説明

粘着テープの貼着装置及び貼着方法

【課題】基板を搬送しながら粘着テープを貼着することができる粘着装置を提供することにある。
【解決手段】離型テープに貼着されて所定長さに切断された粘着テープを基板の板面に貼着する貼着装置であって、
基板を保持して所定方向に搬送するコンベアベルト1と、コンベアベルトによって所定方向に搬送される基板の板面に対向するよう配置され所定長さに切断された粘着テープを基板の搬送に同期させて走行させながら、搬送される基板に貼着する貼着ユニット15を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は太陽電池モジュールの半導体セルや液晶表示パネルなどの基板にリード線や電子部品などを接続するための粘着テープを貼着する貼着装置及び貼着方法に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば、太陽電池モジュールは、図8(a),(b)に示すように基板としての複数の半導体セル101をリード線102によって一列に接続して構成される。半導体セル101をリード線102によって接続する場合、従来は半導体セル101の電極にリード線102を半田付けで接続するようにしていた。
【0003】
しかしながら、半田付けによると、リード線102の半田付けされた部分が早期に腐食するということがあったり、生産性が低いなどのことがある。そこで、最近では図8(b)に示すように半田付けに代わって粘着テープ103を用いて半導体セル101にリード線2を接続するということが行なわれている。
【0004】
粘着テープ103を用いて半導体セル101の電極にリード線102を接続する場合、まず、帯状の導電性金属からなる上記リード線102を、中途部に屈曲部を成形してクランク状に曲成する。クランク状に曲成されたリード線102の一端部は隣り合う一対の半導体セル101の一方の上面に粘着テープ103によって貼着(仮圧着)し、他端部は他方の半導体セル101の下面に同じく粘着テープ103によって貼着(仮圧着)するようにしている。
なお、隣り合う一対の半導体セル101は所定間隔で配置される複数、図8(a)では3本のリード線102によって接続される。
【0005】
上記粘着テープ103としては、粘着性を有する熱硬化性の合成樹脂に金属などの導電性微粒子を混入させた、いわゆる導電性接続部材(CF)が用いられている。
【0006】
したがって、上記リード線102を半導体セル101に上記粘着テープ103によって仮圧着したのち、リード線102を半導体セル101に対して加圧加熱(本圧着)する。それによって、上記粘着テープ103が溶融硬化するから、上記半導体セル101に対してリード線102が固着されるとともに、粘着テープ103に含まれる導電性微粒子によって半導体セル101の電極とリード線102が電気的に接続されることになる。
【0007】
特許文献1に示された太陽電池モジュールは、2つの太陽電池セルである、半導体セルを有し、これら半導体セルの表面に配置された導通材としての、導電性テープを介してクランク状に曲成された接続部材である、帯板状のリード線によって、上記半導体セルの電極にリード線を電気的に接続することが示されている。
【0008】
半導体セルなどの基板にリード線を仮圧着する際、その仮圧着に先立って上記基板に粘着テープを貼着することになる。特許文献2には基板としての液晶表示パネルに粘着テープを貼着する貼着装置が示されている。
【0009】
従来の貼着装置は、上面に上記基板を載置してこの基板を貼着テープを貼着する貼着位置に位置決めするためのテーブルを有する。上記テーブルの上方には下降方向に駆動される加圧ツールが配置されている。この加圧ツールは上記基板に貼着される粘着テープの長さ寸法よりもわずかに長く形成されている。
【0010】
上記加圧ツールの下面と上記基板の上記粘着テープが貼着される部分の上面との間には、離型テープが粘着テープが貼着された面を下に向けて走行させられるようになっている。上記粘着テープは、上記テーブルによって位置決めされた上記基板に対向する位置に搬送される前に、切断機構によって所定長さ、たとえば上記基板の一側辺の長さに比べてわずかに短い寸法に分断される。
【0011】
したがって、所定長さに分断された粘着テープが上記基板に対向する位置に搬送されて位置決めされた後、上記加圧ツールを下降方向に駆動すれば、その粘着テープが基板に貼着されることになる。
