説明

粉体収容装置

【課題】粉体収容装置において、トナー、現像剤、廃トナーや廃現像剤などの粉体がシール部材へ付着すること及び容器の外部へのこぼれを極力防止すること。
【解決手段】トナー、現像剤、廃トナー及び廃現像剤の少なくともいずれかをパイプ状の搬送部材4内を一方向(矢印B方向)に搬送し、搬送部材4の一端開口部から容器20に落下させて収容する粉体収容装置。容器20は搬送部材4の一端部を突入させるように画像形成装置の本体部分に装着/取外し可能である。容器20の前記一端部に対向する部分には弾性を有するシール部材25が取り付けられている。搬送部材4の一端部に配置されたシャッター部材33に、搬送部材4の一端部が容器20に突入した際に、前記一端部の下側部分とシール部材25(下側舌片27a)との間に介在する突出部34を設け、突出部34はシール部材25(下側舌片27a)の先端とほぼ同じ又は該先端よりも容器20の内方に突出した長さを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉体収容装置、特に、電子写真方式の複写機やプリンタなどにおけるトナー、現像剤、廃トナー及び廃現像剤などの粉体を容器へ供給/回収するための粉体収容装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、電子写真方式による画像形成装置では、感光体などの像担持体から除去された廃トナー、あるいは、現像器から除去された廃現像剤を回収する廃棄粉体回収装置を備えている。この種の回収装置は、廃トナーや廃現像剤を、図11に示すように、搬送スクリュー131によって搬送パイプ105内を矢印B方向に搬送し、一端開口部132から下方に落下させ、回収容器120の所定箇所に収容するようにしている。
【0003】
回収容器120は搬送パイプ105の一端部を突入させるように画像形成装置の本体部分に対して装着/取外し可能であり、この回収容器120の搬送パイプ105の一端部に対向する部分には弾性を有するシール部材125(図12参照)が取り付けられている。シール部材125には、切れ目126を放射状に設けることで複数の舌片127a,127bが形成されている。舌片127a,127bは、搬送パイプ105の一端部が突入しているときは、図11に示すように、一端部によって屈曲され、回収容器120を装置本体部分から取り外したときは、図12に示すように、復元して突入部分を閉止する。
【0004】
しかしながら、前記舌片127a,127bは搬送パイプ105の軸心を中心とする放射状の切れ目126によって形成されているため、上側舌片127bも下側舌片127aも比較的長く、特に下側舌片127aの先端部は開口部132に突出しているために廃トナーTが付着する。回収容器120が本体部分から取り外されると、下側舌片127aが垂直方向に復帰するが、このとき、付着している廃トナーTが回収容器120の外側にこぼれ、装置内部、設置床面、あるいは、ユーザーの手を汚損するという問題点を有している。
【0005】
従来では、特許文献1に記載されているように、トナー収容器のシールの切れ目をシールの内側と外側とで一致させないことで高いシール性を得るものが知られている。確かに、このシール部材ではシール性の向上を図ることができるが、舌片にトナーが付着し、かつ、外部にこぼれ落ちることを解消することまでも意図していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−085458号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、トナー、現像剤、廃トナーや廃現像剤などの粉体がシール部材へ付着すること及び容器の外部へのこぼれを極力防止できる粉体収容装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一形態である粉体収容装置は、
トナー、現像剤、廃トナー及び廃現像剤の少なくともいずれかをパイプ状の搬送部材内を一方向に搬送し、該搬送部材の一端開口部から容器に落下させて収容する粉体収容装置において、
前記容器は前記搬送部材の一端部を突入させるように画像形成装置の本体部分に装着/取外し可能であり、
前記容器の前記一端部に対向する部分には弾性を有するシール部材が取り付けられ、
前記搬送部材の一端部に配置されたシャッター部材に、前記搬送部材の一端部が前記容器に突入した際に、前記一端部の下側部分と前記シール部材との間に介在する突出部を設け、
前記突出部は前記シール部材の先端とほぼ同じ又は前記シール部材の先端よりも前記容器の内方に突出した長さを有すること、
を特徴とする。
【0009】
前記粉体収容装置においては、搬送部材の一端部に配置されたシャッター部材に、搬送部材の一端部が容器に突入した際に、該一端部の下側部分とシール部材との間に介在する突出部を設け、該突出部はシール部材の先端とほぼ同じ又はシール部材の先端よりも容器の内方に突出した長さを有するため、搬送部材内を搬送されて一端部から容器に落下する粉体がシール部材に付着することがほとんどなくなる。それゆえ、容器が装置の本体部分から取り外された際、即ち、舌片が元のシール状態に復元する際、粉体が外部にこぼれることが極力防止される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、トナー、現像剤、廃トナーや廃現像剤などの粉体がシール部材へ付着すること及び収容容器の外部へのこぼれを極力防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】画像形成装置の要部を示す概略構成図である。
