説明

積層コンデンサ、回路基板、回路モジュール及び積層コンデンサの製造方法

【課題】焼成時における反りが発生しても、確実に外部電極の高さのばらつきを抑制できる積層コンデンサ、回路基板、回路モジュール及び積層コンデンサの製造方法を提供すること。
【解決手段】セラミック層が積層された積層体の内部にコンデンサを含む積層コンデンサ。第1及び第2のビア導体7,8の上面18aからのビア突出高さをP、上面18aの表面粗さをRa、積層体18の反り量をWとしたとき、P≧RaかつP≧Wの関係が成立する。更に、第1及び第2のビア導体7,8の上面18aから突出した部分のそれぞれは、第1及び第2の外部電極12,13に埋設される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は積層コンデンサ、より特定的には、セラミック層と該セラミック層を介して対向する少なくとも一対の内部電極を備える積層コンデンサ、回路基板、回路モジュール及び積層コンデンサの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電源回路においては、電源ラインの電圧変動が大きくなると、電源ラインやグランドに存在するインピーダンスにより、駆動する回路の動作が不安定になったり、電源回路を経由して回路間の干渉が生じたり、発振が生じたりする。そこで、通常、電源ラインとグランドとの間には、デカップリングコンデンサが接続される。デカップリングコンデンサは、電源ラインとグランド間の交流的なインピーダンスを低減し、電源電圧の変動や回路間の干渉を抑える役割を果たす。
【0003】
ところで、近年、携帯電話などの通信機器やパーソナルコンピュータなどの情報処理機器では、大量の情報を処理するために信号の高速化が進んでおり、それに伴って、使用される半導体集積回路(以下、ICと称す)のクロック周波数も高周波化が進んでいる。このため、高調波成分を多く含むノイズが発生しやすくなり、IC電源回路において、より強力なデカップリングを施す必要がある。
【0004】
デカップリング効果を高めるためには、インピーダンス周波数特性の優れたデカップリングコンデンサを用いることが有効である。このようなデカップリングコンデンサとしては、積層セラミックコンデンサが挙げられる。積層セラミックコンデンサは、ESL(等価直列インダクタンス)が小さいため、電解コンデンサに比べて広い周波数帯域にわたって高いノイズ吸収効果を発揮する。
【0005】
ESLを低減することができる積層コンデンサとして図12に示すものが知られている。具体的には、図12に示すように、複数のセラミック層が積層されて構成される積層体202と、前記セラミック層を介して互いに対向する少なくとも一対の第1の内部電極203及び第2の内部電極204と、上面に形成される第1及び第2の外部電極205,206と、下面に形成される第3及び第4の外部電極207,208と、前記第1の外部電極205と前記第1の内部電極203と前記第3の外部電極207とを電気的に接続する第1のビア導体209と、前記第2の外部電極206と前記第2の内部電極204と前記第4の外部電極208とを電気的に接続する第2のビア導体210と、を備える積層コンデンサ201が知られている。
【0006】
積層コンデンサ201では、極性が異なる第1のビア導体209と第2のビア導体210とが交互に配置されるので、第1のビア導体209の周りに発生する磁界と第2のビア導体210の周りに発生する磁界とが相殺される。これにより、ESLが低減される。更に、第1〜第4の外部電極205〜208が、積層体202の上面及び下面に形成されているので、ICと実装基板との間に実装しやすく、積層コンデンサ201とICとの距離を近づけることが可能である。そのため、積層コンデンサ201では、より大きなデカップリング効果を得ることができる。
【0007】
ところで、近年、電子部品の小型化が進んでおり、図12に示すような積層コンデンサ201においてもその厚みを低減することが要求されている。これは、前記の通り、ICと実装基板との隙間や、該実装基板の内部に積層コンデンサ201を実装する必要があるからである。
【0008】
また、ICと積層コンデンサ201とはピンにより接続される。そのため、積層コンデンサ201の第1及び第2の外部電極205,206とICのピンとが接続可能な位置関係になければならない。そのため、積層コンデンサ201の主面方向の寸法は、ICの主面方向における寸法に依存する。以上の理由により、積層コンデンサ201は、薄い板状の形状を有するようになっている。
【0009】
しかしながら、薄い板状の積層コンデンサ201は、焼成時において反りやすいという問題を有する。焼成時における反りが発生すると、第1〜第4の外部電極205〜208が同一平面上に並ばなくなってしまい、積層コンデンサ201とIC及び実装基板との距離が大きくばらついてしまう。その結果、積層コンデンサ201とIC及び実装基板との電気的な接続が不完全になるという問題がある。
【0010】
前記問題に対して、特許文献1では、外部電極の高さをセラミック積層体の反り量よりも大きくする積層電子部品が提案されている。具体的には、外部電極用導電性ペーストを二度塗りし、かつ、上段部の印刷面積を小さくすることにより、外部電極の高さを高くしている。
【0011】
しかしながら、導電性ペーストを二度塗りすることは、工程が増えるため好ましくない。また、外部電極の上段と下段とで印刷面積を異ならせることは、スクリーン印刷の印刷版を2種類準備する必要があるため好ましくない。また、特許文献1に記載の積層電子部品のように、外部電極の高さを高くしたとしても、焼成時に反りが発生すると、外部電極の高さのばらつきは発生してしまう。
【0012】
