移動通信装置、通信方法および通信システム
【課題】通信ロスを低減すること。
【解決手段】移動通信装置100は、記憶部111と、エリア推定部112と、選択部113と、送信部114と、を備えている。記憶部111は、各エリアと各送信リソースを対応付ける対応情報を記憶する。エリア推定部112は、各エリアのうちの自装置が位置するエリアを推定する。選択部113は、記憶部111によって記憶された対応情報においてエリア推定部112によって推定されたエリアと対応付けられた送信リソースを選択する。送信部114は、選択部113によって選択された送信リソースを用いて他の移動通信装置100へデータを送信する。
【解決手段】移動通信装置100は、記憶部111と、エリア推定部112と、選択部113と、送信部114と、を備えている。記憶部111は、各エリアと各送信リソースを対応付ける対応情報を記憶する。エリア推定部112は、各エリアのうちの自装置が位置するエリアを推定する。選択部113は、記憶部111によって記憶された対応情報においてエリア推定部112によって推定されたエリアと対応付けられた送信リソースを選択する。送信部114は、選択部113によって選択された送信リソースを用いて他の移動通信装置100へデータを送信する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動通信装置、通信方法および通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在の車社会は交通事故、交通渋滞、有害物質や騒音による住環境の悪化など、深刻な問題を多く抱えている。これらの問題を解決する一手段としてITS(Intelligent Transport Systems:高度道路交通システム)が存在する。また、VICS(Vehicle Information and Communication System:道路交通情報通信システム,登録商標)やETC(Electronic Toll Collection)が実用化されている。
【0003】
このような背景の中、特に安全、安心の車社会に向けて車同士が無線通信を行う車車間通信システムが注目されている。この車車間通信システムではセルラーシステムの基地局が端末を集中管理する集中管理制御ではなく、各車両(セルラーの端末に相当)が一定のルールに基づいて通信を行う自律分散制御が求められる。
【0004】
そこで、車車間通信システムの制御方式として、CSMA/CA(Carrier Sense Multiple Access/Collision Avoidance)アルゴリズムが従来方式として存在する(たとえば、下記特許文献1参照。)。CSMA/CAアルゴリズムにおいては、通信路(伝搬路)が一定時間以上継続して空いていることを確認(キャリアセンス)してから各車両がデータを送信する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−92197号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した従来技術では、距離が離れておりキャリアセンスができない車両同士が同時にデータを送信し、データが衝突(パケット衝突)する場合がある(隠れ端末問題)。データが衝突すると、受信側においてデータを正確に復号することができず、通信ロスが発生するという問題がある。
【0007】
また、隠れ端末問題の解決策の一つとしてRTS/CTS(Request To Send/Clear To Send)が存在する。しかしながら、車車間通信のように比較的送信データサイズが小さい場合は、RTS/CTSを用いるとオーバヘッドが大きくなる。このため、通信効率が低下するという問題がある。
【0008】
本発明の一側面では、通信ロスを低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の案では、各エリアと各送信リソースを対応付ける対応情報を記憶する記憶部と、前記各エリアのうちの自装置が位置するエリアを推定するエリア推定部と、前記記憶部によって記憶された対応情報において前記エリア推定部によって推定されたエリアと対応付けられた送信リソースを選択する選択部と、前記選択部によって選択された送信リソースを用いて他の移動通信装置へデータを送信する送信部と、を備える移動通信装置を用いることとする。
【0010】
好ましくは、前記記憶部は、それぞれに位置する移動通信装置が互いに隠れ端末となるエリア同士には異なる送信リソースを対応付ける前記対応情報を記憶する。
【0011】
好ましくは、前記記憶部は、同じエリアに隣接するエリア同士には異なる送信リソースを対応付ける前記対応情報を記憶する。
【0012】
好ましくは、前記記憶部は、前記エリア同士には時間が異なる送信リソースを対応付ける前記対応情報を記憶する。
【0013】
好ましくは、前記記憶部は、同じエリアに隣接しないエリア同士に同じ送信リソースを対応付ける前記対応情報を記憶する。
【0014】
好ましくは、前記記憶部は、各エリアの境界部分が異なる複数の前記対応情報を記憶し、前記選択部は、前記記憶部によって記憶された複数の前記対応情報を交互に選択し、選択した対応情報に基づいて前記送信リソースを選択する。
【0015】
好ましくは、前記選択部によって選択された送信リソースの範囲内で媒体アクセス制御を行う制御部を備え、前記送信部は、前記制御部による媒体アクセス制御に基づいて前記データを送信する。
【0016】
好ましくは、移動通信装置間でデータを直接送信する自律分散エリアと、移動通信装置によるデータの送信を基地局により管理する集中管理エリアと、が混在する場合において、前記記憶部は、前記各エリアが前記自律分散エリアと前記集中管理エリアのいずれであるかを示す属性情報を記憶し、前記選択部は、前記記憶部によって記憶された属性情報に基づいて、前記推定されたエリアが前記自律分散エリアと前記集中管理エリアのいずれであるかを判定し、前記自律分散エリアであると判定した場合には前記対応付けられた送信リソースを選択し、前記集中管理エリアであると判定した場合には前記基地局から通知された送信リソースを選択する。
【0017】
第2の案では、移動通信装置の通信方法において、各エリアと各送信リソースを対応付ける対応情報を記憶する記憶工程と、前記各エリアのうちの自装置が位置するエリアを推定するエリア推定工程と、前記記憶工程によって記憶された対応情報において前記エリア推定工程によって推定されたエリアと対応付けられた送信リソースを選択する選択工程と、前記選択工程によって選択された送信リソースを用いて他の移動通信装置へデータを送信する送信工程と、を含む通信方法を用いることとする。
【0018】
第3の案では、互いにデータを直接送信する複数の移動通信装置を含む通信システムにおいて、前記複数の移動通信装置のそれぞれは、各エリアと各送信リソースを対応付ける対応情報を記憶する記憶部と、前記各エリアのうちの自装置が位置するエリアを推定するエリア推定部と、前記記憶部によって記憶された対応情報において前記エリア推定部によって推定されたエリアと対応付けられた送信リソースを選択する選択部と、前記選択部によって選択された送信リソースを用いて他の移動通信装置へデータを送信する送信部と、を備える通信システムを用いることとする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、通信ロスを低減することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】実施の形態1にかかる移動通信装置の構成例を示すブロック図である。
【図2】各エリアに対する送信リソースの対応付けの一例を示す図である。
【図3】同じ送信リソースが対応付けられる各エリアの一例を示す図である。
【図4】キャリアセンス可能な範囲のエリアの一例を示す図である。
【図5】通信システムへの基地局の適用例を示す図である。
【図6】実施の形態2にかかる移動通信装置の構成例を示すブロック図である。
【図7】図6に示した移動通信装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【図8】実施の形態2にかかる対応情報の一例を示す図である。
【図9】送受信間距離と受信電力の関係を示すグラフである。
【図10】キャリアセンス可能な範囲のエリアの一例を示す図である。
【図11】各車両からの電波が届く範囲を示す図である。
【図12】同じ送信リソースを対応付ける各エリアの離間距離を示す図である。
【図13】各エリアの配置例と送信リソースの対応付例を示す図である。
【図14】時間による送信リソースの分割を示す図である。
【図15】周波数による送信リソースの分割を示す図である。
【図16】コードによる送信リソースの分割を示す図である。
【図17】位置推定誤差によるパケット衝突を示す図(その1)である。
【図18】位置推定誤差によるパケット衝突を示す図(その2)である。
【図19】時間帯によるエリアの変更を示す図である。
【図20】実施の形態3にかかる移動通信装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【図21】実施の形態3にかかる対応情報の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に添付図面を参照して、開示の移動通信装置、通信方法および通信システムの好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0022】
(実施の形態1)
(移動通信装置の構成)
図1は、実施の形態1にかかる移動通信装置の構成例を示すブロック図である。図1に示すように、実施の形態1にかかる移動通信装置100は、記憶部111と、エリア推定部112と、選択部113と、送信部114と、を備えている。移動通信装置100は、たとえば車両や携帯電話などの移動体に設けられ、他の移動通信装置との間で直接、無線通信を行う(自律分散制御)。また、移動通信装置100は、基地局を介して無線通信を行う機能をさらに備えていてもよい。
【0023】
記憶部111は、各エリアと各送信リソースを対応付ける対応情報(たとえば図8,図21参照)を記憶する。エリアとは、たとえば、移動通信装置100が設けられた移動体が移動し得る道路などを、座標点などによって区切ったエリアである。送信リソースは、移動通信装置100がデータを送信するための物理リソース(無線キャリア)である。
【0024】
たとえば、送信リソースは、データを送信するための時間、周波数またはコード分割のコードなどである。エリアごとに送信リソースがあらかじめ定められ、記憶部111はこの各エリアと各送信リソースを対応付ける対応情報を記憶する。記憶部111は、移動通信装置100に設けられたメモリによって実現することができる。
【0025】
エリア推定部112は、各エリアのうちの移動通信装置100が位置するエリアを推定する。エリア推定部112は、たとえばGPS(Global Positioning System:全地球測位システム)システムによって実現することができる。エリア推定部112は、推定したエリアを選択部113へ通知する。
【0026】
選択部113は、記憶部111によって記憶された対応情報を読み出す。また、選択部113は、読み出した対応情報において、エリア推定部112から通知されたエリアと対応付けられた送信リソースを選択する。選択部113は、選択した送信リソースを送信部114へ通知する。選択部113は、DSP(Digital Signal Processor)などの演算手段によって実現することができる。
【0027】
送信部114は、選択部113から通知された送信リソースを用いて他の移動通信装置へデータを送信する。送信部114は、たとえばアンテナや通信回路などの無線通信インターフェースによって実現することができる。
【0028】
以上の構成により、移動通信装置100が位置するエリアを推定し、推定したエリアにあらかじめ対応付けられた送信リソースを選択して使用することができる。これにより、移動通信装置100は、エリアによって異なる送信リソースを自律的に選択して使用することができる。このため、たとえば基地局などによって移動通信装置100の送信リソースを管理しなくても、隠れ端末による通信ロスを低減することができる。
【0029】
(各エリアの設計および送信リソースの対応付け)
図2は、各エリアに対する送信リソースの対応付けの一例を示す図である。図2に示す通信システム200においては、道路がエリア210,220,230に区切られている。エリア210とエリア220は互いに隣接している。また、エリア220とエリア230は互いに隣接している。また、エリア210とエリア230は隣接しておらず、エリア210内の車両とエリア230内の車両とは互いに隠れ端末となる。
【0030】
エリア210には、車両201,202が位置している。エリア220には、車両203〜205が位置している。エリア230には、車両206,207が位置している。車両201〜207のそれぞれには、図1に示した移動通信装置100が備えられている。
【0031】
送信周期250は、通信システム200のデータの送信周期の1周期を示している。送信周期250において、横軸は時間を示している。通信システム200においては、送信周期250が3つの送信区間「1」,「2」,「3」に分割されている。図1に示した記憶部111に記憶された対応情報においては、エリア210,220,230に対してそれぞれ送信区間「1」,「2」,「3」が対応付けられている。
