説明

紫外線硬化型コート剤および成形品

【課題】優れた印刷適性を提供する紫外線硬化型コート剤を提供する。
【解決手段】ジヒドロキシル化合物、有機ジイソシアネート化合物およびヒドロキシル基含有アクリル酸エステルが原料とした数平均分子量が1000以上10000以下の重合反応性ウレタンオリゴマと、水溶性モノマと、光重合開始剤と、吸水性フィラとを含有する。基材3の表面に塗布することで、優れたインク吸収性、印刷画像の乾燥性、にじみ性、耐タック性、耐水性を有したインク受理層2を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紫外線で硬化する紫外線硬化型コート剤、およびこの紫外線硬化型コート剤が塗布された成形品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、情報処理などの分野においては、電気的に情報を記録し、再生ないし再記録することができる情報記録媒体が普及している。このような情報記録媒体としては、例えば、光情報記録媒体であるコンパクトディスク(CD:Compact Disc)やデジタルビデオディスク(DVD:Digital Versatile Disc)などのように、樹脂基材に対して情報記録層を設けて情報記録媒体としたものや、フレキシブルディスク(FD:Flexible Disk)、光磁気(MO:Magnet-Optical)ディスク、ミニディスク(MD:Mini Disc)、カセットテープなど、情報記録部をカートリッジなどの樹脂基材で収納して情報記録媒体とした形態のものが周知である。
このような情報記録媒体は、情報記録性能を有するとともに、記録された内容を示すインデックスや各種の装飾デザインを、情報記録媒体の表面などに印刷していることが多い。そして、印刷としては、インクジェット印刷やスクリーン印刷などといった従来公知の印刷手段により実施されている。
【0003】
一方、情報記録媒体を構成する樹脂基材の表面はインク吸収性を有しないことから、表面にインクジェット印刷などを実施するにあたっては、樹脂基材の表面にインク受理層を形成させ、このインク受理層に対して印刷を実施している。例えば、インクジェットプリンタによる印刷用ラベル紙などの対応紙やCD−R(CD−Recordable)などは、コーティングや印刷法によりインク受理層を用紙基材や樹脂基材の表面に形成している。
そして、インク受理層を形成するためのコート剤は紫外線硬化タイプのものが使用されており、このタイプのコート剤で形成されるインク受理層としては、優れたインク吸収性が求められ、いくつか提案されている(例えば、特許文献1ないし特許文献4参照)。
【0004】
特許文献1に記載のものは、常温で水と任意の比率で溶解する放射線重合性のモノマである多価アルコールなどの液状の水溶性モノマと、分子構造的に多数の親水基を持つ水溶性高分子を架橋して水および他の溶剤に対して不溶化した樹脂粉末である吸水性ポリマとを含有した構成が採られている。
特許文献2に記載のものは、常温で水と任意の比率で溶解する放射線重合性のモノマである多価アルコールなどの液状の水溶性モノマと、この水溶性モノマに溶解可能でフィルム状に製膜した際に水の吸収膨潤や水に実質的に不溶なモノマ可溶性疎水性ポリマと、セルローズ系繊維の粉末やポリペプチド系繊維粉末などで水溶性モノマ100重量部に対して15〜300重量部の割合の天然繊維粉末とを含有した構成が採られている。
特許文献3に記載のものは、常温で水と任意の比率で溶解する放射線重合性のモノマである多価アルコールなどの液状の水溶性モノマと、この水溶性モノマに溶解可能でフィルム状に製膜した際に水の吸収膨潤や水に実質的に不溶な疎水性ポリマと、シリカ、合成雲母、水酸化アルミニウム、アルミナなどの無機フィラと、を含有した構成が採られている。
特許文献4に記載のものは、アクリロイルモルホリン、アルキロキシメチルアクリルアミド、およびメトキシポリエチレングリコール(モノ)アクリレートの合計の含有量が紫外線硬化性インキ100重量部中に25ないし70重量部の割合で含有した構成が採られている。
【0005】
【特許文献1】特開平11−116875号公報
【特許文献2】特開平10−259340号公報
【特許文献3】特開2000−34435号公報
【特許文献4】特開2002−332431号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、インク受理層の印刷適性としては、優れたインク吸収性とともに、印刷画像の乾燥性、印刷画像のにじみ性、耐タック性、耐水性も併せて要求されている。しかしながら、上述した特許文献1ないし特許文献4に記載のような従来のコート剤では、十分な印刷適性が得られにくく、さらに印刷適性が良好なコート剤が要望されている。
【0007】
本発明は、このような点を考慮して、優れた印刷適性が得られる紫外線硬化型コート剤および成形品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に記載の紫外線硬化型コート剤は、紫外線で硬化するコート剤であって、重合反応性ウレタンオリゴマと、水溶性モノマと、光重合開始剤と、を含有したことを特徴とする。
この発明では、重合反応性ウレタンオリゴマと水溶性モノマとを組み合わせて用いている。
