説明

粒体搬送容器

【課題】収容量を所定量確保でき、粒体収容時の重心が低重心で、排出時の操作が容易であるとともに、耐久性があり大きい容量でも対応可能である粒体搬送容器を提供する
【解決手段】穀物等の粒体を収容する粒体収容部10と、この粒体収容部10の底部の粒体を排出する粒体排出部2とを有する粒体搬送容器1において、粒体排出部2は粒体を粒体排出部2の一端側に送る送り機構20と、この粒体排出部2の一端側に設けられ送り機構20により送られる粒体を外部に排出する排出口部4と、送り機構20に粒体が供給される供給量を調整する開閉シャッター30とで構成され、開閉シャッター30に臨む底板13は、粒体収容部10を構成する枠体11に対し揺動可能に設けられているとともに送り機構20に近い側が低い傾斜面を有し、送り機構20の駆動されているときのみ底板13が揺動手段5により揺動可能である粒体搬送容器1による。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圃場で収穫した穀類等の粒体を乾燥機などの他の処理手段まで搬送する粒体搬送容器に関するもので、搬送後、容器内の穀類等の粒体を排出する排出機能を有した粒体搬送容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の穀類等の粒体を搬送する粒体搬送容器の従来技術として、特開昭63−191786号公報(従来技術1)の「籾コンテナ」が公開されている。また、実開平2−20436号公報(従来技術2)の「グレンバスケット」が公開されている。これらは、いずれも容器底部分のスクリュー搬送体に粒体を自然流動させるために容器内に設けた傾斜部のスペースをシート部材や復元部材により構成した容器を膨らませスペースを利用するとともに排出時に復元力により粒体をスクリュー搬送体に流動させるように構成したものである。さらに、特開平11−189290号公報(従来技術3)の「粒体搬送容器」には、容器底の傾斜部を排出時に排出方向に持ち上げ排出する構成が公開されている。
【特許文献1】特開昭63−191786号公報(従来技術1)
【特許文献2】実開平2−20436号公報(従来技術2)
【特許文献3】特開平11−189290号公報(従来技術3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の穀物などの粒体搬送容器は、収容された粒体を排出するための粒体排出部を容器底部に設け、収容された粒体が粒体排出部に自然流動するように底部に傾斜部を設けていた。このため、トラック荷台スペース内で容器の所定の容量を確保するためには、この傾斜部により発生する容器外側のスペース分を容器高さを高くすることで確保することになる。
【0004】
粒体搬送容器は、通常トラックやトレーラーに積み込まれ搬送されるが、このとき粒体搬送容器の高さが高いと重心も高くなり、不整地などの搬送途中における転倒事故の危険を伴うことになる。このためできるかぎり重心の低い粒体搬送容器が望まれていた。また、乾燥機などの置かれている建物の入口の高さによっては乾燥機まで搬送できない問題が発生するため高さの低い粒体搬送容器が望まれていた。
【0005】
従来技術1の「籾コンテナ」は、所定範囲に亘る上下動が自在な外郭体を形成し、外郭体の下端縁に断面V字状に窄まり、下端に切り口を形成したシート部材を接続し、シート部材の切り口を中央下底部に設けたスクリューコンベアに通じさせて構成されていて、容器内に収容された粒体の重量で外郭体が下降するとともに可撓性シート部材の変形により重心を下げようとしたものであるが、収容粒体の種類や水分の差異による外郭体の上昇付勢力の精度の良い調整が必要で、付勢力が強いと下降量が少なく、弱いと排出時シートが持ち上がらず排出ができないという不都合が発生する。また、繰り返し大きく変形される可撓性シートの耐久性が懸念されるとともに、大型の容器には強度上不向きである。
