説明

紙幣処理機

【課題】4種類の紙幣の自由度の高い処理に対応しつつ、デザインの変更に伴う旧券の回収を効率的に行うことのできる紙幣処理機を提供する。
【解決手段】紙幣処理機は、紙幣を取込む取込手段と、前記取込手段により取込んだ紙幣の新旧・正損・金種等を識別する識別手段と、前記識別手段の識別結果に基づき、結束対象の所定種類の紙幣を集積する複数の集積部と、前記識別手段の識別結果に基づき、結束対象外の所定種類の紙幣を集積する少なくとも2つの外部集積部と、結束対象紙幣の札種と、結束対象外紙幣の分類方法とを指定する指定手段と、前記識別手段で識別された紙幣を、前記指定手段の指定に基づいて前記集積部及び前記外部集積部へ振り分け制御を行う制御部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は紙幣処理機に関するもので、特にばら状態の紙幣を繰り込んで金種、券種、刷種別に分類し、所定枚数毎に結束(帯封)を行うものに関する。
【背景技術】
【0002】
金融機関において、回収した紙幣等を整理するために紙幣処理機が用いられている。この紙幣処理機は、例えば複数金種の紙幣が正常券(以下、正券という)と損券(汚れや破れにより損傷の大きい紙幣)とが混在状態で投入されたとき、これらを識別して金種別、正損別に分類して取り出し、あるいは通常100枚単位で帯封処理を行うものである。
【0003】
以前の紙幣処理機は千円、5千円、1万円の3種の紙幣に対応すれば十分であり、典型的な例は例えば特許文献1に開示されている。特許文献1においては、外部集積部が3つ存在し、これら各金種にそれぞれ外部集積部が対応している。
【0004】
しかし、この外部集積部は金種との対応関係が固定されており、単に各金種ごとに振り分けるためのものであり、集積内容を変化させて、例えば正券と損券、新券と旧券のような分類を行うことは不可能であった。
【0005】
また、平成年の2千円札の導入以来、従来の千円、5千円、1万円の3種の紙幣に加えて2千円札も加わって4種類の紙幣への対応が求められている。
【0006】
このような対応を図った従来の紙幣処理機としては、例えば特許文献2に示された、金種別集積部を4つ有するものがある。
【0007】
さらに、紙幣のデザインが変更されることもあり、このような場合には旧デザインの旧券の回収を進めるために、新券と旧券の識別および分類も必要となるが、従来の紙幣処理機では新券と旧券とを区別できる程度であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】実用新案登録2597752号公報
【特許文献2】特開2002−197509号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、金種別集積部を4つ有するものであっても、4種類の紙幣種を帯封した場合に、4つの集積部の全てに紙幣が存在し、そのうち1つでも満杯となると繰出しを停止せざるを得なかった。この場合、満杯検知の直前に繰出されてしまった紙幣は、正常券であってもリジェクトせざるを得ないという問題があった。
【0010】
また、従来の機器は、新券と旧券とを分けて帯封処理を行なうことはできても他の条件とともに分類・帯封を行うことはできないため、複数回処理機に通さないと所望の分類をすることはできなかった。
【0011】
本発明は、このような問題を解決するためになされたもので、4種類の紙幣の自由度の高い処理に対応しつつ、デザインの変更に伴う旧券の回収を効率的に行うことのできる紙幣処理機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明にかかる紙幣処理機は、
紙幣を取込む取込手段と、
前記取込手段により取込んだ紙幣の新旧・正損・金種等を識別する識別手段と、
前記識別手段の識別結果に基づき、結束対象の所定種類の紙幣を集積する複数の集積部と、
前記識別手段の識別結果に基づき、結束対象外の所定種類の紙幣を集積する少なくとも2つの外部集積部と、
前記集積部に集積される結束対象紙幣と、前記外部集積部に集積される結束対象外の紙幣とを指定する指定手段と、
前記識別手段で識別された紙幣を、前記指定手段の指定に基づいて前記集積部及び前記外部集積部へ振り分け制御を行う制御部と、
