説明

積層体の製造方法

【課題】基材との接着性やオレフィン系重合体とポリジメチルシロキサンとの密着性を維持したまま、粘着剤との離型性を改善する方法。
【解決手段】押出ラミネート法により、基材の少なくとも片面に、オレフィン系重合体95〜99.99重量%、及び官能基当量が500g/mol以上50000g/mol以下であるエポキシ基及び/又はアミノ基を有するポリジメチルシロキサン0.01〜5重量%からなる離型性樹脂組成物を用いてなる層を積層する方法において、以下に示す(A)および(B)の要件を満足することを特徴とする積層体の製造方法。 (A)離型性樹脂組成物の押出樹脂温度が300℃以上360℃以下 (B)下式(1)にて表される離型性樹脂組成物がダイより押出され冷却ロールにより 冷却されるまでの時間(エアギャップ通過時間)が、0.04秒〜0.50秒 エアギャップ通過時間(秒)=エアギャップ長さ(m)/ライン速度(m/秒) (1)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は離型性樹脂組成物からなる積層体の製造方法に関するものである。更に詳しくは、粘着剤などに対する離型性を改善し、かつ離型剤の脱離が少なく、しかも基材との接着性に優れた積層体の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
離型フィルムは、未使用時の接着材料の接着面を保護するために接着面上に積層され、使用時には接着面を損傷することなく容易に剥離される剥離面を備えるフィルム状材料であり、粘着テープやラベルなどの台紙として広く使用されている。離型フィルムは通常、基材と、その基材の少なくとも一方の表面上に設けられた離型剤を含んでなる離型層とを備えている。基材には、紙、プラスチックフィルム等が使用され、離型剤には、シリコーン化合物、長鎖アルキル基含有化合物等が使用される。このような離型フィルムにおいて、離型剤が基材と十分密着していない場合、離型フィルムからテープやラベルを剥離した際にテープやラベルの粘着剤表面に離型剤が転写し、テープやラベルの粘着性を悪化させる場合がある。
【0003】
このため、離型フィルムの製造方法としては、基材にビニル基含有ポリジメチルシロキサンなどの離型剤をコーティングした後、離型剤を硬化させる方法が一般的である。しかしながら本方法では、離型剤を均一に塗布するため有機溶剤が大量に用いられることや、離型剤を硬化させる際、基材が高温に晒されるため、ピンホールが発生するなどといった問題が生じていた。
【0004】
このため、本発明者は、コーティングする方法ではなく基材となるプラスチックに離型性を付与する方法として、オレフィン系重合体に特定のエポキシ当量を示すポリジメチルシロキサンを少量配合した樹脂組成物、および該オレフィン系重合体表面を酸化処理した離型フィルムを提案した(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
この方法によれば、オレフィン系重合体とポリジメチルシロキサンの密着が良好であるものの、ポリジメチルシロキサンの配合量に対する表面滲出量が十分でなく、一部の粘着テープ用途において剥離性が不十分な場合があり、改善が望まれていた。
【0006】
【特許文献1】特願2003−392820号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記のような状況を鑑みなされたものであって、基材との接着性やオレフィン系重合体とポリジメチルシロキサンとの密着性を維持したまま、粘着剤との離型性を改善することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、オレフィン系重合体に特定のポリジメチルシロキサンを配合した樹脂組成物を、特定の押出温度、特定のエアギャップ通過時間により押出ラミネート加工した積層体が基材との接着性やオレフィン系重合体とポリジメチルシロキサンとの密着性を維持したまま、粘着剤などに対する離型性を改善することを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、押出ラミネート法により、基材の少なくとも片面に、オレフィン系重合体95〜99.99重量%、及び官能基当量が500g/mol以上50000g/mol以下であるエポキシ基及び/又はアミノ基を有するポリジメチルシロキサン0.01〜5重量%からなる離型性樹脂組成物を用いてなる層を積層する方法において、以下に示す(A)および(B)の要件を満足することを特徴とする積層体の製造方法に関するものである。
【0010】
(A)離型性樹脂組成物の押出樹脂温度が300℃以上360℃以下
(B)下式(1)にて表される離型性樹脂組成物がダイより押出され冷却ロールにより
冷却されるまでの時間(エアギャップ通過時間)が、0.04秒〜0.50秒

エアギャップ通過時間(秒)=エアギャップ長さ(m)/ライン速度(m/秒) (1)