なお、前記特許文献1以外の特許文献としては、特許文献2〜5に示すものがある。特許文献2には、ビア導体の少なくとも突出部端面にはメッキ金属層が被着されており、かつ該メッキ金属層表面の絶縁基体の上面からの高さが10〜50μmであることを特徴とする配線基板が開示されている。また、特許文献3には、積層体の両主面に現れる第1及び第2のビアホール導体の端部は、積層体の主面から突出するとともに、積層体の主面から突出する第1及び第2のビアホール導体の一方端部は、酸化被膜により被膜されていることを特徴とする積層コンデンサが開示されている。また、特許文献4には、ビア導体のうち、積層部における最上層の絶縁層及び最下層の絶縁層の少なくとも一方を貫通するビア導体は、かかる絶縁層の表面上に突出する突出部を一体に有している、ことを特徴とする積層電子部品が開示されている。特許文献5には、第1の内部電極層に電気的に接続され、誘電体層の積層方向に沿って設けられた第1のビア導体の一部を、積層方向にほぼ垂直な2つの最外面のうち少なくとも一方の最外面上に突出させることにより、第1のビア導体とほぼ同一の外径を有するように形成された第1の端子電極と、第1の端子電極よりも大きな外径で第1の端子電極を覆うように形成され、第1の端子電極に電気的に接続された第1の導体パッドを有する第1の実装端子と、第2の内部電極層に電気的に接続され、積層方向に沿って設けられた第2のビア導体の一部を最外面上に突出させることにより、第2のビア導体とほぼ同一の外径を有するように形成された第2の端子電極と、第2の端子電極よりも大きな外径で第2の端子電極を覆うように形成され、第2の端子電極に電気的に接続された第2の導体パッドとを有する第2の実装端子とを備える積層コンデンサが開示されている。
【特許文献1】特開2006−032747号公報
【特許文献2】特開平11−111766号公報
【特許文献3】特開2003−318064号公報
【特許文献4】特開2003−318065号公報
【特許文献5】特開2004−153040号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
そこで、本発明の目的は、焼成時における反りが発生しても、確実に外部電極の高さのばらつきを抑制できる積層コンデンサ、回路基板、回路モジュール及び積層コンデンサの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、積層コンデンサに関し、複数のセラミック層が積層されて構成され、第1の面及び該第1の面に対向する第2の面を有する積層体と、前記セラミック層を介して互いに対向する少なくとも一対の第1の内部電極及び第2の内部電極と、前記第1の面に形成された第1及び第2の外部電極と、前記第2の面に形成された第3及び第4の外部電極と、前記第1の外部電極と前記第1の内部電極と前記第3の外部電極とを電気的に接続し、前記第1の面と前記第2の面との間を貫通するように形成されたビア導体であって、前記第1の面側の端部が該第1の面から突出している第1のビア導体と、前記第2の外部電極と前記第2の内部電極と前記第4の外部電極とを電気的に接続し、前記第1の面と前記第2の面との間を貫通するように形成されたビア導体であって、前記第1の面側の端部が該第1の面から突出している第2のビア導体と、を備え、前記第1及び第2のビア導体の前記第1の面からの平均突出高さをP、前記第1の面の表面粗さをRa、前記積層体の反り量をWとしたとき、P≧RaかつP≧Wの関係が成立し、前記第1及び第2のビア導体の前記第1の面から突出した部分のそれぞれは、前記第1及び第2の外部電極に埋設されること、を特徴とする。
【0015】
以上のような構成を有する積層コンデンサによれば、焼成時における反りが発生しても、第1の外部電極及び第2の外部電極の積層方向の高さのばらつきを抑制できると共に、第1の外部電極及び第2の外部電極をかすれさせることなく形成でき、第1の外部電極及び第2の外部電極と積層体の第1の面との固着強度を向上させることができる。
【0016】
本発明では、前記平均突出高さPは2〜15μmであることが好ましい。
【0017】
平均突出高さが2μmよりも低い場合には第1のビア導体及び第2のビア導体と第1の外部電極及び第2の外部電極との間に接続不良が発生するおそれがあり、平均突出高さが15μmよりも高い場合には第1の外部電極及び第2の外部電極のパターンが印刷時にかすれるおそれがある。そこで、前記のように平均突出高さPを2〜15μmとすることにより、接続不良と印刷のかすれを防止している。
【0018】
本発明では、前記表面粗さRaは2μm以下であることが好ましい。
【0019】
表面粗さRaが2μmを超えると、積層体の第1の面と第1の外部電極及び第2の外部電極との固着強度が低下するおそれがある。そこで、前記のように表面粗さRaを2μm以下とすることにより、積層体の第1の面と第1の外部電極及び第2の外部電極との固着強度の強化を図っている。
【0020】
本発明では、前記積層体の反り量Wは10μm以下であることが好ましい。
【0021】
反り量Wが10μmを超えると、第1の外部電極及び第2の外部電極の積層方向の位置がばらついてしまう。そこで、反り量Wを10μm以下にして、第1の外部電極及び第2の外部電極の積層方向の位置のばらつきを抑制し、第1の外部電極及び第2の外部電極とICとの接続不良を抑制している。
【0022】
本発明は、以下に示す回路基板に適用することが可能である。具体的には、回路基板において、絶縁性材料により形成された基板本体と、前記基板本体の表面に形成された複数の入出力端子と、前記入出力端子に電気的に接続された複数の配線と、前記積層コンデンサと、を備え、前記複数の配線と前記第3及び第4の外部電極とが電気的に接続された状態で前記積層コンデンサが前記基板本体に実装されている。また、該回路基板は、以下に示す回路モジュールにも適用可能である。具体的には、回路モジュールにおいて、前記回路基板と、前記回路基板に実装された半導体集積回路と、を備え、前記積層コンデンサと前記半導体集積回路とは、前記第1及び第2の外部電極を介して電気的に接続されている。
【0023】
