説明

紫外線照射硬化装置

【課題】光源と紫外線硬化剤との間の距離を短くして紫外線硬化剤を効率良く硬化させることができる紫外線照射硬化装置を提供する。
【解決手段】透明導電性ガラス基板4(第1部材)及び非透明ガラス板6(第2部材)の間に介在されたシール剤8(紫外線硬化剤)を硬化させる紫外線を照射するための面状光源(複数本の直管蛍光放電管12)と、面状光源を点灯するための電源とを備え、透明導電性ガラス基板4が面状光源の上側に載置され、面状光源からの紫外線が下方から透明導電性ガラス基板4を透過してシール剤8に照射される。このような構成よって、面状光源とシール剤8との間隔が短くなり、シール剤8を短時間に効果的に硬化させることができ、照射硬化装置の被照射体を収容するための収容容積を小さくすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1部材に塗布などされた紫外線硬化剤を紫外線によって硬化させる紫外線照射硬化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
紫外線を照射して紫外線硬化剤(例えば、シール剤)を重合硬化させる装置として、例えば、光源として複数のLED(発光ダイオード)を用いたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。この紫外線照射硬化装置では、被照射体としての基材(その上面に紫外線硬化剤が塗布されている)の上方に光源(LED)が配置され、この光源からの紫外線が紫外線硬化剤に照射され、この紫外線により紫外線硬化剤が硬化される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−226273号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、この紫外線照射硬化装置には、次の通りの解決すべき問題がある。第1に、光源(LED)は小型で配光指向性が鋭いために、基材の上方に間隔を置いて配設されると、光源からの照射光は、基材(紫外線硬化剤)上に離散状に照射される。照射光の離散の緩和を図るために光源と基材との間の距離を大きくすると、光源からの照射光が基材(紫外線硬化剤)に到達するまでに照射エネルギーが弱まり、所望の照射エネルギーを得ようとすると大出力の光源が必要となる。特に、光源の下方で基材の交換などのハンドリングをする場合、ハンドリングするための空間が必要となって上記距離(光源と基材との間隔)が大きくなる傾向にあり、このようなことからも大出力の光源が必要となり(例えば、多数のLEDを高密度に配設する等が必要になる)、その結果、装置全体が大型化するとともに、消費電力が大きくなる。また、LEDは本来的に点光源であり、その照射光には鋭い指向性があるために、被照射面をムラなく均一に照射することが難しい。
【0005】
このような不都合を解消するために光源と基材との間に拡散板を挿入すると、照射エネルギーが小さくなって短時間で紫外線硬化剤を硬化させるのが難しく、硬化作業の効率が低下する。それ故に、紫外線硬化剤を硬化させるためには長時間照射しなければならず、このように長時間照射すると、基材の温度が上昇する、或いは被照射面上の物質(特に、被照射体が色素増感太陽電池モジュールである場合にこれに用いる増感用色素)が劣化する。
【0006】
第2に、被照射体のサイズが大きくなる(例えば、縦×横:30cm×30cm)と、被照射体の全面を均一に照射することが難しくなり、例えば光源としてLEDを用いたときには一層難しくなる。
【0007】
このような不都合を解消するためには、被照射体を回転テーブルに載置し、かく載置した状態で回転テーブルを回転させながら照射することによってある程度改善することができるが、このように構成した場合、回転テーブル及びこれを支持して回転駆動するための構造が必要となるとともに、回転駆動のためにハンドリング空間が拡大し、被照射体のサイズの割に装置が大型化するとともに、製作コストが高くなる。また、被照射体が大きくなると、その自重によって基材の中央部付近に生じる撓みが大きくなり、回転テーブル方式の場合、この問題を解消するのが難しくなり、またこの被照射体を水平に安定的に支持して回転することが難しくなる。特に、この撓みが大きくなると、例えば、紫外線硬化剤を挟んで存在する一対の部材間の間隔が一定とならず、紫外線硬化剤が圧縮されたり引張されたりして正常な状態で硬化されなくなる。
【0008】
本発明の目的は、光源からの距離(光路パス)を短く一定にして高い照射強度を得ることにより紫外線硬化剤を効率良く硬化させることができる紫外線照射硬化装置を提供することである。
【0009】
本発明の他の目的は、被照射体を撓みなく安定的に支持して紫外線硬化剤を正常に配置した状態で硬化することができる紫外線照射硬化装置を提供することである。
【0010】
本発明の更に他の目的は、回転機構を用いることなく被照射体を実質上均一に照射して紫外線硬化剤をムラなく硬化することができる紫外線照射硬化装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の請求項1に記載の紫外線照射硬化装置は、被照射体の第1部材の少なくとも片面に設けられた紫外線硬化剤を紫外線の照射によって硬化させる紫外線硬化装置であって、紫外線を照射するための面状光源と、前記面状光源を点灯するための電源とを備え、前記第1部材が前記面状光源の上側に載置され、前記面状光源から上方に放射される紫外線が下方から前記紫外線硬化剤に照射されることを特徴とする。
【0012】
本発明の請求項2に記載の紫外線照射硬化装置では、前記被照射体の前記第1部材の片面側には前記紫外線硬化剤を介して第2部材が配設され、前記第1部材又は前記第2部材が前記面状光源の上側に載置され、前記面状光源からの紫外線が下方から前記第1部材又は前記第2部材を通して前記紫外線硬化剤に照射されることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の請求項3に記載の紫外線照射硬化装置では、前記面状光源は、実質上接触乃至近接するように管長方向に対して直角な方向に並列に配設された複数本の直管蛍光放電管から構成されていることを特徴とする。
【0014】
また、本発明の請求項4に記載の紫外線照射硬化装置では、前記複数本の直管蛍光放電管は低圧水銀蒸気蛍光直管蛍光放電管から構成され、前記複数本の低圧水銀蒸気蛍光直管蛍光放電管は高周波インバータにより点灯駆動されて非脈動の紫外線を放射することを特徴とする。
【0015】
また、本発明の請求項5に記載の紫外線照射硬化装置では、前記複数本の直管蛍光放電管は、管本体の一端部が片側に突出する第1の放電管組と、前記管本体の他端部が他側に突出する第2の放電管組とを含み、前記第1の放電管組の突出端部に対応して第1冷却手段が配設され、前記第2の放電管組の突出端部に対応して第2冷却手段が配設されていることを特徴とする。
【0016】
また、本発明の請求項6に記載の紫外線照射硬化装置では、前記第1及び第2冷却手段は、冷却用フィン、冷却用ファン、冷却用ペルチェ素子又は熱伝導性部材であることを特徴とする。
【0017】
また、本発明の請求項7に記載の紫外線照射硬化装置では、前記複数本の直管蛍光放電管は、照射硬化ハウジングに収容され、前記複数本の直管蛍光放電管の少なくとも一部が、熱伝導性支持部材を介して前記照射硬化ハウジングに支持されており、前記複数本の直管蛍光放電管の少なくとも一部からの熱は、前記熱伝導性支持部材を介して前記照射硬化ハウジングに伝達され、前記照射硬化ハウジングから外部に放熱されることを特徴とする。
【0018】
また、本発明の請求項8に記載の紫外線照射硬化装置では、前記面状光源の上側に紫外線透過性シート又は紫外線透過性プレートが配設され、前記紫外線透過シート又は前記紫外線透過プレートを介して前記被照射体が載置されることを特徴とする。
【0019】
また、本発明の請求項9に記載の紫外線照射硬化装置では、上面が開放された照射硬化ハウジングと、前記照射硬化ハウジングの上面を覆うための上蓋を更に備え、前記面状光源は前記照射硬化ハウジング内に収容され、前記被照射体は、前記照射硬化ハウジングの上面開口を開放した状態にて前記面状光源の上側に載置されることを特徴とする。
【0020】
また、本発明の請求項10に記載の紫外線照射硬化装置では、前記照射硬化ハウジングの内面及び前記上蓋の内面に、紫外線を反射するための紫外線反射面が設けられていることを特徴とする。
