説明

粒子含有インク塗布装置、および、粒子含有インク塗布装置の吐出位置補正方法

【課題】短時間に補正量の算出をおこなう。
【解決手段】基板に対して相対的に移動可能なヘッドユニットには、吐出ヘッド15が保持されている。そして、吐出ヘッド15内における補正用ノズル29に連通する圧力室26とインク室25との間には、粒子含有インクに含まれている粒子を通し難いフィルタ30を設けている。こうして、粒子を約10重量%含有したインクを用いる場合でも、補正用ノズル29から吐出されたインクに含まれる粒子の濃度を約2重量%程度に下げることができ、着弾位置のばらつきを低減することができる。その結果、着弾ばらつきの中心位置を±5μmの精度で求める際に、補正用ノズル29よりインクを吐出してから着弾位置を計測するまでの一連の作業を10回繰り返せばよく、短時間に高精度の着弾位置補正を行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、粒子含有インク塗布装置、および、この粒子含有インク塗布装置の吐出位置補正方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット技術は、簡単に鮮やかなカラー印刷が可能であり、ランニングコストが安価であるために、広く一般に使用されている。インクジェット技術に用いられる吐出ヘッドの駆動方法としては、ヒータの加熱による膜沸騰現象でインクを吐出させるサーマルジェット型、および、圧電材料の撓みモード変形や剪断モード変形を利用する圧電型がある。ここで、サーマルジェット型は、半導体プロセスを活用できるため安価に製造できると言う特徴を有している。また、圧電型は、膜沸騰現象を用いないためインクを劣化させず、使用できるインクの制約が少ないという特徴を有している。
【0003】
近年、少量の液滴を任意の箇所に配置できるというインクジェット技術の特徴を利用して、粒子を含有したインク(以下、粒子含有インクと言う)を用いることによって、任意の箇所に少量の粒子を配置させる技術が開発されている。例えば、特開2001‐42338号公報(特許文献1)の液晶素子とその製造方法には、スペーサを含有したインクをインクジェット技術で基板に塗布することによって、任意の箇所に液晶のスペーサを配置する方法が開示されている。また、特開平10‐204350号公報(特許文献2)の印刷装置には、金属粒子を含有したインクをインクジェット技術で基板に塗布することによって、任意の箇所に微小な金属配線を形成する方法が開示されている。
【0004】
ここで、例えば、上記スペーサの配置等の基板全面の多数箇所に粒子を配置する場合には、1個のノズルのみからの吐出では一度に1箇所にしか粒子を配置することができないため、全ての箇所に粒子を配置するためには非常に時間が掛かることになる。そのため、一般には多数のノズルを備えたマルチノズルヘッドを用いて、同時に複数の箇所に粒子の配置を行うことが望ましい。さらには、複数のマルチノズルヘッドで1つのユニットを構成し、ユニット全体で恰も1つのインクジェットヘッド(以下、吐出ヘッドと言う)であるかの如く扱うことによって、多数箇所への粒子の配置をより短時間で行うことが可能になる。
【0005】
一方において、吐出された液滴が配置される箇所(着弾位置)に関しては、高い位置精度が要求される。この高い位置精度を得るために、予め試験吐出を行って着弾位置を求め、この着弾位置の目標着弾位置からのズレを求め、そのズレから補正量を算出し、得られた補正量に基づいて着弾位置の補正を行うようにしている。
【0006】
例えば、上記吐出ヘッドの消耗・損傷等に伴う取り外し・取付けの際には、わずかながらでも上記吐出ヘッドの取り付け箇所が変わってしまうため、その後、必ず着弾位置の測定および補正量の算出が必要となる。これは、上記吐出ヘッドには何ら問題が無くても一度取り外した上記吐出ヘッドを再度取り付けるような場合、例えば上記吐出ヘッドに一体に固定されている吐出ヘッド制御回路のみを交換するような場合等であっても、同様に補正量の算出は必要である。また、スライダによって上記吐出ヘッドが移動可能になっている場合には、上記スライダの位置決め精度の影響を受けるため、定期的に着弾位置を測定して補正量を算出するのが望ましい。
【0007】
ところが、上記特許文献1に開示された液晶素子とその製造方法、および、特許文献2に開示された印刷装置のごとく、粒子含有インクを吐出する場合には、粒子を含有していないインクよりも着弾位置がばらつく現象が見られる。この様子を、図6〜図9に示す。図6〜図9は、上記吐出ヘッドと液滴が着弾する基板の位置とを固定した状態で、繰り返して着弾位置を測定した結果を示すグラフである。但し、図6は、粒子を含有しないインクの着弾位置を示している。これに対し、図7〜図9は粒子含有インクの着弾位置を示している。このように粒子含有インクの着弾位置は粒子を含有しないインクよりも広範囲に広がっており、ばらついている。
【0008】
上述したような補正量の算出において、本来の着弾位置と大きく外れた着弾位置を基準として補正量を求めてしまうと、この補正量に従って補正を行った状態での着弾位置は、本来の着弾位置から益々ズレたものとなる。そのため、理想的にばらつきが発生しない場合の着弾位置を基準として補正量を求める必要があり、実際には、多数回の吐出を行って夫々の着弾位置を求め、統計処理を行うことによって、より正しい補正量を求めるようにしている。
【0009】
しかしながら、上記従来の粒子含有インクの場合には着弾位置のばらつきが粒子を含有しないインクよりも大きいため、十分な精度を得るためには吐出回数が増大してしまい、補正量の算出に非常に時間が掛かるという問題が発生していた。
【0010】
そのような問題を解決する方法として、着弾位置の測定の際には粒子を含まないインクを用いることが考えられる。例えば、特開2006‐168249号公報(特許文献3)のインクジェットヘッドには、1つの吐出ヘッドに対して粒子含有インクと粒子を含有しないインクとの両方が利用可能な吐出ヘッドが開示されている。
【0011】
しかしながら、上記特許文献3に開示されたインクジェットヘッドには、以下のような問題がある。すなわち、上記特許文献3に開示されたインクジェットヘッドでは、1つの吐出ヘッドによって、粒子含有インクと粒子を含有しないインクとの両方を吐出可能にしている。ところが、一度粒子含有インクが導入された吐出ヘッドの内部には粒子が残留し易く、非常に長時間に亘って強力な洗浄を行わないと吐出ヘッド内の粒子を完全には除去しきれないのである。そして、吐出ヘッド内に粒子が残留している場合には、粒子を含有しないインクを導入しても、粒子含有インクを導入する場合と同様に着弾位置がばらついてしまう。
【0012】
そのため、一旦取り外した吐出ヘッドを再度取り付けた後の補正量算出、あるいは、吐出ヘッドを取り付けた状態での定期的な補正量の算出等、一度粒子含有インクを導入した吐出ヘッドに関して補正量を算出する場合には、上記特許文献3に開示されたインクジェットヘッドの吐出ヘッドを用いたとしても、吐出ヘッド内部の十分な洗浄が困難であるため、算出時間が非常に長くなるという問題がある。
【特許文献1】特開2001‐42338号公報
【特許文献2】特開平10‐204350号公報
【特許文献3】特開2006‐168249号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
そこで、この発明の課題は、短時間に補正量の算出が可能な粒子含有インク塗布装置、および、この粒子含有インク塗布装置の吐出位置補正方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するため、この発明の粒子含有インク塗布装置は、
予め位置関係が判っている少なくとも2個以上のノズルを有すると共に、このノズルのうち少なくとも1個以上であり且つ総ノズル数よりも少ない数のノズルを、その他のノズルから吐出されるインクよりも粒子含有量が少ないインクのみを吐出する補正用ノズルと成し、少なくとも上記その他のノズルからは粒子を含有したインクを吐出する粒子含有インク吐出ヘッドと、