を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の紙幣処理機は、複数の結束紙幣用集積部の他に2つの外部集積部を設け、結束すべき紙幣の札種と結束しない紙幣の分類方法を指定して集積部及び外部集積部へ振り分ける.ようにしているので、結束対象外となった札種以外の札種を分類できるため、その後の取り扱いを容易にすることができる。
【0014】
また、集積部と外部集積部をどの札種に対して用いるかを指定手段により取引毎に種々に設定可能とすることにより、紙幣整理における分類を高い自由度で効率的に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明にかかる紙幣処理装置の一実施形態の内部構成を模式的に示す縦断面図である。
【図2】各種モードの設定画面を示す説明図である。
【図3】旧券を通常扱いとした、金種選択帯封モードにおける設定内容を示す図表である。
【図4】旧券を通常扱いとした、ダイレクト帯封モードにおける設定内容を示す図表である。
【図5】旧券を通常扱いとした、入金モードおよびバッチモードにおける設定内容を示す図表である。
【図6】旧券をリジェクト扱いとした、金種選択帯封モードにおける設定内容を示す図表である。
【図7】旧券をリジェクト扱いとした、ダイレクト帯封モードにおける設定内容を示す図表である。
【図8】旧券をリジェクト扱いとした、入金モードおよびバッチモードにおける設定内容を示す図表である。
【図9】旧券を新券の損券扱いとした、金種選択帯封モードにおける設定内容を示す図表である。
【図10】旧券を新券の損券扱いとした、ダイレクト帯封モードにおける設定内容を示す図表である。
【図11】旧券を新券の損券扱いとした、入金モードおよびバッチモードにおける設定内容を示す図表である。
【図12】帯封モードを実行中の操作表示部における画面表示の一例を示す説明図である。
【図13】入金モードを実行中の操作表示部における画面表示の一例を示す説明図である。
【図14】バッチモードを実行中の操作表示部における画面表示の一例を示す説明図である。
【図15】旧券を新券の損券扱いをするための設定画面を示す説明図である。
【図16】本発明の実施の態様における種々の設定をした場合、各種券種、刷種がどの集積部、外部集積部に集積されるかを示す図表である。
【図17】外部集積部での確定データの表示画面を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態を説明する。
【0017】
図1は、本発明にかかる紙幣処理装置の一実施形態の内部構成を模式的に示す縦断面図である。紙幣処理装置10は最上部に操作表示部11を有し、主として前面上部の分類集積部100、前面下部の紙幣結束部200、背面の搬送部300から構成されている。
【0018】
(分類集積部100)
前面のほぼ中央部に処理すべき紙幣を受け入れる入金口101が設けられ、ここに投入された金種の混合された紙幣は繰り出しローラ102,103により繰り出され、搬送路104に沿って搬送される。
【0019】
搬送路104の途中には識別部105が設けられ、ここで金種、正損、真偽、表裏を識別する。なお、ここで示す識別部105は同じ金種でデザインが相違する新旧券も識別可能となっている。
【0020】
搬送路は識別部105の先で分岐されており、識別部105による識別の結果に応じて、損券、偽券等はリジェクト紙幣としてリジェクト紙幣集積部106に集積される。一方、正券で真券のものは、表裏反転部107において、識別部105による表裏判定結果に応じ、すべての紙幣の表裏面が一致するようにされ、さらに判定された金種等に基づいて結束対象紙幣を収納する集積部111〜115のいずれかに集積される。
【0021】
これらの各集積部111〜115はそれぞれ集積用のステージ111a〜115aを有しており、これらは図示しない駆動手段で昇降可能とされている。
【0022】
図1においては、各集積部111〜115は集積可能な状態として図示されている。すなわち、上側約2/3に設けられた壁部材111b〜115bの下端位置にステージ111a〜115aが位置しているため、搬送された紙幣は壁部材111b〜115bに当たって停止し、集積される。この際、紙幣の飛び出しを防止し、安定な集積を可能とするために、集積量に応じて回動可能な押さえ板111c〜115cが設けられている。なお、ステージ111a〜115aおよび壁部材111b〜115bには後述する搬送部のハンドが自由に通過できる切り欠きが形成されている。
【0023】
