説明

移動通信端末を利用したアンテナシステム遠隔測定監視装置及びその方法

【課題】不要なアンテナ試験により生じる作業や維持費を軽減する装置を提供する。
【解決手段】中継局及び基地局(10)のためのアンテナシステム測定装置(110a,110b,110c)は、送受信アンテナの進行波と反射波を測定し、測定結果をSMSメッセージのような無線データフォーマットで監視サーバー(200)に送信する。監視サーバー(200)は無線データを受信し、この無線データから送信者情報で中継局及び基地局を識別し、測定値に基づいてVSWRを計算する。このVSWRは基地局の特性、例えば、送信者情報に対応する基地局識別子から得られるフィーダーの長さや材質に基づいて補正される。本発明によれば、遠隔地のアンテナシステムが訪問や組み立て費用を必要とすることなくリアルタイムに監視され、複数の中継局及び基地局が統合的に管理される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中継器又は基地局のアンテナシステムを遠隔的に測定及び監視する装置及びその方法に関する。特に、本発明は、アンテナを直接に試験しなくても、遠く隔たった中継器や基地局のアンテナを測定及び監視するシステムと方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基地局や中継器は、送信又は受信用アンテナを備えており、このアンテナ性能を測定する尺度の一つが電圧定在波比(VSWR)である。
【0003】
電圧定在波比は、定在波を有するケーブル又は導波管内の隣接したノード及び振幅で測定した電圧の比を意味し、又は伝送ライン内の定在波における最小電圧値に対する最大電圧値の比を意味する。
【0004】
例えば、互いに異なる二つのインピーダンスを有している二つの媒体上で、インピーダンス不整合によって、進行波は、進行波と反射波に分けられ、この二波の差が定在波(VSWR)となり、この定在波比(VSWR)は反射係数をρとするとは下記[数1]式で定義される。
【0005】
【数1】

【0006】
つまり、定在波比が1というのは、線路インピーダンスと終端インピーダンスとが完全一致して、入射波が媒体を通り抜けるという意味であり、定在波比は、アンテナの動作状況をチェックする重要な指標であって、これが大きくなるに従って入射波がより多く反射されることになる。
【0007】
図1は従来型の定在波比測定システムである。
【0008】
図1に示されるように、基地局10は、ダイバーシティアンテナを有する。このダイバーシティアンテナは、基地局とアンテナの間の無線周波数伝播(RF propagation)の空間的又は時間的に多様な経路を介して伝達される信号を受信すると共に区分して、受信特性を改善する。基地局10は送/受信回路11と、ダイバ−シティ受信回路16と、第1アンテナ15と、第2アンテナ19とを含む。第1アンテナ15は、信号の送信/受信に使用され、第2アンテナ19は信号の受信に使用される。説明の便宜上、第1アンテナ15を送信アンテナ、第2アンテナ19を受信アンテナに設定する。以下、各送信/受信定在波比を測定する工程を説明する。
【0009】
送/受信回路11において、送信機(図示せず)は、送信信号を高出力増幅器(high power amplifier)13を介して第1アンテナ15に送出し、受信機(図示せず)は、信号を低雑音増幅器(low noise amplifier)14を介して受信する。デュプレクサー12は、第1アンテナを信号の送/受信用として使用できるように送信回路と受信回路を接続する。
【0010】
受信回路16は、第2アンテナで受信されたRF信号で所望のチャンネルを選択する帯域通過フィルター18と、低雑音増幅器17とを含む。
【0011】
従来の定在波比測定システムは、送信定在波比測定器30、受信定在波比測定器40、及び方向性カプラー21,22を含む。方向性カプラー21,22は第1アンテナ15及び第2アンテナ19に装着されて、一方向に対応する信号をポートを介して夫々出力する。
【0012】
従って、送信回路11から第1アンテナに送信される信号は経路(b)を介して送信定在波比測定器30に伝送され、第1アンテナに出力されないが反射された電力信号は経路(a)を介して測定器30に伝送される。従って、送信アンテナの定在波比は、入射波と反射波の電力信号を利用して、上記[数1]式によって算出される。
【0013】
