説明

空圧緩衝器

【課題】 車両における乗心地を向上することが可能な空圧緩衝器を提供することである。
【解決手段】 シリンダ1と、シリンダ1内をロッド側室R1とピストン側室R2とに区画するピストン3と、ピストン3を介してシリンダ1内に移動自在に挿入されたロッド4とを備えた空圧緩衝器において、作動気体の体積変化を吸収する体積変化吸収機構30をロッド側室R1とピストン側室R2の一方あるいは両方に収容させ、上記体積変化吸収機構30を負の線形膨張係数を持つ物質で成形させるとともに温度上昇により負膨張する負膨張体から構成させたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両等のサスペンションとして使用可能な空圧緩衝器の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、空圧緩衝器としては、シリンダと、シリンダ内に摺動自在に挿入されたピストンと、シリンダにピストンを介して移動自在に挿通されるロッドとを備えて、いわゆる倒立型に形成されたものが知られている。
【0003】
この空圧緩衝器は、車両のサスペンション用途に対応するため、ピストン部の通路でロッド側室とピストン側室とを連通する他、シリンダの外方に外筒を設けてシリンダと外筒との間の隙間を介してロッド側室とピストン側室とを連通してあり、シリンダ内の油を空圧緩衝器の伸縮運動によってポンプの要領でピストン側室とロッド側室とに循環させるようにして、ピストンとシリンダの当接部位およびロッドとシリンダ下端に設けた封止部材との当接部位である摺動部の摺動性の確保している(たとえば、特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−132429号公報
【特許文献2】特開2004−132428号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
さて、上述のような空圧緩衝器では、作動流体に気体を用いても円滑な摺動性を確保することで車両のサスペンションに適用可能としているが、以下の問題があると指摘される可能性がある。
【0006】
すなわち、従来の空圧緩衝器では、作動流体が気体であり、気体は膨張および収縮が可能であることから、特に気体の体積変化に対処する装置を設けておらず、気体の体積変化の影響によってロッド反力が変動して車高が上昇あるいは下降してしまうことを阻止することができない。
【0007】
そして、車両のサスペンション用途に空圧緩衝器を供する場合、空圧緩衝器の継続的な伸縮の繰り返しによって、シリンダ内の気体の温度が非常に高温となり、特に気体の熱膨張は、油に比して非常に大きいことからも、気体の温度変化による車高の上下動が著しくなる。
【0008】
また、車両のサスペンションに空圧緩衝器を適用する場合、乗用車でも空圧緩衝器が四つ必要で、四つの空圧緩衝器のロッド反力がまちまちとなることも想定でき、車体の姿勢に変化を及ぼし、車両搭乗者に違和感や不快感を与えて車両における乗心地を損なってしまう虞もある。
【0009】
そこで、本発明は、上記した不具合を改善するために創案されたものであって、その目的とするところは、車両における乗心地を向上することが可能な空圧緩衝器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の課題解決手段は、シリンダと、シリンダ内をロッド側室とピストン側室とに区画するピストンと、ピストンを介してシリンダ内に移動自在に挿入されたロッドとを備えた空圧緩衝器において、作動気体の体積変化を吸収する体積変化吸収機構をロッド側室とピストン側室の一方あるいは両方に収容させ、上記体積変化吸収機構を負の線形膨張係数を持つ物質で成形させるとともに温度上昇により負膨張する負膨張体から構成させたことを特徴とするものである。
【0011】
この場合、負の線形膨張係数を持つ物質がタングステン酸ジルコニウム(ZrW)又はシリコン酸化物(LiO−Al−nSiO)であるのが好ましい
【発明の効果】
【0012】
本発明の空圧緩衝器によれば、作動気体が減衰力発生要素を通過するときに生じる熱、外気温変化、さらには、伸縮が長時間にわたって繰り返されることによる摺動部の摩擦の影響によってシリンダ内の作動気体の温度が変化しても、作動気体の温度変化に起因する体積変化によるシリンダ内の圧力変化を体積変化吸収機構が抑制する。