一方、結束対象外の紙幣はさらに搬送され、外部集積部121および122に集積される。
【0024】
これらの集積部111〜115および外部集積部121および122に対して集積すべき対象を種々設定することができ、様々な処理が可能であり、例えば金種/正損/新旧等の種類の組み合わせで設定することができる。なお、この設定内容自体については、本発明とは直接関係がないので、ここでは言及しない。
【0025】
表示操作部11の下には結束対象となったものの、結束可能枚数に達しなかった端数紙幣を返却するための端数紙幣返却部130が設けられており、端数紙幣返却トレイ131の下面に設けられた突き当て部材132の先端部132aが背面より押されることにより、端数返却トレイ131が前進し、前面に設けられたシャッタ133が開いて一点鎖線で示された位置まで進み、端数紙幣を取り出すことができる。この部分の構成および作用については、後述する。
【0026】
(紙幣結束部200)
分類集積部100の下に設けられた紙幣結束部200は、所定枚数(通常100枚)に達した分類・集積された紙幣に紙の帯を巻回させ帯封を行う部分である。
【0027】
集積部111〜115において集積枚数が所定枚数に達したものは後述する搬送部300によりセット部201に移送され、挟持される。
【0028】
挟持された紙幣の所定箇所に帯封テープを巻回させるための回転機構202が設けられ、帯封テープを帯封テープ集積部203より取り出された帯封テープ204の先端をテープ止め205で止め、回転させることにより結束紙幣を得るようになっている。また、結束後、テープの先端を切断するためのカッタ206およびその先端部を熱接着するためのヒータ207も設けられている。
【0029】
帯封された結束紙幣はベルト式の搬送機構208で結束紙幣投出口209に投出されるが、搬送途中には金種、日時、連続番号等を帯封の上に印字する印字部210、処理を行った金融機関印を押印する押印部211が設けられている。
【0030】
次に、背面に設けられた搬送部300は、集積部111〜115と紙幣結束部200または端数紙幣返却部130との間で結束対象紙幣または端数紙幣を搬送するものである。
【0031】
(搬送部300)
搬送部300は、装置の下端から上端に到る垂直に設置されたガイド軸301、このガイド軸301に係合しつつ上下移動の可能な昇降ユニット310、この昇降ユニット310を昇降させるための駆動ベルト302を備える。
【0032】
昇降ユニット310はベルト機構311による前進後退可能なブロック312を有しており、このブロック312には固定の下ハンド313と、ベルト316により軸315に沿って上下移動する上ハンド314を有している。ハンド313と314は、集積部111〜115に集積された結束対象紙幣あるいは端数紙幣を挟んで取り出し、紙幣結束部200あるいは端数紙幣返却部130に移送するためのものである。
【0033】
(制御部400)
本紙幣処理装置の全体の動作を制御するための制御装置400が設けられている。この制御装置400は制御手段としてのマイクロプロセッサおよびこの制御手段と例えば金融機関のセンター等に設置された上位のコンピュータ等と通信回線で接続するための通信手段を備えている。
【0034】
図1においては、制御手段400は便宜上紙幣結束部200の下に描かれているが、設計において確保された空間であれば、装置内のあらゆる場所に設置することができる。
【0035】
以上のような構成の紙幣処理機において、本発明では帯封を行う紙幣のための集積部と、帯封を行わない紙幣に対して集積を行う外部集積部を、金種、正券か損券かの券種、新券か旧券かの刷種について種々に指定可能としている。
【0036】
図2は、操作表示部に表示されるモード設定画面の一例を示しており、最も左の列の最上位にある設定ボタンを押したときの画面である。この画面はタッチパネルとなっており、オベレータが画面上の該当箇所に触れることにより、各種の操作を行うことができるようになっている。
【0037】
この画面中、左端の一列、右端の2列に設けられた種々の設定ボタンを押すことにより、集積部および外部集積部に集積すべき紙幣の金種、券種、刷種を指定することができる。
【0038】
左から2番目の欄は各集積部の設定内容および扱った金額を表している。最上段の2行は外部集積部131および132に対する設定内容、次の4行は集積部111〜114における設定内容を示している。なお、集積部115は集積部111〜114のいずれかが満杯になったとき、予備的に用いられる。
