説明

窒化ガリウム半導体素子

【課題】高出力の窒化ガリウムショットキー・ダイオード素子を提供する。
【解決手段】1〜6μmの厚さを有するn+型ドープしたGaNダイオードから製造した窒化ガリウムベースの半導体ショットキー・ダイオードをサファイア基板の上に配設する。1μmを超える厚さを有するn−型ドープしたGaNダイオードを、複数の細長形の指にパターン化した前記n+型ドープGaNダイオード上に配設し、金属層をn−型ドープGaN層上に配設し、それとの間にショットキー接合を形成する。細長形の指の層厚、長さおよび幅は、降伏電圧が500Vを超え、電流容量が1アンペアを超え、かつ順方向電圧が3V未満である素子を得るように最適化される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は窒化ガリウム半導体素子に関し、さらに特には、高出力用途のための逆降伏電圧および電流容量が改善された窒化ガリウム(GaN)ショットキー・ダイオードに関する。
【背景技術】
【0002】
ダイオード整流器は低電圧スイッチング、電源、電力変換器、および関連する用途のために最も広く使用されている素子の1つである。効果的な動作のためには、ダイオードは低いオン状態電圧(0.1〜0.2V以下)、低い逆漏れ電流、高い阻止電圧(20〜30V)、および速いスイッチング速度を有することが望ましい。
【0003】
最も一般的なダイオードは、ダイオードの動作特性を修正するために制御して不純物元素が導入されたシリコン(Si)基板上に作製されたp−n接合ダイオードである。また、シリコンのp−n接合ダイオードはガリウムヒ素(GaAs)およびシリコン・カーバイド(SiC)などの他の半導体材料のウエハの上に形成することもできる。p−n接合ダイオードの欠点の1つは、順方向の伝導中にダイオードの電力損が大きな電流の流れに対して過度になり得ることである。
【0004】
別のタイプのダイオードは、p−n接合の代わりに整流金属−半導体障壁領域から形成されるショットキー障壁ダイオードである。金属が半導体に接すると、障壁領域が2つの間の接合部に生まれる。適切に製造された場合、障壁領域が電荷蓄積効果を最小にし、ターンオフ時間を短縮することによってダイオードのスイッチングを改善する。[L.P.Hunger、Physics of Semiconductor Materials、Devices、and Circuits、Semiconductor Devices、1〜10貢(1970)]一般的なショットキー・ダイオードがpn接合ダイオードよりも低いターンオン電圧(半導体のバンド・ギャップに応じて約0.5V以上)を有し、ダイオードのエネルギ損が(スイッチング電源の出力整流器など)システムに著しく影響を及ぼす恐れのある用途ではより好ましい。
【0005】
電力変換用途で使用する際の窒化ガリウム半導体素子の応用は、そのような素子のための新たな設計および環境要件のほか、先行技術の窒化ガリウムベースの素子によっては満たされなかった製造上および信頼性の考察を生じる。
【0006】
本発明より以前には、市販の受容可能な高出力窒化ガリウムショットキー・ダイオード素子は存在しなかった。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】L.P.Hunger、Physics of Semiconductor Materials、Devices、and Circuits、Semiconductor Devices、1〜10貢(1970)
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許出願PACKAGE FOR GALLIUM NITRIDE SEMICONDUCTOR DEVICES
【特許文献2】米国特許出願第2003/0062525号
【特許文献3】米国特許第34861号
【特許文献4】米国特許第4946547号
【特許文献5】米国特許第5200022号
【特許文献6】米国特許出願第10/935000号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は改善された高出力半導体素子を提供することにある。
本発明の別の目的は窒化ガリウムショットキー・ダイオード半導体素子を提供することにある。
【0010】
本発明の別の目的は、信頼性を改善しかつ製造コストを低くするために半導体素子構造においてメサ構成を提供することにある。
【0011】
本発明のさらに別の目的は、サファイア基板およびフリップ・チップ技術を用いて窒化ガリウム半導体素子を製造するための改善された方法を提供することにある。さらなる詳細は本願と同時に出願された、「PACKAGE FOR GALLIUM NITRIDE SEMICONDUCTOR DEVICES」と題する米国特許出願に開示されている。
【0012】
以下の詳細な説明を含むこの開示からおよび本発明の実施によって、本発明のさらなる目的、利点、および新規な特徴が当業者には明らかとなろう。好適な実施形態を参照して以下に本発明を記載するが、本発明はそれに限定されるものではないことを理解されたい。本願明細書の教示を利用できる当業者であれば、本願明細書において開示および請求され、かつ本発明が有用であり得る本発明の範囲にある他の分野におけるさらなる応用、変形、および実施形態を理解するであろう。
【課題を解決するための手段】
【0013】
簡単に言うと、一般的には、本発明は厚さが1〜6μmのn+ドープしたGaN層が基板上に配設された窒化ガリウムベースの半導体ダイオードを提供する。厚さが1μmを超えるn−ドープしたGaN層はn+GaN層上に配設され、金属層は前記n−ドープしたGaN層上に配設され、その間にショットキー接合を形成する。
【0014】