【0021】
また、本発明の請求項11に記載の紫外線照射硬化装置では、前記照射硬化ハウジングの一部に開口が設けられ、前記開口に透光性蛍光プレートが配設され、前記面状光源からの紫外線照射光の一部が前記透光性蛍光プレートに照射され、前記透光性蛍光プレートは、前記面状光源からの紫外線照射光を可視光化し、前記面状光源の点灯表示器として機能することを特徴とする。
【0022】
また、本発明の請求項12に記載の紫外線照射硬化装置では、前記照射硬化ハウジング及び前記上蓋は、気密的に密閉された密閉照射空間を規定し、前記密閉照射空間には、乾燥気体を供給するための気体供給流路及び乾燥気体を排出するための気体排出流路が接続され、前記気体供給流路の上流側に乾燥気体供給源が接続されており、前記乾燥気体供給源からの乾燥気体は、前記気体供給流路を通して前記密閉照射空間に供給され、前記密閉照射空間は、乾燥気体により満たされることを特徴とする。
【0023】
また、本発明の請求項13に記載の紫外線照射硬化装置では、前記面状光源によって照射される被照射体が太陽電池モジュールであり、前記太陽電池モジュールを製造するための太陽電池製造設備の搬送ラインの照射域に関連して前記面状光源が配設され、前記太陽電池モジュールが前記照射域を通して搬送される間に、前記面状光源からの紫外線が下方から紫外線硬化剤に照射されることを特徴とする。
【0024】
更に、本発明の請求項14に記載の紫外線照射硬化装置では、前記太陽電池モジュールは、搬送ユニットの密閉収容空間に収容されて前記搬送ラインの前記照射域を通して搬送されるように構成され、前記搬送ユニットは、前記面状光源からの紫外線を透過する紫外線透過性密閉収容空間を規定し、前記照射域においては、前記紫外線透過性密閉空間内に乾燥気体が充填された状態にて、前記面状光源からの紫外線が前記搬送ユニットを通して照射されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
本発明の請求項1に記載の紫外線照射硬化装置によれば、光源として面状光源を用いているので、第1部材の少なくとも片面側に設けられた紫外線硬化剤を水平方向において実質上均一に照射することができる。また、第1部材が面状光源の上側に載置されるので、面状光源と照射領域(換言すると、紫外線硬化剤)との間隔(所謂、光路パス)が小さくなり、面状光源からの照射エネルギーが効率良く紫外線硬化剤に到達し、小出力の面状光源であっても短時間で紫外線硬化剤を所要の通りに硬化することができ、これによって、装置全体の小型化及び製作コストの低減を図ることができるとともに、消費電力も低く抑えることができる。
【0026】
尚、第1部材が紫外線透過性の材料から形成されている場合、この第1部材を面状光源に直接的又は間接的に載置するようにすればよく、第1部材が非紫外線透過性の材料から形成されている場合、この第1部材の片面側を面状光源に載置するようにすればよい。
【0027】
このような紫外線照射硬化装置は、印刷の分野(例えば、シールラベルの印刷)、塗装の分野(例えば、光学フィルムのコーティング、フィルムのハードコーティング)、接着の分野(例えば、チップ部品の接着)などに広く用いることができる。
【0028】
本発明の請求項2に記載の紫外線照射硬化装置によれば、第1部材(又は第2部材)の実質上全域が面状光源に載置されて支持されるので、被照射体のサイズが大きくなっても撓みの発生がなく安定して支持することができ、これによって、第1及び第2部材間の間隔を一定に保ち、実質上均一な間隔でもって紫外線硬化剤を照射することができ、紫外線硬化剤の硬化ムラをなくすことができる。また、第1部材(又は第2部材)が面状光源の上側に載置されるので、面状光源と照射領域との間隔(所謂、光路パス)が小さくなり、その結果、上述したと同様の効果を達成することができる。特に、被照射体が色素増感太陽電池モジュールである場合、照射時間の短縮によって面状光源の温度を低く保つことができ、これによって、これに用いる増感用植物性色素の劣化を著しく抑えることが可能となる。尚、第1部材及び/又は第2部材は、単一の部材でもよく、或いは複数の部材(例えば、シート状部材)などでもよい。
【0029】
また、本発明の請求項3に記載の紫外線照射硬化装置によれば、面状光源は、実質上接触乃至近接するように管長方向に対して直角な方向に並列に配設された複数本の直管蛍光放電管から構成されているので、安価な直管蛍光放電管を用いて面状光源とすることができる。また、複数本の直管蛍光放電管が実質上接触乃至近接するように並列に配置されるので、面状光源として適用しても照射ムラ(具体的には、管長方向のみならず、円形断面を含む上記水平方向における照射ムラ)を少なくすることができる。
【0030】
また、本発明の請求項4に記載の紫外線照射硬化装置によれば、直管蛍光放電管が低圧水銀蒸気直管蛍光放電管から構成されているので、可視光に近い周波数の紫外線(所謂、近紫外線:UV−A)が発生し、この近紫外線によって紫外線硬化剤を人体にほぼ無害で効果的に硬化させることができる。また、低圧水銀蒸気直管蛍光放電管が高周波インバータにより点灯駆動されるので、この蛍光放電管からの近紫外線は非脈動の照射光となって紫外線硬化剤を照射し、これによって、被照射体全体を経時的に均一に照射することができ、被照射体への照射ムラを少なくすることができる。
【0031】
また、本発明の請求項5に記載の紫外線照射硬化装置によれば、第1放電管組の直管蛍光放電管の端部が片側に突出し、この突出端部に対応して第1冷却手段が設けられているので、第1放電組管の直管蛍光放電管(具体的には、その管壁)の温度上昇を抑えることができ、これによって、かかる蛍光放電管内のガス圧力を発光に最適な温度に維持することができる。また、第2放電管組の直管蛍光放電管の端部が他側に突出し、この突出端部に対応して第2冷却手段が設けられているので、第2放電組管の直管蛍光放電管(具体的には、その管壁)の温度上昇を抑えることができ、これによって、これらの蛍光放電管内のガス圧力も発光に最適な温度状態に維持することができる。
【0032】
また、本発明の請求項6に記載の紫外線照射硬化装置によれば、第1及び第2冷却手段が冷却用フィン、冷却用ファン又は冷却用ペルチェ素子であるので、実質上接触乃至近接するように並列に配設された複数本の直管蛍光放電管を冷却して発光に最適な温度状態に保つことができる。第1及び第2冷却手段は熱伝導性部材でもよく、かかる場合、直管蛍光放電管からの熱は熱伝導性部材を介して例えば照射硬化ハウジングに伝達され、かかる照射硬化ハウジングの壁面から直接的に又はヒートシンク、ファンなどを介して例えば大気中に放熱することができる。
【0033】
また、本発明の請求項7に記載の紫外線照射硬化装置によれば、複数本の直管蛍光放電管の少なくとも一部が熱伝導支持部材を介して支持されているので、少なくとも一部の直管蛍光放電管からの熱は、熱伝導支持部材を介して照射硬化ハウジングに伝達され、照射硬化ハウジングの壁面から外部(例えば、大気中)に放熱することができ、従って、この場合においても、直管蛍光放電管の温度を適正に保持することができる。
【0034】
また、本発明の請求項8に記載の紫外線照射硬化装置によれば、面状光源の上側に紫外線透過性シート又は紫外線透過性プレートが配設されるので、被照射体が直接的に面状光源に接触することがなく、これによって、被照射体の交換の際に、この被照射体が汚れるのを防止することができる。
【0035】
また、本発明の請求項9に記載の紫外線照射硬化装置によれば、上面が開放された照射硬化ハウジング内に面状光源が収容されるので、照射硬化ハウジングの上面上方が被照射体の交換用空間などとして利用することができ、これによって、装置全体の高さを小さくしてその小型化(換言すると、その容積・体積の減少)を図ることができる。また、照射硬化ハウジングの上面開口を覆うように上蓋が装着されるので、照射時に面状光源からの照射光が外部に漏れるのを防止することができる。尚、上蓋は、照射ハウジングに取外し可能に装着するようにしてもよく、或いは蝶番などを介して照射硬化ハウジングに開閉自在に装着してもよい。尚、上蓋とハウジング間は気密性を保持できるようにするのが望ましい。
【0036】
