説明

箸の頭揃え方法および箸の頭揃え装置

【課題】方向が不揃いの箸を安価な装置により効率よくかつ確実に一定の方向に揃えることができる箸の頭揃え方法を提供する。
【解決手段】長さ方向の一端部が握り部の頭部に、他端部が摘み部分となり、そしてその重心が長さ方向の実質的な中点より頭部側に偏っている箸を揃える。水平方向に一列に並んだ状態で搬送される箸の実質的な中点を、板材(15)が山折りされて形成されている支持面積の狭い線状振分部(25)で支持し、線状振分部(25)に支持されている箸が、重力により頭部の方から落下することを利用して、箸を頭を下にして揃える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、頭部の握り部分と先端部の摘み部分とからなる箸を、一定の方向に揃える、箸の頭揃え方法および箸の頭揃え装置に関し、限定するものではないが、例えば漆塗りされた比較的高級な箸を料亭、飲食店、旅館等の施設にレンタルし、このような施設で使用された箸を回収して、洗浄、滅菌等の処理をして、再利用可能なように1膳ずつ包装して、再びレンタルするサービスにおいて、方向が不揃いの箸を一定の方向に揃える工程の実施にに適用して好適な、箸の頭揃え方法およびこの方法の実施に使用される箸の頭揃え装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来周知のように、割り箸は、食事で使用する時には2本に割って1膳の箸とし、食事が終わると廃棄される。従って、割り箸は使用が1回のみであることが保証されていて清潔であり、また外国産の木や竹を材料として外国で比較的安価に製造できるので、特に食堂、飲食店、旅館等を中心に広く使用されている。ところで、我が国では年間に約250億膳の割り箸が消費されており、この割り箸の量は、国内で建築される17,000〜20、000棟の建築材料に相当する。このように大量に消費される割り箸は、近年中国等の材料原産国では、材料となる木や竹の伐採がもたらす環境悪化が懸念され、日本への割り箸の輸出の制限、あるいは中止が検討されるようになってきている。また、使用済みの割り箸は廃棄物として扱われるので、環境上の問題もあるし、処理費用も嵩んでいる。
【0003】
割り箸でない箸、すなわち塗り箸、木箸、竹箸、プラスチック製箸等は、使用後に手洗いなどで洗浄、乾燥されて、繰り返し再使用される。このような繰り返し再利用可能な箸は家庭内でよく利用されているが、前記した割り箸を取り巻く状況に鑑みて、料亭、飲食店、旅館等においても、割り箸に代わる再利用箸として、利用が検討されはじめている。上記のような食堂等では使用済みの箸が多数出るが、このような箸を食器と共に洗浄槽に浸すと、比重の小さい箸だけが洗浄槽全体に広がって浮いてしまうので、効率よく洗浄することが難しく労力を要する。したがって、割り箸に比して費用も手間もかかる。また、1回だけ使用される割り箸とは異なり、再利用される箸は使用者に対して清潔であることを保証することが難しいという問題もある。
【0004】
そこで、漆塗り箸等の比較的高級な箸を料亭などにレンタルして、料亭などで使用された箸を回収し、そして洗浄、乾燥、殺菌した後に1膳ずつ包装して再生し、再び料亭にレンタルするサービスは有望な事業といえる。このように実施すると、大量の箸を効率よく処理できて、安価に再生できるので、安価にレンタルできる効果が期待できる。さらに、箸は1膳ずつ包装されるので、使用者に対して箸が清潔であることを保証することにもなる。
【0005】
【特許文献1】特開平9−276198号公報
【0006】
特許文献1には、プラスチック製や木製の使用済み箸を、自動的に洗浄、乾燥して再包装する、箸の再生装置が提案されている。特許文献1に記載の箸の再生装置は、使用済みの箸を投入するホッパと、箸を搬送するベルトコンベヤと、箸の洗浄部と、箸を乾燥する乾燥部と、箸を赤外線で殺菌する殺菌部と、箸を2本ずつ、すなわち1膳ずつ包装する包装部とから構成されている。従って、使用済みの箸をホッパに投入すると、1本ずつベルトコンベヤで搬送されて、洗浄・乾燥・殺菌されて、最後に1膳ずつ包装されて箸が再生される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載の箸の再生装置によっても、一応使用済みの箸は、洗浄され、乾燥され、そして殺菌されるので、再び使用に供することができる。さらに、箸は1膳ずつ包装されるので、箸の使用者に対して、箸が衛生的に再生済みであることを保証することはできる。しかしながら、改良すべき欠点あるいは問題点も認められる。
【0008】
すなわち、箸には持ち手側となる比較的太い端部すなわち握り部分と、食べ物をつまむ側の細い先端部すなわち摘み部分とがあり、箸は方向性を有するが、特許文献1に記載の箸の再生装置には、箸の方向を揃える手段が格別に設けられていない。レンタルされて回収された使用済みの箸は、一般に方向が不揃いの状態になっている。従って、このような方向が不揃いの箸をそのままホッパに投入しても、2本の箸の方向が揃えられて包装される保証はない。箸の方向を揃えて包装するには、ホッパに箸を投入する際に、あらかじめ箸の頭を揃えておく必要があるが、人手で箸の頭を揃えるのは労力を要するし煩雑で、高コストになるので、おおよそ実施できない。
【0009】
さらには、箸を投入するホッパの構造について格別に考慮されていないので、箸がホッパ内部で互いに干渉しあってホッパの排出口を堰き止める恐れがあるし、箸が複数本まとまって一度にホッパから排出される恐れもある。すなわち、箸が1本ずつホッパから排出されてベルトコンベヤに載せられる保証は無い。
【0010】
本発明は、上記したような従来の問題点に鑑みてなされたものであって、方向が不揃いの箸を安価な装置により効率よくかつ確実に一定の方向に揃えることができる、箸の頭揃え方法およびこの方法の実施に使用される箸の頭揃え装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
箸は、一般に長さ方向の一端部は頭部に、他端部は摘み部分となっている。そしてその重心は長さ方向の実質的な中点より頭部側に偏っている。あるいは、頭部と摘み部分は径が異なっている。本発明は、重心が頭部側に偏っている点を利用し、また頭部と摘み部分における径が異なっている点を利用して前記発明の目的を達成しようとするものである。
【0012】