【0012】
粘着テープを基板に貼着したならば、剥離機構を構成する一対の剥離ローラを上記離型テープに係合させた状態で、上記基板の一側辺に沿って駆動する。それによって、基板に貼着された粘着テープから上記離型テープが剥離されるから、基板の側辺に対する粘着テープの貼着が終了することになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2005−101519号公報
【特許文献2】特開2007−314312号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
ところで、所定長さに切断された粘着テープを基板に貼着する貼着装置が上述した構成であると、上面に基板が保持されたテーブルを貼着位置に位置決めし、ついで所定長さに分断された粘着テープを基板に対して位置決めする。ついで、加圧ツールを下降させて基板に粘着テープを貼着したならば、剥離機構の一対の剥離ローラを作動させて基板に貼着された粘着テープから離型テープを剥離しなければならない。
【0015】
そのため、基板に粘着テープを貼着し、貼着された粘着テープから離型テープを剥離するまでには、基板を貼着位置に位置決めする作業と、位置決め後に加圧ツールを下降させて基板に粘着テープを貼着する作業と、貼着後に加圧ツールを上昇させてから、基板に貼着された粘着テープから離型テープを剥離する作業を、別々の工程で、しかもそれぞれの作業専用の機構で行なわなければならない。
【0016】
そのため、1つの作業から次の作業に移る間に時間の無駄が生じるから、その分、生産性が低下するということがある。さらに、複数の作業を、それぞれの専用の機構で行なわなければならないから、構成の複雑化や大型化を招くということがある。
【0017】
すなわち、基板に粘着テープを貼着するためには上下駆動される加圧ツールが必要となり、基板に貼着された粘着テープから離型テープを剥離するためには基板の側辺部に沿って往復駆動される剥離機構が必要になる。そのため、各作業に専用の機構を必要とすることで、上述したように構成の複雑化や大型化を招くということがある。
【0018】
さらに、特許文献2に示されていないが、所定長さを有する加圧ツールによって基板の側辺部に離型テープに貼着された粘着テープを貼着する場合、加圧ツールの加圧面と、この加圧面によって押圧される基板の板面との平行度を精密に維持することが難しい。
【0019】
そのため、離型テープと加圧ツールとの間にクッションシートを介在させることで、加圧ツールの加圧面と基板の板面との平行度が精密に維持されていなくとも、所定長さを有する加圧ツールの加圧面によって基板の側辺部に粘着テープをほぼ均一な圧力で加圧できるようにしている。
【0020】
上記クッションシートは供給リールから繰り出されて巻き取りリールに巻き取られるようになっていて、加圧ツールによって複数回押圧されたならば、その使用済みの部分を上記巻き取りリールで巻き取るようにしている。そのため、クッションシートを設けることによっても、構成の複雑化や大型化を招くということがある。
【0021】
この発明は、比較的簡単な構成で、所定長さに切断された粘着テープを基板に対して連続的に効率よく貼着することができるようにした粘着テープの貼着装置及び貼着方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0022】
この発明は、離型テープに貼着されて所定長さに切断された粘着テープを基板の板面に貼着する貼着装置であって、
上記基板を保持して所定方向に搬送する搬送手段と、
この搬送手段によって所定方向に搬送される基板の板面に対向するよう配置され所定長さに切断された上記粘着テープを上記基板の搬送に同期させて走行させながら、搬送される上記基板に貼着する貼着ユニットと
を具備したことを特徴とする粘着テープの貼着装置にある。
【0023】
上記貼着ユニットは、
上記粘着テープが貼着された上記離型テープが巻装された供給リールと、
この供給リールから上記離型テープとともに繰り出された上記粘着テープを所定長さに切断する切断機構と、
この切断機構によって所定長さに切断された上記粘着テープを上記離型テープとともに上記搬送手段による上記基板の搬送と同期して走行させる送り手段と、
