空中線
【課題】アンテナの放射パターンを変化させ、レーダアンテナとして用いた場合にレーダの覆域を可変的に拡大する。
【解決手段】電波10aを所定方向に放射するアレーアンテナ1と、アレーアンテナ1からの電波10aの反射/透過を切替可能であり、反射状態の場合に当該電波10aを当該アレーアンテナ1では放射できない方向に反射する電波反射透過手段2とを備えた。
【解決手段】電波10aを所定方向に放射するアレーアンテナ1と、アレーアンテナ1からの電波10aの反射/透過を切替可能であり、反射状態の場合に当該電波10aを当該アレーアンテナ1では放射できない方向に反射する電波反射透過手段2とを備えた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電波を放射することができる空間的な領域を可変的に拡大することが可能な空中線に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、航空機が探知されることを防止するため、航空機のアンテナ前面側に周波数選択板を設けたものが知られている(例えば特許文献1参照)。この特許文献1に開示された技術では、航空機用レドーム内部に配設されたアンテナの前面側に、機体中心から傾斜した面でアンテナを覆う周波数選択板を設けている。そして、周波数選択板によって、アンテナが放射する電波および反射波のみを透過し、それ以外の周波数の電波を反射している。
また、この周波数選択板について、ダイオードを利用することで電気特性を可変としたものも知られている(例えば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−298322号公報
【特許文献2】特開2005−236620号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1,2に開示された従来技術では、周波数選択板を用いて、この板に入射された電波を選択的に反射または透過している。しかしながら、この構成ではアンテナの放射パターンを変化させることはできず、レーダの覆域を可変的に拡大することは不可能であるという課題があった。
【0005】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、アンテナの放射パターンを変化させることができ、レーダアンテナとして用いた場合にレーダの覆域を可変的に拡大することができる空中線を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る空中線は、電波を所定方向に放射するアンテナと、アンテナからの電波の反射/透過を切替可能であり、反射状態の場合に当該電波を当該アンテナでは放射できない方向に反射する電波反射透過手段とを備えたものである。
【0007】
また、この発明に係る空中線は、電波を所定方向に放射するアンテナと、プラズマを発生するプラズマ発生器と、プラズマ発生器により発生されたプラズマを封入する複数の放電管が略々平面上に配列されて成るプラズマ面とを備え、プラズマ面は、プラズマの封入状態によりアンテナからの電波の反射/透過を切替可能であり、反射状態の場合に当該電波を当該アンテナでは放射できない方向に反射するものである。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、上記のように構成したので、アンテナの放射パターンを変化させることができ、この空中線をレーダアンテナとして用いた場合にレーダの覆域を可変的に拡大することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】この発明の実施の形態1に係る空中線の構成を示す図であり、(a)天頂方向からの概観図であり、(b)(a)のA−A’線断面図である。
【図2】この発明の実施の形態1における電波反射透過手段の構造を示す図である。
【図3】この発明の実施の形態2に係る空中線の構成を示す天頂方向からの概観図である。
【図4】この発明の実施の形態3に係る空中線の構成を示す断面図である。
【図5】この発明の実施の形態4に係る空中線の構成を示す断面図である。
【図6】この発明の実施の形態5に係る空中線の構成を示す図であり、(a)天頂方向からの概観図であり、(b)(a)のB−B’線断面図である。
【図7】この発明の実施の形態6に係る空中線の構成を示す天頂方向からの概観図である。
【図8】この発明の実施の形態7に係る空中線の構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1に係る空中線の構成を示す図であり、図1(a)は天頂方向からの概観図であり、図1(b)は図1(a)のA−A’線断面図である。
空中線は、図1に示すように、アレーアンテナ1および複数(偶数個)の電波反射透過手段2から構成されている。
【0011】
アレーアンテナ1は電波50aを所定方向に放射する指向性アンテナである。なお図1(b)では、アレーアンテナ1から電波反射透過手段2(2a)に向かって電波50aを放射した場合について示している。
電波反射透過手段2は、アレーアンテナ1から放射された電波50aを反射または透過するものである。この電波反射透過手段2は、アレーアンテナ1の開口面の略中心における法線ベクトル3に対して点対称となるように配置されている(図1(a)では四方に配置されている)。そして、各電波反射透過手段2は、独立して電波50aの反射/透過を切替可能に構成されている。また、各電波反射透過手段2は、電波50aをアレーアンテナ1では放射できない方向(図1(b)ではアレーアンテナ1の開口面と略平行な方向)に反射するように、設置角度が調整されている。
【0012】
次に、電波反射透過手段2の構造について説明する。図2はこの発明の実施の形態1における電波反射透過手段2の構造例を示す図である。なお、図2に示す電波反射透過手段2の手前−奥方向が、図1に示す電波反射透過手段2の底面−天頂方向に対応している。
電波反射透過手段2は、図2に示すように、誘電体基板21上に、特定の周波数の電波50aを反射または透過させるように周期的に配列された金属板22と、隣接する金属板22を接続する可変型電子素子23とが設けられることで構成されている。なお、可変型電子素子23は整流作用を有する。そして、この可変型電子素子23への電圧供給のON/OFF動作によって、電流反射透過手段2の反射/透過状態が規定される。
【0013】
次に、上記のように構成された空中線の動作について説明する。
なお以下では、図1(b)において対向している電波反射透過手段2をそれぞれ電波反射透過手段2a,2bと称す。また、電波反射透過手段2aはON(反射)状態であり、電波反射透過手段2bはOFF(透過)状態であるとする。そして、アレーアンテナ1は、電波反射透過手段2aに向かって電波50aを放射するものとする。
【0014】
空中線の動作では、図1(b)に示すように、まず、アレーアンテナ1から電波反射透過手段2aに向かって電波50aが放射される。次いで、ON状態の電波反射透過手段2aは、アレーアンテナ1からの電波50aを、アレーアンテナ1では放射することができない方向(アレーアンテナ1の開口面と略平行な方向)に反射する。これにより、電波50bは電波反射透過手段2bに向かって進む。次いで、OFF状態の電波反射透過手段2bは、この反射された電波50bを透過する。
このように動作することで、本来、アレーアンテナ1からの電波50aでは放射することができない方向(アレーアンテナ1の開口面と略平行な方向)に、電波50bを放射することができる。なお、図1(b)において、電波反射透過手段2aをOFF(透過)状態に切り替えた場合には、アレーアンテナ1からの電波50aは電波反射透過手段2aを透過して、通常通り放射されることになる。
【0015】
以上のように、この実施の形態1によれば、電波50aの反射/透過を切替可能であり、反射状態の場合に電波50aをアレーアンテナ1では放射できない方向に反射する反射透過手段2を、アレーアンテナ1の開口面の略中心における法線ベクトル3に対して点対称となるように複数配置したので、アレーアンテナ1の放射パターンを変化させることができ、この空中線をレーダアンテナとして用いた場合にレーダの覆域を可変的に拡大することができる。
【0016】
実施の形態2.
