説明

積層グレージング部材のためのアセンブリデバイス

本発明は、それぞれが硬質の複数の個々のガラスペイン(1.1〜1.4、2.1〜2.4)からなり、接着剤層によって互いに表面で組み立てられ、互いに延長方向に延びて、ガラスペインの面上に垂直に突き出た隣接する縁領域において互いに部分的に重なり合い、縁側で画定された重複領域(3)において互いに組み立てられた少なくとも2つの積層ガラスペイン(1、2)を組み立てるためのデバイスに関する。本発明は、硬質ガラスペインの一部のみ、各積層ガラスペイン(1、2)の少なくとも1つの個々のガラスペイン(1.1、1.2、2.1、2.2)が重複領域(3)に及び、それにより1つの積層ガラスペインから次の積層ガラスペインまで滑らかな連続の移行を、極めて透明なピュアグレージングの視覚的な効果で以って可能にすることを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、それぞれが硬質の複数の個々のグレージング部材からなり、かつ結合層によって互いに表面で組み立てられ、互いに延長方向に延びて、グレージング部材の面上の垂直な突起における隣接する縁領域において部分的に重なり合い、縁側でこの限定的な重複領域において互いに組み立てられる少なくとも2つの積層グレージング部材を含む、積層グレージング部材のためのアセンブリデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
独国特許出願公開第19816099号明細書は、この種の、特に積層グレージング部材のためのアセンブリデバイスを記載しており、1つの実施態様によれば、互いに距離を置いて平行に配置された2つの積層グレージング部材が、それらの間でそれらのリム付近に重なり合って第3の積層グレージング部材を囲んでいる。重複領域において、3つの積層グレージング部材は、3つの積層グレージング部材を貫通するボルトを用いて組み立てられている。3つの積層グレージング部材の対応する穴は、必ずしも軸方向に整列している必要はない。なぜなら、この公知の解決策によれば、ボルトをコートする硬化性シーラントの塊が穴の位置に関する公差を全体的に補正することができるからである。それが硬化した後、このシーラントの塊が穴の壁にかかる力に抵抗する。このアセンブリデバイスは、特にはガラスストリンガーアセンブリ、即ち、主としてガラス張りの表面における複合構造の複数のガラスの梁からなる細長い強化部材のアセンブリとして公知であるものに提供される。
【0003】
積層グレージング部材の縁と縁を合わせるアセンブリのために、アセンブリ部材を、縁側で、ガラス複合体の外側に突き出させることが公知の慣例でもある。したがって、西独国特許第1203924号明細書は、2つの硬質ガラスグレージング部材と、それらを互いに組み立てる接着剤層とからなる積層された安全ガラスを記載している。2つの硬質グレージング部材のうちの一方の縁は、もう一方のグレージング部材の縁を越えて著しく突き出ている。接着剤層は、より小さな硬質グレージング部材の縁の前で凹んで終わる。残りの隙間は、シリコーン・エラストマーから作られたシーラントの塊で満たされ、それはより大きな硬質グレージング部材の突起を越えて細長いリムの形態で再び突き出てかつ金属ブレースを含むことができる。それは(ガラスの)硬質グレージング部材自体に穴を開けることなくフレーム又は同様のものに積層グレージング部材を取り付けるのに用いられる。このアセンブリデバイスは、主として航空機における積層グレージング部材のアセンブリのために考案された。
【0004】
積層グレージング部材のための別のアセンブリデバイス(独国特許第19958372号明細書)においては、常に内部の(中央の)グレージング部材は、積層グレージング部材の縁領域において、外部グレージング部材よりも短い少なくとも3つの硬質グレージング部材からなる。その厚さが中央のグレージング部材の厚さに対応する硬質の保持部材、例えば、鋼板が、残りの隙間に挿入される。したがって、アセンブリプロセス(オートクレーブ法又は同様の方法)の際、この保持部材を複合体に組み入れることが可能である。いずれにしても、この目的のため、硬質グレージング部材の間にアセンブリ部材として熱可塑性接着膜を使用することができる。これらの積層グレージング部材は、突き出た保持部材により、硬質グレージング部材において穴なしで骨格に取り付けることができる。