上記粒子含有インク吐出ヘッドにおける上記補正用ノズルから吐出されて吐出対象物上に着弾したインクを観察し、この観察結果に基づいてインクの着弾位置を求める着弾位置測定装置と、
上記求められた着弾位置と上記補正用ノズルから吐出されたインクが本来着弾すべき位置とのズレ量を、上記補正用ノズルにおける吐出位置の補正量として求める補正量算出装置と、
上記求められた補正量に基づいて、上記吐出対象物に対する上記粒子含有インク吐出ヘッドの位置を相対的に移動させて、上記補正用ノズルにおける吐出位置を補正する移動制御装置と
を備えたことを特徴としている。
【0015】
上記構成によれば、粒子含有インクの吐出位置を補正する場合には、粒子含有インク吐出ヘッドにおける補正用ノズルから、その他のノズルから吐出されるインクよりも粒子含有量が少ないインクのみが吐出される。こうして、その他のノズルから吐出されるインクよりも粒子含有量が少ないインクを吐出することによって、吐出対象物上におけるインクの着弾位置のばらつきを低減することができる。したがって、上記補正用ノズルよりインクを吐出してから上記着弾位置測定装置によってインクの着弾位置が求められるまでの一連の作業の繰り返し回数を低減することができ、短時間に且つ高精度に着弾位置を求めることが可能になる。
【0016】
また、この発明の粒子含有インク塗布装置は、
少なくとも1個以上のノズルを有する粒子含有インク吐出ヘッドを、少なくとも2個以上搭載すると共に、予め全ての粒子含有インク吐出ヘッドにおける全てのノズルの位置関係が判っており、上記全てのノズルのうち少なくとも1個以上であり且つ総ノズル数よりも少ない数のノズルを、その他のノズルから吐出されるインクよりも粒子含有量が少ないインクのみを吐出する補正用ノズルと成し、少なくとも上記その他のノズルからは粒子を含有したインクを吐出する粒子含有インク吐出ヘッドユニットと、
上記粒子含有インク吐出ヘッドユニットにおける上記補正用ノズルから吐出されて吐出対象物上に着弾したインクを観察し、この観察結果に基づいてインクの着弾位置を求める着弾位置測定装置と、
上記求められた着弾位置と上記補正用ノズルから吐出されたインクが本来着弾すべき位置とのズレ量を、上記補正用ノズルにおける吐出位置の補正量として求める補正量算出装置と、
上記求められた補正量に基づいて、上記吐出対象物に対する上記粒子含有インク吐出ヘッドユニットの位置を相対的に移動させて、上記補正用ノズルにおける吐出位置を補正する移動制御装置と
を備えたことを特徴としている。
【0017】
上記構成によれば、粒子含有インクの吐出位置を補正する場合には、粒子含有インク吐出ヘッドにおける補正用ノズルから、その他のノズルから吐出されるインクよりも粒子含有量が少ないインクのみが吐出される。こうして、その他のノズルから吐出されるインクよりも粒子含有量が少ないインクを吐出することによって、吐出対象物上におけるインクの着弾位置のばらつきを低減することができる。したがって、上記補正用ノズルよりインクを吐出してから上記着弾位置測定装置によってインクの着弾位置が求められるまでの一連の作業の繰り返し回数を低減することができ、短時間に且つ高精度に着弾位置を求めることが可能になる。
【0018】
さらに、全ての上記粒子含有インク吐出ヘッドは、粒子含有インク吐出ヘッドユニットに搭載されており、移動制御装置によって上記粒子含有インク吐出ヘッドユニットと一体に移動されると共に、全ての上記粒子含有インク吐出ヘッドにおける全ての上記ノズルのうち少なくとも1個以上であり且つ総ノズル数よりも少ない数のノズルを、上記補正用ノズルと成している。したがって、複数個の上記粒子含有インク吐出ヘッドを、恰も1個の上記粒子含有インク吐出ヘッドと見なすことができ、上記着弾位置測定装置および上記補正量算出装置による1個の上記粒子含有インク吐出ヘッドに対する上記補正量の算出アルゴリズムをそのまま適用することが可能になると共に、広範囲に粒子含有インクを吐出することができる。
【0019】
また、1実施の形態の粒子含有インク塗布装置では、
上記補正用ノズルから吐出されるインクの上記粒子含有量は0である。
【0020】
上記粒子含有インクを用いた場合の着弾位置のばらつきは、上記粒子の含有量の低下に伴って減少する。この実施の形態によれば、吐出位置計測時および補正時には、上記粒子含有インクにおける粒子含有量を0にしている。したがって、上記補正用ノズルから吐出されたインクの着弾位置は、上記粒子の影響を受け難く、ばらつきが最も小さくなり、さらに短時間に高精度の着弾位置補正を行うことができる。
【0021】
また、1実施の形態の粒子含有インク塗布装置では、
上記補正用ノズルの個数は1個である。
【0022】
この実施の形態によれば、上記粒子含有インク吐出ヘッドユニットが平行移動のみ可能であって回転移動が不可能な場合において、上記補正用ノズルの個数が1個であるため、上記補正に用いない通常の吐出用のノズルの数を増やすことが可能になる。したがって、吐出位置のズレを補正することができ、尚且つ、一度により広範囲にインクを塗布することが可能になる。
【0023】
また、1実施の形態の粒子含有インク塗布装置では、
上記補正用ノズルの個数は2個である。
【0024】
この実施の形態によれば、上記補正用ノズルの個数が2個であるため、上記基板に対する平行移動に伴う吐出位置のズレのみならず、回転移動に伴う吐出位置のズレも補正することができる。
【0025】
また、1実施の形態の粒子含有インク塗布装置では、
上記全てのノズルは略直線状に配列されており、
上記補正用ノズルは、上記全てのノズルの配列における少なくとも両端に位置するノズルに割り当てられている。
【0026】
この実施の形態によれば、上記補正用ノズルは、上記全てのノズルの配列における少なくとも両端に位置している。したがって、2個の補正用ノズルのうち、何れか一方の補正用ノズルから吐出されるインクが本来着弾する位置を、上記補正用ノズルにおける回転中心から離すことができ、上記補正用ノズルの回転移動による補正値を良好に求めることができる。
【0027】
また、1実施の形態の粒子含有インク塗布装置では、
粒子を含有したインクにおける上記粒子の透過性が低く且つ液体の透過性が高いフィルタであって、上記その他のノズルから吐出されるべき上記粒子を含有したインクに含まれる上記粒子の少なくとも一部を除去して、上記粒子含有量が少ないインクを生成するフィルタを備えている。
【0028】
この実施の形態によれば、上記補正用ノズルから吐出されるインクである上記その他のノズルから吐出されるインクよりも粒子含有量が少ないインクを、別途用意する必要が無い。したがって、インク供給機構を容易に構成することができる。
【0029】
また、1実施の形態の粒子含有インク塗布装置では、
上記フィルタは、上記粒子含有インク吐出ヘッド内に設けられている。
【0030】
この実施の形態によれば、上記粒子含有インク吐出ヘッド内で、上記その他のノズルから吐出されるべき上記粒子を含有したインクから、上記粒子含有量が少ないインクが生成される。したがって、上記粒子含有インク吐出ヘッドへのインク流入口を1つのみにすることができ、従来から用いられている粒子を含有しないインクに対応したインク供給機構をそのまま用いることが可能になる。
【0031】
また、1実施の形態の粒子含有インク塗布装置では、
上記フィルタは、上記粒子を含有したインクを上記粒子含有インク吐出ヘッドに供給するための配管と上記粒子含有インク吐出ヘッドとを接続するマニホールド内に設けられている。
【0032】
この実施の形態によれば、上記フィルタを、上記粒子含有インク吐出ヘッドとは独立して取り付けることができる。したがって、上記粒子含有インク吐出ヘッドの構成を簡単にできると共に、上記粒子含有インク吐出ヘッドと干渉すること無く上記フィルタを取り外すことができ、上記フィルタの清掃および交換などの作業を容易に行うことができる。
