説明

積層フィルム及びその製造方法、並びに積層フィルムを用いた光学シート及び表示装置

【課題】液晶ディスプレイ等の表示装置に用いられる易接着性の積層フィルムを得る。
【解決手段】ポリエステルからなる支持体11を2軸延伸する。2軸延伸した支持体11の少なくとも一方の面に、支持体11に近い順に第1バインダを含む第1層12を形成した後、続けて、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ゴム系樹脂の中から選ばれた樹脂からなる第2バインダを含む第2層13を形成して複層構造の塗布層14を形成する。第1層12には、分子内にカルボジイミド構造を複数個有する化合物を含有させ、第1バインダとしてポリエステル樹脂を用いる。また、第1層12の膜厚は、10nm以上500nm以下となるようにする。積層フィルム10は、支持体11と第1層12との間の接着強度が高く、第2層13の上に上層を接着させると、この上層に対して易接着性を発現する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接着性に優れる積層フィルム及びその製造方法に関するものである。また、この積層フィルムを用いて構成されるプリズムシート又は反射防止シート又は光拡散シート又は防眩シート又はハードコートシート等の光学シート、並びに、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ、CRTディスプレイ等の表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ポリエステルフィルム、特に2軸配向ポリエステルフィルムは、ポリエステルからなる支持体(以下、単にポリエステル支持体と称する)を有し、優れた透明性、寸法安定性、耐薬品性、低吸湿性を示すことから、各種の光学フィルムとして多く利用されている。例えば、液晶ディスプレイに用いられるプリズムシート、反射防止シート、光拡散シート、ハードコートシート等のベースフィルム、さらにプラズマディスプレイに用いられるIR吸収シート、電磁波シールドシート、調色シート、反射防止シート、防眩シート、ハードコートシート等のベースフィルムとして用いられている。
【0003】
この様な光学フィルムに用いられるベースフィルムには、優れた透明性が要求されると共に、この上に積層されるプリズム層を始めとする層(以下、上層と言う場合もある)に対して優れた接着性(易接着性)が必要となる。しかし、ポリエステル支持体と上層とを直接的に充分な強度で接着することは困難である。そこで、一般的には、ポリエステル支持体の上に易接着層と呼ばれる塗布層を設ける方法が用いられており、例えば、ポリエステル支持体の上にウレタン樹脂を含む水溶性塗布液により設けられた層を有するベースフィルムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
しかし、支持体及び上層の化学構造や物性等は異なることが多いため、双方に対して易接着性を示すような層を設けることは困難である。そこで、ポリエステル支持体の上にポリエステルとポリウレタンとをブレンドした易接着層と、さらにこの易接着層の上にアクリル系コート層を有するベースフィルムが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平6−340049号公報
【特許文献2】特開2000−229395号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献2では、ポリエステル支持体及び上層の各部材に対してそれぞれ易接着性を示すポリエステル及びポリウレタンを併用して易接着層を形成することにより、両方に対して易接着性を発現させ、さらにはアクリル系コート層を設けることで、ハードレンズ等の上層に対する易接着性を向上させることができる。しかしながら、上層の厚みが大きい場合等では、充分な易接着性を得ることができないという問題を抱えている。
【0006】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、支持体と上層との双方に対して充分な易接着性を有するようなベースフィルムとなる積層フィルム及びその製造方法を提案することを第1の目的とする。そして、この積層フィルムを用いることで、光学特性に優れる光学シートや表示装置を提供することを第2の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の積層フィルムは、ポリエステルからなる支持体の少なくとも一方の面に、支持体に近い順に第1バインダを含む第1層に続いて、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、、ポリエステル樹脂ゴム系樹脂の中から選ばれた樹脂からなる第2バインダを含む第2層とが積層された複層構造の塗布層を有することを特徴とする。
【0008】
また、第1層は、分子内にカルボジイミド構造を複数個有する化合物を含有することが好ましい。第1のバインダが、ポリエステル樹脂からなることが好ましい。第1層および第2層が、いずれも支持体を2軸延伸した後に設けられたものであることが好ましい。なお、第1層の膜厚が、10nm以上500nm以下であることが好ましい。