このことにより、例えば製膜により形成されるインク受理層は、優れたインク吸収性を有するとともに、印刷画像の乾燥性、印刷画像のにじみ性、耐タック性、耐水性も良好で、優れた印刷適性が得られる。さらには、熱によって硬化させる場合に比べて塗布する対象に余分なエネルギを与えなくてもよいから、塗布対象を劣化させることがない。
そして、重合反応性ウレタンオリゴマの含有量を5質量%以上50質量%以下、水溶性モノマの含有量を40質量%以上94質量%以下、光重合開始剤の含有量を1質量%以上10質量%以下で含有する。すなわち、重合反応性ウレタンオリゴマの含有量[質量%]をA、水溶性モノマの含有量[質量%]をB、光重合開始剤をCとした際に、A/B/C=(5〜50)/(94〜40)/(1〜10)の割合で、重合反応性ウレタンオリゴマ、水溶性モノマおよび光重合開始剤を含有している。
このことにより、例えば製膜により形成されるインク受理層におけるより優れた印刷適性を提供できる。
ここで、重合反応性ウレタンオリゴマの含有量が5質量%より少なくなると、例えば製膜により形成されるインク受理層の印刷適性、特に耐タック性および耐水性が低下するおそれがある。一方、重合反応性ウレタンオリゴマの含有量が50質量%より少なくなると、例えば製膜により形成されるインク受理層の印刷適性、特に印刷画像の乾燥性およびにじみ性が低下するおそれがある。このことにより、重合反応性ウレタンオリゴマの含有量を5質量%以上50質量%以下、好ましくは5質量%以上40質量%以下とする。
また、水溶性モノマの含有量が50質量%より少なくなると、例えば製膜により形成されるインク受理層の印刷適性、特に印刷画像の乾燥性およびにじみ性が低下するおそれがある。一方、水溶性モノマの含有量が95質量%より多くなると、例えば製膜により形成されるインク受理層の印刷適性、特に耐タック性および耐水性が低下するおそれがある。このことにより、水溶性モノマの含有量を40質量%以上94質量%以下、好ましくは54質量%以上93質量%以下とする。
さらに、光重合開始剤の含有量が1質量%より少なくなると、硬化が不十分となるおそれがある。一方、光重合開始剤の含有量が10質量%より多くなると、タック性が低下するおそれがある。このことにより、光重合開始剤の含有量を1質量%以上10質量%以下、好ましくは2質量%以上6質量%以下とする。
【0009】
そして、本発明では、前記重合反応性ウレタンオリゴマは、ジヒドロキシル化合物、有機ジイソシアネート化合物およびヒドロキシル基含有アクリル酸エステルが原料として用いられ、数平均分子量が1000以上10000以下である構成とすることが好ましい。
この発明では、ジヒドロキシル化合物、有機ジイソシアネート化合物およびヒドロキシル基含有アクリル酸エステルを原料とし、数平均分子量が1000以上10000以下、好ましくは1200以上8000以下の重合反応性ウレタンオリゴマを用いる。
このことにより、優れた印刷適性を提供するための材料である重合反応性ウレタンオリゴマを容易に調製できる。
【0010】
また、本発明では、前記ジヒドロキシル化合物は、数平均分子量が300以上2000以下のポリエチレングリコールまたはポリプロピレングリコールであるポリマーポリオール、または、このポリマーポリオールと数平均分子量が50以上200以下のジオールとの混合物である構成とすることが好ましい。
この発明では、重合反応性ウレタンオリゴマの原料となるジヒドロキシル化合物として、数平均分子量が300以上2000以下のポリエチレングリコールまたはポリプロピレングリコールであるポリマーポリオール、または、このポリマーポリオールと数平均分子量が50以上200以下のジオールとの混合物を用いる。
このことにより、これらの原料は、特に乾燥性とにじみ性とに優れるので、優れた印刷適性を提供するための材料である重合反応性ウレタンオリゴマを容易に調製できる。
【0011】
さらに、本発明では、数平均分子量が50以上200以下のジオールは、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸から選ばれる少なくとも1種類である構成とすることが好ましい。
この発明では、特に乾燥性とにじみ性とに優れる、数平均分子量が50以上200以下のジオールとして、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸から選ばれる少なくとも1種類を用いるので、優れた印刷適性を提供するための材料である重合反応性ウレタンオリゴマを容易に調製できる。
【0012】
また、本発明では、前記有機ジイソシアネート化合物は、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルエチレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートから選ばれる少なくとも1種類である構成とすることが好ましい。
この発明では、特に耐タック性、耐水性に優れる、重合反応性ウレタンオリゴマの原料となる有機ジイソシアネート化合物として、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルエチレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、シクロヘキシルイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートから選ばれる少なくとも1種類を用いるので、優れた印刷適性を提供するための材料である重合反応性ウレタンオリゴマを容易に調製できる。
