立体表示装置
【課題】
広角の投射レンズを用いずに広い観察領域を確保することが可能な立体表示装置を提供する。
【解決手段】
プロジェクタ61〜65のうちプロジェクタ61及びプロジェクタ65は、それぞれの光軸Kが垂直拡散スクリーン10の光入射面10aに直交する光軸方向(図2に示すX方向)に平行でありかつ水平方向(図2に示すY方向)に垂直拡散スクリーン10の外側に位置するように設けられている。つまり、プロジェクタ61及びプロジェクタ65からの光線がθ>tan−1(W/D)を満たす。このため、プロジェクタ61からの出射光L1が垂直拡散スクリーン10に入射する入射角度θをtan−1(W/D)より大きくし、光軸Kに対する垂直拡散光L2の出射角度φを大きくすることができる。この結果、広角の投射レンズを用いることなく、立体画像表示装置1の一部観察領域R1を拡大することができる。
広角の投射レンズを用いずに広い観察領域を確保することが可能な立体表示装置を提供する。
【解決手段】
プロジェクタ61〜65のうちプロジェクタ61及びプロジェクタ65は、それぞれの光軸Kが垂直拡散スクリーン10の光入射面10aに直交する光軸方向(図2に示すX方向)に平行でありかつ水平方向(図2に示すY方向)に垂直拡散スクリーン10の外側に位置するように設けられている。つまり、プロジェクタ61及びプロジェクタ65からの光線がθ>tan−1(W/D)を満たす。このため、プロジェクタ61からの出射光L1が垂直拡散スクリーン10に入射する入射角度θをtan−1(W/D)より大きくし、光軸Kに対する垂直拡散光L2の出射角度φを大きくすることができる。この結果、広角の投射レンズを用いることなく、立体画像表示装置1の一部観察領域R1を拡大することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特殊な眼鏡を着用することなく、立体表示を可能とする立体表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
立体映像を表示する装置として、偏光眼鏡などを用いることで、左右の眼に対する視差を生じさせるものが存在する。近年、このような偏光眼鏡などを用いずに、立体表示を可能とする技術が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、複数のプロジェクタを用いた立体表示装置が開示されている。この立体表示装置は、立体像の表面から出射される光線を複数のプロジェクタにより再生するものである。このような立体表示装置では、例えば水平方向に配設された複数のプロジェクタとスクリーンとを備える。スクリーンは、立体像を再現するために、プロジェクタから投影された光を拡散する。具体的には、スクリーンは、フレネルレンズと拡散層とを有し、この拡散層は、垂直方向に大きな拡散効果を有し水平方向には大きな拡散効果を有さない。
【0004】
このような立体表示装置は、例えばこれらの複数のプロジェクタから出射される複数の光線により立体像を再現する。このため、特殊な眼鏡を用いずに立体視が可能であり、自然な映像表現に適しているという特徴がある。
【0005】
また、特許文献2には、プロジェクタより出射されながらもスクリーンに到達しない光をミラーで反射させてスクリーンに到達させることで、観察者が観察することが可能な領域を拡大する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−288616号公報(段落[0067]、図5)
【特許文献2】特開2007−187754(図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した技術では、スクリーンの拡散層は、水平方向には大きな拡散効果を有さないため、プロジェクタから出射された光線は、フレネルレンズに入射し、屈折し、拡散層に入射するが、拡散層では水平方向にはあまり拡散されずに進む。この結果、投射レンズの画角の外側にいる観察者の眼に光が到達せず、観察者がスクリーンの少なくとも一部を観察できる領域である一部観察領域が狭くなる、という問題がある。また、一部観察領域が小さくなることに伴い全面観察領域も小さくなる、という問題がある。全面観察領域とは、スクリーンの全面から観察者の眼に光が到達する領域のことである。
【0008】
また、特許文献2の技術を用いた場合も、画角の比較的大きな投射レンズを用いない限り、一部観察領域及び全面観察領域を広げることができない。
【0009】
しかし、広角の投射レンズを得るには、レンズ枚数を増やしたり、大型のレンズを用いたりする必要がある等、個々のプロジェクタの大型化を招くことがある。また、プロジェクタ台数を増やして、光線数を増やすことが高画質の立体像の再生のために必要であるが、個々のプロジェクタの大型化によりプロジェクタの台数を増やすことが困難となり、高画質の立体像の再生することは難しい。
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、広角の投射レンズを用いずに広い観察領域を確保することが可能な立体表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る立体表示装置は、複数のプロジェクタと、スクリーンとを有する。
上記複数のプロジェクタは、入射光を空間光変調する空間光変調素子と前記空間変調素子からの光を投射する投射レンズとをそれぞれ有する。上記スクリーンは、上記プロジェクタから投射された光が入射する光入射面を有し、入射光を水平方向より垂直方向に大きく拡散する。
上記複数のプロジェクタは、上記スクリーンの光入射面から上記光軸方向にそれぞれ等距離の位置に、それぞれの上記投射レンズの光軸方向を上記光入射面に直交する方向に一致させて配設され、上記スクリーンの水平方向の幅をW、上記プロジェクタと上記スクリーンとの間の上記光軸方向の間隔である投影奥行きをD、水平面における上記プロジェクタからの光線の上記スクリーンへの入射角度をθとしたときに、少なくとも1個の上記プロジェクタからの光線がθ>tan−1(W/D)を満たす。
【0011】
本発明では、少なくとも1個の上記プロジェクタからの光線がθ>tan−1(W/D)を満たすように、プロジェクタが配置されているので、少なくとも1個のプロジェクタからの光線のスクリーンに対する入射角度をθ>tan−1(W/D)とすることができ、広角の投射レンズを用いずに観察領域を拡大することができる。
【0012】
少なくとも1個の上記プロジェクタは、該プロジェクタの投射レンズの光軸が上記スクリーンの上記水平方向外側に位置するように設けられているようにしてもよい。これにより、この少なくとも1個のプロジェクタからの光線のスクリーンに対する入射角度を大きくすることができ、スクリーンで拡散される光の観察領域を拡大することができる。
【0013】
上記水平方向で両端に配置されたプロジェクタは、それぞれのプロジェクタの投射レンズの光軸が上記スクリーンの上記水平方向外側に位置するように設けられているようにしてもよい。
これにより、水平方向にバランスよく一部観察領域を拡大することができる。
【0014】
上記スクリーンは、上記光軸方向で上記光入射面側に設けられたフレネルレンズを有するようにしてもよい。
これにより、プロジェクタからの光線をフレネルレンズにより屈折し、この屈折した光線を垂直方向に拡散することができる。つまり、フレネルレンズにより、(全面)観察領域を変更することができる。
【0015】
θ>tan−1(W/D)を満たす光線を投射する上記プロジェクタの上記空間光変調素子は、該空間光変調素子の表示領域の中心が該プロジェクタの投射レンズの光軸に対して水平方向に偏芯するように配置されているようにしてもよい。
これにより、空間光変調素子により変調された光を投射レンズに対して斜めに入射することができ、この結果、観察領域を大きくすることができる。
【発明の効果】
【0016】
このように本発明によれば、広角の投射レンズを用いずに広い観察領域を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態に係る立体画像表示装置の斜視図である。
【図2】図1に示す立体画像表示装置の平面図である。
【図3】図2に示す立体画像表示装置の側面図である。
【図4】立体画像表示装置の垂直拡散スクリーンの水平方向及び垂直方向の拡散特性を示す図である。