【0009】
本発明の光学シートは、上記のいずれかひとつに記載される積層フィルムと、プリズム層、反射防止層、光拡散層、防眩層、ハードコート層のうちの少なくともひとつとを有することを特徴とする。
【0010】
また、本発明の表示装置は、上記のいずれかひとつに記載される積層フィルムを有することを特徴とする。
【0011】
本発明の積層フィルムの製造方法は、ポリエステルからなる支持体を2軸延伸する工程と、続いて、支持体の少なくとも一方の面に、支持体に近い順から第1バインダを含む第1層と、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、、ポリエステル樹脂ゴム系樹脂の中から選ばれた樹脂からなる第2バインダを含む第2層とを形成して塗布層を設ける塗布層形成工程とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明では、ポリエステルからなる支持体の少なくとも一方の面に、支持体に近い潤から第1バインダを含む第1層に続いて、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ゴム系樹脂の中から選ばれた樹脂からなる第2バインダを含む第2層とが積層された複層構造の塗布層を設けて積層フィルムを形成したので、支持体と第1層との間及び第2層と上層との間において、易接着性を発現させることができる。また、第1層及び第2層の間でも易接着性を有するので、上層が厚い場合でも、支持体と上層との双方に対して易接着性を示す積層フィルムを提供することができる。そして、この積層フィルムをプリズム層や反射防止層等の光学特性を有する層と組合せることで得られる光学シートや、表示装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明について詳細に説明する。実施の形態については、本発明の好適な適用例を記載しているものであり、本発明を制限するものではない。
【0014】
図1に示すように、本発明の積層フィルム10は、ポリエステルからなる支持体11の少なくとも一方の面に、支持体11から近い順に第1層12と第2層13とをそれぞれ形成してなる塗布層14を有する。第1層12及び第2層13は、いずれも樹脂からなりバインダを含む層である。なお、本発明では、第1層12に含まれるバインダを第1バインダとし、第2層13に含まれるバインダを第2バインダと称する。
【0015】
〔ポリエステル支持体〕
本発明の支持体11は、ポリエステルからなるポリエステル系基材フィルムである。ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート等を用いることができ、中でも、コストや機械的強度の観点から、ポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。ただし、本発明で用いることができるポリエステルは、特に制限されるものではない。
【0016】
本発明のポリエステルは機械的強度を向上させるため、延伸を行ったものであることが好ましく、特に2軸延伸したものは好ましい。延伸倍率には特に制限はないが、1.5〜7倍が好ましく、より好ましくは2〜5倍程度である。特に縦横方向にそれぞれ2〜5倍程度延伸した2軸延伸品が好ましい。延伸倍率が1.5倍よりも小さいと充分な機械的強度が得られなくなり、逆に7倍を超えると均一な厚みを得ることが難しくなる。
【0017】
支持体11の厚みは、30μm以上500μm以下とする。より好ましくは100μm以上300μm以下である。厚みが30μm未満の場合には、腰がなくなり取り扱いにくくなるため好ましくない。一方で、厚みが500μmを超えて厚すぎるものは、表示装置の小型化や軽量化が図りづらくなる他、コスト的にも不利となる。
【0018】
本発明の第1層12は、支持体11の上に直接的に積層される層である。この層はバインダを含有することが必須であるが、さらに分子内にカルボジイミド構造を複数個有する化合物を含有することが好ましい。この層はさらに、必要に応じて微粒子、界面活性剤、帯電防止剤等を含有してもよい。
【0019】
本発明の第1バインダは、特に制限されるものではなく、(a)アクリル樹脂、(b)ポリウレタン樹脂、(c)ポリエステル樹脂、(d)ゴム系樹脂等のポリマーを好ましく用いることができる。(a)アクリル樹脂とは、アクリル酸、メタクリル酸及びこれらの誘導体を成分とするポリマーである。具体的例示としては、アクリル酸、メタクリル酸、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、アクリルアミド、アクリロニトリル、ヒドロキシルアクリレート等を主成分として、これらと共重合可能なモノマー(例えば、スチレン、ジビニルベンゼン等)を共重合したポリマー等が挙げられる。
【0020】
上記のうち、(b)ポリウレタン樹脂とは、主鎖にウレタン結合を有するポリマーの総称であり、通常ポリイソシアネートとポリオールの反応によって得られる。ポリイソシアネートとしては、TDI、MDI、NDI、TODI、HDI、IPDI等があり、ポリオールとしてはエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ヘキサントリオール等がある。また、本発明のイソシアネートとしては、ポリイソシアネートとポリオールの反応によって得られたポリウレタンポリマーに鎖延長処理をして分子量を増大させたポリマーも使用することができる。以上に述べたポリイソシアネート、ポリオール及び、鎖延長処理については、例えば「ポリウレタン樹脂ハンドブック」(岩田敬治編、日刊工業新聞社、昭和62年発行)において記載されている。
