説明

空調システム

【課題】デシカント空調機ユニットでの外気負荷を低減させ、デシカント空調機ユニットの性能低下を防止し、デシカント空調機ユニットの給気ファンの消費電力を低下させ、外気の冷却や加熱に自然エネルギを利用し得るようにする。
【解決手段】デシカント空調機ユニット52は、全熱交換器ユニット51で冷却、除湿された空気を除湿するデシカント除湿ロータ61と、冷却塔66で生成された冷却水によりデシカント除湿ロータからの空気を冷却し除湿する冷却コイル63と、加湿器64と、太陽集熱器83で加熱された温水を介し外気OAを加熱して除湿時にデシカント除湿ロータを再生させるための空気を生成する加熱コイル74を備え、外気OAの除湿時には、デシカント空調機ユニットから送出し得るよう構成する。外気の除湿時には、夏期のピーク時にデシカント空調機ユニットから送出される給気を30℃以下とし得るよう構成したものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は空調システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
空調システムには、従来から、デシカント除湿ロータを備えたデシカント空調機ユニットが用いられているものがあり、斯かるデシカント空調機ユニットを備えた空調システムの一例としては、図18に示すものがある。図中、1はデシカント空調機ユニット、2はデシカント空調機ユニット1のハウジング、2a,2bは、ハウジング2の幅方向中央部を仕切り壁3により仕切ることにより形成された二つのチャンバである。
【0003】
ハウジング2内には、外気OA導入側から給気SA導出側に向けて、デシカント除湿ロータ4及び顕熱交換ロータ5が、仕切り壁3を貫通してチャンバ2a,2bの両方に跨るよう、順次配置されている。デシカント除湿ロータ4及び顕熱交換ロータ5は、何れも駆動装置により、仕切り壁3と平行に延びる軸心に対し回転可能なハニカム構造となっており、ハニカム部を空気が通過し得るようになっている。デシカント除湿ロータ4は、ハニカム部に除湿剤を備えており、チャンバ2aに導入された外気OA(空気)をデシカント除湿ロータ4のハニカム部に通過させることにより、空気中の水分を除湿剤に吸収させて除湿を行い、これにより水分との反応熱により空気に顕熱を付与すると共に空気中の絶対湿度を減少させることにより空気から潜熱を除去するものである。顕熱交換ロータ5は、デシカント除湿ロータ4で除湿により顕熱を付与されると共に潜熱を除去されて送給されてきた空気から顕熱を除去するものである。
【0004】
チャンバ2a内には、顕熱交換ロータ5よりも給気SA導出側に位置するよう、ハウジング2内における空気流れ方向上流側から下流側に向けて、冷却コイル6、加熱コイル7、加湿器8、給気ファン9が順次配置されている。冷却コイル6には、空気の除湿時に冷凍機10からの冷水を、管路11を介して供給し得るようになっており、冷却コイル6で顕熱交換ロータ5からの空気を冷却した冷水は、冷水ポンプ12により管路13を介して冷凍機10へ戻し得るようになっている。而して、チャンバ2a内を流通する空気を冷却するための冷水は、冷凍機10と冷却コイル6の間を循環し得るようになっている。外気OA導入側からチャンバ2a内に導入された外気の冷却には、冷凍機10により冷却される冷水と空気の熱交換器である冷水コイル6の代わりに、水を空気に直接噴霧し気化させてその際の蒸発潜熱により空気を冷却する直接式気化冷却器、或は冷凍機で圧縮液化された冷媒ガスと空気が直接熱交換する直膨コイル等を使用することもできる。
【0005】
加熱コイル7には、チャンバ2a内を流れる空気の加熱時にボイラ等の温熱源14からの温水を、管路15,16を介して供給し得るようになっており、加熱コイル7で顕熱交換ロータ5側からの空気を加熱した温水は、温水還ポンプ17により管路18,19を介して温熱源14へ戻し得るようになっている。而して、チャンバ2a内を流れる空気を加熱するための温水は、温熱源14と加熱コイル7の間を循環し得るようになっている。
【0006】
チャンバ2bには、チャンバ2aに導入される外気OAの流れに対し対向流となるよう外気OAを導入し得るようになっており、チャンバ2a側において顕熱交換ロータ5が空気の冷却を行った場合には、顕熱交換ロータ5は昇温しているため、チャンバ2bに導入された外気OAは顕熱交換ロータ5により加熱されるようになっている。又、チャンバ2b内には、顕熱交換ロータ5とデシカント除湿ロータ4との間に位置するよう、加熱コイル20が配置されていると共に、チャンバ2bにおいてデシカント除湿ロータ4の空気流れ方向下流側に位置するよう排気ファン21が配置されている。加熱コイル20には、導入外気の除湿が必要な時期に、チャンバ2a側で空気を除湿したデシカント除湿ロータ4の除湿剤から水分を蒸発させ除去するよう、連続的に再生するのであるが、除湿剤の再生には高温で乾いた空気が必要であり、そのため、温熱源14からの温水を、管路15,22を介して供給し得るようになっており、加熱コイル20で顕熱交換ロータ5からの空気を加熱した温水は温水還ポンプ17により管路23,19を介して温熱源14へ戻し得るようになっている。而して、加熱コイル20でチャンバ2b内を送給された空気を加熱するための温水は、温熱源14と加熱コイル20の間を循環し得るようになっている。加熱コイル7,20へ供給される温水を生成させるための温熱源14としては、ボイラの代わりに、高温の排熱を発生させるコジェネレーションシステムを使用することもできる。この場合でも、再生側の加熱コイル20へ供給する温度としては90℃以上の温水が必要であり、それが供給できなければならない。
【0007】
図中、24は図示しない外気ガラリからの外気OAをデシカント空調機ユニット1におけるハウジング2のチャンバ2aに導入するためのダクト、25は同様にハウジング2のチャンバ2aで外気OAを処理することにより生成された空気を給気SAとして後工程の被空調空間へ送給するためのダクト、26は同様に外気OAをハウジング2のチャンバ2bに導入するためのダクト、27は同様にチャンバ2bで外気OAを処理することにより生成された空気をデシカント除湿ロータ4の再生に供した後、排気EAとして屋外へ排出するためのダクト、28は加湿器8の管路29に設けた加湿弁である。
【0008】
i)外気OAを除湿する場合
図18に示すデシカント空調機ユニット1により外気OAの除湿(除湿は主として被空調空間を冷房する場合に行われる)を行う場合の作動を図19をも参照して説明すると、外気OAの除湿の場合は、デシカント除湿ロータ4及び顕熱交換ロータ5は、何れも回転駆動され、加湿器8の加湿弁28は閉止し、給気ファン9、排気ファン21は駆動され、冷凍機10、冷水ポンプ12は駆動され、温熱源14、温水還ポンプ17も駆動されている。又、図示してないが、ダクトに設けたダンパや管路に設けた流量制御弁は運転モードに対応して適宜開閉されており、除湿時にはチャンバ2b内の加熱コイル20には温水が供給されるが、チャンバ2a内の加熱コイル7には温水は供給されないようになっている。
【0009】
而して、ダクト24からチャンバ2aに導入された高温、高湿の外気OAは、回転駆動されているデシカント除湿ロータ4のハニカム部に設けた除湿剤を通過することにより除湿され、除湿の際の反応熱により加熱されて顕熱を付与されると共に潜熱を除去され、次いで、回転駆動されている顕熱交換ロータ5により顕熱を除去されて冷却され、冷却コイル6において、冷凍機10から管路11を通って供給された冷水により所定の温度に冷却され、給気ファン9により給気SAとしてダクト25から後工程の被空調空間へ送給される。被空調空間内に送給された給気SAは、被空調空間内にある空気と混合し、混合空気として被空調空間内に設置した内調機(図示せず)に導入され、内調機で所定の処理を行われ、空調用空気として被空調空間に送給される。
【0010】
内調機から被空調空間へ送出された空気は、ダクト25からの給気SAと混合して再び内調機に導入され、前述の手順を繰り返すが、被空調空間内の一部の空気は、排気として、被空調空間から排出され、図示していない径路から大気中に排気される。
【0011】
一方、ダクト26からチャンバ2bに導入された外気OAは、チャンバ2a側で空気の顕熱を除去し空気を冷却することにより加熱されてチャンバ2b側に回転してきた顕熱交換ロータ5の当該ハニカム部を通ることによりにより加熱され、次いで、加熱コイル20において、温熱源14から管路15,22を通って供給された温水により所定の温度に加熱される。又、デシカント除湿ロータ4において、チャンバ2a側で外気OAが除湿されることにより水分を含んだ吸湿剤の部分は、チャンバ2b側に回転してくるため、前記加熱コイル20で加熱された空気は、チャンバ2b側に回転してきたデシカント除湿ロータ4の当該除湿剤の部分を通過することにより、除湿剤の水分を加熱、蒸発させてデシカント除湿ロータ4を再生させ、デシカント除湿ロータ4を再生させた空気は、排気ファン21によりダクト27から排気EXとして排気される。
【0012】
外気除湿時の空気の状態を空気線図に示すと図20に示すようになる。図20中、OAは外気、SAは給気、RAは還気、MAは給気SAと還気RAが混合した混合空気である。又、給気SAの流量と還気RAの流量の比は約1対4、被空調空間の顕熱比SHFは約1である。更に、図20においてArwは外気除湿時負荷(外気OAを除湿する際の潜熱と顕熱を合計した全熱)、Arw2はデシカント空調機ユニット除湿時処理負荷(除湿時のデシカント空調機ユニット1の処理負荷で、顕熱と潜熱を合計した全熱)、Brwはデシカント空調機ユニット除湿時冷却負荷(除湿時のデシカント空調機ユニット1の冷却コイル6における外気冷却負荷であり、冷却コイル6で処理される顕熱)、Crwはデシカント空調機ユニット再生用空気加熱負荷(除湿時にデシカント空調機ユニット1のデシカント除湿ロータ4を再生させるための再生用空気の加熱負荷で顕熱)、Drwはデシカント空調機ユニット除湿負荷(除湿時のデシカント空調機ユニット1におけるデシカント除湿ロータ4の外気除湿負荷で潜熱)である。図19における(i)〜(x)は、空気の状態を示すシステム上の位置を示しており、図20の空気線図の(i)〜(x)は、図19の位置(i)〜(x)における空気の状態を示している。
【0013】
以下、空気の状態を図19、図20により説明する。図19に示すダクト24における入口の位置(i)では、外気OAは、図20の(i)の状態にある。而して、デシカント空調機ユニット1のハウジング2のチャンバ2aに導入された外気OAは、デシカント除湿ロータ4を通過することにより除湿され、除湿時の反応熱により加熱されて顕熱を付与され、且つ、除湿により絶対湿度、すなわち潜熱が低下する。従って、デシカント除湿ロータ4で除湿された空気は、デシカント除湿ロータ4の空気流れ方向下流側における位置(ii)では、図20の(ii)に示す状態となる。
【0014】
次に、チャンバ2a側における空気は、下流へ流れて顕熱交換ロータ5を通り顕熱を除去されるため、顕熱交換ロータ5の空気流れ方向下流側の位置(iii)では、空気は図20の(iii)に示す状態となる。又、顕熱交換ロータ5を通った空気は、冷水が流通している冷却コイル6を通り冷却されて顕熱が除去されるため、冷却コイル6の空気流れ方向下流側の位置(iv)では、空気は図20の(iv)に示す状態となる。而して、冷却コイル6で冷却された空気は、加熱コイル7、加湿器8を通るが特に処理を行われないため、図19の位置(iv)、(v)、(vi)では、特に空気の状態に変化はなく、図20の(iv)、(v)、(vi)に示すように同じ状態である。
【0015】
チャンバ2aにおいて加湿器8の空気流れ方向下流側へ送給された空気は、給気ファン9により給気SAとして被空調空間へ送給される。被空調空間内に送給された給気SAは、被空調空間内にある空気と混合し、混合空気として被空調空間内に設置した内調機(図示せず)に導入され、内調機で所定の処理を行われ、空調用空気として被空調空間に送給される。又、内調機から送給されて被空調空間の空調を行った空気の一部は、ダクト25からの給気SAと混合して再び内調機に導入され、前述の手順を繰り返すが、被空調空間内の一部の空気は、還気として、被空調空間から排出され、図示していない径路から
大気中に排出される。
【0016】
図19のチャンバ2bのダクト26における入口の位置(vii)では、外気OAは、図20の(vii)の状態にある。而して、ハウジング2のチャンバ2bに導入された外気OAは、顕熱交換ロータ5を通過することにより加熱されて顕熱が上昇し、顕熱交換ロータ5の空気流れ方向下流側における位置(viii)では、空気は図20の(viii)に示す状態となる。又、顕熱交換ロータ5を通ったチャンバ2b内の空気は、温熱源14から管路15,22を介し供給された温水により加熱コイル20において加熱されて顕熱が上昇し、加熱コイル20の空気流れ方向下流側における図19の位置(ix)では、空気は図20の(ix)に示す状態となる。更に、チャンバ2b内の空気は、デシカント除湿ロータ4の除湿剤を加熱再生して顕熱が下降し、潜熱が上昇するため、デシカント除湿ロータ4の空気流れ方向下流側における図19の位置(x)では、空気は図20の(x)の状態となり、排気ファン21により排気EAとして屋外へ排気される。
【0017】
ii)外気OAを加湿する場合
図18に示すデシカント空調機ユニット1により外気OAの加湿(加湿は主として被空調空間を暖房する場合に行われる)を行う場合の作動を図22をも参照して説明すると、加湿の場合は、デシカント除湿ロータ4及び顕熱交換ロータ5は、何れも回転されず停止しており、加湿器8の加湿弁28は開となり、給気ファン9は駆動され、排気ファン21、冷凍機10、冷水ポンプ12は停止しており、温熱源14、温水還ポンプ17は駆動されている。又、図示してないがダクトに設けたダンパや管路に設けた流量制御弁は運転モードに対応して適宜開閉されており、加湿時にはチャンバ2a内の加熱コイル7には温水が供給されるが、チャンバ2b内の加熱コイル20には温水は供給されないようになっている。
【0018】
而して、ダクト24からハウジング2のチャンバ2aに導入された低温、低湿の外気OAは、デシカント除湿ロータ4及び顕熱交換ロータ5並びに冷却コイル6を単に通過し、加熱コイル7を流通する、温熱源14からの温水により加熱され、加湿器8において加湿水により加湿され、給気ファン9により給気SAとしてダクト25から後工程の被空調空間へ送給される。而して、被空調空間内に送給された給気SAは、被空調空間内にある空気と混合し、混合空気として被空調空間内に設置した内調機(図示せず)に導入され、内調機で所定の処理を行われ、空調用空気として被空調空間に送給される。又、内調機から送出されて被空調空間の空調を行った空気の一部は、ダクト25からの給気SAと混合して再び内調機に導入され、前述の手順を繰り返すが、被空調空間内の一部の空気は、還気として、被空調空間から排出され、図示していない径路から大気中に排出される。又、外気OAを加湿する際には、チャンバ2bの系統には外気は導入されない。
【0019】
この外気加湿時の空気の状態を空気線図に示すと図23に示すようになる。図23中、OAは外気、SAは給気、RAは還気、MAは給気SAと還気RAが混合した混合空気、である。又、給気SAの流量と還気RAの流量の比は約1対4、被空調空間の顕熱比SHFは約1である。更に、図23においてAawは外気加湿時負荷、Aaw2はデシカント空調機加ユニット湿時処理負荷(加湿時のデシカント空調機ユニット1の処理負荷で、顕熱と潜熱を合計した全熱)、Bawはデシカント空調機ユニット加湿時加熱負荷(加湿時のデシカント空調機ユニット1の加熱コイル7における外気加熱負荷であり、加熱コイル7で付与される顕熱)、Dawはデシカント空調機ユニット加湿負荷(加湿時のデシカント空調機ユニット1の加湿器8における外気加湿負荷で潜熱)である。図22における(i)〜(vi)は、空気の状態を示すシステム上の位置を示しており、図23の空気線図の(i)〜(vi)は、図22の位置(i)〜(vi)における空気の状態を示している。
【0020】
以下、空気の状態を図22、図23により説明する。図22に示すダクト24における入口の位置(i)では、外気OAは、図23の(i)の状態にある。而して、デシカント空調機ユニット1のハウジング2のチャンバ2aに導入された外気OAは、デシカント除湿ロータ4、顕熱交換ロータ5、冷却コイル6は通過するだけで、処理は行われない。従って、チャンバ2a内におけるデシカント除湿ロータ4の空気流れ方向下流側における位置(ii)、顕熱交換ロータ5の空気下流側における位置(iii)、冷却コイル6の空気流れ方向下流側における位置(iv)では、空気の状態は図23の(i)の状態と同一である。
【0021】
チャンバ2aにおける空気は、冷却コイル6から加熱コイル7に送給され、温熱源14から管路15,16を介し供給される温水により加熱コイル7において加熱されて顕熱が上昇し、加熱コイル7の空気流れ方向下流側における図22の位置(v)では、空気は図23の(v)に示す状態となる。
