説明

空気チャネル付きペースト押出絶縁体

本発明は、導体と導体の周りにペースト押出されたPTFEファインパウダーの絶縁体を有する絶縁線を提供する。ペースト押出された絶縁体は、導体から離間して配置された少なくとも1つの閉連続長手方向空気チャネルを有する。本発明は、ダイ、心棒および少なくとも1つのチャネル形成部材を含む押出装置に、潤滑性PTFEファインパウダーをペースト押出することによって導体の周りに絶縁体を形成する方法をさらに提供する。ダイと心棒は、押出オリフィスに至る収束チャンバーを形成し、チャネル形成部材はオリフィスに位置している。心棒は導体を供給するための中心穴を有している。潤滑性PTFEファインパウダーはチャンバーを通して、導体の周りの潤滑性未加工押出物としてオリフィス出口から押し出され、導体から離間して配置された少なくとも1つの閉長手方向空気チャネルを有する絶縁体を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、絶縁線とポリテトラフルオロエチレンの絶縁体をペースト押出することによるその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)ファインパウダーは長年の間、電線絶縁体として使用されてきた。しかし高分子量PTFEの好ましい特性、すなわち低誘電率と低散逸率にもかかわらず、電線用の絶縁の形成においては、特に大口径、高周波数同軸伝送ケーブルでは、PTFEの処理制限の理由から他の重合体が使用されてきた。
【0003】
ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)ファインパウダーは、水分散液重合に続いて分散の凝固ならびにその結果生じる凝固固体を乾燥させてファインパウダーを得ることによって製造されるタイプのPTFEである。PTFEファインパウダーは溶融加工を可能にするほど十分に溶融状態において流れないので、粉を物品に作り上げて、メルトフローを必要としない押出法によって電線上にコーティングされている。この押出法はペースト押出として知られており、たとえば米国特許公報(特許文献1)に記載されている。ペースト押出ではPTFEファインパウダーを、25℃、少なくとも0.45センチポアズの粘度で、その後の押出の状態で液体である有機潤滑剤と混合することでペースト押出組成物が形成される。PTFEは潤滑剤を吸い上げ、乾燥させた圧力融合ペースト押出組成物が得られ、これも潤滑性PTFEファインパウダーと称される。典型的には20〜60℃の温度で行なわれるペースト押出の間に、潤滑ファインパウダーをダイに通して潤滑性未加工押出物を形成する。次にこの潤滑性未加工押出物を通常は100〜250℃の温度で加熱し、押出物から潤滑剤を蒸発させかつ散逸させる。ほとんどの場合、乾燥させた押出物はPTFEの融点近くかまたはそれ以上の温度、典型的には327℃〜500℃の間に加熱してPTFEを焼結する。
【0004】
高周波数電磁放射を伝送可能なケーブルは、たとえば建物、トンネルまたはガレージ内またはその周りなどの構造物が信号伝送を阻止することのある領域の無線帯域幅における通信に特に有用である。同様にかかるケーブルは遮るもののない領域でも使用できるが、ここでは、ほかの近隣の信号の干渉を受けることなく遠距離に配送されなければならない、正確に制御された信号レベルとする必要がある。
【0005】
高周波数伝送ケーブルは、所望の減衰特性を得るために、可能な限り低い誘電率εおよび可能な限り低い散逸率tanδを有する絶縁を必要とする。米国特許公報(特許文献2)に開示されているように、約1.8未満の誘電率が好ましい。フッ素重合体およびポリエチレンなどの絶縁材は約2に近い誘電率を有している。米国特許公報(特許文献3)および(特許文献4)で教示されるように、誘電率を低減するために、溶融流動性の重合体でできた絶縁中に空気室を導入し得る。
【0006】
通常使用される重合体のうち、PTFEは最も低い損失(散逸率)を有している。よって、ポリエチレンまたは溶融流動性のフッ素重合体、たとえばPFA[TFE/ペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体]およびFEP(TFE/ヘキサフルオロプロピレン共重合体)などの他の重合体は溶融押出技法を使って容易に形成されるが、それらの損失はPTFEほど低くない。たとえば、1MHzの周波数でPTFEの散逸率はPFAよりも2倍を超えて低く、ポリエチレンまたはFEPよりも3倍を超えて低い。それにもかかわらず、ペースト押出されたPTFEファインパウダーの厚い構造体から潤滑剤を除去するために未加工押出物を乾燥させるのが困難なことから、PTFEは電線用の大口径の絶縁体に形成するのが困難であった。大口径PTFE絶縁体は、要求されるPTFEファインパウダーの量のために高価でもあった。
【0007】
高周波数通信ケーブルに対するもう1つの重要な要件は、不燃性であり、これをフッ素重合体は備えることができるが、ポリエチレン、ポリプロピレンまたはポリ塩化ビニルの構造体は備えることができない。フッ素重合体のうちで、PTFEは熱に対して最も高い安定性を有する。
