説明

積層型熱交換器の製造方法及び製造用治具

【課題】強固な接合性を維持できる信頼性の高い積層型熱交換器の製造方法を提供する。
【解決手段】重ね合わせた2枚の金属板1A、1Bの間に熱交換流体の流通路15を形成したコア部11と、コア部の両端に前記流通路に連通するように配された入口側及び出口側のタンク部12と、を有する積層型熱交換器の製造方法において、2枚の金属板を重ね合わせる前に、非接合部となる箇所の少なくとも一方の金属板の表面に凹溝部を形成し、その凹溝部を内側にして金属板を重ね合わせて拡散接合することにより、凹溝部を非接合部として残しながら金属板を互いに接合し、拡散接合後に、非接合部に加圧流体を導入することにより、非接合部の部分の金属板を塑性変形させて膨らませ、それによりコア部の流通路とタンク部12を同時に成形する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層型熱交換器の製造方法及びその製造用治具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、複数枚の金属板を重ね合わせ、選択された箇所で金属板相互を拡散接合し、接合されていない部分(非接合部)の金属板を、内部への加圧ガスの導入により塑性変形させて膨らませ、それにより、非接合部に熱交換流体(冷媒)の通路を形成した積層型熱交換器、及び、その製造方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図9、図10はそのように製造する場合の従来例を示し、図9(a)は完成した熱交換器の分解斜視図、(b)は加圧ガスの導入により塑性変形させる前の段階の金属板の積層状態を示す図、図10(a)はできあがった熱交換器の全体構成を示す斜視図、図10(b)及び(c)はその要部断面図である。
【0004】
図10に示すように、この熱交換器は、2枚の金属板1A、1Bを重ね合わせ、それら2枚の金属板1A、1Bの間に互いに平行に延びる多数本の流通路15を形成したコア部11と、そのコア部11の両端に設けられたタンク部12と、を有するものである。
【0005】
両端のタンク部12の一方は、熱交換流体をコア部11の各流通路15に分配する入口側のタンク部、他方は、流通路15を通ってきた熱交換流体を外部に排出するために合流させる出口側のタンク部であり、熱交換流体は、矢印F1で示すように入口側のタンク部12から流入して、コア部11の流通路15を通過した後、矢印F2で示すように出口側のタンク部12から外部に流出する。
【0006】
なお、この種の熱交換器は、チタン、ステンレス、アルミニウム等により形成されている。
【0007】
この熱交換器を作る場合は、図9(b)に示すように、2枚の金属板1A、1Bを重ね合わせる前に、流通路15を形成する部分に、印刷等の手段によって接合防止剤(例えば、バインダーと溶剤を混ぜた酸化イットリウム等)2を塗布しておき、その状態で2枚の金属板1A、1Bを重ね合わせる。そして、金属板1A、1B間に外部から圧力を加えながら所定温度まで加熱して、金属板1A、1B同士を拡散接合する。
【0008】
いま、図9(b)において、Hで示す領域に接合防止剤2を介在させているので、それ以外のSで示す領域が互いに拡散接合によって接合される。従って、拡散接合後、接合防止剤2が介在していた部分は非接合部として残る。
【0009】
拡散接合したら、次に、金属板1A、1Bを変形しやすい温度まで加熱すると共に、非接合部にArガスを導入し、そのガス圧で非接合部の部分の金属板1A、1Bを塑性変形(膨張)させて、流通路15を有するコア部11を成形する。
【0010】
続いて、コア部11の両端にタンク形成部材3をロウ付け接合することでタンク部12を構成し、熱交換器を完成させる。
【特許文献1】特公平7−58158号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところで、従来では、図9(b)に示すように、シルクスクリーン印刷法等によって、非接合部となる部分に接合防止剤2を塗布しているが、塗布した部位(H)が僅かではあるが凸状に盛り上がるので、拡散接合時に、接合させたい部位(S)に高い面圧がかかりにくくなり、その結果、接合性が低下するおそれがあった。
【0012】