【0039】
図2に示す例では2つの外部集積部131、132とも混合であり、4つの集積部101〜104はそれぞれ5千円札の正券を新旧混合、5千円札の損券を新旧混合、2千円札の正券を新旧混合、2千円札の損券を新旧混合という設定となっている。なお、ここで述べた混合、新旧混合等の意味については後述する。
【0040】
これらの設定表示の下の部分は実際に取り込まれた各紙幣の金額および総合計を示している。
【0041】
図3から図11は本発明にかかる紙幣処理機で設定可能な各種の処理設定を示す図表、図12から図14は処理中の設定内容および実績を示す画面表示の例を示す説明図である。
【0042】
図3から図5は旧券を新券と区別せず通常の扱いをする場合で、図3は帯封を行う金種を選択する場合、図4は帯封を行う組み合わせをダイレクトに選択する場合、図5は帯封を行わない場合を示している。
【0043】
まず、図3においては、帯封モードで、帯封を行う金種を選択する場合が示されている。この帯封モードは初期値(デフォルト)である。
【0044】
本実施の形態では集積部は5つあるので、万、五千、2千、千の各金種について一つずつ集積部を割り当てることができる。デフォルト値は4金種を全部指定する場合であるが、整理の際これら全部について帯封を希望するとは限らないので、これら4金種から任意の1金種、2金種、3金種を選択することができる。なお、現実の使用量を考慮して1金種選択の場合の初期値は万、2金種選択の場合の初期値は万と千、3金種選択の場合の初期値は万、五千、千となっているが、任意の金種に変更することができる。
【0045】
これらの金種について結束対象の券種を選択できる。この券種としては正券、損券、混合正券、混合損券の一つから選択でき、初期値は正券である。なお、混合正券とは、正券と損券を区別せずに混合して集積して帯封を行い、損券も正券として取り扱う場合、逆に混合損券とは、混合して集積して帯封を行ったものは損券として扱い、帯封に「損」スタンプを押す場合を言う。
【0046】
また、刷種を選択できる。これはデザイン変更のあった金種について新券あるいは旧券を指定し、または両者を区別しない新旧券を指定することができるものである。初期値は新券である。
【0047】
以上のように集積部に集積される内容が金種、券種、刷種で指定されるため、この札種以外のものは結束対象ではなく、これらは集積部に集積されることなく外部集積部に送られる。
【0048】
この外部集積部での指定札種以外の札種についての集積条件も設定することができる。本実施の形態では外部集積部は2つ設けられているため、正損分類、新旧分類、混合のいずれかを指定することができる。
【0049】
このうち正損分類の場合には、例えば外部集積部121には帯封指定札種以外の正券、外部集積部122には帯封指定札種以外の損券を金種、券種混合で集積する。このような正損分類をすることにより、損券を除去できるため、次の処理の際には正券のみを挿入することができ、処理効率を上げることができる。
【0050】
また、新旧分類の場合には、例えば外部集積部121には帯封指定札種以外の新券、外部集積部122には帯封指定札種以外の旧券を集積する。このような新旧分類をすることにより、旧券を確実に除き、流通させないようにすることができる。
【0051】
なお、混合を指定したときには外部集積部121が満杯(通常200枚程度)になったときには外部集積部122に集積を行うようにする。この外部集積部122に集積中に外部集積部121内の集積紙幣を取り除けば、外部集積部122が満杯になった後に再度外部集積部121に集積を行うことができる。
【0052】
図12は帯封モードを実行中の操作表示部における画面表示の一例を示す説明図である。
【0053】
最上段の2行は2つの外部集積部における集積内容を示す。この例では指定札種以外の紙幣が正損、新旧を区別せずに集積されている。
【0054】
次の4行は4つの集積部に対する設定内容が示されており、さらに帯封が行われた束数、端数の枚数も表示される。ここでは、万円の正券の旧券、万円の損券の旧券、5千円の正券の旧券、5千円の損券の旧券を集積するように設定されている。
【0055】
最下段の5行は4種類の金種について繰り出されて処理された金額およびその合計金額が示されている。
【0056】
図4は旧券を通常券として扱い、帯封を行う際、種々の態様をダイレクトに指定できる場合を示す図表である。
