説明

紫外線吸収剤、樹脂組成物、日焼け止め化粧料

【課題】現在主流となっている微粒子酸化亜鉛系紫外線吸収剤は、波長が370〜400nmの紫外線を殆ど吸収できない問題がある。
【解決手段】微粒子の酸化亜鉛または酸化亜鉛固溶体および/または黄色のアニオン染料とか黄色のアニオン系有機紫外線吸収剤を構成成分とするハイドロタルサイト類を有効成分とする紫外線吸収剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紫外線吸収剤およびその利用に関する。さらに詳しくは、従来の紫外線吸収剤が吸収できないとする370〜400nmの長波長側紫外線の吸収と透明性に優れた紫外線吸収剤に関する。
【背景技術】
【0002】
紫外線は、その強力なエネルギーにより、例えば人間であれば皮膚に種々の悪影響を与え、最悪の場合、皮膚ガンに至る。また、食品等に対して、細胞レベルでの変化を生じせしめ、味の変化、変色、有害な過酸化物の生成といった問題を生じる。したがって、種々の紫外線吸収剤を開発することにより、その害を防ぐ工夫が行われてきた。紫外線吸収剤には有機系と無機系があり、前者はそれ自体、紫外線で劣化し、また、皮膚を通して吸収されて毒性を出す恐れがあるため、無機系が重要視されてきている。無機系は、当初、超微粒子酸化チタンが多く使用されたが、透明性が悪いのと、長波長紫外線であるUV−A領域(320〜400nm)の吸収が悪いため、現在は超微粒子酸化亜鉛が多く使われている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
酸化亜鉛をナノレベルに超微粒子化することによって透明性が良くなったが、それでも有機系に比べると透明性が劣る。しかも、紫外線B(280〜320nm)及び紫外線A(320〜400nm)の約半分の波長、320〜370nm範囲の紫外線の吸収は優れているが、約370〜400nmの紫外線を吸収出来ない。
【0004】
UV−Aは、UV−Bよりも物質に深く入り込むと共に、その量自体が多いため、その悪影響は大きい。例えば、多くの人が白い肌を求めるにもかかわらずメラニンを酸化型に変えて黒化させたり、コラーゲンやエラスチンに障害を与え、皮膚の弾力性低下、老化を生じさせたりする。そのため、〜400nmまで吸収できる毒性の低い安全な紫外線吸収剤が求められている。
【0005】
したがって本発明者は、超微粒子酸化亜鉛の上記2つの欠点を改善できる紫外線吸収剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は下記式(1)
【0007】
【化1】

(但し、式中、M3+はAl,FeおよびCeの少なくとも1種を示し、xは次の範囲、0≦x<0.2、にある)で表される酸化亜鉛系化合物および/または下記式(2)
【0008】
【化2】

(但し、式中、M2+はMgおよび/またはZnを、M3+はAl,FeおよびGaの少なくとも1種を、An−はn(整数)価の黄色系アニオン染料およびアニオン系有機紫外線吸収剤の少なくとも1種を、それぞれ示し、yおよびmは次の範囲、0<y<0.5,0≦m<4、にある)で表されるハイドロタルサイト類、を有効成分として含有する紫外線吸収剤、該紫外線を含有する樹脂組成物および日焼け止め化粧料を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、280〜400nmの全紫外線を効率良く吸収すると共に、透明性が良くなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明で用いる式(1)の酸化亜鉛系化合物は、酸化亜鉛または、酸化亜鉛に3価金属Al,FeおよびCeの少なくとも1種がZnの一部を置換した固溶体であり、好ましくはAlが置換した固溶体である。
【0011】
好ましいxの範囲は0.05≦x≦0.15、特に好ましくは0.06≦x≦0.1である。式(1)の亜鉛系化合物は、透明性と紫外線吸収性を高くするため微粒子であることが好ましい。1次粒子径に関係するBET比表面積が好ましくは40m/g以上、特に好ましくは50m/g以上である。さらに、2次粒子が、粒度分布測定で決まる累積50%の平均2次粒子径で0.6μm以下、特には0.3μm以下であることが好ましい。
【0012】
更に、式(1)の化合物は光触媒活性を減少または消失させるため、および日焼け止め化粧料としての撥水性付与、そして樹脂との相溶、分散性向上等のために、ステアリルアシッドフォスフェート等のリン酸エステル、パーフルオロアルキリリン酸エステル等の含フッ素リン酸エステル、シリコーン等で、式(1)および式(2)の化合物に対し、0.1〜20重量%、好ましくは0.5〜10重量%の表面処理をして用いることが好ましい。