また、本発明の請求項10に記載の紫外線照射硬化装置によれば、照射硬化ハウジングの内面及び上蓋の内面に紫外線反射面が設けられているので、面状光源から下方若しくは水平方向に放射された紫外線は、照射硬化ハウジングの紫外線反対面により上方に反射され、更に上蓋の紫外線反射面により下方に反射され、これによって、非照射体の両面に紫外線を照射させて紫外線硬化剤をより効果的に硬化させることができ、印刷分野、塗装分野、接着の分野などに広く適用することができる。
【0037】
また、本発明の請求項11に記載の紫外線照射硬化装置によれば、照射硬化ハウジングの開口に、紫外線を可視光に変換して透過する透光性蛍光プレートが配設されているので、点灯中においては面状光源からの照射光の一部が可視光に変換されて透光性蛍光プレートを通して外部に漏れるようになり、これによって、この透光性蛍光プレートを面状光源の点灯表示器として機能させることができる。
【0038】
また、本発明の請求項12に記載の紫外線照射硬化装置によれば、照射硬化ハウジング及び上蓋が密閉照射空間を規定し、この密閉照射空間に、乾燥気体(例えば、窒素ガス)を供給するための気体供給流路及び乾燥気体を排出するための気体排出流路が接続されているので、乾燥気体供給源からの乾燥気体を気体供給流路を通して密閉照射空間内に充満させることができ、その結果、極めて小さい体積(容積)にて湿度の低い環境下において容易なハンドリングでもって紫外線硬化剤を硬化させることができる。
【0039】
また、本発明の請求項13に記載の紫外線照射硬化装置によれば、例えば、太陽電池製造設備の搬送ラインに関連して面状光源が配設され、太陽電池モジュールが照射域を通して搬送される間に面状光源からの紫外線が下方から照射され、このように構成することによって、太陽電池製造設備に好都合に適用して、下方に配設された面状光源からの紫外線により紫外線硬化剤を硬化させることができる。
更に、本発明の請求項14に記載の紫外線照射硬化装置によれば、搬送ラインの照射域を通して搬送ユニットが搬送されるように構成され、この搬送ユニットの紫外線透過性密閉収容空間内に太陽電池モジュールが収容され、この密閉空間内には予め乾燥気体(例えば、窒素ガス)が充填される。照射域においては、この紫外線透過性密閉収容空間内に乾燥気体が充填された状態で搬送され、面状光源からの紫外線が、搬送ユニットを通して照射され、このように照射することによって、湿気の影響を受けることなく紫外線硬化剤を硬化せることができる。尚、この場合、搬送ユニット全体を紫外線透過部材から構成してもよく、或いはその一部(例えば、底壁のみ)を紫外線透過部材から構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】太陽電池モジュールの一例を一部断面で示す模式斜視図。
【図2】図1の太陽電池モジュールを製造するときの紫外線照射硬化工程の説明するための部分拡大模式断面図。
【図3】本発明に従う紫外線照射硬化装置の第1の実施形態を上から見た斜視図。
【図4】図3におけるIV−IV線平面による断面図。
【図5】図3の紫外線照射硬化装置の照射硬化ハウジングを下側から見た底面図。
【図6】第2の実施形態の紫外線照射硬化装置の照射硬化ハウジングを下側から見た底面図。
【図7】図6の紫外線照射硬化装置の制御系を示すブロック図。
【図8】第3の実施形態における紫外線照射硬化装置を示す斜視図。
【図9】第4の実施形態における紫外線照射硬化装置を示す平面図。
【図10】図9の紫外線照射硬化装置の熱伝導性支持部材及びそれに関連する構成を示す部分斜視図。
【図11】図3の紫外線照射硬化装置における照射時間とエネルギー比との関係を示す図。
【図12】第5の実施形態の紫外線照射硬化装置を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、添付図面を参照して更に詳細に説明する。まず、図1を参照して、被照射体としての太陽電池モジュール、例えば色素増感太陽電池モジュールに適用して説明する。図1において、被照射体の一例としての図示の太陽電池モジュール2は、透明導電性ガラス基板4(第1部材を構成する)と、この透明導電性ガラス基板4の下側に配設された非透明ガラス板6(第2部材を構成する)とを備えている。図1は、太陽電池モジュール2の一部断面を模式的に示し、太陽光は、太陽電池モジュール2の透明導電性ガラス基板4側から、即ち図1において上側から矢印5で示すように照射される。
図2は、照射硬化工程における載置状態を模式的に示し、後述する照射光(紫外線)は、太陽電池モジュール2の透明導電性ガラス基板4側から、即ち図2において下側から矢印7で示すように照射される。
【0042】
透明導電性ガラス基板4の内面(図1において下面、図2において上面)には作用極(透明導電膜)(図示せず)が設けられ、非透明ガラス板6の内面(透明導電性ガラス板4にセルを介して対向する面であって、図1において上面、図2において下面)に対向極(図示せず)が設けられ、透明導電性ガラス基板4と非透明ガラス板6との間の間隙(約40μm程度の間隙)に、色素増感型太陽電池の複数のセルを接続するための配線部材(図示せず)及び電解液(図示しないが、硬化後に注入される)並びにセルの外周部をシールするためのシール剤8(紫外線硬化剤)が配設され、シール剤8は、未硬化の状態で透明導電性ガラス基板4の導電内面側又は非透明ガラス板6の電極内面側に塗布されるが、この実施形態では、透明導電性ガラス基板4の導電内面側にセルを分離するように所定のパターンに沿って塗布され、かく塗布されたシール剤8が後述する如くして硬化される。
このシール剤8は、紫外線硬化型のものが用いられ、後述するように紫外線を照射することによって重合硬化され、透明導電性ガラス基板4と非透明ガラス板6との間を所定の間隔(約40μmの間隔:透明導電性ガラス基板4の内面に厚さ約10μmの透明導電膜が設けられており、従って、残りの約30μmが間隙となり、シール剤8の硬化後に、かかる間隙に電解液が充填される)に保持固着する。
【0043】
未硬化状態のシール剤8の照射硬化は、図2に示す照射原理を適用した紫外線照射硬化装置を用いて行われる。次に、図2を参照して、本発明に従う紫外線照射硬化装置の照射原理について説明すると、図1に示した被照射体2A(太陽電池モジュール2)は、紫外線を平面上に照射する面状光源10の上側に載置され、透明導電性ガラス基板4の下面側からこれを透過して照射される。
この面状光源10は、横方向(図2において直管蛍光放電管12の管長に直角方向、即ち図2の紙面に垂直な方向であって、透明導電性ガラス基板4の平面に平行な方向)に並列に配設された複数本の直管蛍光放電管12(図2において、一本のみ示す)から構成され、これら直管蛍光放電管12が実質上接触乃至近接するように配置され、このように実質上接触乃至近接するように配置することによって、複数本の直管蛍光放電管12の上端により規定される平面(即ち、被照射体2Aが接触する平面、この形態では透明導電性ガラス基板4の図2における下面)における照射強度(照射エネルギー)がほぼ均一となり、これによって、複数本の直管蛍光放電管12を面状光源10として機能させることができる。
【0044】
直管蛍光放電管12を直接接触するように配設すると、放電管12を新しいものに交換するのが難しくなるために、実質上接触乃至近接するように配設し、直径25.5mm管を用いた場合、0.25〜1.5mm程度の間隔でもって並列的に配設され、放電管12の直径が大きくなると、実質上接触乃至近接する配設間隔は、上述の値よりも幾分大きくなるが、放電管12の管径が小さくなると、実質上接触乃至近接する間隔は、上述の値は幾分小さくなる。この形態では、被照射体2Aは、複数本の直管蛍光放電管12の上側に柔軟性のある紫外線透過シート14を介して載置支持される。
紫外線透過シート14は、例えばアクリル樹脂製シートを用いることができ、例えば0.5〜2mm程度の厚さのものを用いることができる。このような軟質の紫外線透過シート14に代えて硬質の紫外線透過プレートを用いるようにしてもよく、この場合、例えば1〜5mm程度の厚さのものを用いることができる。このように複数本の直管蛍光放電管12(面状光源)と被照射体2Aとの間に紫外線透過シート14(又は紫外線透過プレート)を介在させることによって、直管蛍光放電管12に載置した際などの被照射体2Aの汚れを防止することができる。尚、被照射体2Aの汚れが問題とならないときには、この紫外線透過シート14(又は紫外線透過プレート)を省略することができる。
【0045】