この送り手段よって上記基板と同期して走行させられる上記粘着テープを上記基板の板面に押圧貼着する貼着ローラと、
上記送り手段によって上記離型テープが上記基板の搬送と同期して走行させられることで、上記基板に貼着された粘着テープから剥離される上記離型テープを巻き取る巻き取りリールとを具備することが好ましい。
【0024】
上記送り手段は、上記基板に貼着された粘着テープから上記離型テープが剥離されるよう、この離型テープの走行方向を上記基板の板面に対して上方向に方向変換させながら上記離型テープを走行させる構成であることが好ましい。
【0025】
上記貼着ユニットは、上記搬送手段によって水平に搬送される上記基板の上面側と下面側に対向して配置されていて、各貼着ユニットの貼着ローラによる上記粘着テープの貼着は、上記基板の上面と下面との対応する箇所に対して同時に行なうことが好ましい。
【0026】
上記基板或いは上記基板に貼着される粘着テープの少なくとも一方を加熱する加熱手段が設けられていることが好ましい。
【0027】
複数の貼着ユニットが上記基板の搬送方向と交差する方向に対して所定間隔で平行に配置されていて、上記基板の板面には複数の貼着ユニットによって所定長さに切断された複数の粘着テープが同時に貼着されることが好ましい。
【0028】
上記搬送手段は、上記基板を吸着保持して搬送するコンベアベルトであることが好ましい。
【0029】
この発明は、離型テープに貼着されて所定長さに切断された粘着テープを基板の板面に貼着する貼着方法であって、
上記基板を保持して所定方向に搬送する工程と、
所定長さに切断された上記粘着テープを上記基板の板面に対向させて上記基板の搬送に同期させて走行させながら、搬送される上記基板に貼着する工程と
を具備したことを特徴とする粘着テープの貼着方法にある。
【0030】
上記離型テープを巻き取ることで、上記基板に貼着された粘着テープから上記離型テープを剥離する工程を有することが好ましい。
【0031】
上記基板に粘着テープを貼着する工程は、水平方向に搬送される基板の上面と下面との対応する箇所に対して同時に行なうことが好ましい。
【発明の効果】
【0032】
この発明によれば、離型テープに貼着された状態で所定長さに切断された粘着テープを、搬送される基板に同期させて走行させながら、上記基板の板面に貼着するようにした。
【0033】
そのため、基板に対する粘着テープの貼着を、基板を搬送しながら連続的に行なうことが可能となるから、生産性の向上や構成の簡略化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】この発明の一実施の形態を示す貼着装置の概略的構成を示す正面図。
【図2】コンベアベルトの上面側と下面側に配置される貼着ユニットを示す側断面図。
【図3】コンベアベルト及びこのコンベアベルトの下面に設けられるブロックの一部を拡大した断面図。
【図4】貼着ユニットの内部構造を示す図。
【図5】貼着ユニット内で離型テープに貼着された粘着テープがカッタによって切断された状態を示す拡大図。
【図6】制御系統を示すブロック図。
【図7】(a)〜(d)はコンベアベルトによって搬送される基板に粘着テープを貼着する工程を順次示した説明図。
【図8】(a)はリード線によって接続された複数の半導体セルを示す平面図、(b)は同じく側面図。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、この発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
【0036】
図1乃至図7はこの発明の一実施の形態を示す。図1は粘着テープの貼着装置の概略的構成を示す正面図で、図2は側断面図である。上記貼着装置は太陽電池用の半導体セルや液晶表示パネルなどの基板Wを所定間隔dで搬送するための搬送手段としての、平行に離間対向して配置された無端状の一対のコンベアベルト1を有する。このコンベアベルト1は従動プーリ2と駆動プーリ3との間に掛け渡されている。上記従動プーリ2は支軸4に回転可能に支持され、上記駆動プーリ3は搬送用駆動源5によって回転駆動される駆動軸6に一体的に設けられている。
【0037】