実施の形態1では、複数の電波反射透過手段2を設けた場合について示したが、実施の形態2では、1つのリング状の電波反射透過手段4を設けた場合について示す。
図3はこの発明の実施の形態2に係る空中線の構成を示す天頂方向からの概観図である。図3に示す実施の形態2に係る空中線は、図1に示す実施の形態1に係る空中線の電波反射透過手段2を電波反射透過手段4に変更したものである。その他の構成は同様であり、同一の符号を付してその説明を省略する。また、図3のA−A’線断面図は、図1(b)と同様である。
【0017】
電波反射透過手段4は、図3に示すように、リング状に構成されている。この電波反射透過手段4は、アレーアンテナ1の開口面の略中心における法線ベクトル3を軸心とするように配置されている。そして、電波反射透過手段4は、軸心まわりに所定の間隔で、電波50aの反射/透過が切替可能に構成されている。また、電波反射透過手段4は、電波50aをアレーアンテナ1では放射できない方向(アレーアンテナ1の開口面と略平行な方向)へ反射するように構成されている。
上記のように構成された空中線の動作は、実施の形態1に係る空中線の動作と同様であるため、その説明を省略する。
【0018】
以上のように、この実施の形態2によれば、リンク状の電波反射透過手段4を、アレーアンテナ1の略中心における法線ベルトル3を軸心とするように配置しても、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
【0019】
実施の形態3.
実施の形態3に係る空中線は、レドーム5を有する空中線に本願発明を適用したものである。図4はこの発明の実施の形態3に係る空中線の構成を示す断面図である。図4に示す実施の形態3に係る空中線は、図1に示す実施の形態1に係る空中線にレドーム5を設け、電波反射透過手段2を電波反射透過手段6に変更したものである。その他の構成は同様であり、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0020】
レドーム5は、アレーアンテナ1を周囲環境から保護するために設置されるものであり、アレーアンテナ1の前面側(放射方向側)に設置される。また、電波反射透過手段6は、レドーム5の一部分として装荷される。
この電波反射透過手段6は、アレーアンテナ1の開口面の略中心における法線ベクトル3に対して点対称となるように配置されている。そして、各電波反射透過手段6は、それぞれ独立して電波50aの反射/透過が切替可能に構成されている。また、各電波反射透過手段6は、電波50aをアレーアンテナ1では放射できない方向(図4ではアレーアンテナ1の開口面と略平行な方向)へ反射するように、設置角度が調整されている。
上記のように構成された空中線の動作は、実施の形態1に係る空中線の動作と同様であるため、その説明を省略する。
【0021】
以上のように、この実施の形態3によれば、レドーム5を有する空中線において、電波50aの反射/透過を切替可能であり、反射状態の場合に電波50aをアレーアンテナ1では放射できない方向に反射する反射透過手段6を、アレーアンテナ1の略中心における法線ベクトル3に対して点対称となるように配置しても、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
なお、電波反射透過手段6を、実施の形態2に係る電波反射透過手段4のようにリング状に構成してもよい。
【0022】
また、実施の形態1−3における電波反射透過手段2,4,6では、電波50aをアレーアンテナ1の開口面と略平行な方向に反射するように構成したが、アレーアンテナ1では放射できない方向であればどのような方向に反射してもよい。
また、実施の形態1,3における電波反射透過手段2,6では、法線ベクトル3に対して点対称となるように配置したが、これに限るものではなく、例えば図1(b)において、電波反射透過手段2bは設けず、電波反射透過手段2aのみを設けるようにしてもよい。
【0023】
実施の形態4.
