説明

紙袋用のベースインサート装置

本発明は、紙袋に交差ベースを形成するための交差底弁袋用の底形成装置に関する。本発明の装置は、糊を選択的に供給できる糊出口穴(17)を備えたスリップ、及び/又は、底のための糊付けステーションを有する。本発明によれば、糊出口穴(17)の選択により、糊付けサイズ(6,7,8,9)を定めることができる。これら糊出口穴は、少なくとも1つの塗布ヘッド(1)に連結され、この塗布ヘッドは、糊出口穴と糊供給源(4a,4b,13,15)との間の連結部(11,16)を選択的に開閉できる弁(3)を備え、糊供給源は、糊供給導管(4a,4b,13)、及び、少なくとも1つのキャビティ(15)を備え、このキャビティを介して糊が弁(3)のうち少なくとも一部に供給され、キャビティの直径は、一箇所において少なくとも5mmである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部分に記載された紙袋用のベースインサート装置、すなわち、紙袋に交差形ベースを形成するための交差形ベース弁袋用のベースインサート装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の装置は、種々の形式の袋の製造に用いられている。これら袋としては、例えば、袋のベース(底)を製造する際に弁(通気)パッチが通常挿入されるいわゆる弁袋が挙げられる。ベースは、例えば、ドイツ国実用新案第DE09014548U1号明細書(特許文献1)、及び、ドイツ国特許出願公開第DE3020043A1号明細書(特許文献2)に示されるように交差形又は十字形ベースとして設計される場合が多い。ベース及び挿入された弁パッチに永続的な粘着力を与えるため、ベースの部品は、互いに重ね合わせると共に(或いは)糊の助けにより弁パッチにくっ付けられる。
【0003】
この目的のため、糊付けされるべきベース折り目又はこれらに提供されるシートの領域に塗布し、かくして互いに且つこれらに糊付けされる領域の全てを合体させ又は互いに折り曲げることによりこれらを互いに糊付けする。
【0004】
フォーマット別の糊塗布が通常、以下の方法で行なわれ、即ち、回転ローラに取り付けられたフォーマット部品をこのローラの回転中、糊ローラ又は他の糊貯蔵コンポーネント又は転移コンポーネントに接触させ、かくして、これに糊を供給する。ローラの次の回転の際、フォーマットプレートは、これに付着している糊を糊付けされるべき袋又はシートの次に形成されるベースの各領域に転移させる。この目的のため、フォーマット部品は、特徴的な隆起部を備え、これら隆起部は、一定の袋のフォーマットに合わされている。フォーマット部品は、ベースインサート装置上の他のフォーマットを有する袋を製造するために交換される。この種の糊塗布の具合は、良好であった。というのは、これにより、多量な澱粉糊のきれいで且つフォーマット別の塗布が可能だからであり、もしそうでなければ取扱いは困難である。
【0005】
「フォーマット別糊塗布」という用語は、袋の種類及びフォーマットに合った塗布の形態を指している。この塗布形態では、糊は通常、平らに塗布され、それにより、袋の耐久性及び不浸透性に関して特別な重要性がこの形態の縁部に与えられる。
【0006】
【特許文献1】ドイツ国実用新案第DE09014548U1号明細書
【特許文献2】ドイツ国特許出願公開第DE3020043A1号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、欠点として、この糊転移方法では、複数個の糊転移コンポーネント、例えばフォーマットローラ及びフォーマット部品を用意し、次に、これらをきれいにすることが必要であるということにある。
【0008】
したがって、本発明の目的は、これら糊転写コンポーネントを全て省くことができる一方で、依然として、糊のフォーマット別の塗布を可能にし、それにより、糊を糊付けされるべき表面上に一様に分布しなければならないような仕方でベースインサート装置の設計を一段と改良することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的は、請求項1の特徴部分に記載されている特徴を有する本発明よって達成される。
【0010】
かくして、少なくとも1つの糊付けステーションがベースインサート装置内に設けられ、この少なくとも1つの糊付けステーションは、
・前記シート、及び/又は、前記ベースのための前記少なくとも1つの糊付けステーションは、選択的に糊を供給できる糊出口開口部(22)を有し、該糊出口開口部(22)の選択により糊塗布フォーマット(6,7,8,9)が定められ、
・前記糊出口開口部(22)は、少なくとも2つの塗布ヘッド(1)を備え、