【0006】
従来技術2の「グレンバスケット」は、籾を収容することで2枚の復元部材が外側に膨らみ容量を確保し、排出する時に順次2枚の復元部材をV字状に復元するものであるが、復元部材の長期にわたる耐久性に困難が認められ、復元力が低下すると排出ができなく残量が多くなる。また大型の容器には強度上不向きである。
【0007】
従来技術3の「粒体搬送容器」は、排出時に傾斜されている可動底板を排出側に回動させ落下流出させるものであるが、傾斜された板で形成された容器外側スペースが大きく重心の改善が期待できない。また、可動底板に張られた可撓性材が繰り返し伸縮されるため耐久性が懸念される。また、可動底板の回動用リフト機構の操作が手動で行う必要があり排出時常に作業者が付いている必要がある。
【0008】
このため本発明の目的は、収容量を所定量確保でき、粒体を収容時の重心が低重心で、排出時の操作が容易であるとともに、耐久性があり大きい容量でも対応可能である粒体搬送容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、穀物等の粒体を収容する平面略矩形状を呈する粒体収容部と、この粒体収容部の底部に形成され収容粒体を排出する粒体排出部とを有する粒体搬送容器において、前記粒体排出部は粒体を粒体排出部の一端側に送る送り機構と、この粒体排出部の一端側に設けられ前記送り機構により送られる粒体を粒体収容部の外部に排出する排出口部と、前記送り機構に粒体が供給される供給量を調整する開閉シャッター部とで構成され、該開閉シャッター部に臨む粒体収容部の底板は、粒体収容部を構成する枠体に対し揺動可能に設けられているとともに粒体排出部の送り機構に近い側が低い傾斜面を有し、前記送り機構が駆動されているときのみ前記底板が揺動手段により揺動可能であることを特徴とした粒体搬送容器を提案する。
【0010】
又、粒体収容部の底板は、粒体収容部を構成する枠体に弾性部材で保持されることで揺動可能に設けられていることを特徴とした0009欄記載の粒体搬送容器を提案する。
【0011】
更に、粒体収容部を構成する枠体および又は底板に設けたガイド部材に案内され前記底板が揺動可能であることを特徴とした0009欄記載の粒体搬送容器を提案する。
【0012】
更に又、前記底板上面には、上方に突設させて設けた粒体の撹拌部材が複数設けられていることを特徴とした0009・0010・0011欄記載のいずれかに記載の粒体搬送容器を提案する。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の発明によれば、送り機構に粒体が供給される供給量を調整する開閉シャッター部に臨む粒体収容部の底部の底板は、粒体収容部を構成する枠体に対し揺動可能に設けられているとともに粒体排出部に近い側が低い傾斜面を有しているため、底板が揺動することで収容された底板部の粒体は低い側の粒体排出部側へ自重移動し粒体排出部により排出される。このため、底板は自然流動させるための大きい角度を必要とせず、水平より僅かの角度を有するだけでよく、従来の自然流動させるために底板を傾斜させていたスペースを粒体収容スペースとして利用できるため、粒体収容部の高さ寸法を低く抑えることができるとともに、粒体収容時の重心を下げることができるためトラックに積載時の走行時の安定性が改善される。
【0014】
また、送り機構が作動していないときに底板を揺動させると、送り機構側に粒体が圧縮され粒体の損傷が発生する問題や開閉シャッター部に過度の負荷が作用し変形するなどの不都合が発生する場合や、底板との過度の摩擦や圧縮により粒体の損傷が発生する問題がある。本発明では送り機構が駆動されているときのみ底板が揺動可能であるため、このような問題を回避できる。さらに、底板の揺動手段の駆動を粒体排出部の送り機構の動力と連動させる等により、排出作業時に作業者が特別な作業を必要とする機構が無いため操作性が良い粒体搬送容器となる。さらにまた、粒体収容部を可撓性シート等の耐久性の懸念される部材を使用することなく構成できるため耐久性が良い粒体搬送容器を提供できる。