実施の形態1−3では、電波反射透過手段2,4,6を用いた場合について示したが、実施の形態4では、プラズマ面8を用いた場合について示す。
図5はこの発明の実施の形態4に係る空中線の構成を示す断面図である。図5に示す実施の形態4に係る空中線は、図1に示す実施の形態1に係る空中線の電波反射透過手段2を削除し、プラズマ発生器7およびプラズマ面8を追加したものである。その他の構成は同様であり、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0024】
プラズマ発生器7は、プラズマを発生するものである。
プラズマ面8は、アレーアンテナ1から放射された電波50aを反射または透過するものである。このプラズマ面8は、プラズマ発生器7により発生されたプラズマを封入する複数の放電管(不図示)が略々平面上に配列されることで構成されている。そして、プラズマ発生器7により放電管へのプラズマの封入状態を切替えることで、プラズマ面8における電波50aの反射/透過を切替可能に構成されている。また、プラズマ面8は、電波50aをアレーアンテナ1では放射できない方向(図5ではアレーアンテナ1の開口面と略平行な方向)に反射するように、設置角度が調整されている。
【0025】
次に、上記のように構成された空中線の動作について説明する。
なお以下では、プラズマ面8が反射状態(放電管にプラズマが封入されている状態)であるとする。そして、アレーアンテナ1は、プラズマ面8に向かって電波50aを放射するものとする。
【0026】
空中線の動作では、図5に示すように、まず、アレーアンテナ1からプラズマ面8に向かって電波50aが放射される。次いで、反射状態のプラズマ面8は、アレーアンテナ1からの電波50aを、アレーアンテナ1では放射することができない方向(アレーアンテナ1の開口面と略平行な方向)に反射する。
このように動作することで、本来、アレーアンテナ1からの電波50aでは放射することができない方向(アレーアンテナ1の開口面と略平行な方向)に、電波50bを放射することができる。なお、図5において、プラズマ面8を透過状態(放電管にプラズマが封入されていない状態)に切り替えた場合には、アレーアンテナ1からの電波50aはプラズマ面8を透過して、通常通り放射されることになる。
【0027】
以上のように、この実施の形態4によれば、電波50aの反射/透過を切替可能であり、反射状態の場合に電波50aをアレーアンテナ1では放射できない方向に反射するプラズマ面8を配置したので、アレーアンテナ1の放射パターンを変化させることができ、この空中線をレーダアンテナとして用いた場合にレーダの覆域を可変的に拡大することができる。
【0028】
実施の形態5.
実施の形態4では、図5に示すように1つのプラズマ面8を設けた場合について示したが、実施の形態5では、プラズマ面8を複数(偶数個)設けた場合について示す。
図6はこの発明の実施の形態5に係る空中線の構成を示す図であり、図6(a)は天頂方向からの概観図であり、図6(b)は図6(a)のB−B’線断面図である。図6に示す実施の形態5に係る空中線は、プラズマ発生器7およびプラズマ面8を複数設けた点以外は図5に示す実施の形態4に係る空中線と同様であり、各構成の説明を省略する。
【0029】
各プラズマ面8は、アレーアンテナ1の開口面の略中心における法線ベクトル3に対して点対称となるように配置されている(図6(a)では四方に配置されている)。また、各プラズマ面8は、電波50aをアレーアンテナ1では放射できない方向(図6(b)ではアレーアンテナ1の開口面と略平行な方向)に反射するように、設置角度が調整されている。
【0030】
次に、上記のように構成された空中線の動作について説明する。
なお以下では、図6(b)において対向しているプラズマ面8をそれぞれプラズマ面8a,8bと称す。また、プラズマ面8aが反射状態(放電管にプラズマが封入されている状態)であり、プラズマ面8bが透過状態(放電管にプラズマが封入されていない状態)であるとする。そして、アレーアンテナ1は、プラズマ面8aに向かって電波50aを放射するものとする。
【0031】
空中線の動作では、図6(b)に示すように、まず、アレーアンテナ1からプラズマ面8aに向かって電波50aが放射される。次いで、反射状態のプラズマ面8aは、アレーアンテナ1からの電波50aを、アレーアンテナ1では放射することができない方向(アレーアンテナ1の開口面と略平行な方向)に反射する。これにより、電波50bはプラズマ面8bに向かって進む。次いで、透過状態のプラズマ面8bは、この反射された電波50bを透過する。
このように動作することで、本来、アレーアンテナ1からの電波50aでは放射することができない方向(アレーアンテナ1の開口面と略平行な方向)に、電波50bを放射することができる。なお、図6(b)において、プラズマ面8aを透過状態(放電管にプラズマが封入されていない状態)に切り替えた場合には、アレーアンテナ1からの電波50aはプラズマ面8aを透過して、通常通り放射されることになる。
【0032】
以上のように、この実施の形態5によれば、電波50aの反射/透過を切替可能であり、反射状態の場合に電波50aをアレーアンテナ1では放射できない方向に反射するプラズマ面8を、アレーアンテナ1の開口面の略中心における法線ベクトル3に対して点対称となるように複数配置したので、アレーアンテナ1の放射パターンを変化させることができ、この空中線をレーダアンテナとして用いた場合にレーダの覆域を可変的に拡大することができる。
【0033】
実施の形態6.
実施の形態5では、複数のプラズマ面8を設けた場合について示したが、実施の形態6では、1つのリング状のプラズマ面9を設けた場合について示す。
図7はこの発明の実施の形態6に係る空中線の構成を示す天頂方向からの概観図である。図7に示す実施の形態6に係る空中線は、図6に示す実施の形態5に係る空中線のプラズマ面8をプラズマ面9に変更したものである。その他の構成は同様であり、同一の符号を付してその説明を省略する。また、図7のB−B’線断面図は、図6(b)と同様である。
【0034】
プラズマ面9は、図7に示すように、リング状に構成されている。このプラズマ面9は、アレーアンテナ1の開口面の略中心における法線ベクトル3を軸心とするように配置されている。そして、プラズマ面9は、軸心まわりに所定の間隔で、電波50aの反射/透過が切替可能に構成されている。また、プラズマ面9は、電波50aをアレーアンテナ1では放射できない方向(アレーアンテナ1の開口面と略平行な方向)へ反射するように構成されている。
上記のように構成された空中線の動作は、実施の形態5に係る空中線の動作と同様であるため、その説明を省略する。
【0035】
以上のように、この実施の形態6によれば、リンク状のプラズマ面9を、アレーアンテナ1の略中心における法線ベクトル3を軸心とするように配置しても、実施の形態5と同様の効果を得ることができる。
【0036】
実施の形態7.