さらに、本発明は、上記方法により得られた積層体の離型性樹脂組成物を用いてなる層の表面を、コロナ放電処理、フレーム処理、プラズマ処理からなる群から選ばれる少なくとも1種以上の処理方法により酸化することを特徴とする積層体の製造方法に関するものである。
【0011】
以下に、本発明について詳細に説明する。
【0012】
本発明を構成する基材としては、合成高分子重合体フィルム又はシート、織布、不織布、紙、金属箔等が挙げられる。合成高分子重合体フィルム又はシートとして、例えばポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリアミド、ポリビニルアルコール、エチレン・酢酸ビニル共重合体鹸化物、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン等の合成高分子重合体からなるフィルム又はシート等が挙げられる。更に、これら高分子重合体フィルム又はシートはさらにアルミ蒸着、アルミナ蒸着されたものでもよい。また、これら高分子重合体フィルム又はシートは、さらにウレタン系インキ等を用い印刷されたものでもよい。織布、不織布としては、ポリエステルやポリエチレン、ポリプロピレンなどの合成樹脂製のもの、あるいはスフなどの天然材料を原料にしたものが挙げられる。紙としては、クラフト紙、クルパック紙、上質紙、グラシン紙、板紙等が挙げられる。
【0013】
特に、紙、布、合成樹脂からなる織布又は不織布から選ばれる1種以上であると、本発明の積層体を用いて製造した粘着テープやラベルの粘着性や易引き裂き性に優れるため好ましい。
【0014】
また、このような基材の表面は、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂により予め被覆されたものを用いてもよい。
【0015】
本発明に用いるオレフィン系重合体は、一般的にポリオレフィン系樹脂と称されているものでよく、このようなポリオレフィン系樹脂とは、エチレン、プロピレン、1−ブテンなど炭素数2〜12のα−オレフィンの単独重合体もしくは共重合体を示す。例えば、高圧法低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、エチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・1−へキセン共重合体、エチレン・1−オクテン共重合体、エチレン・4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・メタクリル酸共重合体、エチレン・アクリル酸エステル共重合体、エチレン・メタクリル酸エステル共重合体等のエチレン系重合体、ポリプロピレン、プロピレン・エチレン共重合体、プロピレン・1−ブテン共重合体、ポリ1−ブテン、ポリ1−ヘキセン、ポリ4−メチル−1−ペンテン等が挙げられ、これらオレフィン系重合体は、1種単独又は2種以上の組み合わせで用いてもよい。このようなオレフィン系重合体は、市販されているものから選択することができる。
【0016】
これらの中で、高圧法低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、エチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・1−へキセン共重合体、エチレン・1−オクテン共重合体、エチレン・4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体が、コストパフォーマンス、基材との接着性に優れているため好適である。
【0017】
このようなオレフィン重合体は、ラミネート成形性や基材との接着性に優れることから、JIS K6922−1(1997年)によるメルトマスフローレート(以下、MFRと記す)が0.1〜100g/10分の範囲にあることが好ましい。
【0018】
また、このようなオレフィン系重合体は、JIS K6922−1(1997年)で測定した密度が880〜970kg/mの範囲にあると離型性に優れるため好ましい。密度が低すぎると粘着剤塗布工程において離型フィルムの耐熱性が不足し、粘着剤と離型フィルムの接着強度が上昇することがある。一方、密度が高すぎるとフィルムの剛性が高くなり過ぎる場合がある。
【0019】
また、本発明に用いるオレフィン系重合体は、必要に応じて酸化防止剤、滑剤、中和剤、ブロッキング防止剤、界面活性剤、スリップ剤等、通常ポリオレフィン系樹脂に使用される添加剤を添加したものでもかまわない。
本発明に用いられるポリジメチルシロキサンは、エポキシ基及び/又はアミノ基当量が500g/mol以上50000g/mol以下を示すものである。エポキシ基及び/又はアミノ基当量が500g/mol未満の場合、離型フィルムの離型性が劣り好ましくなく、エポキシ基及び/又はアミノ基当量が50000g/molを超える場合、ポリジメチルシロキサンとオレフィン系重合体の密着が不十分となり、剥離層のラブ・オフ(Rub off)が生じるため好ましくない。
【0020】
本発明に用いられるエポキシ基及び/又はアミノ基当量が500g/mol以上50000g/mol以下であるポリジメチルシロキサンは、25℃における粘度が50cSt以上を示すものが押出成形時の減量が少なく好ましい。
【0021】
本発明に用いられるエポキシ基当量が500g/mol以上50000g/mol以下であるポリジメチルシロキサンは、例えば信越化学工業株式会社から商品名信越シリコーンKF−1001、KF−102、等が市販されている。
【0022】
また、本発明に用いられるアミノ基当量が500g/mol以上50000g/mol以下であるポリジメチルシロキサンは、例えば東レ・ダウ・コーニング・シリコーン株式会社からSF8417等が市販されている。
【0023】
本発明にて用いられるポリジメチルシロキサンは、離型性樹脂組成物に0.01〜5重量%配合される。ポリジメチルシロキサンの配合割合が0.01重量%未満の場合は該ポリジメチルシロキサンの積層体表面への滲出量が少なく、積層体の離型性が劣り好ましくない。また、5重量%を超える場合は該ポリジメチルシロキサンの積層体表面への滲出量が過剰となり、積層体に粘着させた粘着剤の再粘着性を損なうため好ましくない。また押出機内において樹脂が滑り、押出ラミネート成形を行なうことができない場合がある。
【0024】
また、本発明に用いる離型性樹脂組成物は、必要に応じて酸化防止剤、滑剤、中和剤、ブロッキング防止剤、界面活性剤、スリップ剤等、通常ポリオレフィン系樹脂に使用される添加剤を添加したものでもかまわない。
本発明に用いる離型性樹脂組成物は、通常用いられる樹脂の混合装置により製造することができる。例えば、単軸押出機、二軸押出機、バンバリ−ミキサー、加圧ニーダ−、回転ロールなどの溶融混練装置、ヘンシェルミキサー、Vブレンダー、リボンブレンダー、タンブラーなどが挙げられる。溶融混練装置を用いる場合、溶融温度はオレフィン系重合体の融点〜350℃程度が好ましい。
【0025】