【0013】
本発明で用いる式(2)のハイドロタルサイト類は、層間に入るイオン交換性の特定アニオンに特徴がある。それ自体がスルホン基および/またはカルボキル基を有する有機化合物であって、且つ350〜450nmに吸収性を示す、黄色有機化合物である。具体的には、例えば黄色の直接染料、黄色の酸性染料および黄色のアニオン性有機紫外線吸収剤である。
【0014】
層間に入る上記黄色有機アニオンは、それら自体では紫外線により劣化する傾向があり、また、日焼け止め化粧料に用いると、肌に吸収されて有害である場合が多い。しかし、ハイドロタルサイトの結晶構造に取り込まれることにより、該黄色有機アニオンは、それらを上下の層を形成する金属水酸化物(無機化合物)層で遮蔽被覆されるため紫外線から守られ、且つイオン結合でハイドロタルサイト結晶に捕捉されているため、実質的に水に溶解せず、したがって、例えば人の肌に吸収されず毒性が抑制される。
【0015】
以上の2つの利点に加えて、更に式(2)のハイドロタルサイト類の屈折率が約1.5と低く、しかもこれが樹脂の屈折率に非常に近いため、日焼け止め化粧料に使っても、樹脂製包装材に使用しても、高レベルの透明性を示す利点がある。さらに、ハイドロタルサイトが板状結晶であるため、例えば化粧品として展びが良くなる利点がある。
【0016】
式(2)のハイドロタルサイト類に用いる黄色有機アニオン染料および/または黄色のアニオン性有機紫外線吸収剤は、具体的には例えば、イエロー44(Direct Fast Yellow GC)、イエロー50(Direct Fast Yellow R)、等の黄色直接染料、イエロー1,Naphthol Yellow S(略称NYS)、イエロー7、イエロー23(Tartragine)、Yellow 5等の黄色酸性染料、4,4’−ジアミノスチルベン−2,2’−ジスルホン酸(略称DAS)4−ヒドロキシ−3−メトキシけい皮酸、2−ヒドロキシ−4メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸(略称BP)等の黄色有機UV吸収剤等を挙げることができる。
【0017】
これ等の中で好ましいのはDAS、ナフトールイエローSおよびBP、特に好ましいのはDASである。また、これ等アニオンを2種以上併用して用いることができる。
【0018】
式(2)のハイドロタルサイト類のM2+は、Mgおよび/またはZnを使用できるが、耐熱性の面でZnはMgに比べて劣り、特にプラスチックフィルム等に成形する場合、分解して発泡するのでMgまたは、50モル%以上のMgとZnの併用が好ましい。M3+は白色性、透明性等から、Alが最も好ましく用いられる。
【0019】
式(2)のハイドロタルサイト類は、透明性、展び、UV吸収性、樹脂中の分散性等をより良くするために、BET比表面積が5〜20m/g、累積50%の平均2次粒子径が1.0μm以下であることが好ましい。
【0020】
式(2)の化合物は、式(1)の化合物と同様の表面処理をすることが好ましい。本発明で用いる式(1)の微粒子ZnO系化合物の製造は、公知の方法、例えば金属亜鉛のフランス法による空気酸化による生成物中の微粒子を分級で採集するとか、ZnO系固溶体の場合は、例えばZnとM3+の水溶性塩の水溶液とNaOH等のアルカリで共沈後、洗浄、乾燥、約300〜500℃で焼成し、続いてアルコール等の有機媒体中で湿式粉砕後、表面処理、乾燥等により製造できる。或いは、COの0.5当量以下、好ましくは0.1〜0.3当量のHNOと反応後、酸型着色有機アニオンの水溶液を反応させるか、或いは、両者の混合液を反応させる方法により製造できる。
【0021】
式(2)の化合物は、公知のハイドロタルサイト類の製造方法を適宜選択使用することにより製造できる。例えば、共沈法で製造したハイドロタルサイト類をNaCO水溶液で洗浄してCO型にした後、オートクレーブに入れ150〜200℃で10〜20時間水熱処理する。これをCOとほぼ当量のHNOでイオン交換し、NO型に変換後、目的とする黄色有機アニオンでイオン交換する方法により製造できる。
【0022】
表面処理は、公知の湿式または乾式の処理法により、攪拌下に式(1)または式(2)の化合物のスラリーまたは粉末に、表面処理剤を溶解または分散させた、温水またはアルコール希釈体を添加する方法により実施できる。
【0023】
本発明の紫外線吸収剤は、紫外線吸収を目的とする包装材料とか日焼け止め化粧料等の種々の分野に利用できる。
【0024】
