示やCS規制指示やPS規制指示を含むように構成されている。
【0043】
これに対して、本実施形態に係る移動通信システムでは、報知情報送信部22が、図3(b)乃至図3(d)に示すように、「SIB3」に対して、処理別規制指示(位置登録規制指示や発信規制指示等)を追加して、複数の移動局UEに対してブロードキャストするように構成されている。
【0044】
具体的には、報知情報送信部22は、図3(b)に示すように、「SIB3」に対して、位置登録規制指示や発信規制指示や着信規制指示等の処理別規制指示を示す情報要素を追加し、それぞれの情報要素に対して「CS規制の有無(true又はfalse)」及び「PS規制の有無(true又はfalse)」を定義するように構成されていてもよい。
【0045】
例えば、CS規制が「true」であり、位置登録規制指示が「true」であり、それ以外の処理別規制指示が「false」である場合は、かかる移動局UEは「回線交換機MSCにおける位置登録処理だけが規制されている」と判断することができる。
【0046】
また、報知情報送信部22は、図3(c)に示すように、「SIB3」におけるCS規制指示を示す情報要素及びPS規制指示を示す情報要素内に、それぞれ、処理別規制指示を示す情報要素を追加し、追加した各処理別規制指示を示す情報要素内に、それぞれ、「位置登録規制の有無」や「発信規制の有無」や「着信規制の有無」等を定義するように構成されていてもよい。
【0047】
例えば、回線交換機MSCにおける位置登録処理及びパケット交換機SGSNにおける発信処理が規制されている場合には、CS規制指示を示す情報要素内の「Access class」が「true」となり、CS規制指示を示す情報要素内の処理別規制指示を示す情報要素のうち「位置登録規制指示」のみが「true」となり、PS規制指示を示す情報要素内の「Access class」が「true」となり、PS規制指示を示す情報要素内の処理別規制指示を示す情報要素のうち「発信規制指示」のみが「true」となる。
【0048】
また、報知情報送信部22は、図3(d)に示すように、「SIB3」におけるCS規制指示を示す情報要素及びPS規制指示を示す情報要素とは別個に、処理別規制指示を示す情報要素を追加し、追加した各処理別規制指示を示す情報要素内に、「位置登録規制の有無」や「発信規制の有無」や「着信規制の有無」等を定義するように構成されていてもよい。
【0049】
図3(d)に示す例によれば、報知情報送信部22は、「CS規制の有無」や「PS規制の有無」に関係なく、「位置登録規制の有無」や「発信規制の有無」や「着信規制の有無」等を定義することができる。
【0050】
例えば、CS規制及びPS規制の双方が「false」である場合であっても、移動局UEは、処理別規制指示を示す情報要素において「true」となっている処理について規制されることになる。
【0051】
なお、報知情報送信部22は、無線容量自体に輻輳が生じた場合には、自らで処理別規制指示を含む報知情報を生成して送信するように構成されていてもよい。
【0052】
図4に示すように、移動局UEは、報知情報受信部31と、解析部32と、位置登録処理部33と、発信処理部34と、着信処理部35とを具備している。
【0053】
報知情報受信部31は、無線回線制御局RNCから送信された報知情報を受信するように構成されている。
【0054】
解析部32は、報知情報受信部31により受信された報知情報に含まれている処理別規制指示に基づいて、規制すべき特定の交換機(回線交換機MSC又はパケット交換機SGSN)における特定の処理を解析するように構成されている(図3参照)。
【0055】
位置登録処理部33と発信処理部34と着信処理部35とは、解析部32により解析された特定の交換機(回線交換機MSC又はパケット交換機SGSN)における特定の処理を抑制するように構成されている。
【0056】
具体的には、位置登録処理部33は、回線交換機MSC又はパケット交換機SGSNに対して、CS位置登録要求又はPS位置登録要求を送信することによって、位置登録処理を行うように構成されている。
【0057】
また、位置登録処理部33は、解析部32により解析された特定の交換機(回線交換機MSC又はパケット交換機SGSN)における位置登録処理を抑制するように構成されている。
【0058】
具体的には、発信処理部34は、回線交換機MSC又はパケット交換機SGSNに対して、CS発信要求又はPS発信要求を送信することによって、発信処理を行うように構成されている。
【0059】
また、発信処理部34は、解析部32により解析された特定の交換機(回線交換機MSC又はパケット交換機SGSN)における発信処理を抑制するように構成されている。
【0060】
具体的には、着信処理部35は、回線交換機MSC又はパケット交換機SGSNからのCS着信通知又はPS着信通知を受信することによって、着信処理を行うように構成されている。
【0061】
また、着信処理部35は、解析部32により解析された特定の交換機(回線交換機MSC又はパケット交換機SGSN)における着信処理を抑制するように構成されている。
【0062】
(本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムの動作)
図4乃至図13を参照して、本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムの動作について説明する。なお、図4乃至図13の例では、基地局BSは、情報転送を行うだけであるため、説明を省略することとする。
【0063】