受信定在波比測定器40は電力信号受信部41と電力信号出力部42を含む。前記電力信号出力部42で発生したテスト信号は方向性カプラー22を通る経路(d)を経て電力信号受信部41に受信される。受信定在波測定器40で発生し第2アンテナ19によって反射されたテスト信号は経路(c)を介して電力信号受信部41に送出される。電力信号受信部41は、経路(d),(c)を介して伝送された電力信号を受信し、受信定在波比測定器40内のプロセッサーは前記電力信号を利用して受信定在波比を算出する。
【0014】
以上説明したように、従来の技術は、別途の定在波比測定装置を利用して、定在波比に必要な進行波及び反射波の信号情報を取得する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、正確な定在波比を算出するためには基地局の中継器の給電線の長さ及び材質、出力信号のレベルなどを考慮しなければならない。また、基地局のサービス中に呼び状態によってその出力レベルが急激に変化する瞬間が存在するので正確な定在波比算出のためには複数回の測定が避けられない。従って、従来の定在波比測定装置には複数の定在波比を測定して、それらを基地局の特性により補正する別途のメモリ及び中央処理装置が必要である。
【0016】
また、従来の定在波比測定装置を利用する時、測定者が測定対象となる各基地局を直接訪問して、それらを検査しなければならないという問題があった。加えて、基地局毎に定在波比測定装置を設置するためには多くの費用がかかり、基地局の特性を考慮した統合的管理が難しく、リアルタイム的にアンテナ異常の有無を判別できない問題もあった。
【0017】
本発明の目的は、不要なアンテナ試験により生じる作業や維持費を軽減する装置及び方法を提供することにある。
【0018】
また、他の目的は、基地局や中継器のアンテナシステムを遠隔監視すると共に、これらを総合的に管理する装置及び方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明の一態様では、基地局のアンテナシステム監視装置は、基地局のアンテナシステムの第1測定値と第2測定値を含む無線データを受信する無線通信モジュールと、無線データを分析して基地局の識別子及び測定情報を分析するメッセージ分析部と、監視対象となる各基地局の識別子及び各基地局の状態情報を格納する基地局情報データベースと、第1測定値及び第2測定値に基づいて前記基地局の状態尺度を算出する基地局監視部と、基地局の識別子に対応する前記基地局情報データベースの状態情報を使用して、算出された状態尺度を補正する実測結果補正部とを備える。
【0020】
第1測定値は進行波の電力であり、第2測定値は反射波の電力である。
【0021】
本発明の他の態様では、アンテナシステム測定装置は、アンテナシステムの第1測定値を測定する第1測定部と、アンテナシステムの第2測定値を測定する第2測定部と、測定された第1測定値及び第2測定値を無線データフォーマットで伝送する無線データモジュールと、第1測定値及び第2測定値の測定回数及び無線データ伝送を制御する制御部とを備える。
【0022】
第1測定値は進行波の電力であり、第2測定値は反射波の電力である。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、既存の移動通信資源を使用することができ、互換性が高く、量産可能な基地局測定器を利用して、基地局のアンテナシステムを統合的にリアルタイムに測定監視できる。従って、本発明は、従来の遠隔地訪問及び設置費用を低減するとともに、基地局のアンテナシステムを効率的に測定監視することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
添付図面は、明細書の一部をなして関連付けられると共に、本発明の実施の形態を示し、詳細な説明と共に本発明の原理の説明を助けるものである。
【0025】
以下の詳細な説明において、本発明をなした発明者によって企図された最良のモードを単に図示することにより、本発明の好ましい実施の形態のみを示すと共に説明する。当然のことながら、本発明は、種々の自明な観点ですべて本発明を逸脱することなく修正することができる。従って、図面及び説明は、本来的に例とみなされ、これに限定されない。本発明を明確に説明するために、明細書中、説明されていない要素は省略され、同じ説明の要素には同一の参照符号を付している。
【0026】