【0015】
請求項2の発明によれば、粒体収容部の底板は、粒体収容部を構成する枠体に弾性部材で保持されることで揺動可能に設けられているため、揺動手段により揺動させる場合あらゆる方向に不特定揺動可能となり、収容粒体の自重移動をより活発にさせ流動性の劣る粒体の排出も良好に行うことができる。
【0016】
請求項3の発明によれば、粒体収容部を構成する枠体および又は底板に設けたガイド部材に案内され前記底板が揺動可能であるため、ガイド部材により一定方向の揺動が行われ、揺動手段が最も動力が少なく効率よく粒体を移動させるのに適した方向の揺動設定が可能となり効率よい排出ができる。
【0017】
請求項4の発明によれば、底板上面には、上方に突設させて設けた粒体の撹拌部材が複数設けられていることにより、底板の揺動により底板に近接した粒体のみならずその上方の粒体の揺動も行うため、貯留粒体の停滞を防止して効率よく排出作業を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。図1は本発明の底板が弾性部材で保持された粒体搬送容器の正面視の断面図、図2は開閉シャッター部の要部断面図、図3は底板がガイド部材に案内されて揺動する構成の本発明の粒体搬送容器の正面視断面図、図4は本発明の別実施例の粒体搬送容器の正面視断面図、図5は駆動部の断面した平面図、図6は粒体排出部と排出ホース部の横断面図、図7は粒体搬送容器の使用状態を示した側面図、図8は従来の粒体搬送容器の正面視の断面図を示したものである。
【0019】
図8において従来の穀類などの粒体搬送容器の説明をする。トラックなどの運搬車の荷台に搭載されて使用されるため平面略矩形を呈し、粒体搬送容器1の底板長手軸線方向に谷部が形成されていて、この谷部底には収容された粒体を排出する粒体排出部2を有し、粒体排出部2には谷部略全長に亘り螺旋状に構成され粒体を移送する底スクリュ軸201が設けられ、移送方向終端側に排出口部4が設けられていて収容された粒体を容器外に排出する。底スクリュ軸201部には底スクリュ軸部への粒体の流入量を調整する開閉シャッター30が設けてあり、開閉シャッター30を上下動させることで底板13aとの間隔を調整し流量を調整する。底の谷部斜面(底板13a)は、収容された粒体が自然流動により送り機構20である底スクリュ軸201部に流れ込むための傾斜角が必要で、容器の下方外側に大きな空間部が形成されている。このため、所定の容器の容量を確保しようとすると空間部の容量が無駄になりトラックの荷台寸法が決まっているため容器の高さを高くすることになる。また、粒体を収容すると全体の重心が上方になり、トラックなどの運搬車に積載し移動する場合に転倒事故等の危険がある。
【0020】
本発明の粒体搬送容器1は、前記底板13外側空間部を最小限にするべく構成したもので、図1及び図2において一つの実施例を説明すると、平面略矩形の粒体収容部は、下方の枠体11と上方の上部枠体12とで構成され、内部が粒体を収容する粒体収容部10となっている。上部枠体12は前後左右それぞれに四分割されていて、下方の枠体11との連結部で回動可能に設けられ、上部四隅部に設けたロックレバー121を解除することで未使用時に容器内側にそれぞれ枠体回動ピン135を回動支点として折畳みできるように構成されている。
【0021】
粒体搬送容器1には、粒体排出部2が設けてあり、送り機構20と開閉シャッター部3及び排出口部4とから構成されている。粒体搬送容器1の底部には、収容された粒体を排出口部4へ搬送する送り機構20が底板13長手方向に亘って設けられている。送り機構20は、枠体11最深部に枠体11長手方向略全長に亘り逆台形凹状の樋を設け、この樋部内に回転軸外周に螺旋状羽根を有して構成され粒体を移送する底スクリュ軸201が設けられ、粒体移送始端側の底スクリュ軸201端部に固着された底スクリュプーリ202にモータ21よりVベルトで動力が伝達されて回転し粒体を移送するように構成されている。