【図5】立体画像表示装置の立体視の原理を説明する模式図である。
【図6】図1に示す立体画像表示装置を用いた一部観察領域を示す平面図である。
【図7】図1に示す立体画像表示装置を用いた全面観察領域を示す平面図である。
【図8】本発明に係る第2の実施の形態の立体画像表示装置の構成及び一部観察領域を示す平面図である。
【図9】図8に示す立体画像表示装置の構成及び全面観察領域を示す平面図である。
【図10】本発明に係る第3の実施の形態の立体画像表示装置の構成を示す平面図である。
【図11】従来の立体画像表示装置の一部観察領域を示す平面図である。
【図12】従来の立体画像表示装置の全面観察領域を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
<第1の実施の形態>
[立体画像表示装置の構成]
【0019】
図1は本発明の一実施形態に係る立体画像表示装置の斜視図、図2は図1に示す立体画像表示装置の平面図、図3は図2に示す立体画像表示装置の側面図である。
【0020】
立体画像表示装置1は、光線再生法を用いて立体画像の表示を行う装置である。立体画像表示装置1は、ベース2と、ベース2の上に設けられた基板保持部3と、プロジェクタベース4と、スクリーン枠5と、プロジェクタ61〜65と、基板7と、側面部8、垂直拡散スクリーン10と、図示しない冷却ファンなどで構成される。
【0021】
プロジェクタ61〜65は、プロジェクタベース4に水平方向(図1及び図2のY方向)に複数配設されている。基板7は、基板保持部3に保持され、プロジェクタ61〜65を駆動及び制御する回路が実装されている。側面部8は、プロジェクタ61〜65から投射された光が立体画像表示装置1の外部に漏れることを防止すると共に、投射された光を反射する。垂直拡散スクリーン10は、スクリーン枠5に保持され、プロジェクタ61〜65から投射される複数の画像光をそれぞれ垂直方向(Z方向)に拡散して、水平方向(Y方向)に連続的な視点の画像が投影される。
【0022】
光線再生法では、画像を撮像するときに複数のカメラが用いられ、そのカメラごとに担当する撮像範囲が設定され、各カメラによって撮像されたそれぞれ視差のある画像が用意される。そして、撮像位置から計算される画素ごとの変換マトリックスに従って、撮像画像から変換をおこなって投影画像が得られる。これにより得られたそれぞれの投影画像が合成されることで1つの立体画像が生成される。本実施の形態では、その複数のカメラによって撮像された個々の画像からの変換によって得られた投影画像がプロジェクタ61〜65から垂直拡散スクリーン10に向けて投射され、垂直拡散スクリーン10でそれぞれ垂直方向に長い縦ラインの画像の連続として投影されるようになっている。
【0023】
[プロジェクタ61〜65]
プロジェクタ61〜65は、図2及び図3に示すように、垂直拡散スクリーン10に対してそれぞれ画像(映像)を投影する。プロジェクタ61〜65は、投射光の出射面がほぼ一平面(YZ平面)に揃うように水平方向(図1及び図2のY方向)にそれぞれ配列されている。また、それぞれのプロジェクタ61〜65の垂直拡散スクリーン10に対する、投射レンズの光軸方向(K方向)の距離はそれぞれ同一とされている。ここで、投射レンズの光軸方向(K方向)はX方向と同一であり、垂直拡散スクリーン10の光入射面10aに直交する方向である。そしてプロジェクタ61〜65は、図1及び図2に示すように垂直方向(Z方向)において同じ高さ位置に配置されている。
【0024】
プロジェクタ61〜65のうち両端のプロジェクタ61及びプロジェクタ65は、それぞれの光軸Kが水平方向(図2に示すY方向)において垂直拡散スクリーン10の外側に位置するように配置されている。
【0025】
つまり、θ>tan−1(W/D)を満たすように両端のプロジェクタ61及びプロジェクタ65の位置が決められている。ここで、Wは、垂直拡散スクリーン10の水平方向(図2に示すY方向)の幅である。Dは、プロジェクタ61〜65と垂直拡散スクリーン10との間の光軸方向(X方向)の間隔である投影奥行きである。より具体的には、Dは、垂直拡散スクリーン10と、プロジェクタ内の投射レンズの中心との間の光軸方向(X方向)の間隔である。θは、個々のプロジェクタ61、65から垂直拡散スクリーン10への光線の水平面(XY平面)における入射角度である。
【0026】
プロジェクタ61〜65のうち水平方向中央のプロジェクタ63の投射レンズの光軸Kと垂直拡散スクリーン10の中心との水平方向での位置は略一致している。これに対して、その他のプロジェクタ61,62,64,65の投射レンズの光軸Kと垂直拡散スクリーン10の中心との水平方向での位置は一致していない。そこで、これらの中央以外のプロジェクタ61,62,64,65からそれぞれ投影される画像が垂直拡散スクリーン10の光入射面10aで位置が一致するように、それぞれの投影画像の水平方向での位置がシフトされている。この投影画像のシフトについては、後で一例を示す。
【0027】
プロジェクタ61〜65は、それぞれ光源、空間光変調素子、投射レンズ及び照明光学系を内蔵しており、プロジェクタ61〜65はそれぞれ独立した投射装置として機能する。但し、空間光変調素子が自ら発光するEL(electroluminescence)素子などの場合は光源及び照明光学系を備えなくてもよい。光源は、例えば白色光を出射する白色光源モジュールであり、具体的には青色LEDと黄色蛍光体からなる白色発光体などが用いられている。空間光変調素子は、光源から入射した青、緑、赤ごとの光を変調して画像光を生成する。個々のプロジェクタ61〜65から所定の画像が表示されるように、基板7に実装された回路によって、空間光変調素子への画像データの供給が制御される。空間光変調素子には、例えば反射型の液晶素子が用いられる。なお、空間光変調素子としては、反射型の液晶表示素子の他に、透過型の液晶表示素子、DMD(Digital Micro-mirror Device)を備えたDLP(登録商標 Digital Light Processing)のように、印加画像(映像)信号に従って、画素ごとに光強度変調を行うもの等を用いることもできる。
【0028】
[垂直拡散スクリーン10]
垂直拡散スクリーン10は、プロジェクタ61〜65が配設されたYZ平面に平行に設けられている。垂直拡散スクリーン10は、垂直拡散スクリーン10の水平方向の幅はWである。垂直拡散スクリーン10は、プロジェクタ61〜65からの入射光を水平方向及び垂直方向にそれぞれ所定の拡散角で拡散する。
【0029】
図4は垂直拡散スクリーン10の水平方向及び垂直方向の拡散特性を示す図である。
垂直拡散スクリーン10は、入射光を水平方向と垂直方向とに異なる所定の拡散角(拡散量)で拡散する。ここで、水平方向と垂直方向それぞれの拡散角は、水平方向の拡散角が垂直方向の拡散角に対して小さい値に設定されている。より具体的には、プロジェクタ61〜65からの入射光を水平方向(Y方向)にはあまり拡散せずに(図4(a))、垂直方向(Z方向)に大きく拡散する(図4(b))ように、水平方向と垂直方向それぞれの拡散角が決められている。
【0030】
ここで、図4(a)に示すように、垂直拡散スクリーン10に入射した光線11は、水平方向(Y方向)にはあまり拡散されない。このため、全てのプロジェクタ61〜65のうちの一部のプロジェクタからの投影画像の光線が垂直拡散スクリーン10を通して観察者の眼に到達する。
【0031】
一方、図4(b)に示すように、垂直拡散スクリーン10に入射した光線11は、垂直方向(Z方向)に大きく拡散する。このため、例えば垂直拡散スクリーン10の光入射面上部または光入射面下部に投影された光線11は、垂直拡散スクリーン10により垂直方向(Z方向)に大きく拡散して垂直拡散スクリーン10からの光線13の出射角度が変わり、拡散後の光線13が観察者の眼に入射する。
【0032】
図5は立体画像表示装置1の立体視の原理を説明する模式図である。
観察者16は、プロジェクタ61〜65から出射された光を垂直拡散スクリーン10を通して観察する。具体的には、表示しようとする立体像15の表面から出射される光線が、観察者16の左眼17と、右眼18に入射すれば、観察者16は、立体像15を立体視することができる。図5では、プロジェクタ62から出射した光は、垂直拡散スクリーン10ではほぼ直進し、左眼17に入射し、プロジェクタ63から出射した光は、垂直拡散スクリーン10ではほぼ直進し、右眼18に入射する。このように、表示しようとする立体像15を、プロジェクタ61〜65の光線に対応させることで、裸眼での立体表示を可能とする。
