説明

空気圧縮膨張システムにおいて二酸化炭素を回収するためのシステムおよび方法

本システムは、区画に貯蔵するための第1の量のガスを圧縮するために区画に流体結合され、第1の量のガスを運ぶための圧縮経路を備える圧縮システムと、区画からの第2の量のガスを膨張させるために区画に流体結合され、第2の量のガスを運ぶための膨張経路を備える膨張システムと、第1の量のガスを区画へ運ぶために圧縮経路に流体結合された第1の経路と、第2の量のガスを区画から膨張システムへ運ぶために膨張経路に流体結合された第2の経路と、第1の経路、第2の経路、圧縮経路、および膨張経路のうちの1つに流体結合された分離ユニットとを備えており、分離ユニットは、第1および第2の量のガスのうちの1つからある量の二酸化炭素を除去する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は一般に、空気圧縮膨張システムに関し、より詳細には、空気圧縮膨張システムにおいて二酸化炭素を回収するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
空気圧縮膨張システムは、多数の産業において様々な用途のために使用されている。例えば、そのような用途の1つは、エネルギーを生成および貯蔵する際に、空気圧縮膨張システムをターボ機械として使用することである。圧縮空気エネルギー貯蔵(CAES)システムは通常、1つまたはいくつかの圧縮機を有する圧縮トレイン(compression train)を備え、圧縮機は、吸気を圧縮し、その圧縮された吸気を地下の貯蔵部である洞穴または他の圧縮空気貯蔵要素に供給する。その後、圧縮空気は、1つまたはいくつかのタービンを駆動し、例えば電気エネルギー等のエネルギーを生成するために使用される。CAESシステムの圧縮段階の動作中、圧縮された吸気は通常、貯蔵に先立って洞穴の温度に冷却される。膨張段階の動作中、空気は、地下の貯蔵部からタービンを通じて排出され、大気圧でタービンから出るように膨張する。
【0003】
CAESシステムは、電力消費ピーク時間中にはグリッドにエネルギーを注入する一方でオフピーク時間中には余剰エネルギーを貯蔵するソースとして、公益事業プラントの電源構成に大きく貢献する。CAESシステムはまた、圧縮空気がエネルギー貯蔵洞穴等に運ばれる間、圧縮トレインに動力を供給するために、風車から生成されたエネルギーを使用してもよい。
【0004】
CAESシステムは、エネルギーの生成および/またはピーク時間中のグリッドへの補助エネルギーの効率を向上させることができるが、公益事業プラント(例えば、石炭および天然ガス発電所)は、大気中温室効果ガスの一因となる多量の二酸化炭素(CO2)を発生させる。
【0005】
したがって、公益事業プラントに使用されるCAESシステムからのCO2の寄与を減少させるシステムおよび方法を設計することが望ましいはずである。
【発明の概要】
【0006】
本発明の実施形態は、空気圧縮膨張システムにおいて二酸化炭素を回収するためのシステムおよび方法に関する。
【0007】
したがって、本発明の一態様によれば、ガス圧縮膨張システムは、貯蔵区画に流体結合され、その貯蔵区画に貯蔵するための第1の量のガスを圧縮するように構成された圧縮システムを備え、この圧縮システムは、それを通して第1の量のガスを運ぶように構成された圧縮経路を備える。ガス圧縮膨張システムはまた、貯蔵区画に流体結合され、貯蔵区画からの第2の量のガスを膨張させるように構成された膨張システムを備え、この膨張システムは、それを通して第2の量のガスを運ぶように構成された膨張経路を備える。さらに、ガス圧縮膨張システムは、圧縮経路に流体結合され、第1の量のガスを貯蔵区画へ運ぶように構成された第1の経路と、膨張経路に流体結合され、貯蔵区画からの第2の量のガスを膨張システムへ運ぶように構成された第2の経路と、第1の経路、第2の経路、圧縮経路、および膨張経路のうちの1つに流体結合された二酸化炭素分離ユニットとを備えており、二酸化炭素分離ユニットは、第1の量のガスおよび第2の量のガスのうちの1つからある量の二酸化炭素を除去するように構成される。