【0005】
(常に2つの外部グレージングと少なくとも1つの中央のグレージング部材を有する)多層複合グレージング部材を貫通する穴にボルト又はスリーブを取り付けるときに穴の壁の公差を補正するという序論において言及した解決策のほかに、さらに別の解決策が独国特許第10055983号明細書及び同第10063547号明細書から公知である。これら両方の文献は、スリーブと偏心スリーブの配置に関するものであり、独国特許第10055983号明細書では、中央のグレージング部材の穴は外側のグレージング部材の穴よりも小さく、独国特許第10063547号明細書では、中央のグレージング部材の穴は外側のグレージング部材の穴よりも大きい。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が基づく課題は、速やかな芯合わせ(同一の厚さ)において積層グレージング部材を互いに組み立てるのに用いられる積層グレージング部材のための別のアセンブリデバイスを得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、この課題は、硬質グレージング部材の一部のみ、各積層グレージング部材の少なくとも1つの個々のグレージング部材が重複領域に及ぶという事実によって解決される。
【0008】
従属項の特徴は、本発明の有利な実施態様を示すものである。
【0009】
課題及び本発明に従う利点は、積層グレージング部材が重複領域の縁で互い違いになっているという事実、又はいずれの場合にも各複合体の個々のグレージング部材すべてがこの縁まで延びているわけではないという事実から得られる。各積層グレージング部材の硬質グレージング部材の一部のみが重複領域に及び、積層グレージング部材間の組み立てが実施されるので、延長方向において一連の組み立てられたグレージング部材外面の滑らかな移行を作り出すことが可能であり、必要に応じてその上に局所的な結合部材のみが突き出ている。とりわけ、逆の場合に、2つの(ガラスの)グレージング部材の縁と縁を合わせるアセンブリにおいて当然に必要な外側に配置された金属の固定ラグ又は同様のものを省くことも可能である。本明細書で「延長方向」とは、アセンブリの接合部を超えて配向される積層グレージング部材の延長を意味する。
【0010】
互いに部分的に重なるグレージング部材のアセンブリの性質は、現場での設置の必要性及び可能性に従って選択することができる。好ましくは、従来技術により既に公知のタイプのボルトを用いた(貫通孔を有する)アセンブリは、同様に積層グレージング部材を互いに機械的に結合するためにアセンブリ部材として使用され、本発明による有利な実施態様がこの目的のために再び議論される。
【0011】
しかしながら、グレージング部材を重複領域において互いに単に固定する外側に配置されたグリッパーアセンブリとともに作用させることも可能であり、ガラス表面の間に中間弾性層を与えることも可能である。
【0012】
最後に、個々のグレージング部材間の溝/隙間に、硬化することができるか又は恒久的に弾性のままであることができる高粘着性シーラントの塊を挿入することによる表面結合で以って、重複領域においてグレージング部材を組み立てることを考えることができる。必要に応じて、この結合は、互いに対面するガラス面を被覆する下塗剤によって改善することができる。このような解決策は簡単に実施することができ、単一の連続したガラスストリップのくぼみを得ることができる。
【0013】
本明細書で明示的には記載されない上記アセンブリの可能性及び他のアセンブリの選択を必要に応じて互いに自由に組み合わせることができることは言うまでもない。
【0014】
原則として、個々の(一体的な)硬質グレージング部材のみ重複領域の積層グレージング部材を越えて突き出て、本発明に従って、積層グレージング部材、例えば、それぞれ2つの(ガラスの)硬質グレージング部材からなる2つの積層グレージング部材の一方ともう一方を組み立てることが可能である。この場合、2つのグレージング部材は、必要な機械的強度を達成するために、圧縮応力を加えたガラスグレージング部材のように少なくとも部分的に重なるよう作製される。
【0015】