【0022】
加熱コイル7で所定の状態に加熱された空気は、加湿器8において管路29から供給される加湿水により加湿されて顕熱が除去されると共に潜熱が上昇し、加湿器8の空気流れ方向下流側における図22の位置(vi)では、空気は図23の(vi)に示す状態となる。
【0023】
チャンバ2aにおいて加湿器8の空気流れ方向下流側へ送給された空気は、給気ファン9により給気SAとしてダクト25を通り被空調空間へ送給される。而して、被空調空間内に送給された給気SAは、被空調空間内にある空気と混合し、混合空気として被空調空間内に設置した内調機(図示せず)に導入され、内調機で所定の処理を行われ、空調用空気として被空調空間に送給される。又、内調機から送出されて被空調空間の空調を行った空気の一部は、ダクト25からの給気SAと混合して再び内調機に導入され、前述の手順を繰り返すが、被空調空間内の一部の空気は、還気として、被空調空間から送出され、図示していない径路から大気中に排出される。
【0024】
デシカント除湿ロータを用いた従来の空調システムとしては、特許文献1、特許文献2がある。而して、特許文献1は、外気を導入する導入通路と、室内の空気を還気し再生外気として外部に排出する排出通路とを並設し、これら両通路に跨がり前記導入通路から導入された外気を除湿し、一方、排出通路へ排出する再生外気の温度を下げる熱交換ロータを備え、この熱交換ロータによって除湿された外気を適温,低湿度にして、この外気を高温状態で室内に供給するに際し、この外気を店内の冷凍・冷蔵食品売場近傍に吹き出すことにより、室内のコールドアイルを解消するとともに冷凍・冷蔵食品売場近傍の適温、低湿度を一年を通じ維持するものである。
【0025】
特許文献2は、吸着ロータや再生用熱交換器と共に、顕熱交換器をケーシングに収納して調湿装置を構成し、顕熱交換器では、加湿側空気を吸着ロータで減湿された後の減湿側空気と熱交換させ、顕熱交換器で加熱された加湿側空気は、再生用熱交換器で更に加熱されてから吸着ロータへ送られ、吸着ロータは、加熱された加湿側空気と接触して再生され、又、ケーシング内において、吸着ロータは、顕熱交換器の上に重なるように配置されているものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0026】
【特許文献1】特開2001−193965号公報
【特許文献2】特開2003−227630号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0027】
図18に示す従来の空調システムには次のような問題点がある。すなわち、外気OAの除湿時、加湿時の何れの場合においても、外気除湿時負荷Arw(図20参照)、外気加湿時負荷Aaw(図23参照)の全てをデシカント空調機ユニット1の負荷として処理する必要があるため、外気処理に必要なエネルギが大きい。
【0028】
又、除湿時には、回転している顕熱交換ロータ5によりチャンバ2a側を流通する空気の顕熱を下降させるため、顕熱交換ロータ5のハニカム部は空気により加熱されて顕熱を付与され、チャンバ2b側に回転し、この加熱されたハニカム部がチャンバ2bへ導入された外気OAを加熱して顕熱を付与している。しかるに、顕熱交換ロータ5がチャンバ2b側からチャンバ2a側へ回転してくる際に、当該ハニカム部にチャンバ2b側に導入された高湿の外気OAが残存しており、従って、顕熱交換ロータ5の回転によりチャンバ2bからチャンバ2a側に高湿の空気も移行してしまう。このため、チャンバ2a側では、デシカント除湿ロータ4を通ることにより除湿された空気にチャンバ2b側からの高湿な空気が混入し、その結果、チャンバ2aから次工程へ送給される給気SAの湿度が高くなってしまい、顕熱交換ロータ5、延いてはデシカント空調機ユニット1の除湿性能が低下する。因みに、このときの空気線図は図21に示され、図19のチャンバ2aにおける位置(ii)から顕熱交換ロータ5を通過した後の位置(iii)における空気は、図21の(iii')の状態となって絶対湿度が上昇し、又、図19のチャンバ2bにおける位置(vii)から顕熱交換ロータ5を通過した後の位置(viii)における空気は、図21の(viii')の状態となって絶対湿度が下降する。図21の空気線図において図20の空気線図に示す符号と同一の符号のものは同一のものである。
【0029】
更に、チャンバ2aに設けた加熱コイル7及び加湿器8は、除湿時には使用しないが(図19参照)、チャンバ2aを送給される空気は、除湿時にも使用しない加熱コイル7及び加湿器8を通過する必要があるため、給気ファン9の余分な送風抵抗になってしまい、除湿時に使用しない加熱コイル7及び加湿器8の通風抵抗により給気ファン9の消費電力が多くなり、省エネルギを十分に果たすことができない。同様に、加湿時には、デシカント除湿ロータ4及び顕熱交換ロータ5並びに冷却コイル6は使用しないが、チャンバ2aを送給される空気は、加湿時にもデシカント除湿ロータ4及び顕熱交換ロータ5並びに冷却コイル6を通過する必要があるため、給気ファン9の余分な送風抵抗になってしまい、加湿時に使用しないデシカント除湿ロータ4及び顕熱交換ロータ5並びに冷却コイル6により給気ファン9の消費電力が多くなり、この場合にも省エネルギを十分に果たすことができない。
【0030】
外気OAを処理して給気SAとするチャンバ2aの系統では、外気OAの除湿の場合も加湿の場合も、例えば、デシカント除湿ロータ4の圧力損失は100[Pa]、顕熱交換ロータ5の圧力損失は60[Pa]、冷却コイル6の圧力損失は150[Pa]、加熱コイル7の圧力損失は60[Pa]、加湿器8の圧力損失は40[Pa]であり、合計の圧力損失は410[Pa]である。このため、この圧力損失は送風抵抗となるため、給気ファン9は410[Pa]を越える送風圧力を有するものを選定しなければならない。これは外気OAの除湿時も加湿時も同様である。
【0031】
又、外気OAをデシカント除湿ロータ4の除湿剤の再生用空気とするよう加熱するためのチャンバ2bの系統では、例えば、外気OAの除湿の場合にのみ使用し加湿の場合は使用しない顕熱交換ロータ5の圧力損失は60[Pa]、加熱コイル20の圧力損失は80[Pa]、デシカント除湿ロータ4の圧力損失は100[Pa]であり、合計の圧力損失は240[Pa]である。このため、圧力損失は送風抵抗となり、排気ファン21としては、240[Pa]を越える送風圧力を有するものを選定しなければならない。なお、加湿時には、チャンバ2bには外気は導入されないため、チャンバ2bの系統における各機器の圧力損失は問題にはならない。
【0032】
又、上記従来の空調システムのデシカント空調機ユニット1には顕熱交換ロータ5が設けてあるが、除湿時に顕熱交換ロータ5で冷却された空気を給気SAとしてチャンバ2aから被空調空間等、後工程に送給するには未だ高温であるため、顕熱交換ロータ5を通過した後に更に空気を冷却するためにチャンバ2a内に冷却手段として別の冷却コイル6を設置する必要がある。而して、冷却コイル6の場合、冷熱源で冷熱を生成するためのエネルギが必要となるため、冷熱源として圧縮式冷凍機を使用する場合には、冷凍サイクルを作動させるための圧縮機の電動機に電力(電気エネルギ)が必要となり、冷熱源が吸収式冷凍機の場合は、再生器で吸収液を加熱するために熱エネルギが必要となる。
【0033】
又、例えば、冷却手段として冷却コイル6に替えて、直接式気化冷却器や直膨コイルを使用することもできるが、直接式気化冷却器の場合は、空気は水の蒸発による蒸発潜熱により冷却されるため、絶対湿度が増加してしまい、直膨コイルの場合は、冷熱を生成するためのエネルギが必要となる。而して、直膨コイルで圧縮式冷凍機を使用する場合には、冷凍サイクルを作動させるための圧縮機の電動機に電力(電気エネルギ)が必要となる。
【0034】
上記従来の空調システムのデシカント空調機ユニット1で使用する温熱源14として、ボイラではなく温水発生機を使用する場合には、要求される給水温水温度も80℃以上なので、水の加熱に多量の熱エネルギが必要となり、ヒートポンプを使用する場合は、冷凍サイクルを作動させるための圧縮機の電動機に多量の電気エネルギが必要となる。従って、上記従来の空調システムにおいて、高温熱源が必要なので、電力をはじめとして加熱エネルギ生成のためには各種化石燃料が必要となり、エネルギのコストパーフォーマンスが悪化し、更に高温の燃焼温度レベル(火炎温度が2,000℃近い)を利用して、低温ではないがあまり高温でない100℃近い温熱をあまり高くない80〜90%の効率で作り出す熱力学的に非合理的利用をせざるを得ない。
【0035】
特許文献1の装置はデシカント除湿ロータと熱交換ロータを備えており、外気を適温、低湿度(除湿)にすることは可能であるが、加湿を行うことはできない。又、特許文献2
の装置はデシカント除湿ロータと回転しない固定の顕熱交換器を備え、しかも、減湿側通路と加湿側通路は別々に設けられている。しかし、特許文献1、2は、何れも、デシカント空調機ユニットでの除湿時の外気負荷の低減、除湿性能の向上、ファンの消費電力の低減、自然エネルギの利用等を意図したものではなく、本発明とは直接的な関連性はない。
【0036】
本発明は、上述の実情に鑑み、デシカント空調機ユニットで処理する外気負荷を低減させ、又、除湿された空気の除湿状態が低下しないようにし、更に外気の除湿時においても加湿時においても各機器を通過することによる圧力損失を減少させることにより給気ファンの消費電力を低下させて省エネルギを図り、外気の冷却や加熱に自然エネルギを利用することにより化石燃料の消費量を低減させるようにして省資源を図ることができるようにした空調システムを提供することを目的としてなしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0037】
請求項1の空調システムは、全熱交換器ユニットと、デシカント空調機ユニットとを備えた空調システムであって、
前記全熱交換器ユニットは、
前記デシカント空調機ユニットから給気として被空調空間に送給され戻ってきた還気により、導入された外気を冷却、除湿するか或は加熱、加湿し得るようにした全熱交換器を備え、
前記デシカント空調機ユニットは、
前記全熱交換器ユニットにおける全熱交換器で冷却、除湿されて導入された空気を除湿するデシカント除湿ロータと、
該デシカント除湿ロータにおける前記全熱交換器ユニットからの空気の流れ方向下流側に設けられ、且つ、冷却塔で外気と熱交換して冷却された冷却水により前記デシカント除湿ロータからの空気を冷却する冷却手段と、
該冷却手段の空気流れ方向下流側に設けられ、且つ、空気の加湿時に加湿水を空気に供給する加湿手段と、
前記全熱交換器ユニットにおける全熱交換器で冷却、除湿された空気を搬送する給気ファンと、
前記外気の除湿時に前記デシカント空調機ユニットに導入された空気を除湿した前記デシカント除湿ロータの再生に供するために前記デシカント空調機ユニットに導入された外気を加熱するよう、或は、前記外気の加湿時に前記全熱交換器ユニットから前記デシカント空調機ユニットに導入された空気を加熱するよう、太陽集熱手段で集熱された熱により加熱された温水が導入される加熱手段と、
前記デシカント除湿ロータの再生に供するために前記デシカント空調機ユニットに導入された外気を吸引する排気ファンと、
前記デシカント除湿ロータの再生に供するために前記デシカント空調機ユニットに導入する外気搬送道路と前記デシカント除湿ロータにおける前記全熱交換器ユニットからの空気の流れ方向下流側とを接続したり閉止したりできる第一のダンパとを備え、
前記外気の加湿時には、前記排気ファンを停止し、前記第一のダンパを開放することで、前記全熱交換器ユニットから送出された空気を、前記デシカント空調機ユニットのデシカント除湿ロータを通過させることなく前記デシカント空調機ユニットにおける加熱手段で加熱し、加湿手段で加湿してデシカント空調機ユニットから給気として送出し得るよう構成したものである。
【0038】
請求項2の空調システムは、全熱交換器ユニットと、デシカント空調機ユニットとを備えた空調システムであって、
前記全熱交換器ユニットは、
前記デシカント空調機ユニットから給気として被空調空間に送給され戻ってきた還気により、導入された外気を冷却、除湿するか或は加熱、加湿し得るようにした全熱交換器を備え、
前記デシカント空調機ユニットは、
前記全熱交換器ユニットにおける全熱交換器で冷却、除湿されて導入された空気を除湿するデシカント除湿ロータと、
該デシカント除湿ロータにおける前記全熱交換器ユニットからの空気の流れ方向下流側に設けられ、且つ、冷却塔で外気と熱交換して冷却された冷却水により前記デシカント除湿ロータからの空気を冷却する冷却手段と、
該冷却手段の空気流れ方向下流側に設けられ、且つ、空気の加湿時に加湿水を空気に供給する加湿手段と、
前記熱交換器ユニットにおける全熱交換器で冷却、除湿されて導入された空気を搬送する給気ファンと、
前記外気の除湿時に前記デシカント空調機ユニットに導入された空気を除湿した前記デシカント除湿ロータの再生に供するために当該デシカント空調機ユニットに導入された外気を加熱するよう、或は、前記外気の加湿時に前記全熱交換器ユニットから前記デシカント空調機ユニットに導入された空気を加熱するよう、太陽集熱手段で集熱された熱により加熱された温水が導入される、複数の加熱手段と、
前記デシカント除湿ロータの再生に供するために前記デシカント空調機ユニットに導入された外気を吸引する排気ファンと、
前記デシカント除湿ロータの再生に供するために前記デシカント空調機ユニットに導入する外気搬送通路と該デシカント除湿ロータにおける前記全熱交換器ユニットからの空気の流れ方向下流側を接続したり閉止したりできる第一のダンパとを備え、
前記デシカント除湿ロータを再生させるためにデシカント空調機ユニットに導入された外気は前記複数の加熱手段全て通過し得るよう構成され、
前記外気の加湿時には、前記排気ファンを停止し、前記第一のダンパを開放することで、前記全熱交換器ユニットから送出された空気を、前記デシカント空調機ユニットのデシカント除湿ロータを通過させることなく、前記デシカント空調機ユニットにおける複数の加熱手段のうち、全ての加熱手段よりも少ない数量の空気流れ方向上流側の加熱手段で加熱し、加湿手段で加湿してデシカント空調機ユニットから給気として送出し得るよう構成したものである。
【0039】
請求項3の空調システムは、全熱交換器ユニットと、デシカント空調機ユニットを備えた空調システムであって、
前記全熱交換器ユニットは、仕切り壁により仕切られて左右若しくは上下の全熱交換器ユニットチャンバが形成された全熱交換器ユニットハウジングを有し、且つ、該全熱交換器ユニットハウジングには、左右若しくは上下の全熱交換器ユニットチャンバを跨ぐよう全熱交換器が設置され、
左右若しくは上下の全熱交換器ユニットチャンバのうち一方の全熱交換器ユニットチャンバには、外気が導入されるよう構成され、
他方の全熱交換器ユニットチャンバには、前記デシカント空調機ユニットから給気として被空調空間に送給され戻ってきた還気が導入されるよう第一のダクトが接続され、
前記全熱交換器ユニットの全熱交換器においては、前記第一のダクトから送給されてきた還気により、導入された外気を冷却、除湿するか、或は加熱、加湿し得るよう構成され、
前記デシカント空調機ユニットは、第一のダンパが設けられた仕切り壁により仕切られて左右若しくは上下のデシカント空調機ユニットチャンバが形成されたデシカント空調機ユニットハウジングを有し、且つ、デシカント空調機ユニットハウジングには、左右若しくは上下のデシカント空調機ユニットチャンバを跨ぐようデシカント除湿ロータが設置され、
前記全熱交換器ユニットの一方の全熱交換器ユニットチャンバと、デシカント空調機ユニットの一方のデシカント空調機ユニットチャンバとは中途部に第二のダンパを有する第二のダクトにより接続され、
前記デシカント空調機ユニットは、前記一方のデシカント空調機ユニットチャンバの空気流れ方向下流側に設けられ、且つ、 前記デシカント除湿ロータからの空気を冷却する冷却手段と、該冷却手段の空気流れ方向下流側において一方のデシカント空調機ユニットチャンバに設けられ、且つ、加湿弁を有する管路に接続された加湿手段を備え、
前記デシカント空調機ユニットの他方のデシカント空調機ユニットチャンバには、第三のダンパを有する第三のダクトから外気を他方のデシカント空調機ユニットチャンバに導入し得るよう接続され、
且つ、第三のダクトから導入された外気を加熱し得るよう、前記デシカント除湿ロータにおける他方のデシカント空調機ユニットチャンバの空気流れ方向上流側には、加熱手段が設けられ、
前記第二のダクトの第二のダンパ接続部よりも空気流れ方向上流側と、第三のダクトの第三のダンパ接続部よりも外気流れ方向下流側とは、中途部に第四のダンパを有する第四のダクトにより接続され、
