説明

符号化データ処理装置及び符号化データ処理プログラム

【課題】 JPEG2000方式のファイルフォーマットの構造を維持し、符号化効率を変えることなく、コードストリームの状態でスクランブル状態を全開示から非開示まで制御可能にする。
【解決手段】 JPEG2000方式のコードストリームのパケットデータにおいて、スクランブルキーに基づきサブバンド情報の並び替えを行うことで、符号化効率を変えることなく、画像情報の開示の度合い(スクランブル状態)を制御可能にする。供給されるスクランブルキーに応じて、コードストリームにおける所定のパケットの内の並び替え対象となるパケットを選択し、コードストリーム解析部にて得たそれぞれのサブバンドに係る情報の先頭位置と長さとに基づき、前記選択されたパケット内のヘッダとボディとにおけるそれぞれのサブバンドに係る情報の位置を並び替える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、JPEG2000方式に基づく画像符号化データのコードストリームのスクランブル処理、デスクランブル処理を行う符号化データ処理装置及び符号化データ処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
画像は非常に多くの情報を含んでおり、その画像情報を蓄積、伝達する場合には、その画像情報の有する膨大なデータ量が問題となる。そこで、画像情報を蓄積、伝達する際には、その画像情報の持つ信号的冗長性や視覚的冗長性を除く操作を加えることによって、画像情報のデータ量を削減する(圧縮する)高能率符号化が用いられる。
【0003】
このような符号化を行う方式として、入力画像を直交変換し、直交変換された係数をビットプレーンごとにエントロピ符号化するISO(International Organization for Standarization)によって標準化されたJPEG2000方式がある。
【0004】
従来、画像データを例えば商業的な意図で扱う場合、画像データにスクランブルをかけることが広く行われている。特にインターネットでは、コンテンツの配信において、コンテンツそのものが金銭的な価値を有している場合がある。この場合、スクランブルをかけずにユーザ装置にコンテンツである画像データを送信してしまうと、ユーザはその画像データを閲覧したり、他に配信したり、編集したりすることが可能となり、コンテンツの金銭的な価値が大きく損なわれてしまう。そこで、コンテンツである画像データにスクランブルをかけ、ユーザによるその画像の閲覧を不許可状態にしたり、一部の情報(縮小画像やぼけた画像、場所の一部)を閲覧可能の状態(半開示)にしたりすることが広く行われている。
【0005】
前述したJPEG2000方式で圧縮された画像符号化データについても、その画像符号化データにスクランブルをかけることが要求されている。下記特許文献1では、JPEG2000のコードストリームのフォーマットの1単位であるパケットをスクランブルすることで、閲覧を不許可状態にし、下記特許文献2では、一部のサブバンドの情報をスクランブルすることで、情報の半開示を可能にしている。
【特許文献1】特開2003−319402公報
【特許文献2】特開2004−236225公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、JPEG2000のコードストリームを構成するパケットをスクランブルした場合、JPEG2000の汎用のデコーダではコードストリームの最後までデコードできないことがある。この場合、JPEG2000のコードストリームの最終識別子であるEOCマーカを検出することなくデコード終了する恐れがあり、復号化装置の挙動を不安定にしかねない。また、一部のサブバンドの情報をスクランブルすることは画像の相関関係を崩すこととなり、符号化効率が悪化する恐れがある。また、コードストリームの状態でスクランブル状態(スクランブル強度)を制御することができないという問題もある。
【0007】
本発明の目的は、JPEG2000のファイルフォーマットの構造を維持し、符号化効率を変えることなく、コードストリームの状態でスクランブル状態(スクランブル強度)を全開示から非開示まで制御可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで、上記課題を解決するために本発明は、以下の装置、プログラムを提供するものである。
(1) 複数のパケットから構成されるJPEG2000方式に基づく画像符号化データのコードストリームから、所定の各前記パケットのヘッダとボディとにおけるそれぞれのサブバンドに係る情報の先頭位置と長さとを得るコードストリーム解析手段と、