【0032】
たとえば、車両202は、自装置がエリア210に位置していると推定し、推定したエリア210と対応情報において対応付けられた送信区間「1」を選択する。そして、車両202は、選択した送信区間「1」においてデータを送信する。また、車両206は、自装置がエリア230に位置していると推定し、推定したエリア230と対応情報において対応付けられた送信区間「3」を選択する。そして、車両206は、選択した送信区間「3」においてデータを送信する。
【0033】
これにより、たとえばエリア220に位置する車両203は、車両202から送信されたデータと、車両206から送信されたデータと、を異なる送信区間によって受信することができる。車両202や車両206が送信するデータは、たとえば、自車両の位置、進行方向、速度、アクセルの状態、ブレーキの状態、ウィンカの状態などを示す情報である。なお、ここでは送信周期250を3つの送信区間「1」,「2」,「3」に分割する場合について説明したが、送信周期250の分割数は任意である。
【0034】
このように、対応情報においては、それぞれに位置する移動通信装置が互いに隠れ端末となるエリア同士(エリア210とエリア230)には異なる送信リソース(送信リソース「1」と送信リソース「3」)が対応付けられる。具体的には、対応情報においては、同じエリア(エリア220)に隣接するエリア同士(エリア210とエリア230)には異なる送信リソース(送信リソース「1」と送信リソース「3」)が対応付けられる。
【0035】
これにより、エリア210の各車両とエリア230の各車両との間でキャリアセンスを行えなくても、エリア220の各車両は、エリア210とエリア230の各車両から送信されたデータを異なる送信リソースによって受信することができる。したがって、エリア220の各車両は、エリア210とエリア230の各車両からのデータを正常に復号することができる。このため、隠れ端末に起因する通信ロスを低減することができる。
【0036】
なお、対応情報においては、同じエリア(エリア220)に隣接するエリア同士であっても、互いに隣接し合うエリア同士には同じ送信リソースを対応付けてもよい。互いに隣接し合う各エリアの車両同士は、互いにキャリアセンスを行うことができるため、媒体アクセス制御によってデータを衝突しないように送信することができる。
【0037】
図3は、同じ送信リソースが対応付けられる各エリアの一例を示す図である。図3において、図2に示した部分と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。エリア310は、エリア210との間で互いに電波干渉が起きない程度(電波干渉が無視できる程度も含む)にエリア210から離れたエリアである。この場合は、エリア310にはエリア210と同じ送信区間「1」(送信リソース)を対応付けてもよい。
【0038】
具体的には、同じエリアに隣接しないエリア同士(エリア210とエリア310)には同じ送信区間「1」(送信リソース)を対応付けてもよい。これにより、隠れ端末に起因する通信ロスを低減しつつ、複数のエリアにおいて同じ送信リソースを用いることができる。このため、送信リソースの利用効率を向上させることができる。
【0039】
図4は、キャリアセンス可能な範囲のエリアの一例を示す図である。図4において、図2に示した部分と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。図4に示すように、エリア210の面積は、エリア210に位置する車両201と車両202とが互いの電波を受信し復号できる程度の距離になるように設計される。これにより、エリア210に位置する車両201と車両202の間においてはキャリアセンスが正常に働き、隠れ端末の存在がない。このため、自律分散制御を効率よく行うことができる。
【0040】
(通信システムへの基地局の適用)
図5は、通信システムへの基地局の適用例を示す図である。図5において、図2に示した部分と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。図5に示すように、通信システム200において、たとえば将来的に基地局501を設けることも可能である。基地局501はエリア220の交差点の中央付近に設けられている。
【0041】
たとえば、エリア220における送信リソースは基地局501が集中管理することで、さらに効率のよいシステムを構築することが可能となる。この場合は、通信システム200においては、移動通信装置間でデータを直接送信する自律分散エリア(エリア210,230)と、移動通信装置によるデータの送信を基地局501により管理する集中管理エリア(220)と、が混在することになる。
【0042】
この場合は、車両201〜207は、基地局501が設けられたエリア220では基地局501の指示に基づく送信リソースを使用し(集中管理制御)、エリア210,230では自律的に選択した送信リソースを使用する(自律分散制御)。車両201〜207はエリアの属性(集中管理制御なのか自律分散制御なのか)を車両位置によって把握し、エリア間をハンドオーバしていく。
【0043】
通信システム200においては、集中管理制御が適当なエリア(交差点など)には基地局501を設置することで、容易に集中管理制御を実現することができる。また、設置した基地局501を撤去すれば、図2に示したようにエリア220における自律分散制御を再開することができる。このため、通信システム200においては、環境や状況に対して臨機応変に対応することができる。
【0044】
図5に示す通信システム200においては、移動通信装置100の記憶部111は、各エリアが自律分散エリアと集中管理エリアのいずれであるかを示す属性情報を記憶する。たとえば、記憶部111は、エリア210,230が自律分散エリアであり、エリア220が集中管理エリアであることを示す属性情報を記憶する。
【0045】
移動通信装置100の選択部113は、記憶部111によって記憶された属性情報に基づいて、エリア推定部112によって推定されたエリアが自律分散エリアと集中管理エリアのいずれであるかを判定する。そして、選択部113は、自律分散エリアであると判定した場合には対応情報において対応付けられた送信リソースを選択し、集中管理エリアであると判定した場合には基地局501から通知された送信リソースを選択する。
【0046】
たとえば、車両201における移動通信装置100の選択部113は、車両201がエリア210に位置していると推定し、属性情報に基づいて、エリア210が自律分散エリアであると判定する。この場合は、選択部113は、対応情報においてエリア210と対応付けられている送信リソース「1」を選択する。
【0047】
また、車両203における移動通信装置100の選択部113は、車両203がエリア220に位置していると推定し、属性情報に基づいて、エリア220が集中管理エリアであると判定する。この場合は、選択部113は、基地局501から通知される送信リソースを取得し、取得した送信リソースを選択する。基地局501は、エリア220に位置する各車両が使用する送信リソースを管理し、エリア220に位置する各車両に対して使用を許可する送信リソースを通知する。
【0048】
このように、実施の形態1にかかる移動通信装置100によれば、移動通信装置100が位置するエリアを推定し、推定したエリアにあらかじめ対応付けられた送信リソースを選択して使用することができる。これにより、移動通信装置100は、エリアによって異なる送信リソースを自律的に選択して使用することができる。このため、たとえば基地局501などによって移動通信装置100の送信リソースを管理しなくても、隠れ端末による通信ロスを低減することができる。また、各車両の移動通信装置100がそれぞれ自律的に送信リソースを選択することができるため、たとえばRTS/CTSを用いる場合と比較すると、各車両間の通信効率の低下を抑えることができる。
【0049】
(実施の形態2)
(移動通信装置の構成)
図6は、実施の形態2にかかる移動通信装置の構成例を示すブロック図である。図6に示すように、実施の形態2にかかる移動通信装置600は、時刻同期部601と、位置推定部602と、無線受信部603と、受信電力測定部604と、対応情報記憶部605と、送信リソース選択部606と、媒体アクセス制御部607と、無線送信部608と、を備えている。移動通信装置600は、たとえば図1に示した移動通信装置100に対応する移動通信装置である。
【0050】
時刻同期部601は、現在の絶対時刻を取得し、取得した絶対時刻を送信リソース選択部606へ通知する。位置推定部602は、移動通信装置600の位置を示す座標を推定し、推定した座標(座標情報)を送信リソース選択部606へ通知する。時刻同期部601および位置推定部602は、たとえばGPSシステムによって実現することができる。
【0051】
無線受信部603は、他の移動通信装置や基地局などからの信号を受信する。無線受信部603は、受信した信号を受信電力測定部604へ出力する。無線受信部603は、たとえばアンテナやRF(Radio Frequency:高周波)回路などの無線通信インターフェースによって実現される。受信電力測定部604は、無線受信部603から出力された信号の受信電力を測定する。受信電力測定部604は、測定した受信電力を媒体アクセス制御部607へ通知する。
【0052】
対応情報記憶部605は、各エリアと送信リソースとを対応付けた対応情報を記憶しているメモリである。送信リソース選択部606は、対応情報記憶部605に記憶された記憶情報を読み出す。そして、送信リソース選択部606は、読み出した対応情報において、位置推定部602から出力された座標が含まれるエリアと対応する送信リソースを選択し、選択した送信リソースを媒体アクセス制御部607へ通知する。送信リソース選択部606は、たとえばDSPなどの演算手段によって実現することができる。
【0053】
また、たとえば各エリアに対応付けられた送信リソースが時間によって分割されている場合は、送信リソース選択部606は、時刻同期部601から通知された絶対時刻に基づいて送信リソースを媒体アクセス制御部607へ通知する。一方、各エリアに対応付けられた送信リソースが時間によって分割されていない場合は、時刻同期部601を省いた構成とすることも可能である。
【0054】
媒体アクセス制御部607は、受信電力測定部604から通知された受信電力に基づいて搬送波周波数の電波状態を監視する。そして、媒体アクセス制御部607は、送信リソース選択部606から通知された送信リソースの範囲内において、監視した電波状態に基づいて無線送信部608の媒体アクセス制御を行う。たとえば、媒体アクセス制御部607は、CSMA/CAアルゴリズムによる媒体アクセス制御を行う。媒体アクセス制御部607は、たとえばDSPなどの演算手段によって実現することができる。
【0055】
無線送信部608は、他の移動通信装置に対して、媒体アクセス制御部607の媒体アクセス制御に従って送信情報を送信する。無線送信部608が送信する送信情報は、たとえば、自車両の位置、進行方向、速度、アクセルの状態、ブレーキの状態、ウィンカの状態などを示す情報である。無線送信部608は、たとえばアンテナやRF回路などの無線通信インターフェースによって実現される。
【0056】
(移動通信装置の動作)
図7は、図6に示した移動通信装置の動作の一例を示すフローチャートである。移動通信装置600は、まず、GPS信号を受信する(ステップS701)。つぎに、ステップS701によって受信されたGPS信号に基づいて現在の絶対時刻を取得する(ステップS702)。つぎに、ステップS701によって受信されたGPS信号に基づいて移動通信装置600の位置を推定する(ステップS703)。
【0057】
つぎに、ステップS703によって推定された位置に基づいて送信リソースを選択する(ステップS704)。つぎに、ステップS702によって取得された絶対時刻に基づいて、ステップS704によって選択された送信リソースの範囲内において媒体アクセス制御を行う(ステップS705)。つぎに、ステップS705の媒体アクセス制御に従って送信情報を送信し(ステップS706)、一連の動作を終了する。
【0058】
以上の各ステップを、たとえば送信周期(たとえば100[ms])ごとに行う。これにより、移動通信装置600が位置するエリアを推定し、推定したエリアにあらかじめ対応付けられた送信リソースを選択し、選択した送信リソースを用いてデータを送信することができる。なお、ステップS702とステップS703の順序は逆でもよい。
【0059】
(対応情報の一例)
図8は、実施の形態2にかかる対応情報の一例を示す図である。図6に示した対応情報記憶部605には、たとえば図8に示す対応情報800が記憶されている。対応情報800においては、各エリアと、送信リソースR1〜RNと、が対応付けられている。各エリアは座標範囲E1〜ENによって示されている。
【0060】
各エリアが円状に設計されている場合(たとえば図2参照)は、座標範囲E1〜ENは、たとえばエリアの中心点の座標と半径を示す情報である。また、各エリアが格子状に設計されている場合は、座標範囲E1〜ENは、たとえばエリアの4隅の各座標を示す情報である。たとえば、移動通信装置600は、推定した移動通信装置600の位置を示す座標が座標範囲E1に含まれる場合は、送信リソースR1を選択して使用する。
【0061】