【0021】
(c)ポリエステル樹脂とは、主鎖にエステル結合を有するポリマーの総称であり、通常、ポリカルボン酸とポリオールとの反応で得られる。ポリカルボン酸としては、例えばフマル酸、イタコン酸、アジピン酸、セバシン酸、テレフタル酸、イソフタル酸等があり、ポリオールとしては、例えば、前述のものが挙げられる。ポリエステル樹脂およびその原料については、例えば、「ポリエステル樹脂ハンドブック」(滝山栄一郎著、日刊工業新聞社、昭和63年発行)において記載されている。
【0022】
本発明における(d)ゴム系樹脂とは、合成ゴムのうちジエン系合成ゴムを言う。具体例としてはポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン−ジビニルベンゼン共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ポリクロロプレン等がある。ゴム系樹脂については、例えば、「合成ゴムハンドブック」(神原周ら編集、(株)朝倉書店、昭和42年発行)において記載されている。
【0023】
本発明では、第1バインダとして、ポリエステルからなる支持体11に対する接着性の点からポリエステル樹脂を用いることが特に好ましい。また、第1バインダとして用いるポリマーとしては、前述のポリマーの中でも、分子内にカルボキシル基を有するものが特に好ましい。これにより、支持体に対して易接着性を示す第1層12を得ることができる。
【0024】
また、第1バインダとしては、上記のポリマーを有機溶剤に溶解して用いてもよいし、水分散物を用いてもよい。しかし、環境負荷が小さいことから、水分散物を用いて水系塗布することが好ましい。水分散物としては市販ポリマーを用いれば良く、例えば、スーパーフレックス830、460、870、420、420NS(商品名:第一工業製薬(株)製ポリウレタン)、ボンディック1370NS、1320NS(商品名:大日本インキ化学工業(株)製ポリウレタン)、ジュリマーET325、ET410、SEK301(商品名:日本純薬(株)製アクリル)、ボンコートAN117、AN226(商品名:大日本インキ化学工業(株)製アクリル)、ラックスターDS616、DS807(商品名:大日本インキ化学工業(株)製スチレン−ブタジエンゴム)、ニッポールLX110、LX206、LX426、LX433(商品名:日本ゼオン(株)製スチレン−ブタジエンゴム)、ニッポールLX513、LX1551、LX550、LX1571(商品名:日本ゼオン(株)製アクリロニトリル−ブタジエンゴム)、ファインテックスEs650、Es2200(商品名:大日本インキ化学工業(株)製ポリエステル)、バイロナールMD1400、MD1480(商品名:東洋紡(株)製ポリエステル)等を挙げることができる。
【0025】
第1バインダとして用いるポリマーは、1種類を単独で用いてもよいし、必要に応じて2種類以上を混合して使用してもよい。また、第1バインダとして用いるポリマーの分子量は、特に制限されないが、通常重量平均分子量で3000〜1000000程度のものを用いることが好ましい。ただし、重量平均分子量が3000未満のポリマーは、第1層12の強度が不充分になる場合があり、一方で、重量平均分子量が1000000を超えるポリマーは、第1層12の面状が悪い場合がある。
【0026】
本発明で用いられる「分子内にカルボジイミド構造を複数個有する化合物(以下、適宜、カルボジイミド系化合物と称する)」としては、分子内に複数のカルボジイミド基を有する化合物であれば、特に制限なく使用することができる。ポリカルボジイミドは、通常、有機ジイソシアネートの縮合反応により合成されるが、この合成に用いられる有機ジイソシアネートの有機基は特に限定されず、芳香族系、脂肪族系のいずれか、あるいはそれらの混合系も使用可能である。ただし、反応性の観点から脂肪族系が特に好ましい。合成原料としては、有機イソシアネート、有機ジイソシアネート、有機トリイソシアネート等が使用される。
【0027】
有機イソシアネートの例としては、芳香族イソシアネート、脂肪族イソシアネート、及び、それらの混合物が使用可能である。具体的には、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、4,4′−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート等が用いられ、また、有機モノイソシアネートとしては、イソホロンイソシアネート、フェニルイソシアネート、シクロヘキシルイソシアネート、ブチルイソシアネート、ナフチルイソシアネート等が使用される。また、本発明に用いうるカルボジイミド系化合物は、例えば、カルボジライトV−02−L2(商品名:日清紡(株)製)等の市販品としても入手可能である。
【0028】