包装材料としては、樹脂に添加分散させて樹脂および樹脂製フィルムとか容器等の包装材料であり、包装される食品、衣類等の紫外線からの保護である。ここで包装材として使用される樹脂としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリエステル、ポリビニルアルコール、エチレン酢ビコポリマー、ポリカーボネート等である。フィルムは、ヒートシール製樹脂を含有し、1種または2種以上の異なった樹脂フィルムをラミネートして用いることができる。本発明紫外線吸収剤は、樹脂100重量部に対して、好ましくは0.01〜5重量部である。
【0025】
本発明の紫外線吸収剤は日焼け止め化粧料として、液体担体、例えばデカメチルシクロペンタシロキサン、ジメチルポリシロキサン等のシリコーンオイル、セタノール等の高級アルコール、ラノリングリセリンステアレート、カカオ脂、ソルビタンセスキオレート、プロピレングリコール、ミネラルオイル、イソプロピルミリステート、ペトロラクタム、アクリル酸ポリマー、エタノール、水およびこれらの混合物等に分散させ、化粧料の全量に対し、0.1〜30%配合して使用できる。
【0026】
より詳細には、本発明の紫外線吸収剤は、日焼け止め化粧料として、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジエンポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、テトラメチルテトラハイドロジエンシクロテトラシロキサン等のシリコーンオイル類、アクリル酸アミド、キサンタンガム、ポリビニルアルコール、カルボキシビニルポリマー、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体等の水溶性高分子類、エタノール、水、エデト酸および/またはその塩、セタノール、ベヘニルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ラウリルアルコール、ヘキサデシルアルコール、オクチルドデカノール等の高級アルコール類、ステアリン酸、ミリスチン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、ウンデシレン酸等の脂肪酸類、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸セチル、ミリスチン酸ミリスチル、ラウリン酸ヘキシル、オレイン酸デシル、ミリスチン酸イソプロピル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、モノステアリン酸グリセリン、トリオクタン酸グリセリン、フタル酸ジエチル、モノステアリン酸エチレングリコール、オキシステアリン酸オクチル等のエステル類、コレステロール、フィトステロール等のステロール類、分岐脂肪酸コレステロールエステル、マカデミアナッツ油脂肪酸フィトステロールエステル、ステアリン酸コレステリル、オレイン酸コレストロールエステル等のステロール脂肪酸エステル類、流動パラフィン、ワセリン、スクワラン等の炭化水素類、ミツロウ、モクロウ、カルナウバロウ等のロウ類、米糠油、オリーブ油、大豆油、米胚芽油、ホホバ油、ヒマシ油、紅花油、ヒマワリ油、オリーブ油、マカデミアンナッツ油等の油脂類、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、ソルビトール、マルチトール、ジグリセリン等の保湿剤、セチル硫酸ナトリウム、N−ステアロイル−L−グルタミン酸塩等の陰イオン界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン多価アルコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、多価アルコール脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、蔗糖脂肪酸エステル等の非イオン界面活性剤、テトラアルキルアンモニウム塩等の陽イオン界面活性剤、ベタイン型、スルホベタイン型、スルホアミノ酸型等等の両性界面活性剤、レシチン、水素添加レシチン、リゾフォスファチジルコリン、セラミド、セレブロシド等の天然系界面活性剤、ポリエーテル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン等のシリコーン系界面活性剤、カミツレ、センブリ、アロエ、モモ、カロット、スギナ、クワ、桃の葉、セージ、ビワ葉、キュウカンバー、セイヨウキズタ、ハイビスカス、ウコン、ローズマリー、オウゴン、チョウジ、フェンネル、プルーン、甘草等の植物エキス、ビタミンA類、B類、C類、E類等のビタミン類、球状ポリアミド、球状PMMA等の担体、酸化防止剤、防腐剤、消炎剤、香料等の通常化粧料に配合される他の成分を適宜選択して、混合、分散させ使用できる。