本発明に係る積層コンデンサは、以下の製造方法により作製可能である。具体的には、積層コンデンサの製造方法において、複数のセラミック層が積層されて構成される積層体と、前記積層体内に含まれるコンデンサを構成する複数の内部電極と、前記積層体の主面に形成される外部電極と、前記外部電極と前記内部電極とを電気的に接続するビア導体と、を備える積層コンデンサの製造方法であって、焼成された前記積層体を形成する第1の工程と、焼成された前記積層体の主面をラップ研磨により平坦化する第2の工程と、平坦化された前記主面に前記複数の外部電極を形成する第3の工程と、を備えることを特徴とする。
【0024】
以上のような積層コンデンサの製造方法によれば、積層体の焼成後であってかつ外部電極が形成される前に、積層体の主面が平坦化される。そのため、焼成時に積層体が反ったとしても、平坦化処理により外部電極の高さのばらつきを抑制することができる。
【0025】
前記製造方法では、前記第2の工程において、ラップ研磨により、前記ビア導体の端部を前記主面より突出させることが好ましい。
【0026】
以上のようにビア導体の端部が主面より突出していることにより、外部電極とビア導体とが確実に電気的に接続されるようになる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、第1及び第2のビア導体の第1の面からの平均突出高さをP、第1の面の表面粗さをRa、積層体の反り量をWとしたとき、P≧RaかつP≧Wの関係が成立し、第1及び第2のビア導体の第1の面から突出した部分のそれぞれは、第1及び第2の外部電極に埋設されるので、焼成時における反りが発生しても、第1の外部電極及び第2の外部電極の積層方向の高さのばらつきを抑制できると共に、第1の外部電極及び第2の外部電極がかすれることなく形成でき、第1の外部電極及び第2の外部電極と積層体の第1の面との固着強度を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下に本発明の実施形態に係る積層コンデンサ、回路基板、回路モジュール及び積層コンデンサの製造方法について図面を参照しながら説明する。なお、以下に説明する第1乃至第3の実施形態の各図において、同じ部材、部分については共通する符号を付し、重複する説明を省略する。
【0029】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る積層コンデンサ1の分解斜視図である。図2は、積層コンデンサ1の断面構造図である。積層コンデンサ1は、図1に示すように、第1のセラミック層2、第2のセラミック層3及び第3のセラミック層4を備える。第1のセラミック層2と第2のセラミック層3とは交互に積層される。第3のセラミック層4は、第1のセラミック層2及び第2のセラミック層3が交互に積層されたものを、積層方向の上下方向から挟むように積層される。第1のセラミック層2、第2のセラミック層3及び第3のセラミック層4により図2に示す積層体18が構成される。そして、図2に示すように、積層体18の上面18aには第1の外部電極12及び第2の外部電極13が形成され、下面18bには第3の外部電極14及び第4の外部電極15が形成される。
【0030】
第1のセラミック層2、第2のセラミック層3及び第3のセラミック層4は、BaTiO3,CaTiO3,SrTiO3,CaZrO3などを主成分とする誘電体セラミック層である。また、これらを主成分とするものに、Mn化合物、Fe化合物、Cr化合物、Co化合物、Ni化合物などが副成分として添加されていてもよい。第1のセラミック層2、第2のセラミック層3及び第3のセラミック層4の焼成後の厚みは、2.0〜5.0μmであることが好ましい。
【0031】
第1のセラミック層2の主面には、第1の内部電極5が形成され、第1のビア導体7及び第2のビア導体8が第1のセラミック層2を積層方向に貫通するように形成される。第2のセラミック層3の主面には、第2の内部電極6が形成され、第1のビア導体7及び第2のビア導体8が第2のセラミック層3を積層方向に貫通するように形成される。第3のセラミック層4を積層方向に貫通するように、第1のビア導体7及び第2のビア導体8が形成され、第3のセラミック層4の主面には第1の内部電極5及び第2の内部電極6は形成されない。
【0032】
第1の内部電極5及び第2の内部電極6は、Ni,Cu,Ag,Pd,Ag−Pd合金,Auなどの金属により形成され、コンデンサの電極を構成する。具体的には、第1のセラミック層2又は第2のセラミック層3を介して第1の内部電極5と第2の内部電極6とが対向することにより、一つのコンデンサが構成される。第1の内部電極5及び第2の内部電極6の焼成後の厚みは、0.8〜1.2μmであることが好ましい。
【0033】
第1のビア導体7は、図2に示すように、Ni,Cu,Ag,Pd,Ag−Pd合金,Auなどの金属にセラミックが混合された材料により上面18aと下面18bとの間を貫通するように形成され、第1の外部電極12、第1の内部電極5及び第3の外部電極14を電気的に接続する。第2のビア導体8は、図2に示すように、Ni,Cu,Ag,Pd,Ag−Pd合金,Auなどの金属にセラミックが混合された材料により上面18aと下面18bとの間を貫通するように形成され、第2の外部電極13、第2の内部電極6及び第4の外部電極15を電気的に接続する。第1のビア導体7及び第2のビア導体8は、図1に示すように、行列状であってかつ島状に第1のセラミック層2、第2のセラミック層3及び第3のセラミック層4に万遍なく形成される。第1のビア導体7と第2の内部電極6とは絶縁されている。そのため、第2の内部電極6の第1のビア導体7に対応する位置には、円形の欠如部9が形成されている。第2のビア導体8と第1の内部電極5とは絶縁されている。そのため、第1の内部電極5の第2のビア導体8に対応する位置には、円形の欠如部9が形成されている。
【0034】