【0033】
[一部観察領域]
図6は図1に示す立体画像表示装置1を用いた一部観察領域を示す平面図である。
各プロジェクタ61〜65からの出射光は、垂直拡散スクリーン10で垂直方向にそれぞれ拡散され、垂直拡散スクリーン10から垂直拡散光として出射される。ここで各プロジェクタ61〜65のうち水平方向の一端に配置されたプロジェクタ61の出射光L1は、光軸Kに対して入射角度θ(>tan−1(W/D))で垂直拡散スクリーン10に入射する。このため、垂直拡散光L2は、垂直拡散スクリーン10から出射角度(屈折角度)φで出射される。この出射角度φは、光軸Kに対してtan−1(W/D)以下の入射角度で垂直拡散スクリーン10に入射した光の出射角度に比べて大きくなる。
【0034】
同様に、プロジェクタ65からの出射光L3は、光軸Kに対して入射角度θ(>tan−1(W/D))で垂直拡散スクリーン10に入射する。このため、垂直拡散光L4は、垂直拡散スクリーン10から出射角度φで出射される。この出射角度φは、光軸Kに対してtan−1(W/D)以下の入射角度で垂直拡散スクリーン10に入射した光の出射角度に比べて大きくなる。
この結果、プロジェクタ61〜65から出射された光線により、図6において斜線で示す一部観察領域R1が生成される。
【0035】
図7は図1に示す立体画像表示装置1を用いた全面観察領域を示す平面図である。
プロジェクタ61から出射された出射光L5は、垂直拡散スクリーン10で水平方向にはあまり拡散されず垂直方向に拡散され、垂直拡散スクリーン10から垂直拡散光L6として出射される。垂直拡散光L6は、水平方向において垂直拡散光L5に対してほぼ直進する。
【0036】
同様に、プロジェクタ65から出射された出射光L7は、垂直拡散スクリーン10で水平方向にはあまり拡散されず垂直方向に拡散され、垂直拡散スクリーン10から垂直拡散光L8として出射される。垂直拡散光L8は、水平方向において垂直拡散光L7に対してほぼ直進する。
この結果、プロジェクタ61〜65から出射された光線により、図7において斜線で示す全面観察領域R2が生成される。
【0037】
[作用等]
このように本実施形態によれば、プロジェクタ61〜65のうちプロジェクタ61及びプロジェクタ65は、それぞれの光軸Kが垂直拡散スクリーン10の光入射面10aに直交する光軸方向(図2に示すX方向)に平行でありかつ水平方向(図2に示すY方向)に垂直拡散スクリーン10の外側に位置するように設けられている。つまり、プロジェクタ61及びプロジェクタ65からの光線がθ>tan−1(W/D)を満たす。このため、プロジェクタ61からの出射光L1が垂直拡散スクリーン10に入射する入射角度θをtan−1(W/D)より大きくし、光軸Kに対する垂直拡散光L2の出射角度φを大きくすることができる。この結果、広角の投射レンズを用いることなく、立体画像表示装置1の一部観察領域R1を拡大することができる。
【0038】
図11は従来の立体画像表示装置の一部観察領域を示す平面図である。
図11に示すように従来の立体画像表示装置300は、複数のプロジェクタ301,302及び303と、これらのプロジェクタ301〜303からの入射光を垂直拡散する垂直拡散スクリーン304とを備える。プロジェクタ301及び303は、それぞれの光軸が垂直拡散スクリーン304の水平方向の外側に位置するように設けられていない。
【0039】
垂直拡散スクリーン304は、フレネルレンズ305と拡散層306とを備える。この拡散層306は、垂直方向に大きな拡散効果を有し水平方向にはあまり拡散効果を有さない。このため、プロジェクタ301〜303から出射された光線は、フレネルレンズ305に入射し、屈折し、拡散層306に入射するが、拡散層306では水平方向にはあまり拡散されずに進む。この結果、投射レンズの画角の外側にいる観察者に光が到達せず、一部観察領域R3が狭くなる。
【0040】
図11に斜線で示す一部観察領域R3と、図6に斜線で示す本実施形態の一部観察領域R1とを比較すると、一部観察領域R1が拡大しており、観察者が広い領域で画像を観察できるという点で有利である。
【0041】
<第2の実施の形態>
次に、本発明に係る第2の実施の形態の立体画像表示装置について説明する。なお、本実施形態以降では、上記第1の実施形態と同一の構成部材には同一の符号を付しそれらの説明を省略し、異なる箇所を中心的に説明する。
[立体画像表示装置の構成]
図8は本発明に係る第2の実施の形態の立体画像表示装置の構成及び一部観察領域を示し平面図である。
本実施形態の立体画像表示装置100は、上記第1の実施形態の垂直拡散スクリーン10の代わりに垂直拡散スクリーン101を備える点が異なる。
【0042】
垂直拡散スクリーン101は、フレネルレンズ102と、拡散板103とを備える。拡散板103は、第1の実施形態の垂直拡散スクリーン10と同様の拡散特性を有する拡散板である。フレネルレンズ102は、拡散板103のプロジェクタ61側に積層されている。
【0043】
[一部観察領域R4]
各プロジェクタ61〜65からの出射光は、フレネルレンズ102に入射し、フレネルレンズ102で屈折する。 垂直拡散スクリーン10で垂直方向にそれぞれ拡散され、垂直拡散スクリーン10から垂直拡散光として出射される。フレネルレンズ102で屈折した光は、拡散板103に入射し拡散板103により垂直方向に拡散されて拡散板103から垂直拡散光として出射される。このとき、プロジェクタ61の出射光L1は、光軸Kに対して入射角度θ(>tan−1(W/D))でフレネルレンズ102に入射する。このため、垂直拡散光L10は、垂直拡散スクリーン10から出射角度(屈折角度)φで出射される。
【0044】
同様に、プロジェクタ65からの出射光L3は、光軸Kに対して入射角度θ(>tan−1(W/D))でフレネルレンズ102に入射する。このため、垂直拡散光L11は、垂直拡散スクリーン10から出射角度(屈折角度)φで出射される。
この結果、プロジェクタ61〜65から出射された光線により、図8において斜線で示す一部観察領域R4が生成される。
【0045】
図9は立体画像表示装置100の全面観察領域を示す平面図である。
[全面観察領域R5]
プロジェクタ61から出射された出射光L5は、フレネルレンズ102に入射し、フレネルレンズ102で屈折する。フレネルレンズ102で屈折した光は、拡散板103に入射し拡散板103により垂直方向に拡散して拡散板103から垂直拡散光L12として出射される。このとき、垂直拡散光L12の拡散板103からの出射角度φが、フレネルレンズ102を備えない場合に比べて大きくなる。
【0046】
同様に、プロジェクタ65からの出射光L7は、フレネルレンズ102で屈折する。フレネルレンズ102で屈折した光は、拡散板103に入射し拡散板103により垂直方向に拡散して拡散板103から垂直拡散光L13として出射される。このとき、垂直拡散光L13の拡散板103からの出射角度φが、フレネルレンズ102を備えない場合に比べて大きくなる。
【0047】
この結果、プロジェクタ61〜65から出射された光線により、図9において斜線で示す全面観察領域R5が生成される。全面観察領域R5は、図7に示す全面観察領域R2に比べて大きい。
【0048】
[作用等]
このように本実施形態によれば、立体画像表示装置100の垂直拡散スクリーン101が、フレネルレンズ102を垂直拡散スクリーン101のプロジェクタ61〜65側に備えている。このため、プロジェクタ61〜65からの出射光をフレネルレンズ102により屈折して拡散板103に入射させることができる。具体的には、プロジェクタ61からの出射光L5をフレネルレンズ102により屈折し、拡散板103により垂直拡散し、垂直拡散スクリーン101からの出射光L12の水平方向の出射角度φを大きくすることができる。また、プロジェクタ65からの出射光L7をフレネルレンズ102により屈折し、拡散板103により垂直拡散し、垂直拡散スクリーン101からの出射光L13の水平方向の出射角度φを大きくすることができる。この結果、図9に斜線で示す全面観察領域R5を大きくすることができる。つまり、第2の実施形態では、図8に示すように一部観察領域R4を大きくしつつ図9に示すように全面観察領域R5を大きくすることができる。