【0057】
この実施の態様で指定できるのは、万、5千、2千、千の4金種のうち1金種(初期値:万)について正券と損券を2つの集積部でそれぞれ集積する1金種正損、4金種のうち2金種(初期値:万、千)について正券と損券を4つの集積部でそれぞれ集積する2金種正損、万、5千、千の3金種のうち1金種(初期値:万)について新券と旧券を2つの集積部でそれぞれ集積する1金種新旧、3金種のうち2金種(初期値:万、千)について新券と旧券を4つの集積部でそれぞれ集積する2金種新旧、正損2の5つのモードがある。この正損2は4金種のうち2金種(初期値:万、千)を選択し、かつ刷種として新券、旧券、新旧券のいずれか(初期値:新券)を選択するものである。このモードでは1金種新旧、2金種新旧の場合と異なって、正券、損券、混合正券、混合損券のうちのいずれかを指定する券種を選択することができない。
【0058】
これらのダイレクト指定の場合にも、結束対象外紙幣の外部集積部への集積の際、混合、正損分類、新旧分類のいずれかを指定することができる。
【0059】
図5は旧券を通常券として扱い、帯封を行わない場合を示している。
【0060】
まず、入金モードであるが、入金口に種々の札種を含んだ紙幣をセットすると、表裏を取りそろえて外部集積部に希望の札種を集積するものである。このモードでは2つの外部集積部の使用態様が決められているために、外部集積部に対する選択はできず、設定ボタンを押しても反応しない。なお、識別不能券はリジェクト紙幣集積部106に集積される。この入金モードには次の4つの処理がある。
【0061】
初期値である分類処理は、万、5千、2千、千の4金種のうち1金種(初期値:万)について新券、旧券、新旧券のいずれか(初期値:新券)の指定された刷種の正券を外部集積部121へ、指定刷金種の損券および指定外の刷金種を外部集積部122に集積する処理である。したがって、当然のことながら、正損に関する券種を選択することはできない。
【0062】
他の混合、正損、新旧処理においては金種の選択はできず、すべて金種は混合となる。
【0063】
まず、混合処理は、新券、旧券、新旧券のいずれか(初期値:新券)のうち指定された刷種を全金種混合、正損混合で搬送し、外部集積部121に集積し、これが満杯になると外部集積部122に集積する処理である。指定外の刷種はリジェクト紙幣集積部106に集積される。
【0064】
正損処理は、指定刷種の正券を外部集積部121に、指定刷種の損券を外部集積部122に集積する。指定外の刷種はリジェクト紙幣集積部106に集積される。
【0065】
新旧処理は、金種、券種、刷種の選択はなく、新券は外部集積部121に、旧券は外部集積部122に集積する処理である。
【0066】
なお、この実施例では正損および新旧処理の場合には金種の選択はできないこととしているが、金種を選択できるようにしても良い。この場合には指定外金種はリジェクト紙幣集積部106に集積される。
【0067】
図13は入金モードを実行中の操作表示部における画面表示の一例を示す説明図である。
【0068】
最上段の2行は2つの外部集積部における集積内容を示しており、この例では混合がモードが指定されているので、すべての金種の紙幣が正損、新旧を区別せずに集積されている。
【0069】
4つの集積部は用いられないため、これらに対する設定内容表示はなく、最下段に繰り出されて処理された金額およびその合計金額が示されている。
【0070】
次にバッチ処理であるが、これは紙幣投入口にセットされた紙幣を計数し、表裏を取りそろえて指定枚数だけ外部集積部に集積するものである。
【0071】
枚数設定は外部集積部の容量の範囲(200枚程度)内でテンキーで行われ(初期値:150枚)、金種は自動、万、5千、2千、千の4金種のうち1種類(初期値:自動)を選択可能で、正損は通常区別するが、区別しない場合も選択でき、さらに新券、旧券、新旧券のうちいずれか(初期値:新券)も選択可能である。指定刷金種の損券および指定外刷金種はリジェクト紙幣集積部106に集積される。
【0072】
図14はバッチモードを実行中の操作表示部における画面表示の一例を示す説明図である。
【0073】
最上段の2行は2つの外部集積部における集積内容を示す。この例では万円の正券の旧券が指定されている。その下にバッチ枚数を指定する欄があり、ここでは150枚が指定されている。なお、このバッチ処理を複数回繰り返すことができ、そのためのバッチ回数も指定できる。