デシカント空調機ユニットにおける他方のデシカント空調機ユニットチャンバの空気流れ方向出側には、第五のダンパが設けられ、
前記一方のデシカント空調機ユニットチャンバの前記冷却手段の空気流れ方向下流側若しくは前記第三のダクトには給気ファンが設けられ、
前記他方のデシカント空調機ユニットチャンバの前記加熱手段の空気流れ方向下流側若しくは前記第五のダクトには排気ファンが設けられており、
前記冷却手段に冷却塔からの冷却水を送給する管路或は前記冷却手段から冷却水を冷却塔に戻す管路には、回転数を調整し得る冷却水ポンプが設けられ、
前記加熱手段に太陽集熱手段で集熱された温水を貯める温水蓄熱タンクから温水を送給する管路或は温水を加熱手段から温水蓄熱タンクへ戻す管路には、回転数を調整し得る温水ポンプが設けられており、
外気の除湿時には、前記第一のダンパ及び前記第四のダンパを閉止し、前記第二のダンパ、前記第三のダンパ及び前記第五のダンパを開放して、全熱交換器ユニットで冷却、除湿され且つデシカント空調機ユニットで除湿されて温調された給気を前記デシカント空調機ユニットの一方のデシカント空調機ユニットチャンバから被空調空間へ送給し得るよう構成すると共に、前記デシカント空調機ユニットの他方のデシカント空調機ユニットチャンバに導入された外気を加熱手段で加熱してデシカント除湿ロータに送給してデシカント除湿ロータの再生に供し得るよう構成し、
外気の加湿時には、前記第一のダンパ及び前記第四のダンパを開放し、前記第二のダンパ、前記第三のダンパ及び第五のダンパを閉止して、全熱交換器ユニットで加熱、加湿された空気を第二のダクト、及び第四のダクト、第三のダクトから他方のデシカント空調機ユニットチャンバに送給して加熱手段により加熱し、第一のダンパから一方のデシカント空調機ユニットチャンバへ供給して加湿手段により加湿し給気として被空調空間に送給し得るよう構成したものである。
【0040】
請求項4の空調システムにおいては、
第三のダクトから導入された外気を加熱し得るよう、前記デシカント除湿ロータにおける他方のデシカント空調機ユニットチャンバの空気流れ方向上流側には、空気流れ方向に向かって複数の加熱手段が設けられ、
加熱手段の温水が流通する管路には弁手段が設けられ、
外気の除湿時には、前記第一のダンパ及び前記第四のダンパを閉止し、前記第二のダンパ、前記第三のダンパ及び第五のダンパを開放して、全熱交換器ユニットで冷却、除湿され且つデシカント空調機ユニットで除湿され、温調された給気を前記デシカント空調機ユニットの一方のデシカント空調機ユニットチャンバから被空調空間へ送給し得るよう構成すると共に、前記デシカント空調機ユニットの他方のデシカント空調機ユニットチャンバに導入された外気を全ての加熱手段で加熱してデシカント除湿ロータに送給してデシカント除湿ロータの再生に供し得るよう構成し、
外気の加湿時には、前記第一のダンパ及び前記第四のダンパを開放し、前記第二のダンパ、前記第三のダンパ及び第五のダンパを閉止して、全熱交換器ユニットで加熱、加湿された空気を第二のダクト、及び第四のダクト、第三のダクトから他方のデシカント空調機ユニットチャンバに送給して、加熱手段のうち少なくとも空気流れ方向最下流側に位置する加熱手段は通さず、空気流れ方向上流側に位置する加熱手段により加熱し、第一のダンパから一方のデシカント空調機ユニットチャンバへ供給して加湿手段により加湿し給気として被空調空間に送給し得るよう構成したものである。
【0041】
請求項5の空調システムにおいては、
加熱手段は2基であると共に、温水流れ方向上流側の第一の加熱手段と、温水流れ方向下流側の第二の加熱手段は、中途部に第一の弁手段を有する第一の管路により接続され、第一の管路における第一の弁手段よりも温水流れ方向上流側と、第二の管路における第二の弁手段の温水流れ方向下流側とは、前記加熱手段の出側と温水蓄熱タンクとを接続する、中途部に第三の弁手段を有する第三の管路により接続されている。
【0042】
請求項6の空調システムは、
全熱交換器ユニットと、デシカント空調機ユニットを備えた空調システムであって、
前記全熱交換器ユニットは、仕切り壁により仕切られて左右若しくは上下の全熱交換器ユニットチャンバが形成された全熱交換器ユニットハウジングを有し、且つ、該全熱交換器ユニットハウジングには、左右若しくは上下の全熱交換器ユニットチャンバを跨ぐよう全熱交換器が設置され、
左右若しくは上下の全熱交換器ユニットチャンバのうち一方の全熱交換器ユニットチャンバには、外気が導入されるよう構成され、
他方の全熱交換器ユニットチャンバには、前記デシカント空調機ユニットから給気として被空調空間に送給され送給されてきた還気が導入されるよう第一のダクトが接続され、
前記全熱交換器ユニットの全熱交換器においては、前記第一のダクトから戻ってきた還気により、導入された外気を冷却、除湿するか、或は加熱、加湿し得るよう構成され、
前記デシカント空調機ユニットは、第一のダンパが設けられた仕切り壁により仕切られて左右若しくは上下のデシカント空調機ユニットチャンバが形成されたデシカント空調機ユニットハウジングを有し、且つ、デシカント空調機ユニットハウジングには、左右若しくは上下のデシカント空調機ユニットチャンバを跨ぐようデシカント除湿ロータが設置され、
前記全熱交換器ユニットの一方の全熱交換器ユニットチャンバと、デシカント空調機ユニットの一方のデシカント空調機ユニットチャンバとは中途部に第二のダンパを有する第二のダクトにより接続され、
前記デシカント空調機ユニットは、前記一方のデシカント空調機ユニットチャンバの空気流れ方向下流側に設けられ、且つ、 前記デシカント除湿ロータからの空気を冷却する冷却手段を備え、
前記デシカント空調機ユニットの他方のデシカント空調機ユニットチャンバには、第三のダンパを有する第三のダクトが外気を他方のデシカント空調機ユニットチャンバに導入し得るよう接続され、
且つ、第三のダクトから導入された外気を加熱し得るよう、前記デシカント除湿ロータにおける他方のデシカント空調機ユニットチャンバの空気流れ方向上流側には、加熱手段が設けられ、
前記他方のデシカント空調機ユニットチャンバには、前記加熱手段よりも前記デシカント除湿ロータから離反した側に位置するよう、加湿弁を有する管路に接続された加湿手段が設けられ、
前記他方のデシカント空調機ユニットチャンバには、前記デシカント除湿ロータと加熱手段との間に空気を送給し得るよう、中途部に第四のダンパを有する第四のダクトが接続され、
デシカント空調機ユニットにおける他方のデシカント空調機ユニットチャンバの空気流れ方向出側には、第五のダンパが設けられ、
前記一方のデシカント空調機ユニットチャンバの前記冷却手段の空気流れ方向下流側若くは前記第三のダクトには給気ファンが設けられ、
前記他方のデシカント空調機ユニットチャンバの前記加熱手段の空気流れ方向下流側若しくは前記第五のダクトには排気ファンが設けられており、
前記冷却手段に冷却塔からの冷却水を送給する管路或は前記冷却手段から冷却水を冷却塔に戻す管路には、回転数を調整し得る冷却水ポンプが設けられ、
前記加熱手段に太陽集熱手段で集熱された温水を貯める温水蓄熱タンクから温水を送給する管路或は温水を加熱手段から温水蓄熱タンクへ戻す管路には、回転数を調整し得る温水ポンプが設けられており、
外気の除湿時には、前記第一のダンパ及び前記第四のダンパを閉止し、前記第二のダンパ、前記第三のダンパ及び第五のダンパを開放して、全熱交換器ユニットで冷却、除湿され且つデシカント空調機ユニットで除湿されて生成された給気を前記デシカント空調機ユニットの一方のデシカント空調機ユニットチャンバから被空調空間へ送給し得るよう構成すると共に、前記デシカント空調機ユニットの他方のデシカント空調機ユニットチャンバに導入された外気を加熱手段で加熱してデシカント除湿ロータに送給してデシカント除湿ロータの再生に供し得るよう構成し、
外気の加湿時には、前記第一のダンパ及び前記第四のダンパを開放し、前記第二のダンパ、前記第三のダンパ及び第五のダンパを閉止して、全熱交換器ユニットで加熱、加湿された空気を第二のダクト、及び第四のダクトから他方のデシカント空調機ユニットチャンバに送給して加熱手段により加熱し、加湿手段により加湿して第一のダンパから一方のデシカント空調機ユニットチャンバへ供給し、給気として被空調空間に送給し得るよう構成したものである。
【0043】
請求項7の空調システムは、演算制御装置を備え、
該演算制御装置は、全熱交換器ユニットの一方の全熱交換器ユニットチャンバに導入される外気の乾球温度及び相対湿度から外気露点温度を演算する外気露点温度演算部と、
該外気露点温度演算部からの外気露点温度に基いて、外気を除湿するか加湿するか判断する除湿・加湿モード判断部と、
該除湿・加湿モード判断部からの指令により、第一のダンパ〜第五のダンパに開閉指令を与えるダンパ切替え操作指示部と、
デシカント空調機ユニットからの給気の給気温度と設定給気温度の偏差をPID演算して求めたポンプ回転数指令を基に冷却水ポンプの回転数を調整して冷却塔から冷却手段に供給される冷却水の流量を調整することにより、冷却手段で冷却される空気の温度を調整し得るようにした第一の温度調節部と、
デシカント空調機ユニットからの給気の給気露点温度と設定露点温度の偏差をPID演算して求めた弁開度指令を基に加湿弁の開度を調整して外気の加湿時に、一方のデシカント空調機ユニットチャンバを通る空気に加湿手段から供給する加湿水の量を調整し得るようにした第一の露点温度調節部と、
デシカント空調機ユニットからの給気の給気温度と設定温度の偏差をPID演算して求めたポンプ回転数指令を基に温水ポンプの回転数を調整して、外気の加湿時に、他方のデシカント空調機ユニットチャンバの加熱手段に供給される温水の流量を調整することにより、加熱手段で加熱される空気の温度を調整し得るようにした第二の温度調節部と、
デシカント空調機ユニットからの給気の給気露点温度と設定露点温度の偏差をPID演算して求めたポンプ回転数指令を基に温水ポンプの回転数を調整して、外気の除湿時に、他方のデシカント空調機ユニットチャンバの加熱手段に供給される温水の流量を調整することにより、前記デシカントロータを除湿し再生させるために、前記加熱手段で加熱される空気の温度を調整し得るようにした第二の露点温度調節部と、
前記除湿・加湿モード判断部からの指令により、前記第二の温度調節部からのポンプ回転数指令、或は前記第二の露点温度調節部からのポンプ回転数指令のうち何れかを選択するセレクタを備え、選択した指令を基に温水ポンプの回転数を調整して加熱手段に供給される温水の流量を調整して加熱手段で加熱される空気の温度を調整し得るよう構成したものである。
【0044】
請求項8の空調システムは、演算制御装置を備え、
該演算制御装置は、全熱交換器ユニットの一方の全熱交換器ユニットチャンバに導入される外気の乾球温度及び相対湿度から外気露点温度を演算する外気露点温度演算部と、
該外気露点温度演算部からの外気露点温度に基いて、外気を除湿するか加湿するか判断する除湿・加湿モード判断部と、
該除湿・加湿モード判断部からの指令により、第一のダンパ〜第五のダンパに開閉指令を与えると共に、加熱手段に流通する温水を制御する弁手段に開閉指令を与える、ダンパ及び弁手段切替え操作指示部と、
デシカント空調機ユニットからの給気の給気温度と設定給気温度の偏差をPID演算して求めたポンプ回転数指令を基に冷却水ポンプの回転数を調整して前記冷却塔から冷却手段に供給される冷却水の流量を調整することにより、冷却手段で冷却される空気の温度を調整し得るようにした第一の温度調節部と、
デシカント空調機ユニットからの給気の給気露点温度と設定露点温度の偏差をPID演算して求めた弁開度指令を基に加湿弁の開度を調整して外気の加湿時に、一方のデシカント空調機ユニットチャンバを通る空気に加湿手段から供給する加湿水の量を調整し得るようにした第一の露点温度調節部と、
デシカント空調機ユニットからの給気の給気温度と設定温度の偏差をPID演算して求めたポンプ回転数指令を基に温水ポンプの回転数を調整して、外気の加湿時に、他方のデシカント空調機ユニットチャンバの加熱手段に供給される温水の流量を調整することにより、加熱手段で加熱される空気の温度を調整し得るようにした第二の温度調節部と、
デシカント空調機ユニットからの給気露点温度と設定露点温度の偏差をPID演算して求めたポンプ回転数指令を基に温水ポンプの回転数を調整して、外気の除湿時に、他方のデシカント空調機ユニットチャンバの加熱手段に供給される温水の流量を調整することにより、前記デシカント除湿ロータを除湿し再生させるために前記加熱手段で加熱される空気の温度を調整し得るようにした第二の露点温度調節部と、
前記除湿・加湿モード判断部からの指令により、前記第二の温度調節部からのポンプ回転数指令、或は前記第二の露点温度調節部からのポンプ回転数指令の何れかを選択するセレクタを備え、選択した指令を基に温水ポンプの回転数を調整して加熱手段に供給される温水の流量を調整して加熱手段で加熱される空気の温度を調整し得るよう構成したものである。
【0045】
請求項9の空調システムは、前記外気の除湿時には、夏期のピーク時にデシカント空調機ユニットから送出される給気を30℃以下とし得るよう構成したものである。
【発明の効果】
【0046】
本発明の空調システムによれば、外気の除湿時に全熱交換器ユニットで温調された被空調空間からの還気の一部から、外気との冷熱の差を全熱として一部を回収し、外気の冷却、除湿を行なうようにしているため、除湿時にデシカント空調機で除湿する負荷が軽減され、又、外気の除湿時にデシカント除湿ロータ下流側での空気の冷却に外気熱を利用した冷却塔を用い、且つ、デシカント空調機ユニットを再生させるための外気の加熱や外気の加湿時に太陽熱を用いているため、自然エネルギの利用が可能となって、化石燃料が不要で省エネルギが可能となり、且つ省資源を達成でき、加えて、除湿期又は加湿期に最適な風路が選択できることで、給気ファンの送風圧力を低減することができるため、電力消費量を節減できてこの点からも省エネルギ上有利である、等種々の優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の実施例1の空調システムの基本的な構成を示す空調フロー図である。
【図2】図1の空調システムに制御系を加えた系統図である。
【図3】図1の空調システムにより外気の除湿を行う場合の空気の流れを示す空調フロー図である。
【図4】図1の空調システムにより図3に示すように外気の除湿を行なう場合の空気線図である。
【図5】図1の空調システムにより外気の加湿を行う場合の空気の流れを示す空調フロー図である。
【図6】図1の空調システムにより図5に示すように外気の加湿を行なう場合の空気線図である。
【図7】図1の空調システムにおいて用いる湿球温度及び露点温度の求め方を説明するための空気線図である。
【図8】図1の空調システムにおいて外気の除湿と加湿を切替えるタイミングを説明するための図である。
【図9】図1の空調システムにより外気の除湿を行なう場合の空気線図上の領域を示す図である。
【図10】図1の空調システムにより外気の加湿を行なう場合の空気線図上の領域を示す図である。
【図11】本発明の実施例2の空調システムの基本的な構成を示す空調フロー図である。
【図12】図11の空調システムに制御系を加えた系統図である。
【図13】図11の空調システムにより外気の除湿を行う場合の空気の流れを示す空調フロー図である。
【図14】図11の空調システムにより外気の加湿を行う場合の空気の流れを示す空調フロー図である。
【図15】本発明の実施例3の空調システムの基本的な構成を示す空調フロー図である。
【図16】図15の空調システムにより外気の除湿を行う場合の空気の流れを示す空調フロー図である。
【図17】図15の空調システムにより外気の加湿を行う場合の空気の流れを示すである。
【図18】従来の空調システムの例である。
【図19】図18の空調システムにより外気の除湿を行なう場合の空気の流れを示す空調フロー図である。
【図20】図18の空調システムにより図19に示すように外気の除湿を行なう場合の空気線図である。
【図21】図18の空調システムにより図19に示すように外気の除湿を行なう場合の空気線図であり、デシカント除湿ロータで除湿された空気に顕熱ロータにおいてデシカント除湿ロータの再生系統側からの空気が混入する場合の空気線図である。
【図22】図18の空調システムにより外気の加湿を行なう場合の空気の流れを示す空調フロー図である。
【図23】図18の空調システムにより図22に示すように外気を加湿する場合の空気線図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