積層グレージング部材がそれぞれ少なくとも3つの個々のグレージング部材からなる場合には、第1のグレージング部材の1つの外側のグレージング部材のみが他の2つのグレージング部材の縁を越えて突き出るようにすることで本発明によるアセンブリを達成することができ、組み立てられるべきグレージング部材に対応する外側のグレージング部材が他の2つのグレージング部材に対し対応する寸法において凹んでいる。
【0016】
変形態様によれば、3重複合体の中央のグレージング部材を凹ませることができ、関連するグレージング部材は突き出た中央のグレージング部材を備えることができる。結果として、2つの複合グレージング部材は、重複領域において押し込み又はほぞ穴とほぞによって実質的に組み立てられる。
【0017】
上記すべての配置は、3つを超える硬質グレージング部材を含む積層グレージング部材と同様に達成することができ、突き出た「個々のグレージング部材」自体がさらに積層グレージング部材の一部を形成することができる。これは本発明の好ましい実施態様を構成し、図面によって例として記載される。
【0018】
しかしながら、他の可能性も、特許請求の範囲に含まれるので本発明の概念の領域からは除外されない。ここでまた、例えば、1つの突き出たグレージング部材と1つの凹んだグレージング部材を互いに交互にすることにより、重複領域において個々のグレージング部材にくぼみを与えることが可能である。
【0019】
アセンブリ部材からのつかみ力又は保持力の作用下で過剰な内部静的曲げ応力を受けないように、重複する個々の又は積層されたグレージング部材間の如何なる溝又は中間スペースも、適切な(好ましくは透明の)材料で常に満たされなければならないことは言うまでもない。
【0020】
積層グレージング部材の相互に重複する領域の穴に鉄製部材が用いられる場合には、積層グレージング部材は、最適な場合において表面と同一平面に挿入することができるか、又はグレージング部材の外面よりもわずかだけ上に突き出ていることができる。もう一方で、既に示したとおり、明らかに目に見えて外側に配置されたラグ又はレールは、視覚的に透明な「ピュアグレージング」効果が得られるように、本発明による解決策によって完全に取り除くことができる。
【0021】
組み立てられるべき積層グレージング部材における穴の間の位置合わせの補正は、本発明によれば、たとえ積層グレージング部材が重複する積層グレージング部材の部分の要素であるとしても、2つの個々のグレージング部材、各積層グレージング部材の1つに限定することができる。1つの有利な実施態様によれば、これは、重複領域において積層グレージング部材を貫通するアセンブリ部材が第1の個々のグレージング部材における穴の軸に集中されるという点で得られる。他の積層グレージング部材に属する第2の個々のグレージング部材の穴の中心との如何なる相違も、適切な手段で補正される(例えば、欧州特許第506522号明細書による偏心リング)。この例においては、外部荷重が確実にかつ2つのグレージング部材間にダメージを与えることなく伝えられるように、種々の積層グレージング部材に属する少なくとも2つの穴の壁に関してアセンブリ部材を半径方向にプレスすることが重要である。
【0022】
本発明の主題の他の詳細及び利点は、例示的な実施態様の図面及び以下の詳細な説明を通して明らかになろう。
【0023】
これらの単純化した図面は、特定の縮尺で描かれてはいない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
図1は、それぞれ4つの硬質グレージング部材1.1、1.2、1.3、1.4及び2.1、2.2、2.3、2.4からなり、直線的なリムを介して互いに縁と縁が接触している2つの積層グレージング部材1及び2の一部を示している。個々のグレージング部材、1.1〜1.4及び2.1〜2.4は、中間の熱可塑性接着膜(PVB)により従来の方法において表面で恒久的に互いに組み立てられている。以下の説明については、個々のグレージング部材はガラスから作られているものとみなされる。しかしながら、ガラス−プラスチック複合体又は全体的にプラスチックから作られる積層グレージング部材に関する本明細書で記載されるアセンブリデバイスの適用を除外するものではない。
【0025】
個々のガラスグレージング部材は、通常のフロートガラスからなることができ、圧縮応力を加えてもよいし又は部分的に圧縮応力を加えてもよい。
【0026】