【0013】
さらに、本発明では、前記ヒドロキシル基含有アクリル酸エステルは、2−ヒドロキシエチルアクリレートと、ヒドロキシプロピルアクリレートと、ヒドロキシブチルアクリレートと、前記2−ヒドロキシエチルアクリレート、前記ヒドロキシプロピルアクリレート、前記ヒドロキシブチルアクリレートのうちのいずれかのカプロラクトンまたは酸化アルキレン付加物と、グリセリンジアクリレートと、から選ばれる少なくとも1種類である構成とすることが好ましい。
この発明では、特に塗膜の硬化性に優れる、重合反応性ウレタンオリゴマの原料となるヒドロキシル基含有アクリル酸エステルとして、2−ヒドロキシエチルアクリレートと、ヒドロキシプロピルアクリレートと、ヒドロキシブチルアクリレートと、前記2−ヒドロキシエチルアクリレート、前記ヒドロキシプロピルアクリレート、前記ヒドロキシブチルアクリレートのうちのいずれかのカプロラクトンまたは酸化アルキレン付加物と、グリセリンジアクリレートと、から選ばれる少なくとも1種類を用いるので、優れた印刷適性を提供するための材料である重合反応性ウレタンオリゴマを容易に調製できる。
【0014】
そして、本発明では、前記水溶性モノマは、アクリロイルモルフォリンを50質量%以上含有した構成とすることが好ましい。
この発明では、水溶性モノマとして、特に乾燥性、にじみ性が向上するアクリロイルモルフォリンを50質量%以上で含有したものを用いるので、例えば製膜により形成されるインク受理層の優れた印刷適性が得られる。
【0015】
さらに、本発明では、前記重合反応性ウレタンオリゴマ、前記水溶性モノマおよび前記光重合開始剤に加えて、3質量%以上50質量%以下の吸水性フィラを含有した構成とすることが好ましい。
この発明では、重合反応性ウレタンオリゴマ、水溶性モノマおよび光重合開始剤に加えて、3質量%以上50質量%以下の吸水性フィラを含有するので、特に乾燥性、耐水性が向上する、例えば製膜により形成されるインク受理層におけるより優れた印刷適性が得られる。
ここで、吸水性フィラの含有量が3質量%より少なくなると、水性インク吸収性を十分に付与することができないおそれがある。一方、吸水性フィラの含有量が50質量%より多くなると、増粘して均一な製膜が得られなくなるおそれがある。このことにより、吸水性フィラの含有量を3質量%以上50質量%以下、好ましくは3質量%以上45質量%以下とする。
【0016】
本発明に記載の成形品は、請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の紫外線硬化型コート剤が基材の表面に塗布されたことを特徴とする。
この発明では、例えば製膜により形成されるインク受理層における優れた印刷適性が得られる請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の紫外線硬化型コート剤を基材の表面に塗布している。
このことにより、例えばインク吸収性を有しない基材やインク吸収性が低い基材などに対しても、良好な印刷を付与できる。
【0017】
また、本発明では、前記紫外線硬化型コート剤は、前記基材の表面にインク受理層として塗布形成された構成とすることが好ましい。
この発明では、優れた印刷適性が得られる請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の紫外線硬化型コート剤を基材の表面にインク受理層として塗布形成する。
このことにより、例えばインク吸収性を有しない基材やインク吸収性が低い基材などに対しても、良好な印刷を付与できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下に、本発明を実施するための最良の形態について詳述する。
なお、本実施形態では、本発明における成形品として、例えばCD−R(Compact Disc−Recordable)やDVD−R(Digital Versatile Disc-Recordable)など、一面に情報記録面を有し他面にレーベル面を有した円盤状の情報記録媒体を例示するが、この限りではない。例えば、フレキシブルディスク(FD:Flexible Disk)、光磁気(MO:Magnet-Optical)ディスク、ミニディスク(MD:Mini Disc)、カセットテープなど、情報記録部を収容するカートリッジ、各種の情報記録媒体に用いられる印刷用ラベル紙などの印刷用紙、さらには、合成樹脂成形品、ガラス、木材、鋼板、皮革品、織布や不織布など、各種基材を対象とすることができる。
図1は、本実施形態における情報記録媒体の概略構成を示す断面図である。
【0019】
〔成形品の構成〕
図1において、1は成形品としての情報記録媒体で、この情報記録媒体1は、例えばCD−RやDVD−Rなどのディスク状の記録媒体で、一面に情報が記録される図示しない情報記録面が設けられ、他面にレーベル面が設けられている。