請求項1に記載の発明は、上記目的を達成するために、長さ方向の一端部の握り部が頭部に、他端部が摘み部分となり、そしてその重心が長さ方向の実質的な中点より頭部側に偏っている箸を揃える方法であって、水平方向に一列に並んだ状態で搬送される箸の実質的な中点を、所定支持面積の不安定な支持部材で支持し、前記不安定な支持部材に支持されている箸が、重力により頭部の方から落下することを利用して、箸を所定方向に揃えるように構成される。請求項2に記載の発明は、長さ方向の一端部の握り部が頭部に、他端部が摘み部分となり、そして頭部の径が摘み部分の径よりも実質的に大径になっている箸を揃える方法であって、一列に並んだ状態で搬送装置により搬送される箸を、前記搬送装置と、該搬送装置と所定の規制間隔になるように配置されているガイド部材とにより挟んだ状態で搬送し、前記搬送装置と前記ガイド部材とにより挟まれている箸が、前記所定の規制間隔に捕捉されない頭部の方から抜けることを利用して、箸を所定方向に揃えるように構成される。
【0013】
請求項3に記載の発明は、長さ方向の一端部の握り部が頭部に、他端部が摘み部分となり、そしてその重心が長さ方向の実質的な中点より頭部側に偏っている箸を揃える装置であって、前記装置は、一列に並んだ状態で箸を搬送するコンベヤと、該コンベヤの下流端部に配置されている箸の頭揃え部材とからなり、前記箸の頭揃え部材は、線状振分部を有し、前記コンベヤにより搬送される箸の実質的な中点が前記線状振分部に乗ると、箸が前記線状振分部から両側に頭部の方から重力により落下し、それによって箸の頭が揃えられるように構成される。請求項4に記載の発明は、長さ方向の一端部の握り部が頭部に、他端部が摘み部分となり、そして頭部の径が摘み部分の径よりも実質的に大径になっている箸を揃える装置であって、前記装置は、一列に並んだ状態で箸を搬送する搬送装置と、該搬送装置と所定の規制間隔になるように配置されているガイド部材とからなり、前記搬送装置と前記ガイド部材とにより挟まれている箸を、前記所定の規制間隔に捕捉されない頭部の方から抜き、それによって箸を所定方向に揃えるように構成される。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の装置において、前記ガイド部材が前記搬送装置と同期して駆動されるベルトであるように、そして請求項6に記載の発明は、請求項3〜5のいずれかの項に記載の箸の頭揃え装置が、洗浄水噴射ノズルからなる洗浄装置と、オゾン水噴射ノズルからなる殺菌装置と、空気噴射ノズルと温風噴射ノズルとからなる乾燥装置とに組み込まれるように構成される。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、本発明によると、水平方向に一列に並んだ状態で搬送される箸の実質的な中点を、所定支持面積の不安定な支持部材で支持し、前記不安定な支持部材に支持されている箸が、重力により頭部の方から落下することを利用して、箸を所定方向に揃えるように構成されているので、所定面積の不安定な支持部材には板材を山折りした線状振分部、板状部材の縁部、棒状部材等を適用することができ、構造は極めてシンプルで安価である。構造が極めてシンプルであるので、故障することがなく、保守点検も容易であるという効果も得られる。そして、本発明によると、不安定な支持部材により支持されている箸は頭部の方から落下することを利用し揃えるので、確実に揃えることができるという、効果が得られる。また、他の発明によると、一列に並んだ状態で搬送装置により搬送される箸を、前記搬送装置と、該搬送装置と所定の規制間隔になるように配置されているガイド部材とにより挟んだ状態で搬送し、前記搬送装置と前記ガイド部材とにより挟まれている箸が、前記所定の規制間隔に捕捉されない頭部の方から抜けることを利用して揃えるので、同様に構造は極めて単純で、しかも径の差により揃えるので、確実であるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を説明する。本発明の実施の形態に係る箸の頭揃え装置は、単独でも使用できるが、箸の再生装置、箸の製造装置等と組み合わせて使用することができる。以下箸の再生装置に組み込まれた例について説明する。箸の再生装置は、レンタルされて使用された箸を回収して、洗浄、殺菌、乾燥して、再びレンタルに供することができるように1膳ずつ包装する装置であり、主として箸の再生工場に設置されるものである。このような箸の再生装置は、図1に示されているように、箸の頭揃え装置1と、箸洗浄ラインHSLと、箸の包装装置HHSとから構成されている。
【0017】
本発明の第1の実施の形態に係る箸の頭揃え装置1は、後で詳しく説明するが、概略的に、箸を投入するホッパ11、箸H、H、…を搬送するベルトコンベヤ12、箸H、H、…を予洗するシャワーノズル13、ベルトコンベヤ12の下流端に設けられて箸H、H、…の頭を揃える箸の頭揃え板15等から構成され、使用済み箸H、H、…をホッパ11に投入すると、箸H、H、…は一本ずつベルトコンベヤ12に載せられて搬送され、予洗された後に、箸の頭が揃えられて、洗浄籠K、K、…に入れられるようになっている。
【0018】
箸洗浄ラインHSLは、図1に示されているように、箸H、H、…が入れられた洗浄籠K、K、…を吊り下げて搬送する搬送装置70からなっている。この搬送装置70に沿って各種の装置、すなわち箸H、H、…を本洗浄する洗浄装置80、箸H、H、…を殺菌する殺菌装置90、箸H、H、…を乾燥する乾燥装置100等が配置されている。このように構成されている箸洗浄ラインHSLの最上流位置の近傍に、本実施の形態に係る箸の頭揃え装置1が配置されている。
【0019】
搬送装置70は、図示の本実施の形態では、ループ状に閉じられた搬送チェーン71と、この搬送チェーン71に所定の間隔で吊り下げられている複数本の2股フック72、72、…とから構成されている。この1本の2股フック72に2個宛の洗浄籠K、Kが並列的に吊り下げられることになる。このような搬送装置70の移動速度は調節可能で、例えば以下に説明する各装置間を約30分で1周するように調整されている。
【0020】
洗浄装置80は、その内部に設けられている複数列の洗浄配管81、81、…から構成されている。これらの洗浄液配管81、81、…には、搬送チエーン71の移動方向に所定の間隔をおいて、複数個の洗浄ノズル83、83、…が取り付けられ、例えば洗剤入りの湯からなる洗浄液はこれらの洗浄ノズル83、83、…から洗浄籠K、K、…に入れられている箸H、H、…に向けて噴射されるようになっている。望ましくは、洗浄籠K、K、…の移動方向と対向する方向から噴射されるようになっている。噴射された洗浄水は、図には示されていないが、洗浄装置80の下方に設けられた排水パン等に集水されて、濾過などの浄化処理されて再び洗浄水として供給されるようになっている。
【0021】