【0074】
4つの集積部は用いられないため、これらに対する設定内容表示はなく、最下段に繰り出されて処理された金額およびその合計金額が示されている。
【0075】
図6〜図8は旧券をリジェクト扱いとする場合の各種モードを示す図表である。これらは図3〜図5にそれぞれ対応しており、内容は類似しているため、異なる部分を中心に説明する。
【0076】
まず、図6の金種選択をする場合であるが、刷種は旧券をリジェクト扱いとするため必然的に新券に固定され、選択することができない。他は図3で説明したのと同じである。
【0077】
次に、図7のダイレクト帯封選択の場合には、旧券がリジェクト扱いされることが前提であるので、1金種新旧、および2金種新旧のモードは選択することができず、正損2モードでも刷種の選択はできず、新券固定となる。
【0078】
次に、図8の帯封なしのモードについては、入金モードの新旧処理はあり得ないので選択することができず、他の分類処理、混合処理、正損処理において刷種の選択はできず、新券固定となる。同様にバッチ処理でも刷種の選択はできず、新券固定となる。
【0079】
図9〜図11は旧券を新券の損券扱いとする場合の各種モードを示す図表である。
【0080】
実際の使用現場では、回収する紙幣と、払い出し用の紙幣(例えば新券の正券)を分類して帯封を行う要求が高い。この意味では、新券と旧券が混在している場合、回収の必要のある旧券と、新券の損券は同等である。
【0081】
このような旧券を新券の損券扱いとするには図15に示すような設定画面において、旧券の扱いを新損券として選択すれば良い。
【0082】
図9〜図11も図3〜図5にそれぞれ対応しており、内容は類似しているため、異なる部分を中心に説明する。
【0083】
まず、図9の金種選択をする場合であるが、刷種は旧券を新券の損券扱いとするため必然的に新旧券に固定され、選択することができない。他は図3で説明したのと同じである。
【0084】
次に、図10のダイレクト帯封選択の場合には、旧券が新券の損券扱いされることが前提であるので、1金種新旧、および2金種新旧のモードは選択することができず、正損2モードでも刷種の選択はできず、新券固定となる。
【0085】
次に、図11の帯封なしのモードについては、入金モードの新旧処理はあり得ないので選択することができず、他の分類処理、混合処理、正損処理において刷種の選択はできず、新旧券固定となる。同様にバッチ処理でも刷種の選択はできず、新旧券固定となる。
【0086】
以上、種々の設定について説明したが、典型的ないくつかの例について各集積部の使用の状況を説明する。
【0087】
図16は本実施態様のように、集積部を5つ、外部集積部を2つ有する場合、万円と五千円の2金種について帯封のための種々の設定をした場合、各種券種、刷種がどこに集積されるかを示す図表である。この図においては、集積部111〜115をそれぞれA〜E、外部集積部121、122をそれぞれF、G、リジェクト紙幣集積部106をHと表記する。
【0088】
これによれば、第1のケースは旧券を通常券として扱い、1金種正損処理として万円につき、正券、損券を新旧別に集積する場合、第2のケースは旧券を通常券として扱い、2金種正損処理として万円、5千円につき、正券、損券を新旧別に集積する場合、第3のケースは旧券を通常券として扱い、1金種新旧処理として万円の正券を新旧別に集積する場合、第4のケースは旧券を通常券として扱い、2金種新旧として万円および5千円につき、正券を新旧別に集積する場合、第5のケースは旧券をリジェクトとして扱う1金種正損処理の場合、第6のケースは旧券をリジェクトとして扱う2金種正損処理の場合、第7のケースは旧券を新券の損券として扱う1金種正損処理の場合、第8のケースは旧券を新券の損券として扱う2金種正損処理の場合、第9のケースは万円の新券の正券、損券、旧券の正券、損券、5千円の新券の正券にそれぞれ集積部A〜Eを割り当て、5千円の新券の損券と旧券の新券にそれぞれ外部集積部F、Gに割り当てて集積を行うようにした特別の設定の場合である。
【0089】
他の紙幣、券種、刷種については設定条件により外部集積部121、122またはリジェクト紙幣集積部106のいずれかに集積されることになる。
【0090】
以上のように、本発明の実施の形態によれば、4つの集積部、2つの外部集積部における集積内容を種々に設定できるため、所望の結束を行いながら、結束指定外の金札種を取引毎に最適な分類の仕方で分類できるため、次回の取り扱いを容易にすることができる。