以下、本発明の実施の形態を図示例と共に説明する。なお、実施例1、2、3における各機器の称呼は、実施例と請求項における称呼が同一のもの以外は、請求項においては以下のように称する。すなわち、全熱交換器ユニット51のハウジング53は全熱交換器ユニットハウジング、チャンバ53aは一方の全熱交換器ユニットチャンバ、チャンバ53bは他方の全熱交換器ユニットチャンバ又は外気搬送通路、デシカント空調機ユニット52のハウジング59はデシカント空調機ユニットハウジング、チャンバ59aは一方のデシカント空調機ユニットチャンバ、59bは他方のデシカント空調機ユニットチャンバ、ダクト62は第二のダクト、冷却コイル63は冷却手段、加湿器64は加湿手段、ダクト73は第三のダクト、加熱コイル74は加熱手段、加熱コイル74a,74bは加熱手段或は複数の加熱手段、太陽集熱器83は太陽集熱手段、ダクト85は第四のダクト、ダクト86は第一のダクト、ダンパ87は第二のダンパ、ダンパ88は第三のダンパ、ダンパ89は第五のダンパ、ダンパ90は第四のダンパ、ダンパ91は第一のダンパ、ダンパ及び電磁弁切替え操作指示部98'は、ダンパ及び弁手段切替え操作指示部、温度調節部99は第一の温度調節部、温度調節部100は第二の温度調節部、露点温度調節部101は第二の露点温度調節部、露点温度調節部103は第一の露点温度調節部、管路105は第一の管路、電磁弁106は第一の弁手段、管路107は第二の管路、電磁弁108は第二の弁手段、管路109は第三の管路、電磁弁110は第三の弁手段である。
【実施例1】
【0049】
図1〜図10は本発明を実施する実施例1で、請求項1、3、7、9に係るものである。
而して、実施例1においては、空調システムは全熱交換器ユニット51とデシカント空調機ユニット52を備えている。全熱交換器ユニット51はハウジング53を有し、ハウジング53は、幅方向中央部等を仕切り壁53'により仕切ることにより形成された左右の若しくは上下のチャンバ53a,53bを有している。又、ハウジング53内の空気流れ方向中間部には、仕切り壁53'を貫通してチャンバ53a,53bの両側に跨って位置するよう全熱交換器54が設置されている。全熱交換器54は回転しない静止型であり、後述の被空調空間からの排気(還気RA)と外気OAとを全熱交換して、外気負荷(顕熱及び潜熱)の一部を処理するための機器である。全熱交換器は、静止型の代わりに回転型を採用しても問題はない。
【0050】
チャンバ53a内には、全熱交換器54よりも空気流れ方向下流側に位置するよう全熱交給気ファン55が設置されていると共に、全熱交換器54よりも還気流れ方向下流側に位置するよう全熱交排気ファン56が設置されている。而して、ハウジング53のチャンバ53aには、ダクト57から外気OAを導入し得るようになっており、チャンバ53bからは、導入されて全熱交換器54を通過した被空調空間の還気の一部である還気RAをダクト58から排気EAとして大気中に排気し得るようになっている。
【0051】
デシカント空調機ユニット52はハウジング59を有し、ハウジング59は、幅方向中央部を仕切り壁60により仕切ることにより形成された左右の若しくは上下のチャンバ59a,59bを有している。又、ハウジング59内の空気流れ方向中途部には、仕切り壁60を貫通してチャンバ59a,59bの両側に跨って位置するよう、デシカント除湿ロータ61が設置されている。デシカント除湿ロータ61は駆動装置により、仕切り壁60と平行な方向へ延在する軸線に対し回転し得るようになっており、全熱交換器ユニット51における全熱交換器54により処理されて、ハウジング53のチャンバ53aから全熱交給気ファン55によりダクト62を通り送給された空気の残りの外気負荷(顕熱及び潜熱)を処理するための機器である。
【0052】
デシカント空調機ユニット52のハウジング59におけるチャンバ59aには、デシカント除湿ロータ61よりも空気流れ方向下流側に位置するよう、空気流れ方向上流側から下流側へ向けて、冷却コイル63、加湿器64、給気ファン65が順次配置されている。
【0053】
デシカント空調機ユニット52の外部に設置した冷却塔66からは、中途部に冷却水ポンプ67を備えた管路68を介し冷却コイル63に冷却水を供給し得るようになっており、冷却コイル63からは管路69を介し還りの冷却水を冷却塔66へ還し得るようになっている。而して、冷却水は冷却塔66と冷却コイル63との間を循環し得るようになっている。又、加湿器64には中途部に加湿弁70を備えた管路71が接続されており、更に、デシカント空調機ユニット52で処理された空気は、給気ファン65によりダクト72を介し給気SAとして被空調空間や内調機である後工程へ送給されるようになっている。
【0054】
デシカント空調機ユニット52のハウジング59におけるチャンバ59bには、チャンバ59aの流れに対し対向流となるよう、ダクト73から外気OAを導入し得るようになっており、チャンバ59b内には、デシカント除湿ロータ61よりもチャンバ59bにおける空気流れ方向上流側に位置するよう加熱コイル74が設けられている。又、デシカント除湿ロータ61よりもチャンバ59b内の空気流れ方向下流側には排気ファン75が設けられており、デシカント除湿ロータ61の除湿剤を再生させた空気は、ダクト76から排気EAとして大気中に排気し得るようになっている。
【0055】
デシカント空調機ユニット52の外部に設置した温水蓄熱タンク77からは、中途部に温水ポンプ78を備えた管路79を介し加熱コイル74に温水を供給し得るようになっており、加熱コイル74からは管路80を介し還りの温水を温水蓄熱タンク77へ還し得るようになっている。而して、温水は温水蓄熱タンク77と加熱コイル74との間を循環し得るようになっている。又、温水蓄熱タンク77からは、中途部に集熱ポンプ81を備えた管路82を介し太陽集熱器83に温水を供給し得るようになっており、太陽集熱器83での集熱により温度の上昇した温水は、管路84から温水蓄熱タンク77へ供給し得るようになっている。
【0056】
図中、85は両端をダクト62,73の長手方向中途部に接続するよう設けたダクト、86は被空調空間から導出された還気RAを全熱交換器ユニット51のハウジング53におけるチャンバ53bに導くためのダクトである。又、87はダクト62のダクト85接続位置よりも空気流れ方向下流側に設けたダンパ、88はダクト73のダクト85接続位置よりも空気流れ方向上流側に設けたダンパ、89はダクト76に設けたダンパ、90はダクト85に設けたダンパ、91は仕切り壁60に沿った方向において冷却コイル63と加熱コイル74との間に位置するよう、仕切り壁60がその部分で開閉できるべく設けたダンパである。更に、92はダクト57に設けた温湿度検出器、93はダクト72に設けた露点温度検出器、94はダクト72に設けた温度検出器である。又、全熱交給気ファン55,給気ファン65、全熱交排気ファン56,排気ファン75、冷却水ポンプ67、温水ポンプ78は、インバータ制御によりモータの周波数を調整して回転数を調整し得るようになっている。
【0057】
更に又、特に図示はしていないが、例えば、被空調空間としては、外気OAを導入する際に年間を通してその露点温度が一定であることが求められる空調対象で、年間を通して恒温、恒湿の室内条件(当該室内の乾球温度と露点温度が一定)であり、且つ、年間を通して除湿負荷が小さく、顕熱負荷に比較して潜熱負荷が小さい室(室内発熱が大きく人体からの発汗が少ない場所)が対象となる。具体的には、多数の電算機や通信機器が収納されたデータセンタ、クリーンルーム、動物舎、製薬工場、非化学系の研究所等である。
【0058】
図2には、図1の空調システムに制御系を加えた構成が示されている。図2中、95は演算制御装置で、該演算制御装置95は、外気露点温度演算部96、除湿・加湿モード判断部97、ダンパ切替え操作指示部98を備えている。なお、除湿・加湿モード判断部97で判断される除湿モードは、外気OAを除湿し、冷却し、給気SAとして被空調空間へ送給するモードであり、加湿モードは、外気OAを加熱し、加湿し、給気SAとして被空調空間へ送給するモードである。而して、外気露点温度演算部96では、温湿度検出器92で検出されて与えられた、全熱交換器ユニット51のハウジング53のチャンバ53aに導入される前の外気OAの温度(乾球温度t[℃])及び湿度(相対湿度φ)を基に、[数1]、[数2]及び空調で用いる以下の一般的な式により外気OAの露点温度(外気露点温度)を演算し得るようになっている。
[数1]
Ps=6.11×10^{7.5t/(t+237.3)}
【0059】
[数1]はテテンス(Tetens)の式であり、水が凍らない環境について適用される。[数1]を変形すると[数2]になる。
[数2]
t=237.3*log(6.11/Ps)/(log(6.11/Ps))
【0060】
[数1]、[数2]中、Psは飽和蒸気圧で、単位は[hPa]であり、pwsの形でも表される。又、水蒸気分圧pwはpw=pws*φ/100で求められ、Ps=pwとして[数2]に代入して求めたtが外気露点温度Tdpoaである。
【0061】
除湿・加湿モード判断部97は、演算されて外気露点温度演算部96から与えられた外気露点温度Tdpoa([数2]ではt)と予め設定されている被空調空間の設定露点温度Tdproを比較し、Tdpoa>Tdpro+ΔTの場合(全熱交換器ユニット51のハウジング53におけるチャンバ53aに取り込む外気露点温度Tdpoaが、設定露点温度Tdproよりも不感露点温度域ΔT℃を越えて高い場合)は、空調システムは除湿モードとし、Tdpoa<Tdpro−ΔTの場合(全熱交換器ユニット51のチャンバ53aに取り込む外気露点温度Tdpoaが、被空調空間の設定空露点温度Tdproよりも不感露点温度域ΔT℃を越えて低い場合)は加湿モードを選定し得るようになっている。このように除湿、加湿の切替えに不感露点温度域ΔT℃(不感露点温度域とは、このΔT℃の露点温度範囲にある場合は、除湿モードから加湿モードへ、或は、加湿モードから除湿モードに切替らない範囲を言う)を考慮するのは、除湿、加湿の切替えが頻繁に行なわれると制御が不安定になるので、これを防止するためである。この除湿、加湿の切替えのタイミングを図示すると図8のようになる。図8では、設定露点温度Tdproは13℃DPであり、これは、被空調空間の室温を24℃、相対湿度を50%HRの場合である。又、除湿モードが行なわれるのは、図9の空気線図におけるハッチング部、加湿モードが行なわれるのは、図10の空気線図におけるハッチング部である。
【0062】
除湿・加湿モード判断部97で判断された除湿モード或は加湿モードに基き、ダンパ切替え操作指示部98からはダンパ切替え操作指令が出力されて除湿モード或は加湿モードに基き、ダンパ87〜91の開閉を行い得るようになっている。
【0063】
演算制御装置95は、除湿時にデシカント空調機ユニット52の冷却コイル63で冷却された空気の温度を所定の温度に制御するための温度調節部99を備えている。すなわち、温度調節部99では、給気温度検出器94により検出したダクト72内の給気温度Tsaと、予め設定されている給気SAの設定給気温度Tsao(例えば、外気湿球温度+3℃で、これは一例であり、外気の状態により変更可能である。)の差を採って給気温度偏差ΔTsaを求め、該給気温度偏差ΔTsaを比例積分微分演算(以下、PID演算と称する。)して冷却水ポンプ67のポンプ回転数指令V1を求め、除湿時に冷却塔66からデシカント空調機ユニット52の冷却コイル63に冷却水を供給する冷却水ポンプ67の回転数を前記ポンプ回転数指令V1を基に周波数制御し、冷却コイル63に供給される冷却水の流量を制御して、冷却コイル63の空気流れ方向下流において、空気の温度を所定の温度に制御し得るようになっている。
【0064】
演算制御装置95は、加湿時にデシカント空調機ユニット52の加熱コイル74で加熱された空気の温度を所定の温度に制御するための温度調節部100を備えている。すなわち、温度調節部100では、給気温度検出器94により検出したダクト72内の給気温度Tsaと、予め設定されている、被空調空間における設定温度Tsaroの差を採って給気温度偏差ΔTsarを求め、該給気温度偏差ΔTsarをPID演算して温水ポンプ78のポンプ回転数指令V2を求め、加湿時には、温水蓄熱タンク77からデシカント空調機ユニット52の加熱コイル74に温水を供給する温水ポンプ78の回転数を前記ポンプ回転数指令V2を基に周波数制御して、加熱コイル74に供給される温水の流量を制御し、加熱コイル74の空気流れ方向下流側において、空気の温度を所定の温度に制御し得るようになっている。なお、設定温度Tsaroは被空調空間の設定温度を用いているが、これは一例であり、任意の値に設定できる。
【0065】
演算制御装置95は、除湿時に被空調空間へ送給される空気を除湿したデシカント除湿ロータ61の除湿剤の水分を加熱、除去することにより、デシカント除湿ロータ61を再生させるべく、加熱コイル74でダクト73からの外気OAを加熱させる際に、この加熱量を制御してデシカント除湿ロータ61の除湿量を給気SAの露点温度を基に制御するための露点温度調節部101を備えている。すなわち、露点温度調節部101では、露点温度検出器93により検出したダクト72内の給気露点温度Tdpと、予め設定されている被空調空間の設定露点温度Tdproの差を採って給気露点温度偏差ΔTdprを求め、該給気露点温度偏差ΔTdprをPID演算して温水ポンプ78のポンプ回転数指令V3を求め、除湿時には、温水蓄熱タンク77からデシカント空調機ユニット52の加熱コイル74に温水を供給する温水ポンプ78の回転数を前記ポンプ回転数指令V3を基に周波数制御して、加熱コイル74に供給される温水の流量を制御し、ダクト72から被空調空間へ送給される給気SAを所定の露点温度に制御し得るようになっている。なお、設定露点温度Tdproは被空調空間の設定露点温度を用いているが、これは一例であり、任意の値に設定できる。
【0066】
演算制御装置95は、セレクタ102を備えており、除湿・加湿モード判断部97での判断結果により切替り、セレクタ102で選択された指令を温水ポンプ78に与え得るようになっている。すなわち、全熱交換器ユニット51からダクト62を経てデシカント空調機ユニット52のチャンバ59aに導入された空気の除湿時には、セレクタ102は露点温度調節部101からのポンプ回転数指令V3を温水蓄熱タンク77の温水ポンプ78に与え得るようになっている。又、全熱交換器ユニット51からダクト62,85,73を経て空調機ユニットチャンバ59bに導入された空気の、加湿に先立っての加熱時には、セレクタ102は温度調節部100からのポンプ回転数指令V2を温水蓄熱タンク77の温水ポンプ78へ与え得るようになっている。
【0067】
演算制御手段95は、露点温度調節部103を備えている。すなわち、露点温度検出器93で検出された給気露点温度Tdpと、予め設定されている被空調空間における給気SAの設定露点温度Tdproの差を採って給気露点温度偏差ΔTdprを求め、該給気露点温度偏差ΔTdprをPID演算して加湿器64へ加湿水を供給する管路71に設けられた加湿弁70の弁開度指令V4を求め、加湿時には、弁開度指令V4を加湿弁70に与え、加湿弁70の開度を全閉状態から全開状態の範囲で任意の開度に制御し得るようになっている。
【0068】
又、全熱交給気ファン55,給気ファン65、全熱交排気ファン56、排気ファン75、冷却水ポンプ67、温水ポンプ78、集熱ポンプ81は、周波数変更によるインバータ制御により回転数制御が行われるようになっている。
【0069】
次に、実施例1の作用について説明する。
実施例1では 、条件により外気OAの除湿或は加湿を行なうが、先ずその前提条件の一例について説明する。すなわち、被空調空間としては、例えばデータセンタを想定し、被空調空間では、年間を通して顕熱負荷が大きく、除湿負荷は発生していないとし、空調条件を以下に述べるように年間を通じて一定であるとする。なお、内調機は被空調空間内に設置されて被空調空間の負荷の処理を行い、デシカント空調機ユニット52は外気OAの負荷の処理を行い、被空調空間の負荷については潜熱負荷がなく、且つ、絶対湿度は一定であると仮定する。すなわち、デシカント空調機ユニット52は、被空調空間の設定温湿度条件から算出される露点温度と同じ露点温度に、外気OAを所定の温湿度に処理して給気SAとして被空調空間へ送給するための装置であり、被空調空間を給気SAと同じ露点温度上で所定の温湿度に温調するために、内調機により被空調空間給気は制御されるものである。
【0070】
被空調空間内における条件は、除湿時においても加湿時においても、乾球温度(所謂、温度であり、以下同様である。)24℃DB、相対湿度50%RH、絶対湿度0.0093kg/kgDAである。
【0071】
又、デシカント空調機ユニット52の運転動作は除湿モードと加湿モードに分けて扱い、除湿時においては、給気SAの給気目標は、乾球温度X℃DB、絶対湿度0.0093kg/kgDAとし、加湿時においては、乾球温度24℃DB、相対湿度65%RH、絶対湿度0.0093kg/kgDAとする。露点温度と絶対湿度は1対1の関係であることは自明であり、同じ絶対湿度、つまり被空調空間と同じ露点温度として給気SAを温調するのである。
【0072】