殺菌装置90は、洗浄装置80の下流側に位置するように、洗浄装置80から所定の間隔を置いて、箸洗浄ラインHSLに設けられている。箸H、H、…および洗浄籠K、K、…の殺菌には、本実施の形態ではオゾンガスが溶解したオゾン水が適用されるようになっている。オゾン水は市販されているオゾンガス発生器により得られるオゾンガスを水に溶解することにより、あるいは電解式オゾン水生成器により容易に得られ、しかも殺菌力が強いからである。しかも、ムラなく殺菌できるからである。また、このようにオゾン水が適用される殺菌装置90は、密閉された箱体を有し、その内部に複数列のオゾン水配管91、91、…が設けられている。これらのオゾン水配管91、91、…には、搬送チエーン71の移動方向に所定の間隔をおいて複数個のオゾン水噴射ノズル93、93、…が取り付けられ、オゾン水はこれらのノズル93、93、…から洗浄籠K、K、…に入れられている箸H、H、…に向けて噴射されるようになっている。本実施の形態によると、オゾン水噴射ノズル93、93、…はそれぞれ異なった方向を向いている。したがって、洗浄籠K、K、…にはあらゆる方向からオゾン水すなわち殺菌液がかけられ、殺菌液が届かない陰になる部分はない。これにより、洗浄籠K、K、…および箸H、H、…の表面は実質的に完全に殺菌されることになる。本実施の形態によると、箸H、H,…は箸の頭揃え装置1により予洗され、また洗浄装置80により本洗されているので、オゾン水はそのまま循環使用できるが、必要に応じて濾過などの処理がなされ、そしてオゾンガスが補充され再使用されるようになっている。
【0022】
乾燥装置100は、殺菌装置90の下流側に位置するように、殺菌装置90に隣接して、箸洗浄ラインHSLに設けられている。乾燥装置100は、図には示されていないが、空気を噴射する複数個のエアノズルと、同様に複数個の温風ノズル101、101、…とから構成されている。エアノズルは上流側に配置され、温風ノズル101、101、…はその下流側に配置されている。下流側に配置されている温風ノズル101、101、…には、送風管102、102、…から所定温度の温風が供給されるようになっている。
【0023】
箸の包装装置HHSは、図には示されていないが、箸を投入する投入部、箸の包装部等から構成され、頭が揃えられた箸を投入部に投入すると、箸の方向が揃えられたまま1膳ずつ包装されるようになっている。このような箸の包装装置HHSには、特許文献1に記載されている箸の再生装置の他に、例えば特開2002−154507号公報、特開2002−68114号公報等に記載されている箸の包装装置が適用できる。
【0024】
次に、上記の箸の再生装置の作用について説明する。箸の頭揃え装置1の所定の場所に空の洗浄籠K、Kを2個設置する。そして、ベルトコンベヤ12を駆動する。そうしておいて、ホッパ11に箸H、H、…をまとめて投入するが、このとき格別に箸H、H、…の方向は揃える必要はない。そうすると、後で説明するように、箸H、H、…はベルトコンベヤ12に載せられて搬送され、予洗された後に、箸の頭を揃えられて、洗浄籠K、Kに入れられる。所定の本数の箸H、H、…が洗浄籠K、Kに入れられたら、2個の洗浄籠K、Kを取り外して、新たに空の洗浄籠K、Kを2個設置する。箸H、H、…が入れられた洗浄籠K、Kは洗浄ラインHSLに搬送する。
【0025】
箸洗浄ラインHSLの本洗浄装置80と乾燥装置100とで挟まれた区間、すなわち着脱ゾーンTDZにおいて、箸H、H、…が入れられた2個の洗浄籠K、Kを1組として、1本の2股フック72に吊り下げる。そうすると、1組の洗浄籠K、Kは、搬送チェーン71によりゆっくりと搬送されることになる。1組の洗浄籠K、Kが洗浄装置80の内部に搬送されると、洗浄籠K、Kに入っている箸H、H、…に洗浄水が噴射される。箸H、H、…は、箸の頭揃え装置1で予洗されているので、汚れは箸の表面から剥がれ易くなっており、洗浄ノズル83、83、…から噴射される洗浄水だけで、汚れは容易に落ちる。洗浄を終えた1組の洗浄籠K、Kは、洗浄装置80と殺菌装置90とで挟まれた区間、すなわち確認ゾーンKZにおいて作業者に目視確認される。作業者は、箸H、H、…に汚れが残っていないかを確認して、汚れを発見した場合には、手洗い等で汚れを取り除く。あるいは搬送チエーン71の速度、洗浄水の濃度、洗浄ノズル83、83、…からの洗浄水の噴射速度等を調整する。
【0026】
次いで、1組の洗浄籠K、Kは殺菌装置90に搬送される。殺菌装置90の内部で、洗浄籠K、K内の箸H、H、…には、オゾン水が噴射されて十分に殺菌される。その後、1組の洗浄籠K、Kは乾燥装置100に搬送される。乾燥装置100の内部では、始めにエアノズルから高圧空気が噴射され、洗浄籠K、K、…および箸H、H、点…に付着している水滴が吹き飛ばされる。そして、温風ノズル101、101、…から噴射される所定温度の温風により完全に乾燥される。本実施の形態によると、乾燥の前処理として高圧空気が噴射され、水滴が吹き飛ばされるので、効率よく乾燥される。乾燥装置100から搬出された洗浄籠K、Kを、着脱ゾーンTDZにおいて2股フック72から取り外し、箸の包装装置HHSに搬送する。
【0027】
洗浄、殺菌、乾燥された箸H、H、…を洗浄籠K、K、…から取り出して箸の包装装置HHSに投入する。そうすると、箸の包装装置HHSにおいて、箸H、H、…は、2本ずつすなわち1膳ずつ包装される。このとき、箸H、H、…は、既に箸の頭が揃えられているので、2本の箸の方向が異なって包装されるようなことはない。
【0028】
上記した説明では1組の洗浄籠K、Kについて説明されているが、箸洗浄ラインHSLには、複数組の洗浄籠K、K、…が吊り下げられて、連続的に搬送され、そして連続的に洗浄・殺菌・乾燥が行われる。
【0029】
次に、本発明の第1の実施の形態に係る箸の頭揃え装置1について説明する。第1の実施の形態に係る箸の頭揃え装置1は、箸の重心が長さ方向の中点よりも箸の頭側に偏っていることを利用して箸の頭を揃える装置であり、箸を中点近傍で支持して重力により箸の頭側から落とすように構成されている。箸の頭揃え装置1は、図2に示されているように、概略的に、使用済みの箸H、H、…が投入されるホッパ11、ホッパー11から1本ずつ排出される箸H、H、…を搬送するベルトコンベヤ12、搬送中の箸H、H、…を予洗する複数個のシャワーノズル13、13、…、同様に複数本の洗浄具14、14、…、ベルトコンベヤ12の下流端に設けられて箸H、H、…の頭を揃える箸の頭揃え板15等から構成される。
【0030】
ホッパ11は、本発明の実施の形態に係る箸の頭揃え装置を構成する、主要な部品の1つであり、箸を1本ずつ確実に排出することができるように構成されているが、その構成および作用については後に詳しく説明する。
【0031】