本発明を構成する離型性樹脂組成物を用いてなる層の厚みは、本発明の目的が達成される限りにおいて特に限定はなく、柔軟性に優れ、破損などの問題が小さいことから、1μm〜5mmの厚みであることが好ましく、経済性の観点から、1μm〜100μmの範囲が最も好適である。
【0026】
本発明の積層体の離型性樹脂組成物を用いてなる層の表面は、テープやラベルの粘着剤表面への離型剤転写を抑制するため、酸化されているものが好ましい。さらに該酸化により剥離強度が低下し離型性を向上させることができる。
【0027】
離型性樹脂組成物を用いてなる層の表面を酸化する際の酸化処理方法としては、クロム酸処理、硫酸処理、空気酸化、オゾン処理、コロナ放電処理、フレーム処理、プラズマ処理等が挙げられ、酸化物を効果的に形成させるためコロナ放電処理、フレーム処理、プラズマ処理が特に好ましい。
【0028】
コロナ放電処理は、プラスチックフィルムやシート表面の連続処理技術として広く使用されているものであり、コロナ放電処理機により発生したコロナ雰囲気に積層体を通過させることにより行われる。コロナ放電密度として、1〜100W・分/mであることが粘着剤の再粘着性に優れ好ましい。
【0029】
フレーム処理は、天然ガスやプロパン等を燃焼させたときに生じる火炎にフィルム表面を接することで処理が行われる。
【0030】
プラズマ処理は、アルゴン、ヘリウム、ネオン、水素、酸素、空気等の単体又は混合気体をプラズマジェットで電子的に励起せしめた後、帯電粒子を除去し、電気的に中性とした励起不活性ガスをフィルム表面に吹き付けることにより行われる。
【0031】
本発明の積層体は、押出ラミネート成形により製造することができる。押出ラミネート成形には、共押出ラミネート法、タンデムラミネート法などが含まれる。
【0032】
押出ラミネート加工に供する際、離型性樹脂組成物の押出樹脂温度は300〜350℃の範囲であり、好ましくは310〜350℃、更に好ましくは320〜350℃の範囲である。離型性樹脂組成物の押出樹脂温度が300℃未満であると、得られた積層体において、基材と離型性樹脂組成物を用いてなる層との間の接着強度が低くなるばかりでなく、ポリジメチルシロキサンの積層体表面へのブリード量が少なくなり、離型性に劣るため好ましくない。また、離型性樹脂組成物の押出樹脂温度が360℃を超えると、離型性樹脂組成物が劣化し、また、ゲルやフィッシュアイを発生させることがあるため好ましくない。
【0033】
押出ラミネート加工に供する際、下式(1)にて表される離型性樹脂組成物がダイより押出され冷却ロールにより冷却されるまでの時間(エアギャップ通過時間)が0.04秒〜0.50秒の範囲であり、好ましくは0.06秒〜0.40秒、更に好ましくは0.08〜0.35の範囲である。
【0034】
エアギャップ通過時間(秒)=エアギャップ長さ(m)/ライン速度(m/秒) (1)
エアギャップ長さとは、押出ラミネート成形機に設備されているダイの先端から2本の冷却ロールが圧着した点までの距離のことを指す。また、ライン速度とは押出ラミネート成形に供する際における基材の引取速度のことを指す。
【0035】
エアギャップ通過時間が0.04秒未満の場合、ポリジメチルシロキサンの積層体表面へのブリード量が少なくなり、離型性に劣るため好ましくない。またエアギャップ通過時間が0.50秒を超える場合、押出ラミネート加工に供した際、ネックインが大きく成形性に劣るため好ましくない。また、基材と貼り合わされる際の離型性樹脂組成物の温度が低くなり、基材と離型性樹脂組成物との接着性が悪化する場合がある。
【発明の効果】
【0036】
本発明の積層体の製造方法は、ラベル、シール用の剥離紙やテープ等、広範囲にわたる産業用資材の製造方法として極めて有用である。
【実施例】
【0037】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0038】
以下に、物性、加工性の測定方法と評価方法を示す。
【0039】
(1)メルトマスフローレート(MFR)
JIS K6922−1(1997年)に準拠して測定した。
【0040】
(2)密度
JIS K6922−1(1997年)に準拠して測定した。
【0041】
(3)離型性
実施例により得られた積層体の離型フィルム側表面に巾50mm、長さ150mmの布粘着テープ(スリオンテック社製 商品名布粘着テープNo.3310)を貼付し、線圧5kg/cm、速度5m/分の条件でゴムロール間を通過させた後、40℃の雰囲気で7日間放置し、離型性測定用試料を得た。その後、試料を巾15mmに裁断し、布粘着テープと離型フィルムとの接着強度を引張試験機(島津製作所製 オートグラフDCS−100)にて測定した。剥離速度は300mm/分である。
【0042】
(4)粘着テープの再粘着性
上記離型性試験により離型フィルム表面から剥離した巾15mmの布粘着テープを、アルミニウム板(東洋アルミニウム(株)製 商品名A1N30H−H18、厚み0.1mm)に5kg/cmの線圧で貼付した。23℃の雰囲気にて1日放置した後、布粘着テープとアルミニウム板の接着強度を引張試験機(島津製作所製 オートグラフDCS−100)にて測定した。剥離速度は300mm/分である。粘着テープの粘着剤表面が離型フィルムにより汚染された場合、粘着テープの再粘着性が低下し、粘着テープとしての性能を損なう。すなわち、再粘着強度は高い方が好ましい。
【0043】
(5)基材との接着性
実施例により得られた積層体の紙/(A)層間の接着強度を引張試験機(島津製作所製 オートグラフDCS−100)にて測定した。剥離速度は300mm/分、試験片の巾は15mmである。基材である紙の材質破壊が起こる程度に接着していれば、基材との接着性が良好であると言える。
【0044】
実施例1
オレフィン系重合体として、MFRが8g/10分、密度が918kg/mである低密度ポリエチレン(東ソー(株)製 商品名ペトロセン213、以下LDPEと記す場合がある)99重量%、エポキシ基及び/又はアミノ基当量が500g/mol以上50000g/mol以下であるポリジメチルシロキサンとして、エポキシ当量3500g/mol、粘度17000cStであるエポキシ変性ポリジメチルシロキサン(信越化学工業(株)製 商品名信越シリコーンKF−1001、以下、A−1と記す場合がある)を1重量%になるよう配合し、単軸押出機(プラコー社製 押出機口径50mm)にて溶融混練(混練温度150℃)し離型性樹脂組成物のペレットを得た。
【0045】
得られたペレットを90mmΦのスクリューを有する押出ラミネーターの押出機へ供給し、320℃の温度でTダイより押出し、基材として50W・分/mの条件でコロナ処理を施した上質紙(北越製紙(株)製 商品名キンマリSW 坪量50g/m)のコロナ処理面に、離型性樹脂組成物が15μmの厚さになるようラミネートした。その際、エアギャップ長さは0.15m、ライン速度は1.67m/秒(エアギャップ通過時間0.09秒)であった。その後、インラインで積層体の離型性樹脂組成物からなる表面に15W・分/mの条件でコロナ処理を施し、積層体を得た。
【0046】
得られた積層体を20時間40℃に保温されたオーブン中に保管した後、離型性、再粘着性、基材との接着性を測定し、その測定結果を表1に示した。
【0047】
【表1】