以下、本発明の好ましい実施の形態に係るアンテナシステム遠隔測定装置及び方法について説明する。
【0027】
図2は、本発明の好ましい実施の形態に係るアンテナシステム遠隔測定監視装置を示す図である。
【0028】
本装置は、複数の基地局及び中継器100a,100b,100cと、基地局及び中継器のアンテナシステムを監視する監視サーバー200とを含む。
【0029】
アンテナシステムを備えた基地局及び中継器100a,100b,100cは、方向性カプラーを備えると共に、進行波と反射波に対応する第1電力信号及び第2電力信号を測定する。これらの第1電力信号及び第2電力信号の測定値は各基地局の測定部に備えられたショート・メッセージ・サービス(SMS)モジュールを含む無線データモジュールによって監視サーバー200に伝送される。SMS及びパケット状の無線データは一般的な移動通信端末のデータ通信方法を採用することができる。
【0030】
無線データモジュールは、移動通信事業者が利用する移動通信資源及び施設をそのまま利用することができ、低費用で十分な情報(例えば、SMSの場合には80バイト)を送信できる利点がある。従って、アンテナシステム測定部110a,110b,110cは第1電力信号及び第2電力信号を測定して、その測定値を無線データフォーマットで監視サーバーに容易に伝送できる。従って、アンテナシステム測定部110a,110b,110cは従来技術に比べて簡素化される。
【0031】
移動通信網を経由して無線データで伝送された第1電力信号及び第2電力信号の測定値は監視サーバー200の無線データ受信部210で受信される。監視サーバー200は、それ自体が管理する基地局及び中継器に対する情報を区分して格納する基地局情報データベース(DB)230を備える。
【0032】
基地局状態監視部220は、基地局情報データベース230から基地局のアンテナシステムに関する詳細情報を取得すると共に、第1電力信号及び第2電力信号の測定値を使用して定在波比を算出する。
【0033】
実測結果補正部240は、無線データによって伝送された第1電力信号及び第2電力信号の測定値の間の偏差又は基地局情報データベース230に格納された補正値を利用して定在波比を補正する。
【0034】
従って、本発明の実施例によって、遠隔地に散在する各基地局のアンテナシステムは、極めて少ない無線資源を利用して効率的に管理でき、リアルタイムで基地局の施設特性も考慮して監視することができる。
【0035】
以下、図2に示された各構成要素の具体的な構成を説明する。
【0036】
図3は、本発明の好ましい実施の形態に係るアンテナシステム測定装置のブロック図である。
【0037】
アンテナシステム測定装置110は、送信アンテナ及び受信アンテナの進行波の値を測定する第1測定部111と、アンテナの反射波の値を測定する第2測定部112と、無線データモジュール113と、測定制御部114と、アンテナ115と、周波数変換部116とを含む。ここで、第1測定部111又は第2測定部112は、使用目的によりアンテナ115の代わりに使用することができる。
【0038】
測定制御部114は、第1測定部111及び第2測定部112を制御して、所定の時間間隔及び所定の回数だけ基地局及び中継器のアンテナの進行波と反射波の電力信号を測定する。第1電力信号と第2電力信号の測定値は、無線データモジュールを介して監視サーバーに無線データフォーマットで伝送される。無線データモジュールは、通常の移動基地で無線データを送信するのに使用される。無線データは、基地局及び中継器の識別子を含み、所定の回数の測定結果を伝送し、測定工程毎に測定結果を伝送する。
【0039】
本実施の形態に係るアンテナシステム測定装置は、定在波比計算及び実測値補正を行わないが、進行波と反射波の電力信号値を測定して、この電力信号を無線データ伝送方式で伝送する。
【0040】
送信定在波比の測定の場合は、測定制御部114は、周波数変換部116を動作しないように制御して進行波と反射波の電力信号を測定し、この電力信号を無線データ方式で伝送する。
【0041】
受信定在波比の測定の場合は、無線データモジュール113は、監視サーバーから測定指示を受けたときに、別途の信号発生器を利用しないで無線データモジュールの出力を利用して、予め定められた出力(例えば、周波数1740〜1760MHz)帯の出力を受信アンテナに送出する。出力の一部は受信アンテナから放射しないで一部は戻って来、第2測定部112によって測定される。