別の態様では、本発明は窒化ガリウム半導体構造が基板上に配設されかつ上面を有するショットキー・ダイオード半導体素子を提供し、この構造は第1の導電型の下部半導体層、下部半導体層の一部の上に配設されかつ複数のメサ構造を形成する第1の導電型の上部半導体層と、上部半導体層の上に配設されかつ複数のメサ構造を形成する第1の金属層、上部半導体層の上に配設されかつ下部半導体層表面から上方に突出する複数のメサ構造の各々の上にショットキー接合を形成する第1の金属層を含む。
【0015】
さらに特には、下部および上部半導体層の厚さはダイオードが500Vを超える逆降伏電圧および5アンペアを超える電流容量を有するように選択される。
【0016】
本発明の特徴であると考えられる新規なフィーチャは添付の特許請求の範囲に特に定められている。しかし、本発明自身は、その付加的な目的および利点と共に、その構造および動作の方法の両方に関して、添付図面とともに読めば、以下の具体的な実施形態の記載から最もよく理解されよう。
【0017】
本発明の上記および他の特徴および利点は、添付図面と共に考察すれば、以下の詳細な説明によってよりよく理解され、より完全に評価されよう。
【0018】
ここで、例示的態様およびその実施形態を含む本発明の詳細を記載する。図面および以下の説明を参照すると、同様の参照番号は同様のまたは機能的に類似する要素を識別するために用いられ、例示的実施形態の主要な特徴を非常に単純化した図で説明することが意図されている。さらに、図面は実際の実施形態のすべての特徴も図示した要素の関連する寸法も描くことを意図しておらず、原寸大に描かれていない。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1A】先行技術で知られたGaNダイオードの第1の実施形態を示す非常に単純化した断面図である。
【図1B】本発明のGaNダイオードを示す非常に単純化した断面図である。
【図2A】先行技術で知られたGaNダイオードの第2の実施形態を示す非常に単純化した断面図である。
【図2B】図1BのGaNダイオードを示す非常に単純化した断面図であり、メサ構造を示している、
【図3】先行技術で知られたGaNダイオードの第3の実施形態を示す非常に単純化した断面図である。
【図4A】本発明の第1の実施形態のGaNダイオードを示す平面図である。
【図4B】本発明の第2の実施形態のGaNダイオードを示す平面図である。
【図5A】図4Aまたは4BのA−A面で切った本発明のGaNダイオードの詳細な断面図であり、素子の製造工程のある段階のメサ構造を示す。
【図5B】図4Aまたは4BのB−B面で切った本発明の第1の実施形態のGaNダイオードの詳細な断面図であり、図5Aに示した製造工程の同じ段階のオーミック・ボンディング金属コンタクトを示す。^
【図5C】図4Aまたは4BのC−C面で切った本発明の第1の実施形態のGaNダイオードの詳細な断面図であり、図5Aおよび5Bに示した製造工程の同じ段階のショットキー・ボンディング金属コンタクトを示している。
【図6A】図4AのA−A面で切った本発明の第1の実施形態のGaNダイオードの詳細な断面図であり、二酸化シリコンまたはポリイミドのパッシベーション層が金属プレート(Al)層の上に塗布された製造工程の次の段階後のメサ構造を示す。
【図6B】図4のB−B面で切った本発明の第1の実施形態のGaNダイオードの詳細な断面図であり、図6Aのような製造工程の同じ段階のオーミック・ボンディング金属コンタクトを示している。このパッシベーション層はショットキー金属コンタクトを被覆し、次にパッシベーション層をパターン化して活性オーミック金属までコンタクトを露出させる。
【図6C】図4のC−C面で切った本発明の第1の実施形態のGaNダイオードの詳細な断面図であり、図6Aおよび6Bのような製造工程の同じ段階のショットキー・ボンディング金属コンタクトを示す。
【図7A】図4BのA−A面で切った本発明の第2の実施形態のGaNダイオードの詳細な断面図であり、製造工程の次の段階後のメサ構造を示す。
【図7B】図4BのB−B面で切った本発明の第2の実施形態のGaNダイオードの詳細な断面図であり、図7Aのような製造工程の同じ段階のオーミック・ボンディング金属コンタクトを示す。
【図8A】図4AのA−A面で切った本発明の第1の実施形態のGaNダイオードの詳細な断面図であり、図7Aの工程の次の製造工程の次の段階後のメサ構造を示す。
【図8B】図4AのB−B面で切った本発明の第1の実施形態のGaNダイオードの詳細な断面図であり、図8Aのような製造工程の同じ段階のショットキー・ボンディング金属コンタクトの被着を示す。
【図9A】本発明のGaNダイオードのショットキー・コンタクト部分を示す拡大断面図である。
【図9B】本発明のGaNダイオードのショットキー・コンタクト部分を示す拡大断面図である。
【図9C】本発明のGaNダイオードのショットキー・コンタクト部分を示す拡大断面図である。
【図9D】本発明の別の実施形態のGaNダイオードのショットキー・コンタクト部分を示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1AはIII族窒化物ベースの材料系またはフェルミ・レベルがその表面状態に固定されない他の材料系から形成された公開された米国特許出願第2003/0062525号に示された先行技術に従って構成されたショットキー・ダイオード100を示す。III族窒化物とは窒素と一般にはアルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、およびインジウム(In)である周期表のIII族内の元素との間で形成される半導体化合物を指す。この用語はAlGaNおよびAlInGaNなどの三元化合物および第三化合物も指す。先行技術のダイオードに好適な材料はGaNおよびAlGaNである。
【0021】