被照射体2Aが色素増感太陽電池モジュールである場合、増感用の植物性色素(又は増感用の合成色素)が用いられるので、この植物性色素(又は合成色素)の紫外線による劣化を防止するために、紫外線透過シート14(又は紫外線透過プレート)と透明導電性ガラス基板4との間に紫外線マスクガラス11が介在される。紫外線マスクガラス11は、ガラス本体13を備え、このガラス本体13の片面(図2において上面であって、透明導電性ガラス基板4に接触する面)に非透過性マスク部15が設けられる。この非透過性マスク部15は、植物性色素(又は合成色素)が存在する導電膜の領域に対応して設けられ、このように構成することによって、植物性色素(または合成色素)が面状光源10からの紫外線により照射されることを防止することができる。この紫外線マスクガラス11は、非透過性マスク部15が透明導電性ガラス基板4側となるように配設される。
【0046】
このように面状光源(複数本の直管蛍光放電管12)の上側に被照射体2Aを載置する構成とすることによって、面状光源と被照射体2A(具体的には、紫外線硬化剤としてのシール剤8)との距離が短くなり、これによって、面状光源からの照射エネルギーがほとんど弱められることなく被照射体2A(シール剤8)に伝わり、その結果、出力の小さい面状光源であってもシール剤8を所要の通りに硬化することができ、また照射時間の短縮も図ることができる。
【0047】
この面状光源としては、複数の直管蛍光放電管12に代えて、冷陰極管と導光板との組合せ構造を用いることもでき、この場合、導光板の上側に被照射体を直接的に(又は紫外線透過シート、紫外線透過プレートを介して)載置するようにすればよい。
【0048】
被照射体2Aのシール剤8は、例えば、次のようにして照射硬化することができる。被照射体2Aが色素増感太陽電池モジュールである場合、透明導電性ガラス基板4の片面(図2において上面)に形成された導電膜面に設計パターンの形状に対応してシール剤8を塗布する。そして、複数本の直管蛍光放電管12の上側に紫外線透過シート14を載置し、この上側に非透過性マスク部15が上側となるように紫外線マスクガラス11を載置し、更にその上側に、シール剤8が上側となるように透明導電性ガラス基板4を載置し、このシール剤14の上側に非透明ガラス板6(対向極が設けられた面が透明導電性ガラス基板4と対向するように)を載置する。
【0049】
そして、この載置状態において、非透明ガラス板6の上面にウエイト(図示せず)を載置するなどして透明導電性ガラス基板4と非透明ガラス板6との間の間隔が所定間隔(約40μm)となるように調整する。このとき、透明導電性ガラス基板4の面積が大きいときには、複数のウエイトを用いるようになるが、被照射体2Aの実質上全域(前面)が面状光源10(複数本の直管蛍光放電管12)により支持されているので、被照射体2Aが撓むことがほとんどなく、被照射体2Aのサイズが大きくても透明導電性ガラス基板4と被ガラス板6との間隔を所要の一定間隔に保つことができる。
【0050】
その後、かかる載置状態にて複数本の直管蛍光放電管12を所定時間点灯する。かく点灯すると、複数本の直管蛍光放電管12からの紫外線が紫外線透過シート14及び透明導電性ガラス基板4を介してシール剤8に到達し、直管蛍光放電管12からの紫外線によって重合硬化され、このようにして図1に示す構造の太陽電池モジュール2を製作することができる。この説明では、第1部材としての透明導電性ガラス基板4を直管蛍光放電管12の直上に載置しているが、例えば、第2部材が透明材料から形成されている場合には、この第2部材を直管蛍光放電管12の直上に載置するようにしてもよい。
【0051】
被照射体2Aのシール剤8を硬化するための紫外線照射硬化装置22は、例えば、図3〜図9に示すように構成することができる。図3〜図5において、図示の紫外線照射硬化装置22は、上面が開放された箱状の照射硬化ハウジング24を備える。この照射硬化ハウジング24はアルミ材により、若しくは内面にアルミ蒸着層又はアルミ箔層を有する樹脂材などで形成され、このように構成することによって、照射硬化ハウジング24の内面を紫外線を反射させる反対面として機能させることができ、複数本の直管放電管26(26a、26b)から下方若しくは水平方向に放射された紫外線は、照射硬化ハウジング24の紫外線反対面により上方に反射される。この照射硬化ハウジング内に、面状光源を構成する複数本(具体的には、14本)の直管蛍光放電管26が並列に配設されている。これら直管蛍光放電管26は、それらの横方向(管長方向に対して直角方向であって、図4において紙面の上下方向)に実質上接触乃至近接するように並列に配設され、これによって隣接する直管蛍光放電管26の間隔は、その管長にわたって接触乃至近接状態(例えば、直径25.5mm管を用いた場合、0.25〜1.5mm程度の間隔)に保たれる。この実施形態では、14本の直管蛍光放電管26(26a、26b)を用いるが、被照射体2Aのサイズに応じて用いる直管蛍光放電管26(26a,26b)の本数を適宜設定することができる。
【0052】
この実施形態では、図4において上側から奇数番目(第1番目、第3番目、第5番目、第7番目、第9番目、第11番目及び第13番目)の直管蛍光放電管26aが第1の放電管組を構成し、上側から偶数番目(第2番目、第4番目、第6番目、第8番目、第10番目、第12番目及び第14番目)の直管蛍光放電管26bが第2の放電管組26bを構成する。第1の放電管組の直管蛍光放電管26aの管端は、片側(図4及び図5において左側)に突出し、第2の放電管組の直管蛍光放電管26bの管端は、他側(図4及び図5において右側)に突出し、複数本の直管蛍光放電管26(26a,26b)は、図4及び図5において左右方向に交互に突出している。
【0053】
第1の放電管組の直管蛍光放電管26aの両端部(管端部)は、第1ソケット27に装着され、かかる第1ソケット27が照射硬化ハウジング24の底壁28に取り付けられている。また、第2放電管組の直管蛍光放電管26bの両端部(管端部)は、第2ソケット29に装着され、かかる第2ソケット29が上記底壁28に取り付けられている。
【0054】
この実施形態では、第1の放電管組の直管蛍光放電管26aの突出端部に対応して、照射硬化ハウジング24の底壁28の一端部(図4及び図5において左端部)に円形開口30が設けられ、各円形開口30は、対応する直管蛍光放電管26aの突出端部の下方に配置され、かかる突出端部に対応して第1冷却手段が配設されている。また、第2の放電管組の直管蛍光放電管26bの突出端部に対応して、照射硬化ハウジング24の底壁28の他端部(図4及び図5において右端部)に円形開口32が設けられ、各円形開口32は、対応する直管蛍光放電管26bの突出端部の下方に配置され、かかる突出端部に対応して第2冷却手段が配設されている。尚、これらの開口30,32は、円形である必要はなく、矩形状、楕円状などの適宜の形状でよい。
【0055】
第1の放電管組の直管蛍光放電管26aに対応する円形開口30に関連して、これら円形開口30を覆うように細長い矩形状の第1冷却ハウジング34が設けられ、かかる第1冷却ハウジング34が照射硬化ハウジング24の底壁28の一端部に取り付けられている。第1冷却ハウジング34の前面には吸入開口36が設けられ、またこの第1冷却ハウジング34内には、冷却用ファンとしての第1吸入ファン(図示せず)が設けられ、第1冷却ハウジング34及び第1吸入ファン(図示せず)が第1冷却手段を構成する。また、照射硬化ハウジング24の側壁110(又は側壁112)(図4参照)に排気開口(図示せず)が設けられ、かかる排気開口を通して空気が排出される。
【0056】
かく構成されているので、第1吸入ファンが作動すると、外気が吸入開口36を通して第1冷却ハウジング34内に吸入され、各円形開口30を通して第1の放電管組の直管蛍光放電管26aの突出端部に向けて流れた後、照射硬化ハウジング24の排気開口(図示せず)を通して外部に排出され、この空気の流れによって第1放電管組の直管蛍光放電管26aの突出端部が冷却され、その管端部の壁面を冷却することができ、これによって、直管蛍光放電管26aの管内ガス圧の適正化を図ることができる。
【0057】
また、第2の放電管組の直管蛍光放電管26bに対応する円形開口32に関連して、これら円形開口32を覆うように細長い矩形状の第2冷却ハウジング38が設けられ、かかる第2冷却ハウジング38が照射硬化ハウジング24の底壁28の他端部に取り付けられている。第2冷却ハウジング38の前面には吸入開口40が設けられ、またこの第2冷却ハウジング38内には、冷却用ファンとしての第2吸入ファン(図示せず)が設けられ、第2冷却ハウジング38及び第2吸入ファン(図示せず)が第2冷却手段を構成する。また、照射硬化ハウジング24の側壁110(又は側壁108)(図4参照)に排気開口(図示せず)が設けられ、かかる排気開口を通して空気が排出される。