図2と図3に示すように、上記コンベアベルト1には厚さ方向に貫通した複数の吸引孔1aが長手方向に所定間隔で形成されている。無端走行する上記コンベアベルト1の上側に位置する部分の下面には、この下面のほぼ全長にわたって上面を接触させた支持ブロック7が設けられている。
【0038】
上記支持ブロック7の上面の上記吸引孔1aと対応する部分には、長手方向に沿って吸引溝8が形成されている。したがって、この吸引溝8の上面開口は上記コンベアベルト1によって閉塞されることになる。
【0039】
上記支持ブロック7の厚さ方向中途部には長手方向に沿って吸引路9が形成されている。この吸引路9と上記吸引溝8は複数の連通孔11によって連通している。上記吸引溝8は一端が閉塞され、他端が上記支持ブロック7の長手方向一端面に開口していて、この他端には吸引ポンプ12の吸引側が配管接続されている。
【0040】
したがって、上記吸引ポンプ12が作動すれば、その吸引力が上記コンベアベルト1の吸引孔1aに作用するから、このコンベアベルト1によって搬送される基板Wの下面がコンベアベルト1の上面に吸着されて搬送される。つまり、基板Wはコンベアベルト1上でずれ動くことなく吸着保持されて搬送されるようになっている。
上記コンベアベルト1の上側を走行する部分の上面と下面には、一対のコンベアベルト1の間及び各支持ブロック7の外側に対応する位置にそれぞれ貼着ユニット15が配置されている。つまり、上記コンベアベルト1の上側を走行する部分の上面と下面には、それぞれ3つで、合計で6つの貼着ユニット15がコンベアベルト1の幅方向に沿って並設されている。
なお、各貼着ユニット15は図2に示すようにガイド14によって上下方向に移動可能に支持されている。
【0041】
上記貼着ユニット15は図4に鎖線で示すように正面形状が矩形状をなした筐体16を有する。上記コンベアベルト1の上面側と下面側に配置された3つの筐体16はそれぞれ上下駆動源17によって上記コンベアベルト1の上面及び下面に対して接離する上下方向に駆動位置決め可能になっている。
【0042】
この実施の形態では、上記コンベアベルト1の上側と下側に配置された上下各3つの貼着ユニット15がそれぞれ1つの上下駆動源17によって上下方向に駆動位置決めされるようになっているが、6つの貼着ユニット15をそれぞれ別々の上下駆動源17によって上下動させるようにしてもよい。
【0043】
上記コンベアベルトの1上面及び下面に配置される貼着ユニット15は同じ構成のものが上下方向の向きを逆にして配置されている。したがって、以下、コンベアベルト1の上面側に配置される貼着ユニット15を基準にして説明する。
【0044】
すなわち、図4に示すように上記筐体16の内部の上下方向の上端部には、供給リール19が回転可能に収容されている。この供給リール19には、図5に示すように一側面に粘着テープ21が貼着された離型テープ22が巻装されている。上記粘着テープ21は上述した導電性接続部材(CF)が用いられている。
【0045】
上記導電性接続部材の形状は、通常、幅が1〜1.5mmで、厚さが0.1〜0.15mmであるが、この実施の形態では幅1mm、厚さ0.1mmのものが用いられる。また、後述する剥離テープ22は幅1mm、厚さ0.1mmのものが用いられる。
【0046】
上記供給リール19から繰り出された上記離型テープ22は、上記筐体16の内部の上下方向の中途部に配置されたガイドローラ23に係合して垂直方向下方に導かれ、上記筐体16の下端部に回転可能に配置された貼着ローラ24に係合している。
【0047】
上記貼着ローラ24は外周面の一部、つまり径方向の一部を上記筐体16の下端面に形成された図示しない開口から外部に突出させている。そして、この貼着ローラ24に係合した離型テープ22は、粘着テープ21が貼着された面を外側に向けている。
また、貼着ローラ24の外周面には表面がざらざらした梨地状に加工されており、後述する上記粘着テープ21の貼着時に上記離型テープ22が上記貼着ローラ24の幅方向に対してずれないよう両者間の摩擦係数を大きくしている。
【0048】
しかも、貼着ローラ24の外周面を梨地状とすることで、摩擦係数は大きくなるが、面接触抵抗は小さくなるから、離型テープ22が貼着ローラ24に巻き付くのが防止される。そのため、粘着テープ粘着テープ21の剥離を安定して行なうことができる。
【0049】
さらに、上記貼着ローラ24の外周面に離型テープ22が係合する浅い溝、たとえば幅が1.1mm、深さが0.1mm程度の溝を形成しておけば、上記離型テープ22が上記貼着ローラ24の幅方向にずれるのをさらに確実に防止することができる。