図3は、第1のビア導体7及び第2のビア導体8の上面18a近傍における断面構造図である。第1のビア導体7及び第2のビア導体8は、上面18aより積層方向の上方向に突出している。第1のビア導体7及び第2のビア導体8の上面18aから突出している部分のそれぞれは、後述する研磨工程により表面の酸化膜が除去されており、第1の外部電極12及び第2の外部電極13に埋設されている。なお、該酸化膜は完全に除去されている必要はない。第1のビア導体7及び第2のビア導体8の上面18aからの平均突出高さ(以下、ビア突出高さPと称す)は、2〜15μmであることが好ましい。これは、ビア突出高さPが2μmよりも低い場合には第1のビア導体7及び第2のビア導体8と第1の外部電極12及び第2の外部電極13との間に接続不良が発生するおそれがあり、ビア突出高さPが15μmよりも高い場合には第1の外部電極12及び第2の外部電極13のパターンが印刷時にかすれるおそれがあるからである。なお、ビア突出高さPの計測法については、後述する。
【0035】
また、第1のビア導体7及び第2のビア導体8の焼成後の径は、50〜150μmであることが好ましい。径が50μm未満の場合には、ペーストの充填が困難となり、各層間での接続が確実に行えないおそれがある。一方、径が150μmを超える場合には、耐湿性が低下するおそれがある。なお、第1及び第2のビア導体7,8がテーパ形状を有する場合には、径は、第1及び第2のビア導体7,8の長さ方向の中間点における径とする。また、第1のビア導体7及び第2のビア導体8の実用的な長さは、焼成後の長さで100〜1000μm程度である。また、第1のビア導体7と第2のビア導体8との間隔は、300〜600μmであることが好ましい。更に、第1のビア導体7及び第2のビア導体8は、合計で36〜729本形成されていることが好ましい。
【0036】
また、第1のビア導体7及び第2のビア導体8は、第1の内部電極5及び第2の内部電極6と同じ金属を主成分とすることが好ましい。これにより、第1のビア導体7及び第2のビア導体8と、第1の内部電極5及び第2の内部電極6との接着性が向上する。本明細書において、「主成分」とは、全成分の50重量%以上を占める成分を意味する。
【0037】
図4は、積層コンデンサ1を積層方向の上側から見た図である。第1の外部電極12は、第1のビア導体7と電気的に接続された状態で、図4に示すように積層体18の上面18aに島状に形成される。同様に、第2の外部電極13は、第2のビア導体8と電気的に接続された状態で、図4に示すように積層体18の上面18aに第1の外部電極12と重ならないように島状に形成される。第1の外部電極12及び第2の外部電極13のそれぞれは、焼結金属からなり、第1のビア導体7及び第2のビア導体8との接触部分が固溶するように形成される。第1の外部電極12及び第2の外部電極13には、Cu,Ni,Ag,Pd,Ag−Pd合金,Auなどの金属が用いられる。ICが積層コンデンサ1上にはんだにより実装される場合には、第1の外部電極12及び第2の外部電極13にはCuが用いられると共に、該Cuの層の上にはNiめっき及びSnめっきが施される。また、ICが積層コンデンサ1上に導電性接着剤により実装される場合には、第1の外部電極12及び第2の外部電極13にはAg,Pd,Ag−Pd合金が用いられる。
【0038】
また、第1の外部電極12及び第2の外部電極13の厚みは、20〜60μmであることが好ましい。更に、第1の外部電極12及び第2の外部電極13の上面18a上における直径は、200μm以上であることが好ましい。これは、第1の外部電極12及び第2の外部電極13のそれぞれが第1のビア導体7及び第2のビア導体8の端部を十分に覆う必要があるからである。また、後述する回路基板の製造において、積層コンデンサ1が樹脂基板に実装されるときに、積層コンデンサ1が樹脂基板に埋め込まれて外からレーザでビアホールが形成される際に、レーザの照射位置がずれて積層体18が損傷されないようにする必要があるからでもある。
【0039】
また、第1の外部電極12及び第2の外部電極13は、図3に示すように、中央部が盛り上がった形となることが好ましい。これは、はんだ付けの際に、溶融したはんだが第1の外部電極12及び第2の外部電極13の周囲に逃げやすくなり、溶融したはんだが隣接したはんだと接触するいわゆるはんだブリッジが発生しにくくなるからである。なお、第1の外部電極12及び第2の外部電極13は、図3に示したものよりもなだらかな丘陵形状であってもよい。
【0040】
積層体18は、焼成後の反り量Wが10μm以下であることが好ましい。これは、10μmを超えると、第1の外部電極12及び第2の外部電極13の積層方向の位置がばらついてしまい、第1の外部電極12及び第2の外部電極13とICとの接続不良が発生するおそれがあるからである。なお、反り量Wの計測方法については後述する。
【0041】
また、積層体18の上面18aの表面粗さRaは、2μm以下であることが好ましい。これは、表面粗さRaが2μmを超えると、積層体18の上面18aと第1の外部電極12及び第2の外部電極13との固着強度が低下するおそれがあるからである。なお、表面粗さRaは、JIS B0601で定める算術平均粗さである。
【0042】
以上のような、ビア突出高さP、上面18aの表面粗さRa、積層体18の反り量Wにおいて、ビア突出高さPを表面粗さRa及び反り量W以上とする必要がある。これにより、積層コンデンサ1において、焼成時における反りが発生しても、第1の外部電極12及び第2の外部電極13の積層方向の高さのばらつきを抑制できると共に、第1の外部電極12及び第2の外部電極13をかすれさせることなく形成でき、第1の外部電極12及び第2の外部電極13と積層体18の上面18aとの固着強度を向上させることができる。
【0043】