【0008】
本発明の別の態様によれば、空気圧縮膨張システムの製造方法は、貯蔵容積に貯蔵するための空気流を圧縮するように圧縮機を構成するステップと、第1の空気流経路を圧縮機に連結し、圧縮空気流を貯蔵容積へ運ぶように第1の空気流経路を構成するステップと、ある量の圧縮空気流を受け取りかつそのある量の圧縮空気流を膨張させるようにタービンを構成するステップとを含む。この方法はまた、第2の空気流経路をタービンに連結し、ある量の圧縮空気流を貯蔵容積からタービンへ運ぶように第2の空気流経路を構成するステップと、第1の空気流経路および第2の空気流経路のうちの少なくとも1つに沿って二酸化炭素フィルタを連結し、圧縮空気流からある量の二酸化炭素を濾過するように二酸化炭素フィルタを構成するステップとを含む。
【0009】
本発明の別の態様によれば、圧縮空気エネルギー貯蔵(CAES)システムは、入口および出口を有する圧縮機組立体を備え、圧縮機は、圧縮機組立体の出口で圧縮作動流体を排出するように構成される。CAESシステムはまた、圧縮機の出口の下流に配置されて圧縮作動流体を受け取りかつ貯蔵するように構成された貯蔵容積と、貯蔵容積の下流に配置されてその入口で貯蔵洞穴からの圧縮作動流体を受け取りまたその出口で膨張作動流体を排出するように構成されたタービン組立体と、圧縮機組立体の出口の下流およびタービン組立体の入口の上流に配置された二酸化炭素分離ユニットとを備えており、二酸化炭素分離ユニットは、圧縮作動流体からある量の二酸化炭素を除去するように構成される。
【0010】
他の様々な特徴および利点は、以下の詳細な説明および図面から明らかになるであろう。
【0011】
各図面は、本発明を実施するために現在考えられる好ましい実施形態を示している。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態による例示的なCAESシステムのブロック図である。
【図2】本発明の別の実施形態による例示的なCAESシステムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施形態は、標準的な圧縮空気エネルギー貯蔵(CAES)システム、および排出ガス再循環を有するCAESシステムに関して記述されている。しかし、本発明の実施形態を他の空気圧縮膨張システムの使用に対して同様に応用できることが、当業者には理解されよう。
【0014】
図1を参照すると、本発明の一実施形態による、例えばCAESシステムなど例示的な空気圧縮膨張システム100のブロック図が示されている。CAESシステム100は、モータ/発電機ユニット102、圧縮システム106に連結された第1の駆動軸104、および膨張システム110に連結された第2の駆動軸108を備える。クラッチ112、114は、圧縮システム106および膨張システム110からモータ/発電機ユニット102を、それぞれ選択的にはずす。
【0015】
一実施形態によれば、圧縮システム106は、圧縮システム106の入口側118で作動流体116を受け取り、作動流体116を貯蔵圧力(例えば、約50〜150バール)に圧縮し、圧縮機システム106の出口側122で圧縮作動流体120を排出するように構成された、単一の圧縮機ユニットを備える。あるいは、圧縮システム106は、互いに直列に連結されたいくつかの圧縮機ユニットを備えることができる。このようにして、そのいくつかの圧縮機ユニットは、作動流体116を第1の圧力から第2の圧力までいくつかの圧力段階で圧縮するように構成され、圧縮機ユニットのそれぞれは、作動流体116を第1の圧力と第2の圧力との差未満の圧力に圧縮するように構成する。例えば、そのいくつかの圧縮機ユニットは、作動流体116を大気圧から貯蔵圧力まで圧縮するように構成されてもよい。