【0033】
また、1実施の形態の粒子含有インク塗布装置では、
上記その他のノズルから吐出されるインクよりも粒子含有量が少ないインクを貯蔵する第1インクタンクと、
上記その他のノズルから吐出されるべき上記粒子を含有したインクを貯蔵する第2インクタンクと、
上記第1インクタンク内のインクを、上記粒子含有インク吐出ヘッドにおける上記補正用ノズルに供給する第1インク供給装置と、
上記第2インクタンク内のインクを、上記粒子含有インク吐出ヘッドにおける上記その他のノズルに供給する第2インク供給装置と
を備えている。
【0034】
この実施の形態によれば、上記その他のノズルから吐出される「粒子含有インク」と、上記補正用ノズルから吐出される上記「粒子含有インク」よりも粒子含有量が少ないインクとを、完全に分離して用いることができる。そのため、上記補正用ノズルから吐出されるインクとして、上記「粒子含有インク」とは全く組成が異なるインクを用いたり、「粒子を含有しないインク」を用いたりすることができる。
【0035】
また、この発明は、上記粒子含有インク塗布装置の吐出位置補正方法であって、
上記粒子含有インク吐出ヘッドにおける上記補正用ノズルから、その他のノズルから吐出されるインクよりも粒子含有量が少ないインクを吐出する工程と、
上記着弾位置測定装置によって、上記補正用ノズルから吐出されて吐出対象物上に着弾したインクを観察し、この観察結果に基づいてインクの着弾位置を求める工程と、
上記補正量算出装置によって、上記求められた着弾位置と上記補正用ノズルから吐出されたインクが本来着弾すべき位置とのズレ量を、上記補正用ノズルにおける吐出位置の補正量として求める工程と、
上記移動制御装置によって、上記求められた補正量に基づいて、上記吐出対象物に対する上記粒子含有インク吐出ヘッドの位置を相対的に移動させて、上記補正用ノズルにおける吐出位置を補正する工程と
を備えたことを特徴としている。
【0036】
上記構成によれば、粒子含有インクの吐出位置を補正する場合には、粒子含有インク吐出ヘッドにおける補正用ノズルから、その他のノズルから吐出されるインクよりも粒子含有量が少ないインクのみが吐出される。こうして、その他のノズルから吐出されるインクよりも粒子含有量が少ないインクを吐出することによって、吐出対象物上におけるインクの着弾位置のばらつきを低減することができる。したがって、上記補正用ノズルよりインクを吐出してから上記着弾位置測定装置によってインクの着弾位置が求められるまでの一連の作業の繰り返し回数を低減することができ、短時間に且つ高精度に着弾位置を求めることが可能になる。
【発明の効果】
【0037】
以上より明らかなように、この発明の粒子含有インク塗布装置、および、この発明の粒子含有インク塗布装置の吐出位置補正方法は、粒子含有インクの吐出位置を補正する場合には、粒子含有インク吐出ヘッドにおける補正用ノズルから、その他のノズルから吐出されるインクよりも粒子含有量が少ないインクのみを吐出するので、粒子含有量が少ないインクを吐出することによって、吐出対象物上におけるインクの着弾位置のばらつきを低減することができる。したがって、上記補正用ノズルよりインクを吐出してから上記着弾位置測定装置によってインクの着弾位置が求められるまでの一連の作業の繰り返し回数を低減することができ、短時間に且つ高精度に着弾位置を求めることが可能になる。
【0038】
すなわち、この発明によれば、短時間に且つ高精度に吐出位置を補正することが可能になるのである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
以下、この発明を図示の実施の形態により詳細に説明する。
【0040】
・第1実施の形態
図1は、本実施の形態の粒子含有インク塗布装置における構成を示す斜視図である。この粒子含有インク塗布装置1は、インクが塗布される基板2が載置されるステージ3と、インク吐出ヘッド(以下、単に吐出ヘッドと言う)が搭載されたインク吐出ヘッドユニット(以下、単にヘッドユニットと言う)4と、吐出されて基板2の表面に着弾したインクを観察する観察装置5と、観察装置5による観察結果に基づいてインクの着弾位置を求める着弾位置測定装置6と、上記吐出ヘッドに設けられた補正用ノズルから吐出されたインクの着弾位置とこのインクが本来着弾すべき位置とに基づいて補正量を求める補正量算出装置7と、を備えている。
【0041】
さらに、本粒子含有インク塗布装置1は、上記ヘッドユニット4を基板2に対して相対的に移動させるヘッドユニット移動装置8と、基板2をヘッドユニット4に対して相対的に移動させる基板移動装置9と、ヘッドユニット移動装置8および基板移動装置9の動作を制御する移動制御装置10と、を備えている。ヘッドユニット移動装置8および基板移動装置9は、基板2の表面に平行な面内において、ヘッドユニット4と基板2との相対的な移動(相対的に平行な平行移動)を可能にしている。さらに、ヘッドユニット移動装置8は、基板2の表面に平行な面内において、基板2の表面に垂直な軸を回転中心としたヘッドユニット4の基板2に対する回転移動を可能にしている。すなわち、移動制御装置10の制御によって、基板2上の任意の位置に任意の回転角度で吐出が可能なように、上記吐出ヘッドの吐出面と基板2の表面との間の距離を一定に保った状態で、上記吐出ヘッドが移動されるのである。
【0042】
上記ヘッドユニット4および移動制御装置10は全体制御装置11に接続されており、全体制御装置11からの制御信号に基づいて、移動制御装置10によってヘッドユニット4の基板2上の任意の位置への移動を行い、ヘッドユニット4によってインクの吐出を行うようになっている。また、観察装置5は着弾位置測定装置6に接続され、着弾位置測定装置6は補正量算出装置7に接続されている。さらに、補正量算出装置7は全体制御装置11に接続されている。そして、全体制御装置11は、補正量算出装置7で算出された補正量に基づいてヘッドユニット4を移動させる位置を決定し、移動制御装置10およびヘッドユニット4を制御してインクの吐出を行うのである。
【0043】
上記ヘッドユニット4の構成を図2に示す。ヘッドユニット4は、吐出ヘッド15と、インクタンク16と、吐出ヘッド15と配管とを接続するマニホールド(図示せず)と、インクタンク16からのインクを上記マニホールドに供給するための供給配管17と、上記マニホールドからインクタンク16に戻るインクが通る回収配管18と、吐出ヘッド制御回路(図示せず)と、を備えている。インクタンク16から排出されたインクは、回収配管18の途中に設けられたインクポンプ19によって、インクタンク16と吐出ヘッド15との間を循環している。これによって、インク内の粒子の沈降を防止するようになっている。
【0044】
上記インクタンク16は、上記インクを納めた可撓性の袋21を、機密箱20の内部に配置した構造を有しており、機密箱20は吸排気ポンプ22に接続されている。そして、吸排気ポンプ22によって、機密箱20の内部が吸引されて一定の負圧になっており、それによって吐出ヘッド15の内部のインクは適切な負圧値を維持することができる。上記吐出ヘッド制御回路は、信号線(図示せず)によって、吐出ヘッド15と接続されており、全体制御装置11からの信号に従って吐出ヘッド15の駆動を行う。
【0045】
図3は、上記吐出ヘッド15の概略構成を示す図である。但し、図3(a)は外観図であり、図3(b)は内部構成を示す図である。図3に示すように、吐出ヘッド15は、インクが導入されるインク流入口23と、インクが排出されるインク流出口24と、インク流入口23とインク流出口24とに連通するインク室25と、このインク室25に連通した複数の圧力室26と、この圧力室26を外部に連通する複数のノズル27と、圧力室26に圧力を発生させるアクチュエータ28と、を含んで構成されている。
【0046】