【0049】
図12は図11に示す従来の立体画像表示装置300の全面観察領域を示す平面図である。
立体画像表示装置300の垂直拡散スクリーン304の全面から観察者に光が到達する領域が、図12に斜線で示す全面観察領域R6である。上述したように図11に示す一部観察領域R3が小さい場合には、図12に示す全面観察領域R6も小さくなる。
【0050】
図12に示す全面観察領域R6と、第2の実施形態の図9に示す全面観察領域R5とを比較すると、全面観察領域R5が拡大しており、観察者が広い領域で画像を観察することができるという点で有利である。
また、フレネルレンズ102の焦点距離により、一部観察領域の範囲及び全面観察領域の範囲(例えば出射角度φ)をコントロールすることができる。
【0051】
<第3の実施形態>
次に、本発明に係る第3の実施の形態の立体画像表示装置について説明する。
図10は第3の実施の形態の立体画像表示装置の構成を示す平面図である。
上述した第1の実施形態及び第2の実施形態では、上述した投影画像のシフトの具体例を示す。
【0052】
[プロジェクタ61〜65の構成]
プロジェクタ61には、空間光変調素子61Aと、投射レンズ61Bとが内蔵されている。プロジェクタ62〜65についても同様にそれぞれ空間光変調素子と投射レンズとが内蔵されている。
投射レンズ61B,62B,63B,64B,65Bは、それぞれの光軸Kが垂直拡散スクリーン10の光入射面10aに直交するように配設されている。
【0053】
空間光変調素子61Aは、投射レンズ61Bの光軸Kに対して空間光変調素子61Aの表示領域の中心が水平方向に偏芯量S1だけ偏芯(シフト)するように配置されている。空間光変調素子62Aは、投射レンズ62Bの光軸Kに対して空間光変調素子62Aの表示領域の中心が水平方向に偏芯量S2だけ偏芯するように配置されている。同様に、空間光変調素子65Aは、投射レンズ65Bの光軸Kに対して空間光変調素子65Aの表示領域の中心が偏芯量S1だけ偏芯するように配置されている。投射レンズ65Bに対して空間光変調素子65Aがシフトする向きは、投射レンズ61Bに対して空間光変調素子61Aがシフトする向きとは反対向きである。同様に、空間光変調素子64Aは、投射レンズ64Bの光軸Kに対して空間光変調素子64Aの表示領域の中心が偏芯量S2だけ偏芯するように配置されている。投射レンズ64Bに対して空間光変調素子64Aがシフトする向きは、投射レンズ62Bに対して空間光変調素子62Aがシフトする向きとは反対向きである。
偏芯量S1、S2は、プロジェクタ61,62,64,65からのそれぞれの投影画像が垂直拡散スクリーン10で一致するように選択されている。つまり、偏芯量S1は偏芯量S2より大きい。
【0054】
[作用等]
このような構成によれば、プロジェクタ61の空間光変調素子61Aから出射される光は、投射レンズ61Bに対してより水平方向外側から入射するので、垂直拡散スクリーン10に対する光の入射角をより大きくし、垂直拡散スクリーン10からの光の出射角をより大きくすることができる。従って、観察者による観察領域をより大きくすることができる。プロジェクタ65についても同様である。
【0055】
また、プロジェクタ62の光軸Kの位置は、垂直拡散スクリーン10の水平方向の外側ではなく内側であるが、投射レンズ62Bに対して水平方向の外側に空間光変調素子62Aがシフトされている。このため、空間光変調素子62Aから出射された光は、投射レンズ62Bに対してより水平方向の外側から入射するので、垂直拡散スクリーン10に対する光の入射角を大きくし、垂直拡散スクリーン10からの光の出射角を大きくすることができる。つまり、プロジェクタ62は、空間光変調素子62Aのシフトにより、プロジェクタ62の出射光がθ>tan−1(W/D)を満たす。従って、観察者による観察領域をより大きくすることができる。プロジェクタ64についても同様である。
【0056】
なお、本発明に係る実施形態は、以上説明した実施形態に限定されず、他の種々の実施形態が考えられる。
例えば上記第1〜第3の実施形態では、立体画像表示装置1,100及び200が、それぞれ5個のプロジェクタ61〜65を備える例を示した。しかし、プロジェクタの数はこれに限定されず、プロジェクタ数を増加させて、プロジェクタから出射される光線数を増やすことで、立体画像の画質を高めてもよい。つまり、プロジェクタ61〜65は立体画像における一つの画素に相当するので、投影素子であるプロジェクタの数を可能な限り多くすることで、高画質な立体画像を得ることができる。
【0057】
上記第1の実施形態などでは、水平方向に配設された複数のプロジェクタ61〜65のうち両端のプロジェクタ61及び65の光線がθ>tan−1(W/D)を満たす位置に配置されている例を示した。しかし、これに限定されず、例えばプロジェクタ61、65のそれぞれ水平方向の外側に光軸を一致させてプロジェクタを配設するようにしてもよい。プロジェクタ61,65の水平方向外側のプロジェクタから出射される光線は、θ>tan−1(W/D)を満たす。これにより、より一部観察領域をより大きくすることができる。また、両端のプロジェクタ61又は65の光線のうち一方がθ>tan−1(W/D)を満たす位置に配置されるようにしてもよい。このように、多様な観察領域を実現することができる。
【0058】
上記第1の実施形態及び第2の実施形態では、中央以外のプロジェクタ61,62,64,65からそれぞれ投影される画像が垂直拡散スクリーン10の光入射面10aで位置が一致するように、それぞれの投影画像の水平方向での位置がシフトされている例を示した。立体画像表示装置1及び100がこのようなシフトを実現する構成を備えることが好ましいが、必ずしも備えていなくてもよい。
【0059】
上記第3の実施形態では、プロジェクタ61及び65が垂直拡散スクリーン10の水平方向外側に配設され、投射レンズ62Bに対して空間光変調素子62Aが水平方向に偏芯し、投射レンズ64Bに対して空間光変調素子64Aが水平方向に偏芯する例を示した。しかし、両端のプロジェクタ61及び65を備えずに、プロジェクタ62及び64が両端のプロジェクタになるように複数のプロジェクタを配列するようにしてもよい。このようにしても、プロジェクタ62及び64による光線により、観察者による水平方向の観察領域を大きくすることができる。
【符号の説明】
【0060】
D 投影奥行き
K 光軸
R1、R4 一部観察領域
R2、R5 全面観察領域
S1、S2 偏芯量
W 垂直拡散スクリーンの幅
θ 入射角度
1、100、200 立体画像表示装置
61、62、63、64、65 プロジェクタ
10、101 垂直拡散スクリーン
10a 光入射面
61A、62A、63A、64A、65A 空間光変調素子
61B、62B、63B、64B、65B 投射レンズ
102 フレネルレンズ
103 拡散板
【技術分野】
【0001】
本発明は、特殊な眼鏡を着用することなく、立体表示を可能とする立体表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
立体映像を表示する装置として、偏光眼鏡などを用いることで、左右の眼に対する視差を生じさせるものが存在する。近年、このような偏光眼鏡などを用いずに、立体表示を可能とする技術が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、複数のプロジェクタを用いた立体表示装置が開示されている。この立体表示装置は、立体像の表面から出射される光線を複数のプロジェクタにより再生するものである。このような立体表示装置では、例えば水平方向に配設された複数のプロジェクタとスクリーンとを備える。スクリーンは、立体像を再現するために、プロジェクタから投影された光を拡散する。具体的には、スクリーンは、フレネルレンズと拡散層とを有し、この拡散層は、垂直方向に大きな拡散効果を有し水平方向には大きな拡散効果を有さない。
【0004】
このような立体表示装置は、例えばこれらの複数のプロジェクタから出射される複数の光線により立体像を再現する。このため、特殊な眼鏡を用いずに立体視が可能であり、自然な映像表現に適しているという特徴がある。