【0013】
すなわち、作動気体の体積変化によるシリンダ1内の圧力変化は、体積変化吸収機構によって抑制されることになり、作動気体の温度変化に起因する体積変化による空圧緩衝器Aのロッド反力の変動を体積変化吸収機構によって緩和することが可能となる。
【0014】
したがって、空圧緩衝器のシリンダ内の作動気体の温度変化によって車高が上下してしまうような事態が防止され、車体に姿勢変化を及ぼすことなく車両搭乗者に違和感や不快感を与えず、車両における乗心地を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】一実施の形態における空圧緩衝器の概略縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図に示した実施の形態に基づき、本発明を説明する。
【0017】
図1は、一実施の形態における空圧緩衝器の概略縦断面図である
一実施の形態における空圧緩衝器Aは、図1に示すように、シリンダ1と、内部にシリンダ1が収容される外筒2と、シリンダ1内をロッド側室R1とピストン側室R2とに区画するピストン3と、ピストン3を介してシリンダ1内に移動自在に挿入されたロッド4と、体積変化吸収機構30と、ピストン3に設けられてロッド側室R1とピストン側室R2とを連通し通過する気体の流れに抵抗を与える通路5,6と、シリンダ1と外筒2との間の隙間で形成されて通路5,6を迂回してロッド側室R1とピストン側室R2とを連通するシリンダ外通路7とを備えて構成されている。
【0018】
以下、詳細に説明すると、シリンダ1は、筒状に形成され、その上下端は、それぞれヘッド部材8とボトム部材9によって閉塞されて気体が充填されるとともに、シリンダ1の外方に配置されてシリンダ1を覆う有底筒状の外筒2内に収容されている。なお、シリンダ1内には、空圧緩衝器Aの摺動部位を潤滑するために少量の油が気体と共に充填されている。
【0019】
そして、シリンダ1内は、摺動自在に挿入されるピストン3によってシリンダ1内はロッド側室R1とピストン側室R2とに区画されており、ピストン3の図1中上端には、ロッド4が連結されるとともに、ロッド側室R1とピストン側室R2とを連通する通路5,6が設けられ、これら通路5,6の途中には減衰力発生要素10,11が設けられている。
【0020】
さらに、上記通路5の途中には、ロッド側室R1からピストン側室R2へ向かう流れのみを許容する逆止弁12が設けられ、通路6の途中には、ピストン側室R2からロッド側室R1へ向かう流れのみを許容する逆止弁13が設けられている。したがって、通路5にあっては、空圧緩衝器Aが伸長する、すなわち、シリンダ1からロッド4が突出する作動を行うときのみに流体の通過を許容する一方通行の通路とされ、他方の通路6にあっても、空圧緩衝器Aが収縮する、すなわち、シリンダ1内にロッド4が進入する作動を行うときのみに流体が通過を許容する一方通行の通路をなしている。
【0021】
そして、減衰力発生要素10,11は、図示したところでは、可変絞り弁とされており、空圧緩衝器Aの伸縮周波数や伸縮速度等に応じて、流体の流れに与える抵抗を変化させることができるようになっている。なお、減衰力発生要素10,11は、可変絞り弁ではなく固定絞り弁や、リーフバルブ等とされてもよい。なお、減衰力発生要素が気体の流れの方向に無関係に同じように抵抗を与える場合には、ピストン通路を一つの通路で形成して、その途中に一つの減衰力発生要素を設けるようにすればよく、この場合には、逆止弁12,13を設ける必要は無い。
【0022】
さらに、ピストン側室R2内には、体積変化吸収機構30が収容されており、この実施の形態における体積変化吸収機構30は、温度上昇により負膨張する負膨張体とされている。この負膨張体としては、タングステン酸ジルコニウム(ZrW)やシリコン酸化物(LiO−Al−nSiO)といった負の線膨張係数を持つ物質を使用することが可能である。
【0023】
そして、この負膨張体である体積変化吸収機構30は、図示するところでは、ピストン3に固定されてピストン側室R2内に収容されている。なお、負膨張体である体積変化吸収機構30をボトム部材9あるいはシリンダ1に固定するようにしてもよく、また、ピストン側室R2内に体積変化吸収機構30を設けるのではなくロッド側室R1内に設けるようにしてもよいし、ロッド側室R1内とピストン側室R2内の両方に負膨張体である体積変化吸収機構30を設けるようにしてもよい。