ベルトコンベヤ12は、ゴム材からなり、搬送する箸H、H、…の長さよりもわずかに幅広のベルト17と、駆動ロール18と従動ロール19、19とから構成され、ベルト17はこれらのロール18、19、19間にかけ回されている。そして、ベルトコンベヤ12の上流側にあたるホッパ11側は、ベルト17は上り勾配に傾斜しており、箸が予洗される部分、すなわちシャワーノズル13、13、…および洗浄具14、14、…が設けられている部分は、水平になっている。このようなベルト17の表面には、箸H、H、…を1本宛搬送する、板状突起21、21,…がベルトの移動方向に所定の間隔をおいて設けられている。板状突起21、21,…は、ベルト17を幅方向に横切るように設けられているが、その略中心部において途切れている。途切れていることにより板状突起21の突き合わせ端部には間隔22が形成されている。このような2本を1組とする板状突起21、21は、ベルト17の全周にわたって形成され、ベルト17の移動方向に前後して形成されている板状突起21の間に箸が入るようになっている。また、板状突起21、21の間に間隔22が形成されているので、詳しくは後述するように箸の頭揃えができることになる。このように構成されているベルト17の両側部には箸を案内するガイド板24が設けられている。
【0032】
予洗装置は、本実施の形態によると、複数個のシャワーノズル13、13、…と、複数本の洗浄具14、14、…とから構成されている。洗浄具14、14、…は、ベルト17の幅よりも長く、円筒状を呈しており、その表面はスポンジ状の柔軟な物質で覆われ、あるいは洗浄用のブラシ毛が植え込まれブラシ状となっている。このような洗浄具14、14、…は、ベルト17に対して斜めに回転自在に軸受されている。これにより、洗浄具14、14、…の表面全体が、ベルト17の幅方向全体に面接触し、ベルト17が駆動されるとき洗浄具14、14、…は回転することになる。また、洗浄具14、14,…の上方に設けられているシャワーノズル13、13、…からは、湯、洗剤等からなる洗浄液が噴射されるようになっている。洗浄液を受ける容器は、図2には示されていないが、洗浄に供された洗浄液は、濾過等の処理がなされ、再使用されるようになっている。
【0033】
箸の頭揃え板15は、長方形の板材から構成されている。すなわち、板材15は長辺の中点において所定の角度に山折りされている。山折りされていることにより形成されている折り目が、その上に載せられた箸が不安定になる、線状振分部25となっている。この線状振分部25を境にして両側に下降するスロープ部26、26が形成されている。また、線状振分部25から延在する形でベルトコンベヤ12側へ突き出た突起27が形成されている。さらには、突起27の反対側のスロープ部26、26の端部には箸転落防止板28が設けられている。このような箸の頭揃え板15は、ベルトコンベヤ12の最下流側に、突起27がベルトコンベヤ12を向くようにして配置されている。さらに詳しく説明すると、ベルトコンベヤ12が駆動されるときに、ベルト17上に設けられた板状突起21、21と、箸の頭揃え板15の突起27が干渉しないように、突起27が1組の板状突起21、21の隙間22に位置するように配置されている。
【0034】
次に、第1の実施の形態に係る箸の頭揃え装置1の作用について説明する。箸の頭揃え板15に形成されている2個のスロープ部26、26の下方に空の洗浄籠K、Kをそれぞれ設置する。駆動ロール18を駆動してベルトコンベヤ12を所定方向に駆動し、シャワーノズル13、13、…から洗浄液を噴射する。使用済み箸H、H、…をホッパ11に投入する。このとき、箸の方向を揃える必要はない。投入すると、ホッパ11の排出口はスリット状に細くなっているので、箸H、H、…は1本宛排出され、隣接する板状突起21、21、…の間に1本ずつ収まる。これにより、箸H、H、…はベルトコンベヤ12上に乗せられる。ベルトコンベヤ12上を搬送される箸H、H、…は、シャワーノズル13、13、…から噴射される洗浄液により、さらには洗浄具14、14、…によってブラッシングされて予洗される。このとき、洗浄具14、14、…は、ベルト17の移動により回転駆動されるが、洗浄具14、14、…の回転はベルト17との接触摩擦、より正確には板状突起21、21、…との接触によるのでベルト17の速度と洗浄具14、14、…の周速度との間には速度差がある。また、洗浄具14、14、…はベルト17の移動方向に対して斜めに設けられているので、これによっても速度差が生じる。さらには、洗浄具14、14、…の回転により、箸H、H、…も多少は回転する。これらの複合現象により、箸H、H、…はより確実に洗浄される。
【0035】
このようにして予洗される箸H、H、…は、頭揃え板15まで搬送されて、頭揃え板15の突起27に載せられる。ところで、ベルト17の幅は前述したように箸H、H、…の長さよりもわずかに広く、実質的に箸H、H、…は、ぞれぞれベルト17の幅全体に載せられている。そして、板状突起21、21に形成されている間隔22は、ベルト17の幅方向の略中心部に位置するので、箸H、H、…は、その長さ方向の中点近傍が突起27から線状振分部25に載せられることになる。箸H、H、…の重心は中点よりも箸の頭側に偏っているので、線状振分部25に載せられた箸H、H、…は、線状振分部25の支持面積は狭く、箸は不安定な状態になっているので重力によって箸の頭側に倒れて、頭揃え板15のスロープ部26、26を箸の頭を下にして滑り落ちる。従って、洗浄籠K、Kには、箸の頭が下になるように揃えられて入れられることになる。洗浄籠K、Kに所定本数の箸H、H、…が入れられたら、洗浄籠K、Kを取り外し、再び空の洗浄籠K、Kを設置する。箸H、H、…が入れられた洗浄籠K、Kは、既に説明した箸洗浄ラインHSLに搬送して吊り下げる。あるいは、自動的に搬送されて吊り下げられる。
【0036】
次に、第2の実施の形態に係る箸の頭揃え装置2について説明する。この箸の頭揃え装置2も、箸の重心が中点よりも箸の頭側に偏っていることを利用して箸の頭を揃える装置であり、図3にその一部が示されている。前記実施の形態に係る箸の頭揃え装置1の構成要素と同じような要素には、同じ参照数字もしくは同じ参照番号にダッシュ「’」を付けて重複説明はしないが、本実施の形態によると、山折の線状振分部25’を境に両側に下降するスロープ部26’、26’は、延長されて下流でカーブして合流するように形成されている。そして、カーブするスロープ部の両外側には、箸転落防止板28'、28'、…が設けられている。従って、合流したスロープ部26”の下方に受け箱UBを設置しておくと、箸の頭が先になるように揃えられて受け箱UKに落ちる。このとき、スロープ部全体を振動装置等で振動させ、箸H、H、…がスムーズに受け箱UKに落ちるように実施することもできる。受け箱UBの容量を大きく選定しておけば、頻繁に受け箱UBを取り替える必要が無いので、効率がよい。受け箱UBに貯められた箸H、H、…は、人手などによって、取り出して所定の本数ずつ洗浄籠K、K、…に入れる。
【0037】