供給されるスクランブルキーに応じて、前記コードストリームにおける前記所定のパケットの内の並び替え対象となるパケットを選択し、前記コードストリーム解析手段にて得た前記それぞれのサブバンドに係る情報の先頭位置と長さとに基づき、前記選択されたパケット内のヘッダとボディとにおけるそれぞれのサブバンドに係る情報の位置を並び替える並び替え手段と、
を備えたことを特徴とする符号化データ処理装置。
(2) 画像データをJPEG2000方式に基づき符号化し、得られた画像符号化データを用いて、JPEG2000方式に基づき複数のパケットから構成されるコードストリームを生成するコードストリーム生成手段と、
前記生成されたコードストリームにおける並び替え対象となるパケットを、供給されるスクランブルキーに応じて選択し、前記コードストリーム生成手段にて得られる前記パケットのヘッダとボディとにおけるそれぞれのサブバンドに係る情報の先頭位置と長さとに基づき、前記選択されたパケット内のヘッダとボディとにおけるそれぞれのサブバンドに係る情報の位置を並び替える並び替え手段と、
を備えたことを特徴とする符号化データ処理装置。
(3) JPEG2000方式に基づく画像符号化データをストリーム化した、複数のパケットにより構成されるコードストリームから、所定の各前記パケットのヘッダとボディとにおけるそれぞれのサブバンドに係る情報の先頭位置と長さとを得るコードストリーム解析手段と、
供給されるデスクランブルキーに応じて、前記コードストリームにおける前記所定のパケットの内の並び替え対象となっているパケットを特定し、前記コードストリーム解析手段にて得た前記それぞれのサブバンドに係る情報の先頭位置と長さとに基づき、前記特定されたパケット内のヘッダとボディとにおけるそれぞれのサブバンドに係る情報の位置を、JPEG2000方式に基づく位置に並び替える並び替え手段と、
を備えたことを特徴とする符号化データ処理装置。
(4) 複数のパケットから構成されるJPEG2000方式に基づく画像符号化データのコードストリームから、所定の各前記パケットのヘッダとボディとにおけるそれぞれのサブバンドに係る情報の先頭位置と長さとを得るコードストリーム解析ステップと、
供給されるスクランブルキーに応じて、前記コードストリームにおける前記所定のパケットの内の並び替え対象となるパケットを選択し、前記コードストリーム解析ステップにて得た前記それぞれのサブバンドに係る情報の先頭位置と長さとに基づき、前記選択されたパケット内のヘッダとボディとにおけるそれぞれのサブバンドに係る情報の位置を並び替える並び替えステップと、
をコンピュータに実行させることを特徴とする符号化データ処理プログラム。
(5) 画像データをJPEG2000方式に基づき符号化し、得られた画像符号化データを用いて、JPEG2000方式に基づき複数のパケットから構成されるコードストリームを生成するコードストリーム生成ステップと、
前記生成されたコードストリームにおける並び替え対象となるパケットを、供給されるスクランブルキーに応じて選択し、前記コードストリーム生成ステップにて得られる前記パケットのヘッダとボディとにおけるそれぞれのサブバンドに係る情報の先頭位置と長さとに基づき、前記選択されたパケット内のヘッダとボディとにおけるそれぞれのサブバンドに係る情報の位置を並び替える並び替えステップと、
をコンピュータに実行させることを特徴とする符号化データ処理プログラム。
(6) JPEG2000方式に基づく画像符号化データをストリーム化した、複数のパケットにより構成されるコードストリームから、所定の各前記パケットのヘッダとボディとにおけるそれぞれのサブバンドに係る情報の先頭位置と長さとを得るコードストリーム解析ステップと、
供給されるデスクランブルキーに応じて、前記コードストリームにおける前記所定のパケットの内の並び替え対象となっているパケットを特定し、前記コードストリーム解析ステップにて得た前記それぞれのサブバンドに係る情報の先頭位置と長さとに基づき、前記特定されたパケット内のヘッダとボディとにおけるそれぞれのサブバンドに係る情報の位置を、JPEG2000方式に基づく位置に並び替える並び替えステップと、
をコンピュータに実行させることを特徴とする符号化データ処理プログラム。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、JPEG2000のコードストリームの構造を維持し、符号化効率を変えることなく、コードストリームの状態でスクランブル状態(スクランブル強度)を全開示から非開示まで制御することが可能となる。
【0010】
また、本発明をJPEG2000方式を採用する符号処理装置、復号化処理装置に用いれば、コードストリーム解析を2重に行う必要がなくなり、簡略化、低コスト化が図れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