【0005】
また、特許文献2には、プロジェクタより出射されながらもスクリーンに到達しない光をミラーで反射させてスクリーンに到達させることで、観察者が観察することが可能な領域を拡大する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−288616号公報(段落[0067]、図5)
【特許文献2】特開2007−187754(図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した技術では、スクリーンの拡散層は、水平方向には大きな拡散効果を有さないため、プロジェクタから出射された光線は、フレネルレンズに入射し、屈折し、拡散層に入射するが、拡散層では水平方向にはあまり拡散されずに進む。この結果、投射レンズの画角の外側にいる観察者の眼に光が到達せず、観察者がスクリーンの少なくとも一部を観察できる領域である一部観察領域が狭くなる、という問題がある。また、一部観察領域が小さくなることに伴い全面観察領域も小さくなる、という問題がある。全面観察領域とは、スクリーンの全面から観察者の眼に光が到達する領域のことである。
【0008】
また、特許文献2の技術を用いた場合も、画角の比較的大きな投射レンズを用いない限り、一部観察領域及び全面観察領域を広げることができない。
【0009】
しかし、広角の投射レンズを得るには、レンズ枚数を増やしたり、大型のレンズを用いたりする必要がある等、個々のプロジェクタの大型化を招くことがある。また、プロジェクタ台数を増やして、光線数を増やすことが高画質の立体像の再生のために必要であるが、個々のプロジェクタの大型化によりプロジェクタの台数を増やすことが困難となり、高画質の立体像の再生することは難しい。
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、広角の投射レンズを用いずに広い観察領域を確保することが可能な立体表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る立体表示装置は、複数のプロジェクタと、スクリーンとを有する。
上記複数のプロジェクタは、入射光を空間光変調する空間光変調素子と前記空間変調素子からの光を投射する投射レンズとをそれぞれ有する。上記スクリーンは、上記プロジェクタから投射された光が入射する光入射面を有し、入射光を水平方向より垂直方向に大きく拡散する。
上記複数のプロジェクタは、上記スクリーンの光入射面から上記光軸方向にそれぞれ等距離の位置に、それぞれの上記投射レンズの光軸方向を上記光入射面に直交する方向に一致させて配設され、上記スクリーンの水平方向の幅をW、上記プロジェクタと上記スクリーンとの間の上記光軸方向の間隔である投影奥行きをD、水平面における上記プロジェクタからの光線の上記スクリーンへの入射角度をθとしたときに、少なくとも1個の上記プロジェクタからの光線がθ>tan−1(W/D)を満たす。
【0011】
本発明では、少なくとも1個の上記プロジェクタからの光線がθ>tan−1(W/D)を満たすように、プロジェクタが配置されているので、少なくとも1個のプロジェクタからの光線のスクリーンに対する入射角度をθ>tan−1(W/D)とすることができ、広角の投射レンズを用いずに観察領域を拡大することができる。
【0012】
少なくとも1個の上記プロジェクタは、該プロジェクタの投射レンズの光軸が上記スクリーンの上記水平方向外側に位置するように設けられているようにしてもよい。これにより、この少なくとも1個のプロジェクタからの光線のスクリーンに対する入射角度を大きくすることができ、スクリーンで拡散される光の観察領域を拡大することができる。
【0013】
上記水平方向で両端に配置されたプロジェクタは、それぞれのプロジェクタの投射レンズの光軸が上記スクリーンの上記水平方向外側に位置するように設けられているようにしてもよい。
これにより、水平方向にバランスよく一部観察領域を拡大することができる。
【0014】
上記スクリーンは、上記光軸方向で上記光入射面側に設けられたフレネルレンズを有するようにしてもよい。
これにより、プロジェクタからの光線をフレネルレンズにより屈折し、この屈折した光線を垂直方向に拡散することができる。つまり、フレネルレンズにより、(全面)観察領域を変更することができる。
【0015】
θ>tan−1(W/D)を満たす光線を投射する上記プロジェクタの上記空間光変調素子は、該空間光変調素子の表示領域の中心が該プロジェクタの投射レンズの光軸に対して水平方向に偏芯するように配置されているようにしてもよい。
これにより、空間光変調素子により変調された光を投射レンズに対して斜めに入射することができ、この結果、観察領域を大きくすることができる。
【発明の効果】
【0016】
このように本発明によれば、広角の投射レンズを用いずに広い観察領域を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態に係る立体画像表示装置の斜視図である。
【図2】図1に示す立体画像表示装置の平面図である。
【図3】図2に示す立体画像表示装置の側面図である。
【図4】立体画像表示装置の垂直拡散スクリーンの水平方向及び垂直方向の拡散特性を示す図である。
【図5】立体画像表示装置の立体視の原理を説明する模式図である。
【図6】図1に示す立体画像表示装置を用いた一部観察領域を示す平面図である。
【図7】図1に示す立体画像表示装置を用いた全面観察領域を示す平面図である。
【図8】本発明に係る第2の実施の形態の立体画像表示装置の構成及び一部観察領域を示す平面図である。
【図9】図8に示す立体画像表示装置の構成及び全面観察領域を示す平面図である。
【図10】本発明に係る第3の実施の形態の立体画像表示装置の構成を示す平面図である。
【図11】従来の立体画像表示装置の一部観察領域を示す平面図である。
【図12】従来の立体画像表示装置の全面観察領域を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
<第1の実施の形態>
[立体画像表示装置の構成]
【0019】
図1は本発明の一実施形態に係る立体画像表示装置の斜視図、図2は図1に示す立体画像表示装置の平面図、図3は図2に示す立体画像表示装置の側面図である。
【0020】
立体画像表示装置1は、光線再生法を用いて立体画像の表示を行う装置である。立体画像表示装置1は、ベース2と、ベース2の上に設けられた基板保持部3と、プロジェクタベース4と、スクリーン枠5と、プロジェクタ61〜65と、基板7と、側面部8、垂直拡散スクリーン10と、図示しない冷却ファンなどで構成される。
【0021】
プロジェクタ61〜65は、プロジェクタベース4に水平方向(図1及び図2のY方向)に複数配設されている。基板7は、基板保持部3に保持され、プロジェクタ61〜65を駆動及び制御する回路が実装されている。側面部8は、プロジェクタ61〜65から投射された光が立体画像表示装置1の外部に漏れることを防止すると共に、投射された光を反射する。垂直拡散スクリーン10は、スクリーン枠5に保持され、プロジェクタ61〜65から投射される複数の画像光をそれぞれ垂直方向(Z方向)に拡散して、水平方向(Y方向)に連続的な視点の画像が投影される。
【0022】
光線再生法では、画像を撮像するときに複数のカメラが用いられ、そのカメラごとに担当する撮像範囲が設定され、各カメラによって撮像されたそれぞれ視差のある画像が用意される。そして、撮像位置から計算される画素ごとの変換マトリックスに従って、撮像画像から変換をおこなって投影画像が得られる。これにより得られたそれぞれの投影画像が合成されることで1つの立体画像が生成される。本実施の形態では、その複数のカメラによって撮像された個々の画像からの変換によって得られた投影画像がプロジェクタ61〜65から垂直拡散スクリーン10に向けて投射され、垂直拡散スクリーン10でそれぞれ垂直方向に長い縦ラインの画像の連続として投影されるようになっている。
【0023】
[プロジェクタ61〜65]