デシカント空調機ユニット52の除湿時の給気SAの乾球温度をX℃DBとしているが、これは給気SAを冷却コイル63で冷却可能な温度まで冷却することである。冷却コイル63へ供給される冷却水は冷凍機により冷却された冷水ではなく、冷却塔66により外気と熱交換して冷却された冷却水であるため、外気OAを何度まで冷却可能かは、外気OAの温湿度状態を示す湿球温度で決まり、建設場所、季節、天候、時刻により変化し、リアルタイムで決定されるので、給気SAの温度(外気給気温度)は、外気湿球温度+3℃と仮定し、冷却の条件が最も厳しくなる夏期のピーク時、例えば東京地方での外気湿球温度27℃WBでは、給気SAは乾球温度30℃DBまで冷却できると見込んでいる。これは、冷却塔の伝熱面積をこの条件を満たすように設計すれば良い。
【0073】
デシカント空調機ユニット52から給気される給気SAの給気温度の制御目標値について説明すると、除湿時には、夏期のピーク時に外気OAの湿球温度が最も高くなり、従って、給気SAの給気温度も高くなる。例えば、図7の空気線図に示すように、外気OAの乾球温度が33℃DBで相対湿度が60%RHの状態をP1とすると、P1から比エンタルピの線と平行に線を延ばし、飽和空気線(相対湿度100%RH)との交点をP2とし、P2から乾球温度の線に平行に下がったP3の乾球温度27℃DBが湿球温度27℃WBとなる。この湿球温度27℃WBが外気湿球温度であり、上述したように、外気湿球温度+3℃を給気SAの給気温度とし、後述の設定給気温度Tsaoとする。
【0074】
又、デシカント空調機ユニット52から給気される給気SAの給気温度の制御目標値は、加湿時には、被空調空間の設定温度(後述の設定温度Tsaro)であり、同様に、給気露点温度の制御目標値は、除湿時には、最終除湿装置が冷却コイルで飽和線上を除湿されるため、被空調空間の設定露点温度(前述し且つ後述もしている設定露点温度Tdpro)であり、加湿時にも、被空調空間の設定露点温度(前述し且つ後述もしている設定露点温度Tdpro)である。設定露点温度Tdproは13℃DPである。すなわち、図7の空気線図に示すように、被空調空間の室温を24℃、相対湿度を50%RHとする場合の状態をP4とすると、P4から絶対湿度と平行に水平線を延ばし、相対湿度が100%RHとの交点をP5とし、P5から乾球温度の線に平行に下がったP6の乾球湿度が設定露点温度Tdpro=13℃DPとなる。
【0075】
I)実施例1で外気OAを除湿する場合
空調システムが運転されている場合は、全熱交換器ユニット51の上流側で温湿度検出器92により検出された、外気OAの乾球温度tと、相対湿度φは、演算制御装置95の外気露点温度演算部96に与えられ、露点温度検出器93で検出した給気露点温度Tdpは演算制御装置95の露点温度調節部101,103に与えられ、給気温度検出器94で検出した給気温度Tsaは演算制御装置95の温度調節部99,100に与えられている。
【0076】
而して、外気露点温度演算部96では、上記[数1]、[数2]及びpw=pws*φ/100やPs=pwを基として外気露点温度Tdpoaが求められ、求められた外気露点温度Tdpoaは除湿・加湿モード判断部97へ与えられる。除湿・加湿モード判断部97では、外気露点温度Tdpoaが設定された露点温度より高いか低いかで、除湿モードか加湿モードかが判断される。すなわち、除湿・加湿モード判断部97では、外気露点温度Tdpoaが、Tdpoa>Tdpro+ΔTか、Tdpoa<Tdpro−ΔTか演算され、Tdpoa>Tdpro+ΔTの場合は、除湿モードと判断され、Tdpoa<Tdpro−ΔTの場合は、加湿モードと判断される(図8参照)。
【0077】
例えば、除湿・加湿モード判断部97で除湿モードと判断された場合は、ダンパ切替え操作指示部98からダンパ87〜91に開閉指令が与えられ、ダンパの開閉が行なわれる。除湿モードの際に「全開」となるのはダンパ87,88,89であり、「全閉」となるのは、ダンパ90,91である。又、除湿モードの際には、デシカント除湿ロータ61が駆動され、全熱交給気ファン55、給気ファン65が駆動され、全熱交排気ファン56、排気ファン75が駆動され、冷却水ポンプ67、温水ポンプ78が駆動されている。集熱ポンプ81は除湿モード、加湿モードに関係なく、独立して日差しのある場合のみ駆動され、温水蓄熱タンク77の容量は年間を通じて日差しのある時間だけの集熱にて、所定の温熱温度及び温熱量を与えられるだけの分が確保されている。
【0078】
温度調節部99では、給気温度検出器94により検出したダクト72内の給気SAの温度(給気温度Tsa)と、予め設定されている設定給気温度Tsao(外気湿球温度+3℃)の差を採って給気温度偏差ΔTsaを求め、該給気温度偏差ΔTsaをPID演算してポンプ回転数指令V1を求め、このポンプ回転数指令V1を、冷却塔66からデシカント空調機ユニット52の冷却コイル63に冷却水を供給する冷却水ポンプ67に与えて、冷却水ポンプのインバータ制御を行い、冷却コイル63に供給される冷却水の流量を制御して、冷却コイル63の空気流れ方向下流において、空気の温度を所定の温度に制御し得るようになっている。このため、冷却塔66からの冷却水は、管路68、デシカント空調機ユニット52の冷却コイル63、管路69、冷却塔66と循環している。
【0079】
露点温度調節部103では、露点温度検出器93で検出された給気SAの露点温度(給気露点温度Tdp)と、予め設定されている被空調空間の設定露点温度Tdproの差が採られて給気露点温度偏差ΔTdprが求められ、該給気露点温度偏差ΔTdprはPID演算されて弁開度指令V4が求められ、該弁開度指令V4は、加湿弁70に与えられているが、除湿時には、開度は零であるため、加湿弁70は閉止している。
【0080】
温度調節部100では、給気温度検出器94からのダクト72における給気温度Tsaと、予め設定された被空調空間の設定温度Tsaroの差を採って給気温度偏差ΔTsarを求め、該給気温度偏差ΔTsarをPID演算してポンプ回転数指令V2を求め、求められたポンプ回転指令V2は、セレクタ102に与えられている。又、露点温度調節部101では、露点温度検出器93からのダクト72における外気露点温度Tdpと、予め設定されている被空調空間の設定露点温度Tdproの差を採って給気露点温度偏差ΔTdprを求め、該給気露点温度偏差ΔTdprをPID演算してポンプ回転数指令V3を
求め、求められたポンプ回転数指令V3はセレクタ102に与えられている。
【0081】
而して、除湿・加湿モード判断部97で除湿モードと判断された場合は、セレクタ102に対し除湿モードの切替え指令が与えられて、セレクタ102は除湿モードに切替えられる。このため、露点温度調節部101からのポンプ回転数指令V3はセレクタ102を介し温水ポンプ78に与えられ、温水ポンプ78は所定の回転数で回転している。このため、温水蓄熱タンク77の温水は温水ポンプ78により管路79、加熱コイル74、管路80、温水蓄熱タンク77と循環している。又、日差しのある場合は、温水蓄熱タンク77の温水は集熱ポンプ81により、管路82、太陽集熱器83、管路84、温水蓄熱タンク77と循環して、太陽集熱器83で集熱した太陽熱を温水蓄熱タンク77に蓄熱している。
【0082】
外気OAの除湿時には、高温、高湿の外気OAは、図3に示すように、ダクト57から全熱交換器ユニット51のハウジング53におけるチャンバ53aに導入され、全熱交換器54において、被空調空間からダクト86を通り送給されてきた還気RAと全熱交換されて、冷却及び除湿され、給気ファン55によりダクト62を介しデシカント空調機ユニット52のチャンバ59aに送給される。チャンバ59aに送給された空気は、回転しているデシカント除湿ロータ61のハニカム部に充填されている、再生された除湿剤を通り断熱除湿される。この際、空気の除湿により空気の潜熱は低下し、除湿時の反応熱(凝縮潜熱)により空気の顕熱は増加して空気の温度は上昇する。外気OAを全熱交換器54で処理することにより、デシカント空調機ユニット52で処理する空気の顕熱負荷と潜熱負荷が軽減される。全熱交換器54の効率は、給気/排気の風量比が1の場合で0.7とした。又、風量比を0.8とした場合の効率は0.7×0.8≒0.5とした。
【0083】
デシカント除湿ロータ61で断熱除湿された空気は、冷却塔66と冷却コイル63の間で循環する冷却水によりデシカント除湿ロータ61の空気流れ方向下流側で冷却されて顕熱が下降し、給気ファン65により給気SAとしてダクト72から被空調空間へ送給される。被空調空間では、給気SAは被空調空間内に設置した内調機に戻る被空調空間の還気からダクト86を搬送される還気RAを除いた空気を混合し、混合空気として内調機に送給され、内調機から被空調空間に送出される。この場合、被空調空間は除湿負荷がないため、空気は内調機では除湿を行なわれることなく、被空調空間へ送出される。又、被空調空間内の空気の一部は、還気RAとして被空調空間から排気され、ダクト86から全熱交換器ユニット51のハウジング53におけるチャンバ53bに送給され、全熱交換器54で外気OAと全熱交換して外気OAを冷却、除湿することにより加熱、加湿され、ダクト58から屋外へ排気EAとして排出される。
【0084】
一方、ダクト73からデシカント空調機ユニット52のハウジング59におけるチャンバ59bに導入された外気OAは、加熱コイル74において、温水蓄熱タンク77と加熱コイル74との間を循環する温水により所定の温度に加熱されて回転しているデシカント除湿ロータ61へ送給され、チャンバ59a側で水分を吸収してチャンバ59b側に回転してきたデシカント空調機ユニット52の除湿剤を乾燥させて再生し、排気ファン75によりダクト76から外部へ排気EAとして排出される。この際、排気EAは、除湿剤の乾燥に伴う蒸発潜熱により温度が低下し、絶対温度が上昇している。
【0085】
又、除湿時には、露点温度検出器93で検出した給気SAの給気露点温度Tdpと被空調空間の設定露点温度Tdproの差をPID演算して求めたポンプ回転数指令V3により、ダクト72内の露点温度が設定露点温度Tdproとなるよう、温水ポンプ78の回転数を制御している。このため、加熱コイル74の空気流れ方向下流側の空気の温度、つまり、デシカント除湿ロータ61の再生温度が変化するので、給気側の除湿量が調整される。
【0086】
実施例1の除湿時の空気の状態を空気線図に示すと図4に示すようになる。図4中、OAは外気、SAは給気、MAは給気SAと還気RAが混合した混合空気、RAは還気である。又、説明上、還気RAの流量と給気SAの流量の比は約4対1、被空調空間の顕熱比SHFは約1であると仮定する。更に、図4においにおいてArwは外気除湿時負荷(全熱交換器ユニット51とデシカント空調機ユニット52の除湿時の処理負荷で、顕熱と潜熱を合計した全熱)、Arw1は全熱交換器ユニット除湿時処理負荷(全熱交換器ユニット51の除湿時の処理負荷)、Arw2はデシカント空調機ユニット除湿時処理負荷(デシカント空調機ユニット52の除湿時の処理負荷)、Brwはデシカント空調機ユニット除湿時冷却負荷(除湿時のデシカント空調機ユニット52の冷却コイル63における外気冷却負荷であり、冷却コイル63で処理される顕熱)、Crwはデシカント空調機ユニット再生用空気加熱負荷(除湿時にデシカント空調機ユニット52のデシカント除湿ロータ61を再生させるための再生用空気の加熱負荷で顕熱)、Drwはデシカント空調機ユニット除湿負荷(除湿時のデシカント空調機ユニット52におけるデシカント除湿ロータ61の外気除湿負荷で潜熱)である。図3における(i)〜(x)は、空気の状態を示すシステム上の位置を示しており、図4の空気線図の(i)〜(x)は、図3の位置(i)〜(x)における空気の状態を示している。
【0087】
以下、空気の状態を図3、図4により説明する。図3に示すダクト57における入口の位置(i)では、外気OAは、図4の状態(i)にある。而して、全熱交換器ユニット51のハウジング53におけるチャンバ53aに導入された外気OAは、全熱交換器54を通過することにより、被空調空間からダクト86を通り送給された還気RAと全熱交換されて冷却、除湿され、全熱交換器54の空気流れ方向下流側の位置(ii)においては、絶対湿度が下降して潜熱が低下すると共に、顕熱が下降した状態(ii)となる。
【0088】
又、空気は位置(ii)から給気ファン55によりデシカント空調機ユニット52のハウジング59におけるチャンバ59aに導入され、回転しているデシカント除湿ロータ61を通過することにより除湿剤により除湿されて絶対湿度が下降して潜熱が低下すると共に、除湿される際の反応熱により温度が上昇して顕熱が上昇し、除湿された空気はデシカント除湿ロータ61の空気流れ方向下流側における位置(iii)では、状態(iii)となる。
【0089】
空気は位置(iii)から冷却コイル63を通り、冷却塔66と冷却コイル63を循環している冷却水により冷却コイル63において冷却されて温度の下降により顕熱が低下し、冷却コイル63の空気流れ方向下流側の位置(iv)では、状態(iv)となる。この空気は給気ファン65の空気流れ方向上流側の位置(v)においては前記位置(iv)おける状態(iv)と同じ状態(v)であり、給気ファン65により、乾球温度は約30℃DB、絶対湿度は約0.009kg/kgDAの給気SAとしてダクト72から被空調空間に送給される。又、被空調空間に導入された給気SAは、被空調空間内に設置した内調機への被空調空間の還気の一部と混合して混合空気MAとなり、この混合空気MAは内調機に導入され顕熱処理されて空調用空気として被空調空間に供給され、被空調空間の冷却に供される。還気RAのダクト86の位置(vi)における状態は状態(vi)である。
【0090】
還気RAは、ダクト86を通って全熱交換器ユニット51のハウジング53におけるチャンバ53bへ送給され、前述のように全熱交換器54を通って、チャンバ53aに導入された外気OAを冷却、除湿することにより加熱されて顕熱が上昇し、加湿されて潜熱が上昇し、全熱交換器54のチャンバ53b側における空気流れ方向下流側の位置(vii)では、状態(vii)となり、全熱交排気ファン56により排気EAとしてダクト58から屋外へ排気される。
【0091】
一方、ダクト73へ導入された外気OAは、ダクト73内の位置(viii)では状態(viii)(状態(i)と同じ)であり、ダクト73からデシカント空調機ユニット52のハウジング59におけるチャンバ59bに導入された外気OAは、加熱コイル74において温水蓄熱タンク77と加熱コイル74とを循環している温水により加熱されて顕熱が上昇し、加熱コイル74のチャンバ59b側空気流れ方向下流側の位置(ix)では、再生用空気の状態(ix)となる。又、位置(ix)からデシカント除湿ロータ61を通り、除湿剤から水分を除去することにより除湿剤を再生させた空気は、冷却されて顕熱が下降し、加湿されて潜熱が上昇し、デシカント除湿ロータ61のチャンバ59b側における空気流れ方向下流側における位置(x)では、状態(x)となり、排気ファン75により排気EAとしてダクト76から屋外へ排出される。
【0092】
実施例1によれば、被空調空間へ送給する外気OAの除湿時には、デシカント空調機ユニット52の上流側に設けた全熱交換器54により外気OAを除湿しているため、デシカント空調機ユニット52での除湿のための処理負荷(デシカント空調機ユニット除湿時処理負荷Arw2)が軽減される。因みに、従来の図18の空調システムにおいては、デシカント空調機ユニット除湿時処理負荷Arw2は、図20に示すように、比エンタルピで約82.5−53=29.5kJ/kgDAであるのに対し、実施例1の空調システムにおいては、デシカント空調機ユニット除湿時処理負荷Arw2は図4に示すように、比エンタルピで65−53=12kJ/kgDAとなる。
【0093】
又、デシカント空調機ユニット52での除湿時の処理負荷の軽減により、除湿剤の再生に必要な温熱のための温水供給温度が80℃未満で良くなり、デシカント空調機ユニット52の除湿剤を再生する場合に、太陽集熱器83で集熱した太陽熱を利用して加熱した温水を使用することができるため、自然エネルギの利用が可能で、温熱源として石油や石炭等の化石燃料を使用したボイラを用いる必要がなく、且つ、太陽熱を利用して加熱した空気により除湿剤の再生が可能で除湿性能を良好に保持することができ、又、冷却コイル63での空気の冷却に冷却塔66で空冷した冷却水といった自然エネルギの利用が可能で、冷凍機を使用する必要がない。このため、省資源、省エネルギが可能で、運転維持費を安価にすることができる。
【0094】
更に、実施例1では、従来のような回転式の顕熱交換ロータを用いていないので、顕熱交換ロータの回転によりロータ通過中の外気OAが反対側のチャンバ(図19のデシカント空調機ユニット1の場合は、チャンバ2b側からチャンバ2a側)に移行することがなく、従って、デシカント除湿ロータ61の除湿剤を再生させるために取り込まれた外気OAが、デシカント除湿ロータ61で除湿される空気の側に持ち込まれることがなく、その結果、デシカント除湿ロータ61での除湿性能を良好に保持することができる。
【0095】