【0008】
誘電率が低く、散逸率が低く、その製造に少量のPTFEファインパウダーを要するペーストされた押出PTFEの絶縁線が、高周波数ケーブルで使用するのに非常に望ましいであろう。
【0009】
【特許文献1】米国特許第2,685,707号明細書
【特許文献2】米国特許第5,922,155号明細書
【特許文献3】米国特許第3,771,934号明細書
【特許文献4】米国特許第5,922,155号明細書
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は導体と、導体の周りのペースト押出されたPTFEファインパウダーの絶縁体とを有する絶縁線を提供する。ペースト押出された絶縁体は、導体から離間して配置された少なくとも1つの閉連続長手方向空気チャネルを有する。絶縁体を乾燥させ、続いて焼結することが好ましい。好適な実施形態において、絶縁線は同軸ケーブルの一部である。
【0011】
本発明は、導体の周りに絶縁体を形成する方法であって、押出装置において潤滑性PTFEファインパウダーをペースト押出する工程を具え、前記押出装置がダイ、心棒および少なくとも1つのチャネル形成部材を含む方法をさらに提供する。ダイと心棒は押出オリフィスに至る収束チャンバーを形成し、チャネル形成部材はオリフィスに位置決めされている。心棒は、導体を供給するための中心穴を有している。潤滑性PTFEファインパウダーはチャンバーに通され、導体の周りの潤滑性未加工押出物としてオリフィス出口から押し出され、導体から離間して配置された少なくとも1つの閉長手方向空気チャネルを有する絶縁体を形成する。
【0012】
好適な一実施形態において、チャネル形成部材はオリフィスの上流で支持される。別の好適な実施形態において押出装置は、互いに離間して配置された複数の閉長手方向チャネルを形成する複数のチャネル形成部材を有する。さらに好適な実施形態において、潤滑性PTFEファインパウダーはチャネル形成部材の周囲で導体とチャネル形成部材との間のスペース内に押し込まれ、潤滑性PTFEファインパウダーを圧力融合(coalescing)させて導体の周りの潤滑性未加工押出物とする。好ましくは押出装置は、チャンバーとオリフィスの接合部に形成された高いせん断領域を有し、これにより実質的なフィブリル化が生じ、圧力融合が高せん断領域の上流で行なわれる。好ましくは潤滑性未加工押出物は乾燥させられ、最も好ましくは、乾燥中に潤滑剤の除去を容易にするために、ガスが潤滑性未加工押出物の空気チャネルを通って循環される。ほとんどの適用例において、乾燥させた未加工押出物を焼結するのも好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明は、導体の周りに潤滑性PTFEファインパウダーをペースト押出する方法に関し、導体から離間して配置された少なくとも1つの閉連続長手方向空気チャネルを有する絶縁体を形成する。絶縁体中の空気チャネルは、製造中に未加工押出物から蒸発した潤滑剤の除去を支援し、高周波数通信ケーブルに特に有用な焼結製品の誘電率を低減する方法を提供する。
【0014】
潤滑性PTFEファインパウダーのペースト押出の方法は、バレル2とダイ4とを有する押出装置1が示されている図1を参照すれば理解できる。装置1の内部に押出オリフィス5に至る、潤滑性PTFEを供給するためのチャンバー3が画定されている。PTFEを成形するための心棒10がチャンバー内に位置決めされ、少なくとも1つのチャネル形成部材8がオリフィス5内に位置決めされている。ダイと心棒は、チャンバー3を収束区域15と指定された領域に収束させる。チャネル形成部材8は好ましくはオリフィス5の上流で押出装置1によって支持され、最も好ましくは心棒10で支持される。好ましくは、チャネル形成部材8はオリフィスの出口7の上流でオリフィス5内に嵌込まれる。心棒10は導体12を支給するための中心穴11を有している。導体12は単一ストランド線または多ストランド線のいずれであってもよい。さらに図1に示すように、収束区域はチャンバー3とオリフィス5との接合部において高せん断領域19を有している。
【0015】
潤滑性PTFEファインパウダーは、通常はチャンバー3に適合するよう圧力下で成形された装入材料として、チャンバー3内に置かれ、次に押出オリフィス5に向けて移動して潤滑性PTFEファインパウダーを強制的に押出オリフィス5に通し、導体12の周りのオリフィス出口7から押し出す、押出オリフィス5に対向する末端のチャンバー3に位置決めされたラム9によってペースト押出される。好ましくは心棒10とチャネル形成部材8は、潤滑性PTFEファインパウダーがチャネル形成部材8の周囲と導体12とチャネル形成部材8の間のスペース内に押し込まれ、好ましくは高せん断領域19の上流で収束区域15において圧力融合を受け、導体の周りに潤滑性未加工押出物を形成するように位置決めされている。