【0042】
移動基地で使用される無線データモジュールの場合は、送信周波数帯域と受信周波数帯域が異なるため、反射波の測定値は周波数変換部116によって無線データモジュールの受信周波数帯域(例えば、1840〜1860MHz)の高い周波数に変換される。周波数変換部116は、監視サーバーの指示により制御部114によって制御される。無線データモジュール113の出力と無線データモジュール113が認識可能な周波数帯域に変換される第2測定値とは、前述のように、SMSのような無線データフォーマットで監視サーバーに伝送される。
【0043】
従って、受信定在波比測定のための別途の信号発生器を使用せずに、無線データモジュール113の出力を使用してテスト信号を発生させ、このテスト信号を無線データモジュール113が受信できる周波数帯域に変換して、監視サーバーに報告する。
【0044】
図4は、本発明の好ましい実施の形態に係る監視サーバーのブロック図である。
【0045】
図に示すように、監視サーバー200は、無線データ受信部210、基地局監視部220、基地局情報データベース230、及び実測結果補正部240を含む。
【0046】
無線データ受信部210は、無線データメッセージを受信する無線通信モジュール211と、メッセージ分析部212とをさらに含む。メッセージ分析部212は、無線データメッセージを分析して、送信基地局を識別すると共にメッセージを測定回数、測定時間間隔、第1測定値、及び第2測定値を分離し、この分離されたデータを基地局情報データベース230、基地局監視部220、及び実測結果補正部240に提供する。無線通信モジュールは、所定の基地局に測定命令を無線で送信する。
【0047】
基地局情報データベース230は、実測補正情報、定在波比情報、メッセージ分析部212から伝送された測定値情報を格納する。
【0048】
基地局監視部220は、定在波比算出部221、データ格納部222、カウンター223、び最終定在波比算出部224を含む。基地局監視部220は、外部機器、ディスプレイ部260,及び基地の警報を扱う警報部270とデータ通信を行うべく電気的に接続されるか統合されて構成される。
【0049】
定在波比算出部221はメッセージ分析部212からの進行波と反射波の測定値を利用して、定在波比を算出する。次に、この定在波比は、データ格納部222に一時格納される。所定回数算出された複数の定在波比は、データ格納部222から最終定在波比算出部224に伝送され、それに応じて最終定在波比が算出される。
【0050】
データ格納部222に格納されたテータのうち最小、最大データ値は実測結果補正部240の指示によって削除することができる。加えて、所定の閾値を超えるデータも削除することができ、これは当業者により容易に変更できる事項である。
【0051】
最終定在波比算出部224は、実測結果補正部240によって最小又は最大値が取り除かれた複数のデータの平均値又は特定値(例えば、所定回数以上繰り返されて算出された定在波比に対応する値)に重みを割り当てて、平均を出力する。
【0052】
さらに、実測結果補正部240は、基地局情報データベース230を参照して基地局の給電線や材質などを考慮した補正要素を検索すると共に、検索結果を最終定在波比算出部224に報告することによって、最終定在波比は算出部224が平均値又は加重平均を補正比率で増減させてもよい。
【0053】
最終定在波比算出部224で算出された定在波比は、ディスプレイ部260を介してオペレーターに視覚情報を提供するのに用いられ、定在波比が所定の閾値を越えるときは、警報部270を介して警告を発することができる。
【0054】
また、最終定在波比算出部224は通信インターフェース250を介して定在波比を外部機器に伝送したり、これをデータベースにデータ別、時間別に格納して基地局アンテナシステムの管理データとして利用されることができる。
【0055】
図5は、本発明の好ましい実施の形態に係るアンテナ情報を含む無線データメッセージの構成を示す図面である。
【0056】
本実施の形態では、無線データメッセージは、SMSフォーマットで80kバイト程度の文字又は数字状に基地局の状態を伝送するのに使用され、且つメッセージ分析部が解釈できるデジタル二進情報に符号化されて伝送されることもできる。
【0057】