同様に、一実施形態によれば、膨張システム110は、ある量の貯蔵作動流体124を第3の圧力から第4の圧力まで膨張させるように構成された、1つの膨張機またはタービンを備える。あるいは、膨張システム110は、互いに直列に連結され、いくつかの圧力段階で動作するように構成されたいくつかの膨張機ユニットを備えることができ、膨張機ユニットのそれぞれは、貯蔵作動流体124を第3の圧力と第4の圧力との差未満の圧力だけ膨張させるように構成される。膨張システム110は、膨張システム110の入口126である量の貯蔵作動流体124を受け取り、貯蔵作動流体124を排出圧力(例えば、約1バール)に膨張させ、膨張システム110の出口128で膨張作動流体166を排出するように構成される。
【0016】
作動流体116は、圧縮システム106の入口側118でCAESシステム100に入り、作動流体116が圧縮機経路130を通って移動するにつれて、圧縮システム106によって圧縮される。圧縮作動流体120は、圧縮システム106の出口側122から出て、圧縮システム106と、例えば天然の洞穴または岩塩洞穴等の、圧縮空気貯蔵容積134との間の、第1の経路132に沿って移動する。圧縮作動流体120は、第1の経路132に沿って移動する時、貯蔵に先立って冷却するための任意の熱交換器または最終冷却器136(破線で示す)を通過して、二酸化炭素(CO2)分離システム138に入り、そこでCO2が、圧縮作動流体120から濾過または分離される。図1に示すように、CO2分離システム138は、圧縮システム106の下流および膨張システム110の上流で、CAESシステム100内に配置されている。CO2分離システム138は、例えば溶媒をベースとするCO2回収ユニット、または膜をベースとするCO2回収ユニット等の、CO2分離ユニット140を備える。CO2分離システム138はまた、圧縮作動流体120をCO2分離温度に冷却するためのトリム冷却器(trim cooler)144(破線で示す)、および/または任意の前処理デバイス146(破線で示す)を含みうる任意の処理システム142を備え、この任意の処理システム142は、作動流体116から微粒子を除去するためにCO2分離ユニット140から上流に配置されてもよい。CO2が希薄なまたはCO2を含まない作動流体148は、CO2分離システム138から出て、圧縮空気貯蔵容積134に貯蔵される。一実施形態によれば、分離されたCO2150は、任意のCO2貯蔵システム152(破線で示す)に移動されてもよい。
【0017】
作動流体116は、CO2分離ユニット140を通過するのに先立って圧縮されるので、作動流体116のCO2分圧が上昇し、それによってCO2を分離するための駆動力が実質的に増大する。また、CO2分離システム138を通過する作動流体116の体積は、圧縮を経て減少するので、より小さなCO2分離ユニットをCAESシステム100に組み込むこむことができ、それによって設備費が減少する。
【0018】
いくつかの弁154、156、158が、圧縮システム106、膨張システム110、および圧縮空気貯蔵容積134の間に配置されて、CAESシステム100全体を通して流体の動きを制御する。例えば、弁154が閉じられているとき、弁156、158を開き、ある量の貯蔵作動流体124を圧縮空気貯蔵容積134と膨張システム110との間の第2の経路160に沿って移動させることができる。ある量の貯蔵作動流体124は、第2の経路160に沿って移動する時に、任意の燃焼器162(破線で示す)を通過してもよい。貯蔵作動流体124は、膨張システム110の入口126から入り、貯蔵作動流体124が膨張経路164を通って移動するにつれて、膨張システム110によって膨張される。膨張作動流体166は、膨張システム110の出口128でCAESシステム100から出る。
【0019】