対応情報800は、通信システム200(図2参照)における各車両の移動通信装置600において共有される。これにより、通信システム200(図2参照)における各車両が、共通の対応情報に基づいて自律的に送信リソースを選択することができる。また、対応情報800は、たとえば通信システム200における各車両における移動通信装置600の対応情報記憶部605にあらかじめ記憶されている。
【0062】
または、通信システム200における各車両の移動通信装置600は、対応情報800をネットワークから受信して対応情報記憶部605に記憶するようにしてもよい。たとえば、移動通信装置600は、無線受信部603によりVICS情報として対応情報800を受信し、受信した対応情報800を対応情報記憶部605に記憶する。
【0063】
これにより、たとえば移動通信装置600が位置するエリア付近に関する対応情報800を選択して対応情報記憶部605に記憶することで、対応情報記憶部605に記憶する情報の量を低減することが可能になる。また、常に最新の対応情報800を受信して対応情報記憶部605に記憶することで、通信システム200における各車両において対応情報800を精度よく共有させることが可能になる。
【0064】
(キャリアセンス可能な範囲のエリア)
エリア内の各車両が互いにキャリアセンス可能になるための条件は、たとえば、搬送波周波数、送信電力、伝搬モデル、最低受信感度などの関係から導くことができる。各車両が互いに送受信する信号の受信電力Power[dBm]は、たとえば下記(1)式によって示すことができる。下記(1)式においてrは送受信間距離、λは波長を示している。
【0065】
【数1】
【0066】
図9は、送受信間距離と受信電力の関係を示すグラフである。図9の横軸は、各車両間で信号を送受信する場合の送受信間距離[m]を示している。図9の縦軸は、各車両間で送受信する信号の受信電力[dBm]を示している。図9の関係910は、上記(1)式に基づく送受信間距離rと受信電力Powerとの関係を示している。
【0067】
図9に示すように、各車両の互いの距離(送受信間距離)が大きくなるほど、各車両が互いに送受信する信号の受信電力が小さくなる。ここでは、一例として、搬送波周波数を700[MHz]、送信電力を20[dBm]、伝搬モデルを簡単のため3乗則に従うFriisの公式と仮定する。また、キャリアセンスのための最低受信感度(許容する最低の受信電力)は−100[dBm]とする。図9に示す例では、最低受信感度の−100[dBm]となる送受信間距離が約300[m]である。
【0068】
図10は、キャリアセンス可能な範囲のエリアの一例を示す図である。図10に示すように、エリア220を、たとえば直径が約300[m]の円状にする。これにより、エリア220に位置する車両201〜204の送受信間距離が300[m]以下となるため、エリア220に位置する車両201〜204が互いにキャリアセンス可能になる(図9参照)。エリア220について説明したが、通信システム200の他のエリアについても同様である。
【0069】
図11は、各車両からの電波が届く範囲を示す図である。図11において、図10に示した部分と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。車両201〜204のそれぞれが20[dBm]の信号を送信する場合について説明する。範囲1111は、車両201からの信号の受信感度が−100[dBm]以上となる範囲を示している。同様に、範囲1112〜1114は、それぞれ車両202〜204からの信号の受信感度が−100[dBm]以上となる範囲を示している。
【0070】
範囲1120は、範囲1111〜1114を包括する範囲であり、エリア220における各車両(車両201〜204)からの信号の受信感度が−100[dBm]以上となる範囲である。この場合は、範囲1120の直径は約900[m]となる。エリア220と同じ送信リソースを使用するエリアは、範囲1120と重ならないように配置する。
【0071】
図12は、同じ送信リソースを対応付ける各エリアの離間距離を示す図である。図12に示すエリア1211とエリア1212は、互いに同じ送信リソースが対応付けられるエリアである。範囲1221は、エリア1211における各車両からの信号が影響を及ぼす範囲(たとえば図11の範囲1120参照)である。範囲1222は、エリア1212における各車両からの信号が影響を及ぼす範囲(たとえば図11の範囲1120参照)である。
【0072】
図12に示すように、たとえば、エリア1211とエリア1212の中心距離を900[m]以上離間させる。これにより、範囲1221と範囲1222が重ならないようにエリア1211とエリア1212を配置することができる。このため、隠れ端末に起因する通信ロスを低減しつつ、複数のエリアにおいて同じ送信リソースを用いることができる。このため、送信リソースの利用効率を向上させることができる。
【0073】
図13は、各エリアの配置例と送信リソースの対応付例を示す図である。図13において、図12に示した部分と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。図13に示すように、エリア1211とエリア1212の間にエリア1311とエリア1312を配置する。そして、エリア1211とエリア1212には送信リソース「1」を対応付ける。また、エリア1311には送信リソース「2」を対応付ける。また、エリア1312には送信リソース「3」を対応付ける。
【0074】
このように、対応情報においては、同じエリア(エリア1311)に隣接するエリア同士(エリア1211とエリア1312)には異なる送信リソース(送信リソース「1」と送信リソース「3」)が対応付けられる。これにより、それぞれに位置する移動通信装置600が互いに隠れ端末となるエリア同士(エリア1211とエリア1312)には異なる送信リソース(送信リソース「1」と送信リソース「3」)が対応付けられる。
【0075】
また、対応情報においては、同じエリア(エリア1312)に隣接するエリア同士(エリア1311とエリア1212)には異なる送信リソース(送信リソース「2」と送信リソース「1」)が対応付けられる。これにより、それぞれに位置する移動通信装置600が互いに隠れ端末となるエリア同士(エリア1311とエリア1212)には異なる送信リソース(送信リソース「2」と送信リソース「1」)が対応付けられる。
【0076】
(送信リソースの分割)
図14は、時間による送信リソースの分割を示す図である。図14において、エリア1401〜1404は、たとえば図13に示したエリア1211,1311,1312,1212である。送信リソース1410は、送信周期の1周期分(たとえば100[ms])の送信リソースを示している。
【0077】
図14において、送信リソース1410の横軸は時間を示している。図14に示すように送信リソース1410は時分割(TDM:Time Division Multiplexing)されている(図2の送信区間「1」,「2」,「3」と同様)。そして、それぞれに位置する車両の移動通信装置600が互いに隠れ端末となるエリア同士には時間が異なる送信リソースが対応付けられる。
【0078】
具体的には、エリア1402に隣接するエリア1401およびエリア1403には、それぞれ時間が異なる送信リソース「1」および送信リソース「3」が対応付けられる。これにより、エリア1402の車両において、エリア1401およびエリア1403の各車両からの信号が衝突することを回避することができる。
【0079】
また、エリア1403に隣接するエリア1402およびエリア1404には、それぞれ時間が異なる送信リソース「2」および送信リソース「1」が対応付けられる。これにより、エリア1403の車両において、エリア1402およびエリア1404の各車両からの信号が衝突することを回避することができる。また、同じエリアに隣接しないエリア1401およびエリア1404には、それぞれ送信リソース「1」が対応付けられている。
【0080】
図15は、周波数による送信リソースの分割を示す図である。図15において、図14に示した部分と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。図15において、送信リソース1410の横軸は時間を示し、縦軸は周波数を示している。図15に示すように、送信リソース1410は周波数分割(FDM:Frequency Division Multiple)されていてもよい。この場合は、送信リソース「1」,「2」,「3」は互いに周波数が異なる送信リソースとなる。エリア1401〜1404に対する送信リソース「1」,「2」,「3」の対応付けは、図14において説明した対応付けと同様であるため説明を省略する。
【0081】
図16は、コードによる送信リソースの分割を示す図である。図16において、図14に示した部分と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。図16において、送信リソース1410の横軸は時間を示し、縦軸はコード分割のコードを示している。図16に示すように、送信リソース1410はコード分割(CDMA:Code Division Multiple Access)されていてもよい。この場合は、送信リソース「1」,「2」,「3」は互いにコード分割のコードが異なる送信リソースとなる。エリア1401〜1404に対する送信リソース「1」,「2」,「3」の対応付けは、図14において説明した対応付けと同様であるため説明を省略する。
【0082】
このように、実施の形態2にかかる移動通信装置600によれば、移動通信装置600が位置するエリアを推定し、推定したエリアにあらかじめ対応付けられた送信リソースを選択して使用することができる。これにより、移動通信装置600は、エリアによって異なる送信リソースを自律的に選択して使用することができる。このため、たとえば基地局501(図5参照)などによって移動通信装置600の送信リソースを管理しなくても、隠れ端末による通信ロスを低減することができる。また、各車両の移動通信装置600がそれぞれ自律的に送信リソースを選択することができるため、たとえばRTS/CTSを用いる場合と比較すると、各車両間の通信効率の低下を抑えることができる。
【0083】
(実施の形態3)
(位置推定誤差によるパケット衝突)
図17は、位置推定誤差によるパケット衝突を示す図(その1)である。図17において、図2に示した部分と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。現状のGPSは、数mから数十mの誤差を含んでいる。このため、GPS信号に基づいて移動通信装置の位置を推定する場合は、図17に示すように、エリア210に位置する車両202が、エリア220内の地点1701に位置していると誤って推定されることもあり得る。この場合は、車両202はエリア210に位置しているにもかかわらず、エリア210に位置していると判定され、送信区間「2」を使用してデータを送信することになる。
【0084】
図18は、位置推定誤差によるパケット衝突を示す図(その2)である。図17に示したような状態においては、たとえば車両202と車両204との間ではキャリアセンスができない。また、車両202および車両204がともに送信リソース「2」を使用してデータを送信することになるため、車両202および車両204から送信された各データが、たとえばエリア220内の車両1801において衝突し、通信ロスが発生する。
【0085】
このように、エリア210におけるエリア220との境界線付近に位置している車両202が位置推定誤差によってエリア220に位置していると判断され、エリア220に対応付けられた送信リソース「2」を使用することで隠れ端末問題が発生する。
【0086】
(移動通信装置の構成)
実施の形態3にかかる移動通信装置600の構成については、図6に示した構成と同様であるため説明を省略する。ただし、対応情報記憶部605は、各エリアの境界部分が異なる複数の対応情報(図21参照)を記憶している。また、送信リソース選択部606は、対応情報記憶部605によって記憶された複数の対応情報を交互に選択し、選択した対応情報に基づいて送信リソースを選択する(図20参照)。
【0087】
(時間帯によるエリアの変更)
図19は、時間帯によるエリアの変更を示す図である。図17,図18によって説明した位置推定誤差に起因する隠れ端末問題に対して、たとえば、図17,図18に示した各エリアの配置と、図19に示した各エリアの配置と、を周期的に切り替える。図19に示す各エリアの配置は、図17,図18に示した各エリアの配置に対して横方向にシフトしている。また、図17,図18においてはエリア230に位置していた車両207は、図19においてはエリア230に隣接するエリア1910に位置している。
【0088】
たとえば、車両202は、図19に示した各エリアの配置においては、エリア220に位置し、かつ各エリアの境界付近には位置していないため、エリア220に位置していると正しく推定することができる。また、車両204は、図19に示した各エリアの配置においてはエリア230に位置していると推定される。したがって、車両202は送信区間「2」によりデータを送信し、車両204は送信区間「3」によりデータを送信することになる。このため、車両1801は、車両202からのデータと、車両204からのデータとを異なる送信区間によって受信することができる。
【0089】