又、外気OAの除湿時の給気ファン65及び排気ファン75の送風抵抗が減少する。すなわち、図18に示す従来のデシカント空調機ユニット1における外気OAを処理して給気SAとするチャンバ2aの系統では、デシカント除湿ロータ4、冷却コイル6、加湿器8以外に、チャンバ2a,2bに跨って顕熱交換ロータ5を設けると共に、チャンバ2aに加熱コイル7を設けていたため、チャンバ2aの系統に設けた給気ファン9の送風抵抗が大きく(段落[0030]で説明したように圧力損失の合計は410[Pa])、又、外気OAをデシカント空調機ユニット1の再生用空気となるよう加熱するチャンバ2bの系統には、デシカント除湿ロータ4、加熱コイル20以外にチャンバ2a,2bに跨って顕熱交換ロータ5を設けているため、チャンバ2bの系統に設けた排気ファン21の送風抵抗が大きく(段落[0031]で説明したように圧力損失の合計は240[Pa])、給気ファン9及び排気ファン21の電力消費量が大きかった。
【0096】
しかし、実施例1のデシカント空調機ユニット52では、従来の顕熱交換ロータ5は設けられてはおらず、又、外気OAを処理して給気SAにするチャンバ59aの系統では、従来の加熱コイル7は設けられてはいない。このため、チャンバ2aに対応するチャンバ59aの系統では、例えば、デシカント除湿ロータ61の圧力損失100[Pa]、冷却コイル63の圧力損失120[Pa]、加湿器64の圧力損失30[Pa]であり、圧力損失は合計250[Pa]となり、従来の圧力損失410[Pa]よりも低くなり、送風抵抗が減少する。従って、給気ファン65の送風圧力を低くすることができて電力消費量が減少し、省エネルギを図ることができる。
【0097】
更に、従来のデシカント空調機ユニット1のチャンバ2bに対応する実施例1のデシカント空調機ユニット52におけるチャンバ59bの系統では、例えば、加熱コイル74の圧力損失120[Pa]、デシカント除湿ロータ61の圧力損失100[Pa]であり、圧力損失は合計220[Pa]となり、従来の圧力損失240[Pa]よりも低くなり、送風抵抗が減少する。従って、この場合も、排気ファン75の送風圧力を低くすることができて電力消費量が減少し、省エネルギとなる。
【0098】
II)実施例1で外気OAを加湿する場合
外気OAを除湿する場合と同様、空調システムが運転されている場合は、全熱交換器ユニット51の上流側で温湿度検出器92により検出された、外気OAの乾球温度tと、相対湿度φは、演算制御装置95の外気露点温度演算部96に与えられ、露点温度検出器93で検出した給気露点温度Tdpは演算制御装置95の露点温度調節部101,103に与えられ、給気温度検出器94で検出した給気温度Tsaは演算制御装置95の温度調節部99,100に与えられている。
【0099】
而して、外気露点温度演算部96では、上記[数1]、[数2]及びpw=pws*φ/100やPs=pwを基として外気露点温度Tdpoaが求められ、求められた外気露点温度Tdpoaは除湿・加湿モード判断部97へ与えられる。除湿・加湿モード判断部97では、外気露点温度Tdpoaが、Tdpoa>Tdpro+ΔTか、Tdpoa<Tdpro−ΔTか演算され、Tdpoa>Tdpro+ΔTの場合は、除湿モードと判断され、Tdpoa<Tdpro−ΔTの場合は、加湿モードと判断される。
【0100】
例えば、除湿・加湿モード判断部97で加湿モードと判断された場合は、ダンパ切替え操作指示部98からダンパ87〜91に開閉指令が与えられ、ダンパの開閉が行なわれる。加湿モードの際に「全開」となるのはダンパ90,91であり、「全閉」となるのは、ダンパ87,88,89である。又、加湿モードの際には、給気ファン55,65、排気ファン56、温水ポンプ78が駆動されている。又、日差しがあれば、集熱ポンプ81は駆動されている。更に、デシカント除湿ロータ61、排気ファン75、冷却水ポンプ67は停止している。
【0101】
露点温度調節部103では、露点温度検出器93で検出された給気露点温度Tdpと、
予め設定されている被空調空間の設定露点温度Tdproの差が採られて給気露点温度偏差ΔTdprが求められ、該給気露点温度偏差ΔTdprはPID演算されて弁開度指令V4が求められ、加湿時には、弁開度指令V4は、を加湿器64へ加湿水を供給する管路71に設けた加湿弁70に与えられ、加湿弁70は、全閉より大きい開度から全開までの所定の開度で調整されている。
【0102】
温度調節部100では、給気温度検出器94からのダクト72における給気温度Tsaと、予め設定された被空調空間の設定温度Tsaroの差が採られて給気温度偏差ΔTsarが求められ、求められた給気温度偏差ΔTsarはPID演算されてポンプ回転数指令V2が求められ、このポンプ回転数指令V2はセレクタ102に与えられている。又、露点温度調節部101では、露点温度検出器93からのダクト72における外気露点温度Tdpと、予め設定されている被空調空間の設定露点温度Tdproの差を採って給気露点温度偏差ΔTdprを求め、求められた給気露点温度偏差ΔTdprはPID演算されてポンプ回転数指令V3が求められ、このポンプ回転数指令V3はセレクタ102に与えられている。
【0103】
而して、除湿・加湿モード判断部97で加湿モードと判断された場合は、セレクタ102に対し加湿モードの切替え指令が与えられて、セレクタ102は加湿モードに切替えられる。このため、温度調節部100で求めたポンプ回転数指令V2はセレクタ102を介し温水ポンプ78に与えられ、温水ポンプ78は所定の回転数で回転している。このため、温水蓄熱タンク77の温水は温水ポンプ78により管路79、加熱コイル74、管路80、温水蓄熱タンク77と循環している。又、日差しのある場合は、温水蓄熱タンク77の温水は集熱ポンプ81により、管路82、太陽集熱器83、管路84、温水蓄熱タンク77と循環して太陽熱を温水蓄熱タンク77に蓄熱している。
【0104】
外気OAの加湿時には、低温、低湿の外気OAは、図5に示すようにダクト57から全熱交換器ユニット51のハウジング53におけるチャンバ53aに導入され、全熱交換器54において、被空調空間からダクト86を通り送給されてきた還気RAと全熱交換されて、加熱により顕熱が上昇すると共に加湿されて潜熱が上昇し、全熱交給気ファン55によりダクト62,85,73からデシカント空調機ユニット52のハウジング59におけるチャンバ59bに導入され、温水蓄熱タンク77と加熱コイル74とを循環している、太陽熱により加熱された温水により加熱されて顕熱が上昇する。加熱コイル74で加熱された空気は、チャンバ59bからダンパ91を通ってデシカント空調機ユニット52のハウジング59におけるチャンバ59aへ導入され、加湿器64において管路71から送給されて噴霧される加湿水により加湿されて潜熱が上昇し、給気ファン65により給気SAとしてダクト72から被空調空間へ送給される。給気SAは、被空調空間内に設置されている内調機への被空調空間の還気の一部と混合して、混合空気MAとなって内調機に送給され、内調機で顕熱処理されて所定の空調用空気となり被空調空間へ供給される。
【0105】
被空調空間内の空気の一部は、ダクト86から全熱交換器ユニット51のハウジング53におけるチャンバ53bに還気RAとして供給され、全熱交換器ユニット51で全熱交換されて冷却により顕熱が下降し、除湿されて潜熱が下降し、排気ファン56により排気EAとして屋外へ排出される。
【0106】
実施例1の加湿時の空気の状態を空気線図に示すと図6に示すようになる。図6中、OAは外気、SAは給気、MAは給気SAと還気RAが混合した混合空気、RAは還気である。又、還気RAの流量と給気SAの流量の比は約4対1、被空調空間の顕熱比SHFは約1である。更に、図6においてAawは外気加湿時負荷(加湿時の全熱交換器ユニット51における処理負荷とデシカント空調機ユニット52の処理負荷で、顕熱と潜熱を合計した全熱)、Aaw1は全熱交換器ユニット加湿時処理負荷、Aaw2はデシカント空調機ユニット加湿時処理負荷、Bawはデシカント空調機ユニット加湿時加熱負荷(加湿時のデシカント空調機ユニット52の加熱コイル74における外気加熱負荷であり、加熱コイル74で付与される顕熱)、Dawはデシカント空調機ユニット加湿負荷(加湿時のデシカント空調機ユニット52における外気加湿負荷で潜熱)である。図5における(i)〜(vii)は、空気の状態を示すシステムの位置を示しており、図6の空気線図の(i)〜(vii)は、図5の位置(i)〜(vii)における空気の状態を示している。
【0107】
以下、外気OA加湿時の空気の状態を図5、図6により説明する。
図5に示すダクト57における入口の位置(i)では、外気OAは、図6の状態(i)にある。而して、全熱交換器ユニット51のハウジング53におけるチャンバ53aに導入された外気OAは、全熱交換器54を通過することにより、被空調空間からダクト86を通り送給された還気RAと全熱交換されて加熱、加湿され、全熱交換器54の空気流れ方向下流側の位置(ii)においては、絶対湿度が上昇して潜熱が上昇すると共に、顕熱が上昇した状態(ii)となる。
【0108】
又、空気は位置(ii)から全熱交給気ファン55により、ダクト62,85,73を通ってデシカント空調機ユニット52のハウジング59におけるチャンバ59bに導入され、加熱コイル74で加熱されて顕熱が上昇する。而して、加熱コイル74の空気流れ方向下流側の位置(iii)では、空気は図6において状態(iii)となり、ダンパ91を通ってデシカント空調機ユニット52のハウジング59におけるチャンバ59aへ送給されて加湿器64において加湿水により加湿されるが、チャンバ59aの加湿器64の空気流れ方向上流側における位置(iv)では、空気は状態(iv)となる。空気の状態(iii)と状態(iv)では、乾球温度、絶対湿度の何れも同一である。ハウジング59のチャンバ59aにおける加湿器64で加湿された後の加湿器64空気流れ方向下流側の位置(v)における空気は状態(v)である。
【0109】
加湿器64で加湿された空気は、例えば、乾球温度約24℃DB、相対湿度約50%RHの給気SAとしてダクト72から被空調空間へ送給され、上述したように被空調空間内に設置した内調機への被空調空間の還気の一部と混合し、混合空気MAとなって内調機に送給され、内調機で顕熱処理されて所定の空調用空気となり、被空調空間に供給される。又、内調機から被空調空間に送出された空気の一部は還気RAとしてダクト86へ送出される。この還気RAはダクト86の位置(vi)で状態(vi)である。更に、還気RAはダクト86から全熱交換器ユニット51の全熱交換器54を通り低温、低湿の外気OAと熱交換されて冷却、除湿される。還気RAは、全熱交換器ユニット51のチャンバ53bにおいて全熱交換器54の空気流れ方向下流側の位置(vii)において状態(vii)となり、排気ファン56により排気EAとして屋外へ排出される。
【0110】
実施例1の被空調空間へ送給する外気OAの加湿時には、給気SAの温度は図6の状態(v)に示すように乾球温度24℃DBとしているが、実際は空気線図上で見ると状態(ii)から(iii)に示すように乾球温度11.5℃DBから乾球温度35℃DBまで加熱されてから状態(v)に示すように加湿され、乾球温度は35℃DBから乾球温度24℃DBまで下降する。加湿の手段は種々あり、実施例1では、加湿器64により水加湿を行なっているが、水加湿を行なった場合に図6の空気線図に示すようになる。又、状態(ii)から状態(iii)への加熱は、温水蓄熱タンク77に蓄熱した温水を利用しており、温水蓄熱タンク77には、80℃程度の高温温水で蓄熱しているので、加湿に際し外気OAを加熱する場合、加熱温度は外気OAの状態でリアルタイムに加熱温度の限界が決まることはないと考えられる。
【0111】
実施例1によれば、被空調空間へ送給する外気OAの加湿時には、デシカント空調機ユニット52の上流側に設けた全熱交換器54により外気OAを加熱、加湿しているため、デシカント空調機ユニット52での加熱のための処理負荷(デシカント空調機加湿時処理負荷Aaw2)が軽減される。因みに、従来の図18の空調システムにおいては、加湿時のデシカント空調機加湿時処理負荷Aaw2は図23に示すように、比エンタルピで約48−5=43kJ/kgDAであるのに対し、実施例1の空調システムにおいては、加湿時のデシカント空調機加湿時処理負荷Aaw2は図6に示すように、比エンタルピで約48−24=24kJ/kgDAとなる。
【0112】
又、加湿時にデシカント空調機ユニット52で外気加湿負荷Aawを処理するために必要な外部から投入する熱として、太陽集熱器83で集熱した太陽熱を利用して温水を加熱することができるため、自然エネルギの利用が可能で、石油や石炭等の化石燃料を使用したボイラ等の温熱源14を設置する必要がなく、従って、自然エネルギの利用が可能で省資源を図ることができ、運転維持費を安価にすることができる。
【0113】
更に、実施例1では、従来のような回転式の顕熱交換器(顕熱交換ロータ)を用いていないので、顕熱交換器の回転によりロータ通過中の外気OAが反対側のチャンバ(図19のデシカント空調機ユニット1の場合は、チャンバ2b側からチャンバ2a側)に移行することがなく、従って、デシカント除湿ロータ61の除湿剤を再生させるために取り込まれた外気OAが、デシカント除湿ロータ61で除湿される空気の側に持ち込まれることがなく、その結果、デシカント除湿ロータ61での除湿性能を良好に保持することができる。
【0114】
又、外気OAの加湿時の給気ファン65の送風抵抗が減少する。すなわち、図18に示す従来のデシカント空調機ユニット1における外気OAを処理して給気SAとするチャンバ2aの系統では、デシカント除湿ロータ4、冷却コイル6、加湿器8以外に、チャンバ2a,2bに跨って顕熱交換ロータ5を設けると共に、チャンバ2aに加熱コイル7を設けていたため、チャンバ2aの系統における圧力損失が大きく(前述したように圧力損失の合計は410[Pa])、給気ファン9の送風圧力が高い。
【0115】
しかし、実施例1のデシカント空調機ユニット52では、従来の顕熱交換ロータ5は設けられてはおらず、又、加湿時には外気OAは、図5に示すようにデシカント除湿ロータ61や冷却コイル63を通らない。このため、チャンバ59a,59bにおける外気OAの加湿時に外気OAが通過する系統では、例えば、加熱コイル74の圧力損失120[Pa]、ダンパ91の圧力損失10[Pa]、加湿器64の圧力損失30[Pa]であり、圧力損失は合計160[Pa]となり、従来の圧力損失410[Pa]よりも低くなる。このため、加湿時に外気OAが通過する系統の送風抵抗が減少し、給気ファン65の電力消費量が減少して省エネルギとなる。なお、加湿時には排気ファン75は使用しないので、圧力損失は特に関係はない。
【実施例2】
【0116】
図11〜図14は本発明の実施例2で、請求項2、4、5、8、9に係るものである。 図中、図1、図2、図3、図5に示すものと同一のものには同一の符号が付してある。
而して、実施例2の特長とするところは、デシカント空調機ユニット52の加熱コイル74を1基ではなく、外気OA流れ方向上流側から下流側に向けて配置された加熱コイル74a,74bの2基とし、除湿時には加熱コイル74a,74bを使用し、加湿時には加熱コイル74aを使用するようにした点である。図中、104は温水蓄熱タンク77と加熱コイル74aを連通させよう接続され且つ中途部に温水ポンプ78を備えた管路、105は加熱コイル74a,74bを連通させるよう接続され且つ中途部に電磁弁106を備えた管路、107は加熱コイル74bと温水蓄熱タンク77を連通させるよう接続され且つ中途部に電磁弁108を備えた管路、109は管路105の電磁弁106設置位置よりも温水流れ方向上流側と管路107の電磁弁108接続位置よりも温水流れ方向下流側を連通させるよう接続され且つ中途部に電磁弁110を備えた管路である。又、98'は除湿・加湿モード判断部97からの除湿モード或は加湿モードの指令によりダンパ87〜91へ開閉指令を与えると共に、電磁弁106,108,110に開閉指令を与えるダンパ及び電磁弁切替え操作指示部である。
【0117】
次に、実施例2の作用について説明する。
I')実施例2で外気OAを除湿する場合
基本的な作用は実施例1の徐湿の場合と略同様であるため、同様の部分の説明は省略するか、概要のみとし、異なる部分は詳説する。すなわち、実施例1の場合と同様にして演算制御装置95の除湿・加湿モード判断部97で除湿モードと判断された場合は、ダンパ及び電磁弁切替え操作指示部98'からダンパ87〜91及び電磁弁106,108,110に開閉指令が与えられ、ダンパ87〜91の開閉及び電磁弁106〜108の開閉が行なわれる。
【0118】
除湿モードの際に「全開」となるのはダンパ87,88,89であり、「全閉」となるのは、ダンパ90,91である。又、電磁弁106,108は「全開」となり加湿弁70、電磁弁110は「全閉」となる。更に、除湿モードの際には、デシカント除湿ロータ61が駆動され、全熱交給気ファン55、給気ファン65が駆動され、全熱交排気ファン56、排気ファン75が駆動され、温水ポンプ78が駆動されている。又、日差しのある場合は、集熱ポンプ81も駆動されている。