【0027】
本発明の紫外線吸収剤の使用量は化粧料全量の、好ましくは1〜20%である。
【0028】
以下、実施例に基づき本発明を詳細に説明する。
【実施例1】
【0029】
[酸化亜鉛系固溶体の製造]
塩化亜鉛と硫酸アルミニウムの混合水溶液(Zn2+=1.0モル/リットル、Al3+=0.1モル/リットル)と2モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液を、pH=9.0〜9.4、温度=30〜32℃の条件で共沈させた。得られた白色沈殿を0.2モル/リットルのNaCO水溶液で、ろ液にBaClを添加して白濁しなくなるまで洗浄後、水洗した。これを約120℃で乾燥後、アトマイザー粉砕機で粉砕し、400℃で1時間、電気炉で焼成した。焼成粉末をイソプロピルアルコールに約15%w/vで分散し、直径0.5mmのZrOビーズと共にボールミルに入れ、15時間湿式粉砕した後、乾燥した。乾燥物のX線回析パターンは、少し高角度側にシフトしているがZnOのみであり、AlがZnOに固溶していることが判る。この物の液体窒素吸着で測定したBET比表面積は48m/g、イソプロピルアルコールに超音波で分散処理後、レーザー回析法で測定した累積50%の平均2次粒子径は0.22μmであった。
[NYS型ハイドロタルサイト類の製造]
BET比表面積は8m/g、累積50%の平均2次粒子径0.72μmの市販の下記組成ハイドロタルサイト類;
Mg4.5Al(OH)13CO・4.5H
100gを500mlの水と共に容量3リットルのステンレス槽に入れ、ケミスターラーで攪拌下に、0.5モル/リットルのHNO水溶液1リットルを約70℃に保って約10分で加え、NOにイオン交換した。この後、0.5モルのナフトールイエローSを溶解した水溶液を加え、約70℃で30分間攪拌し、NOをナフトールイエローSでイオン交換した。この後、3gのステアリルアシッドフォスフェートをNaOHで中和して、温水(約80℃)に分散後に加え表面処理し、ろ過、水洗後、120℃で10時間乾燥後、アトマイザーで粉砕した。この粉末のX線回析パターンは、単位層厚に相当するd003が13.5Åのハイドロタルサイト類であり、NO型に相当するd003=9.0Åは残っていなかった。イソプロピルアルコール中で5分間超音波処理後、レーザー回析法で測定した累積50%の平均2次粒子径は0.74μm、BET比表面積は11m/gであった。この粉末を酸に溶解後、ICPと吸光光度法で組成を分析した結果、ハイドロタルサイト類の化学組成は次の通りであった。
Mg0.7Al0.3(OH)(NYS)0.15・0.5H
なお、COが0.3%含まれていた。
【実施例2】
【0030】
[DAS型ハイドロタルサイト類の製造]
実施例1のNYSの製造において、NYSの代わりに0.3モルのDASに当量のNaOHを加え、溶解した水溶液を使用すること以外は実施例1と同様にして製造した。得られた粉末のX線回析パターンは、d003=15.0Åのハイドロタルサイト類であり、NO型は検出されなかった。実施例1と同様の方法で測定した累積50%の平均2次粒子径は0.73μm、BET比表面積は12m/gであった。この粉末の化学組成は次の通りであった。
Mg0.7Al0.3(OH)(DAS)0.15・0.4H
なお、COが0.2%含まれていた。
【実施例3】
【0031】
[BP型ハイドロタルサイト類の製造]
実施例1において、0.5モル/リットルのHNO水溶液1リットルの代わりに、0.1モルのHNOと0.6モルのBPを含有する水溶液0.7リットルを使用する以外は実施例1と同様に行い、BP型ハイドロタルサイト類にイオン交換後、ろ過、水洗、乾燥、粉砕した。この物のX線回析パターンは、d003=20.0Åのハイドロタルサイト類のものであり、NO型ハイドロタルサイト類のd003=9.0Åが僅かに検出された。この粉末の累積50%の平均2次粒子径は0.67μm、BET比表面積は15m/gであった。この粉末の化学組成は次の通りであった。
Mg0.7Al0.3(OH)(BP)0.29(NO0.01・0.4H
なお、COが0.2%、NOが0.9%含まれていた。
【実施例4】
【0032】
[紫外線及び可視光線透過率評価]
直鎖低密度ポリエチレンに下記化合物を1重量%混合後、約190℃のオープンロールで混練後、プレス機を用い、190℃で厚さ0.3mmのシートに成型した。
(4−1)実施例2で製造したDAS型HTハイドロタルサイト類
(4−2)DAS型HTと実施例1で製造されたZnO系固溶体を4:6での混合品