ダイオード100はサファイア(Al)、シリコン(Si)、または先行技術の好適な基板は4Hポリタイプのシリコン・カーバイドであるシリコン・カーバイド(SiC)であってよい基板101を含む。3C、6H、および15Rポリタイプを含む他のシリコン・カーバイド・ポリタイプが使用されてもよい。AlGa0−xNバファ層(xは0〜1)が基板101の上に含まれており、シリコン・カーバイド基板とダイオード100の残りの部分との間に適した結晶構造転移を提供する。
【0022】
サファイアよりもIII族窒化物に結晶格子整合が非常に近く、より高い品質のIII族窒化物膜が得られるので、シリコン・カーバイドは先行技術においては好ましいものであった。シリコン・カーバイドは非常に高い熱伝導性も有するので、(サファイア上に形成されたいくつかの素子と同様)シリコン・カーバイド上のIII族窒化物素子の総出力は基板の熱放散によって制限されない。そのような先行技術の素子はダイオードを形成するために側方(すなわちチップの表面に平行)の伝導に依存していた。そのような構造では、シリコン・カーバイド基板は市販の素子を作る素子間分離の容量および低減された寄生容量を可能性のあるSiCに提供する。SiC基板はノースカロライナ州ダラムのCree Research社から市販されており、それを製造する方法は学術文献のほか米国特許第34861号、第4946547号、および第5200022号に記載されている。
【0023】
ダイオード100は基板101の上にn+型GaN層102を有し、n+型GaN層102上のn−型GaN層103は少なくとも1018/cmの濃度まで不純物で高濃度でドープされており、好適な濃度はこの量の5〜20倍である。n−型GaN層103はより低いドーピング濃度を有しているが、まだn−型であり、5×1014〜5×1017/cmの範囲の不純物濃度を有していることが好ましい。n−型GaN層103は厚さ0.5〜1.0μmであることが好ましく、n+型GaN層102は厚さ0.1〜1.5μmであるが、他の厚さも使用できる。
【0024】
n−型GaN層103の部分はn−型GaN層までエッチダウンされ、オーミック金属コンタクト105は、n−型GaN層103から電気的に絶縁されるようにn+型GaN層上のエッチングされた領域に含まれる。別の実施形態では、1つまたは複数のオーミック・コンタクトがn+型GaN層102で被覆されていない基板の表面上に含まれてよい。この先行技術の実施形態はn−型である基板に特に適用可能である。ショットキー金属層104はn+型GaN層102と反対側のn−型GaN層103の上に含まれる。
【0025】
図1BはIII族窒化物ベースの材料系から形成した本発明の第1の実施形態に従って構成したショットキー・ダイオード200の著しく拡大した図を示す。III族窒化物は窒素と通常はアルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、およびインジウム(In)である周期表のIII族の元素の間で形成された半導体化合物を意味する。この用語はAlGaNおよびAlInGaNなどの三元化合物および第三化合物も意味する。新しいダイオードに好適な材料はGaNおよびAlGaNである。
【0026】
図1Aに示した先行技術と異なり、本発明のダイオード200は、低コストでかつ多数の異なる径で広く使用可能であることから好適にはサファイア(Al)である基板201を利用する。別の場合には、シリコン基板が使用されてよい。
【0027】
絶縁基板すなわちサファイア基板を半導体素子に使用することは、一般に、市販されている、径に応じて15〜25ミルなどの比較的厚いサファイア基板に依存していた。高い電流が素子を通過するときに、市販の厚いサファイア基板を用いたGaNショットキー・ダイオードに関しては熱蓄積の問題がある。本発明の重要な特徴の1つはダイオード200が比較的薄いサファイア基板201の上に実施されることにある。製造工程後に基板を薄膜化することによって、一般の製造工程を用いることができるが、最終的にパッケージングされた素子はその熱抵抗が実質的に低減されるであろう。
【0028】
サファイアは窒化物ベースのダイオードには最も一般的な基板である。サファイアには高い熱抵抗があるので、GaNショットキー・ダイオードの用途における高い電流密度の動作には厚い基板は望ましくない。GaNショットキー・ダイオードは。順方向伝導モードにおいて少なくとも1アンペアの電流伝導(対応する400A/cmの電流密度で)を必要とする。典型的には、電流伝導は素子が大きくなると8〜16アンペアまで高くなり得る。順方向の電流伝導中に生じる熱を迅速に放散することができない場合、熱は素子の温度を上昇させる。キャリア移動度などの大半の半導体材料特性は温度の関数であるので、温度上昇は素子性能の著しい劣化を生じさせる。素子性能への熱効果を低減させるためには、熱伝導を改善することが必要である。熱伝導の悪いサファイアの厚さを縮小すれば、GaNショットキー・ダイオードからの熱伝導を改善することができる。素子の熱性能を改善するために、サファイアを薄膜化する実験が行われた。Strasbaugh社のモデル7AA Automatic Wafer Backgrinding Machineのような従来のウエハ研磨システムまたはLogitech社のモデルLP50 Auto Precision Lapping and Polishing Machineなどのダイアモンド・グリット・ラップ研磨システムを用いることによって、15〜25ミルのサファイアウエハを6ミルまでそれぞれ約5分または2時間で薄膜化することができる。厚いGaNエピタキシャル層による応力蓄積が除去され、かつ素子が分離される前にウエハにクラックを生じさせないように確実にするために、いくつかの研磨を行ってもよい。厚いサファイア(15〜17ミル)上のGaNダイオードの熱抵抗は約5.6°C/Wであるが、薄いサファイア(6ミル)上では2°C/W以下である。サファイアの薄膜化によるこのような熱抵抗の大きな低減によって、順方向の伝導モードにおける素子性能は著しく改善される。
【0029】