この情報記録媒体1は、円盤状のディスクである基材3の表面に対して、紫外線照射により硬化されるインク受理層2を備えて構成されている。なお、情報記録媒体1における情報が記録される層(情報記録層)は、図1における基材3の層構成に含まれる。そして、基材3としては、一般的に情報記録媒体1に用いられるポリカーボネート樹脂である円盤状のディスク基板により構成されたものが例示できる。
そして、インク受理層2は、詳細は後述する紫外線硬化型コート剤が各種方法により基材3の表面に塗布されて、例えば水性の皮膜状に形成されている。塗膜方法としては、バーコート、コンマコート、ナイフコート、ダイコート、スピンコート、スクリーン印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、パッド印刷、インクジェット印刷など、従来公知のコーティングまたは印刷手段を適宜用いることができる。なお、特に、バーコート、スピンコート、スクリーン印刷の方法が、情報記録媒体の塗膜方法として一般的に用いられていることから好ましい。また、塗膜の硬化として照射する活性エネルギ線としては、紫外線、電子線、X線、可視光線など、各種の活性化させるエネルギ線を対象とすることができる。特に、照射装置の構成や塗膜工程における作業性や装置構成などの点で、作業性が容易で汎用の簡単な構成を利用できる紫外線照射による硬化が好ましい。
【0020】
(紫外線硬化型コート剤の組成)
そして、インク受理層2を構成する紫外線硬化型コート剤は、重合反応性ウレタンオリゴマと、水溶性モノマと、光重合開始剤と、吸水性フィラと、を含有している。
なお、本発明の効果を妨げない範囲で、消泡剤、分散剤、保水剤、増粘剤、離型剤、防腐剤、着色顔料、耐水化剤、湿潤剤、蛍光塗料、紫外線吸収剤などの添加剤を、必要に応じて適宜配合することができる。また、紫外線硬化型コート剤としては、吸水性フィラを含有させなくてもよい。
【0021】
重合反応性ウレタンオリゴマは、例えば末端に反応性二重結合を有するウレタンオリゴマである。
特に、重合反応性ウレタンオリゴマは、ジヒドロキシル化合物、有機ジイソシアネート化合物およびヒドロキシル基含有アクリル酸エステルを原料として、数平均分子量が1000以上10000以下のものが好ましい。
ここで、重合反応性ウレタンオリゴマの数平均分子量が1000より小さくなると、例えば製膜により形成されるインク受理層2における印刷適性、特に印刷画像の乾燥性、にじみ性、耐タック性、耐水性が低下するおそれがある。一方、重合反応性ウレタンオリゴマの数平均分子量が10000より大きくなると、重合反応性ウレタンオリゴマの調製時である反応性時の系内粘度が上昇して合成が困難となるおそれがある。このことにより、重合反応性ウレタンオリゴマは、数平均分子量が1000以上10000以下、好ましくは1200以上8000以下のものを用いることが好ましい。
【0022】
また、重合反応性ウレタンオリゴマの原料となるジヒドロキシル化合物としては、特に乾燥性およびにじみ性に優れる、数平均分子量が300以上2000以下のポリエチレングリコールまたはポリプロピレングリコールであるポリマーポリオール、または、このポリマーポリオールと数平均分子量が50以上200以下のジオールとの混合物を用いることが好適である。
さらに、数平均分子量が50以上200以下のジオールとして、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸から選ばれる少なくとも1種類を用いることが、好適である。
【0023】
さらに、重合反応性ウレタンオリゴマの原料となる有機ジイソシアネート化合物として、特に耐タック性および耐水性に優れる、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルエチレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートから選ばれる少なくとも1種類を用いることが、好適である。
また、重合反応性ウレタンオリゴマの原料となるヒドロキシル基含有アクリル酸エステルとして、特に、塗膜の硬化性に優れる、2−ヒドロキシエチルアクリレートと、ヒドロキシプロピルアクリレートと、ヒドロキシブチルアクリレートと、前記2−ヒドロキシエチルアクリレート、前記ヒドロキシプロピルアクリレート、前記ヒドロキシブチルアクリレートのうちのいずれかのカプロラクトンまたは酸化アルキレン付加物と、グリセリンジアクリレートと、から選ばれる少なくとも1種類を用いることが、好適である。
【0024】
水溶性モノマは、例えば常温において水と任意の比率で溶解する各種のモノマを用いることができる。
具体的には、特に乾燥性およびにじみ性が向上する、アクリロイルモルフォリン、ブタンジオールモノアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアクリルアミド、2−ヒドロキシエチルビニルエーテルなどが例示できる。その他、例えば「光硬化技術データブック 材料編」(テクノネット社発行(2000年12月5日発行))の第6頁から第81頁に記載されている水溶性のモノマを用いることができる。特に、アクリロイルモルフォリンを主体とした系では印刷適性が優れているので好ましい。
この水溶性モノマとしては、50質量%以上のアクリロイルモルフォリンを含有したものを用いることが、好適である。