上記アクチュエータ28は、例えば、PZT(Lead Zirconate Titanate:チタン酸ジルコン酸鉛重合体)材料で構成された圧電素子であり、上記吐出ヘッド制御回路からの制御信号により駆動される。すなわち、上記吐出ヘッド制御回路から信号線(図示せず)を介してアクチュエータ28に制御信号(電気信号)が印加されることによって、アクチュエータ28が変形されるのである。その結果、圧力室26の内部に圧力が発生し、この圧力によって、当該圧力室26に連通しているノズル27からインクが吐出される。そして、上記制御信号を印加するアクチュエータ28と上記制御信号を印加するタイミングとを選ぶことによって、任意のノズル27から任意のタイミングでインクを吐出することが可能になるのである。尚、ヘッドユニット4の回転移動によって、ノズル27の列の配列方向の角度を変えることが可能である。
【0047】
さらに、本実施の形態の粒子含有インク塗布装置に用いられる吐出ヘッド15には、一般の吐出用のノズル27の他に、着弾位置の補正を行うための吐出に用いる補正用ノズル29が設けられている。そして、一般の吐出用のノズル27に連通している圧力室26とインク室25との間には、何も設置されてはいない。これに対して、補正用ノズル29に連通している圧力室26とインク室25との間には、フィルタ30が設けられている。このフィルタ30は、粒子含有インクに含まれている粒子を通し難い構造になっている。したがって、補正用ノズル29に連通した圧力室26に流れ込むインクは、その他の圧力室26に流れ込むインクよりも粒子含有濃度が低くなっている。そのため、補正用ノズル29から吐出されるインクは、その他のノズル27から吐出されるインクよりも粒子の含有量が少なくなるのである。
【0048】
本実施の形態におけるインク塗布装置1に用いられている吐出ヘッド15には、合計で6個のノズル27が設けられており、そのうちの一側端に位置する第1ノズル27と他側端に位置する第6ノズル27との2個のノズルが補正用ノズル29に割り当てられ、第2ノズル27〜第5ノズル27が一般の吐出用のノズル27に割り当てられている。第1ノズル(補正用ノズル)29に連通した圧力室26とインク室25との間、および、第6ノズル(補正用ノズル)29に連通した圧力室26とインク室25との間には、フィルタ30が設けられている。したがって、第1ノズル(補正用ノズル)29および第6ノズル(補正用ノズル)29から吐出されるインクは、第2ノズル27〜第5ノズル27から吐出されるインクよりも粒子の含有量が少ないのである。
【0049】
尚、本実施の形態における吐出ヘッド15の場合には、吐出ヘッド15へのインク流入口23は1つのみであり、従来のフィルタ30を設けていない吐出ヘッド15の場合と同じ位置に設けられている。そのため、本実施の形態における吐出ヘッド15には、粒子を含有しないインクに対応したインク供給機構をそのまま用いることが可能なのである。
【0050】
次に、上記補正量算出装置7によって実行される補正量算出の具体的な方法について説明する。吐出ヘッド15(ヘッドユニット4)は、基板2の表面に平行な面内で基板2に対して相対的な平行移動と、基板2の表面に垂直な軸を回転中心とした基板2に対して相対的な回転移動とが可能になっている。補正量算出装置7は、吐出ヘッド15(ヘッドユニット4)における動きの位置ズレ量を、上記補正量として求めるのである。この位置ズレは、例えばヘッドユニット4の取り外しおよび取付け等によって発生する。
【0051】
先ず、上記ヘッドユニット4を回転移動させ、さらにヘッドユニット4をステージ3に対して相対的に移動させて、ステージ3の上に設置された試験基板上における補正用ノズル29の吐出箇所を定める。続いて、補正用ノズル29からインクを吐出する。そうすると、吐出された液滴は上記試験基板上に着弾して着弾結果を残す。
【0052】
次に、上記観察装置5によって着弾結果を観察し、観察結果に基づいて、着弾位置測定装置6によって着弾位置を測定する。さらに、上記着弾位置に基づいて、補正量算出装置7によってズレ量を求める。この様子を、図4および図5を用いてさらに説明する。
【0053】
図4は、上記試験基板31上に吐出されたインクの着弾結果の観察装置5による観察像である。着弾結果は円形の像として観察される。着弾位置測定装置6は、この像に対して円近似の画像解析を行って中心32の座標を求める。そして、この中心座標を着弾位置の座標とする。さらに、補正量算出装置7によって、上記着弾位置の座標から補正量を求めるのである。
【0054】
以下、上記補正量算出装置7による補正量の求め方を、さらに詳しく説明する。以下においては、吐出ヘッド15(ヘッドユニット4)の試験基板31に対する相対的な平行移動の方向をX方向およびY方向とし、試験基板31の表面に垂直な軸の回りの回転方向をθ方向とし、夫々の誤差量をXs,Ys,θsと記すことにする。
【0055】
図5は、本来インクが着弾すべき位置と、実際の着弾位置と、各誤差量との関係を示している。ヘッドユニット4の回転中心を座標(XR,YR)で表すと、1つ目の補正用ノズル29について、本来インクが着弾する位置の座標(X0,Y0)と実際の着弾位置(Xm0,Ym0)と各誤差量Xs,Ys,θsとの関係が、式(1)および式(2)によって表される。
Xm0=XR+Xs+(X0−XR)・cosθs+(Y0−YR)・sinθs …(1)
Ym0=YR+Ys−(X0−XR)・sinθs+(Y0−YR)・cosθs …(2)
同様に、2つ目の補正用ノズル29について、本来インクが着弾する位置の座標(X1,Y1)と実際の着弾位置(Xm1,Ym1)と各誤差量Xs,Ys,θsとの関係が、式(3)および式(4)によって表される。
Xm1=XR+Xs+(X1−XR)・cosθs+(Y1−YR)・sinθs …(3)
Ym1=YR+Ys−(X1−XR)・sinθs+(Y1−YR)・cosθs …(4)
【0056】
ここで、Xm0,Ym0,Xm1,Ym1は測定値であり、X0,Y0,X1,Y1,XR,YRは設計値であり、夫々既知である。したがって、式(1)〜式(4)を連立させて解くことによって、Xs,Ys,θsを求めることができる。そして、Xs,Ys,θsが求まれば、ズレ量を相殺するように、移動制御装置10によってヘッドユニット4を基板2に対して相対的に移動させることで、全てのノズル27についての着弾位置を補正することできるのである。
【0057】
以上のように、2つの補正用ノズル29から吐出されて試験基板31上に着弾したインクを観察装置5によって観察することによって、試験基板31の面に対して平行方向(X方向およびY方向)および回転方向(θ方向)の誤差を補正することができ、結果的に全てのノズル27について着弾位置の補正が可能になるのである。
【0058】
尚、2つの補正用ノズル29の位置は任意であるが、複数のノズル27の配列における両端に割り当てることが望ましい。その理由は、補正用ノズル29がノズル27配列の両端であることによって、例え片方の補正用ノズル29からのインクの本来着弾すべき位置が、ヘッドユニット4の回転中心に近い位置であったとしても、もう片方の補正用ノズル29からのインクの本来着弾すべき位置は、ヘッドユニット4の回転中心から離れた位置になるために、回転移動による補正量を大きな変化として測定することができ、回転移動による補正値を良好に求めることが可能になるためである。
【0059】
ところで、上記吐出ヘッド15における補正用ノズル29から吐出されたインクの着弾位置は、全く同じ条件下であっても、ある程度のばらつきが生じる。特に、粒子を含有したインクを用いた場合には、粒子を含有しないインクを用いた場合よりもばらつきが大きくなる。さらに、そのばらつきの大きさは粒子の含有量が増すと共に増大する。それは、インクに含まれる粒子が補正用ノズル29の淵に付着してしまい、その影響によって吐出の方向がばらついてしまうためである。
【0060】
正確な補正量を求めるためには、着弾ばらつきの中心位置を求め、それを元に補正量を算出する必要がある。ここで、着弾位置のばらつきが大きいと、着弾ばらつきの中心位置を求めるために、非常に多数個の着弾位置を計測する必要が発生する。