【0016】
潤滑性PTFEファインパウダーは、ペースト押出中にフィブリルと称する小さな連続繊維様構造物に変形するPTFEの一次粒子を含み、したがってこのファインパウダーはフィブリル化すると考えられる。潤滑性PTFEファインパウダーは、押出装置1を通されるときにせん断力によってフィブリル化される。実質的なフィブリル化は、チャンバー3と、チャネル形成部材8とオリフィス5の壁の間のオリフィス領域5の接合部における高せん断領域19で起こる。これらのフィブリルはもともとペースト押出の方向を向いており、このことは押出後は、潤滑性押出物が押出方向に特に強いことを意味している。本発明の好適な方法では、高せん断領域19における実質的なフィブリル化に先立ち、潤滑性PTFEファインパウダーは導体12の周りで圧力融合される。フィブリル化が早すぎると押出物の導体への付着が妨げられることがあり、これらの領域における重合体の編成が不十分なために押出物に脆弱な領域が生じることがある。
【0017】
導体を供給する速度は、潤滑性PTFEが強制的にオリフィスを通されるときの速度に近づけることがさらに好ましく、さらに絶縁体の導体への良好な付着を図っている。
【0018】
本発明で使用されるチャネル形成部材8の一実施形態が図1に示されており、図2でこれを斜視で見ることができる。図2において、チャネル形成部材8は心棒チップ6によって提供されており、チップは心棒10へ取り付けるためのネジ接続のようなコネクター要素18を含み、オリフィス5に位置決めされるチャネル形成部材8を支持している。図示のように、本実施形態の心棒チップ6は、チャネル形成部材として働く3つのパイ状セグメント20にシリンダーを分割する3つの半径方向スペース23を有するシリンダーとして記載することができる。半径方向スペース23は上流では大きいが、出口7またはオリフィス5の近くでサイズが小さくなるようにテーパが付いている。心棒チップ6はまた、心棒穴11から送り込まれる導体12(図示せず)を収容するための中心穴21も含む。各パイ状セグメントは、心棒穴11と流体連通する心棒チップ6の長さ方向に走る穴22を有しており、この穴を通して真空引きを行なうかまたは別法として、後で詳述するように、押出中に空気を吸引して乾燥中の潤滑剤の除去を支援する。
【0019】
図3に示す絶縁線30は導体12とペースト押出されたPTFEの絶縁体16を有しており、図2に示す心棒チップ6を有する押出装置1を使用して形成される。絶縁体は互いに離間して配置された複数の閉連続長手方向空気チャネル17を有し、導体の周りに対称的に配置されている。絶縁体16は、潤滑性PTFEファインパウダーが心棒チップ6のパイ状セグメント20の周りと、導体と導体12から離間して配置された3つのパイ状閉連続長手方向空気チャネル17を形成する心棒チップとの間のスペースに押し込まれるときに形成される。押出物の圧力融合は好ましくは、PTFEが半径方向スペース23を通過して中心スペース21に至り、次いで導体と図1に示す高せん断領域19の上流のチャネル形成部材との間のスペースに入るときに起こる。
【0020】
本発明で使用する心棒チップ40の別の実施形態が斜視で図4に示されている。この心棒チップ40も、テーパ端46で心棒チップ本体45に接続するコネクター要素44を有している。心棒チップ40のチャネル形成部材は、心棒穴11から供給された導体(図示せず)を収容するために中心チューブ43の周りに対称的に離間して配置された4本のチューブ42から構成される。4本のチューブ42と中心チューブ43は心棒チップ本体45のテーパ端46から延びており、中心チューブの心棒チップ本体45のテーパ端46からの延びは、チューブ42より短くなっている。心棒チップ本体46は、押出の間にチューブを通して真空引きが可能なように、または別法として空気をチューブに通して、後で詳述するように乾燥の間に潤滑剤を除去するのを支援するために、4本のチューブ42が心棒穴11と流体連通するように適切な通路(図示せず)を有している。
【0021】
図5に示す絶縁線50は、導体12とペースト押出されたPTFEの絶縁体51を有しており、図4に示す心棒チップを具備した押出装置を使用して形成される。絶縁体は、互いに離間して配置された複数の閉連続長手方向空気チャネルを有し、導体の周りに対称的に配置されている。絶縁体51は、潤滑性PTFEファインパウダーがチャネル形成部材のチューブの周りと、導体と導体12から離間して配置された4つの円形閉連続長手方向空気チャネル52を具備する絶縁体51を形成するチューブとの間のスペースに押し込まれるときに形成される。押出物の圧力融合は好ましくは、PTFEが導体と、押出装置の高せん断領域の上流の管状チャネル形成部材との間のスペースに入るときに起こる。
【0022】