本発明は、上記事情を考慮し、強固な接合性を維持できる信頼性の高い積層型熱交換器を製造する方法、及び、その方法に使用する製造用治具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
請求項1の発明の積層型熱交換器の製造方法は、重ね合わせた2枚の金属板の間に熱交換流体の流通路を形成したコア部と、該コア部の両端に前記流通路に連通するように配され、且つ、外部から導入された熱交換流体を前記各流通路に分配する入口側のタンク部、及び、前記流通路を通ってきた熱交換流体を外部に排出するために合流させる出口側のタンク部と、を有する積層型熱交換器の製造方法において、前記2枚の金属板を重ね合わせる前に、非接合部となる箇所の少なくとも一方の金属板の表面に凹溝部を形成し、その凹溝部を内側にして前記2枚の金属板を重ね合わせ、その状態で2枚の金属板を拡散接合することにより、前記凹溝部を非接合部として残しながら前記金属板を互いに接合し、拡散接合後に、前記非接合部に加圧流体を導入することにより、前記非接合部の部分の金属板を塑性変形させて膨らませ、それにより前記コア部の流通路を形成することを特徴とする。
【0014】
請求項2の発明は、請求項1に記載の積層型熱交換器の製造方法であって、前記2枚の金属板の拡散接合後の温度下降過程で、前記非接合部に加圧流体を導入して、前記コア部の流通路を形成することを特徴とする。
【0015】
請求項3の発明は、請求項1または2に記載の積層型熱交換器の製造方法であって、前記2枚の金属板の拡散接合後に、前記非接合部に加圧流体を導入することによって、前記コア部の流通路と同時に、同じ金属板の塑性変形により前記タンク部を形成することを特徴とする。
【0016】
請求項4の発明は、請求項3に記載の積層型熱交換器の製造方法であって、前記非接合部に加圧流体を導入することによって前記コア部の流通路と前記タンク部を形成する際に、コア部形成用キャビティ及びタンク部形成用キャビティを有する塑性加工用の金型間に前記2枚の金属板を配置した状態で、前記加圧流体を導入することにより、コア部の外形及びタンク部の外形を前記キャビティによって成形することを特徴とする。
【0017】
請求項5の発明は、請求項4に記載の積層型熱交換器の製造方法であって、前記塑性加工用の金型の対向面に前記キャビティを隠すように加圧治具を装着することで、前記金型及び加圧治具によって拡散接合用の治具を構成し、この拡散接合用の治具により前記2枚の金属板に外側から圧力を加えながら拡散接合を実施し、その後、前記加圧治具を取り外して前記キャビティを露出させ、その状態で前記非接合部に加圧流体を導入することによって、前記コア部の流通路と前記タンク部を形成することを特徴とする。
【0018】
請求項6の発明は、請求項5に記載の積層型熱交換器の製造方法であって、前記金型に前記加圧治具を、前記キャビティを隠す位置と前記キャビティを露出させる位置との間でスライド可能に設けたことを特徴とする。
【0019】
請求項7の発明は、少なくとも請求項1〜6のいずれか一つに記載の積層型熱交換器の製造方法であって、前記加圧流体として、不活性ガスを導入することを特徴とする。
【0020】
請求項8の発明は、少なくとも請求項1〜6のいずれか一つに記載の積層型熱交換器の製造方法であって、前記加圧流体として、液体を導入することを特徴とする。
【0021】
請求項9の発明の積層型熱交換器の製造用治具は、重ね合わせた2枚の金属板を拡散接合し、次に、2枚の金属板の非接合部に加圧流体を導入し、前記非接合部の金属板を塑性変形して膨らませることにより、熱交換流体の流通路を有したコア部と、該コア部の両端の入口側及び出口側のタンク部とを形成してなる積層型熱交換器の製造用治具であって、コア部形成用キャビティ及びタンク部形成用キャビティを有する塑性加工用の一対の金型と、該金型の対向面に前記キャビティを隠すように着脱自在に装着されることで拡散接合用の治具を構成する加圧治具とを備え、前記加圧治具は、前記キャビティを隠す位置と前記キャビティを露出させる位置との間でスライド可能に設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
請求項1の発明によれば、予め金属板の表面に凹溝部を形成しておき、その凹溝部が拡散接合時に非接合部を形成するので、予め金属板の表面に接合防止剤を塗布しておく必要がない。従って、金属板の対向面間に接合防止剤を介在させずに済むことから、拡散接合の際に、接合すべき部位に対して十分な面圧を加えることができ、良好な接合を行うことができる。