【0024】
つづいて、外筒2は、図1に示すように、有底筒状に形成され、この外筒2とシリンダ1との間の隙間でシリンダ外通路7が形成されて油が充填され、シリンダ外通路7内には油が充填さている。
【0025】
転じて、ヘッド部材8は、環状に成型されてシリンダ1の図1中上端に嵌合しており、その内周側にはロッド4を軸支する軸受14を備えるとともに、上端側から開口する凹部15が設けられている。また、ヘッド部材8には外周と凹部15とを連通する流路16と、下端と凹部15とを連通する流路17とを備えており、流路16の外周側の開口端は上述シリンダ外通路7に対向させ、さらに、流路17の下端側の開口端はロッド側室R1に対向している。すなわち、シリンダ側通路7の一端は、上記流路16、凹部15および流路17を介してロッド側室R1に連通されている。
【0026】
他方、シリンダ1の図1中下端を閉塞するボトム部材9は、円盤状に成型されてシリンダ1の図1中下端に嵌合しており、その上端と外周とを連通する流路18を備えて構成されている。この流路18の上端側の開口端はピストン側室R2に対向し、外周側の開口端はシリンダ外通路7に対向させてある。すなわち、シリンダ側通路7の他端は、上記流路18を介してピストン側室R2に連通されている。また、この流路18の途中には、ピストン側室R2からロッド側室R1へ向かう流れのみを許容する逆止弁19が設けられている。
【0027】
そして、このように構成されたヘッド部材8、ボトム部材9によって両端が閉塞されたシリンダ1を外筒2内に挿入して収容し、上記ヘッド部材8の図1中上面にロッド4の外周に摺接する環状のシール21を保持する環状の封止部材20を積層し、外筒2の図中上端である開口端を加締め、これら封止部材20、ヘッド部材8、シリンダ1およびボトム部材9を外筒2内に収容固定して一体化してある。
【0028】
上記した封止部材20における図1中、上下方向長さとなる軸方向長さは、上述のシール21の上下方向長さとなる軸方向長さより、短く設定されるととともに、シール21は、封止部材20の下端からシリンダ1の内方に向けて突出するように封止部材20によって保持されている。なお、上記したところでは、封止部材20はシール21を保持しているが、シール21を封止部材20に溶着して分離不能な状態としておくとしても差し支えない。
【0029】
封止部材20から突出しているシール21の図1中下端は、ヘッド部材8の凹部15内に配置されており、この凹部15と封止部材20とで貯油室22が隔成され、この貯油室22内には油が充填されている。したがって、シリンダ外通路7は、上述の流路16によって貯油室22に接続され、これによってシリンダ外通路7は上記の貯油室22を介してロッド側室R1とピストン側室R2とを連通している。
【0030】
さらに、シール21の内周側には、上述のように、シリンダ1から突出しヘッド部材8の軸受14内に摺動自在に挿入されるロッド4が挿入され、このシール21は所定の緊迫力でロッド4の外周に圧接されて、ロッド4の外周をシールしている。なお、封止部材20の外周側には、この封止部材20の外周と外筒2との間をシールする図示しないシールが設けられており、このシールと上記のシール21によってシリンダ1および外筒2が気密状態に維持されている。
【0031】
そして、上述したところから明らかなように、ロッド4は、貯油室22を貫いており、この貯油室22は、ロッド4とシール21との摺動部23に臨むようになっている。
【0032】
ここで、流路17の貯油室22側の開口端17aは、上記凹部15の側壁部15aから開口しており、この開口端17aは、少なくともシール21の図1中最下端より上方に位置するように設定されており、貯油室22内に充填される油の油面24が常にシール21の下端に接している状態に維持されている。
【0033】
すなわち、シリンダ1内には作動気体が封入されるとともに、貯油室22内およびシリンダ外通路7内には油が充填されるが、本実施の形態の場合、ロッド4とシール21との間の潤滑を確実なものとするため、貯油室22内の油の油面24が、開口端17aの位置によってシール21の最下端より下方に下がることがないように配慮されるとともに、それ以上の余分な油はロッド側室R1へ排出されるようになっており、さらに、シリンダ外通路7内の油の油面25にあっても上記流路16の開口端16aより上方に位置するように設定されている。