(4−3)NYS型HTと実施例1で製造されたZnO系固溶体を5:5での混合品
(4−4)DAS型HTとBP型HTを8:2での混合品
得られたシートを裁断し、分光光度計で250〜700nmの光線透過率を測定した。その結果を図1および2に示す。
【0033】
[比較例1]
[紫外線〜可視光線透過率評価]
実施例4と同様にして、下記化合物を分散させたシートにつき光線透過率を測定した。
(1−1)実施例1で得られたZnO系固溶体
(1−2)DAS
以上の試料の光線透過率測定結果を図1に示す。
【0034】
図1〜2から次のことが判る。
[1]DASを本発明の式(2)の化合物にすることにより、最大吸収波長が約320から約370nmに高波長側にシフトする。その結果、400nm以上までの紫外線吸収が可能となった。しかも、透明性も、DASよりも向上する。
[2]ZnO系とDAS型ハイドロタルサイトを併用することにより、透明性が向上すると共に紫外線全領域の吸収性が向上する。
[3]式(2)のイドロタルサイト類を2種組み合わせても、紫外線吸収性、透明性の両面で良好な紫外線吸収剤が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】紫外線吸収剤1%配合LLDPEシート(0.3mm厚)の光線透過率
【図2】紫外線吸収剤1%配合LLDPEシート(0.3mm厚)の光線透過率

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)
【化1】

(但し、式中、M3+はAl,FeおよびCeの少なくとも1種を示し、xは次の範囲、0≦x<0.2、にある)で表される酸化亜鉛系化合物および/または下記式(2)
【化2】

(但し、式中、M2+はMgおよび/またはZnを、M3+はAl,FeおよびGaの少なくとも1種を、An−はアニオン系黄色染料およびアニオン系有機紫外線吸収剤の少なくとも1種を、それぞれ示し、yおよびmは次の範囲、0<y<0.5,0≦m<4、にあり、nは整数を示す)で表されるハイドロタルサイト類、を含有することを特徴とする紫外線吸収剤。
【請求項2】
式(2)のハイドロタルサイト類が、下記式(3)
【化3】

(但し、式中、M2+はMgまたはMgとZnを示し、An−は式(2)と同じアニオンを示し、yとmは式(2)と同じ範囲にある)で表される特定の金属のハイドロタルサイト類である請求項1記載の紫外線吸収剤。
【請求項3】
式(2)および式(3)のハイドロタルサイト類のAn−が4,4‘−ジアミノスチルベン2,2’−ジスルホン酸である請求項1および2記載の紫外線吸収剤。
【請求項4】
式(1)の酸化亜鉛系の平均2次粒子径が0.5μm以下で、且つBET比表面積が40m/g以上である請求項1および2記載の紫外線吸収剤。
【請求項5】
式(2)のハイドロタルサイト類の平均2次粒子径が1.0μm以下で、且つBET比表面積が20m/g以下である請求項1および2記載の紫外線吸収剤。
【請求項6】
樹脂100重量部に対し、0.01〜10重量部の請求項1および2記載の紫外線吸収剤を含有することを特徴とする樹脂組成物。
【請求項7】
ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエステル、ポリビニルアルコール、エチレン酢ビコポリマーの少なくとも1種に、式(1)および/または式(2)で表される紫外線吸収剤を含有分散または塗布した単層または2種以上のフィルムをラミネートした多層フィルムからなる紫外線吸収性包装材料。
【請求項8】
請求項1記載の紫外線吸収剤を液体担体中に分散させたことを特徴とする日焼け止め化粧料。
【請求項9】
請求項7の液体担体がシリコーンオイル、高級アルコール、ラノリングリセリンステアレート、カカオ脂、ソルビタンセスキオレート、プロピレングリコール、ミネラルオイル、イソプロピルミリステート、ペトロラクタム、アクリル酸ポリマー、エタノール、水、およびこれらの混合物である請求項7記載の日焼け止め化粧料。
【請求項10】
CO型ハイドロタルサイト類に水媒体中、攪拌下にCOに対し、0.5当量以下の硝酸を添加後酸型の有機アニオンの水溶液を添加、または両者の混合液を添加する請求項1の式(2)のハイドロタルサイト類の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−214465(P2008−214465A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−52891(P2007−52891)
【出願日】平成19年3月2日(2007.3.2)
【出願人】(391001664)株式会社海水化学研究所 (26)
【Fターム(参考)】