ここで、アクリロイルモルフォリンの含有量が50質量%より少なくなると、例えば製膜により形成されるインク受理層2の印刷適性、特に印刷画像の乾燥性およびにじみ性が低下するおそれがある。このことにより、アクリロイルモルフォリンの含有量を50質量%以上とすることが好ましい。
なお、他の共重合可能な水溶性モノマを、水溶性モノマ中で50質量%以下の割合で含んでいてもよい。さらには、本発明の効果を妨げない範囲で非水溶性モノマを、水溶性モノマに対して30質量%以下の割合で含有させてもよい。
【0025】
光重合開始剤は、紫外線によって発生するラジカルにより、水溶性モノマや重合反応性ウレタンオリゴマ中の二重結合と反応して重合反応を誘起させる各種の重合開始剤を用いることができる。
具体的には、ヒドロキシケトンである2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンゾインエチルエーテル、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、アミノケトンである2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オンなどが例示できる。その他、例えば「光硬化技術データブック 材料編」(テクノネット社発行(2000年12月5日発行))の第122頁から第133頁に記載されている光重合開始剤を用いることができる。特に、乾燥性および耐タック性の点で2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンゾインエチルエーテルを用いることが好適である。また、光重合開始剤は、上記した各種の光重合開始剤の2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0026】
吸水性フィラは、無機フィラ、有機フィラのいずれをも使用することができる。
無機フィラとしては、例えば、シリカ、タルク、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、ゼオライトなどが挙げられる。また、有機フィラとしては、例えば、天然有機物微粉末(コラーゲン、シルク、セルロース、でんぷん、キチン、キトサン、卵殻膜など)、吸水性樹脂パウダ(例えば、吸水性アクリル樹脂、吸水性ポリエステル樹脂などのパウダ)などが挙げられる。これらの無機フィラおよび有機フィラは、1種を単独で使用してもよく、または2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0027】
そして、紫外線硬化型コート剤は、重合反応性ウレタンオリゴマの含有量[質量%]をA、水溶性モノマの含有量[質量%]をB、光重合開始剤をCとした際に、A/B/C=(5〜50)/(94〜40)/(1〜10)の割合で、重合反応性ウレタンオリゴマ、水溶性モノマおよび光重合開始剤を含有することが好ましい。
ここで、重合反応性ウレタンオリゴマの含有量が5質量%より少なくなると、例えば製膜により形成されるインク受理層2の印刷適性、特に耐タック性および耐水性が低下するおそれがある。一方、重合反応性ウレタンオリゴマの含有量が50質量%より少なくなると、例えば製膜により形成されるインク受理層2の印刷適性、特に印刷画像の乾燥性およびにじみ性が低下するおそれがある。このことにより、重合反応性ウレタンオリゴマの含有量を5質量%以上50質量%以下、好ましくは5質量%以上40質量%以下とする。
また、水溶性モノマの含有量が40質量%より少なくなると、例えば製膜により形成されるインク受理層2の印刷適性、特に印刷画像の乾燥性およびにじみ性が低下するおそれがある。一方、水溶性モノマの含有量が94質量%より多くなると、例えば製膜により形成されるインク受理層2の印刷適性、特に耐タック性および耐水性が低下するおそれがある。このことにより、水溶性モノマの含有量を40質量%以上94質量%以下、好ましくは54質量%以上93質量%以下とする。
さらに、光重合開始剤の含有量が1質量%より少なくなると、硬化が不十分となるおそれがある。一方、光重合開始剤の含有量が10質量%より多くなると、タック性が低下するおそれがある。このことにより、光重合開始剤の含有量を1質量%以上10質量%以下、好ましくは2質量%以上6質量%以下とする。
【0028】
また、紫外線硬化型コート剤は、重合反応性ウレタンオリゴマ、水溶性モノマおよび光重合開始剤に加えて、吸水性フィラを3質量%以上50質量%以下で含有することが好ましい。
ここで、吸水性フィラの含有量が3質量%より少なくなると、水性インク吸収性を十分に付与することができないおそれがある。一方、吸水性フィラの含有量が50質量%より多くなると、増粘して均一な製膜が得られなくなるおそれがある。このことにより、吸水性フィラの含有量を3質量%以上50質量%以下、好ましくは3質量%以上45質量%以下とする。
【0029】
〔実施形態の作用効果〕
上述したように、上記実施形態の紫外線硬化型コート剤によれば、重合反応性ウレタンオリゴマと、水溶性モノマと、光重合開始剤と、を含有したものを用いている。