また、第1のビア導体7及び第2のビア導体8が積層体18の上面18aから突出し、突出した部分のそれぞれが第1の外部電極12及び第2の外部電極13に埋設されている。そのため、積層コンデンサ1では、第1のビア導体7及び第2のビア導体8と第1の外部電極12及び第2の外部電極13とを確実に電気的に接続できるようになる。更に、積層コンデンサ1では、前記突出した部分が第1の外部電極12及び第2の外部電極13に埋設されるので、特許文献2に記載の配線基板のように周囲の空気により第1のビア導体7及び第2のビア導体8が酸化されてしまうおそれがなくなる。
【0044】
また、ビア突出高さPを2〜15μmとすることにより、第1の外部電極12及び第2の外部電極13をかすれさせることなく形成できると共に、第1のビア導体7及び第2のビア導体8と第1の外部電極12及び第2の外部電極13とを確実に電気的に接続できるようになる。なお、特許文献3及び特許文献4には、ビア導体の突出高さが数十〜数百μmの積層電子部品が開示されているが、このような積層電子部品では、ビア導体の突出高さが高すぎて精度よく外部電極を形成できない。
【0045】
なお、積層コンデンサ1において、下面18bにおける表面粗さRa及びビア突出高さPを、上面18aと同様の条件としてもよい。更に、第3の外部電極14及び第4の外部電極15の形状を、第1の外部電極12及び第2の外部電極13と同様にしてもよい。
【0046】
(積層コンデンサの製造方法)
次に、積層コンデンサ1の製造方法について説明する。まず、セラミックグリーンシート及び導電性ペーストを準備する。準備したセラミックグリーンシートの内、第1のセラミック層2及び第2のセラミック層3に用いるセラミックグリーンシートに対して、導電性ペーストを所定のパターンにスクリーン印刷により印刷する。この所定のパターンは、図1に示すような、島状に欠如部9が形成された矩形状の電極パターンを示す。これにより、第1の内部電極5及び第2の内部電極6のパターンが形成される。
【0047】
次に、第1の内部電極5及び第2の内部電極6のパターンが印刷されたセラミックグリーンシートを、所定枚数積層すると共に、第1の内部電極5及び第2の内部電極6のパターンが印刷されていないセラミックグリーンシートを積層方向の上方向及び下方向に所定枚数積層する。これにより、マザー積層体が作製される。マザー積層体は、必要に応じて、静水圧プレスなどにより積層方向の上下から圧着される。
【0048】
次に、レーザやNCパンチにより、マザー積層体を積層方向に貫通するビアホールを、複数形成する。本実施形態では、図1に示すように、行列状にビアホールを形成する。
【0049】
次に、スクリーン印刷により、ビアホール内部に導電性ペーストを充填して第1のビア導体7及び第2のビア導体8を形成する。この際、ビアホール以外の部分に導電性ペーストが付着しないように、マザー積層体の主面上にマスクを施すことが好ましい。また、導電性ペーストがビアホール内部に入り込みやすくするために、導電性ペーストを充填する口の反対側の口から吸引することが好ましい。
【0050】
次に、マザー積層体を所定のサイズにカットし、生のセラミックの積層体を得る。この生のセラミックの積層体を、大気、窒素、又は、水蒸気と窒素の混合気の雰囲気中において900〜1300℃で焼成する。これにより、焼成された積層体18が得られる。
【0051】
次に、積層体18の上面18a及び下面18bに対してラップ研磨加工を施して平坦化する。以下に、ラップ研磨加工について図面を参照しながら説明する。図5は、ラップ研磨加工装置30の要部の外観斜視図である。図6は、ラップ研磨加工装置30に用いられるキャリア34の上視図である。図7は、ラップ研磨加工の説明図である。
【0052】
ラップ研磨加工装置30は、図5に示すように、上定盤31及び下定盤32を備える。下定盤32には、図6に示すキャリア34を搭載するためのキャリア搭載位置33が形成される。キャリア34は、孔35が形成された円盤である。
【0053】
ラップ研磨加工では、下定盤32にキャリア34が設置され、孔35の内部に積層体18が配置される。次に、上定盤31を下降させて、上定盤31と下定盤32とでキャリア34を上下方向から挟み込む。この後、砥粒が混入されたスラリーを注入しながら、上定盤31と下定盤32とを回転させる。これにより、図7に示すように、キャリア34により積層体18が固定された状態で、該積層体18の上面18a及び下面18bが研磨される。
【0054】
ラップ研磨加工では、砥粒が混入されたスラリー36が積層体18の上面18a及び下面18bに対して平行に動くので、脆性を有するセラミックで形成された積層体18は削られる一方、延性を有する第1のビア導体7及び第2のビア導体8は削り取られずに伸ばされる。そのため、第1のビア導体7及び第2のビア導体8の両端は、上面18a及び下面18bより突出するようになる。更に、積層体18の上面18a及び下面18bが削られるので、上面18a及び下面18bが平坦化され、積層体18の反り量Wが小さくなる。更に、第1のビア導体7及び第2のビア導体8の表面に存在する酸化膜が除去されるので、第1のビア導体7及び第2のビア導体8の端部における抵抗値が小さくなる。
【0055】
なお、ラップ研磨加工以外に、超音波加工、ブラスト処理、バレル研磨などが存在するが、以下の理由により、ラップ研磨加工以外の加工法は、積層体18の上面18a及び下面18bの加工には適さない。まず、超音波加工やバレル研磨は研磨力が弱く、焼結した積層体18を十分に研磨することが困難である。ブラスト処理は、上面18a及び下面18bに対して垂直に砥粒を吹き付けるため、積層体18が脆くなって、第1〜第4の外部電極12〜15の固着強度が低くなったり、第1のビア導体7及び第2のビア導体8の端部が積層体18の内部に押し込まれてしまったりするおそれがある。
【0056】
次に、スクリーン印刷により、積層体18の上面18a及び下面18bに導電性ペーストを印刷し、第1の外部電極12、第2の外部電極13、第3の外部電極14及び第4の外部電極15のパターンを形成する。その後、該パターンを、大気、窒素、又は、水蒸気と窒素の混合気の雰囲気中において600〜900℃で焼き付ける。これにより、第1のビア導体7及び第2のビア導体8のそれぞれの両端を覆う第1の外部電極12、第2の外部電極13、第3の外部電極14及び第4の外部電極15が形成される。なお、必要に応じて、第1の外部電極12、第2の外部電極13、第3の外部電極14及び第4の外部電極15の表面にめっきを施してもよい。以上の工程を経て、積層コンデンサ1が完成する。