・前記シート、及び/又は、前記ベースのための前記少なくとも1つの糊付けステーションは、糊出口開口部と糊供給ユニット(4a,4b,13,15)との間の連結部(11,16)を選択的に開閉できる弁(3)を支持し、
・前記糊供給ユニットは、糊供給ライン(4a,4b,13)及び少なくとも1つのチャンバ(15)を有し、前記チャンバ(15)を介して糊が前記弁(3)のうち少なくとも一部に供給され、前記チャンバの直径は、一箇所において少なくとも5mmである。
【0011】
塗布ヘッドは、糊を選択的に供給できる糊出口開口部が設けられた塗布プレートを備えるのがよい。弁を開いたとき、糊の放出を可能にするため、糊は、周囲圧力よりも高い圧力にさらされる。弁には、当初、糊供給ラインを用いて糊が供給され、この糊供給ラインは、糊をチャンバに供給する。弁は、このチャンバと接触状態にある。弁に“m”mmの直径を与えることにより、極めて粘性の高い糊、通常は澱粉糊がチャンバを詰まらせることなくチャンバを通って流れることができるようにすることが可能である。チャンバの断面は、円形であるのがよい。しかしながら、横断面は、円形とは異なる形状のものであってもよい。しかしながら、断面は、直径5mmの円を内接して描いて、弁全てへの糊の連続した流れを保証するように寸法決めされなければならない。
【0012】
チャンバの直径は、好ましくは、少なくとも7mmである。直径が7mmの場合にのみ、本質的に同一の糊圧力が弁の全てに生じるようにすることが可能である。この直径がこれを下回った場合、糊の流れ方向における後側の弁には低い糊圧力しか供給されないことが可能である。その結果、これら弁から生じる糊跡も又、極めて薄い場合がある。
【0013】
しかしながら本発明の好ましい実施形態では、チャンバの直径は、少なくとも10mmである。この直径は、弁が非常に密に配置されている場合に特に用いられる。
【0014】
本発明の別の好ましい実施形態では、チャンバは、チャンバと弁との間の僅かな距離を維持するために塗布ヘッド内に、又は、塗布ヘッド上に直接配置される。圧力が上述したように非常に粘性の高いものであるのがよい糊に加えられた場合、圧力は、チャンバから弁への連結部が短い場合でもそれほど圧力損失を生じさせないで弁に作用する。この連結は通常、長さが数mmである。
【0015】
本発明の別の実施形態では、少なくとも2つの弁は、これらが袋のコンポーネントの供給方向(x)に垂直な空間方向(y)でオーバーラップするように配置される。これら弁には、同一のチャンバから糊が供給される。これにより、空間方向(y)において弁の密度の高い配置状態、及び、かくして、互いに無関係に塗布でき又は中断できる密度の高い糊跡を達成することができる。弁のかかる構成は、2列又は多列構成から成り、列が空間方向(y)に延びると共に袋のコンポーネントの供給方向(x)に隙間を置いて配置される。空間方向(y)は、袋コンポーネントの供給方向(x)に垂直に延びるが、袋コンポーネントにより定められる平面内に位置するような方向を意味している。さらに言えば、袋コンポーネントの供給方向(x)に垂直であるが、袋コンポーネントの平面にも垂直に延びる第3の空間方向は、本発明の関連においては役割を果たさない。
【0016】
さらに、チャンバの容積は、チャンバから糊が供給される弁への及び弁からの糊連結部の全ての容積の合計に対して少なくとも1.5の比率を有していれば特に有利である。また、チャンバ内に生じている圧力は、チャンバの容積が糊供給ラインの合計よりもどれぐらい大きいかを示すこの係数の存在を保証することによってのみ、それほど圧力降下を生じさせないで弁の全てに作用する。かくして、弁を開いたとき、糊は、チャンバを介して糊が供給される糊出口開口部の全てから本質的に同一の圧力で押し出されるようになる。
【0017】
本発明の別の好ましい実施形態では、チャンバは、塗布ヘッド内に設けられるボアホールである。塗布ヘッドは、その前側端部の両方に、糊をキャビティに供給する第1のボアホール及び糊を再放出させる第2のボアホールを備えるのがよい。これら入口穴及び出口穴の断面積は、チャンバの断面積よりも小さい。好ましい実施形態では、糊供給ラインは、横断面積が、前記チャンバよりも少なくとも40mm2だけ小さい。しかしながら、糊供給は、塗布ヘッドに嵌まり込む管又は塗布ヘッドを貫通する管によっても具体化できる。糊が塗布ヘッドのキャビティ内に到達することができるようにするため、管は、塗布ヘッドの付近にボアホール又は開口部を有する。この構成では、塗布ヘッドも又、これが管状で変位できるよう配置されるのがよい。
【0018】