このため、重合反応性ウレタンオリゴマと水溶性モノマとを組み合わせて用いているので、オリゴマ添加の特徴である耐タック性および耐水性、モノマ添加の特徴であるインクの吸収能のバランスが良好となり、例えば基材3の表面上に塗膜形成されたインク受理層2は、優れたインク吸収性を有するとともに、印刷画像の乾燥性、印刷画像のにじみ性、耐タック性、耐水性も良好で、優れた印刷適性が得られる。さらには、熱によって硬化させる場合に比べて塗布する基材3に余分なエネルギを与えなくてもよいから、例えば基材3の熱変形など損傷が生じるなど、基材3の劣化を防止でき、加熱できないような塗布対象でも適用でき、汎用性を向上できる。
【0030】
そして、上記実施形態では、紫外線硬化型コート剤の材料である重合反応性ウレタンオリゴマとして、特に、ジヒドロキシル化合物、有機ジイソシアネート化合物およびヒドロキシル基含有アクリル酸エステルを原料とし、数平均分子量が1000以上10000以下のものが好適に用いられる。
このため、低分子量成分による耐タック性の低下という不都合や高分子量成分による紫外線硬化型コート剤の粘度の上昇により塗膜が不均一となる不都合などを生じず、優れた印刷適性を提供するための材料である重合反応性ウレタンオリゴマを容易に調製できる。
【0031】
また、上記実施形態では、重合反応性ウレタンオリゴマの原料となるジヒドロキシル化合物として、特に乾燥性およびにじみ性に優れる、数平均分子量が300以上2000以下のポリエチレングリコールまたはポリプロピレングリコールを原料としたポリマーポリオール、または、このポリマーポリオールと数平均分子量が50以上200以下のジオールとの混合物が好適に用いられる。
このため、優れた印刷適性を提供するための材料である重合反応性ウレタンオリゴマを容易に調製できる。
【0032】
さらに、上記実施形態では、ジヒドロキシル化合物に用いられる数平均分子量が50以上200以下のジオールとして、特に乾燥性およびにじみ性に優れる、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸から選ばれる少なくとも1種類が好適に用いられる。
このため、優れた印刷適性を提供するための材料である重合反応性ウレタンオリゴマを容易に調製できる。
【0033】
また、上記実施形態では、重合反応性ウレタンオリゴマの原料となる有機ジイソシアネート化合物として、特に耐タック性および耐水性に優れる、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルエチレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートから選ばれる少なくとも1種類が好適に用いられる。
このため、優れた印刷適性を提供するための材料である重合反応性ウレタンオリゴマを容易に調製できる。
【0034】
さらに、上記実施形態では、重合反応性ウレタンオリゴマの原料となるヒドロキシル基含有アクリル酸エステルとして、特に塗膜の硬化性に優れる、2−ヒドロキシエチルアクリレートと、ヒドロキシプロピルアクリレートと、ヒドロキシブチルアクリレートと、前記2−ヒドロキシエチルアクリレート、前記ヒドロキシプロピルアクリレート、前記ヒドロキシブチルアクリレートのうちのいずれかのカプロラクトンまたは酸化アルキレン付加物と、グリセリンジアクリレートと、から選ばれる少なくとも1種類が好適に用いられる。
このため、優れた印刷適性を提供するための材料である重合反応性ウレタンオリゴマを容易に調製できる。
【0035】
そして、上記実施形態では、水溶性モノマとして、特に、50質量%以上のアクリロイルモルフォリンを含有したものが好適に用いられる。
このため、特に乾燥性およびにじみ性が向上し、例えば製膜により形成されるインク受理層2の優れた印刷適性が得られる。
【0036】
また、上記実施形態では、特に、重合反応性ウレタンオリゴマの含有量[質量%]をA、水溶性モノマの含有量[質量%]をB、光重合開始剤をCとした際に、A/B/C=(5〜50)/(94〜40)/(1〜10)の割合で含有させる。
このため、オリゴマ添加の特徴である耐タック性および耐水性と、モノマ添加の特徴であるインクの吸収能とのバランスが良好となり、例えば製膜により形成されるインク受理層2におけるより優れた印刷適性を提供できる。
【0037】
さらに、上記実施形態では、重合反応性ウレタンオリゴマ、水溶性モノマおよび光重合開始剤に加えて、吸水性フィラを3質量%以上50質量%以下で含有させることが好適である。
このため、特に乾燥性および耐水性が向上し、例えば製膜により形成されるインク受理層2におけるより優れた印刷適性が得られる。
【0038】
〔実施形態の変形例〕
なお、以上に説明した態様は、本発明の一態様を示したものであって、本発明は、前記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的および効果を達成できる範囲内での変形や改良が、本発明の内容に含まれるものであることはいうまでもない。また、本発明を実施する際における具体的な構造および形状などは、本発明の目的および効果を達成できる範囲内において、他の構造や形状などとしてもよい。
【0039】