【0091】
以上の実施の形態では、外部集積部121、122のそれぞれへの集積内容を設定しない場合にはまず外部集積部121に集積され、これが満杯になると次の外部集積部122に集積が行われるようになっていることは前述したとおりである。この場合、外部集積部122に集積中に外部集積部121から集積された紙幣を抜き取ると、ここに次の集積を行うことができる。
【0092】
従来は、外部集積部に搬送された紙幣を抜き取っても,確定されたかどうか表示部に表示されなかった。そのため、抜き取った外部集積部の紙幣が今何枚で確定されたのかわかりにくかった。
【0093】
このため、本実施の形態では、外部集積部から満杯になった紙幣を抜き取った内容を表示部に確定データとして表示するようにしている。
【0094】
図17はこの確定データの表示画面を表しており、外部集積部から抜き取られた紙幣を表示部に金種ごとに枚数表示している。ただし、この表示は、必要性の高い、帯封モード時で外部集積部混合設定時のみを対象としとする。また、表示のタイミングは、外部集積部が満杯の状態で処理機が待機中の場合に抜き取られた時点としている。したがって、外部集積部が満杯でない状態から抜き取った場合には確定表示はなされない。
【0095】
この確定データはセンター等に設置された上位コンピュータ等に有線あるいは無線の通信手段により送信され、格納される。
【0096】
このような表示を行うことにより、満杯からの抜き取り後、表示部に集積部独自の確定枚数表示を行うようにしているため、集積部抜き取り確定枚数を容易に把握することができる。
【0097】
特にオペレータにとっては、満杯で抜き取ったかどうかを表示部の枚数が増えたかどうかで判断できるため、過度の緊張なく機械を扱うことができる。
【符号の説明】
【0098】
10 紙幣処理機
11 操作表示部
100 分類集積部
101 入金口
105 識別部
106 リジェクト紙幣集積部
107 表裏反転部
111〜115 集積部
121、122 外部集積部
130 端数紙幣返却部
131 トレイ
132 突き当て部材
133 シャッタ
200 紙幣結束部
202 回転機構
209 結束紙幣投出口
300 搬送部
301 ガイド軸
302 ベルト
310 昇降ユニット
311、316 ベルト
312 ブロック
313、314 ハンド
315 ガイド軸
400 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙幣を取込む取込手段と、
前記取込手段により取込んだ紙幣の新旧・正損・金種等を識別する識別手段と、
前記識別手段の識別結果に基づき、結束対象の所定種類の紙幣を集積する複数の集積部と、
前記識別手段の識別結果に基づき、結束対象外の所定種類の紙幣を集積する少なくとも2つの外部集積部と、
前記集積部に集積される結束対象紙幣と、前記外部集積部に集積される結束対象外の紙幣とを指定する指定手段と、
前記識別手段で識別された紙幣を、前記指定手段の指定に基づいて前記集積部及び前記外部集積部へ振り分け制御を行う制御部と、
を備えた紙幣処理機。
【請求項2】
前記指定手段は、新旧・正損・金種・混合の指定が可能であることを特徴とする請求項1に記載の紙幣処理機。
【請求項3】
前記識別部の識別結果に応じてリジェクト紙幣を集積するリジェクト紙幣集積部を設け、前記リジェクト紙幣集積部は、前記集積部、前記外部集積部に指定されない紙幣が集積されることを特徴とする請求項1又は2に記載の紙幣処理機。
【請求項4】
前記集積部は、少なくとも取り扱う金種の全てがそれぞれ指定できる数だけ設けてあることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の紙幣処理機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2011−34571(P2011−34571A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−206471(P2010−206471)
【出願日】平成22年9月15日(2010.9.15)
【分割の表示】特願2004−291853(P2004−291853)の分割
【原出願日】平成16年10月4日(2004.10.4)
【出願人】(000001432)グローリー株式会社 (1,344)
【Fターム(参考)】