第1に、図5乃至図7を参照して、本実施形態に係る移動通信システムにおいて、CS位置登録規制又はPS位置登録規制が行われる場合の動作について説明する。
【0064】
ステップS100において、電車が、位置登録エリアAから位置登録エリアBに移動する場合、ステップS101において、かかる電車内のユーザの移動局UE#1が、位置登録エリアBにおいて、一斉に位置登録要求(CS位置登録要求、PS位置登録要求又は、CS/PS位置登録要求)を送信する。
【0065】
ステップS102において、交換機(回線交換機MSC又はパケット交換機SGSN)において、大量の位置登録要求が到着して輻輳が発生する。
【0066】
ステップS103において、交換機MSC又はSGSNが、無線回線制御局RNCに対して、かかる交換機における位置登録処理を規制するための位置登録規制指示(CS位置登録規制指示又はPS位置登録規制指示)を送信する。
【0067】
無線回線制御局RNCが、ステップS104において、受信した位置登録規制指示を含む報知情報を生成して、ステップS105において、生成した報知情報を、位置登録エリアBに対してブロードキャストによって送信する。
【0068】
ステップS106において、上述の移動局UE#1は、かかる報知情報を受信して解析することによって、位置登録エリアB内では、位置登録処理が規制されていることを認識して、位置登録エリアBにおける位置登録処理を抑制する。
【0069】
なお、かかる場合においても、位置登録エリアBに既に在圏している移動局UE#2は、既に位置登録処理を行っていることから、発着信処理を行うことができる。
【0070】
特に、線路沿い等の位置登録エリアの境界では、無線回線制御装置RNCは、常時、位置登録規制指示を含む報知情報の送信を行っておくことによって(なお、規制率は、運用で変更する)、一斉に位置登録処理が行われないようにすることで、上述のような輻輳を未然に防ぐことが可能となる。
【0071】
第2に、図8乃至図10を参照して、本実施形態に係る移動通信システムにおいて、CS発信規制又はPS発信規制が行われる場合の動作について説明する。
【0072】
ステップS201において、移動局UEが、特定のイベントにおいて、一斉に発信要求(CS発信要求(例えば、音声電話発信要求又はデレビ電話発信要求)又はPS発信要求(例えば、i-mode(登録商標)接続要求やメール送信要求))を送信する。
【0073】
ステップS202において、交換機(回線交換機MSC又はパケット交換機SGSN)において、大量の発信要求が到着して輻輳が発生する。
【0074】
ステップS203において、交換機MSC又はSGSNが、無線回線制御局RNCに対して、かかる交換機における発信処理を規制するための発信規制指示(CS発信規制指示又はPS発信規制指示)を送信する。
【0075】
無線回線制御局RNCが、ステップS204において、受信した発信規制指示を含む報知情報を生成して、ステップS205において、生成した報知情報を、特定エリアに対してブロードキャストによって送信する。
【0076】
ステップS206において、移動局UEは、かかる報知情報を受信して解析することによって、かかる特定エリア内では、発信処理が規制されていることを認識して、かかる特定エリアにおける発信処理を抑制する。
【0077】
第3に、図11を参照して、本実施形態に係る移動通信システムにおいて、CS発信規制及びCS位置登録規制が行われる場合の動作について説明する。
【0078】
複数の移動局UEが、ステップS301において、CS発信要求を送信すると共に、ステップS302において、CS位置登録要求を送信する。
【0079】
ステップS303において、回線交換機MSCにおいて、大量のCS発信要求及びCS位置登録要求が到着して輻輳が発生する。
【0080】
ステップS304において、回線交換機MSCが、無線回線制御局RNCに対して、かかる回線交換機MSCにおけるCS発信処理及びCS位置登録信処理を規制するためのCS発信規制指示及びCS位置登録規制指示を送信する。
【0081】
無線回線制御局RNCが、ステップS305において、受信したCS発信規制指示及びCS位置登録規制指示を含む報知情報を生成して、ステップS306において、生成した報知情報を、特定エリアに対してブロードキャストによって送信する。
【0082】
ステップS307において、移動局UEは、かかる報知情報を受信して解析することによって、かかる特定エリア内では、CS発信処理及びCS位置登録信処理が規制されていることを認識して、かかる特定エリアにおけるCS発信処理及びCS位置登録信処理を抑制する。
【0083】
第4に、図12を参照して、本実施形態に係る移動通信システムにおいて、CS発信規制及びPS位置登録規制が行われる場合の動作について説明する。
【0084】
複数の移動局UEが、ステップS401において、CS発信要求を送信すると共に、ステップS402において、PS位置登録要求を送信する。
【0085】
ステップS403において、回線交換機MSCにおいて、大量のCS発信要求が到着して輻輳が発生する。
【0086】
ステップS404において、回線交換機MSCが、無線回線制御局RNCに対して、かかる回線交換機MSCにおけるCS発信処理を規制するためのCS発信規制指示を送信する。
【0087】
また、ステップS405において、パケット交換機SGSNにおいて、大量のPS位置登録要求が到着して輻輳が発生する。
【0088】
ステップS406において、パケット交換機SGSNが、無線回線制御局RNCに対して、かかるパケット交換機SGSNにおけるPS位置登録処理を規制するためのPS位置登録規制指示を送信する。