サファイアよりもIII族窒化物に結晶格子整合が非常に近く、より高い品質のIII族窒化物膜が得られるので、シリコン・カーバイドは先行技術においては好ましいものであった。シリコン・カーバイドは非常に高い熱伝導性も有するので、(サファイア上に形成されたいくつかの素子と同様)シリコン・カーバイド上のIII族窒化物素子の総出力は基板の熱放散によって制限されない。しかし、薄膜化したサファイア上のGaNショットキー・ダイオードはSiCと実質的に同じ熱特性を有する。
【0030】
ダイオード200は基板201上にn+型GaN層202を有し、n+型GaN層202上のn−型GaN層203は少なくとも1018/cmの濃度まで不純物で高純度でドープされるが、好適な濃度はこの量の4〜20倍である。n−型GaN層203はドーピング濃度が低いが、依然としてn−型であり、5×1014〜5×1017/cmの不純物濃度を有することが好ましい。図1Aに示した先行技術の比較的薄い相当する層とは対照的に、n+型GaN層202は厚さ1.0〜6.0μmであることが好ましく、n−型GaN層203は厚さ1.0〜12.0μmであることが好ましい。
【0031】
n−型GaN層203の部分はn+層までエッチダウンされ、n−型GaN層203から電気的に絶縁されるようにオーミック金属コンタクト205がn+型GaN層上のエッチングされた領域に設けられている。別の実施形態では、1つまたは複数のオーミック・コンタクトが、n+型GaN層102で被覆されていない基板の表面上に含まれてよい。この先行技術の実施形態は導電性基板に特に応用可能である。ショットキー金属層204がn+型GaN層202の反対側のn−型GaN層203の上面に付着されている。
【0032】
図2Aは上記の米国特許出願第2003/0062525号に記載されたような別の実施形態の先行技術で知られているようなGaNダイオードの非常に単純化した断面図である。特に、この図は障壁高さの低減による逆電流の増大という問題に対処するショットキー・ダイオード300の一実施形態を示している。ダイオード300は別の場合には基板の表面に含むことのできる同様の基板101、n+型GaN層102、およびオーミック金属コンタクト105を有する上記実施形態と類似している。ダイオード300はn−型GaN層106も有するが、平坦であるn−型GaN層106の代わりに、n−型GaN層106内にトレンチ108を含んだ二次元の2つのトレンチ構造を有する。このトレンチは平行で、等しく離間されており、隣接するトレンチ108の間にはメサ領域107が残っている。各トレンチ108はその側壁および底面を被覆する絶縁層109を有する。多数の種々の絶縁材料が使用されてよく、好適な材料は窒化シリコン(SiN)である。ショットキー金属層110はトテンチ構造全体の上に含まれており、ショットキー金属110とトレンチの側壁および底面との間に絶縁層109を挟み、メサ領域107を被覆している。このメサ領域はショットキー金属110とn−型GaN層106との間に直接的な接触領域を提供する。別の場合には、各トレンチ108は絶縁体以外の金属で被覆され得る。そのような変形例では、ショットキー金属がトレンチ金属から絶縁かつ/または分離される。
【0033】
図2Bは図1BのGaNダイオードの非常に単純化した断面図であり、本発明の範囲にあるメサ型の「指」の幅および間隔の範囲を説明するために本発明の3つの規則的なメサ構造のグループを示している。より具体的には、指203の各々の幅は30〜200μmになるように選択され、指203は5〜150μmだけ離間されている。
【0034】
図3は米国特許出願第2003/0062525号に記載されているような第3の実施形態の先行技術において知られている別のGaNダイオードの非常に単純化した断面図であり、逆電流を低減させるためのトレンチ構造である。上記の図2Aに示したショットキー・ダイオードと同様、トレンチ構造が複数の平行で等しく離間したトレンチに分離しているが、この実施形態では、最上層はAlGaN障壁層111を通り、かつn−型GaN層106を完全に貫通してn+型GaN層102までエッチングされている。同様のメサ領域が隣接するトレンチ間に形成されている。トレンチの側壁および底面は絶縁層109を有し、最上部のショットキー金属層110はトレンチ構造全体を被覆している。このトレンチ構造は上記図2Aに示した実施形態と同様に機能し、逆電流を低減させる。
【0035】
図4Aおよび4Bは、本発明のGaNダイオードの素子のオーミック領域およびショットキー領域とのコンタクトを形成する代替的設計を提供する素子の上部層の第1および第2の実施形態それぞれの平面図である。
【0036】
さらに特には、図4Aは1つのダイに実施されたような本発明の窒化ガリウム半導体素子全体の第1の実施形態の拡大平面図であり、ショットキー402、407およびダイ上のコンタクト領域をワイヤボンディングするオーミック408、409を示している。図4Aに示しA−A面で切ったときの図5Aに示した素子の部分断面図を検証すればわかるように、この素子は平坦な領域401が平坦な領域403よりも高くなった2つの高さのメサ構造として構成されている。
【0037】
図4Aはた線形中央領域420を示しており、これは図4Aに示した素子の描写において垂直に配置され、すべてのメサ構造の指405に共通である。指405は幅が64μmであることが好ましく、中央領域420と垂直に並行して、かつそこから離れて左右両方向に延びている。指405は好適には26μmの距離だけ相互に離間されている。
【0038】
図4Bは単一のダイ上に実施されたような本発明の窒化ガリウム半導体素子全体の第2の実施形態の拡大平面図であり、ダイ上のオーミックワイヤ・ボンディング・コンタクト領域408、409を示しているが、図4Aで用いたアプローチとは異なるショットキー・コンタクトを作製するアプローチを利用している。
【0039】