本発明の方法によるペースト押出は、好ましくは20〜60℃の温度で実施されるが、この範囲以外の押出温度も使用可能である。次いで潤滑性未加工押出物を通常100〜250℃の温度で加熱して、押出物から潤滑剤を蒸発させかつ追い出して、押出物を乾燥させる。本発明の好適な形態にしたがって、蒸発した潤滑剤を運ぶのに適切なガス、たとえば空気を乾燥させる間押出物の空気チャネルを通して循環させる。これはガスを導入することにより、または別法として心棒穴11に真空をかけて、これにより図2に示す心棒チップ6における穴22または図4に示す心棒チップ40におけるチューブ42にガス流れを通過さして好都合に達成される。このガス流によって、未加工押出物中の新規に形成された空気チャネルを通るガス流が生じ、この流れは乾燥させられる押出物の一部を通って継続される。このガス流は空気チャネルがベントとして作用する押出物の終点まで継続し、吸い上げたガス(ならびに蒸発した潤滑剤)を放出するかまたは吸入したガスを絶縁体中に収容する。乾燥時間は、乾燥させる押出物を通るガス流によって実質的に短縮される。以前は乾燥ステップが、商業的に実現可能な方法で高分子量のPTFEから製造可能な物品のサイズを制限していた。本発明以前は、大口径の絶縁体は肉厚が大きく潤滑剤の蒸発を妨げることから、小口径の絶縁体を具備した被覆線のみがPTFEを使って製造可能であった。しかし本発明により、長手方向の空気チャネルとPTFEの質量の減少によって潤滑剤の抽出が容易になり、高分子量PTFEから大口径ケーブルの形成が可能になる。
【0023】
広範囲の直径、たとえば約2mm〜約125mmの絶縁線は、本発明による方法を使用して製造可能である。本発明は、約8mmを超える直径、より好ましくは10mmを超え、さらに好ましくは約15mmを超え、最も好ましくは約20mmを超える絶縁線を製造するのに好都合に利用される。特に好ましい範囲は約10mm〜約50mmである。かかる大口径は、乾燥時間の短縮により、本発明を使用することによって経済的に製造可能である。
【0024】
乾燥後、ほとんどの適用例では、押出物は、電線の周りの絶縁体を強化するのに十分な期間、327℃〜500℃の温度までオーブンで加熱することによって焼結されるのが好ましい。
【0025】
本発明はさらに、上記の方法で製造された絶縁線を具備した同軸ケーブルを提供する。同軸ケーブルは通常は内部導体、この内部導体に同軸に配置された外部導体および導体と外部保護シースとの間のペースト押出されたPTFEで製造された絶縁体を含む。図6は、図1の押出装置と図4に記載した心棒チップ40とを使用して製造した絶縁線を有する同軸ケーブル60を示したものである。ここに示されているのは複数のストランド線導体電線61でできた中心コア、導体から離間して配置された4つの閉連続長手方向管状空気チャネル63を有する導体電線の周りのペースト押出されたPTFEファインパウダーの絶縁体62である。絶縁体62の周りには編組または織物外部導体64と保護外部シース65とが設けられている。
【0026】
同軸ケーブルによって求められる高周波数の減衰を得るには、誘電絶縁体の誘電率は可能な限り1に近くなければならない。フッ化重合体は誘電率が低いことで知られている。未焼結のPTFEの誘電率は約1.7で、焼結PTFEの誘電率は約2である。絶縁体に空気チャネルを組み込むと、高周波数電磁放射を伝送する同軸ケーブルにとって有効な範囲まで誘電率が低下する。
【0027】
さらに、最も一般に使用される重合体のうちPTFEの損失は最も低い(散逸率)。したがって、ポリエチレンまたは溶融流動性のフッ素重合体、たとえばPFA[TFE/ペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体]およびFEP(TFE/ヘキサフルオロプロピレン共重合体)などの他の重合体は、溶融押出技法を使って容易に形成されるが、それらの損失はPTFEほど低くない。たとえば、1MHzの周波数においてPTFEの散逸率はPFAより2倍を超えて低く、ポリエチレンまたはFEPより3倍を超えて低い。本発明の方法は、PTFEファインパウダーの所望の特性、すなわち低誘電率と低損失をうまく利用し、PTFEを大口径高周波数ケーブル用の絶縁として形成することが可能である。さらに、PTFEの高熱安定性のために、このフッ化重合体がほかの一般的に使用される重合体よりも望ましいものとなっている。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明で使用される押出装置の部分縦断面図である。
【図2】図1の押出装置に利用されている心棒チップの一実施形態の拡大斜視図である。
【図3】図2に示した心棒チップを使用して形成された絶縁体の部分斜視図である。
【図4】図1の押出装置で使用する心棒チップの第2の実施形態の拡大斜視図である。
【図5】図4に示した心棒チップを使用して形成された絶縁体の部分斜視図である。
【図6】本発明に従って製造された絶縁体と長手方向空気チャネルとを有する絶縁線のある同軸ケーブルの部分斜視切断図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導体と前記導体の周りにペースト押出されたPTFEファインパウダーの絶縁体を含む絶縁線であって、前記絶縁体は前記導体から離間して配置された少なくとも1つの閉連続長手方向空気チャネルを有することを特徴とする絶縁線。