このように、各エリアの境界部分を周期的に変化させることで、たとえば車両202について常に誤ったエリア判定が発生することを回避することができる。このため、車両202と車両204から送信された各データが、エリア220において常に衝突して受信できないことを回避することができる。各エリアの境界部分を変化させる速度は、車両の移動速度を考慮して十分に速く設定する。たとえば、車両201がエリア210に進入してからエリア210の外に出るまでに、境界部分が少なくとも1回は変化するようにする。
【0090】
(移動通信装置の動作)
図20は、実施の形態3にかかる移動通信装置の動作の一例を示すフローチャートである。図20に示すステップS2001〜S2003は、図7に示したステップS701〜S703と同様であるため説明を省略する。移動通信装置600は、ステップS2003のつぎに、ステップS2002によって取得された絶対時刻に基づいて、現在の時刻の秒数が偶数か否かを判断する(ステップS2004)。
【0091】
ステップS2004において、時刻の秒数が偶数である場合(ステップS2004:Yes)は、ステップS2003によって推定された位置と、偶数秒の対応情報(図21参照)と、に基づいて送信リソースを選択する(ステップS2005)。時刻の秒数が奇数である場合(ステップS2004:No)は、ステップS2003によって推定された位置と、奇数秒の対応情報(図21参照)と、に基づいて送信リソースを選択する(ステップS2006)。
【0092】
つぎに、ステップS2005またはステップS2006によって選択された送信リソースの範囲内において媒体アクセス制御を行う(ステップS2007)。つぎに、ステップS2006の媒体アクセス制御に従って送信情報を送信し(ステップS2008)、一連の動作を終了する。
【0093】
以上の各ステップを、たとえば送信周期(たとえば100[ms])ごとに行う。これにより、移動通信装置600が位置するエリアを推定し、推定したエリアにあらかじめ対応付けられた送信リソースを選択し、選択した送信リソースを用いてすることができる。また、現在の時刻に応じて、各エリアの境界部分を周期的に変化させることができる。具体的には、各エリアの境界部分を約1秒ごとに変化させることができる。
【0094】
(対応情報の一例)
図21は、実施の形態3にかかる対応情報の一例を示す図である。実施の形態3にかかる対応情報記憶部605(図6参照)には、たとえば図21に示す対応情報2110および対応情報2120が記憶される。対応情報2110および対応情報2120は、各エリアの境界部分が異なる複数の対応情報である。対応情報2110は、図20に示した偶数秒の対応情報である。対応情報2120は、図20に示した奇数秒の対応情報である。
【0095】
対応情報2110においては、座標範囲E11〜E1Nと送信リソースR1〜RNとが対応付けられている。対応情報2120においては、座標範囲E21〜E2Nと送信リソースR1〜RNとが対応付けられている。このように、対応情報2110および対応情報2120においては、同じ送信リソースが対応付けられる各エリアの座標範囲が互いに異なる。図6に示した送信リソース選択部606は、図20のステップS2005では対応情報2110を読み出し、ステップS2006では対応情報2120を読み出す。
【0096】
このように、実施の形態3にかかる移動通信装置600によれば、各エリアの境界部分が異なる複数の対応情報(対応情報2110と対応情報2120)を記憶し、記憶された複数の対応情報を交互に選択し、選択した対応情報に基づいて送信リソースを選択する。これにより、各エリアの境界部分を交互に変化させることができる。このため、位置推定誤差に起因する通信ロスを低減することができる。
【0097】
なお、ここでは2つの対応情報(対応情報2110と対応情報2120)を対応情報記憶部605に記憶する場合について説明したが、3つ以上の対応情報を対応情報記憶部605に記憶するようにしてもよい。この場合は、送信リソース選択部606は、3つ以上の対応情報を交互に選択し、選択した対応情報に基づいて送信リソースを選択する。
【0098】
以上説明したように、移動通信装置、通信方法および通信システムによれば、通信ロスを低減することができる。
【0099】
以上、移動通信装置100,600を車両に適用する場合について説明したが、移動通信装置100,600は車両に限らず、移動通信が可能な装置全般に適用可能である。たとえば、移動通信装置100,600は携帯電話などにも適用可能である。上述した実施の形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
【0100】
(付記1)各エリアと各送信リソースを対応付ける対応情報を記憶する記憶部と、
前記各エリアのうちの自装置が位置するエリアを推定するエリア推定部と、
前記記憶部によって記憶された対応情報において前記エリア推定部によって推定されたエリアと対応付けられた送信リソースを選択する選択部と、
前記選択部によって選択された送信リソースを用いて他の移動通信装置へデータを送信する送信部と、
を備えることを特徴とする移動通信装置。
【0101】
(付記2)前記記憶部は、それぞれに位置する移動通信装置が互いに隠れ端末となるエリア同士には異なる送信リソースを対応付ける前記対応情報を記憶することを特徴とする付記1に記載の移動通信装置。
【0102】
(付記3)前記記憶部は、同じエリアに隣接するエリア同士には異なる送信リソースを対応付ける前記対応情報を記憶することを特徴とする付記1に記載の移動通信装置。
【0103】
(付記4)前記記憶部は、前記エリア同士には時間が異なる送信リソースを対応付ける前記対応情報を記憶することを特徴とする付記2または3に記載の移動通信装置。
【0104】
(付記5)前記記憶部は、前記エリア同士には周波数が異なる送信リソースを対応付ける前記対応情報を記憶することを特徴とする付記2または3に記載の移動通信装置。
【0105】
(付記6)前記記憶部は、前記エリア同士にはコード分割のコードが異なる送信リソースを対応付ける前記対応情報を記憶することを特徴とする付記2または3に記載の移動通信装置。
【0106】
(付記7)前記記憶部は、同じエリアに隣接しないエリア同士に同じ送信リソースを対応付ける前記対応情報を記憶することを特徴とする付記1〜6のいずれか一つに記載の移動通信装置。
【0107】
(付記8)前記記憶部は、各エリアの境界部分が異なる複数の前記対応情報を記憶し、
前記選択部は、前記記憶部によって記憶された複数の前記対応情報を交互に選択し、選択した対応情報に基づいて前記送信リソースを選択することを特徴とする付記1〜7のいずれか一つに記載の移動通信装置。
【0108】
(付記9)前記選択部によって選択された送信リソースの範囲内で媒体アクセス制御を行う制御部を備え、
前記送信部は、前記制御部による媒体アクセス制御に基づいて前記データを送信することを特徴とする付記1〜8のいずれか一つに記載の移動通信装置。
【0109】
(付記10)他の移動通信装置からの受信電力を測定する測定部を備え、
前記制御部は、前記測定部によって測定された受信電力に基づいて前記媒体アクセス制御を行うことを特徴とする付記9に記載の移動通信装置。
【0110】
(付記11)前記エリア推定部は、GPS(Global Positioning System)により受信した自装置の座標情報に基づいてエリアを推定することを特徴とする付記1〜10のいずれか一つに記載の移動通信装置。
【0111】
(付記12)前記対応情報を受信する受信部を備え、
前記受信部は、前記受信部によって受信された対応情報を記憶することを特徴とする付記1〜11のいずれか一つに記載の移動通信装置。
【0112】
(付記13)移動通信装置間でデータを直接送信する自律分散エリアと、移動通信装置によるデータの送信を基地局により管理する集中管理エリアと、が混在する場合において、
前記記憶部は、前記各エリアが前記自律分散エリアと前記集中管理エリアのいずれであるかを示す属性情報を記憶し、
前記選択部は、前記記憶部によって記憶された属性情報に基づいて、前記推定されたエリアが前記自律分散エリアと前記集中管理エリアのいずれであるかを判定し、前記自律分散エリアであると判定した場合には前記対応付けられた送信リソースを選択し、前記集中管理エリアであると判定した場合には前記基地局から通知された送信リソースを選択することを特徴とする付記1〜12のいずれか一つに記載の移動通信装置。
【0113】
(付記14)移動通信装置の通信方法において、
各エリアと各送信リソースを対応付ける対応情報を記憶する記憶工程と、
前記各エリアのうちの自装置が位置するエリアを推定するエリア推定工程と、
前記記憶工程によって記憶された対応情報において前記エリア推定工程によって推定されたエリアと対応付けられた送信リソースを選択する選択工程と、
前記選択工程によって選択された送信リソースを用いて他の移動通信装置へデータを送信する送信工程と、
を含むことを特徴とする通信方法。
【0114】
(付記15)互いにデータを直接送信する複数の移動通信装置を含む通信システムにおいて、
前記複数の移動通信装置のそれぞれは、
各エリアと各送信リソースを対応付ける対応情報を記憶する記憶部と、
前記各エリアのうちの自装置が位置するエリアを推定するエリア推定部と、
前記記憶部によって記憶された対応情報において前記エリア推定部によって推定されたエリアと対応付けられた送信リソースを選択する選択部と、
前記選択部によって選択された送信リソースを用いて他の移動通信装置へデータを送信する送信部と、
を備えることを特徴とする通信システム。
【符号の説明】
【0115】
100,600 移動通信装置
200 通信システム
201〜207,1801 車両
210,220,230,310,1211,1212,1311,1312,1401〜1404,1910 エリア
250 送信周期
501 基地局
800,2110,2120 対応情報
1410 送信リソース
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動通信装置、通信方法および通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在の車社会は交通事故、交通渋滞、有害物質や騒音による住環境の悪化など、深刻な問題を多く抱えている。これらの問題を解決する一手段としてITS(Intelligent Transport Systems:高度道路交通システム)が存在する。また、VICS(Vehicle Information and Communication System:道路交通情報通信システム,登録商標)やETC(Electronic Toll Collection)が実用化されている。
【0003】
このような背景の中、特に安全、安心の車社会に向けて車同士が無線通信を行う車車間通信システムが注目されている。この車車間通信システムではセルラーシステムの基地局が端末を集中管理する集中管理制御ではなく、各車両(セルラーの端末に相当)が一定のルールに基づいて通信を行う自律分散制御が求められる。
【0004】
そこで、車車間通信システムの制御方式として、CSMA/CA(Carrier Sense Multiple Access/Collision Avoidance)アルゴリズムが従来方式として存在する(たとえば、下記特許文献1参照。)。CSMA/CAアルゴリズムにおいては、通信路(伝搬路)が一定時間以上継続して空いていることを確認(キャリアセンス)してから各車両がデータを送信する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−92197号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した従来技術では、距離が離れておりキャリアセンスができない車両同士が同時にデータを送信し、データが衝突(パケット衝突)する場合がある(隠れ端末問題)。データが衝突すると、受信側においてデータを正確に復号することができず、通信ロスが発生するという問題がある。
【0007】
また、隠れ端末問題の解決策の一つとしてRTS/CTS(Request To Send/Clear To Send)が存在する。しかしながら、車車間通信のように比較的送信データサイズが小さい場合は、RTS/CTSを用いるとオーバヘッドが大きくなる。このため、通信効率が低下するという問題がある。
【0008】
本発明の一側面では、通信ロスを低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の案では、各エリアと各送信リソースを対応付ける対応情報を記憶する記憶部と、前記各エリアのうちの自装置が位置するエリアを推定するエリア推定部と、前記記憶部によって記憶された対応情報において前記エリア推定部によって推定されたエリアと対応付けられた送信リソースを選択する選択部と、前記選択部によって選択された送信リソースを用いて他の移動通信装置へデータを送信する送信部と、を備える移動通信装置を用いることとする。
【0010】
好ましくは、前記記憶部は、それぞれに位置する移動通信装置が互いに隠れ端末となるエリア同士には異なる送信リソースを対応付ける前記対応情報を記憶する。
【0011】
好ましくは、前記記憶部は、同じエリアに隣接するエリア同士には異なる送信リソースを対応付ける前記対応情報を記憶する。
【0012】
好ましくは、前記記憶部は、前記エリア同士には時間が異なる送信リソースを対応付ける前記対応情報を記憶する。
【0013】
好ましくは、前記記憶部は、同じエリアに隣接しないエリア同士に同じ送信リソースを対応付ける前記対応情報を記憶する。
【0014】