特に、第2の実施形態では、金属パッド410はメサ構造の指の全部にわたって延在し、ショットキー金属と電気的コンタクトを成している。金属パッド410は比較的狭くて短い素子の指を用いるときにより径の大きいワイヤをショットキーのコンタクト領域にワイヤボンディングする能力を向上させる。さらに、図4Aに示したショットキーがワイヤボンディングされたメサ型のパッド領域を図4Bに示した素子の中央から完全に除去することができる。
【0040】
図5Aは図4AのA−A面で切った本発明のGaNダイオードの詳細な断面図であり、メサ構造をより詳細に示している。
【0041】
上記図2Bのより単純化した描写に示したように、特に、サファイア基板201、該基板上に被着したGaNの高濃度ドープした(n+)層202、および層202の部分の上に被着したGaNの低濃度でドープした(n−)層203を示している。_年_月_日に出願された、関連の米国特許出願第_____号では、所望のドーピングレベルを正しく得るためにドーピングを修正したGaNショットキー・ダイオードのための、低濃度ドープした上部層の使用が記載されている。
【0042】
図5Aの代表図に関連して記載される本発明のいくつかの重要な態様があり、その第1はメサ構造の寸法が最適なことである。これらは素子の両主要層のエピ層厚およびドーピングレベルに基づいている。本発明がメサ構造を使用するという事実を考慮すると、少なくとも2つの電導層が存在する。第1の層は逆方向の動作時に電圧低下を処理する低電導性の層であり、他方、第2の層すなわち底部層は高電導性であり、素子の低い動作電圧が可能であるように順方向の電導を処理する。メサ構造を使用するには、電流が素子にどのように広がるかに関する適した設計が要求される。これは一般に、(メサ構造上のボンディング・パッドにボンディングされたワイヤを介して)外部との接続を提供する主要なメサ構造をおよび素子の平坦な領域にわたって電流を輸送するためのメサ構造内の複数の長くて薄い指を設計することによって達成される。指の長さは入念に設計しなければならない。指形メサ構造が狭いと、電流が指のエッジに集中し、導電性が低減される。指形メサ構造が幅広いと、素子のいくつかの領域は電流輸送に役立たず、導電性も低減される。したがって、指形メサ構造の最適な幅および長さが成長するエピ構造の各々について存在する。指形メサ構造が電流集中効果を克服するための指形メサ構造の幅を決定するために、本発明では複雑なモデルを用いた。この最適な幅は最適な長さと同時に決定されるが、これはこの2つの変数が関連しているためである。この最適な幅は移動度、厚さ、および上部および底部の半導体層の空乏領域の幅に左右される。6μmのn−型GaN層で用いられる値について、本発明は最適な幅は50μmをほんの少し超えるものであると決定した。これは指が50μmより著しく狭い場合、電流集中効果が優勢になって抵抗が上昇することを意味する。したがって、この値は最適な素子レイアウト設計用の下限として用いられる。指の長さは異なった方法で最適化される。指がより長い場合、著しい電圧低下が指の長さに沿って生じるため、駆動力は低減されて抵抗は上昇する。これは指を個々の抵抗の網に変えることによってのみモデル化し、最適化することができる。指が単一の場合、最適な長さは1600μmに非常に近いものになる。この値は素子の所望の総面積に応じて僅かに変動するであろう。図4Bで指のアレイを使用する場合、指の長さは50μmほどに短くなり得る。最後に、n+型GaN層のシート抵抗およびオーミック・コンタクトの低効率によって決定される指の離間距離、26μmであるのが最適である。
【0043】
メサ構造の指および離間距離を設計する際に使用される別の改善法は、オーミック金属がメサ構造の段を覆えるようにすることである。これは基本的にメサ構造のエッジまでオーミック金属を延ばすことによって素子の抵抗を低減させるために行われる。オーミック金属を被着するための領域を整列させることは、オーミック金属はメサ構造を被覆するが、ショットキー金属から依然として数μm(5μmを超える)離れているという事実により、より大きな許容差を有するという事実があるので、素子のロバスト性は増大される。これはオーミック金属とショットキー金属との間で素子が短絡するのを防ぐための適した距離である。メサ構造が非常に高い素子では問題となり得るメサ構造間の素子の領域をすべてオーミック金属によって均一に被覆することも保証される。さらに、エッチングされたメサ構造を金属で被覆して、エッチング面上にアークが生じる可能性が抑えられる。
【0044】
図5Bは図4Aまたは4BのB−B面で切った本発明の第1の実施形態のGaNダイオードの詳細な断面図であり、図5Aに示した製造工程の同じ段階のオーミック・ボンディング金属コンタクトを示している。
【0045】
図5Cは図4Aまたは4BのC−C面で切った本発明の第1の実施形態のGaNダイオードの詳細な断面図であり、図5Aおよび5Bに示した製造工程の同じ段階のショットキー・ボンディング金属コンタクトを示している。
【0046】
図6Aは図4AのA−A面で切った本発明の第1の実施形態のGaNダイオードの詳細な断面図であり、二酸化シリコンまたはポリイミドのパッシベーション層が金属プレート(Al)層の上に塗布された製造工程の次の段階後のメサ構造を示している。この二酸化シリコンは当業界では標準的なスパッタリング、プラズマ強化CVD(PECVD)、またはスピンオンガラスで被着されてよい。ポリイミドは非常に大きな誘電率を有しかつ高電圧で絶縁破壊に抵抗するスピンオンガラスと同様のスピンオン/硬化コーティングである。
【0047】
図6Bは図4のB−B面で切った本発明の第1の実施形態のGaNダイオードの詳細な断面図であり、図6Aのような製造工程の同じ段階のオーミック・ボンディング金属コンタクトを示している。このパッシベーション層はショットキー金属コンタクトを被覆し、次にパッシベーション層をパターン化して活性オーミック金属、すなわちカソードまでコンタクトボンドパッドを露出させる。
【0048】