次に、第3の実施の形態に係る箸の頭揃え装置3について説明する。本実施の形態に係る箸の頭揃え装置3も、箸の重心が中点よりも箸の頭側に偏っていることを利用して箸の頭を揃える装置であり、図4のにその一部が示されている。前記実施の形態に係る箸の頭揃え装置1の構成要素と同じような要素には、同じ参照数字もしくは同じ参照番号にダッシュ「’」を付けて詳しい説明はしない。ベルトコンベヤ12の下流端部には、一様に傾斜して下流に向かって幅が狭くなっているスロープ板30が設けられている。スロープ板30の両側には箸転落防止板28’、28’が設けられ、スロープ板30の上流部には略三角形を呈する、支持面積の狭い振分板31が立設されている。この振分板31により、スロープ板30の上流側は幅の等しい2個のスロープ部32、32に分割されている。このような振分板31の上流側の1辺25’、すなわちベルトコンベヤ12と向かい合う1辺25’は、箸H、H、…の中点を支持する線状振分部25’になっている。この線状振分部25’は、垂直方向から所定の角度θだけ傾いている。以下に説明するように、箸H、H、…は線状振分部25’の上を下流側に滑るので、角度θは90°もしくは若干鈍角に形成されていることが好ましい。
【0038】
次に、上記第3の実施の形態に係る頭揃え装置3の作用について説明する。箸H、H、…がベルトコンベヤ12からスロープ板30に落とされると、箸H、H、…は中点近傍が線状振分部25’上に載る。線状振分部25’は垂直方向と所定の角度θだけ傾いているので、箸H、H、…は線状振分部25’に載ったまま線状振分部25’上を下流側に滑りながら徐々に箸の頭側に傾く。そして、箸H、H、…は箸の頭が先になるようにスロープ板30を滑って受け箱UBに落ちる。スロープ板30全体を振動装置等で振動させると、箸H、H、…はスロープ部32、32の途中で引っかかることなく、スムーズに滑り落ちる。なお、本実施の形態による頭揃え装置3においては、ベルトコンベヤ12に設けられている板状突起21’、21’、…は、中心部において途切れている必要はいない。
【0039】
次に、第4の実施の形態に係る箸の頭揃え装置4を図5に基づいて説明する。この箸の頭揃え装置4も、箸の重心が中点よりも箸の頭側に偏っていることを利用して箸の頭を揃える装置であり、図5の(ア)にその一部が示されている。前記実施の形態に係る箸の頭揃え装置1の構成要素と同じような要素には、同じ参照数字もしくは同じ参照番号にダッシュ「’」を付けて詳しい説明はしない。ベルトコンベヤ12の下流端には、扁平な漏斗状を呈する箸の頭揃え筒35が設けられている。箸の頭揃え筒35の一方の開口部は幅広の箸投入口36となっており、他方の開口部は幅の狭い箸出口37となっている。すなわち、箸投入口36から箸出口37に向かって、筒の内部が狭くなっている。箸投入口36の平面形状は長方形となっており、その長辺の長さはベルトコンベヤ12の幅と略等しい。また、箸の頭揃え筒35の上部には、振分板31が、筒の上部を2等分するような形で設けられている。従って、箸投入口36は、振分板31の上辺に形成されている線状振分部25”によって、2個に分割されている。
【0040】
上記の頭揃え装置4の作用について説明する。箸H、H、…がベルトコンベヤ12から箸の頭揃え筒35に落とされると、箸H、H、…の中点近傍が線状振分部25”で支持され、図5の(イ)に示されているように、箸H、H、…は、箸の頭が先になるように箸の頭揃え筒35の内部を落下する。そして、箸H、H、…は、箸の頭を下にして洗浄籠Kに入れられる。線状振分部25”にゴム材等のクッション部材を設けておけば、箸H、H、…が線状振分部25”にぶつかる際に傷つくようなことは無い。本実施の形態に係る頭揃え装置4のベルトコンベヤ12に設けられている板状突起21’、21’、…は、第3の実施の形態に係る箸の頭揃え装置3と同様に、中心部において途切れている必要はない。
【0041】
次に、第5の実施の形態に係る箸の頭揃え装置5について説明する。この箸の頭揃え装置5は、箸の頭部分と先端部の摘み部分では箸の径が異なっていることを利用して、箸の頭を揃える装置であり、図6に示されているように構成されている。前記実施の形態に係る箸の頭揃え装置1の構成要素と同じような要素には、同じ参照数字もしくは同じ参照番号にダッシュ「’」を付けて詳しい説明はしない。ベルトコンベヤ12の所定の位置には、表面が軟質ウレタン等の摩擦係数の高い材料からなる、2本の細長い振分ローラ41、41’が設けられている。2本の振分ローラ41、41’は、ローラの円筒部表面がベルト17の表面と所定の間隔をおいて、すなわち、箸の中点の径よりも大きくかつ箸の頭部分の径よりも小さい間隔をおいて、ベルトコンベヤ12の流れ方向に対して、振分ローラ41、41’の軸が斜めになるように配置されている。この間隔は箸の頭部分を通さない、いわゆる規制間隔となっている。さらに詳しくは、2本の振分ローラ41、41’の一端は共にベルトコンベヤ12の幅方向の中心近傍に、他端はそれぞれベルトコンベヤ12の縁部に位置するように設けられている。換言すると、2本の振分ローラ41、41’は、ベルトコンベヤ12の下流に向かって広がる「ハ」の字状を呈するように配置されている。このような、振分ローラ41、41’は、図に示されていない駆動装置によって矢印方向に回転駆動される。振分ローラ41、41’に対応してベルトコンベヤ12の両側部には、側部に箸転落防止板43、43、…が取り付けられているスロープ板42、42が設けられれている。
【0042】
第5の実施の形態に係る頭揃え装置5の作用を、図7によって説明する。図7の(ア)には、振分ローラ41、41’と、ベルト17の一部と、ベルト17で搬送され、箸の頭が図面下方を向いている箸Hとが示されている。このようなベルト17と振分ローラ41、41’は、図には示されていないが、紙面と垂直な方向に前述したように規制間隔だけ離間している。この規制間隔は、箸Hの頭部よりの所定部分Bの径と略等しい。
【0043】
今、矢印Y1の方向に箸Hが搬送されて、図7の(イ)に示される位置に達すると、ベルト17と図面下方に示されている振分ローラ41とで、箸Hの所定部分Bが挟まれるようになる。挟まれた箸Hは、所定部分Bが規制間隔に引っかかるので、箸Hは図7の(イ)において上方へ抜けることができない。一方、振分ローラ41、41’は、挟んだ箸をベルト17の縁の方へ押し出すように回転しているので、箸Hは、図7の(ウ)に示されているように矢印Y2の方向に押し出される。箸Hはさらに押し出されて、ある程度押し出されたところで、図7の(オ)に示されているように、ベルト17から落下する。落下した箸Hは、スロープ板42に落下して、箸の頭を下にして滑る。スロープ板42の下方に洗浄籠Kを設置しておけば、箸の頭が揃えられた箸が入れられる。
【0044】
箸の頭の方向が逆方向を向いた箸Hは、図7の(ア)の図面上方に鎖線で示されている振分ローラ41’により、ベルト17から図面上方に押し出され、箸の頭を下にして落下して、他方のスロープ板42を滑る。他方のスロープ部板42の下方にも洗浄籠Kを設置しておけば、箸の頭が揃えられて箸が入れられる。
【0045】