個々のグレージング部材1.1、1.2、2.1及び2.2がそれぞれ関連する個々のグレージング部材1.3、1.4、2.3及び2.4の縁を越えて延びていることを、積層グレージング部材の上部リムにおいて見ることができる。既に記載した縁と縁を合わせたリムは、外側のリム上で1K及び2K(同時にグレージング部材1.1、1.2、2.1及び2.2の横面)として特定され、凹んだ互い違いのリムに関する1K’及び2K’(グレージング部材1.3、1.4、2.3及び2.4の横面)として特定される。組み立て後の外面において大きな隙間がないように、2つの積層グレージング部材のそれぞれの部分的な突起寸法を厳密に等しくすることが特に好ましい。
【0027】
これらの縁と縁を合わせたリムにより、それらの間で重複領域3が画定される。本明細書では、グレージング部材1.2と2.2の一部の面が互いに対面している。重複領域3では、隙間4がグレージング部材1.2と2.2の間に形成される。グレージング部材1.2及び2.2を、それぞれの隣接するグレージング部材1.3及び2.3と組み立てる結合層と同じ厚さを有するべきである中間層(図2参照)がこの隙間4に挿入される。一方で、これにより、積層グレージング1及び2の2つの外面が互いに平行に配向されると、それらは確実に互いに滑らかな配置構造となる。もう一方で、2つの個々のガラスグレージング部材の互いに対面する面は互いに直接的には適用されない。加えて、比較的軟質の中間層では、2つの積層グレージング部材の平行な長手方向の配列に関する小さな差異及び外側から作用する圧力及び回転モーメントのため限定的に動的変形が許容される。
【0028】
中間層が高粘着性の接着剤の形態であれば、隙間4における上記の中間層は、原則として2つの積層グレージング部材を互いに表面で結合させて組み立てることができるが、本発明の1つの有利な実施態様によれば、少なくとも1つのアセンブリ部材又はその部材のすべてが重複領域3の両側に符号5で図1に与えられる複数の部品からなる機械的な保持部材を、重複領域3に備えることもできる。部材の個々の符号は、図2の記載中に導入される。
【0029】
当然ながら、荷重状態が必要な場合及び重複領域の構成空間又は表面が十分に大きくなるよう設計されている場合には、必要に応じて、複数のアセンブリ部材を重複領域に設けることができる。
【0030】
この目的のため、個々のグレージング部材1.1、1.2、2.2及び2.1のすべてが重複領域において横切られる。それらの少なくともほぼ軸方向に整列された穴は、互いに重複領域の中央に配置された貫通孔6を可能とするが、個々の穴の製造公差(位置/大きさの相違)のためにずれた壁を有する場合がある。序論で言及した従来技術において既に記載されたように、この問題は、このようなアセンブリ構造によって起こる場合がある。なぜなら、個々のグレージング部材が穴を開けられるときに及び組み立てプロセスの際に、上下の正確な軸方向の位置に少なからぬ費用で穴が開けられるからである。しかしながら、調整部品がそれらを満たすために保持できるように、いずれにしても穴自体の公称直径は十分に優れた正確さで再生できる。
【0031】
次に、図2の断面図を用いて、アセンブリ部材5の部品(既に組み立てられた)及びその機能を詳細に説明する。図1のものと同一の部品は同じ符号で同様に与えられる。観察者は図1を見下ろしており、断面は貫通孔6の軸方向の水平面を横切っている。リム1K及び2Kのほかに見ることができるのは、2つの積層グレージング部材1及び2の(ブレース3の広がりにわたって)互いに重なる部分のみである。また、グレージング部材1.2と2.2の間の隙間4に配置された先に記載した中間層7を確認することができる。
【0032】
このアセンブリ部材の中央の部品は、その長さが積層グレージング部材1及び2の合計厚さに実質的に対応するが、その外径が貫通孔6の直径よりも著しく小さい金属又は丈夫なプラスチックから作られたスリーブ8である。外面的にジグザグの円筒形スリーブ8は、連続的な内部のねじ山を備えている(プラスチックのスリーブは、ねじを切った金属インサートを備えている)。ボルト9及び12が両側からねじ込まれ、六角ボルトの形に作られたこれらボルトのそれぞれが、外側から穴6を覆うエンドワッシャーそれぞれ10及び13を介して挿入される。エンドワッシャー10と13の間に、それらによって覆われた環状ガラス表面、プラスチックのシム11及び14が挿入され、ワッシャー(金属)10及び13、リム及びガラス面の間の直接的な接触を防いでいる。