図6Cは図4のC−C面で切った本発明の第1の実施形態のGaNダイオードの詳細な断面図であり、図6Aおよび6Bのような製造工程の同じ段階のショットキー・ボンディング金属コンタクトを示しており、ボンドパッドはアノード用の活性ショットキー金属に開放されている。
【0049】
図7Aは図4BのA−A面で切った本発明の第2の実施形態のGaNダイオードの詳細な断面図であり、製造工程の次の段階後のメサ構造を示している。この段階では、パッシベーション層は素子に存在する高い電界のアークを防ぐために層構造を完全に被覆している。この保護は長時間にわたって信頼できる素子動作を提供するために必要である。この層はまた、ワイヤボンドが素子上のはっきりと画定された場所に設置され、かつワイヤボンドが素子の動作に干渉しないように、ボンディング・パッド領域を形成することを可能にする。
【0050】
図7Bは図4BのB−B面で切った本発明の第2の実施形態のGaNダイオードの詳細な断面図であり、図7Aのような製造工程の同じ段階のオーミック・ボンディング金属コンタクトを示している。
【0051】
図8Aは図4AのA−A面で切った本発明の第1の実施形態のGaNダイオードの詳細な断面図であり、図7Aの工程の次の製造工程の次の段階後のメサ構造を示している。この製造段階はダイのフリップ・チップ構成用の大きな金属パッド領域を提供するためのものである。この場合、ボンディング・パッドよりも少し大きい金属コンタクトを塗布して、本願明細書と同時出願された米国特許出願「PACKAGE FOR GALLIUM NITRIDE SEMICONDUCTOR DEVICES」に記載されたような大きなはんだ接続またはエポキシ接続を可能にする。
【0052】
図8Bは図4AのB−B面で切った本発明の第1の実施形態のGaNダイオードの詳細な断面図であり、図8Aのような製造工程の同じ段階のショットキー・ボンディング金属コンタクトの被着を示している。
【0053】
2004年9月7日に出願された関連する米国特許出願第10/935000号では、抵抗性保護リングの使用が記載されている。その出願では、保護リングを作製する2つの方法が記載されている。一方は、ショットキー金属およびオーミック金属が保護リングマスクとして働く自己整合保護リングであり、他方はショットキー金属が事前に存在する保護リングに重なるように被着された保護リングである。この2つの技術を適用することができるが、本発明は自己整合工程を用いるが、二重ショットキー工程のために第1の重なりを達成するために次に第2のショットキー金属を被着することによる第3の変形例を教示する。この2つの金属は順方向電流伝導を提供するが、得られる金属構造のエッジ上には高い逆電圧保護を提供するように異なるものであってよい。この二重ショットキー工程は、自己整合保護リングを用いて与えられた整合許容範囲の増大のほかエッジ終端用の高仕事関数金属の柔軟性が加えられるというあらゆる利点を提供する。
【0054】
GaNショットキー・ダイオード製造の従来の工程は注入工程から始まって、続いて、その注入領域上に重なり合う領域を有するようにショットキー・コンタクトが適切に整合されなければならない。これは上記のようなエッジ終端の要件である。しかし、GaNショットキー・ダイオードはサファイア基板上に成長させるのが好ましく、また側方の電流伝導を必要とするので、注入された領域とのショットキー・コンタクトの不整合に対する許容性が制限される。
【0055】
本発明の第2のショットキー金属工程は自己整合注入の利点のすべてを利用する。第2のショットキー・コンタクト・エッジの下側の注入領域は、電界集中効果に起因する高い電界に耐えるためのものである。素子の漏れ電流は第2のショットキー・コンタクトの障壁高さが大きくなるにしたがって指数関数的に低減するので、このアプローチは素子性能に対する別の実質的な利点を有する。しかし、障壁高さの増大は、GaNショットキー素子の動作においては望ましくないフィーチャである順方向のより高い電圧低下も生じさせる。(障壁高さの低い)Ni金属を第1のショットキー金属として用い、高い仕事関数(より高い障壁高さを形成することを意味する)を有するPtを第2のショットキー金属として用いることによって、大半の漏れ電流は電界が集中する金属エッジにおいて発生するので、漏れ電流は低減される。順方向の伝導モードでは、電流伝導はNiショットキー・コンタクトの中央を通り、順方向電圧はショットキー・コンタクト全体がPtである場合の順方向電圧よりも低い。したがって、この二重ショットキー金属アプローチは、素子の逆方向特性を犠牲にすることなく、素子の順方向の性能を改善すると考えられる。
【0056】
本発明の別の態様は図5A〜5Cに示したショットキー・ダイオード金属層204に関連する。素子抵抗を低減させるために、Ti、Al、Agなどの低仕事関数金属がショットキー金属積層体204の上部に使用される。素子が周囲温度の上昇を経験するときに、低仕事関数金属がn−型GaN層表面と接触する場合、この素子の性能は劣化するかもしれない。この問題を解決し、起こり得る劣化からn−型GaN層を保護するために、2つの方法が提唱される。つまり、僅かに大きさの違う2つの別個の金属の被着工程を用いるか、またはショットキー金属積層体の下に誘電体を用いる工程である。
【0057】
図9Aは図9Aの層が同時に付着され、故に同じ大きさである本発明のGaNダイオードのショットキー・コンタクト部分の拡大断面図である。
【0058】
図9Bは本発明のGaNダイオードのショットキー・コンタクト部分の拡大断面図であり、高仕事関数金属の最初のショットキー・コンタクトよりも僅かに大きく被着された低仕事関数金属(この場合はAl)を示している。上記のように、図9Aおよび9Bのコンタクト構成は素子性能を劣化させるかもしれない。
【0059】