本発明のカルボジイミド系化合物はバインダに対して1〜200質量%の範囲で添加することが好ましく、より好ましくは5〜100質量%の範囲で添加することである。添加量が1質量%より少ないと、第1層12が微粒子を含んでいる場合、微粒子剥落の防止が不充分になるおそれがある。一方で、添加量が200質量%を超えると、第1層12の面状が悪化するおそれがある。
【0029】
また、第1層12には、用途に応じて、上記の他に微粒子や界面活性剤等の各種添加剤を用いても良い。本発明の第1層12に用いることができる微粒子としては、有機又は無機微粒子のいずれも使用することができる。例えば、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、シリコーン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等のポリマー微粒子や、シリカ、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム等の無機微粒子を用いることができる。これらの中で、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、シリカは、すべり性改良効果やコストの観点から好ましい。
【0030】
本発明に用いる微粒子の平均粒径は、0.3μm以上12μm以下が好ましく、より好ましくは0.5μm以上9μm以下である。微粒子の平均粒径が0.3μm未満になるとすべり性改良効果が不充分になり、一方で、平均粒径が12μmを超えると表示装置の表示品位の低下をきたす場合がある。また、本発明の微粒子の添加量は、平均粒径によっても異なるが、0.1mg/m2 以上30mg/m2 以下であることが好ましく、より好ましくは0.5mg/m2 以上20mg/m2 以下である。微粒子の添加量が0.1mg/m2 未満ではすべり性改良効果が不充分になるおそれがあり、一方で、添加量が30mg/m2 を超えると、透明性が低下して表示装置の表示品位の低下をきたすおそれがある。なお、本発明でいう微粒子の平均粒径とは、微粒子を走査型電子顕微鏡で撮影した時の微粒子と同面積の円の直径を粒径としたとき、任意の50個の微粒子について求めた粒径の平均値をいう。
【0031】
第1層12に用いることができる界面活性剤としては、公知のアニオン系、ノニオン系、カチオン系のものが挙げられる。界面活性剤については、例えば、「界面活性剤便覧」(西 一郎、今井 怡知一郎、笠井 正蔵編 産業図書(株) 1960年発行)に記載されている。また、界面活性剤の添加量としては0.1mg/m2 以上30mg/m2 以下であることが好ましく、より好ましくは0.2mg/m2 以上10mg/m2 以下の範囲である。界面活性剤の添加量が0.1mg/m2 未満であるとハジキが発生するおそれがあり、一方で、30mg/m2 を超えると第1層12の面状が悪化するおそれがある。
【0032】
第1層12には帯電防止剤を用いることもできる。帯電防止剤の種類等は特に限定されるものではないが、例えば、ポリアニリン、ポリピロール等の電子伝道系のポリマー、分子鎖中にカルボキシル基やスルホン酸基を有するイオン伝道系ポリマー、導電性微粒子等が挙げられる。これらのうち、特に特開昭61−20033号公報に記載されている導電性酸化錫微粒子は、導電性と透明性の観点から好ましく用いることができる。帯電防止剤の添加量は、25℃30%RH雰囲気で測定した第1層12の表面抵抗率が、1×105 Ω以上1×1013Ω以下下となるように添加することが好ましい。表面抵抗率が1×105 Ω未満になると帯電防止剤の添加量が増大するため積層フィルムの透明性が低下するおそれがあり、1×1013Ωを超えると帯電防止効果が不充分になり、一方で、ゴミが付着する等の不都合が生じるおそれがある。
【0033】
第1層12の厚みは、支持体11に対する易接着性を発現させるために、10nm以上500nm以下となるようにする。より好ましくは、第1層12の厚みを30nm以上150nm以下とすることである。第1層12の膜厚が10nm未満であるとポリエステル支持体との接着性が不充分になり、一方で、膜厚が500nmを超えると面状が悪化するおそれがある。
【0034】
第2層13は、第1層12よりも支持体11から離れた位置に塗設される層である。第2層13は、積層フィルム10の最外層であることが好ましい。また、第2層12は、所定の第2バインダを含むものであるが、このバインダ以外にも、必要に応じて微粒子やすべり剤、界面活性剤、帯電防止剤等の添加剤を含有してもよい。
【0035】
本発明では、第2バインダとして、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、、ポリエステル樹脂ゴム系樹脂の中から選んだ樹脂を用いる。なお、これらの樹脂の詳細は、第1バインダの説明で記載する樹脂と同様であり、ここでの説明は省略する。これらのうち、優れた透明性に加えて接着性の点から、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂を用いることが特に好ましく、また、第2バインダとして用いるポリマーとしては、分子内にカルボキシル基を有するものが特に好ましい。
【0036】
第2バインダとしては、上記のポリマーを有機溶剤に溶解して用いてもよいし、水分散物を用いてもよい。しかし、環境負荷が小さいことから、水分散物を用いて水系塗布することが好ましい。水分散物としては前述の市販ポリマーを用いてもよい。