【0022】
開閉シャッター部3は、粒体排出部2に流入する粒体量を調節するためのもので、送り機構20の底スクリュ軸201上方部に枠体11長手方向全長に亘り逆U字状の底スクリュカバー22が設けられていて、その下方部である底スクリュ軸201左右両側は、底スクリュ軸201に流入する粒体の流入量を調節する開閉シャッター30が枠体11長手方向略全長に亘り底スクリュカバー22に沿って設けてある。開閉シャッター30は、枠体11前後壁に垂直方向に且つ枠体11内側に立設させ底スクリュ軸201左右側に設けたシャッターガイド33に案内され上下動自在であり、逆台形凹状の樋と開閉シャッター30下方の隙間を開閉調整して流量を調節する。
【0023】
流量調節は、粒体搬送容器1外側に操作可能に設けた操作レバー31をレバーガイド32の目盛りを目安に回動させることで可能に構成されている。枠体11前後に水平軸架されたレバー軸34の一端に操作レバー31が固着されていて、レバー軸34の容器内側前後2箇所に軸外方に突設させたレバー軸アーム341が外端に水平方向のリンクピン36を設け、開閉シャッター30の左右中央部上方の前後2箇所に設けた水平方向シャッター作動ピン301とを板状のリンクプレート35の両端をそれぞれ回動自在に連結してあり、操作レバー31を下方に回動するとレバー軸アーム341が上方に回動し、回動角に比例し連結されたリンクプレート35が上方に開閉シャッター30を吊り上げ開閉シャッター30が開かれる。逆台形凹状の樋部の一部は下方に回動可能に設けた底開閉カバー203となっていて、開放することで容器内部の残留粒体の除去や掃除が可能である。
【0024】
逆台形凹状の樋部の一端から樋部から遠くなるほど高くなる緩い左右方向の傾斜を有した底板13が枠体11底部に設けてあり、底板13は枠体11に対し複数箇所設けた弾性部材132を介して枠体11に取り付けられ枠体11に対し揺動可能に設けてある。底板13の送り機構20側の端面には、揺動時の粒体の漏れ防止のためのシール材としてポリシート材などの可撓性板材の一端を枠体11に固定し他端を底板13側に湾曲当接させシールさせているシール部材136を設けている。また底板13の他の枠体側の三方端面には枠体11側から垂れ下げた帆布やポリシート材などの可撓性材で底板と枠体の隙間の漏れを防止しているシート材137を設けている。
【0025】
底板13外側下方には、揺動手段5が設けられていて、底板13と連結されていてモータ21の駆動により底板13を揺動させる。揺動手段5は前後方向水平に設けた回転軸である揺動軸52に、回転中心を偏心させて回動可能に連結した揺動ロッド54が設けられ、揺動ロッド54他端は前記揺動軸52と平行に設けた連結ピン55により底板13と回動自在に連結されていて、揺動軸52がモータ21により回転すると揺動ロッド54が連結部の偏心により揺動運動となり、他端に連結され枠体に弾性部材132を介して揺動可能に設けられた底板13を揺動させる。底板13を揺動することで送り機構20側に傾斜した底板13上の粒体は、自然流動できない傾斜角度であっても送り機構20側に流動し排出される。弾性部材132により支えられた底板13は不特定方向に不規則に揺動するため粒体の移動をより活発にさせる。本例の弾性部材132はゴム部材を使用したがコイルバネや板バネ等の弾性体であってもよい。
【0026】
底板13上面には、丸棒を立設させた撹拌部材131が枠体上方を向け複数設けてあり、底板13の揺動により底板13に接近した粒体のみならずその上方の広い範囲の粒体を撹拌部材131が動かすため貯留粒体の停滞を防止し排出をより効率よく行うためのものである。撹拌部材131は丸棒のみに限らず平板等でもよく、底板13の上方に突設させた撹拌可能部材であれば良い。