図8により、第6の実施の形態に係る箸の頭揃え装置6について説明する。この箸の頭揃え装置6も、箸の先端部の摘み部分と箸の頭部分とで径が異なることを利用して、箸の頭を揃える装置である。前記実施の形態に係る箸の頭揃え装置1の構成要素と同じような要素には、同じ参照数字もしくは同じ参照番号にダッシュ「’」を付けて詳しい説明はしない。ベルトコンベヤ45は、第1〜第5の実施の形態に係る箸の頭揃え装置1〜5のベルトコンベヤとは異なり、中間部46で捻れている。すなわち、箸H、H、…が載せられるベルトコンベヤ45の表面は、上流側では実質的に水平になっているが、下流側では略垂直になるように捻れている。このようにベルトコンベヤ45は捻れてはいるが、複数個の中間ローラ47、47、…でガイドされているので、滑らかに駆動することができる。ベルトコンベヤ45には、ベルトコンベヤ45の長手方向に沿って、細長い板状の箸押さえガイド48が設けられている。箸押さえガイド48は、ベルトコンベヤ45と同様に中間部で捻れながら、長手方向の全長に渡ってベルトコンベヤ45の表面と所定の間隔だけ離間して、ベルトコンベヤ45と平行を保っている。この所定の間隔は、箸の中点の径よりも大きくかつ箸の頭部分の径よりも小さく選定されており、箸の頭部分を通さない、いわゆる規制間隔となっている。このような箸押さえガイド48は、比較的剛性の高い部材で形成されているが、表面が例えばフッ素樹脂により加工されて摩擦係数が小さくなっているので、箸H、H、…が箸押さえガイド48表面に接しながら滑っても、箸H、H、…が傷つくようなことはない。また、箸押さえガイド48の上流側の端部には反り部49が形成されているので、端H、H、…が箸押さえガイド48の端部にぶつかって、箸H、H、…が傷つくこともない。
【0046】
このように構成されているベルトコンベヤ45の垂直になっている部分の上流側が、次の作用の説明からも明らかなように、第1の選別部51、そして下流側が第2の選別部52となっている。
【0047】
本実施の形態の頭揃え装置6の作用について説明する。ベルトコンベヤ45が垂直になっている部分で、かつガイド板24’の終端の直後、すなわち第1の選別部51に対応して第1の洗浄籠K1を設置する。また、ベルトコンベヤ45の最下流部で箸押さえガイド48の終端の直後、すなわち第2の選別部52に対応して、第2の洗浄籠K2を設置する。そうして、ホッパ11に箸H、H、…を投入すると、箸H、H、…はベルトコンベヤ45に1本ずつ並べられて、前述したように搬送される。ベルトコンベヤ45に載せられた箸H、H、…は、ベルトコンベヤ45と箸押さえガイド48とにより、箸の中央部近傍すなわち箸の腹部分が挟まれる。ベルトコンベヤ45の摩擦係数は大きく、箸押さえガイド48の摩擦係数は小さいので、箸H、H、…は箸押さえガイド48に接しながら滑り、ベルトコンベヤ45に載せられて搬送される。捻れた中間部46を滑らかに搬送された後、第1の選別部51で、箸の頭が下向きの箸H、H、…は落下して、第1の洗浄籠K1に入れられる。箸の頭が上向きの箸H、H、…は、箸の頭の径がベルトコンベヤ45と箸押さえガイド48の間隔よりも大きいので、箸選別部51では落下することなく、そのまま搬送される。そして、第2の選別部52で落下して、第2の洗浄籠K2に入れられる。本実施の形態によると、第1の洗浄籠K1に入れられる箸H、H、…は、箸の頭が下になり、第2の洗浄籠K2に入れられる箸H、H、…は箸の頭が上になっている。
【0048】
第1の実施の形態に係るホッパ11について説明する。本実施の形態は、多数の箸を投入しても、箸が内部で詰まることが無く、確実に箸が1本ずつ排出されるホッパを提供することを目的としている。この目的を達成するために、ホッパは次のように構成されている。すなわち、複数本の箸が水平方向に入れられる筐体と、該筐体内に入れられた箸を押さえる、あるいはガイドする箸押さえ板と、前記筐体内から箸を1本宛排出する箸送りホイール等から構成されている。筐体は下方にいくにしたがい曲率半径が徐々に小さくなるように内側に湾曲している背面板と、該背面板と同様に内側に曲がっている前面板と、略三角形状を呈する2枚の側面板とから、略漏斗状に構成されている。箸押さえ板は、背面板と略同じ形状に形成され、その下端部は前面板の下端部から下方へ延在している。この背面板と箸押さえ板とにより構成される上方の開口部が箸の投入口になり、下端部のスリット部が箸の排出口になっている。箸押さえ板の延在した部分には、所定の間隔をおいて下側から切りかかれた切欠部が形成され、これらの切欠部に一対の箸送りホイールが水平方向に設けられている。一対の箸送りホイールの外周部は、箸押さえ板を越えて、背面板の表面近くに達している。このように構成されている背面板と箸押さえ板の下端部は、コンベヤに臨み、一対の箸送りホイールとコンベヤは同期して回転駆動されるようになっている。
【0049】
以下、図9により、さらに具体的に説明する。前記実施の形態に係る箸の頭揃え装置1の構成要素と同じような要素には、同じ参照数字もしくは同じ参照番号にダッシュ「’」を付けて詳しい説明はしない。ホッパ11は、概略的に、箸が水平方向に入れられる筐体51、筐体51内に入れられた箸H、H、…を押さえる、あるいはガイドする箸押さえ板52、筐体51内から箸H、H、…を1本宛排出する箸送りホイール53、53等から構成されている。筐体51は、長方形の板材からなり背面を構成している背面板54と、背面板54よりも短い長方形の板材からなり前面を構成している前面板55と、略三角形状を呈する2枚の側面板56、56とから、略方形の漏斗状を呈するように構成されている。
【0050】
背面板54は、上方部分は垂直に近いが、下方にいくほど曲率が小さくなるように内側に湾曲し、その下端部54’の近傍は水平に近くなって、ベルトコンベヤ12に連なっている。前面板55も同様に形成されているが、その下端部55’は、ベルトコンベヤ12に達する前に終わっている。換言すると、背面板54の下端部54’だけがベルトコンベヤ12に連なっている。
【0051】
箸押さえ板52は、例えば不錆鋼板から背面板54と略同じ形状に構成されている。すなわち、短辺の長さは箸H、H、…の長さと、長辺の長さは背面板54の長さと略等しく、そして略同じ曲率で内側に湾曲している。箸押さえ板52の下端部52’は、前面板55から突き出て背面板54と同じようにベルトコンベヤ12に臨んでいる。前面板55から突き出た下端部分に、所定の間隔をおいて一対の切欠58、58が形成されている。これらの切欠58、58に対応して、箸送りホイール53、53が設けられる。このように形成されている箸押さえ板52の上端縁は、直接的に、そして中間部は支持アーム57’を介して支え棒57に取り付けられて、筐体51内に入れられている。支え棒57の両端は、側板56、56に支持され、電動式に矢印方向Aに駆動されるようになっている。これにより、背面板54と箸押さえ板52との間隔が調節されることになる。