【0057】
なお、セラミックグリーンシートや導電性ペーストには、バインダ及び溶剤が含まれるが、このバインダや溶剤には公知の有機バインダや有機溶剤を用いることができる。
【0058】
以上のように、前記積層コンデンサ1の製造方法によれば、積層体18の焼成後であってかつ第1〜第4の外部電極12〜15が形成される前に、積層体18の上面18a及び下面18bが平坦化される。そのため、焼成時に積層体18が反ったとしても、平坦化処理により第1〜第4の外部電極12〜15の高さのばらつきを抑制することができる。なお、特許文献5には、積層コンデンサ1と同様に、下面から突出したビア導体を端子電極で覆う積層コンデンサが開示されているが、積層コンデンサ1の特徴の一つである前記平坦化については言及されていない。
【0059】
(その他の製造方法)
なお、前記の製造方法では、マザー積層体を作製してからビアホールを形成し、該ビアホールに導電性ペーストを充填してビア導体を形成しているが、該ビア導体の形成方法はこれに限らない。例えば、セラミックグリーンシートにビアホールを形成し、該ビアホールに導電性ペーストを充填してから、セラミックグリーンシートを積層してマザー積層体を作製してもよい。
【0060】
また、前記製造方法では、マザー積層体をカットしてから未焼成の積層体を焼成したが、積層体の作製手順はこれに限らない。例えば、マザー積層体の切断予定位置に切り込み溝を形成しておき、マザー積層体を焼成し、焼成後のマザー積層体を切り込み溝に沿って分割して積層体を作製してもよい。この場合、研磨工程を分割工程の前に行ってもよい。
【0061】
(実験結果)
本願発明者は、積層コンデンサ1が奏する効果をより明確にするために、以下に示す実験を行った。具体的には、以下の製造方法により7種類の試料を作製し、各試料のビア突出高さP、表面粗さRa、反り量W、抵抗値、固着強度を計測した。また、第1の外部電極12及び第2の外部電極13がかすれているか否かを外観観察により確認した。
【0062】
まず、試料の製造方法について説明する。BaTiO3を主成分とするセラミック粉末を含むセラミックグリーンシートを準備した。セラミックグリーンシートの厚みは、焼成後で3μmである。また、Ni粉末を含む内部電極用及びビア導体用の導電性ペーストを準備した。
【0063】
セラミックグリーンシートの主面上に、内部電極用の導電性ペーストを用いて内部電極のパターンを印刷した。その後、内部電極のパターンが形成されたセラミックグリーンシートを所定枚数積層し、その上下に内部電極のパターンが形成されていないセラミックグリーンシートを積層して、マザー積層体を作製した。このマザー積層体を積層方向に静水圧プレスすることにより圧着した。
【0064】
次に、レーザによりマザー積層体を積層方向に貫通するビアホールを形成した。ビアホールの直径は焼成後で120μmとなるように形成した。また、カット後の一個の積層体にビアホールが169個含まれるようにした。
【0065】
次に、スクリーン印刷により、ビアホールにビア導体用の導電性ペーストを充填し、ビア導体を形成した。その後、マザー積層体をダイサーによりカットし、生の積層体を切り出した。この生の積層体を中性雰囲気中、1250℃で焼成した。
【0066】
次に、焼成により得られた複数の積層体の上面及び下面を、ブラスト処理、ラップ研磨により研磨した。ラップ研磨については、5種類の研磨条件により行った。また、一部の積層体には研磨を行わなかった。
【0067】
研磨後、Cuを主成分とする外部電極用の導電性ペーストを用いて、スクリーン印刷により、各積層体に外部電極のパターンを形成した。この後、還元雰囲気中で800℃の条件で外部電極のパターンを焼き付けて外部電極を形成した。
【0068】
最後に、外部電極の表面にNiめっき、Snめっきを順に形成し、7種類の積層コンデンサを作製した。なお、各積層コンデンサの寸法は、5mm×5mm×0.85mmであった。
【0069】
次に、得られた積層コンデンサのビア突出高さP、表面粗さRa、反り量W、抵抗値及び固着強度を測定した。また、外部電極のかすれの有無について外観観察を行って判定した。以下に、各パラメータの計測方法について説明する。
【0070】
反り量Wの測定について図8を参照しながら説明する。図8は、反り量Wの計測の説明図である。図8(a)に示すように、積層コンデンサ1の上面18aに等間隔に離れた25点のX,Y,Z座標をレーザ変位計で測定する。
【0071】
次に、図8(b)に示すように、前記25点に最も近くなる平面20を計算により求める。次に、図8(c)に示すように、前記25点のそれぞれと平面20との距離を計算し、平面20の上方向において最も離れた点21と、平面20の下方向において最も離れた点22とを特定する。そして、平面20と点21との距離及び平面20と点22との距離を計算し、これらの2つの距離の和を反り量Wとする。
【0072】
表面粗さRaとビア突出高さPとの計測方法について、図9を参照しながら説明する。図9(a)は、研磨をしていない積層コンデンサの上面の形状を示すグラフであり、図9(b)は、研磨をした積層コンデンサの上面の形状を示すグラフである。図9(a)に示すように、研磨されなかった積層コンデンサの上面は、中央部が上に突出するように反っている。一方、図9(b)に示すように、研磨された積層コンデンサの上面は、略水平となっている。ただし、両積層コンデンサ共に、ビア導体が突出している部分については、大きく上方向に突出している。そこで、平面粗さRaの計測については、ビア導体が突出している部分以外の部分を抜き取った上で、JIS B0601に基づいて測定した。また、ビア突出高さPについては、各ビア導体の高さ方向の最大値の平均値とした。