【0027】
図3は、枠体11に対し底板13をガイドローラ133により案内し揺動させる構成を示したもので、底板13の外側下方に前後方向の水平軸に回転自在に設けたガイドローラ133を複数設け、これを案内するガイド部材134を枠体11側に設け、底板13を底板下方に設けた揺動手段5によりガイド部材134にガイドさせ揺動させるものである。本例においてはガイド部材134を底板13と平行に設けてあるが、ガイド部材134を非平行に設けることや変形させることで底板13の粒体に対する作用力の方向を変更できるため、より効率よく流動性を確保できる底板13の揺動運動を設定可能にする
【0028】
図4は本発明の底板13部の別実施例を示したもので、底スクリュ軸201を有する送り機構20部を枠体11中央部に設け、これに臨む底板13を左右両側に上向き傾斜させ設けた構成のものである。枠体11に弾性部材132によりそれぞれ保持された左右の底板13外側下方には、それぞれ揺動手段5が設けてあり、モータ21の駆動により揺動手段5を駆動させることにより、これと連結された左右の底板13が揺動される。揺動することにより、底板13が自然流動できない傾斜角度であっても送り機構20側に左右から粒体が強制流動され排出される。本例の底板13は、枠体11に対し弾性部材132で支えられ揺動可能であるが、枠体11および又は底板13に設けたガイド部材に案内され底板13が揺動可能に設けてもよい。
【0029】
図5・図6により粒体搬送容器1の駆動部の説明を行う。モータ21の出力軸に固着されたモータプーリ210に巻着されたVベルト23aにより伝達された動力は、底板13下方外側に設けた揺動手段5に伝達される。揺動手段5は、前後方向水平に回転自在に設けた揺動軸52と、その軸端に設けられた動力が入力されるアイドラープーリ51と、揺動軸52と底板13とに連結され揺動する揺動ロッド54で構成されている。軸端部に設けたアイドラープーリ51に伝達された動力は揺動軸52を回転させる。揺動軸52は前後に設けた玉軸受ユニット57により支持され回転自在に設けられていて、玉軸受ユニット57の間には前後2箇所揺動ロッド54が設けてある。揺動ロッド54は揺動軸52に挿入して固着され揺動軸52回転中心より外径中心が変位した偏心カラー53にベアリング56を介して根元部が挿入され、揺動軸52が回転すると偏心カラー53の偏心により揺動ロッド54の根元部は揺動軸52と直交する方向に揺動する。これにより揺動ロッド54他端に連結された底板13が揺動する。
【0030】
前記アイドラープーリ51には、Vベルト溝が2本設けられていて、モータ21側より伝達された動力は他方のVベルト溝に巻着されたVベルト23bにより粒体排出部2の送り機構20の底スクリュ軸201端部に設けた底スクリュプーリ202に伝達され底スクリュ軸201は回転駆動されている。このため、送り機構20の底スクリュ軸201が回転すると、底板13が揺動手段5により揺動する。
【0031】
底スクリュ軸201の排出口部側端部は、第1搬送ケース41の入力軸と連結保持されていて、動力は第1搬送ケース41部に伝達される。伝達された動力は、第1搬送ケース41内のベベルギヤ43を介して底スクリュ軸201と直行する垂直方向に設けた縦スクリュ軸44に伝達されこれを駆動する。縦スクリュ軸44端部はさらに第1搬送ケース41に対し水平方向回動自在に設けた第2搬送ケース42の入力軸と連結されていて、第2搬送ケース42内のベベルギヤ43を介して水平方向の掻き込みスクリュ64に動力が伝達され回転駆動する。掻き込みスクリュ64の他端には排出ホース部6の可撓性ホース61に内装されたスパイラル体62が固着されていてこれを回転させる。排出ホース部6は、第2搬送ケース42に対し接続部60部分で着脱自在に設けてあり、トラック等での移動時は排出ホース部6を外して使用する。排出ホース部6の第2搬送ケース42との接続部60は、排出ホース部6側の掻き込みスクリュ64と第2搬送ケース42出力軸との間にクラッチ部63が設けられ着脱可能であり、排出ホース部6と第2搬送ケース42の外側には図示しない連結ロック及びロック解除用のフック等が設けられている。