好ましくは、前記記憶部は、各エリアの境界部分が異なる複数の前記対応情報を記憶し、前記選択部は、前記記憶部によって記憶された複数の前記対応情報を交互に選択し、選択した対応情報に基づいて前記送信リソースを選択する。
【0015】
好ましくは、前記選択部によって選択された送信リソースの範囲内で媒体アクセス制御を行う制御部を備え、前記送信部は、前記制御部による媒体アクセス制御に基づいて前記データを送信する。
【0016】
好ましくは、移動通信装置間でデータを直接送信する自律分散エリアと、移動通信装置によるデータの送信を基地局により管理する集中管理エリアと、が混在する場合において、前記記憶部は、前記各エリアが前記自律分散エリアと前記集中管理エリアのいずれであるかを示す属性情報を記憶し、前記選択部は、前記記憶部によって記憶された属性情報に基づいて、前記推定されたエリアが前記自律分散エリアと前記集中管理エリアのいずれであるかを判定し、前記自律分散エリアであると判定した場合には前記対応付けられた送信リソースを選択し、前記集中管理エリアであると判定した場合には前記基地局から通知された送信リソースを選択する。
【0017】
第2の案では、移動通信装置の通信方法において、各エリアと各送信リソースを対応付ける対応情報を記憶する記憶工程と、前記各エリアのうちの自装置が位置するエリアを推定するエリア推定工程と、前記記憶工程によって記憶された対応情報において前記エリア推定工程によって推定されたエリアと対応付けられた送信リソースを選択する選択工程と、前記選択工程によって選択された送信リソースを用いて他の移動通信装置へデータを送信する送信工程と、を含む通信方法を用いることとする。
【0018】
第3の案では、互いにデータを直接送信する複数の移動通信装置を含む通信システムにおいて、前記複数の移動通信装置のそれぞれは、各エリアと各送信リソースを対応付ける対応情報を記憶する記憶部と、前記各エリアのうちの自装置が位置するエリアを推定するエリア推定部と、前記記憶部によって記憶された対応情報において前記エリア推定部によって推定されたエリアと対応付けられた送信リソースを選択する選択部と、前記選択部によって選択された送信リソースを用いて他の移動通信装置へデータを送信する送信部と、を備える通信システムを用いることとする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、通信ロスを低減することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】実施の形態1にかかる移動通信装置の構成例を示すブロック図である。
【図2】各エリアに対する送信リソースの対応付けの一例を示す図である。
【図3】同じ送信リソースが対応付けられる各エリアの一例を示す図である。
【図4】キャリアセンス可能な範囲のエリアの一例を示す図である。
【図5】通信システムへの基地局の適用例を示す図である。
【図6】実施の形態2にかかる移動通信装置の構成例を示すブロック図である。
【図7】図6に示した移動通信装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【図8】実施の形態2にかかる対応情報の一例を示す図である。
【図9】送受信間距離と受信電力の関係を示すグラフである。
【図10】キャリアセンス可能な範囲のエリアの一例を示す図である。
【図11】各車両からの電波が届く範囲を示す図である。
【図12】同じ送信リソースを対応付ける各エリアの離間距離を示す図である。
【図13】各エリアの配置例と送信リソースの対応付例を示す図である。
【図14】時間による送信リソースの分割を示す図である。
【図15】周波数による送信リソースの分割を示す図である。
【図16】コードによる送信リソースの分割を示す図である。
【図17】位置推定誤差によるパケット衝突を示す図(その1)である。
【図18】位置推定誤差によるパケット衝突を示す図(その2)である。
【図19】時間帯によるエリアの変更を示す図である。
【図20】実施の形態3にかかる移動通信装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【図21】実施の形態3にかかる対応情報の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に添付図面を参照して、開示の移動通信装置、通信方法および通信システムの好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0022】
(実施の形態1)
(移動通信装置の構成)
図1は、実施の形態1にかかる移動通信装置の構成例を示すブロック図である。図1に示すように、実施の形態1にかかる移動通信装置100は、記憶部111と、エリア推定部112と、選択部113と、送信部114と、を備えている。移動通信装置100は、たとえば車両や携帯電話などの移動体に設けられ、他の移動通信装置との間で直接、無線通信を行う(自律分散制御)。また、移動通信装置100は、基地局を介して無線通信を行う機能をさらに備えていてもよい。
【0023】
記憶部111は、各エリアと各送信リソースを対応付ける対応情報(たとえば図8,図21参照)を記憶する。エリアとは、たとえば、移動通信装置100が設けられた移動体が移動し得る道路などを、座標点などによって区切ったエリアである。送信リソースは、移動通信装置100がデータを送信するための物理リソース(無線キャリア)である。
【0024】
たとえば、送信リソースは、データを送信するための時間、周波数またはコード分割のコードなどである。エリアごとに送信リソースがあらかじめ定められ、記憶部111はこの各エリアと各送信リソースを対応付ける対応情報を記憶する。記憶部111は、移動通信装置100に設けられたメモリによって実現することができる。
【0025】
エリア推定部112は、各エリアのうちの移動通信装置100が位置するエリアを推定する。エリア推定部112は、たとえばGPS(Global Positioning System:全地球測位システム)システムによって実現することができる。エリア推定部112は、推定したエリアを選択部113へ通知する。
【0026】
選択部113は、記憶部111によって記憶された対応情報を読み出す。また、選択部113は、読み出した対応情報において、エリア推定部112から通知されたエリアと対応付けられた送信リソースを選択する。選択部113は、選択した送信リソースを送信部114へ通知する。選択部113は、DSP(Digital Signal Processor)などの演算手段によって実現することができる。
【0027】
送信部114は、選択部113から通知された送信リソースを用いて他の移動通信装置へデータを送信する。送信部114は、たとえばアンテナや通信回路などの無線通信インターフェースによって実現することができる。
【0028】
以上の構成により、移動通信装置100が位置するエリアを推定し、推定したエリアにあらかじめ対応付けられた送信リソースを選択して使用することができる。これにより、移動通信装置100は、エリアによって異なる送信リソースを自律的に選択して使用することができる。このため、たとえば基地局などによって移動通信装置100の送信リソースを管理しなくても、隠れ端末による通信ロスを低減することができる。
【0029】
(各エリアの設計および送信リソースの対応付け)
図2は、各エリアに対する送信リソースの対応付けの一例を示す図である。図2に示す通信システム200においては、道路がエリア210,220,230に区切られている。エリア210とエリア220は互いに隣接している。また、エリア220とエリア230は互いに隣接している。また、エリア210とエリア230は隣接しておらず、エリア210内の車両とエリア230内の車両とは互いに隠れ端末となる。
【0030】
エリア210には、車両201,202が位置している。エリア220には、車両203〜205が位置している。エリア230には、車両206,207が位置している。車両201〜207のそれぞれには、図1に示した移動通信装置100が備えられている。
【0031】
送信周期250は、通信システム200のデータの送信周期の1周期を示している。送信周期250において、横軸は時間を示している。通信システム200においては、送信周期250が3つの送信区間「1」,「2」,「3」に分割されている。図1に示した記憶部111に記憶された対応情報においては、エリア210,220,230に対してそれぞれ送信区間「1」,「2」,「3」が対応付けられている。
【0032】
たとえば、車両202は、自装置がエリア210に位置していると推定し、推定したエリア210と対応情報において対応付けられた送信区間「1」を選択する。そして、車両202は、選択した送信区間「1」においてデータを送信する。また、車両206は、自装置がエリア230に位置していると推定し、推定したエリア230と対応情報において対応付けられた送信区間「3」を選択する。そして、車両206は、選択した送信区間「3」においてデータを送信する。
【0033】
これにより、たとえばエリア220に位置する車両203は、車両202から送信されたデータと、車両206から送信されたデータと、を異なる送信区間によって受信することができる。車両202や車両206が送信するデータは、たとえば、自車両の位置、進行方向、速度、アクセルの状態、ブレーキの状態、ウィンカの状態などを示す情報である。なお、ここでは送信周期250を3つの送信区間「1」,「2」,「3」に分割する場合について説明したが、送信周期250の分割数は任意である。
【0034】
このように、対応情報においては、それぞれに位置する移動通信装置が互いに隠れ端末となるエリア同士(エリア210とエリア230)には異なる送信リソース(送信リソース「1」と送信リソース「3」)が対応付けられる。具体的には、対応情報においては、同じエリア(エリア220)に隣接するエリア同士(エリア210とエリア230)には異なる送信リソース(送信リソース「1」と送信リソース「3」)が対応付けられる。
【0035】
これにより、エリア210の各車両とエリア230の各車両との間でキャリアセンスを行えなくても、エリア220の各車両は、エリア210とエリア230の各車両から送信されたデータを異なる送信リソースによって受信することができる。したがって、エリア220の各車両は、エリア210とエリア230の各車両からのデータを正常に復号することができる。このため、隠れ端末に起因する通信ロスを低減することができる。
【0036】
なお、対応情報においては、同じエリア(エリア220)に隣接するエリア同士であっても、互いに隣接し合うエリア同士には同じ送信リソースを対応付けてもよい。互いに隣接し合う各エリアの車両同士は、互いにキャリアセンスを行うことができるため、媒体アクセス制御によってデータを衝突しないように送信することができる。
【0037】
図3は、同じ送信リソースが対応付けられる各エリアの一例を示す図である。図3において、図2に示した部分と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。エリア310は、エリア210との間で互いに電波干渉が起きない程度(電波干渉が無視できる程度も含む)にエリア210から離れたエリアである。この場合は、エリア310にはエリア210と同じ送信区間「1」(送信リソース)を対応付けてもよい。
【0038】
具体的には、同じエリアに隣接しないエリア同士(エリア210とエリア310)には同じ送信区間「1」(送信リソース)を対応付けてもよい。これにより、隠れ端末に起因する通信ロスを低減しつつ、複数のエリアにおいて同じ送信リソースを用いることができる。このため、送信リソースの利用効率を向上させることができる。
【0039】
図4は、キャリアセンス可能な範囲のエリアの一例を示す図である。図4において、図2に示した部分と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。図4に示すように、エリア210の面積は、エリア210に位置する車両201と車両202とが互いの電波を受信し復号できる程度の距離になるように設計される。これにより、エリア210に位置する車両201と車両202の間においてはキャリアセンスが正常に働き、隠れ端末の存在がない。このため、自律分散制御を効率よく行うことができる。
【0040】
(通信システムへの基地局の適用)
図5は、通信システムへの基地局の適用例を示す図である。図5において、図2に示した部分と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。図5に示すように、通信システム200において、たとえば将来的に基地局501を設けることも可能である。基地局501はエリア220の交差点の中央付近に設けられている。
【0041】
たとえば、エリア220における送信リソースは基地局501が集中管理することで、さらに効率のよいシステムを構築することが可能となる。この場合は、通信システム200においては、移動通信装置間でデータを直接送信する自律分散エリア(エリア210,230)と、移動通信装置によるデータの送信を基地局501により管理する集中管理エリア(220)と、が混在することになる。
【0042】
この場合は、車両201〜207は、基地局501が設けられたエリア220では基地局501の指示に基づく送信リソースを使用し(集中管理制御)、エリア210,230では自律的に選択した送信リソースを使用する(自律分散制御)。車両201〜207はエリアの属性(集中管理制御なのか自律分散制御なのか)を車両位置によって把握し、エリア間をハンドオーバしていく。