プロジェクタ61〜65は、図2及び図3に示すように、垂直拡散スクリーン10に対してそれぞれ画像(映像)を投影する。プロジェクタ61〜65は、投射光の出射面がほぼ一平面(YZ平面)に揃うように水平方向(図1及び図2のY方向)にそれぞれ配列されている。また、それぞれのプロジェクタ61〜65の垂直拡散スクリーン10に対する、投射レンズの光軸方向(K方向)の距離はそれぞれ同一とされている。ここで、投射レンズの光軸方向(K方向)はX方向と同一であり、垂直拡散スクリーン10の光入射面10aに直交する方向である。そしてプロジェクタ61〜65は、図1及び図2に示すように垂直方向(Z方向)において同じ高さ位置に配置されている。
【0024】
プロジェクタ61〜65のうち両端のプロジェクタ61及びプロジェクタ65は、それぞれの光軸Kが水平方向(図2に示すY方向)において垂直拡散スクリーン10の外側に位置するように配置されている。
【0025】
つまり、θ>tan−1(W/D)を満たすように両端のプロジェクタ61及びプロジェクタ65の位置が決められている。ここで、Wは、垂直拡散スクリーン10の水平方向(図2に示すY方向)の幅である。Dは、プロジェクタ61〜65と垂直拡散スクリーン10との間の光軸方向(X方向)の間隔である投影奥行きである。より具体的には、Dは、垂直拡散スクリーン10と、プロジェクタ内の投射レンズの中心との間の光軸方向(X方向)の間隔である。θは、個々のプロジェクタ61、65から垂直拡散スクリーン10への光線の水平面(XY平面)における入射角度である。
【0026】
プロジェクタ61〜65のうち水平方向中央のプロジェクタ63の投射レンズの光軸Kと垂直拡散スクリーン10の中心との水平方向での位置は略一致している。これに対して、その他のプロジェクタ61,62,64,65の投射レンズの光軸Kと垂直拡散スクリーン10の中心との水平方向での位置は一致していない。そこで、これらの中央以外のプロジェクタ61,62,64,65からそれぞれ投影される画像が垂直拡散スクリーン10の光入射面10aで位置が一致するように、それぞれの投影画像の水平方向での位置がシフトされている。この投影画像のシフトについては、後で一例を示す。
【0027】
プロジェクタ61〜65は、それぞれ光源、空間光変調素子、投射レンズ及び照明光学系を内蔵しており、プロジェクタ61〜65はそれぞれ独立した投射装置として機能する。但し、空間光変調素子が自ら発光するEL(electroluminescence)素子などの場合は光源及び照明光学系を備えなくてもよい。光源は、例えば白色光を出射する白色光源モジュールであり、具体的には青色LEDと黄色蛍光体からなる白色発光体などが用いられている。空間光変調素子は、光源から入射した青、緑、赤ごとの光を変調して画像光を生成する。個々のプロジェクタ61〜65から所定の画像が表示されるように、基板7に実装された回路によって、空間光変調素子への画像データの供給が制御される。空間光変調素子には、例えば反射型の液晶素子が用いられる。なお、空間光変調素子としては、反射型の液晶表示素子の他に、透過型の液晶表示素子、DMD(Digital Micro-mirror Device)を備えたDLP(登録商標 Digital Light Processing)のように、印加画像(映像)信号に従って、画素ごとに光強度変調を行うもの等を用いることもできる。
【0028】
[垂直拡散スクリーン10]
垂直拡散スクリーン10は、プロジェクタ61〜65が配設されたYZ平面に平行に設けられている。垂直拡散スクリーン10は、垂直拡散スクリーン10の水平方向の幅はWである。垂直拡散スクリーン10は、プロジェクタ61〜65からの入射光を水平方向及び垂直方向にそれぞれ所定の拡散角で拡散する。
【0029】
図4は垂直拡散スクリーン10の水平方向及び垂直方向の拡散特性を示す図である。
垂直拡散スクリーン10は、入射光を水平方向と垂直方向とに異なる所定の拡散角(拡散量)で拡散する。ここで、水平方向と垂直方向それぞれの拡散角は、水平方向の拡散角が垂直方向の拡散角に対して小さい値に設定されている。より具体的には、プロジェクタ61〜65からの入射光を水平方向(Y方向)にはあまり拡散せずに(図4(a))、垂直方向(Z方向)に大きく拡散する(図4(b))ように、水平方向と垂直方向それぞれの拡散角が決められている。
【0030】
ここで、図4(a)に示すように、垂直拡散スクリーン10に入射した光線11は、水平方向(Y方向)にはあまり拡散されない。このため、全てのプロジェクタ61〜65のうちの一部のプロジェクタからの投影画像の光線が垂直拡散スクリーン10を通して観察者の眼に到達する。
【0031】
一方、図4(b)に示すように、垂直拡散スクリーン10に入射した光線11は、垂直方向(Z方向)に大きく拡散する。このため、例えば垂直拡散スクリーン10の光入射面上部または光入射面下部に投影された光線11は、垂直拡散スクリーン10により垂直方向(Z方向)に大きく拡散して垂直拡散スクリーン10からの光線13の出射角度が変わり、拡散後の光線13が観察者の眼に入射する。
【0032】
図5は立体画像表示装置1の立体視の原理を説明する模式図である。
観察者16は、プロジェクタ61〜65から出射された光を垂直拡散スクリーン10を通して観察する。具体的には、表示しようとする立体像15の表面から出射される光線が、観察者16の左眼17と、右眼18に入射すれば、観察者16は、立体像15を立体視することができる。図5では、プロジェクタ62から出射した光は、垂直拡散スクリーン10ではほぼ直進し、左眼17に入射し、プロジェクタ63から出射した光は、垂直拡散スクリーン10ではほぼ直進し、右眼18に入射する。このように、表示しようとする立体像15を、プロジェクタ61〜65の光線に対応させることで、裸眼での立体表示を可能とする。
【0033】
[一部観察領域]
図6は図1に示す立体画像表示装置1を用いた一部観察領域を示す平面図である。
各プロジェクタ61〜65からの出射光は、垂直拡散スクリーン10で垂直方向にそれぞれ拡散され、垂直拡散スクリーン10から垂直拡散光として出射される。ここで各プロジェクタ61〜65のうち水平方向の一端に配置されたプロジェクタ61の出射光L1は、光軸Kに対して入射角度θ(>tan−1(W/D))で垂直拡散スクリーン10に入射する。このため、垂直拡散光L2は、垂直拡散スクリーン10から出射角度(屈折角度)φで出射される。この出射角度φは、光軸Kに対してtan−1(W/D)以下の入射角度で垂直拡散スクリーン10に入射した光の出射角度に比べて大きくなる。
【0034】
同様に、プロジェクタ65からの出射光L3は、光軸Kに対して入射角度θ(>tan−1(W/D))で垂直拡散スクリーン10に入射する。このため、垂直拡散光L4は、垂直拡散スクリーン10から出射角度φで出射される。この出射角度φは、光軸Kに対してtan−1(W/D)以下の入射角度で垂直拡散スクリーン10に入射した光の出射角度に比べて大きくなる。
この結果、プロジェクタ61〜65から出射された光線により、図6において斜線で示す一部観察領域R1が生成される。
【0035】
図7は図1に示す立体画像表示装置1を用いた全面観察領域を示す平面図である。
プロジェクタ61から出射された出射光L5は、垂直拡散スクリーン10で水平方向にはあまり拡散されず垂直方向に拡散され、垂直拡散スクリーン10から垂直拡散光L6として出射される。垂直拡散光L6は、水平方向において垂直拡散光L5に対してほぼ直進する。
【0036】
同様に、プロジェクタ65から出射された出射光L7は、垂直拡散スクリーン10で水平方向にはあまり拡散されず垂直方向に拡散され、垂直拡散スクリーン10から垂直拡散光L8として出射される。垂直拡散光L8は、水平方向において垂直拡散光L7に対してほぼ直進する。
この結果、プロジェクタ61〜65から出射された光線により、図7において斜線で示す全面観察領域R2が生成される。
【0037】
[作用等]
このように本実施形態によれば、プロジェクタ61〜65のうちプロジェクタ61及びプロジェクタ65は、それぞれの光軸Kが垂直拡散スクリーン10の光入射面10aに直交する光軸方向(図2に示すX方向)に平行でありかつ水平方向(図2に示すY方向)に垂直拡散スクリーン10の外側に位置するように設けられている。つまり、プロジェクタ61及びプロジェクタ65からの光線がθ>tan−1(W/D)を満たす。このため、プロジェクタ61からの出射光L1が垂直拡散スクリーン10に入射する入射角度θをtan−1(W/D)より大きくし、光軸Kに対する垂直拡散光L2の出射角度φを大きくすることができる。この結果、広角の投射レンズを用いることなく、立体画像表示装置1の一部観察領域R1を拡大することができる。