【0089】
無線回線制御局RNCが、ステップS407において、受信したCS発信規制指示及びPS位置登録規制指示を含む報知情報を生成して、ステップS408において、生成した報知情報を、特定エリアに対してブロードキャストによって送信する。
【0090】
ステップS409において、移動局UEは、かかる報知情報を受信して解析することによって、かかる特定エリア内では、CS発信処理及びPS位置登録信処理が規制されていることを認識して、かかる特定エリアにおけるCS発信処理及びPS位置登録信処理を抑制する。
【0091】
第5に、図13を参照して、本実施形態に係る移動通信システムにおいて、CS位置登録規制が解除される場合の動作について説明する。
【0092】
ステップS501において、無線回線制御局RNCが、CS位置登録規制指示を含む報知情報を生成して、「SYSTEM INFORMATION」としてブロードキャストを用いて送信する。
【0093】
ステップS502において、特定エリアに移動してきた移動局UEは、かかる報知情報を受信して解析することによって、かかる特定エリアでは、CS位置登録処理が規制されていることを認識して、かかる特定エリアにおけるCS位置登録処理を抑制する。
【0094】
ステップS503において、移動局UEは、「Routing Area Update Request(update type:RA updating)」を用いて、かかる特定エリアにおけるパケット交換機SGSNに対して、PS位置登録要求を送信する。
【0095】
ステップ504おいて、移動局UEは、当該パケット交換機SGSNから、かかる特定エリアにおけるPS位置登録処理が完了したことを通知する「Routing Area Update Accept(update result:RA updated)」を受信する。
【0096】
ステップS505において、回線交換機MSCが、かかる特定エリアにおけるCS位置登録処理の規制解除を指示するためのCS位置登録規制解除指示を、無線回線制御局RNCに対して送信する。
【0097】
無線回線制御局RNCが、ステップS506において、受信したCS位置登録規制解除指示を含む報知情報を生成して、ステップS507において、「Paging Type1(bcch modify)」を送信した後、ステップS508において、生成した報知情報を、「SYSTEM INFORMATION」として上述の特定エリアに対してブロードキャストによって送信する。
【0098】
ステップS509において、移動局UEは、かかる報知情報を受信して解析することによって、かかる特定エリアにおいて、位置登録処理の規制が解除されたことを認識する。
【0099】
ステップS510において、移動局UEは、「Routing Area Update Request(update type:combined RA・LA updating with IMSI attach)」を用いて、かかる特定エリアにおけるパケット交換機SGSNに対して、CS位置登録要求を送信する。
【0100】
ステップS511において、パケット交換機SGSNは、受信した「Routing Area Update Request(update type:combined RA・LA updating with IMSI attach)」に応じて、回線交換機MSCに対して、移動局UEのCS位置登録処理を行う。
【0101】
ステップS512において、パケット交換機SGSNは、移動局UEに対して、上述の特定エリアにおけるCS位置登録処理が完了したことを通知する「Routing Area Update Accept(update result:combined RA/LA updated)」を送信する。
【0102】
(本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムの作用・効果)
本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムによれば、交換機MSC又はSGSNの規制指示送信部12が、各交換機における輻輳要因である処理を特定して規制することにより、本来規制されるべきではない処理に対する悪影響を回避することができる。
【0103】
また、本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムによれば、交換機MSC又はSGSNの規制指示送信部12が、特定場所(線路上の位置登録エリア境界等)において、常時、処理別規制指示を送信しておくことによって、かかる特定場所では予め特定処理(位置登録処理)を規制しておくことにより、輻輳状態を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る交換機の機能ブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る無線回線制御局の機能ブロック図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る無線回線制御局において受信される規制情報の一例を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る移動局の機能ブロック図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムにおいて、CS位置登録規制が行われる場合の動作を説明するための図である。
【図6】本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムにおいて、CS位置登録規制が行われる場合の動作を示すシーケンス図である。