また、図1に示すように、一実施形態によれば、CO2分離システム138は、上述のように、圧縮システム106と圧縮空気貯蔵容積134との間の第1の経路132に沿って流体結合されている。他の実施形態によれば、CO2分離システム138は、例えば位置168、170、172(破線で示す)のいずれかの位置等の、CAESシステム100内の様々な代替位置に設置されてもよい。CO2分離システム138は、同様に、例えば燃焼器162の上流であり膨張システム110の下流である位置、または弁156と圧縮空気貯蔵容積134との間の位置等の他の位置に設置されてもよいことが、同業者には認識されるであろう。
【0020】
本発明の一実施形態によれば、CAESシステム100は、貯蔵作動流体124が膨張システム110内で膨張させられる前に、その貯蔵作動流体124を予熱するために、熱交換器174(破線で示す)有して任意に構成されてもよい。そのような実施形態では、膨張作動流体166の全体または一部は、熱交換器174を通過するようにして経路176に沿って送られる。
【0021】
一実施形態では、作動流体116は、例えば、約400ppmvのCO2濃度を有する大気である。そのような実施形態では、圧縮システム106は、例えば、圧縮作動流体120が分離の際に約0.04バールのCO2分圧を有するように、作動流体116を100バールの貯蔵圧力に圧縮するように構成されてもよい。
【0022】
あるいは、作動流体116は、例えば、約3〜30%のCO2パーセント量を有する、発電所または産業工程から排出された燃料排ガスであってもよい。例えば、作動流体116は、約15パーセント量のCO2濃度を有する、微粉炭発電所から排出された燃料排ガスであってもよい。この実施形態では、圧縮作動流体120は、100バールの貯蔵圧力、および分離の際に約15バールの対応するCO2分圧を有しうる。別の例として、作動流体116は、約4パーセント量のCO2濃度を有する、天然ガス複合発電から排出された燃焼排ガスであってもよい。この実施形態では、圧縮作動流体120は、100バールの貯蔵圧力に圧縮され、分離の際に約8バールのCO2分圧を有しうる。
【0023】
膨張システムの共燃焼上流を備えるCEASシステム(例えば、天然ガス発電所)のために、膨張システムから出る排出された膨張作動流体の一部は、本発明の実施形態により、圧縮機へ任意に再循環して戻されてもよい。例えば、膨張作動流体166の何分の一か(例えば、最大50%)を含む再循環排ガスまたは再循環流体178(破線で示す)は、膨張システム110の出口側128と、圧縮システム106の入口側118との間の、再循環経路180に沿って送られてもよい。再循環流体178は、圧縮システム106の入口側118で、作動流体116と混合される。その結果、圧縮作動流体120内のCO2濃度が増加し、したがってCO2分圧が上昇し、CO2分離がより容易になる。作動流体116は、再循環排出流体178を取り入れる実施形態では、再循環排出流体178を取り入れない実施形態よりも小さい入口流で、圧縮システム106に入りうる。
【0024】
次に図2を参照すると、本発明の一実施形態によるCAESシステム182のブロック図が示されている。CAESシステム182は、圧縮機システム186に連結されたモータ184、貯蔵洞穴188、発電機192に連結されたタービンシステム190、および例えばCO2分離システム138(図1)等のCO2分離システム194を備える。CAESシステム182はまた、貯蔵洞穴188へのおよび貯蔵洞穴188からのガスの動きを制御するために操作されうる、いくつかの弁196、198、200を備える。
【0025】
図2に示したように、圧縮機システム186は、ギアボックス206をそれらの間に有する、第1の圧縮機202および第2の圧縮機204を備える。タービンシステム190は、第1のタービン208および第2のタービン210を備える。示したように、任意の燃焼器212、214(破線で示す)が、第1のタービン208の入口216、および/または第1および第2のタービン208、210の間の位置に配置されてもよい。本実施形態では2つの圧縮機202、204のみ示してあるが、圧縮システム186は2つよりも多くの圧縮機を備えることができることが意図されている。同様に、タービンシステム190は2つよりも多くのタービンを備えることができる。