本発明の追加の有利な実施形態は、以下の説明、図面及び残りの請求項に記載されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1は、本発明のベースインサート装置内の糊付けステーション内に用いられる塗布ヘッド1を示している。この塗布ヘッド1は、弁3が取り付けられた塗布プレート2で構成されている。糊は、糊供給ライン4aを介して塗布ヘッド1に供給される。糊は、糊供給ライン4bを介して塗布ヘッドから出る。未糊付けシート5が、方向xにおいて糊付けステーションに供給される。
【0020】
弁3は全て、塗布プレート2の側部に設けられていて、未糊付けシート5の方に差し向けられた1つの糊出口開口部又は一群の糊出口開口部を備えている。糊出口開口部への糊の流れをこれに割り当てられた弁3により生じさせ、又は、中断させることができる。このように、未糊付けシート5の供給方向xに平行に延びる種々の糊跡を未糊付けシート5に塗布することができる。弁3を規則的に開閉することにより、規則的に途切れた糊跡6を塗布することができる。同様に、短い糊跡7又は途切れた糊跡8及び連続した糊跡9を生じさせることができる。塗布ヘッド1の下に未糊付けシート5が位置していない場合、弁3は全て、糊の流れを中断して糊付けステーションが不必要に汚れないようにする。供給方向に垂直な方向yにおいて、未糊付けシートの領域の全てに糊付けすることができるようにするため、塗布ヘッド1をこの方向にも変位させるのがよい。しかしながら、今説明した塗布ヘッド1は、シート5に糊付けするために用いることができるだけでなく、生じさせることができる糊跡の変化により、糊付けされるべき袋の次に形成されるベースの領域に糊を塗布するのにも適している。
【0021】
図2は、数個の塗布ヘッド1の直線配置状態を示しており、これら塗布ヘッドは、供給方向xに垂直な方向yで管10に沿って配置されている。管10も又、案内レールとして役立つことができ、この管に沿って、個々の塗布ヘッド1を互いに対して変位させることができる。別状の弁3が、塗布ヘッド1の各々に取り付けられている。
【0022】
図3は、塗布ヘッド1の図2のIII−IIIにおける正面図である。塗布ヘッド1は、2つの平行な列をなす弁3を備え、弁3も又、これらが方向y(見えない)に変位できるよう配置されるのがよい。これら弁3に糊を供給することができるようにするため、弁3への糊連結部11が、塗布ヘッド1内に挿入されている。この糊連結部は、チャンバ15内で始まっている。チャンバ15には、糊供給ライン13により及び管10設けられていて、糊供給ライン13をチャンバ15に連結するボアホール(見えない)により糊が供給される。チャンバ15を塗布ヘッド1の外部から密封することができるようにするため、管10の周りに絡み付くように設けられた密封体14が前側のボアホール12内に差し込まれている。糊が弁3から糊出口開口部17に到達するようにするため、塗布ヘッドは、追加の糊連結部16を有している。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明のベースインサート装置内の糊付けステーションのために設けられた個々の塗布ヘッドを示す図である。
【図2】幾つかの塗布ヘッドを有する構成を示す図である。
【図3】塗布ヘッドの正面図である。
【符号の説明】
【0024】
1 塗布ヘッド
2 塗布プレート
3 弁
4a,4b 糊供給ライン
5 未糊付けシート
6 規則的に途切れた糊跡
7 短い糊跡
8 途切れた糊跡
9 連続糊跡
10 管
11 弁3への糊連結部
12 前側ボアホール
13 糊供給ライン
14 密封体
15 チャンバ
16 糊連結部
17 糊出口開口部
x シートの供給方向
y シートの供給方向xに垂直な方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙袋に交差形ベースを形成するための交差形ベース弁袋用ベースインサート装置であって、
・前記袋を形成する管状部分の端部に折り目を作る折曲げ装置を有し、
・1つ以上の糊付けステーションを有し、これら糊付けステーションは、該糊付けステーションにおいて糊を糊付けのための折り目の領域、及び/又は、ベースへの糊付けのために設けられたシート(5)に塗布し、
・折り曲げられた前記ベースと前記シート(5)を互いに接触させて糊付けする少なくとも1つの押さえステーションを有するベースインサート装置において、
前記シート、及び/又は、前記ベースのための前記少なくとも1つの糊付けステーションは、
・選択的に糊を供給できる糊出口開口部(22)を有し、該糊出口開口部(22)の選択により糊塗布フォーマット(6,7,8,9)が定められ、
・前記糊出口開口部(22)は、少なくとも2つの塗布ヘッド(1)を備え、