【0023】
請求項2の発明によれば、拡散接合後の温度下降過程で加圧流体導入による塑性加工を行うので、拡散接合後に再加熱する必要がなく、生産性の向上が図れると共に、再加熱による熱歪みを防止することができる。
【0024】
請求項3の発明によれば、2枚の金属板だけで、コア部とタンク部を同時に形成するので、タンク部を後付けする必要がなく、工程を簡略化することができる。
【0025】
請求項4の発明によれば、加圧流体の導入による塑性変形時に、金型のキャビティによってコア部とタンク部の外形を規制するので、局部的に金属板が膨らむようなことがなく、形状精度の高い熱交換器を製造することができる。
【0026】
請求項5の発明によれば、金型の対向面に加圧治具を装着してキャビティを隠すか、加圧治具を取り外してキャビティを露出させるかで、拡散接合用金型(拡散接合仕様)と塑性加工用金型(塑性加工仕様)となるので、製造装置の主要部分を共通化することができ、コスト削減に寄与することができる。
【0027】
請求項6の発明によれば、加圧治具をスライドさせるだけで、拡散接合用金型(拡散接合仕様)と塑性加工用金型(塑性加工仕様)にもなるので、拡散接合後にすぐに塑性加工できる状態に移行することができる。
【0028】
請求項7の発明によれば、加圧流体として不活性ガスを導入するので、容易に塑性加工を行うことができると共に、クリーニング等の後処理が楽にできる。
【0029】
請求項8の発明によれば、加圧流体として液体を導入するので、冷間加工することができ、加熱による歪みなどの影響を無くすことができる。
【0030】
請求項9の発明によれば、金型の対向面に加圧治具を装着してキャビティを隠すか、加圧治具を取り外してキャビティを露出させるかで、拡散接合用金型(拡散接合仕様)と塑性加工用金型(塑性加工仕様)にもなるので、製造用治具の主要部分を共通化することができ、コスト削減に寄与することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。
【0032】
図1は本発明の実施形態の製造方法により製造した積層型熱交換器の構成を示す図、図2は熱交換器を構成するための金属板の構成を示す図、図3は2枚の金属板を重ねた状態を示す図、図4はその断面図である。
【0033】
図1に示すように、ここで製造しようとする積層型熱交換器は、重ね合わせた2枚の金属板1A、1Bの間に熱交換流体(冷媒)の流通路15を形成した板状のコア部11と、該コア部11の両端のタンク部12と、を有するものである。
【0034】
両端のタンク部12の一方は、熱交換流体をコア部11の各流通路15に分配する入口側のタンク部、他方は、流通路15を通ってきた熱交換流体を外部に排出するために合流させる出口側のタンク部であり、これら両端のタンク部12は、後述するように、コア部11を構成する2枚の金属板1A、1Bによって一体に形成されている。ここで、金属板1A、1Bは、例えばチタン、ステンレス、アルミニウム等の材料よりなるもので、コアプレートとも呼ばれる。
【0035】
次に、この熱交換器を得るための本発明の実施形態の製造方法について説明する。
【0036】
この熱交換器を得る場合には、まず、2枚の金属板1A、1Bを重ね合わせるのであるが、2枚の金属板1A、1Bを重ね合わせる前に、図2に示すように、予め、非接合部Hとなる箇所の少なくとも一方(本例では両方)の金属板1A、1Bの表面に、エッチング加工等により凹溝部5を形成しておく。凹溝部5の凹み量dは、金属板1A、1Bの板厚tの3〜4%以上に設定しておくのが好ましい。
【0037】
次に、図3に示すように、その凹溝部5を内側にして、2枚の金属板1A、1Bを重ね合わせる。重ね合わせた状態の断面を図4に示す。図4の(a)はタンク部12となる部分の断面図、(b)はコア部の流通路となる部分の断面図である。
【0038】
2枚の金属板1A、1Bを互いに位置決めして重ね合わせたら、これを拡散接合用の治具にセットする。
【0039】
ここでは、拡散接合用の治具と、その後の工程で使用する塑性変形用の金型とが一緒になった、図5〜図7に示すような共用型の製造用治具を使用する。
【0040】
この製造用治具は、図6に下側のみの構成を示すように、コア部形成用キャビティ22b(21b)及びタンク部形成用キャビティ22a(21a)を、対向する合わせ面に有する塑性加工用の上下一対の金型21、22を主要素とし、これら金型21、22に外部から型閉め力を作用させることができるものであり、その付属的な要素として、拡散接合時に使用する加圧治具30が、上下の金型21、22にそれぞれ移動可能に備わっている。
