説明

精密研磨工具用チップおよびその製法ならびに該チップを用いた研磨工具

【課題】 本発明の課題は、従来の研磨工具では実現できない、より精密な研磨を実現する研磨工具を提供することである。
【解決手段】 本発明は、研磨工具用チップの製造方法であって、超砥粒層と超硬合金層とが焼結一体化された複合材からチップ材料を切り出す工程、および、切り出されたチップ材料の超硬合金層を、該チップ材料の超硬合金層側の下端面を含む平面と超砥粒層側の上端面を含む平面とのなす角αが0°<α<90°になるように加工する工程を含む、前記製造方法、該製造方法によって製造された研磨工具用チップ、および該研磨工具用チップを含む研磨工具に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、研磨工具用チップおよびその製造方法、ならびに該チップを用いた研磨工具、とくに、CMPパッドのコンディショナーなどに用いる研磨工具等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、工具用としてダイヤモンド焼結体が利用されており、かかる焼結体は、合金層にダイヤモンド砥粒を積層した状態で焼結されている(特許文献1)。ダイヤモンド焼結体を研磨工具に用いる場合、ダイヤモンド砥粒層が研磨対象に対して、一定の角度を有して接するように工夫されているものもあるが(特許文献2〜6)、合金層をワイヤカットによりピラミッド状などにしてからダイヤモンド砥粒を積層したものや、焼結体のダイヤモンド砥粒層をワイヤカットしてピラミッド状などにするものであって、精密な研磨に用いるための工具としては必ずしも十分なものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭58−199776号公報
【特許文献2】国際公開第2007/23949号
【特許文献3】特開平10−71559号公報
【特許文献4】特表2003−511255号公報
【特許文献5】特表2008−540154号公報
【特許文献6】特開2002−337050号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、従来の研磨工具では実現できない、より精密な研磨を実現する研磨工具を提供することである。
本発明者は、より精密な研磨にはダイヤモンド砥粒層を加工することなく、熱などによる損傷を受けていない、いわば無傷な状態のまま用いる必要があること、さらに、無傷な状態のダイヤモンド砥粒層を研磨対象に対して一定の角度を保った状態で当接して用いることで、より精密な研磨が実現できることを見出した。かかる知見に基づき、熱による損傷を受けていない状態のダイヤモンド砥粒層を研磨対象に対して一定の角度に保持せしめるという全く新しい課題を見出した。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、上記の課題を解決すべく鋭意検討を進め、焼結体からチップ材料を切り出し、超硬合金層側の端部を切削などの加工をすることによって、研磨工具用チップの刃先角度を、ダイヤモンド砥粒層を加工することなく、自在に設定できることを見出し、さらに検討を進めた結果、本発明を完成した。
【0006】
すなわち本発明は、以下の研磨工具用チップの製造方法、該製造方法によって製造された研磨工具用チップ、および該研磨工具用チップを用いた研磨工具に関する。
[1] 研磨工具用チップの製造方法であって、
超砥粒層と超硬合金層とが焼結一体化された複合材からチップ材料を切り出す工程、および、
切り出されたチップ材料の超硬合金層を、該チップ材料の超硬合金層側の下端面を含む平面と超砥粒層側の上端面を含む平面とのなす角αが0°<α<90°になるように加工する工程
を含む、前記製造方法。
[2] 複合材の超砥粒層と超硬合金層とが、平行に積層されてなる、前記[1]に記載の製造方法。
[3] チップ材料を、該チップ材料の横断面が四角形になるように4つの平面で切り出す、前記[1]または[2]に記載の製造方法。
[4] 切り出されたチップ材料が平行六面体である、前記[3]に記載の製造方法。
[5] 切り出されたチップ材料が直方体である、前記[4]に記載の製造方法。
[6] 切り出されたチップ材料の超砥粒層側の上端面に、上端面の長手方向に垂直な溝を1または2以上設ける、前記[5]に記載の製造方法。
[7] 切り出されたチップ材料の超硬合金層を、レーザーまたはワイヤカットにより加工する、前記[1]〜[6]のいずれか一項に記載の製造方法。
【0007】