無線データメッセージは、図5に示されるように、四つのフィールドに分れて伝送され得る。フィールド(F1)は、送信者の接続識別子(CID)又は基地局識別子を含む。通常のSMS規格によるフィールドをフィールド(F1)として利用することもできれば、別途のフィールドをフィールド(F1)に割り当てることもできる。
【0058】
フィールド(F2)は、基地局の状態の測定回数又は測定順序を含む。測定回数が複数回の測定による定在波比の算出のために記録されると共に、これらの測定値が複数の無線データメッセージに割り当てられて伝送されると、伝送された無線データメッセージが何番目の伝送順序に対応しているかを表示することができる。
【0059】
フィールド(F3)及びフィールド(F4)は、反射波と進行波に対応する第1測定値及び第2測定値を各々格納する。第1測定値及び第2測定値は、値の容量に応じて複数の値が一度に伝送され得る。
【0060】
フィールド(F1,F2,F3,F4)は、フィールド識別符号等で識別され得る。これは当業者により多様な形態に変更できる。
【0061】
メッセージ分析部は、フィールドに格納された情報を検索して、CID及び基地局識別子を基地局情報データベース(DB)230及び実測結果補正部240に活用されるように制御する。
【0062】
図6は、本発明の好ましい実施の形態に係る実測結果補正部240のブロック図である。
【0063】
実測結果補正部240は、最大/最小値削除部241、重畳値検索部242、重み処理部243、及び平均値算出部244を含む。
【0064】
最大/最小値削除部241は、データ格納部222に格納された定在波比の値のうち最大、最小値を排除し、加えて、所定の閾値を設定して、この閾値を超える全ての値を排除する。これは、基地局又は中継器がサービス中の場合には呼び状態応じて、定在波比の偏差が大きく発生することがあるためである。
【0065】
重畳値検索部242は、格納された定在波比の値の中から重畳されるか、又は所定値未満の誤差を有する定在波比を検索して、加重値処理部243に重みを割り当てるように制御する。
【0066】
平均値算出部244は、測定データに重みを考慮した平均を算出する。加えて、平均値算出部244は、基地局情報データベース230を参照して、算出された平均値を所定比率で増減して補正することもできる。
【0067】
最終的に補正された定在波比は、最終定在波比算出部224に伝送されて、オペレーターに対して表示させたり管理データとして利用される。
【0068】
実測結果補正部240の構成要素は、必要に応じて一部要素を省略でき、基地局監視部220に設置されることもできる。
【0069】
図7は、本発明の好ましい実施の形態に係る基地局のアンテナシステム測定及び監視方法を示すフローチャートである。
【0070】
基地局又は中継器は、所定の測定規則により、送信又は受信アンテナの進行波と反射波の値を測定する。測定が始まると、ステップS100で、測定回数を初期化する。
【0071】
ステップS110及びS120では、基地局又は中継器に装着された測定器によって、進行波と反射波の電力信号に対する値を測定して格納する。ステップS130では、測定が所定の測定回数に到達したか判別し、所定の測定回数に到達すると、無線データモジュールを利用して、測定結果を監視サーバーに伝送する(ステップS150)。
【0072】
監視サーバーは、無線データを受信すると、無線データのメッセージを分析して、その発信者情報、測定回数、第1測定値、及び第2測定値の情報を分析する(ステップS200、S210)。
【0073】
接続識別子又は基地局識別子を含む分析された発信者情報を使用して、且つ基地局情報データベースの情報を使用して基地局を識別し、補正が必要であるかを判断する(ステップS220、S230)。
【0074】
補正を要しない場合は、通常の定在波比算出方法によって定在波比を算出して、その値を出力する(ステップS240、S290)。
【0075】
基地局情報データベースに記録された情報によって補正が必要な場合は、実測結果の補正を考慮した定在波比算出工程を実行する。ステップS250では、第1測定値と第2測定値を使用して単純定在波比を計算し、ステップS260では、計算された定在波比値を内蔵バッファー又はメモリ装置に順次格納する。格納された複数の定在波比値は、基地局情報データベースの補正情報を参照して補正される(ステップS270)。定在波比の補正は、呼び状態を考慮するために最大/最小定在波比を算出工程から除外させるか、又は給電線や機器材質などの基地局の特性を勘案して全体定在波比を増減させることもできる。