【0058】
かく構成されているので、第2吸入ファンが作動すると、外気が吸入開口40を通して第2冷却ハウジング38内に吸入され、各円形開口32を通して第2の放電管組の直管蛍光放電管26bの突出端部に向けて流れた後に、照射硬化ハウジング24の排気開口(図示せず)を通して外部に排出され、この空気の流れによって第2放電管組の直管蛍光放電管26bの突出端部が冷却され、これによって、上述した同様に直管蛍光放電管26bの管内ガス圧の適正化を図ることができる。
【0059】
第1及び第2冷却ハウジング34,38の吸入開口36,40は、第1及び第2冷却ハウジング34、38の前面に代えて下面などに設けるようにしてもよく、また円形以外の他の適宜の形状、例えば矩形状などでもよい。
【0060】
この形態では、直管蛍光放電管26(26a,26b)が実質上接触乃至近接するように配設されているが、第1の放電管組の直管蛍光放電管26aを片側に突出させ、第2の放電管組の直管蛍光放電管26bを他側に突出させているので、それらの突出端部に外気流を送って効果的に冷却することができる。この形態では、直管蛍光放電管26を一つずつ左右にずらしているが、例えば、二つずつ(又は三つずつ)左右にずらすようにしてもよく、この場合、図4において左側にずらした直管蛍光放電管26が第1の放電管組を構成し、第1の放電管組の二つ(又は三つ)の直管蛍光放電管26の突出端部に対応して開口が設けられ、また図4において右側にずらした直管蛍光放電管26が第2の放電管組を構成し、第2の放電管組の二つ(又は三つ)の直管蛍光放電管26の突出端部に対応して開口が設けられる。
【0061】
この第1及び第2冷却ハウジング34,38の開口36,40には、フィルタ(図示せず)を設けるのが好ましく、フィルタを設けることによって、ダストなどが第1及び第2冷却ハウジング34,38(換言すると、照射硬化ハウジング24)内に流入するのを防止することができる。
【0062】
複数本の直管蛍光放電管26(26a,26b)は、低圧水銀蒸気蛍光放電管(低圧水銀蒸気蛍光放電ランプ)から構成するのが好ましい。低圧水銀蒸気蛍光放電管は点灯して近紫外線(可視光に近い波長の紫外線)を発生し、硬化に近紫外線を用いることによって、シール剤8を効果的に硬化させることができる。この低圧水銀蒸気蛍光放電管は、管壁温度が約40℃のときに最大出力が得られるように設計されており、このようなことから第1及び第2吸入ファン(図示せず)の吸入能力を適切に設定して低圧水銀蒸気蛍光放電管の管壁温度が約40℃に維持されるように冷却するのが望ましい。尚、第1及び第2吸入ファンについては、低圧水銀蒸気蛍光放電管の管壁温度が40℃を超えたときに作動させて冷却するようにしてもよく、或いはこの管壁温度が40℃を超えて上昇するにつれて第1及び第2吸入ファンの回転数を上昇させて冷却能力が増大するように構成することもできる。
【0063】
上述した実施形態では、第1及び第2冷却手段として外気を吸入する第1及び第2吸入ファンを用いているが、第1及び第2冷却手段として、気体を排出する第1及び第2排気ファンを用いるようにしてもよく、この場合、例えば、第1冷却手段の排気ファンに関連して照射硬化ハウジング24の例えば側壁112(図4参照)に吸入開口が設けられ、第2冷却手段の排気ファンに関連して照射硬化ハウジング24の例えば側壁108(図4参照)に吸入開口が設けられる。
【0064】
この実施形態では、第1及び第2の放電管組の直管蛍光放電管26a,26bに対応して第1及び第2冷却ハウジング34,38並びにこれに関連する構成(排気開口など)を設けているが、これらの構成を省略して図6に示すように構成することができる。図6において、この実施形態では、照射硬化ハウジング24の底壁28の各円形開口30,32に対応して、冷却用ファンとしての第1及び第2冷却ファン42,44が配設されている。第1及び第2冷却ファン42,44は、例えば軸流ファンから構成され、底壁28の下面に取り付けられている。第1及び第2冷却ファン42,44は、外気を吸入する第1及び第2吸入用ファン42a,44aと、照射硬化ハウジング24内の空気を排出する第1及び第2排気用ファン42b.44bとを含み、この形態では、第1及び第2吸入用ファン42a,44aと第1及び第2排気用ファン42b,44bとが交互に配設されている。
【0065】
このように構成されているので、第1及び第2吸入用ファン42a,44aが作動すると、外気が照射硬化ハウジング24の円形開口30,32を通して吸入され、また第1及び第2排気用ファン42b,44bが作動すると、照射硬化ハウジング24内の空気が円形開口30,32を通して排出され、外気吸入の円形開口30,32から空気排気の円形開口30,32への空気流が直管蛍光放電管26a,26bの端部周囲を流れ、かかる空気流によって直管蛍光放電管26a,26bを効果的に冷却することができる。図6の紫外線照射硬化装置のその他の構成は、図3〜図5に示す構成と実質上同一でよい。
【0066】
尚、例えば、上述したように直管蛍光放電管26a,26bを例えば二つずつ左右にずらすようにしてもよく、この場合、二つの直管蛍光放電管26の突出端部に対応して設けられる開口に第1及び第2冷却ファン(第1及び第2吸入用ファン並びに第1及び第2排気用ファン)を設けることができる。
【0067】
図6に示す紫外線照射硬化装置は、例えば図7に示す制御系によって作動制御される。図7において、この制御系は、面状光源12(この形態では、直管蛍光放電管26)を点灯するための点灯制御系131と、第1及び第2冷却手段(この形態では、第1及び第2冷却ファン42,44)を駆動するためのファン制御系133とを備えている。この制御系は、電源としてAC電源132、例えば商用交流電源に電気的に接続され、AC電源132からの電力がタイマ手段135(後述する)に供給され、その後整流されて高周波インバータ140に接続され、この高周波インバータ140にて高周波電流に変換され、例えば周波数が20〜30kHz程度の高周波電流に変換される。また、AC電源からの電力は、タイマ手段135を介してアダプタ137に供給され、このアダプタ137にて直流電力(例えば、12Vの直流電力)に変換された後に冷却手段(第1及び第2冷却ファン42,44)に供給される。
【0068】
タイマ手段135は、面状光源12(直管蛍光放電管26)の照射時間を設定するものであり、本実施形態の場合、例えば10秒程度に設定され、かく設定した時間の間、面状光源12(直管蛍光放電管26)が点灯される。この形態の場合、タイマ手段135により設定された時間の間、冷却手段(第1及び第2冷却ファン42,44)も作動され、面状光源12が点灯している間にわたって冷却手段による面状光源12の冷却が行われる。
【0069】
直管蛍光放電管26として上述の低圧水銀蒸気放電管を用いて上述した高周波電流(20〜30kHz)でもって点灯させた場合には、通常の周波数電流(例えば、60Hz)でもって点灯させた場合に比して紫外線の出力が約20%程度増加するとともに、管内ガス中の導電イオンがランプ電流の極性反転に追従できなくなるために、紫外線の出力波形が一定の直流状になって脈動がなくなり、これによって、被照射体2A(この形態では、透明導電性ガラス基板4と非透明ガラス板6との間)のシール剤8(図2参照)を均斉に硬化させることができ、また照射時間の短縮化を図ることができる。
【0070】
冷却手段として冷却ファンを用いることに代えて、図8に示すように構成することもできる。図8において、第1の放電管組(又は第2放電管組)の直管蛍光放電管26a(又は26b)の端部(管端)に対応して熱伝導性支持部材52が設けられ、この熱伝導性支持部材52の取付部54が取付ねじ56により照射硬化ハウジング24の底壁28に取り付けられる。熱伝導性支持部材52は、アルミニウム、銅などの熱伝導率の高い金属材料を含んで形成され、その片側支持部58は、取付部54の一端から上方に伸び、その他側支持部60は、取付部54の他端から上方に伸び、一対の支持部58,60の対向する部位には取付凹部62,64が設けられ、直管蛍光放電管26a(又は26b)の端部(管端)は熱伝導性支持部材52の一対の取付凹部62,64間に弾性的に支持される。尚、熱伝導性支持部材52による熱伝導効果を高めるためには、その幅(図8において左下から右上方向の幅)を長くするなどの熱抵抗の低減を図ることが望ましい。