実施の形態7に係る空中線は、レドーム5を有する空中線に本願発明を適用したものである。図8はこの発明の実施の形態7に係る空中線の構成を示す断面図である。図8に示す実施の形態7に係る空中線は、図6に示す実施の形態5に係る空中線にレドーム5を設け、プラズマ面8をプラズマ面10に変更したものである。その他の構成は同様であり、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0037】
レドーム5は、アレーアンテナ1を周囲環境から保護するために設置されるものであり、アレーアンテナ1の前面側(放射方向側)に設置される。また、プラズマ面10は、レドーム5の一部分として装荷される。
このプラズマ面10は、アレーアンテナ1の開口面の略中心における法線ベクトル3に対して点対称となるように配置されている。そして、各プラズマ面10は、それぞれ独立して電波50aの反射/透過が切替可能に構成されている。また、各プラズマ面10は、電波50aをアレーアンテナ1では放射できない方向(図8ではアレーアンテナ1の開口面と略平行な方向)へ反射するように、設置角度が調整されている。
上記のように構成された空中線の動作は、実施の形態5に係る空中線の動作と同様であるため、その説明を省略する。
【0038】
以上のように、この実施の形態7によれば、レドーム5を有する空中線において、電波50aの反射/透過を切替可能であり、反射状態の場合に電波50aをアレーアンテナ1では放射できない方向に反射するプラズマ面10を、アレーアンテナ1の略中心における法線ベクトル3に対して点対称となるように配置しても、実施の形態5と同様の効果を得ることができる。
なお、プラズマ面10を、実施の形態6に係るプラズマ面9のようにリング状に構成してもよい。
【0039】
また、実施の形態4−7におけるプラズマ面8−10では、電波50aをアレーアンテナ1の開口面と略平行な方向に反射するように構成したが、アレーアンテナ1では放射できない方向であればどのような方向に反射してもよい。
【0040】
また、本願発明はその発明の範囲内において、各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。
【符号の説明】
【0041】
1 アレーアンテナ、2,2a,2b,4,6,6a,6b 電波反射透過手段、3 法線ベクトル、5 レドーム、7 プラズマ発生器、8,8a,8b,9,10,10a,10b プラズマ面、21 誘電体基板、22 金属板、23 可変型電子素子、50a,50b 電波。
【技術分野】
【0001】
この発明は、電波を放射することができる空間的な領域を可変的に拡大することが可能な空中線に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、航空機が探知されることを防止するため、航空機のアンテナ前面側に周波数選択板を設けたものが知られている(例えば特許文献1参照)。この特許文献1に開示された技術では、航空機用レドーム内部に配設されたアンテナの前面側に、機体中心から傾斜した面でアンテナを覆う周波数選択板を設けている。そして、周波数選択板によって、アンテナが放射する電波および反射波のみを透過し、それ以外の周波数の電波を反射している。
また、この周波数選択板について、ダイオードを利用することで電気特性を可変としたものも知られている(例えば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−298322号公報
【特許文献2】特開2005−236620号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1,2に開示された従来技術では、周波数選択板を用いて、この板に入射された電波を選択的に反射または透過している。しかしながら、この構成ではアンテナの放射パターンを変化させることはできず、レーダの覆域を可変的に拡大することは不可能であるという課題があった。
【0005】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、アンテナの放射パターンを変化させることができ、レーダアンテナとして用いた場合にレーダの覆域を可変的に拡大することができる空中線を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る空中線は、電波を所定方向に放射するアンテナと、アンテナからの電波の反射/透過を切替可能であり、反射状態の場合に当該電波を当該アンテナでは放射できない方向に反射する電波反射透過手段とを備えたものである。
【0007】
また、この発明に係る空中線は、電波を所定方向に放射するアンテナと、プラズマを発生するプラズマ発生器と、プラズマ発生器により発生されたプラズマを封入する複数の放電管が略々平面上に配列されて成るプラズマ面とを備え、プラズマ面は、プラズマの封入状態によりアンテナからの電波の反射/透過を切替可能であり、反射状態の場合に当該電波を当該アンテナでは放射できない方向に反射するものである。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、上記のように構成したので、アンテナの放射パターンを変化させることができ、この空中線をレーダアンテナとして用いた場合にレーダの覆域を可変的に拡大することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】この発明の実施の形態1に係る空中線の構成を示す図であり、(a)天頂方向からの概観図であり、(b)(a)のA−A’線断面図である。
【図2】この発明の実施の形態1における電波反射透過手段の構造を示す図である。
【図3】この発明の実施の形態2に係る空中線の構成を示す天頂方向からの概観図である。