実施例2
ライン速度を2.50m/秒とした以外は実施例1と同様にして積層体を得た。エアギャップ通過時間0.06秒である。評価結果を表1に示した。
【0048】
実施例3
ライン速度を3.3m/秒とした以外は実施例1と同様にして積層体を得た。エアギャップ通過時間0.045秒である。評価結果を表1に示した。
【0049】
実施例4
押出ラミネート成形における押出樹脂温度を310℃とした以外は実施例1と同様にして積層体を得た。評価結果を表1に示した。
【0050】
実施例5
押出ラミネート成形における押出樹脂温度を330℃とした以外は実施例1と同様にして積層体を得た。評価結果を表1に示した。
【0051】
実施例6
押出ラミネート成形における押出樹脂温度を340℃とした以外は実施例1と同様にして積層体を得た。評価結果を表2に示した。
【0052】
【表2】

実施例7
オレフィン系重合体として、LDPEを99重量%、エポキシ変性ポリジメチルシロキサン(A−1)を1重量部とした代わりに、LDPEを98重量%、エポキシ変性ポリジメチルシロキサン(A−1)を2重量%とした以外は実施例1と同様にして積層体を得た。評価結果は表2に示した。
【0053】
実施例8
オレフィン系重合体として、LDPEを99重量%、エポキシ変性ポリジメチルシロキサン(A−1)を1重量%とした代わりに、LDPEを99重量%、エポキシ基及び/又はアミノ基当量が500g/mol以上50000g/mol以下であるポリジメチルシロキサンとして、アミノ基当量1800g/mol、粘度1200cStであるアミノ変性ポリジメチルシロキサン(東レ・ダウ・コーニング・シリコーン(株)製 商品名SF8417、以下、A−2と記す場合がある)を1重量%とした以外は実施例1と同様にして積層体を得た。評価結果は表2に示した。
【0054】
実施例9
オレフィン重合体として、LDPEの代わりに、MFRが7.5g/10分、密度が902kg/mであるエチレン・1−オクテン共重合体(ダウケミカル製 商品名アフィニティPT1450、以下C8LLと記す場合がある)とした以外は、実施例1と同様にして積層体を得た。評価結果は表2に示した。
【0055】
実施例10
オレフィン重合体として、LDPEの代わりに、MFRが6.5g/10分、密度が940kg/mである中密度ポリエチレン(東ソー(株)製 商品名ペトロセンLW04−1、以下MDPEと記す場合がある)とした以外は、実施例1と同様にして積層体を得た。評価結果は表2に示した。
【0056】
比較例1
押出ラミネート成形における押出樹脂温度を280℃とした以外は実施例1と同様にして積層体を得た。評価結果を表3に示したが、離型性が劣っていた。
【0057】
【表3】