図9Cは本発明のGaNダイオードのショットキー・コンタクト部分の拡大断面図である。この場合、保護リングがまずn−型GaN層の表面上に選択的に設けられる。この点では、低仕事関数金属はn−型GaN層に触れないので、素子性能の改善が可能となる。
【0060】
図9Dは本発明GaNダイオードのショットキー・コンタクト部分の拡大図である。この場合、損傷または汚染から活性素子表面を保護するために、パッシベーション層がまずn−型GaN層およびn+型GaN層の表面上に選択的に設けられる。これは一般にフィールド・プレート設計と呼ばれる。この点では、低仕事関数金属はn−型GaN層に触れないので、素子性能の改善が可能となる。
【0061】
NiおよびPtなどの高仕事関数金属が、GaNショットキー・ダイオードではショットキー・コンタクト金属として好ましいが、Au、Co、Pd、Mo、Cr、Rh,Re、PtSi、およびNiSiなどの他の高仕事関数金属および珪化物が使用されてもよい。(4アンペアを超える)高い電流を順方向の伝導モードで伝導するには、ある最大の厚さのショットキー金属が必要である。しかし、NiおよびPtは高耐熱金属であるので、NiまたはPtの厚い層を電子ビーム蒸着法によって被着することは実用的ではない。単純で効果的な解決法は、複数の金属積層体を用いることであり、まずショットキー金属(Niが好ましい)を、次に障壁金属(PtまたはAuが好ましい)を、最後に高伝導性金属(Alが好ましい)を被着させることを含む。Alは以下の利点を有するので、この高伝導性金属の即座の選択である:1)Alの電気抵抗は非常に低い、2)Alはパッケージ要件に適合する、および3)Alの被着は容易で費用効果が高い。この多数の金属積層体アプローチの唯一の欠点は、上記金属が同時に被着される場合、ダイオード性能が温度上昇とともに劣化するということである。GaNショットキーは性能が永久的に劣化することなく温度が上昇(175℃〜300℃もの高さ)する下で動作しなくてはならないので、これは素子動作の重大な欠陥モードを引き起こす。実際、図5AのGaNの上部に形成されたショットキー金属積層体は、大きさが僅かに異なる2段階の被着で形成され得る。多数の金属積層体の好適な実施形態では、Ni/Auが第1の金属積層体として2000Å/10000Åの厚さで被着され、Ni/Ti/Alが第2の積層体として2000Å/500Å/32000Åの厚さで被着される。NiまたはTiの代わりにPtが使用されてもよいが、より厚い層のPtを被着することはさらに困難であるので好ましくない。
【0062】
図9Dは本発明のGaNダイオードのショットキー・コンタクト部分の拡大断面図である。この場合、パッシベーション層をまずn−型GaNメサ構造およびn+GaN表面の上に完全に被着する。次に、n−型GaNメサ構造およびn+GaN表面とのコンタクトとして開口部を設け、オーミック・コンタクト層およびショットキー・コンタクト層が上記のようにして被着される。また図9Cのように、低仕事関数金属はn−型GaN層に触れないので、素子性能の改善が可能となる。
【0063】
多数のショットキー金属積層体を被着する前の二酸化シリコン、窒化シリコン、または酸化アルミなどの誘電体膜の使用を図9Dに示している。この場合、第1のショットキー金属層だけがn−型GaN層表面と接する。Alはある厚さの誘電体の層によってGaN表面から分離される。実験結果は、300℃の周囲温度の下で試験を行ってもGaNショットキー素子性能は劣化しないことを示している。このアプローチにより、われわれはこの単純で費用効果の高い多数の金属積層体をショットキー・コンタクトとして適用することができる。この誘電体層の使用はショットキー・ダイオード用のフィールド・プレートとして考慮され、単独で、または保護リングと共に使用するときに素子性能を改善することもできる。この誘電体層の厚さを変えることによって、ショットキー金属のエッジ上の高い電界を低減することができる。
【0064】
本発明のさらに別の態様は、GaNショットキー・ダイオードの上部層として別の材料を使用することに関する。
【0065】
大半の窒化物ベースのショットキー・ダイオードはGaNベースの素子である。このような素子では、ショットキー金属コンタクトはGaN構造のあるGaN表面に形成され、オーミック金属コンタクトはGaN素子の別の層に形成される。典型的には、ショットキー・コンタクトは低濃度ドープのn−型層に形成され、オーミック・コンタクトは高濃度ドープのn+GaN層に形成される。
【0066】
本発明はショットキー・コンタクトが形成されるGaN上部層の代わりか、またはそれに加えてAlGaN上部層を有するショットキー・ダイオードを提供する。本開示で用いられるように、「AlGaN半導体層」という用語は化学式AlGa(1−x)Nによる化合物半導体材料を意味する。この式でxは0〜1であり、0および1を含む。このAlGaN層はドープされなくてよいか、または1×1014〜2×1016/cmのドーピング濃度でn−型にドープされてよい。
【0067】
金属−ドープ半導体接合の整流特性は、接触する金属層および半導体ボディの個々の仕事関数の差および半導体の表面状態に基づく差に基づいた接触電位差から生じる。素子が逆方向にバイアスされると、少量の漏れ電流が逆方向に流れる。この逆バイアス電圧が十分に高くなると、高い電界の集中が大きくなり、素子に雪崩崩壊が起こるかもしれない。
【0068】
ダイオード構造にAlGaN層を利用すれば、GaNダイオードと比べて高い降伏電圧になると想定することができる。AlGaNの正確な降伏電圧は、GaN材料について算出したように、イオン化係数の式を用いて算出することができる。T.P.Chowにより示唆された良好な近似は、臨界電界がバンド・ギャップの二乗に従って大きくなるということである。この近似およびベガードの法則を用いて、定められたAl濃度に対する臨界電界を推定することができる。
crAlGaN=(EAlGaN/EcrGaN
【0069】