【0037】
第2バインダとして用いるポリマーは1種類を単独で用いてもよいし、必要に応じて2種類以上を混合して使用してもよい。第2バインダとして用いるポリマーの分子量には特に制限はないが、通常重量平均分子量で3000から1000000程度のものが好ましい。重量平均分子量が3000未満のものは塗布層の強度が不充分になる場合があり、1000000を超えるものは塗布面状が悪い場合がある。
【0038】
第2層13には、用途に応じて適宜添加剤を含有させても良い。第2層13に用いることができる微粒子、界面活性剤、帯電防止剤の種類と量については、前述の第1層と同様のものを使用することができる。なお、各種添加剤の詳細は、第1層12と同様であるため、説明は省略する。
【0039】
第2層13に添加剤としてすべり剤を用いる場合、このすべり剤の種類等も特に限定されるものではないが、好適に用いることができるすべり剤として、例えば、合成又は天然ワックス、シリコーン化合物、R−O−SO3 M(ただし、Rは置換又は無置換のアルキル基(Cn 2n+1−;nは3〜20の整数)、Mは一価の金属原子を表す)で表される化合物等が挙げられる。
【0040】
その他にも、すべり剤の具体例としては、セロゾール524、428、428、732−B、920、B−495、ハイドリンP−7、D−757、Z−7−30、E−366、F−115、D−336、D−337、ポリロンA、393、H−481、ハイミクロンG−110F、930、G−270(商品名:中京油脂(株)製)や、ケミパールW100、W200、W300、W400、W500、W950(商品名:三井化学(株)製)等のワックス系や、KF−412、413、414、393、859、8002、6001、6002、857、410、910、851、X−22−162A、X−22−161A、X−22−162C、X−22−160AS、X−22−164B、X−22−164C、X−22−170B、X−22−800、X−22−819、X−22−820、X−22−821(商品名:信越化学工業(株)製)等のシリコーン系や、C1633−O−SO3 Na、C1837−O−SO3 Na等の一般式で表される化合物等を挙げることができる。なお、これらのすべり剤の添加量は、0.1mg/m2 以上50mg/m2 以下とすることが好ましく、より好ましくは1mg/m2 以上20mg/m2 以下である。ただし、添加量が0.1mg/m2 未満の場合には、第2層13のすべり性が不充分になるおそれがあり、一方で、50mg/m2 を超えると第2層13の面状が悪化するおそれがある。
【0041】
第2層13の厚みには特に制限はないが、優れた透明性を確保しながら易接着性を実現させるために、10nm以上5000nm以下であることが好ましく、より好ましくは20nm以上1500nm以下である。第2層13の厚みが10nm未満であると、上層との接着性が不充分になるおそれがあり、一方で、厚みが5000nmを超えると面状が悪化するおそれがある。
【0042】
塗布層14を形成する際には、第1層12及び第2層13を塗布により設けることが好ましい。ただし、塗布層14を形成する方法は特に制限はなく、バーコーター塗布、スライドコーター塗布等の公知の方法を用いることができる。このとき、第1層12と第2層13とは、同じ方法で塗布して形成してもよいし、異なる方法でもよい。また、第2層13を形成する際には、第1層12と同時に塗布した後に乾燥させてもよいし、第1層12を塗布乾燥した後に塗布してもよい。
【0043】
第1層12及び第2層13ともに、塗布する際には溶媒(塗布溶媒)を用いることができる。塗布溶媒としては、水、トルエン、メチルアルコール、イソプロピルアルコール、メチルエチルケトン等、及びこれらの混合系等の水系、有機溶剤系の塗布溶剤を用いることができる。これらのうちで水を塗布溶媒として用いる方法はコスト、製造の簡便さを考えると好ましい。なお、第1層12及び第2層13に使用する塗布溶媒は、同じであっても良いし、異なっていても良い。
【0044】
また、塗布は一軸方向に延伸した後に行ってもよいし、2軸延伸した後に行ってもよい。しかし、横延伸後のベース耳部の回収を可能にするため、2軸延伸後に塗布することが好ましい。なお、支持体11に対して塗布層14は、一方の面のみならず、他方の面にも形成して良い。
【0045】
本発明の積層フィルムは、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ、CRTディスプレイに用いられる光学フィルムとして用いることができる。これらの表示装置については、例えば、「ディスプレイ先端技術」(谷 千束著 共立出版(株) 1998年出版)や、「EL、PDP、LCDディスプレイ」((株)東レリサーチセンター 2001年発行)や、「カラー液晶ディスプレイ」(小林 俊介著 産業図書出版(株) 平成2年出版)等に詳細に記載されている。
【0046】
また、本発明により得られる積層フィルムと、プリズム層、反射防止層、光拡散層、防眩層、ハードコート層のうちの少なくともひとつとを有する光学シートは、優れた光学特性を示す。これらの具体的例示としては、液晶ディスプレイに用いられるプリズムシート、反射防止シート、光拡散シート、ハードコートシート、プラズマディスプレイIR吸収シート、電磁波シールドシート、調色シート等が挙げられ、例えば、上記の文献の他に、エレクトリックジャーナル誌2002年8月号の74ページに記載されている。