【図4】この発明の実施の形態3に係る空中線の構成を示す断面図である。
【図5】この発明の実施の形態4に係る空中線の構成を示す断面図である。
【図6】この発明の実施の形態5に係る空中線の構成を示す図であり、(a)天頂方向からの概観図であり、(b)(a)のB−B’線断面図である。
【図7】この発明の実施の形態6に係る空中線の構成を示す天頂方向からの概観図である。
【図8】この発明の実施の形態7に係る空中線の構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1に係る空中線の構成を示す図であり、図1(a)は天頂方向からの概観図であり、図1(b)は図1(a)のA−A’線断面図である。
空中線は、図1に示すように、アレーアンテナ1および複数(偶数個)の電波反射透過手段2から構成されている。
【0011】
アレーアンテナ1は電波50aを所定方向に放射する指向性アンテナである。なお図1(b)では、アレーアンテナ1から電波反射透過手段2(2a)に向かって電波50aを放射した場合について示している。
電波反射透過手段2は、アレーアンテナ1から放射された電波50aを反射または透過するものである。この電波反射透過手段2は、アレーアンテナ1の開口面の略中心における法線ベクトル3に対して点対称となるように配置されている(図1(a)では四方に配置されている)。そして、各電波反射透過手段2は、独立して電波50aの反射/透過を切替可能に構成されている。また、各電波反射透過手段2は、電波50aをアレーアンテナ1では放射できない方向(図1(b)ではアレーアンテナ1の開口面と略平行な方向)に反射するように、設置角度が調整されている。
【0012】
次に、電波反射透過手段2の構造について説明する。図2はこの発明の実施の形態1における電波反射透過手段2の構造例を示す図である。なお、図2に示す電波反射透過手段2の手前−奥方向が、図1に示す電波反射透過手段2の底面−天頂方向に対応している。
電波反射透過手段2は、図2に示すように、誘電体基板21上に、特定の周波数の電波50aを反射または透過させるように周期的に配列された金属板22と、隣接する金属板22を接続する可変型電子素子23とが設けられることで構成されている。なお、可変型電子素子23は整流作用を有する。そして、この可変型電子素子23への電圧供給のON/OFF動作によって、電流反射透過手段2の反射/透過状態が規定される。
【0013】
次に、上記のように構成された空中線の動作について説明する。
なお以下では、図1(b)において対向している電波反射透過手段2をそれぞれ電波反射透過手段2a,2bと称す。また、電波反射透過手段2aはON(反射)状態であり、電波反射透過手段2bはOFF(透過)状態であるとする。そして、アレーアンテナ1は、電波反射透過手段2aに向かって電波50aを放射するものとする。
【0014】
空中線の動作では、図1(b)に示すように、まず、アレーアンテナ1から電波反射透過手段2aに向かって電波50aが放射される。次いで、ON状態の電波反射透過手段2aは、アレーアンテナ1からの電波50aを、アレーアンテナ1では放射することができない方向(アレーアンテナ1の開口面と略平行な方向)に反射する。これにより、電波50bは電波反射透過手段2bに向かって進む。次いで、OFF状態の電波反射透過手段2bは、この反射された電波50bを透過する。
このように動作することで、本来、アレーアンテナ1からの電波50aでは放射することができない方向(アレーアンテナ1の開口面と略平行な方向)に、電波50bを放射することができる。なお、図1(b)において、電波反射透過手段2aをOFF(透過)状態に切り替えた場合には、アレーアンテナ1からの電波50aは電波反射透過手段2aを透過して、通常通り放射されることになる。
【0015】
以上のように、この実施の形態1によれば、電波50aの反射/透過を切替可能であり、反射状態の場合に電波50aをアレーアンテナ1では放射できない方向に反射する反射透過手段2を、アレーアンテナ1の開口面の略中心における法線ベクトル3に対して点対称となるように複数配置したので、アレーアンテナ1の放射パターンを変化させることができ、この空中線をレーダアンテナとして用いた場合にレーダの覆域を可変的に拡大することができる。
【0016】
実施の形態2.
実施の形態1では、複数の電波反射透過手段2を設けた場合について示したが、実施の形態2では、1つのリング状の電波反射透過手段4を設けた場合について示す。
図3はこの発明の実施の形態2に係る空中線の構成を示す天頂方向からの概観図である。図3に示す実施の形態2に係る空中線は、図1に示す実施の形態1に係る空中線の電波反射透過手段2を電波反射透過手段4に変更したものである。その他の構成は同様であり、同一の符号を付してその説明を省略する。また、図3のA−A’線断面図は、図1(b)と同様である。
【0017】
電波反射透過手段4は、図3に示すように、リング状に構成されている。この電波反射透過手段4は、アレーアンテナ1の開口面の略中心における法線ベクトル3を軸心とするように配置されている。そして、電波反射透過手段4は、軸心まわりに所定の間隔で、電波50aの反射/透過が切替可能に構成されている。また、電波反射透過手段4は、電波50aをアレーアンテナ1では放射できない方向(アレーアンテナ1の開口面と略平行な方向)へ反射するように構成されている。
上記のように構成された空中線の動作は、実施の形態1に係る空中線の動作と同様であるため、その説明を省略する。
【0018】
以上のように、この実施の形態2によれば、リンク状の電波反射透過手段4を、アレーアンテナ1の略中心における法線ベルトル3を軸心とするように配置しても、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
【0019】
実施の形態3.