【0033】
本明細書で示されるように、エンドワッシャーはそれらが関係する外面上に大きな軸受台を有することが最大荷重条件のために確かに有利である。したがって、同時に、個々のグレージング部材の穴の中央の相対的な相違に対する外表面の横方向のスライド補正が可能である。
【0034】
しかしながら、裁頭円錐形(frustoconical)の外形を有するエンドワッシャーを作製し、外側のグレージング部材1.1と2.1の対応する円錐形の穴に少なくとも部分的にそれらを押し込むことも考慮することができる。これにより、図とは異なり、アセンブリ部材5の領域においてさえ完全に又はほぼ滑らかな表面が得られる。必要に応じて、これは接着剤層の形に製造された中間層7によって強化することができる。しかしながら、この構成は、外側のグレージング部材における少なくとも2つの穴が優れた正確さで以って軸方向に配置できる場合にのみ意図的に達成することができる。
【0035】
アセンブリ部材5は、力を壁の方に移行させるための調整部材によって貫通孔6の壁に半径方向に押し付けられる。示される構成においては、調整部材は、内径がスリーブ8の外径に適合し、外径が個々のグレージング部材1.2の穴の内径に適合する好ましくはプラスチック製の心出しリング15からなる。心出しリング15は、スリーブ8の環状段部の上に配置される。スリーブ8の長手方向におけるエンドワッシャー10からの距離は、エンドワッシャー10、そのプラスチックのシム11がそれぞれガラスグレージング部材の外面に適用されるとすぐに、心出しリング15がスリーブ8の挿入後に個々のグレージング部材1.2の穴にできる限り正確に配置されるような寸法にされる。
【0036】
心出しリング15により、貫通孔6におけるアセンブリ部材5の中心が決定され、次いで、外面における穴の中心に対するエンドワッシャー10及び14の位置も決定される。個々のグレージング部材1.2における穴の軸に対する個々のグレージング部材2.2にける穴の軸の位置の如何なる差も補正するため、スリーブは、同様の状況(欧州特許第506522号明細書)において本質的に公知の2つの偏心リング16.1及び16.2の組み合わせによって個々のグレージング部材1.2において半径方向に保持され、この偏心リングは、軸方向において心出しリング15に直接適用することができる。内部偏心リング16.1の内径はスリーブ8の外径に等しく、外部偏心リング16.2の外径は個々のグレージング部材2.2の穴の内径に等しい。同様に、偏心リング16.1及び16.2は、心出しリング15と同様に、好ましくは高強度、耐老化性プラスチックから作られる。
【0037】
(破線で描かれる)異なるサイズの2つの穴17及び18が、エンドワッシャー10及び13においてそれぞれ設けられているのを見ることができる。それぞれの場合に、より大きな穴17は、穴のほうへの矢印によって示されるように、アセンブリ部材5が設置された後に穴に残っている中空スペースに充填剤の塊を挿入するのに用いられ、一方で、より小さなそれぞれの穴18は、排出空気を逃がす(外側への矢印)だけでなく、充填剤の塊が中空スペースに完全に充填されるか又はいずれにせよ可能な限り多く充填された後の充填剤の塊の調節出口として作用することができる。
【0038】
アセンブリ部材を設置するために、スリーブ8とエンドワッシャー10及びシム11を備え、ボルト9によって単一ユニットにグループ化される。部品の数を減らすために、スリーブは、エンドワッシャー10と単一の部品に結合することもできる(その場合、必要に応じてボルト9なしでもよい)。心出しリング15は、段部のところまでスリーブ8に係合し、その場所で保持される。係合した心出しリング15を有するユニットは、積層グレージング部材1の外面を通って穴に挿入される。グレージング部材1.2の穴の内径への正確な適合によって、心出しリング15は穴の中心に正確に配置される。心出しリング15は、穴のこの壁に作用する力を受け、それを伝えることができる。軽く締め付けられる調整又は心出しリング外周の接着剤コーティングにより設置を保持することができ、一方で、あらかじめ組み立てられたユニットから心出しリングが落ちるのを防ぐ。
【0039】