【0043】
通信システム200においては、集中管理制御が適当なエリア(交差点など)には基地局501を設置することで、容易に集中管理制御を実現することができる。また、設置した基地局501を撤去すれば、図2に示したようにエリア220における自律分散制御を再開することができる。このため、通信システム200においては、環境や状況に対して臨機応変に対応することができる。
【0044】
図5に示す通信システム200においては、移動通信装置100の記憶部111は、各エリアが自律分散エリアと集中管理エリアのいずれであるかを示す属性情報を記憶する。たとえば、記憶部111は、エリア210,230が自律分散エリアであり、エリア220が集中管理エリアであることを示す属性情報を記憶する。
【0045】
移動通信装置100の選択部113は、記憶部111によって記憶された属性情報に基づいて、エリア推定部112によって推定されたエリアが自律分散エリアと集中管理エリアのいずれであるかを判定する。そして、選択部113は、自律分散エリアであると判定した場合には対応情報において対応付けられた送信リソースを選択し、集中管理エリアであると判定した場合には基地局501から通知された送信リソースを選択する。
【0046】
たとえば、車両201における移動通信装置100の選択部113は、車両201がエリア210に位置していると推定し、属性情報に基づいて、エリア210が自律分散エリアであると判定する。この場合は、選択部113は、対応情報においてエリア210と対応付けられている送信リソース「1」を選択する。
【0047】
また、車両203における移動通信装置100の選択部113は、車両203がエリア220に位置していると推定し、属性情報に基づいて、エリア220が集中管理エリアであると判定する。この場合は、選択部113は、基地局501から通知される送信リソースを取得し、取得した送信リソースを選択する。基地局501は、エリア220に位置する各車両が使用する送信リソースを管理し、エリア220に位置する各車両に対して使用を許可する送信リソースを通知する。
【0048】
このように、実施の形態1にかかる移動通信装置100によれば、移動通信装置100が位置するエリアを推定し、推定したエリアにあらかじめ対応付けられた送信リソースを選択して使用することができる。これにより、移動通信装置100は、エリアによって異なる送信リソースを自律的に選択して使用することができる。このため、たとえば基地局501などによって移動通信装置100の送信リソースを管理しなくても、隠れ端末による通信ロスを低減することができる。また、各車両の移動通信装置100がそれぞれ自律的に送信リソースを選択することができるため、たとえばRTS/CTSを用いる場合と比較すると、各車両間の通信効率の低下を抑えることができる。
【0049】
(実施の形態2)
(移動通信装置の構成)
図6は、実施の形態2にかかる移動通信装置の構成例を示すブロック図である。図6に示すように、実施の形態2にかかる移動通信装置600は、時刻同期部601と、位置推定部602と、無線受信部603と、受信電力測定部604と、対応情報記憶部605と、送信リソース選択部606と、媒体アクセス制御部607と、無線送信部608と、を備えている。移動通信装置600は、たとえば図1に示した移動通信装置100に対応する移動通信装置である。
【0050】
時刻同期部601は、現在の絶対時刻を取得し、取得した絶対時刻を送信リソース選択部606へ通知する。位置推定部602は、移動通信装置600の位置を示す座標を推定し、推定した座標(座標情報)を送信リソース選択部606へ通知する。時刻同期部601および位置推定部602は、たとえばGPSシステムによって実現することができる。
【0051】
無線受信部603は、他の移動通信装置や基地局などからの信号を受信する。無線受信部603は、受信した信号を受信電力測定部604へ出力する。無線受信部603は、たとえばアンテナやRF(Radio Frequency:高周波)回路などの無線通信インターフェースによって実現される。受信電力測定部604は、無線受信部603から出力された信号の受信電力を測定する。受信電力測定部604は、測定した受信電力を媒体アクセス制御部607へ通知する。
【0052】
対応情報記憶部605は、各エリアと送信リソースとを対応付けた対応情報を記憶しているメモリである。送信リソース選択部606は、対応情報記憶部605に記憶された記憶情報を読み出す。そして、送信リソース選択部606は、読み出した対応情報において、位置推定部602から出力された座標が含まれるエリアと対応する送信リソースを選択し、選択した送信リソースを媒体アクセス制御部607へ通知する。送信リソース選択部606は、たとえばDSPなどの演算手段によって実現することができる。
【0053】
また、たとえば各エリアに対応付けられた送信リソースが時間によって分割されている場合は、送信リソース選択部606は、時刻同期部601から通知された絶対時刻に基づいて送信リソースを媒体アクセス制御部607へ通知する。一方、各エリアに対応付けられた送信リソースが時間によって分割されていない場合は、時刻同期部601を省いた構成とすることも可能である。
【0054】
媒体アクセス制御部607は、受信電力測定部604から通知された受信電力に基づいて搬送波周波数の電波状態を監視する。そして、媒体アクセス制御部607は、送信リソース選択部606から通知された送信リソースの範囲内において、監視した電波状態に基づいて無線送信部608の媒体アクセス制御を行う。たとえば、媒体アクセス制御部607は、CSMA/CAアルゴリズムによる媒体アクセス制御を行う。媒体アクセス制御部607は、たとえばDSPなどの演算手段によって実現することができる。
【0055】
無線送信部608は、他の移動通信装置に対して、媒体アクセス制御部607の媒体アクセス制御に従って送信情報を送信する。無線送信部608が送信する送信情報は、たとえば、自車両の位置、進行方向、速度、アクセルの状態、ブレーキの状態、ウィンカの状態などを示す情報である。無線送信部608は、たとえばアンテナやRF回路などの無線通信インターフェースによって実現される。
【0056】
(移動通信装置の動作)
図7は、図6に示した移動通信装置の動作の一例を示すフローチャートである。移動通信装置600は、まず、GPS信号を受信する(ステップS701)。つぎに、ステップS701によって受信されたGPS信号に基づいて現在の絶対時刻を取得する(ステップS702)。つぎに、ステップS701によって受信されたGPS信号に基づいて移動通信装置600の位置を推定する(ステップS703)。
【0057】
つぎに、ステップS703によって推定された位置に基づいて送信リソースを選択する(ステップS704)。つぎに、ステップS702によって取得された絶対時刻に基づいて、ステップS704によって選択された送信リソースの範囲内において媒体アクセス制御を行う(ステップS705)。つぎに、ステップS705の媒体アクセス制御に従って送信情報を送信し(ステップS706)、一連の動作を終了する。
【0058】
以上の各ステップを、たとえば送信周期(たとえば100[ms])ごとに行う。これにより、移動通信装置600が位置するエリアを推定し、推定したエリアにあらかじめ対応付けられた送信リソースを選択し、選択した送信リソースを用いてデータを送信することができる。なお、ステップS702とステップS703の順序は逆でもよい。
【0059】
(対応情報の一例)
図8は、実施の形態2にかかる対応情報の一例を示す図である。図6に示した対応情報記憶部605には、たとえば図8に示す対応情報800が記憶されている。対応情報800においては、各エリアと、送信リソースR1〜RNと、が対応付けられている。各エリアは座標範囲E1〜ENによって示されている。
【0060】
各エリアが円状に設計されている場合(たとえば図2参照)は、座標範囲E1〜ENは、たとえばエリアの中心点の座標と半径を示す情報である。また、各エリアが格子状に設計されている場合は、座標範囲E1〜ENは、たとえばエリアの4隅の各座標を示す情報である。たとえば、移動通信装置600は、推定した移動通信装置600の位置を示す座標が座標範囲E1に含まれる場合は、送信リソースR1を選択して使用する。
【0061】
対応情報800は、通信システム200(図2参照)における各車両の移動通信装置600において共有される。これにより、通信システム200(図2参照)における各車両が、共通の対応情報に基づいて自律的に送信リソースを選択することができる。また、対応情報800は、たとえば通信システム200における各車両における移動通信装置600の対応情報記憶部605にあらかじめ記憶されている。
【0062】
または、通信システム200における各車両の移動通信装置600は、対応情報800をネットワークから受信して対応情報記憶部605に記憶するようにしてもよい。たとえば、移動通信装置600は、無線受信部603によりVICS情報として対応情報800を受信し、受信した対応情報800を対応情報記憶部605に記憶する。
【0063】
これにより、たとえば移動通信装置600が位置するエリア付近に関する対応情報800を選択して対応情報記憶部605に記憶することで、対応情報記憶部605に記憶する情報の量を低減することが可能になる。また、常に最新の対応情報800を受信して対応情報記憶部605に記憶することで、通信システム200における各車両において対応情報800を精度よく共有させることが可能になる。
【0064】
(キャリアセンス可能な範囲のエリア)
エリア内の各車両が互いにキャリアセンス可能になるための条件は、たとえば、搬送波周波数、送信電力、伝搬モデル、最低受信感度などの関係から導くことができる。各車両が互いに送受信する信号の受信電力Power[dBm]は、たとえば下記(1)式によって示すことができる。下記(1)式においてrは送受信間距離、λは波長を示している。
【0065】
【数1】
【0066】
図9は、送受信間距離と受信電力の関係を示すグラフである。図9の横軸は、各車両間で信号を送受信する場合の送受信間距離[m]を示している。図9の縦軸は、各車両間で送受信する信号の受信電力[dBm]を示している。図9の関係910は、上記(1)式に基づく送受信間距離rと受信電力Powerとの関係を示している。
【0067】
図9に示すように、各車両の互いの距離(送受信間距離)が大きくなるほど、各車両が互いに送受信する信号の受信電力が小さくなる。ここでは、一例として、搬送波周波数を700[MHz]、送信電力を20[dBm]、伝搬モデルを簡単のため3乗則に従うFriisの公式と仮定する。また、キャリアセンスのための最低受信感度(許容する最低の受信電力)は−100[dBm]とする。図9に示す例では、最低受信感度の−100[dBm]となる送受信間距離が約300[m]である。
【0068】
図10は、キャリアセンス可能な範囲のエリアの一例を示す図である。図10に示すように、エリア220を、たとえば直径が約300[m]の円状にする。これにより、エリア220に位置する車両201〜204の送受信間距離が300[m]以下となるため、エリア220に位置する車両201〜204が互いにキャリアセンス可能になる(図9参照)。エリア220について説明したが、通信システム200の他のエリアについても同様である。
【0069】
図11は、各車両からの電波が届く範囲を示す図である。図11において、図10に示した部分と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。車両201〜204のそれぞれが20[dBm]の信号を送信する場合について説明する。範囲1111は、車両201からの信号の受信感度が−100[dBm]以上となる範囲を示している。同様に、範囲1112〜1114は、それぞれ車両202〜204からの信号の受信感度が−100[dBm]以上となる範囲を示している。
【0070】
範囲1120は、範囲1111〜1114を包括する範囲であり、エリア220における各車両(車両201〜204)からの信号の受信感度が−100[dBm]以上となる範囲である。この場合は、範囲1120の直径は約900[m]となる。エリア220と同じ送信リソースを使用するエリアは、範囲1120と重ならないように配置する。
【0071】
図12は、同じ送信リソースを対応付ける各エリアの離間距離を示す図である。図12に示すエリア1211とエリア1212は、互いに同じ送信リソースが対応付けられるエリアである。範囲1221は、エリア1211における各車両からの信号が影響を及ぼす範囲(たとえば図11の範囲1120参照)である。範囲1222は、エリア1212における各車両からの信号が影響を及ぼす範囲(たとえば図11の範囲1120参照)である。
【0072】
図12に示すように、たとえば、エリア1211とエリア1212の中心距離を900[m]以上離間させる。これにより、範囲1221と範囲1222が重ならないようにエリア1211とエリア1212を配置することができる。このため、隠れ端末に起因する通信ロスを低減しつつ、複数のエリアにおいて同じ送信リソースを用いることができる。このため、送信リソースの利用効率を向上させることができる。
【0073】