【0076】
このような補正が完了すると、ステップS280では、最終的に算出された定在波比を出力して、基地局監視情報に用いることができるようになる。
【0077】
従って、測定器と移動通信端末の無線データモジュールが遠隔地に分散した基地局又は中継器に装備されて、既存の移動通信資源を使用して基地局を容易に監視できる。
【0078】
また、基地局毎の特性を測定器に適用する必要がないため、上記基地局測定装置は互換性が向上して、その製造費用も節減できるようになる。また、測定値に応じて定在波比を算出する監視サーバーは、基地局の特性を考慮して統合的に基地局を監視することができ、遠隔地の基地局を訪問することなくリアルタイムに監視できる。
【0079】
本実施の形態は主に定在波比を中心に説明したが、複数の測定値と基地局の特性による補正を考慮してアンテナシステムの評価尺度(例えば、受信感度)の測定監視装置に適用されることは当業者にとって明白である。
【0080】
本発明は、最も実際的で好ましい実施の形態であると現在考えられているものについて説明されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、むしろ、請求の範囲の精神及び範囲内に含まれる色々な変形及び等価形態にも及ぶものである。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】従来技術の定在波比測定装置のブロック図である。
【図2】本発明の好ましい実施の形態に係るアンテナシステム遠隔測定監視装置を示す図である。
【図3】本発明の好ましい実施の形態に係るアンテナシステム遠隔測定監視装置のブロック図である。
【図4】本発明の好ましい実施の形態に係る監視サーバーのブロック図である。
【図5】本発明の好ましい実施の形態に係るアンテナシステム情報を含む無線データメッセージの構成を示す図である。
【図6】本発明の好ましい実施の形態に係る実測結果補正部240のブロック図である。
【図7】本発明の好ましい実施の形態に係る基地局のアンテナシステム測定監視方法を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0082】
100a,100b,100c 複数の基地局及び中継器
200 監視サーバー
210 無線データ受信部
220 基地局状態監視部
230 基地局情報データベース
240 実測結果補正部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基地局のアンテナシステム監視装置であって、
前記基地局のアンテナシステムの第1測定値と第2測定値を含む無線データを受信する無線通信モジュールと、
前記無線データを分析して基地局の識別子及び測定情報を分析するメッセージ分析部と、
監視対象となる各基地局の識別子及び各基地局の状態情報を格納する基地局情報データベースと、
前記第1測定値及び第2測定値に基づいて前記基地局の状態尺度を算出する基地局監視部と、
前記基地局の識別子に対応する前記基地局情報データベースの状態情報を使用して、前記算出された状態尺度を補正する実測結果補正部と
を備えるアンテナシステム監視装置。
【請求項2】
前記第1測定値は進行波の電力であり、第2測定値は反射波の電力であることを特徴とする請求項1に記載のアンテナシステム監視装置。
【請求項3】
前記基地局の状態尺度は、送信定在波比(VSWR)又は受信定在波比であることを特徴とする請求項2に記載のアンテナシステム監視装置。
【請求項4】
前記無線データは、複数の第1測定値及び第2測定値、測定回数情報、測定順序情報及び発信者番号を含むことを特徴とする請求項3に記載のアンテナシステム監視装置。
【請求項5】
前記基地局監視部は、
各々の第1測定値及び第2測定値を用いて定在波比を計算する定在波比計算部と、
前記計算された定在波比を格納するデータ格納部と、
前記定在波比の計算回数を制御するカウンターと、
前記実測結果補正部によって補正された最終定在波比を出力する最終定在波比算出部
を含むことを特徴とする請求項4に記載のアンテナシステム監視装置。
【請求項6】
前記実測結果補正部は、
前記格納された複数の定在波比の中から最大値と最小値を排除する最大/最小値排除部と、
前記格納された複数の定在波比の平均値を算出する平均値算出部と
を含むことを特徴とする請求項5に記載のアンテナシステム監視装置。
【請求項7】