すなわち、本実施形態では、基材3として材質がポリカーボネート樹脂であるディスク状の基板により構成される例を示したが、これには限定されず、例えば、基材3は、DVD−RAM、カセットテープ、MOなどの情報記録媒体1を収納するカートリッジなどの形状としてもよく、当該カードリッジとなる基材3の表面にインク受理層2を形成すればよい。さらには、上述したように、情報記録媒体に用いられる印刷用ラベル紙などの印刷用紙、合成樹脂成形品、ガラス、木材、鋼板、皮革品、織布や不織布など、各種基材を対象とすることができる。
また、紫外線硬化型コート剤としては、例えば重合反応性ウレタンオリゴマと、水溶性モノマと、光重合開始剤と、を含有する1液型のもの、インク受理層2を塗布形成する際に光重合開始剤を混合して用いる多液型のものなど、紫外線硬化型コート剤の形態としてはいずれの構成を適用することができる。
【実施例1】
【0040】
次に、実施例および比較例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例などの記載内容に何ら制約されるものではない。
【0041】
{試料の調製}
(オリゴマの合成)
紫外線硬化型コート剤の材料として、以下に示す各種のオリゴマを調製した。
・オリゴマ(a)
ポリエチレングリコール(数平均分子量:600)(日本油脂株式会社製 商品名:PEG#600)3.4モルと、ヘキサメチレンジイソシアナート(住化バイエルウレタン株式会社製 商品名:デスモジュールH)4.4モルとを80℃で反応させた後、2−ヒドロキシエチルアクリレート(株式会社日本触媒製 商品名:BHEA)2.2モルを80℃で反応させ、数平均分子量3000のオリゴマ(a)を得た。
なお、数平均分子量は、昭和電工株式会社製のカラム(商品名:Shodex KF-804L×4本)を用い、溶離液にテトラヒドロフランを用い、温度40℃、流速1.0ml/分で、検出器(昭和電工株式会社製 商品名:Shodex RI-71)により検出し、測定した。
・オリゴマ(b)
ポリエチレングリコール(数平均分子量:600)1.0モルと、ジメチロールブタン酸(日本化成株式会社製 商品名:DMBA)1.0モルと、ヘキサメチレンジイソシアナート3.0モルを80℃で反応させた後、2−ヒドロキシエチルアクリレート2.2モルを80℃で反応させ、数平均分子量1500のオリゴマ(b)を得た。
・オリゴマ(c)
ポリエチレングリコール(数平均分子量:600)5.38モルと、ネオペンチルグリコール(商品名 BASF社製)5.38モルと、ヘキサメチレンジイソシアナート11.76モルを80℃で反応させた後、2−ヒドロキシエチルアクリレート2.2モルを80℃で反応させ、数平均分子量6000のオリゴマ(c)を得た。
・オリゴマ(d)
ヘキサメチレンジイソシアナート1.0モルと、2−ヒドロキシエチルアクリレートのエチレンオキサイド8モル付加物(日本油脂株式会社製 商品名:ブレンマーAE−400)2.2モルを80℃で反応させ、数平均分子量1100のオリゴマ(d)を得た。
・オリゴマ(e)
ポリカーボネートジオール(数平均分子量:800)(旭化成ケミカルズ株式会社製 商品名:PCDL T−5650J)2.49モルと、イソホロンジイソシアナート(住化バイエルウレタン株式会社製 商品名:デスモジュールI)3.49モルを80℃で反応させた後、2−ヒドロキシエチルアクリレート2.2モルを80℃で反応させ、数平均分子量3000のオリゴマ(e)を得た。
・オリゴマ(f)
ポリエチレングリコール(数平均分子量400)(日本油脂株式会社製 商品名:PEG#400)1.0モルと、ヘキサメチレンジイソシアナート2.0モルを80℃で反応させた後、2−ヒドロキシエチルアクリレート2.2モルを80℃で反応させ、数平均分子量950のオリゴマ(f)を得た。
【0042】
(試料の作製)
以下の表1および表2に示す配合割合で所定量の原料を計量し、混合機(株式会社シンキー(THINKY Corporation社)製 商品名:A−250)にて混合した。
【0043】
【表1】

【0044】
【表2】

【0045】
(インク受理層の形成)
上述の作製した試料を、100μm厚PET(polyethylene terephthalate)フイルム(東レ株式会社製 商品名:ルミラーT100)に、膜厚が15〜25μmとなるようにバーコータ(R K Print Coat Instruments社 商品名:K−202)で塗布した。
そして、紫外線照射装置(GS Yuasa Lighting社 商品名:CSOT−40)にて積算放射量200mJ/cm2で塗膜を硬化させ、インク受理層を形成した。
【0046】
(印刷適性の評価)
上述のインク受理層の形成により形成したインクジェット方式のカラープリンタ(セイコーエプソン株式会社製 商品名:PM−G820)により、黒・青・黄・赤のベタ画像を隣接して印刷した。そして、印刷状況を比較評価した。印刷状況としては、以下に示す乾燥性、にじみ性、耐タック性、耐水性について、4段階評価した。すなわち、非常に良好であったものを「◎」、良好であったものを「○」、やや劣るものを「△」、非常に劣るものを「×」とした。その評価結果を表1および表2に併せて示す。
・乾燥性
印刷5分後に、印刷面に紙(アスクル社製,商品名:マルチペーパースパーエコノミー)を押し当て、紙にインクが転写される程度を評価した。
・にじみ性
塗膜の印刷画像が、滲んでいる程度を評価した。
・耐タック性
塗膜の印刷画像の指への粘着性を評価した。