【0119】
又、除湿・加湿モード判断部97で除湿モードと判断された場合は、図12の温度調節部99から給気温度偏差ΔTsarをPID演算して求めたポンプ回転数指令V1が冷却水ポンプ67に与えられ、冷却水ポンプ67は所定の回転数で駆動されている。このため、冷却塔66からの冷却水は冷却水ポンプ67により管路68、冷却コイル63、管路69から冷却塔66へ循環している。
【0120】
更に、除湿・加湿モード判断部97で除湿モードと判断された場合は、図12に示すセレクタ102に対し除湿モードの切替え指令が与えられて、セレクタ102は除湿モードに切替えられる。このため、露点温度調節部101では、露点温度検出器93からの給気温度Tdpと被空調空間の設定露点温度Tdproの差が採られて給気露点温度偏差ΔTdprが求められ、この給気露点温度偏差ΔTdprをPID演算して得られたポンプ回転数指令V3はセレクタ102を介し温水ポンプ78に与えられ、温水ポンプ78は所定の回転数で回転している。このため、温水蓄熱タンク77から出た温水は、温水ポンプ78により管路104、加熱コイル74a、管路105、加熱コイル74b、管路107を経て温水蓄熱タンク77へと循環している。又、日差しのある場合は、温水は集熱ポンプ81により、温水蓄熱タンク77と太陽集熱器83との間を循環し、太陽集熱器83により温水に蓄熱を行なっている。加湿器64へ加湿水を供給する管路71に設けた加湿弁70は閉止している。
【0121】
外気OAの除湿時には、外気OAは図12に示すように、全熱交換器ユニット51の全熱交換器54において、被空調空間からダクト86を通り送給されてきた還気RAと全熱交換されて、冷却及び除湿され、デシカント空調機ユニット52のチャンバ59aに送給される。チャンバ59aに送給された空気は、回転しているデシカント除湿ロータ61で断熱除湿される。この際、除湿時の反応熱(蒸発潜熱)により空気の顕熱は増加して空気の温度は上昇する。外気OAを全熱交換器54で処理することにより、デシカント空調機ユニット52で処理する空気の顕熱負荷と潜熱負荷が軽減される。
【0122】
デシカント除湿ロータ61で断熱除湿された空気は、冷却塔66からの冷却水により冷却され、給気ファン65により給気SAとしてダクト72から被空調空間へ送給され、被空調空間内に設置されている内調機への被空調空間の還気の一部と混合し、混合空気MAとなって内調機に送給され、内調機で顕熱処理されて所定の空調用空気となり被空調空間へ供給される。又、被空調空間内の空気の一部は、還気RAとしてダクト86から全熱交換器ユニット51のハウジング53におけるチャンバ53bに供給され、全熱交換器54で外気OAと全熱交換して外気OAを冷却、除湿することにより加熱、加湿され、ダクト58から屋外へ排気EAとして排出される。
【0123】
一方、ダクト73からデシカント空調機ユニット52のハウジング59におけるチャンバ59bに導入された外気OAは、温水蓄熱タンク77からの温水により加熱コイル74aにより加熱され、次いで加熱コイル74bにおいて加熱コイル74aからの温水により加熱され、回転しているデシカント除湿ロータ61へ供給され、チャンバ59a側で水分を吸収して(除湿)デシカント除湿ロータ61の回転によりチャンバ59b側にきた除湿剤を乾燥させて再生し、排気ファン75によりダクト76から外部へ排気EAとして排出される。この際、排気EAは蒸発潜熱により温度が低下している。
【0124】
又、除湿時には、露点温度調節部101において、露点温度検出器93で検出した給気SAの給気露点温度Tdpと設定露点温度Tdproの差を採って得られた給気露点温度偏差ΔTdprをPID演算してポンプ回転数指令V3が求められ、このポンプ回転数指令V3を基に被空調空間の露点温度が設定露点温度Tdproとなるよう、温水ポンプ78の回転数を制御している。このため、加熱コイル74a,74bの空気流れ方向下流側の空気の温度、つまり、デシカント除湿ロータ61の再生温度が変化するので、給気側の除湿量が調整される。実施例2の除湿時の空気線図は図4と同様である。而して、実施例2においては、除湿時には実施例1と同様の作用効果を奏し得る。
【0125】
II')実施例2で外気OAを加湿する場合
基本的な作用は実施例1の加湿の場合と略同様であるため、同様の部分の説明は省略するか、概要のみとし、異なる部分は詳説する。すなわち、実施例1の場合と同様にして演算制御装置95の除湿・加湿モード判断部97で加湿モードと判断された場合は、ダンパ及び電磁弁切替え操作指示部98'からダンパ87〜91及び加湿弁70並びに電磁弁106〜108に開閉指令が与えられ、ダンパ87〜91及び加湿弁70並びに開閉及び電磁弁106,108,110の開閉が行なわれる。加湿モードの際に「全開」となるのはダンパ90,91であり、「全閉」となるのは、ダンパ87,88,89である。又、電磁弁110は「全開」となり、電磁弁106,108は「全閉」となる。加湿弁70は弁開度指令V4に対応した開度に開いている。更に、加湿モードの際には、デシカント除湿ロータ61、冷却水ポンプ67、排気ファン75は停止しており、全熱交給気ファン55、給気ファン65が駆動され、全熱交排気ファン56が駆動されており、温水ポンプ78が駆動されている。日差しがある場合は集熱ポンプ81も駆動されている。
【0126】
更に、除湿・加湿モード判断部97で加湿モードと判断された場合は、図12に示すセレクタ102に対し加湿モードの切替え指令が与えられて、セレクタ102は加湿モードに切替えられる。このため、温度調節部100で給気温度検出器94からの給気温度Tsaと被空調空間の設定温度Tsaroとの差を採って求められた給気温度偏差ΔTtsrをPID演算して求められたポンプ回転数指令V2が求められ、このポンプ回転数指令V2は、セレクタ102を介し温水ポンプ78に与えられ、温水ポンプ78は所定の回転数で回転している。従って、温水蓄熱タンク77から出た温水は、温水ポンプ78により管路104、加熱コイル74a、管路107を経て温水蓄熱タンク77へと循環している。又、日差しのある場合は、温水は集熱ポンプ81により、温水蓄熱タンク77と太陽集熱器83との間を循環し、太陽集熱器83により温水に蓄熱を行なっている。
【0127】
外気OAの加湿時には、図14に示すように、全熱交換器ユニット51のハウジング53に導入された低温、低湿の外気OAは、全熱交換器54において、被空調空間からダクト86を通り送給されてきた還気RAと全熱交換されて、ダクト62,85,73を通り、デシカント空調機ユニット52のチャンバ59bへ送給され、温水蓄熱タンク77と加熱コイル74aとを循環している、太陽熱により加熱された温水により加熱されて顕熱が上昇する。加熱コイル74aで加熱された空気は、チャンバ59bからダンパ91を通ってデシカント空調機ユニット52のハウジング59におけるチャンバ59aへ導入され、加湿器64において管路71から送給されて噴霧される加湿水により加湿されて潜熱が上昇し、給気ファン65により給気SAとしてダクト72を経て被空調空間へ送給される。而して、被空調空間内の給気SAは、被空調空間内に設けた内調機からの空気と混合し、混合空気として内調機へ送給され、内調機で処理されて所定の空調用空気となり被空調空間へ送出される。
【0128】
被空調空間の空気の一部は、被空調空間から還気RAとしてダクト86へ排出され、
ダクト86から全熱交換器ユニット51のハウジング53におけるチャンバ53bに供給され、全熱交換器ユニット51で全熱交換されて冷却により顕熱が下降し、除湿されて潜熱が下降し、排気ファン56により排気EAとして屋外へ排出される。
【0129】
実施例2の外気OAの加湿時の空気線図は図6に示すと同様になる。而して、実施例2の加湿時においては、実施例1の加湿時の場合と同様の作用効果を奏し得る他、加湿時に空気はデシカント空調機ユニット52のチャンバ59aを通過する際に加熱コイル74aのみを通過し、加熱コイル74bは通過しないため、加熱コイル74a,74bにおける圧力損失が軽減される結果、給気ファン65の送風圧力を軽減することができる。
【実施例3】
【0130】
図15〜図17は本発明を実施する実施例3の変形例であり、実施例1の変形例であり、請求項1、6、9に係るものである。而して、本図示例の特長とするところは、実施例1では、ダクト85はダクト73に接続され、加湿器64はデシカント空調機ユニット52のチャンバ59aに配置しているのに対し、実施例3では、ダクト85は、デシカント空調機ユニット52のチャンバ59bに、デシカント除湿ロータ61と加熱コイル74の間に空気を送出し得るよう、接続され、加湿器64はチャンバ59bに、加熱コイル74よりもダクト73側に位置するよう、設けられている。又、仕切り壁60に設けられるダンパ91は、実施例1の場合よりも給気ファン65に近い位置に、加湿器64と給気ファン65との間に位置するよう設けられる。
【0131】
図中、図12〜図14に示す符号と同一のものには、同一の符号が示してある。又、実施例3では図示してないが、図2に示すと同様な演算制御装置が設けてあり、同様な制御が行われる。又、空気線図は除湿時には略図4に示すようになり、加湿時には、略図6に示すようになる。而して、除湿時の空気の流れは図16の太線で示すようになり、加湿時の空気の流れは図17の太線のようになる。又、除湿時における冷却水の流れ、温水の流れは実施例1の場合と同様、図16の太線のようになり、加湿時における温水の流れは実施例1と同様、図17の太線のようになる。
【0132】
実施例3の場合、除湿時の空気の流れは実施例1の場合と同様である。又、加湿時には、図17示すように、全熱交換器ユニット51の全熱交換器54で、ダクト86からの還気RAにより加熱、加湿された空気は、チャンバ53a、ダクト85、デシカント空調機ユニット52のチャンバ59bに送給され、チャンバ59bの加熱コイル74で加熱され、加湿器64で加湿されてチャンバ59aに送給され、給気ファン65により給気SAとしてダクト72を経て被空調空間へ送給される。
【0133】
実施例3の場合も実施例1、2と同様な効果を奏することができるが、加湿時には、実施例1の場合、図5に示すように、全熱交換器ユニット51からの空気のダクト73からダンパ91に至る流れ方向は、全熱交換器ユニット51からダクト85を経てダクト73へ至る流れ方向と逆であるのに対し、実施例3では、全熱交換器ユニット51のチャンバ53a、ダクト85空気の流れ方向は、図17に示すように、左から右への一方向であり、逆向きの流れはないため、加湿された空気が流れる系統の送風抵抗は、図5の場合と比べて明らかに低減する。
【0134】
なお、本発明の空調システムは、上述の実施例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0135】
51 全熱交換器ユニット
52 デシカント空調機ユニット
53 ハウジング(全熱交換器ユニットハウジング)
53' 仕切り壁
53a チャンバ(一方の全熱交換器ユニットチャンバ)
53b チャンバ(他方の全熱交換器ユニットチャンバ)
54 全熱交換器
59 ハウジング(デシカント空調機ユニットハウジング)
59a チャンバ(一方のデシカント空調機ユニットチャンバ)
59b チャンバ(他方のデシカント空調機ユニットチャンバ)
60 仕切り壁
61 デシカント除湿ロータ
62 ダクト(第二のダクト)
63 冷却コイル(冷却手段)
64 加湿器(加湿手段)
66 冷却塔
67 冷却水ポンプ
70 加湿弁
71 管路
73 ダクト(第三のダクト)
74 加熱コイル(加熱手段)
74a 加熱コイル(加熱手段)(第一の加熱手段)
74b 加熱コイル(加熱手段)(第二の加熱手段)
77 温水蓄熱タンク
78 温水ポンプ
83 太陽集熱器(太陽集熱手段)
85 ダクト(第四のダクト)
86 ダクト(第一のダクト)
87 ダンパ(第二のダンパ)
88 ダンパ(第三のダンパ)
89 ダンパ(第五のダンパ)
90 ダンパ(第四のダンパ)
91 ダンパ(第一のダンパ)
95 演算制御装置
96 外気露点温度演算部
97 除湿・加湿モード判断部
98 ダンパ切替え操作指示部
98' ダンパ及び電磁弁切替え操作指示部(ダンパ及び弁手段切替え操作指示部)
99 温度調節部(第一の温度調節部)
100 温度調節部(第二の温度調節部)
101 露点温度調節部(第二の露点温度調節部)
102 セレクタ
103 露点温度調節部(第一の露点温度調節部)
105 管路(第一の管路)
106 電磁弁(第一の弁手段)
107 管路(第二の管路)
108 電磁弁(第二の弁手段)
109 管路(第三の管路)
110 電磁弁(第三の弁手段)
OA 外気
SA 給気
RA 還気
Tdpoa 外気露点温度
Tdp 給気露点温度
Tdpro 設定露点温度
Tsa 給気温度
Tsao 設定給気温度
Tsaro 設定温度
t 乾球温度(温度)
ΔTdpr 給気露点温度偏差
ΔTsar 給気温度偏差
φ 相対湿度
V1 ポンプ回転数指令
V2 ポンプ回転数指令
V3 ポンプ回転数指令
V4 弁開度指令

【特許請求の範囲】
【請求項1】
全熱交換器ユニットと、デシカント空調機ユニットとを備えた空調システムであって、
前記全熱交換器ユニットは、
前記デシカント空調機ユニットから給気として被空調空間に送給されて戻ってきた還気により、導入された外気を冷却、除湿するか或いは加熱、加湿しうるようにした全熱交換器を備え、
前記デシカント空調機ユニットは、
前記全熱交換器ユニットにおける全熱交換器で冷却、除湿されて導入された空気を除湿するデシカント除湿ロータと、
該デシカント除湿ロータにおける前記全熱交換器ユニットからの空気の流れ方向下流側に設けられ、且つ、冷却塔で外気と熱交換して冷却された冷却水により前記デシカント除湿ロータからの空気を冷却する冷却手段と、
該冷却手段の空気流れ方向下流側に設けられ、且つ、空気の加湿時に加湿水を空気に供給する加湿手段と、
前記全熱交換器ユニットにおける全熱交換器で冷却、除湿されて導入された空気を搬送する給気ファンと、
前記外気の除湿時に前記デシカント空調機ユニットに導入された空気を除湿した前記デシカント除湿ロータの再生に供するために前記デシカント空調機ユニットに導入された外気を加熱するよう、或いは、前記外気の加湿時に前記熱交換器ユニットから前記デシカント空調機ユニットに導入された空気を加熱するよう、太陽集熱手段で集熱された熱により加熱された温水が導入される加熱手段と、
前記デシカント除湿ロータの再生に供するために前記デシカント空調機ユニットに導入された外気を吸引する排気ファンと、
前記デシカント除湿ロータの再生に供するために前記デシカント空調機ユニットに導入する外気搬送通路と該デシカント除湿ロータにおける前記全熱交換器ユニットからの空気の流れ方向下流側とを接続したり閉止したりできる第一のダンパとを備え、
前記外気の加湿時には、前記排気ファンを停止し、前記第一のダンパを開放することで、前記全熱交換器ユニットから送出された空気を、前記デシカント空調機ユニットのデシカント除湿ロータを通過させることなく前記デシカント空調機ユニットにおける加熱手段で加熱し、加湿手段で加湿してデシカント空調機ユニットから給気として送出し得るよう構成した
ことを特徴とする空調システム。
【請求項2】
全熱交換器ユニットと、デシカント空調機ユニットとを備えた空調システムであって、
前記全熱交換器ユニットは、
前記デシカント空調機ユニットから給気として被空調空間に送給されて戻ってきた還気により、導入された外気を冷却、除湿するか或いは加熱、加湿しうるようにした全熱交換器を備え、
前記デシカント空調機ユニットは、
前記全熱交換器ユニットにおける全熱交換器で冷却、除湿されて導入された空気を除湿するデシカント除湿ロータと、
該デシカント除湿ロータにおける前記全熱交換器ユニットからの空気の流れ方向下流側に設けられ、且つ、冷却塔で外気と熱交換して冷却された冷却水により前記デシカント除湿ロータからの空気を冷却する冷却手段と、
該冷却手段の空気流れ方向下流側に設けられ、且つ、空気の加湿時に加湿水を空気に供給する加湿手段と、
前記全熱交換器ユニットにおける全熱交換器で冷却、除湿されて導入された空気を搬送する給気ファンと、
前記外気の除湿時に前記デシカント空調機ユニットに導入された空気を除湿した前記デシカント除湿ロータの再生に供するために前記デシカント空調機ユニットに導入された外気を加熱するよう、或いは、前記外気の加湿時に前記熱交換器ユニットから前記デシカント空調機ユニットに導入された空気を加熱するよう、太陽集熱手段で集熱された熱により加熱された温水が導入される複数の加熱手段と、
前記デシカント除湿ロータの再生に供するために前記デシカント空調機ユニットに導入された外気を吸引する排気ファンと、