前記実測結果補正部は、
前記格納された複数の定在波比の中から重畳する値を検索する重畳値検索部と、
前記重畳値検索部によってなされた結果に応じて最大重畳値に重みを割り当てる重み割り当て部と
をさらに含むことを特徴とする請求項6に記載のアンテナシステム監視装置。
【請求項8】
前記実測結果補正部は、
前記基地局情報データベースに格納された基地局の情報を用いて算出平均定在波比の値を増減させて補正を実行することを特徴とする請求項7に記載のアンテナシステム監視装置。
【請求項9】
前記算出された最終定在波比を表示するディスプレイ部と、
前記算出された最終定在波比を外部機器に伝送する通信インターフェースと、
前記最終定在波比が所定の閾値を超える場合警報を発生させる異常警報部と
をさらに含むことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載のアンテナシステム監視装置。
【請求項10】
複数の基地局に装着されて、各基地局のアンテナシステムを測定し、測定情報を監視サーバーに通報するアンテナシステム測定装置であって、
前記アンテナシステムの第1測定値を測定する第1測定部と、
前記アンテナシステムの第2測定値を測定する第2測定部と、
前記測定された第1測定値及び第2測定値を無線データフォーマットで伝送する無線データモジュールと、
前記第1測定値及び第2測定値の測定回数及び無線データ伝送を制御する制御部と
を備えることを特徴とするアンテナシステム測定装置。
【請求項11】
前記第1測定値は進行波の電力であり、前記第2測定値は反射波の電力であることを特徴とする請求項10に記載のアンテナシステム測定装置。
【請求項12】
前記第2測定値の周波数を変換する周波数変換部をさらに含み、
前記無線データモジュールは、受信アンテナの状態測定の指示を受信すると、受信アンテナに所定の電力の周波数を出力し、
前記制御部は、前記受信アンテナから反射してきた電力信号の周波数を変換させるように前記周波数変換部を制御することを特徴とする請求項11に記載のアンテナシステム測定装置。
【請求項13】
前記無線データはショート・メッセージ・サービス(SMS)メッセージであることを特徴とする請求項10乃至12のいずれか1項に記載のアンテナシステム測定装置。
【請求項14】
移動通信システム基地局におけるアンテナシステムを測定及び監視する方法であって、
基地局アンテナに設置されたアンテナシステム測定装置を用いて、進行波の電力と反射波の電力を測定するステップと、
前記進行波及び反射波の測定値及び測定回数を含む情報、さらに各基地局識別子を無線データフォーマットで監視サーバーに伝送するステップと、
前記監視サーバーに前記無線データを受信させてそのメッセージを分析させ、該当する基地局の情報を基地局情報データベースから検索するステップと、
前記伝送された測定値を用いて基地局の定在波比を算出するステップと、
補正が必要な場合、検索された基地局情報によって前記計算された定在波比を補正するステップと、
を含むことを特徴とする基地局のアンテナシステムの測定監視方法。
【請求項15】
前記定在波比算出ステップは、
計算された定在波比中最大及び最小値を削除するステップと、
最大及び最小値が削除された定在波比の平均を計算するステップと
を含むことを特徴とする請求項14に記載の基地局のアンテナシステムの測定監視方法。
【請求項16】
前記定在波比算出ステップは、
複数の定在波比の中から重畳する値を検索するステップと、
前記重畳値に対応する定在波比に重みを割り当てるステップと
をさらに含むことを特徴とする請求項15に記載の基地局のアンテナシステムの測定監視方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2007−522709(P2007−522709A)
【公表日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−549134(P2006−549134)
【出願日】平成17年1月14日(2005.1.14)
【国際出願番号】PCT/KR2005/000129
【国際公開番号】WO2005/069664
【国際公開日】平成17年7月28日(2005.7.28)
【出願人】(504394652)ケイティーフリーテル シーオー リミテッド (10)
【氏名又は名称原語表記】KTFREETEL CO., LTD.
【Fターム(参考)】