【0071】
この熱伝導性支持部材52に対応して第1冷却手段(又は第2冷却手段)としてのペルチェ素子66(又は68)が配設され、例えば、照射硬化ハウジング24の底壁28の外側下面に設けられる。このペルチェ素子66(又は68)は、電流の流れを制御して可変冷却用として用いることもできる。
【0072】
このように構成されているので、直管蛍光放電管26a(又は26b)からの熱は、熱伝導性支持部材52を介して照射硬化ハウジング24の底壁28に伝達され、この底壁28から大気中に放熱されるとともに、ペルチェ素子66(又は68)によって強制的に冷却され、このようにして直管蛍光放電管26a(又は26b)を所要の通りに冷却して所定温度に保つことができる。尚、第1冷却手段(又は第2冷却手段)としてのペルチェ素子に代えて、放熱フィンを用いることができ、この場合、放熱フィンは照射硬化ハウジング24の底壁28の外側下面に取り付けられる。
【0073】
熱伝導性支持部材としては、図9及び図10に示すように構成することもできる。この熱伝導性支持部材72は、第1の放電管組の複数本の直管蛍光放電管26aに関連して設けられるとともに、第2の放電管組の複数本の直管蛍光放電管26bに関連して設けられる。即ち、片方の熱伝導性支持部材72は、第1の放電管組の直管蛍光放電管26aの突出端部に対応して配置され、この熱伝導性支持部材72の支持部材本体74の上部には、第1の放電管組の各直管蛍光放電管26aに対応して接触受部76が設けられ、これら直管蛍光放電管26aの突出端部が、図9に示すように、熱伝導性支持部材72の接触受部76に接触状態で受け入れられる。尚、第2の放電管組の直管蛍光放電管26bの端部(図9において左側の端部であって、具体的にはこの端部が装着される第2ソケット29)は、この片方の熱伝導性支持部材72の内側に位置する。
【0074】
また、他方の熱伝導性支持部材72は、第2の放電管組の直管蛍光放電管26bの突出端部に対応して配置され、この熱伝導性支持部材72の支持部材本体74の上部には、第2の放電管組の各直管蛍光放電管26bに対応して接触受部76が設けられ、これら直管蛍光放電管26bの突出端部が、第1の放電管組と同様に、熱伝導性支持部材72の接触受部76に接触状態で受け入れられる。尚、第1の放電管組の直管蛍光放電管26aの端部(図9において右側の端部であって、具体的にはこの端部が装着される第1ソケット27)は、この他方の熱伝導性支持部材72の内側に位置する。
【0075】
このように構成することによって、複数本の直管蛍光放電管26a(及び26b)からの熱を一つの熱伝導性支持部材72でもって照射硬化ハウジング24の底壁28に伝達し、この底壁28から大気中に放熱することができ、簡単な構成の熱伝導性支持部材72でもって複数本の直管蛍光放電管26a(及び26b)を冷却することができる
図示の形態では、この支持部材本体74は、熱伝導性シート78を介して照射硬化ハウジング24の底壁28に取り付けられているが、このように構成することに代えて、直接的に照射硬化ハウジング24に取り付けるようにしてもよい。
【0076】
一対の熱伝導性支持部材72は、第1及び第2放電管組の複数本の直管蛍光放電管26a,26bに関連して設けられ、それらの直管蛍光放電管26a及び26bの突出端部に対応して配置され、各直管蛍光放電管26a及び26bの突出端部が、対応する熱伝導性支持部材72の接触受部76に接触状態で受け入れられるので、直管蛍光放電管26a及び26bからの熱を一対の熱伝導性支持部材72でもって照射硬化ハウジング24の底壁28に伝達し、この底壁28から大気中に放熱(又は熱放散)することができ、簡単な構成の熱伝導性支持部材72でもって複数本の直管蛍光放電管26a及び26bを冷却することができる。尚、この熱伝導性支持部材72に関連して、ベルチェ素子、放熱フィンなどを設けることもできる。
【0077】
再び図3及び図4に戻って、照射硬化ハウジング24の上面開口部には、この上面開口を覆うための上蓋102が載置される。上蓋102は、照射硬化ハウジング24の上面開口とほぼ等しい大きさの蓋本体104を備え、この蓋本体104の一側端部(図3において上側側端部)の内面には、図示しないL型位置付け部材が設けられ、この位置付け部材を上記上面開口の一側縁に当接することによって、この蓋本体104が照射硬化ハウジング24の4側壁106,108,110,112の上端面に正しく載置される。上蓋102の載置状態においては、照射硬化ハウジング24及び上蓋102が照射硬化空間114を規定し、かかる照射硬化空間114内に複数本の直管蛍光放電管26(26a,26b)及び被照射体2Aが収容され、これら直管蛍光放電管26(26a,26b)からの紫外線が外部に漏れることがない。
【0078】
上蓋102の蓋本体104の上面には、一対の取っ手部106が取り付けられ、これら取っ手部106を把持して上蓋102の取付け、取外しを容易に行うことができる。この蓋本体104も照射硬化ハウジング24と同様に、アルミ材により、若しくは内面にアルミ蒸着層又はアルミ箔層を有する樹脂材などで形成され、このように構成することによって、上蓋102の内面を反射面として機能させることができる。かく構成することにより、複数本の直管蛍光放電管26(26a,26b)からの紫外線は、上蓋102の紫外線反射面に反射されて被照射体2A側に向けられ、被照射体2Aのシール剤8(図2参照)をより効果的に照射硬化することができる。
【0079】
この形態では、また、直管蛍光放電管26(26a,26b)が点灯していることを表示する点灯表示部120(点灯表示器として機能する)が設けられている。照射硬化ハウジング24の前側の側壁106に開口122が設けられ、この側壁106の内側に、開口122を塞ぐように透光性蛍光プレート124が設けられ、この透光性蛍光プレート124によって点灯表示部120が構成されている。複数個の直管蛍光放電管26(26a,26b)が点灯すると、これら直管蛍光放電管26からの紫外線の一部が透光性蛍光プレート124を照射し、この紫外線が可視光に変換されて透光性蛍光プレート124を透過し、この透過光によって、外部から直管蛍光放電管26が点灯していることを知ることができる。尚、このような点灯表示部120は、上蓋102に、或いは上蓋102と照射硬化ハウジング24との間隙に設けるようにしてもよい。
【0080】
この形態では、照射硬化ハウジング24の下側に上述した制御系、即ち電源部126が設けられ、この電源部126内に複数本の直管蛍光放電管26(26a、26b)を点灯するための点灯制御系131及びファン制御系133(図7参照)が内蔵されている。また、照射硬化ハウジング24の底壁28の四個所には支持脚130(図3において二つのみ示す)が取り付けられ、これら支持脚130は、この電源部26の四角部を貫通して下方に延びており、これら支持脚130を介して工場の机上面などに設置される。尚、製造ラインなどに設置して用いる場合には、支持脚130を省略し、下部ハウジング126をこの製造ライン下等に設置するようにすればよい。
【0081】
この紫外線照射硬化装置22を用いて被照射体2A(例えば、太陽電池モジュール2)のシール剤8(図2参照)を硬化させるには、例えば、次の通りに行うことができる。主として図2、図3及び図4を参照して、まず図2に示すように、透明導電性ガラス基板4の上面の導電性側(作用極側)にシール剤8を所定のパターン形状に塗布し、このシール剤8の上面に非透明ガラス板6(対向電極側を透明導電性ガラス基板4に対向させて)を載置し、このようにして被照射体2Aを準備する。
【0082】
次いで、上蓋102を取り外し、準備した被照射体2Aを照射硬化ハウジング24内に収容された複数本の直管蛍光放電管26(低圧水銀蒸気蛍光直管蛍光放電管)の上側に載置し、その後、上蓋102を取り付けて照射硬化ハウジング24の上面開口を覆う。被照射体2Aが色素増感太陽電池モジュールである場合、上述したように、直管蛍光放電管26とこの太陽電池モジュール2との間に紫外線透過シート14及び紫外線マスクガラス11が介在される。
【0083】