【0050】
なお、上記コンベアベルト1の下側に設けられた貼着ユニット15の貼着ローラ24は、図1と図2に示すように径方向の一部を上記筐体16の上面から外部に突出させることになる。
【0051】
図4に示すように、上記離型テープ22の上記ガイドローラ23と上記貼着ローラ24との間で上下方向に走行する部分には、この離型テープ22に貼着された粘着テープ21を所定長さに切断するための切断機構25が配設されている。この切断機構25はシリンダ26と、このシリンダ26の軸の先端に設けられた基部27と、この基部27に設けられたカッタ28によって形成されている。上記離型テープ22の粘着テープ21が貼着された面と反対側の面は離型テープ22が撓むのを防止する支持ブロック29によって支持されている。
【0052】
したがって、上記シリンダ26が作動して上記カッタ28が粘着テープ21に向かって駆動されると、このカッタ28によって上記粘着テープ21に図5に示すように切断線21aが形成されて切断される。上記カッタ28は、上記粘着テープ21は切断するが、上記離型テープ22は切断しないよう、上記シリンダ26によってストロークが設定されている。
【0053】
上記貼着ユニット15の、上記粘着テープ21の上記カッタ28によって切断された箇所と、上記貼着ローラ24の最下端と間の距離、つまり切断される粘着テープ21の長さは、上記基板Wに貼着される粘着テープ21の長さ(図1にLで示す)に対応している。
【0054】
同様に、下側の貼着ユニット15も、上記カッタ28によって切断される上記粘着テープ21の長さが上記基板Wに貼着される粘着テープ21の長さに対応している。なお、この実施の形態では、基板Wに貼着される粘着テープ21の長さLは、図1にLで示すように基板Wの長さ寸法よりもわずかに短く設定されている。
【0055】
そして、上記基板Wの粘着テープ21が貼着される箇所の先端が上下の貼着ユニット15の貼着ローラ24の最下端或いは最上端に到達したとき、上側の貼着ユニット15を下降させるとともに、下側の貼着ユニット15を上昇させれば、離型テープ22に貼着された粘着テープ21の先端が上記基板Wの貼着位置の先端に押圧貼着されることになる。
【0056】
図6に示すように、上記コンベアベルト1を駆動する搬送用駆動源5、上記貼着ユニット15を上下方向に駆動する一対の上下駆動源17は制御装置31によって駆動が制御されるようになっている。
【0057】
すなわち、コンベアベルト1に搬送される基板Wはその先端がコンベアベルト1の上方に配置されたセンサ32(図1と図6に示す)によって検知される。センサ32の検知信号は上記制御装置31に出力される。
【0058】
上記制御装置31は、上記コンベアベルト1による基板Wの搬送位置を上記搬送用駆動源5に設けられたエンコーダ(図示せず)からの出力によって検出し、その検出に基づいて上記基板Wの粘着テープ21が貼着される箇所の先端が上記センサ32による検知位置から、上記貼着ユニット15の貼着ローラ24の最下端に到達するまでの時間又は距離を算出する。
【0059】
上記制御装置31によって算出された時間になると、この制御装置31は一対の上下駆動源17に駆動信号を出力し、上側の3つの貼着ユニット15を下降させるとともに、下側の3つの貼着ユニット15を上昇させる。
【0060】
それによって、上述したように上記基板Wの上下面の貼着位置の先端に、所定長さに切断された粘着テープ21の先端が押圧貼着されることになる。この状態を図7(a)に示す。
【0061】
上記基板Wの上下面に対する粘着テープ21の先端の押圧貼着は同時に行なわれる。それによって、粘着テープ21の押圧貼着時に、基板Wが上下方向に撓んで損傷するのが防止されるようになっている。
なお、図7(a)〜(d)は基板Wの上面にだけ粘着テープ21が貼着される状態を示し、下面に対する粘着テープ21の貼着は図示していない。
【0062】
上記貼着ローラ24に係合した離型テープ22は垂直方向上方に導かれ、図4に示すように外周面を転接させた送り手段としての一対の送りローラ35によって挟持搬送されるようになっている。
【0063】