【図2】廃棄粉体回収容器を示す正面図である。
【図3】第1実施例である回収装置を示し、図2のX−X断面図である。
【図4】搬送パイプの一端部を示す斜視図である。
【図5】搬送パイプに設けたシャッターを示し、(a)は斜視図、(b)は側面図である。
【図6】(a)は搬送パイプを示す断面図、(b),(c)はともにシール部材の切れ目を示す正面図である。
【図7】(a),(b)ともにシール部材の切れ目を示す正面図である。
【図8】廃棄粉体回収装置の要部を示す拡大断面図であり、(a)は装着時、(b)は取外し途中、(c)は取外し完了時を示す。
【図9】(a),(b)ともにシャッターの他の例を示す斜視図である。
【図10】第2実施例である回収装置の要部を示す断面図である。
【図11】従来の廃棄粉体回収装置の要部を示す拡大断面図である。
【図12】図11に示した装置に使用されているシール部材の切れ目を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る粉体収容装置の実施例について、添付図面を参照して説明する。なお、各図において同じ部材、部分には共通の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0013】
図1に示す画像形成装置は、タンデム式のカラー画像形成装置であって、並置された作像ユニット1に含まれる感光体ドラム2のそれぞれ形成されたトナー画像を、矢印A方向に回転する中間転写ベルト10に1次転写して合成し、合成されたトナー画像を2次転写部15にて図示しない用紙上に2次転写するようにしたものである。符号に添付したy,m,c,kは、それぞれ、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの画像を形成する部材であることを示している。
【0014】
作像ユニット1は、感光体ドラム2、現像器3を中心に構成され、感光体ドラム2上から除去された廃棄トナーは搬送パイプ4を通じて、また、現像器3から除去された古いキャリアを含む廃棄現像剤は搬送パイプ5を通じて、それぞれ、図2に示す回収容器20に搬送される。回収容器20の内部において、廃棄粉体は図2に点線で示す経路を辿り、中央部分20aに集められ、図示しない容量検知センサによって回収量が検知される。回収容器20の内部での廃棄粉体の搬送については、特開2010−145812号公報に記載されており、本回収装置も同様の構成とされている。
【0015】
また、中間転写ベルト10の直上には、補給用のトナーを収容したトナーボトル16が設置されている。中間転写ベルト10上の残留トナーもクリーニング部11によって除去され、この部分からの廃トナーも以下に説明する回収機構と基本的には同様の構成によって回収容器20に回収される。なお、中間転写ベルト10からの廃トナーの回収経路に関して、その説明は割愛する。
【0016】
第1実施例において、回収容器20は、図3に示すように、搬送パイプ4の一端部を突入させた状態で画像形成装置の本体部分に装着可能であり、都合8本の搬送パイプ4,5がそれぞれ突入可能な開口部分が設けられている。搬送パイプ4は、図3及び図4に示すように、内部に搬送スクリュー31が一方向に回転駆動可能に配置され、該スクリュー31の回転によって廃トナーが一端部に向けて矢印B方向に搬送される。搬送パイプ4の一端部の下部には開口部32が形成され、シャッター33が図示しないばね部材にて矢印B方向に付勢された状態で設置されている。このシャッター33は、回収容器20が画像形成装置の本体部分に装着された際、回収容器20の壁部20bで規制され、開口部32を開放する。一方、回収容器20が本体部分から取り外されると、壁部20bによる規制がなくなり、開口部32を閉止する。なお、図4はシャッター33が開口部32を開放している状態を示している。
【0017】
回収容器20の前記開口部分には、シール部材25が貼着されている。このシール部材25は、弾性を有するシートであって、スポンジや発泡性樹脂材を好適に用いることができる。搬送パイプ4の断面形状は図6(a)に示すとおりであり、その断面形状(内径)とシール部材25との相対的な位置関係は、図6(b),(c)、図7(a),(b)に示されている。詳しくは、シール部材25には複数の切れ目26を設けることで略上下方向に分割された複数の舌片27a,27bが形成され、下側舌片27aは上側舌片27bよりも弾性変形部分が短い。換言すれば、切れ目26の交点Pは搬送パイプ4の断面の中心点Oよりも下方に位置している。切れ面26の入れ方、即ち、舌片27a,27bの形状は様々であり、その代表的な形状を図6(b),(c)、図7(a),(b)に示す。
【0018】
前記シャッター33には、さらに、開口部32を部分的に覆う突出部34が一体的に設けられている。この突出部34は、図5に示すように、シャッター33の一端開口部から突出し、かつ、シャッター33の下側部分に沿って円弧状に形成されている。
【0019】