【図7】本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムにおいて、PS位置登録規制が行われる場合の動作を説明するための図である。
【図8】本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムにおいて、PS位置登録規制が行われる場合の動作を示すシーケンス図である。
【図9】本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムにおいて、CS発信規制が行われる場合の動作を説明するための図である。
【図10】本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムにおいて、CS発信規制が行われる場合の動作を示すシーケンス図である。
【図11】本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムにおいて、CS発信規制及びCS位置登録規制が行われる場合の動作を示すシーケンス図である。
【図12】本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムにおいて、CS発信規制及びPS位置登録規制が行われる場合の動作を示すシーケンス図である。
【図13】本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムにおいて、CS位置登録規制が解除される場合の動作を示すシーケンス図である。
【図14】従来の移動通信システムにおいて、CS規制又はPS規制が行われる場合の動作を説明するための図である。
【図15】従来の移動通信システムにおいて、CS規制が行われる場合の動作を示すシーケンス図である。
【図16】従来の移動通信システムにおいて、PS規制が行われる場合の動作を示すシーケンス図である。
【符号の説明】
【0105】
MSC、SGSN…交換機
11…輻輳要因検出部
12…規制指示送信部
RNC…無線回線制御局
21…処理別規制指示受信部
22…報知情報送信部
UE…移動局
31…報知情報受信部
32…解析部
33…位置登録処理部
34…発信処理部
35…着信処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線回線制御局と交換機とを具備する移動通信システムであって、
前記交換機は、
前記交換機における輻輳発生要因を検出するように構成されている輻輳要因検出部と、
検出された前記輻輳発生要因に基づいて、前記無線回線制御局に対して、前記交換機において規制すべき処理種別を指示する処理別規制指示を送信するように構成されている規制指示送信部とを具備し、
前記無線回線制御局は、
受信した前記処理別規制指示を含む報知情報を移動局に対して送信するように構成されている報知情報送信部とを具備することを特徴とする移動通信システム。
【請求項2】
前記交換機は、回線交換機又はパケット交換機のいずれかであることを特徴とする請求項1に記載の移動通信システム。
【請求項3】
前記処理種別として、位置登録処理又は発信処理の少なくとも一方を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の移動通信システム。
【請求項4】
無線回線制御局と交換機と介して移動通信を行う移動通信方法であって、
前記交換機が、該交換機における輻輳発生要因を検出する工程と、
前記交換機が、前記無線回線制御局に対して、検出された前記輻輳発生要因に基づいて、該交換機において規制すべき処理種別を指示する処理別規制指示を送信する工程と、
前記無線回線制御局が、受信した前記処理別規制指示を含む報知情報を移動局に対して送信する工程と、
前記移動局が、受信した前記報知情報に含まれる前記処理別規制指示に対応する処理を抑制する工程とを有することを特徴とする移動通信方法。
【請求項5】
無線回線制御局と交換機とを介して移動通信を行う移動局であって、
前記無線回線制御局から送信された報知情報を受信するように構成されている報知情報受信部と、
受信した前記報知情報に含まれている処理別規制指示に基づいて、規制すべき特定の交換機における特定の処理を解析するように構成されている解析部と、
解析された前記特定の交換機における特定の処理を抑制するように構成されている処理部とを具備することを特徴とする移動局。
【請求項6】
移動通信システムにおいて用いられる交換機であって、
前記交換機における輻輳発生要因を検出するように構成されている輻輳要因検出部と、
検出された前記輻輳発生要因に基づいて、前記移動通信システム内の無線回線制御局に対して、前記交換機において規制すべき処理種別を指示する処理別規制指示を送信するように構成されている規制指示送信部とを具備することを特徴とする交換機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2009−77418(P2009−77418A)
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−283527(P2008−283527)
【出願日】平成20年11月4日(2008.11.4)
【分割の表示】特願2006−277014(P2006−277014)の分割
【原出願日】平成18年10月10日(2006.10.10)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】