【0061】
図6〜図9は、上記吐出ヘッド15の同一の補正用ノズル29からインクを吐出した場合の着弾位置を示す。
【0062】
先ず、粒子を含有しないインクを用いて着弾位置を計測した場合には、図6に示すように、狭い範囲内に着弾位置のばらつきは収まる。そのため、補正用ノズル29からインクを吐出してから着弾位置の計測までの一連の作業を2回行うことで、着弾ばらつきの中心位置を±5μmの精度で求めることが可能である。さらに、着弾ばらつきの中心位置を±2μmの精度で求める場合でも、上記一連の作業を10回で完了することができる。
【0063】
次に、粒子を約10重量%含有したインクを用いて着弾位置を計測した場合には、着弾位置のばらつきは図7に示すようになる。但し、吐出ヘッド15内における補正用ノズル29に連通する圧力室26とインク室25との間に設けるフィルタ30として、粒子の透過率が低いフィルタを使用している。その結果、補正用ノズル29から吐出されたインクに含まれる粒子の濃度は約2重量%となり、上記一連の作業を10回繰り返すことによって、着弾ばらつきの中心位置を±5μmの精度で求めることができる。
【0064】
次に、上記吐出ヘッド15内のフィルタ30をやや粒子の透過率が高いフィルタに変更して、再度着弾位置を計測した場合には、補正用ノズル29から吐出されたインクに含まれる粒子の濃度は約5重量%となり、着弾位置のばらつきは図8に示すようになる。この場合には、着弾ばらつきの中心位置を±5μmの精度で求めるためには、上記一連の作業を25回繰り返す必要がある。
【0065】
最後に、上記吐出ヘッド15内のフィルタ30を外して(つまり、インクに含まれる粒子の濃度を約10重量%にして)着弾位置を計測した場合は、着弾位置は、図9に示すように非常にばらつく。したがって、着弾ばらつきの中心位置を±5μmの精度で求めるためには、上記一連の作業を80回も繰り返す必要が生じ、計測時間が長時間必要である。さらに、着弾ばらつきの中心位置を±2μmの精度で求めようとすると、上記一連の作業を500回繰り返す必要になると計算により推測され、実用に耐えない結果となる。
【0066】
このように、上記補正用ノズル29から吐出されるインクに含まれる粒子の濃度を低くすることによって、短時間に着弾ばらつきの中心位置を正確に求めることができ、短時間に正確な補正量を求めることが可能になる。特に、補正用ノズル29から吐出されるインクに粒子が含まれていなければ、最も短時間で正確に補正量を求めることができるのである。
【0067】
以上のごとく、本実施の形態においては、吐出ヘッド15を保持すると共に、基板2に対して相対的に移動可能なヘッドユニット4を有している。そして、吐出ヘッド15の補正用ノズル29から吐出されて基板2の表面に着弾したインクを観察装置5によって観察し、観察装置5による観察結果に基づいて着弾位置測定装置6によってインクの着弾位置を求め、このインクの着弾位置と本来着弾すべき位置とに基づいて補正量算出装置7によって補正量を求めるようにしている。さらに、上記吐出ヘッド15内における補正用ノズル29に連通する圧力室26とインク室25との間には、粒子含有インクに含まれている粒子を通さないフィルタ30を設けている。
【0068】
したがって、粒子を約10重量%含有したインクを用いる場合でも、補正用ノズル29から吐出されたインクに含まれる粒子の濃度を約2重量%程度に下げることができ、着弾位置のばらつきを低減することができる。その結果、着弾ばらつきの中心位置を±5μmの精度で求める際に、補正用ノズル29よりインクを吐出してから着弾位置を計測するまでの一連の作業を10回繰り返せばよく、短時間に高精度の着弾位置補正を行うことができるのである。
【0069】
また、上記吐出ヘッド15の補正用ノズル29として、一列に配列された複数個のノズル27における両端のノズル27を割り当てている。したがって、例え片方の補正用ノズル29からのインクが本来着弾すべき位置が、ヘッドユニット4の回転中心に近い位置であったとしても、もう片方の補正用ノズル29からのインクが本来着弾すべき位置は、ヘッドユニット4の回転中心から離れた位置になる。したがって、回転移動による補正量を大きな変化として測定することができ、回転移動による補正値を良好に求めることができるのである。
【0070】
・第2実施の形態
本実施の形態は、上記吐出ヘッド15の他の構成に関する。本実施の形態における粒子含有インク吐出装置の概略構成は、上記第1実施の形態の場合と同様であるため、本粒子含有インク吐出装置における概略構成の説明は省略する。尚、本実施の形態において、本粒子含有インク吐出装置における吐出ヘッド15以外の構成について述べる場合には、図1および図2を使用することにする。
【0071】
図10は、本実施の形態における吐出ヘッド15の内部構造を示す。本実施の形態においては、一方の補正用ノズル41に連通した第2圧力室42へは、その他のノズル43に連通した第1圧力室44への第1インク流入口45とは仕切壁46aで仕切られた別の第2インク流入口47aから、ノズル43に連通したインク室48とは仕切壁46aで仕切られた別の補正用インク室49aを介して、インクが導入される。同様に、他方の補正用ノズル41に連通した第2圧力室42へは、第1圧力室44への第1インク流入口45とは仕切壁46bで仕切られた別の第2インク流入口47bから、ノズル43に連通したインク室48とは仕切壁46bで仕切られた別の補正用インク室49bを介して、インクが導入される。尚、51は、インクが排出されるインク流出口である。また、52は、圧力室42,44に圧力を発生させるアクチュエータである。
【0072】
図11および図12は、上記吐出ヘッド15と供給配管17および回収配管18とを接続するマニホールドを示す。但し、図11は、マニホールド53の外観斜視図である。また、図12は、図11におけるA‐A'矢視断面図である。図11および図12に示すように、マニホールド53には、供給配管17に接続されるインク供給接続部54、回収配管18に接続されるインク排出接続部55、フィルタ56、第1吐出ヘッド接続部(インク注入部)57、第2吐出ヘッド接続部(インク流出部)58、第3吐出ヘッド接続部(フィルタ漉し注入部)59a,59b、第1,第2,第3吐出ヘッド接続部57,58,59a,59bの周囲を囲むパッキン60が設けられている。
【0073】
以下、上記マニホールド53内におけるインクの流れについて説明する。ヘッドユニット4のインクタンク16からインク供給接続部54を介してマニホールド53に流入したインクは、マニホールド53内部で2つの流路61,62に分流される。そのうち、流路61に分流されたインクは、第1吐出ヘッド接続部57から吐出ヘッド15の第1インク流入口45を介して吐出ヘッド15のインク室48に直接流れ込む。さらに、吐出ヘッド15のインク流出口51から排出されたインクは、第2吐出ヘッド接続部58を介してマニホールド53に戻り、流路63を通り、インク排出接続部55を介してヘッドユニット4のインクタンク16に戻る。
【0074】
また、今1つの上記流路62に分流されたインクは、上記フィルタ56に導入されて粒子が除去される。そして、粒子が除去されたインクは、連通路64および流路65を通って一方の第3吐出ヘッド接続部(フィルタ漉し注入部)59aに至り、吐出ヘッド15における一方の第2インク流入口47aを介して補正用インク室49aに流れ込む。同様に、粒子が除去されたインクは、連通路66および流路67を通って他方の第3吐出ヘッド接続部(フィルタ漉し注入部)59bに至り、吐出ヘッド15における他方の第2インク流入口47bを介して他方の補正用インク室49bに流れ込む。こうして、補正用インク室49a,49bに流入した粒子を除去されたインクは、夫々の圧力室42に流入し、アクチュエータ52によって圧力室42内に圧力が発生されることによって、夫々の補正用ノズル41から吐出される。
【0075】