【0032】
底スクリュ軸201により第1搬送ケース41に送られた粒体は、底スクリュ軸201端部に設けた掻き揚げ羽根により上方に跳ね上げられ、垂直方向に設けた縦スクリュ軸44に送られる。縦スクリュ軸44により垂直方向に送られた粒体は縦スクリュ軸44終端部の羽根により跳ね飛ばされ、水平方向に設けた排出ホース部6の掻き込みスクリュ64に送られ、その前方のスパイラル体62に移送される。スパイラル体62が回転することによりホース61内の粒体を移動させホース61端部のホース出口ケース65より粒体は排出される
【0033】
排出ホース部6は、着脱自在に連結された第2搬送ケース42が縦スクリュ軸44を中心に水平方向に回動自在に設けてあるため、排出方向を容易に変更できる。また、ホース61は可撓性材であり内装されたスパイラル体62も柔軟性がありホース61自体を湾曲して使用することも可能である。
【0034】
図7は、粒体搬送容器1の収容粒体の排出時の使用状態を示したもので、トラックAの荷台に乗せた粒体搬送容器1のトラックA後方側に位置する排出口部4に排出ホース部6を接続し、その端部のホース出口ケース65より粒体を乾燥機等の次工程設備に排出させる。排出終了後は、排出ホース部6を排出口部4より外し、トラックAによる移送作業を行う。排出口部4は、底スクリュ軸201部から一旦垂直方向に縦スクリュ軸44により上方に移動させて第2搬送ケース42に接続した排出ホース部6から排出するため、トラック荷台の枠板を開放せずに排出が可能であるとともに、排出ホース部6を第2搬送ケース42部の回動により左右に回動する首ふり機能を有しているにもかかわらず底スクリュ軸201位置を低くできるため全体の重心を下げることにも寄与することができる。
【0035】
粒体搬送容器1の使用方法を説明する。圃場等で粒体搬送容器1に収容された粒体は、トラックA等で次工程設備等に搬送され排出ホース部6を接続するとともにホース出口ケース65を排出場所に固定して排出作業を行う。排出作業は、粒体搬送容器1に設備の電源を接続し、図示しない粒体搬送容器1に設けた排出開始スイッチをONさせると粒体搬送容器1下方部に設けたモータ21が回転し、モータ21のモータプーリ210に巻着されたVベルト23aにより動力は揺動軸52のアイドラープーリ51に伝達され揺動軸52は回転する。回転すると揺動軸52から底板13に連結された揺動ロッド54が揺動し底板13を揺動させる。一方アイドラープーリ51と底スクリュ軸201の底スクリュプーリ202間に巻着されたVベルト23bによりモータ21の動力は底スクリュ軸201に伝達されて底スクリュ軸201を回転駆動する。粒体搬送容器1の排出口部4側に設けた操作レバー31を操作し底スクリュ軸201左右に設けた開閉シャッター30を開くと、収容されている粒体が底スクリュ軸201に流れ込み排出口部4に移送される。底板13部の粒体は、底板13が自然流動できない傾斜角度であっても底板13の揺動運動により強制流動され底スクリュ軸201に移動し底板13に粒体が残留することがない。
【0036】
排出口部4は、底スクリュ軸201により送られた粒体を垂直方向に移送変換する第1搬送ケース41と第1搬送ケース41に水平方向回動自在に設けた第2搬送ケース42とこれらケース内に設けた縦スクリュ軸44及びベベルギヤ43により構成されていて、排出口部4に送られた粒体は第1搬送ケース41と第2搬送ケース42内を移送され排出ホース部6のスパイラル体62によりホース出口ケース65より排出される。
【0037】