【0026】
ガスは、第1の圧縮機202の入口218で圧縮機システム186に入り、圧縮経路220を通って移動し、第2の圧縮機204の出口222で圧縮機システム186から出る。ガスは、第1の圧縮機202を通過するときに中間圧力に圧縮され、第2の圧縮機204を通過するときに最終貯蔵圧力に圧縮される。任意の冷却ユニット224(破線で示す)が、第2の圧縮機204での圧縮に先立ってガスを予冷却するために、第1および第2の圧縮機202、204の間に配置されてもよい。
【0027】
圧縮機システム186から出た後、ガスは、圧縮機システム186と貯蔵洞穴188との間に形成された圧縮ガス経路226に沿って移動する。CO2分離システム194は、図1のCO2分離システム138について説明したのと同様の方法で、ガスが圧縮空気経路226に沿って移動するときに、そのガスからCO2を濾過する。
【0028】
一実施形態によれば、圧縮ガスが洞穴188に貯蔵される前に、圧縮ガスは、洞穴188への貯蔵に先立って圧縮空気から熱を除去する任意の冷却ユニット228(破線で示す)を通過してもよい。貯蔵に先立って圧縮ガスから熱を除去することにより、洞穴188の完全性を保護することができる。冷却ユニット228がCO2分離システム194の上流に示されているが、あるいは、冷却ユニット228は、CO2分離システム194の下流に位置されてもよい。
【0029】
圧縮ガスは、洞穴188に貯蔵された後、タービンシステム190へ出口経路234に沿って移動する。あるいは、洞穴188への中間貯蔵なしに圧縮ガスを圧縮システム186からタービンシステム190まで直接移動できるようにするために、弁196〜200が操作されてもよい。タービンシステム190の構成により、圧縮ガスは、そこを通過するときに膨張し、したがってタービンシステム190を回転させることになる。ガスは、第1のタービン208を通過するときに中間膨張圧力に膨張し、第2のタービン210を通過するときに大気圧にさらに膨張する。タービンシステム190の回転が発電機ユニット192に接続された駆動軸230を回転させることで、発電機ユニット192に電力を生じさせる。
【0030】
本発明の一実施形態によれば、CAESシステム182は、任意選択で熱エネルギー貯蔵(TES)ユニット232(破線で示す)を備えることができる。そのような実施形態では、貯蔵洞穴188に向かって圧縮空気経路226に沿って流れる圧縮ガスは、圧縮ガスから熱を除去するTESユニット232を通過する。この熱は、TESユニット232によって貯蔵され、その後で、ガスが貯蔵洞穴188とタービンシステム190との間に形成された出口経路234に沿って移動するにつれて圧縮ガスがTESユニット232を再度通過するとき、圧縮ガスに戻される。
【0031】
図2では、CO2分離システム194は、圧縮機システム186の下流であり貯蔵洞穴188の上流である位置に示されているが、CO2分離システム194は第1の圧縮機202の下流であり第2のタービン210の上流であるいかなる位置に配置されてもよいことが、当業者には理解されよう。したがって、様々な実施形態によれば、CO2分離システム194は、例えば、位置236、238、240、242(破線で示す)のいずれかの位置に配置されてもよい。
【0032】
したがって、一実施形態によれば、ガス圧縮膨張システムは、貯蔵区画に流体結合され、貯蔵区画に貯蔵するための第1の量のガスを圧縮するように構成された圧縮システムを備え、この圧縮システムは、それを通して第1の量のガスを運ぶように構成された圧縮経路を備える。ガス圧縮膨張システムはまた、貯蔵区画に流体結合され、貯蔵区画からの第2の量のガスを膨張させるように構成された膨張システムを備え、この膨張システムは、それを通して第2の量のガスを運ぶように構成された膨張経路を備える。さらに、ガス圧縮膨張システムは、圧縮経路に流体結合され、第1の量のガスを貯蔵区画に運ぶように構成された第1の経路と、膨張経路に流体結合され、第2の量のガスを貯蔵区画から膨張システムに運ぶように構成された第2の経路と、第1の経路、第2の経路、圧縮経路、および膨張経路のうちの1つに流体結合された二酸化炭素分離ユニットとを備えており、この二酸化炭素分離ユニットは、第1の量のガスおよび第2の量のガスのうちの1つからある量の二酸化炭素を除去するように構成される。