[8] 前記[1]〜[7]のいずれか一項に記載の製造方法によって製造された、研磨工具用チップ。
[9] 超砥粒層と超硬合金層とが平行に積層され焼結一体化された複合材から切り出された研磨工具用チップであって、超硬合金層側の下端面を含む平面と超砥粒層側の上端面を含む平面とのなす角αが0°<α<90°である、前記研磨工具用チップ。
[10] 横断面が長方形である、前記[9]に記載の研磨工具用チップ。
[11] 超砥粒層側の上端面に、上端面の長手方向に垂直な溝を1または2以上備えた、前記[10]に記載の研磨工具用チップ。
【0008】
[12] 前記[8]〜[11]のいずれか一項に記載の研磨工具用チップを含む、研磨工具。
[13] 研磨工具用チップが、円形の剛性基板の円周に沿って、一定間隔で配置されてなる、前記[12]に記載の研磨工具。
[14] 研磨工具用チップの超砥粒層側の上端面を含む平面が、剛性基板の平面に対し、1°〜60°の傾きを有する、前記[12]または[13]に記載の研磨工具。
[15] 研磨工具用チップの側面が、剛性基板の平面に対し90°である、前記[14]に記載の研磨工具。
[16] 研磨工具チップが、正刃または逆刃となるように配置されてなる、前記[15]に記載の研磨工具。
[17] CMPパッド用、シリコンウエハ用、液晶用ガラス用、および/または、ハードディスク用である、前記[12]〜[16]のいずれか一項に記載の研磨工具。
【発明の効果】
【0009】
本発明の研磨工具用チップの製造方法によれば、超砥粒層を加工したり傷つけたりすることなく、自在に研磨工具の刃先角度をつけることができる。さらに本発明の研磨工具用チップを用いた研磨工具によれば、より精密な研磨が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、本発明のチップ材料の切り出しを説明する概念図である。
【図2】図2は、本発明の研磨工具用チップの一態様を示す図である。
【図3】図3は、本発明の研磨工具の一態様を示す図である。
【図4】図4は、本発明の研磨工具用チップの一態様を示す図である。
【図5】図5は、本発明の研磨工具の一態様を示す図である。
【図6】図6は、本発明の研磨工具の一態様を示す図である。
【図7】図7は、本発明の研磨工具の一態様を示す図である。
【図8】図8は、本発明の研磨工具の一態様を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の研磨工具用チップの製造方法は、超砥粒層と超硬合金層とが焼結一体化された複合材からチップ材料を切り出す工程、および、切り出されたチップ材料の超硬合金層を、該チップ材料の超硬合金層側の下端面を含む平面と超砥粒層側の上端面を含む平面とのなす角αが0°<α<90°になるように加工する工程を含む。角αは、研磨工具に配置した場合の強度などの観点から、典型的には、1°〜60°であり、好ましくは、1°〜45°であり、とくに好ましくは、5°〜30°である。
【0012】
超砥粒層と超硬合金層とが焼結一体化された複合材は、超硬合金に超砥粒を積層したものを超高圧高温下で焼結して一体化することによって製造することができ、各層の厚さは目的に応じて一定であっても、一定でなくてもよいが、典型的には、超砥粒層と超硬合金層とはともに一定の層厚を有し、平行に積層されている。
【0013】
本発明に用いることができる超硬合金としては、とくに限定されないが、炭化タングステン系複合材などの周期律表第6a族金属の炭化物を主成分とする複合材などを用いることができ、好ましくは、WC−8wt%Co、WC−13wt%Coなどが用いられる。
【0014】
本発明に用いることができる超砥粒としては、とくに限定されないが、ダイヤモンド、立方晶窒化ホウ素(c−BN)などを用いることができる。超砥粒としてダイヤモンドを用いる場合、その大きさは、通常、研磨工具に用いられる程度であれば特に限定されないが、例えば、公称粒度が40−60μm以下のもの、とくに8−16μmのものや0−2μmのものなどの各粒度のダイヤモンドを用いることができる。ダイヤモンドの公称粒度は、好ましくは、8−16μm以下であり、とくに好ましくは0−2μmである。
【0015】
本明細書において「チップ材料」とは、超硬合金に超砥粒を焼結した複合材から切り出された材料で、超硬合金層と超砥粒層とを有する。該チップ材料を加工することによって、研磨工具用チップとなり、該チップの超砥粒層が刃先となり、超硬合金層が研磨工具の剛性基板に固着される。
【0016】