【0041】
加圧治具30は、塑性加工用の金型21、22の対向面に、キャビティ22b(21b)、22a(21a)を隠すように装着されることにより、金型21、22と共に拡散接合用の治具(拡散接合用金型)を構成するものであり、図5(a)、(b)及び図7(a)に示すように、拡散接合位置にセットされることで、空洞であるキャビティ22b(21b)、22a(21a)に影響されずに、対向する金型21、22の加圧面を、拡散接合に要求される面形状(例えばフラット面)にする。
【0042】
加圧治具30は、コア部11の幅方向に対応する方向に二分割された2つの部材31によって構成されており、拡散接合時にキャビティ22b(21b)、22a(21a)を隠す拡散接合位置と、加圧流体導入時にキャビティ22b(21b)、22a(21a)を露出させる塑性変形位置〔図5(c)、(d)及び図7(b)参照〕との間で、スライド可能に設けられている。
【0043】
図6は、塑性変形位置に加圧治具30をセットした状態を示し、図中の矢印が、加圧治具30を構成する2つの部材31のスライド方向を示している。
【0044】
引き続いて、積層型熱交換器の製造方法の手順について説明すると、まず、製造用治具の上下の金型21、22の対向面に、図5(a)、(b)及び図7(a)に示すように、キャビティ22b(21b)、22a(21a)を隠すように加圧治具30をスライドさせてセットし、拡散接合用金型とする。
【0045】
そしてその状態で、上下の加圧治具30の間に、2枚の金属板1A、1Bを重ねて配置し、型閉めを行い、2枚の金属板1A、1Bに外側から圧力を加えながら、拡散接合温度まで昇温させて拡散接合を実施する。ステンレスの場合、拡散接合温度は約1100℃である。
【0046】
拡散接合すると、凹溝部5のある位置は接合されないので、図4に示すように非接合部Hとして残り、他の部分だけが接合部Sとなる。
【0047】
拡散接合が終了したら、いったん金型21、22を開いて、加圧治具30を、キャビティ22b(21b)、22a(21a)を隠す拡散接合位置から、図7(b)に示すように、塑性変形の邪魔にならない塑性変形位置までスライドさせ、キャビティ22b(21b)、22a(21a)を露出させて、塑性変形用金型とする。
【0048】
そして、再び金型21、22を閉めた状態とし、図8に示すように、ある所定温度まで温度が低下した段階で、即ち、拡散接合後の温度下降過程において金属がまだ柔らかい800〜900℃のレベルまで温度が下降した段階Pで、金属板1A、1B間の非接合部Hに、加圧流体としてArガス等の不活性ガスを導入し、それによって、非接合部Hの部分の金属板1A、1Bを塑性変形させて膨らませ、コア部11の流通路15とタンク部12を同時に形成する。
【0049】
これにより、図1の熱交換器が得られる。
【0050】
なお、加圧ガスの注入箇所は、製品に応じて設定するものとする。本例では、一方のタンク部12に相当する位置で注入し、他方のタンク部12に相当する位置で排出する。また、図8の拡散接合温度パターンにおいて、a区間が拡散接合工程に相当し、b区間が塑性変形工程に相当する。
【0051】
以上のように、上記実施形態の製造方法では、予め金属板1A、1Bの表面に凹溝部5を形成しておき、その凹溝部5によって拡散接合時に非接合部Hを形成するので、従来のように金属板1A、1Bの表面に接合防止剤を塗布しておく必要がない。従って、金属板1A、1Bの対向面間に接合防止剤を介在させずに済むことから、拡散接合の際に、接合すべき部位に対して十分な面圧を加えることができ、良好な接合を行うことができる。
【0052】
また、拡散接合後の温度下降過程で加圧流体導入による塑性加工を行うので、拡散接合後に再加熱する必要がなく、生産性の向上が図れると共に、再加熱による熱歪みを防止することができる。
【0053】
また、2枚の金属板1A、1Bだけで、コア部11とタンク部12を同時に形成するので、従来のようにタンク部12を後付けする必要がなく、工程を簡略化することができる。
【0054】
また、加圧流体の導入による塑性変形時に、金型21、22のキャビティ21a、21b、22a、22bによってコア部11とタンク部15の外形を規制するので、局部的に金属板1A、1Bが膨らむようなことがなく、形状精度の高い適正な形状の熱交換器を製造することができる。