上述したように、本実施の形態においては、粒子含有インク中の粒子を除去するためのフィルタ56をマニホールド53の内部に設けている。そして、フィルタ56で粒子が除去されたインクを、吐出ヘッド15における通常の粒子含有インク用の第1インク流入口45およびインク室48とは仕切壁46a,46bで仕切られた第2インク流入口47a,47bおよび補正用インク室49a,49bに供給するようにしている。
【0076】
したがって、本実施の形態によれば、上記第1実施の形態のごとく、吐出ヘッド15内に粒子除去用のフィルタを設ける必要が無く、吐出ヘッド15内に設ける場合よりも大型のフィルタ56を用いることが可能になる。その結果、長期間に亘って安定した補正用インクの吐出が可能になる。また、フィルタ56を交換する場合には、例えばマニホールド53に設けられたフィルタ交換用の蓋68を開閉して行うことができ、吐出ヘッド15に何ら影響与えること無く、必要に応じてフィルタ56を交換することができる。そのために、さらに安定して補正用インクの吐出が可能になるのである。
【0077】
・第3実施の形態
本実施の形態は、上記吐出ヘッド15およびヘッドユニット移動装置8の他の構成に関する。本実施の形態における粒子含有インク吐出装置の概略構成は、上記第1実施の形態の場合と同様であるために、本粒子含有インク吐出装置における概略構成の説明は省略する。尚、本実施の形態においては、図1〜図3を使用して説明を行う。
【0078】
本実施の形態におけるヘッドユニット移動装置8は、基板2に対する相対的な平行移動および回転移動のうち、基板2の表面に垂直な軸の回りの回転移動は行わないようになっている。そのため、ヘッドユニット4におけるノズル27の配列方向は常に一定である。さらに、本実施の形態における吐出ヘッド15においては、補正用ノズル29は、一列に配列されたノズル27のうちの一側端に位置するノズル27と他側端に位置するノズル27とのうち何れか一方のみが補正用ノズル29に割り当てられている。
【0079】
上述したように、本実施の形態の場合には、ヘッドユニット4は回転移動を行わないため、吐出ヘッド15(ヘッドユニット4)は、試験基板31の表面に平行な面内で、試験基板31に対して相対的な平行移動のみ行う。その場合における補正用ノズル29から吐出されたインクが本来着弾する位置の座標(X0,Y0)と、実際の着弾位置(Xm0,Ym0)と、X方向およびY方向の誤差量Xs,Ysとの関係が、式(5)および式(6)によって表される。
Xm0=Xs+X0 …(5)
Ym0=Ys+Y0 …(6)
【0080】
そのため、本実施の形態における上記補正量算出装置7は、吐出ヘッド15における1つの補正用ノズル29からのインクの吐出によって補正量の算出を行うことができるのである。
【0081】
また、上記補正用ノズル29が1つですむため、その分だけ補正に用いない一般の吐出用のノズル27の数を増やすことが可能になる。したがって、一度により広範囲にインクを塗布することが可能になる。
【0082】
・第4実施の形態
本実施の形態は、上記ヘッドユニット4の他の構成に関する。本実施の形態における粒子含有インク吐出装置の概略構成は上記第1実施の形態の場合と同様であるため、本粒子含有インク吐出装置における概略構成の説明は省略する。尚、本実施の形態において、本粒子含有インク吐出装置におけるヘッドユニット4以外の構成について述べる場合には、図1〜図3を使用することにする。
【0083】
図13は、本実施の形態におけるヘッドユニット4の構成を示す。但し、図13において、インクタンク16,機密箱20,袋21および吸排気ポンプ22は、図2に示す上記第1実施の形態におけるヘッドユニット4の場合と同様であるため、図2と同じ番号を付けて詳細な説明は省略する。
【0084】
本実施の形態においては、上記ヘッドユニット4に2個の吐出ヘッド71,72が搭載されており、共通のインクタンク16から2つに分岐された供給配管73と供給配管74とによって吐出ヘッド71,72に独立してインクが供給される。また、吐出ヘッド71,72から排出されたインクは、1つに合流する回収配管75と回収配管76とによって、途中に設けられたインクポンプ77,78によって、インクタンク16に独立して回収される。こうして、インクタンク16と吐出ヘッド71,72との間でインクが循環されるのである。その場合、2個の吐出ヘッド71,72は略直線状に配列されており、吐出ヘッド71における複数のノズル27と吐出ヘッド72における複数のノズル27とは略同一直線上に配列されている。
【0085】
上記2個の吐出ヘッド71,72の夫々における基本構造は、図3に示す上記第1実施の形態における吐出ヘッド15の場合と同様である。但し、本実施の形態における吐出ヘッド71,72においては、補正用ノズル29は一列に配列された複数のノズル27のうちの1個に割り当てられている。その場合に、吐出ヘッド71における補正用ノズル29は、ノズル27の配列における吐出ヘッド72側とは反対側の側端に位置するノズル27が補正用ノズル29に割り当てられる。これに対して、吐出ヘッド72における補正用ノズル29は、ノズル27の配列における吐出ヘッド71側とは反対側の側端に位置するノズル27が補正用ノズル29に割り当てられる。こうして、吐出ヘッド71と吐出ヘッド72とを1個の吐出ヘッドと見なした場合におけるノズル27の配列の一側端に位置するノズル27と他側端に位置するノズル27とが、補正用ノズル29に割り当てられるのである。
【0086】
そして、上記2個の吐出ヘッド71,72は、ヘッドユニット4に固定された状態でヘッドユニット4と一体に移動するため、2個の吐出ヘッド71,72が、恰も上記第1実施の形態における1つの吐出ヘッド15であるかのごとく取り扱うことができる。そのために、本実施の形態における補正量算出装置7による補正量算出アルゴリズムとして、上記第1実施の形態における補正量算出装置7による補正量算出アルゴリズムをそのまま適用することができるのである。
【0087】
以上のごとく、本実施の形態においては、ヘッドユニット4に2個の吐出ヘッド71,72を設け、吐出ヘッド71における複数のノズル27と吐出ヘッド72における複数のノズル27とを略同一直線上に配列している。そして、吐出ヘッド71と吐出ヘッド72とを1個の吐出ヘッドと見なした場合におけるノズル27の配列の両端に位置するノズル27を補正用ノズル29に割り当てるようにしている。
【0088】
したがって、1個のヘッドユニット4によって、上記第1実施の形態の場合よりも広範囲にインクを塗布することが可能になる。また、ヘッドユニット4全体で2個の補正用ノズル29を設ければよいので、個々の吐出ヘッド71(72)では補正用ノズル29を1個だけ割り当てればよく、その分だけ補正に用いない一般の吐出用のノズル27の数を増やすことができる。その結果、より広範囲に一度に塗布することができる。
【0089】
本実施の形態のごとく、1つのヘッドユニット4に複数個の吐出ヘッド71,72を配列する際には、実際にインクの吐出を行い、その結果に基づいて夫々の吐出ヘッド71,72の位置間隔を調整する場合がある。このような場合には、粒子含有インクを吐出ヘッド71,72に導入する前に、粒子を含有しないインクのみを吐出ヘッド71,72に導入して、吐出ヘッド71,72の位置間隔の調整を行うのが適当である。そうすることによって、全てのノズル27(29)が補正用ノズル29と同様の機能を果たすため、何れのノズル27(29)から吐出されたインクに関しても着弾位置のばらつきが小さくなり、短時間に高精度な吐出ヘッドの位置間隔の調整を行うことが可能になる。
【0090】
そして、一度、上記吐出ヘッド71,72の位置間隔の調整を行って吐出ヘッド71,72をヘッドユニット4に組み込んだ後は、恰も1つの吐出ヘッドであるかのように扱うことが可能になる。その場合には、補正用ノズル29以外のノズル27からは粒子含有インクが吐出されることになるが、補正用ノズル29から吐出される粒子の含有量が少ないインクの着弾位置のばらつきは小さいため、短時間に高精度な着弾位置の補正を行うことができるのである。