現在、AlGaNショットキー・ダイオードは側方導電素子である。この発明では、AlGaN構造はメサ構造の上に存在する。メサ構造では、少なくとも1つの下部コンタクト面を半導体ボディ内に定めかつメサ構造がさらなる表面から上方に突出する少なくとも1つのメサ構造を定めるために金属コンタクトを形成する前に、半導体層の少なくとも1つの領域をパターン化し、エッチングしてよい。典型的には、この下面はオーミック・コンタクトの場所であるが、上面はショットキー・コンタクトの場所である。
【0070】
上記要素の各々または2つ以上の要素は共に、上記タイプとは異なる他のタイプの構成に有用な用途があってもよいことが理解されよう。
【0071】
窒化ガリウム半導体素子として具現化したように本発明を説明および記載してきたが、本発明の精神から決して逸脱することなく種々の変形および構造的変更がなされてよいので、本発明は記載の詳細に限定されるものではない。
【0072】
これ以上分析しなくても、上記説明は本発明の趣旨を十分に明白にしているので、現在の知識を用いれば、先行技術の観点で、この発明の一般的および特定の態様の基本的特徴を適性に構成するフィーチャを省くことなく本発明を種々の用途に容易に適合することができ、そのような適合は添付の特許請求の範囲に同等の範囲での意味内に理解されるべきであり、理解されることを意図している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
窒化ガリウムベースの半導体ダイオードであって、
基板と、
前記基板の上に配設された1〜6μmの厚さを有するn+型ドープGaN層と、
前記n+型ドープGaN層上に配設された1μmを超える厚さを有するn−型ドープGaN層と、
前記n−型ドープGaN層のメサ構造の指領域の上に配設され、かつそれとのショットキー接合を形成する金属層と、前記n−型ドープGaN層のメサ構造の指領域とショットキー接合を形成する前記金属層に電流を伝導するために配設された相対的に高伝導の金属層とを含む金属積層体とを含み、
前記n−型ドープGaN層は、一続きの平行の細長いメサ構造の指領域内にパターン化され、
前記相対的に高伝導の金属層は、前記ショットキー接合を形成する前記金属層よりも薄い窒化ガリウムベースの半導体ダイオード。
【請求項2】
前記金属積層体は、前記ショットキー接合を形成する前記金属層と前記相対的に高伝導の金属層との間に配設される障壁金属層をさらに含む請求項1に記載のダイオード。
【請求項3】
前記障壁金属層は、PtまたはAuを含む請求項1に記載のダイオード。
【請求項4】
前記n−型ドープGaN層は、1.0〜12.0μmの厚さを有する請求項1に記載のダイオード。
【請求項5】
前記基板は、15ミル未満の厚さを有するサファイア基板である請求項1に記載のダイオード。
【請求項6】
前記細長いメサ構造の指領域は、30〜200μmの幅を有し、前記細長いメサ構造の指領域は、5〜150μmで離間される請求項1に記載のダイオード。
【請求項7】
前記細長いメサ構造の指領域は、50μmの長さを有する請求項6に記載のダイオード。
【請求項8】
前記ショットキー接合を形成する前記金属層は、Ni、Pt、Au、Co、Pd、Mo、Cr、Rh、Re、PtSi、およびNiSiから成るグループから選択された金属の1つを含む請求項に記載のダイオード。
【請求項9】
前記相対的に高伝導の金属層は、Alを含む請求項に記載のダイオード。
【請求項10】
前記n+型ドープGaN層は少なくとも1018/cmの濃度まで不純物でドープされた請求項に記載のダイオード
【請求項11】
前記n−型ドープGaN層は5×1014〜5×1017/cmの範囲の濃度まで不純物でドープされた請求項に記載のダイオード。
【請求項12】
前記n+型層の一部の上に配設されかつ前記ダイオードのコンタクト・ボンディング面を形成するように、前記n+型GaN層上にオーミック・コンタクトをなす金属層をさらに含む請求項に記載のダイオード。
【請求項13】
その活性面をダイ設置面に向けた状態で前記ダイオードをパッケージングできるように、前記金属層は前記ダイオードの一端子用のフリップ・チップ結合面を形成する請求項12に記載のダイオード。
【請求項14】
前記細長い指領域は、共通の中央領域から両反対方向に直角に延びる請求項に記載のダイオード。
【請求項15】
前記n−型層と前記金属層との間に被着されたAlGaN層をさらに含む請求項1に記載のダイオード。
【請求項16】
前記ダイオードのコンタクト・ボンディング面を形成するように、前記金属層の上に被着されかつ前記指領域の各々の上に延びるコンタクト層をさらに含む請求項1に記載のダイオード。
【請求項17】
前記コンタクト層は、アルミニウム・コンタクト層を含む請求項16に記載のダイオード。
【請求項18】
コンタクト層とn−型ドープGaN層との間の接触を防ぐために、前記n−型ドープGaN層の上のパターン化した誘電体層をさらに含む請求項16に記載のダイオード。
【請求項19】
その活性面をダイ設置面に向けた状態で前記ダイオードをパッケージングできるように、前記コンタクト層は前記ダイオードの一端子用のフリップ・チップ結合面を形成する請求項16に記載のダイオード。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図9D】
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【公開番号】特開2012−195618(P2012−195618A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−158334(P2012−158334)
【出願日】平成24年7月17日(2012.7.17)
【分割の表示】特願2006−1122(P2006−1122)の分割
【原出願日】平成18年1月6日(2006.1.6)
【出願人】(506006681)ヴェロックス セミコンダクター コーポレーション (8)
【Fターム(参考)】