図13は、各エリアの配置例と送信リソースの対応付例を示す図である。図13において、図12に示した部分と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。図13に示すように、エリア1211とエリア1212の間にエリア1311とエリア1312を配置する。そして、エリア1211とエリア1212には送信リソース「1」を対応付ける。また、エリア1311には送信リソース「2」を対応付ける。また、エリア1312には送信リソース「3」を対応付ける。
【0074】
このように、対応情報においては、同じエリア(エリア1311)に隣接するエリア同士(エリア1211とエリア1312)には異なる送信リソース(送信リソース「1」と送信リソース「3」)が対応付けられる。これにより、それぞれに位置する移動通信装置600が互いに隠れ端末となるエリア同士(エリア1211とエリア1312)には異なる送信リソース(送信リソース「1」と送信リソース「3」)が対応付けられる。
【0075】
また、対応情報においては、同じエリア(エリア1312)に隣接するエリア同士(エリア1311とエリア1212)には異なる送信リソース(送信リソース「2」と送信リソース「1」)が対応付けられる。これにより、それぞれに位置する移動通信装置600が互いに隠れ端末となるエリア同士(エリア1311とエリア1212)には異なる送信リソース(送信リソース「2」と送信リソース「1」)が対応付けられる。
【0076】
(送信リソースの分割)
図14は、時間による送信リソースの分割を示す図である。図14において、エリア1401〜1404は、たとえば図13に示したエリア1211,1311,1312,1212である。送信リソース1410は、送信周期の1周期分(たとえば100[ms])の送信リソースを示している。
【0077】
図14において、送信リソース1410の横軸は時間を示している。図14に示すように送信リソース1410は時分割(TDM:Time Division Multiplexing)されている(図2の送信区間「1」,「2」,「3」と同様)。そして、それぞれに位置する車両の移動通信装置600が互いに隠れ端末となるエリア同士には時間が異なる送信リソースが対応付けられる。
【0078】
具体的には、エリア1402に隣接するエリア1401およびエリア1403には、それぞれ時間が異なる送信リソース「1」および送信リソース「3」が対応付けられる。これにより、エリア1402の車両において、エリア1401およびエリア1403の各車両からの信号が衝突することを回避することができる。
【0079】
また、エリア1403に隣接するエリア1402およびエリア1404には、それぞれ時間が異なる送信リソース「2」および送信リソース「1」が対応付けられる。これにより、エリア1403の車両において、エリア1402およびエリア1404の各車両からの信号が衝突することを回避することができる。また、同じエリアに隣接しないエリア1401およびエリア1404には、それぞれ送信リソース「1」が対応付けられている。
【0080】
図15は、周波数による送信リソースの分割を示す図である。図15において、図14に示した部分と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。図15において、送信リソース1410の横軸は時間を示し、縦軸は周波数を示している。図15に示すように、送信リソース1410は周波数分割(FDM:Frequency Division Multiple)されていてもよい。この場合は、送信リソース「1」,「2」,「3」は互いに周波数が異なる送信リソースとなる。エリア1401〜1404に対する送信リソース「1」,「2」,「3」の対応付けは、図14において説明した対応付けと同様であるため説明を省略する。
【0081】
図16は、コードによる送信リソースの分割を示す図である。図16において、図14に示した部分と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。図16において、送信リソース1410の横軸は時間を示し、縦軸はコード分割のコードを示している。図16に示すように、送信リソース1410はコード分割(CDMA:Code Division Multiple Access)されていてもよい。この場合は、送信リソース「1」,「2」,「3」は互いにコード分割のコードが異なる送信リソースとなる。エリア1401〜1404に対する送信リソース「1」,「2」,「3」の対応付けは、図14において説明した対応付けと同様であるため説明を省略する。
【0082】
このように、実施の形態2にかかる移動通信装置600によれば、移動通信装置600が位置するエリアを推定し、推定したエリアにあらかじめ対応付けられた送信リソースを選択して使用することができる。これにより、移動通信装置600は、エリアによって異なる送信リソースを自律的に選択して使用することができる。このため、たとえば基地局501(図5参照)などによって移動通信装置600の送信リソースを管理しなくても、隠れ端末による通信ロスを低減することができる。また、各車両の移動通信装置600がそれぞれ自律的に送信リソースを選択することができるため、たとえばRTS/CTSを用いる場合と比較すると、各車両間の通信効率の低下を抑えることができる。
【0083】
(実施の形態3)
(位置推定誤差によるパケット衝突)
図17は、位置推定誤差によるパケット衝突を示す図(その1)である。図17において、図2に示した部分と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。現状のGPSは、数mから数十mの誤差を含んでいる。このため、GPS信号に基づいて移動通信装置の位置を推定する場合は、図17に示すように、エリア210に位置する車両202が、エリア220内の地点1701に位置していると誤って推定されることもあり得る。この場合は、車両202はエリア210に位置しているにもかかわらず、エリア210に位置していると判定され、送信区間「2」を使用してデータを送信することになる。
【0084】
図18は、位置推定誤差によるパケット衝突を示す図(その2)である。図17に示したような状態においては、たとえば車両202と車両204との間ではキャリアセンスができない。また、車両202および車両204がともに送信リソース「2」を使用してデータを送信することになるため、車両202および車両204から送信された各データが、たとえばエリア220内の車両1801において衝突し、通信ロスが発生する。
【0085】
このように、エリア210におけるエリア220との境界線付近に位置している車両202が位置推定誤差によってエリア220に位置していると判断され、エリア220に対応付けられた送信リソース「2」を使用することで隠れ端末問題が発生する。
【0086】
(移動通信装置の構成)
実施の形態3にかかる移動通信装置600の構成については、図6に示した構成と同様であるため説明を省略する。ただし、対応情報記憶部605は、各エリアの境界部分が異なる複数の対応情報(図21参照)を記憶している。また、送信リソース選択部606は、対応情報記憶部605によって記憶された複数の対応情報を交互に選択し、選択した対応情報に基づいて送信リソースを選択する(図20参照)。
【0087】
(時間帯によるエリアの変更)
図19は、時間帯によるエリアの変更を示す図である。図17,図18によって説明した位置推定誤差に起因する隠れ端末問題に対して、たとえば、図17,図18に示した各エリアの配置と、図19に示した各エリアの配置と、を周期的に切り替える。図19に示す各エリアの配置は、図17,図18に示した各エリアの配置に対して横方向にシフトしている。また、図17,図18においてはエリア230に位置していた車両207は、図19においてはエリア230に隣接するエリア1910に位置している。
【0088】
たとえば、車両202は、図19に示した各エリアの配置においては、エリア220に位置し、かつ各エリアの境界付近には位置していないため、エリア220に位置していると正しく推定することができる。また、車両204は、図19に示した各エリアの配置においてはエリア230に位置していると推定される。したがって、車両202は送信区間「2」によりデータを送信し、車両204は送信区間「3」によりデータを送信することになる。このため、車両1801は、車両202からのデータと、車両204からのデータとを異なる送信区間によって受信することができる。
【0089】
このように、各エリアの境界部分を周期的に変化させることで、たとえば車両202について常に誤ったエリア判定が発生することを回避することができる。このため、車両202と車両204から送信された各データが、エリア220において常に衝突して受信できないことを回避することができる。各エリアの境界部分を変化させる速度は、車両の移動速度を考慮して十分に速く設定する。たとえば、車両201がエリア210に進入してからエリア210の外に出るまでに、境界部分が少なくとも1回は変化するようにする。
【0090】
(移動通信装置の動作)
図20は、実施の形態3にかかる移動通信装置の動作の一例を示すフローチャートである。図20に示すステップS2001〜S2003は、図7に示したステップS701〜S703と同様であるため説明を省略する。移動通信装置600は、ステップS2003のつぎに、ステップS2002によって取得された絶対時刻に基づいて、現在の時刻の秒数が偶数か否かを判断する(ステップS2004)。
【0091】
ステップS2004において、時刻の秒数が偶数である場合(ステップS2004:Yes)は、ステップS2003によって推定された位置と、偶数秒の対応情報(図21参照)と、に基づいて送信リソースを選択する(ステップS2005)。時刻の秒数が奇数である場合(ステップS2004:No)は、ステップS2003によって推定された位置と、奇数秒の対応情報(図21参照)と、に基づいて送信リソースを選択する(ステップS2006)。
【0092】
つぎに、ステップS2005またはステップS2006によって選択された送信リソースの範囲内において媒体アクセス制御を行う(ステップS2007)。つぎに、ステップS2006の媒体アクセス制御に従って送信情報を送信し(ステップS2008)、一連の動作を終了する。
【0093】
以上の各ステップを、たとえば送信周期(たとえば100[ms])ごとに行う。これにより、移動通信装置600が位置するエリアを推定し、推定したエリアにあらかじめ対応付けられた送信リソースを選択し、選択した送信リソースを用いてすることができる。また、現在の時刻に応じて、各エリアの境界部分を周期的に変化させることができる。具体的には、各エリアの境界部分を約1秒ごとに変化させることができる。
【0094】
(対応情報の一例)
図21は、実施の形態3にかかる対応情報の一例を示す図である。実施の形態3にかかる対応情報記憶部605(図6参照)には、たとえば図21に示す対応情報2110および対応情報2120が記憶される。対応情報2110および対応情報2120は、各エリアの境界部分が異なる複数の対応情報である。対応情報2110は、図20に示した偶数秒の対応情報である。対応情報2120は、図20に示した奇数秒の対応情報である。
【0095】
対応情報2110においては、座標範囲E11〜E1Nと送信リソースR1〜RNとが対応付けられている。対応情報2120においては、座標範囲E21〜E2Nと送信リソースR1〜RNとが対応付けられている。このように、対応情報2110および対応情報2120においては、同じ送信リソースが対応付けられる各エリアの座標範囲が互いに異なる。図6に示した送信リソース選択部606は、図20のステップS2005では対応情報2110を読み出し、ステップS2006では対応情報2120を読み出す。
【0096】
このように、実施の形態3にかかる移動通信装置600によれば、各エリアの境界部分が異なる複数の対応情報(対応情報2110と対応情報2120)を記憶し、記憶された複数の対応情報を交互に選択し、選択した対応情報に基づいて送信リソースを選択する。これにより、各エリアの境界部分を交互に変化させることができる。このため、位置推定誤差に起因する通信ロスを低減することができる。
【0097】
なお、ここでは2つの対応情報(対応情報2110と対応情報2120)を対応情報記憶部605に記憶する場合について説明したが、3つ以上の対応情報を対応情報記憶部605に記憶するようにしてもよい。この場合は、送信リソース選択部606は、3つ以上の対応情報を交互に選択し、選択した対応情報に基づいて送信リソースを選択する。
【0098】
以上説明したように、移動通信装置、通信方法および通信システムによれば、通信ロスを低減することができる。
【0099】
以上、移動通信装置100,600を車両に適用する場合について説明したが、移動通信装置100,600は車両に限らず、移動通信が可能な装置全般に適用可能である。たとえば、移動通信装置100,600は携帯電話などにも適用可能である。上述した実施の形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
【0100】
(付記1)各エリアと各送信リソースを対応付ける対応情報を記憶する記憶部と、
前記各エリアのうちの自装置が位置するエリアを推定するエリア推定部と、
前記記憶部によって記憶された対応情報において前記エリア推定部によって推定されたエリアと対応付けられた送信リソースを選択する選択部と、
前記選択部によって選択された送信リソースを用いて他の移動通信装置へデータを送信する送信部と、
を備えることを特徴とする移動通信装置。
【0101】
(付記2)前記記憶部は、それぞれに位置する移動通信装置が互いに隠れ端末となるエリア同士には異なる送信リソースを対応付ける前記対応情報を記憶することを特徴とする付記1に記載の移動通信装置。