[JPEG2000アルゴリズム概要]
まず、本発明の実施の形態の前提技術となるJPEG2000符号化・復号化アルゴリズムの概要について説明する。
【0012】
図1は、基本的なJPEG2000符号化装置を説明するためのブロック図である。JPEG2000のアルゴリズムは、DCレベルシフト部101、ウェーブレット変換部102、量子化部103、エントロピ符号化部104、ストリーム生成部105から構成されている。ただし、DCレベルシフト部101、量子化部103はオプションであり、必ずしも必要な処理部ではない。
【0013】
画像データの符号化時には、画像データの圧縮効率を良くするためにDCレベルシフト部101でDCレベルシフト処理を行う。これは例えば入力画像の画素の値が0〜255で表される場合、その範囲の半分の値128を用いて、すべての画素値から128を減算する処理を行う。DCレベルシフト処理が行われたデータは、ウェーブレット変換部102でウェーブレット変換が適用されて周波数帯に空間分離される。
【0014】
図5には、分解数(デコンポジションレベル数)が3の場合の、各分解レベル(以下、デコンポジションレベル)におけるサブバンドを示している。原画像のタイル分割によって得られた図5の501に示すデコンポジションレベル0のタイル画像(0LL)に対して、2次元離散ウェーブレット変換(以下、2次元DWT)を施し、同図502に示すデコンポジションレベル1のサブバンド(1LL、1HL、1LH、1HH)へ分離する。さらに低周波数成分1LLに対して、2次元DWTを施し、同図503に示すデコンポジションレベル2のサブバンド(2LL、2HL、2LH、2HH)へ分離する。同様にして、低周波数成分2LLに対しても、2次元DWTを施し、同図504に示すデコンポジションレベル3のサブバンド(3LL、3HL、3LH、3HH)へ分離する。
【0015】
次に2次元DWT後の係数値は、量子化部103でサブバンドごとに所定の量子化値を用いて量子化が施される。
量子化が施された係数値は、サブバンドより小さなブロックであるコードブロックごとに、ビットプレーンを単位として分解される。分解された係数値は、それぞれエントロピ符号化部104にて、周囲のビット情報から生成されるコンテキスト情報と対象ビットとから確率推定によって、符号化される。
【0016】
ストリーム生成部105はエントロピ符号化部104から得られた符号データを1本のコードストリームにサイズ調整をして結合するとともに、ヘッダ情報を付加する。
一方、復号化時には、符号化時とは逆に、コードストリームから画像データを生成する。図2を用いて簡単に説明する。まず、ストリーム解析部201では、入力したコードストリームに付加されたヘッダ情報、符号データの情報を解析する。
【0017】
エントロピ復号化部202では、既に復号化を終えている情報から得られるコンテキスト情報と、入力されたデータから確率推定によって復号化を行い、対象ビット情報を生成し、それを対象ビットの位置に書き込む。
【0018】
エントロピ復号化部202で復号化されたデータは逆量子化部203で、逆量子化が行われる。
逆量子化部203で逆量子化して得られた係数値は、周波数帯域ごとに空間分離されており、これらに対して逆ウェーブレット変換部204で逆ウェーブレット変換が行われ、画像データが得られる。復元された画像データはDCレベルシフト部205によって画素値の取りうる範囲の半分の値が加算され、元の画像データとなる。
[実施例1]
図3は、本発明の一実施例であるスクランブル処理を行う符号化データ処理装置を示すブロック図である。コードストリーム解析部201は、図2に示す復号化装置のコードストリーム解析部と同じ動作をするものであり、コードストリームからサブバンド情報並び替え処理部301に必要なコードストリームの情報を取り出す。
【0019】
図6はJPEG2000方式のコードストリームのフォーマット概略図である。図6において、コードストリームはSOCマーカから始まりEOCマーカで終わることを示している。ここで、SOCマーカ、EOCマーカはJPEG2000方式によって定められている識別子であり、それぞれコードストリームの先頭、終端のマーカである。また、SOTマーカはタイルの先頭、SODマーカはデータの先頭のマーカである。図6において、SOCマーカの次にメインヘッダがあり、メインヘッダの次にSOTマーカがあり、続いてタイルヘッダ、SODマーカ、タイルデータと並ぶ。タイルは画像を任意の大きさに区切った単位であり、タイル数分SOTマーカ、タイルヘッダ、SODマーカ、タイルデータがコードブロックの中に存在する。そして最後にEOCマーカが付け加えられる。