【0034】
また、ロッド側室R1およびピストン側室R2内にも少量の油が充填されるが、ロッド側室R1内に充填される油は、空圧緩衝器Aが伸縮動作を初めて行うときに、シリンダ1とピストン3と間の摺動部26を潤滑するためであり、ピストン側室R2内の油は、空圧緩衝器の収縮時にシリンダ外通路7内に気体に先んじて油を供給して貯油室22内の油面24の下降を防止するために充填される。
【0035】
つづいて、上述のように構成された空圧緩衝器Aの作動について説明する。まず、空圧緩衝器Aが伸長作動する場合、ロッド側室R1が圧縮され、ピストン側室R2が膨張させられるので、ロッド側室R1内の気体は、通路5を介してピストン側室R2内に移動する。この移動時に、気体は減衰力発生要素10を通過するので、圧力損失が生じロッド側室R1とピストン側室R2の圧力差に見合った減衰力が発生する。
【0036】
このとき、ロッド側室R1内の油は、油は気体より重たく、通路5の開口部に溜まった状態となることから、該油も気体とともにピストン側室R2内に移動する。
【0037】
つづいて、空圧緩衝器Aが収縮作動する場合、ピストン側室R2が圧縮され、ロッド側室R1が膨張させられるので、ピストン側室R2内の気体は、通路6を介してロッド側室R1内に移動する。この移動時に、気体は減衰力発生要素11を通過するので、圧力損失が生じロッド側室R1とピストン側室R2の圧力差に見合った減衰力が発生する。
【0038】
また、上記ピストン側室R2内の圧力上昇によって、ピストン側室R2内の気体は、逆止弁19を押し開き、流路18を介してシリンダ外通路7にも流入する。
【0039】
このとき、ピストン側室R2内の油は、油は気体より重たく、流路18の開口部に溜まった状態となることから、該油も気体とともにシリンダ外通路7に移動する。
【0040】
そして、シリンダ外通路7内および貯油室22は、ピストン側室R2と同様に加圧されることになるので、シリンダ外通路7内の油は、貯油室22内に流入し、さらに、貯油室22内の油の油面24が上昇することになる。
【0041】
すると、この油面24の上昇と貯油室22内の圧力上昇とによって、貯油室22内の油は、流路17を通過してロッド側室R1内に気体とともに流入する。
【0042】
なお、空圧緩衝器Aの収縮行程において、ピストン側室R2内に封入された気体がピストン3に設けた通路6を通過してロッド側室R1に流入することから明らかなように、流路18、シリンダ外通路7、流路16および流路17の少なくとも一つ以上は、気体および油の流れに減衰力発生要素11より大きな抵抗を与えるが、この抵抗はピストン側室R2から流路18、シリンダ外通路7、流路16および流路17を介してロッド側室R1へ至る間に弁を設けて与えるようにしてもよいし、ピストン側室R2から流路18、シリンダ外通路7、流路16および流路17を介してロッド側室R1へ至る間の管路抵抗で与えてもよく、具体的にはたとえば、逆止弁19をリーフバルブとしたり、流路18、流路16および流路17の流路面積を小さくしたり、シリンダ外通路7の環状の断面積を極小さくするようにしてもよい。
【0043】
また、流路17の開口部17aの開口位置はシール21の最下端より上方に位置しているので、上記のごとく貯油室22から油がロッド側室R1内に移動しても、貯油室22内の油の油面24は、必ずシール21の最下端より上方に位置することになり、貯油室22内の油は、ロッド4とシール21との摺動部23の潤滑を維持しつづけ、さらに、ロッド4と軸受14との間の摺動部をも同様に潤滑し続ける。
【0044】
したがって、空圧緩衝器Aが伸縮を繰り返しても、貯油室22内の油は、ロッド4とシール21との摺動部23およびロッド4と軸受14との間の摺動部の潤滑を維持しつづけることになり、正立型に形成された空圧緩衝器Aのロッド4の摺動部23およびロッド4と軸受14との間の摺動部が確実に潤滑されるから、空圧緩衝器Aの円滑な伸縮作動が保証されて空圧緩衝器Aの信頼性が向上する。
【0045】