実施の形態3に係る空中線は、レドーム5を有する空中線に本願発明を適用したものである。図4はこの発明の実施の形態3に係る空中線の構成を示す断面図である。図4に示す実施の形態3に係る空中線は、図1に示す実施の形態1に係る空中線にレドーム5を設け、電波反射透過手段2を電波反射透過手段6に変更したものである。その他の構成は同様であり、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0020】
レドーム5は、アレーアンテナ1を周囲環境から保護するために設置されるものであり、アレーアンテナ1の前面側(放射方向側)に設置される。また、電波反射透過手段6は、レドーム5の一部分として装荷される。
この電波反射透過手段6は、アレーアンテナ1の開口面の略中心における法線ベクトル3に対して点対称となるように配置されている。そして、各電波反射透過手段6は、それぞれ独立して電波50aの反射/透過が切替可能に構成されている。また、各電波反射透過手段6は、電波50aをアレーアンテナ1では放射できない方向(図4ではアレーアンテナ1の開口面と略平行な方向)へ反射するように、設置角度が調整されている。
上記のように構成された空中線の動作は、実施の形態1に係る空中線の動作と同様であるため、その説明を省略する。
【0021】
以上のように、この実施の形態3によれば、レドーム5を有する空中線において、電波50aの反射/透過を切替可能であり、反射状態の場合に電波50aをアレーアンテナ1では放射できない方向に反射する反射透過手段6を、アレーアンテナ1の略中心における法線ベクトル3に対して点対称となるように配置しても、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
なお、電波反射透過手段6を、実施の形態2に係る電波反射透過手段4のようにリング状に構成してもよい。
【0022】
また、実施の形態1−3における電波反射透過手段2,4,6では、電波50aをアレーアンテナ1の開口面と略平行な方向に反射するように構成したが、アレーアンテナ1では放射できない方向であればどのような方向に反射してもよい。
また、実施の形態1,3における電波反射透過手段2,6では、法線ベクトル3に対して点対称となるように配置したが、これに限るものではなく、例えば図1(b)において、電波反射透過手段2bは設けず、電波反射透過手段2aのみを設けるようにしてもよい。
【0023】
実施の形態4.
実施の形態1−3では、電波反射透過手段2,4,6を用いた場合について示したが、実施の形態4では、プラズマ面8を用いた場合について示す。
図5はこの発明の実施の形態4に係る空中線の構成を示す断面図である。図5に示す実施の形態4に係る空中線は、図1に示す実施の形態1に係る空中線の電波反射透過手段2を削除し、プラズマ発生器7およびプラズマ面8を追加したものである。その他の構成は同様であり、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0024】
プラズマ発生器7は、プラズマを発生するものである。
プラズマ面8は、アレーアンテナ1から放射された電波50aを反射または透過するものである。このプラズマ面8は、プラズマ発生器7により発生されたプラズマを封入する複数の放電管(不図示)が略々平面上に配列されることで構成されている。そして、プラズマ発生器7により放電管へのプラズマの封入状態を切替えることで、プラズマ面8における電波50aの反射/透過を切替可能に構成されている。また、プラズマ面8は、電波50aをアレーアンテナ1では放射できない方向(図5ではアレーアンテナ1の開口面と略平行な方向)に反射するように、設置角度が調整されている。
【0025】
次に、上記のように構成された空中線の動作について説明する。
なお以下では、プラズマ面8が反射状態(放電管にプラズマが封入されている状態)であるとする。そして、アレーアンテナ1は、プラズマ面8に向かって電波50aを放射するものとする。
【0026】
空中線の動作では、図5に示すように、まず、アレーアンテナ1からプラズマ面8に向かって電波50aが放射される。次いで、反射状態のプラズマ面8は、アレーアンテナ1からの電波50aを、アレーアンテナ1では放射することができない方向(アレーアンテナ1の開口面と略平行な方向)に反射する。
このように動作することで、本来、アレーアンテナ1からの電波50aでは放射することができない方向(アレーアンテナ1の開口面と略平行な方向)に、電波50bを放射することができる。なお、図5において、プラズマ面8を透過状態(放電管にプラズマが封入されていない状態)に切り替えた場合には、アレーアンテナ1からの電波50aはプラズマ面8を透過して、通常通り放射されることになる。
【0027】
以上のように、この実施の形態4によれば、電波50aの反射/透過を切替可能であり、反射状態の場合に電波50aをアレーアンテナ1では放射できない方向に反射するプラズマ面8を配置したので、アレーアンテナ1の放射パターンを変化させることができ、この空中線をレーダアンテナとして用いた場合にレーダの覆域を可変的に拡大することができる。
【0028】
実施の形態5.