【0052】
一対の箸送りホイール53、53は、例えば軟質プラスチックから構成されている。箸送りホイール53、53の外周部には円周方向に所定の間隔をおいて、所定深さの複数個の掴み溝53’、53’、…が形成されている。このように構成されている箸送りホイール53、53は、その外周部が箸押さえ板52の切欠58、58から筐体51の内部に達するように設けられ、そしてベルトコンベヤ12と同期して、同じ速度で回転駆動されるようになっている。
【0053】
上記のホッパ11の作用について説明する。支え棒57を矢印A方向に駆動して、背面板54と箸押さえ板52との間隔を箸H、H、…の大きさに応じて調節する。筐体51の上方の開口部から箸H、H、…を筐体51内に入れる。筐体51内で複数列に並んでいる箸H、H、…は、背面板54と箸押さえ板52との間隔が徐々に狭くなっているので、下方に降りるにしたがい列の数は減り、やがて横方向に1本ずつ並んで、箸押さえ板52の下端部52’あるいは背面板54の下端部54’のスリット部に達する。このとき、筐体51に軽い振動を加えることもできる。ベルトコンベヤ12と一対の箸送りホイール53、53とを駆動する。そうすると、1本ずつ並んでいる箸H、H、…の両端部近傍を一対の箸送りホイール53、53の掴み溝53’、53’が掴み、そしてベルトコンベヤ12の板状突起21、21の間に落とす。これにより、ホッパ11内の箸H、H、…が1本宛ベルトコンベヤ12に確実に供給される。
【0054】
図10により、第2の実施の形態に係るホッパ11’について説明する。前記実施の形態に係る箸の頭揃え装置1の構成要素と同じような要素には、同じ参照数字もしくは同じ参照番号にダッシュ「’」を付けて詳しい説明はしない。ホッパ11’は、図10の(ア)に示されているように、概略的に、ホッパ本体61と箸押さえブラシ62とから構成されており、所定の角度で傾斜しているベルトコンベヤ12の上流部に設けられている。ホッパ本体61は、長方形の板材からなり背面を構成している背面板63と、背面板63よりも短い長方形の板材からなり前面を構成している前面板64と、2枚の側面板65、65とから、略方形の漏斗状を呈するように構成されている。背面板63は、図10の(イ)に示されているように、ホッパ11’内に投入された箸H、H、…が滑らかに滑るように斜めに設けられているが、ベルトコンベヤ12上の板状突起21、21、…とに設けられている隙間D1は、箸の頭の径よりも狭いので、箸H、H、…が隙間D1から抜けて下方に落下する恐れは無い。そして、前面板64は、背面板63から所定長さ離間して、垂直に設けられているので、背面板63と前面板64とは、ベルトコンベヤ12の上流部の傾斜面を比較的長い範囲D2だけ囲っている。さらに、前面板64はベルトコンベヤ12上の板状突起21、21、…と、所定幅D3だけ離間しているので、後で説明するように、箸押さえブラシ62で落とされた箸H、H、…は、ベルトコンベヤ12上を転がって、所定幅D3を抜けて再びホッパ本体61内に戻ることができる。このようなホッパ本体61の前方に、ブラケット66を介して箸押さえブラシ62が取り付けられ、箸押さえブラシ62のブラシが板状突起21、21、…とわずかに接している。
【0055】
ホッパ11’の作用について説明する。ベルトコンベヤ12を矢印Y3方向に駆動して、箸H、H、…をホッパ本体61に投入する。投入された箸H、H、…は、背面板63上を滑ってホッパ本体61内を落下して、板状突起21、21、…の間に1本宛挿入される。ベルトコンベヤ12の上流部は所定の角度に傾斜しているが、箸H、H、…は、板状突起21、21、…に支持されているので、傾斜面を滑り落ちることなくベルトコンベヤ12上を搬送される。ベルトコンベヤ12上に設けられている板状突起21、21の間隔は、ちょうど1本の箸Hが挿入される幅に選定されているので、板状突起21、21、…の間に挿入される箸は1本のみであるが、希に挿入されている箸Hの上に他の箸Hが重ねられてベルトコンベヤ12上を搬送され、ホッパ本体62から排出されることがある。このように重ねられて搬送される箸H、H、…は、箸押さえブラシ62のブラシで押さえられる。そうすると押さえられた箸H、H、…は、ベルトコンベヤ12上を傾斜の方向に転がって、前記したように、前面板64の下部に設けられている所定幅D3を通り抜けて、再びホッパ本体62内に戻る。このようにして、ホッパ11’内の箸H、H、…が1本宛ベルトコンベヤ12上の板状突起21、21、…の間に挿入されて、確実に搬送される。
なお、本実施の形態に係るホッパ11’においては箸押さえブラシ62はホッパ本体61とは別に設けられるように説明したが、前面板64の下部に設けられている所定幅D3の部分に設けても良い。このようにするとホッパ11’の構造がさらにシンプルになり、低価格でホッパ11’を提供できる。
【0056】
本実施の形態に係る箸の頭揃え装置は、色々な変形が可能である。例えば、箸の重心が中点より箸の頭側に偏っていることを利用して箸の頭を揃える、第1〜4の実施の形態に係る装置においては、箸を中点近傍で支えて、箸の頭から落下させればよいので、第1、第2の実施の形態に係る箸の頭揃え装置において、箸の頭揃え板は線状振分部を備えていれば揃えることができ、線状振分部から延在する形でベルトコンベヤ側へ突き出た突起が無くて実施できる。このように実施するときは、ベルトコンベヤ上に形成されている板状突起が、ベルト幅中央部でとぎれている必要は無い。また、第3、4の実施の形態に係る箸の頭揃え装置においては、振分板31の代わりに棒状の突起でも実施できる。このように棒状の突起で実施するときも、棒状の突起が箸を中点近傍で支えるので、箸は頭から落下して箸の頭を揃えることができる。さらに、上記した箸の頭揃え板や箸の頭揃え筒を備えた箸の頭揃え装置以外にも、ベルトコンベヤだけで箸の頭揃え装置を構成することもできる。すなわち、ベルトコンベヤのベルトを下流において、ベルトの幅の中線で折り曲げてベルト上に線状振分部を形成してもよい。このように実施すると、ベルト上の線状振分部を境界に両側に、ベルトにより下降するスロープ部が形成されるので、搬送される箸は、所定の箇所まで搬送されると、線状振分部に箸の中点が支持されて、そして箸の頭からスロープ部を落ちることになる。
【0057】
箸の頭部分と箸の先端部の摘み部分とで径が異なることを利用して箸の頭を揃える第5、6の実施の形態に係る装置については、箸を搬送するベルトコンベヤとの間に所定の間隔、すなわち箸の中点の径より大きく、箸の頭部分の径よりも小さい間隔だけ離間した、箸を挟持する部材が設けられていればよいので、例えば、第6の実施の形態において箸押さえガイド48の代わりに、ベルトコンベヤと同期して駆動される幅の狭い第2のベルトコンベヤを設けても実施できる。このように実施すると、箸と第2のベルトコンベヤとの間に滑りが生じないので、箸が傷つくことがないという、効果が得られる。