その後、複数本の直管蛍光放電管26を点灯する。かくすると、直管蛍光放電管26からの紫外線が、(色素増感型太陽電池モジュールの場合、紫外線透過シート14及び紫外線マスクガラス11を通過した後に)被照射体2Aの透明導電性ガラス基板4を透過して照射され、この紫外線照射によってシール剤8が硬化され(色素部分については紫外線マスクガラス11の非透過性マスク部15によってガードされている)、このようにして透明導電性ガラス基板4と非透明ガラス板6との間のシール剤8が所定のパターン形状に重合硬化し,ガラス基板4とガラス板6とが上述したように固着される。直管蛍光放電管26の照射時間は、タイマ手段135により設定され、例えば数秒程度(例えば、5〜10秒程度)照射することによって、シール剤8を重合硬化させることができる。尚、照射硬化の後は、上蓋102を取り外して被照射体2Aを取り出せばよい。
【0084】
この紫外線照射硬化装置22においては、複数本の直管蛍光放電管26(面状光源)の上側に被照射体2Aを載置するので、直管蛍光放電管26と被照射体2Aのシール剤8との間隔が短く、直管蛍光放電管26からの紫外線が非常に有効に作用し、シール剤8を短時間(例えば、5〜10秒程度)で所要の通りに硬化させることができる。
【0085】
この紫外線照射硬化装置22においては、複数本(14本)の直管蛍光放電管26からの紫外線による累積放射エネルギー及び照射エネルギーは、例えば、図11に実線A及びBで示す通りであり、照射エネルギー(B)は脈動のない一定レベルとなり、累積放射エネルギーは時間の経過とともに増加する。そして、シール剤8の硬化エネルギーが破線(C)で示す通りであるとすると、直管蛍光放電管26の点灯後約2秒経過した時点で累積放射エネルギーが硬化エネルギーを超えてシール剤8の硬化が始まり、累積放射エネルギーが図10に示すように変化すると、5秒以上経過した時点でシール剤8の硬化が充分となり、例えば10秒経過した時点て直管蛍光放電管26の点灯を終了させて照射硬化を終了させることができる。
【0086】
上述した実施形態の紫外線照射硬化装置は、次の特徴を有している。第1に、非照射体が面状光源に載置される構成であるので、面状光源と被照射体(具体的には、紫外線硬化剤)との間隔が短く、小さい照射エネルギー(放射エネルギー)でもって紫外線硬化剤を効果的に重合硬化することができる。
【0087】
第2に、面状光源の上方空間が被照射体を取り扱うハンドリング空間となるので、照射硬化ハウジングの容積を小さくすることが可能となり、照射硬化ハウジングの小型化を達成することができると共に、この照射硬化ハウジング内に乾燥気化(例えば窒素ガス)を充填しようとする場合、その使用料を少なくすることができる。
【0088】
第3に、複数の直管蛍光放電管が管長方向にずれて配設され、第1の放電管組においては一端側に突出し、第2の放電管組においては他端側に突出しているので、複数の直管蛍光放電管を実質上接触乃至近接して配設することができ、これによって複数の直管蛍光放電管を面状光源として用いることができる。
【0089】
第4に、照射硬化ハウジング及び上蓋の内面に紫外線反射面が設けられているので、面状光源(複数の直管蛍光放電管)から下方若しくは水平方向に放射された紫外線は、照射硬化ハウジングの紫外線反射面により上方に反射され、更に上蓋の紫外線反射面により下方に反射され、かくして、面状光源から上方に放射される光と上述したように反射されて下方に放射される光によって、被照射体を両面から照射することができる。
【0090】
第5に、この実施形態では、太陽電池モジュール2(透明導電性ガラス基板4及び非透明ガラス板6)の大きさは、30cm×30cmのサイズであるが、この紫外線照射硬化装置はそれ以上のサイズ、例えば窓ガラスサイズの大型太陽電池モジュールに対しても、長尺の直管蛍光放電管を用いることによって、上述したと同様に紫外線硬化を行うことができる。
【0091】
以上、本発明に従う紫外線照射硬化装置の実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変更乃至修正が可能である。
【0092】
上述した実施形態では、太陽電池モジュールにおける透明導電性ガラス基板と非透明ガラス板との間のシール剤の硬化に適用して説明したが、本発明はこのような分野に限定されず、ベース部材への透明フィルムなどの密着、両面プリント基板への部品密着などへのシール剤の硬化にも同様に適用することがで、またシール剤のみならず、紫外線硬化用接着剤、紫外線硬化用感光剤の硬化にも同様に適用することができる。
【0093】
また、上述した実施形態では、紫外線照射硬化装置を大気中で使用しているが、大気中の湿気が問題となるおそれがあるときには、乾燥気体(例えば、窒素ガス)雰囲気中で使用するようにすればよく、例えば、図12に示すように構成することができる。図12において、この紫外線照射硬化装置22Aでは、照射硬化ハウジング24Aの上面開口に対応して、上蓋102Aにおける蓋本体104Aの内面の外周部及び照射硬化ハウジング24Aの上面開口の外周部に、例えば柔軟なゴム製の密封シール202が設けられている。この密封シール202は、上蓋102A側に、又は照射硬化ハウジング24A側に(具体的には、上面開口の開口部に)設けるようにしてもよい。
【0094】
また、上蓋102Aは複数(例えば2つ又は3つ程度)の蝶番(図示せず)(又は蝶ねじなど)を介して照射硬化ハウジング24Aに開閉自在に装着され、上蓋102Aを開状態に保持すると、照射硬化ハウジング24Aの上面開口が開放され、硬化の際の被照射体(図示せず)の載置、また硬化後の被照射体の交換を行うことができ、またこの上蓋102Aを閉状態に保持すると、照射硬化ハウジング24Aの上面開口が閉塞され、密閉シール202を介して照射硬化ハウジング24Aと上蓋22Aとの間が密封され、照射硬化空間(照射ハウジング24A及び上蓋102Aによって規定される空間)が気密状態に保たれる。
【0095】
この形態では、例えば、照射硬化ハウジング24Aの側壁106A(図12において前側の側壁106A)に、乾燥気体(例えば、窒素ガス)を供給するための気体供給流路204の一部を規定するL型接続管205が接続されるとともに、乾燥気体を排出するための気体排出流路206の一部を規定するL型接続管207が接続される。気体供給流路204には、供給弁208が配設され、またこの供給弁208の上流側には乾燥気体を供給する気体供給源210が配設される。また、気体排出流路206には排出弁212が配設されている。供給弁208及び排出弁212は手動で開閉操作を行う手動式のもの(例えば、開閉コック付など)でもよく、或いは電動で開閉操作を行う電磁式のものでもよい。
【0096】
このような紫外線硬化照射装置22Aにおいては、上蓋102Aを閉状態に保持した状態において供給弁208及び排出弁212を開状態にすると、気体供給源210からの乾燥気体(例えば、窒素ガス)が気体供給流路204を通して照射硬化ハウジング24A内(即ち、照射硬化空間内)に供給される一方、照射硬化ハウジング24A内の気体が気体排出流路206を通して排出され、このようにして照射硬化ハウジング24A内の気体を乾燥気体に入れ替えて充満させることができる。そして、このように乾燥気体で満たした環境下において被照射体(図示せず)のシール剤(紫外線硬化剤)を硬化させることによって、湿気の影響を無くした状態でシール剤を硬化させることができる。尚、この場合、面状光源(例えば、直管蛍光放電管)の冷却については、照射吸気ハウジングの外面に冷却手段としての冷却フィン、ペルチェ素子などを設けることができる。
【0097】
このように構成することによって、容易に理解されるように、従来の置換ボックス内に紫外線照射硬化装置を収納する場合に比して乾燥気体(例えば、窒素ガス)の使用量を大幅に減らすことができるとともに、取扱いのためのグローブなども不要となり、従来に比して極めて容易に照射硬化作業を行うことが可能となる。
また、上述した実施形態では、紫外線照射硬化装置を単独で用いているが、例えば太陽電池モジュールの製造設備の照射域に関連して用いることができる。例えば、太陽電池製造設備の搬送ラインに関連して紫外線照射硬化装置を設ける場合、例えば搬送ライン中に照射硬化ハウジング(内部に面状光源が配設される)を設け、この面状光源上を太陽電池モジュール(被照射体)を移動させるようにすればよく、このように構成したときには、太陽電池モジュールが面状光源上を移動する間にシール剤が、下方から照射される面状光源からの紫外線により硬化される。また、例えば、製造設備の搬送ラインの横側に紫外線照射硬化装置を設ける場合、この搬送ラインの外側に隣接して照射硬化ハウジング(内部に面状光源が配設されている)を設け、搬送ラインによって搬送される太陽電池モジュールを照射硬化ハウジング内の面状光源上に一時的に載置するようにすればよく、このように構成したときには、面状光源上に載置された状態にて面状光源からの紫外線によりシール剤が硬化される。