【0102】
(付記3)前記記憶部は、同じエリアに隣接するエリア同士には異なる送信リソースを対応付ける前記対応情報を記憶することを特徴とする付記1に記載の移動通信装置。
【0103】
(付記4)前記記憶部は、前記エリア同士には時間が異なる送信リソースを対応付ける前記対応情報を記憶することを特徴とする付記2または3に記載の移動通信装置。
【0104】
(付記5)前記記憶部は、前記エリア同士には周波数が異なる送信リソースを対応付ける前記対応情報を記憶することを特徴とする付記2または3に記載の移動通信装置。
【0105】
(付記6)前記記憶部は、前記エリア同士にはコード分割のコードが異なる送信リソースを対応付ける前記対応情報を記憶することを特徴とする付記2または3に記載の移動通信装置。
【0106】
(付記7)前記記憶部は、同じエリアに隣接しないエリア同士に同じ送信リソースを対応付ける前記対応情報を記憶することを特徴とする付記1〜6のいずれか一つに記載の移動通信装置。
【0107】
(付記8)前記記憶部は、各エリアの境界部分が異なる複数の前記対応情報を記憶し、
前記選択部は、前記記憶部によって記憶された複数の前記対応情報を交互に選択し、選択した対応情報に基づいて前記送信リソースを選択することを特徴とする付記1〜7のいずれか一つに記載の移動通信装置。
【0108】
(付記9)前記選択部によって選択された送信リソースの範囲内で媒体アクセス制御を行う制御部を備え、
前記送信部は、前記制御部による媒体アクセス制御に基づいて前記データを送信することを特徴とする付記1〜8のいずれか一つに記載の移動通信装置。
【0109】
(付記10)他の移動通信装置からの受信電力を測定する測定部を備え、
前記制御部は、前記測定部によって測定された受信電力に基づいて前記媒体アクセス制御を行うことを特徴とする付記9に記載の移動通信装置。
【0110】
(付記11)前記エリア推定部は、GPS(Global Positioning System)により受信した自装置の座標情報に基づいてエリアを推定することを特徴とする付記1〜10のいずれか一つに記載の移動通信装置。
【0111】
(付記12)前記対応情報を受信する受信部を備え、
前記受信部は、前記受信部によって受信された対応情報を記憶することを特徴とする付記1〜11のいずれか一つに記載の移動通信装置。
【0112】
(付記13)移動通信装置間でデータを直接送信する自律分散エリアと、移動通信装置によるデータの送信を基地局により管理する集中管理エリアと、が混在する場合において、
前記記憶部は、前記各エリアが前記自律分散エリアと前記集中管理エリアのいずれであるかを示す属性情報を記憶し、
前記選択部は、前記記憶部によって記憶された属性情報に基づいて、前記推定されたエリアが前記自律分散エリアと前記集中管理エリアのいずれであるかを判定し、前記自律分散エリアであると判定した場合には前記対応付けられた送信リソースを選択し、前記集中管理エリアであると判定した場合には前記基地局から通知された送信リソースを選択することを特徴とする付記1〜12のいずれか一つに記載の移動通信装置。
【0113】
(付記14)移動通信装置の通信方法において、
各エリアと各送信リソースを対応付ける対応情報を記憶する記憶工程と、
前記各エリアのうちの自装置が位置するエリアを推定するエリア推定工程と、
前記記憶工程によって記憶された対応情報において前記エリア推定工程によって推定されたエリアと対応付けられた送信リソースを選択する選択工程と、
前記選択工程によって選択された送信リソースを用いて他の移動通信装置へデータを送信する送信工程と、
を含むことを特徴とする通信方法。
【0114】
(付記15)互いにデータを直接送信する複数の移動通信装置を含む通信システムにおいて、
前記複数の移動通信装置のそれぞれは、
各エリアと各送信リソースを対応付ける対応情報を記憶する記憶部と、
前記各エリアのうちの自装置が位置するエリアを推定するエリア推定部と、
前記記憶部によって記憶された対応情報において前記エリア推定部によって推定されたエリアと対応付けられた送信リソースを選択する選択部と、
前記選択部によって選択された送信リソースを用いて他の移動通信装置へデータを送信する送信部と、
を備えることを特徴とする通信システム。
【符号の説明】
【0115】
100,600 移動通信装置
200 通信システム
201〜207,1801 車両
210,220,230,310,1211,1212,1311,1312,1401〜1404,1910 エリア
250 送信周期
501 基地局
800,2110,2120 対応情報
1410 送信リソース
【特許請求の範囲】
【請求項1】
各エリアと各送信リソースを対応付ける対応情報を記憶する記憶部と、
前記各エリアのうちの自装置が位置するエリアを推定するエリア推定部と、
前記記憶部によって記憶された対応情報において前記エリア推定部によって推定されたエリアと対応付けられた送信リソースを選択する選択部と、
前記選択部によって選択された送信リソースを用いて他の移動通信装置へデータを送信する送信部と、
を備えることを特徴とする移動通信装置。
【請求項2】
前記記憶部は、それぞれに位置する移動通信装置が互いに隠れ端末となるエリア同士には異なる送信リソースを対応付ける前記対応情報を記憶することを特徴とする請求項1に記載の移動通信装置。
【請求項3】
前記記憶部は、同じエリアに隣接するエリア同士には異なる送信リソースを対応付ける前記対応情報を記憶することを特徴とする請求項1に記載の移動通信装置。
【請求項4】
前記記憶部は、前記エリア同士には時間が異なる送信リソースを対応付ける前記対応情報を記憶することを特徴とする請求項2または3に記載の移動通信装置。
【請求項5】
前記記憶部は、同じエリアに隣接しないエリア同士に同じ送信リソースを対応付ける前記対応情報を記憶することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の移動通信装置。
【請求項6】
前記記憶部は、各エリアの境界部分が異なる複数の前記対応情報を記憶し、
前記選択部は、前記記憶部によって記憶された複数の前記対応情報を交互に選択し、選択した対応情報に基づいて前記送信リソースを選択することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の移動通信装置。
【請求項7】
前記選択部によって選択された送信リソースの範囲内で媒体アクセス制御を行う制御部を備え、
前記送信部は、前記制御部による媒体アクセス制御に基づいて前記データを送信することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の移動通信装置。
【請求項8】
移動通信装置間でデータを直接送信する自律分散エリアと、移動通信装置によるデータの送信を基地局により管理する集中管理エリアと、が混在する場合において、
前記記憶部は、前記各エリアが前記自律分散エリアと前記集中管理エリアのいずれであるかを示す属性情報を記憶し、
前記選択部は、前記記憶部によって記憶された属性情報に基づいて、前記推定されたエリアが前記自律分散エリアと前記集中管理エリアのいずれであるかを判定し、前記自律分散エリアであると判定した場合には前記対応付けられた送信リソースを選択し、前記集中管理エリアであると判定した場合には前記基地局から通知された送信リソースを選択することを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載の移動通信装置。
【請求項9】
移動通信装置の通信方法において、
各エリアと各送信リソースを対応付ける対応情報を記憶する記憶工程と、
前記各エリアのうちの自装置が位置するエリアを推定するエリア推定工程と、
前記記憶工程によって記憶された対応情報において前記エリア推定工程によって推定されたエリアと対応付けられた送信リソースを選択する選択工程と、
前記選択工程によって選択された送信リソースを用いて他の移動通信装置へデータを送信する送信工程と、
を含むことを特徴とする通信方法。
【請求項10】
互いにデータを直接送信する複数の移動通信装置を含む通信システムにおいて、
前記複数の移動通信装置のそれぞれは、
各エリアと各送信リソースを対応付ける対応情報を記憶する記憶部と、
前記各エリアのうちの自装置が位置するエリアを推定するエリア推定部と、
前記記憶部によって記憶された対応情報において前記エリア推定部によって推定されたエリアと対応付けられた送信リソースを選択する選択部と、
前記選択部によって選択された送信リソースを用いて他の移動通信装置へデータを送信する送信部と、
を備えることを特徴とする通信システム。
【請求項1】
各エリアと各送信リソースを対応付ける対応情報を記憶する記憶部と、
前記各エリアのうちの自装置が位置するエリアを推定するエリア推定部と、
前記記憶部によって記憶された対応情報において前記エリア推定部によって推定されたエリアと対応付けられた送信リソースを選択する選択部と、
前記選択部によって選択された送信リソースを用いて他の移動通信装置へデータを送信する送信部と、
を備えることを特徴とする移動通信装置。
【請求項2】
前記記憶部は、それぞれに位置する移動通信装置が互いに隠れ端末となるエリア同士には異なる送信リソースを対応付ける前記対応情報を記憶することを特徴とする請求項1に記載の移動通信装置。
【請求項3】
前記記憶部は、同じエリアに隣接するエリア同士には異なる送信リソースを対応付ける前記対応情報を記憶することを特徴とする請求項1に記載の移動通信装置。
【請求項4】
前記記憶部は、前記エリア同士には時間が異なる送信リソースを対応付ける前記対応情報を記憶することを特徴とする請求項2または3に記載の移動通信装置。
【請求項5】
前記記憶部は、同じエリアに隣接しないエリア同士に同じ送信リソースを対応付ける前記対応情報を記憶することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の移動通信装置。
【請求項6】
前記記憶部は、各エリアの境界部分が異なる複数の前記対応情報を記憶し、
前記選択部は、前記記憶部によって記憶された複数の前記対応情報を交互に選択し、選択した対応情報に基づいて前記送信リソースを選択することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の移動通信装置。
【請求項7】
前記選択部によって選択された送信リソースの範囲内で媒体アクセス制御を行う制御部を備え、
前記送信部は、前記制御部による媒体アクセス制御に基づいて前記データを送信することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の移動通信装置。
【請求項8】
移動通信装置間でデータを直接送信する自律分散エリアと、移動通信装置によるデータの送信を基地局により管理する集中管理エリアと、が混在する場合において、
前記記憶部は、前記各エリアが前記自律分散エリアと前記集中管理エリアのいずれであるかを示す属性情報を記憶し、
前記選択部は、前記記憶部によって記憶された属性情報に基づいて、前記推定されたエリアが前記自律分散エリアと前記集中管理エリアのいずれであるかを判定し、前記自律分散エリアであると判定した場合には前記対応付けられた送信リソースを選択し、前記集中管理エリアであると判定した場合には前記基地局から通知された送信リソースを選択することを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載の移動通信装置。
【請求項9】
移動通信装置の通信方法において、
各エリアと各送信リソースを対応付ける対応情報を記憶する記憶工程と、
前記各エリアのうちの自装置が位置するエリアを推定するエリア推定工程と、
前記記憶工程によって記憶された対応情報において前記エリア推定工程によって推定されたエリアと対応付けられた送信リソースを選択する選択工程と、
前記選択工程によって選択された送信リソースを用いて他の移動通信装置へデータを送信する送信工程と、
を含むことを特徴とする通信方法。
【請求項10】
互いにデータを直接送信する複数の移動通信装置を含む通信システムにおいて、
前記複数の移動通信装置のそれぞれは、
各エリアと各送信リソースを対応付ける対応情報を記憶する記憶部と、
前記各エリアのうちの自装置が位置するエリアを推定するエリア推定部と、
前記記憶部によって記憶された対応情報において前記エリア推定部によって推定されたエリアと対応付けられた送信リソースを選択する選択部と、
前記選択部によって選択された送信リソースを用いて他の移動通信装置へデータを送信する送信部と、
を備えることを特徴とする通信システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2011−30067(P2011−30067A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−175331(P2009−175331)
【出願日】平成21年7月28日(2009.7.28)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年7月28日(2009.7.28)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
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