・前記シート、及び/又は、前記ベースのための前記少なくとも1つの糊付けステーションは、糊出口開口部と糊供給ユニット(4a,4b,13,15)との間の連結部(11,16)を選択的に開閉できる弁(3)を支持し、
・前記糊供給ユニットは、糊供給ライン(4a,4b,13)、及び、少なくとも1つのチャンバ(15)を有し、前記チャンバ(15)を介して糊が前記弁(3)のうち少なくとも一部に供給され、前記チャンバの直径は、一箇所において少なくとも5mmである、
ことを特徴とするベースインサート装置。
【請求項2】
前記チャンバ(5)の直径は、少なくとも7mmであることを特徴とする、請求項1記載のベースインサート装置。
【請求項3】
前記チャンバ(5)の直径は、少なくとも10mmであることを特徴とする、請求項2記載のベースインサート装置。
【請求項4】
前記チャンバ(15)の直径は、少なくとも15mmであることを特徴とする、請求項3記載のベースインサート装置。
【請求項5】
前記チャンバ(15)は、前記塗布ヘッド(1)内に又は前記塗布ヘッド(1)上に直接設けられていることを特徴とする、請求項1〜4のうちいずれか一項に記載のベースインサート装置。
【請求項6】
前記チャンバ(15)は、前記袋のコンポーネントの運搬方向(x)に垂直な空間方向(y)に直線的に延びていることを特徴とする、請求項1〜5のうちいずれか一項に記載のベースインサート装置。
【請求項7】
同一の前記チャンバ(15)から糊が供給される前記弁(3)のうち少なくとも2つは、空間方向(y)で見てオーバーラップした状態で配置され、前記空間方向(y)は、前記袋のコンポーネントの供給方向(x)に垂直に延びていることを特徴とする、請求項1〜6のうちいずれか一項に記載のベースインサート装置。
【請求項8】
前記供給方向(x)に垂直な前記空間方向(y)における前記弁(3)の測定値の合計は、前記供給方向(x)に垂直な前記空間方向(y)における前記チャンバ(15)の長さよりも大きく、前記弁(3)の全てには前記チャンバ(15)から糊が供給されることを特徴とする、請求項1〜7のうちいずれか一項に記載のベースインサート装置。
【請求項9】
前記チャンバ(15)の容積は、前記チャンバ(15)から糊が供給される前記弁(3)への及び前記弁(3)からの糊連結部(11,16)の全ての容積の合計に対して少なくとも1.5の比率を有していることを特徴とする、請求項1〜8のうちいずれか一項に記載のベースインサート装置。
【請求項10】
前記糊付けステーションは、数個のチャンバ(15)を有し、前記チャンバ(15)は全て、各場合において前記弁(3)の一部に糊を供給することを特徴とする、請求項1〜9のうちいずれか一項に記載のベースインサート装置。
【請求項11】
前記チャンバ(15)の断面は、矩形であることを特徴とする、請求項1〜10のうちいずれか一項に記載のベースインサート装置。
【請求項12】
前記チャンバ(15)の断面は、円形であることを特徴とする、請求項1〜11のうちいずれか一項に記載のベースインサート装置。
【請求項13】
前記チャンバ(15)は、前記塗布ヘッド内に設けられるボアホールであることを特徴とする、請求項12記載のベースインサート装置。
【請求項14】
糊を前記チャンバ(15)に供給する少なくとも1つの糊供給ライン(4a,13)が、前記チャンバ(15)に嵌まり込んでいることを特徴とする、請求項1〜13のうちいずれか一項に記載のベースインサート装置。
【請求項15】
前記チャンバ(15)は、前記糊供給ライン(4a,13)に沿って前記袋のコンポーネントの運搬方向(x)に垂直に延びる方向(y)に少なくとも部分的に変位可能であることを特徴とする、請求項14記載のベースインサート装置。
【請求項16】
前記糊供給ライン(4a,13)は、断面積が前記チャンバ(15)よりも小さいことを特徴とする、請求項1〜15のうちいずれか一項に記載のベースインサート装置。
【請求項17】
前記糊供給ラインは、横断面積が、前記チャンバよりも少なくとも40mm2だけ小さいことを特徴とする、請求項16記載のベースインサート装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2009−514693(P2009−514693A)
【公表日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−518142(P2006−518142)
【出願日】平成16年7月6日(2004.7.6)
【国際出願番号】PCT/EP2004/007489
【国際公開番号】WO2005/002838
【国際公開日】平成17年1月13日(2005.1.13)
【出願人】(590002909)ヴィントメーラー ウント ヘルシャー コマンディトゲゼルシャフト (33)
【Fターム(参考)】