比較例2
押出ラミネート成形における押出樹脂温度を370℃とした以外は実施例1と同様にして積層体の製造を試みたが、離型性樹脂組成物の熱劣化が激しく、積層体を得ることができなかった。
【0058】
比較例3
エアギャップ長さを0.10m、ライン速度を3.33m/秒(エアギャップ通過時間0.03秒)とした以外は実施例1と同様にして積層体を得た。評価結果を表3に示したが、離型性が劣っていた。
【0059】
比較例4
エアギャップ長さを0.15m、ライン速度を0.25m/秒(エアギャップ通過時間0.6秒)とした以外は実施例1と同様にして積層体の製造を試みたが、ネックインが大きく成形性が不良であり、積層体を得ることができなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
押出ラミネート法により、基材の少なくとも片面に、オレフィン系重合体95〜99.99重量%、及び官能基当量が500g/mol以上50000g/mol以下であるエポキシ基及び/又はアミノ基を有するポリジメチルシロキサン0.01〜5重量%からなる離型性樹脂組成物を用いてなる層を積層する方法において、以下に示す(A)および(B)の要件を満足することを特徴とする積層体の製造方法。
(A)離型性樹脂組成物の押出樹脂温度が300℃以上360℃以下
(B)下式(1)にて表される離型性樹脂組成物がダイより押出され冷却ロールにより
冷却されるまでの時間(エアギャップ通過時間)が、0.04秒〜0.50秒

エアギャップ通過時間(秒)=エアギャップ長さ(m)/ライン速度(m/秒) (1)
【請求項2】
離型性樹脂組成物を用いてなる層の表面を、コロナ放電処理、フレーム処理、プラズマ処理からなる群から選ばれる少なくとも1種以上の処理方法により酸化することを特徴とする請求項1に記載の積層体の製造方法。
【請求項3】
基材が紙、布、合成樹脂からなる織布又は不織布から選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の積層体の製造方法。

【公開番号】特開2006−192866(P2006−192866A)
【公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−9546(P2005−9546)
【出願日】平成17年1月17日(2005.1.17)
【出願人】(000003300)東ソー株式会社 (1,901)
【Fターム(参考)】