上記一対の送りローラ35はそれぞれ送り駆動源36によって図4に矢印で示す方向に回転駆動されるようになっている。上記送り駆動源36は、図6に示す上記制御装置31によって駆動が制御されるようになっている。なお、図4には1つの貼着ユニット15にも受けられる2つの送り駆動源36だけを示している。
【0064】
このように、一対の上下駆動源17によって上側の3つの貼着ユニット15が下降させられ、下側の3つの貼着ユニット15が上昇させられて、基板Wの上下面に粘着テープ21の先端が押圧貼着されると、上記制御装置31は、一対の送り駆動源36を、上記コンベアベルト1を走行させる搬送用駆動源5と同期させて駆動する。つまり、上記離型テープ22を、上記コンベアベルト1によって搬送される上記基板Wの搬送速度と同じ搬送速度で走行させる。
【0065】
それによって、コンベアベルト1によって搬送される上記基板Wの上下面に、図7(b)に示すように離型テープ22に貼着されて所定長さLに切断された粘着テープ21の貼着が開始されることになる。
【0066】
図4に示すように、上記離型テープ22は貼着ローラ24に係合してから上方、つまり基板Wの粘着テープ21が貼着された面から離れる方向に方向変換されて一対の送りローラ35によって挟持搬送される。
【0067】
そのため、離型テープ22は、図7(b),(c)に示すように基板Wの搬送と同期して搬送されながら基板Wに貼着された粘着テープ21から剥離されることになる。つまり、貼着ローラ24によって搬送される基板Wに粘着テープ21を押圧貼着しながら、基板Wに貼着された粘着テープ21から離型テープ22が剥離されることになる。
【0068】
基板Wに貼着された粘着テープ21から剥離された離型テープ22は巻き取り駆動源38によって回転駆動される巻き取りリール39によって巻き取られる。この巻き取りリール39の巻き取り駆動源38は上記制御装置31によって駆動が制御される。
【0069】
つまり、巻き取り駆動源38は、巻き取りリール39による離型テープ22の巻き取りが、上記一対の送りローラ35による離型テープ22の送り速度と同じになるよう同期して回転駆動される。
【0070】
それによって、基板Wに貼着された粘着テープ21から剥離された離型テープ22は貼着ユニット15の筐体16内で弛みが生じることなく、上記巻き取りリール39によって巻き取られるようになっている。
【0071】
上記コンベアベルト1によって搬送される上記基板Wの上面と下面は、その基板Wが上下の貼着ユニット15の間に入り込む前、つまり粘着テープ21の貼着が開始される前にハロゲンランプなどのヒータ41(図4に示す)によって加熱されるようになっている。
【0072】
それによって、粘着テープ21の粘着性が向上するから、貼着ローラ24による粘着テープ21の貼着が良好に行なわれることになる。なお、上記筐体16の一側面と上記ヒータ41との間には、ヒータ41の熱が筐体16に伝わるのを阻止するための板状の遮熱部材42が設けられている。
【0073】
そして、図7(c)に示すように基板Wの上下面に対して所定長さに切断された粘着テープ21の貼着が終わると、送り駆動源36及び巻き取り駆動源38の駆動が停止されると同時に、コンベアベルト1の上方に配置された3つの貼着ユニット15が上下駆動源17によって上方に駆動され、下方に配置された3つの貼着ユニット15が上下駆動源17によって下方に駆動される。
【0074】
それによって、各貼着ユニット15の貼着ローラ24は図7(d)に示すように基板Wの板面から離間する。このとき、基板Wに貼着された粘着テープ21と、基板Wに貼着されずに離型テープ22に貼着した粘着テープ21は、図7(c)に示すようにカッタ28によって形成された切断線21aの箇所で分離される。
【0075】
そして、貼着ローラ24が基板Wの板面から離間すると、コンベアベルト1によってつぎの基板Wが貼着位置に搬送されるまでの間に、切断機構25が作動し、切断線21aによって離型テープ22に貼着された粘着テープ21を所定の長さLに切断する。
【0076】
そして、図7(d)に示すようにつぎの基板Wの粘着テープ21が貼着される部分の先端が貼着ローラ24に対向する位置まで搬送されてくると、上方の貼着ユニット15が下降方向に駆動され、下方の貼着ユニット15が上昇方向に駆動されて上述した貼着作業が繰り返して行なわれることになる。
【0077】