【0033】
別の実施形態によれば、空気圧縮膨張システムの製造方法は、貯蔵容積に貯蔵するための空気流を圧縮するように圧縮機を構成するステップと、第1の空気流経路を圧縮機に連結し、圧縮空気流を貯蔵容積へ運ぶように第1の空気流経路を構成するステップと、ある量の圧縮空気流を受け取りかつそのある量の圧縮空気流を膨張させるようにタービンを構成するステップとを含む。この方法はまた、第2の空気流経路をタービンに連結し、ある量の圧縮空気流を貯蔵容積からタービンへ運ぶように第2の空気流経路を構成するステップと、第1の空気流経路および第2の空気流経路のうちの少なくとも1つに沿って二酸化炭素フィルタを連結し、圧縮空気流からある量の二酸化炭素を濾過するように二酸化炭素フィルタを構成するステップとを含む。
【0034】
さらに別の実施形態によれば、圧縮空気エネルギー貯蔵(CAES)システムは、入口および出口を有する圧縮機組立体を備え、圧縮機は、圧縮機組立体の出口で圧縮作動流体を排出するように構成される。CAESシステムはまた、圧縮機の出口の下流に配置されて圧縮作動流体を受け取りかつ貯蔵するように構成された貯蔵容積と、貯蔵容積の下流に配置され、その入口で貯蔵洞穴からの圧縮作動流体を受け取りまたその出口で膨張作動流体を排出するように構成されたタービン組立体と、圧縮機組立体の出口の下流およびタービン組立体の入口の上流に配置された二酸化炭素分離ユニットとを備えており、二酸化炭素分離ユニットは、圧縮作動流体からある量の二酸化炭素を除去するように構成される。
【0035】
本書では、例を使用して、最良の状態を含む本発明を開示し、また、当業者なら誰でも、任意のデバイスまたはシステムの製造および使用、ならびに任意の組み込まれた方法の実行を含めて本発明を実施することができるようにしている。本発明の特許性を有する範囲は、特許請求の範囲によって定義され、また当業者に想起される他の例も含みうる。そのような他の例は、それが、特許請求の範囲の文言に相違しない構造要素を有する場合、または、それが、特許請求の範囲の文言とは実質的に相違しない均等な構造要素を含む場合、特許請求の範囲に記載の範囲に含まれることが意図されている。
【符号の説明】
【0036】
100 圧縮空気エネルギー貯蔵(CAES)システム
102 モータ/発電機ユニット
104 第1の駆動軸
106 圧縮システム、圧縮機システム
108 第2の駆動軸
110 膨張システム
112 クラッチ
114 クラッチ
116 作動流体
118 入口側
120 圧縮作動流体
122 出口側
124 貯蔵作動流体
126 入口
128 出口
130 圧縮機経路
132 第1の経路
134 圧縮空気貯蔵容積
136 任意の熱交換器または最終冷却器
138 二酸化炭素(CO2)分離システム
140 CO2分離ユニット
142 任意の処理システム
144 トリム冷却器
146 任意の前処理デバイス
148 CO2が希薄なまたはCO2を含まない作動流体
150 分離されたCO2
152 任意のCO2貯蔵システム
154 弁
156 弁
158 弁
160 第2の経路
162 任意の燃焼器
164 膨張経路
166 膨張作動流体
168 位置
170 位置
172 位置
174 熱交換器
176 経路
178 再循環流体、再循環排出流体
180 再循環経路
182 CAESシステム
184 モータ
186 圧縮機システム、圧縮システム
188 貯蔵洞穴、洞穴
190 タービンシステム
192 発電機、発電機ユニット
194 CO2分離システム