本発明の粒体搬送容器は、米や麦等を圃場での刈取り作業等によりトラック等の搬送車に積んだ粒体搬送容器内に収容し、乾燥機等の施設に搬送するための搬送容器や、その他粒体を移送して排出するための搬送容器に利用するとよい。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の底板が弾性部材で保持された粒体搬送容器の正面視の断面図
【図2】開閉シャッター部の要部断面図
【図3】底板がガイド部材に案内されて揺動する構成の本発明の粒体搬送容器の正面視断面図
【図4】本発明の別実施例の粒体搬送容器の正面視断面図
【図5】駆動部の断面した平面図
【図6】粒体排出部と排出ホース部の横断面図
【図7】粒体搬送容器の使用状態を示した側面図
【図8】従来の粒体搬送容器の正面視の断面図
【符号の説明】
【0039】
1 粒体搬送容器
10 粒体収容部
11 枠体
12 上部枠体
121 ロックレバー
13 底板
131 撹拌部材
132 弾性部材
133 ガイドロ−ラ
134 ガイド部材
135 枠体連結ピン
136 シール部材
137 シート材
2 粒体排出部
20 送り機構
201 底スクリュ軸
202 底スクリュプーリ
203 底開閉カバー
204 掻き揚げ羽根
21 モータ
210 モータプーリ
22 底スクリュカバー
23a,23b Vベルト
3 開閉シャッター部
30 開閉シャッター
301 シャッター作動ピン
31 操作レバー
32 レバーガイド
33 シャッターガイド
34 レバー軸
341 レバー軸アーム
35 リンクプレート
36 リンクピン
4 排出口部
41 第1搬送ケース
42 第2搬送ケース
43 ベベルギヤ
44 縦スクリュ軸
5 揺動手段
51 アイドラープーリ
52 揺動軸
53 偏心カラー
54 揺動ロッド
55 連結ピン
56 ベアリング
57 玉軸受ユニット
6 排出ホース部
60 接続部
61 ホース
62 スパイラル体
63 クラッチ部
64 掻き込みスクリュ
65 ホース出口ケース
A トラック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
穀物等の粒体を収容する平面略矩形状を呈する粒体収容部と、この粒体収容部の底部に形成され収容粒体を排出する粒体排出部とを有する粒体搬送容器において、前記粒体排出部は粒体を粒体排出部の一端側に送る送り機構と、この粒体排出部の一端側に設けられ前記送り機構により送られる粒体を粒体収容部の外部に排出する排出口部と、前記送り機構に粒体が供給される供給量を調整する開閉シャッター部とで構成され、該開閉シャッター部に臨む粒体収容部の底板は、粒体収容部を構成する枠体に対し揺動可能に設けられているとともに粒体排出部の送り機構に近い側が低い傾斜面を有し、前記送り機構が駆動されているときのみ前記底板が揺動手段により揺動可能であることを特徴とした粒体搬送容器。
【請求項2】
粒体収容部の底板は、粒体収容部を構成する枠体に弾性部材で保持されることで揺動可能に設けられていることを特徴とした請求項1記載の粒体搬送容器。
【請求項3】
粒体収容部を構成する枠体および又は底板に設けたガイド部材に案内され前記底板が揺動可能であることを特徴とした請求項1記載の粒体搬送容器。
【請求項4】
底板上面には、上方に突設させて設けた粒体の撹拌部材が複数設けられていることを特徴とした請求項1乃至3のいずれかに記載の粒体搬送容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−78817(P2009−78817A)
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−247108(P2007−247108)
【出願日】平成19年9月25日(2007.9.25)
【出願人】(000171746)株式会社ササキコーポレーション (192)
【Fターム(参考)】