積層グレージング部材2が積層グレージング部材1に重複領域3において設置される前に、透明の中間層7が挿入される。それは貫通孔のサイズに適合する凹みを有する。
【0040】
内部偏心リング16.1は、それが心出しリング15に押し込まれるまでスリーブ8上の任意の位置にある。積層グレージング部材2が設置された後、外部偏心リング16.2が示される位置に挿入され、一方で、外部偏心リング16.2は内部偏心リング16.1を取り囲み、もう一方で、個々のグレージング部材2.2の穴の側面を外面的に押し付ける。穴の中心の差を補正するために、2つの偏心リング16.1及び16.2は、互いに対して回転することができる。全体的に、これは公差の補正に加えて個々のグレージング部材2.2の穴の位置の固定を与える。積層グレージング部材1及び2の2つの内側の個々のグレージング部材1.2及び2.2のみが、心出し及び貫通孔の壁における荷重の伝達に関係するのを見ることができる。
【0041】
この図とは異なり、外側の個々のグレージング部材1.1及び2.1における穴によって同等の心出しを提供することも可能である。各積層グレージング部材の個々のグレージング部材は、接着剤層によってせん断抵抗性に互いに組み立てられるので、本明細書で示されるように、2つのグレージング部材の1つのみの(半径方向の)荷重伝達は、要件を完全に満足する。
【0042】
積層グレージング部材1及び2の最終的な堅いアセンブリのために、次に、ねじ12がエンドワッシャー13及び中間層14とともにスリーブ8にねじ込まれ、穴6が閉じられる。ねじ12を締め付けるために与えられる締め付けトルクの正確な推定値に関係なく、スリーブ8の軸方向の長さは重複領域3の合計厚さに適合し、積層グレージング部材に対するダメージを防ぐことができるように、ねじを締め付け過ぎること及び外面のエンドワッシャーを平らにし過ぎることに対する安全な停止をスリーブが形成するようにする。
【0043】
貫通孔6の残りの中空スペースは、適切な充填剤の塊で満たされる(多成分のセメントモルタル、成形用樹脂など)。この例では、充填剤の塊は、より小さな出口オリフィス18から出るまでエンドワッシャー10及び14に設けられたより大きな穴17を介して圧力下で注入される。充填剤の塊が硬化した後、穴の壁における力の均一な適用又は伝達が保証される。同時に、アセンブリ部材5は貫通孔6において完全に覆われる。中間の(透明な)層7は、重複領域におけるグレージング部材1.2と2.2の間の隙間に充填剤の塊が浸透するのを防ぐ。
【0044】
このタイプの複数の穴6と複数のアセンブリ部材5は、直面する応力が必要とする場合には、1つの及び同じ重複領域3に設けてもよいことが思い出されるであろう。完全にガラス張りの表面を強化するのに提供されるガラスのストリンガー又はストリップの設置のためのアセンブリデバイスの好ましい適用においては、少なくとも2つの一連の積層グレージング部材(2つ、3つ又はそれ以上でさえある組み立てられた個々のグレージング部材からなることができる)からなる(梁のように長くかつ細い)構造モジュールは、長手方向のリムによって表面の面上に設置されるか又はそれに組み立てられる。
【0045】
したがって、積層グレージング部材の外面は、骨格に固定された複数のガラスグレージング部材からなる表面の面に対して傾いており、一方で、表面の面の平面に配置されている。外部の力(例えば、風の力のもとでの表面の曲げ)は、結果として、適切な場合には両側に配置された複数のアセンブリデバイスによってより適合しかつ伝達される横の曲げ力をモジュールに導入する。この例における主な荷重は、重複領域に設けられたアセンブリ部材に関するせん断と同様に作用する。この例では、重複領域は多角形の辺又は角に設けることができる。
【0046】
積層グレージング部材から作られるそれぞれの個々の梁は、半製品の通常の最大長さを考慮して約6mの最大長さを有する。結果として、表面が、例えば、複数の床を越えて及ぶ場合に、モジュールが本発明によるアセンブリデバイスを有する複数の縁と縁を合わせたアセンブリにも及ぶことは言うまでもない。
【0047】