【0055】
また、金型21、22の対向面に加圧治具30を装着してキャビティ21a、21b、22a、22bを隠すか、加圧治具30を取り外してキャビティ21a、21b、22a、22bを露出させるかで、拡散接合用金型(拡散接合仕様)と塑性加工用金型(塑性加工仕様)にもなるので、製造装置の主要部分を共通化することができ、コスト削減に寄与することができる。
【0056】
また、加圧治具30をスライドさせるだけで、拡散接合用金型(拡散接合仕様)と塑性加工用金型(塑性加工仕様)にもなるので、拡散接合後にすぐに塑性加工できる状態に移行することができる。
【0057】
また、加圧流体としてArガス等の不活性ガスを導入するので、容易に塑性加工を行うことができると共に、クリーニング等の後処理が楽にできる。
【0058】
なお、加圧ガスの代わりに液体を導入して、金属板1A、1Bに塑性変形を与えてもよい。液体の圧力を利用して加工する場合、高温に加熱しないで冷間加工することができるので、余計な加熱による歪みなどの影響を無くすことができるし、加工の時期も拡散接合工程に影響されずに自由に設定できる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の実施形態の製造方法により製造した積層型熱交換器の構成図であり、(a)は全体構成を示す斜視図、(b)、(c)はそれぞれ(a)のIb−Ib矢視断面図及びIc−Ic矢視断面図である。
【図2】実施形態の方法により熱交換器を製造する場合に用意する金属板の構成図で、(a)は平面図、(b)は(a)のIIb−IIb矢視断面図である。
【図3】図2に示した2枚の金属板を重ねた状態を示す図で、(a)は斜視図、(b)は平面図である。
【図4】(a)、(b)は、それぞれ図3のIVa−IVa矢視断面図及びIVb−IVb矢視断面図である。
【図5】実施形態の製造方法の工程(a)〜(d)の説明図である。
【図6】実施形態の製造方法で使用する製造用治具の一部構成を示す斜視図である。
【図7】実施形態の製造方法で使用する製造用治具の説明図で、(a)は拡散接合仕様、(b)は塑性変形仕様に設定したときの状態を示す図である。
【図8】実施形態の製造方法にて工程を実施する場合の温度パターンを示す図である。
【図9】従来の製造方法の説明に使用する図で、(a)は完成した熱交換器の分解斜視図、(b)は加圧ガスの導入により塑性変形させる前の段階の金属板の積層状態を示す図である。
【図10】従来の熱交換器の説明図で、(a)はできあがった熱交換器の全体構成を示す斜視図、(b)は(a)のXa−Xa矢視断面図、(c)は(a)のXb−Xb矢視断面図である。
【符号の説明】
【0060】
1A,1B…金属板
5…凹溝部
11…コア部
12…タンク部
20…製造用治具
21,22…金型
21a,22a…タンク部形成用キャビティ
21b,22b…コア部形成用キャビティ
30…加圧治具
S…接合部
H…非接合部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
重ね合わせた2枚の金属板(1A、1B)の間に熱交換流体の流通路(15)を形成したコア部(11)と、該コア部(11)の両端に前記流通路(15)に連通するように配され、且つ、外部から導入された熱交換流体を前記各流通路(15)に分配する入口側のタンク部(12)、及び、前記流通路(15)を通ってきた熱交換流体を外部に排出するために合流させる出口側のタンク部(12)と、を有する積層型熱交換器の製造方法において、
前記2枚の金属板(1A、1B)を重ね合わせる前に、非接合部(H)となる箇所の少なくとも一方の金属板(1A、1B)の表面に凹溝部(5)を形成し、その凹溝部(5)を内側にして前記2枚の金属板(1A、1B)を重ね合わせ、その状態で2枚の金属板(1A、1B)を拡散接合することにより、前記凹溝部を非接合部として残しながら前記金属板(1A、1B)を互いに接合し、
拡散接合後に、前記非接合部(H)に加圧流体を導入することにより、前記非接合部(H)の部分の金属板(1A、1B)を塑性変形させて膨らませ、それにより前記コア部(11)の流通路(15)を形成する
ことを特徴とする積層型熱交換器の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の積層型熱交換器の製造方法であって、