複合材からの切り出しは、ワイヤカット、レーザービーム、とくに青色レーザー、例えばYAGレーザーを用いて行うことができる。とくに、ワイヤカットによって切り出すことが好ましい。切り出しは、複合材の超硬合金層と超砥粒層とを横断する面で囲むように行われ、かかる面を適宜設定することによって、チップ材料の形状を調整することができる。例えば、超砥粒層と超硬合金層とが平行に積層されている複合材に対して、横断面が、四角形になるように4つの平面で切り出しを行えば、得られるチップ材料は、四角柱や四角錐台などの形状になり、前記4つの平面を互いに平行な2組の平面とすれば、平行六面体、直方体、立方体などの形状となる。
したがって、切り出されたチップ材料の形状は、とくに限定されず、任意の形状とすることができる。
【0017】
切り出されたチップ材料の超砥粒層側の上端面は、加工されておらず熱的な損傷を受けていない状態のままとすることができ、極めて精密な研磨において優れた研磨効果を奏することができる。これは、従来の放電を利用するワイヤカットなどで、超砥粒層側の上端面を加工し、ピラミッド型や多角錐型の研磨単位を創製すると、ダイヤモンドなどの超砥粒が高温にさらされることになり劣化してしまう場合と比較して、極めて均質な刃先面を提供できることを意味する。すなわち本発明においては、ダイヤモンドなどの超砥粒層に対して、実質的に高温度での加工がなされないことから、刃先面となる面が全く損傷を受けていない状態で切り出され、さらに刃先面を任意の傾きに調整できるのである。
【0018】
また、超砥粒層側の上端面に必要最小限の加工をすることも可能である。例えば、スラリーの排出性を高めるために、切り出されたチップ材料の超砥粒層側の上端面に、上端面の長手方向に垂直な溝を1または2以上設けてもよい。
【0019】
本発明の重要な特徴の1つとして、切り出されたチップ材料の超硬合金層を、該チップ材料の超硬合金層側の下端面を含む平面と超砥粒層側の上端面を含む平面とのなす角αが0°<α<90°になるように加工する工程を含む。かかる加工工程によって、研磨工具用チップの超硬合金層側の下端面(研磨工具の剛性基板へ固着する面)と、超砥粒層側の上端面(刃先となる面)とが平行となることがなく、自在に所望の刃先角度をつけることができる。
【0020】
加工工程は、典型的には、超硬合金層側の下端面を切削や研磨することによって行われるが、例えば、前記下端面に対し、角度をつけるための部材を固着させることも可能である。超硬合金層側の下端面を切削する場合は、レーザーやワイヤカットにより行うことができる。
【0021】
本発明の研磨工具用チップは、一態様において、超砥粒層と超硬合金層とが平行に積層され焼結一体化された複合材から切り出され、超硬合金層側の下端面を含む平面と超砥粒層側の上端面を含む平面とのなす角αが0°<α<90°である。角αは、研磨工具に配置した場合の強度などの観点から、典型的には、1°〜60°であり、好ましくは、1°〜45°であり、とくに好ましくは、5°〜30°である。
【0022】
またその横断面(当該研磨工具用チップを研磨工具の剛性基板に配置し、該剛性基板と平行な平面で切断した切断面)は、任意の多角形や円であってもよいが、好ましくは、四角形であり、とくに好ましくは、長方形または正方形である。
【0023】
本発明の研磨工具は、一態様において、円形の剛性基板の円周に沿って、一定間隔で配置されてなる。
研磨工具用チップは、1つを1単位として一定間隔で配置しても、複数個を同じ方向に並べた集合体を1単位として一定間隔で配置してもよい。1つを1単位とするか、2つ同じ方向に並べた集合体を1単位とすることが好ましい。
【0024】
本発明の研磨工具において、一態様において、研磨工具用チップの超砥粒層側の上端面(刃先面)を含む平面が、剛性基板の平面に対し、任意の傾きを有する。かかる傾きを調整することで、研磨工具の用途に適したより精密な研磨を実現できる。傾きは、好ましくは、1°〜45°程度に調整することができ、さらに目的や後述する研磨工具の用途に応じて、正刃または逆刃として好適に用いることができる。
【0025】
なお、本明細書において、「正刃」とは、刃先面(頂面)の剛性基板の平面から最も高い刃の部分が進行方向の先頭に設けられている。「逆刃」とは、「正刃」と反対方向に設けられた刃であり、剛性基板の平面に対して略垂直に固着された研磨工具用チップの刃先面(頂面)によって研磨対象を受けるような進行方向(図2においてD1からD2に進行する方向)となるように設けられた刃をいう。すなわち「逆刃」とは、被研磨表面上を移動する研磨工具の移動方向前方から後方に向かって研磨工具の刃と被研磨表面との距離が減少する方向に移動させる刃の動かし方をいう。