積層グレージング部材の延長方向における重複領域の合計長さは、ちょうど積層グレージング部材自体の幅と同様に、問題の荷重により、適切な場合には、重複領域ごとに配置される貫通孔及びアセンブリ部材の数によって寸法が決まる。例えば、この重複領域は2mに及ぶことができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明によるアセンブリデバイスによって組み立てられるべき2つの積層グレージング部材の重複領域の斜視図と、対応するアセンブリ部材の分解図である。
【図2】図1によるアセンブリデバイスの重複領域における断面図を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれが硬質の複数の個々のグレージング部材(1.1〜1.4、2.1〜2.4)からなり、かつ結合層によって互いに表面で組み立てられ、互いに延長方向に延びて、グレージング部材の面上の垂直な突起における隣接する縁領域において部分的に重なり合い、縁側でこの限定的な重複領域(3)において互いに組み立てられる少なくとも2つの積層グレージング部材(1、2)のためのアセンブリデバイスであって、硬質グレージング部材の一部のみ、各積層グレージング部材(1、2)の少なくとも1つの個々のグレージング部材(1.1、1.2、2.1、2.2)が重複領域(3)に及ぶことを特徴とする、アセンブリデバイス。
【請求項2】
重複領域(3)に及ぶ個々のグレージング部材(1.1、1.2、2.1、2.2)の厚さと、必要に応じて少なくとも1つの中間層(7)の厚さとによって規定される重複領域(3)の厚さが、全体で個々の積層グレージング部材(1、2)の厚さを超えないことを特徴とする、請求項1に記載のアセンブリデバイス。
【請求項3】
各積層グレージング部材(1、2)が、重複領域(3)において隣接する縁と縁を合わせたリム(1K、1K’、2K、2K’)を有し、延長方向において互いを埋め合わせることを特徴とする、請求項1又は2に記載のアセンブリデバイス。
【請求項4】
各積層グレージング部材(1、2)が、1つの突き出たリム(1K、2K)を有する突き出た少なくとも1つの個々のグレージング部材と、1つの凹んだリム(1K’、2K’)を有する少なくとも1つの個々のグレージング部材とを縁領域において含むことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のアセンブリデバイス。
【請求項5】
1つの突き出たリム(1K、2K)及び/又は1つの凹んだリム(1K’、2K’)が、表面で互いに組み立てられた複数の個々のグレージング部材(1.1、1.2;2.1、2.2;1.3、1.4;2.3、2.4)に共通して属していることを特徴とする、請求項4に記載のアセンブリデバイス。
【請求項6】
延長方向において見た場合に、第2の積層グレージング部材の突き出たリム(1K、2K)が、第1の積層グレージング部材の凹んだリム(1K’、2K’)に常に続くことを特徴とする、請求項4又は5に記載のアセンブリデバイス。
【請求項7】
互いに対する2つのリムのオフセット(1K、1K’;2K、2K’)が、積層グレージング部材(1、2)の縁側で互い違いの構造を形成することを特徴とする、請求項4、5又は6に記載のアセンブリデバイス。
【請求項8】
一方の積層グレージング部材上に、その間に配置された少なくとも2つの突き出たリムと少なくとも1つの凹んだリムが設けられ、もう一方の積層グレージング部材上に、少なくとも1つの突き出たリムと少なくとも2つの凹んだリムが設けられ、これらの積層グレージング部材が少なくとも3つの個々のグレージング部材を含むことを特徴とする、請求項4、5又は6に記載のアセンブリデバイス。
【請求項9】
重複領域(3)において、一連の積層グレージング部材(1、2)を結合する少なくとも1つの機械的なアセンブリ部材(5)が設けられたことを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載のアセンブリデバイス。
【請求項10】
重複領域(3)において、1つの中間結合層が2つの一連の積層グレージング部材の面間に設けられたことを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載のアセンブリデバイス。
【請求項11】
積層グレージング部材(1、2)の重複領域(3)において、積層グレージング部材(1、2)を貫通する少なくとも1つの貫通孔(6)が、機械的なアセンブリ部材(5)の挿入及び/又は固定のために設けられたことを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項に記載のアセンブリデバイス。