【0047】
以下、本発明に係る積層フィルム及びその製造方法について、実施例等を挙げて説明する。なお、以下の実施例等に示す材料の種類、各材料の割合、処方等は、本発明の精神から逸脱しない限り適宜変更して良い。従って、本発明の範囲は以下に示す実施例等に制限されるものではない。また、以下の実施例等において、積層フィルムの製造方法等が同じ場合には、実施例1において詳細に説明するものとし、その他では説明を省略する。
【実施例1】
【0048】
以下の手順により、積層フィルムの支持体を形成した。先ず、Geを触媒として重縮合した固有粘度0.66のポリエチレンテレフタレート(以下、PETと記載)樹脂を含水率50ppm以下に乾燥させ、ヒーター温度が280〜300℃設定温度の押し出し機内で溶融させた。溶融させたPET樹脂をダイ部より静電印加されたチルロール上に吐出させ、非結晶ベースを得た。得られた非結晶ベースをベース進行方向に3.3倍に延伸した後、方向に対して3.8倍に延伸し、厚さ100μmの支持体を得た。
【0049】
上記により形成した厚さが100μmの支持体の両面を、搬送速度105m/分で搬送し、730J/m2 の条件でコロナ放電処理を行った後、この両面に塗布量を4.4cm3 /m2 として第1層塗布液をバーコート法により塗布した。そして、これを180℃で1分乾燥して第1層を形成した後、続けて双方の第1層の両面に塗布量を4.4cm3 /m2 として第2層塗布液をバーコート法により塗布した後、170℃で1分乾燥することにより、支持体の両面に第1層と第2層とが塗布された積層フィルムを得た。なお、支持体に第1層のみを塗布した積層フィルムを、透過型電子顕微鏡(JEM2010(日本電子化(株))製)を用いて倍率200000倍で観察することにより、第1層の膜厚を測定した。
【0050】
〔第1層塗布液〕
上記の第1層塗布液は、ポリエステル樹脂バインダ(大日本インキ化学工業(株)製、ファインテックス ES650、固形分29%)を40.4質量部と、界面活性剤A(三洋化成工業(株)、サンデットBL、固形分10%、アニオン性)を9.3質量部と、界面活性剤B(三洋化成工業(株)、ナロアクティー HN−100、固形分5%、ノニオン性)を21.8質量部とに対して全体が1000質量部となるよう蒸留水を添加して調製した。
【0051】
〔第2層塗布液〕
上記の第2層塗布液は、ポリウレタン樹脂バインダ(第一工業製薬(株)製、スーパーフレックス460、固形分38%)を35.9質量部と、シリカ微粒子分散液(日本アエロジル(株)製、OX−50の水分散物、固形分10%)を2.3質量部と、コロイダルシリカ分散液(日産化学(株)製、スノーテックス−XL、固形分10%)を3.6質量部と、界面活性剤Aを13.6質量部と、界面活性剤Bを31.8質量部と、すべり剤(中京油脂(株)、カルナバワックス分散物 セロゾール524 固形分3%)を7.6質量部とに対して全体が1000質量部となるように蒸留水を添加して調製した。
【0052】
また、作製途中の積層フィルム及び作製後の積層フィルムに関して、下記の3つの評価を実施した。なお、下記に示す評価は、同様の方法により実施例1のみでなくその他の実施例及び比較例において実施した。
【0053】
〔1.支持体と第1層との間での接着性〕
実施例に用いた支持体に第1層のみを塗布した積層フィルムを試料として、これを60℃蒸留水中に16時間浸漬した後、試料表面に付着している水滴を紙(キムワイプS−200、クレシア(株)製)で軽く拭き取ってからすぐに、引掻強度試験機(HEIDEN−18、新東科学(株)製)により試料表面を0.1Rダイヤモンド針で擦り、この擦った部分を顕微鏡により倍率を100倍として観察したときの、第1層の剥れ具合を下記基準により目視にて判断し、支持体と第1層との間での接着性として評価した。なお、上記のダイヤモンド針に加える荷重は200gとした。
Aランク:剥れなしの場合
Bランク:剥れた面積がダイヤモンド針で擦った部分の面積に対して30%未満の場合
Cランク:剥れた面積がダイヤモンド針で擦った部分の面積に対して30%以上70%未満の場合
Dランク:剥れた面積がダイヤモンド針で擦った部分の面積の70%以上100%以下の場合
Eランク:ダイヤモンド針で擦った部分に加えて、その周辺部の塗布層にまで剥れが発生した場合
【0054】
〔2.上層と第2層との間での接着性〕
作製した積層フィルムを25℃、60%RHの雰囲気下で24時間調湿した後、得られた積層フィルムの試料面とする面に、バーコーターを用いて乾燥後の膜厚が3μmとなるように下記塗布液を塗布して100℃で3分間乾燥した。そして、超高圧水銀灯を用いて2000mJ/cm2 の露光量で露光して硬化させた後、この塗布層の表面に片刃カミソリを用いて縦、横それぞれ6本のキズをつけて25個の桝目を形成した。次いで、この上にセロハンテープ(ニチバン(株)製 405番、24mm幅)を貼り付けて、その上からケシゴムでこすって完全に付着させた後、90度方向に剥離させて、剥離した桝目の数を求めることにより、下記のランク付けを行って上層と第2層との間での接着性を評価した。なお、上記のキズの幅は、縦、横とも3mmとした。