また、本実施の形態における空圧緩衝器Aでは、ロッド4の摺動部に臨む貯油室22を設けて油面24を上記摺動部23の最下端より上方に位置させることで、上記摺動部23およびロッド4と軸受14との間の摺動部の確実な潤滑が可能となるので、構造が複雑となることが無く、大幅なコスト上昇を伴わずに空圧緩衝器を正立型とすることができる。
【0046】
さらに、上記したようにロッド4の摺動部23およびロッド4と軸受14との間の摺動部が確実に潤滑されるから、この点でも、空圧緩衝器Aの円滑な伸縮作動が保証されて空圧緩衝器Aの信頼性が向上するとともに、シール21の耐磨耗性が向上することから空圧緩衝器Aの密封性も向上することになる。
【0047】
そして、この空圧緩衝器Aにあっては、作動気体が減衰力発生要素を通過するときに生じる熱、外気温変化、さらには、上記伸縮が長時間にわたって繰り返されることによる摺動部23,26およびロッド4と軸受14との間の摺動部の摩擦の影響によってシリンダ1内の作動気体の温度が変化するが、作動気体の温度変化に起因する体積変化によるシリンダ1内の圧力変化を体積変化吸収機構30が抑制する。
【0048】
ここで、体積変化吸収機構30は、この実施の形態の場合、負膨張体であることから、温度上昇に対しては体積増加し、温度下降に対しては体積減少する作動気体に対して、温度上昇に対しては体積が減少し、温度下降に対しては体積が増加することになり、作動気体の温度変化に対する体積変化とは逆の体積変化を呈する。すなわち、作動気体の体積変化によるシリンダ1内の圧力変化は、体積変化吸収機構30の上記逆の体積変化によって抑制されることになり、作動気体の温度変化に起因する体積変化による空圧緩衝器Aのロッド反力の変動を体積変化吸収機構30によって緩和することが可能となる。
【0049】
したがって、空圧緩衝器Aのシリンダ1内の作動気体の温度変化によって車高が上下してしまうような事態が防止され、車体に姿勢変化を及ぼすことなく車両搭乗者に違和感や不快感を与えず、車両における乗心地を向上することができる。
【0050】
なお、特に本発明の空圧緩衝器は車両のサスペンション用途に適するが、車両用緩衝器以外に本発明の空圧緩衝器の構成が具現化しても、その作用効果が失われることが無いことは当然である。
【0051】
以上で、本発明の実施の形態についての説明を終えるが、本発明の範囲は図示されまたは説明された詳細そのものには限定されないことは勿論である。
【符号の説明】
【0052】
1 シリンダ
2 外筒
3 ピストン
4 ロッド
5,6 ピストン通路たる通路
7 シリンダ外通路
8 ヘッド部材
9 ボトム部材
10,11 減衰力発生要素
12,13,19,63,65 逆止弁
14 軸受
15 凹部
15a 凹部の側壁部
16,17,18 流路
16a,17a 流路の開口端
20 封止部材
21 シール
22 貯油室
23 ロッドとシールの摺動部
24,25 油面
30 体積変化吸収機構
A 空圧緩衝器
R1 ロッド側室
R2 ピストン側室

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンダと、シリンダ内をロッド側室とピストン側室とに区画するピストンと、ピストンを介してシリンダ内に移動自在に挿入されたロッドとを備えた空圧緩衝器において、作動気体の体積変化を吸収する体積変化吸収機構をロッド側室とピストン側室の一方あるいは両方に収容させ、上記体積変化吸収機構を負の線形膨張係数を持つ物質で成形させるとともに温度上昇により負膨張する負膨張体から構成させたことを特徴とする空圧緩衝器。
【請求項2】
負の線形膨張係数を持つ物質がタングステン酸ジルコニウム(ZrW)又はシリコン酸化物(LiO−Al−nSiO)である請求項1の空圧緩衝器。

【図1】
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【公開番号】特開2012−57798(P2012−57798A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−267499(P2011−267499)
【出願日】平成23年12月7日(2011.12.7)
【分割の表示】特願2007−232528(P2007−232528)の分割
【原出願日】平成19年9月7日(2007.9.7)
【出願人】(000000929)カヤバ工業株式会社 (2,151)
【Fターム(参考)】