【請求項12】
アセンブリ部材(5)が、貫通孔において積層グレージング部材を貫通するその長手方向の軸を心出しするための手段を含むことを特徴とする、請求項11に記載のアセンブリデバイス。
【請求項13】
アセンブリ部材(5)が、第1の積層グレージング部材(1)の第1の個々のグレージング部材(1.2)の穴の軸に固定して中心に配置され、それが、軸の外側の別の積層グレージング部材(2)に属する第2の個々のグレージング部材(2.2)の穴の偏心配置を補正する手段(偏心リング16.1、16.2)を含むことを特徴とする、請求項12に記載のアセンブリデバイス。
【請求項14】
アセンブリ部材が、貫通孔(6)に挿入できる少なくとも1つの棒又は1つのスリーブ(8)と、正確な調整において棒又はスリーブを取り囲み、個々のグレージング部材の穴において調整できる1つの心出しリング(15)と、少なくとも1つの偏心リング、好ましくは互いに対して回転することができる2つの偏心リング(16.1、16.2)であって、一方で、正確な調整において棒又はスリーブを取り囲み、もう一方で、別の個々のグレージング部材の穴において調整できる2つの偏心リング(16.1、16.2)とを含むことを特徴とする、請求項13に記載のアセンブリデバイス。
【請求項15】
アセンブリ部材(5)が、外側に貫通孔を覆うためのエンドワッシャー(10、13)を含むことを特徴とする、請求項11〜14のいずれか1項に記載のアセンブリデバイス。
【請求項16】
エンドワッシャー(10、13)が棒又はスリーブ(8)とともに、締め付けることができ、特にはねじ込むことができ、デバイスにおいて、棒又はスリーブ(8)が2つのエンドワッシャーの締め付け又はねじ込み後に貫通孔の軸方向において固定されることを特徴とする、請求項14又は15に記載のアセンブリデバイス。
【請求項17】
エンドワッシャー(10、13)が、貫通孔(6)の出口の周りの積層グレージング部材(1、2)の外面で、好ましくは中間のシム(11、14)とともに平らに適用されることを特徴とする、請求項15又は16に記載のアセンブリデバイス。
【請求項18】
貫通孔(6)においてアセンブリ部材(5)を挿入及び/又は設置した後、残りの中空スペースが充填剤の塊で満たされることを特徴とする、請求項11〜17のいずれか1項に記載のアセンブリデバイス。
【請求項19】
エンドワッシャー(10、13)が、充填剤の塊を挿入するためのオリフィス(17)を含むことを特徴とする、請求項18又は請求項15〜17のいずれか1項に記載のアセンブリデバイス。
【請求項20】
エンドワッシャーがまた、挿入した充填剤の塊によって置換される空気を排出するためのオリフィス(18)を含むことを特徴とする、請求項19に記載のアセンブリデバイス。
【請求項21】
重複領域に及ぶ少なくとも個々のグレージング部材が、部分的に圧縮応力を加えるか又は圧縮応力を加えたガラスから作られることを特徴とする、請求項1〜20のいずれか1項に記載のアセンブリデバイス。
【請求項22】
請求項1〜21のいずれか1項に記載の1つ又は複数のアセンブリ部材によって互いに組み立てられた少なくとも2つの積層グレージング部材からなる、構造モジュール、特にはガラス張りの表面のための強化部材(ガラスストリンガー)。
【請求項23】
骨格に取り付けられた複数のガラスグレージング部材からなり、一方で平面に配置され、請求項22に記載の少なくとも1つの構造モジュールによる作用力に対してこの平面に関して横方向に強化される、表面。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2007−519597(P2007−519597A)
【公表日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−550258(P2006−550258)
【出願日】平成17年1月25日(2005.1.25)
【国際出願番号】PCT/FR2005/050042
【国際公開番号】WO2005/075780
【国際公開日】平成17年8月18日(2005.8.18)
【出願人】(500374146)サン−ゴバン グラス フランス (388)
【Fターム(参考)】