【0058】
また、頭を揃えられた箸は、洗浄籠K、K、…に入れられるように説明されているが、そのまま他のベルトコンベヤ等に載せて、箸洗浄ラインHSLに搬送されてもよい。さらには、第1の実施の形態に係る箸揃え装置には、箸を予洗する洗浄ノズル等が設けられているように説明されているが、洗浄ノズルがなくても実施できることは明らかである。すなわち、本実施の形態に係る箸揃え装置は、洗浄装置、殺菌装置、乾燥装置等の間のどの装置の間にも適用することもできる。例えば、包装する前に揃えるように実施することもできる。また、上記実施の形態では漆塗りされた比較的高価あるいは高級な塗り箸の頭揃えが想定されているが、安価な箸も同様にして箸の頭を揃えられることはもちろんである。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明に係る箸の頭揃え方法および箸の頭揃え装置は、単独で実施しても有用であるが、箸の再生装置例えば特許文献1に記載の箸の再生装置の一部に組み込んで実施するとさらに有用である。このように実施すると、ホッパに投入する箸の方向を格別に意識しなくても、確実に1膳の箸が同方向に揃えられて包装されることになる。さらには、箸を製造する工場に適用することも可能である。すなわち、本発明に係る箸の頭揃え方法および箸の頭揃え装置を適用すれば、ランダムに製造された箸を、頭を揃えて出荷することが可能となる。また、本発明に係る箸の頭揃え装置を、料亭、食堂等の厨房に直接設置して、使用済みの箸を使用現場において再生する際に、箸の頭を揃えることも可能である。
【0060】
さらに、箸の頭揃装置に適用される本実施の形態に係るホッパは、箸を確実に1本宛ベルトコンベヤに載せることができるので、箸の包装装置のホッパ、あるいは箸の洗浄装置のホッパとしても適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の実施の形態に係る箸の頭揃え装置が設けられている、箸の再生装置を模式的に示す斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る箸の頭揃え装置を示す斜視図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態に係る箸の頭揃え装置の一部を示す斜視図である。
【図4】本発明の第3の実施の形態に係る箸の頭揃え装置の一部を示す斜視図である。
【図5】本発明の第4の実施の形態に係る箸の頭揃え装置を模式的に示す図であり、その(ア)は頭揃え装置の一部を示す斜視図で、その(イ)は箸の頭揃え筒の側面図である。
【図6】本発明の第5の実施の形態に係る箸の頭揃え装置を示す斜視図である。
【図7】本発明の第5の実施の形態に係る箸の頭揃え装置の作用を模式的に示す図で、その(ア)〜(オ)は、箸の頭を先頭に箸がベルトから押し出される様子を段階的に示す、平面図である。
【図8】本発明の第6の実施の形態に係る箸の頭揃え装置を示す斜視図である。
【図9】第1の実施の形態に係るホッパを示す斜視図である。
【図10】第2の実施の形態に係るホッパを説明する図であり、その(ア)はホッパを示す斜視図であり、その(イ)はホッパの断面正面図である。
【符号の説明】
【0062】
1、2、3、4、5、6 箸の頭揃え装置
12 ベルトコンベヤ 15 箸の頭揃え板
17 ベルト 21 板状突起
22 間隔 25 線状振分部
26 スロープ部 27 突起
30 スロープ部 31 振分板
32 スロープ部 35 箸の頭揃え筒
41 振分ローラ 42 スロープ部
45 ベルトコンベヤ 48 箸押さえガイド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長さ方向の一端部が握り部の頭部に、他端部が摘み部分となり、そしてその重心が長さ方向の実質的な中点より頭部側に偏っている箸を揃える方法であって、
水平方向に一列に並んだ状態で搬送される箸の実質的な中点を、所定支持面積の不安定な支持部材で支持し、前記不安定な支持部材に支持されている箸が、重力により頭部の方から落下することを利用して、箸を所定方向に揃えることを特徴とする、箸の頭揃え方法。
【請求項2】
長さ方向の一端部の握り部が頭部に、他端部が摘み部分となり、そして頭部の径が摘み部分の径よりも実質的に大径になっている箸を揃える方法であって、
一列に並んだ状態で搬送装置により搬送される箸を、前記搬送装置と、該搬送装置と所定の規制間隔になるように配置されているガイド部材とにより挟んだ状態で搬送し、前記搬送装置と前記ガイド部材とにより挟まれている箸が、前記所定の規制間隔に捕捉されない頭部の方から抜けることを利用して、箸を所定方向に揃えることを特徴とする、箸の頭揃え方法。
【請求項3】
長さ方向の一端部の握り部が頭部に、他端部が摘み部分となり、そしてその重心が長さ方向の実質的な中点より頭部側に偏っている箸を揃える装置であって、
前記装置は、一列に並んだ状態で箸を搬送するコンベヤと、該コンベヤの下流端部に配置されている箸の頭揃え部材とからなり、
前記箸の頭揃え部材は、線状振分部を有し、前記コンベヤにより搬送される箸の実質的な中点が前記線状振分部に乗ると、箸が前記線状振分部から両側に頭部の方から重力により落下し、それによって箸の頭が揃えられるようになっていることを特徴とする、箸の頭揃え装置。
【請求項4】
長さ方向の一端部の握り部が頭部に、他端部が摘み部分となり、そして頭部の径が摘み部分の径よりも実質的に大径になっている箸を揃える装置であって、
前記装置は、一列に並んだ状態で箸を搬送する搬送装置と、該搬送装置と所定の規制間隔になるように配置されているガイド部材とからなり、
前記搬送装置と前記ガイド部材とにより挟まれている箸を、前記所定の規制間隔に捕捉されない頭部の方から抜き、それによって箸を所定方向に揃えることを特徴とする、箸の頭揃え装置。
【請求項5】
請求項4に記載の装置において、前記ガイド部材が前記搬送装置と同期して駆動されるベルトである、箸の頭揃え装置。
【請求項6】
請求項3〜5のいずれかの項に記載の箸の頭揃え装置が、洗浄水噴射ノズルからなる洗浄装置と、オゾン水噴射ノズルからなる殺菌装置と、空気噴射ノズルと温風噴射ノズルとからなる乾燥装置とに組み込まれるようになっている、箸の頭揃え装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−126689(P2009−126689A)
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−306815(P2007−306815)
【出願日】平成19年11月28日(2007.11.28)
【出願人】(507155498)
【出願人】(507340854)
【出願人】(507340865)
【Fターム(参考)】