前記デシカント除湿ロータの再生に供するために前記デシカント空調機ユニットに導入する外気搬送通路と該デシカント除湿ロータにおける前記全熱交換器ユニットからの空気の流れ方向下流側とを接続したり閉止したりできる第一のダンパとを備え、
前記デシカント除湿ロータを再生させるためにデシカント空調機ユニットに導入された外気は前記複数の加熱手段を全て通過しうるよう構成され、
前記外気の加湿時には、前記排気ファンを停止し、前記第一のダンパを開放することで、前記全熱交換器ユニットから送出された空気を、前記デシカント空調機ユニットのデシカント除湿ロータを通過させることなく、前記デシカント空調機ユニットにおける複数の加熱手段のうち、全ての加熱手段よりも少ない数量の空気流れ方向蒸留側の加熱手段で加熱し、加湿手段で加湿してデシカント空調機ユニットから給気として送出しうるよう構成した
ことを特徴とする空調システム。
【請求項3】
全熱交換器ユニットと、デシカント空調機ユニットとを備えた空調システムであって、
前記全熱交換器ユニットは、仕切り壁により仕切られて左右若しくは上下の全熱交換器ユニットチャンバが形成された全熱交換器ユニットハウジングを有し、且つ、該全熱交換器ユニットハウジングには、左右若しくは上下の全熱交換器ユニットチャンバを跨ぐよう全熱交換器が設置され、
左右若しくは上下の全熱交換器ユニットチャンバのうち一方の全熱交換器ユニットチャンバには、外気が導入されるよう構成され、
他方の全熱交換器ユニットチャンバには、前記デシカント空調機ユニットから給気として被空調空間に送給されて戻ってきた還気が導入されるよう第一のダクトが接続され、
前記熱交換器ユニットの全熱交換器においては、前記第一のダクトから送給されてきた還気により、導入された外気を冷却、除湿するか或いは加熱、加湿しうるよう構成され、
前記デシカント空調機ユニットは、第一のダンパが設けられた仕切り壁により仕切られて左右若しくは上下のデシカント空調機ユニットチャンバが形成されたデシカント空調機ユニットハウジングを有し、且つ、デシカント空調機ユニットハウジングには、左右若しくは上下のデシカント空調機ユニットチャンバを跨ぐようデシカント除湿ロータが設置され、
前記全熱交換器ユニットの一方の全熱交換器ユニットチャンバと、デシカント空調機ユニットの一方のデシカント空調機ユニットチャンバとは中途部に第二のダンパを有する第二のダクトにより接続され、
前記デシカント空調機ユニットは、前記一方のデシカント空調機ユニットチャンバの空気流れ方向下流側に設けられ、且つ、前記デシカント除湿ロータからの空気を冷却する冷却手段と、該冷却手段の空気流れ下流側において一方のデシカント空調機ユニットチャンバに設けられ、且つ、加湿弁を有する管路に接続された加湿手段を備え、
前記デシカント空調機ユニットの他方のデシカント空調機ユニットチャンバには、第三のダンパを有する第三のダクトから外気を他方のデシカント空調機ユニットチャンバに導入し得るよう接続され、
且つ、第三のダクトから導入された外気を加熱し得るよう、前記デシカント除湿ロータにおける他方のデシカント空調機ユニットチャンバの空気流れ方向上流側には、加熱手段が設けられ、
前記第二のダクトの第二のダンパ接続部よりも空気流れ方向上流側と、第三のダクトの第三のダンパ接続部よりも外気流れ方向下流側とは、中途部に第四のダンパを有する第四のダクトにより接続され、
デシカント空調機ユニットにおける他方のデシカント空調機ユニットチャンバの空気流れ方向出側には、第五のダンパが設けられ、
前記一方のデシカント空調機ユニットチャンバの前記冷却手段の空気流れ方向下流側若しくは前記第三のダクトには給気ファンが設けられ、
前記他方のデシカント空調機ユニットチャンバの前記加熱手段の空気流れ方向下流側若しくは前記第五のダクトには排気ファンが設けられており、
前記冷却手段に冷却塔からの冷却水を送給する管路或いは前記冷却手段から冷却水を冷却塔に戻す管路には、回転数を調整しうる冷却水ポンプが設けられ、
前記加熱手段に太陽集熱手段で集熱された温水を貯める温水蓄熱タンクから温水を送給する管路或いは温水を加熱手段から温水蓄熱タンクへ戻す管路には、回転数を調整しうる温水ポンプが設けられており、
外気の除湿時には、前記第一のダンパ及び前記第四のダンパを閉止し、前記第二のダンパ、前記第三のダンパ及び前記第五のダンパを開放して、全熱交換器ユニットで冷却、除湿され且つデシカント空調機ユニットで除湿されて温調された給気を前記デシカント空調機ユニットの一方のデシカント空調機ユニットチャンバから被空調空間へ送給し得るよう構成すると共に、前記デシカント空調機ユニットの他方のデシカント空調機ユニットチャンバに導入された外気を加熱手段で加熱してデシカント除湿ロータに送給してデシカント除湿ロータの再生に供し得るよう構成し、
外気の加湿時には、前記第一のダンパ及び前記第四のダンパを開放し、前記第二のダンパ、前記第三のダンパ及び前記第五のダンパを閉止して、全熱交換器ユニットで加熱、加湿された空気を第二のダクト、及び第四のダクト、第三のダクトから他方のデシカント空調機ユニットチャンバに送給して加熱手段により加熱し、第一のダンパから一方のデシカント空調機ユニットチャンバへ供給して加湿手段により加湿し給気として被空調空間に送給し得るよう構成した
ことを特徴とする空調システム。
【請求項4】
第三のダクトから導入された外気を加熱し得るよう、前記デシカント除湿ロータにおける他方のデシカント空調機ユニットチャンバの空気流れ方向上流側には、空気流れ方向に向かって複数の加熱手段が設けられ、
加熱手段の温水が流通する管路には弁手段が設けられ、
外気の除湿時には、前記第一のダンパ及び前記第四のダンパを閉止し、前記第二のダンパ、前記第三のダンパ及び前記第五のダンパを開放して、全熱交換器ユニットで冷却、除湿され且つデシカント空調機ユニットで除湿されて温調された給気を前記デシカント空調機ユニットの一方のデシカント空調機ユニットチャンバから被空調空間へ送給し得るよう構成すると共に、前記デシカント空調機ユニットの他方のデシカント空調機ユニットチャンバに導入された外気を全ての加熱手段で加熱してデシカント除湿ロータに送給してデシカント除湿ロータの再生に供し得るよう構成し、
外気の加湿時には、前記第一のダンパ及び前記第四のダンパを開放し、前記第二のダンパ、前記第三のダンパ及び前記第五のダンパを閉止して、全熱交換器ユニットで加熱、加湿された空気を第二のダクト、及び第四のダクト、第三のダクトから他方のデシカント空調機ユニットチャンバに送給して、加熱手段のうち少なくとも空気流れ方向最下流側に位置する加熱手段は通さず、空気流れ方向上流側に位置する加熱手段により加熱し、第一のダンパから一方のデシカント空調機ユニットチャンバへ供給して加湿手段により加湿し給気として被空調空間に送給し得るよう構成した
ことを特徴とする請求項3に記載の空調システム。
【請求項5】
加熱手段は2基であると共に、温水流れ方向上流側の第一の加熱手段と、温水流れ方向下流側の第二の加熱手段は、中途部に第一の弁手段を有する第一の管路により接続され、第一の管路における第一の弁手段よりも温水流れ方向上流側と、第二の管路における第二の弁手段の温水流れ方向下流側とは、前記第二の加熱手段の出側と温水蓄熱タンクとを接続する、第三の弁手段を有する第三の管路により接続されている請求項2又は4に記載の空調システム。
【請求項6】
全熱交換器ユニットと、デシカント空調機ユニットとを備えた空調システムであって、
前記全熱交換器ユニットは、仕切り壁により仕切られて左右若しくは上下の全熱交換器ユニットチャンバが形成された全熱交換器ユニットハウジングを有し、且つ、該全熱交換器ユニットハウジングには、左右若しくは上下の全熱交換器ユニットチャンバを跨ぐよう全熱交換器が設置され、
左右若しくは上下の全熱交換器ユニットチャンバのうち一方の全熱交換器ユニットチャンバには、外気が導入されるよう構成され、
他方の全熱交換器ユニットチャンバには、前記デシカント空調機ユニットから給気として被空調空間に送給されて戻ってきた還気が導入されるよう第一のダクトが接続され、
前記熱交換器ユニットの全熱交換器においては、前記第一のダクトから送給されてきた還気により、導入された外気を冷却、除湿するか或いは加熱、加湿しうるよう構成され、
前記デシカント空調機ユニットは、第一のダンパが設けられた仕切り壁により仕切られて左右若しくは上下のデシカント空調機ユニットチャンバが形成されたデシカント空調機ユニットハウジングを有し、且つ、デシカント空調機ユニットハウジングには、左右若しくは上下のデシカント空調機ユニットチャンバを跨ぐようデシカント除湿ロータが設置され、
前記全熱交換器ユニットの一方の全熱交換器ユニットチャンバと、デシカント空調機ユニットの一方のデシカント空調機ユニットチャンバとは中途部に第二のダンパを有する第二のダクトにより接続され、
前記デシカント空調機ユニットは、前記一方のデシカント空調機ユニットチャンバの空気流れ方向下流側に設けられ、且つ、前記デシカント除湿ロータからの空気を冷却する冷却手段を備え、
前記デシカント空調機ユニットの他方のデシカント空調機ユニットチャンバには、第三のダンパを有する第三のダクトから外気を他方のデシカント空調機ユニットチャンバに導入し得るよう接続され、
且つ、第三のダクトから導入された外気を加熱し得るよう、前記デシカント除湿ロータにおける他方のデシカント空調機ユニットチャンバの空気流れ方向上流側には、加熱手段が設けられ、
前記他方のデシカント空調機ユニットチャンバには、前記加熱手段よりも前記デシカント除湿ロータから離反した側に位置するよう、加湿弁を有する管路に接続された加湿手段が設けられ、
前記他方のデシカント空調機ユニットチャンバには、前記デシカント除湿ロータと加熱手段との間に空気を送給し得るよう、中途部に第四のダンパを有する第四のダクトが接続され、
デシカント空調機ユニットにおける他方のデシカント空調機ユニットチャンバの空気流れ方向出側には、第五のダンパが設けられ、
前記一方のデシカント空調機ユニットチャンバの前記冷却手段の空気流れ方向下流側若しくは前記第三のダクトには給気ファンが設けられ、
前記他方のデシカント空調機ユニットチャンバの前記加熱手段の空気流れ方向下流側若しくは前記第五のダクトには排気ファンが設けられており、
前記冷却手段に冷却塔からの冷却水を送給する管路或いは前記冷却手段から冷却水を冷却塔に戻す管路には、回転数を調整しうる冷却水ポンプが設けられ、
前記加熱手段に太陽集熱手段で集熱された温水を貯める温水蓄熱タンクから温水を送給する管路或いは温水を加熱手段から温水蓄熱タンクへ戻す管路には、回転数を調整しうる温水ポンプが設けられており、
外気の除湿時には、前記第一のダンパ及び前記第四のダンパを閉止し、前記第二のダンパ、前記第三のダンパ及び前記第五のダンパを開放して、全熱交換器ユニットで冷却、除湿され且つデシカント空調機ユニットで除湿されて温調された給気を前記デシカント空調機ユニットの一方のデシカント空調機ユニットチャンバから被空調空間へ送給し得るよう構成すると共に、前記デシカント空調機ユニットの他方のデシカント空調機ユニットチャンバに導入された外気を加熱手段で加熱してデシカント除湿ロータに送給してデシカント除湿ロータの再生に供し得るよう構成し、
外気の加湿時には、前記第一のダンパ及び前記第四のダンパを開放し、前記第二のダンパ、前記第三のダンパ及び前記第五のダンパを閉止して、全熱交換器ユニットで加熱、加湿された空気を第二のダクト、及び第四のダクトから他方のデシカント空調機ユニットチャンバに送給して加熱手段により加熱し、第一のダンパから一方のデシカント空調機ユニットチャンバへ供給して加湿手段により加湿し給気として被空調空間に送給し得るよう構成した
ことを特徴とする空調システム。
【請求項7】
演算制御装置を備え、該演算制御装置は、全熱交換器ユニットの一方の全熱交換器ユニットチャンバに導入される外気の乾球温度及び相対湿度から外気露点温度を演算する外気露点温度演算部と、
該外気露点温度演算部からの外気露点温度に基いて、外気を除湿するか加湿するか判断する除湿・加湿モード判断部と、
該除湿・加湿モード判断部からの指令により、第一のダンパ〜第五のダンパに開閉指令を与えるダンパ切替え操作指示部と、
デシカント空調機ユニットからの給気の給気温度と設定給気温度の偏差をPID演算して求めたポンプ回転数指令を基に冷却水ポンプの回転数を調整して冷却塔から冷却手段に供給される冷却水の流量を調整することにより、冷却手段で冷却される空気の温度を調整し得るようにした第一の温度調節部と、
デシカント空調機ユニットからの給気の給気露点温度と設定露点温度の偏差をPID演算して求めた弁開度指令を基に加湿弁の開度を調整して外気の加湿時に、一方のデシカント空調機ユニットチャンバを通る空気に加湿手段から供給する加湿水の量を調整し得るようにした第一の露点温度調節部と、
デシカント空調機ユニットからの給気の給気温度と設定温度の偏差をPID演算して求めたポンプ回転数指令を基に温水ポンプの回転数を調整して、外気の加湿時に、他方のデシカント空調機ユニットチャンバの加熱手段に供給される温水の流量を調整することにより、加熱手段で加熱される空気の温度を調整し得るようにした第二の温度調節部と、
デシカント空調機ユニットからの給気の給気露点温度と設定露点温度の偏差をPID演算して求めたポンプ回転数指令を基に温水ポンプの回転数を調整して、外気の除湿時に、他方のデシカント空調機ユニットチャンバの加熱手段に供給される温水の流量を調整することにより、前記デシカント除湿ロータを除湿し再生させるために、前記加熱手段で加熱される空気の温度を調整し得るようにした第二の露点温度調節部と、
前記除湿・加湿モード判断部からの指令により、前記第二の温度調節部からのポンプ回転数指令、或は前記第二の露点温度調節部からのポンプ回転数指令のうち何れかを選択するセレクタを備え、選択した指令を基に温水ポンプの回転数を調整して加熱手段に供給される温水の流量を調整して加熱手段で加熱される空気の温度を調整し得るよう構成した
請求項3或は6に記載の空調システム。
【請求項8】
演算制御装置を備え、該演算制御装置は、全熱交換器ユニットの一方の全熱交換器ユニットチャンバに導入される外気の乾球温度及び相対湿度から外気露点温度を演算する外気露点温度演算部と、
該外気露点温度演算部からの外気露点温度に基いて、外気を除湿するか加湿するか判断する除湿・加湿モード判断部と、
該除湿・加湿モード判断部からの指令により、第一のダンパ〜第五のダンパに開閉指令を与えると共に、加熱手段に流通する温水を制御する弁手段に開閉指令を与える、ダンパ及び弁手段切替え操作指示部と、
デシカント空調機ユニットからの給気の給気温度と設定給気温度の偏差をPID演算して求めたポンプ回転数指令を基に冷却水ポンプの回転数を調整して冷却塔から冷却手段に供給される冷却水の流量を調整することにより、冷却手段で冷却される空気の温度を調整し得るようにした第一の温度調節部と、
デシカント空調機ユニットからの給気の給気露点温度と設定露点温度の偏差をPID演算して求めた弁開度指令を基に加湿弁の開度を調整して外気の加湿時に、一方のデシカント空調機ユニットチャンバを通る空気に加湿手段から供給する加湿水の量を調整し得るようにした第一の露点温度調節部と、
デシカント空調機ユニットからの給気の給気温度と設定給気温度の偏差をPID演算して求めたポンプ回転数指令を基に温水ポンプの回転数を調整して、外気の加湿時に、他方のデシカント空調機ユニットチャンバの加熱手段に供給される温水の流量を調整することにより、加熱手段で加熱される空気の温度を調整し得るようにした第二の温度調節部と、
デシカント空調機ユニットからの給気露点温度と設定露点温度の偏差をPID演算して求めたポンプ回転数指令を基に温水ポンプの回転数を調整して、外気の除湿時に、他方のデシカント空調機ユニットチャンバの加熱手段に供給される温水の流量を調整することにより、前記デシカント除湿ロータを除湿し再生させるために、加熱手段で加熱される空気の温度を調整し得るようにした第二の露点温度調節部と、
前記除湿・加湿モード判断部からの指令により、前記第二の温度調節部からのポンプ回転数指令、或は前記第二の露点温度調節部からのポンプ回転数指令の何れかを選択するセレクタを備え、選択した指令を基に温水ポンプの回転数を調整して加熱手段に供給される温水の流量を調整して加熱手段で加熱される空気の温度を調整し得るよう構成した
請求項4或は5に記載の空調システム。
【請求項9】
前記外気の除湿時には、デシカント空調機ユニットから送出される給気を夏期のピーク時に30℃とし得るよう構成した請求項1乃至8の何れかに記載の空調システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2012−207872(P2012−207872A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−74526(P2011−74526)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(000001834)三機工業株式会社 (316)
【Fターム(参考)】