196 弁
198 弁
200 弁
202 第1の圧縮機
204 第2の圧縮機
206 ギアボックス
208 第1のタービン
210 第2のタービン
212 任意の燃焼器
214 任意の燃焼器
216 入口
218 入口
220 圧縮経路
222 出口
224 任意の冷却ユニット
226 圧縮ガス経路、圧縮空気経路
228 任意の冷却ユニット
230 駆動軸
232 熱エネルギー貯蔵(TES)ユニット
234 出口経路
236 位置
238 位置
240 位置
242 位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯蔵区画に流体結合され、前記貯蔵区画に貯蔵するための第1の量のガスを圧縮するように構成された圧縮システムであり、前記第1の量のガスを運ぶように構成された圧縮経路を備える圧縮システムと、
前記貯蔵区画に流体結合され、前記貯蔵区画からの第2の量のガスを膨張させるように構成された膨張システムであり、前記第2の量のガスを運ぶように構成された膨張経路を備える膨張システムと、
前記圧縮経路に流体結合され、前記第1の量のガスを前記貯蔵区画へ運ぶように構成された第1の経路と、
前記膨張経路に流体結合され、前記貯蔵区画からの前記第2の量のガスを前記膨張システムへ運ぶように構成された第2の経路と、
前記第1の経路、前記第2の経路、前記圧縮経路、および前記膨張経路のうちの1つに流体結合された二酸化炭素分離ユニットとを備え、前記二酸化炭素分離ユニットが、前記第1の量のガスおよび前記第2の量のガスのうちの1つからある量の二酸化炭素を除去するように構成された、ガス圧縮膨張システム。
【請求項2】
前記二酸化炭素分離ユニットが、溶媒をベースとする分離ユニット、および膜をベースとする分離ユニットのうちの1つを含む、請求項1記載のガス圧縮膨張システム。
【請求項3】
前記圧縮システムが、前記第1の量のガスの圧力を第1の圧力から第2の圧力まで上昇させるように構成され、前記圧縮システムが、前記圧縮経路に流体結合された複数の圧縮機ユニットを備え、
各圧縮機ユニットが、前記第1の量のガスの圧力を前記第1の圧力と前記第2の圧力との差未満のそれぞれの圧力だけ上昇させるように構成された、請求項1記載のガス圧縮膨張システム。
【請求項4】
前記膨張システムが、前記第2の量のガスの圧力を第3の圧力から第4の圧力まで下降させるように構成され、前記膨張システムが、前記膨張経路に流体結合された複数の膨張機ユニットを備え、また、
各膨張機ユニットが、前記第2の量のガスの圧力を前記第3の圧力と前記第4の圧力との差未満のそれぞれの圧力だけ下降させるように構成された、請求項1記載のガス圧縮膨張システム。
【請求項5】
前記第1の量のガスが大気を含む、請求項1記載のガス圧縮膨張システム。
【請求項6】
前記第1の量のガスが燃焼排ガスを含む、請求項1記載のガス圧縮膨張システム。
【請求項7】
前記膨張システムおよび前記圧縮システムに流体結合された第3の経路をさらに備え、前記第3の経路が、ある量の二酸化炭素が濃縮されたガスを前記膨張システムから前記圧縮システムへ運ぶように構成された、請求項6記載のガス圧縮膨張システム。
【請求項8】
前記貯蔵区画が洞穴を含む、請求項1記載のガス圧縮膨張システム。
【請求項9】
空気圧縮膨張システムの製造方法であって、
貯蔵容積に貯蔵するための空気流を圧縮するように圧縮機を構成するステップと、
前記圧縮機に第1の空気流経路を連結し、圧縮空気流を前記貯蔵容積へ運ぶように前記第1の空気流経路を構成するステップと、
ある量の圧縮空気流を受け取りかつ前記ある量の圧縮空気流を膨張させるようにタービンを構成するステップと、
前記タービンに第2の空気流経路を連結し、前記ある量の圧縮空気流を前記貯蔵容積から前記タービンへ運ぶように前記第2の空気流経路を構成するステップと、
前記第1の空気流経路および前記第2の空気流経路のうちの少なくとも1つに沿って二酸化炭素フィルタを連結し、前記圧縮空気流からある量の二酸化炭素を濾過するように前記二酸化炭素フィルタを構成するステップとを含む、方法。