回収容器20が画像形成装置の本体部分に装着されて搬送パイプ4の一端部が回収容器20に突入した際、舌片27a,27bは、図8(a)に示すように、搬送パイプ4の一端部によって屈曲され、シャッター33の突出部34は搬送パイプ4の一端部の下側部分とシール部材25の舌片27aとの間に介在することになる。つまり、舌片27aはその上面が突出部34に覆われているため、舌片27aには開口部32から落下する廃トナーTが付着することはない。
【0020】
回収容器20が本体部分から取り外される状態を図8(b),(c)に示す。取外しの途中(図8(b)参照)において、舌片27aはシャッター33の突出部34によって覆われた状態にあり、廃トナーTが付着することはない。回収容器20を本体部分から完全に取り外したとき(図8(c)参照)、舌片27a,27bは平面状態に復元して回収容器20の開口部分(搬送パイプ4の突入部分)を閉止する。このように、舌片27a,27bが元のシール状態に復元する際、廃棄粉体が外部にこぼれることはない。また、下側舌片27aは短いために、その先端部が開口部32を塞いだり、搬送パイプ4とシャッター33との間に挟み込まれる不具合もない。
【0021】
シール部材25に形成される切れ目26は、図7(a),(b)に示すように直線状であってもよく、図6(b),(c)に示すように円弧状のものを含んでいてもよい。特に、搬送パイプ4の断面形状に沿った円弧状の切れ目26を設けることにより、シール性を損なうことなく廃棄粉体のこぼれを効果的に防止することができる。
【0022】
本実施例において、シャッター33の突出部34は、搬送パイプ4の一端部が回収容器20に突入した際に、シール部材25の下側舌片27aの先端と同じ位置になる長さを有している。これに限らず、突出部34は下側舌片27aの先端よりも回収容器20の内方に突出する長さを有していてもよい。
【0023】
また、突出部34は、図9(a)に示すように、搬送パイプ4の一端部の下側部分から側面部分にまで延在されていてもよい。あるいは、突出部34は、図9(b)に示すように、搬送パイプ4の一端部の全周を囲うように設けられていてもよい。
【0024】
次に、回収装置の第2実施例について図10を参照して説明する。本第2実施例においては、図12に示した、上側舌片127bと下側舌片127aとが同じ長さのシール部材125を用いている。前記第1実施例と比べて、下側舌片127aが長くなっているのに応じて、シャッター33の突出部34が舌片127aの先端とほぼ一致するように長く設けられている。
【0025】
なお、本発明に係る粉体収容装置は前記実施例に限定するものではなく、その要旨の範囲内で種々に変更することができる。
【0026】
特に、電子写真方式による画像形成部分の構成などは任意であり、回収容器の細部の構成やシール部材の細部の形状も任意である。また、本発明は、廃トナーや廃現像剤の回収装置に限らず、トナーや現像剤を現像槽に供給する装置に適用することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0027】
以上のように、本発明は、粉体収容装置に有用であり、特に、粉体がシール部材に付着すること及び収容容器の外部へのこぼれを極力防止できる点で優れている。
【符号の説明】
【0028】
1…作像ユニット
2…感光体ドラム
4…搬送パイプ
20…回収容器
25…シール部材
27a…下側舌片
27b…上側舌片
31…搬送スクリュー
32…開口部
33…シャッター
34…突出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー、現像剤、廃トナー及び廃現像剤の少なくともいずれかをパイプ状の搬送部材内を一方向に搬送し、該搬送部材の一端開口部から容器に落下させて収容する粉体収容装置において、
前記容器は前記搬送部材の一端部を突入させるように画像形成装置の本体部分に装着/取外し可能であり、
前記容器の前記一端部に対向する部分には弾性を有するシール部材が取り付けられ、
前記搬送部材の一端部に配置されたシャッター部材に、前記搬送部材の一端部が前記容器に突入した際に、前記一端部の下側部分と前記シール部材との間に介在する突出部を設け、
前記突出部は前記シール部材の先端とほぼ同じ又は前記シール部材の先端よりも前記容器の内方に突出した長さを有すること、
を特徴とする粉体収容装置。
【請求項2】
前記突出部は前記搬送部材の一端部の下側部分から側面部分にまで延在されていること、を特徴とする請求項1に記載の粉体収容装置。
【請求項3】
前記突出部は前記搬送部材の一端部の全周を囲うように設けられていること、を特徴とする請求項1に記載の粉体収容装置。
【請求項4】
前記シール部材は複数の切れ目を設けることで少なくとも上下に分割された複数の舌片が形成され、下方に位置する舌片は上方に位置する舌片よりも弾性変形部分が短いこと、
を特徴とする請求項1、請求項2又は請求項3に記載の粉体収容装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−64808(P2013−64808A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−202493(P2011−202493)
【出願日】平成23年9月16日(2011.9.16)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】