Aランク: 剥れなしの場合
Bランク: 剥離した桝目数が1未満の場合
Cランク: 剥離した桝目数が1以上3未満の場合
Dランク: 剥離した桝目数が3以上20未満の場合
Eランク: 剥離した桝目数が20以上の場合
【0055】
〔塗布液処方〕
上記の塗布液は、セイカビームEXF01(B)(大日精化(株)製)を225gと、メチルエチルケトンを75gと、2、4‐ビス(トリクロロメチル)‐6‐〔4‐(N、N−ジエトキシカルボニメチル)‐3‐ブロモフェニル〕‐s‐トリアジンを6.8gとを混合して調製した。
【0056】
〔3.塗布面状〕
作製した積層フィルムを、黒色ドスキン布を張り合わせた机上においてから、乳白色のアクリル板を通した蛍光灯の拡散光を塗布層に照射し、発生する反射光を目視により観察した。そして、このとき観察される虹状の干渉ムラを下記基準により判断して、これを塗布面状として評価した。また、目視判断にあたり、強制条件評価として試料に対して黒化処理を行い、500nm光の透過率を1%以下となるように調整した。なお、黒化処理としては、試料のうち観察する面とは反対面に、マジックインキ(artline 油性マーカー補充インキ KR‐20クロ、shachihata(株)製)を塗工した後、これを乾燥させた。
Aランク:黒化処理後の試料及び未処理の試料の双方において、虹状干渉ムラが目視で確認されない。
Bランク:黒化処理後の試料では虹状干渉ムラが目視で確認されるが、未処理の試料では確認されない。
Cランク:黒化処理後の試料及び未処理の試料の双方において、虹状干渉ムラが目視で確認される。
【実施例2】
【0057】
第1層塗布液を変更する以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを作製した。第1層塗布液としては、ポリエステル樹脂バインダ(大日本インキ化学工業(株)製、ファインテックス ES650、固形分29%)を40.4質量部と、カルボジイミド化合物(日清紡(株)製、カルボジライトV‐02‐L2、固形分10%、カルボジイミド等量385)を23.0質量部と、界面活性剤Aを9.3質量部と、界面活性剤Bを21.8質量部とに対して、全体が1000質量部となるように蒸留水を添加して調製したものを用いた。
【実施例3】
【0058】
第2層塗布液に使用するバインダをアクリル樹脂バインダ(日本純薬(株)製 ジュリマー ET410)に変更する以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを作製した。
【実施例4】
【0059】
第2層塗布液に使用するバインダをゴム系樹脂バインダ(大日本インキ化学工業(株)製 ラックスター DS616)に変更する以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを作製した。
【実施例5】
【0060】
第1層塗布液に使用するバインダをポリウレタン樹脂バインダ(第一工業製薬(株)製 スーパーフレックス870 SF870)とし、第2層塗布液に使用するバインダをアクリル樹脂バインダ(大日本インキ化学工業(株)製 ボンコート AN117)と変更する以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを作製した。
【実施例6】
【0061】
第1層の塗布量を0.3倍に変更する以外は、全て実施例1と同様にして積層フィルムを作製した。
【実施例7】
【0062】
第1層の塗布量を3倍に変更する以外は、全て実施例1と同様にして積層フィルムを作製した。
【0063】
〔比較例1〕
比較例1では、下記の塗布液を用いて1層のみの塗布層を形成した。なお、その他の製造条件は実施例1と同様とした。
【0064】
〔塗布層〕
塗布液としては、ポリエステル樹脂バインダ(大日本インキ化学工業(株)製、ファインテックス ES650、固形分29%)を40.4質量部と、シリカ微粒子分散液(日本アエロジル(株)製、OX−50の水分散物、固形分10%)を2.3質量部と、コロイダルシリカ分散液(日産化学(株)製、スノーテックス−XL、固形分10%)を3.6質量部と、すべり剤(中京油脂(株)製、カルナバワックス分散物セロゾール524 固形分3%)を7.6質量部と、界面活性剤Aを9.3質量部と、界面活性剤Bを21.8質量部とに対して、全体が1000質量部となるように蒸留水を添加して調製した。
【0065】
〔比較例2〕
比較例1で使用した塗布液のうち、バインダをポリウレタン樹脂バインダ(第一工業製薬(株)製 スーパーフレックス460 SF460)に変更する以外は比較例1と同様にして積層フィルムを作製した。
【0066】
〔比較例3〕
比較例1で使用した塗布液のうち、バインダをポリエステル樹脂バインダ(大日本インキ化学工業(株)製、ファインテックス ES650、固形分29%)とポリウレタン樹脂バインダ(第一工業製薬(株)製 スーパーフレックス460 SF460)とを1:1の割合で混合したものを使用する以外は比較例1と同様にして積層フィルムを作製した。
【0067】