【請求項10】
前記圧縮機と前記タービンとの間に第3の空気流経路を連結し、前記圧縮機に再循環空気流を送るように前記第3の空気流経路を構成するステップをさらに含む、請求項9記載の方法。
【請求項11】
二酸化炭素が濃縮された空気流を圧縮するように圧縮機を構成するステップをさらに含み、前記二酸化炭素が濃縮された空気流が、再循環空気流と燃焼排ガスとの混合気を含む、請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記空気流を発電所および産業工程から前記圧縮機へ送るために、前記圧縮機、ならびに前記発電所および前記産業工程のうちの1つに第3の空気流経路を連結するステップをさらに含む、請求項9記載の方法。
【請求項13】
入口および出口を有する圧縮機組立体であり、圧縮機が前記圧縮機組立体の前記出口で圧縮作動流体を排出するように構成された、圧縮機組立体と、
前記圧縮機の前記出口の下流に配置され、前記圧縮作動流体を受け取りかつ貯蔵するように構成された貯蔵容積と、
前記貯蔵容積の下流に配置され、その入口で前記貯蔵洞穴からの前記圧縮作動流体を受け取りかつその出口で膨張作動流体を排出するように構成されたタービン組立体と、
前記圧縮機組立体の出口の下流および前記タービン組立体の入口の上流に配置された二酸化炭素分離ユニットとを備える、圧縮空気エネルギー貯蔵(CAES)システムであって、前記二酸化炭素分離ユニットが、前記圧縮作動流体からある量の二酸化炭素を除去するように構成された、CAESシステム。
【請求項14】
第1の量の作動流体が大気を含み、
前記圧縮機組立体が、
前記圧縮機組立体の入口で、ある大気中二酸化炭素濃度を有する前記作動流体を受け取り、かつ
前記作動流体を圧縮するように構成された、請求項13記載のCAESシステム。
【請求項15】
前記大気中二酸化炭素濃度が、約0.04パーセント量である、請求項14記載のCAESシステム。
【請求項16】
前記第1の量の作動流体が燃焼排ガスを含み、
前記圧縮機組立体が、
前記圧縮機組立体の入口で、ある燃焼排ガス中二酸化炭素濃度を有する前記作動流体を受け取り、かつ
前記作動流体を圧縮するように構成された、請求項13記載のCAESシステム。
【請求項17】
前記燃焼排ガス中二酸化炭素濃度が、約4パーセント量から15パーセント量の範囲内である、請求項16記載のCAESシステム。
【請求項18】
前記圧縮機組立体が、
前記圧縮機組立体の入口で、ある量の作動流体を受け取り、
前記タービン組立体の前記出口からの、ある量の膨張作動流体を含むある量の再循環流体を受け取り、
前記ある量の作動流体と前記ある量の再循環流体との組み合わせを、複合流体混合気に圧縮し、
前記圧縮機組立体の出口で、前記燃焼排ガス中二酸化炭素濃度よりも大きい混合気中二酸化炭素濃度を有する前記複合混合気を排出するように、さらに構成された、請求項16記載のCAESシステム。
【請求項19】
前記混合気中二酸化炭素濃度が、約8パーセント量である、請求項18記載のCAESシステム。
【請求項20】
前記圧縮空気貯蔵容積が、岩塩洞穴を含む、請求項13記載のCAESシステム。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2013−508619(P2013−508619A)
【公表日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−536814(P2012−536814)
【出願日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際出願番号】PCT/US2010/049033
【国際公開番号】WO2011/056301
【国際公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【Fターム(参考)】