【0038】
図11は従来の立体画像表示装置の一部観察領域を示す平面図である。
図11に示すように従来の立体画像表示装置300は、複数のプロジェクタ301,302及び303と、これらのプロジェクタ301〜303からの入射光を垂直拡散する垂直拡散スクリーン304とを備える。プロジェクタ301及び303は、それぞれの光軸が垂直拡散スクリーン304の水平方向の外側に位置するように設けられていない。
【0039】
垂直拡散スクリーン304は、フレネルレンズ305と拡散層306とを備える。この拡散層306は、垂直方向に大きな拡散効果を有し水平方向にはあまり拡散効果を有さない。このため、プロジェクタ301〜303から出射された光線は、フレネルレンズ305に入射し、屈折し、拡散層306に入射するが、拡散層306では水平方向にはあまり拡散されずに進む。この結果、投射レンズの画角の外側にいる観察者に光が到達せず、一部観察領域R3が狭くなる。
【0040】
図11に斜線で示す一部観察領域R3と、図6に斜線で示す本実施形態の一部観察領域R1とを比較すると、一部観察領域R1が拡大しており、観察者が広い領域で画像を観察できるという点で有利である。
【0041】
<第2の実施の形態>
次に、本発明に係る第2の実施の形態の立体画像表示装置について説明する。なお、本実施形態以降では、上記第1の実施形態と同一の構成部材には同一の符号を付しそれらの説明を省略し、異なる箇所を中心的に説明する。
[立体画像表示装置の構成]
図8は本発明に係る第2の実施の形態の立体画像表示装置の構成及び一部観察領域を示し平面図である。
本実施形態の立体画像表示装置100は、上記第1の実施形態の垂直拡散スクリーン10の代わりに垂直拡散スクリーン101を備える点が異なる。
【0042】
垂直拡散スクリーン101は、フレネルレンズ102と、拡散板103とを備える。拡散板103は、第1の実施形態の垂直拡散スクリーン10と同様の拡散特性を有する拡散板である。フレネルレンズ102は、拡散板103のプロジェクタ61側に積層されている。
【0043】
[一部観察領域R4]
各プロジェクタ61〜65からの出射光は、フレネルレンズ102に入射し、フレネルレンズ102で屈折する。 垂直拡散スクリーン10で垂直方向にそれぞれ拡散され、垂直拡散スクリーン10から垂直拡散光として出射される。フレネルレンズ102で屈折した光は、拡散板103に入射し拡散板103により垂直方向に拡散されて拡散板103から垂直拡散光として出射される。このとき、プロジェクタ61の出射光L1は、光軸Kに対して入射角度θ(>tan−1(W/D))でフレネルレンズ102に入射する。このため、垂直拡散光L10は、垂直拡散スクリーン10から出射角度(屈折角度)φで出射される。
【0044】
同様に、プロジェクタ65からの出射光L3は、光軸Kに対して入射角度θ(>tan−1(W/D))でフレネルレンズ102に入射する。このため、垂直拡散光L11は、垂直拡散スクリーン10から出射角度(屈折角度)φで出射される。
この結果、プロジェクタ61〜65から出射された光線により、図8において斜線で示す一部観察領域R4が生成される。
【0045】
図9は立体画像表示装置100の全面観察領域を示す平面図である。
[全面観察領域R5]
プロジェクタ61から出射された出射光L5は、フレネルレンズ102に入射し、フレネルレンズ102で屈折する。フレネルレンズ102で屈折した光は、拡散板103に入射し拡散板103により垂直方向に拡散して拡散板103から垂直拡散光L12として出射される。このとき、垂直拡散光L12の拡散板103からの出射角度φが、フレネルレンズ102を備えない場合に比べて大きくなる。
【0046】
同様に、プロジェクタ65からの出射光L7は、フレネルレンズ102で屈折する。フレネルレンズ102で屈折した光は、拡散板103に入射し拡散板103により垂直方向に拡散して拡散板103から垂直拡散光L13として出射される。このとき、垂直拡散光L13の拡散板103からの出射角度φが、フレネルレンズ102を備えない場合に比べて大きくなる。
【0047】
この結果、プロジェクタ61〜65から出射された光線により、図9において斜線で示す全面観察領域R5が生成される。全面観察領域R5は、図7に示す全面観察領域R2に比べて大きい。
【0048】
[作用等]
このように本実施形態によれば、立体画像表示装置100の垂直拡散スクリーン101が、フレネルレンズ102を垂直拡散スクリーン101のプロジェクタ61〜65側に備えている。このため、プロジェクタ61〜65からの出射光をフレネルレンズ102により屈折して拡散板103に入射させることができる。具体的には、プロジェクタ61からの出射光L5をフレネルレンズ102により屈折し、拡散板103により垂直拡散し、垂直拡散スクリーン101からの出射光L12の水平方向の出射角度φを大きくすることができる。また、プロジェクタ65からの出射光L7をフレネルレンズ102により屈折し、拡散板103により垂直拡散し、垂直拡散スクリーン101からの出射光L13の水平方向の出射角度φを大きくすることができる。この結果、図9に斜線で示す全面観察領域R5を大きくすることができる。つまり、第2の実施形態では、図8に示すように一部観察領域R4を大きくしつつ図9に示すように全面観察領域R5を大きくすることができる。
【0049】
図12は図11に示す従来の立体画像表示装置300の全面観察領域を示す平面図である。
立体画像表示装置300の垂直拡散スクリーン304の全面から観察者に光が到達する領域が、図12に斜線で示す全面観察領域R6である。上述したように図11に示す一部観察領域R3が小さい場合には、図12に示す全面観察領域R6も小さくなる。
【0050】
図12に示す全面観察領域R6と、第2の実施形態の図9に示す全面観察領域R5とを比較すると、全面観察領域R5が拡大しており、観察者が広い領域で画像を観察することができるという点で有利である。
また、フレネルレンズ102の焦点距離により、一部観察領域の範囲及び全面観察領域の範囲(例えば出射角度φ)をコントロールすることができる。
【0051】
<第3の実施形態>
次に、本発明に係る第3の実施の形態の立体画像表示装置について説明する。
図10は第3の実施の形態の立体画像表示装置の構成を示す平面図である。
上述した第1の実施形態及び第2の実施形態では、上述した投影画像のシフトの具体例を示す。
【0052】
[プロジェクタ61〜65の構成]
プロジェクタ61には、空間光変調素子61Aと、投射レンズ61Bとが内蔵されている。プロジェクタ62〜65についても同様にそれぞれ空間光変調素子と投射レンズとが内蔵されている。
投射レンズ61B,62B,63B,64B,65Bは、それぞれの光軸Kが垂直拡散スクリーン10の光入射面10aに直交するように配設されている。
【0053】
空間光変調素子61Aは、投射レンズ61Bの光軸Kに対して空間光変調素子61Aの表示領域の中心が水平方向に偏芯量S1だけ偏芯(シフト)するように配置されている。空間光変調素子62Aは、投射レンズ62Bの光軸Kに対して空間光変調素子62Aの表示領域の中心が水平方向に偏芯量S2だけ偏芯するように配置されている。同様に、空間光変調素子65Aは、投射レンズ65Bの光軸Kに対して空間光変調素子65Aの表示領域の中心が偏芯量S1だけ偏芯するように配置されている。投射レンズ65Bに対して空間光変調素子65Aがシフトする向きは、投射レンズ61Bに対して空間光変調素子61Aがシフトする向きとは反対向きである。同様に、空間光変調素子64Aは、投射レンズ64Bの光軸Kに対して空間光変調素子64Aの表示領域の中心が偏芯量S2だけ偏芯するように配置されている。投射レンズ64Bに対して空間光変調素子64Aがシフトする向きは、投射レンズ62Bに対して空間光変調素子62Aがシフトする向きとは反対向きである。
偏芯量S1、S2は、プロジェクタ61,62,64,65からのそれぞれの投影画像が垂直拡散スクリーン10で一致するように選択されている。つまり、偏芯量S1は偏芯量S2より大きい。
【0054】
[作用等]