【0073】
抵抗値については、上面に形成された外部電極と下面に形成された外部電極との間に直流電流を流して抵抗値を計測した。これにより、外部電極とビア導体との接続の良否を判定した。
【0074】
外部電極と積層体との固着強度については、MIL−STD−883 Method 2019に基づいて、ダイシェア強度を測定した。具体的には、積層コンデンサから試験端子を5.0μm浮かせて、100μm/sのスピードで外部電極に対して横方向のせん断応力を加え、外部電極がはがれたときの荷重を計測した。
【0075】
表1は、前記計測の結果を示したグラフである。試料1は研磨時にブラスト処理を行った積層コンデンサである。試料2〜6は、研磨時にラップ研磨を行った積層コンデンサである。試料7は、研磨を行わなかった積層コンデンサである。
【0076】
【表1】

【0077】
試料1については、ビア突出高さPが表面粗さRaよりも小さくなっている。これは、砥粒の吹き付けにより、ビア導体が押し込まれると共に、積層体の上面が脆くなっていることを示す。その結果、外部電極がはがれやすい状態となっており、固着強度が低くなっている。そのため、試料1は適切ではないと判断された。
【0078】
また、試料7については、ビア突出高さPが高すぎたため、外観観察によれば外部電極にかすれが生じていた。また、ビア突出高さPより反り量Wが大きくなっているので、外部電極の高さのばらつきが大きくなっている。また、他の試料に比べて抵抗値も大きくなっている。これは、ビア導体の端部に形成された酸化膜が原因となっていることがSEMによる観察により明らかとなった。
【0079】
なお、試料6については、外観観察では、外部電極にかすれが観察されたが、固着強度及び抵抗値の観点からは問題がなかったので、適切な試料と判断した。
【0080】
また、試料2〜5については、問題のない試料であった。
【0081】
以上の実験より、積層コンデンサ1において、焼成時における反りが発生しても、第1の外部電極12及び第2の外部電極13の積層方向の高さのばらつきを抑制できると共に、第1の外部電極12及び第2の外部電極13がかすれることなく形成でき、かつ、第1の外部電極12及び第2の外部電極13と積層体18の上面18aとの固着強度を向上させるためには、ビア突出高さP、上面18aの表面粗さRa、積層体18の反り量Wにおいて、ビア突出高さPを表面粗さRa及び反り量W以上とする必要があることが理解できる。
【0082】
(第2の実施形態)
以下に、第1の実施形態に係る積層コンデンサ1が用いられた回路基板について図面を参照しながら説明する。図10は、積層コンデンサ1を含む回路基板91の断面構造図である。
【0083】
回路基板91は、積層コンデンサ1、基板本体92、第1の配線93、第2の配線94、グランド用端子95、電源用端子96、第3の配線97、第4の配線98、第1の外部端子99及び第2の外部端子100を備える。
【0084】
基板本体92は、樹脂からなる絶縁層が積層されて構成される。グランド用端子95は、基板本体92の下面に形成され、グランド電位が印加される。電源用端子96は、基板本体92の下面に形成され、電源電圧が印加される。
【0085】
第1の配線93は、基板本体92内部に形成され、グランド用端子95と積層コンデンサ1の第3の外部電極14とを電気的に接続する。第2の配線94は、基板本体92内部に形成され、電源用端子96と積層コンデンサ1の第4の外部電極15とを電気的に接続する。
【0086】
積層コンデンサ1は、第3の外部電極14及び第4の外部電極15が積層方向の下方向に位置するように基板本体92に実装される。
【0087】
第3の配線97は、基板本体92内部に形成され、第1の外部電極12と第1の外部端子99とを電気的に接続する。第4の配線98は、基板本体92内部に形成され、第2の外部電極13と第2の外部端子100とを電気的に接続する。第1の外部端子99は、基板本体92の上面に形成され、回路基板91に実装されるICに対してグランド電位を供給する役割を果たす。第2の外部端子100は、基板本体92の上面に形成され、回路基板91に実装されるICに対して電源電圧を供給する役割を果たす。
【0088】
以上のように構成された回路基板91の製造方法について説明する。図10の回路基板91の点線より下の部分の樹脂基板を準備する。この樹脂基板上に積層コンデンサ1を実装する。
【0089】
次に、未硬化の熱硬化性樹脂を含むプリプレグシートを、積層コンデンサ1の上に被せて積層方向の上方向から加圧する。この後、プリプレグシートを加熱することにより硬化させる。
【0090】
次に、基板本体92の上面にレーザによりビアホールを形成する。ビアホールの形成時には、第1の外部電極12及び第2の外部電極13が形成されているので、レーザが直接に積層体18に当たって、該積層体18を傷つけることがない。この後、このビアホールに、Cuなどの金属粉末及びエポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂を含む導電性樹脂を充填することにより、第3の配線97及び第4の配線98を形成する。また、めっきによりビアホール内部に金属を充填する、いわゆるビアフィリングにより第3の配線97及び第4の配線98を形成してもよい。
【0091】
次に、第1の外部端子99及び第2の外部端子100を、Cuなどの金属箔をエッチングすることにより形成する。なお、第1の外部端子99及び第2の外部端子100それぞれは、第3の配線97及び第4の配線98の直上に形成されるAuバンプや導電性樹脂のバンプであってもよい。
【0092】
以上のように、積層コンデンサ1には、第1の外部電極12及び第2の外部電極13が形成されるので、基板本体92の上面にレーザによりビアホールを形成する際に、該レーザにより積層体18が傷つくことが防止される。なお、特許文献3及び特許文献4に記載の積層電子部品には、第1の外部電極12及び第2の外部電極13に相当するものが存在しないため、該積層電子部品はこのような効果を奏しない。