このように構成された粘着テープ21の貼着装置によれば、コンベアベルト1による基板Wの搬送と、送りローラ35による離型テープ22の搬送を、制御装置31によって同じ速度になるよう同期させるようにした。
【0078】
そのため、基板Wを搬送しながら、この基板Wに所定長さに切断された粘着テープ21を、貼着ユニット15の貼着ローラ24によって押圧することで、上記基板Wに粘着テープ21を貼着することができる。
【0079】
つまり、基板Wを搬送しながら、その基板Wに粘着テープ21を貼着することができるから、基板Wを所定位置に位置決めして停止させ、その基板Wに粘着テープ21を貼着する従来に比べ、粘着テープ21の貼着を能率よく行なうことが可能となる。つまり、生産性を向上させることができる。
【0080】
しかも、離型テープ22に貼着された粘着テープ21が基板Wに貼着されると、その粘着テープ21が貼着された離型テープ22は、一対の送りローラ35によって基板Wの板面から離れる方向に搬送されて、基板Wに貼着された粘着テープ21から剥離される。
【0081】
つまり、基板Wの搬送に離型テープ22を同期させて搬送しながら、基板Wに粘着テープ21を貼着することで、基板Wに貼着された粘着テープ21から離型テープ22を剥離することができる。
【0082】
したがって、粘着テープ21の貼着と、基板Wに貼着された粘着テープ21からの離型テープ22の剥離を同時に行なうことができるから、そのことによっても生産性の向上を図ることができる。
【0083】
しかも、離型テープ22を搬送する一対の送りローラ35が基板Wに貼着された粘着テープ21からの離型テープ22の剥離を兼ねている。そのため、離型テープ22を剥離するための専用の機構が不要となるから、構成の簡略化や小型化を図ることができる。
【0084】
基板Wに対する粘着テープ21の貼着は、貼着ユニット15の筐体16から一部を突出させた貼着ローラ24の外周面によって離型テープ22に貼着された粘着テープ21を基板Wに押圧して行なうようにしている。つまり、粘着テープ21は貼着ローラ24の外周面と基板Wの接点で押圧されて貼着される。
【0085】
そのため、加圧ツールの面圧によって押圧貼着する従来のように、加圧ツールと基板との間にクッションシートを介在させなくとも、所定長さに切断された粘着テープ21を基板Wに確実に押圧して貼着することができる。つまり、この発明の実施の形態によれば、粘着テープ21を加圧貼着する際のクッションシートが不要となるから、そのことによって構成の簡略化を図ることができる。
【0086】
基板Wの上面と下面に対する粘着テープ21の貼着を、上側の3つの貼着ユニット15と下側の3つの貼着ユニット15によって同時に行うようにした。
そのため、上記基板Wを粘着テープ21の貼着時の圧力で変形させることなく、貼着することができるから、基板Wが太陽電池モジュールの半導体セルなどのように比較的損傷し易い材料であっても、基板Wを損傷を招くことなく、粘着テープ21を貼着することがきる。
【0087】
上記一実施の形態では、基板の上面と下面にそれぞれ3つの貼着ユニットを配置し、基板の上面と下面に3本の粘着テープを貼着する場合を例に挙げて説明したが、基板に貼着される粘着テープの数は3本に限られず、それ以外の数であってもよい。その場合、基板に貼着される粘着テープの本数に応じて基板の上面側と下面側に貼着ユニットを配置すればよい。
【0088】
また、基板が液晶表示パネルの場合、基板の上面の側辺部にだけ粘着テープを貼着すればよいから、そのような場合には基板の側辺部の上面側にだけに1つの貼着ユニットを対向させて配置すればよい。
【0089】
基板の側辺部の上面だけに粘着テープを貼着する場合、基板の上面だけが貼着ユニットの貼着ローラによって押圧されると、基板は下方に向かって変形する。したがって、そのような場合には、基板の上面を貼着ローラによって押圧するときに、基板の側辺部の下面をバックアップツールによって支持するようにすればよい。
つまり、上記実施の形態の貼着装置は、粘着テープが粘着される基板は半導体セルに限られず、液晶表示パネルなどの他の基板であってもよい。
【0090】
また、上記実施の形態では基板に粘着テープを貼着する前に、加熱手段としてのヒータによって基板を加熱することで、基板に粘着テープが粘着し易いようにしたが、基板を加熱する代わりに、貼着ローラにヒータを設け、粘着テープを加熱するようにしてもよく、または基板と粘着テープの両方を加熱するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0091】