【請求項2】
前記絶縁体が互いに離間して配置された複数の閉連続長手方向空気チャネルを有することを特徴とする請求項1に記載の絶縁線。
【請求項3】
前記長手方向空気チャネルが導体の周りに対称的に配置されていることを特徴とする請求項2に記載の絶縁線。
【請求項4】
前記絶縁体が焼結されていることを特徴とする請求項1に記載の絶縁線。
【請求項5】
請求項1に記載の絶縁線を含むことを特徴とする同軸ケーブル。
【請求項6】
前記絶縁体が約8mmを超える直径を有することを特徴とする請求項1に記載の絶縁線。
【請求項7】
前記絶縁体が約10mmを超える直径を有することを特徴とする請求項1に記載の絶縁線。
【請求項8】
導体の周りに絶縁体を形成する方法であって、押出装置において潤滑性PTFEファインパウダーをペースト押出する工程を具え、
前記押出装置がダイ、心棒および少なくとも1つのチャネル形成部材を含み、前記ダイと心棒は押出オリフィスに至る収束チャンバーを形成し、前記チャネル形成部材は前記オリフィスに位置決めされ、前記心棒は前記導体を供給する中心穴を有しており、
前記ペースト押出する工程は、潤滑性PTFEファインパウダーを前記チャンバーに通して、前記導体の周りの潤滑性未加工押出物として前記オリフィス出口から押出し、前記導体から離間して配置された少なくとも1つの閉長手方向空気チャネルを有する絶縁体を形成することを含む方法。
【請求項9】
前記チャネル形成部材が前記オリフィスの上流で押出装置によって支持されていることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
潤滑性未加工押出物を乾燥させるステップをさらに含むことを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項11】
乾燥させた押出物を焼結するステップをさらに含むことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記押出装置が互いに離間して配置された複数の閉長手方向空気チャネルを形成する複数のチャネル形成部材を有することを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記複数のチャネル形成部材が前記オリフィスにおいて前記導体の周りに対称的に配置されることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記潤滑性PTFEファインパウダーが前記チャネル形成部材の周りおよび前記導体と前記チャネル形成部材間のスペース内に押し込まれ、前記潤滑性PTFEファインパウダーを圧力融合させて前記導体の周りの前記未加工押出物とすることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項15】
前記押出装置は前記チャンバーと前記オリフィスとの接合部で高せん断領域を有し、これにより前記潤滑性PTFEの実質的なフィブリル化が生じ、前記圧力融合が前記高せん断領域の上流で行なわれることを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記チャネル形成部材は前記高せん断領域の上流で押出装置によって支持されることを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記導体の前記供給は前記潤滑性PTFEファインパウダーが前記オリフィスに押し込まれる速度と近似の速度で行なわれることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項18】
前記絶縁体は約8mmを超える直径を有することを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項19】
前記絶縁体は約10mmを超える直径を有することを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項20】
前記乾燥中に、潤滑性未加工押出物中の前記長手方向空気チャネルの中にガスを循環させることをさらに含むことを特徴とする請求項10に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2007−520859(P2007−520859A)
【公表日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−547279(P2006−547279)
【出願日】平成16年12月21日(2004.12.21)
【国際出願番号】PCT/US2004/042989
【国際公開番号】WO2005/066979
【国際公開日】平成17年7月21日(2005.7.21)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】