実施の形態4では、図5に示すように1つのプラズマ面8を設けた場合について示したが、実施の形態5では、プラズマ面8を複数(偶数個)設けた場合について示す。
図6はこの発明の実施の形態5に係る空中線の構成を示す図であり、図6(a)は天頂方向からの概観図であり、図6(b)は図6(a)のB−B’線断面図である。図6に示す実施の形態5に係る空中線は、プラズマ発生器7およびプラズマ面8を複数設けた点以外は図5に示す実施の形態4に係る空中線と同様であり、各構成の説明を省略する。
【0029】
各プラズマ面8は、アレーアンテナ1の開口面の略中心における法線ベクトル3に対して点対称となるように配置されている(図6(a)では四方に配置されている)。また、各プラズマ面8は、電波50aをアレーアンテナ1では放射できない方向(図6(b)ではアレーアンテナ1の開口面と略平行な方向)に反射するように、設置角度が調整されている。
【0030】
次に、上記のように構成された空中線の動作について説明する。
なお以下では、図6(b)において対向しているプラズマ面8をそれぞれプラズマ面8a,8bと称す。また、プラズマ面8aが反射状態(放電管にプラズマが封入されている状態)であり、プラズマ面8bが透過状態(放電管にプラズマが封入されていない状態)であるとする。そして、アレーアンテナ1は、プラズマ面8aに向かって電波50aを放射するものとする。
【0031】
空中線の動作では、図6(b)に示すように、まず、アレーアンテナ1からプラズマ面8aに向かって電波50aが放射される。次いで、反射状態のプラズマ面8aは、アレーアンテナ1からの電波50aを、アレーアンテナ1では放射することができない方向(アレーアンテナ1の開口面と略平行な方向)に反射する。これにより、電波50bはプラズマ面8bに向かって進む。次いで、透過状態のプラズマ面8bは、この反射された電波50bを透過する。
このように動作することで、本来、アレーアンテナ1からの電波50aでは放射することができない方向(アレーアンテナ1の開口面と略平行な方向)に、電波50bを放射することができる。なお、図6(b)において、プラズマ面8aを透過状態(放電管にプラズマが封入されていない状態)に切り替えた場合には、アレーアンテナ1からの電波50aはプラズマ面8aを透過して、通常通り放射されることになる。
【0032】
以上のように、この実施の形態5によれば、電波50aの反射/透過を切替可能であり、反射状態の場合に電波50aをアレーアンテナ1では放射できない方向に反射するプラズマ面8を、アレーアンテナ1の開口面の略中心における法線ベクトル3に対して点対称となるように複数配置したので、アレーアンテナ1の放射パターンを変化させることができ、この空中線をレーダアンテナとして用いた場合にレーダの覆域を可変的に拡大することができる。
【0033】
実施の形態6.
実施の形態5では、複数のプラズマ面8を設けた場合について示したが、実施の形態6では、1つのリング状のプラズマ面9を設けた場合について示す。
図7はこの発明の実施の形態6に係る空中線の構成を示す天頂方向からの概観図である。図7に示す実施の形態6に係る空中線は、図6に示す実施の形態5に係る空中線のプラズマ面8をプラズマ面9に変更したものである。その他の構成は同様であり、同一の符号を付してその説明を省略する。また、図7のB−B’線断面図は、図6(b)と同様である。
【0034】
プラズマ面9は、図7に示すように、リング状に構成されている。このプラズマ面9は、アレーアンテナ1の開口面の略中心における法線ベクトル3を軸心とするように配置されている。そして、プラズマ面9は、軸心まわりに所定の間隔で、電波50aの反射/透過が切替可能に構成されている。また、プラズマ面9は、電波50aをアレーアンテナ1では放射できない方向(アレーアンテナ1の開口面と略平行な方向)へ反射するように構成されている。
上記のように構成された空中線の動作は、実施の形態5に係る空中線の動作と同様であるため、その説明を省略する。
【0035】
以上のように、この実施の形態6によれば、リンク状のプラズマ面9を、アレーアンテナ1の略中心における法線ベクトル3を軸心とするように配置しても、実施の形態5と同様の効果を得ることができる。
【0036】
実施の形態7.
実施の形態7に係る空中線は、レドーム5を有する空中線に本願発明を適用したものである。図8はこの発明の実施の形態7に係る空中線の構成を示す断面図である。図8に示す実施の形態7に係る空中線は、図6に示す実施の形態5に係る空中線にレドーム5を設け、プラズマ面8をプラズマ面10に変更したものである。その他の構成は同様であり、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0037】
レドーム5は、アレーアンテナ1を周囲環境から保護するために設置されるものであり、アレーアンテナ1の前面側(放射方向側)に設置される。また、プラズマ面10は、レドーム5の一部分として装荷される。
このプラズマ面10は、アレーアンテナ1の開口面の略中心における法線ベクトル3に対して点対称となるように配置されている。そして、各プラズマ面10は、それぞれ独立して電波50aの反射/透過が切替可能に構成されている。また、各プラズマ面10は、電波50aをアレーアンテナ1では放射できない方向(図8ではアレーアンテナ1の開口面と略平行な方向)へ反射するように、設置角度が調整されている。
上記のように構成された空中線の動作は、実施の形態5に係る空中線の動作と同様であるため、その説明を省略する。
【0038】
以上のように、この実施の形態7によれば、レドーム5を有する空中線において、電波50aの反射/透過を切替可能であり、反射状態の場合に電波50aをアレーアンテナ1では放射できない方向に反射するプラズマ面10を、アレーアンテナ1の略中心における法線ベクトル3に対して点対称となるように配置しても、実施の形態5と同様の効果を得ることができる。
なお、プラズマ面10を、実施の形態6に係るプラズマ面9のようにリング状に構成してもよい。
【0039】
また、実施の形態4−7におけるプラズマ面8−10では、電波50aをアレーアンテナ1の開口面と略平行な方向に反射するように構成したが、アレーアンテナ1では放射できない方向であればどのような方向に反射してもよい。
【0040】
また、本願発明はその発明の範囲内において、各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。
【符号の説明】
【0041】