1…コンベアベルト(搬送手段)、15…貼着ユニット、17…上下駆動源、19…供給リール、21…貼着テープ、22…離型テープ、24…貼着ローラ、25…切断機構、31…制御装置、35…送りローラ(送り手段)、39…巻き取りリール、41…ヒータ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
離型テープに貼着されて所定長さに切断された粘着テープを基板の板面に貼着する貼着装置であって、
上記基板を保持して所定方向に搬送する搬送手段と、
この搬送手段によって所定方向に搬送される基板の板面に対向するよう配置され所定長さに切断された上記粘着テープを上記基板の搬送に同期させて走行させながら、搬送される上記基板に貼着する貼着ユニットと
を具備したことを特徴とする粘着テープの貼着装置。
【請求項2】
上記貼着ユニットは、
上記粘着テープが貼着された上記離型テープが巻装された供給リールと、
この供給リールから上記離型テープとともに繰り出された上記粘着テープを所定長さに切断する切断機構と、
この切断機構によって所定長さに切断された上記粘着テープを上記離型テープとともに上記搬送手段による上記基板の搬送と同期して走行させる送り手段と、
この送り手段よって上記基板と同期して走行させられる上記粘着テープを上記基板の板面に押圧貼着する貼着ローラと、
上記送り手段によって上記離型テープが上記基板の搬送と同期して走行させられることで、上記基板に貼着された粘着テープから剥離される上記離型テープを巻き取る巻き取りリールと
を具備したことを特徴とする請求項1記載の粘着テープの貼着装置。
【請求項3】
上記送り手段は、上記基板に貼着された粘着テープから上記離型テープが剥離されるよう、この離型テープの走行方向を上記基板の板面に対して上方向に方向変換させながら上記離型テープを走行させる構成であることを特徴とする請求項2記載の粘着テープの貼着装置。
【請求項4】
上記貼着ユニットは、上記搬送手段によって水平に搬送される上記基板の上面側と下面側に対向して配置されていて、各貼着ユニットの貼着ローラによる上記粘着テープの貼着は、上記基板の上面と下面との対応する箇所に対して同時に行なうことを特徴とする請求項2記載の粘着テープの貼着装置。
【請求項5】
上記基板或いは上記基板に貼着される粘着テープの少なくとも一方を加熱する加熱手段が設けられていることを特徴とする請求項2記載の粘着テープの貼着装置。
【請求項6】
複数の貼着ユニットが上記基板の搬送方向と交差する方向に対して所定間隔で平行に配置されていて、上記基板の板面には複数の貼着ユニットによって所定長さに切断された複数の粘着テープが同時に貼着されることを特徴とする請求項2乃至請求項4のいずれかに記載の粘着テープの貼着装置。
【請求項7】
上記搬送手段は、上記基板を吸着保持して搬送するコンベアベルトであることを特徴とする請求項1記載の粘着テープの貼着装置。
【請求項8】
離型テープに貼着されて所定長さに切断された粘着テープを基板の板面に貼着する貼着方法であって、
上記基板を保持して所定方向に搬送する工程と、
所定長さに切断された上記粘着テープを上記基板の板面に対向させて上記基板の搬送に同期させて走行させながら、搬送される上記基板に貼着する工程と
を具備したことを特徴とする粘着テープの貼着方法。
【請求項9】
上記離型テープを巻き取ることで、上記基板に貼着された粘着テープから上記離型テープを剥離する工程を有することを特徴とする請求項8記載の粘着テープの貼着方法。
【請求項10】
上記基板に粘着テープを貼着する工程は、水平方向に搬送される基板の上面と下面との対応する箇所に対して同時に行なうことを特徴とする請求項8記載の粘着テープの貼着方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−4512(P2012−4512A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−140990(P2010−140990)
【出願日】平成22年6月21日(2010.6.21)
【出願人】(000002428)芝浦メカトロニクス株式会社 (907)
【Fターム(参考)】