【0091】
尚、上記第2実施の形態においては、上記吐出ヘッド15の補正用インク室49に供給される粒子含有量の少ないインクは、マニホールド53内で作成するようにしているが、この発明はこれに限定されるものではない。例えば、粒子の含有量が少ないインクを、インクタンク16からマニホールド53に至る供給配管17の途中で作成するようにしても構わない。その場合には、フィルタの設置箇所を任意に設定することが可能になり、ヘッドユニット4の製造、延いては粒子含有インク吐出装置の製造が容易になる。
【0092】
さらに、上記粒子の含有量が少ないインクは、粒子含有インクからフィルタ56を用いて生成するようにしているが、この発明はこれに限定されるものではない。例えば、ヘッドユニット4内にインクタンクを2個設けておき、一方のインクタンクには粒子の含有量が少ないインクを収納し、他方のインクタンクには粒子含有インクを収納するようにしても差し支えない。こうすることによって、「粒子含有インク」と「粒子を含有しないインク」とを完全に分離して用いることが可能になる。そのため、全く異なる組成のインクを「粒子を含有しないインク」として用いることも可能になる。
【0093】
その場合には、上記「粒子含有インク」を収納した第1タンクの排出口とマニホールドの第1インク供給接続部とを供給配管で接続し、この第1インク供給接続部と上記マニホールドの第1吐出ヘッド接続部(インク注入部)とを分岐しない流路によって直接接続し、上記マニホールドの第2吐出ヘッド接続部(インク流出部)と第1インク排出接続部とを分岐しない流路によって直接接続し、この第1インク供給接続部と上記第1タンクの回収口とをインクポンプが回折された回収配管で接続することによって、上記第1タンクからの「粒子含有インク」を上記第1タンクと吐出ノズルとの間で循環するようにする。一方、上記「粒子の含有量が少ないインク」を収納した第2タンクの排出口とマニホールドの第2インク供給接続部とを供給配管で接続し、この第2インク供給接続部と上記マニホールドの両側の第3吐出ヘッド接続部(フィルタ漉し注入部)とを分岐する流路によって直接接続することによって、上記第2のタンクからの「粒子の含有量が少ないインク」を上記第2タンクから吐出ノズルに供給するようにすればよい。
【0094】
また、上記第4実施の形態においては、1個のヘッドユニット4に搭載される2個の吐出ヘッド71,72を略同一直線上に配列しているが、この発明はこれに限定されるものではない。例えば、吐出ヘッド71と吐出ヘッド72とは、互いのノズル27配列が平行や直交するように配置されてもよい。換言すれば、吐出ヘッド71と吐出ヘッド72とにおける全てのノズル27の位置関係が分かっていれば、同様にして着弾位置の補正を行うことができるのである。
【0095】
さらに、1個のヘッドユニット4に搭載されている吐出ヘッドの数は2個であるが、3個以上の吐出ヘッドを搭載しても一向に構わない。3個以上の吐出ヘッドを搭載する場合でも、各吐出ヘッドにおける全てのノズル27の位置関係が分かっていれば、同様にして着弾位置の補正を行うことができるのである。
【0096】
また、上記各実施の形態においては、上記着弾位置測定装置6によって、観察装置5による観察像に対して、円近似の画像解析を行うことによって、着弾位置を求めるようにしている。しかしながら、観察結果から着弾位置を求める方法はこれに限定されるものではない。例えば、着弾結果の像の重心位置を画像解析によって求める方法や、着弾結果の像の色の濃度の分布のうち最も濃度が濃い部分を着弾位置として求める方法等を用いてもよい。
【0097】
さらに、上記補正用ノズル29は、上記吐出ヘッドのノズル27配列における両端のノズル27に割り当てることが望ましいが、必ずしも端のノズル27に割り当てる必要は無く、必要に応じた位置に割り当てればよい。例えば、図14に示すように、基板2の一部に塗布が不要な箇所がある場合には、図15に示す吐出ヘッド81において、図15中における塗布が不要な箇所に対応する左端から5番目のノズル82と右端から5番目のノズル82とを補正用ノズル83に割り当てることによって、吐出ヘッドの大きさを大きくすることなく補正用ノズル83を設けることが可能になる。
【0098】
さらに、1個の吐出ヘッドに設けるノズル数を6個にしているが、ノズル数は6個に限定されるものではない。より多くのノズルが設けられている場合でも、上述と同様にして着弾位置の補正を行うことができる。補正用ノズル29の数についても同様であり、補正用ノズル29の数を増やすことによって、より着弾位置の補正精度を上げることが可能である。上記補正精度を上げる方法としては、例えば補正量を複数回求めて平均化する等が考えられる。
【0099】
また、上記各実施の形態においては、上記ヘッドユニット4において、インクタンク16と吐出ヘッド15との間でインクを循環させて、インク内の粒子の沈降を防止するようにしているが、この発明はこれに限定されるものではない。例えば、粒子の沈降を他の方法で防ぐ場合や沈降速度が使用上十分遅い場合等においては、非循環型の構成であっても差し支えない。
【0100】
また、上記各実施の形態においては、インクの着弾位置補正の際には試験基板31を用いるようにしているが、実際の基板2を用いて行ってもよい。但し、試験基板31を用いる場合には、長期間に亘って繰り返し同じ試験基板31を用いることができ、試験基板31の表面状態に左右されない長期間の評価を行うことが可能になる。さらに、試験基板31の表面に例えば溶解性塗料を塗布しておく等、観察を容易にするための処理を行うことも可能になる。一方、実際の基板2に着弾位置補正用の吐出を行う場合には、試験用基板31を用意する必要が無くなり、基板の入れ換え作業を省くことができ、安価に着弾位置の補正量を求めることができる。
【0101】
ところで、上記各実施の形態においては、上記吐出ヘッド15,71,72の内部において、インクに生じる圧力をインクタンク16内の負圧で調整するようにしている。したがって、吐出ヘッド15,71,72とインクタンク21との位置関係を任意に設定することが可能である。しかしながら、インクタンク21を吐出ヘッド15,71,72よりも重力方向下方に配置することによって、吐出ヘッド15,71,72の内部でインクに生じる圧力を、吐出ヘッド15,71,72とインクタンク21との高さの違いのみで調整する場合には、吸排気ポンプ22を省くことが可能になる。
【産業上の利用可能性】
【0102】
粒子を含有したインクのインクジェットを用いた生産装置に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】この発明の粒子含有インク塗布装置における構成を示す斜視図である。
【図2】図1におけるヘッドユニットの構成を示す図である。
【図3】図2における吐出ヘッドの概略構成を示す図である。
【図4】図1における観察装置による観察像を示す図である。
【図5】本来インクが着弾すべき位置と実際の着弾位置と各誤差量との関係を示す図である。
【図6】粒子を含有しないインクを用いて着弾位置を計測した場合の着弾位置を示す図である。
【図7】粒子を約10重量%含有したインクを用いると共に、粒子の透過率が低いフィルタを使用して着弾位置を計測した場合の着弾位置を示す図である。
【図8】粒子を約10重量%含有したインクを用いると共に、やや粒子の透過率が高いフィルタを使用して着弾位置を計測した場合の着弾位置を示す図である。
【図9】粒子を約10重量%含有したインクを用いると共に、フィルタを使用せずに着弾位置を計測した場合の着弾位置を示す図である。
【図10】図3とは異なる吐出ヘッドの概略構成を示す図である。
【図11】マニホールドの外観斜視図である。
【図12】図11におけるA‐A'矢視断面図である。
【図13】図2とは異なるヘッドユニットの構成を示す図である。
【図14】図1における基板に対するインクの塗布位置の一例を示す図である。