前記2枚の金属板(1A、1B)の拡散接合後の温度下降過程で、前記非接合部(H)に加圧流体を導入して、前記コア部(11)の流通路(15)を形成する
ことを特徴とする積層型熱交換器の製造方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の積層型熱交換器の製造方法であって、
前記2枚の金属板(1A、1B)の拡散接合後に、前記非接合部(H)に加圧流体を導入することによって、前記コア部(11)の流通路(15)と同時に、同じ金属板(1A、1B)の塑性変形により前記タンク部(12)を形成する
ことを特徴とする積層型熱交換器の製造方法。
【請求項4】
請求項3に記載の積層型熱交換器の製造方法であって、
前記非接合部(H)に加圧流体を導入することによって前記コア部(11)の流通路(15)と前記タンク部(12)を形成する際に、コア部形成用キャビティ(21b、22b)及びタンク部形成用キャビティ(21a、22a)を有する塑性加工用の金型(21、22)間に前記2枚の金属板(1A、1B)を配置した状態で、前記加圧流体を導入することにより、コア部(11)の外形及びタンク部(12)の外形を前記キャビティ(21a、21b、22a、22b)によって成形する
ことを特徴とする積層型熱交換器の製造方法。
【請求項5】
請求項4に記載の積層型熱交換器の製造方法であって、
前記塑性加工用の金型(21、22)の対向面に前記キャビティ(21a、21b、22a、22b)を隠すように加圧治具(30)を装着することで、前記金型(21、22)及び加圧治具(30)によって拡散接合用の治具を構成し、この拡散接合用の治具により前記2枚の金属板(1A、1B)に外側から圧力を加えながら拡散接合を実施し、その後、前記加圧治具(30)を取り外して前記キャビティ(21a、21b、22a、22b)を露出させ、その状態で前記非接合部(H)に加圧流体を導入することによって、前記コア部(11)の流通路(15)と前記タンク部(12)を形成する
ことを特徴とする積層型熱交換器の製造方法。
【請求項6】
請求項5に記載の積層型熱交換器の製造方法であって、
前記金型(21、22)に前記加圧治具(30)を、前記キャビティ(21a、21b、22a、22b)を隠す位置と前記キャビティ(21a、21b、22a、22b)を露出させる位置との間でスライド可能に設けた
ことを特徴とする積層型熱交換器の製造方法。
【請求項7】
少なくとも請求項1〜6のいずれか一つに記載の積層型熱交換器の製造方法であって、
前記加圧流体として、不活性ガスを導入する
ことを特徴とする積層型熱交換器の製造方法。
【請求項8】
少なくとも請求項1〜6のいずれか一つに記載の積層型熱交換器の製造方法であって、
前記加圧流体として、液体を導入する
ことを特徴とする積層型熱交換器の製造方法。
【請求項9】
重ね合わせた2枚の金属板(1A、1B)を拡散接合し、次に、2枚の金属板(1A、1B)の非接合部(H)に加圧流体を導入し、前記非接合部(H)の金属板(1A、1B)を塑性変形して膨らませることにより、熱交換流体の流通路(15)を有したコア部(11)と、該コア部(11)の両端の入口側及び出口側のタンク部(12)とを形成してなる積層型熱交換器の製造用治具であって、
コア部形成用キャビティ(21b、22b)及びタンク部形成用キャビティ(21a、22b)を有する塑性加工用の一対の金型(21、22)と、該金型(21、22)の対向面に前記キャビティ(21a、21b、22a、22b)を隠すように着脱自在に装着されることで拡散接合用の治具を構成する加圧治具(30)と、を備え、
前記加圧治具(30)は、前記キャビティ(21a、21b、22a、22b)を隠す位置と前記キャビティ(21a、21b、22a、22b)を露出させる位置との間でスライド可能に設けられている
ことを特徴とする積層型熱交換器の製造用治具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−255746(P2006−255746A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−75560(P2005−75560)
【出願日】平成17年3月16日(2005.3.16)
【出願人】(000004765)カルソニックカンセイ株式会社 (3,404)
【Fターム(参考)】