1 アレーアンテナ、2,2a,2b,4,6,6a,6b 電波反射透過手段、3 法線ベクトル、5 レドーム、7 プラズマ発生器、8,8a,8b,9,10,10a,10b プラズマ面、21 誘電体基板、22 金属板、23 可変型電子素子、50a,50b 電波。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電波を所定方向に放射するアンテナと、
前記アンテナからの電波の反射/透過を切替可能であり、反射状態の場合に当該電波を当該アンテナでは放射できない方向に反射する電波反射透過手段と
を備えた空中線。
【請求項2】
前記電波反射透過手段は、前記アンテナ開口面の略中心における法線ベクトルに対して点対称となるように複数配置された
ことを特徴とする請求項1記載の空中線。
【請求項3】
前記電波反射透過手段は、前記アンテナ開口面の略中心における法線ベクトルを軸心としてリング状に構成され、当該軸心まわりに所定の間隔で反射/透過を切替可能である
ことを特徴とする請求項1記載の空中線。
【請求項4】
前記電波反射透過手段は、前記電波を前記アンテナ開口面に略平行な方向に反射する
ことを特徴とする請求項1から請求項3のうちのいずれか1項記載の空中線。
【請求項5】
前記アンテナの放射方向側に配置されたレドームを備え、
前記電波反射透過手段は、前記レドームの一部分に装荷される
ことを特徴とする請求項1から請求項4のうちのいずれか1項記載の空中線。
【請求項6】
前記電波反射透過手段は、
誘電体基板と、
前記誘電体基板上に、特定の周波数の電波を反射または透過させるように周期的に配列された金属板と、
整流作用を有し、隣接する前記金属板を接続する可変型電子素子と
を有することを特徴とする請求項1から請求項5のうちのいずれか1項記載の空中線。
【請求項7】
電波を所定方向に放射するアンテナと、
プラズマを発生するプラズマ発生器と、
前記プラズマ発生器により発生されたプラズマを封入する複数の放電管が略々平面上に配列されて成るプラズマ面とを備え、
前記プラズマ面は、前記プラズマの封入状態により前記アンテナからの電波の反射/透過を切替可能であり、反射状態の場合に当該電波を当該アンテナでは放射できない方向に反射する
ことを特徴とする空中線。
【請求項8】
前記プラズマ面は、前記アンテナ開口面の略中心における法線ベクトルに対して点対称となるように複数配置された
ことを特徴とする請求項7記載の空中線。
【請求項9】
前記プラズマ面は、前記アンテナ開口面の略中心における法線ベクトルを軸心としてリング状に構成され、当該軸心まわりに所定の間隔で反射/透過を切替可能である
ことを特徴とする請求項7記載の空中線。
【請求項10】
前記プラズマ面は、前記電波を前記アンテナ開口面に略平行な方向に反射する
ことを特徴とする請求項7から請求項9のうちのいずれか1項記載の空中線。
【請求項11】
前記アンテナの放射方向側に配置されたレドームを備え、
前記プラズマ面は、前記レドームの一部分に装荷される
ことを特徴とする請求項7から請求項10のうちのいずれか1項記載の空中線。
【請求項1】
電波を所定方向に放射するアンテナと、
前記アンテナからの電波の反射/透過を切替可能であり、反射状態の場合に当該電波を当該アンテナでは放射できない方向に反射する電波反射透過手段と
を備えた空中線。
【請求項2】
前記電波反射透過手段は、前記アンテナ開口面の略中心における法線ベクトルに対して点対称となるように複数配置された
ことを特徴とする請求項1記載の空中線。
【請求項3】
前記電波反射透過手段は、前記アンテナ開口面の略中心における法線ベクトルを軸心としてリング状に構成され、当該軸心まわりに所定の間隔で反射/透過を切替可能である
ことを特徴とする請求項1記載の空中線。
【請求項4】
前記電波反射透過手段は、前記電波を前記アンテナ開口面に略平行な方向に反射する
ことを特徴とする請求項1から請求項3のうちのいずれか1項記載の空中線。
【請求項5】
前記アンテナの放射方向側に配置されたレドームを備え、
前記電波反射透過手段は、前記レドームの一部分に装荷される
ことを特徴とする請求項1から請求項4のうちのいずれか1項記載の空中線。
【請求項6】
前記電波反射透過手段は、
誘電体基板と、
前記誘電体基板上に、特定の周波数の電波を反射または透過させるように周期的に配列された金属板と、
整流作用を有し、隣接する前記金属板を接続する可変型電子素子と
を有することを特徴とする請求項1から請求項5のうちのいずれか1項記載の空中線。
【請求項7】
電波を所定方向に放射するアンテナと、
プラズマを発生するプラズマ発生器と、
前記プラズマ発生器により発生されたプラズマを封入する複数の放電管が略々平面上に配列されて成るプラズマ面とを備え、
前記プラズマ面は、前記プラズマの封入状態により前記アンテナからの電波の反射/透過を切替可能であり、反射状態の場合に当該電波を当該アンテナでは放射できない方向に反射する
ことを特徴とする空中線。
【請求項8】
前記プラズマ面は、前記アンテナ開口面の略中心における法線ベクトルに対して点対称となるように複数配置された
ことを特徴とする請求項7記載の空中線。
【請求項9】
前記プラズマ面は、前記アンテナ開口面の略中心における法線ベクトルを軸心としてリング状に構成され、当該軸心まわりに所定の間隔で反射/透過を切替可能である
ことを特徴とする請求項7記載の空中線。
【請求項10】
前記プラズマ面は、前記電波を前記アンテナ開口面に略平行な方向に反射する
ことを特徴とする請求項7から請求項9のうちのいずれか1項記載の空中線。
【請求項11】
前記アンテナの放射方向側に配置されたレドームを備え、
前記プラズマ面は、前記レドームの一部分に装荷される
ことを特徴とする請求項7から請求項10のうちのいずれか1項記載の空中線。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【公開番号】特開2013−70366(P2013−70366A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−191334(P2012−191334)
【出願日】平成24年8月31日(2012.8.31)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年8月31日(2012.8.31)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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