【0020】
図7はタイルデータを詳細に示したものである。タイルデータはパケットヘッダとパケットボディからなる複数のパケットデータから構成される。パケットとは、JPEG2000方式における解像度スケーラビリティ、SNRスケーラビリティ、位置スケーラビリティ、コンポーネントスケーラビリティの4つのスケーラビリティを構成するための単位であり、スケーラビリティの段階数だけ存在する。ここで解像度スケーラビリティとは画像の大きさを変えることのできるスケーラビリティであり、SNRスケーラビリティは画像の画質が徐々に向上するスケーラビリティである。位置スケーラビリティは画像の特定の位置から表示することが可能となるスケーラビリティであり、コンポーネントスケーラビリティは、特定のコンポーネントから表示することが可能となるスケーラビリティである。
【0021】
図8は、パケットヘッダ、パケットボディをさらに詳細に示した図である。パケットヘッダには、パケットの存在の情報がはじめにあり、その後サブバンドの数分だけ、コードブロックの存在情報、ビットプレーンの情報や、エントロピ復号化で用いる復号化の処理の回数の情報、コードブロックの符号データの長さの情報が格納されている。通常1つのパケット内のサブバンドはLLサブバンドのみか、HL、LH、HHサブバンドの3つのサブバンドである。サブバンドがLL成分の場合は、LL成分のみの情報が格納され(図8(b))、そうでない場合は、HL成分、LH成分、HH成分の順に格納されている(図8(a))。パケットボディ長はコードブロックの符号データの長さの情報から求めることができ、次のパケットの先頭位置は、このコードブロックの符号データの長さの情報を用いて求める。パケットボディも同様にサブバンドがLL成分の場合は、LLのみの情報が格納され、そうでない場合は、HL成分、LH成分、HH成分の順に情報が格納される。
【0022】
サブバンド情報並び替え処理部301に必要なコードストリームの情報は、各パケットのヘッダとボディのそれぞれのサブバンドの情報の先頭位置、長さである。サブバンド情報並び替え処理部301では、別途スクランブルキーが入力される。スクランブルキー入力に従って各パケットのサブバンド情報の並び替えの順序が異なる。各パケットのヘッダ、ボディのサブバンドの情報の先頭位置、長さを基に、スクランブルキーにしたがってそれらの情報を例えば、図12のように並び替える。2つのパケットのサブバンドの情報を入れ替えることはしない。なぜなら、パケットをまたいでサブバンドの情報を入れ替えるとコードブロックの数が異なるため、パケットヘッダ、ボディのサブバンドの情報の先頭位置、長さを正しく取り出すことができなくなり、正しく復号化することができなくなる恐れがあるからである。
【0023】
しかし、図5におけるデコンポジションレベル3のときの、3LLと3HL、3LH、3HHの情報はパケット間をまたがって入れ替えることができる。つまり、nLL(nは整数)はnHL、nLH、nHHの情報と入れ替えることができる。
【0024】
ここで、すべてのパケットにおいてサブバンドの情報の並び替えを行う必要はなく。例えば、デコンポジションレベルが3において、1HL、1LH、1HHの情報のみ並び替えを行えば、情報の半開示が可能となる。さらに、2HL、2LH、2HHの情報の並び替えを行えば、情報の開示度が低くなり、画像は認識しにくいものとなる。3HL、3LH、3HHの情報の並び替えを行った場合は、さらに開示度が低くなる。3LLと3HL、3LH、3HHの情報の並び替えを行った場合には、情報は非開示状態となる。並び替えは必ずしもnHLに対応するnの値が小さい順から行う必要はなく、どのレベルを行っても良い。その組み合わせはスクランブルキーと対応させることができる。
【0025】
図4は、上記実施例で行ったスクランブルの解除をする符号化データ処理装置を示すブロック図である。コードストリーム解析部201は、図2に示す復号化装置のコードストリーム解析部と同じ動作をするものであり、コードストリームからサブバンド情報並び替え処理部301に必要なコードストリームの情報を取り出す。サブバンド情報並び替え処理部ではデスクランブルキーを入力して、そのキーを基に上記実施例で行った並べ替え処理と逆の並べ替え処理を行いコードストリームのデスクランブルを行う。
【0026】
即ち、供給されるデスクランブルキーに応じて、コードストリームにおける所定のパケットの内の並び替え対象となっているパケットを特定し、コードストリーム解析部201にて得たそれぞれのサブバンドに係る情報の先頭位置と長さとに基づき、前記特定されたパケット内のヘッダとボディとにおけるそれぞれのサブバンドに係る情報の位置を、JPEG2000方式に基づく位置に並び替える。