・耐水性
塗膜の印刷画像に水を滴下し、3分後に紙(日本製紙クレシア社製,商品名キムワイプ ワイパーL100)で拭き取り、印刷画像のにじみ性、塗膜の均一性を評価した。
【0047】
(結果)
表1および表2に示す結果から、重合反応性オリゴマ、水溶性モノマおよび光重合開始剤を、所定の範囲で配合した実施例1ないし実施例5は、同質の材料でも配合比が異なる比較例1ないし比較例4では得られない、総合的に良好な印刷特性が得られることが認められた。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、インク受理層が基材に設けられたコンパクトディスク、その他の情報記録媒体、並びに、情報記録媒体以外の成形品に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の一実施形態に係る情報記録媒体を示す断面図である。
【符号の説明】
【0050】
1…成形品としての情報記録媒体
2…インク受理層
3…基材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紫外線で硬化する紫外線硬化型コート剤であって、
重合反応性ウレタンオリゴマと、
水溶性モノマと、
光重合開始剤と、を含有し、
前記重合反応性ウレタンオリゴマは、含有量が5質量%以上50質量%以下であり、
前記水溶性モノマは、含有量が40質量%以上94質量%以下であり、
前記光重合開始剤は、含有量が1質量%以上10質量%以下である
ことを特徴とした紫外線硬化型コート剤。
【請求項2】
請求項1に記載の紫外線硬化型コート剤であって、
前記重合反応性ウレタンオリゴマは、ジヒドロキシル化合物、有機ジイソシアネート化合物およびヒドロキシル基含有アクリル酸エステルが原料として用いられ、数平均分子量が1000以上10000以下である
ことを特徴とした紫外線硬化型コート剤。
【請求項3】
請求項2に記載の紫外線硬化型コート剤であって、
前記ジヒドロキシル化合物は、数平均分子量が300以上2000以下のポリエチレングリコールまたはポリプロピレングリコールであるポリマーポリオール、または、このポリマーポリオールと数平均分子量が50以上200以下のジオールとの混合物である
ことを特徴とした紫外線硬化型コート剤。
【請求項4】
請求項3に記載の紫外線硬化型コート剤であって、
前記数平均分子量が50以上200以下のジオールは、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸から選ばれる少なくとも1種類である
ことを特徴とした紫外線硬化型コート剤。
【請求項5】
請求項2ないし請求項4のいずれかに記載の紫外線硬化型コート剤であって、
前記有機ジイソシアネート化合物は、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルエチレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートから選ばれる少なくとも1種類である
ことを特徴とした紫外線硬化型コート剤。
【請求項6】
請求項2ないし請求項5のいずれかに記載の紫外線硬化型コート剤であって、
前記ヒドロキシル基含有アクリル酸エステルは、2−ヒドロキシエチルアクリレートと、ヒドロキシプロピルアクリレートと、ヒドロキシブチルアクリレートと、前記2−ヒドロキシエチルアクリレート、前記ヒドロキシプロピルアクリレート、前記ヒドロキシブチルアクリレートのうちのいずれかのカプロラクトンまたは酸化アルキレン付加物と、グリセリンジアクリレートと、から選ばれる少なくとも1種類である
ことを特徴とした紫外線硬化型コート剤。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の紫外線硬化型コート剤であって、
前記水溶性モノマは、アクリロイルモルフォリンを50質量%以上含有した
ことを特徴とした紫外線硬化型コート剤。
【請求項8】
請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の紫外線硬化型コート剤であって、
前記重合反応性ウレタンオリゴマ、前記水溶性モノマおよび前記光重合開始剤に加えて、3質量%以上50質量%以下の吸水性フィラを含有した
ことを特徴とした紫外線硬化型コート剤。
【請求項9】
請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の紫外線硬化型コート剤が基材の表面に塗布された
ことを特徴とした成形品。
【請求項10】
請求項9に記載の成形品であって、
前記紫外線硬化型コート剤は、前記基材の表面にインク受理層として塗布形成された
ことを特徴とした成形品。

【図1】
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【公開番号】特開2008−274152(P2008−274152A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−120645(P2007−120645)
【出願日】平成19年5月1日(2007.5.1)
【出願人】(500242384)出光テクノファイン株式会社 (55)
【Fターム(参考)】