【0098】
この太陽電池製造設備の照射硬化において湿気の影響をなくすには、例えば、次のように構成することができる。太陽電池モジュールを搬送するための搬送ユニットが搬送ラインの照射域を通して移動されるように構成される。この搬送ユニットは、開閉自在な密閉収容空間を規定し、この密閉収容空間に太陽電池モジュールが収容された後に、この密閉収容空間に乾燥気体(例えば、窒素ガス)が充填される。
【0099】
この搬送ユニットは、紫外線を透過する紫外線透過性密閉空間を規定し、例えば、搬送ユニットの一部が紫外線透過性密閉空間を規定する場合、次のように構成される。即ち、この搬送ユニットの底壁には、紫外線を透過する紫外線透過部材が設けられ、搬送ラインの照射域においては、密閉空間内に乾燥気体が充填された状態にて、面状光源からの紫外線が下方から紫外線透過部材を通して太陽電池モジュールのシール剤に照射され、このように適用することによって、太陽電池製造設備に適用することができる。このように構成して搬送ユニットの紫外線透過性密閉収容空間の容積を小さくすることによって、簡単な構成でもって湿気の影響を無くしてシール剤を硬化させることができるとともに、乾燥気体(例えば、窒素ガス)の使用量を大幅に抑えることができる。
【0100】
また、搬送ユニット全体が紫外線透過性密閉空間を規定する場合には、例えば、次のように構成することができる。即ち、紫外線を透過する材料から形成された密閉袋(気密状態に保つことができる袋)などを搬送ユニットとして用い、この密閉袋内に太陽電池モジュールなど(紫外線マスクガラスなどを含む)を収容した後に乾燥気体(例えば、窒素ガス)を充填し、かかる状態にて照射域にて面状光源からの紫外線を照射するようにすればよい。尚、この密閉袋を用いる方法は、搬送ユニット以外の照射硬化装置についても同様に適用できる。
【符号の説明】
【0101】
2 太陽電池モジュール
2A 被照射体
4 透明導電性ガラス基板
6 被透明ガラス板
8 シール剤(紫外線硬化剤)
22,22A 紫外線照射硬化装置
24,24A 照射硬化ハウジング
26,26a,26b 直管蛍光放電管
34,38 冷却ハウジング
42,44 冷却ファン
52,72 熱伝導支持部材
66,68,98,100 ぺルチェ素子
102,102A 上蓋
140 高周波インバータ









【特許請求の範囲】
【請求項1】
被照射体の第1部材の少なくとも片面に設けられた紫外線硬化剤を紫外線の照射によって硬化させる紫外線硬化装置であって、紫外線を照射するための面状光源と、前記面状光源を点灯するための電源とを備え、前記第1部材が前記面状光源の上側に載置され、前記面状光源から上方に放射される紫外線が下方から前記紫外線硬化剤に照射されることを特徴とする紫外線照射硬化装置。
【請求項2】
前記被照射体の前記第1部材の片面側には前記紫外線硬化剤を介して第2部材が配設され、前記第1部材又は前記第2部材が前記面状光源の上側に載置され、前記面状光源からの紫外線が下方から前記第1部材又は前記第2部材を通して前記紫外線硬化剤に照射されることを特徴とする請求項1に記載の紫外線照射硬化装置。
【請求項3】
前記面状光源は、実質上接触乃至近接するように管長方向に対して直角な方向に並列に配設された複数本の直管蛍光放電管から構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の紫外線照射硬化装置。
【請求項4】
前記複数本の直管蛍光放電管は低圧水銀蒸気蛍光直管蛍光放電管から構成され、前記複数本の低圧水銀蒸気蛍光直管蛍光放電管は高周波インバータにより点灯駆動されて非脈動の紫外線照射光を放射することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の紫外線照射硬化装置。
【請求項5】
前記複数本の直管蛍光放電管は、管本体の一端部が片側に突出する第1の放電管組と、前記管本体の他端部が他側に突出する第2の放電管組とを含み、前記第1の放電管組の突出端部に対応して第1冷却手段が配設され、前記第2の放電管組の突出端部に対応して第2冷却手段が配設されていることを特徴とする請求項3に記載の紫外線照射硬化装置。
【請求項6】
前記第1及び第2冷却手段は、冷却用フィン、冷却用ファン、冷却用ペルチェ素子又は熱伝導性部材であることを特徴とする請求項5に記載の紫外線照射硬化装置。
【請求項7】
前記複数本の直管蛍光放電管は、照射硬化ハウジングに収容され、前記複数本の直管蛍光放電管の少なくとも一部が、熱伝導性支持部材を介して前記照射硬化ハウジングに支持されており、前記複数本の直管蛍光放電管の少なくとも一部からの熱は、前記熱伝導性支持部材を介して前記照射硬化ハウジングに伝達され、前記照射硬化ハウジングから外部に放熱されることを特徴とする請求項3に記載の紫外線照射硬化装置。
【請求項8】
前記面状光源の上側に紫外線透過シート又は紫外線透過プレートが配設され、前記紫外線透過シート又は前記紫外線透過プレートを介して前記被照射体が載置されることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の紫外線照射硬化装置。
【請求項9】
上面が開放された照射硬化ハウジングと、前記照射硬化ハウジングの上面を覆うための上蓋を更に備え、前記面状光源は前記照射硬化ハウジング内に収容され、前記被照射体は、前記照射硬化ハウジングの上面開口を開放した状態にて前記面状光源の上側に載置されることを特徴とする請求項1又は2に記載の紫外線照射硬化装置。
【請求項10】
前記照射硬化ハウジングの内面及び前記上蓋の内面に、紫外線を反射するための紫外線反射面が設けられていることを特徴とする請求項9に記載の紫外線照射硬化装置。
【請求項11】
前記照射硬化ハウジングの一部に開口が設けられ、前記開口に透光性蛍光プレートが配設され、前記面状光源からの紫外線照射光の一部が前記透光性蛍光プレートに照射され、前記透光性蛍光プレートは、前記面状光源からの紫外線照射光を可視光化し、前記面状光源の点灯表示器として機能することを特徴とする請求項9又は10に記載の紫外線照射硬化装置。
【請求項12】
前記照射硬化ハウジング及び前記上蓋は、気密的に密閉された密閉照射空間を規定し、前記密閉照射空間には、乾燥気体を供給するための気体供給流路及び乾燥気体を排出するための気体排出流路が接続され、前記気体供給流路の上流側に乾燥気体供給源が接続されており、前記乾燥気体供給源からの乾燥気体は、前記気体供給流路を通して前記密閉照射空間に供給され、前記密閉照射空間は、乾燥気体により満たされることを特徴とする請求項9に記載の紫外線照射硬化装置。
【請求項13】
前記面状光源によって照射される被照射体が太陽電池モジュールであり、前記太陽電池モジュールを製造するための太陽電池製造設備の搬送ラインの照射域に関連して前記面状光源が配設され、前記太陽電池モジュールが前記照射域を通して搬送される間に、前記面状光源からの紫外線が下方から紫外線硬化剤に照射されることを特徴とする請求項2に記載の紫外線照射硬化装置。
【請求項14】
前記太陽電池モジュールは、搬送ユニットの密閉収容空間に収容されて前記搬送ラインの前記照射域を通して搬送されるように構成され、前記搬送ユニットは、前記面状光源からの紫外線を透過する紫外線透過性密閉空間を規定し、前記照射域においては、前記紫外線透過性密閉空間内に乾燥気体が充填された状態にて、前記面状光源からの紫外線が前記搬送ユニットを通して照射されることを特徴とする請求項13に記載の紫外線照射硬化装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−22531(P2013−22531A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−160555(P2011−160555)
【出願日】平成23年7月22日(2011.7.22)
【出願人】(507034311)株式会社SPD研究所 (9)
【出願人】(511178773)マクサム株式会社 (1)
【Fターム(参考)】