【0027】
次に図9に沿って、本実施例のコードストリームをスクランブル(もしくはデスクランブル)する処理について説明する。
入力されたコードストリームから、コードストリームを解析し、各パケットのヘッダとボディのそれぞれのサブバンドの情報の先頭位置、長さを取り出す(ステップ901)。スクランブルキー(もしくはデスクランブルキー)を入力する(ステップ902)。スクランブルキー(もしくはデスクランブルキー)があるかどうかを判別し(ステップ903)、ある場合には、スクランブルキー(もしくはデスクランブルキー)に応じてパケット内のサブバンドの情報を並び替える(ステップ904)。ない場合にはそのまま出力する。
【0028】
なお、上記実施例のスクランブル処理を行う符号化データ処理装置、及びスクランブルの解除を行う符号化データ処理装置を組み合わせることによって、より複雑なスクランブル処理を行うことが可能となる。
[実施例2]
図10は、上述のスクランブル機能を搭載した符号化データ処理装置の一実施例である符号化装置を示すブロック図である。サブバンド情報並び替え処理部301がコードストリーム生成部105の後ろに追加されている。サブバンド情報並び替え処理部301に入力する各パケットのヘッダとボディのそれぞれのサブバンドの情報の先頭位置、長さは、コードストリーム生成部105でのコードストリーム生成時に得られるため、コードストリーム解析部を省略することができる。サブバンド情報並び替え処理部301では、各パケットのヘッダとボディのそれぞれのサブバンドの情報の先頭位置、長さと、入力されたスクランブルキーを基に、実施例1と同様にパケット内のサブバンドの情報を並べ替える処理を行い、コードストリームを出力する。
[実施例3]
図11は、上述のスクランブル解除機能を搭載した符号化データ処理装置の一実施例である復号化装置を示すブロック図である。サブバンド情報並び替え処理部301がコードストリーム解析部201とエントロピ復号化部202との間に組み込まれている。各パケットのヘッダとボディのそれぞれのサブバンドの情報の先頭位置、長さをコードストリーム解析部201から得て、サブバンド情報並び替え処理部301では、各パケットのヘッダとボディのそれぞれのサブバンドの情報の先頭位置、長さと入力されたスクランブルキーを基に、パケット内のサブバンドの情報を並べ替える処理を行い、デスクランブルされた情報をエントロピ復号化部202へ出力する。
【0029】
なお、本発明は、上記した各符号化データ処理装置の機能をコンピュータに実現させるためのプログラムを含むものである。このプログラムは、記録媒体から読みとられてコンピュータに取り込まれてもよいし、通信ネットワークを介して伝送されてコンピュータに取り込まれてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】JPEG2000方式対応の符号化装置を説明するためのブロック図である。
【図2】JPEG2000方式対応の復号化装置を説明するためのブロック図である。
【図3】実施例1におけるコードストリームのスクランブル処理を行うための符号化データ処理装置を示すブロック図である。
【図4】実施例1におけるコードストリームのデスクランブル処理を行うための符号化データ処理装置を示すブロック図である。
【図5】デコンポジションレベルが3の場合の、各デコンポジションレベルのおけるサブバンドを示す説明図である。
【図6】JPEG2000方式のコードストリームのフォーマット概略図である
【図7】タイルデータのフォーマットを詳細に示した図である。
【図8】パケットデータのフォーマットを詳細に示した図である。
【図9】実施例1におけるコードストリームをスクランブル処理するフローチャートである。
【図10】スクランブル機能を搭載した符号化データ処理装置の一実施例である符号化装置(実施例2)を示すブロック図である。
【図11】スクランブル解除機能を搭載した符号化データ処理装置の一実施例である復号化装置(実施例3)を示すブロック図である。
【図12】パケットデータの並び替え例を示した図である。
【符号の説明】
【0031】
101 DCレベルシフト部
102 ウェーブレット変換部
103 量子化部
104 エントロピ符号化部
105 ストリーム生成部
201 コードストリーム解析部
301 サブバンド情報並び替え処理部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のパケットから構成されるJPEG2000方式に基づく画像符号化データのコードストリームから、所定の各前記パケットのヘッダとボディとにおけるそれぞれのサブバンドに係る情報の先頭位置と長さとを得るコードストリーム解析手段と、