【0026】
本発明の研磨工具は、一態様において、研磨工具用チップの側面が、剛性基板の平面に対し90°である。かかる角度(90°)は、超砥粒層を加工して刃先角度を設けていた従来の研磨工具用チップを剛性基板に固着させる一般的な場合と同じである。すなわち、本発明の研磨工具用チップを用いれば、従来の研磨工具用チップと同じように固着させてもなお、超砥粒層側の面を熱などによる損傷を受けない状態のまま所望の傾きに調整することができる。
【0027】
本発明の研磨工具は、種々の用途において用いることができ、とくに表面の精密度が要求されるものの研磨において優れている。本発明の研磨工具の用途は、とくに限定されないが、例えば、CMPパッド用、シリコンウエハ用、液晶用ガラス用、および/または、ハードディスク用とすることができる。ワイヤカットなどによる加工の影響を受けることなく、刃先面の傾きを任意に調整することができることから、極めて精密な研磨が可能であり、パッド材などの研磨におけるカットレートや、ウエハなどの研磨におけるリムーバルレートなどを調整することができ、研磨面の表面粗さを所望の範囲に処理することができる。
以下、本発明について図面を用いて詳細に説明するが、図面は一態様を示すものであり、本発明はこれら図面に限定されるものではない。
【実施例】
【0028】
本発明の研磨工具用チップは、一態様において、図1に示すような複合材(焼結体)1から切り出したチップ材料4を用いて製造する。複合材1は、超硬合金層2に超砥粒層3が平行に積層されている。複合材1からチップ材料4を切り出す場合、鉛直方向(点線矢印)から所定の角度で傾けた4つの平面(図1においては、2組の平行面)によって、切り出し方向(実線矢印)に切り出すことによって、切り出されたチップ材料4は、平行六面体に形成される。このとき、前記の所定の角度をαとしておくことで、超硬合金層側の下端面を含む平面と超砥粒層側の上端面を含む平面とのなす角αを調整することによって、研磨工具用チップは、剛性基板の平面に対して90°に直立させて固着することができる。
【0029】
平行六面体のチップ材料4の超硬合金層側の下端を切削し、超硬合金層側の下端面を含む平面と超砥粒層側の上端面を含む平面とのなす角αを調整することによって、超砥粒層が所望の角度に傾斜した研磨工具用チップ5が得られる(図2)。
【0030】
得られた研磨工具用チップ5を研磨工具用の円形の剛性基板6上の円周に沿って、一定間隔で配置することによって研磨工具7を製造した(図3)。なお、図3においては、1つの研磨工具用チップ5を1単位として円周に沿って一定間隔で配置しているが、例えば、2つの研磨工具用チップ5を1単位として、各単位を円周に沿って一定間隔で配置することもできる。このように一定間隔を設けることによって、スラリーの排出性が向上し、より効率よく、精密な研磨が可能になる。
【0031】
研磨工具用チップ5は、超砥粒層3の上端面に溝などが加工されていてもよく、例えば、図4に示すとおり、長手方向に対して垂直に、1本または2本以上の溝を設けていてもよく、かかる溝は、上端面である部分が一定の幅で残存するように、レーザー加工によって設けることができる。
【0032】
また、研磨工具用チップ5の長手方向と剛性基板の回転方向とのなす角を調整し、剛性基板6が回転したときに研磨工具用チップ5の円周外側の方が先行するように配置したり、逆に、剛性基板6が回転したときに研磨工具用チップ5の円周内側の方が先行するように配置することができる。ここで、研磨工具用チップ5の長手方向と剛性基板6の回転方向とのなす角は、任意の角度であってよい。かかる角度が、0°であれば研磨工具用チップ5の長手方向が円の中心から放射状に半径方向と一致していることを意味するところ、例えば、±(1°〜45°)になるように配置することもできる。
【0033】
以下、図5〜8を例として、本発明の研磨工具7の態様について説明するが、本発明は、これらの態様に限定されるものではない。
図5は、本発明の研磨工具7の一態様を示し、円形の剛性基板6の中心から放射状に、3種類の長さの異なる研磨工具用チップ5を長い方から時計まわりの方向に並べ、これを1単位として、剛性基板6の円周に沿って配置している。図6は、研磨工具用チップ5を短い方から時計まわりの方向に並べた態様の研磨工具7を示している。
【0034】
図7は、本発明の研磨工具7の一態様を示し、研磨工具用チップ5を剛性基板6の円周に沿って並べ、研磨工具7の回転方向が時計まわりの場合に、各研磨工具用チップ5の円周外側が先頭になるように、研磨工具用チップ5の長手方向と剛性基板6の回転方向とのなす角を30°に傾けている。