【0093】
(第3の実施形態)
図11は、第3の実施形態に係る回路モジュール101の断面構造図である。回路モジュール101は、図11に示すように、回路基板91にICとしてMPU102が実装されたものである。このように、MPU102は、積層コンデンサ1の直上に実装される。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】第1の実施形態に係る積層コンデンサの分解斜視図である。
【図2】前記積層コンデンサの断面構造図である。
【図3】第1のビア導体及び第2のビア導体の上面近傍における断面構造図である。
【図4】前記積層コンデンサを積層方向の上側から見た平面図である。
【図5】ラップ研磨加工装置の要部の外観斜視図である。
【図6】ラップ研磨加工装置に用いられるキャリアの上視図である。
【図7】ラップ研磨加工の説明図である。
【図8】反り量の計測の説明図である。
【図9】前記積層コンデンサの上面の形状を示すグラフである。
【図10】前記積層コンデンサを含む回路基板の断面構造図である。
【図11】前記回路基板を含む回路モジュールの断面構造図である。
【図12】従来の積層コンデンサの断面構造図である。
【符号の説明】
【0095】
1 積層コンデンサ
2 第1のセラミック層
3 第2のセラミック層
4 第3のセラミック層
5 第1の内部電極
6 第2の内部電極
7 第1のビア導体
8 第2のビア導体
9 欠如部
12 第1の外部電極
13 第2の外部電極
14 第3の外部電極
15 第4の外部電極
18 積層体
18a 上面
18b 下面
30 ラップ研磨加工装置
91 回路基板
92 基板本体
93 第1の配線
94 第2の配線
95 グランド用端子
96 電源用端子
97 第3の配線
98 第4の配線
99 第1の外部端子
100 第2の外部端子
101 回路モジュール
102 MPU

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のセラミック層が積層されて構成され、第1の面及び該第1の面に対向する第2の面を有する積層体と、
前記セラミック層を介して互いに対向する少なくとも一対の第1の内部電極及び第2の内部電極と、
前記第1の面に形成された第1及び第2の外部電極と、
前記第2の面に形成された第3及び第4の外部電極と、
前記第1の外部電極と前記第1の内部電極と前記第3の外部電極とを電気的に接続し、前記第1の面と前記第2の面との間を貫通するように形成されたビア導体であって、前記第1の面側の端部が該第1の面から突出している第1のビア導体と、
前記第2の外部電極と前記第2の内部電極と前記第4の外部電極とを電気的に接続し、前記第1の面と前記第2の面との間を貫通するように形成されたビア導体であって、前記第1の面側の端部が該第1の面から突出している第2のビア導体と、
を備え、
前記第1及び第2のビア導体の前記第1の面からの平均突出高さをP、前記第1の面の表面粗さをRa、前記積層体の反り量をWとしたとき、
P≧RaかつP≧Wの関係が成立し、
前記第1及び第2のビア導体の前記第1の面から突出した部分のそれぞれは、前記第1及び第2の外部電極に埋設されること、
を特徴とする積層コンデンサ。
【請求項2】
前記平均突出高さPは2〜15μmであること、
を特徴とする請求項1に記載の積層コンデンサ。
【請求項3】
前記表面粗さRaは2μm以下であること、
を特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の積層コンデンサ。
【請求項4】
前記積層体の反り量Wは10μm以下であること、
を特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の積層コンデンサ。
【請求項5】
絶縁性材料により形成された基板本体と、
前記基板本体の表面に形成された複数の入出力端子と、
前記入出力端子に電気的に接続された複数の配線と、
請求項1乃至4のいずれかに記載の積層コンデンサと、
を備え、
前記複数の配線と前記第3及び第4の外部電極とが電気的に接続された状態で前記積層コンデンサが前記基板本体に実装されていること、
を特徴とする回路基板。
【請求項6】
請求項5に記載の回路基板と、
前記回路基板に実装された半導体集積回路と、
を備え、
前記積層コンデンサと前記半導体集積回路とは、前記第1及び第2の外部電極を介して電気的に接続されていること、
を特徴とする回路モジュール。
【請求項7】
複数のセラミック層が積層されて構成される積層体と、
前記積層体内に含まれるコンデンサを構成する複数の内部電極と、
前記積層体の主面に形成される外部電極と、

前記外部電極と前記内部電極とを電気的に接続するビア導体と、
を備える積層コンデンサの製造方法であって、
焼成された前記積層体を形成する第1の工程と、
焼成された前記積層体の主面をラップ研磨により平坦化する第2の工程と、
平坦化された前記主面に前記複数の外部電極を形成する第3の工程と、
を備えることを特徴とする積層コンデンサの製造方法。
【請求項8】
前記第2の工程において、ラップ研磨により、前記ビア導体の端部を前記主面より突出させること、
を特徴とする請求項7に記載の積層コンデンサの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−66712(P2008−66712A)
【公開日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−177561(P2007−177561)
【出願日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【出願人】(000006231)株式会社村田製作所 (3,635)
【Fターム(参考)】