【図15】図14に示す塗布位置にインクを吐出するための吐出ヘッドを示す図である。
【符号の説明】
【0104】
1…粒子含有インク塗布装置、
2…基板、
3…ステージ、
4…ヘッドユニット、
5…観察装置、
6…着弾位置測定装置、
7…補正量算出装置、
8…ヘッドユニット移動装置、
9…基板移動装置、
10…移動制御装置、
11…全体制御装置、
15,71,72,81…吐出ヘッド、
16…インクタンク、
17,73,74…供給配管、
18,75,76…回収配管、
19,77,78…インクポンプ、
20…機密箱、
21…可撓性の袋、
22…吸排気ポンプ、
23…インク流入口、
45…第1インク流入口、
47a,47b…第2インク流入口、
24,51…インク流出口、
25,48…インク室、
26,42,44…圧力室、
27,43,82…ノズル、
28,52…アクチュエータ、
29,41,83…補正用ノズル、
30,56…フィルタ、
31…試験基板、
46a,46b…仕切壁、
49a,49b…補正用インク室、
53…マニホールド、
54…インク供給接続部、
55…インク排出接続部、
57…第1吐出ヘッド接続部(インク注入部)、
58…第2吐出ヘッド接続部(インク流出部)、
59…第3吐出ヘッド接続部(フィルタ漉し注入部)、
61,62,63,65,67…流路、
64,66…連通路、
68…蓋。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め位置関係が判っている少なくとも2個以上のノズルを有すると共に、このノズルのうち少なくとも1個以上であり且つ総ノズル数よりも少ない数のノズルを、その他のノズルから吐出されるインクよりも粒子含有量が少ないインクのみを吐出する補正用ノズルと成し、少なくとも上記その他のノズルからは粒子を含有したインクを吐出する粒子含有インク吐出ヘッドと、
上記粒子含有インク吐出ヘッドにおける上記補正用ノズルから吐出されて吐出対象物上に着弾したインクを観察し、この観察結果に基づいてインクの着弾位置を求める着弾位置測定装置と、
上記求められた着弾位置と上記補正用ノズルから吐出されたインクが本来着弾すべき位置とのズレ量を、上記補正用ノズルにおける吐出位置の補正量として求める補正量算出装置と、
上記求められた補正量に基づいて、上記吐出対象物に対する上記粒子含有インク吐出ヘッドの位置を相対的に移動させて、上記補正用ノズルにおける吐出位置を補正する移動制御装置と
を備えたことを特徴とする粒子含有インク塗布装置。
【請求項2】
少なくとも1個以上のノズルを有する粒子含有インク吐出ヘッドを、少なくとも2個以上搭載すると共に、予め全ての粒子含有インク吐出ヘッドにおける全てのノズルの位置関係が判っており、上記全てのノズルのうち少なくとも1個以上であり且つ総ノズル数よりも少ない数のノズルを、その他のノズルから吐出されるインクよりも粒子含有量が少ないインクのみを吐出する補正用ノズルと成し、少なくとも上記その他のノズルからは粒子を含有したインクを吐出する粒子含有インク吐出ヘッドユニットと、
上記粒子含有インク吐出ヘッドユニットにおける上記補正用ノズルから吐出されて吐出対象物上に着弾したインクを観察し、この観察結果に基づいてインクの着弾位置を求める着弾位置測定装置と、
上記求められた着弾位置と上記補正用ノズルから吐出されたインクが本来着弾すべき位置とのズレ量を、上記補正用ノズルにおける吐出位置の補正量として求める補正量算出装置と、
上記求められた補正量に基づいて、上記吐出対象物に対する上記粒子含有インク吐出ヘッドユニットの位置を相対的に移動させて、上記補正用ノズルにおける吐出位置を補正する移動制御装置と
を備えたことを特徴とする粒子含有インク塗布装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の粒子含有インク塗布装置において、
上記補正用ノズルから吐出されるインクの上記粒子含有量は、0であることを特徴とする粒子含有インク塗布装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3までの何れか一つに記載の粒子含有インク塗布装置において、
上記補正用ノズルの個数は1個であることを特徴とする粒子含有インク塗布装置。
【請求項5】
請求項1から請求項3までの何れか一つに記載の粒子含有インク塗布装置において、
上記補正用ノズルの個数は2個であることを特徴とする粒子含有インク塗布装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5までの何れか一つに記載の粒子含有インク塗布装置において、
上記全てのノズルは略直線状に配列されており、
上記補正用ノズルは、上記全てのノズルの配列における少なくとも両端に位置するノズルに割り当てられていることを特徴とする粒子含有インク塗布装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6までの何れか一つに記載の粒子含有インク塗布装置において、
粒子を含有したインクにおける上記粒子の透過性が低く且つ液体の透過性が高いフィルタであって、上記その他のノズルから吐出されるべき上記粒子を含有したインクに含まれる上記粒子の少なくとも一部を除去して、上記粒子含有量が少ないインクを生成するフィルタを備えたことを特徴とする粒子含有インク塗布装置。
【請求項8】
請求項7に記載の粒子含有インク塗布装置において、
上記フィルタは、上記粒子含有インク吐出ヘッド内に設けられていることを特徴とする粒子含有インク塗布装置。
【請求項9】
請求項7に記載の粒子含有インク塗布装置において、
上記フィルタは、上記粒子を含有したインクを上記粒子含有インク吐出ヘッドに供給するための配管と上記粒子含有インク吐出ヘッドとを接続するマニホールド内に設けられていることを特徴とする粒子含有インク塗布装置。
【請求項10】
請求項1から請求項6までの何れか一つに記載の粒子含有インク塗布装置において、
上記その他のノズルから吐出されるインクよりも粒子含有量が少ないインクを貯蔵する第1インクタンクと、
上記その他のノズルから吐出されるべき上記粒子を含有したインクを貯蔵する第2インクタンクと、
上記第1インクタンク内のインクを、上記粒子含有インク吐出ヘッドにおける上記補正用ノズルに供給する第1インク供給装置と、
上記第2インクタンク内のインクを、上記粒子含有インク吐出ヘッドにおける上記その他のノズルに供給する第2インク供給装置と
を備えたことを特徴とする粒子含有インク塗布装置。
【請求項11】
請求項1から請求項10までの何れか一つに記載の粒子含有インク塗布装置の吐出位置補正方法であって、
上記粒子含有インク吐出ヘッドにおける上記補正用ノズルから、その他のノズルから吐出されるインクよりも粒子含有量が少ないインクを吐出する工程と、
上記着弾位置測定装置によって、上記補正用ノズルから吐出されて吐出対象物上に着弾したインクを観察し、この観察結果に基づいてインクの着弾位置を求める工程と、
上記補正量算出装置によって、上記求められた着弾位置と上記補正用ノズルから吐出されたインクが本来着弾すべき位置とのズレ量を、上記補正用ノズルにおける吐出位置の補正量として求める工程と、
上記移動制御装置によって、上記求められた補正量に基づいて、上記吐出対象物に対する上記粒子含有インク吐出ヘッドの位置を相対的に移動させて、上記補正用ノズルにおける吐出位置を補正する工程と
を備えたことを特徴とする粒子含有インク塗布装置の吐出位置補正方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2009−11925(P2009−11925A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−176054(P2007−176054)
【出願日】平成19年7月4日(2007.7.4)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】