【0035】
図8は、本発明の研磨工具7の一態様を示し、2種類の長さの異なる研磨工具用チップ5を交互に、剛性基板6の円周に沿って並べ、研磨工具7の回転方向が時計まわりの場合に、各研磨工具用チップ5の円周外側が先頭になるように、研磨工具用チップ5の長手方向と剛性基板6の回転方向とのなす角を20°に傾けている。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明の研磨工具は、各種半導体材料の表面、ハードディスクのディスク面等を研磨する、主に硬質ウレタンや不織布で構成された化学的機械的研磨(chemical-mechanical polishing:CMP)パッド用の、パッドコンディショニングに用いることができる。さらにより精密な研磨が可能である。例えば、液晶ディスプレイ用のガラス表面の加工(研磨)などの用途にも効果的に用いることができる。
【符号の説明】
【0037】
1 複合材(焼結体)
2 超硬合金層
3 超砥粒層
4 チップ材料
5 研磨工具用チップ
6 剛性基板
7 研磨工具
8 溝
矢印(点線) 鉛直方向
矢印(実線) 切り出し方向
α 超硬合金層側の下端面を含む平面と超砥粒層側の上端面を含む平面とのなす角

【特許請求の範囲】
【請求項1】
研磨工具用チップの製造方法であって、
超砥粒層と超硬合金層とが焼結一体化された複合材からチップ材料を切り出す工程、および、
切り出されたチップ材料の超硬合金層を、該チップ材料の超硬合金層側の下端面を含む平面と超砥粒層側の上端面を含む平面とのなす角αが0°<α<90°になるように加工する工程
を含む、前記製造方法。
【請求項2】
複合材の超砥粒層と超硬合金層とが、平行に積層されてなる、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
チップ材料を、該チップ材料の横断面が四角形になるように4つの平面で切り出す、請求項1または2に記載の製造方法。
【請求項4】
切り出されたチップ材料が平行六面体である、請求項3に記載の製造方法。
【請求項5】
切り出されたチップ材料が直方体である、請求項4に記載の製造方法。
【請求項6】
切り出されたチップ材料の超砥粒層側の上端面に、上端面の長手方向に垂直な溝を1または2以上設ける、請求項5に記載の製造方法。
【請求項7】
切り出されたチップ材料の超硬合金層を、レーザーまたはワイヤカットにより加工する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の製造方法によって製造された、研磨工具用チップ。
【請求項9】
超砥粒層と超硬合金層とが平行に積層され焼結一体化された複合材から切り出された研磨工具用チップであって、超硬合金層側の下端面を含む平面と超砥粒層側の上端面を含む平面とのなす角αが0°<α<90°である、前記研磨工具用チップ。
【請求項10】
横断面が長方形である、請求項9に記載の研磨工具用チップ。
【請求項11】
超砥粒層側の上端面に、上端面の長手方向に垂直な溝を1または2以上備えた、請求項10に記載の研磨工具用チップ。
【請求項12】
請求項8〜11のいずれか一項に記載の研磨工具用チップを含む、研磨工具。
【請求項13】
研磨工具用チップが、円形の剛性基板の円周に沿って、一定間隔で配置されてなる、請求項12に記載の研磨工具。
【請求項14】
研磨工具用チップの超砥粒層側の上端面を含む平面が、剛性基板の平面に対し、1°〜45°の傾きを有する、請求項12または13に記載の研磨工具。
【請求項15】
研磨工具用チップの側面が、剛性基板の平面に対し90°である、請求項14に記載の研磨工具。
【請求項16】
研磨工具チップが、正刃または逆刃となるように配置されてなる、請求項15に記載の研磨工具。
【請求項17】
CMPパッド用、シリコンウエハ用、液晶用ガラス用、および/または、ハードディスク用である、請求項12〜16のいずれか一項に記載の研磨工具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−232378(P2012−232378A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−102337(P2011−102337)
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(309021168)新技術開発株式会社 (10)
【Fターム(参考)】