供給されるスクランブルキーに応じて、前記コードストリームにおける前記所定のパケットの内の並び替え対象となるパケットを選択し、前記コードストリーム解析手段にて得た前記それぞれのサブバンドに係る情報の先頭位置と長さとに基づき、前記選択されたパケット内のヘッダとボディとにおけるそれぞれのサブバンドに係る情報の位置を並び替える並び替え手段と、
を備えたことを特徴とする符号化データ処理装置。
【請求項2】
画像データをJPEG2000方式に基づき符号化し、得られた画像符号化データを用いて、JPEG2000方式に基づき複数のパケットから構成されるコードストリームを生成するコードストリーム生成手段と、
前記生成されたコードストリームにおける並び替え対象となるパケットを、供給されるスクランブルキーに応じて選択し、前記コードストリーム生成手段にて得られる前記パケットのヘッダとボディとにおけるそれぞれのサブバンドに係る情報の先頭位置と長さとに基づき、前記選択されたパケット内のヘッダとボディとにおけるそれぞれのサブバンドに係る情報の位置を並び替える並び替え手段と、
を備えたことを特徴とする符号化データ処理装置。
【請求項3】
JPEG2000方式に基づく画像符号化データをストリーム化した、複数のパケットにより構成されるコードストリームから、所定の各前記パケットのヘッダとボディとにおけるそれぞれのサブバンドに係る情報の先頭位置と長さとを得るコードストリーム解析手段と、
供給されるデスクランブルキーに応じて、前記コードストリームにおける前記所定のパケットの内の並び替え対象となっているパケットを特定し、前記コードストリーム解析手段にて得た前記それぞれのサブバンドに係る情報の先頭位置と長さとに基づき、前記特定されたパケット内のヘッダとボディとにおけるそれぞれのサブバンドに係る情報の位置を、JPEG2000方式に基づく位置に並び替える並び替え手段と、
を備えたことを特徴とする符号化データ処理装置。
【請求項4】
複数のパケットから構成されるJPEG2000方式に基づく画像符号化データのコードストリームから、所定の各前記パケットのヘッダとボディとにおけるそれぞれのサブバンドに係る情報の先頭位置と長さとを得るコードストリーム解析ステップと、
供給されるスクランブルキーに応じて、前記コードストリームにおける前記所定のパケットの内の並び替え対象となるパケットを選択し、前記コードストリーム解析ステップにて得た前記それぞれのサブバンドに係る情報の先頭位置と長さとに基づき、前記選択されたパケット内のヘッダとボディとにおけるそれぞれのサブバンドに係る情報の位置を並び替える並び替えステップと、
をコンピュータに実行させることを特徴とする符号化データ処理プログラム。
【請求項5】
画像データをJPEG2000方式に基づき符号化し、得られた画像符号化データを用いて、JPEG2000方式に基づき複数のパケットから構成されるコードストリームを生成するコードストリーム生成ステップと、
前記生成されたコードストリームにおける並び替え対象となるパケットを、供給されるスクランブルキーに応じて選択し、前記コードストリーム生成ステップにて得られる、前記パケットのヘッダとボディとにおけるそれぞれのサブバンドに係る情報の先頭位置と長さとに基づき、前記選択されたパケット内のヘッダとボディとにおけるそれぞれのサブバンドに係る情報の位置を並び替える並び替えステップと、
をコンピュータに実行させることを特徴とする符号化データ処理プログラム。
【請求項6】
JPEG2000方式に基づく画像符号化データをストリーム化した、複数のパケットにより構成されるコードストリームから、所定の各前記パケットのヘッダとボディとにおけるそれぞれのサブバンドに係る情報の先頭位置と長さとを得るコードストリーム解析ステップと、
供給されるデスクランブルキーに応じて、前記コードストリームにおける前記所定のパケットの内の並び替え対象となっているパケットを特定し、前記コードストリーム解析ステップにて得た前記それぞれのサブバンドに係る情報の先頭位置と長さとに基づき、前記特定されたパケット内のヘッダとボディとにおけるそれぞれのサブバンドに係る情報の位置を、JPEG2000方式に基づく位置に並び替える並び替えステップと、
をコンピュータに実行させることを特徴とする符号化データ処理プログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−303669(P2006−303669A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−119392(P2005−119392)
【出願日】平成17年4月18日(2005.4.18)
【出願人】(000004329)日本ビクター株式会社 (3,896)
【Fターム(参考)】