上記各実施例及び比較例の評価結果を表1に纏めて示す。各実施例1〜7では、用いるバインダによって支持体と第1層または上層と第2層との間での接着性や、塗布面状は若干異なるものの、いずれも良好な評価結果を示した。一方で、各比較例1〜3では、上記いずれの評価結果も、程度の低いものであった。また、表1では、各実施例及び比較例の概略した条件を示す。なお、第1層の膜厚も記載しているが、ここでの値は小数第一位を繰り上げた概数である。
【0068】
【表1】

【0069】
また、各実施例1〜7で作製した積層フィルムの上に、特開2001−324609号公報に記載されている実施例1に従い、光拡散層を形成して光拡散シートを作製したところ、積層フィルムと光拡散層との間での接着性は実用上問題なく、光学特性に優れた光拡散シートを得ることができた。
【0070】
また、各実施例1〜7で作製した積層フィルムの上に、特開2001−114831号公報に記載されている実施例1に従い、厚さ25μmの光硬化性樹脂組成物をバーコート法により塗布した後、極微小プリズム状パターン付き原型(プリズム角度90度、プリズムピッチ50μm、冨士写真フイルム(株)製)を設置して、80℃のオーブン中に3分間放置した。この後、塗布層側からメタルハライドランプを光源として、照射強度250mW/cm2 のUV照射装置により1.0J/cm2 の紫外線を照射し、さらに、極微小プリズム状パターン付き原型を分離して、プリズムシートを作製したところ、積層フィルムとプリズム層との間での接着性は実用上問題なく、光学特性に優れたプリズムシートを得ることができた。
【0071】
また、各実施例1〜7で作製した積層フィルムの上に、特開2001‐323087号公報に記載されている実施例に従い、活性エネルギー線硬化層(ハードコート層)塗布液をバーコート法により乾燥膜厚が8μmとなるように塗布した後、これを紫外線照射により硬化せしめてハードコート層を形成してハードコートシートを作製したところ、積層フィルムとハードコート層との間での接着性は良好であり、光学特性に優れたハードコートシートを得ることができた。
【0072】
また、各実施例1〜7で作製した積層フィルムの上に、特開2002‐098803号公報に記載されている実施例1に従い、ハードコート層、銀コロイド層、反射防止層をこの順に積層して反射防止シートを作製したところ、積層フィルムとハードコート層との間での接着性は良好であり、光学特性に優れた反射防止シートを得ることができた。なお、ハードコート層の塗布厚みは12μmとし、銀コロイド層の塗布量は70mg/m2 とし、反射防止層の塗布厚みは85nmとなるようにそれぞれ塗布した。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明に係る積層フィルムを示す要部の断面図である。
【符号の説明】
【0074】
10 積層フィルム
11 支持体
12 第1層
13 第2層
14 塗布層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエステルからなる支持体の少なくとも一方の面に、前記支持体に近い順に第1バインダを含む第1層に続いて、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ゴム系樹脂の中から選ばれた樹脂からなる第2バインダを含む第2層とが積層された複層構造の塗布層を有することを特徴とする積層フィルム。
【請求項2】
前記第1層は、分子内にカルボジイミド構造を複数個有する化合物を含有することを特徴とする請求項1記載の積層フィルム。
【請求項3】
前記第1のバインダが、ポリエステル樹脂からなることを特徴とする請求項1または2記載の積層フィルム。
【請求項4】
前記第1層および前記第2層が、いずれも前記支持体を2軸延伸した後に設けられたものであることを特徴とする請求項1ないし3いずれかひとつ記載の積層フィルム。
【請求項5】
前記第1層の膜厚が、10nm以上500nm以下であることを特徴とする請求項1ないし4いずれかひとつ記載の積層フィルム。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかひとつに記載される積層フィルムと、プリズム層、反射防止層、光拡散層、防眩層、ハードコート層のうちの少なくともひとつとを有することを特徴とする光学シート。
【請求項7】
請求項1から5のいずれかひとつに記載される積層フィルムを有することを特徴とする表示装置。
【請求項8】
ポリエステルからなる支持体を2軸延伸する工程と、
続いて、前記支持体の少なくとも一方の面に、前記支持体に近い順から第1のバインダを含む第1層と、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、、ポリエステル樹脂ゴム系樹脂の中から選ばれた樹脂からなる第2のバインダを含む第2層とを形成して塗布層を設ける塗布層形成工程とを有することを特徴とする積層フィルムの製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2007−190817(P2007−190817A)
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−11425(P2006−11425)
【出願日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】