このような構成によれば、プロジェクタ61の空間光変調素子61Aから出射される光は、投射レンズ61Bに対してより水平方向外側から入射するので、垂直拡散スクリーン10に対する光の入射角をより大きくし、垂直拡散スクリーン10からの光の出射角をより大きくすることができる。従って、観察者による観察領域をより大きくすることができる。プロジェクタ65についても同様である。
【0055】
また、プロジェクタ62の光軸Kの位置は、垂直拡散スクリーン10の水平方向の外側ではなく内側であるが、投射レンズ62Bに対して水平方向の外側に空間光変調素子62Aがシフトされている。このため、空間光変調素子62Aから出射された光は、投射レンズ62Bに対してより水平方向の外側から入射するので、垂直拡散スクリーン10に対する光の入射角を大きくし、垂直拡散スクリーン10からの光の出射角を大きくすることができる。つまり、プロジェクタ62は、空間光変調素子62Aのシフトにより、プロジェクタ62の出射光がθ>tan−1(W/D)を満たす。従って、観察者による観察領域をより大きくすることができる。プロジェクタ64についても同様である。
【0056】
なお、本発明に係る実施形態は、以上説明した実施形態に限定されず、他の種々の実施形態が考えられる。
例えば上記第1〜第3の実施形態では、立体画像表示装置1,100及び200が、それぞれ5個のプロジェクタ61〜65を備える例を示した。しかし、プロジェクタの数はこれに限定されず、プロジェクタ数を増加させて、プロジェクタから出射される光線数を増やすことで、立体画像の画質を高めてもよい。つまり、プロジェクタ61〜65は立体画像における一つの画素に相当するので、投影素子であるプロジェクタの数を可能な限り多くすることで、高画質な立体画像を得ることができる。
【0057】
上記第1の実施形態などでは、水平方向に配設された複数のプロジェクタ61〜65のうち両端のプロジェクタ61及び65の光線がθ>tan−1(W/D)を満たす位置に配置されている例を示した。しかし、これに限定されず、例えばプロジェクタ61、65のそれぞれ水平方向の外側に光軸を一致させてプロジェクタを配設するようにしてもよい。プロジェクタ61,65の水平方向外側のプロジェクタから出射される光線は、θ>tan−1(W/D)を満たす。これにより、より一部観察領域をより大きくすることができる。また、両端のプロジェクタ61又は65の光線のうち一方がθ>tan−1(W/D)を満たす位置に配置されるようにしてもよい。このように、多様な観察領域を実現することができる。
【0058】
上記第1の実施形態及び第2の実施形態では、中央以外のプロジェクタ61,62,64,65からそれぞれ投影される画像が垂直拡散スクリーン10の光入射面10aで位置が一致するように、それぞれの投影画像の水平方向での位置がシフトされている例を示した。立体画像表示装置1及び100がこのようなシフトを実現する構成を備えることが好ましいが、必ずしも備えていなくてもよい。
【0059】
上記第3の実施形態では、プロジェクタ61及び65が垂直拡散スクリーン10の水平方向外側に配設され、投射レンズ62Bに対して空間光変調素子62Aが水平方向に偏芯し、投射レンズ64Bに対して空間光変調素子64Aが水平方向に偏芯する例を示した。しかし、両端のプロジェクタ61及び65を備えずに、プロジェクタ62及び64が両端のプロジェクタになるように複数のプロジェクタを配列するようにしてもよい。このようにしても、プロジェクタ62及び64による光線により、観察者による水平方向の観察領域を大きくすることができる。
【符号の説明】
【0060】
D 投影奥行き
K 光軸
R1、R4 一部観察領域
R2、R5 全面観察領域
S1、S2 偏芯量
W 垂直拡散スクリーンの幅
θ 入射角度
1、100、200 立体画像表示装置
61、62、63、64、65 プロジェクタ
10、101 垂直拡散スクリーン
10a 光入射面
61A、62A、63A、64A、65A 空間光変調素子
61B、62B、63B、64B、65B 投射レンズ
102 フレネルレンズ
103 拡散板
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射光を空間光変調する空間光変調素子と前記空間変調素子からの光を投射する投射レンズとをそれぞれ有する複数のプロジェクタと、
前記プロジェクタから投射された光が入射する光入射面を有し、入射光を水平方向より垂直方向に大きく拡散するスクリーンと
を具備し、
前記複数のプロジェクタは、前記スクリーンの光入射面から前記光軸方向にそれぞれ等距離の位置に、それぞれの前記投射レンズの光軸方向を前記光入射面に直交する方向に一致させて配設され、
前記スクリーンの水平方向の幅をW、前記プロジェクタと前記スクリーンとの間の前記光軸方向の間隔である投影奥行きをD、水平面における前記プロジェクタからの光線の前記スクリーンへの入射角度をθとしたときに、少なくとも1個の前記プロジェクタからの光線がθ>tan−1(W/D)を満たす
立体表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の立体表示装置であって、
少なくとも1個の前記プロジェクタは、該プロジェクタの投射レンズの光軸が前記スクリーンの前記水平方向外側に位置するように設けられている
立体表示装置。
【請求項3】
請求項2に記載の立体表示装置であって、
前記水平方向で両端に配置されたプロジェクタは、それぞれのプロジェクタの投射レンズの光軸が前記スクリーンの前記水平方向外側に位置するように設けられている
立体表示装置。
【請求項4】
請求項3に記載の立体表示装置であって、
前記スクリーンは、前記光軸方向で前記光入射面側に設けられたフレネルレンズを有する立体表示装置。
【請求項5】
請求項4に記載の立体表示装置であって、
θ>tan−1(W/D)を満たす光線を投射する前記プロジェクタの前記空間光変調素子は、該空間光変調素子の表示領域の中心が該プロジェクタの投射レンズの光軸に対して水平方向に偏芯するように配置されている立体表示装置。
【請求項1】
入射光を空間光変調する空間光変調素子と前記空間変調素子からの光を投射する投射レンズとをそれぞれ有する複数のプロジェクタと、
前記プロジェクタから投射された光が入射する光入射面を有し、入射光を水平方向より垂直方向に大きく拡散するスクリーンと
を具備し、
前記複数のプロジェクタは、前記スクリーンの光入射面から前記光軸方向にそれぞれ等距離の位置に、それぞれの前記投射レンズの光軸方向を前記光入射面に直交する方向に一致させて配設され、
前記スクリーンの水平方向の幅をW、前記プロジェクタと前記スクリーンとの間の前記光軸方向の間隔である投影奥行きをD、水平面における前記プロジェクタからの光線の前記スクリーンへの入射角度をθとしたときに、少なくとも1個の前記プロジェクタからの光線がθ>tan−1(W/D)を満たす
立体表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の立体表示装置であって、
少なくとも1個の前記プロジェクタは、該プロジェクタの投射レンズの光軸が前記スクリーンの前記水平方向外側に位置するように設けられている
立体表示装置。
【請求項3】
請求項2に記載の立体表示装置であって、
前記水平方向で両端に配置されたプロジェクタは、それぞれのプロジェクタの投射レンズの光軸が前記スクリーンの前記水平方向外側に位置するように設けられている
立体表示装置。
【請求項4】
請求項3に記載の立体表示装置であって、
前記スクリーンは、前記光軸方向で前記光入射面側に設けられたフレネルレンズを有する立体表示装置。
【請求項5】
請求項4に記載の立体表示装置であって、
θ>tan−1(W/D)を満たす光線を投射する前記プロジェクタの前記空間光変調素子は、該空間光変調素子の表示領域の中心が該プロジェクタの投射レンズの光軸に対して水平方向に偏芯するように配置されている立体表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−271505(P2010−271505A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−122635(P2009−122635)
【出願日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
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